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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】昇降システム
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20241001BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
E04G21/32 B
E04G21/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021051524
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149393
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】山田 基嗣
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 尚
(72)【発明者】
【氏名】石川 修
(72)【発明者】
【氏名】栗原 淳
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-310438(JP,A)
【文献】特開2003-147956(JP,A)
【文献】特開2004-218282(JP,A)
【文献】米国特許第04962828(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 3/00、3/28
21/16、21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降対象を昇降させる昇降システムであって、
設置対象において上下方向に略沿って間隔を隔てて並設される一対のガイドローラであって、前記昇降対象に対する拘束の維持及び開放を切り替え可能な一対のガイドローラと、
前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を昇降させる吊り手段と、
前記昇降対象を昇降させる前に、前記吊り手段で前記昇降対象を吊るした吊り状態において、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象から離れるように水平移動させる第1水平移動手段と、
前記昇降対象を昇降させた後に、前記吊り状態において、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象に近づけるように水平移動させる第2水平移動手段と、
を備える昇降システム。
【請求項2】
前記第1水平移動手段は、前記一対のガイドローラのいずれか一方による前記昇降対象に対する拘束を開放し、且つ前記一対のガイドローラのいずれか他方による前記昇降対象に対する拘束を維持した状態である第1拘束状態において、前記一対のガイドローラのいずれか他方を前記設置対象側とは反対側に押し出すことにより、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象から離れるように水平移動させる、
請求項1に記載の昇降システム。
【請求項3】
前記第2水平移動手段は、前記一対のガイドローラのいずれか一方による前記昇降対象に対する拘束を維持し、且つ前記一対のガイドローラのいずれか他方による前記昇降対象に対する拘束を開放した状態である第2拘束状態において、前記一対のガイドローラのいずれか一方を前記設置対象側に引き込むことにより、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象に近づけるように水平移動させる、
請求項1又は2に記載の昇降システム。
【請求項4】
前記一対のガイドローラをワイヤーを介して昇降させるガイド昇降手段を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の昇降システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設資材、建設機材、又は建設治具等の昇降対象を昇降する技術の一つとして、建物の躯体に取付けられたフレームの頂部に設置された昇降駆動源によって、昇降対象を吊支持して昇降させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-070481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載された技術においては、フレームの頂部に設置された昇降駆動源によって昇降対象を昇降させるので、例えば、昇降対象を昇降している際や建物側に引寄せている際に昇降対象が揺れると、昇降対象と躯体とが接触することで昇降対象が破損するおそれがあることから、作業の安全性の観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、昇降対象の昇降作業及び水平移動作業の安全性を高めることが可能となる、昇降システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の昇降システムは、昇降対象を昇降させる昇降システムであって、設置対象において上下方向に略沿って間隔を隔てて並設される一対のガイドローラであって、前記昇降対象に対する拘束の維持及び開放を切り替え可能な一対のガイドローラと、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を昇降させる吊り手段と、前記昇降対象を昇降させる前に、前記吊り手段で前記昇降対象を吊るした吊り状態において、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象から離れるように水平移動させる第1水平移動手段と、前記昇降対象を昇降させた後に、前記吊り状態において、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象に近づけるように水平移動させる第2水平移動手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の昇降システムは、請求項1に記載の昇降システムにおいて、前記第1水平移動手段は、前記一対のガイドローラのいずれか一方による前記昇降対象に対する拘束を開放し、且つ前記一対のガイドローラのいずれか他方による前記昇降対象に対する拘束を維持した状態である第1拘束状態において、前記一対のガイドローラのいずれか他方を前記設置対象側とは反対側に押し出すことにより、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象から離れるように水平移動させる。
【0008】
請求項3に記載の昇降システムは、請求項1又は2に記載の昇降システムにおいて、前記第2水平移動手段は、前記一対のガイドローラのいずれか一方による前記昇降対象に対する拘束を維持し、且つ前記一対のガイドローラのいずれか他方による前記昇降対象に対する拘束を開放した状態である第2拘束状態において、前記一対のガイドローラのいずれか一方を前記設置対象側に引き込むことにより、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象に近づけるように水平移動させる。
【0009】
請求項4に記載の昇降システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の昇降システムにおいて、前記一対のガイドローラをワイヤーを介して昇降させるガイド昇降手段を備える。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の昇降システムによれば、設置対象において上下方向に略沿って間隔を隔てて並設される一対のガイドローラであって、昇降対象に対する拘束の維持及び開放を切り替え可能な一対のガイドローラと、一対のガイドローラを介して昇降対象を昇降させる吊り手段と、昇降対象を昇降させる前に、吊り状態において、一対のガイドローラを介して昇降対象を設置対象から離れるように水平移動させる第1水平移動手段と、昇降対象を昇降させた後に、吊り状態において、一対のガイドローラを介して昇降対象を設置対象に近づけるように水平移動させる第2水平移動手段と、を備えるので、昇降対象の昇降作業中及び水平移動作業中において昇降対象と設置対象又はその周辺部材との接触を回避でき、昇降対象の昇降作業及び水平移動作業の安全性を高めることが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の昇降システムによれば、第1水平移動手段が、第1拘束状態において、一対のガイドローラのいずれか他方を設置対象側とは反対側に押し出すことにより、一対のガイドローラを介して昇降対象を設置対象から離れるように水平移動させるので、昇降対象の水平移動作業を簡易且つ安全に行うことができ、第1水平移動手段の使用性を高めることができる。
【0012】
請求項3に記載の昇降システムによれば、第2水平移動手段が、第2拘束状態において、一対のガイドローラのいずれか一方を設置対象側に引き込むことにより、一対のガイドローラを介して昇降対象を設置対象に近づけるように水平移動させるので、昇降対象の水平移動作業を簡易且つ安全に行うことができ、第2水平移動手段の使用性を高めることができる。
【0013】
請求項4に記載の昇降システムによれば、一対のガイドローラをワイヤーを介して昇降させるガイド昇降手段を備えるので、一対のガイドローラの昇降を効率的に行うことができ、昇降対象の昇降作業及び水平移動作業の作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る昇降システムを概念的に示す図である。
図2】昇降対象の昇降方法を概念的に示す図である。
図3図2に続く昇降対象の昇降方法を概念的に示す図である。
図4図3に続く昇降対象の昇降方法を概念的に示す図である。
図5図4に続く昇降対象の昇降方法を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る昇降システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、昇降対象を昇降させる昇降システムに関する。
【0017】
ここで、「昇降対象」とは、昇降システムによって昇降される対象を意味し、例えば、建設資材、建設機材、又は建設治具等を含む概念であるが、実施の形態では、設置対象を養生するための養生フレームとして説明する。
【0018】
また、「設置対象」とは、構造物の構成要素を意味し、例えば構造物の躯体(一例として、柱材、壁材等)や、躯体に取り付けられる付属物(一例として、躯体を補強する補強部材等)等を含む概念であるが、実施の形態では、構造物の柱材として説明する。
【0019】
また、「構造物」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、オフィスビル、公共施設、商業施設、及び集合住宅(一例として、マンション等)などの建築構造物や、橋などの土木構造物等を含む概念であり、実施の形態では、建設中のオフィスビルとして説明する。
【0020】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0021】
(構成)
最初に、実施の形態に係る昇降システム10の構成と、昇降システム10が適用される構造物1の構成とについて説明する。
【0022】
(構成-構造物)
まず、構造物1の構成について説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る昇降システム10を概念的に示す図である。ここで、図1のX方向を昇降システム10の左右方向又は幅方向(-X方向を昇降システム10の左方向、+X方向を昇降システム10の右方向)、図1のZ方向を昇降システム10の上下方向(+Z方向を昇降システム10の上方向、-Z方向を昇降システム10の下方向)と称し、図1のX方向及び図1のZ方向に直交する方向を前後方向(図1の紙面の手前側に至る方向を後述する昇降システム10の前方向、図1の紙面の奥側に至る方向を昇降システム10の後方向)と称する。
【0024】
構造物1は、例えば鉄骨造(又は鉄筋コンクリート造)の建築構造物(具体的には、建設中の複数の階層を有するオフィスビル)であり、図1に示すように、床材(図示省略)、柱材2、梁材3、及び壁材(図示省略)を備えている。
【0025】
このうち、床材は、構造物1の階層を構成するものであり、相互に間隔を隔てて上下方向に向けて複数並設される。
【0026】
また、柱材2は、床材を支持するものであり、床材同士の相互間(すなわち、構造物1の各階層の空間)に複数設けられる。以下では、複数の柱材2のうち、後述する一対のガイドローラ20が設けられる柱材4を「設置対象4」と称する。
【0027】
なお、実施の形態では、この設置対象4には、昇降システム10を用いて昇降される昇降対象Hが設けられており、昇降対象Hが昇降させる前後においては、設置対象4に対して固定具等によって着脱自在に取り付けられている(具体的には、昇降対象Hの複数箇所を設置対象4に対して固定具等によって取り付けられている)。また、以下では、この昇降対象Hを昇降する作業を「昇降作業」と称する。
【0028】
ここで、昇降対象Hの具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、後述する図2に示すように、設置対象4を養生するための養生フレームであって、鋼製のフレーム材を複数組わせて構成されたフレーム本体H1と、フレーム本体H1に取り付けられた可動式の足場部H2を備える養生フレームを用いて構成されている。
【0029】
また、梁材3は、床材を支持するものであり、各床材の下面と当接可能な位置に複数設けられたり、又は同一階の床材同士の相互間に設けられる。
【0030】
また、壁材は、床材同士の相互間を仕切るためのものであり、床材同士の相互間に複数設けられる。
【0031】
(構成-昇降システム)
図1に戻り、次に、昇降システム10について説明する。
【0032】
昇降システム10は、昇降対象Hを昇降させるシステムであり、図1に示すように、一対のガイドローラ20、吊り部30(後述する図3参照)、第1水平移動部40、第2水平移動部50、及びガイド昇降部(図示省略)を備えている。
【0033】
(構成-昇降システム-ガイドローラ)
一対のガイドローラ20は、吊り部30による昇降対象Hの昇降を補助するものである。これら一対のガイドローラ20は、例えば昇降対象Hに対する拘束の維持及び開放を切り替え可能な公知のガイドローラ等(例えば、開閉式ガイドローラ等)を用いて構成されており、設置対象4において上下方向に略沿って間隔を隔てて並設されている。
【0034】
ここで、「拘束の維持」とは、実施の形態では、一対のガイドローラ20が昇降対象Hに対して取り付けられた状態で、昇降対象Hの上下方向の移動を制限することを意味する。また、「拘束の開放」とは、実施の形態では、一対のガイドローラ20が昇降対象Hに対して取り付けられた状態で、昇降対象Hの上下方向の移動を制限しないことを意味する。
【0035】
具体的には、図1に示すように、一対のガイドローラ20の一方は、設置対象4の所定の階層に対応する部分に対して固定具等によって接続されており、一対のガイドローラ20の他方は、設置対象4の所定の階層よりも上側の階層に対応する部分に対して固定具等によって接続されている。
【0036】
なお、以下では、必要に応じて、一対のガイドローラ20のうち、下側に位置するガイドローラ21を「下側ガイドローラ21」と称し、上側に位置するガイドローラ22を「上側ガイドローラ22」と称する。
【0037】
また、一対のガイドローラ20による昇降対象Hに対する拘束状態については、実施の形態では、「第1拘束状態」、「第2拘束状態」、「第3拘束状態」、及び「第4拘束状態」を含む概念である。
【0038】
このうち、「第1拘束状態」とは、一対のガイドローラ20のいずれか一方(図1では、上側ガイドローラ22)による昇降対象Hに対する拘束を開放し、且つ一対のガイドローラ20のいずれか他方(図1では、下側ガイドローラ21)による昇降対象Hに対する拘束を維持した状態を意味する。
【0039】
また、「第2拘束状態」とは、一対のガイドローラ20のいずれか一方(図1では、上側ガイドローラ22)による昇降対象Hに対する拘束を維持し、且つ一対のガイドローラ20のいずれか他方(図1では、下側ガイドローラ21)による昇降対象Hに対する拘束を開放した状態を意味する。
【0040】
また、「第3拘束状態」とは、一対のガイドローラ20のいずれか一方(図1では、上側ガイドローラ22)による昇降対象Hに対する拘束を維持し、且つ一対のガイドローラ20のいずれか他方(図1では、下側ガイドローラ21)による昇降対象Hに対する拘束を維持した状態を意味する。
【0041】
また、「第4拘束状態」とは、一対のガイドローラ20のいずれか一方(図1では、上側ガイドローラ22)による昇降対象Hに対する拘束を開放し、且つ一対のガイドローラ20のいずれか他方(図1では、下側ガイドローラ21)による昇降対象Hに対する拘束を開放した状態を意味する。
【0042】
(構成-昇降システム-吊り部)
吊り部30は、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを昇降させる吊り手段である。この吊り部30は、例えば公知の吊り装置(一例として、クレーン装置等)を用いて構成されており、構造物1又はその近傍に設けられている。
【0043】
具体的には、後述する図3に示すように、吊り部30は、構造物1の階層のうち一対のガイドローラ20が設けられる階層よりも上方の階層に設けられている。
【0044】
また、吊り部30と昇降対象Hとの接続方法については任意であるが、例えば、吊り部30のフック部31と昇降対象Hに取り付けられた吊り金具(図示省略)とを第1ワイヤー32を介して着脱自在に接続している。
【0045】
(構成-昇降システム-第1水平移動部)
図1に戻り、第1水平移動部40は、昇降対象Hを昇降させる前に、吊り部30で昇降対象Hを吊るした状態(以下、「吊り状態」と称する)において、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4から離れるように水平移動させる第1水平移動手段である。この第1水平移動部40は、設置対象4に設けられており、具体的には、図1に示すように、下側ガイドローラ21の近傍に配置されており、下側ガイドローラ21及び設置対象4の各々と固定具等によって着脱自在に接続されている。
【0046】
また、第1水平移動部40の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、図1に示すように、第1拘束状態で、一対のガイドローラ20のいずれか他方(図1では、下側ガイドローラ21)を設置対象4側とは反対側(図1では、左側)に押し出すことにより、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4から離れるように水平移動させることが可能となるように構成されている。
【0047】
具体的には、昇降対象Hの水平方向への押し出しや引き寄せを行うことが可能な公知の水平移動器具を用いて構成されており、一例として、レバーブロック(登録商標)を用いて構成されてもよい。
【0048】
このような構成により、昇降対象Hの水平移動作業を簡易且つ安全に行うことができ(なお、一人の作業者でも当該水平移動作業を簡易且つ安全に行うことができ)、第1水平移動部40の使用性を高めることができる。
【0049】
(構成-昇降システム-第2水平移動部)
第2水平移動部50は、昇降対象Hを昇降させた後に、吊り状態において、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4に近づけるように水平移動させる第2水平移動手段である。この第2水平移動部50は、設置対象4において第1水平移動部40とは異なる位置に設けられており、具体的には、図1に示すように、上側ガイドローラ22の近傍に配置されており、上側ガイドローラ22及び設置対象4の各々と固定具等によって着脱自在に接続されている。
【0050】
また、第2水平移動部50の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、図1に示すように、第2拘束状態において、一対のガイドローラ20のいずれか一方(図1では、上側ガイドローラ22)を設置対象4側(図1では、右側)に引き込むことにより、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4に近づけるように水平移動させることが可能となるように構成されている。
【0051】
具体的には、昇降対象Hの水平方向への押し出しや引き寄せを行うことが可能な公知の水平移動器具を用いて構成されており、一例として、レバーブロックを用いて構成されてもよい。
【0052】
このような構成により、昇降対象Hの水平移動作業を簡易且つ安全に行うことができ(なお、一人の作業者でも当該水平移動作業を簡易且つ安全に行うことができ)、第2水平移動部50の使用性を高めることができる。
【0053】
(構成-昇降システム-ガイド昇降部)
ガイド昇降部は、一対のガイドローラ20を第2ワイヤー(図示しない)を介して昇降させるガイド昇降手段を備える。このガイド昇降部は、例えば公知の昇降器具(一例として、チェーンブロック)を用いて構成されており、設置対象4又はその近傍の部材(例えば、梁材3、壁材、床材等)に設けられている。
【0054】
具体的には、ガイド昇降部は、構造物1の階層のうち一対のガイドローラ20が設けられる階層よりも上方の階層に設けられている。
【0055】
このようなガイド昇降部により、一対のガイドローラ20の昇降を効率的に行うことができ、昇降対象Hの昇降作業及び水平移動作業の作業性を高めることができる。
【0056】
以上のような昇降システム10により、昇降対象Hの昇降作業中及び水平移動作業中において昇降対象Hと設置対象4又はその周辺部材(例えば、梁材3、床材、壁材等)との接触を回避でき、昇降対象Hの昇降作業及び水平移動作業の安全性を高めることが可能となる。
【0057】
(昇降対象の昇降方法)
続いて、昇降対象Hの昇降方法について説明する。
【0058】
図2は、昇降対象Hの昇降方法を概念的に示す図である。図3は、図2に続く昇降対象Hの昇降方法を概念的に示す図である。図4は、図3に続く昇降対象Hの昇降方法を概念的に示す図である。図5は、図4に続く昇降対象Hの昇降方法を概念的に示す図である。
【0059】
昇降対象Hの昇降方法は、昇降システム10を用いて、昇降対象Hを昇降するための方法であり、図2から図5に示すように、準備工程、取付工程、吊り工程、第1水平移動工程、昇降工程、第2水平移動工程、及び接続工程を含んでいる。
【0060】
また、この昇降対象Hの昇降方法を行う前提については、準備工程時において、昇降対象H(具体的には、昇降対象Hの下側部分及び上側部分)が設置対象4に対して固定具によって着脱自在に接続されているものとして説明すると共に、また、各工程の作業が作業者Mによって行われるものとして説明する。
【0061】
(昇降対象の昇降方法-準備工程)
最初に、準備工程について説明する。
【0062】
準備工程は、昇降対象Hを昇降させるための準備を行うための工程である。
【0063】
具体的には、図2(a)に示すように、図示しない落下物(例えば、ボルト、ナット等)の防止するための安全ネット60(例えば、垂直ネット)を設置対象4における昇降対象Hから昇降対象Hよりも下側位置に至る範囲に少なくとも1つ以上設置する(図2(a)では、上下方向に略沿って2つ並設している)。また、昇降対象Hの足場部H2と、安全ネット60の下端部との清掃が行われているか否かを確認し、必要に応じて当該清掃を行う。
【0064】
(昇降対象の昇降方法-取付工程)
次に、取付工程について説明する。
【0065】
取付工程は、準備工程の後に、一対のガイドローラ20を設置対象4に取り付ける工程である。
【0066】
具体的には、図2(b)に示すように、まず、所定方法により設置対象4の上端に次節の柱体2aが設けられた後に、一対のガイドローラ20を設置対象4において上下方向に略沿って間隔を隔てて並設する。次いで、下側ガイドローラ21を、設置対象4の所定の階層に対応する部分に対して固定具によって接続すると共に、上側ガイドローラ22を、設置対象4の所定の階層よりも上側の階層に対応する部分に対して固定具によって接続することにより、一対のガイドローラ20を設置対象4に取り付ける。この場合には、一対のガイドローラ20の拘束状態を第3拘束状態に設定することにより、吊り工程時において上記昇降対象Hが水平方向にふらつくことを抑制できる。
【0067】
次いで、昇降対象Hを昇降させる際に、昇降対象Hの足場部H2と設置対象4とが接触しない位置(例えば、設置対象4よりも前側の位置)まで、当該足場部H2を旋回移動させる。また、安全ネット60を開放させることにより、安全ネット60を機能可能な状態に設定する。
【0068】
(昇降対象の昇降方法-吊り工程)
次に、吊り工程について説明する。
【0069】
吊り工程は、取付工程の後に、昇降対象Hを吊り状態にするための工程である。
【0070】
具体的には、図3(c)に示すように、まず、吊り部30のフック部31と昇降対象Hに取り付けられた吊り金具とを第1ワイヤー32を介して接続する(いわゆる、玉掛けを行う)。次いで、昇降対象Hと設置対象4とを接続している固定具を取り外すことで昇降対象Hの自重を吊り部30で支持することにより、吊り状態にする。なお、上記固定具を取り外す方法については任意であるが、例えば、昇降対象Hの揺れを抑制する観点から、昇降対象Hの下側部分に位置する上記固定具を取り付けた状態で、昇降対象Hの上側部分に位置する上記固定具を取り外し、その後昇降対象Hの下側部分に位置する上記固定具を取り外すことが好ましい。
【0071】
(昇降対象の昇降方法-第1水平移動工程)
次に、第1水平移動工程について説明する。
【0072】
第1水平移動工程は、吊り工程の後に、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4から離れるように水平移動させる工程である。
【0073】
具体的には、図3(d)に示すように、まず、一対のガイドローラ20の拘束状態を第3拘束状態から第1拘束状態に切り替えた後に、第1水平移動部40を用いて下側ガイドローラ21を左側に押し出すことにより、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4から離れるように水平移動させる。次いで、所定位置まで上記昇降対象Hの水平移動を行った後に、図示しない制限手段(例えば、位置決め用ボルト)を用いて、一対のガイドローラ20の移動(図3(d)では、左右方向の移動、前後方向の移動、及び上下方向の移動)を制限する。
【0074】
(昇降対象の昇降方法-昇降工程)
次に、昇降工程について説明する。
【0075】
昇降工程は、第1水平移動工程の後に、昇降対象Hを昇降させる工程である。
【0076】
具体的には、図4(e)に示すように、まず、一対のガイドローラ20の拘束状態を第1拘束状態から第4拘束状態に切り替えた後に(又は、一対のガイドローラ20の拘束状態を第1拘束状態に維持したまま)、吊り部30によって昇降対象Hを所定位置まで上昇させる。次いで、昇降対象Hの足場部H2を取付工程が行われる前の位置(例えば、設置対象4よりも右側の位置)まで旋回移動させる(なお、一部の足場部H2の旋回移動については、第2水平移動工程時に行ってもよい)。
【0077】
(昇降対象の昇降方法-第2水平移動工程)
次に、第2水平移動工程について説明する。
【0078】
第2水平移動工程は、昇降工程の後に、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4に近づけるように水平移動させる工程である。
【0079】
具体的には、まず、制限手段を一対のガイドローラ20から取り外す。次いで、図4(f)に示すように、一対のガイドローラ20の拘束状態を第4拘束状態(又は第1拘束状態)から第2拘束状態に切り替えた後に、第2水平移動部50を用いて上側ガイドローラ22を右側に引き込むことにより、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4に近づけるように水平移動させる。
【0080】
なお、例えば、所定位置まで上記昇降対象Hの水平移動を行った後に、一対のガイドローラ20の拘束状態を第2拘束状態から第3拘束状態に切り替えることにより、接続工程時において上記昇降対象Hが水平方向にふらつくことを抑制してもよいが、当該一対のガイドローラ20の拘束状態の切り替えを行うことなく、接続工程を行ってもよい。
【0081】
(昇降対象の昇降方法-接続工程)
続いて、接続工程について説明する。
【0082】
接続工程は、第2水平移動工程の後に、昇降対象Hと設置対象4とを接続する工程である。
【0083】
具体的には、図5(g)に示すように、設置対象4の部分のうち、吊り工程側が行われる前に昇降対象Hが接続されていた部分とは異なる部分(図5(g)では、第2水平移動工程後の昇降対象Hの高さ位置と略対応する部分)に対して、昇降対象Hを固定具によって着脱自在に接続することにより、昇降対象Hと設置対象4とを接続する。なお、上記固定具を接続方法については任意であるが、例えば、昇降対象Hの下側部分に位置する上記固定具を接続した後に、昇降対象Hの上側部分に位置する上記固定具を接続することが好ましい。
【0084】
その後、各種の撤去作業(例えば、一対のガイドローラ20を設置対象4から取り外すこと、吊り部30のフック部31と昇降対象Hとの接続を解除すること、安全ネット60を取り外すこと等)を実行する。
【0085】
以上のような昇降方法により、昇降対象Hの昇降作業中及び水平移動作業中において昇降対象Hと設置対象4又はその周辺部材(例えば、梁材3、床材、壁材等)との接触を回避でき、昇降対象Hの昇降作業及び水平移動作業の安全性を高めることが可能となる。
【0086】
なお、昇降対象Hをさらに高い位置まで上昇させる場合には、準備工程から接続工程までの一連の工程を複数回繰り返してもよい。この場合において、2回目以降の上記一連の工程において、1回目の上記一連の工程で用いた一対のガイドローラ20を再び用いる場合には、ガイド昇降部によって第2ワイヤーを介して一対のガイドローラ20を上昇させることにより、一対のガイドローラ20の盛替え作業を行ってもよい。
【0087】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、設置対象4において上下方向に略沿って間隔を隔てて並設される一対のガイドローラ20であって、昇降対象Hに対する拘束の維持及び開放を切り替え可能な一対のガイドローラ20と、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを昇降させる吊り部30と、昇降対象Hを昇降させる前に、吊り状態において、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4から離れるように水平移動させる第1水平移動部40と、昇降対象Hを昇降させた後に、吊り状態において、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4に近づけるように水平移動させる第2水平移動部50と、を備えるので、昇降対象Hの昇降作業中及び水平移動作業中において昇降対象Hと設置対象4又はその周辺部材との接触を回避でき、昇降対象Hの昇降作業及び水平移動作業の安全性を高めることが可能となる。
【0088】
また、第1水平移動部40が、第1拘束状態において、一対のガイドローラ20のいずれか他方を設置対象4側とは反対側に押し出すことにより、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4から離れるように水平移動させるので、昇降対象Hの水平移動作業を簡易且つ安全に行うことができ、第1水平移動部40の使用性を高めることができる。
【0089】
また、第2水平移動部50が、第2拘束状態において、一対のガイドローラ20のいずれか一方を設置対象4側に引き込むことにより、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4に近づけるように水平移動させるので、昇降対象Hの水平移動作業を簡易且つ安全に行うことができ、第2水平移動部50の使用性を高めることができる。
【0090】
また、一対のガイドローラ20を第2ワイヤーを介して昇降させるガイド昇降部を備えるので、一対のガイドローラ20の昇降を効率的に行うことができ、昇降対象Hの昇降作業及び水平移動作業の作業性を高めることができる。
【0091】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0092】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0093】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0094】
(昇降システムについて)
上記実施の形態では、昇降システム10が、ガイド昇降部を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、ガイド昇降部を省略してもよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、昇降システム10が、一組の一対のガイドローラ20を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、準備工程から接続工程までの一連の工程を複数回行うことで昇降対象Hを昇降する場合に、2回目以降の上記一連の工程を行う際に、1回目の昇降方法で用いた一対のガイドローラ20とは異なる一対のガイドローラ20を用いる場合には、複数組の一対のガイドローラ20を備えてもよい。この場合には、一対のガイドローラ20の盛替え作業を省略できる。
【0096】
(昇降方法について)
上記実施の形態では、準備工程を行うと説明したが、これに限らず、例えば、準備工程を省略してもよい。
【0097】
また、上記実施の形態では、昇降方法を用いて昇降対象Hを上昇させると説明したが、これに限らず、例えば、昇降方法を用いて昇降対象Hを下降させてもよい。この場合には、昇降工程において、吊り部30によって昇降対象Hを所定位置まで下降させる。また、準備工程から接続工程までの一連の工程を複数回行う場合には、ガイド昇降部によって第2ワイヤーを介して一対のガイドローラ20を下降させてもよい。
【0098】
また、上記実施の形態では、第1水平移動工程において、上側ガイドローラ22による昇降対象Hに対する拘束を開放し、且つ下側ガイドローラ21による昇降対象Hに対する拘束を維持した第1拘束状態で、第1水平移動部40を用いて下側ガイドローラ21を左側に押し出すことにより、一対のガイドローラを介して昇降対象Hを設置対象4から離れるように水平移動させると説明したが、これに限られない。例えば、下側ガイドローラ21による昇降対象Hに対する拘束を開放し、且つ上側ガイドローラ22による昇降対象Hに対する拘束を維持した第1拘束状態で、第1水平移動部40を用いて上側ガイドローラ22を左側に押し出すことにより、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4から離れるように水平移動させてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態では、第2水平移動工程において、上側ガイドローラ22による昇降対象Hに対する拘束を維持し、且つ下側ガイドローラ21による昇降対象Hに対する拘束を開放した第2拘束状態で、第2水平移動部50を用いて上側ガイドローラ22を右側に引き込むことにより、一対のガイドローラを介して昇降対象Hを設置対象4に近づけるように水平移動させると説明したが、これに限られない。例えば、下側ガイドローラ21による昇降対象Hに対する拘束を維持し、且つ上側ガイドローラ22による昇降対象Hに対する拘束を開放した第2拘束状態で、第2水平移動部50を用いて下側ガイドローラ21を右側に引き込むことにより、一対のガイドローラ20を介して昇降対象Hを設置対象4に近づけるように水平移動させてもよい。
【0100】
(付記)
付記1の昇降システムは、昇降対象を昇降させる昇降システムであって、設置対象において上下方向に略沿って間隔を隔てて並設される一対のガイドローラであって、前記昇降対象に対する拘束の維持及び開放を切り替え可能な一対のガイドローラと、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を昇降させる吊り手段と、前記昇降対象を昇降させる前に、前記吊り手段で前記昇降対象を吊るした吊り状態において、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象から離れるように水平移動させる第1水平移動手段と、前記昇降対象を昇降させた後に、前記吊り状態において、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象に近づけるように水平移動させる第2水平移動手段と、を備える。
【0101】
付記2の昇降システムは、付記1に記載の昇降システムにおいて、前記第1水平移動手段は、前記一対のガイドローラのいずれか一方による前記昇降対象に対する拘束を開放し、且つ前記一対のガイドローラのいずれか他方による前記昇降対象に対する拘束を維持した状態である第1拘束状態において、前記一対のガイドローラのいずれか他方を前記設置対象側とは反対側に押し出すことにより、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象から離れるように水平移動させる。
【0102】
付記3の昇降システムは、付記1又は2に記載の昇降システムにおいて、前記第2水平移動手段は、前記一対のガイドローラのいずれか一方による前記昇降対象に対する拘束を維持し、且つ前記一対のガイドローラのいずれか他方による前記昇降対象に対する拘束を開放した状態である第2拘束状態において、前記一対のガイドローラのいずれか一方を前記設置対象側に引き込むことにより、前記一対のガイドローラを介して前記昇降対象を前記設置対象に近づけるように水平移動させる。
【0103】
付記4の昇降システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の昇降システムにおいて、前記一対のガイドローラをワイヤーを介して昇降させるガイド昇降手段を備える。
【0104】
(付記の効果)
付記1に記載の昇降システムによれば、設置対象において上下方向に略沿って間隔を隔てて並設される一対のガイドローラであって、昇降対象に対する拘束の維持及び開放を切り替え可能な一対のガイドローラと、一対のガイドローラを介して昇降対象を昇降させる吊り手段と、昇降対象を昇降させる前に、吊り状態において、一対のガイドローラを介して昇降対象を設置対象から離れるように水平移動させる第1水平移動手段と、昇降対象を昇降させた後に、吊り状態において、一対のガイドローラを介して昇降対象を設置対象に近づけるように水平移動させる第2水平移動手段と、を備えるので、昇降対象の昇降作業中及び水平移動作業中において昇降対象と設置対象又はその周辺部材との接触を回避でき、昇降対象の昇降作業及び水平移動作業の安全性を高めることが可能となる。
【0105】
付記2に記載の昇降システムによれば、第1水平移動手段が、第1拘束状態において、一対のガイドローラのいずれか他方を設置対象側とは反対側に押し出すことにより、一対のガイドローラを介して昇降対象を設置対象から離れるように水平移動させるので、昇降対象の水平移動作業を簡易且つ安全に行うことができ、第1水平移動手段の使用性を高めることができる。
【0106】
付記3に記載の昇降システムによれば、第2水平移動手段が、第2拘束状態において、一対のガイドローラのいずれか一方を設置対象側に引き込むことにより、一対のガイドローラを介して昇降対象を設置対象に近づけるように水平移動させるので、昇降対象の水平移動作業を簡易且つ安全に行うことができ、第2水平移動手段の使用性を高めることができる。
【0107】
付記4に記載の昇降システムによれば、一対のガイドローラをワイヤーを介して昇降させるガイド昇降手段を備えるので、一対のガイドローラの昇降を効率的に行うことができ、昇降対象の昇降作業及び水平移動作業の作業性を高めることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 構造物
2 柱材
2a 柱体
3 梁材
4 設置対象
10 昇降システム
20 ガイドローラ
21 下側ガイドローラ
22 上側ガイドローラ
30 吊り部
31 フック部
32 第1ワイヤー
40 第1水平移動部
50 第2水平移動部
60 安全ネット
H 昇降対象
H1 フレーム本体
H2 足場部
M 作業者
図1
図2
図3
図4
図5