IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工マリンマシナリ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ラジアルタービン 図1
  • 特許-ラジアルタービン 図2
  • 特許-ラジアルタービン 図3
  • 特許-ラジアルタービン 図4
  • 特許-ラジアルタービン 図5
  • 特許-ラジアルタービン 図6
  • 特許-ラジアルタービン 図7
  • 特許-ラジアルタービン 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ラジアルタービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20241001BHJP
   F01D 1/08 20060101ALI20241001BHJP
   F02B 37/24 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
F01D9/02 101
F01D1/08
F02B37/24
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021055900
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152935
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】518131296
【氏名又は名称】三菱重工マリンマシナリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】磯田 北斗
(72)【発明者】
【氏名】平谷 文人
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-194092(JP,A)
【文献】特開平11-229815(JP,A)
【文献】国際公開第2018/084154(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00-11/24、17/00-21/20
F02B 33/00-41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンホイールの外周に複数のノズルベーンを備えたラジアルタービンであって、
前記複数のノズルベーンの間に設けられるスロートのスロート幅は、前記ノズルベーンの翼高さ方向で変化し、前記翼高さ方向においてハブ側端部とチップ側端部との間で最小とな
前記ハブ側端部よりも前記チップ側端部において前記スロート幅が狭い、
ラジアルタービン。
【請求項2】
前記スロート幅は、前記翼高さ方向において前記ハブ側端部から前記チップ側端部に向けて25%以上75%以下の高さで最小となる、
請求項1に記載のラジアルタービン。
【請求項3】
前記複数のノズルベーンの各々は、前記翼高さ方向において同一の翼断面形状を有し、前記タービンホイールの中心と前記ノズルベーンの後縁を結ぶ直線と前記ノズルベーンの前縁と後縁とを結ぶ直線とに挟まれた角度が前記翼高さ方向において変化する、
請求項1又は2に記載のラジアルタービン。
【請求項4】
前記複数のノズルベーンの各々は、前記翼高さ方向において同一の翼断面形状を有し、前記タービンホイールの中心と前記ノズルベーンの重心を結ぶ直線と前記ノズルベーンの前縁と重心とを結ぶ直線とに挟まれた角度が前記翼高さ方向において変化する、
請求項1又は2に記載のラジアルタービン。
【請求項5】
前記複数のノズルベーンの各々は、前記翼高さ方向において相似形の翼断面形状を有する、
請求項1又は2に記載のラジアルタービン。
【請求項6】
前記スロート幅は、ハブ側端部においてスロート幅の平均値対比130%以上170%以下である、
請求項1からいずれか一項に記載のラジアルタービン。
【請求項7】
タービンホイールの外周に複数のノズルベーンを備えたラジアルタービンであって、
前記複数のノズルベーンの間に設けられるスロートのスロート幅は、前記ノズルベーンの翼高さ方向で変化し、前記翼高さ方向においてハブ側端部とチップ側端部との間で最小となり、
前記複数のノズルベーンの各々は、前記翼高さ方向において同一の翼断面形状を有し、前記翼高さ方向においてノズルベーンの後縁の位置が一定であって、前記タービンホイールの中心と前記ノズルベーンの後縁を結ぶ直線と前記ノズルベーンの前縁と後縁とを結ぶ直線とに挟まれた角度が前記翼高さ方向において変化する、
ラジアルタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラジアルタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンホイールの外周に複数のノズルベーンを備えたラジアルタービンが広く知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/116395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1が示す従来の構成においてノズルベーンの後縁から発生するウェークの周波数とタービンホイールに設けられた動翼の振動モードの固有振動数が共振すると、過大な振動応力が生じノズルベーンが破断する虞がある。
【0005】
本開示は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、タービンホイールに設けられた動翼の前縁側が振れる振動モードにおいて振動応力を抑制できるラジアルタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るラジアルタービンは、
タービンホイールの外周に複数のノズルベーンを備えたラジアルタービンであって、
前記複数のノズルベーンの間に設けられるスロートのスロート幅は、前記ノズルベーンの翼高さ方向で変化し、前記ノズルベーンの翼高さ方向においてハブ側端部とチップ側端部との間で最小となる。
【発明の効果】
【0007】
本開示のラジアルタービンによれば、動翼前縁側が振れる振動モードの場合に振動応力を小さくできる。また、ミーン翼高さの反動度を犠牲にハブ側端部とチップ側端部の反動度を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るラジアルタービンを概略的に示す図である。
図2】実施形態に係る複数のノズルベーンと該複数のノズルベーンの間に設けられるスロートを示す図である。
図3】実施形態1に係る複数のノズルベーンと該複数のノズルベーンの間に設けられるスロートを概略的に示す図である。
図4図3に示した複数のノズルベーンの翼高さ位置とスロート幅との関係を示す図である。
図5図3に示した複数のノズルベーンの安全率を示す図である。
図6図3に示した複数のノズルベーンのタービン出口における効率を示す図である。
図7】実施形態2に係るノズルベーンを概略的に示す図である。
図8】実施形態3に係るノズルベーンを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の実施の形態によるラジアルタービンについて説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0010】
図1は、実施形態に係るラジアルタービン1を概略的に示す図である。
実施形態に係るラジアルタービン1は、例えば、舶用エンジンに搭載されるターボチャージャを構成するラジアルタービンであって、タービンホイール3はコンプレッサのインペラ(図示せず)と駆動軸(タービンロータ)(図示せず)によって相互に連結され、タービンホイール3は、例えば、舶用エンジンから排出された排気ガスによって回転させられ、これにより、駆動軸を介してコンプレッサのインペラが回転させられる。そして、コンプレッサのインペラの回転によって、舶用エンジンに供給される吸気が圧縮される。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係るラジアルタービン1は、タービンホイール3と、複数のノズルベーン5と、を備えている。
タービンホイール3は、ハブ(図示せず)と複数の翼33(動翼33)とからなる。ハブは、軸線の周りに回転対称な形状を有する。軸線に沿う方向において、ハブの一端側はディフューザ側に位置し、ハブの他端側は排気の入口側に位置している。ハブの外周面は、一端側から他端側に向かって漸次直径が拡大するラッパ形状を有している。複数の翼33(動翼33)は、ハブの外周面に一体に取り付けられ、ハブの周方向に間隔をもって配列されている。
複数のノズルベーン5は、タービンホイール3の外周に等間隔に設けられ、タービンホイール3の径方向外側から内側に向けてタービンホイール3の径方向に対して斜めに傾いた状態で設置されている。
【0012】
図2は、複数のノズルベーン5と該複数のノズルベーン5間に設けられるスロート7を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る複数のノズルベーン5では、複数のノズルベーン5の間に設けられるスロート7のスロート幅は、ノズルベーン5の翼高さ方向、ハブ側端部(基端部)53とチップ側端部(先端部)55との間で変化し、翼高さ方向においてハブ側端部53とチップ側端部55との間で最小となる。よって、スロート幅は、翼高さ方向において、ハブ側端部53からチップ側端部55に向けてスロート幅が最小となった後にスロート幅が広がる。
【0013】
このような構成によれば、翼高さ方向においてスロート幅が変化するので、ノズルベーン5の後縁から発生するウェークの強弱が変化するため、タービンホイール3に設けられた動翼33の前縁側が振れる振動モードの場合に振動応力を小さくできる。また、翼高さ方向においてハブ側端部53とチップ側端部55との間でスロート幅が最小となるので、ミーン翼高さの反動度を犠牲にハブ側端部53とチップ側端部55の反動度を大きくできる。
【0014】
図2に示すように、実施形態に係る複数のノズルベーン5では、ハブ側端部53よりもチップ側端部55においてスロート幅が狭い(Wh>Wt)。
【0015】
非定常CFD(Computational Fluid Dynamics)と振動応答解析において、ハブ側端部53よりもチップ側端部55においてスロート幅が広いと、タービン効率が低下した。よって、ハブ側端部53よりもチップ側端部55においてスロート幅が狭いと、タービン効率の低下を抑制できる。
【0016】
実施形態に係る複数のノズルベーン5では、スロート幅は、翼高さ方向においてハブ側端部53からチップ側端部55に向けて25%以上75%以下の高さで最小となる。例えば、図2に示す例では、翼高さ方向においてハブ側端部53からチップ側端部55に向けて50%の高さ(翼高さ方向中間部57の高さ)でスロート幅(Wm)が最小となる。
【0017】
このような構成によれば、スロート幅は、翼高さ方向においてハブ側端部53からチップ側端部55に向けて25%以上75%以下の高さでタービン反動度を小さくできる。そして、上述したように、図2に示す例では、翼高さ方向においてハブ側端部53からチップ側端部55に向けて50%の高さでタービン反動度を小さくできる。
【0018】
[実施形態1]
図3は、実施形態1に係る複数のノズルベーン5Aと該複数のノズルベーン5Aの間に設けられるスロート7Aを概略的に示す図である。図4は、図3に示した複数のノズルベーン5Aの翼高さ位置とスロート幅との関係を示す図である。
【0019】
図3に示すように、実施形態1に係る複数のノズルベーン5Aでは、複数のノズルベーン5Aの各々は、翼高さ方向において同一の翼断面形状を有する。そして、タービンホイール3の中心とノズルベーン5Aの後縁を結ぶ直線CTとノズルベーン5Aの前縁と後縁とを結ぶ直線LT(コードライン)とに挟まれた角度が翼高さ方向において変化する。よって、実施形態1に係る複数のノズルベーン5Aでは、タービンホイール3とノズルベーン5Aの後縁を結ぶ直線CTとノズルベーン5Aの前縁と後縁とを結ぶ直線LT(コードライン)とに挟まれた角度αが翼高さ方向において変化することで、翼高さ方向においてスロート幅が変化し、翼高さ方向においてハブ側端部53Aとチップ側端部55Aとの間で最小となる。
【0020】
このような構成によれば、ノズルベーン5Aの後縁とタービンホイール3に設けられた動翼33の前縁との距離を一定に保つことができるので、翼振動応力の増加を抑制できる。
【0021】
実施形態1に係る複数のノズルベーン5Aでは、スロート幅は、ハブ側端部53Aにおいてスロート幅の平均値対比130%以上170%以下である。
翼高さ方向においてスロート幅が変化する場合において、スロート幅が広い部分では局所的にタービン反動度が増加する。タービン反動度が増加すると、ノズルベーン5Aのウェークと主流の流速差が小さくなるため、タービンホイール3に設けられた動翼33が受ける静圧変動も小さくなり、翼振動応力が低減する。特にスロート幅をスロート幅の平均値対比130%以上にするとその効果が現れる。また、翼高さ方向においてスロート幅が変化する場合において、流量を変化させないために、一部でスロート幅を拡げると他部でスロート幅を狭くしてスロート面積を不変とする必要がある。このように、一部でスロート幅を拡げ他部でスロート幅を狭くするとノズルベーン5Aの出口(動翼33の入口)において翼高さ方向に流速分布が生じる。流速分布が極端になると、圧力損失の要因となり、タービン効率が低下する。タービン効率低下の許容値を超え始めるのは、スロート幅がスロート幅の平均値対比170%を超える場合である。
よって、上述したように、実施形態1に係る複数のノズルベーン5Aでは、スロート幅は、ハブ側端部53Aにおいてスロート幅の平均値対比130%以上170%以下に制限される。
【0022】
このような構成によれば、ハブ側端部53Aにおいてスロート幅がスロート幅の平均値対比130%以上となるので、ハブ側端部53Aにおいて局所的にタービン反動度が増加する。タービン反動度が大きくなると、ノズルベーン5Aのウェークと主流の流速差が小さくなるため、タービンホイール3に設けられた動翼33が受ける静圧変動も小さくなり翼振動応力を小さくできる。また、ハブ側端部53Aにおいてスロート幅の平均値対比170%以下となるので、ノズルベーン5Aの出口(動翼33の入口)における流速分布が抑制され、タービン効率の低下も抑制される。
【0023】
実施形態1に係る複数のノズルベーン5Aでは、スロート幅は、チップ側端部55Aにおいてスロート幅の平均値対比130%以上170%以下である。
チップ側端部55Aにおいてスロート幅を制限するのは、上述したハブ側端部53Aにおいてスロート幅を制限するのと同様の理由である。
よって、実施形態1に係る複数のノズルベーン5Aでは、スロート幅は、チップ側端部55Aにおいてスロート幅の平均値対比130%以上170%以下に制限される。
【0024】
このような構成によれば、チップ側端部55Aにおいてスロート幅がスロート幅の平均値対比130%以上となるので、チップ側端部55Aにおいて局所的にタービン反動度が増加する。タービン反動度が大きくなると、ノズルベーン5Aのウェークと主流の流速差が小さくなるため、タービンホイール3に設けられた動翼33が受ける静圧変動も小さくなり翼振動応力を小さくできる。また、チップ側端部55Aにおいてスロート幅の平均値対比170%以下となるので、ノズルベーン5Aの出口(動翼33の入口)における流速分布が抑制され、タービン効率の低下も抑制される。
【0025】
図3に示す複数のノズルベーン5Aでは、複数のノズルベーン5Aの各々は、翼高さ方向において同一の翼断面形状を有し、タービンの中心とノズルベーン5Aの後縁を結ぶ直線CTとノズルベーン5Aの前縁と後縁とを結ぶ直線LT(コードライン)とに挟まれた角度αが翼高さ方向で変化し、翼高さ方向ハブ側端部53Aからチップ側端部55Aに向けて50%の高さ(翼高さ方向中間部57Aの高さ)でスロート幅(Wm)が最小となる。また、ハブ側端部53Aにおけるスロート幅(Wh)は、スロート幅の平均値対比170%であり、チップ側端部55Aにおけるスロート幅(Wt)は、スロート幅の平均値対比140%である(図4参照)。
【0026】
尚、図4には、図3に示した複数のノズルベーン5Aと比較対象となるノズルベーン5Aのスロート幅を示す。一つは、スロート幅が一定となるノズルベーンのスロート幅であり、もう一つは、ハブ側端部でスロート幅がスロート幅の平均値対比120%となり、チップ側端部でスロート幅がスロート幅の平均値対比80%となるノズルベーンのスロート幅である(図4において「ハブ+20%」と示す)。
【0027】
図5は、図3に示した複数のノズルベーン5Aの安全率を示す図であり、図6は、図3に示した複数のノズルベーン5Aのディフューザ出口における効率を示す図である。尚、図5に示す振動モードは、ハブ側端部53とチップ側端部55とにおいて応力が大きくなる振動モードである。
【0028】
図5に示すように、ハブ側端部53とチップ側端部55とにおいて応力が大きくなる振動モードでは、図3に示した複数のノズルベーン5Aの安全率が、スロート幅が一定となる複数のノズルベーン、及びハブ側端部におけるスロート幅がスロート幅の平均値対比120%となる複数のノズルベーンを上回る。よって、図3に示した複数のノズルベーン5Aは、スロート幅が一定となる複数のノズルベーン、及びハブ側端部におけるスロート幅がスロート幅の平均値対比120%となる複数のノズルベーンよりも振動応力に対する許容度が高まり、翼が破断する虞を低減できる。
【0029】
図6に示すように、図3に示した複数のノズルベーン5Aのディフューザ出口における効率は、低負荷(タービン圧力比:低)ではスロット幅が一定となる複数のノズルベーンとよりも低下したが、定格点(高負荷(タービン圧力比:高))ではスロット幅が一定となる複数のノズルベーンと同等である。よって、図3に示した複数のノズルベーン5Aはラジアルタービン1が定格運転する場合において性能(効率)が確保される。
【0030】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係るノズルベーン5Bを概略的に示す図である。
図7に示すように、実施形態2に係る複数のノズルベーン5Bでは、複数のノズルベーン5Bの各々は、翼高さ方向において同一の翼断面形状を有する。そして、タービンホイール3の中心とノズルベーン5Bの重心Gを結ぶ直線CGとノズルベーン5Bの前縁と重心Gとを結ぶ直線LGとに挟まれた角度βが翼高さ方向において変化する。よって、実施形態2に係る複数のノズルベーン5Bでは、タービンホイール3の中心とノズルベーン5Bの重心Gを結ぶ直線CGとノズルベーン5Bの前縁と重心Gとを結ぶ直線LGとに挟まれた角度βが翼高さ方向において変化することで、翼高さ方向においてスロート幅が変化し、翼高さ方向においてハブ側端部53Bとチップ側端部55Bとの間でスロート幅が最小となる。
【0031】
図7に示すノズルベーン5Bは、翼高さ方向において同一の断面形状を有し、タービンの中心とノズルベーン5Bの重心Gとを結ぶ直線CGとノズルベーン5Bの前縁と重心Gとを結ぶ直線LGに挟まれた角度が翼高さ方向で変化し、翼高さ方向においてハブ側端部53Bからチップ側端部55Bに向けて50%の高さ(翼高さ方向中間部57Bの高さ)でスロート幅が最小となる。また、ハブ側端部53Bにおけるスロート幅は、スロート幅の平均値対比130%以上170%以下(例えば、170%)であり、チップ側端部55Bにおけるスロート幅は、スロート幅の平均値対比130%以上170%以下(例えば、140%)である。
【0032】
このような構成によれば、タービンホイール3の中心とノズルベーン5Bの重心Gを結ぶ直線CGとノズルベーン5Bの前縁と重心Gとを結ぶ直線LGとに挟まれた角度が翼高さ方向において変化することでスロート幅が変化するので、ノズルベーン5Bの重心Gを回転中心にした可変翼に適用容易である。
【0033】
[実施形態3]
図8は、実施形態3に係るノズルベーン5Cを概略的に示す図である。
図8に示すように、実施形態3に係る複数のノズルベーン5Cでは、複数のノズルベーン5Cの各々は、翼高さ方向において相似形の翼断面形状を有する。よって、実施形態3に係る複数のノズルベーン5Cでは、翼高さ方向において相似形の翼断面形状によって翼断面積が変化することで、翼高さ方向においてスロート幅が変化し、翼高さ方向においてハブ側端部53Cとチップ側端部55Cとの間でスロート幅が最小となる。
【0034】
図8に示すノズルベーン5Cは、翼高さ方向において相似形の翼断面形状を有し、翼高さ方向において相似形の翼断面形状によって翼断面積が変化することで、翼高さ方向でスロート幅が変化し、翼高さ方向においてハブ側端部53Cからチップ側端部55Cに向けて50%の高さ(翼高さ方向中間部57Cの高さ)でスロート幅が最小となる。また、また、ハブ側端部53Cにおけるスロート幅は、スロート幅の平均値対比130%以上170%以下(例えば、170%)であり、チップ側端部55Cにおけるスロート幅は、スロート幅の平均値対比130%以上170%以下(例えば、140%)である。
【0035】
このような構成によれば、相似形の翼断面形状によって、翼高さ方向においてスロート幅が変化する。
【0036】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0037】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば、以下のように把握される。
【0038】
[1]の態様に係るラジアルタービン(1)は、
タービンホイール(3)の外周に複数のノズルベーン(5)を備えたラジアルタービンであって、
前記複数のノズルベーン(5)の間に設けられるスロートのスロート幅は、前記ノズルベーン(5)の翼高さ方向で変化し、前記翼高さ方向においてハブ側端部(53)とチップ側端部(55)との間で最小となる。
【0039】
このような構成によれば、翼高さ方向においてスロート幅が変化するので、ノズルベーン(5)の後縁から発生するウェークの強弱が変化するため、タービンホイール(3)に設けられた動翼(33)の前縁側が振れる振動モードの場合に振動応力を小さくできる。また、翼高さ方向においてハブ側端部(53)とチップ側端部(55)との間でスロート幅が最小となるので、ミーン翼高さの反動度を犠牲にハブ側端部(53)とチップ側端部(55)の反動度を大きくできる。
【0040】
[2]別の態様に係るラジアルタービン(1)は、[1]に記載のラジアルタービン(1)であって、
前記ハブ側端部(53)よりも前記チップ側端部(55)において前記スロート幅が狭い。
【0041】
非定常CFDと振動応答解析において、ハブ側端部(53)よりもチップ側端部(55)においてスロート幅が広いと、タービン効率が低下した。よって、ハブ側端部(53)よりもチップ側端部(55)においてスロート幅が狭いと、タービン効率の低下を抑制できる。
【0042】
[3]別の態様に係るラジアルタービン(1)は、[1]又は[2]に記載のラジアルタービン(1)であって、
前記スロート幅は、前記翼高さ方向において前記ハブ側端部(53)から前記チップ側端部(55)に向けて25%以上75%以下の高さで最小となる。
【0043】
このような構成によれば、ノズルベーン(5)の翼高さ方向においてハブ側端部(53)からチップ側端部(55)に向けて25%以上75%以下の高さでタービン反動度が小さくできる。
【0044】
[4]別の態様に係るラジアルタービン(1A)は、[1]から[3]のいずれか一つに記載のラジアルタービン(1)であって、
前記複数のノズルベーン(5A)の各々は、前記翼高さ方向において同一の翼断面形状を有し、前記タービンホイール(3)の中心と前記ノズルベーン(5A)の後縁を結ぶ直線(CT)と前記ノズルベーン(5A)の前縁と後縁とを結ぶ直線(LT)(コードライン)とに挟まれた角度が前記翼高さ方向において変化する。
【0045】
このような構成によれば、ノズルベーン(5A)の後縁とタービンホイール(3)に設けられた動翼(33)の前縁との距離を一定に保つことができるので、翼振動応力の増加を抑制できる。
【0046】
[5]別の態様に係るラジアルタービン(1B)は、[1]から[3]のいずれか一つに記載のラジアルタービン(1)であって、
前記複数のノズルベーン(5B)の各々は、前記翼高さ方向において同一の翼断面形状を有し、前記タービンホイール(3)の中心と前記ノズルベーン(5B)の重心(G)を結ぶ直線(CG)と前記ノズルベーン(5B)の前縁と重心(G)とを結ぶ直線(LG)とに挟まれた角度が前記翼高さ方向において変化する。
【0047】
このような構成によれば、タービンホイール(3)の中心とノズルベーン(5B)の重心(G)を結ぶ直線(CG)とノズルベーン(5B)の前縁と重心(G)とを結ぶ直線(LG)とに挟まれた角度が翼高さ方向において変化することでスロート幅が変化するので、ノズルベーン(5B)の重心(G)を回転中心にした可変翼に適用容易である。
【0048】
[6]別の態様に係るラジアルタービン(1C)は、[1]から[3]のいずれか一つに記載のラジアルタービン(1)であって、前記複数のノズルベーン(5C)の各々は、前記翼高さ方向において相似形の翼断面形状を有する。
【0049】
このような構成によれば、相似形の翼断面形状によって、翼高さ方向においてスロート幅が変化する。
【0050】
[7]別の態様に係るラジアルタービン(1)は、[1]から[6]のいずれか一つに記載のラジアルタービン(1)であって、
前記スロート幅は、ハブ側端部(53)においてスロート幅の平均値対比130%以上170%以下である。
【0051】
このような構成によれば、ハブ側端部(53)においてスロート幅がスロート幅の平均値対比130%以上となるので、ハブ側端部(53)において局所的にタービン反動度が増加する。タービン反動度が大きくなると、ノズルベーン(5)のウェークと主流の流速差が小さくなるため、タービンホイール(3)に設けられた動翼(33)が受ける静圧変動も小さくなり翼振動応力を小さくできる。また、ハブ側端部(53)においてスロート幅の平均値対比170%以下となるので、ノズルベーン(5)の出口(動翼(33)の入口)における流速分布が抑制され、タービン効率の低下も抑制される。
【0052】
[8]別の態様に係るラジアルタービン(1)は、[1]から[7]のいずれか一つに記載のラジアルタービン(1)であって、
前記スロート幅は、チップ側端部(55)においてスロート幅の平均値対比130%以上170%以下である。
【0053】
このような構成によれば、チップ側端部(55)においてスロート幅がスロート幅の平均値対比130%以上となるので、チップ側端部(55)において局所的にタービン反動度が増加する。タービン反動度が大きくなると、ノズルベーン(5)のウェークと主流の流速差が小さくなるため、タービンホイール(3)に設けられた動翼(33)が受ける静圧変動も小さくなり翼振動応力を小さくできる。また、チップ側端部(55)においてスロート幅の平均値対比170%以下となるので、ノズルベーン(5)の出口(動翼(33)の入口)における流速分布が抑制され、タービン効率の低下も抑制される。
【符号の説明】
【0054】
1,1A,1B,1C ラジアルタービン
3 タービンホイール
33 翼(動翼)
5,5A,5B,5C ノズルベーン
53,53A,53B,53C ハブ側端部
55,55A,55B,55C チップ側端部
57,57A,57B,57C 中間部
7,7A スロート
G ノズルベーンの重心
CT タービンホイールの中心とノズルベーンの後縁を結ぶ直線
LT ノズルベーンの前縁と後縁を結ぶ直線(コードライン)
CG タービンホイールの中心とノズルベーンの重心を結ぶ直線
LG ノズルベーンの前縁と重心を結ぶ直線
Wh ハブ側端部におけるスロート幅
Wt チップ側端部におけるスロート幅
Wm 翼高さ方向50%の高さにおけるスロート幅
α 直線CTと直線LTとに挟まれた角度
β 直線CGと直線LGとに挟まれた角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8