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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】磁気抵抗素子および製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 50/10 20230101AFI20241001BHJP
   H10N 50/01 20230101ALI20241001BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20241001BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H10N50/10 Z
H10N50/10 U
H10N50/10 M
H10N50/01
G01R33/09
G01R33/02 N
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021087703
(22)【出願日】2021-05-25
(65)【公開番号】P2021190710
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】63/030,092
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/317,675
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519383544
【氏名又は名称】アナログ・ディヴァイシス・インターナショナル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・キュービック
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】エンノ・ラージュ
(72)【発明者】
【氏名】オヌル・エヌ・ウルス
(72)【発明者】
【氏名】エムディ・タレクザマン
(72)【発明者】
【氏名】シアン・ピー・オー・ダレイグ
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-204010(JP,A)
【文献】特開2017-161524(JP,A)
【文献】国際公開第2011/064822(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 50/10
H10N 50/01
G01R 33/09
G01R 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の態様による磁気マルチターンセンサのための巨大磁気抵抗素子(GMR)であって、
基準層と、
前記基準層に隣接する非磁性層と、
強磁性材料よりなる自由層であって、前記非磁性層に隣接する強磁性材料の第1の層、ならびに第1の材料よりなる複数の層、および第2の材料よりなる複数の層を少なくとも含み、前記第1の材料が強磁性である、多層配置を含む自由層と、を備え、
前記第1の材料よりなる前記複数の層は第1の磁歪を有し、前記第2の材料よりなる前記複数の層は、前記自由層の磁歪を低減する第2の磁歪を有する、巨大磁気抵抗素子。
【請求項2】
前記第2の材料は、無視できるまたは略無視できる異方性磁気抵抗(AMR)効果を有する材料である、請求項1に記載の巨大磁気抵抗素子。
【請求項3】
前記第1の材料よりなる前記複数の層および前記第2の材料よりなる前記複数の層は、交互の構成で配置されている、請求項1に記載の巨大磁気抵抗素子。
【請求項4】
前記第1の材料は、NiFeおよびCoFeのうちの1つである、請求項1に記載の巨大磁気抵抗素子。
【請求項5】
前記第2の材料は、CoFeB、CoZrTa、CoZrTaB、CoZrNb、およびCoZrOのうちの1つである請求項1に記載の巨大磁気抵抗素子。
【請求項6】
前記第1の材料および前記第2の材料の厚さおよび/または組成は、前記自由層が磁歪を含まないように構成されている、請求項1に記載の巨大磁気抵抗素子。
【請求項7】
前記第1の材料の前記複数の層および前記第2の材料の前記複数の層の各々は、約0.5nm~約8nmの厚さを有する、請求項1に記載の巨大磁気抵抗素子。
【請求項8】
前記強磁性材料の第1の層は、外部印加された磁場と自由に整列する磁化を有する、請求項1に記載の巨大磁気抵抗素子。
【請求項9】
前記強磁性材料の第1の層はCoFeである、請求項1に記載の巨大磁気抵抗素子。
【請求項10】
前記基準層の少なくとも一部は、固定方向にある磁化を有する、請求項1に記載の巨大磁気抵抗素子。
【請求項11】
前記基準層は、人工反強磁性材料を定める一連の層を含み、前記人工反強磁性材料の層は、固定方向にある磁化を有する、請求項1に記載の巨大磁気抵抗素子。
【請求項12】
1つ以上の巨大磁気抵抗素子を備える磁気マルチターンセンサであって、各巨大磁気抵抗素子は、
基準層と、
前記基準層に隣接する非磁性層と、
強磁性材料よりなる自由層であって、前記非磁性層に隣接する強磁性材料の第1の層、ならびに第1の材料よりなる複数の層、および第2の材料よりなる複数の層を少なくとも含み、前記第1の材料が強磁性である、多層配置を含む自由層と、を備え、
前記第1の材料よりなる前記複数の層は第1の磁歪を有し、前記第2の材料よりなる前記複数の層は、前記自由層の磁歪を低減する第2の磁歪を有する、磁気マルチターンセンサ。
【請求項13】
前記第2の材料は、無視できるまたは略無視できる異方性磁気抵抗(AMR)効果を有する材料である、請求項12に記載の磁気マルチターンセンサ。
【請求項14】
前記第1の材料は、NiFeおよびCoFeのうちの1つである、請求項12に記載の磁気マルチターンセンサ。
【請求項15】
前記第2の材料は、CoFeB、CoZrTa、CoZrTaB、CoZrNb、およびCoZrOのうちの1つである、請求項12に記載の磁気マルチターンセンサ。
【請求項16】
巨大磁気抵抗素子の製造方法であって、
基準層を形成することと、
前記基準層に隣接して非磁性層を形成することと、
強磁性材料の自由層を形成することであって、前記自由層が、前記非磁性層に隣接する強磁性材料の第1の層、ならびに第1の材料よりなる複数の層、および第2の材料よりなる複数の層を少なくとも含み、前記第1の材料が強磁性である、多層配置を含む、形成することと、を含み、
前記第1の材料よりなる前記複数の層は第1の磁歪を有し、前記第2の材料よりなる前記複数の層は、前記自由層の磁歪を低減する第2の磁歪を有する、方法。
【請求項17】
前記第1の材料よりなる複数の層、および、前記第2の材料よりなる複数の層を交互のシーケンスで形成して、前記自由層の前記多層配置を提供することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の材料は、無視できるまたは略無視できる異方性磁気抵抗(AMR)効果を有する材料である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基準層を形成することは、複数の層を形成して人工反強磁性材料を提供することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、
基板を提供することと、
前記基板上に前記人工反強磁性材料または前記自由層を形成することと、をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気センサに関する。特に、本開示は、磁気マルチターンセンサで使用するための巨大磁気抵抗素子に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気マルチターンセンサは、デバイスがターンされた回数を監視する必要がある用途において一般的に使用される。一例は、車両のハンドルである。磁気マルチターンセンサは、典型的には、印加された外部磁場に敏感な巨大磁気抵抗(GMR)素子を含む。GMR素子の抵抗は、センサの近傍内で磁場を回転させることによって変化させることができる。GMR素子の抵抗における変動を追跡して、磁場におけるターン数を決定することができ、これは監視されているデバイスにおけるターン数に変換することができる。
【0003】
GMR素子は、多くの場合、図1に示すスタック1などの、人工反強磁性(AAF)材料を用いるGMRスピンバルブスタックに基づく場合がある。スタック1は、ベースに基板100、続いて、その上で成長させる滑らかな表面および有利な結晶構造を提供することによって、後続層の成長を促進するためのシード層102を含む。次の層は、天然反強磁性層(白金マンガン(PtMn)またはイリジウムマンガン(IrMn)など)、強磁性層(典型的にはコバルト鉄(CoFe))、非磁性スペーサ(ルテニウム(Ru))、および「ピン留めされた」層とも称される別の強磁性層(CoFe)よりなる一連の層を含むAAFマルチ層104である。AAF層104の主な目的は、ピン留めされた層の磁化を、製造中にアニーリングプロセスで定められた配向に整列させて維持することである。
【0004】
非磁性スペーサ層106(典型的には、銅(Cu))は、AAF層104のピン留めされた層の上に直接設けられ、続いて、いわゆる自由層108が設けられる。自由層108は、その磁化を外部磁場と自由に整列させる強磁性層である。自由層108は、典型的には、2枚の強磁性層、典型的には、CoFe層、続いて、ニッケル鉄(NiFe)層より形成される。GMR効果は、自由層108の磁化と、AAF層104のピン留めされた層の磁化との間の相対角度と関連付けられる膜抵抗の変化として観察される。磁化が平行な場合、低抵抗が観察され、逆平行な場合、高抵抗が観察される。そのため、非磁性層106の目的は、自由層108とピン留めされた層との間に距離を作ることであり、このスペーサ層106の厚さは、ピン留めされた層と自由層108との間の磁気結合が最小化されるよう選択される。
【0005】
その後、スタック1は、通常、キャッピング層110、典型的には非磁性金属層で覆われ、これは、スタック1を保護し、スタック1を磁気センサの他の構成要素に接続するための相互接続を提供するために、スタック1を他の金属層(アルミニウム、銅、または金など)に接続するときの拡散を低減する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、磁気マルチターンセンサにおいて使用するための巨大磁気抵抗(GMR)素子を提供し、そこで、自由層、すなわち、抵抗変化をもたらすように外部磁場に応じてその磁化方向を変化させる層は、AMR効果を呈することなく良好な形状異方性を提供するに十分な厚さである。これを達成するために、自由層の少なくとも一部は、少なくとも2つの異なる導電性材料よりなる複数の層、具体的には、強磁性である少なくとも第1の材料よりなる複数の層、およびAMR効果を呈しないことが知られており、かつ、強磁性材料の層のGMR効果と干渉しない少なくとも第2の材料よりなる複数の層を含む。
【0007】
本開示の第1の態様は、第1の態様による磁気マルチターンセンサのための巨大磁気抵抗(GMR)素子を提供し、巨大磁気抵抗素子は、基準層と、基準層に隣接する非磁性層と、強磁性材料の自由層とを備え、自由層は、非磁性層に隣接する強磁性材料の第1の層、ならびに第1の材料よりなる複数の層および第2の材料よりなる複数の層を少なくとも含み、第1の材料は強磁性である、多層配置を含む。
【0008】
好ましくは、第2の材料は、無視できるまたは略無視できる異方性磁気抵抗(AMR)効果を有する材料である。次に、第1の材料よりなる複数の層および第2の材料よりなる複数の層は、交互の構成で配置されてもよい。
【0009】
このように、2つの異なる材料よりなる層を有することによって、これらの材料の一方が強磁性であり、他方の材料が無視できるかまたはほとんど無視できるAMR効果を呈する場合、自由層は、呈されるGMR効果の量に対してAMR効果を全く呈しないまたは非常に少ないAMR効果を呈しながら、良好な形状異方性を提供するのに十分な厚さである。この点において、無視できるAMR効果を呈する材料の層は、強磁性材料の層に存在し得る任意のAMR効果を減衰させるであろう。
【0010】
いくつかの配置では、第1の材料は、NiFeおよびCoFeのうちの1つでもよい。第2の材料は、CoFeB、CoZrTa、CoZrTaB、CoZrNb、およびCoZrOのうちの1つでもよい。
【0011】
いくつかの配置では、第1の材料および第2の材料の厚さおよび/または組成は、自由層が磁歪を含まないように構成され得る。すなわち、磁化が変化するにつれて、自由層には機械的歪みまたは変形がないようにする。
【0012】
第1の材料よりなる複数の層および第2の材料よりなる複数の層の各々は、約0.5nm~約8nmの厚さを有してもよい。また、自由層の必要な厚さおよび個々の層の厚さに応じて、任意の好適な数の層が使用され得ることも理解されよう。
【0013】
自由層は、少なくとも強磁性材料の第1の層が、外部印加された磁場と自由に整列する磁化を有するという点で、そう呼ばれることが理解されよう。強磁性材料の第1の層はCoFe、または強いGMR特性を有する任意の他の好適な強磁性材料でもよい。
【0014】
また、基準層は、基準層の少なくとも一部が固定方向にある磁化を有するという点で、そう呼ばれることも理解されよう。固定磁化方向を有する基準層の部分は、「ピン留めされた」層と呼ばれてもよく、該ピン留めされた層は、強磁性材料の層である。GMR効果は、自由層の磁化とピン留めされた層の磁化との間の相対角度に関連付けられた膜抵抗の変化として観察される。基準層は、人工反強磁性材料を定める一連の層を含んでよく、人工反強磁性材料の層は、固定方向に磁化を有する。人工反強磁性材料は、天然反強磁性層、第1の強磁性層、非磁性スペーサ、および第2の強磁性層を含んでよく、第2の強磁性層は、ピン留めされた層である。
【0015】
本明細書に開示される他の配置では、第2の材料は、非磁性材料でもよい。前と同様に、強磁性材料は、NiFeおよびCoFeのうちの1つでもよく、一方、非磁性材料は、Ta、Ru、およびCuのうちの1つでもよい。
【0016】
このような場合、強磁性材料の複数の層および非磁性材料の複数の層の各々は、約0.2nm~約0.4nmの厚さを有し得る。
【0017】
本明細書に記載される他の配置は、磁気マルチターンセンサのための磁気抵抗素子を提供し、磁気抵抗素子は、反強磁性材料の基準層、基準層に隣接する非磁性層、および強磁性材料の自由層を備え、自由層は、非磁性層に隣接する強磁性材料の第1の層、およびアモルファス強磁性材料の第2の層を備える。
【0018】
アモルファス強磁性材料は、CoFeB、CoZrTa、CoZrTaB、CoZrNb、およびCoZrOのうちの1つでもよく、一方、第1の層は結晶性強磁性材料を含んでもよい。例えば、強磁性材料の第1の層は、CoFeでもよい。
【0019】
本開示のさらなる態様は、1つ以上の巨大磁気抵抗素子を備える磁気マルチターンセンサを提供し、各巨大磁気抵抗素子は、基準層、基準層に隣接する非磁性層、および強磁性材料の自由層を備え、自由層は、非磁性層に隣接する強磁性材料の第1の層、ならびに第1の材料よりなる複数の層、および第2の材料よりなる複数の層を少なくとも含み、第1の材料が強磁性である、多層配置を含む。
【0020】
上記のように、第2の材料は、無視できるまたは略無視できる異方性磁気抵抗(AMR)効果を有する材料であることが好ましい。いくつかの配置では、第1の材料は、NiFeおよびCoFeのうちの1つでもよい。第2の材料は、CoFeB、CoZrTa、CoZrTaB、CoZrNb、およびCoZrOのうちの1つでもよい。
【0021】
なおさらなる態様は、巨大磁気抵抗素子の製造方法を提供し、基準層を形成することと、基準層に隣接する非磁性層を形成することと、強磁性材料の自由層を形成することとを含み、自由層は、非磁性層に隣接する強磁性材料の第1の層、ならびに第1の強磁性材料よりなる複数の層、および第2の材料よりなる複数の層を少なくとも含み、第1の材料が強磁性である、多層配置を含む。
【0022】
方法は、第1の材料の複数の層および第2の材料の複数の層を交互のシーケンスで形成して、自由層の多層配置を提供することを含んでもよい。
【0023】
例えば、方法は、第1の材料の第1の層を形成することと、第1の材料の第1の層上に第2の材料の第1の層を形成することと、第2の材料の第1の層上に第1の材料の第2の層を形成することと、第1の材料の第2の層上に第2の材料の第2の層を形成することとを含んでよい。当然のことながら、このプロセスは、必要な層の数だけ継続され得ることが理解されよう。
【0024】
ここでも、第2の材料は、強磁性材料の層と交互にされると、強磁性材料の層に存在する任意のAMR効果が減衰するように、無視できるまたは略無視できる異方性磁気抵抗(AMR)効果を有する材料であることが好ましい。
【0025】
基準層を形成することは、人工反強磁性材料を提供するために複数の層を形成することを含んでもよい。人工反強磁性材料は、天然反強磁性層、第1の強磁性層、非磁性スペーサ、および第2の強磁性層を含んでよく、第2の強磁性層は、固定方向に磁化を有する層である。
【0026】
方法は、基板を提供することと、基板上に反強磁性材料または自由層を形成することとをさらに含み得る。そうすることで、GMRスタックは、基準層がスタックの底部または頂部に配置されて形成される。
【0027】
また、スタックが、後続層の成長を促進するために基板上に形成されるシード層、およびスタックを保護し、磁気マルチターンセンサの他の構成要素への相互接続を提供するためのキャッピング層などの他の層を含み得ることも理解されるであろう。
【0028】
上述の層のいずれも、スパッタリングまたはイオンビーム堆積などのいくつかの好適な加工プロセスを使用して形成されてもよい。
【0029】
ここで、添付の図面を参照して例としてのみ本開示を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来技術によるGMRスタックの概略側面図である。
図2】本開示の実施形態によるGMRスタックの概略側面図である。
図3】本開示のさらなる実施形態による、GMRスタックの概略側面図である。
図4】本開示の実施形態による、GMR素子を備える磁気マルチターンシステムの例である。
図5A】本開示の実施形態によるGMRスタックを製造する方法を示す概略側面図である。
図5B】本開示の実施形態によるGMRスタックを製造する方法を示す概略側面図である。
図5C】本開示の実施形態によるGMRスタックを製造する方法を示す概略側面図である。
図5D】本開示の実施形態によるGMRスタックを製造する方法を示す概略側面図である。
図5E】本開示の実施形態によるGMRスタックを製造する方法を示す概略側面図である。
図5F】本開示の実施形態によるGMRスタックを製造する方法を示す概略側面図である。
図5G】本開示の実施形態によるGMRスタックを製造する方法を示す概略側面図である。
図5H】本開示の実施形態によるGMRスタックを製造する方法を示す概略側面図である。
図5I】本開示の実施形態によるGMRスタックを製造する方法を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
磁気マルチターンセンサは、回転軸のターンカウントを監視するために使用することができる。これを行うために、典型的には磁石が回転軸の端部に取り付けられ、マルチターンセンサは、磁石が軸とともに回転するにつれて、磁場の回転を感知する。このような磁気センシングは、自動車用途、医療用途、産業制御用途、消費者用途、および回転構成要素の位置に関する情報を必要とする他の用途のホストなど、様々な異なる用途に適用することができる。
【0032】
磁気マルチターンセンサは、典型的には、印加された外部磁場に対して敏感な巨大磁気抵抗(GMR)素子を含む。GMR素子は、多くの場合、その磁化を外部磁場と自由に整列させる強磁性材料の自由層を含むGMRスピンバルブスタックに基づく。典型的なGMRスタックでは、自由層の厚さは、通常5nm未満である。しかしながら、膜の長く狭いトレースにおいて強い形状異方性を作るためには、自由層は非常に厚く(>30nm)なくてはならない。この厚さの結果、自由層において強い異方性磁気抵抗(AMR)効果が呈され、これにより、電気抵抗が電流の方向と磁化の方向との間の角度にさらに依存する。一般に、電流が磁化に対して平行な場合、より高い抵抗が観察され、電流が磁化に対して垂直な場合、より低い抵抗が観察される。その結果、これは、GMR効果に起因して所望の抵抗変化に重なる望ましくない抵抗変化をもたらし、それによってセンサ出力を歪める。
【0033】
したがって、本開示は、磁気マルチターンセンサにおいて使用するための巨大磁気抵抗(GMR)素子を提供し、そこで、自由層、すなわち、抵抗変化をもたらすように外部磁場に応じてその磁化方向を変化させる層は、呈されるGMR効果の量(10%未満)に対してAMR効果を全く呈しないか、または非常に小さいAMR効果を呈しながら良好な形状異方性を提供するのに十分な厚さである。これを達成するために、自由層の少なくとも一部分は、少なくとも2つの異なる材料よりなる複数の層、具体的には、強磁性である少なくとも第1の材料よりなる複数の層およびAMR効果を呈しないことが知られており、かつ、強磁性材料の層のGMR効果に干渉しない少なくとも第2の材料よりなる複数の層を含む。
【0034】
本開示による一実施形態が図2に示される。図1を参照して説明したように、GMR素子は、基板200、シード層202、AAF層204,および非磁性スペーサ層206を含むスピンバルブスタック2として構成される。208と示される自由層は、第1の強磁性層212、好ましくはCoFeなどのAMR効果が低い結晶強磁性材料、続いて、多層配置214を含む。上述したとおり、GMR効果は、AAF層204のピン留めされた層、非磁性スペーサ層206、および第1の強磁性層212の界面で観察される。多層配置214は、交互の層に配置される結晶強磁性材料216およびアモルファス強磁性材料218の両方を多層含む。結晶強磁性層216は、NiFeなどの結晶強磁性材料より形成され、一方、アモルファス強磁性層218はコバルト鉄ホウ素(CoFeB)、コバルトジルコニウムタンタル(CoZrTa)、コバルトジルコニウムタンタルムホウ素(CoZrTaB)、コバルトジルコニウムニオブ(CoZrNb)、またはコバルトジルコニウム酸化物(CoZrO)などの任意の好適なアモルファス強磁性材料より形成されてもよい。アモルファス強磁性218の層の磁化も外部印加された磁場と整列するため、多層配置214は外部磁場と整列する1枚の強磁性層として機能し、したがって良好な形状異方性を提供する。しかしながら、アモルファス強磁性材料では、磁化方向の変化の結果として電流への影響がほとんどなく、結晶強磁性材料216の層は、任意のAMR効果を呈するには個々では薄すぎるか、または、無視できるか、もしくは非常に少ない量を少なくとも呈するため、AMR効果が全く観察されないか非常に小さいAMR効果が観察される。したがって、結晶強磁性材料216の層をアモルファス強磁性材料218の層と散在させることで、いかなる望ましくないAMR効果も誘発することなく、所望の形状異方性を提供するに十分な厚さの強磁性多層配置214が提供される。実際に、強磁性多層配置214が、任意の2つの強磁性材料の層を含んでもよく、これら強磁性材料の少なくとも1つが、無視できるまたは略無視できる量のAMR効果を呈し、それによって、他方の強磁性材料によって呈される任意のARM効果を減衰させることが当業者には理解されるであろう。
【0035】
多層配置214の個々の層216、218は約0.5nm~約8nmでもよく、自由層208の合計厚さはおおよそ10nm~50nmである。
【0036】
層216、218の厚さ、ならびに組成を選択するとき、多層配置214によって経験される結果として生ずる磁歪も考慮する必要があり得る。磁歪は、材料の機械的応力と磁化との間の関係である。この関係は、磁化の変化が機械的歪みまたは変形をもたらし、機械的変形が磁化変化をもたらすといった点で両方向に働く。磁歪の測定は、特定の方向に磁化された場合に材料が伸長または短縮するかどうかに応じて、正または負の符号を有し得る。
【0037】
センサ用途には、非常に低い、または理想的にはゼロの磁歪が必要となる。NiFeなどのいくつかの結晶強磁性材料は非常に低い磁歪を有する。例えば、Ni:Fe比が81:19のNiFeは磁歪を含まない。したがって、このような材料は、GMRセンサに自由層を提供するのに典型的には好ましい。他方で、CoFeなどの他の結晶強磁性材料およびCoFeBなどのアモルファス強磁性材料は顕著な磁歪を有する。したがって、正の磁歪を有するアモルファス強磁性材料218を含む多層配置214について、結晶強磁性材料216の層の厚さおよび組成は、他の層の正の磁歪を補償するために負の磁歪を有するよう適合される必要があり、それによって、全体的に磁歪を含まない自由層208が結果として得られ得る。
【0038】
その後、スタック2は、通常、キャッピング層210、典型的には、タンタル(Ta)またはチタンタングステン(TiW)などの非磁性金属層で覆われ、これは、スタック2を保護し、スタック2を磁気センサの他の構成要素に接続するための相互接続を提供するために、スタック2を他の金属層(例えば、アルミニウム、銅、または金)に接続するときの拡散を低減する。
【0039】
本開示によるさらなる実施形態も図3に示される。前と同様に、GMR素子は、基板300、シード層302、AAF層304、および非磁性スペーサ層306を含むスピンバルブスタック3として構成される。概して308と示される自由層は、第1の強磁性層312、好ましくはCoFeなどのAMR効果が低い結晶強磁性材料、続いて、別の多層配置314を含む。この実施形態では、多層配置314は、ここでも交互の層として配置される、NiFeなどの軟磁性材料より形成される複数の強磁性層316、および、複数の非磁性層318より形成される。非磁性材料層318は、任意の好適な材料、例えば、Ta、Ru、またはCuでもよい。非磁性層318は、自由層308にいかなる磁気モーメントも加えず、したがっていかなるAMR効果も呈しない一方で、強磁性316の層は任意のAMR効果を呈するにも個々には薄すぎ、または無視できるか、もしくは非常に少ない量を少なくとも呈する。したがって、強磁性材料316の層と非磁性材料318の層を散在させることで、任意の望ましくないAMR効果を誘発することなく、所望の形状異方性を提供するに十分な厚さの強磁性多層配置314が提供される。
【0040】
そのような配置では、強磁性層316がいかなるAMR効果も生じないように十分に薄く、強磁性層間で強い強磁性結合を確実にするために非磁性層318が十分に薄いこと、つまり、多層配置314によって呈される形状異方性が各個々の強磁性層316とは対照的に強磁性層316の合計に対応するようにすることが重要である。例えば、層316、318の両方の組の厚さは約0.2nm~0.4nmでもよい。
【0041】
さらに、上述したように、強磁性層316は、NiFeなどの非常に低いまたはゼロの磁歪を有する軟磁性材料より形成されてもよい。これらの強磁性材料316が非磁性層318と散在されるため、自由層308は全体的に磁歪がない軟質磁石である。
【0042】
その後、スタック3は、通常、キャッピング層210、典型的には非磁性金属層で覆われ、これは、スタック3を保護し、スタック3を磁気センサの他の構成要素に接続するための相互接続を提供するために、スタック3を他の金属層(例えば、アルミニウム、銅、または金)に接続するときの拡散を低減する。
【0043】
上述の実施形態のいずれにおいても、必要な厚さおよび形状異方性に応じて、任意の数の層(および層の厚さ)が多層配置214、314で使用されてもよいことが理解されるであろう。例えば、合計4枚の層があってもよく、または、合計20枚もの層があってもよい。
【0044】
加えて、上述の実施形態のいずれにおいても、測定可能なGMR効果も観察されるAAF層204、304の代わりに、白金マンガン(PtMn)などの天然反強磁性層が使用されてもよいことも理解されるであろう。
【0045】
図4は、本開示の実施形態による複数のGMR素子400を備える磁気マルチターンセンサ4の磁気片レイアウト表現の例を示す。図4の例では、磁気片400は、スパイラル構成で物理的に置かれた巨大磁気抵抗トラックである。したがって、磁気片400は、互いに直列に配置された磁気抵抗素子402から形成される複数のセグメントを有する。磁気抵抗素子402は、磁気整列状態に応じて抵抗を変化させる可変抵抗器として機能する。磁気片400の一端は、ドメイン壁生成器(DWG)404に結合される。これに関して、DWG404が磁気片400のいずれかの端に結合されてもよいことは理解されるであろう。DWG404は、外部磁場における回転、またはセンサ4の動作する磁気ウィンドウを超える何らかの他の強い外部磁場の印加に応答してドメイン壁を生成する。次に、これらのドメイン壁は、磁気片400に注入され得る。磁気ドメイン位置が変化するにつれて、磁気整列の結果として生ずる変化により、GMR素子402の抵抗も変化する。
【0046】
ドメイン壁が生成されるにつれて変わるGMR素子402の抵抗を測定するために、磁気片400は供給電圧VDD406および接地GND408に電気的に接続され、一対の対向するコーナー間に電圧を印加する。電圧供給部間の中間のコーナーには、ハーフブリッジ出力を提供するよう電気接続部410が設けられている。このように、マルチターンセンサ4は、多数のホイートストンブリッジ回路を備え、各ハーフブリッジ410は外部磁場の1つのハーフターンまたは180°回転に対応する。そのため、電気接続部410での電圧の測定値は、自由層の磁気整列における変化を示すGMR素子402の抵抗の変化を測定するために使用することができる。
【0047】
図4によって示される例は、4つのスパイラル巻線8個のハーフブリッジ410を備え、したがって、外部磁場の4つのターンをカウントするように構成される。しかしながら、マルチターンセンサは、GMR素子の数に応じて任意の数のスパイラル巻線を有してもよいことが理解されるであろう。概して、マルチターンセンサは、スパイラル巻線と同じターン数をカウントすることができる。また、GMR素子402が、磁気整列状態における変化を表すセンサ出力を提供するように、任意の好適な方法で電気的に接続されてもよいことが理解されるであろう。例えば、GMR素子402は、全体が本明細書で参照によって組み込まれるUS2017/0261345に記載されるようなマトリクス配置に接続されてもよい。さらなる代替例として、各磁気抵抗セグメントはブリッジ配置よりもむしろ、個別に接続されてもよい。
【0048】
この例では、磁気マルチターンセンサ4は、磁気片400が配設される集積回路412を備え、これは、センサ出力を処理する処理回路(図示せず)を含んでもよい。
【0049】
ここで、図5A図5Iを参照して、GMRスタック2を加工する方法を説明する。しかしながら、GMRスタック3が同様に加工されてもよいことは理解されるであろう。
【0050】
図5Aは、加工プロセスの第1のステップを示す。基板200としてシリコンウェハが使用される。以下では、1つのデバイスを形成するプロセスを説明するが、同じウェハ上で数百個のデバイスが並列に形成されてもよい。基板200は、機械的支持のために使用され、ガラスまたはサファイアなどの別のタイプの材料に置き換えることができる。典型的には、シリコンウェハは、裸のシリコンから後続層を隔離するために酸化されるか、または酸化アルミニウムなどのアイソレータが使用されてもよい。いくつかの配置では、基板200は電子回路を備えてもよい。
【0051】
次に、図5Bに示すように、シード層202が基板200上に堆積される。シード層202は、後続層の成長を促進するための滑らかな表面、および、有利な結晶構造を提供する。シード層202は、タンタル、ルテニウム、または窒化タンタル(TaN)の層でもよく、他の化合物の別の層を含んでもよい。
【0052】
図5Cは、シード層202上に堆積されるAAF層204の形成を示す。AAF層204は、まず、シード層202上に天然反強磁性層を堆積することによって形成される。次いで、強磁性層が反強磁性層上に堆積され、続いて、非磁性スペーサ層が堆積される。最後に、第2の強磁性層が非磁性層上に堆積される。この第2の強磁性層は、いわゆる「ピン留めされた」層または「基準」層である。AAF層204において使用される反強磁性材料は、PtMn、IrMn、NiMn、または何らかの他の好適な反強磁性材料でもよく、非磁性材料が典型的にルテニウムである場合、強磁性材料はCoFeまたは何らかの他の好適な強磁性材料でもよい。
【0053】
図5Dに示すように、非磁性スペーサ層206は、AAF層204のピンナー層上に形成される。これは、任意の磁気結合を低減するために、ピン留めされた層と、後続の自由層との間のスペーサとして機能する。
【0054】
図5Eは、第1の強磁性層212を最初に堆積させることで形成される自由層の開始を示している。
【0055】
多層配置は、次に、図5Fに示すように結晶強磁性材料216の層を堆積し、次に、図5Gに示すようにアモルファス強磁性材料218の層を堆積することで、第1の強磁性層上に堆積される。このプロセスは、図5Hに示すように、多層配置214全体が形成されるまで必要な回数繰り返される。
【0056】
最後に、キャッピング層210は、図5Iに示すように、スタック2上に置かれる。上述のように、キャッピング層210は、典型的には、非磁性金属層よりなり、これは、スタック2を保護し、相互接続を提供するためにスタック2を他の金属層に接続するときの拡散を低減する。
【0057】
一旦堆積が行われると、GMR膜は次いで、磁場でアニーリングされ、標準的なフォトリソグラフィ技術およびその後のイオンミリングを使用してパターン化されて、余分な材料が除去され、必要な抵抗器形状が形成され得る。
【0058】
図3の実施形態では、スタック3が実質的に同じ方法で加工されてもよく、多層配置314の強磁性層316および非磁性層318が図5F図5Hに示されるものと実質的に同じ方法で形成されることが理解されるであろう。
【0059】
上述のスタック2、3内の層の各々がスパッタリングなどの任意の好適な物理的蒸着方法を使用して形成されてもよいことは理解されるであろう。同様に、各スタック2、3の堆積は、個々のステップ間で周囲大気への曝露がないように、1つの真空ステップで実施されてもよく、それによって、様々な層の汚染または酸化が回避される。例えば、シード層202、302からキャッピング層210、310までの全スタック2、3は、大気ガスへの曝露による表面汚染や変化を防止するために異なる層間の真空を破壊することなく、1つのツールでスパッタリングまたはイオンビーム堆積のいずれかによって堆積される。
【0060】
本開示のさらなる実施形態では、自由層が、CoFeなどのAMR効果が低い結晶強磁性材料の第1の層、および、CoFeBなどのアモルファス強磁性材料の第2の層を含むGMRスタックが提供されてもよい。このような配置は、高いAMR効果を呈するが、同様に、より多くの磁歪を経験する任意の強磁性材料の使用を排除する。
【0061】
上述の配置は、スタック2、3の底部にあるAAF層204、304(いわゆる「底部ピン留めされた」)を示すが、スタック2、3が、非磁性スペーサ206、306、次いで、自由層208、308が下にあり、AAF層204、304(いわゆる「上部ピン留めされた」)がスタック2、3の上部にあるように、代替的に配置されてもよいことが理解されよう。
【0062】
同様に、上述の配置はAAF層204の使用を説明しているが、代わりに、例えば、PtMn、IrMn、NiMnなどの反強磁性材料の層、および、「ピン留めされた」層として機能する1枚のCoFeなどの強磁性材料の層を含む、単純な反強磁性層が使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0063】
用途
本明細書で論じた原理および利点のいずれも、上述のシステムだけではなく、他のシステムにも適用することができる。いくつかの実施形態は、本明細書に記載する特徴および/または利点のサブセットを含み得る。上述の様々な実施形態の素子および動作を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で論じた方法の作用は、適宜、任意の順番で実施され得る。さらに、本明細書で論じた方法の作用は、適宜、連続的にまたは並行して実施され得る。回路が特定の配置で示されているが、他の同等の配置も可能である。
【0064】
本明細書で論じた原理および利点のいずれも、本明細書の教示のいずれかから利益を得ることができる任意の他のシステム、装置、または方法と関連して実装することができる。例えば、本明細書で説明した原理および利点のいずれも、回転する磁場から導き出される回転角度位置データを補正する必要性を有する任意のデバイスと関連して実装され得る。加えて、デバイスは、磁場を感知することができる任意の磁気抵抗またはホール効果デバイスを含み得る。
【0065】
本開示の態様は、様々な電子デバイスまたはシステムにおいて実装され得る。例えば、本明細書で論じた原理および利点のいずれかに応じて実装される、位相補正方法およびセンサは、様々な電子デバイスおよび/または様々な用途に含まれ得る。電子デバイスおよび用途の例には、サーボ、ロボット工学、航空機、潜水艦、歯ブラシ、バイオメディカルセンシングデバイス、ならびに、半導体ダイおよび/またはパッケージされたモジュール、電子試験機器などの消費者電子製品の部品を含み得るが、これらに制限されるわけではない。さらに、電子デバイスは、工業、自動車、および/または医療用途のためのものを含む未完成製品を含み得る。
【0066】
特に文脈が明確に要求しない限り、説明および特許請求の範囲を通して、「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」などの単語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包含的な意味で解釈されるべきであり、つまり、「含むが、これに制限されない」という意味で解釈されるべきである。本明細書で概して使用される場合、「結合される」または「接続される」といった単語は、直接的に接続されるか、または、1つ以上の中間素子を介して接続され得る2つ以上の素子を指す。そのため、図示する様々な概略図は素子および構成要素の例示的な配置を示すが、追加的な介在素子、デバイス、特徴、または構成要素が実際の実施形態に存在してもよい(示される回路の機能性が悪影響を及ぼされないと仮定する)。本明細書で使用する「に基づく」といった単語は、概して、「にのみ基づく」および「に少なくとも部分的に基づく」ことを包含することを意図している。追加的には、本出願で使用されるとき、「本明細書で」、「上で」、「下で」といった単語、および、同様の意味の単語は、本出願全体を指し、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。文脈が許す限り、単数形または複数形を使用する「発明を実施するための形態」における単語には、それぞれ複数形または単数形も含めることができる。2つ以上のアイテムのリストを参照する「または」といった単語は、次の単語の解釈の全て、すなわち、リスト内のアイテムのいずれか、リスト内のアイテムのすべて、およびリスト内のアイテムの任意の組み合わせを網羅することを意図している。本明細書で提供される全ての数値または距離は、測定誤差内にある同様の値を含めることを意図している。
【0067】
特定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示され、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。実際に、本明細書で説明する新規の装置、システム、および方法は、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書で説明した方法およびシステムの形態における様々な省略、置換、および、変更は、本開示の精神から逸脱することなく行われてもよい。
【符号の説明】
【0068】
2、3 スピンバルブスタック
200、300 基板
202、302 シード層
204、304 AAF層
206、306 非磁性スペーサ層
208、308 自由層
210、310 キャッピング層
212、312 第1の強磁性層
214、314 多層配置
216 結晶強磁性材料の層
218 アモルファス強磁性材料の層
316 複数の強磁性層
318 複数の非磁性層
4 磁気マルチターンセンサ
400 GMR素子、磁気片
402 磁気抵抗素子
404 ドメイン壁生成器(DWG)
406 供給電圧VDD
408 接地GND410 ハーフブリッジ
410 電気接続部
412 集積回路
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I