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特許7564066情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20241001BHJP
   G06Q 10/08 20240101ALI20241001BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241001BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20241001BHJP
【FI】
B65G61/00 546
G06Q10/08
G05D1/43
G05D1/46
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021129966
(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公開番号】P2023023966
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518064374
【氏名又は名称】株式会社オプティマインド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】安部 真由子
(72)【発明者】
【氏名】駒嶺 聡史
(72)【発明者】
【氏名】松下 健
(72)【発明者】
【氏名】高田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】堂田 丈明
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-105765(JP,A)
【文献】特開2015-030578(JP,A)
【文献】特開2007-290843(JP,A)
【文献】特開2020-135229(JP,A)
【文献】特開2021-109712(JP,A)
【文献】特開2010-282455(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110651284(CN,A)
【文献】特開2021-047075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 10/08
G05D 1/43
G05D 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の施設内に存在する配送先に荷物を配送する第1モビリティを複数種類の配送用モビリティから選択する制御部を備え、
前記制御部は、各配送用モビリティについての、前記所定の施設の敷地内における、前記配送先への前記荷物の配送にかかる所要時間に基づいて、前記第1モビリティを選択する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数種類の配送用モビリティのうち前記所要時間が最も短いモビリティを前記第1モビリティとして選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数種類の配送用モビリティは自律移動可能なモビリティを含む、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記自律移動可能なモビリティは、地上を走行する地上AGV、地下通路を走行する地下AGV、およびドローンの少なくともいずれかを含む、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記所定の施設の敷地内における各配送用モビリティの前記配送先への移動経路に基づいて、各配送用モビリティについての前記所要時間を推定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記所定の施設の敷地内の地図情報と、前記所定の施設の敷地内における各配送用モビリティが利用可能な設備に関する情報と、に基づいて、前記所定の施設の敷地内における各配送用モビリティの前記配送先への移動経路を導出する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記複数種類の配送用モビリティのうち前記第1モビリティとして選択したモビリティに、前記荷物を配送するための配送計画を送信することをさらに実行する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータによって実行される情報処理方法であって、
所定の施設内に存在する配送先に荷物を配送する第1モビリティを複数種類の配送用モビリティから選択することを含み、
各配送用モビリティについての、前記所定の施設の敷地内における、前記配送先への前記荷物の配送にかかる所要時間に基づいて、前記第1モビリティを選択する、
情報処理方法。
【請求項9】
前記複数種類の配送用モビリティのうち前記所要時間が最も短いモビリティを前記第1モビリティとして選択する、
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記複数種類の配送用モビリティは自律移動可能なモビリティを含む、
請求項8または9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記自律移動可能なモビリティは、地上を走行する地上AGV、地下通路を走行する地下AGV、およびドローンの少なくともいずれかを含む、
請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記所定の施設の敷地内における各配送用モビリティの前記配送先への移動経路に基づいて、各配送用モビリティについての前記所要時間を推定することをさらに含む、
請求項8から11のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記所定の施設の敷地内の地図情報と、前記所定の施設の敷地内における各配送用モビリティが利用可能な設備に関する情報と、に基づいて、前記所定の施設の敷地内における各配送用モビリティの前記配送先への移動経路を導出することをさらに含む、
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記複数種類の配送用モビリティのうち前記第1モビリティとして選択したモビリティに、前記荷物を配送するための配送計画を送信することをさらに実行する、
請求項8から13のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに情報処理方法を実行させるプログラムあって、
前記情報処理方法は、
所定の施設内に存在する配送先に荷物を配送する第1モビリティを複数種類の配送用モビリティから選択することを含み、
各配送用モビリティについての、前記所定の施設の敷地内における、前記配送先への前記荷物の配送にかかる所要時間に基づいて、前記第1モビリティを選択する、
プログラム。
【請求項16】
前記情報処理方法において、
前記複数種類の配送用モビリティのうち前記所要時間が最も短いモビリティを前記第1モビリティとして選択する、
請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記複数種類の配送用モビリティは自律移動可能なモビリティを含む、
請求項15または16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記自律移動可能なモビリティは、地上を走行する地上AGV、地下通路を走行する地下AGV、およびドローンの少なくともいずれかを含む、
請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記情報処理方法は、
前記所定の施設の敷地内における各配送用モビリティの前記配送先への移動経路に基づいて、各配送用モビリティについての前記所要時間を推定することをさらに含む、
請求項15から18のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項20】
前記情報処理方法は、
前記所定の施設の敷地内の地図情報と、前記所定の施設の敷地内における各配送用モビリティが利用可能な設備に関する情報と、に基づいて、前記所定の施設の敷地内における各配送用モビリティの前記配送先への移動経路を導出することをさらに含む、
請求項19に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数種類のモビリティを利用して荷物を配送するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動体を用いて品物を配達する配達システムが開示されている。特許文献1に開示されている配達システムにおいては、品物の配達先として第1移動体が指定される。さらに、第1移動体の識別情報または移動計画情報が第2移動体に提供される。そして、第2移動体が、第1移動体を目標として自律移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/229871号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数種類の配送用モビリティから、荷物の配送に用いるモビリティを選択することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置は、
所定の施設内に存在する配送先に荷物を配送する第1モビリティを複数種類の配送用モビリティから選択する制御部を備え、
前記制御部は、各配送用モビリティについての、前記所定の施設の敷地内における、前記配送先への前記荷物の配送にかかる所要時間に基づいて、前記第1モビリティを選択する。
【0006】
本開示の第二の態様に係る情報処理方法は、
コンピュータによって実行される情報処理方法であって、
所定の施設内に存在する配送先に荷物を配送する第1モビリティを複数種類の配送用モビリティから選択することを含み、
各配送用モビリティについての、前記所定の施設の敷地内における、前記配送先への前記荷物の配送にかかる所要時間に基づいて、前記第1モビリティを選択する。
【0007】
本開示の第三の態様に係るプログラムは、
コンピュータに情報処理方法を実行させるプログラムあって、
前記情報処理方法は、
所定の施設内に存在する配送先に荷物を配送する第1モビリティを複数種類の配送用モビリティから選択することを含み、
各配送用モビリティについての、前記所定の施設の敷地内における、前記配送先への前記荷物の配送にかかる所要時間に基づいて、前記第1モビリティを選択する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数種類の配送用モビリティから、荷物の配送に用いるモビリティを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、配送管理システムの概略構成、および、荷物の配送先について説明するための第1の図である。
図2図2は、配送管理システムの概略構成、および、荷物の配送先について説明するための第2の図である。
図3図3は、管理サーバのハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
図4図4は、管理サーバの機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図5図5は、施設情報のテーブル構成の一例を示す図である。
図6図6は、管理サーバにおいて実行される情報処理のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る情報処理装置は、複数種類の配送用モビリティから荷物の配送に用いるモビリティを選択する制御部を備える。ここで、複数種類の配送用モビリティには、地上AGV(Automatic Guided Vehicle)、地下AGV、およびドローンのような、自律移動可能なモビリティが含まれてもよい。なお、地上AGVは地上を走行するAGVである。また、地下AGVは地下通路を走行するAGVである。
【0011】
制御部は、所定の施設内に存在する配送先に荷物を配送する第1モビリティを複数種類の配送用モビリティから選択する。ここで、所定の施設は、荷物の配送先となり得る場所を複数箇所有する施設である。所定の施設は、例えば、複数の住戸を有するマンション、または、複数のオフィスを有するオフィスビルである。また、所定の施設は、敷地内に複数の建造物が集合した施設であってもよい。そして、所定の施設に対して荷物が配送される際には、所定の施設内のいずれかの場所が荷物の配送先として指定されている。
【0012】
ここで、所定の施設内に存在する配送先には、複数種類の配送用モビリティのいずれを用いても荷物を届けることができる。しかしながら、所定の施設の敷地内における配送先に荷物を配送するための移動経路は、モビリティの種類に応じても異なる。そのため、配送先に荷物を配送する際における、所定の施設の敷地内での移動にかかる時間が、モビリティの種類に応じても異なる。その結果、所定の施設の敷地内における、配送先への荷物の配送にかかる所要時間が、モビリティの種類に応じて異なることになる。
【0013】
そこで、制御部は、各配送用モビリティについての、所定の施設の敷地内における、配送先への荷物の配送にかかる所要時間に基づいて、第1モビリティを選択する。これによれば、所定の施設の敷地内での各モビリティの移動に関する効率を踏まえて、配送用モビリティを選択することができる。したがって、所定の施設内に存在する配送先に荷物を配送するモビリティとして、より好適なモビリティを選択することができる。
【0014】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、および、その相対配置等は、特に記載がない限りは本開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
<実施形態>
(システムの概略)
本実施形態に係る配送管理システムの概略構成、および、荷物の配送先について図1から図3に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る配送管理システムの概略構成、および、荷物の配送先について説明するための第1の図である。図2は、本実施形態に係る配送管理システムの概略構成、および、荷物の配送先について説明するための第2の図である。図3は、管理サーバのハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
【0016】
配送管理システム1は、複数種類の配送用モビリティを用いて配送先に荷物を配送するためのシステムである。複数種類の配送用モビリティは、いずれも自律移動が可能なモビ
リティである。本実施形態に係る複数種類の配送用モビリティは、具体的には、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30である。第1AGV10は地上を走行するAGVである。第2AGV20は地下通路を走行するAGVである。なお、第2AGV20が走行する地下通路は、第2AGV20の走行用として設けられた通路である。ドローン30は、荷物を搭載した状態で飛行可能な無人航空機である。なお、複数種類の配送用モビリティは、これら三種類のモビリティに限られるものではない。
【0017】
図1に示すように、配送管理システム1においては、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30それぞれが、ネットワークを介して管理サーバ100に接続される。このネットワークとしては、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)、または携帯電話等の電話通信網が採用されてもよい。そして、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30が、管理サーバ100から送信される配送計画に基づいて、荷物の配送のための自律移動を行う。
【0018】
管理サーバ100は、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30を管理するためのコンピュータである。図3に示すように、管理サーバ100を構成するコンピュータは、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、および通信インターフェース(通信I/F)104を有する。
【0019】
ここで、プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはD
SP(Digital Signal Processor)である。主記憶部102は、例えば、RAM(Random
Access Memory)である。補助記憶部103は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、またはフラッシュメモリである。また、補助記憶部103
は、リムーバブルメディア(可搬記録媒体)を含んでもよい。ここで、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、SDカード、または、CD-ROM、DVDディスク、若しくはブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。通信I/F104は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、または無線通信のための無線通信回路である。
【0020】
補助記憶部103には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、および各種情報テーブル等が格納されている。そして、プロセッサ101が、補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102にロードして実行することによって、後述するような、荷物の配送のための様々な制御が実現される。ただし、管理サーバ100における一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、管理サーバ100は、必ずしも単一の物理的構成によって実現される必要はなく、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。なお、本実施形態においては、管理サーバ100が、本開示に係る「情報処理装置」に相当する。
【0021】
そして、本実施形態においては、配送管理システム1による荷物の配送形態の一例として、マンションA内の配送先に荷物が配送される場面を想定する。図1に示すように、マンションAは、所定の敷地E1内に建てられた複数棟のビルを含む施設である。マンションAの各ビルの各階には複数の住戸が含まれている。配送管理システム1は、マンションAにおけるいずれか住戸の居住者宛の荷物を、第1AGV10、第2AGV20、またはドローン30によって配送する。ただし、配送管理システム1による荷物の配送の対象となる施設はマンションに限られるものではない。例えば、配送管理システム1は、複数のオフィスを有するオフィスビルを対象として荷物を配送することもできる。
【0022】
ここで、図1に示すマンションAを構成するビルaの構造および設備について、図2に基づいて説明する。ビルaには、居住者または訪問者である人が利用するためのエントランスおよび第1エレベータが設けられている。そのため、居住者または訪問者は、エント
ランスを通ってビルa内に入るとともに、第1エレベータを利用してビルaの各階に移動することができる。そして、第1AGV10によってビルa内の配送先に荷物を配送する場合、第1AGV10は、人と同様、エントランスを通ってビルa内に入ることができる。
さらに、第1AGV10は、第1エレベータを利用してビルaの各階に移動することがで
きる。なお、図2おける実線矢印は、第1AGV10の移動経路の一例を示している。
【0023】
また、マンションAが存在する所定の敷地E1の地下には、各ビルの地下に連通する地下通路が設けられている。第2AGV20は、この地下通路を走行して所定の敷地E1内を移動することができる。また、ビルaには、地下通路と繋がる第2エレベータが設けら
れている。そして、第2AGV20によってビルa内の配送先に荷物を配送する場合、第2AGV20は、地下通路から第2エレベータに乗り込み、第2エレベータを利用してビルaの各階に移動することができる。なお、図2おける破線矢印は、第2AGV20の移
動経路の一例を示している。
【0024】
また、ドローン30によってビルa内の配送先に荷物を配送する場合、ドローン30は、所定の敷地E1の上空からビルaの各階にアクセスすることができる。なお、図2おける一点鎖線矢印は、ドローン30の移動経路の一例を示している。
【0025】
マンションAにおいて、各モビリティは上記のように移動が可能であるため、ビルaの各階における各住戸には、第1AGV10、第2AGV20、またはドローン30のいずれによっても荷物を配送することができる。なお、第1AGV10、第2AGV20、またはドローン30によって、必ずしも各住戸まで荷物が届けられる必要はない。例えば、ビルaに各モビリティ用の宅配ボックスが設置されていてもよい。この場合、各モビリティは、宅配ボックスを配送先として荷物を配送する。
【0026】
そして、管理サーバ100は、マンションA内の配送先に荷物を配送する場合、配送に用いる第1モビリティとして、第1AGV10、第2AGV20、またはドローン30のいずれかを選択する。さらに、管理サーバ100は、荷物を配送するための配送計画を第1モビリティに対して送信する。
【0027】
(機能構成)
ここで、配送管理システム1を構成する管理サーバ100の機能構成について図4に基づいて説明する。図4は、管理サーバ100の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0028】
管理サーバ100は、機能部として、通信部110、制御部120、および施設情報データベース(施設情報DB)130を有している。通信部110は、管理サーバ100をネットワークに接続する機能を有する。通信部110は通信I/F104によって実現することができる。通信部110は、ネットワーク経由で第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30と通信を行うことができる。
【0029】
制御部120は、管理サーバ100を制御するための演算処理を行う機能を有する。制御部120は、プロセッサ101によって実現することができる。施設情報DB130は、配送管理システム1による荷物の配送の対象となり得る各施設についての施設情報が記憶されている。例えば、施設情報DB130には、上述したマンションAについての施設情報が記憶されている。図5は、施設情報のテーブル構成の一例を示す図である。図5に示すように、施設情報は、施設名フィールド、地図情報フィールド、および設備情報フィールドを有する。
【0030】
施設名フィールドには、各施設の名称が入力される。地図情報フィールドには、各施設
の敷地内の地図情報が入力される。地図情報には、各施設の敷地内において人または各モビリティが通行可能な通路またはエリアについての情報が含まれる。そのため、例えば、地図情報には、第2AGV20が走行する地下通路についての情報も含まれている。また、地図情報には、各施設の敷地内において、荷物の配送先となり得る各住戸または各オフィス等の各区画の位置情報が含まれる。また、荷物の配送先となり得る複数の配送ボックスが設置されている施設についての地図情報には、各配送ボックスの位置情報が含まれる。
【0031】
設備情報フィールドには、各施設において、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30のそれぞれが荷物の配送の際に利用可能な設備に関する情報(設備情報)が入力される。例えば、上述したマンションAについての施設情報には、第1AGV10が利用可能な設備として第1エレベータが入力されており、第2AGV20が利用可能な設備として第2エレベータが入力されている。
【0032】
また、管理サーバ100の制御部120は、選択部121および生成部122を含んでいる。制御部120は、荷物の配送先を含む所定の施設について施設情報を施設情報DB130から取得する。そして、選択部121が、取得された施設情報に基づいて、荷物を配送する第1モビリティを、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30の中から選択する。なお、第1モビリティの選択方法については後述する。
【0033】
そして、生成部122は、第1モビリティによって荷物を配送するための配送計画を生成する。このとき、配送計画は、選択部121によって選択されたモビリティを第1モビリティとして生成される。また、制御部120は、生成部122によって生成された配送計画を、通信部110を用いて、第1モビリティとして選択されたモビリティに送信する処理を行う。管理サーバ200から第1モビリティに配送計画が送信されることで、第1モビリティが配送計画に基づいて自律移動して荷物を配送することが可能となる。
【0034】
ここで、配送計画には、第1AGV10、第2AGV20、またはドローン30が荷物を搭載して出発する出発地点から配送先へ移動するための移動経路に関する情報が含まれる。また、この移動経路に関する情報には、第1AGV10、第2AGV20、またはドローン30の出発地点から、配送先が存在する所定の施設までの経路のみならず、所定の施設の敷地内での移動経路についての情報も含まれる。
【0035】
(情報処理のフロー)
以下、管理サーバ100において実行される情報処理のフローについて、図6に基づいて説明する。図6は、管理サーバ100の制御部120によって実行される情報処理のフローを示すフローチャートである。
【0036】
本フローでは、先ずS101において、荷物の配送先を含む所定の施設についての施設情報が施設情報DB130から取得される。次に、S102において、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30それぞれについて、所定の施設の敷地内における配送先への移動経路が、S101で取得された施設情報に基づいて導出される。ここで導出される第1AGV10の移動経路には、所定施設の敷地内の地上における移動経路が含まれる。また、ここで導出される第2AGV20の移動経路には、所定の施設の敷地内の地下における移動経路が含まれる。また、ここで導出されるドローン30の移動経路には、所定の施設の敷地内の上空における移動経路が含まれる。また、所定の施設内を移動するモビリティの移動経路には、所定の施設内における移動経路が含まれる。
【0037】
ここで、所定の施設の敷地内において、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30それぞれが通行可能な通路またはエリアはモビリティに応じて異なっている。ま
た、所定の施設において、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30それぞれが利用可能な設備もモビリティに応じて異なっている。そのため、所定の施設の敷地内における移動経路はモビリティに応じて異なる。そこで、S102においては、各モビリティについて、所定の施設の敷地内における配送先への移動経路が、施設情報に含まれる地図情報および設備情報に基づいて導出される。
【0038】
次に、S103において、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30それぞれについて、所定の施設の敷地内における、配送先への荷物の配送にかかる所要時間Trが推定される。このとき、各モビリティについての所要時間Trは、S102で導出された各モビリティについての所定の施設の敷地内における移動経路に基づいて算出される。つまり、第1AGV10についての所要時間Trは、所定の施設の敷地内における第1AGV10の移動経路に基づいて推定される。第2AGV20またはドローン30についての所要時間Trも同様に推定される。
【0039】
次に、S104において、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30に中から、荷物を配送する第1モビリティが選択される。このとき、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30のうち、S103で推定された所要時間Trが最も短いモビリティが第1モビリティとして選択される。なお、S102からS104の処理は選択部121によって実行される。
【0040】
次に、S105において、S104で選択された第1モビリティによって配送先に荷物を配送するための配送計画が生成される。なお、S105の処理は生成部122によって実行される。次に、S106において、S105で生成された配送計画が、第1モビリティとして選択された第1AGV10、第2AGV20、またはドローン30に送信される。
【0041】
上記のフローによれば、所定の施設内の配送先に荷物を配送する場合、第1AGV10、第2AGV20、およびドローン30のうち、所定の施設の敷地内における、配送先への荷物の配送にかかる所要時間Trが最も短いモビリティが第1モビリティとして選択される。これによれば、所定の施設の敷地内での移動に関して最も効率の高いモビリティを第1モビリティとして選択することができる。したがって、所定の施設内に存在する配送先に荷物を配送するモビリティとして、より好適なモビリティを選択することができる。
【0042】
なお、配送管理システム1においては、必ずしも、所要時間Trが最も短いモビリティが第1モビリティとして選択されなくてもよい。例えば、各モビリティについての所要時間Trに加え、配送すべき荷物の種類を踏まえて第1モビリティが選択されてもよい。また、所定の施設に対して配送すべき荷物が複数ある場合は、荷物毎に第1モビリティを割り当ててもよい。この場合、各モビリティについての所要時間Trと各荷物の配送の優先順位とに基づいて、第1モビリティの割り当てを決定してもよい。
【0043】
また、各モビリティについての所要時間Trが推定される際に、各モビリティについての所定の施設の敷地内における移動経路に加え、各移動経路の状況、および、各移動経路において各モビリティが利用する設備の状況を踏まえて、所要時間Trが算出されてもよい。例えば、いずれかのモビリティの移動経路上が人または他のモビリティで込み合っている場合は、その移動経路を移動するモビリティについての所要時間Trが長めに算出されてもよい。また、各移動経路の状況、および、各移動経路において各モビリティが利用する設備の状況を示す情報については、管理サーバ100が、所定の施設を管理する施設サーバからネットワークを経由して受信してもよい。
【0044】
なお、上記の実施形態では、配送管理システム1における複数種類の配送用モビリティ
をいずれも自律移動可能なモビリティとした。しかしながら、複数種類の配送用モビリティには、ドライバーによって運転される車両(ドライバー車両)が含まれていてもよい。このようなドライバー車両によって、例えば、マンションAのような施設内の配送先に荷物が配送される場合、施設のエントランス近傍でドライバー車両からドライバーが降車する。そして、施設内の配送先へはドライバーが徒歩で荷物を届けることが考えられる。このような場合、施設の敷地内でのドライバー車両の移動、および、施設内でのドライバーの徒歩移動の両方を踏まえて、ドライバー車両についての所要時間Trが推定される。
【0045】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0046】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0047】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0048】
1・・・配送管理システム
10・・第1AGV
20・・第2AGV
30・・第3AGV
100・・管理サーバ
110・・通信部
120・・制御部
130・・施設情報データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6