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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04303 20160101AFI20241001BHJP
   B60L 58/30 20190101ALI20241001BHJP
   B60L 58/40 20190101ALI20241001BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20241001BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20241001BHJP
   H01M 8/04664 20160101ALI20241001BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20241001BHJP
【FI】
H01M8/04303
B60L58/30
B60L58/40
H01M8/04228
H01M8/04537
H01M8/04664
H01M8/04858
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021164928
(22)【出願日】2021-10-06
(65)【公開番号】P2023055497
(43)【公開日】2023-04-18
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】富本 尚也
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-090823(JP,A)
【文献】特開2010-272449(JP,A)
【文献】特開2019-125437(JP,A)
【文献】特開2019-091602(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111332124(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/70 - 50/75
B60L 58/30 - 58/40
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
外部負荷と、
ダイオードと、前記ダイオードに直列接続されるスイッチと、前記ダイオードと前記スイッチとの接続点と前記燃料電池との間に接続されるインダクタと、前記ダイオード及び前記スイッチに並列接続されるコンデンサとを備え、前記燃料電池のスタック電圧が前記外部負荷の電圧より低い場合、前記スイッチが繰り返しオン、オフすることで前記スタック電圧を昇圧して前記外部負荷に出力し、前記スタック電圧が前記外部負荷の電圧より高い場合、前記スイッチを常時オフすることで前記スタック電圧を降圧して前記外部負荷に出力するDCDCコンバータと、
前記コンデンサに接続される蓄電装置と、
前記コンデンサと前記蓄電装置との間に接続されるリレーと、
前記コンデンサと前記リレーとの間に接続される内部負荷と、
前記内部負荷の駆動を制御することで前記燃料電池を発電させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、当該燃料電池システムのシャットダウン要求が入力されると、前記リレーを導通させた状態で前記スタック電圧が所定スタック電圧より小さくなるまで前記スタック電圧を制御するための電圧指令値を徐々に低下させるとともに前記内部負荷を駆動させた後、前記リレーを遮断させた状態で前記内部負荷の電圧が所定電圧より小さくなるまで前記内部負荷を駆動させる
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記内部負荷は、前記燃料電池から排出されるアノードガスを前記燃料電池に再度供給する循環ポンプである
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムであって、
前記制御部は、前記シャットダウン要求が入力されると、前記リレーを導通させた状態で前記電圧指令値が所定電圧指令値より小さくなるまで前記電圧指令値を徐々に低下させるとともに前記内部負荷を駆動させた後、前記リレーを導通させた状態で前記スタック電圧が前記所定スタック電圧より小さくなるまで前記内部負荷を駆動させた後、前記リレーを遮断させた状態で前記内部負荷の電圧が前記所定電圧より小さくなるまで前記内部負荷を駆動させる
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の燃料電池システムであって、
当該燃料電池システムは、車両に搭載され、
前記車両がキーオフすると、または、当該燃料電池システムにエラーが発生すると、または、前記車両の非常停止ボタンが押されると、または、前記車両側の制御システムが自動的に停止すると、前記シャットダウン要求が前記制御部に入力される
ことを特徴とする燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムとして、燃料電池システムの稼働時、燃料電池の電圧(スタック電圧)が外部負荷の電圧より低い場合、DCDCコンバータ内のスイッチが繰り返しオン、オフすることでスタック電圧が昇圧されて外部負荷に出力され、スタック電圧が外部負荷の電圧より高い場合、DCDCコンバータ内のスイッチが常時オフすることでスタック電圧が降圧されて外部負荷に出力されるものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
しかしながら、上記燃料電池システムでは、燃料電池システムのシャットダウン時、スタック電圧が比較的高くなってしまうと、燃料電池からDCDCコンバータを介して外部負荷に意図しない電流が流れるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-125437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一側面に係る目的は、燃料電池システムのシャットダウン時に燃料電池システムから外部負荷に意図しない電流が流れることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一つの形態である燃料電池システムは、燃料電池と、外部負荷と、ダイオードと、前記ダイオードに直列接続されるスイッチと、前記ダイオードと前記スイッチとの接続点と前記燃料電池との間に接続されるインダクタと、前記ダイオード及び前記スイッチに並列接続されるコンデンサとを備え、前記燃料電池のスタック電圧が前記外部負荷の電圧より低い場合、前記スイッチが繰り返しオン、オフすることで前記スタック電圧を昇圧して前記外部負荷に出力し、前記スタック電圧が前記外部負荷の電圧より高い場合、前記スイッチを常時オフすることで前記スタック電圧を降圧して前記外部負荷に出力するDCDCコンバータと、前記コンデンサに接続される蓄電装置と、前記コンデンサと前記蓄電装置との間に接続されるリレーと、前記コンデンサと前記リレーとの間に接続される内部負荷と、前記内部負荷の駆動を制御することで前記燃料電池を発電させる制御部とを備える。
【0007】
前記制御部は、当該燃料電池システムのシャットダウン要求が入力されると、前記リレーを導通させた状態で前記スタック電圧が所定スタック電圧より小さくなるまで前記スタック電圧を制御するための電圧指令値を徐々に低下させるとともに前記内部負荷を駆動させた後、前記リレーを遮断させた状態で前記内部負荷の電圧が所定電圧より小さくなるまで前記内部負荷を駆動させる。
【0008】
これにより、内部負荷の電圧より先にスタック電圧を低下させることができるため、スタック電圧が内部負荷の電圧より大きくなることを抑えることができ、燃料電池システムのシャットダウン時に燃料電池システムからDCDCコンバータを介して外部負荷に意図しない電流が流れることを抑制することができる。
【0009】
また、前記内部負荷を、前記燃料電池から排出されるアノードガスを前記燃料電池に再度供給する循環ポンプとしてもよい。
【0010】
これにより、スタック電圧及び内部負荷の電圧を低下させる処理と並行して燃料電池の掃気処理を同時に行うことができるため、スタック電圧及び内部負荷の電圧を低下させる処理と掃気処理とを順次行う場合に比べて、燃料電池システムのシャットダウンにかかる時間を短縮することができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記シャットダウン要求が入力されると、前記リレーを導通させた状態で前記電圧指令値が所定電圧指令値より小さくなるまで前記電圧指令値を徐々に低下させるとともに前記内部負荷を駆動させた後、前記リレーを導通させた状態で前記スタック電圧が前記所定スタック電圧より小さくなるまで前記内部負荷を駆動させた後、前記リレーを遮断させた状態で前記内部負荷の電圧が前記所定電圧より小さくなるまで前記内部負荷を駆動させるように構成してもよい。
【0012】
また、当該燃料電池システムは、車両に搭載され、前記車両がキーオフすると、または、当該燃料電池システムにエラーが発生すると、または、前記車両の非常停止ボタンが押されると、または、前記車両側の制御システムが自動的に停止すると、前記シャットダウン要求が前記制御部に入力されるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、燃料電池システムのシャットダウン時に燃料電池システムから外部負荷に意図しない電流が流れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の燃料電池システムの一例を示す図である。
図2】電圧変換部の一例を示す図である。
図3】発電停止時の制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
【0016】
図1は、実施形態の燃料電池車両の一例を示す図である。
【0017】
図1に示す燃料電池システム1は、車両Veに搭載され、外部負荷Loなどに電力を供給する。なお、車両Veは、フォークリフトなどの産業車両や自動車などとする。また、外部負荷Loは、走行用モータを駆動するインバータなどとする。
【0018】
また、燃料電池システム1は、燃料電池FCと、水素タンクHTと、水素タンク弁HTVと、インジェクタINJと、気液分離機GLSと、循環ポンプHPと、排気排水弁EDVと、希釈器DILと、エアコンプレッサACPと、エア調圧弁ARVと、エアシャット弁ASVとを備える。
【0019】
また、燃料電池システム1は、さらに、ラジエタRと、ファンFと、ウォータポンプWPと、インタークーラICと、DCDCコンバータCNVと、蓄電装置Bと、リレーReと、電流センサSifと、電圧センサSvfと、電流センサSibと、電圧センサSvbと、記憶部2と、制御部3とを備える。
【0020】
燃料電池FCは、互いに直列接続される複数の燃料電池セルにより構成される燃料電池であり、アノードガス(水素ガスなど)に含まれる水素とカソードガス(空気など)に含まれる酸素との電気化学反応により電気を発生させる。
【0021】
水素タンクHTは、アノードガスの貯蔵容器である。水素タンクHTに貯蔵されたアノードガスは水素タンク弁HTV及びインジェクタINJを介して燃料電池FCに供給される。
【0022】
水素タンク弁HTVは、燃料電池FCに供給されるアノードガスを減圧する。
【0023】
インジェクタINJは、燃料電池FCに供給されるアノードガスの流量を調整する。
【0024】
気液分離機GLSは、燃料電池FCから排出されるアノードガスと液水とを分離する。
【0025】
循環ポンプHPは、気液分離機GLSにより分離されたアノードガスを燃料電池FCに再度供給する。
【0026】
排気排水弁EDVは、気液分離機GLSにより分離された液水を希釈器DILに送る。希釈器DILに送られた液水は、希釈器DIL内のタンクに溜まる。また、燃料電池FCから排出されたアノードガスとカソードガスは希釈器DILで合流し、燃料電池システム1の外部に排出される。
【0027】
エアコンプレッサACPは、燃料電池システム1の周囲に存在するカソードガスを圧縮しインタークーラIC及びエアシャット弁ASVを介して燃料電池FCに供給する。なお、エアコンプレッサACPの圧縮率は、燃料電池FCの下流に設けられるエア調圧弁ARVの開度を調節することで制御される。
【0028】
インタークーラICは、圧縮により高温になったカソードガスをインタークーラICに流れる冷却水などの冷媒と熱交換させる。
【0029】
エアシャット弁ASVは、燃料電池FCに供給されるカソードガスを遮断する。なお、車両Veのイグニッションキーがオンしているとき、エアシャット弁ASVは常に全開になっているものとする。
【0030】
エア調圧弁ARVは、燃料電池FCに供給されるカソードガスの圧力や流量を調整する。
【0031】
ラジエタRは、燃料電池FCの発熱により温められた冷媒を外気と熱交換させる。
【0032】
ファンFは、ラジエタRの放熱量を上昇させる。
【0033】
ウォータポンプWPは、ラジエタRにより冷却された冷媒をインタークーラICを介して燃料電池FCに供給する。
【0034】
DCDCコンバータCNVは、燃料電池FCの後段に接続され、燃料電池FCから出力される電圧Vfを所定の電圧に変換する。DCDCコンバータCNVから出力される電力は、外部負荷Lo、循環ポンプHPなどの内部負荷(補機)、及び蓄電装置Bに供給される。例えば、DCDCコンバータCNVは、燃料電池FCの電圧を48[V]に変換する。DCDCコンバータCNVから出力される電力の一部は、48[V]系の内部負荷である循環ポンプHP、エアコンプレッサACP、及びウォータポンプWPに供給される。また、DCDCコンバータCNVにより48[V]に変換された電圧は、他のDCDCコンバータ(不図示)により12[V]の電圧に変換される。他のDCDCコンバータから出力される電力は、12[V]系の内部負荷であるファンF、エアシャット弁ASV、及びエア調圧弁ARVに供給される。
【0035】
ここで、図2は、DCDCコンバータCNVの一例を示す図である。
【0036】
図2に示すDCDCコンバータCNVは、ハイサイドのスイッチSWHと、スイッチSWHに並列接続されるダイオードDHと、スイッチSWHに直列接続されるローサイドのスイッチSWLと、スイッチSWLに並列接続されるダイオードDLと、スイッチSWH、SWLの接続点と燃料電池FCとの間に接続されるインダクタLと、スイッチSWH、SWLに並列接続されるコンデンサCとを備える。例えば、スイッチSWH、SWLがそれぞれMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)により構成される場合、ダイオードDH、DLはスイッチSWH、SWLの寄生ダイオードとする。
【0037】
制御部3は、燃料電池システム1の稼働時(燃料電池FCの発電制御時)、燃料電池FCのスタック電圧Vsが外部負荷Loより低い場合、スイッチSWHとスイッチSWLとを交互にオン、オフさせることで、燃料電池FCのスタック電圧Vsを昇圧させて外部負荷Loに出力する。また、制御部3は、燃料電池システム1の稼働時、燃料電池FCのスタック電圧Vsが外部負荷Loより高い場合、スイッチSWHとスイッチSWLとを常時オフさせることで、燃料電池FCのスタック電圧Vsを降圧させて外部負荷Loに出力する。あるいは、スイッチSWHをオンにし、ダイオードDHとスイッチSWHが並列に接続された状態で外部負荷Loに出力してもよい。
【0038】
なお、スイッチSWHを省略してもよい。このようにスイッチSWHを省略する場合、ダイオードDHのアノード端子はインダクタLとスイッチSWLとの接続点に接続され、ダイオードDHのカソード端子はコンデンサCの一方端に接続される。また、制御部3は、燃料電池システム1の稼働時、燃料電池FCのスタック電圧Vsが外部負荷Loより低い場合、スイッチSWLを繰り返しオン、オフさせることで、燃料電池FCのスタック電圧Vsを昇圧させて外部負荷Loに出力する。また、制御部3は、燃料電池システム1の稼働時、燃料電池FCのスタック電圧Vsが外部負荷Loより高い場合、スイッチSWLを常時オフさせることで、燃料電池FCのスタック電圧Vsを降圧させて外部負荷Loに出力する。
【0039】
また、図1に示す蓄電装置Bは、リチウムイオンキャパシタなどにより構成され、DCDCコンバータCNVと外部負荷Loとの間に接続されている。DCDCコンバータCNVから出力される電力と、48[V]系の内部負荷及び12[V]系の内部負荷にそれぞれ供給される電力の合計値との差に相当する供給電力が、燃料電池システム1の外部(例えば、車両Veに搭載される走行制御部4)から要求される要求電力より大きい場合、その供給電力のうち、要求電力分の電力が外部負荷Loに供給されるとともに、残りの電力が蓄電装置Bに供給される。DCDCコンバータCNVから蓄電装置Bに電力が供給されると、蓄電装置Bが充電され蓄電装置Bの状態変数Sが増加する。また、DCDCコンバータCNVから出力される電力と、48[V]系の内部負荷及び12[V]系の内部負荷にそれぞれ供給される電力の合計値との差に相当する供給電力が、燃料電池システム1の外部から要求される要求電力より小さい場合、その供給電力が外部負荷Loに供給されるとともに、足りない分の電力が蓄電装置Bから外部負荷Loに供給される。蓄電装置Bから外部負荷Loに電力が供給されると、蓄電装置Bが放電され蓄電装置Bの状態変数Sが減少する。なお、状態変数Sとは、蓄電装置Bの充電率[%](蓄電装置Bの満充電容量に対する残容量の割合)、または、蓄電装置Bに電流が流れていないときの蓄電装置Bの開回路電圧[V]、または、蓄電装置Bに電流が流れているときの蓄電装置Bの閉回路電圧[V]、または、蓄電装置Bに流れる電流の積算値[Ah]などとする。
【0040】
リレーReは、電磁式リレーなどにより構成される。リレーReの一方端子は、電圧センサSvf、電流センサSib、循環ポンプHPなどの内部負荷、及び外部負荷Loを介してDCDCコンバータCNVの出力端子(コンデンサC)に接続され、リレーReの他方端子は、蓄電装置Bに接続されている。すなわち、コンデンサCに蓄電装置Bが接続され、コンデンサCと蓄電装置Bとの間にリレーReが接続され、コンデンサCとリレーReとの間に外部負荷Loや内部負荷が接続されている。制御部3の指示によりリレーReが接続すると、電圧センサSvf、電流センサSib、内部負荷、外部負荷Lo、及びDCDCコンバータCNVと、蓄電装置Bとが電気的に接続される。一方、制御部3の指示によりリレーReが遮断すると、電圧センサSvf、電流センサSib、内部負荷、外部負荷Lo、及びDCDCコンバータCNVと、蓄電装置Bとが電気的に遮断される。
【0041】
電流センサSifは、シャント抵抗やホール素子などにより構成され、燃料電池FCからDCDCコンバータCNVに流れる電流Ifを検出し、その検出した電流Ifを制御部3に送る。
【0042】
電圧センサSvfは、分圧抵抗などにより構成され、燃料電池FCのスタック電圧Vsを検出し、その検出したスタック電圧Vsを制御部3に送る。
【0043】
電流センサSibは、シャント抵抗やホール素子などにより構成され、リレーReが接続されているとき、DCDCコンバータCNVから蓄電装置Bに流れる電流Ibまたは蓄電装置Bから外部負荷Loに流れる電流Ibを検出し、その検出した電流Ibを制御部3に送る。
【0044】
電圧センサSvbは、分圧抵抗などにより構成され、リレーReと蓄電装置Bとが直列接続された状態での蓄電装置Bの電圧Vbを検出し、その検出した電圧Vbを制御部3に送る。すなわち、リレーReが接続された場合は蓄電装置Bの電圧を監視し、リレーReが遮断された場合は、48V系における残留電荷(例えば、内部負荷に残留する電荷)に起因する電圧を測定する。
【0045】
記憶部2は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などにより構成される。
【0046】
制御部3は、マイクロコンピュータなどにより構成される。
【0047】
また、制御部3は、燃料電池システム1の稼働時、蓄電装置Bの状態変数Sに応じて目標発電電力Ptを段階的に変化させる。
【0048】
また、制御部3は、燃料電池システム1の稼働時、燃料電池FCの発電電力が目標発電電力Ptに追従するように、48[V]系の内部負荷や12[V]系の内部負荷の動作を制御する。例えば、制御部3は、燃料電池システム1の稼働時、PI(Proportional-Integral)制御により、燃料電池FCの発電電力と目標発電電力Ptとの差がゼロになるように、48[V]系の内部負荷や12[V]系の内部負荷の動作を制御する。
【0049】
また、制御部3は、燃料電池システム1のシャットダウン要求が入力されると、燃料電池システム1から外部負荷Loに電力が供給されないように燃料電池FCの発電を停止させるとともにリレーReを遮断させる。
【0050】
また、制御部3は、燃料電池システム1のシャットダウン要求が入力されると、燃料電池FCの劣化を抑制するために燃料電池FCのスタック電圧Vsを低下させる。
【0051】
仮に、燃料電池システム1のシャットダウン時において、燃料電池FCのスタック電圧Vsが内部負荷の電圧より大きくなると、燃料電池FC内の残留ガスの反応により燃料電池FCからDCDCコンバータCNVのインダクタL及びダイオードDHを介して外部負荷Loに意図しない電流が流れてしまう。
【0052】
そこで、実施形態の制御部3では、燃料電池システム1のシャットダウン要求が入力されると、燃料電池FCのスタック電圧Vsを内部負荷の電圧(48[V]系の内部負荷や12[V]系の内部負荷の電圧)より先に低下させる。
【0053】
これにより、燃料電池システム1のシャットダウン時、燃料電池FCのスタック電圧Vsが内部負荷の電圧より大きくなることを抑制することができるため、燃料電池システム1から外部負荷Loに意図しない電流が流れることを抑制することができる。
【0054】
ここで、図3は、燃料電池システム1のシャットダウン時の制御部3の動作の一例を示すフローチャートである。なお、所定電圧指令値Vs*th>所定スタック電圧Vsth≧所定電圧Vbthとする。また、リレーReは導通しているものとする。
【0055】
まず、制御部3は、燃料電池システム1のシャットダウン要求が入力されると(ステップS11:Yes)、スタック電圧Vsを記憶部2に格納するとともに、電圧指令値Vs*を漸減(徐々に低下)させるとともに、循環ポンプHPを駆動させることで燃料電池FC内の掃気処理を行う(ステップS12)。例えば、車両Veがキーオフすると、または、燃料電池システム1にエラーが発生すると、または、車両Veの非常停止ボタンが押されると、または、車両Ve側の制御システムが自動的に停止すると、シャットダウン要求が制御部3に入力されるものとする。なお、車両Veの状態がアイドル状態になってから所定時間経過すると、車両Ve側の制御システムが自動的に停止するものとする。また、制御部3は、スタック電圧Vsが電圧指令値Vs*に追従するように48V系の内部負荷や12V系の内部負荷の動作を制御する。そのため、ステップS12が繰り返し実行されると、電圧指令値Vs*が徐々に低下するため、スタック電圧Vsも徐々に低下する。また、ステップS12では、掃気処理が行われるため、燃料電池FCに溜まった液水が燃料電池FCの外部に排出される。
【0056】
次に、制御部3は、電圧指令値Vs*が所定電圧指令値Vs*th以上である場合(ステップS13:No)、ステップS12の処理を繰り返し実行し、電圧指令値Vs*が所定電圧指令値Vs*thより小さくなると(ステップS13:Yes)、電圧指令値Vs*を所定電圧指令値Vs*thに維持するとともに、循環ポンプHPを駆動させることで燃料電池FC内の掃気処理を行う(ステップS14)。循環ポンプHPが駆動することにより、燃料電池FCの発電電力や蓄電装置Bの電力が消費されるため、スタック電圧Vsや蓄電装置Bの電圧Vbが低下する。そのため、ステップS14が繰り返し実行されると、スタック電圧Vsや蓄電装置Bの電圧Vbが徐々に低下する。また、ステップS14では、掃気処理が行われるため、燃料電池FCに溜まった液水が燃料電池FCの外部に排出される。
【0057】
次に、制御部3は、スタック電圧Vsが所定スタック電圧Vsth以上である場合(ステップS15:No)、ステップS14の処理を繰り返し実行し、スタック電圧Vsが所定スタック電圧Vsthより小さくなると(ステップS15:Yes)、リレーReを遮断するとともに、循環ポンプHPを駆動させることで燃料電池FC内の掃気処理を行う(ステップS16)。リレーReが遮断された状態で、循環ポンプHPが駆動すると、48V系の残留電荷(48[V]系の内部負荷に残留する電荷)のみが消費されるため、電圧センサSvbが検出する電圧Vb、すなわち48V系の電圧(48[V]系の内部負荷の電圧)が低下する。そのため、ステップS16が繰り返し実行されると、48V系の電圧(48[V]系の内部負荷の電圧)が徐々に低下する。また、ステップS16では、掃気処理が行われるため、燃料電池FCに溜まった液水が燃料電池FCの外部に排出される。
【0058】
そして、制御部3は、電圧センサSvbが検出する電圧Vbが所定電圧Vbth以上である場合(ステップS17:No)、ステップS16の処理を繰り返し実行し、電圧Vbが所定電圧Vbthより小さくなると(ステップS17:Yes)、燃料電池システム1のシャットダウン処理を終了する。
【0059】
このように、実施形態の燃料電池システム1では、燃料電池システム1のシャットダウン要求が入力されると、リレーReを導通させた状態で電圧指令値Vs*が所定電圧指令値Vs*thより小さくなるまで電圧指令値Vs*を徐々に低下させるとともに循環ポンプHPを駆動させる。その後、燃料電池システム1は、リレーReを導通させた状態でスタック電圧Vsが所定スタック電圧Vsthより小さくなるまで循環ポンプHPを駆動させた後、リレーReを遮断させた状態で電圧センサSvbが検出する電圧Vb(内部負荷の電圧)が所定電圧Vbthより小さくなるまで循環ポンプHPを駆動させる。これにより、燃料電池システム1のシャットダウン時、内部負荷の電圧より先にスタック電圧Vsを低下させることができるため、スタック電圧Vsが内部負荷の電圧より大きくなることを抑制することができ、燃料電池システム1からDCDCコンバータCNVを介して外部負荷Loに意図しない電流が流れることを抑制することができる。
【0060】
また、実施形態の燃料電池システム1では、燃料電池システム1のシャットダウン時、スタック電圧Vsや内部負荷の電圧を低下させる処理と、燃料電池FCの掃気処理とを並行して実行する構成であるため、スタック電圧Vsや内部負荷の電圧を低下させる処理と、燃料電池FCの掃気処理とを直列に順次実行する場合に比べて、燃料電池システム1のシャットダウンにかかる時間を短縮することができる。
【0061】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0062】
<変形例1>
図3に示すフローチャートにおいて、ステップS13、S14を省略してもよい。すなわち、制御部3は、燃料電池システム1のシャットダウン時、リレーReを導通させた状態で燃料電池FCのスタック電圧Vsが所定スタック電圧Vsthより小さくなるまで電圧指令値Vs*を漸減(徐々に低下)させるとともに循環ポンプHPを駆動させた後、リレーReを遮断させた状態で電圧センサSvbが検出する電圧Vb(内部負荷の電圧)が所定電圧Vbthより小さくなるまで循環ポンプHPを駆動させるように構成してもよい。
【0063】
このように構成しても、燃料電池システム1のシャットダウン時、内部負荷の電圧より先にスタック電圧Vsを低下させることができるため、スタック電圧Vsが内部負荷の電圧より大きくなることを抑制することができ、燃料電池システム1からDCDCコンバータCNVを介して外部負荷Loに意図しない電流が流れることを抑制することができる。
【0064】
<変形例2>
上記実施形態では、残留電荷を抜くための内部負荷として、循環ポンプHPが用いられているが、残留電荷を抜くための内部負荷として循環ポンプHP以外の内部負荷(例えば、エアコンプレッサACPまたはウォータポンプWPなど)を用いてもよい。
【0065】
<変形例3>
上記実施形態の燃料電池システム1は、車両Veに搭載される外部負荷Loに電力を供給する発電機として構成しているが、燃料電池システム1を、商用電源と協働して燃料電池システム1の外部に設けられる負荷に電力を供給する定置発電機として構成してもよい。その場合、制御部が負荷の要求電力量を監視し、要求電力量が所定電力閾値以上、かつ所定時間以上継続場合に、高負荷状態であると判断するのが好ましい。
【符号の説明】
【0066】
1 燃料電池システム
2 記憶部
3 制御部
4 走行制御部
Ve 車両
Lo 外部負荷
FC 燃料電池
HT 水素タンク
HTV 水素タンク弁
INJ インジェクタ
GLS 気液分離機
HP 循環ポンプ
EDV 排気排水弁
DIL 希釈器
ACP エアコンプレッサ
ARV エア調圧弁
ASV エアシャット弁
R ラジエタ
F ファン
WP ウォータポンプ
IC インタークーラ
CNV DCDCコンバータ
B 蓄電装置
Re リレー
Sif、Sib 電流センサ
Svf、Svb 電圧センサ
図1
図2
図3