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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】作業支援装置及び作業支援方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20241001BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241001BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B65G1/137 G
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021165539
(22)【出願日】2021-10-07
(65)【公開番号】P2023056275
(43)【公開日】2023-04-19
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高垣 昌之
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 公史
(72)【発明者】
【氏名】増子 亘
(72)【発明者】
【氏名】三石 善生
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-128646(JP,A)
【文献】特開2020-132385(JP,A)
【文献】特開2018-056252(JP,A)
【文献】特許第5575699(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G06Q 50/04
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品に組み立てられる複数の各部品の大きさ及び配置の向きに関する情報、並びに、前記製品への各部品の組立順の情報に基づいて、組み立て前の前記部品が配置される部品置き場における各部品の配置位置を示す配置位置情報を生成する配置位置情報生成部と、
部品情報読み取り部によって読み取られた前記部品の部品情報と、前記配置位置情報とに基づいて、前記部品情報が読み取られた部品の前記部品置き場における配置位置を特定するとともに、特定した前記配置位置及び向き、二次元又は三次元の映像によって前記部品置き場に投影する指示を、映像を投影する投影部に出力する配置位置決定部と、
前記部品置き場の近傍に配置されたエリアセンサーによる検知情報に基づいて、前記部品を前記製品に組み立てる組立作業者による前記部品の前記部品置き場からの取り出し動作を検知し、前記取り出し動作の検知情報と、前記組み立て作業を指示した作業指示の情報とに基づいて、取り出された前記部品と該部品が取り付けられた前記製品との対応情報を取得する作業情報取得部と、を備え、
前記配置位置情報に示される前記部品置き場における各部品の配置位置及び配置の方向は、前記組立順の各順序と対応付けられおり、
前記作業情報取得部は、前記取り出し動作が検知された日時の情報に基づいて算出した前記部品の1つあたりの組み立て作業時間と、前記組み立て作業を指示した作業指示の情報とに基づいて、前記組み立て作業の進捗を示す作業情報を取得する
作業支援装置。
【請求項2】
前記投影部が投影する前記映像は、前記部品置き場に前記部品を配置する配置作業者が装着するウェアラブルデバイスの画面上に映し出される映像である
請求項に記載の作業支援装置。
【請求項3】
製品に組み立てられる複数の各部品の大きさ及び配置の向きに関する情報、並びに、前記製品への各部品の組立順の情報に基づいて、部品置き場における各部品の配置位置を示す配置位置情報を配置位置情報生成部が生成する手順と、
部品情報読み取り部によって読み取られた前記部品の部品情報と、前記配置位置情報とに基づいて、前記部品情報が読み取られた部品の前記部品置き場における配置位置を特定するとともに、特定した前記配置位置及び向き、二次元又は三次元の映像によって前記部品置き場に投影する指示を、映像を投影する投影部に配置位置決定部が出力する手順と、
前記部品置き場の近傍に配置されたエリアセンサーによる検知情報に基づいて、前記部品を前記製品に組み立てる組立作業者による前記部品の前記部品置き場からの取り出し動作を検知し、前記取り出し動作の検知情報と、前記組み立て作業を指示した作業指示の情報とに基づいて、取り出された前記部品と該部品が取り付けられた前記製品との対応情報を作業情報取得部が取得する手順と、を含み、
前記配置位置情報に示される前記部品置き場における各部品の配置位置及び配置の方向は、前記組立順の各順序と対応付けられおり、
前記作業情報取得部は、前記取り出し動作が検知された日時の情報に基づいて算出した前記部品の1つあたりの組み立て作業時間と、前記組み立て作業を指示した作業指示の情報とに基づいて、前記組み立て作業の進捗を示す作業情報を取得する
作業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援装置及び作業支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な部品を組み立てて製品を製造する製造現場において、作業者が組み立てを行う部品は、部品供給台車に搭載されて作業者に提供される。部品供給台車においては、一つの製品の単位で部品がまとめられていることが一般的である。したがって、作業者は、部品の組み立てを行う場合には、作業指示の図面を確認しながら、作業対象の部品を部品供給台車から探し出してピックアップする必要があった。つまり、部品のピックアップに多くの時間を要していた。
【0003】
例えば、特許文献1には、製品を構成する複数の部品を配膳するための表示データに基づいて、製品を構成する複数の部品の配膳場所を表示する電子表示媒体を有する配膳マットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5743747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、部品置き場としての配膳台の棚の数と同数の配膳マットが必要となり、部品点数が多い場合等には特に、配膳マットの費用がかさんでしまう。また、特許文献1に記載の技術では、配膳台に部品を配膳(配置)する配膳作業者が配膳マット上に部品を配膳する場合に、配膳マット上に表示された部品の配膳位置を探す必要があるため、部品の配膳作業に時間を要してしまう。
【0006】
本発明は、上記の状況を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、配膳作業者が、部品置き場への部品の配置を効率よく行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る作業支援装置は、製品に組み立てられる複数の各部品の大きさに関する情報、及び、製品への各部品の組立順の情報に基づいて、組み立て前の部品が配置される部品置き場における各部品の配置位置を示す配置位置情報を生成する配置位置情報生成部と、部品情報読み取り部によって読み取られた部品の部品情報と、配置位置情報とに基づいて、部品情報が読み取られた部品の部品置き場における配置位置を特定するとともに、特定した配置位置を映像によって示す指示を、映像を投影する投影部に出力する配置位置決定部と、部品置き場の近傍に配置されたエリアセンサーによる検知情報に基づいて、部品を製品に組み立てる組立作業者による部品の部品置き場からの取り出し動作を検知し、取り出し動作の検知情報と、組み立て作業を指示した作業指示の情報とに基づいて、取り出された部品と該部品が取り付けられた製品との対応情報を取得する作業情報取得部と、を備える。そして、配置位置情報に示される部品置き場における各部品の配置位置及び配置の方向は、組立順の各順序と対応付けられおり、作業情報取得部は、取り出し動作が検知された日時の情報に基づいて算出した部品の1つあたりの組み立て作業時間と、組み立て作業を指示した作業指示の情報とに基づいて、組み立て作業の進捗を示す作業情報を取得する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る作業支援方法は、製品に組み立てられる複数の各部品の大きさに関する情報、及び、製品への各部品の組立順の情報に基づいて、部品置き場における各部品の配置位置を示す配置位置情報を配置位置情報生成部が生成する手順と、部品情報読み取り部によって読み取られた部品の部品情報と、配置位置情報とに基づいて、部品情報が読み取られた部品の部品置き場における配置位置を特定するとともに、特定した配置位置を映像によって示す指示を、映像を投影する投影部に配置位置決定部が出力する手順と、部品置き場の近傍に配置されたエリアセンサーによる検知情報に基づいて、部品を製品に組み立てる組立作業者による部品の部品置き場からの取り出し動作を検知し、取り出し動作の検知情報と、組み立て作業を指示した作業指示の情報とに基づいて、取り出された部品と該部品が取り付けられた製品との対応情報を作業情報取得部が取得する手順と、を含む。そして、配置位置情報に示される部品置き場における各部品の配置位置及び配置の方向は、組立順の各順序と対応付けられおり、作業情報取得部は、取り出し動作が検知された日時の情報に基づいて算出した部品の1つあたりの組み立て作業時間と、組み立て作業を指示した作業指示の情報とに基づいて、組み立て作業の進捗を示す作業情報を取得する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一態様によれば、配膳作業者が、部品置き場への部品の配膳を効率よく行えるようになる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る作業支援システムの構成例を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る部品棚押し出し機構の構成、並びに、部品供給台車、部品棚押し出し機構及び投影部の配置位置の例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る作業支援装置を構成するハードウェアの構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る組立順DBの構成例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る部品情報DBの構成例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る部品配置図の構成例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る部品の投影像の部品棚への投影例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る部品の投影像の部品棚への投影例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る作業支援装置による配膳作業支援方法の手順の例を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態に係る作業支援装置による組み立て作業支援方法の手順の例を示すフローチャートである。
図11】本発明の変形例に係る三次元の投影像の投影例を示す図である。
図12】本発明の変形例に係るポインタによる投影像の投影例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の例について、添付図面を参照しながら説明する。本発明は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値等は例示である。また、本明細書及び図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0012】
<作業支援システムの構成>
まず、図1を参照して、本実施形態に係る作業支援システム100の構成について説明する。図1は、作業支援システム100の構成例を示す概略図である。
【0013】
作業支援システム100は、製品を構成する各部品Pの部品供給台車3への配膳作業、及び、部品供給台車3から取り出した部品Pの組み立て作業の支援を行うシステムである。図1に示すように、作業支援システム100は、作業支援装置1と、部品Pに取り付けられた荷札Tgを読み込むバーコードリーダー2と、部品供給台車3と、部品棚押し出し機構4と、投影部5と、を含む。
【0014】
作業支援装置1は、例えばPC(Personal Computer)等で構成され、部品Pの部品供給台車3への配膳作業を行う配膳作業者(図示略)が使用する、不図示の配膳作業台等に設置される。
【0015】
本実施形態では、配膳作業者は、製品ごとに纏められた部品Pを不図示の台車や箱などから取り出して、該部品Pの荷札Tgをバーコードリーダー2で読み取る。そして、その後投影部5によって部品供給台車3の部品棚31(31a~31c)に投影された部品Pの投影像Ipの位置に、部品Pを配置する。
【0016】
製品を構成するすべての部品Pが配膳作業者によって部品供給台車3の部品棚31に配置された後、組立作業者(図示略)は、部品供給台車3の部品棚31に配置された部品Pを、部品棚31に配置された順(左から右、上から下等)に沿って取り出して組み立て(製品への組み付け)を行う。
【0017】
また、作業支援装置1は、組立順DB(Database)11と、部品情報DB12と、配置位置情報生成部13と、配置位置決定部14と、作業情報取得部15と、を含む。作業支援装置1を構成するこれらの各部は、LAN(Local Area Network)等で構成されるネットワークNを介して互いに通信可能に接続される。
【0018】
組立順DB11は、組み立て作業の工程における各部品Pの組立順の情報などを格納したデータベースである。組立順DB11については、後述の図4を参照して詳述する。
【0019】
部品情報DB12は、部品Pを識別する部品コードや、部品Pの外形寸法(大きさの一例、以下、単に「寸法」と称する)、部品供給台車3へ配膳される場合における配置の向きなどの、部品Pに関する情報を格納したデータベースである。部品情報DB12については、後述の図5を参照して詳述する。
【0020】
配置位置情報生成部13は、組立順DB11及び部品情報DB12を参照して、部品供給台車3の部品棚31a~31cにおける各部品Pの配置位置を決定する。そして、配置位置情報生成部13は、部品棚31a~31cにおける各部品Pの配置位置を示す部品配置図Lo(部品配置情報の一例、図6参照)を生成する。
【0021】
具体的には、配置位置情報生成部13は、部品棚31a~31cの各サイズの情報、部品Pの寸法(大きさの一例)の情報、部品棚31a~31cにおける部品Pの配置間隔の情報、及び、製品に組み立てられる場合における組立順の情報等に基づいて、部品棚31a~31cにおける部品Pの配置位置を決定する。
【0022】
部品棚31a~31cにおける部品Pの配置位置は、製品への組立順における各順序と対応付けられている。具体的には、組立順が早いものから順に、左から右、かつ、上から下に配置されるように、配置位置が定義されている。部品Pの配置間隔や、部品Pの配置順の情報などは、不図示の設定情報DB等に格納されているものとする。
【0023】
なお、部品棚31における部品Pの配置位置と組立順との対応例はこの例に限定されない。例えば、組立順が早いものから順に、左から右、かつ、下から上に配置されるように、配置位置が定義されてもよい。
【0024】
配置位置決定部14は、バーコードリーダー2が荷札Tgから読み取った部品Pに関する情報(部品情報の一例)と、部品配置図Loの情報とに基づいて、部品情報が読み取られた部品P(これから部品棚31に配置される部品P)の部品棚31a~31cにおける配置位置を決定する。そして、配置位置決定部14は、部品棚31a~31cうちの部品Pの配置位置を含む棚を押し出す指示を、部品棚押し出し機構4に出力する。さらに、配置位置決定部14は、該配置位置に投影像を投影する指示を、投影部5に出力する。
【0025】
作業情報取得部15は、部品供給台車3に設けられたエリアセンサー32a及び32bによる検知情報と、組立順DB11の情報と、組み立てを指示した作業指示の情報と、に基づいて、どの部品Pがどの製品に組み込まれたかを示す、部品Pと製品との対応情報を取得する。
【0026】
また、作業情報取得部15は、エリアセンサー32a及び32bによる検知情報と、組立順DB11の情報とに基づいて、部品Pの組立作業者による組み立て作業の進捗情報を取得する。具体的には、作業情報取得部15は、部品Pが組立作業者によって部品供給台車3の部品棚31a~31cからピックアップされた時のタイムスタンプ(日時の一例)の情報に基づいて、部品P1つあたりの組み立て作業時間を算出する。これにより、作業情報取得部15は、組立作業者による組み立て作業の作業効率の情報や、作業の進捗を示す情報を取得することができる。
【0027】
組立作業者によって部品棚31a~31cのいずれかから部品Pがピックアップされたタイミングは、すなわち、エリアセンサー32a及び32bによって、部品棚31a~31cから取り出される部品Pが検知されたタイミングである。
【0028】
バーコードリーダー2(部品情報読取部の一例)は、ネットワークNを介して作業支援装置1と接続され、例えば、不図示の配膳作業台における所定の位置に配置される。バーコードリーダー2は、部品供給台車3に配膳される部品Pに取り付けられた部品荷札Tg上のバーコードを読み取り、読み取ったバーコードの情報を作業支援装置1に送信する。部品荷札Tg上のバーコードには、部品Pを特定する部品コード等の識別情報や、部品Pが組み込まれる製品の情報などが記載されている。
【0029】
なお、本実施形態では、部品Pの識別情報等がバーコードによって示される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。部品Pの識別情報等は、QRコード(登録商標)等の二次元コードや、IC(Integrated Circuit)タグ、RF(Radio Frequency)等に組み込まれてもよい。
【0030】
部品供給台車3(部品置き場の一例)は、製品に組み立てられる前の部品Pが配置される台車である。部品供給台車3は、部品棚31a~31cを備える。部品棚31a~31cは、部品棚31a~31cの並び順で、鉛直方向の上から下の方向に互いに所定の等間隔を空けて配置される。以下、部品棚31a~31cをそれぞれ区別する必要がない場合には、これらを部品棚31と総称する。
【0031】
部品棚31の短手方向にある2つの端面は、それぞれ枠30a及び30bによって支持されている。また、部品棚31の長手方向にある2つの端面のうち、一方の端面は、枠30cによって支持されている。部品Pの配膳作業者及び組立作業者は、枠30cによって支持されていない端面がある、部品供給台車3の開口部の方向に位置して、配膳作業又は組み立て作業を行う。
【0032】
また、部品供給台車3は、枠30a及び30bの上部にそれぞれ設けられたエリアセンサー32a及び32bを有する。エリアセンサー32a及び32bは、一方が不図示の投光部を備え、他方が不図示の受光部を備える。そして、エリアセンサー32a及び32bは、投光部から投光された光の受光部における受光量の変化の情報に基づいて、組立作業者による部品Pのピックアップ(取り出し)動作を検知する。
【0033】
エリアセンサー32a及び32bは、組立作業者による部品Pのピックアップ動作を検知すると、ピックアップされた部品Pの位置(部品棚31の平面における座標)の情報も出力する。以下の説明において、エリアセンサー32a及び32bを区別する必要がない場合には、これらをエリアセンサー32と総称する。
【0034】
エリアセンサー32から情報を受け取った作業情報取得部15は、ピックアップされた部品Pの位置の情報と、配置位置情報生成部13によって生成された部品配置図Lo(図6参照)における部品の座標の情報とに基づいて、組立作業者によってピックアップされた部品Pを特定する。
【0035】
部品棚押し出し機構4は、有線又は無線によってネットワークNと接続されており、配置位置決定部14から出力された指示に基づいて、押し出しが指示された部品棚31を組立作業者の方向(部品供給台車3の開口部の方向)に押し出す。部品棚押し出し機構4の構成については、次の図2を参照して詳述する。
【0036】
投影部5は、例えばプロジェクタで構成され、部品供給台車3の開口部の方向に配置された棒状の支柱51によって支持されている。投影部5は、配置位置決定部14によって指示された部品棚31の平面上における部品Pの配置位置に、部品Pの形を示した2次元の投影像Ipを投射する。
【0037】
図1には、部品棚31bの手前側の中央付近に、投影部5による投影像Ipが投影された状態が示されている。投影部5によって、このような投影像Ipが投影されることにより、配膳作業者は、部品Pを部品棚31上の適切な位置に配膳(配置)することができる。
【0038】
次に、図2を参照して、部品棚押し出し機構4の構成、並びに、部品供給台車3、部品棚押し出し機構4及び投影部5の配置位置について説明する。図2は、部品棚押し出し機構4の構成、並びに、部品供給台車3、部品棚押し出し機構4及び投影部5の配置位置の例を示す図であり、図2Aは上面図であり、図2Bは側面図である。図2に示すx方向は部品供給台車3の幅方向を示し、y方向は奥行き方向を示し、z方向は高さ方向を示す。
【0039】
部品供給台車3の開口部がある方向を部品供給台車3の前方とした場合、部品棚押し出し機構4は、図2A及び図2Bに示すように部品供給台車3の後方(図2A及び図2Bにおける右側)に配置される。部品棚押し出し機構4は、x方向に所定の間隔で平行に配置されたガイドレール44a及び44bと、ガイドレールシリンダ44a及び44bを支持する2本の棒状のスライダ42a及び42bと、スライダ42a及び42bのそれぞれの両端部を支持する支柱43a~43dと、を備える。
【0040】
ガイドレール44a及び44bはそれぞれ、棒状のシリンダ41a及び41bを移動可能に支持する。シリンダ41a及び41bはそれぞれ、ガイドレール44a及び44bに沿って水平方向(y方向)に移動することで、部品供給台車3の部品棚31を後方から前方に押し出す機構である。スライダ42a及び42bは、ガイドレールシリンダ44a及び44bと直交する位置に、y方向に所定の間隔を空けて平行に配置される。部品供給台車3側に配置されたスライダ42aの一端部は支柱43aによって支持され、他端部は支柱43cによって支持される。また、スライダ42bの一端部は支柱43bによって支持され、他端部は支柱43dによって支持される。スライダ42a及び42bは、支柱43a,43c及び支柱43b,43dのそれぞれに対して、鉛直方向(z方向)に移動可能に支持されている。
【0041】
投影部5は、部品供給台車3の前方における所定の位置に配置され、部品棚31の平面における、配置位置決定部14によって指示された位置に、部品Pの投影像Ipを投影する。
【0042】
<計算機のハードウェア構成>
次に、図1に示した作業支援装置1を構成するハードウェアの構成について、図3を参照して説明する。図3は、作業支援装置1を構成するハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0043】
図3に示す計算機50は、作業支援装置1で使用されるコンピュータとして用いられるハードウェアである。計算機50は、CPU(Central Processing Unitp)501、と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、を含む。さらに、計算機50は、不揮発性ストレージ504と、操作入力部505と、表示部506と、ネットワークインターフェース507と、を含む。これらの各ブロックは、バスBを介して相互に通信可能に接続されている。
【0044】
CPU501は、本実施の形態に係る作業支援装置1の各機能を実現するソフトウェアのプログラムをROM502から読み出し、該プログラムをRAM503にロードして実行する。作業支援装置1の配置位置情報生成部13、配置位置決定部14及び作業情報取得部15(いずれも図1参照)の機能は、CPU501がプログラムを実行することにより実現される。
【0045】
ROM502は、計算機50によって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。ROM502には、OS(Operating System)、各種のパラメータ、計算機50を機能させるためのプログラム等が記録される。
【0046】
RAM503には、CPU501の演算処理の途中で発生した変数やパラメータなどが一時的に書き込まれる。RAM503に書き込まれた変数やパラメータなどは、CPU501によって適宜読み出される。
【0047】
不揮発性ストレージ504は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリ等で構成される。作業支援装置1の組立順DB11、部品情報DB12(いずれも図1参照)の機能は、不揮発性ストレージ504により実現される。なお、ROM502に記憶されるプログラムは、不揮発性ストレージ504に記憶されてもよい。この場合、不揮発性ストレージ504は、計算機50によって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0048】
操作入力部505は、例えば、マウスやキーボードなどで構成される。操作入力部505は、配膳作業者又は組立作業者等のユーザにより入力された操作の内容に応じた操作信号を生成し、該操作信号をCPU501に出力する。
【0049】
表示部506は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどで構成される表示装置である。なお、操作入力部505及び表示部506は、タッチパネルとして一体に形成されてもよい。
【0050】
ネットワークインターフェース507は、例えば、NIC(Network Interface Card)等で構成される。
【0051】
<組立順DBの構成>
次に、図4を参照して、組立順DB11の構成について説明する。図4は、組立順DB11の構成例を示す図である。図4に示すように、組立順DB11は、「製品名」、「部品コード」、「部品名」、「組立順」及び「員数」の各項目を有する。
【0052】
「製品名」の項目には、部品Pが取り付け(組み立て)られる製品の名称が格納される。「製品名」の項目は、不図示の作業指示書における製品名の情報と対応付けられている。「部品コード」の項目には、部品の識別情報としての部品コード(部品情報の一例)の情報が格納される。「部品名」の項目には、部品Pの名称が格納される。「組立順」の項目には、製品の組み立て時における部品Pの組立順の情報が格納される。「員数」の項目には、製品におけるその部品Pの必要個数の情報が格納される。
【0053】
例えば、組立順DB11の一番上のレコードには、部品コードが“1234567”であり、部品名が“リレー”である部品Pは、製品名が“制御盤1”である製品を構成する部品であり、組立順は“1番目”であり、員数は“6”個であることが示されている。なお、組立順DB11を構成する項目は図4に示される例に限定されず、これら以外の項目が含まれてもよい。
【0054】
<部品情報DBの構成>
次に、図5を参照して、部品情報DB12の構成について説明する。図5は、部品情報DB12の構成例を示す図である。図5に示すように、部品情報DB12は、「部品コード」、「部品名」、「寸法W」、「寸法D」、「寸法H」、「重量」及び「向き」の各項目を有する。
【0055】
「部品コード」の項目には、部品Pの部品コードの情報が格納される。「部品コード」の項目は、組立順DB11の「部品コード」の項目と対応付けられている。「部品名」の項目には、部品Pの名称が格納される。「寸法W」の項目には、部品Pの幅の長さ(mm)の情報が格納され、「寸法D」の項目には、部品Pの奥行きの長さ(mm)の情報が格納され、「寸法H」の項目には、部品Pの高さ(mm)の情報が格納される。「重量」の項目には、部品Pの重量()の情報が格納され、「向き」の項目には、部品Pが製品に取り付けられる場合における部品Pの向きの情報が格納される。
【0056】
例えば、部品情報DB12の一番上のレコードには、部品コードが“1234567”であり、部品名が“リレー”である部品の幅は“32mm”であり、奥行きは“28mm”であり、高さは“46mm”であり、重量は“105g”であることが示されている。また、製品に取り付けられる場合における部品Pの向きは、“縦”向きであることが示されている。
【0057】
部品Pを部品供給台車3の部品棚31(図1参照)に配膳する配膳作業者は、部品Pを、部品情報DB12の「向き」の項目に示された向きと同じ向きで部品棚31に配置する。これにより、部品棚31から部品Pを取り出して組み立て作業を行う組立作業者が、正しい向きで部品Pを製品に取り付けることが可能になる。
【0058】
<部品配置図の構成>
次に、図6を参照して、配置位置情報生成部13(図1参照)によって生成される部品配置図Loについて説明する。図6は、部品配置図Loの構成例を示す図である。
【0059】
図6に示すように、部品配置図Lo(部品位置情報の一例)は、部品配置図Lo1~部品配置図Lo3を含む。図6の一番上に示す部品配置図Lo1は、部品供給台車3の最上段の部品棚31aにおける部品Pの配置位置を示す図面であり、図6の上から二番目に示す部品配置図Lo2は、部品供給台車3の上から二段目の部品棚31bにおける部品Pの配置位置を示す図面である。図6の一番下に示す部品配置図Lo3は、部品供給台車3の最下段の部品棚31cにおける部品Pの配置位置を示す図面である。
【0060】
部品配置図Lo1~Lo3のそれぞれに、矩形の枠によって示された部品図は、部品Pの大きさ、配置位置及び配置の向きを示す。そして、部品配置図Lo1~Lo3に示される各部品図は、部品Pの情報と対応付けて管理される。
【0061】
そして、配置位置決定部14は、バーコードリーダー2(図1参照)から部品荷札Tgの読み取り情報が出力された場合に、部品配置図Lo1~Lo3の情報と、読み取り情報と対応付けられた組立順の情報と、に基づいて該部品Pの配置位置を決定する。また、配置位置決定部14は、決定した配置位置への部品Pの投影像の投影指示を、投影部5(図1参照)に出力する。
【0062】
<投影部による部品の投影像の投影例>
次に、図7及び図8を参照して、投影部5による部品Pの投影像Ipの部品棚31への投影例について説明する。図7及び図8は、部品Pの投影像Ipの部品棚31への投影例を示す図である。図7A及び図8Aは、部品配置図Loの構成例を示す図であり、図7B及び図8Bは、部品Pの投影像Ipの投影例を示す図である。
【0063】
図7Aにおいては、部品供給台車3の一番上の部品棚31aに対応する部品配置図Lo1上の、右から二番目の列の一番上に位置する部品図Pp1が強調表示されている。部品図Pp1の大きさ、配置位置及び向きは、それぞれ、配膳作業者によって荷札Tg(図1参照)の読み取りが行われた部品Pの大きさ、配置位置及び配置向きを示す。
【0064】
配置位置決定部14は、荷札Tgの読み取りが行われた部品Pと、部品配置図Lo上の部品図Pp1とを、部品情報DB12(図5参照)に基づいて対応付けると、部品図Pp1の位置への投影像Ipの投影指示を、投影部5に出力する。これにより、図7Bに示すように、部品配置図Lo1上における部品図Pp1と対応する位置に、部品図Pp1と対応付けられた部品Pの投影像Ip1が投影される。
【0065】
また、図7Bに示すように、部品図Pp1と対応する部品Pを配置すべき部品棚31aが、配置位置決定部14による指示に基づいて、部品棚押し出し機構4(図1図2参照)によって配膳作業者(図示略)の方向(部品供給台車3の開口部の方向)に押し出される。このような処理が行われることにより、配膳作業者は、バーコードリーダー2によって荷札Tgを読み取った部品Pを、部品供給台車3の部品棚31aにおける適切な位置に配置できる。
【0066】
投影像Ip1が投影された位置に部品Pを配置後、次の部品Pの荷札Tgを配膳作業者がバーコードリーダー2で読み取った場合、配置位置決定部14は、部品配置図Loにおける次の部品Pの配置位置を特定する。図8Aに示す部品配置図Loにおいては、次の部品Pと対応する部品図Pp2が強調表示されている。部品図Pp2は、部品供給台車3の上から二番目の部品棚31bに対応する部品配置図Lo2の上に位置している。
【0067】
図8Bに、部品配置図Lo2上における部品図Pp2と対応する位置に、部品Pの投影像Ip2が投影された状態を示す。なお、以下の説明において、投影像Ip1と投影像Ip2とを区別する必要がない場合には、これらを「投影像Ip」と総称する。
【0068】
このように、部品配膳者によって新たな部品Pの荷札Tgがバーコードリーダー2によって読み取られるごとに、該部品Pの配置位置を示す投影像Ipが部品棚31上に投影されることにより、配膳作業者は、手に取った部品Pを、部品棚31における適切な位置に間違いなく配置することができる。
【0069】
<作業支援装置による作業支援方法>
[作業支援装置による配膳作業支援方法]
次に、図9を参照して、作業支援装置1(図1参照)による配膳作業支援方法について説明する。図9は、作業支援装置1による配膳作業支援方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0070】
まず、作業支援装置1の配置位置決定部14(図1参照)は、操作入力部505(図3参照)等を介して、製品名の入力を受け付ける(ステップS1)。次いで、配置位置情報生成部13は、組立順DB11(図4参照)及び部品情報DB12(図5参照)に記載の情報に基づいて、部品配置図Loを生成する(ステップS2)。
【0071】
例えば、ユーザによって、作業支援装置1に“制御盤1”の製品名が入力されたとする。この場合、配置位置情報生成部13は、組立順DB11の「製品名」が“制御盤1”であるレコードを抽出し、“制御盤1”に対応付けられた各部品Pの部品棚31(図1参照)における配置位置を決定する。配置位置情報生成部13は、部品Pの配置位置を、部品棚31a~31cの各サイズの情報、部品Pの寸法の情報、部品棚31a~31cにおける部品Pの配置間隔及び配置順の情報等に基づいて決定する。そして、決定した部品位置に基づいて、部品配置図Loを生成する。
【0072】
次いで、配置位置決定部14は、バーコードリーダー2より荷札Tg(図1参照)の読み取り情報は入力されたか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3で、荷札Tgの読み取り情報は入力されていないと判定された場合(ステップS3がNO判定の場合)、配置位置決定部14は、ステップS3の判定を繰り返す。
【0073】
一方、ステップS3で、荷札Tgの読み取り情報は入力されたと判定された場合(ステップS3がYES判定の場合)、配置位置決定部14は、荷札Tgの読み取り情報に基づいて、部品棚31における部品Pの配置位置を特定する(ステップS4)。例えば、荷札Tgの読み取り情報に含まれる部品コードが“1234567”であったとする。この場合、配置位置決定部14は、部品コードが“1234567”である部品の組立順(図4に示す例では“1”)の情報を、組立順DB11(図4参照)から抽出し、組立順の“1”と対応する部品棚31における位置を、部品Pの配置位置に決定する。
【0074】
次いで、配置位置決定部14は、部品Pが配置される部品棚31を押し出す指示を、部品棚押し出し機構4に対して出力する(ステップS5)。これにより、部品Pが配置されるべき部品棚31が、配膳作業者の方向に押し出される。
【0075】
次いで、配置位置決定部14は、ステップS4で特定された部品Pの投影像Ipの部品棚31への投影指示を、投影部5(図1参照)に出力する(ステップS6)。次いで、投影部5は、部品Pの配置位置に投影像Ipを投影する(ステップS7)。次いで、配膳作業者は、投影像Ipが投影された位置に、部品Pを配置する(ステップS8)。配膳作業者による部品Pの配膳作業は、部品棚31に配置すべき部品Pがなくなった時点で終了する。
【0076】
上述した実施形態では、配置位置情報生成部13は、製品に組み立てられる複数の各部品Pの大きさに関する情報、及び、製品への各部品Pの組立順の情報に基づいて、組み立て前の部品Pが配置される部品供給台車3における各部品Pの配置位置を示す部品配置図Loを生成する。また、配置位置決定部14は、バーコードリーダー2によって読み取られた部品Pの識別情報(部品情報)と、部品配置図Loの情報とに基づいて、部品識別情報が読み取られた部品Pの部品供給台車3における配置位置を特定する。また、配置位置決定部14は、特定した配置位置を映像によって示す指示(配置位置に投影像Ipを投影する指示)を、投影部5に出力する。
【0077】
したがって、本実施形態によれば、部品Pの配膳作業者は、投影像Ipが投影された位置に、バーコードリーダー2で荷札Tgを読み込んだ部品Pを配置すればよいため、配膳作業者は、部品置き場への部品の配置を効率よく行えるようになる。
【0078】
また、本実施形態では、部品配置図Loに示される部品供給台車3の部品棚31における各部品Pの配置位置は、組立順の各順序と対応付けられている。したがって、配膳作業者が、投影像Ipによって示された位置に部品Pを配置する配膳作業を繰り返すことにより、製品に組み立てられる予定の部品Pが、部品棚31上に組立順に従って配置される。それゆえ、本実施形態によれば、部品Pの組立作業者は、組立順に従って配置された各部品Pを、配置された順に順番にピックアップして組み立て作業を行えばよく、ピックアップする位置や順番などを考える必要がなくなるため、組立作業者の組立効率も向上させることができる。
【0079】
上記のように構成された本実施形態によれば、配膳作業者は、配膳前の部品が製品ごとに纏められた台車や箱(図示略)から、部品Pを、配置位置や組立順を気にせずにランダム(無作為)に取り出して配膳作業を行うことができる。それゆえ、本実施形態によれば、配膳作業者の作業効率を向上させることができる。
【0080】
[作業支援装置による組み立て作業支援方法]
次に、図10を参照して、本実施形態に係る作業支援装置1による組み立て作業の支援方法について説明する。図10は、作業支援装置1による組み立て作業支援方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0081】
まず、部品供給台車3に設けられたエリアセンサー32(図1参照)は、組立作業者による部品棚31からの部品Pの取り出しを検知する(ステップS11)。次いで、作業情報取得部15(図1参照)は、エリアセンサー32の検知情報に基づいて、部品棚31から取り出された部品Pを特定する(ステップS12)。具体的には、作業情報取得部15は、ピックアップされた部品Pの位置の情報と、部品配置図Lo(図6参照)における部品Pの座標の情報とに基づいて、部品棚31から取り出された部品Pを特定する。
【0082】
次いで、作業情報取得部15は、部品Pが部品棚31から取り出された時刻を示すタイムスタンプの情報を取得する(ステップS13)。次いで、作業情報取得部15は、ステップS13で取得したタイムスタンプの情報及び部品Pの情報と、その部品Pの組み立てを指示した作業指示の内容と対応させて、不揮発性ストレージ504(図3参照)等に記憶させる(ステップS14)。
【0083】
部品棚31からピックアップされた部品Pの情報と、その部品Pの組み立てを指示した作業指示の内容とが対応付けて管理されることにより、作業情報取得部15は、どの製品にどの部品Pが使用されているかの情報を把握することができ、製造工程のトレーサビリティを取ることが可能となる。
【0084】
また、上述した実施形態では、作業情報取得部15は、部品Pの情報と、部品Pが部品棚31から取り出された時のタイムスタンプの情報とを対応付けて管理する。したがって、作業情報取得部15は、部品P1つあたりの組み立て作業時間の情報も得ることができる。これにより、作業情報取得部15は、作業指示されている全部品Pのうち、何番目の部品Pの組み立て作業が行われているのか等の、組立作業の進捗度合いを把握することが可能となる。
【0085】
また、作業情報取得部15は、部品P一つあたりの組み立て時間の情報も算出できるため、組み立て作業における異常発生の有無の判定を行ったり、配膳作業者の作業効率の情報を取得したりすることも可能となる。また、作業情報取得部15は、取得した配膳作業者の作業効率の情報をフィードバックとして、作業効率の向上を図るための策を講じることも可能となる。
【0086】
なお、本発明は上述した実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0087】
例えば、上述した実施形態では、投影部5が部品供給台車3の部品棚31に二次元の等写像Ipを投影する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。投影部5が部品棚31に投影する投射像は、三次元の投影像Ip′であってもよい。
【0088】
図11は、三次元の投影像Ip′の投影例を示す図である。図11に示す三次元の投影像Ip′の形状、配置位置及び向きは、それぞれ、部品Pの形状や配置位置、配置の向きを反映したものである。したがって、配膳作業者は、より直観的に、かつ、適切に部品Pを部品棚31aに配置することが可能となる。
【0089】
また、投影像Ipは、部品Pの形状を反映したものではなくてもよい。例えば、ポインタ等によって部品Pの配置位置の中心等が投影されてもよい。
【0090】
図12は、ポインタによる投影像Ip′′の投影例を示す図である。図12に示すように、投影像Ip′′がポインタによって示された場合であっても、配膳作業者は、部品Pの配置位置を把握してその位置に部品Pを配置することができる。
【0091】
また、上述した実施形態では、投影部5が部品棚31に部品Pの投影像Ipを投影する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、配膳作業者にスマートグラス等のウェアラブルデバイスを装着させ、該デバイスの画面上に、部品棚31及び配置されるべき部品Pの映像を表示させてもよい。これにより、配膳作業者は、より直観的に配膳作業を行うことが可能となる。
【0092】
また、上述した実施形態では、部品棚押し出し機構4が部品棚31を配膳作業者の方向に押し出す例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。部品供給台車3に自走レール等を設け、配置位置決定部14による指示に基づいて部品棚31が自動的に配膳作業者の方向に押し出される構成が採られてもよい。
【0093】
また、例えば、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置(作業支援装置)及びシステム(作業支援システム)の構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0094】
また、図1において実線の矢印で示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0095】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0096】
また、上述した本開示の一実施形態にかかる分析結果情報出力装置の各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…作業支援装置、2…バーコードリーダー、3…部品供給台車、4…部品棚押し出し機構、5…投影部、11…組立順DB、12…部品情報DB、13…配置位置情報生成部、14…配置位置決定部、15…作業情報取得部、31…部品棚、100…作業支援システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12