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特許7564080設計支援装置、設計支援ツール、及び設計支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】設計支援装置、設計支援ツール、及び設計支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20241001BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20241001BHJP
   G06F 30/15 20200101ALI20241001BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20241001BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06F30/12
G06F30/15
G06F30/20
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021182667
(22)【出願日】2021-11-09
(65)【公開番号】P2023070464
(43)【公開日】2023-05-19
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 和典
(72)【発明者】
【氏名】野田 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】有澤 直孝
(72)【発明者】
【氏名】唐沢 佑一
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022374(JP,A)
【文献】特開2010-033530(JP,A)
【文献】特開2006-154917(JP,A)
【文献】特開2019-015995(JP,A)
【文献】国際公開第2021/045018(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/065364(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計支援装置であって、
設計中部品における少なくとも1つの対象部分の形状的特徴が、予め定められた少なくとも1つの要件を充足するか否かを、前記設計中部品の設計データに基づき判定した結果を示す判定結果データに基づき、前記設計中部品における要件を充足しない形状的特徴を報知するよう構成された第1報知部と、
過去に設計がなされた少なくとも1つの実績部品における少なくとも1つの対象部分の形状的特徴が、予め定められた少なくとも1つの要件を充足するか否かを、前記少なくとも1つの実績部品の設計データに基づき判定した結果を示す判定結果データから、予め定められた抽出条件を充足する要件の判定結果を抽出するよう構成された抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記判定結果に係る前記少なくとも1つの実績部品の対象部分の形状的特徴を報知するよう構成された第2報知部と、を備え、
前記設計中部品にて充足されていない要件を、非充足要件とし、
前記抽出条件は、抽出される判定結果は、前記非充足要件と関連性を有する要件の判定結果であり、前記非充足要件と関連性を有する要件を充足しないとの判定結果であるとの条件である
設計支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の設計支援装置であって、
前記抽出条件は、抽出される判定結果は、要件が判定された対象部分の形状的特徴が、前記少なくとも1つの実績部品の設計データに反映されているとの条件をさらに含み、
前記抽出部は、前記抽出条件を全て充足する判定結果を抽出する
設計支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の設計支援装置であって、
前記抽出条件は、抽出される判定結果は、前記設計中部品が搭載される製品の型式と関連性を有する型式の製品、又は、類似する型式の製品に搭載される前記少なくとも1つの実績部品に対して行われた要件の判定結果であるとの条件をさらに含み、
前記抽出部は、前記抽出条件を全て充足する判定結果を抽出する
設計支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の設計支援装置であって、
前記製品とは、車両である
設計支援装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の設計支援装置であって、
前記抽出条件は、抽出される判定結果は、前記設計中部品と同一、又は、類似した特徴を有する前記少なくとも1つの実績部品に対して行われた要件の判定結果であるとの条件をさらに含み、
前記抽出部は、前記抽出条件を全て充足する判定結果を抽出する
設計支援装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の設計支援装置であって、
前記抽出条件は、抽出される判定結果は、対象部分の形状的特徴が、実現が最も困難な形状的特徴である最困難形状、又は、前記最困難形状に類似する形状的特徴である要件の判定結果であるとの条件をさらに含み、
前記抽出部は、前記抽出条件を全て充足する判定結果を抽出する
設計支援装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の設計支援装置であって、
前記設計中部品における前記非充足要件が判定された対象部分の形状的特徴を定める設計値の入力を受け付けるよう構成された受付部と、
前記受付部が受け付けた前記設計値を表示するためのデータを生成するよう構成された生成部と、
をさらに備える設計支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の設計支援装置であって、
前記受付部は、前記設計中部品における前記非充足要件が判定された対象部分に対応するコメントの入力をさらに受け付けるよう構成され、
前記生成部は、前記受付部が受け付けた前記設計値及び前記コメントを表示するための前記データを生成するよう構成される
設計支援装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうちのいずれか1項に記載の設計支援装置であって、
前記設計中部品の設計データは、前記設計中部品の製造工程に関する情報をさらに示し、
前記設計データを、CAEによる検証を行う装置に提供し、前記装置に、CAEによる前記設計データの検証を実行させるよう構成された実行部を、
をさらに備える設計支援装置。
【請求項10】
設計支援装置としてコンピュータを動作させる設計支援ツールであって、
設計中部品における少なくとも1つの対象部分の形状的特徴が、予め定められた少なくとも1つの要件を充足するか否かを、前記設計中部品の設計データに基づき判定した結果を示す判定結果データに基づき、前記設計中部品における要件を充足しない形状的特徴を報知するよう構成された第1報知部と、
過去に設計がなされた少なくとも1つの実績部品における少なくとも1つの対象部分の形状的特徴が、予め定められた少なくとも1つの要件を充足するか否かを、前記少なくとも1つの実績部品の設計データに基づき判定した結果を示す判定結果データから、予め定められた抽出条件を充足する要件の判定結果を抽出するよう構成された抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記判定結果に係る前記少なくとも1つの実績部品の対象部分の形状的特徴を報知するよう構成された第2報知部としてコンピュータを動作させ、
前記設計中部品にて充足されていない要件を、非充足要件とし、
前記抽出条件は、抽出される判定結果は、前記非充足要件と関連性を有する要件の判定結果であり、前記非充足要件と関連性を有する要件を充足しないとの判定結果であるとの条件である
設計支援ツール。
【請求項11】
制御部を備える設計支援装置により実行される設計支援方法であって、
設計中部品における少なくとも1つの対象部分の形状的特徴が、予め定められた少なくとも1つの要件を充足するか否かを、前記設計中部品の設計データに基づき判定した結果を示す判定結果データに基づき、前記設計中部品における要件を充足しない形状的特徴を報知することと、
過去に設計がなされた少なくとも1つの実績部品における少なくとも1つの対象部分の形状的特徴が、予め定められた少なくとも1つの要件を充足するか否かを、前記少なくとも1つの実績部品の設計データに基づき判定した結果を示す判定結果データから、予め定められた抽出条件を充足する要件の判定結果を抽出することと、
抽出された前記判定結果に係る前記少なくとも1つの実績部品の対象部分の形状的特徴を報知することと、を備え、
前記設計中部品にて充足されていない要件を、非充足要件とし、
前記抽出条件は、抽出される判定結果は、前記非充足要件と関連性を有する要件の判定結果であり、前記非充足要件と関連性を有する要件を充足しないとの判定結果であるとの条件である
設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設計支援装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
部品の製造工程等で不具合が生じるのを抑制するため、部品の設計段階で部品の形状に関する要件(以後、設計要件)を充足する必要がある。そして、車両部品のような複雑な形状を有する部品を設計する場合には、非常に多くの設計要件を充足する必要がある。そこで、特許文献1に記載されているように、3DCADを用いて設計された部品の3Dモデルが、設計要件を充足するか否かを自動的に検証する設計検証システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-177493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の設計検証システムによる検証は、3Dモデルが示す部品の立体形状に基づき行われる。このため、一部の設計要件を充足しない3Dモデルに基づき部品を製造しても、不具合が生じない場合もある。したがって、例えば過去の開発実績に基づき、設計要件を充足しない部分の形状を変更すべきか否かの検討が必要になる場合がある。
【0005】
本開示の一態様では、過去の実績に基づく部品の設計を容易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、設計支援装置であって、第1報知部と、抽出部と、第2報知部と、を備える。第1報知部は、設計中部品における少なくとも1つの対象部分の形状的特徴が、予め定められた少なくとも1つの要件を充足するか否かを、設計中部品の設計データに基づき判定した結果を示す判定結果データに基づき、設計中部品における要件を充足しない形状的特徴を報知するよう構成される。抽出部は、過去に設計がなされた少なくとも1つの実績部品における少なくとも1つの対象部分の形状的特徴が、予め定められた少なくとも1つの要件を充足するか否かを、少なくとも1つの実績部品の設計データに基づき判定した結果を示す判定結果データから、予め定められた抽出条件を充足する要件の判定結果を抽出するよう構成される。第2報知部は、抽出部が抽出した判定結果に係る少なくとも1つの実績部品の対象部分の形状的特徴を報知するよう構成される。設計中部品にて充足されていない要件を、非充足要件とする。抽出条件は、抽出される判定結果は、非充足要件と関連性を有する要件の判定結果であり、要件を充足しないとの判定結果であるとの条件である。
【0007】
上記構成によれば、第2報知部により、設計中部品での非充足要件と同一の要件であって、実績部品においても充足されていない要件が判定された対象部分の形状的特徴が報知される。このため、該形状的特徴に基づき、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の形状的特徴を変更するか否かや、該形状的特徴をどの程度変更すべきかを検討できる。したがって、過去の実績に基づく部品の設計を容易に行うことができる。
【0008】
本開示の一態様では、抽出条件は、抽出される判定結果は、要件が判定された対象部分の形状的特徴が、少なくとも1つの実績部品の設計データに反映されているとの条件をさらに含んでもよい。抽出部は、抽出条件を全て充足する判定結果を抽出してもよい。
【0009】
上記構成によれば、第2報知部により、設計中部品での非充足要件と同一の要件であって、実績部品においても充足されていないが、実績部品の設計データに反映されている要件が判定された対象部分の形状的特徴が報知される。このため、該形状的特徴に基づき、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の形状的特徴を変更するか否かや、該形状的特徴をどの程度変更すべきかを検討できる。したがって、過去の実績に基づく部品の設計を容易に行うことができる。
【0010】
本開示の一態様では、抽出条件は、抽出される判定結果は、設計中部品が搭載される製品の型式と関連性を有する型式の製品、又は、類似する型式の製品に搭載される少なくとも1つの実績部品に対して行われた要件の判定結果であるとの条件をさらに含んでもよい。抽出部は、抽出条件を全て充足する判定結果を抽出してもよい。
【0011】
上記構成によれば、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の形状的特徴の変更を検討する際に、より有益な情報を提供できる。
本開示の一態様では、製品とは、車両であってもよい。
【0012】
上記構成によれば、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の形状的特徴の変更を検討する際に、より有益な情報を提供できる。
本開示の一態様では、抽出条件は、抽出される判定結果は、設計中部品と同一、又は、類似した特徴を有する少なくとも1つの実績部品に対して行われた要件の判定結果であるとの条件をさらに含んでもよい。抽出部は、抽出条件を全て充足する判定結果を抽出してもよい。
【0013】
上記構成によれば、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の形状的特徴の変更を検討する際に、より有益な情報を提供できる。
本開示の一態様では、抽出条件は、抽出される判定結果は、対象部分の形状的特徴が、実現が最も困難な形状的特徴である最困難形状、又は、最困難形状に類似する形状的特徴である要件の判定結果であるとの条件をさらに含んでもよい。抽出部は、抽出条件を全て充足する判定結果を抽出してもよい。
【0014】
上記構成によれば、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の形状的特徴の変更を検討する際に、より有益な情報を提供できる。
本開示の一態様は、受付部と、生成部と、をさらに備えてもよい。受付部は、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の形状的特徴を定める設計値の入力を受け付けるよう構成される。生成部は、受付部が受け付けた設計値を表示するためのデータを生成するよう構成される。
【0015】
上記構成によれば、生成部が生成したデータに基づき、設計中部品における非充足要件への対応方針を示す文書等を生成できる。
本開示の一態様では、受付部は、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分に対応するコメントの入力をさらに受け付けるよう構成されてもよい。生成部は、受付部が受け付けた設計値及びコメントを表示するためのデータを生成するよう構成されてもよい。
【0016】
上記構成によれば、生成部が生成したデータに基づき、設計中部品における非充足要件への対応方針を示す文書等を生成できる。
本開示の一態様は、設計中部品の設計データは、設計中部品の製造工程に関する情報をさらに示してもよい。設計支援装置は、設計データを、CAEによる検証を行う装置に提供し、装置に、CAEによる設計データの検証を実行させるよう構成された実行部を、をさらに備えてもよい。
【0017】
上記構成によれば、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の形状的特徴が適切であるか否かを、CAEにより検証できる。そして、CAEによる検証結果に基づき、該対象部分の形状的特徴の変更について検討できる。
【0018】
また、本開示の別の態様では、上記設計支援装置としてコンピュータを動作させるプログラムである設計支援ツールと、上記設計支援装置により実現される手順を含む設計支援手順とが提供されても良い。これらの態様によれば、上記設計支援装置と同様、過去の実績に基づく部品の設計を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】設計支援装置、及び、第1並びに第2検証装置のブロック図である。
図2】設計支援装置のブロック図である。
図3】第1検証装置のブロック図である。
図4】第2検証装置のブロック図である。
図5】設計検証処理のフローチャートである。
図6】検討画面の説明図である。
図7】変更画面の説明図である。
図8】選択画面の説明図である。
図9】提案書における提案リストの説明図である。
図10】提案書における詳細ページの説明図である。
図11】作成画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0021】
[1.設計支援装置の構成]
本実施形態の設計支援装置1は、車両に搭載される金属部品(以後、設計中部品と記載)の設計を支援するよう構成される(図1、2参照)。設計中部品は、例えば、車両のボデーの一部や、インパネの一部や、排気を流下させる排気部品の一部や、エンジンの一部を構成する部品であっても良い。無論、これに限らず、設計中部品とは、金属以外の材料(例えば、樹脂)から構成される部品であっても良いし、車両以外の製品に用いられる部品であっても良い。
【0022】
設計支援装置1は、ネットワーク5を介して、第1及び第2検証装置2、3と接続される(図1参照)。設計支援装置1は、一例としてPCとして構成されており、該PCにインストールされているプログラムである設計支援ツール12Bを動作させることで、該PCが設計支援装置1として動作する(図2参照)。設計支援装置1は、制御部10と、通信部13と、表示部14と、入力部15と、記憶部16とを備える。
【0023】
制御部10は、CPU11及びメモリ12を備える。CPU11は、メモリ12に記憶されたプログラムを実行し、これにより、設計支援装置1の各種機能が実現される。なお、設計支援装置1の各種機能は、プログラムの実行によって実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つ又は複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0024】
メモリ12は、非遷移的実体的記録媒体である半導体メモリ(例えば、ROM、RAM及びフラッシュメモリ)を備える。メモリ12には、記憶部16に記憶されているオペレーティングシステム(以下、OS)プログラム12Aと設計支援ツール12Bとがロードされる。OSプログラム12Aは、設計支援装置1の基本的な機能を提供するプログラムであり、設計支援ツール12Bは、OSプログラム12Aにより動作する。なお、設計支援ツール12B等のプログラムの機能は、該プログラムを実行する制御部10等によって実現されることを、念のため付言しておく。また、設計支援ツール12Bが動作することで、設計支援ツール12Bに対応する設計支援方法が実現される。
【0025】
通信部13は、ネットワーク5を介して他の装置と通信を行う。
表示部14は、制御部10にて生成された画像データに基づき各種画像を表示する部位であり、一例として、液晶ディスプレイ等として構成される。
【0026】
入力部15は、ユーザからの操作を受け付ける部位であり、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等を有する。入力部15は、ユーザからの操作に応じて操作情報を生成して制御部10に出力すると共に、制御部10は、入力部15からの操作情報に応じて処理を行う。
【0027】
記憶部16は、例えばHDD及びSSD等の補助記憶装置を備え、各種データを記憶する。記憶部16には、後述する実績データ16Aが保存されている。
[2.第1及び第2検証装置の構成]
第1及び第2検証装置2、3もまた、一例としてPCとして構成される。そして、PCにインストールされているプログラムである第1検証ツール22B(詳細は後述する)を動作させることで、該PCが第1検証装置2として動作する(図3参照)。第1検証装置2は、設計支援装置1と同様の制御部20、通信部23、表示部24、入力部25、及び記憶部26を備える。制御部20は、CPU21及びメモリ22を備える。メモリ22には、記憶部26に記憶されているOSプログラム22Aと第1検証ツール22Bとがロードされる。第1検証ツール22Bは、OSプログラム22Aにより動作する。
【0028】
また、第1検証装置2と同様、PCにインストールされているプログラムである第2検証ツール32B(詳細は後述する)を動作させることで、該PCが第2検証装置3として動作する(図4参照)。第2検証装置3は、設計支援装置1と同様の制御部30、通信部33、表示部34、入力部35、及び記憶部36を備える。制御部30は、CPU31及びメモリ32を備える。メモリ32には、記憶部36に記憶されているOSプログラム32Aと第2検証ツール32Bとがロードされる。第2検証ツール32Bは、OSプログラム32Aにより動作する。
【0029】
[3.設計データ]
設計支援装置1は、図示しない3DCADを用いて作成された、部品の設計データに基づき設計の支援を行う。本実施形態では、一例として、設計中部品及び後述する実績部品を含む車両部品の設計データが用いられる。
【0030】
設計データは、車両部品の識別情報(例えば、品番や品名)と、車両部品が搭載される車両の型式とを示すと共に、車両部品の立体形状の3Dモデルを含む。また、設計データは、車両部品の材質(例えば、鋼材の種類)と、車両部品の製造に用いられる板材の厚さ(以後、板厚)と、車両部品の製造工程に関する情報とを示す。なお、車両部品の製造工程に関する情報とは、例えば、プレス成形により車両部品を製造する場合であれば、プレス成形の際の押圧方向や、プレス加工面等であっても良い。
【0031】
また、設計データは、車両部品の特徴を示す。なお、車両部品の特徴とは、例えば、車両における車両部品の搭載位置や、車両部品の用途であっても良い。具体的には、例えば、車両部品の搭載位置とは、車両の特定の部分(例えば、右側のタイヤ)を基準に定められた位置であっても良い。また、車両部品の用途とは、例えば、車両部品が用いられる車両の構成要素(例えば、ボデー、インパネ、エンジン、排気部品等)を意味しても良い。
【0032】
[4.要件]
第1検証装置2にインストールされている第1検証ツール22Bは、車両部品等の部品の設計データが要件を充足するか否かを判定する判定処理を行う。なお、DFM studio(登録商標)を、第1検証ツール22Bとして用いても良い。要件とは、例えば、部品設計要件、型冶具設計要件、及び生技要件のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0033】
部品設計要件とは、例えば、部品の機能や、部品が搭載される車両等の製品の性能を確保する上で必要な要件であっても良い。具体的には、部品設計要件とは、例えば、部品の取付性や強度を確保するための要件であっても良い。また、部品が車両に搭載される場合であれば、部品設計要件とは、例えば、車両の衝突安全性や操作性を確保するための要件であっても良いし、騒音や振動を抑制するための要件であっても良い。
【0034】
また、型治具設計要件とは、例えば、金型や治具を用いた部品の製造や量産を可能としたり、該製造や量産の際における金型や治具のメンテナンス性を向上させたりするための、部品の強度等に関する要件であっても良い。
【0035】
また、生技要件とは、例えば、設計データに従った部品の製造工程において、割れ、しわ、バリ等の不具合が生じないようにしたり、製造された部品に強度不足等の不具合が生じないようしたりするための要件であっても良い。
【0036】
第1検証装置2は、例えば、設計データに含まれる3Dモデルが示す部品の立体形状と、部品の材質及び板厚とに基づき、該部品の所定の部分(以後、対象部分)の形状的特徴が要件を満たすかどうかを判定する判定処理を行う。
【0037】
具体的には、対象部分とは、例えば、部品における穴、切欠き部、段差、突起、屈曲部、湾曲部等といった所定の構成要素を含む部分であっても良い。そして、このような場合には、構成要素に関連する寸法、角度、位置、R等を決定する設計値が対象部分の形状的特徴を定めるため、該設計値が所定の数値範囲に含まれることを、要件としても良い。この他にも、対象部分とは、例えば、部品の外縁や断面等であっても良い。そして、このような場合には、外縁や断面等に含まれる屈曲部の角度や湾曲部のR等を決定する設計値が対象部分の形状的特徴を定めるため、該設計値が所定の数値範囲に含まれることを、要件としても良い。
【0038】
なお、同一の対象部分における同一の形状的特徴についての要件であっても、例えば、部品の材質や、部品の製造に用いられる板材の板厚や、部品の用途等に応じて、当該要件を判定する際の基準(例えば、設計値の数値範囲等)が変更される場合がある。このようにして基準が変更された各要件は、同一の要件とみなされても良いし、異なる用件とみなされても良い。
【0039】
第1検証装置2は、複数の要件についての判定処理の手順を示す判定処理データを有しており、該判定処理データに従い各要件の判定処理を行う。なお、判定処理データは、第1検証装置2を用いて部品の検証を行うユーザにより作成されたものであっても良い。
【0040】
具体的には、第1検証装置2は、記憶部26に記憶されている設計データ26Bに含まれる部品の3Dモデルから、各要件の判定処理を行うべき部分である対象部分を抽出する。なお、1つの部品の設計データ26Bから、各要件につき、1つ又は複数の対象部分が抽出される場合もあれば、対象部分が全く抽出されない場合もある。
【0041】
そして、第1検証装置2は、抽出した各対象部分に対し、対応する要件を充足するか否かを判定する判定処理を行い、判定結果を示す判定結果データ26Aを生成すると共に、判定結果データ26Aを記憶部26に保存する。判定結果データ26Aは、実行された各判定処理の要件、対象部分、及び判定結果を示す。
【0042】
[5.実績データ]
設計支援装置1の記憶部16に保存されている実績データ16Aは、過去に設計がなされた車両部品である1つ又は複数の実績部品についての要件の判定結果データ16Bと設計データ16Cとを含む(図2参照)。なお、実績データ16Aは、データベースとして構成されていても良い。
【0043】
実績部品とは、例えば、設計が完了した車両部品、つまり、開発過程における特定の段階で求められる品質を充足する車両部品であっても良い。具体的には、実績部品とは、例えば、開発が完了し、市場に流通させることが可能となった車両部品であっても良いし、試作品として顧客に提供可能となった車両部品であっても良い。また、実績データ16Aに含まれる判定結果データ16Bは、第1検証装置2にて設計データ16Cに基づき生成されたものである。
【0044】
[6.CAE]
第2検証装置3は、CAE(computer aided engineering)により、設計データに従った部品の製造工程での不具合や、製造された部品にて不具合が生じるか否かを検証する(図4参照)。具体的には、第2検証装置3は、例えば、有限要素法、有限差分法、境界要素法等の解析手法により応力解析を行うことで、検証を行っても良い。
【0045】
第2検証装置3は、設計データに含まれる3Dモデル、部品の材質並びに板厚、及びプレス成形における押圧方向等といった製造工程に関する情報に基づきCAEによる検証を行い、検証結果を表示する。なお、第2検証装置3でのCAEによる検証は、第1検証装置2での要件の判定による検証よりも高い精度で、設計データに従い製造される部品に不具合が生じるか否かを判定できる。
【0046】
[7.設計検証処理]
次に、設計支援装置1、及び第1並びに第2検証装置2、3により、設計中部品の設計データ26Bを検証すると共に、要件を充足しない対象部分の形状的特徴の変更を提案する提案書を生成する設計検証処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
S100では、設計中部品の設計データ26Bが第1検証装置2の記憶部26に保存される。続くS105では、第1検証装置2の制御部20は、入力部25を介してユーザから受け付けた指示に従い、設計中部品の設計データ26Bに基づく要件の判定処理を実行し、その判定結果を示す判定結果データ26Aを生成して記憶部26に保存する。以後、要件を充足しないことを非充足と記載し、設計中部品における非充足との判定結果を、非充足判定結果と記載し、非充足判定結果が得られた設計中部品の要件を、非充足要件と記載する。
【0048】
S110では、設計支援装置1の制御部10は、ネットワーク5を介して、第1検証装置2から、設計中部品の設計データ26B及び判定結果データ26Aを取得し、記憶部16に保存する。そして、制御部10は、判定結果データ26Aが示す判定結果の中から、非充足判定結果を抽出する。
【0049】
S115では、制御部10は、実績データ16Aにアクセスし、各非充足判定結果に対応して、実績部品の判定結果データ16Bが示す判定結果の中から、抽出条件を充足する比較用判定結果を抽出する。
【0050】
具体的には、抽出条件とは、以下の(A)~(C)の条件を組み合わせたものであり、これらの条件が全て充足されると抽出条件が充足される。
(A)比較用判定結果は、当該比較用判定結果に対応する非充足判定結果が得られた非充足要件と関連性を有する要件についての判定結果である。なお、非充足要件と関連性を有する要件とは、非充足要件と同一の要件であっても良いし、非充足要件と同一又は類似する要件であっても良い。
【0051】
また、非充足要件と類似する要件とは、例えば、異なる種類の穴(例えば、丸穴、長穴、角穴)の寸法を判定する異なる生技要件が存在する場合であれば、これらの生技要件を、類似する要件としても良い。また、類似する要件は、例えば、ユーザ等により予めテーブルに登録されていても良く、制御部10は、該テーブルを参照して、非充足要件と類似する要件を把握しても良い。
【0052】
また、例えば、対象部位の曲げ角度が数値範囲内かどうかを判定する生技要件において、部品の材質や板厚に応じて曲げ角度の数値範囲が変化する場合が想定される。このような場合、数値範囲が変化したこれらの生技要件は、同一の要件とみなされても良いし、類似する要件とみなされても良い。同様に、対象部位における端部と穴との間の距離が数値範囲内かどうかを判定する型治具設計要件においても、数値範囲が変化する場合が想定されるが、数値範囲が変化したこれらの型治具設計要件は、同一の要件とみなされても良いし、類似する要件とみなされても良い。
【0053】
(B)比較用判定結果は、非充足との判定結果を示す。
(C)比較用判定結果は、当該比較用判定結果が得られた要件の判定における対象部分の形状的特徴が、該対象部分を含む実績部品の設計データ16Cに反映されている。つまり、設計データ16Cが示す実績部品の対象部分の形状的特徴は、非充足との比較用判定結果が得られた要件が判定された設計値により定められる。
【0054】
なお、上述した(A)及び(B)の条件を、抽出条件としても良い。また、抽出条件は、以下に示す第1~第3条件の全部又は一部をさらに含み、制御部10は、抽出条件を全て充足する判定結果を、比較用判定結果として抽出しても良い。
【0055】
すなわち、第1条件とは、比較用判定結果が得られた要件の判定が、設計中部品が搭載される車両(以後、対象車両とも記載)と関連性を有する型式、又は、類似した型式の車両に搭載される実績部品に対して行われたとの条件である。なお、関連性を有する型式とは、同一の型式を意味しても良いし、同一シリーズとして販売される仕様が異なる車両に設定された異なる型式を意味しても良い。また、対象車両と類似した型式の車両とは、例えば、サイズ、重量、排気量、用途等のうちの少なくとも一部が対象車両と同一又は類似である型式の車両であっても良く、対象車両と関連性を有する型式の車両は、対象車両に類似した型式の車両に含まれる。制御部10は、設計中部品の設計データ26Bが示す対象車両の型式と、実績データ16Aに含まれる設計データ16Cが示す実績部品が搭載される車両の型式とに基づき、第1条件が充足されるか否かを判定する。
【0056】
また、第2条件とは、比較用判定結果が得られた要件の判定が、設計中部品の特徴と同一又は類似した特徴を有する実績部品に対して行われたとの条件である。具体的には、例えば、設計中部品の用途と実績部品の用途とが同一であることを第2条件としても良いし、設計中部品の搭載位置と実績部品の搭載位置とが同一であるか、これらの搭載位置の差分が所定値以下であることを、第2条件としても良い。
【0057】
また、例えば、設計中部品の形状と実績部品の形状とが同一又は類似であることを、第2条件としても良い。具体的には、例えば、設計中部品の構成要素と、該構成要素に対応する実績部品の構成要素とにおける、3Dモデルに設定されているプレス加工面を基準とした深さ、断面幅、断面の曲げ角度、稜線の曲率、及び他の部品の取付部の寸法(例えば、連続フランジ部の長さ及び/又は幅)の少なくとも1つの差分が、所定の数値範囲である場合には、設計中部品の形状と実績部品の形状とが同一又は類似であるとみなされても良い。
【0058】
制御部10は、設計データ26Bが示す設計中部品の特徴と、実績データ16Aに含まれる設計データ16Cが示す実績部品の特徴とに基づき、第2条件が充足されるか否かを判定する。
【0059】
また、第3条件とは、対象部分の形状的特徴が、最も実現が困難である最困難形状、又は、最困難形状に近い形状的特徴である要件の判定結果を、比較用判定結果とするとの条件である。なお、最困難形状とは、例えば、最も実現困難な設計値を有する対象部分の形状的特徴であっても良い。より詳しくは、例えば、例えば、穴、切欠き部、段差、突起、屈曲部、湾曲部等を含む対象部分の寸法を設計値とし、該設計値が所定の数値範囲であることが要件であると仮定する。この場合、該要件が判定された対象部分のうち、最大値又は最小値となる設計値を有する対象部分の形状的特徴を、最困難形状としても良い。また、この場合、最困難形状に近い形状的特徴とは、最も実現困難な設計値との差分が所定値以下である設計値を有する対象部分の形状的特徴であっても良い。制御部10は、実績データ16Aに含まれる設計データ16Cに基づき、第3条件が充足されるか否かを判定する。
【0060】
なお、1つの非充足判定結果に対応して、1又は複数の比較用判定結果が抽出される場合もあれば、比較用判定結果が抽出されない場合もある。
S120では、制御部10は、設計中部品の設計データ26B及び判定結果データ26Aと、実績データ16Aとに基づき、後述する検討画面200(図6参照)を表示部14に表示する(詳細は後述する)。検討画面200により、非充足判定結果が得られた対象部分の形状的特徴を定める設計値(以後、要求値とも記載)と、該非充足判定結果に対応する少なくとも1つの比較用判定結果が得られた対象部分の形状的特徴を定める設計値(以後、実績値とも記載)とが、対応付けて報知される。
【0061】
検討画面200で報知される比較用判定結果が得られた対象部分の実績値に基づき、ユーザは、非充足判定結果が得られた対象部分の設計値を変更するか否かや、該対象部分の新たな設計値(以後、変更値とも記載)を検討する。そして、S125では、制御部10は、後述する変更画面250(図7参照)を表示部14に表示し、入力部15を介して、非充足判定結果が得られた対象部分の変更値の入力と、非充足判定結果に対応するコメントの入力とを受け付ける。なお、この時、制御部10は、入力された変更値が設計中部品の形状的特徴として反映されるよう、設計中部品の設計データを更新しても良い。
【0062】
S130では、制御部10は、後述する選択画面300、作成画面350を、順次表示部14に表示する(図8、11参照)。そして、制御部10は、入力部15を介して受け付けた操作に応じて、非充足判定結果が得られた対象部分についての設計値の変更を提案する提案書を生成するための提案書データを生成する(詳細は後述する)。また、制御部10は、設計中部品の判定結果データに対応付けて、提案書データを記憶部16に保存する。
【0063】
S135では、制御部10は、入力部15を介して受け付けた操作に応じて、ネットワーク5を介して設計中部品の設計データ26Bを第2検証装置3に送信し、第2検証装置3に対し、該設計データ26Bに基づくCAEによる設計中部品の検証を指示する。該指示に応じて、第2検証装置3の制御部30は、受信した設計データ26Bに基づき、CAEによる設計中部品の検証を行う。そして、第2検証装置3での検証が終了すると、制御部10は、ネットワーク5を介して、第2検証装置3から、CAEによる検証結果を示す検証結果データを取得する。
【0064】
その後、制御部10は、検証結果データに基づき表示部14に検証結果を表示すると共に、S125と同様の処理を実行し、非充足判定結果が得られた対象部分の変更値及びコメントの入力を受け付けても良い。さらに、制御部10は、S130と同様の処理を実行し、新たに入力された変更値及びコメントが提案書に反映されるように提案書データを更新しても良い。
【0065】
[8.検討画面]
設計検証処理のS120にて表示される検討画面200(図6参照)の上側には、第1非充足リスト201と比較用リスト202とが表示される。また、検討画面200の下側には、設計中部品の立体形状220が表示される設計中部品領域203と、実績部品の立体形状230が表示される実績部品領域204とが設けられる。
【0066】
第1非充足リスト201は、非充足判定結果のリストである。換言すれば、第1非充足リスト201は、設計中部品における非充足要件と、非充足要件が判定された対象部分の設計値(以後、要求値とも記載)を示すリストである。
【0067】
第1非充足リスト201の各横列は、非充足判定結果に対応し、第1非充足リスト201の各縦列は、「要件」、「要求値」に対応する。
「要件」に対応する欄は、非充足判定結果が得られた非充足要件の識別情報を示す。第1非充足リスト201は、一例として、非充足要件A、Cをそれぞれ判定して得られた2つの非充足判定結果を示すと共に、異なる対象部分についての非充足要件Bにより得られた2つの非充足判定結果を示す。
【0068】
また、「要求値」に対応する欄は、非充足判定結果が得られた対象部分の要求値を示す。
また、設計支援装置1の制御部10は、入力部15を介して受け付けた操作に応じてカーソル210を移動させ、第1非充足リスト201におけるいずれかの非充足判定結果を選択する。そして、制御部10は、設計中部品の立体形状220における、選択中の非充足判定結果が得られた対象部分に、強調画像221を表示する。
【0069】
一方、比較用リスト202は、カーソル210により選択中の非充足判定結果に対応して抽出された比較用判定結果のリストである。一例として、比較用リスト202は、非充足要件Aの判定により得られた非充足判定結果に対応する比較用判定結果を示す。
【0070】
比較用リスト202の各横列は、比較用判定結果に対応し、比較用リスト202の各縦列は、「識別情報」、「要求値」、「実績値」、「材質」、「板厚」、「コメント」、「結果」に対応する。
【0071】
「識別情報」に対応する欄は、比較用判定結果が得られた要件が判定された実績部品の識別情報を示す。
「要求値」に対応する欄は、比較用判定結果が得られた要件が判定された対象部分の設計値を示す。
【0072】
「実績値」に対応する欄は、比較用判定結果が得られた後の段階における、該比較用判定結果が得られた対象部分の設計値を示す。つまり、実績値は、比較用判定結果が得られた実績部品の対象部分に採用された設計値であり、実績部品の設計データから把握される対象部分の形状的特徴には、実績値が反映されている。なお、実績値は、要件を充足しない設計値であることを念のため付言しておく。
【0073】
「材質」に対応する欄は、比較用判定結果が得られた実績部品の材質を示す。
「板厚」に対応する欄は、比較用判定結果が得られた実績部品の板厚を示す。
「コメント」に対応する欄は、比較用判定結果が得られた実績部品の設計データの検討時に入力されたコメントを示す。
【0074】
「結果」に対応する欄は、実績部品における比較用判定結果が得られた対象部分の品質が良好であったか否かを示す。「〇」は品質が良好であったことを示し、「×」は品質が良好でなかったことを示す。
【0075】
なお、制御部10は、入力部15を介して受け付けた操作に応じて、第1非充足リスト201及び比較用リスト202をスクロールさせても良い。
また、制御部10は、入力部15を介して受け付けた操作に応じてカーソル211を移動させ、比較用リスト202におけるいずれかの比較用判定結果を選択する。そして、制御部10は、選択中の比較用判定結果が得られた実績部品の立体形状230を実績部品領域204に表示すると共に、該立体形状230における該比較用判定結果が得られた対象部分に、強調画像231を表示する。
【0076】
また、制御部10は、様々な態様で、非充足判定結果と、該非充足判定結果に対応して抽出された比較用判定結果とを対応付けて表示し得る。具体的には、例えば、制御部10は、非充足判定結果と、該非充足判定結果に対応するいずれか1つの比較用判定結果とを、対応付けて表示しても良い。具体的には、第1非充足リスト201の各横列と、該横列に並ぶ比較用リスト202の横列とに、それぞれ、非充足判定結果と、該非充足判定結果に対応する1つの比較用判定結果とが表示されても良い。そして、制御部10は、カーソル等によりいずれかの非充足判定結果が選択されると、選択された非充足判定結果に対応する複数の比較用判定結果のリストを、表示部14における別の表示領域に表示しても良い。
【0077】
そして、制御部10は、入力部15を介して、検討画面200に設けられた変更値入力ボタン212への操作を受け付けると、検討画面200の表示を終了し、S125に移行する。
【0078】
[8.変更画面]
設計検証処理のS125にて表示される変更画面250(図7参照)の上側には、第2非充足リスト251が表示され、下側には、設計中部品の立体形状220が表示される設計中部品領域252が設けられる。
【0079】
第2非充足リスト251の各横列は、非充足判定結果に対応し、第2非充足リスト251の各縦列は、第1非充足リスト201と同様の「要件」、「要求値」に対応すると共に、「変更値」、「コメント」に対応する。
【0080】
「変更値」に対応する欄は、非充足判定結果が得られた対象部分の変更値が入力される。なお、変更値は、要求値と同じ設計値であっても良いし、異なる設計値であっても良い。
【0081】
「コメント」に対応する欄は、非充足判定結果が得られた対象部分に対応するコメントが入力される。具体的には、例えば、非充足判定結果が得られた対象部分の設計値を変更した理由や、該設計値を維持した理由が入力されても良い。
【0082】
また、設計支援装置1の制御部10は、設計中部品領域252に表示されている立体形状220における、入力中の変更値又はコメントに対応する非充足判定結果が得られた対象部分に、強調画像221を表示する。また、制御部10は、入力部15を介して、変更画面250の出力ボタン260への操作を受け付けると、変更画面250の表示を終了し、S130に移行する。
【0083】
[9.選択画面]
S130に移行すると、設計支援装置1の制御部10は、まず、選択画面300(図8参照)を表示する。選択画面300の上側と下側とには、それぞれ、変更画面250と同様の第2非充足リスト301と設計中部品領域302とが設けられる。
【0084】
第2非充足リスト301の「変更値」、「コメント」に対応する欄は、それぞれ、変更画面250を介して入力された変更値及びコメントを表示する。
また、第2非充足リスト301の各横列の側方に選択ボタン311が表示される。制御部10は、入力部15を介して各選択ボタン311への操作を受け付けると、操作された選択ボタン311の側方に位置する横列に対応する非充足判定結果を、提案書にて対象部分の設計値の変更を提案する非充足判定結果として選択する。また、制御部10は、設計中部品領域302に表示されている立体形状220における、選択ボタン311を介して選択された非充足判定結果が得られた対象部分に、強調画像221を表示する。
【0085】
そして、制御部10は、入力部15を介して、選択画面300のOKボタン310への操作を受け付けると、選択画面300の表示を終了し、提案書の作成画面350(図11参照)を表示する。
【0086】
[10.提案書]
提案書は、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の設計値の変更を提案する文書であり、提案リスト400と、詳細ページ450とを有する(図9、10参照)。設計支援装置1の制御部10は、選択画面300のOKボタン310への操作を受け付けると、提案リスト400を生成するためのデータである提案リストデータを生成する。
【0087】
提案リスト400は、各非充足要件が得られた対象部分の設計値についての変更提案のリストである。提案リスト400の各横列は、選択画面300で選択された非充足判定結果に対応しており、対応する非充足判定結果が得られた対象部分の要求値と変更値とを示す。なお、該変更値は、変更画面250を介して入力された変更値に相当する。
【0088】
一例として、提案リスト400の各横列は、「提案コメント」に対応する欄を有しており、該欄には、対応する非充足判定結果が得られた対象部分の設計値を、要求値から変更値に変更することを提案する提案コメントが記載される。提案コメントは、制御部10により自動生成される。また、提案コメントは、変更画面250を介して入力された、該提案コメントに対応する非充足判定結果についてのコメントを含む。
【0089】
また、詳細ページ450は、提案リスト400における各変更提案(換言すれば、各非充足判定結果)に対応して設けられ、対応する変更提案の詳細な内容を示す。一例として、詳細ページ450は、対応する変更提案についての提案コメントと、対応する非充足判定結果が得られた対象部分を拡大した立体形状451とを含む。
【0090】
[11.作成画面]
選択画面300に続いて表示される作成画面350(図11参照)では、上側の部分に選択画面300と同様の第2非充足リスト351が表示される。また、第2非充足リスト351の各横列の側方に、詳細ボタン361が表示される。また、作成画面350の下側の部分には、提案書のプレビューが表示されるプレビュー領域353と、選択画面300と同様の設計中部品領域352とが設けられる。
【0091】
第2非充足リスト351の各横列は、選択画面300で選択された非充足判定結果に対応する。つまり、これらの横列は、それぞれ、提案リスト400にて設計値の変更提案がなされる対象部分の要件の判定で得られた非充足判定結果に対応する。
【0092】
設計支援装置1の制御部10は、入力部15を介して各詳細ボタン361への操作を受け付ける。そして、詳細ボタン361が操作されると、制御部10は、該詳細ボタン361の側方に位置する第2非充足リスト351の横列に対応する非充足判定結果についての詳細ページ450を生成するための詳細データを生成する。
【0093】
具体的には、詳細ボタン361の操作がなされると、制御部10は、設計中部品領域352に表示された設計中部品の立体形状220を介して、詳細ページ450で拡大表示する部分222(より詳しくは、対象部分を含む部分)の選択を受け付ける。そして、制御部10は、選択された部分222を表示する詳細ページ450の詳細データを生成する。
【0094】
また、プレビュー領域353には、提案リスト400のプレビュー370と、詳細ページ450のプレビュー371とが表示される。なお、制御部10は、入力部15を介して受け付けた操作に応じて、プレビュー領域353に表示されるプレビュー370、371をスクロールさせるようにしても良い。
【0095】
[12.効果]
(1)上記実施形態によれば、検討画面200の比較用リスト202の各横列は、設計中部品での非充足要件と同一の要件であって、実績部品においても充足されていないが、実績部品の設計データに反映されている要件が判定された対象部分の実績値を示す。このため、比較用リスト202に基づき、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の設計値を変更するか否かや、該設計値をどの程度変更すべきかを検討できる。したがって、過去の実績に基づく部品の設計を容易に行うことができる。
【0096】
(2)また、非充足判定結果に対応して、設計中部品が搭載される車両の型式と関連性を有する型式、又は、類似した型式の車両に搭載される実績部品に対する要件の判定で得られた比較用判定結果が抽出され得る。また、非充足判定結果に対応して、設計中部品の特徴と同一又は類似した特徴を有する実績部品に対して行われた比較用判定結果が抽出され得る。また、非充足判定結果に対応して、判定された対象部分の形状的特徴が、最困難形状、又は最困難形状に近い形状的特徴である比較用判定結果が抽出され得る。このため、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の設計値の変更を検討する際に、より有益な情報を提供できる。
【0097】
(3)また、設計中部品における非充足判定結果が得られた対象部分の要求値及び変更値と、対象部分に対応するコメントとを示す提案書を生成するための提案書データが生成される。このため、検討画面200を参照して行われた検討結果に基づき、設計中部品における非充足要件への対応方針を提案する文書を生成できる。
【0098】
(4)また、第1検証装置2による要件の判定が行われた設計データに基づき、第2検証装置3にてCAEによる検証が行われる。このため、CAEによる検証結果を考慮しつつ、設計中部品における非充足要件が判定された対象部分の設計値の変更を検討できる。
【0099】
[13.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、設計支援装置1と、第1及び第2検証装置2、3とは、それぞれ、別の装置として構成されている。しかし、これらの装置の少なくとも一部は、1つの装置として構成されていても良い。また、設計中部品の判定結果データ26A及び設計データ26B、又は実績データ16Aは、上記実施形態で例示したものに限らず、様々な態様で設計支援装置1に提供され得る。具体的には、例えば、設計支援装置1は、ネットワーク5を介して、他の装置に保存されている設計中部品の判定結果データ26A及び設計データ26B、又は実績データ16Aにアクセスし、非充足判定結果や比較用判定結果を抽出しても良い。
【0100】
(2)設計支援装置1は、設計検証処理のS115において、ニューラルネットワークを利用して、非充足判定結果に対応して、実績部品の判定結果データ16Bが示す判定結果の中から比較用判定結果を抽出しても良い。すなわち、設計支援装置1は、非充足判定結果が得られた対象部分の設計値を変更する上で有用な比較用判定結果を特定するための学習モデルを有し、該学習モデルを用いて、非充足判定結果に対応して比較用判定結果を抽出しても良い。また、設計支援装置1は、抽出された比較用判定結果が適切であるか不適切であるかの判定の入力をユーザから受け付け、入力された判定を教師データとして用いて学習モデルを更新しても良い。
【0101】
(3)上記実施形態では、設計中部品及び実績部品は、車両部品として構成されているが、設計中部品及び実績部品は、車両以外の製品に搭載される部品であっても良い。このような場合であっても、上記実施形態と同様にして設計検証処理を行うことができる。
【0102】
(4)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0103】
(5)上述した設計支援装置1、設計支援ツール12B、及び設計支援方法の他、設計支援ツール12Bを記憶した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0104】
[14.文言の対応関係]
設計検証処理のS120が第1及び第2報知部の一例に、S115が抽出部の一例に、S125が受付部の一例に、S130が生成部の一例に、S135が実行部の一例に相当する。
【符号の説明】
【0105】
1…設計支援装置、12B…設計支援ツール、16A…実績データ、16B…判定結果データ、16C…設計データ、2…第1検証装置、22B…第1検証ツール、26A…判定結果データ、26B…設計データ、3…第2検証装置、32B…第2検証ツール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11