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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】表示装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/38 20230101AFI20241001BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241001BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241001BHJP
   H10K 59/80 20230101ALI20241001BHJP
【FI】
H10K59/38
G02B5/20 101
G09F9/30 309
G09F9/30 365
H10K59/80
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021502016
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2020006230
(87)【国際公開番号】W WO2020175235
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2019035617
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】元山 陽介
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076297(JP,A)
【文献】特開2017-016822(JP,A)
【文献】特開2006-338946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-99/00
G09F 9/30
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
表示領域と前記表示領域を囲む周辺領域と前記周辺領域に設けられた接着領域とを有し前記透明基板に対向する対向面と、前記表示領域から光を出射する有機EL素子とを有する素子基板と、
前記接着領域を避けて前記対向面に配置された色フィルタ層と、
前記透明基板から見て前記接着領域と重なる重複領域の少なくとも一部を避けて前記素子基板に配置された金属電極層と、
前記接着領域を介して前記透明基板と前記素子基板とを接着する透明接着層と
を具備し、
前記金属電極層は、前記有機EL素子の光を反射する金属反射膜と、前記重複領域の少なくとも一部を避けて配置され前記金属反射膜と同層となる周辺電極とを有し、
前記接着領域は、前記対向面の外周から離間して設けられ、
前記色フィルタ層は、前記表示領域に配置された第1の色フィルタと、前記接着領域を避けて前記周辺領域に配置された第2の色フィルタとを有し、
前記第2の色フィルタは、前記周辺領域において、前記接着領域から見て前記対向面の中央側に配置される中央側フィルタ部と前記接着領域から見て前記対向面の外周側に配置される外周側フィルタ部とを有する
表示装置。
【請求項2】
請求項に記載の表示装置であって、
前記周辺電極は、前記透明基板から見て前記中央側フィルタ部及び前記外周側フィルタ部の両方と重なるように前記重複領域を避けて配置される
表示装置。
【請求項3】
請求項に記載の表示装置であって、
前記第1の色フィルタは、前記有機EL素子の光を着色する着色フィルタであり、
前記第2の色フィルタは、前記金属電極層を遮光する遮光フィルタである
表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記接着領域は、前記表示領域の周囲の少なくとも一部に設けられる
表示装置。
【請求項5】
請求項に記載の表示装置であって、
前記接着領域は、前記表示領域を囲む1以上の帯状領域を含む
表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記有機EL素子は、前記素子基板の前記対向面側に配置された透明な共通電極を有し、
前記周辺電極は、前記共通電極と電気的に接続する
表示装置。
【請求項7】
請求項に記載の表示装置であって、
前記共通電極は、前記周辺電極上に配置される
表示装置。
【請求項8】
請求項に記載の表示装置であって、
前記周辺電極は、互いに離間して配置された複数の部分電極を含み、
前記共通電極は、前記複数の部分電極上に配置される
表示装置。
【請求項9】
請求項に記載の表示装置であって、
前記有機EL素子は、前記共通電極の前記対向面とは反対側に配置された画素電極と、前記共通電極と前記画素電極との間に配置された有機発光層とを有し、
前記金属反射膜は、前記有機発光層で生成された光を前記対向面に反射する
表示装置。
【請求項10】
請求項に記載の表示装置であって、
前記金属反射膜は、前記画素電極である
表示装置。
【請求項11】
請求項に記載の表示装置であって、
前記素子基板は、前記共通電極を覆うように形成された保護膜を有し、
前記対向面は、前記透明基板に対向する前記保護膜の表面である
表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記周辺電極は、前記色フィルタ層に最も近い金属膜である
表示装置。
【請求項13】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記透明接着層は、前記表示領域を囲むように塗布されたシール剤である
表示装置。
【請求項14】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記透明接着層は、前記透明基板及び前記素子基板の間に充填された充填剤である
表示装置。
【請求項15】
透明基板と、
表示領域と前記表示領域を囲む周辺領域と前記周辺領域に設けられた接着領域とを有し前記透明基板に対向する対向面と、前記表示領域から光を出射する有機EL素子とを有する素子基板と、
前記接着領域を避けて前記対向面に配置された色フィルタ層と、
前記透明基板から見て前記接着領域と重なる重複領域の少なくとも一部を避けて前記素子基板に配置された金属電極層と、
前記接着領域を介して前記透明基板と前記素子基板とを接着する透明接着層と
を有する表示装置と、
前記表示装置を駆動する駆動回路と
を具備し、
前記金属電極層は、前記有機EL素子の光を反射する金属反射膜と、前記重複領域の少なくとも一部を避けて配置され前記金属反射膜と同層となる周辺電極とを有し、
前記接着領域は、前記対向面の外周から離間して設けられ、
前記色フィルタ層は、前記表示領域に配置された第1の色フィルタと、前記接着領域を避けて前記周辺領域に配置された第2の色フィルタとを有し、
前記第2の色フィルタは、前記周辺領域において、前記接着領域から見て前記対向面の中央側に配置される中央側フィルタ部と前記接着領域から見て前記対向面の外周側に配置される外周側フィルタ部とを有する
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像を表示する表示装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL(Electro Luminescence)素子上にカラーフィルタを配置した表示装置が開発されている。カラーフィルタを設けることで、例えば表示色の調光や、視野角特性の向上、あるいは周辺の配線を遮光することが可能となる。
【0003】
特許文献1には、カラーフィルタを備える有機エレクトロルミネッセンス装置が記載されている。この装置では、有機エレクトロルミネッセンス素子が形成された表示領域に第1カラーフィルタが形成され、表示領域の外側の配線等が形成された非表示領域に第2カラーフィルタが形成される。各カラーフィルタには透明接着層を介して対向基板が接着される。また第1及び第2カラーフィルタの間には間隙が設けられる。これにより製造時の分断工程に伴う第1カラーフィルタの剥離を防止することが可能となっている(特許文献1の明細書段落[0064][0084][0087][0118]図7図8等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-66470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、有機EL素子を用いた表示装置が、撮影機器やモバイル端末等に搭載される機会が増えており、装置の信頼性を向上するとともに品質の高い画像表示を実現することが可能な技術が求められている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、装置の信頼性を向上するとともに品質の高い画像表示を実現することが可能な表示装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る表示装置は、透明基板と、素子基板と、色フィルタ層と、金属電極層と、透明接着層とを具備する。
前記素子基板は、前記透明基板に対向する対向面と、前記対向面の表示領域から光を出射する有機EL素子とを有する。
前記色フィルタ層は、前記対向面の前記表示領域を囲む周辺領域に設けられた接着領域を避けて前記対向面に配置される。
前記金属電極層は、前記透明基板から見て前記接着領域と重なる重複領域の少なくとも一部を避けて前記素子基板に配置される。
前記透明接着層は、前記接着領域を介して前記透明基板と前記素子基板とを接着する。
【0008】
この表示装置では、有機EL素子を有する素子基板の対向面が透明基板に向けられる。対向面には表示領域を囲む周辺領域に設けられた接着領域を避けて色フィルタ層が配置される。また素子基板には透明基板から見て接着領域と重なる重複領域の少なくとも一部を避けて金属電極層が配置される。透明基板及び素子基板は、透明接着層により接着領域を介して接着される。これにより、各基板の接着性が向上し、金属電極層の反射が抑制されるため、装置の信頼性を向上するとともに品質の高い画像表示を実現することが可能となる。
【0009】
前記色フィルタ層は、前記表示領域に配置された第1の色フィルタと、前記接着領域を避けて前記周辺領域に配置された第2の色フィルタとを有してもよい。
【0010】
前記第1の色フィルタは、前記有機EL素子の光を着色する着色フィルタであってもよい。この場合、前記第2の色フィルタは、前記金属電極層を遮光する遮光フィルタであってもよい。
【0011】
前記接着領域は、前記表示領域の周囲の少なくとも一部に設けられてもよい。
【0012】
前記接着領域は、前記表示領域を囲む1以上の帯状領域を含んでもよい。
【0013】
前記接着領域は、前記周辺領域の外縁に設けられてもよい。
【0014】
前記金属電極層は、前記有機EL素子の光を反射する金属反射膜と、前記重複領域の少なくとも一部を避けて配置された周辺電極とを有してもよい。
【0015】
前記有機EL素子は、前記素子基板の前記対向面側に配置された透明な共通電極を有してもよい。この場合、前記周辺電極は、前記共通電極と電気的に接続してもよい。
【0016】
前記共通電極は、前記周辺電極上に配置されてもよい。
【0017】
前記周辺電極は、互いに離間して配置された複数の部分電極を含んでもよい。この場合、前記共通電極は、前記複数の部分電極上に配置されてもよい。
【0018】
前記有機EL素子は、前記共通電極の前記対向面とは反対側に配置された画素電極と、前記共通電極と前記画素電極との間に配置された有機発光層とを有してもよい。この場合、前記金属反射膜は、前記有機発光層で生成された光を前記対向面に反射してもよい。
【0019】
前記金属反射膜は、前記画素電極であってもよい。
【0020】
前記素子基板は、前記共通電極を覆うように形成された保護膜を有してもよい。この場合、前記対向面は、前記透明基板に対向する前記保護膜の表面であってもよい。
表示装置。
【0021】
前記周辺電極は、前記色フィルタ層に最も近い金属膜であってもよい。
【0022】
前記透明接着層は、前記表示領域を囲むように塗布されたシール剤であってもよい。
【0023】
前記透明接着層は、前記透明基板及び前記素子基板の間に充填された充填剤であってもよい。
【0024】
本技術の一形態に係る電子機器は、表示装置と、駆動回路とを具備する。
前記表示装置は、透明基板と、前記透明基板に対向する対向面と、前記対向面の表示領域から光を出射する有機EL素子とを有する素子基板と、前記対向面の前記表示領域を囲む周辺領域に設けられた接着領域を避けて前記対向面に配置された色フィルタ層と、前記透明基板から見て前記接着領域と重なる重複領域の少なくとも一部を避けて前記素子基板に配置された金属電極層と、前記接着領域を介して前記透明基板と前記素子基板とを接着する透明接着層とを有する。
前記駆動回路は、前記表示装置を駆動する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態に係る表示装置の構成例を示す模式図である。
図2】表示装置の全体の構成例を示すブロック図である。
図3図2に示す画素回路の具体的な構成例を示す回路図である。
図4】表示装置の断面構造の一例を示す模式図である。
図5】比較例として示す表示装置の断面構造の一例を示す模式図である。
図6】第2の実施形態に係る表示装置の構成例を示す模式図である。
図7】第3の実施形態に係る表示装置の構成例を示す模式図である。
図8】第4の実施形態に係る表示装置の構成例を示す模式図である。
図9】第5の実施形態に係る表示装置の構成例を示す模式図である。
図10】第6の実施形態に係る表示装置の構成例を示す模式図である。
図11】表示装置を搭載した電子機器の一例を示す模式図である。
図12】表示装置を搭載した電子機器の一例を示す模式図である。
図13】表示装置を搭載した電子機器の一例を示す模式図である。
図14】表示装置を搭載した電子機器の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
<第1の実施形態>
[表示装置の構成]
図1は、第1の実施形態に係る表示装置100の構成例を示す模式図である。表示装置100は、有機EL素子を駆動して画像を表示する有機ELディスプレイである。
【0028】
表示装置100は、例えば表示モジュールとして構成され、ビデオカメラやデジタルカメラ等のビューファインダや、スマートフォンやタブレット等のディスプレイとして、各種の電子機器に搭載される(図11図14等参照)。表示装置100が用いられる電子機器の種類等は限定されず、例えばテレビやPC用のモニターとして用いられる場合にも本技術は適用可能である。
【0029】
図1には、画像が表示される側、すなわち有機EL素子の光が出射される側から見た表示装置100の平面図が模式的に図示されている。表示装置100は、素子基板10と、素子基板10上に配置された透明基板20とを有する。表示装置100では、透明基板20を通して画像が表示される。
【0030】
素子基板10は、透明基板20に対向する対向面11と、複数の有機EL素子12とを有する。これら複数の有機EL素子12により、画像を構成する複数の画素Pが構成される。図1には、正方形状の画素Pが模式的に図示されている。表示装置100における画素数や画素サイズ等は限定されず、所望の解像度等が実現可能なように適宜設定されてよい。
【0031】
対向面11には、表示領域13と、周辺領域14と、外部領域15とが設けられる。表示領域13は、複数の画素Pが配列された矩形状の領域であり、実際に画像が表示される領域である。本実施形態では、有機EL素子12により、対向面11の表示領域13から光が出射され、画像が表示される。表示領域13は、実際の画像表示に寄与する画素Pが配置された有効画素エリアであると言える。
【0032】
周辺領域14は、表示領域13を囲む領域である。すなわち周辺領域14は、表示装置100に表示される画像を囲む領域であり、例えば周辺領域14の幅により表示装置100のベゼル(額縁部分)の幅が定まる。図1に示す例では、対向面11のうち、表示領域13と表示領域13の外側に表示領域13から離間して配置された外部領域15とを除く領域が周辺領域14となる。周辺領域14には、例えば有機EL素子12を駆動するための各種の配線や回路等(図示省略)が設けられる。
【0033】
また周辺領域14には、接着領域16が設けられる。接着領域16は、例えば透明基板20と素子基板10とを接着するための領域であり、表示領域13の周囲の少なくとも一部に設けられる。後述するように、対向面11には、カラーフィルタ層30が配置される。このカラーフィルタ層30は、表示領域13と、周辺領域14のうち接着領域16の外側となる領域とに配置される。従って、接着領域16は、カラーフィルタ層30が配置されず、対向面11が露出した領域となる。
【0034】
図1では、表示領域13に配置されたカラーフィルタ層30(第1のカラーフィルタ31)が濃いグレーの領域として図示されており、周辺領域14に配置されたカラーフィルタ層30(第2のカラーフィルタ32)が薄いグレーの領域として図示されている。また周辺領域14内の白色の領域が接着領域16となる。この接着領域16を含む塗布領域17(図中の斜線の領域)に透明基板20と素子基板10とを接着するシール剤(図4参照)が塗布される。この点については、後に詳しく説明する。
【0035】
外部領域15は、対向面11のうち周辺領域14の外側に設けられ、透明基板20が配置されず素子基板10(対向面11)が露出した領域(図中の上側)である。外部領域15には、外部電極21が設けられる。外部電極21には、フレキシブル基板等を介して、表示装置100を駆動する駆動回路22が接続される。駆動回路22は、電子機器本体に搭載され、有機EL素子12を駆動するための電力や画像信号等を表示装置100に供給する。駆動回路22や駆動信号の種類等は限定されない。
【0036】
透明基板20は、表示領域13及び周辺領域14を覆うように、素子基板10の対向面11と対向して配置される。透明基板20は、素子基板10に形成された有機EL素子12等を保護する基板である。透明基板20としては、例えばガラス基板、SiO2基板、アクリル基板等の透明性を有する任意の基板が用いられてよい。
【0037】
ここで、表示装置100の回路構成について説明する。図2は、表示装置100の全体の構成例を示すブロック図である。表示装置100は、複数の画素Pで構成された画素アレイ101と、画素アレイ101を駆動する駆動部102を有する。画素アレイ101は、図1に示す表示領域13と重なるように素子基板10に設けられ、駆動部102は、周辺領域14と重なるように素子基板10に設けられる。
【0038】
画素アレイ101は、行列状に配置された複数の画素Pと、複数の画素Pの各行に対応して配された電源線103とを有する。各画素Pは、行状の走査線104と、列状の信号線105とが交差する部分に配置された画素回路106を有する。
【0039】
駆動部102は、垂直走査回路102aと、電源102bと、水平走査回路102cとを有する。垂直走査回路102aは、各走査線104に順次制御信号を供給して各画素Pを行単位で順次走査する。電源102bは、各電源線103に一定の電源電位を供給して、画素Pを構成する画素回路106を駆動する。電源電位を一定とすることで、電源102bの構成を簡素化することが可能となり、素子サイズをコンパクトにすることが可能である。水平走査回路102cは、垂直走査回路102aの走査に合わせて各信号線105に画像信号(映像信号)となる信号電位と基準電位とを供給する。
【0040】
この他、駆動部102の具体的な構成は限定されない。例えば、電源102bとして、垂直走査回路102aの走査に合わせて各電源線103に高電位と低電位が切り替わる電源電位を供給する電源スキャナ等が用いられてもよい。これにより、例えば表示装置100が、中型の電子機器(スマートフォン等)や大型の電子機器(テレビやPCモニター等)に搭載される場合であっても、電力消費を抑制しつつ、表示装置100を安定して駆動することが可能となる。
【0041】
図3は、図2に示す画素回路106の具体的な構成例を示す回路図である。画素回路106は、有機EL素子12として機能するダイオードと、サンプリング用トランジスタ107と、駆動用トランジスタ108と、保持容量109とを有する。
【0042】
サンプリング用トランジスタ107の制御端子(ゲート)は走査線104に接続され、駆動端子(ソース及びドレイン)の一方は信号線105に接続され、他方は駆動用トランジスタ108の制御端子に接続される。駆動用トランジスタ108の駆動端子の一方は有機EL素子12のアノードに接続され、他方は電源線103に接続される。また有機EL素子12のカソードは、複数の有機EL素子12に共通する共通電極(図4参照)に接続される。保持容量109は、駆動用トランジスタ108の制御端子と有機EL素子12のアノードとの間に接続され、信号線105から供給される画像信号の信号電位を保持する。
【0043】
図4は、表示装置100の断面構造の一例を示す模式図である。図4には、図1に示すAA'線で切断した表示装置100の概略断面構造が模式的に図示されている。以下では、表示装置100の表示領域13に対応する部分を表示部分23と記載し、周辺領域14に対応する部分を周辺部分24と記載する場合がある。図中の点線は、表示領域13と周辺領域14との境界を表す線である。点線の左側は、表示部分23(表示領域13)における断面構造に対応し、点線の右側は、周辺部分24(周辺領域14)における断面構造に対応する。
【0044】
図4に示すように、表示装置100は、上記したように、素子基板10と、透明基板20とを有する。また表示装置100は、カラーフィルタ層30と、透明接着層40と、充填剤41とを有する。
【0045】
素子基板10は、回路層50と、金属電極層51と、有機発光層52と、共通電極53と、保護膜54とを有する。本実施形態では、透明基板20に対向する保護膜54の表面が、対向面11となる。従って、上記した表示領域13、周辺領域14、及び接着領域16は、保護膜54上の領域となる。
【0046】
回路層50は、基板上に有機EL素子12を駆動するための回路を積層して構成される。基板としては、例えばSi等の半導体基板、ガラス基板、アクリル基板等が用いられる。またステンレス鋼等の金属基板や、プラスチックフィルム等が基板として用いられてもよい。
【0047】
回路層50には、例えば図3に示す画素回路106を構成する素子(サンプリング用トランジスタ107、駆動用トランジスタ108、保持容量109等)を含む回路が積層される。また回路層50には、有機EL素子12に接続される各種の配線(電源線103、走査線104、信号線105等)が設けられる。回路層50の具体的な構成は限定されず、有機EL素子12を駆動するための回路等が適宜積層されてよい。
【0048】
金属電極層51は、金属膜からなる電極を構成する層である。本実施形態では、回路層50及び金属電極層51により、表示装置100の素子基板10が構成される。金属電極層51は、例えば1つの配線層として回路層50に形成される。
【0049】
金属電極層51は、透明基板20から見て接着領域16と重なる重複領域18の少なくとも一部を避けて素子基板10に配置される。ここで、重複領域18とは、例えば透明基板20の法線方向から見た場合に、接着領域16と重なる素子基板10(回路層50)内の領域である。本実施形態では、金属電極層51は、回路層50の最上層に積層される。
【0050】
金属電極層51は、重複領域18の少なくとも一部を避けて配置された周辺電極60を有する。周辺電極60は、周辺領域14の下層の周辺部分24に配置された電極である。本実施形態では、周辺電極60(金属電極層51)は、重複領域18を避けて配置される。従って、接着領域16の直下には、周辺電極60を構成する金属膜等は配置されない。また周辺電極60(金属電極層51)は、回路層50の最上層に配置されるため、カラーフィルタ層30に最も近い金属膜となる。
【0051】
周辺電極60は、後述する共通電極53と電気的に接続する。例えば図3に示すように、共通電極53は、有機EL素子12のカソード電極であり、所定の基準電位(典型的にはGND電位)に接続される。従って周辺電極60は、共通電極53と電気的に接続して基準電位を供給する電極である。例えば共通電極53と周辺電極60とのコンタクト抵抗を下げることで、基準電位を安定して供給するといったことが可能である。
【0052】
図4に示すように周辺電極60は、互いに離間して配置された複数の部分電極61を含む。具体的には、重複領域18を挟んで配置された2つの部分電極61により周辺電極60が構成される。各部分電極61は、例えば回路層50内に設けられた図示しない配線を介して、それぞれ基準電位に接続される。あるいは、回路層50内の配線により各部分電極61が短絡されていてもよい。これにより、共通電極53との接触面積を増やすことが可能となり、コンタクト抵抗を下げることが可能である。
【0053】
また金属電極層51は、表示部分23に配置された画素電極62を有する。画素電極62は、各有機EL素子12のアノード電極であり、複数の画素Pに対応して配置される。図4には、3つの画素Pに対応する3つの画素電極62が模式的に図示されている。各画素電極62には、回路層50に形成された画素回路106の配線が適宜接続される。
【0054】
本実施形態では、画素電極62は、反射電極であり、有機EL素子12の光を反射する金属反射膜として機能する。言い換えれば、金属反射膜により、画素電極62が構成される。後述するように、画素電極62上には有機発光層52が積層される。従って画素電極62は、有機発光層52で生成された光を対向面11に反射する。これにより、例えば回路層50に向かう光を反射して対向面11から出射することが可能となり、有機EL素子12の発光効率を十分に向上することが可能となる。
【0055】
このように、金属電極層51は、画素電極62が金属反射膜として機能するように積層される。従って、金属電極層51により構成される周辺電極60も、画素電極62と同様の反射率をもった金属反射膜となる。
【0056】
金属電極層51を構成する金属材料としては、Al(アルミニウム)やAg(銀)等の光反射性を有する金属が用いられる。あるいは、光反射性を有する金属の合金等が用いられてもよい。例えば金属電極層51の光反射率は、例えば40%以上に設定され、より好ましくは80%以上に設定される。これにより、有機EL素子12の発光効率を十分に高めることが可能である。この他、金属電極層51の材料や反射率等は限定されない。
【0057】
有機発光層52は、アノード電極(画素電極62)から供給された正孔と、カソード電極(共通電極53)から供給された電子とが再結合することで光を発光する層である。有機発光層52は、例えば白色光を発光するように構成される。
【0058】
有機発光層52には、例えば画素電極62から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が積層される。発光層は、例えば赤色発光層、青色発光層、緑色発光層のRGBに対応する発光層が積層された構造を有する。これにより、発光層は白色光を発光する。
【0059】
正孔注入層(電子注入層)は、発光層への正孔注入効率(電子注入効率)を高めるとともに、リークを防止するバッファ層である。正孔輸送層(電子輸送層)は、発光層への正孔輸送効率(電子輸送効率)を高めるために設けられる。正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層は、一般的に用いられる各種の材料により構成可能である。
【0060】
発光層では、電子と正孔の再結合により発光層の材質に応じて所定の波長の光が発光する。発光層を構成する材料としては、例えばポリフルオレン系高分子誘導体や、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体,ポリフェニレン誘導体,ポリビニルカルバゾール誘導体,ポリチオフェン誘導体,ペリレン系色素,クマリン系色素,ローダミン系色素,あるいはこれらの高分子に有機EL材料をドープしたものが挙げられる。なお、発光層は、上記した正孔輸送層を兼ねてもよく、また電子輸送層を兼ねてもよい。
【0061】
有機発光層52は、例えば真空蒸着法により、各画素電極62を覆うように回路層50に形成される。有機発光層52の具体的な構成は限定されない。例えば所望の波長の光が発光可能となるように、各層の材料が適宜選択されてよい。
【0062】
共通電極53は、有機発光層52を上に積層された透明電極である。図4に示すように、共通電極53は、表示部分23の全面を覆うように配置される。また周辺部分24において、共通電極53は、周辺電極60上に配置される。具体的には、共通電極53は、2つの部分電極61上に配置される。これにより、共通電極53と2つの部分電極61とが電気的に接続され、共通電極53には基準電位(GND電位)が供給される。
【0063】
共通電極53は、光透過性が良好で反射率の小さい透明導電膜により構成される。例えば酸化物を用いて透明導電膜を形成することによって光取り出し効率の良好な共通電極53を構成することが可能である。この場合、共通電極53としては、ZnO,ITO,IZnO,InSnZnO等が用いられる。
【0064】
共通電極53は、単層で構成されてもよいし、機能の異なる複数の膜を積層して構成されてもよい。例えば有機発光層52から順に、反射率が低く透過性の高い光透過膜、導電性の高い透明導電膜、及び電極の腐食等を防ぐ劣化防止膜等を積層して共通電極53が構成されてもよい。これにより、光の透過効率が高く、腐食に強い共通電極53が実現される。共通電極53は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、あるいはプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法などの成膜手法によって形成される。この他、共通電極53の具体的な構成は限定されない。
【0065】
このように、有機EL素子12は、素子基板10の対向面11側に配置された透明な共通電極53と、共通電極53の対向面11とは反対側に配置された画素電極62と、共通電極53と画素電極62との間に配置された有機発光層52とを有する。このように、表示装置100には、共通電極53から光を出射するトップエミッション型の有機EL素子12が構成される。
【0066】
有機EL素子12の構成は限定されない。例えば、キャビティ構造(共振構造)を備えた有機EL素子12が構成されてもよい。キャビティ構造では、例えば半透過性及び半反射性を有する共通電極53が用いられる。これにより、画素電極62と共通電極53との間で、有機発光層52から出射された光を多重干渉させることが可能となる。この場合、共通電極53からは、多重干渉により強められた所定の波長の光が出射される。
【0067】
キャビティ構造では、画素電極62と共通電極53との光学的な距離に応じた波長の光が出射される。このため、例えば画素電極62の厚みを適宜調整することで、所望の波長の光を抽出することが可能となる。これにより、有機EL素子12における光の取り出し効率が向上するとともに、発光スペクトルの制御を行うことが可能となる。
【0068】
また、赤色光、緑色光、及び青色光をそれぞれ発光可能な有機EL素子12が構成されてもよい。例えば上記したキャビティ構造を用いることで、RGBの各色光を発光する有機EL素子12が構成可能である。また、赤色光、緑色光、及び青色光を発光する有機発光層52をそれぞれ積層することで、RGBの各色光を発光する有機EL素子12が構成されてもよい。
【0069】
保護膜54は、大気中に存在する水分や酸素等から有機EL素子12を保護する光透過性を有する透明膜である。保護膜54は、共通電極53を覆うように形成される。図4に示す例では、共通電極53の全面を覆うように表示部分23から周辺部分24に形成された保護膜54が模式的に図示されている。
【0070】
保護膜54は、例えば無機化合物を用いて形成される。無機化合物としては、水分や酸素に対してバリア性の高い、SiO(酸化シリコン)、SiN(窒化シリコン)、SiO(酸窒化シリコン)、Al(酸化アルミニウム)等が用いられる。これらの無機化合物は、例えば真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、あるいはイオンプレーティング法を用いて成膜される。
【0071】
なお保護膜54は、単層で構成されてもよいし、複数の膜を積層して構成されてもよい。例えば、素子基板10を実際に構成した場合には、有機EL素子12等の表面(共通電極53)に凹凸が含まれる場合がある。このため、上層に配置されるカラーフィルタ層30の積層精度等を向上する目的で、保護膜54が平坦化されてもよい。なお図4は、回路層50(金属電極層51)の界面や共通電極53の界面等を平面として模式的に図示している。
【0072】
保護膜54を平坦化する場合には、例えば無機化合物で構成された層の間に平坦化膜が設けられる。平坦化膜としては、例えば透明性を有し、熱硬化性や紫外性硬化性のある樹脂材料(エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等)が用いられる。予め積層した無機化合物からなる層上にこれらの樹脂が適宜塗布される。そして樹脂材料を硬化させ新たに無機化合物を積層する。これにより、下層の凹凸等が緩和された対向面11を形成することが可能となり、カラーフィルタ層30を精度よく積層することが可能となる。
【0073】
カラーフィルタ層30は、対向面11の表示領域13を囲む周辺領域14に設けられた接着領域16を避けて対向面11に配置される。表示装置100では、対向面11である保護膜54の表面に、カラーフィルタ層30が積層される。本実施形態では、カラーフィルタ層30は、色フィルタ層に相当する。
【0074】
カラーフィルタ層30は、互いに異なる波長の光を通過させる複数の着色層を積層することで構成される。具体的には、波長が約610nmの赤色光を透過させる赤色着色層と、波長が約550nmの緑色光を透過させる緑色着色層と、波長が約470nmの青色光を透過させる青色着色層とが用いられる。これにより、例えばRGBの各色光をそれぞれ独立して高精度に取り出すことが可能となる。
【0075】
図4に示すように、カラーフィルタ層30は、表示領域13に配置された第1のカラーフィルタ31と、接着領域16を避けて周辺領域14に配置された第2のカラーフィルタ32とを有する。本実施形態では、第1のカラーフィルタは、第1の色フィルタに相当し、第2のカラーフィルタは、第2の色フィルタに相当する。
【0076】
第1のカラーフィルタ31は、有機EL素子12の光を着色する着色フィルタである。すなわち、第1のカラーフィルタ31は、対向面11から出射された光の発光スペクトルを着色層の波長に応じた光に変換する。以下では、第1のカラーフィルタ31を同じ符号を用いて着色フィルタ31と記載する場合がある。
【0077】
着色フィルタ31、複数の画素P(有機EL素子12)ごとに画素電極62と重なるように対向面11に配置される。図4に示す例では、3つの画素Pに対応して着色フィルタ31R、着色フィルタ31G、及び着色フィルタ31Bがそれぞれ配置される。
【0078】
図中左側の画素Pには赤色着色層により構成された着色フィルタ31Rが配置され、中央の画素Pには緑色着色層により構成された着色フィルタ31Gが配置され、右側の画素Pには青色着色層により構成された着色フィルタ31Bが配置される。例えば左側の画素P(有機EL素子12)から出射された白色光は、着色フィルタ31Rを通過することで、赤色光として上層に配置された透明基板20に向けて出射される。同様に、中央の画素Pからは、緑色光が出射され、右側の画素Pからは、青色光が出射される。
【0079】
このように、図4に示す3つの画素Pは、RGBの各色光を出射するサブ画素として機能する。例えば各画素Pに対応する各有機EL素子12の出力(光量)を調整することで、任意の色を表現することが可能となる。
【0080】
なお、有機EL素子12が各色光を出射するように構成されている場合にも、着色フィルタ31を用いることで、各色光の発光スペクトルを精度よく揃えることが可能である。この場合、例えば有機EL素子12は、対応する着色フィルタ31と同様の色光を出射するように構成される。これにより、例えば有機EL素子12ごとに発光スペクトルのむら等がある場合であっても、着色フィルタ31を通すことで透明基板20に向けて出射される各色光の波長を精度よく揃えることが可能である。この結果、高品質な画像表示が可能となる。
【0081】
第2のカラーフィルタ32は、金属電極層51を遮光する遮光フィルタである。例えば、第2のカラーフィルタ32により、透明基板20を通過して金属電極層51に向かう光が遮光される。すなわち、金属電極層51に到達する光の光量が抑制される。以下では、第2のカラーフィルタ32を同じ符号を用いて遮光フィルタ32と記載する場合がある。
【0082】
図4に示す例では、赤色着色層の上層に青色着色層が積層された遮光フィルタ32が、接着領域16を挟んで離間して配置されている。例えば、透明基板20から入射した白色光は、遮光フィルタ32の青色着色層により青色光に変換される。この青色光は、赤色光のスペクトル成分等をほとんど含んでいないため、下層に配置された赤色着色層により略吸収される。この結果、遮光フィルタ32を介して入射した白色光等の外光は、金属電極層51に到達する前に十分に減衰される。
【0083】
このように、互いに波長の離れた赤色着色層と、青色着色層とを積層して遮光フィルタ32を構成することで、金属電極層51を十分に遮光することが可能である。遮光フィルタ32の構成は限定されず、例えば赤色着色層と緑色着色層とを積層した構成や、青色着色層と緑色着色層とを積層した構成等が用いられてもよい。またRGBの各着色層を全て積層した遮光フィルタ32が用いられてもよい。なお、遮光フィルタ32が配置されない接着領域16に入射した光は、そのまま下層に入射することになる。
【0084】
カラーフィルタ層30(RGBの各着色層)は、例えば所定の色を呈する着色材料(染料等)を混練した感光性樹脂材料を用いて形成される。例えば着色された感光性樹脂材料を、スピンコート法等を用いて対向面11上に塗布し、フォトリソグラフィー法により所定のパターンを形成する。例えば赤色着色層が形成され、次に緑色着色層が形成され、最後に青色着色層が形成される。これにより、単層の着色フィルタ31を形成する過程で、多層の遮光フィルタ32を同時に形成する事が可能となる。もちろん、各着色層を積層する順番等は限定されない。
【0085】
透明接着層40は、接着領域16を介して透明基板20と素子基板10とを接着する。接着領域16は、周辺領域14においてカラーフィルタ層30(遮光フィルタ32)が設けられず、対向面11である保護膜54の表面が露出した領域である。従って、接着領域16に透明接着層40を塗布し、透明基板20を接着することで、カラーフィルタ層30を介さずに、対向面11と透明基板20とが直接接着される。透明接着層40は、典型的には、表示領域13を完全に囲うように、接着領域16を含む塗布領域17(図1参照)に塗布される。
【0086】
なお、透明接着層40は、接着領域16の周りのカラーフィルタ層30にも塗布される。従って、素子基板10には、透明基板20が直接接着される領域(接着領域16)と、カラーフィルタ層30(遮光フィルタ32)を介して接着される領域とが生じることになる。
【0087】
本実施形態では、透明接着層40は、表示領域13を囲むように塗布されたシール剤42である。シール剤42は、透明性を有する接着剤であり、表示領域13に充填される充填剤41を封止する封止材料である。シール剤42として、例えば熱硬化型や光硬化型のエポキシ系接着剤が用いられる。この他、透明性を有する任意の接着剤がシール剤42として用いられてよい。
【0088】
シール剤42は、未硬化の状態では、粘性のあるペースト状の材料である。シール剤42の塗布には、例えばペースト状のシール剤42を専用のノズルから供給することで、所定の幅でシール剤42を塗布するシール剤塗布装置等が用いられる。例えば、カラーフィルタ層30が形成された素子基板10に対して、シール剤塗布装置等により接着領域16を基準としてシール剤42が塗布される。これにより、帯状の接着領域16に確実にシール剤42を塗布することが可能となる。
【0089】
充填剤41は、シール剤42(透明接着層40)が塗布された領域の内側に充填される透明な樹脂材料である。充填剤41は例えばシール剤42と比べて粘性が低く、各着色フィルタ31の間隙等を隙間なく充填可能な材料である。充填剤41は、透明基板20とカラーフィルタ層30(素子基板10)との間のスペーサ及び保護層として機能する。
【0090】
また充填剤41は、例えば所定の硬化処理により硬化して透明基板20と素子基板10とを接着する接着剤となる。この場合、充填剤41は、シール剤42と同様に透明接着層40として機能する。充填剤41の種類等は限定されず、例えば透明性を有する任意の樹脂材料が充填剤41として用いられてよい。
【0091】
シール剤42が塗布され、充填剤41が充填されると、透明基板20が貼り合せられる。そしてシール剤42及び充填剤41を硬化する硬化処理(加熱処理や光照射処理等)が施され、透明基板20と素子基板10とが接着される。あるいは、シール剤42のみを用いて透明基板20と素子基板10とを接着した後で、シール剤42と各基板とにより囲まれた領域に充填剤41が充填され、所定の硬化処理が施される。これにより、接着領域16を介して透明基板20と素子基板10とが直接接着された表示装置100が実現される。
【0092】
図5は、比較例として示す表示装置の断面構造の一例を示す模式図である。図5A~5Cには、比較例として示す表示装置120、130、及び140の周辺部分の断面構造が模式的に図示される。各表示装置においてカラーフィルタ層150は、例えば下層に配置された金属電極層151(下層メタル)からの反射の遮光目的及び段差を軽減する目的で表示領域の外側に配置される。
【0093】
一般に、有機発光層等を有する素子では、有機発光層を構成する有機物質の耐熱温度がリミッターとなり、素子や基板を加熱可能な最大の温度が比較的低い場合が多い。このため、例えばカラーフィルタ層150を比較的低い温度で形成する必要があり、カラーフィルタ層150を十分に硬化させることが難しい場合がある。
【0094】
このように、硬化が不十分であるような場合には、カラーフィルタ層150と保護膜152との接触面の密着性が低下することが考えられる。従って例えばカラーフィルタ層150と保護膜152との接触面から、水分や酸素等が侵入する可能性や、カラーフィルタ層150と保護膜152との接触面で剥離が生じるといった可能性があり得る。
【0095】
図5Aに示すように、表示装置120では、透明接着層153がカラーフィルタ層150のみに接着される。カラーフィルタ層150の端面は、透明接着層153(シール剤)に覆われることなく露出している。この場合、上記したように、カラーフィルタ層150と保護膜152との密着性が低いために、水分侵入による剥がれ等が生じる場合がある。また水分や酸素等が侵入することで有機EL素子等が劣化し、装置の信頼性が低下する恐れがある。
【0096】
このような問題の対策として、透明接着層153とカラーフィルタ層150とが接触しない断面構造を作成するため、カラーフィルタ層150の端面を透明接着層153内に入れることが考えられる。図5Bに示すように、表示装置130では、カラーフィルタ層150が表示装置120と比べ短く設定され、カラーフィルタ層150の端面が透明接着層153に覆われる。これにより、カラーフィルタ層150の端面からの水分の侵入が抑制される。
【0097】
一方で、透明接着層153(シール剤)の端面は、シール塗布等の工程でばらつくことが考えられる。例えば透明接着層153が表示装置130の端面からは見出した場合、ダイシング等の個片化工程において、切断精度を低下させる恐れがある。このため、透明接着層153が表示装置130の端面からはみ出さない範囲で、端面位置のばらつきを考慮すると、カラーフィルタ層150を十分に縮小する必要が生じる。この結果、遮光目的でカラーフィルタ層150を設置していた場合、表示装置130の外周端部分での遮光性能が大きく低下することとなる
【0098】
また、遮光性能を維持するために下層メタルである金属電極層151もカラーフィルタ層150に合わせて縮小することが考えられる。図5Cに示すように、表示装置140では、カラーフィルタ層150により遮光可能となるように、金属電極層151が縮小される。この場合、周辺回路として必用な配線幅が確保できず、電圧降下による画品位の低下を招くこととなる。
【0099】
以下では、図1及び図4を参照して、本実施形態に係る表示装置100の周辺部分24について説明する。
【0100】
図4に示すように、表示装置100の周辺部分24では、素子基板10と透明基板20とを接着する透明接着層40(シール剤42)が、カラーフィルタ層30(遮光フィルタ32)と接触しない断面構造を備える。この断面構造の対向面11に接する領域が接着領域16となる。従って、シール剤42は、少なくとも接着領域16において対向面11に直接接着される。
【0101】
このように本実施形態では、図5を参照して説明した比較例のように表示装置の外周部からカラーフィルタ層を縮小し透明接着層とカラーフィルタ層とが接触しない断面構造を作成するのではなく、製造ばらつきの影響を受けず確実に透明接着層40が存在する領域にカラーフィルタ層30にスリット(接着領域16)を入れて所望の断面構造を作成する。またそのスリットに合わせて下層メタルである金属電極層51が存在しない構成を採用する。
【0102】
これにより、接着領域16では、高い密着性が実現され、表示装置100の端部からの水分や酸素等の侵入を十分に抑制することが可能となる。これにより、例えば水分や酸素等が混入することで生じる有機EL素子12や充填剤41の劣化等を回避することが可能となり、装置の信頼性を大幅に向上することが可能となる。
【0103】
また図1に示すように、表示装置100を平面視で見た場合、接着領域16は、表示領域13を囲む帯状領域となる。従って、表示領域13は、接着領域16により完全に囲まれることになる。これにより、表示領域13の下層に配置された有機EL素子12等は、十分に密着性の高い空間に封止され、素子の劣化等を十分に回避することが可能となる。
【0104】
表示装置100では、接着領域16と重なる重複領域18を避けて金属電極層51(周辺電極60)が配置される。従って、カラーフィルタ層30(遮光フィルタ32)が配置されない接着領域16の直下には、反射率の高い周辺電極60も配置されない。これにより、例えば透明基板20側から外光等が入射した場合であっても、周辺部分24(周辺領域14)において、不要な反射や映り込み等が生じる事態を十分に回避することが可能である。このように、表示装置100では、表示される画像の周辺(額縁)において遮光性能が高いレベルに維持される。この結果、品質の高い画像表示を実現することが可能となる。
【0105】
また本実施形態では、周辺電極60は重複領域18を挟んで部分電極61に分けられ、各部分電極61に対して共通電極53が接続される。この結果、コンタクト抵抗の劣化等を回避することが可能となる。このように周辺電極60を、複数の部分電極61に分けて構成することが可能であるため、遮光性能を維持したまま周辺電極60等の下層配線を配置可能な領域を確保することが可能である。これにより、周辺電極60の配線を微細化することで生じる電圧降下による画質の劣化等が回避され、画品位を維持することが可能である。
【0106】
以上、本実施形態に係る表示装置100では、有機EL素子12を有する素子基板10の対向面11が透明基板20に向けられる。対向面11には表示領域13を囲む周辺領域14に設けられた接着領域16を避けてカラーフィルタ層30が配置される。また素子基板10には透明基板20から見て接着領域16と重なる重複領域18の少なくとも一部を避けて金属電極層51が配置される。透明基板20及び素子基板10は、透明接着層40により接着領域16を介して接着される。これにより、各基板の接着性が向上し、金属電極層51の反射が抑制されるため、装置の信頼性を向上するとともに品質の高い画像表示を実現することが可能となる。
【0107】
<第2の実施形態>
本技術に係る第2の実施形態の表示装置について説明する。これ以降の説明では、上記の実施形態で説明した表示装置100における構成及び作用と同様な部分については、その説明を省略又は簡略化する。
【0108】
図6は、第2の実施形態に係る表示装置200の構成例を示す模式図である。図6Aは、透明基板220から見た表示装置200を模式的に示す平面図であり、図6Bは、図6Aに示すBB'線で切断した表示装置200の周辺部分の構成例を示す模式的な断面図である。
【0109】
図6Bに示すように、本実施形態では、カラーフィルタ層230が設けられない接着領域16と重なる重複領域18の一部に金属電極層251の周辺電極260が設けられる。図6Aには、重複領域18の一部に突出して接着領域16を通して見えている周辺電極260が模式的に図示されている。このように、金属電極層251は、重複領域18の少なくとも一部を避けて配置されてもよい。
【0110】
例えば図6Aに示すように、表示装置200を固定する筐体205(図中の点線)等が接着領域16に重なる場合、接着領域16自身が筐体205により遮光される。あるいは通常の使用では視覚されない範囲に接着領域16が隠される場合があり得る。このように、遮光が必要のない領域等については、重複領域18であっても周辺電極260が設けられる。
【0111】
これにより、遮光性能を低下させることなく、より広い範囲に周辺電極を配置することが可能となる。この結果、設計の自由度が上がるとともに、配線の線幅等を太くすることが可能となり、高品位な画像表示を容易に実現することが可能となる。
【0112】
<第3の実施形態>
図7は、第3の実施形態に係る表示装置300の構成例を示す模式図である。図7に示すように、表示装置300では、接着領域16が、表示領域13の周囲の一部に設けられる。図7に示す例では、表示領域13の周囲に配置された4つの接着領域16a~16dが設けられる。接着領域16a~16dは矩形状の領域であり、表示領域13の左辺、下辺、右辺、及び上辺に沿ってそれぞれ周辺領域14に配置される。
【0113】
このように、接着領域16は、表示領域13(有効画素エリア)の全周を囲わなくてもよい。このように表示領域13を複数に分けて配置することで、例えば周辺電極が集中したエリアを選択的に遮光し、周辺電極がまばらに配置されるエリアに接着領域16を設けるといったことが可能となる。これにより、例えば回路の構成上遮光が必要となる領域を確実に遮光するといったことが可能となる。
【0114】
なお、接着領域16が設けられないことで水分や酸素等の侵入経路が残る可能性が考えられるが、例えば接着領域16のサイズ等を適宜設計することで、水分侵入の経路が残っていても実使用時間において信頼性を維持することが可能な表示装置300を構成することが可能である。
【0115】
<第4の実施形態>
図8は、第4の実施形態に係る表示装置400の構成例を示す模式図である。図8に示すように、表示装置400では、接着領域16は、表示領域13を囲む複数の帯状領域を含む。図8に示す例では、表示領域13を囲むように配置された帯状の接着領域16eと、接着領域16eを囲む帯状の接着領域16fとの2つの帯状領域が設けられる。
【0116】
また表示装置400では、接着領域16e及び16fと重なる素子基板410上の領域(重複領域18)には、金属電極層の周辺電極等は配置されない。このように、帯状の接着領域16が複数設けられる場合であっても、遮光性能を十分に維持することが可能である。
【0117】
また外側の接着領域16eと内側の接着領域16fとにより、水分等の侵入が回避される。これにより、例えば接着領域16eで水分の侵入があった場合であっても、接着領域16fにより、水分の侵入を確実に防止することが可能である。このように接着領域16を多重に配置することで、水分の侵入を防止する性能を大幅に向上することが可能である。なお、帯状の接着領域16を設ける数等は限定されず、例えば3重構造や4重構造の接着領域が設けられてもよい。
【0118】
<第5の実施形態>
図9は、第5の実施形態に係る表示装置500の構成例を示す模式図である。図9には、表示装置500の周辺部分の断面構造が模式的に図示されている。表示装置500では、接着領域16は、周辺領域14の外縁に設けられる。
【0119】
ここで周辺領域14の外縁とは、例えば素子基板510の外周部分である。素子基板510の外周部分には、例えば回路層550の表面が露出した領域や、保護膜554の表面が露出した領域が存在する。これらの領域は、素子基板510の対向面11の一部であり、周辺領域14に相当する。本実施形態では、接着領域16は、素子基板510の外周部分において露出した保護膜554及び回路層550の表面に配置される。
【0120】
このように、接着領域16は、ユーザの注視している表示領域13から遠い位置に配置される。これにより、接着領域16はユーザの視界に入りにくくなるため、接着領域16を気にせずに画像表示を楽しむことが可能となる。従って接着領域16を外縁に設けることで、実使用環境との親和性が高い表示装置500を実現することが可能となる。
【0121】
また図9に示すように、表示装置500では、周辺領域14の外縁の近傍までカラーフィルタ層530が配置される。またカラーフィルタ層530の下層には、カラーフィルタ層530と同様に素子基板510の外縁の近傍まで金属電極層551が配置される。このように、表示装置500では、金属電極層551を広い範囲に配置可能であるとともに、それを確実に遮光することが可能となる。なお、カラーフィルタ層530の端部は、透明接着層540に覆われるため、水分の侵入等を確実に防止することが可能となる。
【0122】
<第6の実施形態>
図10は、第6の実施形態に係る表示装置600の構成例を示す模式図である。図10には、表示装置600の周辺部分の断面構造が模式的に図示されている。表示装置600では、透明接着層640として、透明基板620及び素子基板610の間に充填された充填剤641が用いられる。すなわち、表示装置600では、シール剤を用いずに、単一の充填剤641により透明基板620と素子基板610とが接着される。このように単一の充填剤641が透明接着層640として用いられる場合であっても、本技術は適用可能である。
【0123】
例えば、素子基板610の保護膜654上にカラーフィルタ層630が形成された後に、素子基板610に充填剤641が塗布される。充填剤641としては、例えば指定した塗布領域から流れ出ない程度の粘性を持った透明な接着剤等が用いられる。そして充填剤641が塗布された素子基板610に透明基板620を貼り合せて、所定の硬化処理が施される。これにより、例えばシール剤の塗布工程を削減することが可能となり、製造工程を簡略化することが可能である。
【0124】
<その他の実施形態>
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0125】
上記では、金属電極層により、有機EL素子の画素電極と、周辺電極とが構成される場合について説明した。これに限定されず、金属電極層により、有機EL素子の画素電極とは別に有機EL素子の光を反射する金属反射膜等が構成されてもよい。
【0126】
例えば有機EL素子の画素電極として、透明電極等を用いる場合があり得る。このような場合には、画素電極側に出射された光を共通電極側に反射する金属反射膜等が形成される。この金属反射膜が、金属電極層により構成されてもよい。なお、金属電極層により構成された周辺電極は、高い反射率を有する金属膜となる。このような場合であっても、例えば図4等を参照して説明したように、金属電極層を接着領域と重ならないように配置することで、遮光性を十分に維持することが可能である。
【0127】
上記では、共通電極側から光を出射するトップエミッション型の有機EL素子を備えた表示装置について説明した。これに限定されず、例えば画素電極側から光を出射するボトムエミッション型の有機EL素子が用いられてもよい。この場合、素子基板において、有機EL素子(有機発光層)が形成される側とは反対側に、カラーフィルタ層及び透明基板が配置される。
【0128】
ボトムエミッション型の有機EL素子では、例えば透明な素子基板(ガラス基板等)上に透明な画素電極が形成される。画素電極の上方には、有機発光層と、共通電極とが形成される。ここで、共通電極は、光を反射する金属反射膜として機能する。あるいは、共通電極とは別に、金属反射膜が設けられてもよい。画素電極の下方には、例えば有機EL素子の光を取り出すための窓部が形成され、窓部の周りには画素回路等が配置される。素子基板には、各有機EL素子にそれぞれ対応する窓部が形成され、各窓部が形成される領域が、画像が表示される表示領域となる。
【0129】
素子基板の下方側には、表示領域の周りに設けられた接着領域を避けてカラーフィルタ層が設けられる。また接着領域にはシール剤等が塗布され透明基板が接着される。なお素子基板では、反射率の高い金属膜(上記した金属反射膜等)により構成される電極は、接着領域と重ならないように配置される。
【0130】
有機発光層で生成された光は、画素電極、窓部、及びカラーフィルタ層を通過して、透明基板から出射する。このような構成であっても、接着領域を避けてカラーフィルタ層を配置することで、水分の侵入等を防止し表示不良等の発生を回避することが可能となる。また素子基板と透明基板とが直接接着されるため、各基板間の剥離等を防止することが可能となる。また反射率の高い金属膜が接着領域と重ならないように配置されるため、周辺の遮光性を十分に維持することが可能となる。
【0131】
図11図14は、他の実施形態に係る表示装置を搭載した電子機器の一例を示す模式図である。上記では、モジュールとして構成された表示装置について説明した。本技術は、表示装置を搭載する各種の電子機器に適用可能である。以下では図11図14を参照して他の表示装置の一例について説明する。
【0132】
図11は、携帯端末の外観を表したものである。図11(A)は、携帯端末700の正面図であり、図11(B)は携帯端末700の背面図である。携帯端末700の正面には表示用のディスプレイ701が配置される。このディスプレイ701として上記した表示装置を用いることが可能である。
【0133】
図12は、デジタルカメラの外観を表したものである。図12(A)はデジタルカメラ710の正面図であり、図12(B)はデジタルカメラ710の背面図である。このデジタルカメラ710は、ビューファインダ部711を有しており、このビューファインダ部711に上記した表示装置等が用いられる。この場合、表示装置は、マイクロディスプレイとして構成される。またデジタルカメラ710は、背面ディスプレイ712を有する。この背面ディスプレイ712に表示装置が用いられてもよい。
【0134】
図13は、メガネやゴーグル、サングラス等のアイウェア720に、アイウェア装着型の片目用ディスプレイモジュール721を装着した外観を表したものである。アイウェア装着型の片目用ディスプレイモジュール721は、例えば光源と、有機EL装置722とを有しており、この有機EL装置に上記した表示装置等が適用される。
【0135】
図14は、電子機器としてのテレビジョン装置730の外観を表したものである。このテレビジョン装置730は、フラットパネル型の有機ELディスプレイ731を備える。この有機ELディスプレイ731として上記した表示装置を用いることが可能である。
【0136】
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【0137】
本開示において、「同じ」「等しい」「直交」等は、「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に直交」等を含む概念とする。例えば「完全に同じ」「完全に等しい」「完全に直交」等を基準とした所定の範囲(例えば±10%の範囲)に含まれる状態も含まれる。
【0138】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)透明基板と、
前記透明基板に対向する対向面と、前記対向面の表示領域から光を出射する有機EL素子とを有する素子基板と、
前記対向面の前記表示領域を囲む周辺領域に設けられた接着領域を避けて前記対向面に配置された色フィルタ層と、
前記透明基板から見て前記接着領域と重なる重複領域の少なくとも一部を避けて前記素子基板に配置された金属電極層と、
前記接着領域を介して前記透明基板と前記素子基板とを接着する透明接着層と
を具備する表示装置。
(2)(1)に記載の表示装置であって、
前記色フィルタ層は、前記表示領域に配置された第1の色フィルタと、前記接着領域を避けて前記周辺領域に配置された第2の色フィルタとを有する
表示装置。
(3)(2)に記載の表示装置であって、
前記第1の色フィルタは、前記有機EL素子の光を着色する着色フィルタであり、
前記第2の色フィルタは、前記金属電極層を遮光する遮光フィルタである
表示装置。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記接着領域は、前記表示領域の周囲の少なくとも一部に設けられる
表示装置。
(5)(4)に記載の表示装置であって、
前記接着領域は、前記表示領域を囲む1以上の帯状領域を含む
表示装置。
(6)(4)又は(5)に記載の表示装置であって、
前記接着領域は、前記周辺領域の外縁に設けられる
表示装置。
(7)(1)から(6)のうちいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記金属電極層は、前記有機EL素子の光を反射する金属反射膜と、前記重複領域の少なくとも一部を避けて配置された周辺電極とを有する
表示装置。
(8)(7)に記載の表示装置であって、
前記有機EL素子は、前記素子基板の前記対向面側に配置された透明な共通電極を有し、
前記周辺電極は、前記共通電極と電気的に接続する
表示装置。
(9)(8)に記載の表示装置であって、
前記共通電極は、前記周辺電極上に配置される
表示装置。
(10)(8)又は(9)に記載の表示装置であって、
前記周辺電極は、互いに離間して配置された複数の部分電極を含み、
前記共通電極は、前記複数の部分電極上に配置される
表示装置。
(11)(8)から(10)のうちいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記有機EL素子は、前記共通電極の前記対向面とは反対側に配置された画素電極と、前記共通電極と前記画素電極との間に配置された有機発光層とを有し、
前記金属反射膜は、前記有機発光層で生成された光を前記対向面に反射する
表示装置。
(12)(11)に記載の表示装置であって、
前記金属反射膜は、前記画素電極である
表示装置。
(13)(8)から(12)のうちいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記素子基板は、前記共通電極を覆うように形成された保護膜を有し、
前記対向面は、前記透明基板に対向する前記保護膜の表面である
表示装置。
(14)(7)から(13)のうちいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記周辺電極は、前記色フィルタ層に最も近い金属膜である
表示装置。
(15)(1)から(14)のうちいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記透明接着層は、前記表示領域を囲むように塗布されたシール剤である
表示装置。
(16)(1)から(15)のうちいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記透明接着層は、前記透明基板及び前記素子基板の間に充填された充填剤である
表示装置。
(17) 透明基板と、
前記透明基板に対向する対向面と、前記対向面の表示領域から光を出射する有機EL素子とを有する素子基板と、
前記対向面の前記表示領域を囲む周辺領域に設けられた接着領域を避けて前記対向面に配置された色フィルタ層と、
前記透明基板から見て前記接着領域と重なる重複領域の少なくとも一部を避けて前記素子基板に配置された金属電極層と、
前記接着領域を介して前記透明基板と前記素子基板とを接着する透明接着層と
を有する表示装置と、
前記表示装置を駆動する駆動回路と
を具備する電子機器。
【符号の説明】
【0139】
10、410、510、610…素子基板
11…対向面
12…有機EL素子
13…表示領域
14…周辺領域
16、16a~16f…接着領域
18…重複領域
20、220、620…透明基板
22…駆動回路
30、230、530、630…カラーフィルタ層
31…第1のカラーフィルタ
32…第2のカラーフィルタ
40、540、640…透明接着層
41…充填剤
42…シール剤
51、251、551…金属電極層
52…有機発光層
53…共通電極
54、554、654…保護膜
60、260…周辺電極
61…部分電極
62…画素電極
100、200、300、400、500、600…表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14