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特許7564086複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置
<図1>
  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図1
  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図2
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  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図3B
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  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図6
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  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図8A
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  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図9B
  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図9C
  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図10
  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図11
  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図12
  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図13
  • 特許-複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置 図14
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20241001BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20241001BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G01J1/42 E
G01J1/02 L
H01S3/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021503009
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2019040891
(87)【国際公開番号】W WO2020018308
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】62/701,244
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】524220562
【氏名又は名称】オフィール オプトロニクス ソリューションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,フォン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,ジェド
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-522651(JP,A)
【文献】特開2003-014583(JP,A)
【文献】国際公開第2017/223426(WO,A1)
【文献】Jelle VAN DER HORST et al.,Image resolution and deconvolution in optical tomography,Optics Express,2016年10月12日,Vol. 24, No. 21,pp.24460,DOI: 10.1364/OE.24.024460
【文献】Kelly C. JORGE et al.,Scattered light imaging method (SLIM) for characterization of arbitrary laser beam intensity profiles,Applied Optics,2014年07月09日,Vol. 53, No. 20,p.4555,DOI: 10.1364/AO.53.004555
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-1/60
G01B 11/00-11/30
H01S 3/00-3/30
G01M 11/00-11/08
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の焦点を補正するための方法であって、
第1の焦点面Py及び第2の焦点面Pxを規定する少なくとも1つの撮像デバイスを用意し、前記少なくとも1つの撮像デバイスは、少なくとも1つのサンプリング領域を伝搬する少なくとも1つのレーザビームからレイリー散乱による1以上の散乱光信号の1以上の画像を取得するように構成される少なくとも1つのイメージセンサを含み、前記少なくとも1つの撮像デバイスは、インフォーカス変調伝達関数H(ξ)を有し、
少なくとも1つのディスプレイを有する少なくとも1つの画像処理モジュールを用意し、前記少なくとも1つの画像処理モジュールは、前記少なくとも1つの撮像デバイスに接続され、
前記少なくとも1つの撮像デバイスの前記少なくとも1つのイメージセンサを用いて、
第1の散乱光信号の前記第1の焦点面Pyにおいて少なくとも1つの焦点の合った画像を取得し、
第2の散乱光信号の前記第2の焦点面Pxにおいて少なくとも1つの焦点が合っていない画像を取得し、
前記少なくとも1つの撮像デバイスに接続される前記少なくとも1つの画像処理モジュールを用いて、
1以上のカーソル位置において少なくとも1つのカーソルで前記少なくとも1つの焦点の合った画像をスキャンすることにより前記少なくとも1つの焦点の合った画像の1以上のスライスを生成し、
前記第1の焦点面Pyにおいて前記少なくとも1つの焦点の合った画像の少なくとも1つの第1の軸B1を決定し、
前記1以上のスライスのそれぞれの中心から前記第2の焦点面Pxまでの算出距離dを算出し、それぞれのスライスからの前記算出距離の値を特定し、前記1以上のスライスのそれぞれの中心は、前記少なくとも1つの焦点の合った画像に対して規定され、
前記算出距離の特定された値を用いて前記1以上のスライスのそれぞれに対するアウトオブフォーカス伝達関数G(ξ,d)を決定し、
前記インフォーカス変調伝達関数H(ξ)及び前記決定されたアウトオブフォーカス伝達関数G(ξ,d)を用いて前記焦点の合った画像のそれぞれのスライスに対して逆畳み込みを行い、
補正画像を前記少なくとも1つの画像処理モジュールの前記少なくとも1つのディスプレイに出力し、
前記補正画像を用いて前記補正画像に示される少なくとも1つのビームウェストの幅を算出する、方法。
【請求項2】
さらに、前記少なくとも1つの補正画像を用いて前記少なくとも1つのレーザビームの前記少なくとも1つの第1の軸B1に沿って前記少なくとも1つのビームウェストの位置を計算する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記少なくとも1つの補正画像を用いて前記少なくとも1つのレーザビームのレイリー範囲を計算する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記少なくとも1つの補正画像を用いて前記少なくとも1つのレーザビームのビームパラメータ積を計算する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記少なくとも1つの補正画像を用いて前記少なくとも1つのレーザビームの前記少なくとも1つの第1の軸B1に沿ったビーム広がりを取得する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年7月20日に提出された「複数画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置」という表題の米国仮特許出願第62/701,244号に対する優先権を主張するものである。当該出願の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景】
【0002】
材料加工用途においては、高パワーレーザが使用されることが増えてきている。レーザビームのパラメータの性能を理解することによって、プロセス制御及びプロセス改善に重要な見識を得ることができる。この目的のためにレーザビームプロファイラが用いられる。集束レーザビームの品質を測定するために用いられる1つの手法は、ビームのレイリー散乱の画像を複数取得した後、これらの画像をデジタル的に処理してビームウェストサイズ、ビーム重心、広がり角、M2ビーム伝搬比などのパラメータを算出することである。レーザビームプロファイラ装置が、2015年3月24日に発行され、Ophir-Spiricon社に譲渡されている米国特許第8,988,673号に述べられており、この特許の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
先行技術のレーザビームプロファイラはこれまで有用なものであるとされてきたが、いくつかの欠点が特定されている。例えば、測定されるレーザビームが、レーザビームプロファイラの撮像デバイスの焦点面と完全には重ならない場合がある。これにより、誤ったビーム特性結果につながる可能性のある焦点誤差が生じ得る。このため、焦点誤差を検出及び補償する方法及び装置に対する必要性が引き続き存在している。
【概要】
【0004】
本出願は、様々なビームパラメータを正確に算出するためにレーザビーム測定システムの少なくとも1つの画像の焦点補正を行う方法を開示している。ビームパラメータの例としては、ビームウェストのサイズ及び位置、ビーム重心、レイリー範囲、広がり角、ビームパラメータ積、及びM2ビーム伝搬比が挙げられる。本明細書に含まれる説明においては、焦点誤差の補正の方法が議論されるが、当業者であれば、レーザビーム測定の様々な特性を測定及び補正するために様々な方法が使用され得ることを理解するであろう。さらに、本明細書において述べられる焦点補正方法は様々な光ビームに対して使用することができる。
【0005】
一実施形態においては、本出願は、少なくとも1つのインフォーカス変調伝達関数H(ξ)を有する少なくとも1つの焦点面の少なくとも1つの位置を決定し、少なくとも1つの画像処理モジュールを用いて少なくとも1つの焦点が合っていない画像に対する少なくとも1つのアウトオブフォーカス伝達関数G(ξ,d)を決定し、少なくとも1つの撮像デバイスにより少なくとも1つの画像を取得し、当該画像を用いて少なくとも1つの光ビームに関する中心軸を決定し、当該画像を複数の1次元スライスに分割し、焦点面からそれぞれのスライスに対応する上記中心軸上の点までの少なくとも1つの距離を算出し、それぞれのスライスに関してその距離データを用いてそれぞれのスライスに対するアウトオブフォーカス伝達関数を決定し、H(ξ)G(ξ,d)を用いて画像のそれぞれのスライスに対して逆畳み込みを行うステップにより焦点の合った画像に関する補正を行う方法を開示している。必要に応じて、レーザビームの少なくとも1つの補正画像が表示され得る。
【0006】
さらに、本出願は、様々なビームパラメータを正確に算出するためにレーザビーム測定システムの少なくとも1つの画像の焦点補正を行うために使用される装置を開示している。本出願は、少なくとも1つの焦点面を規定し、少なくとも1つのインフォーカス変調伝達関数H(ξ)を有するように構成される少なくとも1つの撮像デバイスを有する装置を開示している。撮像デバイスは、さらに、少なくとも1つの散乱光信号の少なくとも1つの画像を取得するように構成されている。装置は、光信号の少なくとも1つの軸を決定し、当該画像を複数のスライスに分割するように構成された少なくとも1つの画像処理デバイスを有する。それぞれのスライスは、当該軸上の点に対応している。画像処理デバイスは、上記点から対応する焦点面までの少なくとも1つの距離dを計算し、当該距離dを用いてそれぞれのスライスに対する少なくとも1つのアウトオブフォーカス伝達関数G(ξ,d)を決定し、H(ξ)G(ξ,d)を用いて画像のそれぞれのスライスに対して逆畳み込みを行うように構成される。必要に応じて、レーザビームの少なくとも1つの補正画像が表示され得る。
【0007】
開示されている多画像レーザビーム品質測定に対する焦点補正のための方法及び装置の実施形態の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を考慮すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
多画像レーザビーム品質測定の焦点補正のための方法及び装置の様々な実施形態は、添付図面によりさらに詳細に説明される。
【0009】
図1図1は、焦点補正方法とともに使用されるレーザビーム品質測定装置の実施形態を示すものである。
【0010】
図2図2は、レーザビームが少なくとも2つの焦点面と交差する、図1に示される焦点補正方法とともに使用されるレーザビーム品質測定装置の実施形態の図を示すものである。
【0011】
図3A-3B】図3A及び図3Bは、焦点補正方法とともに使用される図2に示される焦点面に対して、レーザビーム品質測定装置により取得されたレーザビームのビームコースティックの画像を示すものである。
【0012】
図4図4は、レーザビームが1つの焦点面だけと交差する、図1に示されるレーザビーム品質測定装置の実施形態の別の図を示すものである。
【0013】
図5A-5B】図5A及び図5Bは、焦点補正方法とともに使用される図4に示される焦点面に対して、レーザビーム品質測定装置により取得されたレーザビームのビームコースティックの画像を示すものである。
【0014】
図6図6は、レーザビームが2つの焦点面とある角度で交差する、図1に示されるレーザビーム品質測定装置の実施形態の別の図を示すものである。
【0015】
図7A-7B】図7A及び図7Bは、図6に示される焦点面に対して、ビーム品質測定装置により取得されたレーザビームのビームコースティックの画像を示すものである。
【0016】
図8A-8B】図8A及び図8Bは、焦点補正方法の実施形態とともに使用される焦点面Pyに対してビーム画像に沿ってサンプリングされたスライスを示す図7Aに示されるビームコースティックの画像を示すものである。
【0017】
図9A-9C】図9A図9Cは、焦点補正方法の実施形態により焦点面Pxに対してビーム画像に沿ってサンプリングされたスライスと得られる補正とを示す図7Bに示されるビームコースティックの画像を示すものである。
【0018】
図10図10は、焦点補正方法とともに使用される複数の撮像デバイスを用いたレーザビーム品質測定装置の別の実施形態を示すものである。
【0019】
図11図11は、レーザビームが2つの焦点面と交差する、図10に示されるレーザビーム品質測定装置の実施形態の図を示すものである。
【0020】
図12図12は、レーザビームが1つの焦点面と交差する、図10に示されるレーザビーム品質測定装置の実施形態の図を示すものである。
【0021】
図13図13は、レーザビームが2つの焦点面とある角度で交差する、図10に示されるレーザビーム品質測定装置の実施形態の図を示すものである。
【0022】
図14図14は、複数の位置の間で移動して複数の角度の焦点面で複数の画像を取得することが可能な単一の撮像デバイスを用いた焦点補正方法とともに使用されるレーザビーム品質測定装置の別の実施形態を示すものである。
【詳細な説明】
【0023】
一般的に、焦点の合っていない光学系は、別個の2次元点広がり関数又は伝達関数を有している。1つの次元においてゆっくりと画像が変化する小さな点広がり関数については、1組の簡易型1次元線広がり関数又は変調伝達関数によってこれらの関数を近似することができる。以下に述べる実施形態においては、2次元点広がり関数は、一度に1枚の画像に適用され得る簡易型1次元線広がり関数によって近似されている。
【0024】
以下に述べる実施形態においては、焦点の合っていない画像に対する変調伝達関数は、事前に数学的又は経験的に特徴付けられている場合がある。この変調伝達関数はG(ξ,d)で表され、ξは空間周波数を表しており、dは焦点面から物体までの距離を表している。図示された実施形態においては、レーザビーム品質測定装置は、撮像デバイスと、種々の方法により事前に特徴付けられ得るH(ξ)で表される変調伝達関数を有する光学系とを含み得る。
【0025】
以下に述べる実施形態においては、ビームの画像がスライスごとに分解される。上述した撮像デバイスにより取得された画像のそれぞれのスライスの近似式は、xがそれぞれのスライスにおけるピクセル位置、y(x)がカメラ画像の1つのスライス、b(x)が当該スライスに関するビームのプロファイル、g(x,d)及びh(x)がそれぞれG(ξ,d)及びH(ξ)の空間領域等価量であり、アスタリスクが畳み込みを表しているとすると、y(x)=b(x)*g(x,d)*h(x)であり得る。b(x)の概算値を得るためには、画像の特定のスライスについてビームの焦点面からの距離を決定する必要がある。この距離dを用いてg(x,d)をh(x)で畳み込むことによって合成線広がり関数を得ることができる。これがなされる場合には、得られた関数を用いてカメラ画像の特定のスライスであるy(x)に対して逆畳み込みを行ってもよい。デジタルカメラに関しては、y(x)は離散的となり、y(x)が以下に述べるようにナイキスト周波数より低い空間周波数に効果的に帯域制限されている場合には正確な結果が得られる。実際には、b(x)、g(x,d)及びh(x)も離散的であると考えられる。逆畳み込みのために必要とされる伝達関数の別の表現は、g(x,d)*h(x)のフーリエ変換であるG(ξ,d)H(ξ)であり得る。これにより、前述の式をY(ξ)=B(ξ)G(ξ,d)H(ξ)として等価的に書くことができる。他の別の方法においては、それぞれのスライスの近似式がy(x)=b(x)*g(x,d)*h(x)+n(x)又はY(ξ)=B(ξ)G(ξ,d)H(ξ)+N(ξ)となり得るように少なくとも1つの雑音項n(x)が追加され得る。
【0026】
あるいは、逆畳み込みを2次元で実施することができ、これは、焦点補正とともに広く用いられているアプローチである。2次元点広がり関数(又はインパルス応答)h(x,y)及びg(x,y,d)は、これらの1次元変調伝達関数が既知となれば算出され得るし、これは2次元逆畳み込みのために使用され得る。一般的に、このアプローチに対する計算上の要求がかなり大きく、スライスごとに高速で変化しないレーザビームを結像するためには1次元逆畳み込みで十分な場合がある。当業者であれば、画像データを処理するために他の数多くの方法を用いてビーム焦点誤差を補正することができることを理解するであろう。
【0027】
簡単に言えば、レーザビームの品質測定の焦点補正のための方法は、1)ビームの画像を取得し、これらから3次元上でビームの軸を決定し、2)それぞれの画像を複数のスライスに分割し、3)それぞれの画像のそれぞれのスライスについてビーム軸から焦点面までの距離を取得し、4)その距離に対応する伝達関数を用いてそれぞれのスライスに対して逆畳み込みを行い、5)逆畳み込みがなされたスライスを、ビームパラメータを算出するために使用できる画像に再構築することを含んでいる。
【0028】
図1は、レーザビーム品質測定装置100の実施形態を示すものである。図示されているように、この装置は、少なくとも1つのハウジング101と、ハウジング101の内部に配置され、少なくとも1つのサンプリング領域130と光学的に接続される1以上の撮像デバイス104とを含み得る。1以上の光学系150は、サンプリング領域130及び撮像デバイス104と光学的に結合され得る。あるいは、レーザビーム品質測定装置100は、光学系150を含んでいてなくてもよい。さらに、レーザビーム品質測定装置100とともに任意の数の付加的な撮像又は測定デバイス及び/又はセンサを用いてもよい。図示されるように、少なくとも1つのレーザ源又は光源10が、少なくとも1つのビーム102をサンプリング領域130内に導入し、さらに/あるいはサンプリング領域130を通過させてもよい。当業者であれば、光源10が、発光ダイオード、スーパールミネッセントダイオード、フラッシュライトビームなどを含んでいてもよいことを理解するであろう。撮像デバイス104及び光学系150は、レーザビーム102から1以上の光信号を取得し、少なくとも1つの導路106を介してこれらを少なくとも1つの画像処理モジュール108に送るように構成されていてもよい。一実施形態においては、撮像デバイス104及び光学系150は、ビーム102からのレイリー散乱である1以上の光信号を取得するように構成されていてもよいが、当業者であれば、レーザビーム品質測定システムによってラマン散乱又は種々の散乱効果又は他の光学的現象が観測され得ることを理解するであろう。
【0029】
再び図1を参照すると、画像処理モジュール108は、少なくとも1つの散乱光信号を処理し、1以上のディスプレイ116上に1以上の画像を表示するように構成され得る。図示されているように、ビーム102は、サンプリング領域130を伝搬する際に、1以上の焦点又はビームウェスト128を有し得る。図示された実施形態においては、ビームウェスト又は焦点128は、ビームが最も狭く集束されている位置又は領域あるいはビームの断面積が最も小さい位置又は領域あるいはビームパワー又は光学フルエンスが最も高く集中している位置又は領域として定義され得る。多くの材料加工用途においては、ユーザは、加工される材料の表面又は加工される材料内にビームウェストを位置させることがあるが、当業者であれば、ビームウェストは、加工される材料に対して様々な位置にあってもよいことを理解するであろう。一実施形態においては、ハウジング101、光学系150及び撮像デバイス104は、1以上の焦点面を規定し得る。図示された実施形態においては、ハウジング101、光学系150及び撮像デバイス104は、2つの焦点面Py及びPxと少なくとも1つの平面Zとを規定しているが、当業者であれば、任意の数の平面又は焦点面を規定する任意の数のハウジング又は撮像デバイスを用いてもよいことを理解するであろう。図示された実施形態においては、平面Zは像平面Py及びPxに実質的に直交しているが、他の実施形態においては、平面Zは平面Py及びPxに直交していなくてもよい。必要に応じて、オペレータは、少なくとも1つのアライメントデバイス110を用いてビーム102が焦点面Px及びPyの両方に実質的に交差するようにサンプリング領域130内でビーム102の位置合わせをしてもよいが、当業者であれば、そのようなアライメントデバイスを使用しなくてもよいことを理解するであろう。
【0030】
図2及び図3A図3Bは、Z平面に垂直に見たときの図1に示されるレーザビーム品質測定装置100の実施形態の様々な図を示すものである。図示されているように、ビーム102からの1以上の光信号120及び122は、光学系150を介して撮像デバイス104に導かれ得る。図示された実施形態においては、光信号120及び122はビーム102からのレイリー散乱である。当業者であれば、様々な形で散乱する光信号を任意の数だけ測定してもよいことを理解するであろう。図示された実施形態においては、光学系150及び撮像デバイス104は、互いに直交する焦点面Py及びPxを規定するが、当業者であれば、焦点面Py及びPxは互いに直交していなくてもよいことを理解するであろう。必要に応じて、光学系150及び撮像デバイス104は、単一の焦点面又は様々な角度で交差し得る2つよりも多くの焦点面を規定し得る。要するに、光学系150及び/又は撮像デバイス104によって任意の数の焦点面を規定し得る。図2に示されるように、ビーム102は、焦点面Py及びPxに交差し、紙面の平面Zに入射又は平面Zから出射するように先端をこちらに向けて示されている。光学系150は、少なくとも1つの反射面152と少なくとも1つの光学要素154とを含み得るが、当業者であれば、光学系150内で様々な光学要素及び構成要素が用いられてもよいことを理解するであろう。図示された実施形態においては、光学系150は、2つの反射面152及び156を含んでいる。図示された実施形態においては、反射面152及び156は平面鏡である。必要に応じて、反射面152,156は、誘電体ミラー、リプリケートミラー、凹面鏡、凸面鏡などであってもよい。また、反射面152,156は、エシェル格子、ホログラフィック格子、体積ホログラフィック格子、体積ブラッググレーティングなどのグレーティングであってもよい。図示された実施形態においては、光学要素154はプリズムである。必要に応じて、光学要素154は、ビームスプリッタ、ミラー、又は他の反射光学部品又は屈折光学部品であってもよい。当業者であれば、光学系150が、反射面、屈折光学部品、レンズ、コリメータ、フィルタ、空間フィルタ、絞り、ストップなどの任意の組み合わせを含んでいてもよいことを理解するであろう。図示されているように、散乱光信号120及び122は、反射面152及び156によりそれぞれ反射され、光学要素154によって撮像デバイス104に向けられる。撮像デバイス104は、内部に配置された少なくとも1つのイメージセンサ118を含み得る。図示された実施形態においては、撮像デバイス104は、内部に少なくとも1つのCMOSイメージセンサ118が配置されたカメラである。必要に応じて、イメージセンサ118は、電荷結合素子(CCD)イメージセンサ、焦点面アレイ、焦電気アレイ、スキャニングアレイ、時間遅延統合イメージャなどであってもよい。当業者であれば、装置100とともに様々なイメージセンサ、撮像デバイス又は撮像システムを用いてもよいことを理解するであろう。また、当業者であれば、単一の撮像デバイスを使用するのではなく、複数の撮像デバイスを使用してもよいこと、あるいは、撮像デバイス104が使用中に再配置可能であってもよいことを理解するであろう。また、散乱光信号120,122を撮像デバイス104に向けることが可能なファイババンドル、楕円リフレクタ、又は放物面リフレクタのような別の光学系によって散乱光信号120及び122を集めてもよい。以下で説明する図10図13は、本明細書で述べられる複数の撮像デバイスを用いた別の実施形態の様々な図を示しており、同様の参照番号は同様の構成要素を表している。別の実施形態においては、図14は、単一の撮像デバイスが使用され、この撮像デバイスが第1の位置T1から第2の位置T2に再配置可能となっており、これにより、それぞれ各自の焦点面を有する複数の画像を複数の角度で取得することができる実施形態を示している。
【0031】
図2に示されるように、撮像デバイス104は、少なくとも1つの導路106を介して少なくとも1つの画像処理モジュール108に接続されていてもよい。導路106の種類の例としては、(USB、FireWire、CAT5のような)電気ケーブル、光ファイバケーブル又はデジタル光ケーブルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。必要に応じて、導路106は、GigE Ethernet、Bluetooth、WiFiなどのようなネットワーク又は無線通信プロトコルを含み得る。画像処理モジュール108は、少なくとも1つのディスプレイ116を含み得る。ディスプレイ116の種類の例としては、フラットスクリーン、LED又はLCDモニタなどに表示されるコンピュータグラフィックス又はグラフィカルユーザーインターフェースが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
図3A及び図3Bは、ディスプレイ116上に表示された焦点面Py及びPxにそれぞれ関係する画像134a及び134bを示すものである。必要に応じて、ディスプレイ116は、単一の画像又は任意の数の画像134を表示してもよい。図2に示されるように、図示された実施形態においては、ビーム102は、焦点面PyとPxの交線に沿って伝搬する。図3Aは、ビーム102がサンプリング領域130を伝搬するように位置合わせされているときに、撮像デバイス104により取得された焦点面Pyに関する少なくとも1つのビームコースティック126aの少なくとも1つの画像134aを示すものである。画像処理モジュール108は、1以上のカーソル124aで画像134aをスキャンすることにより画像134aの1以上のスライスを生成することができる。例えば、それぞれ1以上のカーソル位置160,162及び164でスライス170,172及び174を取得することができる。当業者であれば、画像処理モジュール108によって任意の数のスライスを生成し得ることを理解するであろう。画像134aは、サンプリング領域130の略中央に示されている少なくとも1つのビームウェスト128aを表し得る。あるいは、ビームウェスト128aは、画像134a内のどこにあってもよい。
【0033】
図示された実施形態の図3Bは、ビームがサンプリング領域130を伝搬しているときに撮像デバイス104により取得された焦点面Pxに関する少なくとも1つのビームコースティック126bの少なくとも1つの画像134bを示すものである。図示された実施形態においては、画像処理モジュール108は、それぞれ1以上のカーソル位置180,182及び184において少なくとも1つのカーソル124aで画像134aをスキャンすることによりビーム画像134aの1以上のスライス190,192及び194を生成し得る。図示された実施形態においては、図3A及び図3Bに示されている画像134a及び134bは実質的に同一であり、その焦点が合っているように見え得る1以上のエッジ136a及び136bを有しているため、焦点補正は必要とされない。画像処理モジュール108は、図3A及び図3Bからの画像134a,134b及び/又はスライス170-174及び190-194を用いて、オペレータが図1に示されるレーザ又は光源10を特徴付け、その性能を制御するために使用することがあるようなビームウェストのサイズ、位置又は焦点シフト、レイリー範囲、ビーム重心、広がり角、ビームパラメータ積及びM2ビーム伝搬比などといった1組のビームパラメータを算出してもよい。当業者であれば、任意の数のビームパラメータ又はビーム102の特性を算出してもよいことを理解するであろう。
【0034】
図4は、図1及び図2に示されるビーム品質測定装置の実施形態の別の図200を示しており、少なくとも1つのビーム202が、少なくとも1つのサンプリング領域230を横断し得る。少なくとも1つのビーム202は、焦点面Pyと交差するが焦点面Pxとは交差しないように配置されていてもよい。図示された実施形態においては、ビーム202は、1以上のビームウェスト228を含んでいるが、当業者であれば、ビーム202はビームウェスト228を含んでいなくてもよいことを理解するであろう。ビーム202が、一方の焦点面又は両方の焦点面からオフセットされているか、これと平行ではない場合には、ビーム202は、その一部又は全部の範囲にわたって焦点が合っていないと観察され得る。図示されているように、1以上の散乱光信号220及び222は、少なくとも1つの光学系250によって少なくとも1つの撮像デバイス204内に位置する1以上のイメージセンサ218に向けられていてもよい。上述したように、撮像デバイス204においては、多くの種類のイメージセンサ218が用いられ得る。図示された実施形態においては、光学系250は、少なくとも1つの反射面252及び少なくとも1つの光学要素254を含んでいるが、当業者であれば、光学系250において様々な光学要素及び構成要素を用いてもよいことを理解するであろう。図示された実施形態においては、光学系250は、2つの反射面252及び256を含んでいる。光学系250において使用される別の構成要素は、光学系150に関して上記で述べられている。
【0035】
図5A及び図5Bは、撮像デバイス204により取得され、少なくとも1つの導路206によって画像処理モジュール208に向けられ、画像処理モジュール208により処理され、ディスプレイ216上に表示された画像234a及び234bを示すものである。図4及び図5Aに示されるように、ビーム202は、焦点面Pyと交差し得る。画像234aはその焦点が合っているように観察され得る。図5Aは、ビーム202がサンプリング領域230を伝搬しているときに撮像デバイス204により取得された焦点面Pyに関するビーム202の少なくとも1つのビームコースティック226aの少なくとも1つの画像234aを示すものである。図示された実施形態においては、例えば、画像処理モジュール208は、それぞれカーソル位置260,262及び264において少なくとも1つのカーソル224aで画像234aをスキャンすることにより1以上のスライス270,272及び274を生成し得る。当業者であれば、画像処理モジュール208によって任意の数のスライスを生成し得ることを理解するであろう。図示された実施形態においては、画像処理モジュール208は、少なくとも1つの軸B1を決定するために画像を分析し、そのデータを用いてそれぞれのスライスに対応するB1上の点からその位置が既知である焦点面Pxまでの距離を算出するように構成され得る。例えば、軸B1が定義されると、スライス270の中央から焦点面P x までの距離dが算出され、これがd270として表されている。その後、画像処理モジュール208は、それぞれのスライスでの軸B1の位置を用いて、それぞれのスライスからの距離d270,d272及びd274の値を特定する。以下に述べるように、この距離データは、その距離に対応する伝達関数を用いてそれぞれのスライスに対して逆畳み込みを行い、逆畳み込みされたスライスをビーム202の正しいビームパラメータを算出するために使用可能な画像に再構築するために使用される。
【0036】
図示された実施形態の図4及び図5Bを参照すると、画像処理モジュール208のディスプレイ216は、ビーム202がサンプリング領域230を伝搬しているときに撮像デバイス204により取得された焦点面Pxに関するビーム202のビームコースティック226aの少なくとも1つの画像234aを表示している。図5Bに示されるように、画像処理モジュール208は、それぞれカーソル位置280,282及び284において少なくとも1つのカーソル224bを用いてビーム画像234bのスライス290,292及び294を生成し得る。図示された実施形態においては、ビーム202は、焦点面Pxからオフセットされているので、画像234b及びスライス290,292及び294はその焦点が合っていないものとして観察され得る。これにより画像234bがぼやけたものとなる。また、カーソル位置284でのスライス294で取得されたビームウェスト228bの画像は、そうであるべき大きさよりも小さく見えたり、大きく見えたりしてもよい。画像234bの外観がぼやけていることにより、レーザビーム品質測定システムが不正確なビームパラメータ結果を生成することが考えられる。しかしながら、画像処理モジュール208は、画像234aから算出される距離d270,d272,d274などを用いて、それぞれのスライスに対する少なくとも1つのアウトオブフォーカス伝達関数G(ξ,d)を決定することにより画像234bのぼやけを補正するように構成され得る。少なくとも1つのアウトオブフォーカス伝達関数G(ξ,d)は、それぞれのスライスに対して逆畳み込みを行うためにシステムの既知の変調伝達関数H(ξ)とともに用いられる。逆畳み込みされたスライスを再構築することにより形成された画像は、上述した正しいビームパラメータを算出するためにその後に分析され得る。当業者であれば、ビーム測定又は処理アルゴリズムを任意に組み合わせたものを用いて装置200の焦点面と一致していないビーム202の軸により生じる焦点誤差を補正し得ることを理解するであろう。
【0037】
図6及び図7A図7Bは、図1及び図2に示されるビーム品質測定装置の実施形態の別の図300の様々な画像を示しており、少なくとも1つのビーム302が、少なくとも1つのサンプリング領域330を横断し、焦点面Py及びPxのうち少なくとも一方と交差するが、これと平行ではない場合があるように配置されている。図示された実施形態においては、ビーム302は1以上のビームウェスト328を含み得るが、当業者であれば、ビーム302はビームウェスト328を有していなくてもよいことを理解するであろう。図6に示されているように、ビーム302から散乱した1以上の散乱光信号320及び322は、少なくとも1つの光学系360によって少なくとも1つの撮像デバイス304内に位置する1以上のイメージセンサ318に向けられていてもよい。上述したように、撮像デバイス304においては、多くの種類のイメージセンサ318が用いられ得る。図示された実施形態においては、光学系360は、少なくとも1つの反射面362及び少なくとも1つの光学要素364を含んでいるが、当業者であれば、光学系360において様々な光学要素及び構成要素を用いてもよいことを理解するであろう。図示された実施形態においては、光学系360は、2つの反射面362及び366を含んでいる。光学系360において使用される別の構成要素は、光学系150に関して上記で述べられている。図7Aは、ビーム302がサンプリング領域330を伝搬し、少なくとも1つの導路306によって少なくとも1つの画像処理モジュール308に向けられているときに(図6に示されている)撮像デバイス304のイメージセンサ318により取得された焦点面Pyに関するビーム302の少なくとも1つのビームコースティック326aの少なくとも1つの画像334aを示すものである。図示された実施形態においては、画像処理モジュール308は、それぞれカーソル位置370,372及び374において少なくとも1つのカーソル324aで画像334aをスキャンすることによりスライス380,382及び384を生成し得る。図示された実施形態においては、画像処理モジュール308は、画像を分析して焦点面Pxに対して角度βだけ傾いたものとして示されている軸C1を規定し得るが、そうでない場合には、画像334aはその焦点が合っているものとして観察され得る。図7Bは、撮像デバイス304により取得され、画像処理モジュール308により処理された焦点面Pxに関するビーム302の少なくとも1つのビームコースティック326bの画像334bを示すものである。画像処理モジュール308は、それぞれ位置340,342及び344で少なくとも1つのカーソル324bで画像334bをスキャンすることによりスライス350,352,354を生成し得る。図示された実施形態においては、ビーム302がビームウェスト328bにおいてのみ焦点面Pxに交差し得るので、ビームウェスト328bだけがその焦点があっているものとして観察され得る。画像334bの残りはその焦点があっていないものとして観察され得る。当業者であれば、ビーム302が焦点面Py及びPxと様々な角度で交差してもよく、あるいはビーム302が焦点面Py及びPxのいずれとも交差しないこともあることを理解するであろう。
【0038】
図8A及び図8Bは、ディスプレイ316上に表示されるビーム302の画像334aの様々な図を示すものである。図示された実施形態においては、図8Aは、カーソル位置370~378においてカーソル324aで画像334aをスキャンすることにより画像処理モジュール308により生成されたスライス380~388とともに図7Aに示される画像334aを示すものである。当業者であれば、より解像度を上げるために、画像処理モジュール308によってより多くのスライスを生成し、分析してもよいことを理解するであろう。図8A及び図8Bに示されるように、画像処理モジュール308は、画像334aを分析して光軸C1を規定する。必要に応じて、画像処理モジュール308は、複数の画像を分析して任意の数の光軸を規定してもよい。例えば、図示された実施形態においては、光軸C1が規定されると、画像処理モジュール308によってそれぞれのスライス380~388に対して光軸C1から像面Px(位置は既知である)までの距離d380からd388を計算してもよい。以下に述べるように、その後図7B及び図9Aに示される画像334bの焦点が合っていないぼやけを除去するためにこのデータを使用してもよい。当業者であれば、ビーム302の画像に様々な光学又は信号処理方法を適用することにより焦点が合っていないぼやけが補正され得ることを理解するであろう。
【0039】
図7A図7B図8A図8B及び図9A図9Cは、ディスプレイ316上に表示されている図7Bに示される画像334bがその焦点が合っていない状態から焦点の合った状態に遷移する様子を示すものである。図7Bは、撮像デバイス304により取得され、画像処理モジュール308により処理されたビームコースティック326bの画像334bを示すものである。画像処理モジュール308は、位置340~348において少なくとも1つのカーソル324bで画像334bをスキャンすることによりスライス350~358を生成し得る。当業者であれば、画像処理モジュール308は、サンプリング領域330に沿った任意の位置で任意の数のスライスを取得し得ることを理解するであろう。ビーム302は、焦点面Pxに平行ではないので、スライス350~358のうち1つ以上のスライスがその焦点が合っていないように見える場合がある。この実施形態においては、カーソル位置374でのビームウェスト328bが焦点面と交差するので、ビームウェスト328bはその焦点が合っていると観察され得るが、当業者であれば、ビームウェスト328bに焦点が合っていなくてもよく、これに代えてビームの異なる位置に焦点が合っていてもよいことを理解するであろう。ビームウェストでのスライス354とは対照的に、ビームウェスト位置344から遠ざかるにつれて、例えばスライス355~358及び353~350の焦点が次第に合わなくなる。上述したように、図8A及び図8Bに示すスライス380~388の中心から光軸C1までの距離d380からd388は、その距離に対応するインフォーカス伝達関数H(ξ)とアウトオブフォーカス伝達関数G(ξ,d)を用いてそれぞれのスライス380~388に対して逆畳み込みを行い、逆畳み込みされたスライスを、上述したビーム広がりやビーム伝搬比M2のような正しいビームパラメータを算出するために用いることができるスライス390~398を用いて図9Cに示される画像334cに再構築するために使用される。
【0040】
図10図13は、複数の撮像デバイスを備えるように構成されたビーム品質測定装置400の別の実施形態の図を示すものである。図10及び図11に示されるように、レーザビーム品質測定装置400は、少なくとも1つのサンプリング領域430を伝搬する少なくとも1つのビーム402と光学的に接続され得る少なくとも2つの撮像デバイス404及び406を含み得る。撮像デバイス404及び406は、ビーム402から散乱する1以上の光信号420及び422を取得し、これらをそれぞれ少なくとも2つの導路410及び412を介して少なくとも1つの画像処理モジュール408に向けるように構成され得る。当業者であれば、単一の導路を用いてもよいことを理解するであろう。導路106の種類の例としては、(USB、FireWire、CAT5のような)電気ケーブル、光ファイバケーブル又はデジタル光ケーブルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。必要に応じて、導路106は、GigE Ethernet、Bluetooth、WiFiなどのようなネットワーク又は無線通信プロトコルを含み得る。画像処理モジュール408は、信号420及び422を処理し、1以上のディスプレイ416上に1以上のビーム画像434を表示するように構成されていてもよい。撮像デバイス404及び406は、それぞれ少なくとも1つのイメージセンサ414及び418をさらに含んでいてもよい。図示された実施形態においては、撮像デバイス404及び406は、内部に少なくとも1つのCMOSイメージセンサ414,418が配置されたカメラである。必要に応じて、イメージセンサ414,418は、電荷結合素子(CCD)イメージセンサ、焦点面アレイ、焦電気アレイ、スキャニングアレイ、時間遅延統合イメージャなどであってもよい。当業者であれば、装置400とともに様々なイメージセンサ、撮像デバイス又は撮像システムを用いてもよいことを理解するであろう。図10に示されるように、撮像デバイス404及び406は、少なくとも1つの角度αだけ離間している。図示された実施形態においては、角度αは、90°であってもよく、これにより撮像デバイスが少なくとも1つの平面において互いに直交するようになる。あるいは、角度αは、1度から179度の間のいずれの値であってもよい。上述したように、画像処理モジュール408は、ディスプレイ416に表示されている画像434を分析して様々なビームパラメータを算出してもよい。
【0041】
図11は、図10に示されるレーザビーム品質測定装置400の実施形態の別の図を示すものである。図示された実施形態においては、撮像デバイス406及び404は、それぞれ互いに直交する焦点面Py及びPxを規定し得るが、当業者であれば、焦点面Py及びPxが互いに直交していなくてもよいことを理解するであろう。必要に応じて、撮像デバイス404及び406は、単一の焦点面又は様々角度で交差し得る3つ以上の焦点面を規定し得る。図11に示されるように、ビーム402は、焦点面Py及びPxに交差し、紙面に入射又は紙面から出射するように先端をこちらに向けて示されている。図10及び図11に示されるように、図示された実施形態においては、ビーム402は、焦点面PyとPxの交線に沿って伝搬する。ディスプレイ416は、それぞれ撮像デバイス406及び404により取得されたそれぞれ焦点面Py及びPxに関係する画像434a及び434bを表示する。必要に応じて、ディスプレイ416は、単一の画像又は任意の数の画像434を表示してもよい。図示された実施形態においては、表示装置416上に表示された画像434a及び434bは実質的に同様のものであり、それらの焦点が合っているものとして観察され得る。この実施形態においては、画像434a及び434bの焦点が合っているため、焦点補正は必要とされない。画像処理モジュール408は、画像434a及び434bを用いて、オペレータが図1に示されるレーザ又は光源10を特徴付け、その性能を制御するために使用することがあるようなビームウェストのサイズ、位置又は焦点シフト、レイリー範囲、ビーム重心、広がり角、ビームパラメータ積及びM2ビーム伝搬比などといった1組のビームパラメータを算出してもよい。当業者であれば、任意の数のビームパラメータ又はビーム402の特性を算出してもよいことを理解するであろう。
【0042】
図12は、図10に示されるレーザビーム品質測定装置400の実施形態の別の図を示すものである。図示されているように、ビーム402は、少なくとも1つのサンプリング領域430を横断し得る。ビーム402は、焦点面Pyと交差するが焦点面Pxとは交差しないように配置されていてもよい。ビーム402が、一方の焦点面又は両方の焦点面からオフセットされているか、これと平行ではない場合には、ビーム402は、その一部又は全部の範囲にわたって焦点が合っていないと観察され得る。図示された実施形態においては、ディスプレイ416は、それぞれ撮像デバイス406及び404により取得され、画像処理モジュール408により処理された画像444a及び444bを表示する。図12に示されるように、ビーム402は焦点面P x と交差するので、画像444aはその焦点が合っているものとして観察され得る。これに対して、ビーム402は焦点面Pyと交差していないので、画像444bはその焦点が合っていないものとして観察され得る。画像444bの補正の方法は、上記の図4図5A及び図5Bに示された画像234bに適用されたものと同様のものであり得る。図示された実施形態においては、例えば、画像処理モジュール408は、画像444aに沿った様々な位置において少なくとも1つのカーソル424aで画像444aをスキャンすることにより1以上のスライス470,472及び474を生成し得る。当業者であれば、画像処理モジュール408によって任意の数のスライスを生成し得ることを理解するであろう。図示された実施形態においては、画像処理モジュール408は、少なくとも1つの軸B1を決定するために画像444a及び444bを分析し、そのデータを用いてそれぞれのスライス470~474の中央からその位置が既知である焦点面Pxまでの距離dを算出するように構成され得る。また、画像処理モジュール408は、それぞれのスライス470~474の中央から焦点面Pyまでの距離dを決定するように構成され得る。それぞれのスライスの中央から軸Pxまでの距離d470,d472及びd474の値は、当該距離に対応する伝達関数を用いてそれぞれのスライスに対して逆畳み込みを行い、逆畳み込みされたスライスを、ビーム402の正しいビームパラメータを算出するために使用可能な焦点面Pxに関する補正画像に再構築するために使用される。
【0043】
図13は、図10に示されるレーザビーム品質測定装置400の実施形態の別の図を示すものである。図示されているように、上記の図6と同様に、ビーム402は、少なくとも1つのサンプリング領域430を横断し、焦点面Py及びPxのうち少なくとも一方と交差するが、これと平行ではない場合があるように配置されている。図示された実施形態においては、ディスプレイ416は、それぞれ撮像デバイス406及び404により取得され、画像処理モジュール408により処理された(焦点面Pyに関する)画像454aと(焦点面Pxに関する)画像454bを表示している。ディスプレイ416に表示されているように、画像454aは、焦点面Pxに対してある角度で傾いているが、その焦点は合っているように観察され得る。画像454bは、ビームウェスト428bにおいてのみ焦点が合っている。画像454bの補正の方法は、上記の図6図7A図7B図8A図8B及び図9A図9Cに示された画像334bに適用されたものと同様のものであり得る。図13に示される実施形態においては、画像処理モジュール408は、カーソル455aで画像454aをスキャンすることによりスライス480~488を生成し得る。画像処理モジュール408は、画像を分析して軸C1を規定し得る。必要に応じて、画像処理モジュール408は、任意の数の画像を分析して任意の数の光軸を規定してもよい。画像処理モジュール408は、カーソル455bで画像454bをスキャンすることによりスライス490~498を生成し得る。当業者であれば、ビーム402が焦点面Py及びPxと様々な角度で交差し得るか、ビーム402が焦点面Py及びPxのいずれとも交差しないこともあることを理解するであろう。図6図7A図7B図8A図8B及び図9A図9Cに関して上記で同様に述べたように、画像処理モジュール408は、スライス480~488の中央から光軸C1までの距離d480からd488を算出し、その距離に対応するインフォーカス伝達関数H(ξ)とアウトオブフォーカス伝達関数G(ξ,d)を用いてそれぞれのスライス490~498に対して逆畳み込みを行い、逆畳み込みされたスライスを、上述したビーム広がりやビーム伝搬比M2のような正しいビームパラメータを算出するために用いることができる図13に示される画像454cに再構築するためにそれらを用いてもよい。当業者であれば、ビーム402の画像に様々な光学又は信号処理方法を適用することにより焦点が合っていないぼやけが補正され得ることを理解するであろう。
【0044】
図14は、単一の撮像デバイス504が第1の位置T1から第2の位置T2に再配置可能となっており、これにより、複数の画像を複数の角度の焦点面で取得することができるビーム品質測定装置500の実施形態を示すものである。図示されているように、撮像デバイス504は、少なくとも1つのサンプリング領域530を伝搬する少なくとも1つのビーム502と光学的に接続されていてもよく、この少なくとも1つのビーム502から1以上の散乱光信号520及び522を受信するように構成されていてもよい。図示されているように、撮像デバイス504は、1以上の散乱光信号520及び522を集めるために位置T1から位置T2に再配置可能となっていてもよい。撮像デバイス504は、少なくとも1つの導路506を介して散乱光信号520及び522の画像を、信号を処理し、1以上のディスプレイ516上に1以上の画像を表示するように構成され得る少なくとも1つの画像処理モジュール512に向けるように構成されていてもよい。上記の様々な実施形態において述べられているように、画像処理モジュール512は、ディスプレイ516に表示された画像を分析して様々なビームパラメータを算出してもよい。上述したように、上述した焦点補正方法は、焦点面Py及びPxに対してビームの位置が合っていないことによる焦点が合っていないビーム502の画像を補正するために使用され得る。
上記で詳細に述べた様々な実施形態及び例を参照することによりレーザ測定システムのビーム画像の焦点補正のための方法及び装置が開示されたが、本発明の範囲に属するものと意図されている改良は当業者であれば容易に考えられるので、これらの例は限定的な意味ではなく例示的な意味で説明されることを意図したものである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14