(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】微細構造体基盤薬物注入装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
A61M37/00 505
A61M37/00 520
A61M37/00 530
(21)【出願番号】P 2021514961
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(86)【国際出願番号】 KR2019012085
(87)【国際公開番号】W WO2020060195
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-03-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0111529
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】304059937
【氏名又は名称】コリア・インスティテュート・オブ・マシナリー・アンド・マテリアルズ
【氏名又は名称原語表記】KOREA INSTITUTE OF MACHINERY & MATERIALS
【住所又は居所原語表記】156,GAJEONGBUK-RO,YUSEONG-GU,DAEJEON,REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジュノ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ソヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム キトン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ソクミン
(72)【発明者】
【氏名】リ ジュボム
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】安井 寿儀
【審判官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-38781(JP,A)
【文献】特開2009-233808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0015272(US,A1)
【文献】特開2015-116335(JP,A)
【文献】特開2016-158930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細構造体基盤薬物注入装置を製造する方法において、
製作しようとする微細構造体と対応する形状が形成された成形モールドを準備する成形 モールド準備段階;
前記成形モールドに生分解性素材混合液を塗布する生分解性素材混合液塗布段階;
前記成形モールドに塗布された前記生分解性素材混合液を乾燥して中空の微細構造体が形成された半乾燥状態のニードルフィルムを形成する1次乾燥段階;
前記1次乾燥段階を経た半乾燥状態のニードルフィルムにおいて、前記微細構造体の中空によって前記微細構造体の内側に形成された充填空間に薬物を充填する薬物充填段階;
前記薬物が充填された前記ニードルフィルムを乾燥する2次乾燥段階;を含み、
前記2次乾燥段階を経た前記充填空間の一部分には前記薬物が充填され、前記充填空間の中の前記薬物が収容された領域以外の空間に気体が収容される内部空間部が形成され、
前記充填空間において前記薬物が収容された領域は前記微細構造体の突出したチップに隣接した領域であり、前記充填空間において前記気体が収容された前記内部空間部は前記微細構造体の突出したチップから遠い領域である、微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法。
【請求項2】
前記薬物充填段階で前記充填空間に充填される薬物は流体状態であり、
前記薬物充填段階で前記充填空間に充填された前記薬物の少なくとも一部が前記微細構 造体に浸透する、請求項1に記載の微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法。
【請求項3】
前記薬物充填段階で前記充填空間に充填される前記薬物の液滴直径は1,000μm以 内の範囲を有する、請求項2に記載の微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法。
【請求項4】
前記薬物充填段階以前に前記充填空間に充填される固体状態の薬物を製作する固体薬物 製作段階;をさらに含み、
前記固体薬物製作段階は、
流体状態の薬物を固体薬物製作モールドに充填する流体薬物充填段階;
製作しようとする前記固体状態の薬物の形状と対応する形状モールドが前記固体薬物製 作モールドと結合されるモールド結合段階;
前記流体状態の薬物が前記固体状態の薬物に相変化するように薬物を処理する薬物処理 段階;を含む、請求項1に記載の微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法。
【請求項5】
前記モールド結合段階で前記形状モールドは前記薬物の形状を前記充填空間内部形状と 対応する三角形に形成し、前記充填空間の一部分の領域に配置されるようにする構造で形 成されて前記固体薬物製作モールドと結合される、請求項4に記載の微細構造体基盤薬物 注入装置の製造方法。
【請求項6】
前記モールド結合段階で前記形状モールドは前記薬物をV字形状に形成し、一部分は前 記充填空間の一部領域に配置され、他部分は前記充填空間の外部領域に配置されるように する構造で形成されて前記固体薬物製作モールドと結合される、請求項4に記載の微細構 造体基盤薬物注入装置の製造方法。
【請求項7】
前記モールド結合段階で前記形状モールドは前記薬物をV字形状に形成し、前記充填空 間の一部分の領域に配置されるようにする構造で形成されて前記固体薬物製作モールドと 結合される、請求項4に記載の微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法。
【請求項8】
中空の微細構造体が形成されたニードルフィルム;
前記微細構造体の中空によって前記微細構造体の内側に形成された充填空間の一部分に充填された薬物;
前記充填空間の中の前記薬物が収容された領域以外の空間に該当し、気体が収容される内部空間部;を含み、
前記充填空間において前記薬物が収容された領域は前記微細構造体の突出したチップに隣接した領域であり、前記充填空間において前記気体が収容された前記内部空間部は前記微細構造体の突出したチップから遠い領域であり、
前記ニードルフィルムは生体内で溶解または分解が可能な生分解性素材で構成され、
前記薬物は固体状態であり、
前記薬物の形状は前記充填空間内部形状と対応する三角形に形成されて、前記充填空間 の少なくとも一部分の領域に配置される、微細構造体基盤薬物注入装置。
【請求項9】
中空の微細構造体が形成されたニードルフィルム;
前記微細構造体の中空によって前記微細構造体の内側に形成された充填空間の一部分に充填された薬物;
前記充填空間の中の前記薬物が収容された領域以外の空間に該当し、気体が収容される内部空間部;を含み、
前記充填空間において前記薬物が収容された領域は前記微細構造体の突出したチップに隣接した領域であり、前記充填空間において前記気体が収容された前記内部空間部は前記微細構造体の突出したチップから遠い領域であり、
前記ニードルフィルムは生体内で溶解または分解が可能な生分解性素材で構成され、
前記薬物は固体状態であり、
前記薬物の形状はV字形状であり、一部分は前記充填空間の少なくとも一部分の領域に 配置され、他部分は前記充填空間の外部に配置される、微細構造体基盤 薬物注入装置。
【請求項10】
中空の微細構造体が形成されたニードルフィルム;
前記微細構造体の中空によって前記微細構造体の内側に形成された充填空間の一部分に充填された薬物;
前記充填空間の中の前記薬物が収容された領域以外の空間に該当し、気体が収容される内部空間部;を含み、
前記充填空間において前記薬物が収容された領域は前記微細構造体の突出したチップに隣接した領域であり、前記充填空間において前記気体が収容された前記内部空間部は前記微細構造体の突出したチップから遠い領域であり、
前記ニードルフィルムは生体内で溶解または分解が可能な生分解性素材で構成され、
前記薬物は固体状態であり、
前記薬物の形状がV字形状に形成されて、前記充填空間の少なくとも一部分の領域に配置される、微細構造体基盤薬物注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微細構造体基盤薬物注入装置およびその製造方法に関するものであって、より詳しくは充填空間に薬物が収容された領域以外の領域に内部空間部を形成し、充填された薬物が微細構造体に形成されたホール内側に浸透して充填空間だけでなく微細構造体の先端部にも薬物が分布することによって微細構造体の形状を維持し薬物の漏出を防止し薬物に含まれている有効成分の皮膚浸透度および伝達効率を向上させることができる微細構造体基盤薬物注入装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、薬物伝達システム(Drug Delivery System、DDS)は、薬理学的活性を有する物質を多様な物理化学的技術を用いて最適の効力を発揮するように細胞、組織、臓器および器官への伝達を制御する一連の技術を意味する。
【0003】
このような薬物伝達システムは、経口で薬物を摂取する経口型薬物伝達システムと、注射器などを使用して局部に薬物を注入する経皮透過型薬物伝達システムなどを含む。
【0004】
このうち、経皮透過型薬物伝達システムは薬物のような薬剤学的物質を効率的でありながらも安全に投与することができて既にかなり以前から重要に認識されてきたが、痛みの同伴と薬物の一時的注入という問題点を有している。
【0005】
このような注射器の短所を改善するために、注射器のニードルよりはるかに小さいマイクロサイズの経皮透過型ニードルが製作されて活用されている。
【0006】
このようなマイクロニードルは皮膚美容または治療のための薬物を皮膚組織内に注入するか、皮膚の内部から血液のような体液の抽出のための器具として使用され、皮膚疾患の治療や疾病の予防注射などのように多くの分野で使用されている。
【0007】
このようなマイクロニードルを用いて薬物を伝達する方法としては、薬物をニードル表面にコーティングする場合と、ニードル内部に薬物を充填する場合などがあり、ニードル内部に薬物が充填される場合、ニードルは生分解性材質から構成されてニードルが経皮を透過し、経皮を透過した領域のニードルが溶解されることによって充填された薬物が皮膚組織内に注入される。
【0008】
しかし、大部分のマイクロニードルは生分解性材質内に空いた空間なく薬物を注入して製造過程中に生分解性材質内への薬物浸透によってマイクロニードルの形状が収縮されるか充填された薬物がマイクロニードル外部に漏出される問題点と、生分解性材質から構成されたニードルが溶解される時間中には薬物が注入されないので、即刻の薬物の注入が難しいだけでなく皮膚浸透度および伝達効率が低下する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一側面は、充填空間に薬物が収容された領域以外の領域に内部空間部を形成し、充填された薬物が微細構造体に形成されたホール内側に浸透して充填空間だけでなく微細構造体の先端部にも薬物が分布することによって微細構造体の形状を維持し薬物の漏出を防止し薬物に含まれている有効成分の皮膚浸透度および伝達効率を向上させることができる微細構造体基盤薬物注入装置およびその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は、製作しようとする微細構造体と対応する形状が形成された成形モールドを準備する成形モールド準備段階と、前記成形モールドに生分解性素材混合液を塗布する生分解性素材混合液塗布段階と、前記成形モールドに塗布された前記生分解性素材混合液を乾燥して前記微細構造体が形成されたニードルフィルムを形成する1次乾燥段階と、前記微細構造体によって形成された充填空間に薬物を充填する薬物充填段階と、前記ニードルフィルムを乾燥する2次乾燥段階を含み、前記2次乾燥段階を経た前記充填空間には前記薬物が収容された領域以外の領域に内部空間部が形成される。
【0011】
ここで、前記薬物充填段階で前記充填空間に充填される薬物は流体状態であり、前記薬物充填段階で前記充填空間に充填された前記薬物の少なくとも一部が前記微細構造体に浸透できる。
【0012】
また、前記薬物充填段階で前記充填空間に充填される前記薬物の液滴直径は1,000μm以内の範囲を有することができる。
【0013】
また、前記薬物充填段階以前に前記充填空間に充填される固体状態の薬物を製作する固体薬物製作段階をさらに含み、前記固体薬物製作段階は、流体状態の薬物を固体薬物製作モールドに充填する流体薬物充填段階と、製作しようとする前記固体状態の薬物の形状と対応する形状モールドが前記固体薬物製作モールドと結合されるモールド結合段階と、前記流体状態の薬物が前記固体状態の薬物に相変化するように薬物を処理する薬物処理段階を含むことができる。
【0014】
また、前記モールド結合段階で前記形状モールドは前記薬物の形状を前記充填空間内部形状と対応する三角形に形成し、前記充填空間の一部分の領域に配置されるようにする構造で形成されて前記固体薬物製作モールドと結合できる。
【0015】
また、前記モールド結合段階で前記形状モールドは前記薬物をV字形状に形成し、一部分は前記充填空間の一部領域に配置され、他部分は前記充填空間の外部領域に配置されるようにする構造で形成されて前記固体薬物製作モールドと結合できる。
【0016】
また、前記モールド結合段階で前記形状モールドは前記薬物をV字形状に形成し、前記充填空間の一部分の領域に配置されるようにする構造で形成されて前記固体薬物製作モールドと結合できる。
【0017】
また、本発明の他の実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置を製造する方法は、製作しようとする微細構造体と対応する形状が形成された成形モールドを準備する成形モールド準備段階と、前記成形モールドに生分解性素材混合液を塗布する生分解性素材混合液塗布段階と、前記成形モールドに塗布された前記生分解性素材混合液を乾燥して前記微細構造体が形成されたニードルフィルムを形成する1次乾燥段階と、前記微細構造体の外側面に薬物をコーティングする薬物コーティング段階と、前記ニードルフィルムを乾燥する2次乾燥段階を含み、前記1次乾燥段階で前記微細構造体によって形成された充填空間には内部に気体が収容される内部空間部が形成される。
【0018】
また、本発明の一実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置は、微細構造体が形成されたニードルフィルムと、前記微細構造体によって形成された充填空間の少なくとも一部分に充填された薬物と、前記充填空間の中の前記薬物が収容された領域以外の空間に該当し、気体が収容される内部空間部を含む。
【0019】
ここで、前記薬物は流体状態であり、前記充填空間に充填された前記薬物の少なくとも一部が前記微細構造体に浸透できる。
【0020】
また、前記薬物の液滴直径は1,000μm以内の範囲を有することができる。
【0021】
また、前記薬物は固体状態であり、前記薬物の形状は前記充填空間内部形状と対応する三角形に形成されて、前記充填空間の少なくとも一部分の領域に配置できる。
【0022】
また、前記薬物は固体状態であり、前記薬物の形状はV字形状であり、一部分は前記充填空間の少なくとも一部分の領域に配置され、他部分は前記充填空間の外部に配置できる。
【0023】
また、前記薬物は固体状態であり、前記薬物の形状がV字形状に形成されて、前記充填空間の少なくとも一部分の領域に配置できる。
【0024】
また、本発明の他の実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置は、微細構造体が形成されたニードルフィルムと、前記微細構造体の外側面にコーティングされた薬物と、少なくとも一部分が前記微細構造体によって形成された充填空間に配置される内部空間部を含む 。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置およびその製造方法は、次のような効果を有する。
【0026】
第一に、充填空間に充填された薬物が微細構造体に形成されたホール内側に浸透して充填空間だけでなく微細構造体の先端部にも薬物が分布することによって薬物に含まれている有効成分の皮膚浸透度および伝達効率を向上させることができる利点がある。
【0027】
第二に、微細構造体内部に内部空間部が形成されることによって乾燥段階で微細構造体の収縮を減少させて成形モールド形状に近い微細構造体を製作することができる利点がある。
【0028】
第三に、微細構造体内部に内部空間部が形成されることによって微細構造体が皮下組織に挿入されて溶解される時、微細構造体の中の前記内部空間部が位置する領域が急速に溶解されることによって薬物が充填された領域の微細構造体が皮下組織に挿入された状態でパッチフィルムと接着されたニードルフィルムを皮膚から急速に分離できるようになる利点がある。
【0029】
第四に、ニードルフィルムが皮膚に付着され、微細構造体が皮下組織に挿入されるように外力を加える時、微細構造体に内部空間部が形成されることによって微細構造体に収容された薬物が外力によってニードルフィルムとパッチフィルムの間に漏れ出るのを防止することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第1実施形態を説明するために示した図である。
【
図2】本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第2実施形態を説明するために示した図である。
【
図3】本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第3実施形態を説明するために示した図である。
【
図4】
図3の微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の固体薬物製作段階を説明するために示した図である。
【
図5】本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第4実施形態を説明するために示した図である。
【
図6】本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第5実施形態を説明するために示した図である。
【
図7】本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第6実施形態を説明するために示した図である。
【
図8】微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第1実施形態によって製作された微細構造体基盤薬物注入装置の写真を示した図である。
【
図9】本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第7実施形態を説明するために示した図である。
【
図10】微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第2実施形態によって製作された微細構造体基盤薬物注入装置の第1製造例を示した図である。
【
図11】微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第4実施形態によって製作された微細構造体基盤薬物注入装置の第2製造例を示した図である。
【
図12】微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第5実施形態によって製作された微細構造体基盤薬物注入装置の第3製造例を示した図である。
【
図13】微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第6実施形態によって製作された微細構造体基盤薬物注入装置の第4製造例を示した図である。
【
図14】微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第7実施形態によって製作された微細構造体基盤薬物注入装置の第5製造例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して本発明を説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現でき、したがって、ここで説明する実施形態に限定されるのではない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号を付けた。
【0032】
明細書全体で、ある部分が他の部分と“連結(接続、接触、結合)”されているという時、これは“直接的に連結”されている場合だけでなく、その中間に他の部材を挟んで“間接的に連結”されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに備えることができるということを意味する。
【0033】
本明細書で使用した用語はただ特定の実施形態を説明するために使用されたのであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、“含む”または“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
【0034】
以下、前述の解決しようとする課題が具体的に実現できる本発明の好ましい実施形態を添付した図面を参照して説明する。本実施形態を説明することにおいて、同一構成については同一名称および同一符号が使用され、これによる付加的な説明は下記で省略される。
以下、
図1を参照して、本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第1実施形態を説明する。
図1に示されているように、第1実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は、成形モールド準備段階(S110)、生分解性素材混合液塗布段階(S120)、1次乾燥段階(S130)、薬物充填段階(S140)、および2次乾燥段階(S150)を含む。
【0035】
前記成形モールド準備段階(S110)では、製作しようとする微細構造体と対応する形状が形成された成形モールドを準備する。
【0036】
前記生分解性素材混合液塗布段階(S120)では、前記成形モールド上部領域に生分解性素材混合液を塗布する。
【0037】
前記1次乾燥段階(S130)では、前記成形モールドに塗布された前記生分解性素材混合液を乾燥して前記微細構造体が形成されたニードルフィルムを形成する。この時、前記1次乾燥段階(S130)を経た前記ニードルフィルムは半乾燥(semi-dried)状態であってもよい
前記薬物充填段階(S140)では、前記微細構造体によって形成された充填空間の一部分領域に薬物を充填する。
【0038】
前記2次乾燥段階(S150)では前記ニードルフィルムを乾燥し、前記2次乾燥段階(S150)を経た前記充填空間には前記薬物が充填された領域以外の領域に内部空間部が形成され、前記内部空間部には気体が収容される。
【0039】
ここで、前記薬物充填段階(S140)と前記2次乾燥段階(S150)は、前記薬物に含まれている有効成分が人体の皮膚に浸透しなければならない量だけ前記微細構造体に収容されるまで繰り返されるのが好ましい。
【0040】
前述の過程を通じて製作された微細構造体基盤薬物注入装置の微細構造体内部に内部空間部が形成されることによって前記1次乾燥段階(S130)および前記2次乾燥段階(S150)で微細構造体の収縮を減少させて成形モールド形状に近い微細構造体を製作することができる。
【0041】
したがって、本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第1実施形態によって微細構造体基盤薬物注入装置を
図8のように製作することができるようになる。
【0042】
以下、
図2を参照して、微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第2実施形態を説明する。
【0043】
図2に示されているように、第2実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は、成形モールド準備段階(S110)、生分解性素材混合液塗布段階(S120)、1次乾燥段階(S130)、薬物充填段階(S140)を含み、
図2に示されていないが、2次乾燥段階も含む。
【0044】
前記成形モールド準備段階(S110)では製作しようとする微細構造体1211と対応する形状が形成された成形モールド1100を準備し、前記生分解性素材混合液塗布段階(S120)では前記成形モールド1100の上部領域に生分解性素材混合液1200を全体的に塗布する。
【0045】
これは、製作しようとするニードルフィルム(S130の1210)が均一な厚さで形成されるようにするためである。即ち、前記生分解性素材混合液1200を前記成形モールド110上部に一定の厚さで塗布するようになれば、流体の特性によって前記生分解性素材混合液1200は前記成形モールドの微細構造体1211と対応する形状端に集まるようになって不均一な厚さのニードルフィルム1210を形成するようになるので、前記生分解性素材混合液塗布段階(S120)では
図2に示されているように、前記成形モールド1100の上部領域に生分解性素材混合液1200を全体的に塗布する。
図2で詳しく示されなかったが、前記生分解性素材混合液塗布段階(S120)では前記生分解性素材混合液1200が前記成形モールド1100に全体的に塗布された後、前記生分解性素材混合液1200の有効物質の沈殿が行われるかまたは前記生分解性素材混合液1200を0次乾燥した後にエッチングする過程を行うことによって前記生分解性素材混合液1200が一定の厚さを有し、最終完成される微細構造体基盤薬物注入装置の形態に対応する形状を有するニードルフィルム1210の形状に形成できる。
【0046】
ここで、前記生分解性素材混合液1200の生分解性素材は生体内で溶解または分解が可能な素材であって、核酸(nucleic acid)、デオキシリボ核酸(DeoxyriboNucleic Acid、DNA)、リボ核酸(RiboNucleic Acid、RNA)、ポリデオキシリボヌクレオチドナトリウム(Polydeoxyribonucleotide、PDRN)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、アルギン酸(alginic acid)、ペクチン、カラギーナン、コンドロイチン(スルフェート)、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)、グリコーゲン(glycogen)、デキストラン(スルフェート)、デキストラン(dextran)、デキストリン(dextrin)、キトサン、ポリリシン(polylysine)、コラーゲン、ゼラチン、カルボキシメチルキチン(carboxymethyl chitin)、フィブリン、アガロース、プルランポリラクチド、ポリグリコライド(PGA)、ポリラクチド-グリコライド共重合体(PLGA)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、アルギン酸(alginic acid)、ペクチン、カラギーナン、コンドロイチン(スルフェート)、デキストラン(スルフェート)、キチン(chitin)、キトサン、ポリリシン(polylysine)、コラーゲン、ゼラチン、カルボキシメチルキチン(carboxymethyl chitin)、フィブリン、アガロース、プルラン(pullulan)などの多糖類やコラーゲン(collagen)、ゼラチン(gelatin)およびこれらの加水分解物などの蛋白質、プルランポリアンヒドリド(polyanhydride)、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリエーテルエステル(polyetherester)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリエステルアミド(polyesteramide)、ポリ(酪酸)、ポリ(バレリック酸)、ポリウレタン、ポリアクリレート、エチレン-ビニルアセテート重合体、アクリル置換セルロースアセテート、非-分解性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホネートポリオレフィン(chlorosulphonatepolyolefins)、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリメタクリレート、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、カルボキシビニルポリマー(carboxylvinylpolymer)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropyl methylcellulose)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース、シクロデキストリンおよびこのような高分子を形成する単量体の共重合体およびセルロースの群から構成できる。
【0047】
また、前記生分解性素材混合液塗布段階(S120)で前記成形モールド1100に塗布される前記生分解性素材混合液1200の量は最終完成されるニードルフィルム1210の大きさと厚さによって調節できる。
【0048】
前記1次乾燥段階(S130)では前記成形モールド1100に塗布された前記生分解性素材混合液1200を乾燥して前記微細構造体1211が形成されたニードルフィルム1210を形成する。
【0049】
即ち、前記1次乾燥段階(S130)では前記生分解性素材混合液1200が塗布された前記成形モールド1100を別途の乾燥ユニット(図示せず)で一定温度、一定時間乾燥させることによって前記ニードルフィルム1210を形成する。例えば、前記1次乾燥段階(S130)の乾燥条件は0℃~100℃の温度条件とし、数分~数時間前記成形モールド1100を乾燥ユニットで乾燥させることができる。
【0050】
この時、前記微細構造体1211の長さは、皮膚の皮下組織まで所望の位置に接できる長さで、10μm~10,000μmであってもよい。また、前記微細構造体によって形成された充填空間1212、即ち、その後内部空間部(
図10の1212a)として形成される領域は、前記1次乾燥段階(S130)で前記微細構造体1211の収縮を減少させることによって前記成形モールド1100形状に近い微細構造体1211を製作できるようにすることができる。
【0051】
前記薬物充填段階(S140)では前記微細構造体1211によって形成された充填空間1212に薬物1310を充填する。
【0052】
具体的に、前記薬物1310は流体状態であり、前記薬物充填段階(S140)では前記微細構造体1211によって形成された充填空間1212に薬物1310を充填し、この時、前記充填空間1212に充填された前記薬物1310の充填量は人体の皮膚に浸透しなければならない有効成分の量と比例する。
【0053】
前記薬物充填段階(S140)で前記充填空間1212に充填される前記薬物1310の直径(
図10のk)は1,000μm以内の範囲を有し、前記薬物1310の直径の最小大きさは製作できる液滴の大きさであり、製作する範囲内でナノ単位またはそれ以下の単位であってもよい。
【0054】
前記薬物1310の直径を限定した理由は、液滴形態の薬物1310がニードルフィルム1210に形成されたホール内側に容易に移動するようにするためと、薬物充填量を精密に調節するためである。ここで、前記ニードルフィルム1210は多孔性材質から形成されており、ここで、前記ホールは多孔性材質から構成された前記ニードルフィルム1210の特性によって前記ニードルフィルム1210に形成される。
【0055】
したがって、薬物充填段階(S140)では前記微細構造体1211に充填された前記薬物1310の少なくとも一部が前記微細構造体1211に形成されたホールに浸透し、前記薬物は前記微細構造体1211に形成されたホールの一部分および充填空間1212の一部分に充填され、これに関する詳細な説明は後述するようにする。
【0056】
その後、前記2次乾燥段階では前記ニードルフィルム1210を乾燥し、
図2に前記2次乾燥段階は示されていないが、第2実施形態による前記2次乾燥段階のより容易な理解のために、
図2に示された構成および図面符号を使用して第2実施形態による2次乾燥段階を以下に説明する。
【0057】
具体的に、前記2次乾燥段階では前記成形モールド1100に形成された前記ニードルフィルム1210を別途の乾燥ユニットで一定温度、一定時間乾燥させることによって前記薬物1310が浸透した領域の微細構造体1211が皮膚を突き抜くことができる程度の機械的強度を有することができるようにし、この時、前記充填空間1212には内部空間部(
図10の1212a)が形成される。
【0058】
例えば、前記2次乾燥段階の温度条件は0℃~80℃とし、前記ニードルフィルム1210を数分~数時間乾燥させる。
【0059】
ここで、前記2次乾燥段階の温度条件最大値が前記1次乾燥段階(S130)の温度条件最大値に比べて低い理由は、薬物充填過程で薬物液滴がニードルフィルム1210に接触する前に乾燥されることと、ニードルフィルム1210が熱によって捩れることを防止するためである。
【0060】
また、前記微細構造体1211によって形成された充填空間1212、即ち、その後内部空間部(
図10の1212a)に形成される領域は前記2次乾燥段階で前記微細構造体1211の収縮を減少させることによって前記成形モールド1100形状に近い微細構造体1211を製作できるようにすることができる。
【0061】
結果的に、前記2次乾燥段階を行うことによって前記微細構造体1211が乾燥されて人の皮膚を突き抜くことができる程度の機械的強度を有する。
【0062】
前述の過程を通じて微細構造体1211が形成されたニードルフィルム1210が製作され、前記ニードルフィルム1210の上部領域、即ち、前記微細構造体1211が突出した方向の反対領域には前記ニードルフィルム1210を人の皮膚に付着するためのパッチフィルム(図示せず)が接着される。
【0063】
パッチフィルムが接着された前記ニードルフィルム1210が皮膚に付着され、前記微細構造体1211が皮下組織に挿入されて溶解される時、前記微細構造体1211の中の前記内部空間部(
図10の1212a)が位置する領域、即ち、一面は皮下組織と接し、他面は前記内部空間部と接する微細構造体1211領域が急速に溶解されることによって前記薬物1310が充填された領域の微細構造体1211が皮下組織に挿入された状態で前記パッチフィルムと接着されたニードルフィルムを皮膚から急速に分離できるようになる。
【0064】
また、前記ニードルフィルムが皮膚に付着され、前記微細構造体が皮膚に挿入されるように外力を加える時、前記微細構造体1211に内部空間部が形成されることによって前記微細構造体1211に収容された前記薬物1310が外力によって前記ニードルフィルム1210と前記パッチフィルムの間に漏れ出るのを防止することができる。
【0065】
以下、
図3および
図4を参照して、本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第3実施形態を説明する。
【0066】
図3に示されているように、第3実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は、成形モールド準備段階(S110)、生分解性素材混合液塗布段階(S120)、1次乾燥段階(S130)、固体薬物製作段階(S140')、薬物充填段階(S140)および2次乾燥段階(S150)を含む。
【0067】
第3実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法に含まれている成形モールド準備段階(S110)、生分解性素材混合液塗布段階(S120)、1次乾燥段階(S130)、および2次乾燥段階(S150)は前述の第1実施形態および第2実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法に含まれている成形モールド準備段階(S110)、生分解性素材混合液塗布段階(S120)、1次乾燥段階(S130)、および2次乾燥段階(S150)と対応するので、これに関する詳細な説明は省略する。
また、前記固体薬物製作段階(S140')によって第3実施形態での薬物充填段階(S140)は第1実施形態および第2実施形態での薬物充填段階(S140)と多少異なるので、これに関する説明は後述するようにする。
【0068】
前記固体薬物製作段階(S140')は前記1次乾燥段階(S130)以後に行われ、前記薬物充填段階(S140)で前記充填空間に充填される固体状態の薬物を製作する段階である。
具体的に、前記固体薬物製作段階(S140')は、
図4に示されているように、流体薬物充填段階(S141')、モールド結合段階(S142')、および薬物処理段階(S143')を含む。
【0069】
前記流体薬物充填段階(S141')では、流体状態の薬物を固体薬物製作モールドに充填する。
【0070】
前記モールド結合段階(S142')では、製作しようとする固体状態の薬物の形状と対応する形状モールドが前記固体薬物製作モールドと結合される。この時、前記モールド結合段階で前記形状モールドは前記薬物を前記充填空間内部の一部分にのみ配置されるように形成する構造で形成される。
【0071】
前記薬物処理段階(S143')では前記流体状態の薬物が前記固体状態の薬物に相変化するように薬物を処理し、例えば、前記薬物の処理は前記薬物の種類によって加熱、乾燥または紫外線照射などの過程を行うことによって前記薬物を相変化させることができる。
【0072】
前述の固体薬物製作段階(S140')以後、前記薬物充填段階(S140)では固体状態の薬物を前記微細構造体によって形成された充填空間に挿入して充填し、この時、前記充填空間には前記薬物が収容された領域以外の領域に内部空間部が形成され、前記内部空間部には気体が収容される。
【0073】
前述の過程を通じて製作された微細構造体基盤薬物注入装置の微細構造体内部に内部空間部が形成されることによって前記1次乾燥段階(S130)および前記2次乾燥段階(S150)で微細構造体の収縮を減少させて成形モールド形状に近い微細構造体を製作することができる。
【0074】
以下、
図5を参照して本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第4実施形態を説明する。
【0075】
第4実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は、成形モールド準備段階、生分解性素材混合液塗布段階、1次乾燥段階、固体薬物製作段階、薬物充填段階、および2次乾燥段階を含む。
【0076】
ここで、第4実施形態による成形モールド準備段階、生分解性素材混合液塗布段階、1次乾燥段階、薬物充填段階、および2次乾燥段階は、第3実施形態の成形モールド準備段階(S110)、生分解性素材混合液塗布段階(S120)、1次乾燥段階(S130)、薬物充填段階(S140)、および2次乾燥段階(S150)と対応するので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0077】
但し、第4実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の固体薬物製作段階は前述の第3実施形態の固体薬物製作段階(S140')のように、流体薬物充填段階、モールド結合段階、および薬物処理段階を含み、固体薬物製作段階で三角形形状に形成された固体状態の薬物を製作する。
【0078】
具体的に、第4実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は
図5に示されているように、前記流体薬物充填段階で固体薬物製作モールド1400に流体状態の薬物1320を充填する過程を行い、その後、前記モールド結合段階で前記形状モールド1510は前記固体薬物製作モールド1400と結合して前記薬物1320の形状を変形させ、前記薬物処理段階で液体状態の薬物を固体状態の薬物に相変化させる。
【0079】
即ち、本実施形態で前記形状モールド1510の形状は前記薬物1320の形状を前記充填空間の内部形状と対応する三角形に形成し、前記充填空間の少なくとも一部分の領域に配置されるようにする構造で形成されて前記固体薬物製作モールド1400と結合されることによって前記薬物1320の形状を製作することができるようにする。
【0080】
したがって、前記薬物1320は固体状態の三角形形状に製作され、これにより、前記薬物充填段階で前記薬物1320は前記充填空間の一部分の領域に挿入されて充填され、前記充填空間内部には内部空間部が形成される微細構造体基盤薬物注入装置(
図11参照)を製作することができるようになる。
【0081】
もちろん、第4実施形態によって製作された前記薬物1320の形状は
図5に示されているように、充填空間の先端部に均一に充填される形状に形成されてもよいが、一側に偏するように充填されてもよく、前記薬物1320の三角形形状は自由に形成できる。
【0082】
以下、
図6を参照して本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第5実施形態を説明する。
【0083】
第5実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は、成形モールド準備段階、生分解性素材混合液塗布段階、1次乾燥段階、固体薬物製作段階、薬物充填段階、および2次乾燥段階を含む。
【0084】
ここで、第5実施形態による成形モールド準備段階、生分解性素材混合液塗布段階、1次乾燥段階、薬物充填段階、および2次乾燥段階は第3実施形態の成形モールド準備段階(S110)、生分解性素材混合液塗布段階(S120)、1次乾燥段階(S130)、薬物充填段階(S140)、および2次乾燥段階(S150)と対応するので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0085】
但し、第5実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の固体薬物製作段階は前述の第3実施形態の固体薬物製作段階(S140')のように、流体薬物充填段階、モールド結合段階、および薬物処理段階を含み、固体薬物製作段階でV字形状に形成され、一部分は充填空間の一部領域に配置され、他部分は充填空間の外部領域に配置される形状に形成された固体状態の薬物を製作する。
【0086】
具体的に第5実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は
図6に示されているように、前記流体薬物充填段階で固体薬物製作モールド1400に流体状態の薬物1330を充填する過程を行い、その後、前記モールド結合段階で前記形状モールド1520は前記固体薬物製作モールド1400と結合して前記薬物1330の形状を変形させ、前記薬物処理段階で液体状態の薬物を固体状態の薬物に相変化させる。
【0087】
即ち、本実施形態で前記形状モールド1520の形状は前記薬物1330の形状をV字形状に形成し、前記薬物1330の一部分は充填空間の少なくとも一部分の領域に配置され、他部分は前記充填空間の外部に配置されるようにする構造で形成され、前記固体薬物製作モールド1400と結合されることによって前記薬物1330の形状を製作することができるようにする。
【0088】
したがって、前記薬物1330は固体状態であり、V字形状に形成され、前記薬物充填段階で前記薬物1330の一部分は前記充填空間の少なくとも一部分の領域に配置され、他部分は前記充填空間の外部に配置される構造で製作され、これにより、前記薬物充填段階で前記薬物1330は前記充填空間の少なくとも一部分の領域に挿入されて充填され、前記充填空間内部には内部空間部が形成される微細構造体基盤薬物注入装置(
図12参照)を製作することができるようになる。
【0089】
もちろん、第5実施形態によって製作された前記薬物1330の形状はこれに限定されず、前記薬物1330の中の他部分に該当する両端部分は
図6のように同じ長さで形成されてもよく、互いに異なる長さで形成されてもよく、この時、一端は前記充填空間の内部に、一端は前記充填空間の外部に配置されるように形成されてもよい。
【0090】
以下、
図7を参照して本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第6実施形態を説明する。
【0091】
第6実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は、成形モールド準備段階、生分解性素材混合液塗布段階、1次乾燥段階、固体薬物製作段階、薬物充填段階、および2次乾燥段階を含む。
【0092】
ここで、第6実施形態による成形モールド準備段階、生分解性素材混合液塗布段階、1次乾燥段階、薬物充填段階、および2次乾燥段階は第3実施形態の成形モールド準備段階(S110)、生分解性素材混合液塗布段階(S120)、1次乾燥段階(S130)、薬物充填段階(S140)、および2次乾燥段階(S150)と対応するので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0093】
但し、第6実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の固体薬物製作段階は前述の第3実施形態の固体薬物製作段階(S140')のように、流体薬物充填段階、モールド結合段階、および薬物処理段階を含み、固体薬物製作段階でV字形状に形成され、充填空間の一部分領域に配置される形状に形成された固体状態の薬物を製作する。
【0094】
具体的に第6実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は
図7に示されているように、前記流体薬物充填段階で固体薬物製作モールド1400に流体状態の薬物1340を充填する過程を行い、その後、前記モールド結合段階で前記形状モールド1530は前記固体薬物製作モールド1400と結合して前記薬物1340の形状を変形させ、前記薬物処理段階で液体状態の薬物を固体状態の薬物に相変化させる。
【0095】
即ち、本実施形態の前記形状モールド1530の形状は前記薬物1340をV字形状に形成し、充填空間の一部分の領域に配置されるようにする構造で形成され、前記固体薬物製作モールド1400と結合されることによって前記薬物1340の形状を製作することができるようにする。
【0096】
したがって、前記薬物1340は固体状態であり、V字形状であり、前記充填空間の一部分を充填する形状に製作され、これにより、前記薬物充填段階で前記薬物1340は前記充填空間の一部分の領域に挿入されて充填され、前記充填空間内部には内部空間部が形成される微細構造体基盤薬物注入装置(
図11参照)を製作することができるようになる。
【0097】
もちろん、第6実施形態によって製作された前記薬物1340の形状はこれに限定されず、前記薬物1340の中の両端部分は
図7のように同じ長さで形成されてもよく、互いに異なる長さで形成されてもよい。
【0098】
以下、
図9を参照して本発明による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第7実施形態を説明する。
【0099】
図9に示されているように、第7実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法は、成形モールド準備段階(S210)、生分解性素材混合液塗布段階(S220)、1次乾燥段階(S230)、薬物コーティング段階(S240)、および2次乾燥段階(S250)を含む。
【0100】
本実施形態による成形モールド準備段階(S210)、生分解性素材混合液塗布段階(S220)、1次乾燥段階(S230)、および2次乾燥段階(S250)の内容は前述の微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第1実施形態および第2実施形態で説明した成形モールド準備段階(S110)、生分解性素材混合液塗布段階(S120)、1次乾燥段階(S130)、および2次乾燥段階(S150)と同一なので、これに関する説明は省略する。
【0101】
但し、本実施形態による薬物コーティング段階(S240)では、前記微細構造体の外側面に薬物をコーティングする。
【0102】
例えば、前記薬物コーティング段階(S240)で前記薬物は流体状態で構成されて、前記微細構造体外側面に塗布されることによって前記微細構造体の外側面にコーティングできる。
【0103】
または、前記薬物コーティング段階(S240)で前記薬物は固体状態で構成されて、前記微細構造体外側面に嵌められることによって前記微細構造体の外側面にコーティングできる。この時、前記薬物は薬物コーティング段階(S240)以前に固体の薬物を前記微細構造体の外側面に嵌められるように製造する段階を通じて製造できる。
【0104】
この時、前記微細構造体によって形成された充填空間には内部に気体が収容される内部空間部が形成される。
【0105】
前述の段階を経て製造された第7実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置は微細構造体の外側に薬物がコーティングされ、微細構造体によって形成された充填空間に内部に気体が収容される内部空間部が形成されることによって薬物に含まれている有効成分の皮膚浸透度および伝達効率を向上させることができるようになる。
【0106】
また、微細構造体内部に内部空間部が形成されることによって前記1次乾燥段階(S230)および前記2次乾燥段階(S250)で微細構造体の収縮を減少させて成形モールド形状に近い微細構造体を製作することができる。
【0107】
その次に、以下、
図10を参照して前述の微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第2実施形態によって製造された微細構造体基盤薬物注入装置の第1製造例を説明する。
【0108】
図10に示されているように、第1製造例による微細構造体基盤薬物注入装置は、ニードルフィルム1210、薬物1310a、1310b、および内部空間部1212aを含む。
【0109】
前記ニードルフィルム1210は生分解性素材から構成され、微細構造体1211が形成される。
【0110】
前記薬物1310a、1310bは流体状態であり、前記微細構造体1211によって形成された充填空間1212(
図2参照)の少なくとも一部分に充填され、前記薬物1310a、1310bの充填量は人体の皮膚に浸透しなければならない有効成分の量と比例し、前記薬物1310a、1310b液滴の直径(k)は1,000μm以内の範囲を有し、これに関する詳細な説明は前述したので省略する。
【0111】
また、前記薬物1310a、1310bは皮膚に作用するか、あるいは皮膚を透過するある有益な有効物質を全て含むことができる。前記有効物質は、非制限的例として、ワクチン、遺伝子、抗体、ペプチド、痲酔剤、インシュリン、多糖類、蛋白質、合成有機化合物、合成無機化合物、または美白または抗酸化剤のような美容成分であってもよく、薬学的、医学的または化粧学的に使用が許容されたその他の有効物質であってもよい。
【0112】
また、前記薬物1310には安定化剤が混合されてもよい。安定化剤は薬物に含まれている有効物質が薬上で安定的に維持させる役割を果たす。前記安定剤は、非制限的例として、アルブミン(albumin)、核酸(nucleic acid)、デオキシリボ核酸(DeoxyriboNucleic Acid、DNA)、リボ核酸(RiboNucleic Acid、RNA)、ポリデオキシリボヌクレオチドナトリウム(Polydeoxyribonucleotide、PDRN)のような成分であってもよく、医学的または化粧学的に使用が許容されたその他の安定剤であってもよい。
【0113】
また、微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第2実施形態に記載した説明のように、前記微細構造体1211に充填された前記薬物の少なくとも一部1310aが前記微細構造体1211に形成されたホールに浸透される。
【0114】
この時、前記微細構造体1211が形成された前記ニードルフィルム1210は多孔質から形成されなければならず、前記ニードルフィルム1210に形成されたホール(hole)の直径は前記薬物1310aの直径より大きく形成されなければならず、これにより、前記薬物1310aが前記ニードルフィルム1210、即ち、前記微細構造体1211の先端部に浸透できるようになる。
【0115】
また、前記充填空間には前記微細構造体1211内部に浸透されない前記薬物1310bが占める領域とそれ以外の領域である内部空間部1212aが形成され、前記内部空間部1212aは気体が満たされる。
これにより、第1製造例による微細構造体基盤薬物注入装置は微細構造体1211によって形成された充填空間1212に薬物が充填され、前記薬物中の一部1310aが前記微細構造体1211内部に形成されたホールに浸透することによって薬物1310a、1310bに含まれている有効成分の皮膚浸透度および伝達効率を向上させることができるようになる。
【0116】
その次に、以下、
図11を参照して前述の微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第4実施形態によって製造された微細構造体基盤薬物注入装置の第2製造例を説明する。
【0117】
図11に示されているように、第2製造例による微細構造体基盤薬物注入装置は、ニードルフィルム1220、薬物1320、および内部空間部1222aを含む。
【0118】
この時、第2製造例による微細構造体基盤薬物注入装置の薬物1320は固体状態であり、
図5を参照して説明したモールド結合段階によって三角形形状に製作されて前記微細構造体1221によって形成された充填空間(図面符号図示せず)に挿入されて充填される。
【0119】
即ち、前記薬物1320の形状は前記充填空間の内部形状と対応する三角形に形成されて、前記充填空間の少なくとも一部分の領域に配置され、前記内部空間部1222aは前記薬物1320が収容された領域以外の領域に形成できる。
【0120】
第2製造例によるニードルフィルム1220は前述の第1製造例でのニードルフィルム1210と同一なので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0121】
その次に、以下、
図12を参照して微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第5実施形態によって製造された微細構造体基盤薬物注入装置の第3製造例を説明する。
【0122】
図12に示されているように、第3製造例による微細構造体基盤薬物注入装置は、ニードルフィルム1230、薬物1330、および内部空間部1232aを含む。
【0123】
この時、第3製造例による微細構造体基盤薬物注入装置の薬物1330は固体状態であり、
図6を参照して説明したモールド結合段階によってV字形状に製作されて前記微細構造体1231によって形成された充填空間(図面符号図示せず)に挿入されて充填される。
【0124】
即ち、前記薬物1330の形状はV字形状に形成されて、一部分は前記充填空間の少なくとも一部分の領域に配置され、他部分は前記充填空間の外部に配置され、前記内部空間部1232aは前記薬物1330が収容された領域以外の領域に形成できる。
【0125】
第3製造例によるニードルフィルム1230は前述の第1製造例でのニードルフィルム1210と同一なので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0126】
その次に、以下、
図13を参照して微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第6実施形態によって製造された微細構造体基盤薬物注入装置の第4製造例を説明する。
【0127】
図13に示されているように、第4製造例による微細構造体基盤薬物注入装置は、ニードルフィルム1240、薬物1340、および内部空間部1242aを含む。
【0128】
この時、第4製造例による微細構造体基盤薬物注入装置の薬物1340は固体状態であり、
図7を参照して説明したモールド結合段階によってV字形状に製作されて前記微細構造体1241によって形成された充填空間(図面符号図示せず)に挿入されて充填される。
【0129】
即ち、前記薬物1330の形状はV字形状に形成されて、一部分は前記充填空間の少なくとも一部分の領域に配置され、前記充填空間の少なくとも一部分の領域に配置され、前記内部空間部1242aは前記薬物1340が収容された領域以外の領域に形成される。
【0130】
第4製造例によるニードルフィルム1230は前述の第1製造例でのニードルフィルム1210と同一なので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0131】
以下、
図14を参照して、前述の微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法の第7実施形態によって製造された微細構造体基盤薬物注入装置の第5製造例を説明する。
【0132】
他の実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置は、ニードルフィルム2210、薬物2310、および微細構造体2211を含む。
【0133】
本実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置のニードルフィルム2210は前述の微細構造体基盤薬物注入装置の第1製造例と同一なので、これに関する説明は省略する。
【0134】
但し、本実施形態による微細構造体基盤薬物注入装置の薬物2310は前記微細構造体2211の外側面にコーティングされる。即ち、前記薬物2310が流体状態で構成されて、前記微細構造体2211外側面に塗布されることによって前記微細構造体2211の外側面にコーティングされるか、または前記薬物2310は固体状態で構成されて、前記微細構造体2211外側面に嵌められることによって前記微細構造体2211の外側面にコーティングされてもよい。
【0135】
前記内部空間部2212aは前記微細構造体2211によって形成された充填空間に配置され、内部には気体が収容される。
【0136】
その他、本発明による微細構造体基盤薬物注入装置に関する詳細な説明は前述の微細構造体基盤薬物注入装置の製造方法と同一なので、これに関する説明は省略する。
【0137】
以上説明した通り、本発明は前述の特定の好ましい実施形態に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を離脱せずに当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形の実施が可能であり、このような変形は本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0138】
1100:成形モールド
1200:生分解性素材混合液
1210、1220、1230、1240、2210:ニードルフィルム
1211、1221、1231、1241、2211:微細構造体
1212:充填空間
1212a、1222a、1232a、1242a、2212a:内部空間部
1310、1320、1330、1340、2310:薬物
1400:固体薬物製作モールド
1510、1520、1530:形状モールド