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特許7564120プラズマ反応器を制御するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】プラズマ反応器を制御するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20241001BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H05H1/24
B01J19/08 E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021556399
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020022517
(87)【国際公開番号】W WO2020197796
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】62/823,505
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,508
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,484
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/813,748
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,472
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514014827
【氏名又は名称】リカーボン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トム, カーティス ピーター
(72)【発明者】
【氏名】リー, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェ, フェイ
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-527663(JP,A)
【文献】特開2011-129755(JP,A)
【文献】特開2015-023532(JP,A)
【文献】特表2009-516432(JP,A)
【文献】特開2018-029153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
B01J 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ発生システムであって、
マイクロ波エネルギーを発生させるためのマイクロ波発生器と、
制御装置を有する、前記マイクロ波発生器に電力を提供するための電源であって、前記制御装置が、
少なくとも1つのマイクロプロセッサ、および
デジタル入力-出力(DIO)およびアナログ入力-出力(AIO)のうちの少なくとも一方を含む、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されるモジュール
を備える、電源と、
前記マイクロ波発生器に結合され、前記マイクロ波エネルギーを伝送するように構成される導波管と、
プラズマ空洞を画定するように前記導波管内に配置される内壁であって、前記マイクロ波エネルギーを使用して前記プラズマ空洞内でプラズマが発生する、内壁と、
第1のガスを前記プラズマ空洞の中に導入するように構成される、前記導波管の第1の側に設置されるアダプタであって、前記アダプタが、前記プラズマによって処理されたガスが前記プラズマ空洞から外に出るときに通るガス出口を有する、アダプタと、
前記第1のガスの流量を測定するように構成される、前記モジュールに結合される第1の流量センサと、
を備えるプラズマ発生システム。
【請求項2】
デイジーチェーンネットワークにより前記電源に通信可能に結合されるプログマブル論理コントローラ(PLC)
をさらに備える、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項3】
前記デイジーチェーンネットワークがイーサネットケーブルを含む、請求項2に記載のプラズマ発生システム。
【請求項4】
前記PLCに通信可能に結合されるグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)
をさらに備える、請求項2に記載のプラズマ発生システム。
【請求項5】
前記モジュールとデータを交換するように構成される、前記モジュールに通信可能に結合される1つまたは複数のセンサ
をさらに備える、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項6】
前記1つまたは複数のセンサがケーブルハーネスにより前記モジュールに結合される、請求項5に記載のプラズマ発生システム。
【請求項7】
前記第1のガスの前記流量を制御するように構成される、前記モジュールに結合される弁
をさらに備える、請求項に記載のプラズマ発生システム。
【請求項8】
第2のガスを前記プラズマ空洞の中に導入するように構成される、前記導波管の第2の側に設置される流れ入口と、
前記第2のガスの流量を測定するように構成される、前記モジュールに結合される第2の流量センサと
をさらに備える、請求項に記載のプラズマ発生システム。
【請求項9】
前記第2のガスの前記流量を制御するように構成される、前記モジュールに結合される弁
をさらに備える、請求項8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項10】
プラズマ発生システムであって、
プログラマブル論理コントローラ(PLC)と、
デイジーチェーンネットワークにより前記PLCに結合される複数の反応器システムであって、前記複数の反応器システムの各々が、
マイクロ波エネルギーを発生させるためのマイクロ波発生器、ならびに
制御装置を有する、前記マイクロ波発生器に電力を提供するための電源であって、前記制御装置が、
少なくとも1つのマイクロプロセッサ、および
デジタル入力-出力(DIO)およびアナログ入力-出力(AIO)のうちの少なくとも一方を含む、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されるモジュール
を備える、電源
を有する、複数の反応器システムと
を備え
前記複数の反応器システムの各々が、
前記マイクロ波発生器に結合され、マイクロ波エネルギーを伝送するように構成される導波管と、
プラズマ空洞を画定するように前記導波管内に配置される内壁であって、前記マイクロ波エネルギーを使用して前記プラズマ空洞内でプラズマが発生する、内壁と、
第1のガスを前記プラズマ空洞の中に導入するように構成される、前記導波管の第1の側に設置されるアダプタであって、前記アダプタが、前記プラズマによって処理されたガスが前記プラズマ空洞から外に出るときに通るガス出口を有する、アダプタと、
前記第1のガスの流量を測定するように構成される、前記モジュールに結合される第1の流量センサと
をさらに有する、プラズマ発生システム。
【請求項11】
前記デイジーチェーンネットワークがイーサネットケーブルを含む、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項12】
前記PLCに通信可能に結合されるグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)
をさらに備える、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項13】
前記複数の反応器システムの各々が、
前記モジュールとデータを交換するように構成される、前記モジュールに通信可能に結合される1つまたは複数のセンサ
をさらに有する、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項14】
前記1つまたは複数のセンサがケーブルハーネスにより前記モジュールに結合される、請求項13に記載のプラズマ発生システム。
【請求項15】
前記第1のガスの前記流量を制御するように構成される、前記モジュールに結合される弁
をさらに備える、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項16】
第2のガスを前記プラズマ空洞の中に導入するように構成される、前記導波管の第2の側に設置される流れ入口と、
前記第2のガスの流量を測定するように構成される、前記モジュールに結合される第2の流量センサと
をさらに備える、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項17】
前記第2のガスの前記流量を制御するように構成される、前記モジュールに結合される弁
をさらに備える、請求項16に記載のプラズマ発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマ発生器に関し、より詳細には、多数のプラズマ反応器を制御するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロ波テクノロジが種々の種類のプラズマを発生させるのに適用されている。通常、プラズマ源として利用されるマイクロ波放電が、マイクロ波エネルギーを、処理されるべきガスを収容する放電チャンバに結び付けることにより達成される。図1は、従来のプラズマ発生システムの概略図を示す。描かれるように、従来のプラズマ発生器システム10が、プログラマブル論理コントローラ(PLC)12と、複数のデジタル入力-出力/アナログ入力-出力(DIO/AIO)モジュール14a~14nと、複数の電源17a~17nおよび複数の反応器18a~18nを有する複数の反応器システム16a~16nと、を有する。DIO/AIOモジュール14a~14nが、それぞれ、ケーブルハーネス15a~15nを介して、PLC12および反応器18a~18nに接続される。さらに、PLC12が、ケーブル13a~13nを介して、複数の電源17a~17nに接続され、ここでは、各電源が対応する反応器に電力を提供する。
【0003】
通常、各ケーブルハーネス(例えば、15a)が複数の電線を有し、各電線がDIO/AIOモジュール14aおよび反応器18aのセンサ/構成要素に接続される。例えば、反応器18aが、測定される物理量に関連する電気信号をDIO/AIOモジュール14aに伝送するセンサを有し、さらに、DIO/AIOデバイス14aが、信号を処理し、処理した信号をPLC12に伝送する。プラズマ発生システム10のスループットを向上させる場合、反応器システム16a~16nの数が増やされ得、それにより、ケーブルハーネス15a~15n内の電線の総数さらにはケーブル13a~13nの総数が有意に増える。ワイヤ/ケーブルの数が増えると、ケーブル接続の信頼性が低下し、安全性問題が発生し、設置/保守管理コストが増大する。
【0004】
さらに、プラズマ発生システム10が、集中制御アーキテクチャを有し、つまり、PLC12が、DIO/AIOモジュール14a~14nを介して、電源17a~17nさらには反応器18a~18nの複数の構成要素を同時に制御/監視する。通常、PLC12が、中央処理ユニット(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)を含み、CPUが、EEPROMに保存されるプログラムを実行し、一時データおよびコードがRAMに保存される。反応器システム16a~16nの数が増えると、PLC12と反応器システム16a~16nとの間でのコマンドおよび制御の待ち時間が増大し、反応器システム16a~16nの数が特定の閾値を超える場合、プラズマ発生システム10を制御するのに必要な計算能力がPLC12の最大容量を超える域に達し、それにより待ち時間が許容されないレベルになる。したがって、従来のシステムでは、機能性の要求および安全性の要求を満たすためには、計算能力、デジタル/アナログの入力/出力、および電気ハーネスをスケールアップする必要があり、それにより、システムが大型化し、システムが高価となり、本質的にシステムの信頼性が低下する。
【0005】
したがって、設置/保守管理コストを悪化させることなく、拡張性、安全性、および信頼性を向上させるような、多数のプラズマ反応器を制御するためのシステムが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によると、プラズマ発生システムが、マイクロ波エネルギーを発生させるためのマイクロ波発生器と、制御装置を有する、マイクロ波発生器に電力を提供するための電源と、を有する。制御装置が、少なくとも1つのマイクロプロセッサと、デジタル入力-出力(DIO)およびアナログ入力-出力(AIO)のうちの少なくとも一方を含む、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されるモジュールと、を有する。
【0007】
本発明の別の態様によると、プラズマ発生システムが、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、およびデイジーチェーンネットワークによりPLCに結合される複数の反応器システムを有する。各々の複数の反応器システムが、マイクロ波エネルギーを発生させるためのマイクロ波発生器と、制御装置を有する、マイクロ波発生器に電力を提供するための電源と、を有し、制御装置が、少なくとも1つのマイクロプロセッサと、デジタル入力-出力(DIO)およびアナログ入力-出力(AIO)のうちの少なくとも一方を含む、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されるモジュールと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来のプラズマ発生システムを示す概略図である。
図2】本開示の実施形態による、プラズマ発生システムを示す概略図である。
図3】本開示の実施形態による、制御装置を有する例示の反応器システムを示す概略図である。
図4】本開示の実施形態による、制御装置を有する例示の反応器システムを示す概略図である。
図5】本開示の実施形態による、線5-5に沿う、図4のプラズマチャンバを示す断面図である。
図6】本開示の実施形態による前進流入口を示す斜視図である。
図7】本開示の実施形態による、線7-7に沿う、図6の前進流入口を示す断面図である。
図8】本開示の実施形態による逆流入口を示す斜視図である。
図9】本開示の実施形態による、線9-9に沿う、図5の逆流入口を示す断面図である。
図10】本開示の実施形態による内側渦流れを示す斜視図である。
図11】本開示の実施形態による外側渦流れを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の記述では、説明のために、本開示を理解するのを可能にする具体的な細部が記載される。しかし、本開示がこれらの細部なしでも実施され得ることが当業者には明らかであろう。さらに、以下で説明される本開示の実施形態が多様な手法で実装され得ることを当業者であれば認識するであろう。
【0010】
図に示される構成要素またはモジュールは本開示の例示の実施形態を説明するためのものであり、本開示を不明瞭するのを回避することを意図される。さらに、本考察の全体を通して構成要素がサブユニットを含んでよい別個の機能ユニットとして説明され得ることが理解されるであろうが、種々の構成要素またはその部分が別個の構成要素として分割されてもよいか、あるいは単一のシステムまたは構成要素内で一体化されることを含めて一体に統合されてもよいことを当業者であれば認識するであろう。本明細書で考察される機能または動作が構成要素として実装され得ることに留意されたい。
【0011】
本明細書において、「1つの実施形態(one embodiment)」、「好適な実施形態(preferred embodiment)」、「一実施形態(an embodimet)」または「実施形態(embodiments)」を参照することは、この実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、特性、または機能が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれ、さらに2つ以上の実施形態に存在してもよい、ことを意味する。さらに、上で述べたフレーズが本明細書の多様な場所で現れることは、必ずしもすべてが同じ実施形態を意味するわけではない。
【0012】
本明細書の多様な場所で特定の用語を使用することは例示のためであり、限定するものとして解釈すべきではない。「含む、有する(include)」、「含む、有する(including)」、「備える(comprise)」、および「備える(comprising)」という用語は非限定の用語であると理解されるものであり、後述のいかなるリストも例であり、列記されるアイテムのみに限定されることを意図されない。
【0013】
図2は、本開示の実施形態によるプラズマ発生システム20の概略図を示す。図3は、本開示の実施形態による例示の反応器システム24aの概略図を示す。図4は、本開示の実施形態による例示の反応器システム24aの概略図を示す。以降、反応器システム24aはマイクロ波エネルギーを使用してプラズマを発生させるためのシステムとして示される。それでも、反応器システム24aが他のエネルギー源を使用してプラズマを発生させてもよい。
【0014】
実施形態では、プラズマ発生システム20が、PLCシステム(または簡単に言うと、PLC)22と、複数の反応器システム24a~24nと、を有する。いくつかの事例では、システムのスループットを増大させるために、複数の反応器システム24a~24nが、数十、数百、またはそれ以上の数であってよい。実施形態では、反応器システム24a~24nが、カテゴリ6のイーサネットケーブルなどのケーブル26により、PLC22にデイジーチェーン接続され、イーサネット/IPプロトコルまたは他の適切なプロセスオートメーションプロトコルなどの適切な通信プロトコルを使用してPLC22に対して通信を行う。
【0015】
実施形態では、反応器システム24aが、反応器制御装置を有する電源30と、センサおよび監視システム32と、マイクロ波エネルギーを発生させるための磁電管34と、導波管36であって、磁電管34によって発生するマイクロ波エネルギーが導波管36を通って流れる、導波管36と、磁電管34の方に逆行するマイクロ波エネルギーの量を低減するように構成される、導波管36に結合されるインピーダンス整合回路38と、プラズマを点火するための点火システム40と、プラズマチャンバ42と、を有する。実施形態では、電源30が、反応器システム24a内の構成要素の残りに通信可能に結合される。図3は、反応器システム24aの構成要素の包括的なリストを示しておらず、代わりに、反応器システム24aの構成要素が説明のために複数のブロックに分割されることに留意されたい。
【0016】
実施形態では、センサおよび監視システム32が、反応器システム24aの動作に関連する電気信号を発生させるための1つまたは複数のセンサを有する。例えば、センサおよび監視システム32が、圧力および温度などの熱物理量を測定するための、190a~190cなどの1つまたは複数のセンサと、1つまたは複数のセンサからの信号を使用してプラズマの調子(health)を監視する1つまたは複数の監視デバイスとを有する。別の実施例では、センサおよび監視システム32が、ガスタンク130(および126)からガスライン128(および124)を通って流れるガスの流量を測定するための、190d(および190e)などの1つまたは複数の流量センサを有する。実施形態では、センサ190d(および190e)ならびに流量を制御するためのガスサーボバルブが一体ボディを形成することができる。(以降、参照符号190d(および190e)はセンサおよびガスサーボバルブの両方を示す)。別の実施例では、センサおよび監視システム32が、多様な波長範囲でプラズマからの光の強度を測定してプラズマの調子を監視する光学センサを有する。
【0017】
図4に描かれるように、電源30が、反応器システム24aの構成要素を制御および監視する反応器制御装置174を有する。実施形態では、反応器制御装置174が、少なくとも1つのマイクロプロセッサ(μ-プロセッサ)176と、μ-プロセッサ176に通信可能に結合されるDIO/AIOモジュール178と、μ-プロセッサ176に通信可能に結合されるメモリ180と、を有する。実施形態では、DIO/AIOが図3の種々の構成要素32-42さらにはμ-プロセッサ176とデータを通信する。
【0018】
実施形態では、DIO/AIOモジュール178が、1つまたは複数のDIOデバイス(または簡単には、DIO)、ならびに/あるいは1つまたは複数のAIOデバイス(または簡単には、AIO)を有し、DIOおよびAIOが好適には印刷回路基板に一体化され、それにより、システムの配線ハーネスのコスト、サイズ、および複雑さを低減する。実施形態では、各DIOデバイス(または、AIO)が、センサ、トランスデューサ、および機械的デバイスから、他の電子回路または電子デバイスまで、デジタル信号(または、アナログ信号)を中継するインターフェースである。
【0019】
PLC(「中央制御装置」とも称される)12がDIO/AIOモジュール14a~14nに直接接続されて直接とデータを通信するような従来のシステム10とは異なり、PLC22がDIO/AIOモジュール178に直接接続されず、代わりに、PLC22が、通信ケーブル26のデイジーチェーンネットワークにより各反応器システム(例えば、24a)の電源30のみに直接接続される。したがって、中央制御システムとして動作する従来のPLC12とは異なり、PLC22および電源30が分散制御システム/アーキテクチャを形成する。実施形態では、DIO/AIOモジュール178がPLC22に直接接続されないことを理由として、反応器システム24a~24nの数が増えてもPLC22に接続されるワイヤ/ケーブルの数が増えず、つまり、ケーブル接続の信頼性が反応器システム24a~24nの数の影響を受けない。
【0020】
実施形態では、分散制御アーキテクチャが、制御および監視の仕事を、PLC22から、各反応器システム(例えば、24a)の電源30内に存在する反応器制御装置(局所制御装置とも称される)174へ移行させるのを可能にする。この分散制御アーキテクチャは反応器システム24a~24nとPLC22との間でのコマンドおよび制御の待ち時間が短縮されるという利点を有する。その理由は、局所制御装置174が1つの反応器システムのみを監視および制御するタスクを有し、PLC12が数百の反応器システムを同時に管理しないからである。実施形態では、分散制御アーキテクチャが反応器システム24a~24nを互いに独立させて動作させるのを可能にし、それにより技術者が各反応器システムを個別に点検/修理することが可能となる。このようにして、分散制御アーキテクチャが、プラズマ発生システム20に、より高い融通性、拡張性、および保全性を与える。
【0021】
実施形態では、PLC22が、ケーブル26を介して、反応器システムのターンオンコマンド(ターンオフコマンド)などの、単純なコマンドを送信する。次いで、反応器制御装置174が、プラズマを点火するための、および動作が成功であったこと(または、成功ではなかったこと)をPLC22に折り返し報告するための、適切なステップを実施する。さらに、反応器制御装置174が点火の実施後にも継続してプラズマの調子を監視し、任選選択で、予め設定される時間間隔で調子の状態をPLC22に報告する。実施形態では、PLC22が、人間オペレータとのインターフェースのためのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を支援するための能力を有するスタンドアローンデバイスである。代替的実施形態では、PLC22が、ヒューマンインターフェースのためのGUI103を有するコンピュータ/サーバ102に含まれる。
【0022】
図4に描かれるように、反応器システム24aが、図3のインピーダンス整合ネットワーク38に対応しており、磁電管34の方に逆行するマイクロ波エネルギーの量を低減するチューナー39を有する。インピーダンス整合ネットワーク38が、磁電管34の方に移動する逆行するマイクロ波を消散させるためのアイソレータ(図4には示されない)などの、他の適切な構成要素を有することができることに留意されたい。
【0023】
図5は、本開示の実施形態による、線5-5に沿う(つまり、紙に平行な平面に沿って切断される)、図4のプラズマチャンバ42の断面図を示す。描かれるように、プラズマチャンバ42が、内壁140と、プラズマスタビライザ138と、プラズマチャンバに前進流を導入するように構成される、ガスライン124に接続される前進流入口142と、プラズマチャンバに逆流を導入するように構成される、ガスライン128に接続される逆流入口(「アダプタ」とも称される)144と、を有する。ここでは、プラズマ空洞という用語は、内壁140と、導波管36と、前進流入口142と、アダプタ144とによって囲まれる閉鎖空間を意味し、逆流および前進流が、導波管36を介して伝送されるマイクロ波エネルギーによりプラズマ空洞内で処理/改質される。
【0024】
実施形態では、内壁140が、石英またはセラミックなどの、マイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成される。実施形態では、内壁140が、一様な流れ、熱抵抗、化学的耐久性、および電磁透過性のために所望される任意適切な他の誘電材料で形成される。実施形態では、内壁140が、限定しないが、好適には中空円形の円筒の形状を有する。
【0025】
図6は、本開示の実施形態による前進流入口142の斜視図を示す。図7は、本開示の実施形態による、線7-7に沿う、前進流入口142の断面図を示す。描かれるように、前進流入口142が、ガスライン124およびその壁の中に形成される1つまたは複数のガス通路148に結び付けるための孔/アダプタ147を有する。実施形態では、ガス通路148の出口がプラズマスタビライザ138の内部に位置し、その結果、プラズマスタビライザ138が、ガス通路148から外に出る流れを使用して内側渦流れ143を形成する。実施形態では、プラズマスタビライザ138の内径が内側渦流れ143の外径を調整するために変更され得る。実施形態では、上で考察したように、プラズマスタビライザ138が、中空円形の円筒の形状を有することができ、前進流入口142と同心円状に配置され得る。
【0026】
実施形態では、各ガス通路148が、ガス通路148を介して前進流がプラズマ空洞に入るときに前進流にスパイラル運動を加えるように配置構成される。実施形態では、各ガス通路148が前進流の渦度を向上させるように湾曲していてよい。実施形態では、前進流入口142が誘電材料または金属などの任意適切な材料で形成される。
【0027】
実施形態では、プラズマスタビライザ138が、マイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成され、好適には内壁140と同じ材料で形成される。実施形態では、プラズマスタビライザ138が導波管36に取り付けられ、プラズマ空洞の中へ突出しており、ここでは、プラズマスタビライザ138の軸方向がy軸に平行である。実施形態では、上で考察したように、内壁140が中空円形の円筒の形状を有することができ、プラズマスタビライザ138が内壁140に同心円状に装着され得る。実施形態では、プラズマスタビライザ38の内部の前進流が内側渦流れ143を形成し、導波管36のもう一方の端部の方に、またより具体的には、ガス出口132の方に、前進する。図10は、本開示の実施形態による内側渦流れ143の斜視図を示す。描かれるように、前進流(または等価の意味で、内側渦流れ)が螺旋運動で内壁140の長さ方向に移動し、最終的に内側渦流れがガス出口132から外に出る。
【0028】
実施形態では、プラズマ点火器(図5には示されない)によるプラズマプルーム(または簡単に言うと、プラズマ)の点火時、プラズマ146がマイクロ波発生器34によって伝送されるマイクロ波エネルギーによって維持される。実施形態では、プラズマ146が内側渦流れ143内に位置し、その結果、内側渦流れ143のガス粒子がプラズマ146を通過する。実施形態では、プラズマスタビライザ138が内側渦流れ143の外径を決定し、それによりガス出口132を通ってプラズマ空洞から外に出る前に前進流がプラズマ146を迂回することが防止される。実施形態では、プラズマスタビライザ138が、内側渦流れ143を外側渦流れ145から分離することによりプラズマ146を安定状態で維持するのを補助する。
【0029】
図8は、本開示の実施形態によるアダプタ144の斜視図を示す。図9は、本開示の実施形態による、線9-9に沿う、アダプタ144の断面図を示す。描かれるように、アダプタ144が、ガスライン128に結合するための孔/アダプタ152と、ガス出口132を形成するための孔と、アダプタ144の壁内に形成される1つまたは複数のガス通路151と、を有する。実施形態では、各ガス通路151が、ガス通路151を介して逆流がプラズマ空洞に入るときに逆流にスパイラル運動を加えるように配置構成される。実施形態では、各ガス通路151が逆流の渦度を向上させるように湾曲していてよい。実施形態では、アダプタ144が、限定しないが、好適には、インコネルまたはハステロイなどのNi合金で形成される。
【0030】
実施形態では、アダプタ144から外に出る逆流が内壁140の方に移動し、さらに、螺旋運動で、内壁140に沿って導波管36のもう一方の端部の方へと上方に前進する(y軸方向)。次いで、逆流が、下方に前進して外側渦流れ145を形成するように、流れ方向を反対にする。実施形態では、外側渦流れ145の回転軸がy軸に実質的に平行である。図11は、本開示の実施形態による外側渦流れ145の斜視図を示す。描かれるように、外側渦流れ145が中空円筒形状を有し、2つの流れ領域、内側下向きの流れ領域145-1および外側上向きの流れ領域145-2、を有する。実施形態では、内側渦流れ143が外側渦流れ145の中心の中空部分内に配置され、内側下向きの流れ領域145-1によって囲まれる。前進流入口142からのガスがアダプタ144からの流れに混合され、それにより内側渦流れ143を形成することに留意されたい。
【0031】
実施形態では、外側渦流れ145が内側渦流れ143を囲み、それにより内壁140をプラズマ146から遮蔽する。実施形態では、アダプタ144から外に出る逆流が周囲温度を有することができ、螺旋運動で内壁140に沿わせて外側渦流れ145を上方に移動させるときに内壁140から熱エネルギーを獲得することができる。
【0032】
実施形態では、プラズマ146が流入ガスを所望の製品ガスへと改質するのに使用され、ここでは、流入ガスが前進流入口142およびアダプタ144によりプラズマ空洞に導入される。実施形態では、前進流入口142から外に出る内側渦流れのガス組成が、CO2、CH4、およびO2を含み、ガス出口132から外に出るガスがCOおよびH2さらには前進流ガスの未反応部分を含む。実施形態では、前進流の好適な配分が、プラズマチャンバ42に入る全体の流れの質量の5%~95%である。実施形態では、逆流が前進流と同じガス組成を有することができる。代替的実施形態では、前進流が逆流とは異なるガス組成を有することができる。さらに、動作中、前進流(および/または、逆流)のガス組成が変えられ得る。例えば、前進流がプラズマ146の点火を補助するためにアルゴンの塊を含むことができる。実施形態では、反応器制御装置174が、プラズマの安定性およびプラズマチャンバ42内の化学反応の効率を向上させるために前進流および逆流のガス組成および流量を調整する。
【0033】
上で考察したように、反応器制御装置174が、反応器システム24a内の種々の電気的なおよび/または機械的な制御デバイス/制御機構に結合される。実施形態では、反応器制御装置174がフィードバック制御システムを形成することができる。例えば、センサ(例えば、190a)が、プラズマチャンバ42内部の圧力を測定する圧力センサであってよく、圧力センサ190aからの信号がDIO/AIOモジュール178によって処理されてμ-プロセッサ176に送信される。μ-プロセッサ176が圧力が過度に低い(または、過度に高い)と判断する場合、μ-プロセッサ176がDIO/AIOモジュール178を通してガスサーボバルブ190d(および/または、190e)に制御信号を送信し、それによりガスライン128内の流量を調整し、それによりプラズマチャンバ42内部の圧力を制御するためのフィードバック制御機構を形成する。
【0034】
図4のプラズマチャンバ42が、異なる構成要素、および異なる構成要素の構成を有することができることに留意されたい。例えば、プラズマチャンバが前進流入口142を有さなくてよい。別の実施例では、プラズマスタビライザ138が逆流入口144上に設置され得る。プラズマチャンバ42の種々の実施形態の説明を、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2020年1月26日に出願した、「Plasma reactor for processing gas」と題する、同時係属の米国特許出願第16/752,689号で見ることができる。
【0035】
コンピュータ102が、限定しないが、電話、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、およびサーバを含めた、データを処理することができる任意の命令実行デバイス/計算デバイスまたはシステム内で実装され得ることに留意されたい。本開示は他の計算デバイスおよびシステムに実装されてもよい。コンピュータ102の態様が、ソフトウェア(ファームウェアを含む)、ハードウェア、またはその組み合わせを含めた多種多様な手法で実装され得る。例えば、コンピュータ102の種々の態様を実施するための機能が、個別論理コンポーネント、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、ならびに/あるいはプログラム制御式プロセッサを含めた、多種多様な手法で実装される構成要素によって実行され得る。これらのアイテムを実装するための手法が本開示にとって重要ではないことに留意されたい。
【0036】
反応器制御装置174が、μ-プロセッサ176およびDIO/AIOモジュール178を動作させるのに必要である他の適切な電気構成要素を有することができることに留意されたい。例えば、メモリ180が、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、および/またはEEPROMの形態であってよい。同様に、コンピュータ/サーバ102が、PLC22およびGUI103を動作させるのに必要である他の適切な電気構成要素を有することができる。例えば、コンピュータ/サーバ102が、中央処理ユニット(CPU)、キーボード、マウス、またはタッチペンなどの、種々の入力デバイスと、スキャナと、磁気テープまたは磁気ディスク、あるいは光学媒体などの、1つまたは複数の記憶デバイスと、プリンタと通信するためのプリンタ制御装置と、インターネット、イーサネットクラウド、FCoE/DCBクラウド、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ストレージエリアネットワーク(SAN)を含めた、多様なネットワークのうちの任意のネットワークを通して、または赤外線信号を含めた任意適切な電磁搬送信号を通して、リモートデバイスとの接続を可能にする1つまたは複数の通信デバイスと、有することができる。
【0037】
上記の実施例および実施形態が例示であり、本開示の範囲を限定するものではないことを当業者であれば認識するであろう。本明細書および図面の考察を読むことにより当業者には明らかとなる、上記の実施例および実施形態に対しての、あらゆる置換形態、拡張形態、均等物、組み合わせ、および改善形態は、本開示の真の精神および範囲内に含まれることを意図される。
図1
図2
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図4
図5
図6
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図9
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図11