(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】原子力プラントおよびタービン装置
(51)【国際特許分類】
G21D 3/04 20060101AFI20241001BHJP
F22B 1/08 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G21D3/04 P
F22B1/08
(21)【出願番号】P 2022005552
(22)【出願日】2022-01-18
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】布川 大樹
(72)【発明者】
【氏名】赤津 興
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-050702(JP,U)
【文献】実開昭55-062995(JP,U)
【文献】特開平07-128487(JP,A)
【文献】特開昭62-102194(JP,A)
【文献】特開昭53-147196(JP,A)
【文献】米国特許第06003317(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00-11/24
F22B 1/00-3/08
G21D 1/02
3/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉と、
前記原子炉で発生した主蒸気によって駆動する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンのグランド部にグランド蒸気を供給するグランド蒸気供給装置とを備え、
前記グランド蒸気供給装置は、前記主蒸気および前記主蒸気の復水に対して独立した外部水を加熱して前記グランド蒸気を発生させるグランド蒸気発生器
と、
前記グランド部から漏れ出したグランド蒸気を凝縮して水に戻すグランド蒸気復水器と、
前記グランド蒸気復水器で戻した水を前記外部水として貯留する貯水タンクと、
前記グランド蒸気復水器で戻した水を前記貯水タンクに回収する外部水回収管と、
前記貯水タンク内の外部水を前記グランド蒸気発生器に供給する外部水供給管とを有する
原子力プラント。
【請求項2】
さらに、前記蒸気タービン、前記外部水回収管に設置された回収ポンプ、および前記外部水供給管に設置された供給ポンプを収容するタービン建屋を備えた
請求項
1に記載の原子力プラント。
【請求項3】
前記貯水タンクは、前記タービン建屋の外部に設置されている
請求項
2に記載の原子力プラント。
【請求項4】
前記貯水タンクは、
前記外部水を貯留するタンク本体と、
前記タンク本体の貯水量を計測するための貯水量計測器と、
前記タンク本体に前記外部水を導入するための外部水補給管とを備えた
請求項
1~3のうちの何れか1項に記載の原子力プラント。
【請求項5】
前記貯水タンクは、前記貯水量計測器からの情報に基づいて、前記外部水補給管からの前記タンク本体への前記外部水の導入を制御する制御部を備えた
請求項
4に記載の原子力プラント。
【請求項6】
前記原子炉は、一次冷却材を沸騰させて前記主蒸気を生成する
請求項1~
5のうちの何れか1項に記載の原子力プラント。
【請求項7】
主蒸気によって駆動する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンのグランド部にグランド蒸気を供給するグランド蒸気供給装置とを備え、
前記グランド蒸気供給装置は、前記主蒸気および前記主蒸気の復水に対して独立した外部水を加熱して前記グランド蒸気を発生させるグランド蒸気発生器
と、
前記グランド部から漏れ出したグランド蒸気を凝縮して水に戻すグランド蒸気復水器と、
前記グランド蒸気復水器で戻した水を前記外部水として貯留する貯水タンクと、
前記グランド蒸気復水器で戻した水を前記貯水タンクに回収する外部水回収管と、
前記貯水タンク内の外部水を前記グランド蒸気発生器に供給する外部水供給管とを有する
タービン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントおよびタービン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントに設置されるタービン装置に関する技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、「…前記主蒸気ヘッダ4を介して供給される高温の蒸気により、CSTタンク6から供給した水を加熱することにより、清浄な蒸気を発生させる。この清浄な蒸気は、グランド蒸気蒸化器5と高圧、又は低圧のタービン1のそれぞれの軸受部とに連結された蒸気シールヘッダ7を介して、タービン1の軸8とタービンケーシング9とのすき間であるグランド部へと供給される。…一方、タービン1の外部へと流れた蒸気は、高圧、又は低圧のそれぞれのタービン1の軸シール部と連結している若干負圧の蒸気バッキング排気ヘッダ11へと移行する。当該蒸気バッキング排気ヘッダ11は、グランド蒸気復水器12の胴側に連結されており、当該復水器12において、排気ヘッダ11を介して流れてきた蒸気は復水される。この復水される時に発生する非凝縮性ガスは、排風器13に導かれた後、排気筒から放出される。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば沸騰水型の原子力プラントの場合、CSTタンク(復水貯蔵タンク:Condensate Storage Tank)に貯蔵される水は、原子炉圧力容器で発生させた主蒸気を凝縮させた一次冷却水と継続的に交換される。このため、CSTタンクから供給される水は、運転中の原子力プラントの炉心で常時に生成されるトリチウムを含有し、したがってCSTタンクから供給した水を加熱して発生させた「清浄な蒸気」もトリチウムを含有することになる。ここで、トリチウムは、フィルタやイオン吸着樹脂で除去されないという特徴がある。このため、グランド部から排出され、グランド蒸気復水器で凝縮しきれずに排気筒から放出される非凝縮性ガスがトリチウムを含有する場合、放射性物質であるトリチウムは非凝縮性ガスと共に大気中に放出されることになる。
【0005】
そこで本発明は、放射性物質の大気放出を防止することが可能な原子力プラント、およびこの原子力プラントに設置されるタービン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、原子炉と、前記原子炉で発生した主蒸気によって駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンのグランド部にグランド蒸気を供給するグランド蒸気供給装置とを備え、前記グランド蒸気供給装置は、前記主蒸気および前記主蒸気の復水に対して独立した外部水を加熱して前記グランド蒸気を発生させるグランド蒸気発生器を有する原子力プラントである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、放射性物質の大気放出を防止することが可能な原子力プラント、およびこの原子力プラントに設置されるタービン装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下側の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る原子力プラントの構成を示す模式図である。
【
図2】実施形態に係る原子力プラントに設置されるタービン装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態に係る原子力プラント1の構成を示す模式図であって、沸騰水型の原子力プラント(Boiling Water Reactor:BWR)に本発明を適用した図である。本発明の原子力プラント1は、図示した沸騰水型の原子力プラントのような、一次冷却材を沸騰させて主蒸気を生成する原子力プラントに好適な構成である。以下この図に基づいて、実施形態に係る原子力プラント1の構成を説明する。
【0010】
図1に示すように、原子力プラント1は、原子炉10、タービン装置20、およびタービン建屋30を備える。これらは次のようである。
【0011】
≪原子炉10≫
原子炉10は、例えば沸騰水型のものであって、原子炉10内の一次冷却水を直接沸騰させて蒸気を発生させる。原子炉10内で発生させた蒸気は、タービン装置20を駆動するための主蒸気として、主蒸気配管11を介してタービン装置20に送られる。タービン装置20において水に戻された主蒸気は、復水配管12を介して原子炉10に戻される。
【0012】
≪タービン装置20≫
タービン装置20は、主蒸気配管11および復水配管12を介して原子炉10と接続されている。
図2は、実施形態に係る原子力プラント1に設置されるタービン装置20を示す図である。先の
図1および
図2に示すように、タービン装置20は、蒸気タービン21、復水器22、グランド蒸気供給装置23を備える。これらは、次のような構成のものである。
【0013】
<蒸気タービン21>
蒸気タービン21は、ケーシング21a内にタービン(図示省略)を収容したものであって、原子炉10に接続された主蒸気配管11からケーシング21a内に供給された主蒸気によってタービンを回転させ、ここでの図示を省略した発電機を駆動させる。蒸気タービン21のケーシング21aは、タービン軸受け21bを有する。タービン軸受け21bは、タービンの回転軸との間にグランド部21cと称する隙間を設けてタービンの回転軸を支持する。このグランド部21cは、ラビリンスパッキンと称される圧力差緩衝機構を有する。
【0014】
なお、図面において、タービン軸受け21bは、ケーシング21aの一方のみに設けられた構成を示しているが、タービン軸受け21bはケーシング21aの両側に設けられ、ケーシング21aの両側においてタービンの回転軸を支持する。
【0015】
また図面においては、1つの蒸気タービン21のみを図示したが、原子力プラント1は、複数の蒸気タービンを備えていてもよい。原子力プラント1に設けられる複数の蒸気タービンは、高圧タービン、中圧タービン、および低圧タービンなどであり、原子炉10からの主蒸気が高圧側から順に直列で供給される構成となっている。
【0016】
<復水器22>
復水器22は、主蒸気配管11を介して原子炉10から蒸気タービン21に供給された主蒸気を凝縮して水に変換し、変換した水を一時冷却材として復水配管12を介して原子炉10に供給する。
【0017】
<グランド蒸気供給装置23>
グランド蒸気供給装置23は、蒸気タービン21のグランド部21cにグランド蒸気を供給する。ここで、グランド蒸気とは、蒸気タービン21のグランド部21cに供給する蒸気であって、タービン軸受け21bとタービンの軸との間の隙間を維持するとともに、ケーシング21a内を封止するためのシール蒸気である。このようなグランド蒸気を供給するためのグランド蒸気供給装置23は、グランド蒸気発生器201、外部水供給管202、グランド蒸気供給管203、グランド蒸気回収管204、グランド蒸気復水器205、外部水回収管206、および貯水タンク207を備えている。
【0018】
[グランド蒸気発生器201]
グランド蒸気発生器201は、グランド部21cに供給するためのグランド蒸気G1を発生させる。このようなグランド蒸気発生器201は、次に説明する外部水供給管202から供給された外部水L1を加熱することで、外部水L1を蒸気化したグランド蒸気を生成する。ここで外部水L1とは、原子炉10で使用する一次冷却材としての水、および原子炉10で発生させた主蒸気とは独立した外部水源から導入された水であって、例えば水道水であることとする。
【0019】
グランド蒸気発生器201において、外部水L1を加熱するための熱源は、特に限定されることはないが、典型的にはタービンを回すための主蒸気を用いることができる。この場合、主蒸気配管11から分岐するように設けられた配管の中間部を、グランド蒸気発生器201内に敷設し、配管の先端を復水器22に接続させて主蒸気を復水器22に戻す。
【0020】
[外部水供給管202]
外部水供給管202は、供給ポンプ202pを備え、外部水源からグランド蒸気発生器201に外部水L1を供給する。なお、外部水源とは、原子炉10に対して独立した水源であればよく、ここでは以降に説明する貯水タンク207であることとする。このような外部水供給管202は、グランド蒸気発生器201と、外部水源である貯水タンク207とに接続され、中間部に設けた供給ポンプ202pにより、貯水タンク207内の外部水L1をグランド蒸気発生器201に供給する。
【0021】
[グランド蒸気供給管203]
グランド蒸気供給管203は、グランド蒸気発生器201で発生させたグランド蒸気G1を、蒸気タービン21のグランド部21cに供給する。このようなグランド蒸気供給管203は、グランド蒸気発生器201とタービン軸受け21bとに接続した状態で設けられている。原子力プラント1が複数の蒸気タービンを備えていている場合、各蒸気タービン21のグランド部21cに対して並列にグランド蒸気供給管203が接続される構成であってよい。なお、グランド蒸気供給管203は、グランド部21cからの主蒸気の漏れ出しおよびケーシング21a内へのグランド蒸気G1の漏れ込みを防止しつつ、グランド部21cを封止可能な所定の圧力でグランド蒸気G1を供給するための制御機構を備えていることとする。このようなグランド部21cにおいては、グランド蒸気G1と主蒸気との接触が防止されることとする。
【0022】
[グランド蒸気回収管204]
グランド蒸気回収管204は、グランド部21cを通過したグランド蒸気G1であって、グランド部21cから漏れ出すリーク蒸気を回収し、次に説明するグランド蒸気復水器205に供給する。このようなグランド蒸気回収管204は、タービン軸受け21bとグランド蒸気復水器205とに接続した状態で設けられている。原子力プラント1が複数の蒸気タービンを備えていている場合、各蒸気タービン21のグランド部21cに対して並列にグランド蒸気回収管204が接続される構成であってよい。
【0023】
[グランド蒸気復水器205]
グランド蒸気復水器205は、グランド蒸気回収管204から供給されたグランド蒸気G1を凝縮して外部水L1に戻す。グランド蒸気復水器205の冷却源は、特に限定されることはないが、典型的には外部からの冷却水(例えば水道水)を用いることができる。この場合、ここでの図示は省略した水道配管の中間部を、グランド蒸気復水器205内に敷設すればよい。
【0024】
また、このグランド蒸気復水器205には、外部水L1として復水されずに残った非凝縮性ガスを、外部に放出するための排気設備(図示省略)を有する。
【0025】
[外部水回収管206]
外部水回収管206は、回収ポンプ206pを備え、グランド蒸気復水器205で冷却して液化した外部水L1を、次に説明する貯水タンク207に回収する。このような外部水回収管206は、グランド蒸気復水器205と、外部水源である貯水タンク207とに接続されている。そして、この外部水回収管206は、中間部に設けた回収ポンプ206pにより、グランド蒸気復水器205内の外部水L1を貯水タンク207に回収する。
【0026】
[貯水タンク207]
貯水タンク207は、原子炉10の一次冷却水および主蒸気とは独立した外部水L1の水源から導入した外部水L1を貯水する外部水源として用いられる。この貯水タンク207は、外部水供給管202および外部水回収管206に接続され、供給ポンプ202pおよび回収ポンプ206pの駆動によって内部の外部水L1およびグランド蒸気G1が、強制循環される。そして、貯水タンク207に回収された外部水L1が、再利用可能な構成となっている。
【0027】
図3は、貯水タンク207を拡大した斜視図である。
図3に示すように、貯水タンク207は、タンク本体207a、外部水補給管207b、貯水量計測器207c、制御部207dを備える。
【0028】
-タンク本体207a-
タンク本体207aは、原子炉10(
図1参照)で使用する一次冷却水や原子炉10で発生させた主蒸気とは独立した水源から採取された外部水L1を貯水する。このタンク本体207aは、予め所定の必要貯水量W1が設定されている。この必要貯水量W1は、蒸気タービン21のグランド部21cへのグランド蒸気G1の供給が滞ることのない値に設定されていることとする。
【0029】
このようなタンク本体207aは、例えば図示したような円筒形であって、その側壁に外部水供給管202と、外部水回収管206とが接続されている。これらの外部水供給管202と外部水回収管206は、必要貯水量W1を示す水位よりも下部においてタンク本体207aに接続されていることとする。
【0030】
-外部水補給管207b-
外部水補給管207bは、外部水L1の水源からタンク本体207a内に外部水L1を補給する。この外部水補給管207bは、タンク本体207aへの外部水L1の補給を制御するための開閉弁207vを備える。このような外部水補給管207bは、例えば水道管、または水道管に接続される配管であってよい。
【0031】
-貯水量計測器207c-
貯水量計測器207cは、タンク本体207a内における外部水L1の貯水量を計測する。この貯水量計測器207cは、例えば水位計である。水位計における水位の測定方式が限定されることはなく、接触式および非接触式のいずれであってもよい。なお、貯水量計測器207cからの信号は、原子力プラント1の制御室に送信され、制御室においてタンク本体207a内の貯水量を確認できる構成としている。
【0032】
-制御部207d-
制御部207dは、貯水量計測器207cで測定したタンク本体207a内の貯水量に基づいて、開閉弁207vによる外部水補給管207bの開閉を制御し、タンク本体207aにおける外部水L1の貯水量を、必要貯水量W1以上に確保する。
【0033】
なお貯水タンク207は、貯水量計測器207cで計測された貯水量に基づいて必要貯水量W1を確保する構成としたが、これに限定されることはなく、例えば定水位弁を設けることで必要貯水量W1となる水位を確保する構成であってもよい。さらに貯水タンク207は、特段の制御部207dを備えていなくてもよい。この場合、作業員が、制御室において貯水量計測器207cからの信号に基づいてタンク本体207a内の貯水量を確認し、必要貯水量W1が確保されるように開閉弁207vの開閉を実施すればよい。
【0034】
≪タービン建屋30≫
図1に戻り、タービン建屋30は、タービン装置20を収容する。タービン建屋30は、タービン装置20のうちの貯水タンク207を除いた他の機械部分を収容する。すなわちタービン建屋30は、蒸気タービン21、復水器22、グランド蒸気供給装置23うちのグランド蒸気発生器201、供給ポンプ202p、グランド蒸気復水器205、および回収ポンプ206pの各機械部分を収容する。またタービン建屋30は、蒸気タービン21によって駆動される発電機(図示省略)を収容する。ただし、グランド蒸気復水器205に設けられた排気設備からの排気は、タービン建屋30の外部に放出される。
【0035】
タービン建屋30がこれらの機械部分を収容することにより、タービン装置20を構成する機会部分が風雨にさらされることによって損傷することを防止できる。また、貯水タンク207をタービン建屋30の外部に設けた構成とすることにより、タービン建屋30の大型化を防止できる。しかも、貯水タンク207の設置位置の自由度が確保できるため、作業員によるタンク本体207a内への外部水L1の供給の調整が容易となる。
【0036】
≪実施形態の効果≫
以上説明した原子力プラント1は、主蒸気とは独立した外部水L1をグランド蒸気発生器201で蒸気化したグランド蒸気G1によって、蒸気タービン21のグランド部21cを封止する構成である。これにより、グランド部21cからリークしたグランド蒸気G1は、主蒸気に対して独立した構成のものであり、主蒸気に含まれる可能性がある放射性物質を含有することがない。
【0037】
したがって、例えばグランド蒸気復水器205で凝縮されずれに発生した非凝集性ガスに、放射性物質が含まれることはなく、放射性物質の大気放出を防止することが可能になる。特に、沸騰水型の原子炉10から供給される主蒸気に含有さるトリチウムは、半減期が約12年と長く、フィルタやイオン吸着樹脂で除去されないという特徴を有する。しかしながら、本実施形態の原子力プラント1では、このような特徴を有するトリチウムであっても、グランド蒸気G1を凝縮した際に発生する非凝縮性ガスにトリチウムが含有されることはなく、トリチウムの大気放出を防止することができる。
【0038】
なお、本発明は上記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…原子力プラント
10…原子炉
20…タービン装置
30…タービン建屋
21…蒸気タービン
22…復水器
23…グランド蒸気供給装置
201…グランド蒸気発生器
202…外部水供給管
202p…供給ポンプ
203…グランド蒸気供給管
204…グランド蒸気回収管
205…グランド蒸気復水器
206…外部水回収管
206p…回収ポンプ
207…貯水タンク
207a…タンク本体
207b…外部水補給管
207c…貯水量計測器
207d…制御部
G1…グランド蒸気
L1…外部水