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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/23 20240101AFI20241001BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241001BHJP
【FI】
B60K35/23
G06T7/00 660A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022095472
(22)【出願日】2022-06-14
(65)【公開番号】P2023182077
(43)【公開日】2023-12-26
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】志白 純
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-36432(JP,A)
【文献】国際公開第2019/207965(WO,A1)
【文献】特開2021-103274(JP,A)
【文献】特開2015-87619(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138242(WO,A1)
【文献】特開2019-83385(JP,A)
【文献】特開2019-18770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示デバイスと、
前記画像の表示光をドライバの前方に配置された反射面に向けて反射するミラーと、
前記ミラーを回転させることにより前記表示光の投影位置を車両上下方向に変化させるモータと、
アイレンジに対して設定される車両上下方向および車幅方向に沿った複数の参照点と、それぞれの前記参照点に対応するワーピング形状と、の対応関係を定めた参照データと、
ドライバの目の位置を取得する取得部と、
制御用アイボックスを設定し、前記制御用アイボックスの代表点の座標および前記参照データに基づいて前記表示デバイスにおける表示用のワーピング形状を生成する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記目の位置が前記制御用アイボックスの外側の位置となった場合に前記制御用アイボックスおよび前記表示用のワーピング形状を更新し、
前記制御部は、ドライバの視線が前記表示光による虚像に向いていない場合、前記目の位置が前記制御用アイボックスの外側の位置となったかの判定を行なわない
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記目の位置が前記制御用アイボックスから出た場合に、前記目の位置が前記制御用アイボックスの外側で停止するまでの間は前記制御用アイボックスおよび前記表示用のワーピング形状の更新を開始しない
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記参照データは、車両上下方向の同じ位置に対して車幅方向に沿った複数の前記参照点を有する
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記制御用アイボックスの代表点を囲む複数の前記参照点を選択し、選択した前記参照点に対応する複数のワーピング形状から線形補間により前記表示用のワーピング形状を生成する
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記制御用アイボックスの更新時に前記モータを回転させる場合、前記モータの回転に応じて徐々に前記表示用のワーピング形状を変化させる
請求項1から4の何れか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の画像表示においてワーピング処理を行なう技術がある。特許文献1には、車両情報投影システムが開示されている。特許文献1の車両情報投影システムは、ROM(記憶部)に、基準視点位置と、表示器に予め歪んだ表示画像を表示させるために画像データを変換するための基準ワーピングパラメタとを関連付けた画像変換テーブルを予め格納しておく。この車両情報投影システムは、検出された視点位置に適した画像変換テーブルを、基準視点位置と基準ワーピングパラメタとを用いて補間する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-087619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワーピング形状が頻繁に変更されてしまうと、ドライバが煩わしさを感じることがある。例えば、ドライバの目の位置が少し動いた後にすぐに元の位置に戻った場合に、最初の動きに対してワーピング形状が変更され、直後に元の位置に戻る動きに対してワーピング形状が元に戻されるとする。このようなワーピング形状の変更がなされてしまうと、画像の切り替わりに対してドライバが違和感を覚える場合がある。
【0005】
本発明の目的は、ドライバに与える違和感を抑制しつつ目の位置に応じてワーピング形状を調節することができる車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用表示装置は、画像を表示する表示デバイスと、前記画像の表示光をドライバの前方に配置された反射面に向けて反射するミラーと、前記ミラーを回転させることにより前記表示光の投影位置を車両上下方向に変化させるモータと、アイレンジに対して設定される車両上下方向および車幅方向に沿った複数の参照点と、それぞれの前記参照点に対応するワーピング形状と、の対応関係を定めた参照データと、ドライバの目の位置を取得する取得部と、制御用アイボックスを設定し、前記制御用アイボックスの代表点の座標および前記参照データに基づいて前記表示デバイスにおける表示用のワーピング形状を生成する制御部と、を備え、前記制御部は、前記目の位置が前記制御用アイボックスの外側の位置となった場合に前記制御用アイボックスおよび前記表示用のワーピング形状を更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用表示装置は、ドライバの目の位置が制御用アイボックスの外側の位置となった場合に制御用アイボックスおよび表示用のワーピング形状を更新する。本発明に係る車両用表示装置によれば、ドライバに与える違和感を抑制しつつ目の位置に応じてワーピング形状を調節できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る車両用表示装置の概略構成図である。
図2図2は、実施形態の参照点を示す図である。
図3図3は、実施形態のアイレンジおよび制御用アイボックスを示す図である。
図4図4は、実施形態の制御用アイボックスを示す図である。
図5図5は、実施形態の参照用データを示す図である。
図6図6は、実施形態の動作を示すフローチャートである。
図7図7は、目の位置の移動パターンの一例を示す図である。
図8図8は、目の位置の移動パターンの他の例を示す図である。
図9図9は、目の位置の動きを示す図である。
図10図10は、新たなワーピング形状の生成を説明する図である。
図11図11は、新たなワーピング形状の生成を説明する図である。
図12図12は、新たなワーピング形状の生成を説明する図である。
図13図13は、新たなワーピング形状の生成を説明する図である。
図14図14は、実施形態の中間点を示す図である。
図15図15は、実施形態の第1変形例に係る制御用アイボックスの更新について説明する図である。
図16図16は、実施形態の第2変形例に係る中間点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図14を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置に関する。図1は、実施形態に係る車両用表示装置の概略構成図、図2は、実施形態の参照点を示す図、図3は、実施形態のアイレンジおよび制御用アイボックスを示す図、図4は、実施形態の制御用アイボックスを示す図、図5は、実施形態の参照用データを示す図、図6は、実施形態の動作を示すフローチャート、図7および図8は、目の位置の移動パターンを示す図、図9は、目の位置の動きを示す図、図10から図13は、新たなワーピング形状の生成を説明する図、図14は、実施形態の中間点を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用表示装置1は、自動車等の車両100に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置である。車両用表示装置1は、画像の表示光Ltをウインドシールド110に向けて投影する。ウインドシールド110は、車両100のアイポイントEPに対して車両前方に位置しており、かつ車両前後方向XにおいてアイポイントEPと対向している。表示光Ltは、ウインドシールド110の反射面110aによってアイポイントEPに向けて反射される。車両100のドライバは、表示光Ltによって虚像Viを視認することができる。
【0012】
本実施形態の車両用表示装置1は、ウインドシールド110への画像の投影位置を上下方向に変更可能である。車両用表示装置1は、例えば、アイポイントEPの位置に基づいてウインドシールド110に対する画像の投影位置を上下させる。アイポイントEPは、ドライバ200の目の位置であり、例えば、車両用表示装置1のカメラ11を用いて検出される。例示されたカメラ11は、運転席に対して車両前方に配置されており、ドライバ200を撮像できるように設置されている。アイポイントEPは、カメラ11によって生成された画像に対する画像認識によって検出される。
【0013】
車両用表示装置1は、車両100に搭載される画像表示ユニット10を有する。画像表示ユニット10は、筐体2、表示デバイス3、ミラー4、制御部5、不揮発性メモリ6、およびモータ7を有する。筐体2は、例えば、インストルメントパネルの内部に配置される。筐体2は、ウインドシールド110に対向する開口を有している。表示デバイス3、ミラー4、制御部5、不揮発性メモリ6、およびモータ7は、筐体2の内部に収容される。
【0014】
表示デバイス3は、画像を表示する装置であり、例えば、液晶表示装置である。表示デバイス3は、TFT-LCD(Thin Film Transistor-Liquid Crystal Display)であってもよい。表示デバイス3は、例えば、バックライトユニットの光によって表示光Ltを出力する。
【0015】
ミラー4は、画像の表示光Ltをウインドシールド110の反射面110aに向けて反射する。ミラー4によって反射された表示光Ltは、筐体2の開口を通過してウインドシールド110の反射面110aに投影される。ミラー4は、凹状の反射面4aを有しており、画像を拡大することができる。反射面4aの形状は、例えば、自由曲面である。反射面4aの形状は、画像の歪みや収差を補正する形状であってもよい。
【0016】
本実施形態の画像表示ユニット10は、ミラー4を回動させるモータ7を有する。ミラー4は、回動可能に支持されている。ミラー4の回転方向は、図1に矢印AR1で示すように、車両上下方向Zに対する反射面4aの傾斜角度を変化させる方向である。ミラー4の傾斜角度が大きくなると、ウインドシールド110への画像の投影位置が下方に移動する。一方、ミラー4の傾斜角度が小さくなると、ウインドシールド110への画像の投影位置が上方に移動する。
【0017】
モータ7は、ミラー4を回動させることにより、反射面4aの傾斜角度を所望の角度に調整する。モータ7は、例えば、ステッピングモータである。モータ7は、制御部5によって出力される指令値によって駆動される。指令値は、モータ7の回転方向およびステップ数を含む。
【0018】
制御部5は、表示デバイス3およびモータ7を制御する。制御部5は、例えば、演算部、メモリ、通信インターフェース等を含むコンピュータである。制御部5は、例えば、予め記憶しているプログラムに従ってモータ7を制御する。また、制御部5は、予め記憶しているプログラム、および不揮発性メモリ6から読み込んだ参照データTBに基づいて表示デバイス3を制御する。
【0019】
本実施形態の制御部5は、アイポイントEPの位置に基づいて、表示デバイス3における表示用のワーピング形状を生成する。カメラ11の撮像結果に基づくアイポイントEPの検出は、制御部5によって実行されてもよく、他の処理部によって実行されてもよい。カメラ11は、アイポイントEPを検出する処理部を有していてもよい。
【0020】
図2を参照して説明するように、本実施形態では、車両100のアイレンジERに対して複数の領域が設定されている。アイレンジERは、運転者の目の位置の分布を統計的に表したものであり、車幅方向Yおよび車両上下方向Zに沿った領域である。例示されたアイレンジERの形状は、矩形である。図2に示すように、アイレンジERに対して車両上下方向Zの三つの範囲ZU,ZM,ZLが設定される。上側の範囲ZUは、アイレンジERにおける最も上側の範囲である。中央の範囲ZMは、アイレンジERにおける中央の範囲である。下側の範囲ZLは、アイレンジERにおける下側の範囲である。三つの範囲ZU,ZM,ZLは、境界部において重なりを有していてもよい。
【0021】
また、アイレンジERに対して車幅方向Yの三つの範囲Y1,Y2,Y3が設定される。第一の範囲Y1は、アイレンジERにおける車幅方向Yの一端側の範囲である。第一の範囲Y1は、例えば、ドライバから見て左端側の範囲である。第二の範囲Y2は、アイレンジERにおける車幅方向Yの中央の範囲である。第三の範囲Y3は、アイレンジERにおける車幅方向Yの他端側の範囲である。第三の範囲Y3は、例えば、ドライバから見て右端側の範囲である。三つの範囲Y1,Y2,Y3は、境界部において重なりを有していてもよい。
【0022】
アイレンジERには、九個の領域が設定される。上側の範囲ZUには、第一領域R1、第二領域R2、および第三領域R3が設定される。領域R1,R2,R3は、範囲Y1,Y2,Y3にそれぞれ対応している。中央の範囲ZMには、第四領域R4、第五領域R5、および第六領域R6が設定される。領域R4,R5,R6は、範囲Y1,Y2,Y3にそれぞれ対応している。下側の範囲ZLには、第七領域R7、第八領域R8、および第九領域R9が設定される。領域R7,R8,R9は、範囲Y1,Y2,Y3にそれぞれ対応している。
【0023】
各領域Ri(i=1,2,…,9)は、それぞれ参照点Pi(i=1,2,…,9)を有する。例えば、第五領域R5は、参照点P5を有する。参照点P5は、例えば、アイレンジERの中心点である。第五領域R5を除く領域R1~R4,R6~R9の参照点P1~P4,P6~P9は、アイレンジERの境界線上に設定されている。アイレンジERは、上端の境界線ERU、下端の境界線ERL、車幅方向Yの一端の第一境界線ER1、および車幅方向Yの他端の第二境界線ER2を有する。
【0024】
第一領域R1の参照点P1は、アイレンジERの頂点に設定されている。より詳しくは、参照点P1は、上端の境界線ERUと、第一境界線ER1との交点に位置している。同様に、第三領域R3、第七領域R7、および第九領域R9の参照点P3,P7,P9は、それぞれアイレンジERの頂点に設定されている。より詳しくは、第三領域R3の参照点P3は、上端の境界線ERUと第二境界線ER2との交点に位置している。第七領域R7の参照点P7は、下端の境界線ERLと第一境界線ER1との交点に位置している。第九領域R9の参照点P9は、下端の境界線ERLと第二境界線ER2との交点に位置している。
【0025】
第二領域R2の参照点P2は、上端の境界線ERUにおける車幅方向Yの中央に位置している。第四領域R4の参照点P4は、第一境界線ER1における車両上下方向Zの中央に位置している。第六領域R6の参照点P6は、第二境界線ER2における車両上下方向Zの中央に位置している。第八領域R8の参照点P8は、下端の境界線ERLにおける車幅方向Yの中央に位置している。各参照点Piには、図5に示すワーピングデータWPi(i=1,2,…,9)が対応付けられている。
【0026】
本実施形態の制御部5は、図3に示す制御用アイボックスEBを設定する。制御用アイボックスEBは、車幅方向Yおよび車両上下方向Zに沿った範囲である。例示された制御用アイボックスEBの形状は、矩形である。制御用アイボックスEBは、検出されたアイポイントEPに基づいて設定される。アイポイントEPは、例えば、ドライバ200の左目と右目との中間の位置である。図3では、アイポイントEPが中央の参照点P5に位置している。この場合、制御用アイボックスEBは、図2に示す第五領域R5と重なるように設定される。なお、図3は、前方からドライバ200を見た図であるため、図2とは左右が入れ替わっている。
【0027】
図4に示すように、制御用アイボックスEBは、上端の境界線BU、下端の境界線BL、第一境界線B1、および第二境界線B2を有する。上端の境界線BUは、制御用アイボックスEBにおける車両上下方向Zの上端の境界線である。下端の境界線BLは、制御用アイボックスEBにおける下端の境界線である。第一境界線B1は、制御用アイボックスEBにおける車幅方向Yの一端の境界線である。第二境界線B2は、制御用アイボックスEBにおける車幅方向Yの他端の境界線である。
【0028】
制御用アイボックスEBは、代表点PCを有する。例示された代表点PCの位置は、制御用アイボックスEBにおける中心点または重心点である。制御部5は、制御用アイボックスEBを新規に設定する場合や、制御用アイボックスEBを更新する場合、検出されたアイポイントEPに対して代表点PCを一致させるように制御用アイボックスEBの位置を設定する。本実施形態の制御部5は、後述するように、目の位置が制御用アイボックスEBの内部にある間は表示用のワーピング形状を更新せず、目の位置が制御用アイボックスEBから外れた場合に表示用のワーピング形状を更新する。これにより、ワーピング形状の頻繁な更新が抑制される。
【0029】
図5に示すように、本実施形態の車両用表示装置1は、複数のワーピング形状を含む参照データTBを有する。参照データTBは、複数の参照点P1~P9と、ワーピングデータWP1~WP9と、の対応関係を定めたデータである。ワーピングデータWP1~WP9は、表示デバイス3における画像表示領域を定めるためのデータである。ワーピングデータWP1~WP9は、ウインドシールド110の反射面110aによって反射されることによる画像の歪みを補正できるように設定される。
【0030】
ワーピングデータWP1は、第一領域R1の参照点P1に対応するワーピング形状のデータである。同様に、ワーピングデータWP2~WP9は、領域R2~R9の参照点P2~P9に対応するワーピング形状のデータである。各ワーピングデータWPi(i=1,2,…,9)は、複数の変曲点Npj(j=1,2,…)を有する。複数の変曲点Npjは、画像横方向GHおよび画像縦方向GVに沿って格子状に配列されている。つまり、変曲点Npjは、ワーピング形状の格子点である。各変曲点Npjは、車幅方向Yの座標値および車両上下方向Zの座標値を有する。
【0031】
ワーピングデータWP1は、アイポイントEPが参照点P1に位置するときの画像の歪みを補正するように光学設計されている。同様に、ワーピングデータWP2~WP9に対する光学設計は、アイポイントEPが参照点P2~P9に位置するときの画像の歪みを補正できるように最適化されている。
【0032】
本実施形態の制御部5は、参照データTBに基づいて制御用アイボックスEBに対するワーピング形状を生成する。制御部5は、生成したワーピング形状に基づいて表示デバイス3に画像を表示させる。より詳しくは、制御部5は、生成したワーピング形状に基づいて、元画像に対する座標変換を実行し、表示用の画像を生成する。すなわち、制御部5は、ドライバ200に視認させたい画像を生成したワーピング形状に基づいて歪ませることにより表示用の画像を生成する。制御部5は、生成した表示用の画像を表示デバイス3に表示させる。
【0033】
本実施形態の制御部5は、以下に説明するように、ドライバ200の目の位置が制御用アイボックスEBの内部にある間は、制御用アイボックスEBを変更しない。従って、制御部5は、目の位置が制御用アイボックスEB内にある間は同じワーピング形状を使用する。これにより、ワーピング形状が頻繁に変化することによる煩わしさが抑制される。
【0034】
一方、制御部5は、ドライバ200の目の位置が制御用アイボックスEBの外側の位置となった場合、制御用アイボックスEBを更新する。制御部5は、制御用アイボックスEBを更新した場合、更新後の制御用アイボックスEBに基づいて表示用のワーピング形状を更新する。これにより、目の位置が移動したときに、移動後の目の位置に応じた適切なワーピング形状で画像を表示させることが可能となる。
【0035】
図6のフローチャートを参照して、本実施形態の車両用表示装置1の動作について説明する。ステップS10において、目の位置が取得される。制御部5は、カメラ11によって生成された画像に基づいてドライバ200の目の位置を取得する。ステップS10が実行されると、ステップS20に進む。
【0036】
ステップS20において、制御部5は、目の位置が停止したかを判定する。目の位置が停止したと判定される条件は、任意である。制御部5は、例えば、目の位置の移動速度が下限値よりも小さくなった場合にアイポイントEPが停止したと判定してもよい。制御部5は、例えば、一定の時間内において目の位置が所定の範囲内から出ない場合に目の位置が停止したと判定してもよい。ステップS20において目の位置が停止したと肯定判定された場合にはステップS30に進み、否定判定された場合にはステップS10に移行する。
【0037】
ステップS30において、制御部5は、目の位置が制御用アイボックスEBから外れたかを判定する。図7には、目の位置の移動パターンの一例が示されている。検出された目の位置は、点EP1から点EP2へ移動し、その後に点EP3を通過し、点EP4で停止する。目の位置は、点EP1から点EP4まで移動し続けて点EP4で停止する。点EP1,EP2は何れも制御用アイボックスEBの内部の点である。点EP3は、上端の境界線BU上の点である。
【0038】
制御部5は、点EP4で目の位置が停止すると、点EP4が制御用アイボックスEBの外側の点であるかを判定する。制御部5は、点EP4が制御用アイボックスEBの外側の点である場合、目の位置が制御用アイボックスEBから外れたと判定する。ステップS30において肯定判定された場合にはステップS40に進み、否定判定された場合にはステップS10に移行する。なお、制御部5は、ステップS30で肯定判定された場合、制御用アイボックスEBを更新する。図7を参照して説明すると、制御部5は、目の位置が停止した点EP4に対して新たな制御用アイボックスEBを設定する。新たな制御用アイボックスEBは、図7に破線で示される。新たな制御用アイボックスEBの代表点PCは、点EP4である。
【0039】
ステップS40において、制御部5は、目の位置が高さ方向に外れたかを判定する。図7の例では、目の位置が制御用アイボックスEBから外れるときに、上端の境界線BUと交差している。制御部5は、目の位置が上端の境界線BUと交差した場合、および目の位置が下端の境界線BLと交差した場合に、目の位置が高さ方向に外れたと判定してもよい。
【0040】
制御部5は、制御用アイボックスEBの更新によってモータ7を駆動する必要が生じる場合に目の位置が高さ方向に外れたと判定してもよい。図7の例では、点EP4が上端の境界線BUよりも車両上下方向Zの上側に位置している。言い換えると、目の位置は制御用アイボックスEBから高さ方向に外れている。制御部5は、停止した目の位置と、制御用アイボックスEBとの相対位置に基づいてステップS40の判定を行なうことができる。
【0041】
例えば、制御部5は、車両上下方向Zに沿った目の位置の移動量ΔZに基づいて、モータ7の駆動が必要か否かを判定する。目の位置の移動量ΔZは、例えば、代表点PCのZ座標と停止した目の位置のZ座標との差分である。
【0042】
制御部5は、目の位置の移動量ΔZに関して、モータ7を駆動させるか否かの閾値を有していることが好ましい。制御部5は、目の位置の移動量ΔZの絶対値が閾値よりも大きい場合、モータ7を駆動させてミラー4を回動させると判定する。制御用アイボックスEBの高さは、この閾値に基づいて設定されてもよい。閾値は、例えば、代表点PCから上端の境界線BUまでの高さと等しくてもよい。閾値は、例えば、代表点PCから下端の境界線BLまでの高さと等しくてもよい。
【0043】
図8には、目の位置の移動パターンの他の例が示されている。検出された目の位置は、点EP11から点EP12へ移動し、その後に点EP13を通過し、点EP14で停止する。点EP11,EP12は、何れも制御用アイボックスEBの内部の点である。点EP13は、第二境界線B2上の点である。点EP14は、制御用アイボックスEBの外側の点である。
【0044】
図8の例では、目の位置が制御用アイボックスEBから外れるときに、第二境界線B2と交差している。制御部5は、目の位置が第二境界線B2と交差した場合、および目の位置が第一境界線B1と交差した場合に、目の位置が車幅方向Yに外れたと判定してもよい。この場合、制御部5は、目の位置が高さ方向に外れていないと判定してもよい。
【0045】
制御部5は、制御用アイボックスEBの更新によるモータ7の駆動が不要である場合に目の位置が車幅方向Yに外れたと判定してもよい。例えば、制御部5は、目の位置の移動量ΔZが閾値以下である場合、ステップS40で否定判定してもよい。
【0046】
ステップS40の判定の結果、目の位置が高さ方向に外れたと肯定判定された場合にはステップS50に進み、否定判定された場合にはステップS60に進む。
【0047】
ステップS50において、制御部5は、モータ7の駆動時間を算出する。制御部5は、例えば、更新前の制御用アイボックスEBに対する更新後の制御用アイボックスEBの相対位置に基づいてモータ7の駆動時間を算出する。この場合、制御部5は、目の位置の移動量ΔZに基づいてモータ7の必要回転量を算出することができる。本実施形態のモータ7はステッピングモータであるため、制御部5はモータ駆動のステップ数を算出する。制御部5は、駆動ステップ数に基づいて、モータ7の回転に要する時間である駆動時間を算出する。ステップS50が実行されるとステップS60に進む。
【0048】
ステップS60において、制御部5は、移動後のワーピング形状を生成する。移動後のワーピング形状は、新たな制御用アイボックスEBに対応するワーピング形状である。図9から図12を参照して、ワーピング形状の生成について説明する。
【0049】
図9には、目の位置の移動が矢印AR2で示されている。図9において、移動前の目の位置は、中央の参照点P5であり、移動後の目の位置は、点EP20である。点EP20は、第一領域R1の点である。点EP20は、四つの参照点P1,P2,P4,P5によって囲まれている。言い換えると、点EP20は、参照点P1,P2,P4,P5によって形成される矩形領域の内部の点である。
【0050】
図10に示すように、制御部5は、四つのワーピングデータWP1,WP2,WP4,WP5から新たなワーピング形状WP20を生成する。新たなワーピング形状WP20は、点EP20に対応するワーピング形状である。
【0051】
図11を参照して説明するように、本実施形態の制御部5は、車両上下方向Zに並ぶ二つの参照点Piに基づいて、第一の点D1および第二の点D2を算出する。第一の点D1および第二の点D2は、車両上下方向Zにおいて点EP20と対応する点である。第一の点D1は、二つの参照点P1,P4の間の点である。つまり、第一の点D1は、参照点P1と参照点P4とを内分する点である。第二の点D2は、二つの参照点P2,P5の間の点である。つまり、第二の点D2は、参照点P2と参照点P5とを内分する点である。
【0052】
図13に示すように、制御部5は、二つのワーピングデータWP1,WP4に基づいて、線形補間により第一の点D1に対応するワーピング形状WP11を生成する。この線形補間は、参照点P1,P4および第一の点D1のZ座標から算出される内分比に基づく。制御部5は、例えば、二つのワーピングデータWP1,WP4の対応する変曲点Npjの座標値に基づいて、ワーピング形状WP11の変曲点Npjの座標値を算出する。従って、第一の点D1が参照点P1に近いほどワーピング形状WP11とワーピングデータWP1との類似度が高くなる。一方、第一の点D1が参照点P4に近いほどワーピング形状WP11とワーピングデータWP4との類似度が高くなる。同様にして、制御部5は、二つのワーピングデータWP2,WP5に基づいて、線形補間により第二の点D2に対応するワーピング形状WP12を生成する。
【0053】
制御部5は、ワーピング形状WP11,WP12に基づいて、線形補間により新たなワーピング形状WP20を生成する。図12に示すように、点EP20は、第一の点D1と第二の点D2とを内分する点である。このときの内分比は、第一の点D1、第二の点D2、および点EP20のY座標から算出される。制御部5は、例えば、この内分比に基づいて線形補間を行なう。ステップS60で新たなワーピング形状WP20が生成されると、ステップS70に進む。
【0054】
ステップS70では、線形補間により中間形状が生成される。中間形状は、更新前のワーピング形状と、更新後のワーピング形状との間の中間段階のワーピング形状である。図9の例では、更新前のワーピング形状は、ワーピングデータWP5である。更新後のワーピング形状は、新たなワーピング形状WP20である。この場合、制御部5は、ワーピングデータWP5と新たなワーピング形状WP20とに基づいて、線形補間により中間形状を生成する。
【0055】
図14に示すように、制御部5は、参照点P5と点EP20との間に中間点DPk(k=1,2,…,n)を設定してもよい。中間点DPkの個数nは、1つであってもよく、複数であってもよい。中間点DPkは、スタート点とゴール点との間を等分する点であってもよい。制御部5は、中間点DPkのそれぞれに対して線形補間により中間形状を生成する。例えば、中間点DPkの個数nが5である場合、制御部5は5個の中間形状を生成する。中間形状と新たなワーピング形状WP20との類似度は、参照点P5から点EP20へ近づくに従って高くなる。中間形状が生成されると、ステップS80に進む。
【0056】
ステップS80において、制御部5は、モータ駆動があるかを判定する。この判定は、例えば、ステップS40における判定と同様であってもよい。例えば、ステップS40で目の位置が高さ方向に外れたと判定されている場合、ステップS80でモータ駆動があると判定される。ステップS80の判定の結果、モータ駆動があると肯定判定された場合にはステップS90に進み、否定判定された場合にはステップS100に進む。
【0057】
ステップS90において、制御部5は、モータ7の駆動に合わせて徐々にワーピング形状を変化させる。制御部5は、例えば、モータ駆動時間と画面更新時間に合わせてワーピング形状を変化させていく。制御部5は、例えば、モータ7の駆動開始と同期してワーピング形状の段階的な変化を開始させる。制御部5は、例えば、モータ7の駆動終了と同期してワーピング形状の変化を終了させる。
【0058】
制御部5は、例えば、モータ7の回転位置が中間点DP1と対応する位置になるタイミングで、ワーピング形状を中間点DP1に対応する中間形状に更新する。更に、モータ7の回転位置が中間点DP2と対応する位置になるタイミングで、ワーピング形状が中間点DP2に対応する中間形状に更新される。最終的に、モータ7の回転位置がEP20と対応する位置になるタイミングで、ワーピング形状が新たなワーピング形状WP20に更新される。このようにワーピング形状がモータ7の駆動に合わせて段階的に更新されることで、違和感のないスムーズな表示切り替えが可能となる。
【0059】
なお、制御部5は、表示デバイス3のフレームレート[フレーム数/秒]に基づいてワーピング形状の切り替えタイミングを設定してもよい。例えば、ワーピング形状は、一つのフレームと次のフレームとの間に変更されてもよい。モータ7の駆動およびワーピング形状の更新が完了すると、フローチャートが終了する。
【0060】
ステップS100において、制御部5は、徐々にワーピング形状を変化させる。制御部5は、例えば、既定時間と画面更新時間に合わせてワーピング形状を変化させていく。既定時間は、変数であり、ドライバ200が違和感を覚えにくいように予め定められている。制御部5は、例えば、既定時間が経過するごとにワーピング形状を変化させていく。制御部5は、ワーピング形状の切り替えタイミングをフレーム間に設定してもよい。ワーピング形状の更新が完了すると、フローチャートが終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の車両用表示装置1は、画像を表示する表示デバイス3と、ミラー4と、モータ7と、参照データTBと、カメラ11と、制御部5と、を有する。ミラー4は、画像の表示光Ltをドライバ200の前方に配置された反射面110aに向けて反射する。モータ7は、ミラー4を回転させることにより表示光Ltの投影位置を車両上下方向Zに変化させる。参照データTBは、複数の参照点Piと、それぞれの参照点Piに対応するワーピングデータWPiと、の対応関係を定めたデータである。複数の参照点Piは、アイレンジERに対して設定され、車両上下方向Zおよび車幅方向Yに沿っている。
【0062】
カメラ11は、ドライバ200の目の位置を取得する取得部の一例である。なお、取得部は、カメラ11によって撮像された画像に対して画像処理や画像認識を行なう処理部を含んでもよい。この処理部は、制御部5が有する演算回路であってもよく、制御部5によって実行される処理プログラムであってもよい。制御部5は、制御用アイボックスEBを設定する。制御部5は、制御用アイボックスEBの代表点PCの座標および参照データTBに基づいて表示デバイス3における表示用のワーピング形状を生成する。
【0063】
表示用のワーピング形状は、参照データTBが有する複数のワーピング形状から生成されてもよく、参照データTBが有する何れかのワーピング形状であってもよい。例えば、目の位置が何れか一つの参照点Piと一致している場合、当該参照点Piのワーピング形状が表示用のワーピング形状となる。
【0064】
制御部5は、目の位置が制御用アイボックスEBの外側の位置となった場合に制御用アイボックスEBおよび表示用のワーピング形状を更新する。言い換えると、制御部5は、目の位置が制御用アイボックスEBの外側の位置となることを条件の一つとして、制御用アイボックスEBおよび表示用のワーピング形状を更新する。従って、制御部5は、少なくとも目の位置が制御用アイボックスEBの内側に位置している間は制御用アイボックスEBおよびワーピング形状を更新しない。これにより、ワーピング形状の頻繁な更新が抑制され、ドライバ200に煩わしさを感じにくくさせることができる。
【0065】
本実施形態の制御部5は、目の位置が制御用アイボックスEBから出た場合に、目の位置が制御用アイボックスEBの外側で停止するまでの間は制御用アイボックスEBおよび表示用のワーピング形状の更新を開始しない。例えば、図6のフローチャートでは、ステップS20で目の位置が停止したと判定されない限り、ステップS30以降の処理へは進まない。これにより、ワーピング形状の頻繁な更新が抑制される。また、目の位置が制御用アイボックスEBから出てすぐに制御用アイボックスEBの内側に戻った場合に、制御用アイボックスEBおよびワーピング形状が更新されない。よって、制御のハンチングが抑制される。
【0066】
本実施形態の参照データTBは、車両上下方向Zの同じ位置に対して車幅方向Yに沿った複数の参照点Piを有する。よって、ドライバ200の目の位置が車幅方向Yに動いた場合に、目の位置に応じた適切なワーピング形状が生成される。
【0067】
本実施形態の制御部5は、制御用アイボックスEBの代表点PCを囲む複数の参照点Piを選択し、選択した参照点Piに対応する複数のワーピング形状から線形補間により表示用のワーピング形状を生成する。例えば、図10を参照して説明した例では、複数のワーピングデータWP1,WP2,WP4,WP5から表示用のワーピング形状WP20が生成される。このような生成方法により、目の位置に応じた最適なワーピング形状の生成が可能となる。
【0068】
本実施形態の制御部5は、制御用アイボックスEBの更新時にモータ7を回転させる場合、モータ7の回転に応じて徐々に表示用のワーピング形状を変化させる。よって、違和感の少ないワーピング形状の遷移が実現される。
【0069】
なお、参照点Piの配置は、図2に示す配置には限定されない。例えば、車幅方向Yの同じ位置に対して、車両上下方向Zに沿って4個以上の参照点Piが配置されてもよい。例えば、車両上下方向Zの同じ位置に対して、車幅方向Yに沿って4個以上の参照点Piが配置されてもよい。
【0070】
制御用アイボックスEBの形状は、正方形であってもよく、長方形であってもよい。制御用アイボックスEBは、車幅方向Yの長さが車両上下方向Zの長さよりも大きい長方形であってもよい。この場合、車幅方向Yに沿った目の位置の動きに対する感度が低くなる。制御用アイボックスEBの車幅方向Yの長さは、メーターやミラーを確認するドライバ200の動作による目の位置の動きを許容できるように定められてもよい。制御用アイボックスEBの形状は、矩形とは異なる形状とされてもよい。
【0071】
制御部5は、ドライバ200の視線方向に基づいて制御用アイボックスEBの更新判定を行なってもよい。例えば、ドライバ200の視線が虚像Viに向いていない場合、制御用アイボックスEBが更新されなくてもよい。制御部5は、目の位置が停止した場合に、ドライバ200の視線が虚像Viに向いているかの判定を行なってもよい。この場合、図6のフローチャートにおいて、ステップS20で肯定判定されたときに、ドライバ200の視線が虚像Viに向いているかの判定がなされる。その判定の結果、視線が虚像Viに向いていると肯定判定されればステップS30に進み、否定判定された場合にはステップS10に移行する。
【0072】
このような処理により、ワーピング形状の不要な更新を抑制可能となる。例えば、ドライバ200が車両100の機器を操作するときに、視線を機器に向けることで目の位置が制御用アイボックスEBから外れる可能性がある。この場合に、制御部5はドライバ200が虚像Viを向くまで更新判定を遅らせることができる。制御部5は、ドライバ200が視線を虚像Viに向けた時点で目の位置が制御用アイボックスEBから外れているかを判定する。機器の操作が終わってドライバ200の目の位置が操作前の位置に戻っていれば、制御用アイボックスEBおよびワーピング形状が更新されない。
【0073】
表示デバイス3は、液晶表示装置には限定されない。表示デバイス3は、例えば、透過式のスクリーンをレーザ光によって走査し、上記スクリーンに画像を生成する装置であってもよい。
【0074】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。図15は、実施形態の第1変形例に係る制御用アイボックスの更新について説明する図である。制御部5は、目の位置が制御用アイボックスEBから外れた場合に、目の位置が停止していなくても制御用アイボックスEBを更新してもよい。例えば、図15に示すように、目の位置が点EP21から点EP22に移動し、その後に検出された目の位置が制御用アイボックスEBの外側の点EP23であったとする。制御部5は、点EP23で目の位置が停止しなかったとしても、点EP23に基づいて制御用アイボックスEBを更新してもよい。この場合、制御部5は、新たな制御用アイボックスを仮の制御用アイボックスEBtとしてもよい。
【0075】
制御部5は、仮の制御用アイボックスEBtに対して新たなワーピング形状を生成し、ワーピング形状を徐々に変化させる。このときに、モータ7の駆動がある場合は、モータ7の駆動に合わせてワーピング形状が段階的に更新されてもよい。
【0076】
仮の制御用アイボックスEBtが設定された後に、目の位置が点EP24で停止したとする。この場合に、制御部5は、点EP24に基づいて制御用アイボックスEBを更新してもよい。例えば、制御部5は、点EP24が仮の制御用アイボックスEBtの内部の点であるか外部の点であるかにかかわらず制御用アイボックスEBを更新してもよい。
【0077】
これに代えて、制御部5は、点EP24が仮の制御用アイボックスEBtの内部の点である場合、制御用アイボックスEBの更新を行なわなくてもよい。例えば、制御部5は、点EP23から点EP24までの距離が予め定められた下限値よりも小さい場合に制御用アイボックスEBを更新しないようにしてもよい。
【0078】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。図16は、実施形態の第2変形例に係る中間点を示す図である。中間点DPkの配置は、上記実施形態の図14に示すような直線状の配置でなくてもよい。例えば、図16に示すように、複数の中間点DPkが階段状に配置されてもよい。
【0079】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 車両用表示装置
2:筐体、 3:表示デバイス、 4:ミラー、 5:制御部、 6:不揮発性メモリ
7:モータ、 11:カメラ
100:車両、 110:ウインドシールド、 110a:反射面
EG:制御用アイボックス
EP:アイポイント(目の位置)、 ER:アイレンジ
Pi(i=1,2,…,9):参照点、 PC:代表点
R1:第一領域、 R2:第二領域、 R3:第三領域、 R4:第四領域
R5:第五領域、 R6:第六領域、 R7:第七領域、 R8:第八領域
R9:第九領域
TB:参照データ
WPi(i=1,2,…,9):ワーピングデータ
X:車両前後方向、 Y:車幅方向、 Z:車両上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16