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特許7564179人力駆動車用制御装置および人力駆動車用ドライブユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】人力駆動車用制御装置および人力駆動車用ドライブユニット
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20241001BHJP
【FI】
B62M6/45
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022198493
(22)【出願日】2022-12-13
(62)【分割の表示】P 2018156566の分割
【原出願日】2018-08-23
(65)【公開番号】P2023021272
(43)【公開日】2023-02-10
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-107738(JP,A)
【文献】特開2018-149863(JP,A)
【文献】特開2019-172226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/40-6/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクを有する人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、
前記制御部は、第1制御状態で前記モータを制御している場合に前記人力駆動車の車体の角度が第1角度以上の場合、前記第1制御状態とは異なる第2制御状態で前記モータを制御し、前記角度が前記第1角度よりも大きい第2角度以上の場合、前記第2制御状態とは異なる第3制御状態で前記モータを制御し、
前記クランクに入力される人力駆動力に対する前記モータの出力の比率と、前記モータの出力の上限値と、の少なくとも一方は、
前記第2制御状態では、前記第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、前記第3制御状態の場合よりも大きく、
前記車体の角度は、ロール角度を含み、
前記第1角度は、前記ロール角度を含み、
前記第2角度は、前記ロール角度を含む、人力駆動車用制御装置。
【請求項2】
前記第2制御状態では、前記比率と、前記上限値と、の少なくとも一方は、前記第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、前記第3制御状態の場合よりも大きい、請求項1に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第3制御状態において、前記モータの駆動を停止させる、請求項2に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項4】
前記車体の角度は、前記ロール角度および前記車体のピッチ角度を含み、
前記第1角度は、前記ロール角度および前記ピッチ角度を含み、
前記第2角度は、前記ロール角度および前記ピッチ角度を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項5】
前記車体の角度を検出するように構成される検出部をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置と、
人力駆動車の推進をアシストするように構成されるモータと、を含む、人力駆動車用ドライブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用制御装置および人力駆動車用ドライブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されている人力駆動車用制御装置は、所定の条件に応じてアシスト比率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-43322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、乗車状態に応じてモータを好適に制御できる人力駆動車両用制御装置および人力駆動車用ドライブユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う人力駆動車用制御装置は、クランクを有する人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、第1制御状態で前記モータを制御している場合に前記人力駆動車の車体の角度が第1角度以上の場合、前記第1制御状態とは異なる第2制御状態で前記モータを制御し、前記角度が前記第1角度よりも大きい第2角度以上の場合、前記第2制御状態とは異なる第3制御状態で前記モータを制御し、前記クランクに入力される人力駆動力に対する前記モータの出力の比率と、前記モータの出力の上限値と、の少なくとも一方は、前記第2制御状態では、前記第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、前記第3制御状態の場合よりも大きい、または、前記第2制御状態では、前記第1制御状態の場合よりも小さく、かつ、前記第3制御状態の場合よりも小さい。
クランクに入力される人力駆動力に対するモータの出力の比率と、モータの出力の上限値と、の少なくとも一方は、クランクに入力される人力駆動力に対するモータの出力の比率のみ、モータの出力の上限値のみ、または、クランクに入力される人力駆動力に対するモータの出力の比率およびモータの出力の上限値の両方を含む。
第1側面の人力駆動車用制御装置によれば、車体の傾斜角度が大きくなっていくと、モータの制御状態を第1制御状態、第2制御状態、および、第3制御状態の順番で変更することができるので、乗車状態に応じてモータを好適に制御できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の人力駆動車用制御装置において、前記第2制御状態では、前記比率と、前記上限値と、の少なくとも一方は、前記第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、前記第3制御状態の場合よりも大きい。
第2側面の人力駆動車用制御装置によれば、車体の角度が第1角度以上かつ第2角度未満の場合には、車体の角度が第1角度未満の場合および第2角度以上の場合よりも比率と上限値との少なくとも一方を大きくできる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第3制御状態において、前記モータの駆動を停止させる。
第3側面の人力駆動車用制御装置によれば、車体の角度が第2角度以上の場合には、モータの駆動を停止できる。
【0008】
本開示の第4側面に従う人力駆動車用制御装置は、クランクを有する人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の車体の角度が第3角度以上、かつ、前記クランクの回転角度が予め定める範囲内に維持されている場合、第4制御状態で前記モータを制御し、前記角度が前記第3角度以上、かつ、前記クランクが前記予め定める範囲を超えて回転している場合、前記第4制御状態とは異なる第5制御状態で前記モータを制御する。
第4側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の車体の角度が第3角度以上の場合、クランクの回転角度に応じてモータの制御状態を変更することができるので、乗車状態に応じてモータを好適に制御できる。
【0009】
本開示の第5側面に従う人力駆動車用制御装置は、クランクを有する人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の車体の角度が第3角度以上、かつ、前記クランクに入力される人力駆動力が予め定める値未満の場合、第4制御状態で前記モータを制御し、前記角度が前記第3角度以上、かつ、前記人力駆動力が前記予め定める値以上の場合、前記第4制御状態とは異なる第5制御状態で前記モータを制御する。
第5側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の車体の角度が第3角度以上の場合、クランクに入力される人力駆動力に応じてモータの制御状態を変更することができるので、乗車状態に応じてモータを好適に制御できる。
【0010】
本開示の第6側面に従う人力駆動車用制御装置は、ステアリング部およびクランクを有する人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の車体の角度が第3角度以上、かつ、前記ステアリング部の荷重の変化量または前記ステアリング部の荷重が予め定める値以上の場合、第4制御状態で前記モータを制御し、前記角度が前記第3角度以上、かつ、前記ステアリング部の荷重の変化量または前記ステアリング部の荷重が前記予め定める値未満の場合、前記第4制御状態とは異なる第5制御状態で前記モータを制御する。
第6側面の人力駆動車用制御装置によれば、車体の角度およびステアリング部の荷重の変化量またはステアリング部の荷重に応じてモータの制御状態を変更することができるので、乗車状態に応じてモータを好適に制御できる。
【0011】
本開示の第7側面に従う人力駆動車用制御装置は、クランクを有する人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の車体の角度が第3角度以上、かつ、ライダが前記クランクを回転させずに前記人力駆動車を前進させている場合、前記モータを第4制御状態で制御し、前記角度が前記第3角度以上、かつ、ライダが前記クランクを回転させて前記人力駆動車を前進させている場合、前記モータを前記第4制御状態とは異なる第5制御状態で制御する。
第7側面の人力駆動車用制御装置によれば、車体の角度が第3角度以上の場合、クランクの回転状態に応じてモータの制御状態を変更することができるので、乗車状態に応じてモータを好適に制御できる。
【0012】
本開示の第4~第7側面のいずれか1つに従う第8側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の有するクランクに入力される人力駆動力に対する前記モータの出力の比率、および、前記モータの出力の上限値の少なくとも一方が、前記第5制御状態では、前記第4制御状態の場合と異なるように前記モータを制御する。
第8側面の人力駆動車用制御装置によれば、第4制御状態および第5制御状態において、比率および上限値の少なくとも一方をそれぞれの制御状態に適した値に設定できる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の人力駆動車用制御装置において、前記比率、および、前記上限値の少なくとも一方は、前記第5制御状態では、前記第4制御状態の場合よりも小さい。
第9側面の人力駆動車用制御装置によれば、第5制御状態において、比率および上限値の少なくとも一方を第4制御状態の場合よりも小さくできる。
【0014】
本開示の第9側面に従う第10側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第5制御状態において、前記モータの駆動を停止させる。
第10側面の人力駆動車用制御装置によれば、第5制御状態において、モータの駆動を停止できる。
【0015】
本開示の第11側面に従う人力駆動車用制御装置は、人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の車体の角度が第4角度以上の場合、第6制御状態で前記モータを制御し、前記角度が前記第4角度以上の状態が予め定める時間以上継続した場合、前記第6制御状態とは異なる第7制御状態で前記モータを制御する。
第11側面の人力駆動車用制御装置によれば、角度が第4角度以上の状態が継続される時間に応じてモータの制御状態を変更することができるので、乗車状態に応じてモータを好適に制御できる。
【0016】
本開示の第11側面に従う第12側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の有するクランクに入力される人力駆動力に対する前記モータの出力の比率、および、前記モータの出力の上限値の少なくとも一方が、前記第7制御状態では、前記第6制御状態の場合と異なるように前記モータを制御する。
第12側面の人力駆動車用制御装置によれば、第6制御状態および第7制御状態において、比率および上限値の少なくとも一方をそれぞれの制御状態に適した値に設定できる。
【0017】
本開示の第12側面に従う第13側面の人力駆動車用制御装置において、前記比率、および、前記上限値の少なくとも一方は、前記第7制御状態では、前記第6制御状態の場合よりも小さい。
第13側面の人力駆動車用制御装置によれば、角度が第4角度以上の状態が予め定める時間以上継続した場合、比率および上限値の少なくとも一方を角度が第4角度以上の状態が予め定める時間未満の場合よりも小さくできる。
【0018】
本開示の第12または第13側面に従う第14側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記角度が第4角度未満の場合、前記第6制御状態および前記第7制御状態と異なる第8制御状態で前記モータを制御する。
第14側面の人力駆動車用制御装置によれば、角度が第4角度未満の場合は、角度が第4角度以上の場合と異なるようにモータを制御できる。
【0019】
本開示の第14側面に従う第15側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記比率および前記上限値の少なくとも一方が、前記第7制御状態では前記第6制御状態の場合および前記第8制御状態の場合と異なるように前記モータを制御する。
第15側面の人力駆動車用制御装置によれば、角度が第4角度以上の場合と、角度が第4角度未満の場合とで、比率および上限値の少なくとも一方をそれぞれの場合に適した値に設定できる。
【0020】
本開示の第15側面に従う第16側面の人力駆動車用制御装置において、前記比率および前記上限値の少なくとも一方は、前記第7制御状態では、前記第8制御状態の場合よりも小さい。
第16側面の人力駆動車用制御装置によれば、角度が第4角度以上の状態が予め定める時間以上継続した場合、比率および上限値の少なくとも一方を角度が第4角度未満の場合よりも小さくできる。
【0021】
本開示の第12~第16側面のいずれか1つに従う第17側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第7制御状態において、前記モータの駆動を停止させる。
第17側面の人力駆動車用制御装置によれば、第7制御状態においてモータの駆動を停止できる。
【0022】
本開示の第1~第17側面のいずれか1つに従う第18側面の人力駆動車用制御装置において、前記車体の角度は、前記車体のピッチ角度および前記車体のロール角度の少なくとも一方を含む。
第18側面の人力駆動車用制御装置によれば、車体のピッチ角度のみ、車体のロール角度、または、車体のピッチ角度および車体のロール角度の両方に応じてモータを好適に制御できる。
【0023】
本開示の第1~第18側面のいずれか1つに従う第19側面の人力駆動車用制御装置において、前記車体の角度を検出するように構成される検出部をさらに含む。
第19側面の人力駆動車用制御装置によれば、検出部によって車体の角度を好適に検出できる。
【0024】
本開示の第20側面に従う人力駆動車用制御装置は、ハンドル部およびクランクを有する人力駆動車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記ハンドル部の荷重と、前記クランクに入力される人力駆動力とに応じて、前記モータを制御する。
第20側面の人力駆動車用制御装置によれば、ハンドル部の荷重と人力駆動力とに応じてモータを好適に制御できるので、乗車状態に応じてモータを好適に制御できる。
【0025】
本開示の第20側面に従う第21側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記ハンドル部の荷重が予め定める値以上の場合、第9制御状態で前記モータを制御し、前記ハンドル部の荷重が前記予め定める値未満の場合、前記第9制御状態とは異なる第10制御状態で前記モータを制御する。
第21側面の人力駆動車用制御装置によれば、ハンドル部の荷重が予め定める値以上の場合は、ハンドル部の荷重が予め定める値未満の場合と異なるようにモータを制御できる。
【0026】
本開示の第20または第21側面に従う第22側面の人力駆動車用制御装置において、前記ハンドル部の荷重は、前記ハンドル部の予め定める方向への荷重である。
第22側面の人力駆動車用制御装置によれば、ハンドル部の予め定める方向への荷重に応じてモータを好適に制御できる。
【0027】
本開示の第23側面に従う人力駆動車用ドライブユニットは、第1~第22側面のいずれか1つに従う人力駆動車用制御装置と、人力駆動車の推進をアシストするように構成されるモータと、を含む。
第23側面の人力駆動車用ドライブユニットによれば、乗車状態に応じてモータを好適に制御できる。
【発明の効果】
【0028】
本開示の人力駆動車両用制御装置および人力駆動車用ドライブユニットは、乗車状態に応じてモータを好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態の人力駆動車用ドライブユニットを含む人力駆動車の側面図。
図2】第1実施形態の人力駆動車用ドライブユニットの電気的な構成を示すブロック図。
図3図2の制御部によって実行される車体の角度に応じてモータを制御する処理のフローチャート。
図4】第2実施形態の制御部によって実行される車体の角度およびクランクの回転状態に応じてモータを制御する処理のフローチャート。
図5】第3実施形態の制御部によって実行される車体の角度および人力駆動力に応じてモータを制御する処理のフローチャート。
図6】第4実施形態の人力駆動車用ドライブユニットの電気的な構成を示すブロック図。
図7図6の制御部によって実行される車体の角度およびステアリング部の荷重に応じてモータを制御する処理のフローチャート。
図8】第5実施形態の制御部によって実行される車体の角度およびライダによるクランクの回転状態に応じてモータを制御する処理のフローチャート。
図9】第6実施形態の制御部によって実行される車体の角度および時間に応じてモータを制御する処理のフローチャート。
図10】第7実施形態の人力駆動車用ドライブユニットの電気的な構成を示すブロック図。
図11図10の制御部によって実行されるハンドル部の荷重に応じてモータを制御する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
図1図3を参照して、第1実施形態の人力駆動車用制御装置60を含む人力駆動車用ドライブユニット50について説明する。人力駆動車用ドライブユニット50は、人力駆動車10に用いられる。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力Hによって駆動することができる車両である。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車両も含む。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。自転車は、電気モータによって駆動力が与えられる電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施の形態において、人力駆動車10を、2つの車輪を有する自転車として説明する。
【0031】
人力駆動車10は、クランク12、駆動輪14、および、車体16を含む。車体16は、フレーム18およびステアリング部20を含む。クランク12には、人力駆動力Hが入力される。クランク12は、フレーム18に対して回転可能なクランク軸12Aと、クランク軸12Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム12Bとを含む。各クランクアーム12Bには、一対のペダル22が個別に連結される。駆動輪14は、クランク12が回転することによって駆動される。駆動輪14は、フレーム18に支持される。クランク12と駆動輪14とは、駆動機構24によって連結される。駆動機構24は、クランク軸12Aに結合される第1回転体26を含む。クランク軸12Aと第1回転体26とは、一体に回転するように結合されていてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して結合されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、第1回転体26を前転させ、クランク12が後転した場合に、第1回転体26を後転させないように構成される。第1回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構24は、第2回転体28と、連結部材30とをさらに含む。連結部材30は、第1回転体26の回転力を第2回転体28に伝達する。連結部材30は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0032】
第2回転体28は、駆動輪14に連結される。第2回転体28は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体28と駆動輪14との間には、第2ワンウェイクラッチが設けられていることが好ましい。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体28が前転した場合に、駆動輪14を前転させ、第2回転体28が後転した場合に、駆動輪14を後転させないように構成される。人力駆動車10は、クランク軸12Aの回転速度に対する駆動輪14の回転速度を変更するために用いられる変速機42を含んでいてもよい。変速機42は、例えばフロントディレイラ、リアディレイラおよび内装変速機の少なくとも1つを含む。変速機42は、フロントディレイラのみ、リアディレイラのみ、内装変速機のみ、または、フロントディレイラ、リアディレイラおよび内装変速機のうちの任意の組合せを含んでいてもよい。本実施形態では、第1回転体26および第2回転体28の少なくとも一方は、複数のスプロケットを含む。第1回転体26のみ、第2回転体28のみ、または、第1回転体26および第2回転体28の両方が、複数のスプロケットを含んでいてもよい。本実施形態では、第1回転体26は、1枚のスプロケットを含み、第2回転体28は、複数のスプロケットを含む。ディレイラは、第1回転体26が複数のフロントスプロケットを含む場合、フロントディレイラを含み、第2回転体28が複数のフロントスプロケットを含む場合、リアディレイラを含む。変速機42が内装変速機を含む場合、内装変速機は、例えば、駆動輪14のハブに設けられる。
【0033】
人力駆動車10は、前輪および後輪を含む。フレーム18には、ステアリング部20を介して前輪が取り付けられている。ステアリング部20は、フロントフォーク32およびハンドル部34を含む。ハンドル部34は、ステム36およびハンドルバー38を含む。フロントフォーク32には、ハンドルバー38がステム36を介して連結されている。以下の実施形態では、後輪を駆動輪14として説明するが、前輪が駆動輪14であってもよい。
【0034】
人力駆動車10は、バッテリ40をさらに含む。バッテリ40は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ40は、人力駆動車10に設けられ、バッテリ40と電気的に接続されている他の電気部品、例えば、人力駆動車用制御装置60に電力を供給する。バッテリ40は、人力駆動車用制御装置60と有線または無線によって通信可能に接続されている。バッテリ40は、例えば電力線通信(PLC;power line communication)によって人力駆動車用制御装置60と通信可能である。バッテリ40は、フレーム18の外部に取り付けられてもよく、少なくとも一部がフレーム18の内部に収容されてもよい。
【0035】
人力駆動車用ドライブユニット50は、人力駆動車用制御装置60と、人力駆動車の推進をアシストするように構成されるモータ52と、を含む。人力駆動車用ドライブユニット50は、駆動回路54をさらに含む。駆動回路54は、インバータ回路を含む。モータ52は、駆動回路と同一のハウジングに設けられることが好ましい。駆動回路54は、バッテリ40からモータ52に供給される電力を制御する。駆動回路54は、人力駆動車用制御装置60と有線または無線によって通信可能に接続されている。駆動回路54は、例えばシリアル通信によって人力駆動車用制御装置60の制御部62と通信可能である。駆動回路54は、人力駆動車用制御装置60に含まれていてもよい。駆動回路54は、制御部62からの制御信号に応じてモータ52を駆動させる。
【0036】
モータ52は、電気モータを含む。モータ52は、ペダル22から後輪までの人力駆動力Hの動力伝達経路、または、前輪に回転を伝達するように設けられる。モータ52は、人力駆動車10のフレーム18、後輪、または、前輪に設けられる。本実施形態では、モータ52は、クランク軸12Aから第1回転体26までの動力伝達経路に結合される。モータ52とクランク軸12Aとの間の動力伝達経路には、クランク軸12Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク12の回転力によってモータ52が回転しないようにワンウェイクラッチが設けられるのが好ましい。モータ52および駆動回路54が設けられるハウジングには、モータ52および駆動回路54以外の構成が設けられてもよく、例えばモータ52の回転を減速して出力する減速機が設けられてもよい。
【0037】
人力駆動車用制御装置60は、制御部62を含む。制御部62は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部62は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。人力駆動車用制御装置60は、記憶部64をさらに含む。記憶部64には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部64は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。制御部62および記憶部64は、例えばモータ52が設けられるハウジングに設けられる。
【0038】
人力駆動車用制御装置60は、好ましくは、クランク回転センサ66、車速センサ68、および、トルクセンサ70をさらに含む。クランク回転センサ66、車速センサ68、および、トルクセンサ70は、モータ52が設けられるハウジングの内部に設けられてもよく、外部に設けられてもよい。クランク回転センサ66、車速センサ68、および、トルクセンサ70の少なくとも1つは、人力駆動車用制御装置60に含まれなくてもよい。
【0039】
クランク回転センサ66は、人力駆動車10のクランク12の回転速度Nを検出するために用いられる。クランク回転センサ66は、例えば人力駆動車10のフレーム18またはモータ52が設けられるハウジングに取り付けられる。クランク回転センサ66は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク軸12Aまたはクランク軸12Aから第1回転体26までの間の動力伝達経路に設けられる。クランク回転センサ66は、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続されている。クランク回転センサ66は、クランク12の回転速度Nに応じた信号を制御部62に出力する。クランク回転センサ66は、クランク軸12Aから第1回転体26までの人力駆動力Hの動力伝達経路において、クランク軸12Aと一体に回転する部材に設けられてもよい。例えば、クランク回転センサ66は、クランク軸12Aと第1回転体26との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、第1回転体26に設けられてもよい。クランク回転センサ66は、人力駆動車10の車速Vを検出するために用いられてもよい。この場合、制御部62は、クランク回転センサ66によって検出されるクランク12の回転速度Nと、変速比とに応じて、駆動輪14の回転速度を演算して、人力駆動車10の車速Vを検出する。変速比に関する情報は、記憶部64に予め記憶されている。
【0040】
人力駆動車10に変速比を変更するための変速機が設けられる場合、制御部62は、人力駆動車10の車速Vと、クランク12の回転速度Nとに応じて、変速比を演算してもよい。この場合、駆動輪14の周長、駆動輪14の直径、または、駆動輪14の半径に関する情報が記憶部64に予め記憶されている。人力駆動車用制御装置60は、変速センサを含んでいてもよい。変速センサは、例えば、変速機42に設けられる。変速センサは、変速機42の現在の変速ステージを検出する。変速センサは、制御部62に電気的に接続されている。変速ステージと変速比との関係は、記憶部64に予め記憶されている。制御部62は、変速センサの検出結果から、現在の変速比を検出することができる。制御部62は、駆動輪14の回転速度を変速比で除算することによって、クランク12の回転速度Nを演算できる。この場合、車速センサ68および変速センサをクランク回転センサ66として用いてもよい。変速センサは、変速機42ではなく、変速操作部に設けられてもよく、変速ワイヤに設けられてもよい。
【0041】
車速センサ68は、車輪の回転速度を検出するために用いられる。車速センサ68は、有線または無線によって制御部62と電気的に接続されている。車速センサ68は、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続されている。車速センサ68は、車輪の回転速度に応じた信号を制御部62に出力する。制御部62は、車輪の回転速度に基づいて人力駆動車10の車速Vを演算する。制御部62は、車速Vが所定値以上になると、モータ52を停止する。所定値は、例えば時速25Km、または、時速45Kmである。車速センサは、例えば、リードスイッチを構成する磁性体リード、または、ホール素子を含む。車速センサ68は、フレーム18のチェーンステイに取り付けられ、後輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク32に設けられ、前輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。別の例では、車速センサ68は、GPS受信部を含む。制御部62は、GPS受信部によって取得したGPS情報と、記憶部64に予め記録されている地図情報と、時間とに応じて、人力駆動車10の車速Vを検出してもよい。制御部62は、時間を計るためのタイマを含むことが好ましい。
【0042】
トルクセンサ70は、人力駆動力HのトルクTHを検出するために用いられる。トルクセンサ70は、例えば、モータ52が設けられるハウジングに設けられる。トルクセンサ70は、クランク12に入力される人力駆動力HのトルクTHを検出する。トルクセンサ70は、例えば、動力伝達経路に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、第1ワンウェイクラッチよりも上流側に設けられる。トルクセンサ70は、歪センサまたは磁歪センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。トルクセンサ70が歪センサを含む場合、歪センサは、好ましくは、動力伝達経路に含まれる回転体の外周部に設けられる。トルクセンサ70は、無線または有線の通信部を含んでいてもよい。トルクセンサ70の通信部は、制御部62と通信可能に構成される。
【0043】
制御部62は、例えば、人力駆動力Hに対して、モータ52によるアシスト力が所定の比率Aになるように、モータ52を制御する。制御部62は、例えば、人力駆動車10の人力駆動力HのトルクTHに対する、モータ52によるアシスト力の出力トルクTMが所定の比率Aになるように、モータ52を制御してもよい。制御部62は、例えば、人力駆動力Hに対するモータ52の出力の比率Aの異なる複数の制御モードから選択される1つの制御モードでモータ52を制御する。人力駆動車10の人力駆動力HのトルクTHに対するモータ52の出力トルクTMのトルク比率ATを、比率Aと記載する場合がある。制御部62は、例えば、人力駆動力Hの仕事率WH(ワット)に対して、モータ52の仕事率WM(ワット)が所定の比率Aになるように、モータ52を制御してもよい。人力駆動車10の人力駆動力Hの仕事率WHに対するモータ52の出力の仕事率WMの比率AWを、比率Aと記載する場合がある。人力駆動力Hの仕事率WHは、人力駆動力Hとクランク12の回転速度Nとの乗算によって算出される。モータ52の出力が減速機を介して人力駆動力Hの動力経路に入力される場合は、減速機の出力を、モータ52の出力とする。制御部62は、人力駆動力Hの仕事率WHまたはトルクTHに応じて、制御指令をモータ52の駆動回路54に出力する。制御指令は、例えばトルク指令値を含む。
【0044】
制御部62は、モータ52の出力の上限値MXが所定値以下になるようにモータ52を制御する。制御部62は、例えば、上限値MXの異なる複数の制御モードから選択される1つの制御モードでモータ52を制御する。モータ52の出力は、モータ52の出力トルクTMを含む。モータ52の出力は、モータ52の仕事率WMを含んでいてもよい。この場合、制御部62は、モータ52の仕事率WMが所定値WM1以下になるようにモータ52を制御する。所定値WM1は、一例では、500ワットである。所定値WM1は、別の例では、300ワットである。制御部62は、トルク比率ATが所定トルク比率AT1以下になるようにモータ52を制御してもよい。所定トルク比率AT1は、一例では、300%である。
【0045】
複数の制御モードのそれぞれにおいて、比率Aおよびモータ52の出力の上限値MXの少なくとも一方が異なっていてもよい。複数の制御モードのそれぞれにおいて、比率Aのみ、上限値MXのみ、または、比率Aおよび上限値MXの両方が異なっていてもよい。この場合、制御部62は、モータ52の出力が選択されているモータ52の制御モードにおいて規定される比率A以下、かつ、所定値以下になるようにモータ52を制御する。
【0046】
制御部62は、クランク12を有する人力駆動車10の推進をアシストするモータ52を制御する。制御部62は、第1制御状態でモータ52を制御している場合に人力駆動車10の車体16の角度Dが第1角度D1以上の場合、第1制御状態とは異なる第2制御状態でモータ52を制御する。制御部62は、角度Dが第1角度D1よりも大きい第2角度D2以上の場合、第2制御状態とは異なる第3制御状態でモータ52を制御する。クランク12に入力される人力駆動力Hに対するモータ52の出力の比率Aと、モータ52の出力の上限値MXと、の少なくとも一方は、第2制御状態では、第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、第3制御状態の場合よりも大きい、または、第2制御状態では、第1制御状態の場合よりも小さく、かつ、第3制御状態の場合よりも小さい。好ましくは、第2制御状態では、比率Aと、上限値MXと、の少なくとも一方は、第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、第3制御状態の場合よりも大きい。制御部62は、第3制御状態において、モータ52の駆動を停止させることが好ましい。人力駆動車10の車体16の角度は、人力駆動車10を水平面に前輪および後輪を接地させて直立させた状態において、0(ゼロ)度とする。第1角度D1は、0度を超える。第1角度D1は、例えば、20度~40度の範囲に含まれる。第2角度D2は、0度を超え、90度未満である。第2角度D2は、例えば30度~50度の範囲に含まれる。
【0047】
車体16の角度Dは、車体16のピッチ角度DPおよび車体16のロール角度DRの少なくとも一方を含むことが好ましい。車体16の角度Dは、車体16のピッチ角度DPを含むことが好ましい。
【0048】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPのみを含む場合、制御部62は、第1制御状態でモータ52を制御している場合に人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第1ピッチ角度DP1以上の場合、第2制御状態でモータ52を制御し、ピッチ角度DPが第1ピッチ角度DP1よりも大きい第2ピッチ角度DP2以上の場合、第3制御状態でモータ52を制御する。
【0049】
車体16の角度Dがロール角度DRのみを含む場合、制御部62は、第1制御状態でモータ52を制御している場合に人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第1ロール角度DR1以上の場合、第2制御状態でモータ52を制御し、ロール角度DRが第1ロール角度DR1よりも大きい第2ロール角度DR2以上の場合、第3制御状態でモータ52を制御する。
【0050】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、第1制御状態でモータ52を制御している場合に、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第1ピッチ角度DP1以上の場合、または、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第1ロール角度DR1以上の場合、第2制御状態でモータ52を制御する。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、第2制御状態でモータ52を制御している場合に、ピッチ角度DPが第2ピッチ角度DP2以上の場合、または、ロール角度DRが第1ロール角度DR1よりも大きい第2ロール角度DR2以上の場合、第3制御状態でモータ52を制御する。
【0051】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、第1制御状態でモータ52を制御している場合に、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第1ピッチ角度DP1以上、かつ、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第1ロール角度DR1以上の場合、第2制御状態でモータ52を制御してもよい。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、第2制御状態でモータ52を制御している場合に、ピッチ角度DPが第2ピッチ角度DP2以上の場合、かつ、ロール角度DRが第1ロール角度DR1よりも大きい第2ロール角度DR2以上の場合、第3制御状態でモータ52を制御してもよい。
【0052】
ピッチ角度DPが大きくなる場合には、障害物を乗り越えるためにペダリングをしないで前輪を地面から離れさせる場合と、前輪を地面から離れさせてペダリングするウイリー走行をする場合とが含まれる。ウイリー走行をする場合には、障害物を乗り越えるために前輪を地面から離れさせる場合よりもピッチ角度DPが大きくなりやすい。第1ピッチ角度DP1は、障害物を乗り越える場合のピッチ角度DPを判定するために適した値が設定されることが好ましい。第2ピッチ角度DP2は、ウイリー走行を判定するために適した値が設定されることが好ましい。制御部62は、第2制御状態において、比率Aと、上限値MXと、の少なくとも一方を、第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、第3制御状態の場合よりも大きくすることによって、障害物を乗り越える場合に人力駆動車10にモータ52によるアシスト力を付与しやすく、ウイリー走行の場合にはアシスト力を低下させやすくなる。
【0053】
車体16がロール角度DRを含む場合、制御部62は、第2制御状態において、比率Aと、上限値MXと、の少なくとも一方を、第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、第3制御状態の場合よりも大きくすることによって、ロール角度DRが比較的小さい場合に人力駆動車10にモータ52によるアシスト力を付与しやすく、ロール角度DRが比較的大きい場合にはアシスト力を低下させやすくなる。
【0054】
人力駆動車用制御装置60は、車体16の角度Dを検出するように構成される検出部72をさらに含む。検出部72は、モータ52が設けられるハウジングに設けられてもよく、フレーム18に設けられてもよい。検出部72は、人力駆動車用制御装置60に含まれなくてもよい。
【0055】
検出部72は、例えば、傾斜センサを含む。傾斜センサは、車体16の傾斜角度を検出する。傾斜センサは、例えば、ジャイロセンサを含む。ジャイロセンサは、好ましくは、3軸ジャイロセンサを含む。ジャイロセンサは、好ましくは、車体16のヨー角度DY、車体16のロール角度DR、および、車体16のピッチ角度DPを検出可能に構成される。ジャイロセンサの3軸は、好ましくは、人力駆動車10を水平面に前輪および後輪を接地させて直立させた状態における人力駆動車10の前後方向、左右方向、および、上下方向に沿うように人力駆動車10に設けられる。ジャイロセンサは、1軸ジャイロセンサ、または2軸ジャイロセンサを含んでいてもよい。検出部72は、加速度センサを含んでいてもよい。加速度センサは、人力駆動車10を水平面に直立させた状態における人力駆動車10の前後方向、左右方向、および、上下方向の少なくとも1つの加速度を検出する。
【0056】
図3を参照して、車体16の角度Dに応じてモータ52を制御する処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図3に示すフローチャートのステップS11に移行する。本実施形態では、制御部62は、電力が供給されると第1制御状態で起動する。制御部62は、図3のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0057】
制御部62は、ステップS11において、第1制御状態か否かを判定する。制御部62は、第1制御状態の場合、ステップS12に移行する。制御部62は、ステップS12において、車体16の角度Dが第1角度D1以上か否かを判定する。制御部62は、車体16の角度Dが第1角度D1以上の場合、ステップS13に移行する。制御部62は、ステップS13において、第2制御状態でモータ52を制御し、ステップS14に移行する。制御部62は、ステップS12において、車体16の角度Dが第1角度D1以上ではないと判定した場合、ステップS13を経ずにステップS14に移行する。
【0058】
制御部62は、ステップS14において、車体16の角度Dが第1角度D1未満か否かを判定する。制御部62は、車体16の角度Dが第1角度D1未満の場合、ステップS15に移行する。制御部62は、ステップS15において、第1制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS14において、車体16の角度Dが第1角度D1未満ではないと判定した場合、ステップS19に移行する。
【0059】
制御部62は、ステップS19において、車体16の角度Dが第2角度D2未満か否かを判定する。制御部62は、車体16の角度Dが第2角度D2未満の場合、ステップS20に移行する。制御部62は、ステップS20において、第2制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS19において、車体16の角度Dが第2角度D2未満ではない場合、処理を終了する。
【0060】
制御部62は、ステップS11において、第1制御状態ではないと判定した場合、ステップS16に移行する。制御部62は、ステップS16において、第2制御状態か否かを判定する。制御部62は、第2制御状態であると判定した場合、ステップS17に移行する。制御部62は、ステップS17において、車体16の角度Dが第2角度D2以上か否かを判定する。制御部62は、車体16の角度Dが第2角度D2以上の場合、ステップS18に移行する。制御部62は、ステップS18において、第3制御状態でモータ52を制御し、ステップS14に移行する。制御部62は、ステップS17において、車体16の角度Dが第2角度D2以上ではない場合、ステップS14に移行する。制御部62は、ステップS16において、第2制御状態ではない場合、ステップS14に移行する。
【0061】
(第2実施形態)
図1図2、および、図4を参照して、第2実施形態の人力駆動車用制御装置60について説明する。第2実施形態の人力駆動車用制御装置60は、モータ52を制御する処理が異なる点以外は、第1実施形態の人力駆動車用制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0062】
制御部62は、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲内に維持されている場合、第4制御状態でモータ52を制御する。制御部62は、角度Dが第3角度D3以上、かつ、クランク12が予め定める範囲を超えて回転している場合、第4制御状態とは異なる第5制御状態でモータ52を制御する。好ましくは、制御部62は、人力駆動車10の有するクランク12に入力される人力駆動力Hに対するモータ52の出力の比率A、および、モータ52の出力の上限値MXの少なくとも一方が、第5制御状態では、第4制御状態の場合と異なるようにモータ52を制御する。好ましくは、比率A、および、上限値MXの少なくとも一方は、第5制御状態では、第4制御状態の場合よりも小さい。制御部62は、第5制御状態において、モータ52の駆動を停止させることが好ましい。制御部62は人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3未満の場合、第1制御状態でモータ52を制御する。比率A、および、上限値MXの少なくとも一方は、第5制御状態では、第1制御状態の場合よりも小さいことが好ましい。第3角度D3は、0度を超え、90度未満である。第3角度D3は、例えば20度~50度の範囲に含まれる。
【0063】
クランク12の予め定める範囲は、例えば、クランク12のクランクアーム12Bが上下死点になる角度から90度離れた角度を含むことが好ましい。予め定める範囲は、30度以内であることが好ましい。クランク12の回転角度CAが予め定める範囲内に維持されている状態は、複数回の判定において、1回または一部の判定においてクランク12の回転角度CAが予め定める範囲外になった場合も含んでもよい。
【0064】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPのみを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲内に維持されている場合、第4制御状態でモータ52を制御し、ピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、クランク12が予め定める範囲を超えて回転している場合、第5制御状態でモータ52を制御する。
【0065】
車体16の角度Dがロール角度DRのみを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲内に維持されている場合、第4制御状態でモータ52を制御し、ロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12が予め定める範囲を超えて回転している場合、第5制御状態でモータ52を制御する。
【0066】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲内に維持されている場合、または、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲内に維持されている場合に、第4制御状態でモータ52を制御する。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲を超えて回転している場合、または、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲を超えて回転している場合に、第5制御状態でモータ52を制御する。
【0067】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲内に維持されている場合に、第4制御状態でモータ52を制御してもよい。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲を超えて回転している場合に、第5制御状態でモータ52を制御してもよい。
【0068】
第3ピッチ角度DP3は、人力駆動車10の前輪が地面から離れていることを判定するために適した値が設定されることが好ましい。制御部62は、第5制御状態において、比率Aと、上限値MXと、の少なくとも一方を、第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、第4制御状態の場合よりも大きくすることによって、障害物を乗り越える場合に人力駆動車10にモータ52によるアシスト力を付与しやすく、ウイリー走行の場合にはアシスト力を低下させやすくなる。
【0069】
図4を参照して、車体16の角度Dおよびクランク12の回転角度CAに応じてモータ52を制御する処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図4に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部62は、図4のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS21からの処理を繰り返す。
【0070】
制御部62は、ステップS21において、車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲内に維持されているか否かを判定する。制御部62は、車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲内に維持されている場合、ステップS22に移行する。制御部62は、ステップS22において、第4制御状態でモータを制御し、処理を終了する。
【0071】
制御部62は、ステップS21において、車体16の角度Dが第3角度D3以上ではない場合、および、クランク12の回転角度CAが予め定める範囲内に維持されていない場合、ステップS23に移行する。制御部62は、ステップS23において、車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、クランク12が予め定める範囲を超えて回転しているか否かを判定する。制御部62は、車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、クランク12が予め定める範囲を超えて回転している場合、ステップS24に移行し、第5制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0072】
制御部62は、ステップS23において、車体16の角度Dが第3角度D3以上ではない場合、および、クランク12が予め定める範囲を超えて回転している場合、ステップS25に移行する。制御部62は、ステップS25において、第1制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0073】
(第3実施形態)
図1図2、および、図5を参照して、第3実施形態の人力駆動車用制御装置60について説明する。第3実施形態の人力駆動車用制御装置60は、モータ52を制御する処理が異なる点以外は、第2実施形態の人力駆動車用制御装置60と同様であるので、第1実施形態および第2実施形態と共通する構成については、第1実施形態および第2実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0074】
制御部62は、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、クランク12に入力される人力駆動力Hが予め定める値HX未満の場合、第4制御状態でモータ52を制御する。制御部62は、角度Dが第3角度D3以上、かつ、人力駆動力Hが予め定める値HX以上の場合、第4制御状態とは異なる第5制御状態でモータ52を制御する。制御部62は人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3未満の場合、第1制御状態でモータ52を制御する。
【0075】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPのみを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、クランク12に入力される人力駆動力Hが予め定める値HX未満の場合、第4制御状態でモータ52を制御し、ピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、人力駆動力Hが予め定める値HX以上の場合、第5制御状態でモータ52を制御する。
【0076】
車体16の角度Dがロール角度DRのみを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12に入力される人力駆動力Hが予め定める値HX未満の場合、第4制御状態でモータ52を制御し、ロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、人力駆動力Hが予め定める値HX以上の場合、第5制御状態でモータ52を制御する。
【0077】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、クランク12に入力される人力駆動力Hが予め定める値HX未満の場合、または、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12に入力される人力駆動力Hが予め定める値HX未満の場合に、第4制御状態でモータ52を制御する。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、クランク12に入力される人力駆動力Hが予め定める値HX以上の場合、または、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12に入力される人力駆動力Hが予め定める値HX以上の場合に、第5制御状態でモータ52を制御する。
【0078】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12に入力される人力駆動力Hが予め定める値HX未満の場合に、第4制御状態でモータ52を制御してもよい。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、人力駆動車10の車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、クランク12に入力される人力駆動力Hが予め定める値HX以上の場合に、第5制御状態でモータ52を制御してもよい。
【0079】
予め定める値HXは、ウイリー走行を判定するために適した値が設定されることが好ましい。制御部62は、第5制御状態において、比率Aと、上限値MXと、の少なくとも一方を、第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、第4制御状態の場合よりも大きくすることによって、障害物を乗り越える場合に人力駆動車10にモータ52によるアシスト力を付与しやすく、ウイリー走行の場合にはアシスト力を低下させやすくなる。
【0080】
図5を参照して、車体16の角度Dおよび人力駆動力Hに応じてモータ52を制御する処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図5に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部62は、図5のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0081】
制御部62は、ステップS31において、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、人力駆動力Hが予め定める値HX未満か否かを判定する。制御部62は、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、人力駆動力Hが予め定める値HX未満の場合、ステップS32に移行する。制御部62は、ステップS32において、第4制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0082】
制御部62は、ステップS31において、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上ではない場合、および、人力駆動力Hが予め定める値HX未満ではない場合、ステップS33に移行する。制御部62は、ステップS33において、角度Dが第3角度D3以上、かつ、人力駆動力Hが予め定める値HX以上か否かを判定する。制御部62は、角度Dが第3角度D3以上、かつ、人力駆動力Hが予め定める値HX以上の場合、ステップS34に移行し、第5制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0083】
制御部62は、ステップS33において、角度Dが第3角度D3以上ではない場合、および、人力駆動力Hが予め定める値HX以上ではない場合、ステップS35に移行する。制御部62は、ステップS35において、第1制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0084】
(第4実施形態)
図1図6、および、図7を参照して、第4実施形態の人力駆動車用制御装置60について説明する。第4実施形態の人力駆動車用制御装置60は、モータ52を制御する処理が異なる点以外は、第2実施形態の人力駆動車用制御装置60と同様であるので、第1実施形態および第2実施形態と共通する構成については、第1実施形態および第2実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。第4実施形態の人力駆動車用制御装置60は、第1実施形態の人力駆動車用制御装置60において、検出部72に代えて第1荷重検出部74を含む。
【0085】
制御部62は、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX以上の場合、第4制御状態でモータ52を制御する。制御部62は、角度Dが第3角度D3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX未満の場合、第4制御状態とは異なる第5制御状態でモータ52を制御する。制御部62は人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3未満の場合、第1制御状態でモータ52を制御する。
【0086】
人力駆動車10は、荷重Gを検出するための第1荷重検出部74を含むことが好ましい。第1荷重検出部74は、ハンドル部34、ハンドル部34とフロントフォーク32との接続部、または、フロントフォーク32とフレーム18との接続部に設けられる。第1荷重検出部74は、例えば、荷重センサを含む。荷重センサは、ひずみセンサおよびひずみゲージなどを含む。第1荷重検出部74は、搭乗者が人力駆動車10に乗車している状態で、搭乗者が人力駆動車10のハンドル部34を引っ張る場合の引張り荷重を検出するように構成されることが好ましい。第1荷重検出部74は、例えば、ステアリング部20に与えられるステアリング部20から見て人力駆動車10の後方から上方までの間範囲における予め定める方向への引張り荷重を検出するように構成されることが好ましい。
【0087】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPのみを含む場合、制御部62は、車体16の角度Dが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX以上の場合、第4制御状態でモータ52を制御し、ピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX未満の場合、第5制御状態でモータ52を制御する。
【0088】
車体16の角度Dがロール角度DRのみを含む場合、制御部62は、車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX以上の場合、第4制御状態でモータ52を制御し、ロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX未満の場合、第5制御状態でモータ52を制御する。
【0089】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、車体16の角度Dが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX以上の場合、または、車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX以上の場合に、第4制御状態でモータ52を制御する。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、ピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX未満の場合、または、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX未満の場合、第5制御状態でモータ52を制御する。
【0090】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、車体16の角度Dが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX以上の場合に、第4制御状態でモータ52を制御してもよい。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、ピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、人力駆動車10の車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX未満の場合、第5制御状態でモータ52を制御してもよい。
【0091】
障害物を乗り越えるためにステアリング部20を持ち上げる場合、荷重Gおよび荷重Gの変化量DGは、ウイリー走行の場合よりも大きくなりやすい。予め定める値GXおよび荷重Gの変化量DGは、障害物を乗り越える場合の走行を判定するために適した値が設定されることが好ましい。制御部62は、第5制御状態において、比率Aと、上限値MXと、の少なくとも一方を、第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、第4制御状態の場合よりも大きくすることによって、障害物を乗り越える場合に人力駆動車10にモータ52によるアシスト力を付与しやすく、ウイリー走行の場合にはアシスト力を低下させやすくなる。
【0092】
図7を参照して、車体16の角度Dおよびステアリング部20の荷重Gに応じてモータ52を制御する処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図7に示すフローチャートのステップS41に移行する。制御部62は、図7のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS41からの処理を繰り返す。
【0093】
制御部62は、ステップS41において、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX以上か否かを判定する。制御部62は、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX以上の場合、ステップS42に移行する。制御部62は、ステップS42において、第4制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0094】
制御部62は、ステップS41において、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上ではない場合、および、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX以上ではない場合、ステップS43に移行する。制御部62は、ステップS43において、角度Dが第3角度D3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX未満か否かを判定する。制御部62は、角度Dが第3角度D3以上、かつ、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX未満の場合、ステップS44に移行し、第5制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0095】
制御部62は、ステップS43において、角度Dが第3角度D3以上ではない場合、および、ステアリング部20の荷重Gの変化量DGまたはステアリング部20の荷重Gが予め定める値GX未満ではない場合、ステップS45に移行する。制御部62は、ステップS45において、第1制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0096】
(第5実施形態)
図1図2、および、図8を参照して、第5実施形態の人力駆動車用制御装置60について説明する。第5実施形態の人力駆動車用制御装置60は、モータ52を制御する処理が異なる点以外は、第2実施形態の人力駆動車用制御装置60と同様であるので、第1実施形態および第2実施形態と共通する構成については、第1実施形態および第2実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0097】
制御部62は、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させずに人力駆動車10を前進させている場合、モータ52を第4制御状態で制御する。制御部62は、角度Dが第3角度D3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させて人力駆動車10を前進させている場合、モータ52を第4制御状態とは異なる第5制御状態で制御する。制御部62は人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3未満の場合、第1制御状態でモータ52を制御する。
【0098】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPのみを含む場合、制御部62は、車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させずに人力駆動車10を前進させている場合、モータ52を第4制御状態で制御し、ピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させて人力駆動車10を前進させている場合、モータ52を第5制御状態で制御する。
【0099】
車体16の角度Dがロール角度DRのみを含む場合、制御部62は、車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させずに人力駆動車10を前進させている場合、モータ52を第4制御状態で制御し、ロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させて人力駆動車10を前進させている場合、モータ52を第5制御状態で制御する。
【0100】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させずに人力駆動車10を前進させている場合、または、車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させずに人力駆動車10を前進させている場合に、第4制御状態でモータ52を制御する。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、ピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、または、ロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させて人力駆動車10を前進させている場合に、第5制御状態でモータ52を制御する。
【0101】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、車体16のピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、車体16のロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させずに人力駆動車10を前進させている場合に、第4制御状態でモータ52を制御してもよい。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、ピッチ角度DPが第3ピッチ角度DP3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させて人力駆動車10を前進させている場合、かつ、ロール角度DRが第3ロール角度DR3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させて人力駆動車10を前進させている場合に、第5制御状態でモータ52を制御してもよい。
【0102】
図8を参照して、車体16の角度Dおよびライダによるクランク12の回転状態に応じてモータ52を制御する処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図8に示すフローチャートのステップS51に移行する。制御部62は、図8のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS51からの処理を繰り返す。
【0103】
制御部62は、ステップS51において、車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させずに人力駆動車10を前進させているか否かを判定する。制御部62は、車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させずに人力駆動車10を前進させている場合、ステップS52に移行する。制御部62は、ステップS52において、第4制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0104】
制御部62は、ステップS51において、車体16の角度Dが第3角度D3以上ではない場合、および、ライダがクランク12を回転させずに人力駆動車10を前進させていない場合、ステップS53に移行する。制御部62は、ステップS53において、角度Dが第3角度D3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させて人力駆動車10を前進させているか否かを判定する。制御部62は、角度Dが第3角度D3以上、かつ、ライダがクランク12を回転させて人力駆動車10を前進させている場合、ステップS54に移行し、第5制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0105】
制御部62は、ステップS53において、角度Dが第3角度D3以上ではない場合、および、ライダがクランク12を回転させて人力駆動車10を前進させていない場合、ステップS55に移行する。制御部62は、ステップS55において、第1制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0106】
(第6実施形態)
図1図2、および、図9を参照して、第6実施形態の人力駆動車用制御装置60について説明する。第6実施形態の人力駆動車用制御装置60は、モータ52を制御する処理が異なる点以外は、第1実施形態の人力駆動車用制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0107】
制御部62は、人力駆動車10の車体16の角度Dが第4角度D4以上の場合、第6制御状態でモータ52を制御する。制御部62は、角度Dが第4角度D4以上の状態が予め定める時間TX以上継続した場合、第6制御状態とは異なる第7制御状態でモータ52を制御する。制御部62は、人力駆動車10の有するクランク12に入力される人力駆動力Hに対するモータ52の出力の比率A、および、モータ52の出力の上限値MXの少なくとも一方が、第7制御状態では、第6制御状態の場合と異なるようにモータ52を制御する。好ましくは、比率A、および、上限値MXの少なくとも一方は、第7制御状態では、第6制御状態の場合よりも小さい。制御部62は、第7制御状態において、モータ52の駆動を停止させることが好ましい。第4角度D4は、0度を超え、90度未満である。第4角度D4は、例えば20度~50度の範囲に含まれる。
【0108】
制御部62は、角度Dが第4角度D4未満の場合、第6制御状態および第7制御状態と異なる第8制御状態でモータ52を制御する。制御部62は、比率Aおよび上限値MXの少なくとも一方が、第7制御状態では第6制御状態の場合および第8制御状態の場合と異なるようにモータ52を制御する。好ましくは、比率Aおよび上限値MXの少なくとも一方は、第7制御状態では、第8制御状態の場合よりも小さい。
【0109】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPのみを含む場合、制御部62は、車体16のピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4以上の場合、第6制御状態でモータ52を制御し、ピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4以上の状態が予め定める時間TX以上継続した場合、第7制御状態でモータ52を制御する。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPのみを含む場合、制御部62は、ピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4未満の場合、第8制御状態でモータ52を制御する。
【0110】
車体16の角度Dが車体16のロール角度DRのみを含む場合、制御部62は、車体16のロール角度DRが第4ロール角度DR4以上の場合、第6制御状態でモータ52を制御し、ロール角度DRが第4ロール角度DR4以上の状態が予め定める時間TX以上継続した場合、第7制御状態でモータ52を制御する。車体16の角度Dが車体16のロール角度DRのみを含む場合、制御部62は、ロール角度DRが第4ロール角度DR4未満の場合、第8制御状態でモータ52を制御する。
【0111】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、車体16のピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4以上、または、車体16のロール角度DRが第4ロール角度DR4以上の場合に、第6制御状態でモータ52を制御する。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、ピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4以上の状態が予め定める時間TX以上継続した場合、または、ロール角度DRが第4ロール角度DR4以上の状態が予め定める時間TX以上継続した場合に、第7制御状態でモータ52を制御する。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、ピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4未満、かつ、ロール角度DRが第4ロール角度DR4未満の場合に、第8制御状態でモータ52を制御する。
【0112】
車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、車体16のピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4以上、かつ、車体16のロール角度DRが第4ロール角度DR4以上の場合に、第6制御状態でモータ52を制御してもよい。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含む場合、制御部62は、ピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4以上の状態が予め定める時間TX以上継続した場合、かつ、ロール角度DRが第4ロール角度DR4以上の状態が予め定める時間TX以上継続した場合に、第7制御状態でモータ52を制御してもよい。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含み、かつ、第6制御状態でモータ52を制御する条件にピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4以上かつロール角度DRが第4ロール角度DR4以上であることが含まれる場合、制御部62が第6制御状態でモータ52を制御している状態で、ピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4未満、または、ロール角度DRが第4ロール角度DR4未満になると、第8制御状態でモータ52を制御してもよい。車体16の角度Dが車体16のピッチ角度DPおよびロール角度DRを含み、かつ、第7制御状態でモータ52を制御する条件にピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4以上かつロール角度DRが第4ロール角度DR4以上であることが含まれる場合、制御部62が第7制御状態でモータ52を制御している状態で、ピッチ角度DPが第4ピッチ角度DP4未満、または、ロール角度DRが第4ロール角度DR4未満になると、第8制御状態でモータ52を制御してもよい。
【0113】
ウイリー走行の場合、障害物を乗り越えるためにステアリング部20を持ち上げる場合よりもピッチ角度DPが大きい状態が長くなりやすい。予め定める時間TXは、ウイリー走行を判定するために適した値が設定されることが好ましい。予め定める時間TXは、例えば2秒以下である。制御部62は、第5制御状態において、比率Aと、上限値MXと、の少なくとも一方を、第1制御状態の場合よりも大きく、かつ、第4制御状態の場合よりも大きくすることによって、障害物を乗り越える場合に人力駆動車10にモータ52によるアシスト力を付与しやすく、ウイリー走行の場合にはアシスト力を低下させやすくなる。
【0114】
図9を参照して、車体16の角度Dおよび時間に応じてモータ52を制御する処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図9に示すフローチャートのステップS61に移行する。制御部62は、図9のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS61からの処理を繰り返す。
【0115】
制御部62は、ステップS61において、車体16の角度Dが第4角度D4以上か否かを判定する。制御部62は、車体16の角度Dが第4角度D4以上の場合、ステップS62に移行する。制御部62は、ステップS62において、車体16の角度Dが第4角度D4以上の状態が予め定める時間TX以上継続したか否かを判定する。制御部62は、車体16の角度Dが第4角度D4以上の状態が予め定める時間TX以上継続した場合、ステップS63に移行する。制御部62は、ステップS63において、第7制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0116】
制御部62は、ステップS62において、車体16の角度Dが第4角度D4以上の状態が予め定める時間TX以上継続していない場合、ステップS64に移行する。制御部62は、ステップS64において、第6制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0117】
制御部62は、ステップS61において、車体16の角度Dが第4角度D4以上ではないと判定した場合、ステップS65に移行する。制御部62は、ステップS65において、第8制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0118】
(第7実施形態)
図1図10、および、図11を参照して、第7実施形態の人力駆動車用制御装置60について説明する。第7実施形態の人力駆動車用制御装置60は、モータ52を制御する処理が異なる点以外は、第1実施形態の人力駆動車用制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。第7実施形態の人力駆動車用制御装置60は、第1実施形態の人力駆動車用制御装置60において、検出部72に代えて第2荷重検出部76を含む。
【0119】
制御部62は、ハンドル部34の荷重Fと、クランク12に入力される人力駆動力Hとに応じて、モータ52を制御する。制御部62は、ハンドル部34の荷重Fが予め定める値FX以上の場合、第9制御状態でモータ52を制御し、ハンドル部34の荷重Fが予め定める値FX未満の場合、第9制御状態とは異なる第10制御状態でモータ52を制御する。ハンドル部34の荷重Fは、ハンドル部34の予め定める方向への荷重Fであることが好ましい。予め定める方向は、好ましくは、搭乗者が人力駆動車10に乗車している状態で、搭乗者がハンドル部34を引っ張る方向を含む。予め定める方向は、人力駆動車10のハンドル部34から見て人力駆動車10の上方から後方までの間の範囲に含まれる。制御部62は、人力駆動車10の有するクランク12に入力される人力駆動力Hに対するモータ52の出力の比率A、および、モータ52の出力の上限値MXの少なくとも一方が、第10制御状態では、第9制御状態の場合と異なるようにモータ52を制御する。好ましくは、比率A、および、上限値MXの少なくとも一方は、第10制御状態では、第9制御状態の場合よりも小さい。制御部62は、第10制御状態において、モータ52の駆動を停止させることが好ましい。
【0120】
人力駆動車10は、荷重Fを検出するための第2荷重検出部76を含むことが好ましい。第2荷重検出部76は、ハンドル部34、または、ハンドル部34とフロントフォーク32との接続部に設けられる。第2荷重検出部76は、第1荷重検出部74と同様に構成される。第2荷重検出部76は、ハンドル部34に与えられる予め定める方向への荷重Fを検出する。
【0121】
図11を参照して、ハンドル部34の荷重Fに応じてモータ52を制御する処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図11に示すフローチャートのステップS71に移行する。
【0122】
制御部62は、ステップS71において、ハンドル部34の荷重Fが予め定める値FX以上か否かを判定する。制御部62は、ハンドル部34の荷重Fが予め定める値FX以上の場合、ステップS72に移行する。制御部62は、ステップS72において、第9制御状態でモータを制御し、処理を終了する。
【0123】
制御部62は、ステップS71において、ハンドル部34の荷重Fが予め定める値FX以上ではない場合、ステップS73に移行する。制御部62は、ステップS73において第10制御状態でモータ52を制御し、処理を終了する。
【0124】
(変形例)
実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用制御装置および人力駆動車用ドライブユニットが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用制御装置および人力駆動車用ドライブユニットは、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0125】
・制御部62は、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、ペダル22の荷重Pの変化量XPまたはペダル22の荷重Pが予め定める値PX以上の場合、第4制御状態でモータ52を制御し、角度Dが第3角度D3以上、かつ、ペダル22の荷重Pの変化量XPまたはペダル22の荷重Pが予め定める値PX未満の場合、第4制御状態とは異なる第5制御状態でモータ52を制御するようにしてもよい。ペダル22の荷重Pは、トルクセンサ70によって検出するようにしてもよく、ペダル22に設けられる荷重センサによって検出するようにしてもよい。
【0126】
・制御部62は、人力駆動車10の車体16の角度Dが第3角度D3以上、かつ、ペダル22のバランス状態が所定状態の場合、第4制御状態でモータ52を制御し、角度Dが第3角度D3以上、かつ、ペダル22のバランス状態が所定状態ではない場合、第4制御状態とは異なる第5制御状態でモータ52を制御するようにしてもよい。ペダル22のバランス状態は、左右のペダル22の荷重Pの比率および差の少なくとも一方によって判定される。所定状態は、例えば、左右のペダル22の荷重Pの比率が1付近の状態、および、差が所定値以下の状態の少なくとも一方を含む。
【0127】
・各実施形態において、クランク回転センサ66、車速センサ68、および、トルクセンサ70のうち、図3図5図7図9、または、図11のフローチャートに示す制御部62の処理において必要のないセンサを省略してもよい。
【0128】
・第1実施形態において、第1角度D1および第2角度D2は、記憶部64に記憶されているが、記憶部64は、第1角度D1および第2角度D2の少なくとも1つを変更可能に記憶してもよい。この場合、人力駆動車10に設けられる操作部または外部の装置等によって第1角度D1のみ、第2角度D2のみ、または、第1角度D1および第2角度D2の両方が変更可能に記憶部64に記憶されることが好ましい。外部の装置は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、および、スマートフォンなどを含む。
【0129】
・第2実施形態において、記憶部64は、第3角度D3およびクランク12の回転角度CAについての予め定める範囲の少なくとも1つを変更可能に記憶してもよい。この場合、人力駆動車10に設けられる操作部または外部の装置等によって、第3角度D3のみ、クランク12の回転角度CAについての予め定める範囲のみ、または、第3角度D3およびクランク12の回転角度CAについての予め定める範囲の両方が変更可能に記憶部64に記憶されることが好ましい。
【0130】
・第3実施形態において、記憶部64は、第3角度D3および予め定める値HXの少なくとも1つを変更可能に記憶してもよい。この場合、人力駆動車10に設けられる操作部または外部の装置等によって、第3角度D3のみ、予め定める値HXのみ、または、第3角度D3および予め定める値HXの両方が変更可能に記憶部64に記憶されることが好ましい。
【0131】
・第4実施形態において、記憶部64は、第3角度D3、荷重Gの変化量DG、および、予め定める値GXの少なくとも1つを変更可能に記憶してもよい。この場合、人力駆動車10に設けられる操作部または外部の装置等によって第3角度D3のみ、荷重Gの変化量DGのみ、予め定める値GXのみ、または、第3角度D3、荷重Gの変化量DGおよび予め定める値GXのうちの任意の組合せは変更可能に記憶部64に記憶されることが好ましい。
【0132】
・第5実施形態において、記憶部64は、第3角度D3を変更可能に記憶してもよい。この場合、人力駆動車10に設けられる操作部または外部の装置等によって、第3角度D3は変更可能に記憶部64に記憶されることが好ましい。
【0133】
・第6実施形態において、記憶部64は、第4角度D4および予め定める時間TXの少なくとも1つを変更可能に記憶してもよい。この場合、人力駆動車10に設けられる操作部または外部の装置等によって、第4角度D4のみ、予め定める時間TXのみ、または、第4角度D4および予め定める時間TXの両方が変更可能に記憶部64に記憶されることが好ましい。
【0134】
・第7実施形態において、記憶部64は、予め定める値FXを変更可能に記憶してもよい。この場合、人力駆動車10に設けられる操作部または外部の装置等によって、予め定める値FXは変更可能に記憶部64に記憶されることが好ましい。
【符号の説明】
【0135】
10…人力駆動車、12…クランク、16…車体、20…ステアリング部、34…ハンドル部、50…人力駆動車用ドライブユニット、52…モータ、60…人力駆動車用制御装置、62…制御部、72…検出部。
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