(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】光電子システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/572 20130101AFI20241001BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20241001BHJP
H04B 10/075 20130101ALI20241001BHJP
【FI】
H04B10/572
H04J14/02
H04B10/075
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022200780
(22)【出願日】2022-12-16
【審査請求日】2022-12-16
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520052259
【氏名又は名称】エフェクト フォトニクス ベーハー
【氏名又は名称原語表記】EFFECT Photonics B.V.
【住所又は居所原語表記】Kastanjelaan 400 5616 LZ Eindhoven Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】シアン チョン ジェフリー リー
(72)【発明者】
【氏名】アーロン アルボレス メイジャー
(72)【発明者】
【氏名】エミル クライン
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン マティン ヴァン フリート
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-236135(JP,A)
【文献】特開2011-155320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積半導体ベースの波長可変レーザ源の改良された波長調整を可能にするように構成及び配置された光電子システム(1)であって、光電子システム(1)は、
光集積回路、PIC(2)であって、
シングルモードレージングを実現し、それによって、所定の動作波長で所定の線幅を有する光放射を放出するように構成可能である半導体ベースの波長可変レーザ源(3)と、
光測定ユニット(4)であって、
前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)によって放出される前記光放射を受光することと、
前記受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を提供すること
をするように構成及び配置された前記光測定ユニット(4)と
を含む、前記光集積回路、PIC(2)と、
前記PIC(2)の前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)及び前記光測定ユニット(4)と動作可能に接続された制御ユニット(5)であって、前記制御ユニット(5)は、
前記光放射が放出される前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)の前記所定の動作波長に対する設定値を含む第1の入力を受信することと、
前記受信された第1の入力に基づいて第1の制御設定を生成することと、
前記所定の動作波長での光放射の放出を可能にするために、前記生成された第1の制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源に提供することと、
前記受光された光放射を表す前記少なくとも1つの信号を受信することと、
前記受信された少なくとも1つの信号に基づいて、前記受光された光放射の前記動作波長を判定することと、
前記所定の動作波長に対する前
記設定値と前記判定された動作波長との間の波長シフトを判定することと、
前記判定された波長シフトに基づいて第1の調整された制御設定を生成することと、
前記判定された波長シフトを少なくとも低減することを可能にし、それによって、前記半導体ベースの波長可変レーザ源の前記所定の動作波長のロックを可能にするために、前記生成された第1の調整された制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供すること
をするように構成される、前記制御ユニット(5)と
を含
み、
前記制御ユニット(5)は、
前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)によって放出される前記光放射の相対強度ノイズに対する設定値を含む第2の入力を受信することと、
前記受信された第2の入力に基づいて第2の制御設定を生成することと、
前記相対強度ノイズに対する前記設定値に対応する理想的な相対強度ノイズ値を有する光放射の放出を可能にするために、前記生成された第2の制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供することと、
前記受光された光放射を表す前記少なくとも1つの信号を受信することと、
前記受信された少なくとも1つの信号に基づいて、前記受光された光放射の前記相対強度ノイズを判定することと、
前記相対強度ノイズに対する前記設定値と前記判定された相対強度ノイズとの間のオフセットを判定することと、
前記判定されたオフセットに基づいて、第2の調整された制御設定を生成することと、
前記判定されたオフセットを少なくとも低減することを可能にし、それによって、前記放出される光放射の前記所定の線幅の制御を可能にするために、前記生成された第2の調整された制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供すること
をするように構成される、
光電子システム(1)。
【請求項2】
前記PIC(2)の前記光測定ユニット(4)は、少なくとも3つの電気信号を提供するように構成され、前記少なくとも3つの電気信号の各々は、時変強度を有し、前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)から受光された前記光放射を表し、前記制御ユニット(5)は、前記少なくとも3つの電気信号の前記時変強度から導出可能な前記少なくとも3つの電気信号についての位相情報に基づいて、前記所定の動作波長に対する前記設定値と前記判定された動作波長との間の前記波長シフトを判定するように構成される、請求項1に記載の光電子システム(1)。
【請求項3】
前記PIC(2)の前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)は、バックミラーを介した前記光放射の所定量の光パワーの放出を可能にする部分反射率を有するように構成された前記バックミラー(6)を含む、請求項1に記載の光電子システム(1)。
【請求項4】
前記PIC(2)の前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)は、バックミラーを介した前記光放射の所定量の光パワーの放出を可能にする部分反射率を有するように構成された前記バックミラー(6)を含む、請求項2に記載の光電子システム(1)。
【請求項5】
前記PIC(2)の前記光測定ユニット(4)は、
第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)であって、
少なくとも第1の光インターフェース(9)が設けられた第1の端部(8)と、
少なくとも第2の光インターフェース(11)及び第3の光インターフェース(12)が設けられた第2の端部(10)と
を有する、前記第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)と、
第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)であって、
少なくとも第4の光インターフェース(15)及び第5の光インターフェース(16)が設けられた第3の端部(14)と、
少なくとも第6の光インターフェース(18)、第7の光インターフェース(19)、及び第8の光インターフェース(20)が設けられた第4の端部(17)と
を有する、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)と、
少なくとも3つの光検出器(21、22、23)のセットであって、前記少なくとも3つの光検出器の各々は、前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)の前記バックミラー(6)を介して放出された前記受光された光放射の少なくとも一部を検出するように構成される、前記少なくとも3つの光検出器(21、22、23)の前記セットと、
複数の光導波路であって、
前記複数の光導波路の内の第1の光導波路(24)は、前記第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)の前記第1の端部(8)の前記第1の光インターフェース(9)と、前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)の前記バックミラー(6)とを光学的に相互接続するように配置され、
前記複数の光導波路の内の第2の光導波路(25)は、第1の光路長L1を有し、前記第2の光導波路(25)は、前記第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)の前記第2の端部(10)の前記第2の光インターフェース(11)と、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)の前記第3の端部(14)の前記第4の光インターフェース(15)とを光学的に相互接続するように配置され、
前記複数の光導波路の内の第3の光導波路(26)は、前記第2の光導波路(25)の前記第1の光路長L1とは異なる第2の光路長L2を有し、前記第3の光導波路(26)は、前記第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)の前記第2の端部(10)の前記第3の光インターフェース(12)と、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)の前記第3の端部(14)の前記第5の光インターフェース(16)とを光学的に相互接続するように配置され、
前記複数の光導波路の内の第4の光導波路(27)は、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)の前記第4の端部(17)の前記第6の光インターフェース(18)と、光検出器の前記セットの第1の光検出器(21)とを光学的に相互接続するように配置され、
前記複数の光導波路の内の第5の光導波路(28)は、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)の前記第4の端部(17)の前記第7の光インターフェース(19)と、光検出器の前記セットの第2の光検出器(22)とを光学的に相互接続するように配置され、
前記複数の光導波路の内の第6の光導波路(29)は、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)の前記第4の端部(17)の前記第8の光インターフェース(20)と、光検出器の前記セットの第3の光検出器(23)とを光学的に相互接続するように配置される、
前記複数の光導波路と
を含み、
前記光電子システム(1)は、
少なくとも3つの電気接続素子(30、31、32)の第1のセットであって、前記少なくとも3つの電気接続素子の各々は、前記PIC(2)の前記光測定ユニット(4)の光検出器(21、22、23)の前記セットの個別の光検出器と、前記制御ユニット(5)とを電気的に相互接続するように配置される、前記少なくとも3つの電気接続素子(30、31、32)の前記第1のセットと、
電気接続素子(33、34、35)の第2のセットであって、電気接続素子の前記第2のセットの各電気接続素子は、前記制御ユニット(5)と前記PIC(2)の前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)とを電気的に相互接続するように配置される、前記電気接続素子(33、34、35)の前記第2のセットと
を含む、請求項3に記載の光電子システム(1)。
【請求項6】
前記PIC(2)の前記光測定ユニット(4)は、
第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)であって、
少なくとも第1の光インターフェース(9)が設けられた第1の端部(8)と、
少なくとも第2の光インターフェース(11)及び第3の光インターフェース(12)が設けられた第2の端部(10)と
を有する、前記第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)と、
第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)であって、
少なくとも第4の光インターフェース(15)及び第5の光インターフェース(16)が設けられた第3の端部(14)と、
少なくとも第6の光インターフェース(18)、第7の光インターフェース(19)、及び第8の光インターフェース(20)が設けられた第4の端部(17)と
を有する、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)と、
少なくとも3つの光検出器(21、22、23)のセットであって、前記少なくとも3つの光検出器の各々は、前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)の前記バックミラー(6)を介して放出された前記受光された光放射の少なくとも一部を検出するように構成される、前記少なくとも3つの光検出器(21、22、23)の前記セットと、
複数の光導波路であって、
前記複数の光導波路の内の第1の光導波路(24)は、前記第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)の前記第1の端部(8)の前記第1の光インターフェース(9)と、前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)の前記バックミラー(6)とを光学的に相互接続するように配置され、
前記複数の光導波路の内の第2の光導波路(25)は、第1の光路長L1を有し、前記第2の光導波路(25)は、前記第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)の前記第2の端部(10)の前記第2の光インターフェース(11)と、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)の前記第3の端部(14)の前記第4の光インターフェース(15)とを光学的に相互接続するように配置され、
前記複数の光導波路の内の第3の光導波路(26)は、前記第2の光導波路(25)の前記第1の光路長L1とは異なる第2の光路長L2を有し、前記第3の光導波路(26)は、前記第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)の前記第2の端部(10)の前記第3の光インターフェース(12)と、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)の前記第3の端部(14)の前記第5の光インターフェース(16)とを光学的に相互接続するように配置され、
前記複数の光導波路の内の第4の光導波路(27)は、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)の前記第4の端部(17)の前記第6の光インターフェース(18)と、光検出器の前記セットの第1の光検出器(21)とを光学的に相互接続するように配置され、
前記複数の光導波路の内の第5の光導波路(28)は、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)の前記第4の端部(17)の前記第7の光インターフェース(19)と、光検出器の前記セットの第2の光検出器(22)とを光学的に相互接続するように配置され、
前記複数の光導波路の内の第6の光導波路(29)は、前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)の前記第4の端部(17)の前記第8の光インターフェース(20)と、光検出器の前記セットの第3の光検出器(23)とを光学的に相互接続するように配置される、
前記複数の光導波路と
を含み、
前記光電子システム(1)は、
少なくとも3つの電気接続素子(30、31、32)の第1のセットであって、前記少なくとも3つの電気接続素子の各々は、前記PIC(2)の前記光測定ユニット(4)の光検出器(21、22、23)の前記セットの個別の光検出器と、前記制御ユニット(5)とを電気的に相互接続するように配置される、前記少なくとも3つの電気接続素子(30、31、32)の前記第1のセットと、
電気接続素子(33、34、35)の第2のセットであって、電気接続素子の前記第2のセットの各電気接続素子は、前記制御ユニット(5)と前記PIC(2)の前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)とを電気的に相互接続するように配置される、電気接続素子(33、34、35)の前記第2のセット
とを含み、
前記制御ユニット(5)は、
前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)によって放出される前記光放射の相対強度ノイズに対する設定値を含む第2の入力を受信することと、
前記受信された第2の入力に基づいて第2の制御設定を生成することと、
前記相対強度ノイズに対する前記設定値を有する光放射の放出を可能にするために、前記生成された第2の制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供することと、
前記受光された光放射を表す前記少なくとも1つの信号を受信することと、
前記受信された少なくとも1つの信号に基づいて、前記受光された光放射の前記相対強度ノイズを判定することと、
前記相対強度ノイズに対する前記設定値と前記判定された相対強度ノイズとの間のオフセットを判定することと、
前記判定されたオフセットに基づいて第2の調整された制御設定を生成することと、
前記判定されたオフセットを少なくとも低減することを可能にし、それによって、前記放出される光放射の前記所定の線幅の制御を可能にするために、前記生成された第2の調整された制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供すること
をするように構成される、
請求項3に記載の光電子システム(1)。
【請求項7】
前記PIC(2)の前記光測定ユニット(4)は、前記少なくとも3つの光検出器の内の光検出器の時変出力電流を含む少なくとも1つの電気信号を提供するように構成され、
前記制御ユニット(5)は、
前記少なくとも1つの電気信号の個々の時間サンプリングされた成分のセットを得るために、前記少なくとも1つの電気信号を経時的にサンプリングすることと、
個々の時間サンプリングされた成分の前記セットを、前記少なくとも1つの電気信号についての周波数情報を提供する個々のスペクトル成分のセットに変換することと、
前記周波数情報に基づいて、前記受光された光放射の前記相対強度ノイズを判定すること
をするように構成される、請求項
6に記載の光電子システム(1)。
【請求項8】
前記制御ユニット(5)は、個々のスペクトル成分の前記セットを得るためにフーリエ変換を含むように構成される、請求項
7に記載の光電子システム(1)。
【請求項9】
前記PIC(2)の前記光測定ユニット(4)の前記第1の光スプリッタコンバイナユニット(7)及び/又は前記第2の光スプリッタコンバイナユニット(13)は、マルチモード干渉ベース、MMIベースの光スプリッタコンバイナユニットである、請求項5に記載の光電子システム(1)。
【請求項10】
前記PIC(2)の前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)は、InPベースの波長可変レーザ源である、請求項1に記載の光電子システム(1)。
【請求項11】
少なくとも3つの光検出器(21、22、23)の前記セットの少なくとも1つの光検出器は、InPベースのフォトダイオード、PD、及び/又はInPベースの半導体光増幅器、SOAを含む、請求項5に記載の光電子システム(1)。
【請求項12】
前記複数の光導波路の内の少なくとも1つの光導波路は、InPベースの光導波路である、請求項5に記載の光電子システム(1)。
【請求項13】
前記PIC(2)は、ハイブリッドPIC又はモノリシックPICである、請求項1に記載の光電子システム(1)。
【請求項14】
前記光電子システム(1)は、ハイブリッドシングルダイ光電子システム又はInPベースのモノリシック光電子システムである、請求項1に記載の光電子システム(1)。
【請求項15】
光電子システムの集積半導体ベースの波長可変レーザ源の改良された波長調整の方法(100)であって、前記光電子システム(1)は、
PIC(2)であって、
シングルモードレージングを実現し、それによって、所定の動作波長で所定の線幅を有する光放射を放出するように構成可能である半導体ベースの波長可変レーザ源(3)と、
光測定ユニット(4)であって、
前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)によって放出される前記光放射を受光することと、
前記受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を提供すること
をするように構成及び配置された前記光測定ユニット(4)と
を含む、前記PIC(2)と、
前記PIC(2)の前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)及び前記光測定ユニット(4)と動作可能に接続された制御ユニット(5)であって、前記制御ユニット(5)は、
前記光放射が放出される前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)の前記所定の動作波長に対する設定値を含む第1の入力を受信することと、
前記受信された第1の入力に基づいて第1の制御設定を生成することと、
前記所定の動作波長での光放射の放出を可能にするために、前記生成された第1の制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源に提供することと、
前記受光された光放射を表す前記少なくとも1つの信号を受信することと、
前記受信された少なくとも1つの信号に基づいて、前記受光された光放射の前記動作波長を判定することと、
前記所定の動作波長に対する前
記設定値と前記判定された動作波長との間の波長シフトを判定することと、
前記判定された波長シフトに基づいて第1の調整された制御設定を生成することと、
前記判定された波長シフトを少なくとも低減することを可能にし、それによって、前記半導体ベースの波長可変レーザ源の前記所定の動作波長のロックを可能にするために、前記生成された第1の調整された制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供すること
をするように構成される、前記制御ユニット(5)と
を含み、
前記方法(100)は、
前記受信された第1の入力に基づいて第1の制御設定を生成するように前記制御ユニット(5)を動作させること(101)と、
前記所定の動作波長での光放射の放出を可能にするために、前記生成された第1の制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供するように前記制御ユニット(5)を動作させること(102)と、
前記受光された光放射を表す前記少なくとも1つの信号を前記制御ユニット(5)に提供するように前記光測定ユニット(4)を動作させること(103)と、
前記受信された少なくとも1つの信号に基づいて、前記受光された光放射の前記動作波長を判定するように前記制御ユニット(5)を動作させること(104)と、
前記所定の動作波長に対する前
記設定値と前記判定された動作波長との間の前記波長シフトを判定するように前記制御ユニット(5)を動作させること(105)と、
前記判定された波長シフトに基づいて、第1の調整された制御設定を生成するように前記制御ユニット(5)を動作させること(106)と、
前記判定された波長シフトを少なくとも低減することを可能にし、それによって、前記半導体ベースの波長可変レーザ源の前記所定の動作波長のロックを可能にするために、前記生成された第1の調整された制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供するように前記制御ユニット(5)を動作させること(107)
を含
み、
前記制御ユニット(5)は、
前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)によって放出される前記光放射の相対強度ノイズに対する設定値を含む第2の入力を受信することと、
前記受信された第2の入力に基づいて第2の制御設定を生成することと、
前記相対強度ノイズに対する前記設定値に対応する理想的な相対強度ノイズ値を有する光放射の放出を可能にするために、前記生成された第2の制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供することと、
前記前記受光された光放射を表す前記少なくとも1つの信号を受信することと、
前記受信された少なくとも1つの信号に基づいて、前記受光された光放射の前記相対強度ノイズを判定することと、
前記相対強度ノイズに対する前記設定値と前記判定された相対強度ノイズとの間のオフセットを判定することと、
前記判定されたオフセットに基づいて第2の調整された制御設定を生成することと、
前記判定されたオフセットを少なくとも低減することを可能にし、それによって、前記放出された光放射の前記所定の線幅の制御を可能にするために、前記生成された第2の調整された制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供すること
をするように構成され、
前記方法(100)は、
前記受信された第2の入力に基づいて第2の制御設定を生成するように前記制御ユニット(5)を動作させること(108)と、
前記相対強度ノイズに対する前記設定値を有する光放射の放出を可能にするために、前記生成された第2の制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供するように前記制御ユニット(5)を動作させること(109)と、
前記受光された光放射を表す前記少なくとも1つの信号を前記制御ユニット(5)に提供するように前記光測定ユニット(4)を動作させること(110)と、
前記受信された少なくとも1つの信号に基づいて、前記受光された光放射の前記相対強度ノイズを判定するように前記制御ユニット(5)を動作させること(111)と、
前記相対強度ノイズに対する前記設定値と前記判定された相対強度ノイズとの間の前記オフセットを判定するように前記制御ユニット(5)を動作させること(112)と、
前記判定されたオフセットに基づいて第2の調整された制御設定を生成するように前記制御ユニット(5)を動作させること(113)と、
前記判定されたオフセットを少なくとも低減することを可能にし、それによって、前記放出された光放射の前記所定の線幅の制御を可能にするために、前記生成された第2の調整された制御設定を前記半導体ベースの波長可変レーザ源(3)に提供するように前記制御ユニット(5)を動作させること(114)
を含む、
方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排他的ではないが、例えば、光電気通信の用途、光検出及び測距(LIDAR)又はセンサの用途に使用され得る光電子システムに関する。本発明は更に、発明に従った光電子システムの半導体ベースの波長可変レーザ源の改良された波長調整の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電子システムは、排他的ではないが、例えば、光電気通信の用途、LIDAR又はセンサの用途の分野に用いられ得る。例えば、光電気通信の用途で使用され得る光電子システムは、光電気通信に適した動作波長で放射を放出するように構成可能な半導体ベースの波長可変レーザ源を有し得る光子集積回路(PIC)を含み得る。半導体ベースの波長可変レーザ源によって放出される放射の動作波長は、例えば、温度変化及び/又は経年劣化に起因して、意図せずに変化し得る。このことは、データレートを増加させるために波長多重化が使用される光電気通信の用途において、半導体ベースの波長可変レーザ源とそうしたレーザ源を含むPICとの両方の適用を制限する。
【0003】
半導体ベースの波長可変レーザ源は、通常、所望の動作波長でシングルモードレージングを実現するために設定される必要がある多数の制御を有する。半導体ベースの波長可変レーザ源によって放出される放射に対する制御の効果は、個々のレーザ源ごとに異なるため、効果のマッピングとレーザ源の較正とを必要とする。従来、較正は、半導体ベースの波長可変レーザ源のダイシング及び搭載の後に実施され、外部機器と長い処理時間とを必要とする。半導体ベースのレーザ源によって放出される放射の動作波長を制御するための既知の解決策は、放出された放射を分割し、放出された放射の一部を外部波長ロッカー(WLL)に提供することに依存する。そうした既知の解決策の欠点は、外部WLLが光電子システムにかさ張りとコストとを追加することである。別の欠点は、外部WLLを使用することは、外部WLLと光電子システムのPICとの面倒な光学的アライメントが必要になることである。後者は、PICの半導体ベースの波長可変レーザ源の波長調整を遅くする。
【0004】
典型的には光電気通信の用途において、より高いデータレートに対する要求が益々高まっており、特に、光電子システムのPICの半導体ベースの波長可変レーザ源をより高速かつより正確に制御する必要があることを当業者は理解するであろう。それ故、集積半導体ベースの波長可変レーザ源の波長調整を改良することが可能な光電子システムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、排他的ではないが、例えば、上述の用途分野で使用され得る当技術分野で知られている光電子システムに関連する上述の及び/又はその他の欠点の内の少なくとも1つ阻止する、又は少なくとも削減する光電気通信の用途、LIDAR又はセンサの用途に使用され得る光電子システムを提供することである。
【0006】
また、本発明の目的は、発明に従った光電子システムの半導体ベースの波長可変レーザ源の改良された波長調整方法を提供することである。
【0007】
本発明の態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項からの特徴は、請求項に明示的に記載されているだけではなく、必要に応じて独立請求項からの特徴と組み合わされ得る。更に、全ての特徴は、技術的に同等の他の特徴と置き換えられ得る。
【0008】
上述の目的の内の少なくとも1つは、集積半導体ベースの波長可変レーザ源の改良された波長調整を可能にするように構成及び配置された光電子システムによって実現される。光電子システムは、シングルモードレージングを実現し、それによって、所定の動作波長で所定の線幅を有する光放射を放出するように構成可能な半導体ベースの波長可変レーザ源と、半導体ベースの波長可変レーザ源によって放出された光放射を受光し、受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を提供するように構成及び配置された光測定ユニットとを含むPICを含む。光電子システムは、PICの半導体ベースの波長可変レーザ源及び光測定ユニットと動作可能に接続された制御ユニットであって、制御ユニットは、光放射が放出される半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長に対する設定値を含む第1の入力を受信することと、受信された第1の入力に基づいて第1の制御設定を生成することと、所定の動作波長での光放射の放出を可能にするために、生成された第1の制御設定を半導体ベースの波長可変レーザ源に提供することと、受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を受信することと、受信された少なくとも1つの信号に基づいて、受光された光放射の動作波長を判定することと、所定の動作波長に対する所定の設定値と判定された動作波長との間の波長シフトを判定することと、判定された波長シフトに基づいて第1の調整された制御設定を生成することと、判定された波長シフトを少なくとも低減することを可能にし、それによって、半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長のロックを可能にするために、生成された第1の調整された制御設定を半導体ベースの波長可変レーザ源に提供することをするように構成される、制御ユニットを更に含む。
【0009】
光電子システムの上で定義した実施形態は、集積半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長の上に説明した波長ロックを実現するために外部光測定機器を使用する当技術分野で知られている解決策よりも高速な、集積半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長をロックするための解決策を提供する。当技術分野で知られている解決策は、光ファイバとPICとのアライメント技術を含む、外部光測定機器と集積半導体ベースの波長可変レーザ源との正確な光学的アライメントを必要とする。それ故、既知の解決策は、非常に扱いにくく、その結果、上述の扱いにくい光ファイバとPICとのアライメント技術がもはや必要ないのでこれらの欠点を取り除き得る本発明に従った光電子システムによって提供される解決策よりも遅い。少なくとも、発明に従った光電子システムの上で定義した実施形態によって提供されるより高速な波長ロックプロセスのために、PICの半導体ベースの波長可変レーザ源の初期化、較正、及びモードマッピングの内の少なくとも1つは、より高速に実施され得、その結果、外部光測定機器を使用する当技術分野で知られている解決策によって発生するであろうコストよりも低コストで実施され得る。更に、本発明に従った光電子システムは、PICの集積半導体ベースの波長可変レーザ源のオンウェーハモードマッピングを可能にする。
【0010】
放出された光放射の線幅が測定される方法、並びに/又は例えば、期間、温度、及び/若しくは湿度等の条件に関係なく、本発明の文脈における所定の線幅は、集積半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長において所望の値、それ故、所定の値を有するように制御され得る線幅として解釈されるべきである。
【0011】
光測定ユニットによって制御ユニットに提供される少なくとも1つの信号が、電気信号又は光信号であり得ることを当業者は理解するであろう。また、制御ユニットは、電子制御ユニット又は光電子制御ユニットであり得、第1の制御設定及び第1の調整された制御設定は、単一の制御アルゴリズムを使用して又は複数の制御アルゴリズムを使用して制御ユニットによって生成され得る。更に、所定の動作波長に対する所定の設定値と判定された動作波長との間で判定される波長シフトは、2つの値の間の差として解釈されるべきであることに留意すべきである。
【0012】
本発明に従った光電子システムは、排他的ではないが、例えば、電気通信の用途、LIDAR又はセンサの用途に使用され得る。その場合、光電子システムは、送信機、受信機、送受信機、コヒーレント送信機、コヒーレント受信機、及びコヒーレント送受信機の内の1つであり得る。
【0013】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、PICの光測定ユニットは、少なくとも3つの電気信号を提供するように構成され、少なくとも3つの電気信号の各々は、時変強度を有し、半導体ベースの波長可変レーザ源から受光された光放射を表し、制御ユニットは、少なくとも3つの電気信号の時変強度から導出可能な少なくとも3つの電気信号についての位相情報に基づいて、所定の動作波長に対する設定値と判定された動作波長との間の波長シフトを判定するように構成される。
【0014】
光電子システムの上で定義した実施形態に従えば、光測定ユニットは、所定の動作波長に対する設定値と判定された動作波長との間の波長シフトを判定する方法を可能にし、それは、一定の動作波長を維持するために半導体ベースの波長可変レーザ源を調整する利点がある。所定の動作波長に対する設定値と判定された動作波長との間の波長シフトが大きくなりすぎる場合、個別の電気信号の位相シフトであって、個別の電気信号の強度に関連する位相シフトは、-πから+πに突然切り替わり得ることに留意すべきである。このいわゆる位相ラッピングは、波長ロックプロセスの不安定性を回避するために考慮される必要がある。制御ユニットは、半導体ベースの波長可変レーザ源に対する滑らかなモードマップを実現するために、個別の電気信号をアンラップするように構成され得る。
【0015】
本発明に従った光電子システムの波長ロック光測定ユニットの利点は、自由スペクトル範囲(FSR)又は周期が自由に選択され得ることである。従来のエタロンベースの2相波長ロック光測定ユニットは、クロスポイントにのみ敏感な応答を有し、それ故、通常は50GHz(0.4nm)チャネル間隔で事前に判定され、周期的である。それ故、半導体ベースの波長可変レーザ源が何れの方向に移動するかを判定できないポイントがチャネル間に存在するため、複数のチャネルに渡ってドリフトする半導体ベースの波長可変レーザ源を追跡することは困難である。
【0016】
本発明に従った光電子システムの光測定ユニットは、周波数帯域全体に渡って同じ感度を有する集積3相波長ロッカーとして解釈され得る。半導体ベースの波長可変レーザ源が何れの期間に開始するかをそれが判定できる限り、それは幾つかの期間に沿って追跡され得る。また、デュアルステージの波長ロッカーを組み合わせることが可能であり、広いFSRを有する第1のステージは動作波長の概算値を提供し得、狭いFSRを有する第2のステージは動作波長に対する正確な値を提供し得る。
【0017】
小さな波長偏差を測定可能にするために非常に狭いFSRを設計することも可能であることを当業者は理解するであろう。これは、特定の波長調整設定における半導体ベースの波長可変レーザ源の安定性の指標を提供する周波数ノイズの測定に特に役立つ。
【0018】
更に、半導体ベースの波長可変レーザ源の高速スイッチング効果を判定するために、本発明に従った光電子システムの波長ロック光測定ユニットを使用することが可能である。通常、半導体ベースの波長可変レーザ源がある波長から別の波長に切り替えられる必要がある場合、電気的な波長調整電流は、別の設定値に変更される必要がある。電流のこの変化は、それ自体が小さな波長ドリフトを引き起こす熱平衡の変化を引き起こす。したがって、半導体ベースの波長可変レーザ源が目標波長に落ち着くまでにはある程度の時間がかかる。その結果、半導体ベースの波長可変レーザ源が本質的に有する潜在的なナノ秒のスイッチング時間は、ミリ秒のスイッチング時間に制限される。本発明に従った光電子システムの波長ロック光測定ユニットは、製造プロセスの変動に起因して、組み立てられた半導体ベースの波長可変レーザ源毎に異なる上述の効果の時定数を判定するために使用され得る。本発明に従った光電子システムの制御ユニットは、これらの上述の効果を補償するために、判定された時定数を使用し得る。本発明に従った光電子システムの集積光測定ユニットは、高価な外部光測定機器を必要とせずに、全ての可能なスイッチングイベントに対する時定数をマッピングすることを可能にする。
【0019】
本発明に従った光電子システムの一実施形態では、PICの半導体ベースの波長可変レーザ源は、バックミラーを介して光放射の所定量の光パワーの放出を可能にする部分反射率を有するように構成されたバックミラーを含む。
【0020】
半導体ベースの波長可変レーザ源が典型的には、光放射の放出を可能にする部分反射率を有するように構成されたフロントミラーを含む一方、バックミラーは、バックミラーを介した光放射の放出を理想的に防止する反射率を有するように構成されることを当業者は理解するであろう。しかしながら、加工公差に起因して、バックミラーは、実際には、バックミラーを介して光放射の漏れを引き起こし得る部分反射率を有する可能性がある。バックミラーとして使用することを意図したミラーの反射率は、フロントミラーとして使用することを意図したミラーの反射率より常に高いことは明らかであろう。
【0021】
本発明の文脈では、バックミラーを介して放出される光放射の所定量の光パワーは、光測定ユニットが、受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を、上述の第1の調整された制御設定を半導体ベースの波長可変レーザ源に生成するための制御ユニットに提供することを可能にするのに十分であるべきである。バックミラーを介して放出される所定の量の光パワーは、1μW(-30dBm)~10mW(10dBm)の範囲内であれば十分である。
【0022】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、PICの光測定ユニットは、少なくとも第1の光インターフェースが設けられた第1の端部と、少なくとも第2の光インターフェース及び第3の光インターフェースが設けられた第2の端部とを有する第1の光スプリッタコンバイナユニットと、少なくとも第4の光インターフェース及び第5の光インターフェースが設けられた第3の端部と、少なくとも第6の光インターフェース、第7の光インターフェース、及び第8の光インターフェースが設けられた第4の端部とを有する第2の光スプリッタコンバイナユニットと、少なくとも3つの光検出器であって、少なくとも3つの光検出器の各々は、半導体ベースの波長可変レーザ源のバックミラーを介して放射された受光された光放射の少なくとも一部を検出するように構成される、少なくとも3つの光検出器と、複数の光導波路であって、複数の光導波路の内の第1の光導波路は、第1の光スプリッタコンバイナユニットの第1の端部の第1の光インターフェースと、半導体ベースの波長可変レーザ源のバックミラーとを光学的に相互接続するように配置され、複数の光導波路の内の第2の光導波路は、第1の光路長L1を有し、第2の光導波路は、第1の光スプリッタコンバイナユニットの第2の端部の第2の光インターフェースと、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第3の端部の第4の光インターフェースとを光学的に相互接続するように配置され、複数の光導波路の内の第3の光導波路は、第2の光導波路の第1の光路長L1とは異なる第2の光路長L2を有し、第3の光導波路は、第1の光スプリッタコンバイナユニットの第2の端部の第3の光導波路と、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第3の端部の第5の光インターフェースとを光学的に相互接続するように配置され、複数の光導波路の内の第4の光導波路は、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第4の端部の第6の光インターフェースと、光検出器のセットの第1の光検出器とを光学的に相互接続するように配置され、複数の光導波路の内の第5の光導波路は、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第4の端部の第7の光インターフェースと、光検出器のセットの第2の光検出器とを光学的に相互接続するように配置され、複数の光導波路の内の第6の光導波路は、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第4の端部の第8の光インターフェースと、光検出器のセットの第3の光検出器とを光学的に相互接続するように配置される、複数の光導波路とを含み、光電子システムは、少なくとも3つの電気接続素子の第1のセットであって、少なくとも3つの電気接続素子の各々は、PICの光測定ユニットの光検出器のセットの個別の光検出器と制御ユニットとを電気的に相互接続するように配置される、少なくとも3つの電気接続素子の第1のセットと、電気接続素子の第2のセットであって、電気接続素子の第2のセットの各電気接続素子は、制御ユニットとPICの半導体ベースの波長可変レーザ源とを電気的に相互接続するように配置される、電気接続素子の第2のセットとを含む。
【0023】
光電子システムの上で定義した実施形態に従えば、制御ユニットと協働する光測定ユニットは、半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長のより高速かつより正確なロックのために使用され得る。半導体ベースの波長可変レーザ源のバックミラーを介して放出された光放射は、第1の光導波路によって第1の光スプリッタコンバイナユニットに導かれる。第1の光スプリッタコンバイナユニットは、受光された光放射を第1の部分と第2の部分とに分割するように構成される。受光された光放射の第1の部分は、複数の光導波路の内の第2の光導波路によって、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第3の端部の第4の光インターフェースに導かれる。受光された光放射の第2の部分は、複数の光導波路の内の第3の光導波路によって、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第3の端部の第5の光インターフェースに導かれる。第2の光導波路の第1の光路長L1は、第3の光導波路の第2の光路長L2とは異なるので、受光された光放射の第1の部分は、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第3の端部の第4の光インターフェースにおいて第1の位相f1を有し、受光された光放射の第2の部分は、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第3の端部の第5の光インターフェースにおいて第2の位相f2を有し、第1の位相f1と第2の位相f2とは相互に異なる。
【0024】
第2の光スプリッタコンバイナユニットは、時変強度を有する3つの光信号を提供するように構成され、3つの光信号は、受光された光放射の第1の部分及び第2の部分に基づく。3つの光信号の内の第1の光信号は、複数の光導波路の内の第4の光導波路によって、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第4の端部の第6の光インターフェースから光検出器のセットの第1の光検出器に導かれる。3つの光信号の内の第2の光信号は、複数の光導波路の内の第5の光導波路によって、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第4の端部の第7の光インターフェースから光検出器のセットの第2の光検出器に導かれ、3つの光信号の内の第3の光信号は、複数の光導波路の内の第6の光導波路によって、第2の光スプリッタコンバイナユニットの第4の端部の第8の光インターフェースから光検出器のセットの第3の光検出器に導かれる。
【0025】
3つの光検出器の各々は、3つの光信号の内の受信された個別の光信号を表す電気信号を提供するように構成される。3つの電気信号の各々は、少なくとも3つの電気接続素子の第1のセットを介して制御ユニットに提供される。制御ユニットは、受信された3つの電気信号の時変強度に基づいて、所定の動作波長に対する設定値と判定された動作波長との間の波長シフトを判定し、判定された波長シフトに基づいて第1の調整された制御設定を生成するように構成される。上述のように、判定された波長シフトは、2つの値の間の差として解釈されるべきである。
【0026】
生成された第1の調整された制御設定は、電気接続素子の第2のセットを介して半導体ベースの波長可変レーザ源に提供される。生成された第1の調整された制御設定は、判定された波長シフトを少なくとも低減することを可能にし、それによって、光放射が放出される半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長のロックを可能にする。このようにして、制御ユニットは、一定の動作波長を維持するために半導体ベースの波長可変レーザ源を調整するために使用され得る。
【0027】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、制御ユニットは、半導体ベースの波長可変レーザ源によって放出される光放射の相対強度ノイズに対する設定値を含む第2の入力を受信することと、受信された第2の入力に基づいて第2の制御設定を生成することと、相対強度ノイズに対する設定値を有する光放射の放出を可能にするために、生成された第2の制御設定を半導体ベースの波長可変レーザ源に提供することと、受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を受信することと、受信された少なくとも1つの信号に基づいて、受光された光放射の相対強度ノイズを判定することと、相対強度ノイズに対する設定値と判定された相対強度ノイズとの間のオフセットを判定することと、判定されたオフセットに基づいて第2の調整された制御設定を生成することと、判定されたオフセットを少なくとも低減することを可能にし、それによって、放出された光放射の所定の線幅の制御を可能にするために、生成された第2の調整された制御設定を半導体ベースの波長可変レーザ源を提供することをするように構成される。
【0028】
光電子システムの上で定義した実施形態に従えば、制御ユニットは、半導体ベースの波長可変レーザ源によって放出される光放射の所定の線幅の制御を実現するために、判定された相対強度ノイズをフィードバック信号として使用し得ることを可能にする。レーザの線幅が、波長、周波数、又は波数に関して放出された電場のパワースペクトル密度の幅として解釈されるべきであることを当業者は理解するであろう。上述のように、放出された光放射の線幅が測定される方法、並びに/又は例えば、期間、温度、及び/若しくは湿度等の条件に関係なく、本発明の文脈における所定の線幅は、半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長において所望の値、それ故、所定の値を有するように制御され得る線幅として解釈されるべきである。
【0029】
相対強度ノイズに対する設定値と判定された相対強度ノイズとの間の判定されたオフセットは、2つの値の間の差として解釈されるべきであることに留意すべきである。
【0030】
光電子システムの上で定義した実施形態の利点は、光測定ユニットのコンポーネントが、フィードバック信号として相対強度ノイズを使用することを可能にするために半導体ベースの波長可変レーザ源のキャビティモード間隔よりも高い帯域幅を有する必要がないことである。光電子システムの上に定義した実施形態の別の利点は、半導体ベースの波長可変レーザ源によって放出される光放射の線幅の直接測定又は光スペクトルの直接測定を省き得ることである。光電子システムの上で定義した実施形態の更なる利点は、半導体ベースのレーザ源によって放出される光放射の線幅の高速かつ正確な制御を提供することである。
【0031】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、PICの光測定ユニットは、少なくとも3つの光検出器の内の光検出器の時変出力電流を含む少なくとも1つの電気信号を提供するように構成され、制御ユニットは、該少なくとも1つの電気信号の個々の時間サンプリングされた成分のセットを得るために該少なくとも1つの電気信号を経時的にサンプリングすることと、個々の時間サンプリングされた成分のセットを、少なくとも1つの電気信号についての周波数情報を提供する個々のスペクトル成分のセットに変換することと、周波数情報に基づいて、受光された光放射の相対強度ノイズを判定することをするように構成される。光電子システムの上で定義した実施形態に従えば、制御ユニットは、単一の変換アルゴリズムを使用して、又は複数の変換アルゴリズムを使用して、個々のスペクトル成分のセットを生成するように構成され得る。
【0032】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、制御ユニットは、個々のスペクトル成分のセットを得るためにフーリエ変換を含むように構成される。光電子システムの上で定義した実施形態に従えば、制御ユニットが高速フーリエ変換(FFT)としてフーリエ変換を実施するように構成されると有利であり得る。
【0033】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、PICの光測定ユニットの第1の光スプリッタコンバイナユニット及び/又は第2の光スプリッタコンバイナユニットは、マルチモード干渉ベース、MMIベースの光スプリッタコンバイナユニットである。MMIベースの第1の光スプリッタコンバイナユニット及びMMIベースの第2の光スプリッタコンバイナユニットが任意の適切なn×m MMIとして実装され得、n及びmは、夫々、光入力ポート及び光出力ポートの数を表す自然数であることを当業者は理解するであろう。第1の光スプリッタコンバイナユニットに関して、それが1×2 MMIとして有利に実装され得ることを当業者は理解するであろう。しかしながら、2×2 MMI等のその他のオプションも考えられ得る。第2の光スプリッタコンバイナユニットに関して、それが2×3 MMIとして有利に実装され得ることを当業者は理解するであろう。繰り返しになるが、3×3 MMI等のその他のオプションも考えられ得る。
【0034】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、PICの半導体ベースの波長可変レーザ源は、InPベースの波長可変レーザ源である。特に、光電子システムが光電気通信の用途に使用される場合、InPベースの波長可変レーザ源が1300nm~1600nmの範囲の波長を有する光放射を提供するように構成されると有利である。
【0035】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、少なくとも3つの光検出器のセットの少なくとも1つの光検出器は、InPベースのフォトダイオード(PD)及び/又はInPベースの半導体光増幅器(SOA)を含む。InPベースのPDが入射光放射を検出するために電気的に逆バイアスされるのに対して、InPベースのSOAは電気的に逆バイアスされる必要がないことを当業者は理解するであろう。しかしながら、InPベースのSOAは、必要に応じて電気的に逆バイアスされ得る。
【0036】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、複数の光導波路の内の少なくとも1つの光導波路は、InPベースの光導波路である。
【0037】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、PICはハイブリッドPIC又はモノリシックPICである。ハイブリッドPICは、シリコンフォトニクスの領域とIII-V族フォトニクスの領域との両方に発明の利点を適用可能であることは理解されるであろう。ハイブリッドPICの利点は、III-V族半導体材料、例えば、InPベースの半導体材料を含む機能的光子ブロックが、単一のダイ上でIV族半導体材料、例えば、Siベースの半導体材料を含む機能的光子ブロックと共に使用され得ることである。発明に従ったPICのハイブリッド集積を可能にする別の利点は、機能光子ブロックを例えば、その機能不全又は故障の場合に交換し得ることである。
【0038】
例えば、排他的ではないが、光電気通信の用途、LIDAR又はセンサの用途の分野で適用されるPICは、好ましくは、可能な限り小さいフットプリントを有する単一のダイに集積される機能光子ブロックの数が少なくとも増加しているため、益々複雑になっている。そうしたPICのための、特に、上述の用途分野で使用するための多用途の技術プラットフォームが、InPベースの半導体材料を含むウェーハを使用することを当業者は理解するであろう。
【0039】
InPベースのモノリシックPICの利点は、本発明に従った光電子システムの波長可変レーザ源及び光検出器等の能動コンポーネントと、本発明に従った光電子システムの光導波路等の受動コンポーネントとの両方が単一のダイの同じInPベースの半導体基板上に集積され得ることである。その結果、InPベースのモノリシックPICの製造は、それらの各々が典型的には異なる基板上に製造される能動及び受動光電子デバイスのハイブリッド相互接続のためのアセンブリ手順を必要とするハイブリッドPICのアセンブリよりも煩雑でないことがあり、それ故、コストが低くなり得る。また、InPベースのモノリシックPICは、ハイブリッドPICの総フットプリントよりもPICの総フットプリントを小さくできる可能性がある。
【0040】
発明に従った光電子システムの一実施形態では、光電子システムは、ハイブリッドシングルダイ光電子システム又はInPベースのモノリシック光電子システムである。ハイブリッドシングルダイ光電子システム又はInPベースのモノリシック光電子システムの利点は、本発明に従った光電子システムの波長可変レーザ源、光検出器、及び制御ユニット等の光子及び電子の両方の能動機能ブロック、並びに光導波路及び電気接続素子等の光子及び電子の両方の受動コンポーネントが単一のダイ上に集積され得ることである。
【0041】
ハイブリッドシングルダイ光電子システムの利点は、III-V族半導体材料、例えば、InPベースの半導体材料を含む機能的光子及び/又は電子ブロックが、単一のダイ上にIV族半導体材料、例えば、Siベースの半導体材料を含む機能的光子及び/又は電子ブロックと共に使用され得ることである。ハイブリッドシングルダイ光電子システムの別の利点は、機能的光子及び/又は電子ブロックを例えば、その機能不全又は故障の場合に交換し得ることである。
【0042】
InPベースのモノリシック光電子システムの利点は、能動及び受動の光子及び/又は電子機能的ブロック及び/又はコンポーネントのハイブリッド相互接続に対する異なる種類のアセンブリ手順を必要とするハイブリッドシングルダイ光電子システムのアセンブリよりも、その製造が煩雑でないことがあり、それ故、安価にし得ることである。また、InPベースのモノリシック光電子システムは、光電子システムの総フットプリントを、ハイブリッドシングルダイ光電子システムの総フットプリントよりも小さくできる可能性がある。
【0043】
本発明の別の態様に従えば、発明に従った光電子システムの集積半導体ベースの波長可変レーザ源の改良された波長調整の方法が提供され、光電子システムは、光放射が放出される半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長に対する設定値を含む第1の入力を受信するように構成された制御ユニットを含み、方法は、受信された第1の入力に基づいて第1の制御設定を生成するように制御ユニットを動作させることと、所定の動作波長での光放射の放出を可能にするために、生成された第1の制御設定を半導体ベースの波長可変レーザ源に提供するように制御ユニットを動作させることと、受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を制御ユニットに提供するように光測定ユニットを動作させることと、受信された少なくとも1つの信号に基づいて、受光された光放射の動作波長を判定するように制御ユニットを動作させることと、所定の動作波長に対する所定の設定値と判定された動作波長との間の波長シフトを判定するように制御ユニットを動作させることと、判定された波長シフトに基づいて第1の調整された制御設定を生成するように制御ユニットを動作させることと、判定された波長シフトを少なくとも低減することを可能にし、それによって、半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長のロックを可能にするために、生成された第1の調整された制御設定を半導体ベースの波長可変レーザ源に提供するように制御ユニットを動作させることを含む。
【0044】
本発明に従った方法の上で定義した実施形態は、集積半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長の上述の波長ロックを実現するための外部光測定機器を使用する当技術分野で知られている解決策よりも高速な、光電子システムのPICの集積半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長をロックするための解決策を提供する。集積半導体ベースの波長可変レーザ源の波長ロックを実現するための当技術分野で知られている方法は、光ファイバとPICとのアライメント技術を含む、外部光測定機器と集積半導体ベースの波長可変レーザ源との正確な光学的アライメントを必要とする。それ故、既知の方法は非常に扱いにくく、その結果、上述の面倒な光ファイバとPICとのアライメント技術がもはや必要ないのでこれらの欠点を回避し得る本発明に従った方法よりも遅い。少なくとも、発明に従った方法の上で定義した実施形態によって提供されるより高速な波長ロックのために、光電子システムのPICの集積半導体ベースの波長可変レーザ源の初期化、較正、及びモードマッピングの内の少なくとも1つは、より高速に実施され得、その結果、外部測定機器を使用する当技術分野で知られている方法によって発生するであろうコストよりも低コストで実施され得る。更に、本発明に従った方法は、光電子システムのPICの集積半導体ベースの波長可変レーザ源のオンウェーハモードマッピングを可能にする。
【0045】
発明に従った方法の一実施形態では、制御ユニットは、半導体ベースの波長可変レーザ源によって放出される光放射の相対強度ノイズに対する設定値を含む第2の入力を受信するように構成され、方法は、受信された第2の入力に基づいて第2の制御設定を生成するように制御ユニットを動作させることと、相対強度ノイズに対する設定値を有する光放射の放出を可能にするために、生成された第2の制御設定を半導体ベースの波長可変レーザ源に提供するように制御ユニットを動作させることと、受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を制御ユニットに提供するように光測定ユニットを動作させることと、受信された少なくとも1つの信号に基づいて、受光された光放射の相対強度ノイズを判定するように制御ユニットを動作させることと、相対強度ノイズに対する設定値と判定された相対強度ノイズとの間のオフセットを判定するように制御ユニットを動作させることと、判定されたオフセットに基づいて第2の調整された制御設定を生成するように制御ユニットを動作させることと、判定されたオフセットを少なくとも低減することを可能にし、それによって、放出された光放射の所定の線幅の制御を可能にするために、生成された第2の調整された制御設定を半導体ベース波長可変レーザ源に提供するように制御ユニットを動作させることを含む。
【0046】
方法の上で定義した実施形態に従えば、制御ユニットは、半導体ベースの波長可変レーザ源によって放出される光放射の所定の線幅の制御を実現するために、判定された相対強度ノイズがフィードバック信号として使用され得ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
発明の更なる特徴及び利点は、本発明に従った光電子システム、及び本発明に従った光電子システムの集積半導体ベースの波長可変レーザ源の改良された波長調整の方法の例示的で非限定的な実施形態の説明から明らかになるであろう。
【0048】
光電子システム及び方法の説明する実施形態が本質的に単なる例示であり、保護の範囲を決して限定するものとして解釈されるべきではないことを当業者は理解するであろう。本発明の保護範囲から逸脱することなく、光電子システム及び方法の代替及び同等の実施形態を考え得、実践に移し得ることを当業者は理解するであろう。
【0049】
添付の図面シートの図が参照されるであろう。図は、本質的に概略的であり、それ故、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。更に、同一の参照番号は、同一又は類似の部分を示す。
【0050】
添付の図面シートにおいて、
【0051】
【
図1】例えば、排他的ではないが、光電気通信の用途、LIDAR又はセンサの用途に使用され得る、本発明に従った光電子システムの第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
【
図2】本発明に従った光電子システムの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
【
図3】発明に従った方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図を示す。
【
図4】発明に従った方法の第2の例示的で非限定的な実施形態のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、例えば、排他的ではないが、光電気通信の用途、LIDAR又はセンサの用途に使用され得る、本発明に従った光電子システム1の第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。光電子システム1は、シングルモードレージングを実現し、それによって、所定の動作波長で所定の線幅を有する光放射を放出するように構成可能である半導体ベースの波長可変レーザ源3を含むPIC2を含む。PIC2はまた、半導体ベースの波長可変レーザ源3によって放出された光放射を受光し、受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を提供するように構成及び配置された光測定ユニット4を含む。光電子システム1は、PIC2の半導体ベースの波長可変レーザ源3及び光測定ユニット4と動作可能に接続された制御ユニット5を更に含む。制御ユニット5は、光放射が放出される半導体ベースの波長可変レーザ源3の所定の動作波長に対する設定値を含む第1の入力を受信することと、受信された第1の入力に基づいて第1の制御設定を生成することと、所定の動作波長での光放射の放出を可能にするために、生成された第1の制御設定を半導体ベースの波長可変レーザ源3に提供することと、受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を光測定ユニット4から受信することと、受信された少なくとも1つの信号に基づいて、受光された光放射の動作波長を判定することと、所定の動作波長に対する所定の設定値と判定された動作波長との間の波長シフトを判定することと、判定された波長シフトに基づいて第1の調整された制御設定を生成することと、判定された波長シフトを少なくとも低減することを可能にし、それによって、半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長のロックを可能にするために、生成された第1の調整された制御設定を半導体ベースの波長可変レーザ源3に提供することをするように構成され得る。上で論じたように、
図1に概略的に示した光電子システム1は、所定の動作波長の上に説明した波長ロックを実現するために外部光測定機器を使用する当技術分野で知られている解決策よりも高速な、集積半導体ベースの波長可変レーザ源3の所定の動作波長をロックするための解決策を提供し得る。
【0053】
図2は、本発明に従った光電子システム1の第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。PIC2の半導体ベースの波長可変レーザ源3は、バックミラーを介して光放射の所定量の光パワーの放出を可能にする部分反射率を有するように構成されたバックミラー6を含む。本発明の文脈では、バックミラー6を介して放出される光放射の所定量の光パワーは、光測定ユニット4が、受光された光放射を表す少なくとも1つの信号を、半導体ベースの波長可変レーザ源3に上述の第1の調整された制御設定を生成するための制御ユニット5に提供することを可能にするのに十分であるべきである。バックミラー6を介して放出される所定量の光パワーは、1μW(-30dBm)~10mW(10dBm)の範囲内であれば十分である。
【0054】
光測定ユニット4は、
図2に示した光電子システム1の第2の例示的で非限定的な実施形態の制御ユニット5と協働して、半導体ベースの波長可変レーザ源3の所定の動作波長のより高速でより正確なロックのために使用され得る。半導体ベースの波長可変レーザ源3のバックミラー6を介して放出された光放射は、第1の光導波路24によって、光測定ユニット4の第1の光スプリッタコンバイナユニット7の第1の端部8の第1の光インターフェース9に導かれる。第1の光スプリッタコンバイナユニット7は、受光された光放射を第1の部分と第2の部分とに分割するように構成される。
図2に示した光電子システム1の第2の例示的な実施形態に従った第1の光スプリッタコンバイナユニット7が、1×2 MMIベースの光スプリッタコンバイナユニットとして実装され得ることを当業者は理解するであろう。受光された光放射の第1の部分は、第2の光導波路25によって、第1の光スプリッタコンバイナユニット7の第2の端部10の第2の光インターフェース11から、第2の光スプリッタコンバイナユニット13の第3の端部14の第4の光インターフェース15に導かれる。受光された光放射の第2の部分は、第3の光導波路26によって、第1の光スプリッタコンバイナユニット7の第2の端部10の第3の光インターフェース12から、第2の光スプリッタコンバイナユニット13の第3の端部14の第5の光インターフェース16に導かれる。第2の光導波路25は、第3の光導波路26の第2の光路長L2とは異なる第1の光路長L1を有するので、受光された光放射の第1の部分は、第2の光スプリッタコンバイナユニット13の第3の端部14の第4の光インターフェース15において第1の位相f1を有し、受光された光放射の第2の部分は、第2の光スプリッタコンバイナユニット13の第3の端部14の第5の光インターフェース16において第2の位相f2を有し、第1の位相f1と第2の位相f2とは相互に異なる。
【0055】
図2に示した第2の光スプリッタコンバイナユニット13は、時変強度を有する3つの光信号を提供するように構成される。第2の光スプリッタコンバイナユニット13が2×3 MMIベースの光スプリッタコンバイナユニットとして実装され得ることを当業者は理解するであろう。前述の3つの光信号は、受光された光放射の第1の部分及び第2の部分に基づく。3つの光信号の内の第1の光信号は、第4の光導波路27によって、第2の光スプリッタコンバイナユニット13の第4の端部17の第6の光インターフェース18から第1の光検出器21に導かれる。第2の光信号は、第5の光導波路28によって、第2の光スプリッタコンバイナユニット13の第4の端部17の第7の光インターフェース19から第2の光検出器22に導かれ、第3の光信号は、第6の光導波路29によって、第2の光スプリッタコンバイナユニット13の第4の端部17の第8の光インターフェース20から第3の光検出器23に導かれる。3つの光検出器21、22、23の内の少なくとも1つは、InPベースのPD及び/又はInPベースのSOAを含み得る。光導波路24~29の内の少なくとも1つは、InPベースの光導波路であり得、半導体ベースの波長可変レーザ源3は、1300nm~1600nmの範囲の波長を有する光放射を提供するように構成されたInPベースの波長可変レーザ源であり得る。
【0056】
3つの光検出器21、22、23の各々は、3つの光信号の受信された個別の光信号を表す電気信号を提供するように構成される。3つの電気信号の各々は、3つの電気接続素子30、31、32の第1のセットを介して制御ユニット5に提供される。制御ユニット5は、受信された3つの電気信号の時変強度に基づいて、所定の動作波長に対する設定値と判定された動作波長と間の波長シフトを判定し、判定された波長シフトに基づいて第1の調整された制御設定を生成するように構成される。上述のように、判定された波長シフトは、2つの値の間の差として解釈されるべきである。
【0057】
生成された第1の調整された制御設定は、電気接続素子33、34、35の第2のセットを介して半導体ベースの波長可変レーザ源3に提供され、それによって、半導体ベースの波長可変レーザ源3の波長調整を可能にする制御を提供する。生成された第1の調整された制御設定は、判定された波長シフトを少なくとも低減することを可能にし、それによって、光放射が放出される半導体ベースの波長可変レーザ源3の所定の動作波長のロックを可能にする。このようにして、制御ユニット5は、一定の動作波長を維持するために半導体ベースの波長可変レーザ源3を波長調整するために使用され得る。
【0058】
PIC2は、ハイブリッドPIC又はモノリシックPICであり得、それによって上述の利点の内の何れか1つを提供する。更に、光電子システム1は、前述の利点の何れかを提供するハイブリッドシングルダイ光電子システム又はInPベースのモノリシック光電子システムであり得る。
【0059】
図3は、発明に従った方法100の第1の例示的で非限定的な実施形態のフローチャートを示し、これは、発明に従った光電子システムの集積半導体ベースの波長可変レーザ源の改良された波長調整の方法である。
図3に示したような方法100の第1の例示的で非限定的な実施形態のステップ101~107が、本明細書に開示する特徴の内の何れか1つ又は特徴の組み合わせを有する光電子システム1に関連し得ることを当業者は理解するであろう。したがって、
図1及び
図2の開示、並びに光電子システム1の上に説明した態様は、方法100の第1の例示的で非限定的な実施形態の現在の論考にこれにより組み込まれる。
【0060】
図3に示した方法100のステップ101~107は、集積半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長の上述の波長ロックを実現するために外部光測定機器を使用する当該技術で知られている解決策よりも高速の、発明に従った光電子システムのPICの集積半導体ベースの波長可変レーザ源の所定の動作波長をロックするための解決策を提供する。少なくとも、
図3に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態に従ったステップ101~107によって提供されるより高速な波長ロックのために、光電子システムのPICの集積半導体ベースの波長可変レーザ源の初期化、較正、及びモードマッピングの内の少なくとも1つは、より高速に実施され得、その結果、外部測定機器を使用する当技術分野で知られている方法によって発生するであろうコストよりも低コストで実施され得る。更に、
図3に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態は、本発明に従った光電子システムのPICの集積半導体ベースの波長可変レーザ源のオンウェーハモードマッピングを可能にする。
【0061】
図4は、発明に従った方法100の第2の例示的で非限定的な実施形態のフロー図を示す。
図4に示した方法100のステップ108~114は、本発明に従った光電子システムの半導体ベースの波長可変レーザ源によって放出される光放射の所定の線幅の制御を実現するために、判定された相対強度ノイズがフィードバック信号として使用され得ることを可能にする。
図4に示した方法100の第2の例示的で非限定的な実施形態の利点は、発明に従った光電子システムの光測定ユニットのコンポーネントが、相対強度ノイズをフィードバック信号として使用することを可能にするために、光電子システムの半導体ベースの波長可変レーザ源のキャビティモード間隔よりも高い帯域幅を有する必要がないことである。
図4に示した方法100の第2の例示的で非限定的な実施形態の別の利点は、半導体ベースの波長可変レーザ源によって放出される光放射の線幅の直接測定又は光スペクトルの直接測定を省き得ることである。
図4に示した方法100の第2の例示的で非限定的な実施形態の更なる利点は、半導体ベースのレーザ源によって放出される光放射の線幅の高速かつ正確な制御を提供することである。
【0062】
本発明の範囲が以前に論じた例に限定されず、添付の特許請求項の範囲により定義されるような本発明の範囲から逸脱することなくそれらの幾つかの修正及び変更が可能であることは当業者には明らかであろう。特に、本発明の様々な態様の特定の特徴の組み合わせをなし得る。発明の一態様は、発明の別の態様に関連して説明した特徴を追加することによって、更に有利に強化され得る。本発明は、図及び説明において詳細に例証及び説明されてきたが、そうした例証及び説明は、例証又は例示であり、限定的ではないとみなすべきである。
【0063】
本発明は、開示した実施形態に限定されない。開示した実施形態に対する変形は、図、説明、及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求された発明を実践する当業者によって理解され得、実施され得る。特許請求の範囲において、単語“含む”は、その他のステップ又は要素を除外せず、不定冠詞“a”又は“an”は複数を除外しない。幾つかの手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを指し示さない。特許請求の範囲の何れの参照番号も、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。