(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】有軌道台車
(51)【国際特許分類】
B65B 63/00 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
B65B63/00
(21)【出願番号】P 2022500713
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2020068614
(87)【国際公開番号】W WO2021004866
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-13
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・パーソン
(72)【発明者】
【氏名】アーランド・アンナーフェルト
(72)【発明者】
【氏名】マッツ・エリクソン
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03476773(EP,A1)
【文献】米国特許第05492066(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0303717(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017108572(DE,A1)
【文献】特開平07-156794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装体用成形密封機(1)内で搬送体(10)を移送するための有軌道台車(100)であって、
軌道(200)の各側に分配配置される1セットの離間配置された車輪(130)を含み、
前記軌道(200)の第1の側に配置される第1のサブセットの前記車輪(132ab)は、前記軌道(200)の反対側に配置される第2のサブセットの前記車輪(134a-b)に向けてばね付勢され
、
前記第1のサブセットの前記車輪(132a-b)を前記第2のサブセットの前記車輪(134a-b)に向けて付勢するように配置されたばね(160)を更に含み、
前記第1のサブセットの車輪の各車輪(132a-b)は、前記有軌道台車(100)に枢動可能に接続された車輪支持部材(140)によって回転可能に支持され、
前記車輪支持部材(140)は、関連する車輪(132a、132b)の回転軸線(R)から離れたピボット継手(150)において台車(100)に枢動可能に接続され、
前記ピボット継手(150)は、前記車輪支持部材(140)の中空シャフト(144)によって形成され、前記中空シャフト(144)は、前記有軌道台車(100)に固定して取り付けられた棒状部材(150)を取り囲み、
前記中空シャフト(144)のみならず、前記棒状部材(150)も、前記関連する車輪(132a、132b)の前記回転軸線(R)に平行な方向に延び、
前記棒状部材(150)は、前記棒状部材(150)のそれぞれの端部において前記有軌道台車(100)に固定され、
ばね(145)は、垂直方向(V)において、前記車輪支持部材(140)を上方に付勢する、
有軌道台車(100)。
【請求項2】
前記第1のサブセットの車輪は、2つの車輪(132a-b)を含む、請求項1に記載の有軌道台車(100)。
【請求項3】
前記第1のサブセットの前記車輪(132a-b)は、前記軌道(200)の長手方向に離間配置される、請求項1又は2に記載の有軌道台車(100)。
【請求項4】
前記第1のサブセットの各車輪(132a-b)は、前記
有軌道台車(100)によって別個に支持される、請求項2又は3に記載の有軌道台車(100)。
【請求項5】
前記第2のサブセットの前記車輪(134a-b)の位置は固定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の有軌道台車(100)。
【請求項6】
前記ピボット継手(150)は、前記関連する車輪(132a、132b)の前記回転軸線(R)から、前記軌道(200)
の長手方向に、距離をおいて配置される、請求項
1に記載の有軌道台車(100)。
【請求項7】
前記棒状部材(150)を取り囲む前記中空シャフト(144)の長さは、少なくとも5c
mである、請求項
1に記載の有軌道台車(100)。
【請求項8】
前記
有軌道台車(100)に対する前記車輪支持部材(140)の位置を固定するように構成された係止部材(170)を更に含む、請求項
1~
7のいずれか一項に記載の有軌道台車(100)。
【請求項9】
各車輪(132a-b、134a-b)は、使用時に水平面内で回転するように配置される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の有軌道台車(100)。
【請求項10】
共通のばね(160)は、前記第1のサブセットの車輪の全ての車輪(132a-b)を付勢するために設けられる、請求項
1に記載の有軌道台車(100)。
【請求項11】
請求項1~1
0のいずれか一項に記載の少なくとも1つの有軌道台車(100)を含む、成形密封機(1)。
【請求項12】
前記有軌道台車(100)は、前記軌道(200)によって案内されるように構成され、
使用中、前記軌道(200)は、本質的に水平面内に延びており、
前記有軌道台車(100)は、前記垂直方向(V)に延びる接続面(110)を有する、
請求項1に記載の有軌道台車(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、成形密封機内で、食品包装体などの、半完成包装体を搬送する搬送体を移送するための、有軌道台車に関する。
【背景技術】
【0002】
食品用のカートンベースの包装体の分野では、概して2つの主な種類のシステム、すなわちロール供給システム及びブランク供給システムがある。ロール供給システムによって形成された包装体の例は、Tetra Pakによって販売されているTetra Brik(登録商標)であり、ブランク供給システムによって形成された包装体の例は、Tetra Pakによって販売されているTetra Recart(登録商標)又はTetra Rex(登録商標)である。
【0003】
ロール供給システムでは、包装材料のロールが成形密封機に供給される。ロールは筒状に成形され、次いで、筒には液状食品が充填される。筒の下側充填部に横断方向の封止部を連続して作成し、その後、筒の下部を切断することによって、包装体を形成することができる。
【0004】
カートンブランク供給システムでは、包装材料は、システムに供給される前に、各ブランクが1つの包装体を形成するのに必要な包装材料に相当する、別個の断片又はブランクに切断することによって、且つ包装材料の各断片がスリーブ状カプセル又は筒状体に成形されるように長手方向の封止部を設けることによって準備される。折り曲げを容易にするために、包装材料に弱化線が設けられ得る。
【0005】
レトルト可能な、液状又は半固形又は湿潤食品用の成形密封機では、いわゆるTetra Recart(登録商標)包装体では、包装材料のスリーブ状体は、通常は開口部が垂直方向に位置合わせされるような直立位置で、マガジン内に入れられる。包装材料のスリーブ状体がマガジンから取り出され、組み立てられ、カセット又は搬送体内に入れられる。搬送体は、矩形断面が形成されるような位置に包装材料のスリーブ状体が保たれることを確実にする。矩形スリーブは、包装体の充填及び成形中に搬送体内に位置決めされる。成形密封機の高速動作のため、搬送体は閉軌道回路に沿って移動している。包装材料のスリーブ状体は、閉回路の1つの位置において取り出され、その一方で、充填済みの包装体は、閉回路の下流位置において搬送体から吐出される。搬送体が空になったときに、搬送体は、包装材料の別のスリーブ状体を受け入れるために最終的に取り出し位置に戻る。
【0006】
搬送体は、搬送体が取り外し可能に接続される、搬送台車を用いて移送される。台車は、成形密封機の種々のステーションを通して搬送体(及び関連する包装材料のスリーブ状体)を移送するために、軌道に沿って駆動される。第1のステーションは、開放端部を備えた包装体が形成されるように、包装材料のスリーブ状体の一端部を閉鎖して密封するように構成される。次に、台車は、開放端部を通して開放端部の包装体に食品が充填される第2のステーションを通して包装体を移送し、最終的に、台車は、包装体の開放端部が密封されて閉鎖される第3のステーションを通して搬送体を移送する。次いで、包装体が搬送体から取り外され、コンベヤベルトなどの、他の手段によって成形密封機内で下流側に、包装体が最終形状を取得する、最終折り曲げステーションまで包装体を更に移動させる。
【0007】
台車もまた閉回路内に配置される。典型的な用途では、76台以上の台車が、閉回路軌道に沿って走行している。
【0008】
各台車は、軌道に係合する4つの車輪、すなわち軌道の各側の2つの車輪によって支持される。台車の正確な位置決めが非常に重要である。それゆえ、軌道に向けての車輪の予張力を制御することが重要である。車輪が軌道にあまりにも強固に押し付けられた場合、成形密封機全体が始動しないリスクがある。その一方で、車輪の押圧力があまりにも小さい場合には、車輪が、摺動することも、転動することもある。このことは、車輪/軌道の境界面の摩耗も増加につながり、次いで、台車/搬送体/包装体の不正確な位置決めにつながる。搬送体及び包装体の不正確な位置決めの1つの明らかな結果は、食品が包装体の外側にも充填され得ることである。
【0009】
現在の成形密封機では、操作者は、各台車の車輪を正確に付勢することを確実にしなければならない。車輪と軌道との係合を調整する能力を提供するために、軌道の一方側の2つの車輪は、台車上に支持される。これらの2つの車輪をきつく締めることによって、台車の付勢が調整される。
【0010】
しかしながら、76台の台車を有する場合には、調整すべき車輪は152個になる。調整にはある程度の時間が必要であり、台車の調整中に機械を数時間シャットダウンさせることは珍しくない。
【0011】
機械の休止時間は、極めて望ましくないものであり、回避すべきものであるので、改良された台車が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、上記に示した先行技術の限界の1つ又は複数を少なくとも部分的に克服することである。特に、本課題は、調整に必要な時間を大幅に削減するとともに台車及び/又は関連する軌道の摩耗のリスクを低減する台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために、有軌道台車が提供される。包装体用成形密封機内で搬送体を移送するように構成される、台車は、軌道の各側に分配配置される1セットの離間配置された車輪を含み、軌道の第1の側に配置される第1のサブセットの車輪は、軌道の反対側に配置される第2のサブセットの車輪に向けてばね付勢される。
【0014】
台車は、車輪を軌道に向けて自動的に付勢することが達成される点で有利であり、それにより、手動調整を完全に不要にする。
【0015】
第1のサブセットの車輪は、2つの車輪を含んでもよく、第1のサブセットが車輪を1つだけ含む場合と比較して、軌道に沿った台車の改善された案内が達成される点で有利である。
【0016】
実施形態では、第1のサブセットの車輪は、軌道の長手方向に離間配置される。これにより、軌道に対する台車の傾斜が防止される。
【0017】
第1のサブセットの各車輪は、台車によって別個に支持されてもよい。各車輪が別個に支持されることは、各車輪が他の任意の車輪の移動とは別に移動できる点で有利であり、それにより、許容差などに対応することが可能である。
【0018】
実施形態では、第2のサブセットの車輪の位置は固定される。それにより、特に第1のサブセットの可動車輪についての、静止基準が得られる。
【0019】
第1のサブセットの車輪の各車輪は、台車に枢動可能に接続された車輪支持部材によって回転可能に支持されてもよい。それにより、車輪の堅牢な装着が達成される。
【0020】
実施形態では、台車支持部材は、関連する車輪の回転軸線から離れたピボット継手において台車に枢動可能に接続される。それにより、軌道に向けて付勢力を加えるための非常に信頼性の高い解決策であるだけでなく、第1のサブセットの車輪用のばね付勢機構全体を収容する追加の空間も作り出す、車輪の偏心運動がもたらされる。
【0021】
ピボット継手は、関連する車輪の回転軸線から、軌道の長手方向に、距離をおいて配置されてもよい。そして、付勢力は、レバーアームに作用している。
【0022】
ピボット継手は、関連する車輪の回転軸線に平行な方向に延びてもよい。それにより、堅牢性の向上が達成される。
【0023】
実施形態では、ピボット継手は、そのそれぞれの端部において回転可能に軸支される。これにより、軸支位置間に比較的大きな距離が生じるので、非常にねじれのある堅固且つ堅牢な装着がもたらされる。
【0024】
台車は、台車に対する車輪支持部材の位置を固定するように構成された係止部材を更に含んでもよい。この係止部材は、軌道への台車の装着を容易にし、また、付勢力が除去されたときでも台車が軌道に位置することを確実にする。
【0025】
各車輪は、使用時に水平面で回転するように配置されてもよい。台車は、第1のサブセットの車輪を第2のサブセットの車輪に向けて付勢するように配置されたばねを更に含んでもよい。
【0026】
共通のばねは、第1のサブセットの車輪の全ての車輪を付勢するために設けられてもよい。それにより、減少した数の構成要素が使用され、共通のばねはまた、第1のサブセットの全ての車輪に同じ付勢力が加わることを確実にする。
【0027】
第2の態様によれば、成形密封機が提供される。成形密封機は、第1の態様による少なくとも1つの有軌道台車を含む。
【0028】
本発明の更に他の目的、特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【0029】
ここで、本発明の実施形態について、添付の概略図を参照しながら例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】実施形態による台車によって搬送される搬送体の斜視図である。
【
図4】
図3に示す有軌道台車の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照すると、成形密封機1の例が図示されている。成形密封機1は、「背景技術」の項で説明したように、カートンブランク供給システム型であり、すなわち、成形密封機1には、予め切断されたカートンブランクから形成されたスリーブ状体が供給される。包装材料のスリーブ状体から包装体を形成して密封するために、成形密封機1は、5つの異なるステーションに分割される。送り込みステーション2は、包装材料の平坦なスリーブ状体を装填して包装材料のスリーブ状体を第1の密封ステーション3内に供給するように構成される。第1の密封ステーション3は、対象とする製品を半完成包装体に充填できるように、組み立てられたスリーブ状体の一端部を密封するように構成される。充填は、市販されている回転型とすることができる、充填ステーション4であって、1つ若しくは複数のコンベヤ7、又は半完成包装体を充填ステーション4に及び充填ステーション4から移送するための他の好適な手段を用いて、上流側の密封ステーション3に接続される、充填ステーション4を用いて達成される。充填後に、半完成包装体は、包装体の開放端部を密封するように構成された第2の密封ステーション5に移送される。最終成形ステーション6は、充填済みの密封された包装体を受け取って、最終成形を行う、例えば、密封された端部を折り曲げて矩形包装体をもたらす。
【0032】
上記で説明したステーション2~5を通しての(又はステーション2~5間の)移送中に、各半完成包装体は搬送体によって搬送され、次いで、搬送体は、有軌道台車によって駆動される。
【0033】
図2に移ると、搬送体10が示されている。搬送体10は、内壁12と、内壁12から延びる2つの側壁14a-bとを有する。各側壁14a-bは、相対向する側壁14a-bに向かって直交方向に延びる凸部16を有する。凸部16は、搬送される包装体20が搬送体10から脱落するのを防止するために、それぞれの側壁14a-bの先端部に配置される。
【0034】
内壁12及び側壁14a-bは、形成される包装体20の形状を画定する。
図2で分かるように、包装体20は、密封されて半形成された下端部18を有し、その結果、包装体20は、2つの相対向するフラップ18a-b上に直立しており、矩形状で上方に延びる。下側密封端部18は、実際には、最終的な包装体の上端部であり、このことは、包装体20のまだ開放している端部19が、包装体20の底端部を最終的に形成することを意味する。
【0035】
図1の成形密封機1を参照すると、
図2の搬送体10によって搬送される包装体20は、充填ステーション4の直前、内、又は直後の位置に対応する形状及び構成を有する。
【0036】
成形密封機1を通して包装体20を案内するために、搬送体10は、台車100に取り付けることができる。
図3~
図6には、この目的に好適な台車100の例が示されている。
【0037】
最初に
図3を参照すると、台車100は、軌道200によって案内されるように構成される。使用中に、軌道200は、本質的に水平面内に延びる。台車100は、垂直方向Vに延びる接続面110を有する。接続面110は、搬送体10の内壁12の裏側(外面)に接触するように設計され寸法決めされる。
【0038】
接続面110は、支持体120に接続される上部分112を有する。支持体120は、接続面110、112に対して本質的に直交して、すなわち、軌道200と同じ平面内に延びる。支持体120は、接続面110に対する固定位置を有し、且つ台車100は、1セットの離間配置された案内輪130を支持するように構成される。案内輪130は、軌道200の各側に分配配置され、且つ第1のサブセットの案内輪132a-bと第2のサブセットの案内輪134a-bとを含む。
【0039】
第1のサブセットの車輪132a-bは、軌道200の第1の側に配置され、その一方で、第2のサブセットの車輪134a-bは、軌道200の反対側に配置される。
【0040】
第2のサブセットの案内輪134a-bは、支持体120によって支持され、且つ第2のサブセットの案内輪134a-bは、1つ又は複数の固定された案内輪134a-bを含む。支持体120に対して自由に回転する(が、さもなければ支持体120に対して所定位置に固定される)、案内輪134a-bは、軌道200の同じ側に配置される。
【0041】
第1のサブセットの車輪132a-bは、軌道200の同じ側に配置されるが、第2のサブセットの車輪134a-bの側とは反対側に配置される。固定位置を有する代わりに、第1のサブセットの車輪132a-bは、軌道200が第1のサブセットの車輪132a-bと第2のサブセットの134a-bとの間に挟持されるように、第2のサブセットの車輪134a-bに向けてばね付勢される。これを達成するために、第1のサブセットの車輪132a-bは、支持体120によってではなく、代わりに、1つ又は複数の車輪支持部材140によって支持される。各車輪支持部材140は、台車100に、接続面110に、且つ/又は支持体120に枢動可能に接続される。
【0042】
車輪支持部材140は、
図4に更に詳細に示されている。各車輪支持部材140には、ばね160との係合のための垂直凸部142と、車輪132a(
図3を参照)を支持するためのボア143と、車輪支持部材140に対する回転支持を形成する、棒状部材150(
図5を参照)によって支持された中空シャフト144とが設けられる。シャフト144は、関連する車輪132aの回転軸線Rに本質的に平行な方向に、台車100の接続面110の主要部に沿って延びる(
図3を参照)。中空シャフト144は、棒状部材150のそれぞれの端部において接続面110、112に取り付けられる棒状部材150を取り囲み、それにより、車輪支持部材140全体が回転可能に軸支されることを可能にする。
【0043】
棒状部材150、したがって車輪支持部材140のシャフト144は更に、関連する車輪132a-bの回転軸線Rから、軌道200の長手方向に、距離をおいて配置される。
【0044】
車輪支持部材140の更なる詳細、及び台車100への車輪支持部材140の取り付けが
図5に示されている。棒状部材150は、底端部にのみならず、上端部において台車100に固定して取り付けられる。車輪支持部材140は、棒状部材150にその全長にわたって装着される。ばね145は、垂直方向Vにおいて、車輪支持部材140を上方に付勢する(
図3を参照)。車輪支持部材140が長手方向に延びる棒状部材150によって案内されるので、非常に堅固な接続が得られ、車輪支持部材140がその垂直整列から外れて傾斜するのを防止する。このような堅固な接続が実現されるように、シャフト144が棒状部材150に沿って一定の長さにわたって延びることを可能にすることが必要とされる。好ましい実施形態では、棒状部材150を取り囲む中空シャフト144の長さは、少なくとも5cm、例えば6~12cm、例えば8~12cmである。
【0045】
ここで
図6に移ると、台車100の更なる詳細が説明される。
図6に明確に示すように、軌道200は、第1のサブセットの車輪132a-bと第2のサブセットの車輪134a-bとの間に配置される。第1のサブセットの各車輪132a-bは、棒状部材150を取り囲む中空シャフト144によって形成されたピボット継手を用いて枢動することができ、このピボット継手は、関連する車輪132a-bの回転軸線Rから距離をおいて配置される(
図3を参照)。このことは、第1のサブセットの各車輪132a-bを軌道200に密着させて位置決めできることを意味する。
【0046】
説明する実施形態では、そのような動きは、ばね160によって達成される。ばね160は、この実施形態では、金属ワイヤの形態であり、
図6に図示するように湾曲形状に曲げられている。ばね160は、支持体120の上に、好ましくは水平面内に配置される。ばね160の第1の端部は、前輪支持部材140に係合し、その一方で、ばね160の他端部は、後輪支持部材140に係合する。このために、各車輪支持部材140には、その垂直凸部142が設けられる。図示の実施形態では、ばね160は、各車輪支持部材140に個別に作用し、このことは、各車輪支持部材140が、他の車輪支持部材140の位置を変えずに移動できることを意味する。
【0047】
ばね160の位置を固定するために、支持体120には、複数の操向ピン122が更に設けられる。
【0048】
ばね160の無負荷時の形状は、それぞれの車輪支持部材140の2つの相対向する垂直凸部142間の水平距離よりも若干小さいので、ばね160を凸部142の周囲に位置決めするにはばね160の伸長が必要となる。よって、ばね160は、凸部142を互いに向けて付勢し、それぞれの車輪支持部材140を枢動させ、それにより、第1のサブセットの車輪132a-bを軌道200に向けて移動させる。典型的な用途では、ばね力は、50~60Nなどの、25~75Nの範囲にある。
【0049】
図6から分かるように、車輪支持部材140の垂直凸部142はまた、係止部材170の一部を形成する。係止部材170は、台車100に対する、すなわち支持体120に対する車輪支持部材140の位置を固定するように構成される。図示の実施形態では、係止部材170は、車輪支持部材140の垂直凸部142と、支持体120の垂直凹部124と、垂直凸部142に係合する凹部と凹部124に係合する突出ピンとを有する接続部材172とを含む。支持体120の凹部124は、好ましくは楕円形であり、接続部材172の突出ピンよりも実質的に大きい。それにより、車輪支持部材140と支持体120との相対的であるが制限された運動が可能になる。
【0050】
説明する実施形態では、台車100には、1セットの4つの案内輪132a-b、134a-bが設けられる。しかしながら、台車には別の数の車輪が設けられ、特定の用途に応じて正確な数が選択されてもよいことを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、軌道200の各側に車輪が1つだけあれば十分であり、その一方で、他の実施形態では、軌道200の一方側に3つ以上の車輪が必要となる。
【0051】
第1のサブセットの車輪132a-bにばね力を加えるための他の手段も考慮され、ある特定の実施形態のために使用されてもよい。例えば、各車輪支持部材140は、車輪支持部材140を軌道200に向けて引っ張る車輪支持部材140自体のばねに接続することができる。それにより、車輪支持部材140を別個に付勢することが達成される。別の実施形態では、単一のばねは、支持体120への接続なしに、両方の車輪支持部材140に接続し、車輪支持部材140を互いに向けて引っ張るように構成することができる。
【0052】
上記の説明から、本発明の種々の実施形態が説明され示されているが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に定義された主題の範囲内において他の方法でも具現化されてもよい。