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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】重合性液晶の組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/10 20060101AFI20241001BHJP
   C07D 241/44 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 209/88 20060101ALI20241001BHJP
   C07D 277/82 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C08F220/10
C07D241/44
C07D209/88
C07D277/82
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022513197
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2020073585
(87)【国際公開番号】W WO2021037774
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】19194021.2
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518163910
【氏名又は名称】ロリク・テクノロジーズ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ROLIC TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シャペレ,サブリナ
(72)【発明者】
【氏名】フランツ,リチャード
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/147904(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/114252(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/114255(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/126113(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0002374(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00 - 19/44
C08F 6/00 -246/00
C08F301/00
C08G 59/00 - 59/72
C08K 19/34
G02F 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化6】

[式中、
環CおよびDは、互いに独立して、フェニル、ビフェニル、ナフチル、シクロアルキル、ビシクロヘキシル、
【化7】

からなる群より選択され;
環Eは、フェニル、ビフェニルおよびナフチルからなる群より選択され;
環Fは、式(IIa)、(IIb)または(IIc):
【化8】

{式中、「*」は、式(I)で示される化合物の窒素原子への結合を表す}
で示される基からなる群より選択され;
およびXは、互いに独立して、水素、C-C12置換または非置換直鎖または分岐アルキル鎖、C-C12置換または非置換直鎖または分岐アルケニル鎖およびC-C12アルコキシからなる群より選択され、ここで、1個または複数個の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR-、-CON-に置き換わっていてもよく、式中、Rは、C-C12アルキル基である;または
およびXは、互いに独立して、式(III):
【化9】

{式中、nは、0~24の間の整数であり;そして、式中、1個または複数個の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR-、-CON-に置き換わっていてもよく、式中、Rは、C-C12アルキル基であり;そして
PGは、CH=C(Ph)-、CH=CW-COO-、CH=CH-COO-Ph-、CH=CW-CO-NH-、CH=CH-O-、CH=CH-OOC-、Ph-CH=CH-、CH=CH-Ph-、CH=CH-Ph-O-、R-Ph-CH=CH-COO-、R-OOC-CH=CH-Ph-O-および2-W-エポキシエチルからなる群より選択される重合性基を表し;式中、Wは、H、Cl、Phまたは低級アルキルを表し、Rは、低級アルキルを表すが、ただし、Rがフェニレン基(-Ph-)に付いている場合は、水素または低級アルコキシも表してもよい}
で示される基によって表され;
Yは、H、または1~12個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基からなる群より選択され;
、RおよびRは、互いに独立して、水素、C-C12直鎖または分岐アルキル鎖、C-C12アルケニル、C-C12アルコキシ、C-C12アルケニルオキシ、-(CH-C(CH、NO、CN、COR、-COOR、-OCOR、-CONR’R、-NR’COR、OCOOR、-OCONR’R、-NR’COOR、-F、-Cl、-CFおよび-OCFからなる群より選択され;
式中、
mは、0~12の間の整数であり;
Rは、水素、C1-18アルキル基、3位以上に二重結合を有するC3-18アルケニル基、-(CH-C-(CF、CNおよび非置換または置換フェニル環からなる群より選択され、ここで、フェニル環の置換基は、C-C直鎖または分岐アルキル鎖、C-Cアルコキシ、-C-(CH、ハロゲン、-CF、NO、CN、COR’’’、-COOR’’’、-OCOR’’’、-CONR’’R’’’、-NR’’COR’’’、OCOOR’’’、-OCONR’’R’’’、-NR’’COOR’’’、-F、-Cl、-CFおよび-OCFからなる群より選択され;
式中、
R’’は、水素、低級アルキル基および低級アルケニル基からなる群より選択され;
R’’’は、水素、C1-18アルキル基、および3位以上に二重結合を有するC3-18アルケニル基からなる群より選択され;
pは、0~12の間の整数であり;
R’は、水素、低級アルキル、低級アルケニルおよび低級アルコキシからなる群より選択され;
式中、
nは、0、1、2または3であり;
Zは、水素、1~20個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基、2~20個の炭素原子を有する置換または非置換アルケニル基、3~12個の炭素原子を有する置換または非置換シクロアルキル基、2~20個の炭素原子を有する置換または非置換アルキニル基からなる群より選択され、ここで、1個または複数個の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR-、-CON-、-CO-R、-NH-Rに置き換わっていてもよく、式中、Rは、C-C12アルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基、または少なくとも1つの芳香族環を含む2~30個の炭素原子を有する有機基、または2~20個の炭素原子を有する置換または非置換アルケニル基、または3~12個の炭素原子を有する置換または非置換シクロアルキル基である]
で示される少なくとも2つの異方性化合物を含む組成物であって、第一の異方性化合物において、環Fが式(IIa)で示され、第二の異方性化合物において、環Fが式(IIb)または(IIc)で示される、組成物。
【請求項2】
環CおよびDが、互いに独立して、フェニル、シクロヘキシル、
【化10】

からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
nが、0~12の間の整数である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
nが、4~8の間の整数である、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
式(III)で示される基において、1個または複数個の炭素原子が-O-に置き換わっている、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
、RおよびRが、互いに独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルケニルオキシ、-Fおよび-CFからなる群より選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
、RおよびRが、互いに独立して、水素、メチル、メトキシ、-F、-C-(CHおよび-CFからなる群より選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
環Eがフェニルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
Zが、水素、1~12個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基からなる群より選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
PGが、アクリレート基またはメタクリレート基を表す、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
異方性化合物が、架橋した形態または重合した形態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物を含む、LCPネットワーク。
【請求項13】
光学デバイスまたは電気光学デバイスの製造における、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物または請求項12に記載のLCPネットワークの使用。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物または請求項12に記載のLCPネットワークを含む、光学デバイスまたは電気光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、少なくとも2つの異なる重合性の異方性液晶(LCP)化合物を含む新規組成物、そのようなLCP化合物を含む製剤、およびそのようなLCP組成物を含む光学フィルムに関する。本発明に係る組成物を含む光学フィルムは、広波長域にわたって偏光の逆位相差パターンを示す。最後に、本発明は、例えば、平面ディスプレイ、TV、スマートフォン、タブレットなどの、そのような組成物を含むまたはそのような組成物を含む光学フィルムを含む光学的に異方性の物品に関する。
【0002】
硬化性LCP化合物から調製される光学フィルム(LCPフィルム)は、当業者に周知であり、光学デバイスの作製において使用される。光学フィルムの例は、位相差フィルムまたは偏光子である。位相差フィルムは、通過した光の偏光状態を変化させる光学素子の一種である。光が位相差フィルムを通過すると、フィルムの複屈折および厚さにより光の偏光方向が変化する。四分の一波長位相差板は、直線偏光を円偏光へと変換し、半波長位相差板は、直線偏光の振動平面を90°変換する。そのような位相差フィルムは、λ/4またはλ/2位相差が生じるように特定の単色光の変換を達成することができる。しかしながら、公知の位相差フィルムは、通過した偏光が着色偏光へと変換されるという欠点を有する。さらに、偏光白色光では各波長に対応した偏光状態分布が生じる。それゆえ、波長域全体にわたって正確なλ/4またはλ/2位相差を達成することは不可能である。そのような欠点を改善するために、短波長よりも長波長においてより高い波長分散を有するリターダフィルムを開発する必要がある。リターダとしても知られている位相差フィルムの調製における別の課題は、少量の材料で高性能フィルムを調製することである。
【0003】
それゆえ、上述したような光学フィルムの調製において使用され得る、前述の欠点が大幅に少ない新たなLCP組成物が必要とされている。本発明は、その必要性に応えるものである。
【0004】
当技術分野において数種の異方性LCP化合物がすでに知られているが、より広い波長域にわたって改善された均一な偏光変換を有する新たなLCP化合物を開発する要望が依然としてある。そのような異方性LCP化合物が数例、WO2012/147904、WO2016/104317、WO2017/043437およびJP2016/128403に開示されている。
【0005】
本発明は、少なくとも2つの異方性LCPを含む組成物、前記組成物を含むLCPネットワーク、および前記組成物または前記ネットワークを含む光学フィルムなどの光学デバイスおよび電気光学デバイスを対象にする。そのような組成物を含む光学フィルムは、驚くべきことに、LCPを1つだけ含む光学フィルムと比較して、偏光の変換においてよりいっそう効果的であることが示されている。
【0006】
LCPフィルムは、一般に、当業者に周知の方法によって製造される。これには、架橋性LCPまたはLCP組成物の有機溶液を、配向層を備えた基板上にまたはラビング技術によって事前処理されている基板上にコーティングすることが含まれる。または、液晶向けの他のアライニング技術を使用してもよい。その後、有機溶媒を除去して、良好に配向された溶媒不含のLCP層を得て、これを架橋することで、液晶性秩序構造が固定される。そのようなフィルムの所望の光学性能は、いくつかの物理的パラメーターに大きく左右され、異方性LCP材料がそれらのパラメーターを同時に満たさなければならない。そのような特性は、低い融点または融点以下に冷却されても低い結晶化傾向(過冷却)、有機溶媒中での良好な溶解性、他のLCPとの良好な混和性、配向層上での良好なアラインメント特性、ならびにチルトドメインおよびディスクリネーションを本質的に含まない基板面に対する調整可能なチルト形成能である。チルトドメインは、LCP分子の長軸が、同じ大きさであるが反対方向の基板面に対するチルト角を形成する、LCPフィルム内の領域である。ディスクリネーションは、反対のチルト角のLCP分子が隣接している隣接チルトドメインの境界線である。これらのチルトメインおよびディスクリネーションは、フィルムの均一な外見に障害と、均質でない光学性能とを生じさせる。
【0007】
発明の概要
本発明の第一の目的は、式(I)によって記載されるような少なくとも2つの異方性LCP化合物を含む組成物、ならびに前記化合物の少なくとも1つと少なくとも1つの添加剤および/または溶媒とを含む製剤を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、前記LCP組成物を含む光学フィルムおよびその調製方法、均一な偏光変換を達成する際の位相差フィルムとしての前記光学フィルムの使用、ならびに前記光学フィルムを含むデバイスおよびそれらの製造を提供することである。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の第一の態様は、式(I)で示される少なくとも2つの異方性液晶化合物を含む組成物を提供する:
【化1】

ただし、2つの液晶化合物は、異なっており、かつ、2つの異なる環Fを含み、環Fは、下記のような式(IIa)、(IIb)または(IIc)から選択されることを条件とする。
【0010】
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様のLCP組成物と少なくとも1つの溶媒および/または添加剤とを含む製剤を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、前記組成物またはLCP製剤を含むLCPネットワーク、前記LCP組成物または製剤またはLCPネットワークの使用、および前記組成物、製剤またはネットワークを含む光学デバイスまたは電気光学デバイスを提供する。
【0012】
式(I)で示される化合物において、環Fは、式(IIa)、(IIb)または(IIc)で示される基からなる群より選択される:
【化2】

[式中、「*」は、式(I)で示される化合物の環窒素原子への結合を表す;そして、式中、Zは、水素、1~20個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基、2~20個の炭素原子を有する置換または非置換アルケニル基、3~12個の炭素原子を有する置換または非置換シクロアルキル基、2~20個の炭素原子を有する置換または非置換アルキニル基からなる群より選択され、ここで、1個または複数個の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR-、-CON-、-CO-R、-NH-Rに置き換わっていてもよく、式中、Rは、C-C12アルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基、または少なくとも1つの芳香族環を含む2~30個の炭素原子を有する有機基、または2~20個の炭素原子を有する置換または非置換アルケニル基、または3~12個の炭素原子を有する置換または非置換シクロアルキル基である]
【0013】
好ましくは、Zは、水素、1~12個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基からなる群より選択される。
【0014】
式(I)、(IIa)、(IIb)および(IIc)で示される化合物において、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、C-C12直鎖または分岐アルキル鎖、C-C12アルケニル、C-C12アルコキシ、C-C12アルケニルオキシ、-(CH-C(CH、NO、CN、COR、-COOR、-OCOR、-CONR’R、-NR’COR、OCOOR、-OCONR’R、-NR’COOR、-F、-Cl、-CFおよび-OCFからなる群より選択され;
式中、
mは、0~12の間の整数であり;
Rは、水素、C1-18アルキル基、3位以上に二重結合を有するC3-18アルケニル基、-(CH-C-(CF、CNおよび非置換または置換フェニル環からなる群より選択され、ここで、フェニル環の置換基は、C-C直鎖または分岐アルキル鎖、C-Cアルコキシ、-C-(CH、ハロゲン、-CF、NO、CN、COR’’’、-COOR’’’、-OCOR’’’、-CONR’’R’’’、-NR’’COR’’’、OCOOR’’’、-OCONR’’R’’’、-NR’’COOR’’’、-F、-Cl、-CFおよび-OCFからなる群より選択され;
式中、
R’’は、水素、低級アルキル基および低級アルケニル基からなる群より選択され;
R’’’は、水素、C1-18アルキル基、および3位以上に二重結合を有するC3-18アルケニル基からなる群より選択され;
pは、0~12の間の整数であり;
R’は、水素、低級アルキル、低級アルケニルおよび低級アルコキシからなる群より選択され;
式中、
nは、0、1、2または3である。
【0015】
好ましくは、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルケニルオキシ、-F、および-CFからなる群より選択される。
【0016】
最も好ましくは、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、メトキシ、-F、-C-(CHおよび-CFからなる群より選択される。
【0017】
Yは、H、または1~12個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基からなる群より選択される。
【0018】
環CおよびDは、互いに独立して、フェニル、ビフェニル、ナフチル、シクロアルキル、好ましくはシクロヘキシル、ビシクロアルキル、好ましくはビシクロヘキシル、
【化3】

からなる群より選択される。
【0019】
好ましくは、環CおよびDは、シクロヘキシルおよびフェニル環から選択される。
【0020】
本発明の一態様では、環Cはシクロヘキシルであり、環Dはフェニルである。さらなる態様では、環CおよびDは共にフェニル環である。
【0021】
置換基XおよびXは、互いに独立して、水素、C-C12置換または非置換直鎖または分岐アルキル鎖、C-C12置換または非置換直鎖または分岐アルケニル鎖およびC-C12アルコキシからなる群より選択され、ここで、1個または複数個の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR-、-CON-に置き換わっていてもよく、式中、Rは、C-C12アルキル基である;または、置換基XおよびXは、互いに独立して、式(III)で示される基によって表される:
【化4】
【0022】
式(III)で示される基において、nは、0~24の間の整数であり、ここで、1個または複数個の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR-、-CON-に置き換わっていてもよく、式中、Rは、C-C12アルキル基である。
【0023】
式(III)で示される基における置換基PGは、CH=C(Ph)-、CH=CW-COO-、CH=CH-COO-Ph-、CH=CW-CO-NH-、CH=CH-O-、CH=CH-OOC-、Ph-CH=CH-、CH=CH-Ph-、CH=CH-Ph-O-、R-Ph-CH=CH-COO-、R-OOC-CH=CH-Ph-O-および2-W-エポキシエチルからなる群より選択される重合性基を表す;式中、Wは、H、Cl、Phまたは低級アルキルを表し、Rは、低級アルキルを表すが、ただし、Rがフェニレン基(-Ph-)に付いている場合は、水素または低級アルコキシも表してもよい。好ましくは、PGは、アクリレート基またはメタクリレート基を表す。
【0024】
好ましくは、置換基XおよびXは、水素、C-C12置換または非置換直鎖または分岐アルキル鎖、C-C12置換または非置換直鎖または分岐アルケニル鎖およびC-C12アルコキシ(環CおよびDが、互いに独立して、シクロヘキシルであるかまたはシクロヘキシルを含有する場合)からなる群より選択される。
【0025】
好ましくは、環CまたはDが、互いに独立して、芳香族環であるか、またはこれらが芳香族環を含有する場合、より好ましくは、CまたはDが、互いに独立して、フェニル環であるかまたはフェニル環を含有する場合、式(III)で示される基は、
【化5】

[式中、nは、上記と同じ意味を有する]またはそれらの対応するメタクリレートから選択される。
【0026】
「低級アルキル」という用語は、C1-6のアキラルな分岐または直鎖アルキル基を含むと理解すべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを含む。
【0027】
「低級アルケニル」という用語は、二重結合が2位以上にあるC3-6のアキラルな分岐または直鎖アルケニル基を含むと理解すべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルケニル基の例は、2-プロペニル、3-ブテニル、3-イソペンテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、4-イソヘキセニルなどを含む。
【0028】
「低級アルコキシ」という用語は、C1-6のアキラルな分岐または直鎖アルコキシ基を含むと理解すべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどを含む。
【0029】
「低級アルケニルオキシ」という用語は、二重結合が2以上にあるC3-6のアキラルな分岐または直鎖アルケニルオキシ基を含むと理解すべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルケニルオキシ基の例は、2-プロペニルオキシ、3-ブテニルオキシ、4-ペンテニルオキシ、5-ヘキセニルオキシなどを含む。
【0030】
本発明の第一の態様に係る組成物は、好ましくは、式(IIa)で示される環Fを含む少なくとも1つの化合物を含有する。
【0031】
本発明の重合性の異方性LCP化合物は、当業者に周知の手順を使用して容易に調製でき、非限定的な数例の手順を実施例に提供する。
【0032】
出発物質は、市販されているかまたは容易に調製でき、当業者に周知である。
【0033】
本出願の文脈内で使用される場合の異方性LCP化合物材料は、液晶性モノマーおよび/または液晶性オリゴマーおよび/または液晶性ポリマーおよび/または架橋液晶を含む、液晶材料を意味するものとする。液晶材料が液晶性モノマーを含む場合、そのようなモノマーは、典型的には、LCP材料において例えばアライニング層との接触またはラビングによって異方性が創出された後、重合され得る。重合は、熱処理によっておよび/または化学線(好ましくは、UV光を含む)への露光によって開始され得る。異方性LCP材料は、一種類の液晶化合物のみ含んでよいが、追加の重合性化合物および/または非重合性化合物を含んでもよく、これらの化合物のすべてが液晶化合物である必要はない。異方性LCP材料が式(I)で示される異方性LCPを複数含む場合、この材料は、本発明の文脈においてLCP組成物と呼ばれる。本発明の文脈では、LCP組成物は、式(I)で示される少なくとも2つの異方性LCPを含む。さらに、本発明に係るLCP組成物は、式(I)で示されるLCP化合物または式(I)によって記載されない異なるLCP化合物のいずれかの1つまたは複数の追加のLCP化合物を含んでもよい。また、LCP組成物が色素などの追加の非重合性化合物も含んでよいことが本発明によって想定される。光学フィルムの場合、異方性LCPモノマーは、光アライニング層の上部またはラビング処理表面の上部に適用される。光アライニング層またはラビング処理表面のアラインメント情報がLCPモノマーに転写された後、モノマーは、LCP材料を凝固するために重合および/または架橋される。
【0034】
本発明に係るLCP組成物は、前述の先行技術のLCP化合物の欠点を克服する。
【0035】
本発明のさらなる目的は、式(I)で示される少なくとも2つの異方性LCP化合物(LCP組成物)と少なくとも1つの溶媒および/または添加剤とを含む製剤に関する。添加剤は、以下から選択することができる:酸化防止剤、光開始剤などの開始剤、促進剤、色素、阻害剤、活性化剤、充填剤、連鎖移動阻害剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、伸展油、可塑剤、粘着付与剤、触媒、増感剤、安定剤、平滑剤、分散剤、高分子結合剤および/または重合によって高分子結合剤へと変換できるモノマー化合物、または、エマルジョン塗料および印刷用インクの場合、分散助剤、疎水化剤、接着剤、流れ改良剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、補助剤、着色剤、色素および顔料、硬化阻害剤、キラル添加剤、等方性もしくは異方性の蛍光色素および/または非蛍光色素、特に、二色性色素、ならびに架橋剤。
【0036】
そのような液晶組成物の調製において使用され得る溶媒は、アセトン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド(AN)、テトラヒドロフラン(THF)、1,3-ジオキソラン(DXG)、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル(EA)、1-メトキシ-2-プロパノールアセテート(MPA)、ガンマ-ブチロラクトン(BL)、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含むが、それらに限定されない。最も好ましい溶媒は、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル(EA)、1-メトキシ-2-プロパノールアセテート(MPA)、1,3-ジオキソラン(DXG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0037】
架橋剤は、1つまたは複数の相補的反応性単位または重合性基P、例えばヒドロキシル基、チオール基またはアミノ基を含有する化合物であり、それを介して、本発明に係る組成物の異方性LCPのPGと反応を行うことができる。液晶相を維持するために、架橋剤は、特許請求される組成物中に重合性液晶組成物の総重量に対して約30wt%以下であることが好ましい。
【0038】
本発明の文脈において、反応性単位または重合性基Pとしてチオールを含む適切な化合物(ポリチオールと呼ばれる)は、当技術分野において公知であるいずれであってもよい。ポリチオールとして、1分子あたり2個以上のチオール基を有する分子を含むあらゆる化合物を使用することができる。ポリチオールは、約50~約20,000の範囲の分子量を有する。
【0039】
好ましくは、ポリチオールは、モノマー脂肪族ポリチオール、オリゴマーポリチオールおよびポリマーポリチオールである。
【0040】
好ましいポリチオールは、二官能性チオール、三官能性チオール、四官能性チオールまたは多官能性チオールに関する。
【0041】
好ましいポリマーポリチオールは、例えば、ポリプロピレンエーテルグリコール(例えばPluracol P201、Wyandotte Chemical Corp.)とベータ-メルカプトプロピオン酸からエステル化によって調製される、ポリプロピレンエーテルグリコールビス(ベータ-メルカプトプロピオナート)である。ポリ-アルファ-メルカプト酢酸エステルまたはポリ-ベータ-メルカプトプロピオン酸エステル、とりわけトリメチロプロパントリエステルまたはペンタエリトリトールテトラエステルが好ましい。
【0042】
好ましいアルキルチオール官能性化合物は、例えば、1,2-ジメルカプトエタン、1,6-ジメルカプトヘキサン、デカメチレンジチオールなどである。チオール末端化ポリスルフィド樹脂を用いてもよい。
【0043】
好ましい脂肪族ジチオールは、1,2-エタンジチオール、ブタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、ジチオエリトリトール、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール、1,8-オクタンジチオール、ヘキサンジチオール、ジチオジグリコール、ペンタンジチオール、デカンジチオール、2-メチル1,4ブタンジチオール、ビス-メルカプトエチルフェニルメタン、1,9-ノナンジチオール(1,9-ジメルカプトノナン)、グリコールジメルカプトアセテートを含む。
【0044】
好ましいオリゴマージチオールは、Shustackによる米国特許第5744514号に記載されているような、ヒドロキシエチルメルカプタン、ヒドロキシプロピルメルカプタン、ジメルカプトプロパン、ジメルカプトエタンのエンドキャッピング部分から誘導される二官能性メルカプト官能性ウレタンオリゴマーを含む。
【0045】
好ましいトリチオール官能性化合物は、トリメチロールエタントリス-メルカプトプロピオナート、トリメチロールプロパントリス-メルカプトプロピオナート(TMPTSH)、トリメチロールエタントリス-メルカプトアセテート、およびトリメチロールプロパントリス-メルカプトアセテート、グリセロールトリ(11-メルカプトウンデカノエート)、トリメチロールプロパントリ(11-メルカプトウンデケート)を含む。
【0046】
好ましい四官能性チオールは、ペンタエリトリトールテトラメルカプトプロピオナート、ペンタエリトリトールテトラメルカプトアセテート、およびペンタエリトリトールテトラ(11-メルカプトウンデケート)を含む。
【0047】
液晶フィルムの機械的強度を高めるために、または耐化学性を高めるために、またはその両方を高めるために、2個以上の重合性基を有する化合物を組成物に添加することが好ましい。フィルムの基板への接着を高めるために、極性基を側鎖および/または一方の末端位置に有する架橋剤を組成物に添加することが好ましい。
【0048】
そのような化合物の例は、当業者に周知であり、先行技術に、例えば、特許出願US 2017/0174992、WO 2018/099883またはWO 2008/077261に記載されている。
【0049】
これらの架橋剤は、通常、光重合可能であり、例えば、少なくとも1つのオレフィン系二重結合を含有する単官能性化合物、二官能性化合物および多官能性化合物を含む。その例は、カルボン酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)およびジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸)のビニルエステル、単官能性アルコール(例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコールおよびステアリルアルコール)のアリルおよびビニルエーテルならびにメタクリル酸およびアクリル酸エステル、ならびに二官能性アルコール(例えば、エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオール)のジアリルおよびジビニルエーテルである。
【0050】
さらなる例は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸、スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、脂肪酸ビニルエステル、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸、アルキルの炭素数が1~18である(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシアルキルの炭素数が1~18である(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、アミノアルキルの炭素数が1~18である(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル、エーテル酸素含有アルキルの炭素数が3~18である(メタ)アクリル酸のエーテル酸素含有アルキルエステル、N-ビニルアセトアミド、p-t-ブチルビニルベンゾエート、N,N-ジメチルアミノビニルベンゾエート、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、2,2-ジメチルブタン酸ビニル、2,2-ジメチルペンタン酸ビニル、2-メチル-2-ブタン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、2-エチル-2-メチルブタン酸ビニル、ジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2-アクリロイルオキシエチルスクシネート、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタアクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(2~100の重合度を有し、ジ(メタ)アクリレートエステルまたは1~6個の炭素を有するアルキル基でキャッピングされている)、およびポリエチレングリコールとエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドとのコポリマーのモノ(メタ)アクリレートエステルなどを含み、これらは、単官能性化合物である非液晶重合性化合物である。
【0051】
二官能性化合物の例は、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA EO付加ジアクリレート、ビスフェノールAグリシジルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびメタクリレートである。
【0052】
三官能性またはより高次官能性の多官能性化合物の例は、ペンタエリトリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールEO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルホスフェート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキル修飾ジペンタエリトリトールトリアクリレート、EO修飾トリメチロールプロパントリアクリレート、PO修飾トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、アルキル修飾ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、アルキル修飾ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ-(メタ)アクリレート、トリメチロールEO付加トリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、アルキル修飾ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、EO修飾トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO修飾トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル修飾ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、およびアルキル修飾ジペンタエリトリトールペンタメタクリレートである。
【0053】
さらに、本発明は、第一および第二の態様に係る組成物または製剤を含むLCPネットワークを提供する。ネットワークは、式(I)で示される架橋および非架橋の異方性LCPを含有し得る。
【0054】
本発明は、本発明に係る異方性LCP化合物または組成物の少なくとも1つを含む光学フィルムに関する。光学フィルムの例は、本発明に係る光学フィルムと直線偏光子とを組み合わせることによって生産される反射防止フィルムとして使用される円偏光子フィルムである。
【0055】
異方性LCP化合物または異方性LCP化合物を含む組成物は、支持体上に適用することができる。支持体は、剛性であっても可撓性であってもよく、任意の形態または形状を有することができる。原則として、支持体は、任意の材料から構成されていてもよい。好ましくは、支持体は、プラスチック、ガラスまたは金属を含むか、またはシリコンウェーハである。支持体が可撓性である場合、支持体は、プラスチックまたは金属箔であることが好ましい。好ましくは、支持体の表面は平坦である。いくつかの用途では、支持体は、マイクロレンズもしくはマイクロプリズムのような微細構造、または矩形構造などの形状の急な変化を示す構造など、地形学的表面構造を含み得る。好ましくは、支持体は、透明である。支持体はまた、本発明に係る異方性LCP化合物をコーティングする前に処理されていてもよい。
【0056】
支持体は、異方性LCP化合物または異方性LCP化合物を含む組成物の堆積の間、移動していてもよい。例えば、LCP混合物の層は、好ましくはプラスチックまたは金属である移動している可撓性の箔上に材料組成物を堆積させることによる、連続式ロールツーロールプロセスで生成してもよい。次いで、得られたフィルムを支持体箔と一緒にロール上に巻き取ってもよく、または、フィルムを支持体から剥離してもよく、フィルムは、その後、支持体なしで自立型フィルムとして巻き取られる。
【0057】
支持体は、光アライニング層、有機層、誘電体層または金属層などの追加の層を有してもよい。層は、様々な機能を有することができ、例えば、有機層は、コーティングしようとする材料の支持体との適合性を高めるプライマー層としてコーティングすることができる。金属層は、例えばディスプレイなどの電気光学デバイスにおいて使用されるとき、電極として使用されてもよく、または反射体としての機能を有することもできる。また、支持体は、例えば薄膜トランジスタ、電極またはカラーフィルターを含み得るLCD用の基板など、特定の機能を有する光学素子またはデバイスであってもよい。別の例では、支持体は、OLED層構造を含むデバイスである。支持体はまた、偏光フィルムまたはシート偏光子などの偏光子、市販のVikuity(商標)DBEFフィルムなどの反射偏光子であることもできる。
【0058】
本発明の文脈において、「光アライニング層」は、アライニング光に露光すると異方特性を誘導できる材料、すなわち光配列性物質から作られる。加えて、「光アライニング層」という用語は、アライニング光への露光によってアラインされている層のことも指す。本発明では、誘導された異方性はそれ自体、例えば式(I)で示される異方性LCP化合物を含む隣接層に、アラインメント能を与えるようなものでなければならない。「アラインメント方向」という用語は、隣接層において誘導される好ましい方向のことを指すものとし、例えば、アラインメント方向は、LCP化合物がアラインされる方向である。
【0059】
光配列性物質は、アライニング光に露光されると好ましい方向を発現し、したがって、異方特性を創出することが可能な光配列性部分を包含する。そのような光配列性部分は、好ましくは、異方性吸収特性を有する。典型的には、そのような部分は、230~500nmの波長域内に吸収を示す。好ましくは、光配列性部分は、300~450nmの波長域内に光の吸収を示し、310~380nmの波長域内に吸収を示す部分がより好ましい。
【0060】
好ましくは、光配列性部分は、炭素-炭素、炭素-窒素、または窒素-窒素の二重結合を有する。
【0061】
例えば、光配列性部分は、置換または非置換アゾ色素、アントラキノン、クマリン、メリシアニン、2-フェニルアゾチアゾール、2-フェニルアゾベンズチアゾール、スチルベン、シアノスチルベン、フルオロスチルベン、シンナモニトリル、カルコン、シンナマート、シアノシンナマート、スチルバゾリウム、1,4-ビス(2-フェニルエチレニル)ベンゼン、4,4’-ビス(アリールアゾ)スチルベン、ペリレン、4,8-ジアミノ-1,5-ナフトキノン色素、アリールオキシカルボン酸誘導体、アリールエステル、N-アリールアミド、ポリイミド、2つの芳香族環と結合したケトン部分またはケトン誘導体を有するジアリールケトン、例えば、置換ベンゾフェノン、ベンゾフェノンイミン、フェニルヒドラゾン、およびセミカルバゾンなどである。
【0062】
上に挙げた異方吸収性材料の調製は、例えば、Hoffmanらによる米国特許第4,565,424号、Jonesらによる米国特許第4,401,369号、Cole, Jr.らによる米国特許第4,122,027号、Etzbachらによる米国特許第4,667,020号、およびShannonらによる米国特許第5,389,285号によって示されているように周知である。
【0063】
好ましくは、光配列性部分は、アリールアゾ、ポリ(アリールアゾ)、スチルベン、シアノスチルベン、シンナマートまたはカルコンを含む。
【0064】
光配列性物質は、特に、モノマー、オリゴマーまたはポリマーであってよい。光配列性部分は、例えば、ポリマーもしくはオリゴマーの主鎖内もしくは側鎖内で共有結合することでき、または、モノマーもしくは重合性ではない他の化合物の一部であってもよい。光配列性物質はさらに、異なる種類の光配列性部分を含むコポリマーであってもよく、または、光配列性部分を有するおよび有しない側鎖を含むコポリマーであってもよい。
【0065】
ポリマーは、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアミド酸、ポリマレインイミド、ポリ-2-クロロアクリレート、ポリ-2-フェニルアクリレート;非置換またはC-Cアルキルで置換されたポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ-2-クロロアクリルアミド、ポリ-2-フェニルアクリルアミド、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリビニルエステル、ポリスチレン誘導体、ポリシロキサン、ポリアクリル酸もしくはポリメタクリル酸の直鎖もしくは分岐アルキルエステル;ポリフェノキシアルキルアクリレート、ポリフェノキシアルキルメタクリレート、1~20個の炭素原子のアルキル残基を有するポリフェニルアルキルメタクリレート;ポリアクリルニトリル、ポリメタクリルニトリル、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリ-4-メチルスチレン、またはそれらの混合物を意味する。
【0066】
光配列性物質はまた、光増感剤、例えば、ケトクマリンおよびベンゾフェノンも含み得る。
【0067】
さらに、好ましい光配列性モノマーまたはオリゴマーまたはポリマーは、米国特許第5,539,074号、米国特許第6,201,087号、米国特許第6,107,427号、米国特許第6,632,909号および米国特許第7,959,990号に記載されている。
【0068】
LCPのアラインメントは、液晶をアライニングするための任意の他の公知の手段によって達成することができる。例えば、支持体は、アライニング表面を有していてよく、これは、該表面が液晶をアラインする能力を有することを意味するものとする。支持体は、さらに処理することなく、予めアラインメントを与えることができる。例えば、プラスチック基板を支持体として使用する場合、それは製造方法、例えば基板の押出成形または延伸に起因して、表面上にアラインメントを与えることができる。また、アラインメント能を生じさせるために支持体をブラシでこするまたはラビング処理するも、方向性微細構造をインプリントすることも可能である。
【0069】
LCP化合物を重合させる工程およびアライニング光に露光する工程は、任意の順序であってよい。重合は、アライニング光に露光する前または後に開始させてよい。または、重合および露光は、同時に行ってもよい。
【0070】
LCP組成物または製剤は、押出成形、鋳造、成型、2Dもしくは3D印刷またはコーティングのような任意の適切な方法によって、支持体に適用されてよい。適切なコーティング法は、例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、キスロールコーティング、ダイコーティング、ディッピング、ブラッシング、バーによるキャスティング、ローラコーティング、フローコーティング、ワイヤコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、エアナイフコーティング、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、メータリング・ロッド(Meyerバー)コーティング、スロットダイ(押出)コーティング、ローラコーティング、フレキソコーティングである。適切な印刷方法は、シルクスクリーン印刷、レリーフ印刷、例えばフレキソ印刷、ジェット印刷、凹版印刷、例えば直接グラビア印刷またはオフセットグラビア印刷、リソグラフ印刷、例えばオフセット印刷、またはステンシル印刷、例えばスクリーン印刷を含む。
【0071】
本発明に係る組成物および製剤は、LCP化合物を1つだけ含有する先行技術の組成物および製剤と比較して、改善された位相差パターンを示す。
【0072】
本発明はこれから、以下の非限定的な実施例を参照して説明する。これらの実施例は、例証を目的として提供されるにすぎない。本発明の範囲内に含まれるこれらの実施例に対する変形は、当業者に明白であろう。
【実施例
【0073】
以下の実施例は、本発明をさらに例証するために、また本発明を理解しやすくするために提供されるもので、いかなる点でも本発明を限定することを意図するものではない。
【0074】
実施例1:
[2-[(E)-[メチル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-プロピルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物1の合成
(3-ホルミル-4-ヒドロキシ-フェニル)4-プロピルシクロヘキサンカルボキシレートの合成:
脱水ジクロロメタン(20mL)中の2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.38g、10mmol)、trans-4-プロピルシクロヘキサン-カルボン酸(1.79g、10.5mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(122mg、1mmol)の溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)(1.94mL、11mmol)をゆっくり加えた。反応混合物を周囲温度で22時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサンを使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物を黄色の固体(1.31g、45%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.90 (s, 1H), 9.85 (s, 1H), 7.31 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.23 (dd, J = 9.1, 2.7 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 2.44-2.52 (m, 1H), 2.11-2.15 (m, 2H), 1.86-1.90 (m, 2H), 1.50-1.57 (m, 2H), 1.29-1.39 (m, 3H), 1.17-1.23 (m, 2H), 0.97-1.04 (m, 3H), 0.87-0.92 (m, 3H)
【0075】
[2-ホルミル-4-(4-プロピルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエートの合成:
脱水ジクロロメタン(9mL)中の(3-ホルミル-4-ヒドロキシ-フェニル)4-プロピルシクロヘキサンカルボキシレート(1.3g、4.5mmol)、4-(6-アクリロイルオキシ-ヘキサ-1-イルオキシ)安息香酸(1.38g、4.70mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(55mg、0.45mmol)の溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)(0.87mL、4.93mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で5時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサンを使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物をいくらかの不純物を含有するベージュ色の油状物(2.73g)として与え、これをさらに精製することなく次の反応に使用した。
【0076】
[2-[(E)-[メチル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-プロピルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物1の合成:
(±)10-カンファースルホン酸(105mg、0.45mmol)を、脱水テトラヒドロフラン(45mL)中の[3-ホルミル-4-(4-プロピルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート(2.73g、4.5mmol)、1-メチル-1-キノキサリン-2-イル-ヒドラジン(0.82g、4.7mmol)、および4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル(TEMPO-OH)(9mg、0.05mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で24時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶後、標記化合物を灰色の固体(1.61g、50%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.39 (s, 1H), 8.14 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 7.90-7.92 (m, 2H), 7.85-7.86 (m, 1H), 7.75-7.77 (m, 1H), 7.67-7.71 (m, 1H), 7.52-7.56 (m, 1H), 7.39 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.20 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.32 (dd, J = 17.2, 1.6 Hz, 1H), 6.17 (dd, J = 17.4, 10.5 Hz, 1H), 5.93 (dd, J = 10.3, 1.6 Hz, 1H), 4.07-4.13 (m, 4H), 3.62 (s, 3H), 2.11-2.15 (m, 2H), 1.72-1.84 (m, 4H), 1.61-1.68 (m, 2H), 1.37-1.54 (m, 7H), 1.27-1.35 (m, 3H), 1.16-1.21 (m, 2H), 0.95-1.04 (m, 2H), 0.87 (t, J = 7.1 Hz, 3H)
【0077】
実施例2:
[3-[(E)-(3-メチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物2の合成
[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエートの合成:
塩化オキサリル(2.5mL、29mmol)を、無水トルエン48mL、4-メトキシフェノール4mgおよび無水DMF 1mL中の4-(6-アクリロイルオキシ-ヘキサ-1-イルオキシ)安息香酸(6.98g、24mmol)の溶液に45℃で滴下した。2時間後、反応混合物を0℃まで冷まし、0~5℃で、無水DMA 40mLおよびN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(7.8g、52mmol)中の2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.5g、11mmol)の溶液に滴下した。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。有機溶液を水15mLの添加によってクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、水、ブラインで順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノールからの再結晶後、標記化合物を白色の固体(4.19g、56%)として得た。
【0078】
9-アミノ-3-メチルカルバゾールの合成:
脱水DMF(53mL)中の3-メチルカルバゾール(4.8g、26.5mmol)および水酸化カリウム(11.9g、212mmol)の懸濁液に、脱水DMF(106mL)中のヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(HOSA)(5.99g、53mmol)の溶液を0℃で65分間滴下した。添加後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチル/ヘキサン=3/1で抽出した。有機相を、水、ブラインで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、標記化合物をベージュ色の固体(5.1g、98%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.04 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.54 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.41 (td, J = 7.7, 1.1 Hz, 1H), 7.26 (dd, J = 8.2, 1.4 Hz, 1H), 7.12 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 5.76 (s, 2H), 2.46 (s, 3H)
【0079】
[3-[(E)-(3-メチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物2の合成:
(±)10-カンファースルホン酸(18.6mg、0.08mmol)を、脱水テトラヒドロフラン8mL中の記載の[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート(0.57g、0.83mmol)および9-アミノ-3-メチル-カルバゾール(0.20g、1mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で17時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで2回抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶後、標記化合物をベージュ色の固体(0.42g、59%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.14 (s, 1H), 8.23 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.09-8.15 (m, 4H), 7.96 (s, 1H), 7.70 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.48-7.55 (m, 2H), 7.22-7.30 (m, 2H), 7.10-7.18 (m, 5H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.13-6.21 (m, 2H), 5.90-5.95 (m, 2H), 4.08-4.14 (m, 8H), 2.43 (s, 3H), 1.76-1.79 (m, 4H), 1.59-1.68 (m, 4H), 1.40-1.49 (m, 8H); MALDI-TOF (CHCA) 887.35 (M++Na)
【0080】
実施例3:
[2-[(E)-[1,3-ベンゾチアゾール-2-イル(ヘキシル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-ブチルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物3の合成
1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-ヘキシル-ヒドラジンの合成:
4首反応器に、2-ヒドラジノベンゾチアゾール(3.5g、0.020mol)およびDMF 20mLを投入した。窒素流下でNaOH(1.25g、0.030mol)をゆっくり加えた。1-ブロモヘキサン(4.05g、0.024mol)の添加後、混合物を60℃に4時間加熱した。反応の完了後、反応混合物を25℃まで冷まし、水200mLおよびヘプタン100mLに加えた。沈殿物を濾別して、白色の固体として2.45gを与えた。
【0081】
(3-ホルミル-4-ヒドロキシ-フェニル)4-ブチルシクロヘキサンカルボキシレートの合成:
ジクロロメタン60mL中のDCC(22.9g、0.11mol)の溶液を、ジクロロメタン180mL中の2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(13.95g、0.1mol)、trans-4-ブチルシクロヘキサンカルボン酸(19.55g、0.105mol)および4-ジメチルアミノピリジン(1.25g、0.01mol)の冷却混合物に滴下した。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物をHyflo(登録商標)super Cell(登録商標)に通して濾過し、溶液を真空下で濃縮した。残留物をメタノール250mLに溶解し、次いで、溶液を0℃まで冷ました。沈殿物を濾別し、真空下40℃で乾燥させて、オフホワイトの固体20.3gを与えた。
【0082】
[4-(4-ブチルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-2-ホルミル-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエートの合成:
DCC(12.5g、0.060mol)を、ジクロロメタン175mL中の(3-ホルミル-4-ヒドロキシ-フェニル)4-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート(15.2g、0.050mol)、4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸(16.95g、0.055mol)および4-ジメチルアミノピリジン(0.6g、0.005mol)の冷却混合物に加えた。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌し、次いで、Hyflo(登録商標)super Cell(登録商標)に通して濾別した。得られた溶液を真空下で濃縮した。残留物をメタノール350mLに溶解し、次いで、溶液を0℃まで冷ました。沈殿物を濾別し、真空下40℃で乾燥させて、白色の固体20.1gを与えた。
【0083】
[2-[(E)-[1,3-ベンゾチアゾール-2-イル(ヘキシル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-ブチルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物3の合成:
DL-10-カンファースルホン酸(0.40g、0.0016mol)を、THF 120mLに溶解した[4-(4-ブチルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-2-ホルミル-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート(9.35g、0.016mol)および1-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-ヘキシル-ヒドラジン(4.75g、0.019mol)の黄色の溶液に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。酢酸エチルの添加後、溶液を炭酸水素ナトリウムの5wt%溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。メタノールからの再結晶後、標記化合物11.2gを灰色がかった白色の固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.15 (d, 2H), 7.81 (m, 2H), 7.58 (m, 2H), 7.42 (d, 1H), 7.32 (t, 1H), 7.25 (dd, 1H), 7.14 (m, 3H), 6.334 (dd, 1H), 6.18 (dd, 1H), 5.93 (d, 1H), 4.19 (t, 2H), 4.12 (m, 4H), 2.58 (tt, 1H), 2.12 (d, 2H), 1.92-0.80 (m, 32H), 0.72 (t, 3H)
【0084】
実施例4:
[3-[(E)-(3,6-ジメチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物4の合成
9-アミノ-3,6-ジメチルカルバゾールの合成:
脱水DMF(19mL)中の3,6-ジメチルカルバゾール(1.88g、9.6mmol)および水酸化カリウム(8.6g、154mmol)の懸濁液に、脱水DMF(38mL)中のヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(HOSA)(2.17g、19.2mmol)の溶液を0℃で10分間滴下した。反応混合物を室温で撹拌し、水でクエンチし、酢酸エチル/ヘキサンの1:2混合物で抽出した。有機相を、水、ブラインで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサンの1:4混合物を使用したシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物を白色の固体(1.7g、85%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.82 (s, 2H), 7.42 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.23 (dd, J = 8.2, 1.4 Hz, 2H), 5.70 (s, 2H), 2.45 (s, 6H)
【0085】
[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエートの合成:
塩化オキサリル(2.5mL、29mmol)を、無水トルエン48mL、4-メトキシフェノール4mgおよび無水DMF 1mL中の4-(6-アクリロイルオキシ-ヘキサ-1-イルオキシ)安息香酸(6.98g、24mmol)の溶液に45℃で滴下した。2時間後、反応混合物を0℃まで冷まし、0~5℃で、無水DMA 40mLおよびN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(7.8g、52mmol)中の2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.5g、11mmol)の溶液に滴下した。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。有機溶液を水15mLの添加によってクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、水、ブラインで順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノールからの再結晶後、標記化合物を白色の固体(4.19g、56%)として得た。
【0086】
[3-[(E)-(3,6-ジメチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエートの合成:
(±)10-カンファースルホン酸(46.5mg、0.2mmol)を、脱水テトラヒドロフラン20mL中の[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート(1.37g、2.0mmol)および9-アミノ-3,6-ジメチルカルバゾール(0.50g、2.4mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で16時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶後、標記化合物をベージュ色の固体(0.541g、74%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.08 (s, 1H), 8.22 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.14 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.12 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.90 (s, 2H), 7.59 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.48 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.14 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.08 (dd, J = 8.7, 1.4 Hz, 2H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.12-6.21 (m, 2H), 5.90-5.95 (m, 2H), 4.06-4.15 (m, 8H), 2.42 (s, 6H), 1.77 (td, J = 12.8, 6.6 Hz, 4H), 1.59-1.68 (m, 4H), 1.41-1.52 (m, 8H); MALDI-TOF (CHCA) 901.35 (M++Na)
【0087】
実施例5:
光アラインメント材料を使用した配向層の調製
ガラス基板に光アラインメント組成物をスピンコーティングした(特許公報WO2012/085048の40ページの適用例に記載されているとおり、光アライニングポリマーの固形含有量;シクロペンタノン中2%)。フィルムを80℃で30秒乾燥させ、得られたフィルムの厚さは約100nmであった。次いで、フィルムを平行な直線偏光されたUV(LPUV)光(280~320nm)のアライニング光に250mJ/cm2で露光した。偏光面は、基板上の基準縁に対して0°であった。
【0088】
実施例6:
組成物1の10.0w%溶液を以下のとおり調製した:5.618wt%の[3-[(E)-[メチル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-プロピルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物1、0.0075wt%の阻害剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(早期重合を防止するため)、0.45wt%の光開始剤Irgacure(登録商標)Oxe 02(BASF製)、0.45wt%の[3-(3-スルファニルプロパノイルオキシ)-2,2-ビス(3-スルファニルプロパノイルオキシメチル)プロピル]3-スルファニルプロパノエート、0.225w%のTego(登録商標)flow 425、8.25wt%の[3-[(E)-(3-メチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物2をシクロヘキサノン中で混合し、固体が完全に溶解するまで室温で十分に撹拌した。コーティング液を、実施例5の配向層を備えたガラス板上にスピンコーティングによって適用して液晶フィルムを形成した。このフィルムを105℃の温度制御ホットプレート上で5分間乾燥させた。試料を室温まで冷まし、次いで、水銀ランプを使用して、N雰囲気下、室温で大体2分間UV光を照射することによって光重合させ、液晶の配向状態を固定した。
【0089】
フィルム中の液晶のアラインメント品質は、フィルムを2つの交差偏光子の間に置くことによってチェックし、暗状態が得られるように調整する。暗状態が欠陥を示さずに液晶が十分に配向していれば、アラインメント品質は極めて良好と定義される。暗状態に液晶の不均一配向による光漏れがあれば、アラインメント品質は良好と定義される。いくつかの領域で結晶化を伴い暗状態に光漏れがあれば、アラインメント品質は中等と定義される。暗状態がなく液晶が配向していなければ、アラインメント品質は不良と定義される。実施例6の得られたフィルムは、極めて良好なアラインメント品質を示した。
【0090】
実施例7:
組成物2の15.0w%溶液を以下のように調製した:9.3675wt%の[3-[(E)-[メチル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-プロピルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物1、0.0075wt%の阻害剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.45wt%の光開始剤Irgacure(登録商標)Oxe 02、0.45wt%の[3-(3-スルファニルプロパノイルオキシ)-2,2-ビス(3-スルファニルプロパノイルオキシメチル)プロピル]3-スルファニルプロパノエート、0.225w%のTego(登録商標)flow 425、4.5wt%の[3-[(E)-(3-メチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物2をシクロヘキサノン中で混合し、固体が完全に溶解するまで室温で十分に撹拌した。フィルムを実施例6に記載のように調製し、105℃の温度制御ホットプレート上で5分間乾燥させた。得られたフィルムは、極めて良好な配向品質を示した。
【0091】
実施例8:
組成物3の26.0w%溶液を以下のように調製した:21.4370wt%の[2-[(E)-[1,3-ベンゾチアゾール-2-イル(ヘキシル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-ブチルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート、0.013wt%の阻害剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.45wt%の光開始剤Irgacure(登録商標)Oxe 03、0.78wt%の[3-(3-スルファニルプロパノイルオキシ)-2,2-ビス(3-スルファニルプロパノイルオキシメチル)プロピル]3-スルファニルプロパノエート、0.390w%のTego(登録商標)flow 425、2.6wt%の[3-[(E)-(3-メチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエートをシクロヘキサノン中で混合し、固体が完全に溶解するまで室温で十分に撹拌した。フィルムを実施例6に記載のように調製し、68℃の温度制御ホットプレート上で2分間乾燥させた。得られたフィルムは、極めて良好なアラインメント品質を示した。
【0092】
実施例9:
組成物4の35.0w%溶液を以下のように調製した:9.2075wt%の[2-[(E)-[1,3-ベンゾチアゾール-2-イル(ヘキシル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-ブチルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート、0.0175wt%の阻害剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.7wt%の光開始剤Irgacure(登録商標)Oxe 03、1.05wt%の[3-(3-スルファニルプロパノイルオキシ)-2,2-ビス(3-スルファニルプロパノイルオキシメチル)プロピル]3-スルファニルプロパノエート、0.525w%のTego(登録商標)flow 425、3.5wt%の[3-[(E)-(3,6-ジメチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエートをシクロヘキサノン中で混合し、固体が完全に溶解するまで室温で十分に撹拌した。フィルムを実施例6に記載のように調製し、70℃の温度制御ホットプレート上で2分間乾燥させた。得られたフィルムは、極めて良好なアラインメント品質を示した。
【0093】
実施例10:
組成物5の15.0w%溶液を以下のように調製した:11.2425wt%の[2-[(E)-[1,3-ベンゾチアゾール-2-イル(ヘキシル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-ブチルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート、0.0075wt%の阻害剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.3wt%の光開始剤Irgacure(登録商標)Oxe 03、0.3wt%の[3-(3-スルファニルプロパノイルオキシ)-2,2-ビス(3-スルファニルプロパノイルオキシメチル)プロピル]3-スルファニルプロパノエート、0.150w%のTego(登録商標)flow 425、3.0wt%の[3-[(E)-(3-メチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物2をシクロヘキサノン中で混合し、固体が完全に溶解するまで室温で十分に撹拌した。フィルムを実施例6に記載のように調製し、80℃の温度制御ホットプレート上で5分間乾燥させた。得られたフィルムは、極めて良好なアラインメント品質を示した。
【0094】
実施例11:
組成物6の15.0w%溶液を以下のように調製した:9.7425wt%の[2-[(E)-[1,3-ベンゾチアゾール-2-イル(ヘキシル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-ブチルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート、0.0075wt%の阻害剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.3wt%の光開始剤Irgacure(登録商標)Oxe 03、0.3wt%の[3-(3-スルファニルプロパノイルオキシ)-2,2-ビス(3-スルファニルプロパノイルオキシメチル)プロピル]3-スルファニルプロパノエート、0.150w%のTego(登録商標)flow 425、4.5wt%の[3-[(E)-(3-メチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート化合物2をシクロヘキサノン中で混合し、固体が完全に溶解するまで室温で十分に撹拌した。フィルムを実施例6に記載のように調製し、77℃の温度制御ホットプレート上で5分間乾燥させた。得られたフィルムは、極めて良好なアラインメント品質を示した。
【0095】
実施例12:比較例
比較例の30.0wt%溶液を以下のように調製する:28.05wt%の化合物2、0.15wt%の阻害剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.9wt%の光開始剤Irgacure(登録商標)Oxe 03および0.9wt%のTinuvin 123をシクロヘキサノン中で混合し、固体が完全に溶解するまで室温で十分に撹拌した。フィルムを実施例6に記載のように調製し、105℃の温度制御ホットプレート上で5分間乾燥させた。得られたフィルムは、極めて良好なアラインメント品質を示した。
【0096】
実施例13:
実施例6~実施例11に記載の試料の位相差をエリプソメーター(Ellipsometer)で測定した。表1は、組成物1および2の位相差の結果を示す。表2は、組成物3~組成物6の位相差の結果を示す。Re450値は、450nmの波長でのフィルムの位相差を表し、Re550値は、550nmの波長でのフィルムの位相差を表し、Re650値は、650nmの波長でのフィルムの位相差を表す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
色を改善するために、Re650/Re550の値が1.00より高く1.2未満であることが好ましい。加えて、Re450/Re550値が0.90未満であることが好ましい。表1は、基IIaからの1つのLCPおよび基IIbからの1つのLCPを含む液晶組成物1および2の位相差特性の結果を示す。表2は、基IIaからの1つのLCPおよび基IIcからの1つのLCPを含む液晶組成物3~6の位相差特性の結果を示す。
【0100】
組成物2および6からのフィルムのRe650/Re550は、比較例の液晶組成物のRe650/Re550よりも有意に高く、Re650/Re550値が最大1.03であることが分かる。さらに、Re450/Re550値は、比較例のRe450/Re550値と比較して、組成物2~6において大幅に減し、0.83~0.90の値に達する。本発明に係る新たな組成物は、LCP化合物を1つだけ含有する比較例と比較して、改善された位相差特性を示す。