(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】異なる柔軟性を有する表面を有するコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G02C7/04
(21)【出願番号】P 2022520551
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(86)【国際出願番号】 IB2020060316
(87)【国際公開番号】W WO2021090169
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-08-23
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520000722
【氏名又は名称】アルコン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チュ,ユンシン
(72)【発明者】
【氏名】タッカー,ロバート・キャリー
(72)【発明者】
【氏名】グー,イエミン
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-533517(JP,A)
【文献】国際公開第2019/116139(WO,A1)
【文献】特表2015-534106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされたコンタクトレンズを製造する方法であって、
(1)凹面
である後面と、反対側の凸面
である前面とを有し、且つレンズバルク材料と、前面及び後面上且つ/又はそれらの近傍の第1の反応性官能基とを含むコンタクトレンズ前駆体を得る工程であって、前記第1の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシド
基、チオール基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、工程;
(2)前記コンタクトレンズ前駆体の前記
後面が上を向く一方、前記
前面が下を向くことを確実にするための位置において、容器内に前記コンタクトレンズ前駆体を配置する工程;
(3)前記
後面を上向きに維持しながら、前記コンタクトレンズ前駆体を前記容器内の
パッケージング溶液である水溶液に完全に浸漬するための量において、前記水溶液を前記コンタクトレンズ前駆体の前記
後面に投与する工程であって、前記水溶液は、室温を有し、且つ少なくとも1種の親水性ポリマー系材料を含み、前記少なくとも1種の親水性ポリマー系材料は、それぞれ前記室温より高い温度で1つの第1の反応性官能基と反応して共有結合を形成することができる第2の反応性官能基を含み、前記第2の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシド
基、チオール基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、工程;
(4)前記後面を上向きに維持しながら、前記水溶液中に完全に浸漬された前記コンタクトレンズ前駆体を含む容器を密封する工程;及び
(
5)
前記後面を上向きに維持しながら、前記コンタクトレンズ前駆体をその中に
含む密封された容器を115℃~
125℃の温度
で20~90分間にわたってオートクレーブ処理し、コーティングされたコンタクトレンズを形成する工程
を含み、
前記コンタクトレンズは、外面ヒドロゲル層で被覆された前記レンズバルク材料を含み、前記外面ヒドロゲル層は、
外側前面ヒドロゲル層と、
外側後面ヒドロゲル層とからなり、前記外側後面ヒドロゲル層は、少なくと
も1.2のインデンテーション深さの比
【数1】
を有することによって特徴付けられるように、前記外側前面ヒドロゲル層よりも柔軟であり、式中、(Id)
PSは、ナノインデンテーション試験において、9.5μmの先端半径及び0.54N/mの剛性を有するインデンテーションプローブを用いて、前記後面に対して5KPaの圧縮圧力で測定されるインデンテーション深さであり、(Id)
ASは、ナノインデンテーション試験において、9.5μmの先端半径及び0.54N/mの剛性を有するインデンテーションプローブを用いて、前記前面に対して5KPaの圧縮圧力で測定されるインデンテーション深さであり、前記コンタクトレンズは、少なくとも10秒の水切れ時間を有する、方法。
【請求項2】
前記レンズバルク材料は、架橋ポリメタクリレートである硬質プラスチック材料で本質的に作製された予備成形されたハードコンタクトレンズである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レンズバルク材料は、硬質ガス透過性レンズ材料で本質的に作製された予備成形された硬質ガス透過性コンタクトレンズである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたとき
に0.2μm
~20μmの厚さを有する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記レンズバルク材料は、予備成形されたハイブリッドコンタクトレンズであり、前記予備成形されたハイブリッドコンタクトレンズは、硬質ガス透過性レンズ材料で本質的に作製された中央光学ゾーンを有し、且つ非シリコーンヒドロゲル材料で本質的に作製された周囲ゾーンによって囲まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レンズバルク材料は、予備成形された埋め込みコンタクトレンズであり、前記レンズバルク材料は、3次元物品と、非シリコーンヒドロゲル材料とから本質的になり、前記3次元物品は、非ヒドロゲル材料で作製され、且つ前記コンタクトレンズのものよりも小さい3次元サイズを有し、それにより、前記3次元物品は、前記非シリコーンヒドロゲル材料内に完全に埋め込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記レンズバルク材料は、非シリコーンヒドロゲル材料で本質的に作製された予備成形された非シリコ
ーンヒドロゲルコンタクトレンズであり、前記非シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも50モル%の、少なくとも1種のヒドロキシル含有ビニルモノマーの繰り返し単位を含み、前記非シリコーンヒドロゲル材料は
、10重量%~80重量%の平衡含水率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記レンズバルク材料は、予備成形されたハイブリッドコンタクトレンズであり、前記予備成形されたハイブリッドコンタクトレンズは、硬質ガス透過性レンズ材料で本質的に作製された中央光学ゾーンを有し、且つシリコーンヒドロゲル材料で本質的に作製された周囲ゾーンによって囲まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記レンズバルク材料は、予備成形された埋め込みコンタクトレンズであり、前記レンズバルク材料は、3次元物品と、シリコーンヒドロゲル材料とから本質的になり、前記3次元物品は、非ヒドロゲル材料で作製され、且つ前記予備成形された埋め込みコンタクトレンズのものよりも小さい3次元サイズを有し、それにより、前記3次元物品は、前記シリコーンヒドロゲル材料内に完全に埋め込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記レンズバルク材料は、シリコーンヒドロゲル材料で本質的に作製された予備成形された非シリコ
ーンヒドロゲルコンタクトレンズである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記シリコーンヒドロゲル材料は
、10重量%
~80重量%の平衡含水率と
、50barrer
~180barrerの酸素透過性とを有する、請求項
8~1
0のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたとき
に0.05μm
~20μmの厚さを有する、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、それぞれ、(1)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアルキル(メタ)アクリルアミド;(2)N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるヒドロキシル含有アクリルモノマー;(3)2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-2-メチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-3-メチルブタン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2メチル-3,3-ジメチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸、4-(メタ)アクリルアミド-3,3-ジメチルヘキサン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるカルボキシル含有アクリルモノマー;(4)N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ含有アクリルモノマー;(5)N-ビニルピロリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド及びこれらの混合物からなる群から選択されるN-ビニルアミドモノマー;(6)1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメチレン含有ピロリドンモノマー;(7)C
1~C
4アルコキシエトキシ基を有し、且つエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するC
1~C
4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びこれらの組み合わせから選択されるアクリルモノマー;(8)エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるビニルエーテルモノマー;(9)エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアリルエーテルモノマー;(10)(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるホスホリルコリン含有ビニルモノマー;(11)アリルアルコール;(12)N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート;(13)N-カルボキシビニル-β-アラニン;(14)N-カルボキシビニル-α-アラニン;(15)又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1種の親水性ビニルモノマーの繰り返しモノマー単位を含むポリマー鎖を含む架橋親水性ポリマー系材料である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、ポリ(エチレングリコール)鎖を含む架橋親水性ポリマー系材料であり、前記ポリ(エチレングリコール)鎖は、(1)-NH
2、-SH、-COOH
又はエポキシ
基の1つの唯一の官能基を有するポリ(エチレングリコール);(2)-NH
2、-COOH、-SH、エポキシ
基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール);(3)-NH
2、-COOH、-SH、エポキシ
基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアームポリ(エチレングリコール);又は(4)これらの組み合わせから直接誘導される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、少なくとも80重量%の平衡含水率を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記コンタクトレンズ前駆体は、前記
前面及び
後面上且つ/又はそれらの近傍に第1の反応性官能基をもともと含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記コンタクトレンズ前駆体は、予備成形されたコンタクトレンズを、前記第1の反応性官能基を有するように表面処理に供することによって得られ、前記表面処理は、プラズマ処理;化学処理;化学蒸着;前記予備成形されたコンタクトレンズ上への、少なくとも1つの反応性官能基をそれぞれ有する1種以上の化合物のグラフト化(共有結合);前記予備成形されたコンタクトレンズ上への、少なくとも1つの第1の反応性官能基を有する1種以上のビニルモノマーのグラフト重合;前記予備成形されたコンタクトレンズ上への、第1の反応性官能基を有する1種以上のポリマー系材料のレイヤーバイレイヤー(「LbL」)堆積;前記予備成形されたコンタクトレンズ上への、第1の反応性官能基を有する1種以上のポリマー系材料の共有結合;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのプロセスを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の親水性ポリマー系材料は、前記第2の反応性官能基を含む高度に分岐された親水性ポリマー系材料である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の反応性官能基は、アゼチジニウム基である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、コンタクトレンズであって、その後面(ベースカーブ面)が、その反対側の前面(フロントカーブ面)のものよりも低い表面弾性率を有するコンタクトレンズに関する。本発明は、そのようなコンタクトレンズを作製する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装着感が改善されたコンタクトレンズを開発するために多くの努力が払われてきた。
【0003】
一例は、浸出性の湿潤剤をコンタクトレンズに配合することである(例えば、米国特許第4,045,547号明細書、同第4,042,552号明細書、同第5,198,477号明細書、同第5,219,965号明細書、同第6,367,929号明細書、同第6,822,016号明細書、同第7,279,507号明細書、同第8,030,369号明細書及び同第9,804,295号明細書を参照されたい)。
【0004】
別の例は、生物活性剤及び疎水性快適化剤をコンタクトレンズに配合することである(例えば、米国特許出願公開第10,155,349号明細書を参照されたい)。
【0005】
また別の例は、新しい分類のソフトコンタクトレンズ、水勾配コンタクトレンズの開発である。この新しい分類のソフトコンタクトレンズは、最初に開発され、1日使い捨てコンタクトレンズであるDAILIES(登録商標)TOTAL1(登録商標)(Alcon)として市場への導入に成功した。1週間又は1か月の使い捨て水勾配ソフトコンタクトレンズも開発されている(米国特許出願公開第2019-0179055A1号明細書を参照されたい)。この新しい分類のソフトコンタクトレンズは、水勾配構造構成を有し、コンタクトレンズのコアから表面への通過において観察される含水率の増加を有し、且つコンタクトレンズの表面近く及び表面を含む領域において最も高い含水率に到達することを特徴とする(米国特許第8480227号明細書を参照されたく、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。このユニークな設計は、非常に滑らかであり且つ非常に柔軟であり、水分を多く含むレンズ表面を提供し、したがって患者に優れた装着感を提供する。
【0006】
別の例は、ヒトの目の角膜の表面性状を模倣するナノテクスチャ加工された表面を有するコンタクトレンズを作製することである(例えば、米国特許第9,244,195号を参照されたい)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、角膜と直接接触するコンタクトレンズの後面が前面よりもはるかに柔軟であり、コンタクトレンズの装着感が改善されたコンタクトレンズを提供することである。本発明は、一態様では、その反対側の前面よりも柔軟な後面を有するソフトコンタクトレンズ、好ましくはシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0008】
本発明は、別の態様では、そのようなソフトコンタクトレンズ、好ましくはそのようなシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作製する方法を提供する。
【0009】
この態様及び任意の組み合わせにおける様々な好ましい実施形態を含む本発明の他の態様は、現在好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。以下の詳細な説明は、本質的に単なる実例にすぎず、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲及びその均等物を限定するものではない。当業者に明らかであるように、本開示の新規な概念の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の多くの変形形態及び修正形態が実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の好ましい実施形態によるコンタクトレンズの構造構成の概略断面図である。
【
図2】Optics11 Puimaナノインデンテーション装置を用いてコンタクトレンズのナノインデンテーション測定を実行するためのレンズホルダーの概略図である。
【
図3】低コヒーレンス干渉計(LCI)の概略図である。
【
図4】レンズの上方に配置された走査型プローブを備えたLCIシステムで収集されたデータを示す。x軸は、ミクロン単位の光路距離(OPD)として測定される相対位置(又は深さ)であり;y軸は、低コヒーレンス干渉計(LCI)からのシグナル強度であり、任意単位であるが、表面からの後方反射光の量に比例する。FC面のピークシグナルは、BC面の前に来る。
【
図5】レンズの下方に配置された走査型プローブを備えたLCIシステムで収集されたデータを示す。x軸は、ミクロン単位の光路距離(OPD)として測定される相対位置(又は深さ)であり;y軸は、低コヒーレンス干渉計(LCI)からのシグナル強度であり、任意単位であるが、表面からの後方反射光の量に比例する。BC面のピークシグナルは、FC面の前に来る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書において使用される命名法及び実験室手順は、当業者に公知であり、一般的に採用されている。それらの手順では、従来の方法、例えば当業者により実施され、各種の一般的に引用される方法が使用される。用語が単数で与えられている場合、本発明者らは、その用語の複数形も想定している。本明細書において使用される命名法及び以下で記載される実験室手順は、当技術分野で周知であり、一般的に採用されているものである。
【0012】
本出願において、本明細書で使用される「約」という用語は、「約」として言及された数が、記載されている数プラス又はマイナス記載されている数の1~10%を含むことを意味する。
【0013】
「コンタクトレンズ」とは、装着者の目上又は内に配置することができる構造体を指す。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正、改善又は変更することができるものの、そうである必要はない。コンタクトレンズは、当技術分野で公知の又は後に開発される任意の適切な材料のものであり得、それらは、ハードレンズ、硬質ガス透過性レンズ、ソフトレンズ又はハイブリッドレンズであり得る。
【0014】
本出願で使用される、コンタクトレンズに関する「前面」、「フロント面」、「フロントカーブ面」又は「FC面」という用語は、相互に言い換え可能であり、装着中に眼と反対側を向いているコンタクトレンズの表面を意味する。前面(FC面)は、典型的には、実質的に凸状である。
【0015】
本出願で使用される、コンタクトレンズに関する「後面」、「バック面」、「バックカーブ面」又は「BC面」という用語は、相互に言い換え可能であり、装着中に眼に面する側に向いているコンタクトレンズの表面を意味する。後面(BC面)は、典型的には、実質的に凹状である。
【0016】
「ハードコンタクトレンズ」は、バルク(コア)材料として硬質プラスチック(例えば、ポリメチルメタクリレート)を含むコンタクトレンズを指す。
【0017】
「硬質ガス透過性コンタクトレンズ」とは、バルク(コア)材料としてガス透過性材料(例えば、フルオロシリコーンアクリレートから作製された材料)を含むコンタクトレンズを指す。
【0018】
ソフトコンタクトレンズは、非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ又はシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであり得る。「非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」は、非シリコーンヒドロゲルバルク(コア)材料を含むコンタクトレンズを指す。「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」は、シリコーンヒドロゲルバルク(コア)材料を含むコンタクトレンズを指す。
【0019】
ハイブリッドコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲル又は通常のヒドロゲルレンズ材料で作製された周囲ゾーンによって囲まれている、ガス透過性レンズ材料で作製された中央の光学ゾーンを有する。
【0020】
埋め込みコンタクトレンズは、3次元物品と、非シリコーンヒドロゲル材料又はシリコーンヒドロゲル材料とから本質的になるレンズバルク材料を含み、ここで、3次元物品は、非ヒドロゲル材料で作製され、且つコンタクトレンズのものよりも小さい3次元サイズを有し、それにより、それは、非シリコーンヒドロゲル材料又はシリコーンヒドロゲル材料内に完全に埋め込まれる。非ヒドロゲル材料は、完全に水和されたときに10重量%未満(好ましくは約7.5重量%以下、より好ましくは約5.0重量%以下、更に好ましくは約2.5重量%以下)の水を吸収する任意の材料であり得る。
【0021】
「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル材料」は、水に不溶性であるが、完全に水和されたときにその三次元ポリマーネットワーク(すなわちポリマーマトリックス)中に少なくとも10重量パーセントの水を保持することができる架橋ポリマー系材料を指す。
【0022】
本出願で使用される「非シリコーンヒドロゲル」という用語は、理論上、ケイ素を含まないヒドロゲルを指す。
【0023】
本出願で使用される「シリコーンヒドロゲル」又は「SiHy」という用語は、相互に言い換え可能であり、シリコーンを含むヒドロゲルを指す。シリコーンヒドロゲル(SiHy)は、典型的には、少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマー、又は少なくとも1種のシリコーン含有ビニルマクロマー、又はエチレン性不飽和基を有する少なくとも1種のシリコーン含有プレポリマーを含む重合性組成物の共重合によって得られる。
【0024】
本明細書で使用される「親水性」は、脂質よりも水と会合し易い材料又はその一部を表す。
【0025】
「ビニルモノマー」は、1つの唯一のエチレン性不飽和基を有し、溶媒に可溶であり、化学的又は熱的に重合することができる化合物を指す。
【0026】
本出願で使用される「エチレン性不飽和基」という用語は、本明細書では、広い意味で用いられ、少なくとも1つの>C=C<基を含む任意の基を包含することが意図されている。例示的なエチレン性不飽和基としては、限定されないが、(メタ)アクリロイル
【化1】
、アリル、ビニル、スチレニル又は他のC=C含有基が挙げられる。
【0027】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、メタクリルアミド及び/又はアクリルアミドを指す。
【0028】
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。
【0029】
本明細書で使用される、重合性組成物、プレポリマー又は材料の硬化、架橋又は重合に関する「化学的に」とは、硬化(例えば、架橋及び/又は重合)が例えばUV/可視照射、電離放射線(例えば、ガンマ線又はX線照射)、マイクロ波照射などの化学線照射によって行われることを意味する。熱硬化又は化学硬化の方法は、当業者に周知である。
【0030】
本明細書で使用される「親水性ビニルモノマー」は、ホモポリマーとして、水溶性であるか又は少なくとも10重量パーセントの水を吸収することができるポリマーを典型的に生じるビニルモノマーを指す。
【0031】
本明細書で使用される「疎水性ビニルモノマー」は、ホモポリマーとして、非水溶性であるか又は10重量パーセント未満の水を吸収することができるポリマーを典型的に生じるビニルモノマーを指す。
【0032】
「ブレンドビニルモノマー」は、重合性組成物の親水性と疎水性との両方の重合性成分を溶解して溶液を形成することができるビニルモノマーを指す。
【0033】
「アクリルモノマー」という用語は、1つの単独の(メタ)アクリロイル基を有するビニル系モノマーを指す。
【0034】
「N-ビニルアミドモノマー」とは、アミド基の窒素原子に直接結合しているビニル基(-CH=CH2)を有するアミド化合物を指す。
【0035】
「マクロマー」又は「プレポリマー」は、エチレン性不飽和基を含み、且つ700ダルトンを超える数平均分子量を有する化合物又はポリマーを指す。
【0036】
本出願において使用される「ビニル系架橋剤」という用語は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物を指す。「ビニル系架橋試薬」は、約700ダルトン以下の数平均分子量をそれぞれ有するビニル系架橋剤のサブクラスを指す。
【0037】
本出願において使用される「ポリマー」という用語は、1種以上のモノマー、マクロマー、プレポリマー及び/又はこれらの組み合わせを重合又は架橋させることにより形成される物質を意味する。
【0038】
本出願において使用されるポリマー系材料(モノマー系材料又はマクロマー系材料も含む)の「分子量」という用語は、別段の明記がない限り又は別の試験条件が示されていない限り、数平均分子量を指す。
【0039】
「ポリシロキサンセグメント」は、
【化2】
(式中、R
1’及びR
2’は、C
1~C
10アルキル、C
1~C
4アルキル-若しくはC
1~C
4-アルコキシ置換フェニル、C
1~C
10フルオロアルキル、C
1~C
10フルオロエーテル、C
6~C
18アリールラジカル、-alk-(OC
2H
4)
γ1-OR
o(ここで、alkは、C
1~C
6アルキルジラジカルであり、R
oは、H又はC
1~C
4アルキルであり、γ1は、1~10の整数である)、C
2~C
40有機ラジカル又は直鎖の疎水性ポリマー鎖からなる群から独立して選択される2つの置換基であり、C
2~C
40有機ラジカルは、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、-NR
3’R
4’、-NR
3’-のアミノ結合、-CONR
3’-のアミド結合、-CONR
3’R
4’のアミド、-OCONH-のウレタン結合及びC
1~C
4アルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有し、R
3’及びR
4’は、互いに独立して、水素又はC
1~C
15アルキルである)
の式を有する、それぞれ互いに独立した少なくとも3つの連続的に及び直接結合したシロキサン単位(二価ラジカル)からなるポリマー鎖を指す。
【0040】
「ポリシロキサンビニルモノマー」は、少なくとも1つのポリシロキサンセグメントと、1つの唯一のエチレン性不飽和基とを含む化合物を指す。
【0041】
「ポリシロキサンビニル系架橋剤」は、少なくとも1つのポリシロキサンセグメントと、少なくとも2つのエチレン性不飽和基とを含む化合物を指す。
【0042】
「鎖延長ポリシロキサンビニル系架橋剤」は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基と、少なくとも2つのポリシロキサンセグメントとを含み、そのそれぞれの対が1つの二価ラジカルによって連結されている化合物を指す。
【0043】
本明細書で使用される「流体」という用語は、材料が液体のように流れ得ることを表す。
【0044】
本出願で使用される、重合性組成物に関する「透明」という用語は、重合性組成物が透明な溶液又は液体混合物である(すなわち400~700nmの範囲で85%以上の光透過率を有する)ことを意味する。
【0045】
「アルキル」という用語は、直鎖状又は分岐状のアルカン化合物から水素原子を除去することにより得られる一価のラジカルを指す。アルキル基(ラジカル)は、有機化合物中で他の1つの基と1つの結合を作る。
【0046】
「アルキレン二価基」、又は「アルキレンジラジカル」、又は「アルキルジラジカル」という用語は、相互に言い換え可能であり、アルキルから1つの水素原子を除去することにより得られる二価のラジカルを指す。アルキレンの二価の基は、有機化合物中で他の基と2つの結合を形成する。
【0047】
「アルキルトリラジカル」という用語は、アルキルから2つの水素原子を除去することにより得られる三価のラジカルを指す。アルキルトリラジカルは、有機化合物中で他の基と3つの結合を形成する。
【0048】
「アルコキシ」又は「アルコキシル」という用語は、直鎖状又は分岐状のアルキルアルコールのヒドロキシル基から水素原子を除去することにより得られる一価のラジカルを指す。アルコキシ基(ラジカル)は、有機化合物中で他の1つの基と1つの結合を形成する。
【0049】
本出願で使用される「アミノ基」という用語は、式-NHR’の一級又は二級アミノ基を指し、式中、R’は、別段の明記がない限り、水素又はC1~C20無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基を指す。
【0050】
本出願において、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルに関する「置換された」という用語は、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルが、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルの1つの水素原子を置き換える少なくとも1つの置換基を含み、これが、ヒドロキシ(-OH)、カルボキシ(-COOH)、-NH2、スルフヒドリル(-SH)、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキルチオ(アルキルスルフィド)、C1~C4アシルアミノ、C1~C4アルキルアミノ、ジ-C1~C4アルキルアミノ、ハロゲン原子(Br又はCl)及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを意味する。
【0051】
本出願において、「ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)」という用語は、
【化3】
(式中、R
1は、水素、メチル、エチル、N-ピロリドニルメチル、N-ピロリドニルエチル、N-ピロリドニルプロピル又は-alk-(OC
2H
4)
m3-OR’’の一価ラジカル(ここで、alkは、C
1~C
4アルキルジラジカルであり;R’’は、C
1~C
4アルキル(好ましくはメチル)であり;m3は、1~10の整数(好ましくは1~5)である)であり;xは、5~500の整数であり;zは、x以下の整数である)
の式を有する統計的コポリマー又はそのポリマーセグメントを指す。ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)は、ポリオキサゾリンを加水分解することによって得られる。
【0052】
本出願において、「ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリン」という用語は、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)をエピクロロヒドリンと反応させて、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)の二級アミン基の全て又はかなりのパーセント割合(≧90%)をアゼチジニウム基に変換することによって得られるポリマーを指す。ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンの例は、係属中の米国特許出願公開第2016/0061995A1号明細書に開示されている。
【0053】
「エピクロロヒドリン官能化ポリアミン」又は「エピクロロヒドリン官能化ポリアミドアミン」は、ポリアミン又はポリアミドアミンをエピクロロヒドリンと反応させて、ポリアミン又はポリアミドアミンの二級アミン基の全て又はかなりのパーセント割合をアゼチジニウム基に変換することによって得られるポリマーを指す。
【0054】
「ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン」という用語は、エピクロロヒドリンで官能化されたアジピン酸-ジエチレントリアミンコポリマーを指す。
【0055】
本出願では、「アゼチジニウム」又は「3-ヒドロキシアゼチジニウム」という用語は、
【化4】
の正に帯電した(すなわちカチオン性の)二価のラジカル(又は基若しくは部位)を指す。
【0056】
ポリマー系材料又は官能基に関する「熱架橋性」という用語は、ポリマー系材料又は官能基が、比較的高い温度(約40℃~約140℃)で別の材料又は官能基と架橋反応(又はカップリング反応)を行うことができる一方、このポリマー系材料又は官能基が、約5℃~約15℃の温度で約1時間の時間に検出可能な程度に別の材料又は官能基と同じ架橋反応(又はカップリング反応)を行うことができないことを意味する。
【0057】
本出願において使用される「ホスホリルコリン」という用語は、
【化5】
(式中、nは、1~5の整数であり、R
1、R
2及びR
3は、互いに独立して、C
1~C
8アルキル又はC
1~C
8ヒドロキシアルキルである)
の双性イオン性の基を指す。
【0058】
本出願で使用される「カルボキシル含有ビニルモノマー」という用語は、カルボキシル基(-COOH)を有する任意のビニルモノマーを指し;「アミノ含有ビニルモノマー」という用語は、アミノ基(-NHR’)を有する任意のビニルモノマーを指す。
【0059】
本出願において使用される「非反応性ビニルモノマー」という用語は、カルボキシル基、一級アミノ基、二級アミノ基、エポキシド基、イソシアネート基、アズラクトン基(
【化6】
又はアジリジン基(
【化7】
)(式中、pは、0又は1であり;
3R及び
4Rは、互いに独立して、C
1~C
8アルキルであり;R
1は、水素、メチル又はエチルである)を含まない任意のビニルモノマーを指す。
【0060】
フリーラジカル開始剤は、光開始剤又は熱開始剤のいずれかであり得る。「光開始剤」は、光を使用することによりフリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。「熱開始剤」は、熱エネルギーを使用することによりラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。
【0061】
材料の固有の「酸素透過性」Dkiは、酸素が材料を通過する割合である。本出願で使用される、ヒドロゲル(シリコーン又は非シリコーン)又はコンタクトレンズに関する「酸素透過性(Dk)」という用語は、補正された酸素透過性(Dkc)を意味し、これは、約34~35℃で測定され、米国特許出願公開第2012/0026457A1号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の実施例1に記載されている手順に従い、境界層効果によって引き起こされる酸素流量に対する表面抵抗について補正される。酸素透過性は、通常、barrerの単位で表され、「barrer」は、[(cm3酸素)(mm)/(cm2)(秒)(mmHg)]×10-10として定義される。
【0062】
レンズ又は材料の「酸素透過率」Dk/tは、測定される領域全体で平均厚さt[mm単位]の特定のレンズ又は材料を酸素が通過する割合である。酸素透過率は、通常、barrer/mmの単位で表され、「barrer/mm」は、[(cm3酸素)/(cm2)(秒)(mmHg)]×10-9として定義される。
【0063】
本明細書で使用される「眼に適合性である」とは、眼の環境に重大な損傷を与えることなく且つ使用者に著しい不快感を与えることなく、眼の環境と長期間密接に接触することができる材料又は材料の表面を指す。
【0064】
コンタクトレンズを滅菌及び保管するためのパッケージング溶液に関する「眼科的に安全」という用語は、溶液中に保管されたコンタクトレンズが、オートクレーブ処理後にすすぎ洗いなしで眼の上に直接配置するのに安全であり、溶液がコンタクトレンズを介した目との毎日の接触に安全且つ十分に快適であることを意味する。オートクレーブ処理後の眼に安全なパッケージング溶液は、眼に適合性である張性及びpHを有し、且つ国際的なISO規格及び米国FDA規制に準拠する眼を刺激する物質又は眼の細胞毒性物質を実質的に含まない。
【0065】
コンタクトレンズに関する「水分勾配」という用語は、コンタクトレンズのコアから表面に通過する際に観察される含水率の増加があり、コンタクトレンズの表面の近く及び表面を含む領域で最も高い含水率に到達することを意味する。コンタクトレンズのコアから表面への含水率の増加は、含水率がコンタクトレンズの表面の近く及び表面を含む領域で最も高い限り、連続的及び/又は段階的であり得ることが理解される。
【0066】
本出願で使用されるコンタクトレンズの「断面」という用語は、レンズの前面及び後面のいずれかに実質的に垂直な角度でナイフ又は切削工具を用いてレンズを切断することによって得られるレンズ断面を指す。当業者は、コンタクトレンズの断面を得るために、手作業で(すなわち手で切断する)又はCryosta Microtome若しくは旋盤でコンタクトレンズが切断されることをよく知っているであろう。得られたコンタクトレンズの断面は、イオンエッチング又は同様の技術を使用して研磨することができる。
【0067】
コンタクトレンズ又は材料に関する「モジュラス」又は「弾性率」という用語は、引張弾性率、すなわちヤング率を意味し、これは、張力下のコンタクトレンズ又は物質の剛性の尺度である。モジュラスは、ANSI Z80.20標準に従った方法を用いて測定できる。シリコーンヒドロゲル物質又はコンタクトレンズの弾性率の測定法は、当業者に公知である。例えば、全ての市販コンタクトレンズは、報告された弾性率値を有する。
【0068】
本出願で使用される、コンタクトレンズに関する「レンズバルク材料」という用語は、相互に言い換え可能であり、コンタクトレンズの3次元形状を有し、且つ中央の曲面(これは、前面を含む部分と、後面を含む他方の部分との2つの部分にコンタクトレンズを分ける)を含み、且つ可変の厚さを有する層を意味する。
【0069】
本出願で使用される、コンタクトレンズに関する「外面ヒドロゲル層」という用語は、コンタクトレンズの表面の下にある最も外側のヒドロゲル層を意味し、これは、外側前面ヒドロゲル層と、外側後面ヒドロゲル層とからなり、レンズバルク材料を完全に被覆する。コンタクトレンズに関する「外側前面ヒドロゲル層」は、コンタクトレンズの前面の下にある最も外側のヒドロゲル層を意味する。コンタクトレンズに関する「外側後面ヒドロゲル層」とは、コンタクトレンズの後面の下にある最も外側のヒドロゲル層を意味する。前面は、外側前面ヒドロゲル層と同じ材料で構成され、後面は、外側後面ヒドロゲル層と同じ材料で構成されることが理解される。
【0070】
本出願で使用される、コンタクトレンズに関する「遷移層」という用語は、内層(又はレンズバルク材料)と、前面及び後面の外側ヒドロゲル層の1つとの間に位置する層のポリマー系材料を意味する。
【0071】
「表面の柔軟性」という用語は、本出願では、ナノインデンテーション試験(実施例1に記載)において、9.5μmの先端半径及び0.54N/mの剛性を有するインデンテーションプローブの、5KPaの圧縮圧力におけるインデンテーション深さによって測定される、その表面の1つでのポリマー系物品(ヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲル物品)の見かけの弾性特性を意味するために使用される。5kPaの圧縮圧力は、まぶたの圧力をシミュレートするために使用され、典型的には1~5kPaである。表面の柔軟性に応じて、他のプローブ先端半径又はカンチレバー剛性を使用することができる。より硬い材料には、より硬いプローブを使用することができる。
【0072】
2つの表面の1つの上に外面ヒドロゲル層を有するコンタクトレンズの見かけの表面硬さ(すなわち表面の柔軟性)は、小さい窪み(レンズ全体の厚さの10%未満)でのコアの上の外面ヒドロゲル層の表面弾性率(又はヤング率)に依存する。当業者に知られているように、ヒドロゲルのメッシュサイズは、架橋鎖の長さに比例する一方、ヒドロゲルの架橋密度に反比例するため、ヒドロゲルの表面弾性率は、ヒドロゲルのメッシュサイズと相関する(米国特許第2018/0030209号明細書を参照されたい)。ヒドロゲルのメッシュサイズと平衡含水率の間に相関関係があることから、ヒドロゲルの表面弾性率は、そのヒドロゲルの平衡含水率と逆相関し得る。ヒドロゲルの表面弾性率が高いほど、平衡含水率が低くなる。結果として、5kPaでのインデンテーション深さが大きいほど、その表面の1つにあるコンタクトレンズ上の外面ヒドロゲル層の弾性率が低くなる。
【0073】
外側ヒドロゲル層は、レンズバルク材料よりもはるかに柔軟であり得るため、2つの表面の1つの上に外面ヒドロゲル層を有するコンタクトレンズの見かけの表面特性(すなわち表面の柔軟性)は、その表面下の外面ヒドロゲル層の厚さにも依存する。5kPaでのインデンテーション深さが大きいほど、その表面の1つの上にあるコンタクトレンズの外面ヒドロゲル層が厚くなる。
【0074】
したがって、その表面の1つにおけるコンタクトレンズの5kPaの圧縮圧力(又は任意の固定圧縮圧力)でのインデンテーション深さは、表面弾性率(又は平衡含水率)及び/又は表面における外面ヒドロゲル層の厚さの両方のよい指標であり得る。
【0075】
本出願では、外側前面若しくは後面のヒドロゲル層又は遷移層の「平均厚さ」は、単に「外側前面ヒドロゲル層の厚さ」、「外側後面ヒドロゲル層の厚さ」又は「遷移層の厚さ」と呼ばれ、これは、AFM、環境走査型電子顕微鏡法、共焦点蛍光顕微鏡法又は指示された状態(例えば、完全水和状態若しくは完全に水和されている場合(すなわちリン酸緩衝溶液中、pH約7.3±0.2)又は乾燥状態(例えば、完全にオーブン乾燥))のコンタクトレンズの断面について当業者に公知の任意の手法で測定される。
【0076】
図1は、好ましい実施形態による本発明のコンタクトレンズを概略的に示す。本発明のこの好ましい実施形態によれば、コンタクトレンズ100は、前面(又はフロントカーブ又は凸面)101と、使用者が装着したときに眼の角膜上に置かれる反対側の後面(又はバックカーブ又は凹面)102とを有する。コンタクトレンズ100は、レンズバルク材料110、外側前面ヒドロゲル層121及び外側後面ヒドロゲル層122を含む。レンズバルク材料110は、コンタクトレンズ100に非常に近い3次元形状を有する。外側前面及び後面ヒドロゲル層120は、内層110の含水率と比較して高い含水率を有する、シリコーンを実質的に含まない(好ましくは完全にシリコーンを含まない)ヒドロゲル材料で作製される。外側前面及び後面ヒドロゲル層120は、コンタクトレンズ100の周縁部103で融合し、内側層110を完全に被覆している。
【0077】
本出願で使用される、コンタクトレンズ又はポリマー系材料に関する「平衡含水率」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水(約0.79重量%NaCl)中で完全に水和(平衡化)されたときに室温で測定される(上で定義)、コンタクトレンズ又はポリマー系材料中に存在する水の量(重量パーセントとして表される)を意味する。
【0078】
本出願で使用される、コンタクトレンズ上の「架橋コーティング」、又は「ヒドロゲルコーティング」、又は「ヒドロゲル層」という用語は、相互に言い換え可能であり、完全に水和されたときに水を含むことができる三次元ネットワークを有する架橋ポリマー系材料を説明するために使用される。架橋ポリマー系材料の三次元ネットワークは、架橋を介した2つ以上の直鎖又は分岐ポリマーの架橋によって形成することができる。
【0079】
本明細書で使用される「表面改質」又は「表面処理」とは、物品の形成前又は後、物品が表面処理プロセス(又は表面改質プロセス)で処理されたことを意味し、このプロセスでは、(1)物品の表面にコーティングが設けられるか、(2)化学種が物品の表面上に吸着又は共有結合するか、(3)物品の表面の化学基の化学的性質(例えば、静電荷)が変更されるか、又は(4)物品の表面特性が他の方法で変更される。例示的な表面処理プロセスとしては、限定するものではないが、エネルギー(例えば、プラズマ、静電荷、照射又は他のエネルギー源)による表面処理、化学処理、物品表面上への親水性ビニルモノマー又はマクロマーのグラフト化、米国特許第6719929号明細書に開示されているモールドトランスファーコーティング、米国特許第6367929号明細書及び同第6822016号明細書で提案されているコンタクトレンズを作製するためのレンズ配合物への湿潤剤の配合、米国特許第7858000号明細書に開示されている強化モールドトランスファーコーティング並びに米国特許第8147897号明細書及び同第8409599号明細書並びに米国特許出願公開第2011/0134387号明細書、同第2012/0026457号明細書及び同第2013/0118127号明細書に開示されている1種以上の親水性ポリマーの1つ以上の層のコンタクトレンズ表面への共有結合又は物理的堆積による親水性コーティングが挙げられる。
【0080】
本発明は、概して、コンタクトレンズ、特にその後面(BC)及び前面(FC)間に表面の柔軟性における違いを有することによって特徴付けられるSiHyコンタクトレンズに関する。本発明のコンタクトレンズの後面は、角膜と直接接触し、その柔軟性は、前面よりもはるかに柔軟であり、装着感により大きい影響を有する。
【0081】
一態様では、本発明は、外面ヒドロゲル層で被覆されたレンズバルク材料を含み、且つ後面と、反対側の前面とを有するコンタクトレンズを提供し、外面ヒドロゲル層は、前面外側ヒドロゲル層と、後面外側ヒドロゲル層とからなり、外側後面ヒドロゲル層は、少なくとも約1.2(好ましくは少なくとも約1.3、より好ましくは少なくとも約1.4、更に好ましくは少なくとも約1.5、最も好ましくは少なくとも約1.6)のインデンテーション深さの比
【数1】
を有することによって特徴付けられるように、外側前面ヒドロゲル層よりも柔軟であり、式中、(Id)
PSは、ナノインデンテーション試験において、9.5μmの先端半径及び0.54N/mの剛性を有するインデンテーションプローブを用いて、後面に対して5KPaの圧縮圧力で測定されるインデンテーション深さであり、(Id)
ASは、ナノインデンテーション試験において、9.5μmの先端半径及び0.54N/mの剛性を有するインデンテーションプローブを用いて、前面に対して5KPaの圧縮圧力で測定されるインデンテーション深さである。
【0082】
別の態様では、本発明は、コーティングされたコンタクトレンズを作製する方法を提供し、この方法は、(1)凹面と、反対側の凸面とを有し、且つレンズバルク材料と、前面及び後面上且つ/又はそれらの近傍の第1の反応性官能基とを含むコンタクトレンズ前駆体を得る工程であって、第1の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシド基、アジリジン基、ビニルスルホン基、チオール基及びこれらの組み合わせからなる群から(好ましくはカルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシド基、ビニルスルホン基、チオール基及びこれらの組み合わせからなる群から、より好ましくはカルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基及びこれらの組み合わせからなる群から、更に好ましくはカルボキシル基、アミノ基及びこれらの組み合わせからなる群から)選択される、工程;(2)コンタクトレンズ前駆体の凹面が上を向く一方、凸面が下を向くことを確実にするための位置において、容器内にコンタクトレンズ前駆体を配置する工程;(3)凹面を上向きに維持しながら、コンタクトレンズ前駆体を容器内の水溶液に完全に浸漬するための量において、水溶液をコンタクトレンズ前駆体の凹面に投与する工程であって、水溶液は、室温を有し、且つ少なくとも1種の親水性ポリマー系材料を含み、前記少なくとも1種の親水性ポリマー系材料は、それぞれ室温より高い温度で1つの第1の反応性官能基と反応して共有結合を形成することができる第2の反応性官能基を含み、第2の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシド基、アジリジン基、チオール基及びこれらの組み合わせからなる群から(好ましくはカルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシド基、チオール基及びこれらの組み合わせからなる群から、より好ましくはカルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基及びこれらの組み合わせからなる群から)選択される、工程;及び(4)コンタクトレンズ前駆体をその中に有する水溶液の温度を約35℃~約140℃の温度に上げて、本発明の前の態様で説明した本発明のコンタクトレンズであるコーティングされたコンタクトレンズを形成する工程を含む。
【0083】
本発明の全ての様々な態様によれば、本発明のコンタクトレンズのレンズバルク材料は、予備成形されたコンタクトレンズから直接得ることができる。予備成形されたコンタクトレンズは、任意のレンズ製造プロセスに従って製造された後に表面処理を受けていない任意のコンタクトレンズであり得るか、プラズマ処理又は化学的若しくは物理的表面改質処理を受けた任意のコンタクトレンズであり得るか、或いは予備成形されたコンタクトレンズの表面にヒドロゲルコーティングがない限り任意の市販のコンタクトレンズであり得る。当業者は、予備成形されたコンタクトレンズを作製する方法を非常によく知っている。当業者は、予備成形されたコンタクトレンズを作製する方法を非常によく知っている。例えば、予備成形されたコンタクトレンズは、例えば、米国特許第3408429号明細書に記載されているような従来の「スピンキャスティングモールド」において又は米国特許第4347198号明細書;同第5508317号明細書;同第5583463号明細書;同第5789464号明細書;及び同第5849810号明細書に記載されている静的形態での完全キャストモールドプロセス若しくはカスタマイズされたコンタクトレンズの作製に使用されるようなポリマー系材料ボタンの旋盤切削によって製造することができる。キャスト成形では、重合性組成物(すなわちレンズ配合物)は、典型的には、モールドに分注され、コンタクトレンズを作製するためにモールド内で硬化(すなわち重合及び/又は架橋)される。
【0084】
コンタクトレンズを作製するためのレンズモールドは、当業者に周知であり、例えばキャストモールド又はスピンキャストに使用される。例えば、モールド(キャストモールド用)は、通常、少なくとも2つのモールド片(又は部分)又はモールド半体、すなわち第1及び第2のモールド半体を含む。第1のモールド半体は、第1の成形(又は光学)面を画定し、第2のモールド半体は、第2の成形(又は光学)面を画定する。第1及び第2のモールド半体は、第1の成形面と第2の成形面との間にレンズ形成キャビティが形成されるように、互いに受け入れられるように構成される。モールド半体の成形面は、モールドのキャビティ形成面であり、重合性組成物と直接接触する。
【0085】
コンタクトレンズをモールドキャストするためのモールド片を製造する方法は、一般的に当業者に周知である。本発明の方法は、モールドを形成する特定の方法に限定されない。実際、本発明では、モールドを形成する任意の方法を使用することができる。第1及び第2のモールド半体は、射出成形又は旋盤などの様々な手法により成形することができる。モールド半体を形成するための適切なプロセスの例は、米国特許第4444711号明細書;同第4460534号明細書;同第5843346号明細書;及び同第5894002号明細書に記載されている。
【0086】
コンタクトレンズを作製するためのモールドを作製するために、モールドを作製するための当技術分野で知られている事実上全ての材料を使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(Frankfurt,Germany and Summit,New JerseyのTicona GmbHのエチレンとノルボルネンとの透明なアモルファスコポリマー)などのポリマー系材料を使用することができる。石英ガラス及びサファイアなど、UV光の透過を可能にする他の材料を使用することもできる。
【0087】
好ましい実施形態では、再利用可能なモールドが使用され、レンズ形成組成物は、化学線の空間的制限下で化学的に硬化されて、コンタクトレンズを形成する。好ましい再利用可能なモールドの例は、米国特許第6627124号明細書、同第6800225号明細書、同第7384590号明細書及び同第7387759号明細書に開示されているものである。再利用可能なモールドは、石英、ガラス、サファイア、CaF2、環状オレフィンコポリマー(例えば、Frankfurt,Germany及びSummit,New JerseyのTicona GmbHのTopas(登録商標)COCグレード8007-S10(エチレンとノルボルネンとの透明なアモルファスコポリマー)、Zeon Chemicals LP,Louisville,KYのZeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標))、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、DuPont(Delrin)のポリオキシメチレン、G.E. PlasticsのUltem(登録商標)(ポリエーテルイミド)、PrimoSpire(登録商標)などで作製することができる。
【0088】
本発明によれば、重合性組成物は、任意の公知の方法に従い、モールドによって形成されたキャビティに導入(分配)することができる。
【0089】
重合性組成物がモールド内に分配された後、これは、重合されてコンタクトレンズを生成する。架橋は、熱的又は化学的に、好ましくは、モールド内の重合性組成物を化学線の空間的制限に曝して重合性組成物中の重合性成分を架橋することによって開始することができる。
【0090】
成形された物品をモールドから取り外すことができるようにモールドを開けることは、それ自体公知の方法で行うことができる。
【0091】
未重合の重合性成分を除去するために、成形されたコンタクトレンズをレンズ抽出に供することができる。抽出溶媒は、当業者に公知の任意の溶媒であり得る。適切な抽出溶媒の例は、以下に記載されているものである。
【0092】
好ましい実施形態では、予備成形されたコンタクトレンズは、レンズバルク材料として硬質プラスチック材料を含むハードコンタクトレンズである。好ましくは、硬質プラスチック材料は、架橋ポリメチルアクリレートである。当業者は、架橋ポリメチルメタクリレートなどの硬質プラスチック材料の作製方法をよく知っている。
【0093】
別の好ましい実施形態では、予備成形されたコンタクトレンズは、硬質ガス透過性コンタクトレンズである。当業者は、硬質ガス透過性レンズの作製方法を知っている。
【0094】
別の好ましい実施形態では、予備成形されたコンタクトレンズは、硬質ガス透過性レンズ材料で作製された中央の光学ゾーンを有し、且つヒドロゲル材料で作製された周囲ゾーンによって囲まれるハイブリッドコンタクトレンズである。
【0095】
別の好ましい実施形態では、予備成形されたコンタクトレンズは、非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ(又はいわゆる従来のヒドロゲルコンタクトレンズ)である。
【0096】
予備成形された非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、任意の市販の非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであり得るか、又は任意の公知の方法に従って製造され得る。例えば、予備成形された非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造では、キャスト成形若しくはスピンキャスト成形又はコンタクトレンズの旋盤切削に使用されるロッドを作製するための非シリコーンヒドロゲルレンズ配合物は、典型的には、以下のいずれかである:(1)(a)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、N-ビニルピロリドン又はこれらの組み合わせ)と、(b)架橋試薬、疎水性ビニルモノマー、潤滑剤(又はレンズ配合物に配合されるいわゆる内部湿潤剤)、フリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤)、UV吸収性ビニルモノマー、高エネルギー紫色光(「HEVL」)吸収性ビニルモノマー、可視性着色剤(例えば、反応性染料、重合性染料、顔料又はこれらの混合物)、抗菌剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの成分とを含むモノマー混合物;又は(2)1種以上の水溶性プレポリマーと、親水性ビニルモノマー、架橋剤、疎水性ビニルモノマー、潤滑剤(又はレンズ配合物に配合されるいわゆる内部湿潤剤)、フリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤)、UV吸収性ビニルモノマー、HEVL吸収性ビニルモノマー、可視性着色剤(例えば、反応性染料、重合性染料、顔料又はこれらの混合物)、抗菌剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの成分とを含む水溶液。その後、得られた予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズは、当業者に知られているように、得られたレンズから未重合成分を除去するために抽出溶媒で抽出され、水和プロセスに供され得る。ヒドロゲルレンズ配合物中に存在する潤滑剤は、潤滑剤なしの対照ヒドロゲルレンズ配合物から得られる対照の予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズの潤滑性と比較して、予備成形されたヒドロゲルコンタクトレンズの潤滑性を改善できることが理解される。
【0097】
水溶性プレポリマーの好ましい例としては、限定するものではないが、米国特許第5583163号明細書及び米国特許第6303687号明細書に記載されている水溶性架橋性ポリ(ビニルアルコール)プレポリマーが挙げられる。
【0098】
多数の非シリコーンヒドロゲルレンズ配合物が、本出願の出願日までに公開された多数の特許及び特許出願に記載されており、市販の非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造に使用されてきた。市販の非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの例としては、限定するものではないが、アルファフィルコンA、アコフィルコンA、デルタフィルコンA、エタフィルコンA、フォコフィルコンA、ヘルフィルコンA、ヘルフィルコンB、ヒラフィルコンB、ヒオキシフィルコンA、ヒオキシフィルコンB、ヒオキシフィルコンD、メタフィルコンA、メタフィルコンB、ネルフィルコンA、ネソフィルコンA、オクフィルコンA、オクフィルコンB、オクフィルコンC、オクフィルコンD、オマフィルコンA、フェムフィルコンA、ポリマコン、サンフィルコンA、テルフィルコンA、テトラフィルコンA及びビフィルコンAが挙げられる。
【0099】
好ましい実施形態では、内層は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、より好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート及びビニルアルコールからなる群から好ましくは選択される少なくとも1種のヒドロキシル含有ビニルモノマーの繰り返し単位を少なくとも50モル%含む非シリコーンヒドロゲル材料から構成される。繰り返し単位のモルパーセントは、非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作製するための非シリコーンヒドロゲルレンズ配合物に基づいて計算することができる。
【0100】
別の好ましい実施形態では、予備成形されたコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである。
【0101】
予備成形されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、任意の市販のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであり得るか、又は任意の公知の方法に従って製造され得る。例えば、予備成形されたシリコーンヒドロゲル(SiHy)コンタクトレンズの製造では、キャスト成形若しくはスピンキャスト成形又はコンタクトレンズの旋盤切削に使用されるSiHyロッドを作製するためのSiHyレンズ配合物は、通常、当業者に周知のように、シリコーン含有ビニルモノマー、ポリシロキサンビニル系架橋剤、シリコーン含有プレポリマー、親水性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマー、非シリコーン系ビニル系架橋剤、フリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤)、シリコーン含有プレポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む。その後、得られた予備成形されたSiHyコンタクトレンズは、当業者に知られているように、得られたレンズから未重合成分を除去するために抽出溶媒で抽出され、水和プロセスに供され得る。加えて、予備成形されたSiHyコンタクトレンズは、カラーコンタクトレンズ(すなわち当業者に周知であるように少なくとも1つの着色パターンが上に印刷されたSiHyコンタクトレンズ)であり得る。
【0102】
本発明によれば、シリコーン含有ビニルモノマーは、当業者に公知の任意のシリコーン含有ビニルモノマーであり得る。好ましいシリコーン含有ビニルモノマーの例としては、限定するものではないが、それぞれビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有するビニルモノマー、ポリシロキサンビニルモノマー、3-メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、t-ブチルジメチル-シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート及びトリメチルシリルメチルビニルカーボネート並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0103】
式(M1)のものを含む好ましいポリシロキサンビニルモノマーは、本出願で後に記載されており、また商業的供給元(例えば、信越、Gelestなど)から入手することができ、また例えば米国特許第5070215号明細書、同第6166236号明細書、同第6867245号明細書、同第8415405号明細書、同第8475529号明細書、同第8614261号明細書及び同第9217813号明細書に記載の手順に従って調製することができ;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルオキシポリエチレングリコールをモノエポキシプロピルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;グリシジル(メタ)アクリレートをモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサン、モノアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン又はモノエチルアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができるか;又は当業者に周知のカップリング反応に従い、イソシアナトエチル(メタ)アクリレートをモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができる。
【0104】
式(M2)のものを含む、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基をそれぞれ有する好ましいシリコーン含有ビニルモノマーは、本出願で後に記載されており、また商業的供給元(例えば、信越、Gelestなど)から入手することができ、また例えば米国特許第5070215号明細書、同第6166236号明細書、同第7214809号明細書、同第8475529号明細書、同第8658748号明細書、同第9097840号明細書、同第9103965号明細書及び同第9475827号明細書に記載の手順に従って調製することができる。
【0105】
任意の適切なポリシロキサンビニル系架橋剤を本発明で使用することができる。好ましいポリシロキサンビニル系架橋剤の例は、ジ-(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサン;ジビニルカーボネート末端ポリジメチルシロキサン;ジビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン;N,N,N’,N’-テトラキス(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル)-アルファ,オメガ-ビス-3-アミノプロピル-ポリジメチルシロキサン;米国特許第5,760,100号明細書に記載されているマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC及びマクロマーDからなる群から選択されるポリシロキサン含有マクロマー;米国特許第4136250号明細書、同第4153641号明細書、同第4182822号明細書、同第4189546号明細書、同第4343927号明細書、同第4254248号明細書、同第4355147号明細書、同第4276402号明細書、同第4327203号明細書、同第4341889号明細書、同第4486577号明細書、同第4543398号明細書、同第4605712号明細書、同第4661575号明細書、同第4684538号明細書、同第4703097号明細書、同第4833218号明細書、同第4837289号明細書、同第4954586号明細書、同第4954587号明細書、同第5010141号明細書、同第5034461号明細書、同第5070170号明細書、同第5079319号明細書、同第5039761号明細書、同第5346946号明細書、同第5358995号明細書、同第5387632号明細書、同第5416132号明細書、同第5451617号明細書、同第5486579号明細書、同第5962548号明細書、同第5981675号明細書、同第6039913号明細書及び同6762264号明細書に開示されているポリシロキサン含有マクロマー;米国特許第4259467号明細書、同第4260725号明細書及び同第4261875号明細書に記載されているポリシロキサン含有マクロマーである。
【0106】
好ましいポリシロキサンビニル系架橋剤の1つの分類は、ジメチルシロキサン単位と、1つのメチル置換基及び2~6つのヒドロキシル基を有する1つの一価C4~C40有機ラジカル置換基をそれぞれ有する親水化シロキサン単位とを有するジ-(メタ)アクリロイルオキシ末端ポリシロキサンビニル系架橋剤、より好ましくは式(I)のポリシロキサンビニル系架橋剤であり、これらは、本出願で後に記載されており、また米国特許第10081697号明細書に開示されている手順に従って調製することができる。
【0107】
好ましいポリシロキサンビニル系架橋剤の別の分類は、式(1)のビニル系架橋剤であり、これは、本出願で後に記載されており、また商業的供給元から入手することができ;またグリシジル(メタ)アクリレート(メタ)アクリロイルクロリドをジアミノ末端ポリジメチルシロキサン又はジヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調整することができ;イソシアナトエチル(メタ)アクリレートをジヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることにより調製することができ、カップリング剤(カルボジイミド)の存在下でアミノ含有アクリルモノマーをジカルボキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることにより調製することができ;カップリング剤(カルボジイミド)の存在下でカルボキシル含有アクリルモノマーをジアミノ末端ポリジメチルシロキサンと反応させることにより調製することができるか;又はジイソシアネート又はジエポキシカップリング剤の存在下でヒドロキシル含有アクリルモノマーをジヒドロキシ末端ポリジシロキサンと反応させることによって調製することができる。
【0108】
他の分類の好ましいポリシロキサンビニル系架橋剤は、式(2)~(7)のいずれか1つの鎖延長ポリシロキサンビニル系架橋剤であり、これは、本出願で後に記載されており、米国特許第5034461号明細書、同第5416132号明細書、同第5449729号明細書、同第5760100号明細書、同第7423074号明細書、同第8529057号明細書、同第8835525号明細書、同第8993651号明細書及び同第10301451号明細書並びに米国特許出願公開第2018-0100038 A1号明細書に記載されている手順に従って調製することができる。
【0109】
本発明では、任意の親水性ビニルモノマーを使用することができる。好ましい親水性ビニル系モノマーの例は、アルキル(メタ)アクリルアミド(本出願で後述)、ヒドロキシル含有アクリルモノマー(本出願で後述)、アミノ含有アクリルモノマー(本出願で後述)、カルボキシル含有アクリルモノマー(本出願で後述)、N-ビニルアミドモノマー(本出願で後述)、メチレン含有ピロリドンモノマー(すなわち3-又は5-位でピロリドン環に連結したメチレン基をそれぞれ有するピロリドン誘導体)(本出願で後述)、C1~C4アルコキシエトキシ基を有するアクリルモノマー(本出願で後述)、ビニルエーテルモノマー(本出願で後述)、アリルエーテルモノマー(本出願で後述)、ホスホリルコリン含有ビニル系モノマー(本出願で後述)、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン及びこれらの組み合わせである。
【0110】
本発明によれば、任意の疎水性ビニルモノマーを本発明に含めることができる。好ましい疎水性ビニルモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、1-ブテン、ブタジエン、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルエチル-チオ-カルボニル-アミノエチル-メタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0111】
本発明によれば、任意の非シリコーン系ビニル系架橋剤を本発明に含めることができる。好ましい非シリコーン系ビニル系架橋剤の例は、本出願で後に記載されている。
【0112】
本発明では、任意の熱重合開始剤を使用することができる。適切な熱重合開始剤は、当業者に公知であり、例えばペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アゾ-ビス(アルキル-又はシクロアルキルニトリル)、過硫酸塩、過炭酸塩又はそれらの混合物を含む。好ましい熱重合開始剤の例としては、限定するものではないが、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシド、t-アミルペルオキシベンゾエート、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチル-ジペロキシフタレート、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(Perkadox 16S)、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t-ブチルペルオキシピバレート(Lupersol 11);t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21-C50)、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO33)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩(VAZO44)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO50)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO52)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO64又はAIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(VAZO67)、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO88);2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレート)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、熱開始剤は、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN又はVAZO64)である。
【0113】
適切な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン並びにDarocur及びIrgacurタイプ、好ましくはDarocur1173(登録商標)及びDarocur2959(登録商標)、ゲルマニウム系のNorrish Type I光開始剤(例えば、米国特許第7,605,190号明細書に記載されているもの)である。ベンゾイルホスフィン開始剤の例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-ブチルフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。例えば、マクロマーに組み込むことができる反応性光開始剤又は特殊なモノマーとして使用することができる反応性光開始剤も適している。反応性光開始剤の例は、欧州特許第632329号明細書に開示されているものである。
【0114】
SiHyコンタクトレンズ配合物は、例えば、当業者に公知のUV吸収性ビニルモノマー、HEVL吸収性ビニルモノマー、可視性着色剤(例えば、当業者に周知の反応性染料、重合性染料、顔料又はそれらの混合物)、抗菌剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤、浸出性潤滑剤(例えば、非重合性親水性ポリマーなど)、浸出性涙液安定剤(例えば、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、糖脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質など)及びそれらの混合物など、当業者に公知の他の必要な成分も含むことができる。
【0115】
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)は、当業者に知られているように、全ての重合性成分と他の必要な成分とを混合することによって調製される無溶媒の透明な液体であり得るか、又は水と水混和性の1種以上の溶媒との混合物、有機溶媒若しくは1種以上の有機溶媒の混合物などの任意の適切な溶媒中に所望の成分の全てを溶解することによって調製される溶液であり得る。「溶媒」という用語は、フリーラジカル重合反応に関与できない化学物質を指す。
【0116】
無溶媒のレンズSiHyレンズ配合物は、典型的には、無溶媒のSiHyレンズ配合物の他の全ての重合性成分を溶解するための反応性溶媒として少なくとも1種のブレンドビニルモノマーを含む。好ましいブレンドビニルモノマーの例は、本出願で後に記載されている。好ましくは、無溶媒のSiHyレンズ配合物の調製におけるブレンドビニルモノマーとしてメチルメタクリレートが使用される。
【0117】
本発明では、任意の溶媒を使用することができる。好ましい有機溶媒の例としては、限定するものではないが、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸i-プロピル、塩化メチレン、2-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール及びエキソノルボルネオール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、3-メチル-2-ブタノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、2-ノナノール、2-デカノール、3-オクタノール、ノルボルネオール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、2-メチル-2-ペンタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチル-2-ヘキサノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-クロロ-2-メチル-2-プロパノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、2-2-メチル-2-ノナノール、2-メチル-2-デカノール、3-メチル-3-ヘキサノール、3-メチル-3-ヘプタノール、4-メチル-4-ヘプタノール、3-メチル-3-オクタノール、4-メチル-4-オクタノール、3-メチル-3-ノナノール、4-メチル-4-ノナノール、3-メチル-3-オクタノール、3-エチル-3-ヘキサノール、3-メチル-3-ヘプタノール、4-エチル-4-ヘプタノール、4-プロピル-4-ヘプタノール、4-イソプロピル-4-ヘプタノール、2,4-ジメチル-2-ペンタノール、1-メチルシクロペンタノール、1-エチルシクロペンタノール、1-エチルシクロペンタノール、3-ヒドロキシ-3-メチル-1-ブテン、4-ヒドロキシ-4-メチル-1-シクロペンタノール、2-フェニル-2-プロパノール、2-メトキシ-2-メチル-2-プロパノール、2,3,4-トリメチル-3-ペンタノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-フェニル-2-ブタノール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及び3-エチル-3-ペンタノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0118】
多数のSiHyレンズ配合物が、本出願の出願日までに公開された多数の特許及び特許出願に記載されており、市販のSiHyコンタクトレンズの製造において使用されてきた。市販のSiHyコンタクトレンズの例としては、限定するものではないが、アスモフィルコンA、バラフィルコンA、コンフィルコンA、デレフィルコンA、エフロフィルコンA、エンフィルコンA、ファンフィルコンA、ガリフィルコンA、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB、ナラフィルコンA、ナラフィルコンB、セノフィルコンA、セノフィルコンB、セノフィルコンC、スマフィルコンA、ソモフィルコンA及びステンフィルコンAが挙げられる。
【0119】
SiHyレンズ配合物(すなわち重合性組成物)は、当業者に知られているように、好ましくはコンタクトレンズのキャスト成形用モールド内で熱的又は化学的に硬化(重合)することができる。
【0120】
熱重合は、例えば、25~120℃、好ましくは40~100℃の温度で都合よく行われる。反応時間は、広い範囲内で変動し得るが、例えば1~24時間又は好ましくは2~12時間が好都合である。重合反応に使用される成分及び溶媒を予め脱気し、不活性雰囲気下、例えば窒素又はアルゴンの雰囲気下で前記共重合反応を行うことが有利である。
【0121】
その後、化学線重合は、化学線、例えば光、特に適切な波長のUV光又は可視光によって引き起こすことができる。必要に応じて、適切な光増感剤を添加することにより、スペクトル要件を適宜制御することができる。
【0122】
本発明によれば、レンズ配合物は、任意の公知の方法に従い、モールドによって形成されたキャビティに導入(分配)することができる。
【0123】
レンズ配合物がモールド内に分配された後、これが重合されてコンタクトレンズが生成する。重合は、熱的又は化学的に、好ましくは、モールド内のレンズ配合物を化学線の空間的制限に曝してレンズ配合物中の重合性成分を架橋することによって開始することができる。
【0124】
成形された物品をモールドから取り外すことができるようにモールドを開けることは、それ自体公知の方法で行うことができる。
【0125】
未重合の重合性成分を除去するために、成形されたコンタクトレンズをレンズ抽出に供することができる。抽出溶媒は、当業者に公知の任意の溶媒であり得る。適切な抽出溶媒の例は、上述したものである。
【0126】
本発明によれば、レンズバルク材料のシリコーンヒドロゲル材料は、約50barrer(好ましくは約60、より好ましくは約70、更に好ましくは約90barrer、最も好ましくは少なくとも約100barrer)~約180barrerの酸素透過性を有する。シリコーンヒドロゲル材料は、約10重量%(好ましくは約20重量%、より好ましくは30重量%;更に好ましくは約40重量%)~約80重量%の平衡含水率も有することができる。シリコーンヒドロゲル材料は、約0.3MPa~約1.8MPa、好ましくは0.4MPa~約1.5MPa、より好ましくは約0.4MPa~約1.2MPaのバルク弾性率(すなわちバルクヤング率)を更に有することができる。本発明のコンタクトレンズのシリコーンヒドロゲル材料の酸素透過性、弾性率及び含水率は、予備成形されたコンタクトレンズの酸素透過性、弾性率及び含水率を測定することによって決定することができる。当業者は、シリコーンヒドロゲル材料又はSiHyコンタクトレンズの弾性率及び平衡含水率を決定する方法をよく知っている。例えば、全ての市販のSiHyコンタクトレンズについて、酸素透過性、弾性率及び含水率の値が報告されている。
【0127】
本発明のコンタクトレンズの外側後面ヒドロゲル層は、好ましくは、外側前面ヒドロゲル層よりも厚い。外側前面ヒドロゲル層に対する外側後面ヒドロゲル層の厚さの比率は、少なくとも約1.2、好ましくは少なくとも約1.3、より好ましくは少なくとも約1.4、更に好ましくは少なくとも約1.5である。
【0128】
様々な好ましい実施形態では、互いに独立した外側前面及び後面ヒドロゲル層並びに外面ヒドロゲル層は、本出願で後述するように、異なる組成を有する様々な異なるポリマー鎖を含む架橋ポリマー系材料である。
【0129】
好ましい実施形態によれば、互いに独立した本発明のコンタクトレンズの外側前面及び後面ヒドロゲル層は、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%、更に好ましくは少なくとも95重量%の平衡含水率を含む。
【0130】
本発明によれば、外側前面及び後面ヒドロゲル層のそれぞれは、実質的にシリコーンを含まず、好ましくは完全にシリコーンを含まない。しかしながら、X線光電子分光法(XPS)を使用して外面ヒドロゲル層中のケイ素の存在の有無を確認すると(通常、1.5~6Nmのプロービング深度)、例えばGoodfellowのポリエチレンシート(1.3±0.2%)、AlconのDAILIES(登録商標)AquaComfortPlusTMコンタクトレンズ(1.7±0.9%)又はJohnson&JohnsonのACUVUE(登録商標)Moist(2.8±0.9%)など、理論上ケイ素原子を全く含まないサンプルの表面でXPSによってケイ素が検出されることから示されるように、サンプルが環境ケイ素によって不可避的に汚染されていることがよく知られている。そのため、本発明のSiHyコンタクトレンズのそれぞれの外面ヒドロゲル層は、乾燥状態のコンタクトレンズのXPS分析によって測定した場合、総元素パーセント割合の約5%以下、好ましくは約4%以下、更に好ましくは約3%以下のケイ素原子パーセント割合を有することによって特徴付けられるように、実質的にケイ素を含まない。
【0131】
本発明のコンタクトレンズの層状構造の構成は、当業者に知られているように、完全に水和状態(すなわち直接水中又は緩衝生理食塩水中における)のコンタクトレンズの断面の、原子間力顕微鏡(AFM)、環境走査型電子顕微鏡、共焦点蛍光顕微鏡又は他の任意の公知の技術による分析によって明らかにすることができる。
【0132】
本発明の様々な態様の上記の好ましい実施形態のいずれか1つでは、本発明のコンタクトレンズは、280~315ナノメートルにおける約10%以下(好ましくは約5%以下、より好ましくは約2.5%以下、更に好ましくは約1%以下)のUVB透過率と、315~380ナノメートルにおける約30%以下(好ましくは約20%以下、より好ましくは約10%以下、更に好ましくは約5%以下)のUVA透過率と、380~440ナノメートルにおける0%~約70%、好ましくは5%~約60%、より好ましくは5%~約50%、更に好ましくは約5%~約40%の紫外透過率とを有する。
【0133】
本発明のコンタクトレンズは、当業者に公知の又は開発される任意の方法に従って得ることができる。
【0134】
本発明によれば、コンタクトレンズ前駆体は、その表面上且つ/又はその近傍に第1の反応性官能基をもともと含むか又は含むように修飾された予備成形されたコンタクトレンズである。
【0135】
予備成形されたコンタクトレンズがもともとその表面上且つ/又はその近傍に第1の反応性官能基を含む場合、それは、ビニルモノマー(これは、例えば、カルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシド基、アジリジン基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの第1の反応性官能基を更に含む)を含有する重合性組成物(すなわち非シリコーンヒドロゲルレンズ配合物又はシリコーンヒドロゲルレンズ配合物)を重合することによって得られる。カルボキシル含有ビニルモノマー、アミノ含有ビニルモノマー、アゼチジニウム含有ビニルモノマー、エポキシ含有ビニルモノマー及びアジリジン含有ビニルモノマーの例は、当技術分野で公知であり、商業的供給元から入手することができるか、又は公知の手順に従って調製することができる。レンズ配合物は、好ましくは、約0.1重量%~約10重量%、より好ましくは約0.25重量%~約7重量%、更に好ましくは約0.5重量%~約5重量%、最も好ましくは約0.75重量%~約3重量%の、少なくとも1つの第1の反応性官能基を有するそのようなビニルモノマーを含有する。
【0136】
予備成形されたコンタクトレンズがその表面上且つ/又はその近傍にもともとアミノ基を含む場合、それは、チオールマイケル付加反応に従ってジビニルスルホン化合物とそれを反応させてアミノ基を介してビニルスルホン基を共有結合させるか、又はチオラクトンとそれを反応させてアミノ基を介してチオール基を共有結合させることによって化学的に修飾することができる。
【0137】
好ましいジビニルスルホン化合物の例としては、限定するものではないが、ジビニルスルホン、ビス(ビニルスルホニル)C1~C6アルカン、1,3-ビス(ビニルスルホニル)-2-プロパノール、1,1-ビス(ビニルスルホニル)-1-プロパノール、1,5-ビス(ビニルスルホニル)-3-ペンタノール、1,1-ビス(ビニルスルホニル)-3-メトキシプロパン、1,5-ビス(ビニルスルホニル)-2,4-ジメチルベンゼン及び1,4-ビス(ビニルスルホニル)-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンが挙げられる。
【0138】
好ましい市販のチオラクトンの例としては、限定するものではないが、4-ブチロチオラクトン(又はジヒドロ-2(3H)-チオフェノン)、3-メチルジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、3-エチルジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、3-(1-メチルエチル)ジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、3,3-ジメチルジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、3-エチル-3-メチルジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、3-アセチルジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、N-アセチルホモシステインチオラクトン、N-プロピオニルホモシステインチオラクトン、N-ブチリルホモシステインチオラクトン及びN-カルボキシブチリルホモシステインチラクトン(又は4-オキソ-4-[(テトラヒドロ-2-オキソ-3-チエニル)アミノ]-ブタン酸)が挙げられる。
【0139】
予備成形されたコンタクトレンズは、その表面上且つ/又はその近傍に第1の反応性官能基を有するようにいずれかの表面処理に供され得る。本発明では、任意の適切な表面処理を使用することができる。表面処理の例としては、限定するものではないが、プラズマ処理;化学処理;化学蒸着;物品表面(改質済又は未改質)上への、少なくとも1つの反応性官能基を有する化合物のグラフト化(共有結合);物品表面(改質済又は未改質)上への、少なくとも1つの第1の反応性官能基を有するビニルモノマーのグラフト重合;物品表面(改質済又は未改質)上への、第1の反応性官能基を有する1種以上の親水性材料のレイヤーバイレイヤー(「LbL」)堆積(すなわちLbLコーティング形成プロセス);物品表面(改質済又は未改質)上への、第1の反応性官能基を有する1種以上の親水性ポリマー系材料の共有結合;又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0140】
プラズマ処理とは、コンタクトレンズの表面を化学的に修飾するためにコンタクトレンズをプラズマに曝すプロセスを指す。「プラズマ」という用語は、イオン化ガス(例えば、電子、いずれかの極性のイオン、地中のガス原子及び分子又は任意の形態の励起の任意のより高い状態並びに光子から構成され得る電気グロー放電によって形成される)を表す。励起された種は、プラズマ中に配置された物品の固体表面と相互作用し、材料表面を化学的及び物理的に修飾する。真空チャンバー内のガスを典型的には無線周波数(rf)(又はマイクロ波又は他の周波数)の電荷に曝すことによってプラズマが生成される場合、これは、多くの場合、「低温プラズマ」と呼ばれる。プラズマが大気圧放電(例えば、アーク放電)によって生成され、周囲大気圧で維持される場合、それは、「高温プラズマ」又は「大気圧プラズマ」である。大気圧プラズマは、大気圧放電によって生成することができる。
【0141】
プラズマ処理及びその使用のレビューについては、R.Hartmann“Plasma polymerisation:Grundlagen,Technik und Anwendung,Jahrb.Oberflaechentechnik(1993)49,pp.283-296,Battelle-Inst.e.V.Frankfurt/Main Germany;H.Yasuda,“Glow Discharge Polymerization”,Journal of Polymer Science:Macromolecular Reviews,vol.16(1981),pp.199-293;H.Yasuda,“Plasma Polymerization”,Academic Press,Inc.(1985);Frank Jansen,“Plasma Deposition Processes”,in“Plsma Deposited Thin Films”,ed.by T.Mort and F.Jansen,CRC Press Boca Raton(19);O.Auciello et al.(ed.)“Plasma-Surface Interactions and Processing of Materials”publ.by Kluwer Academic Publishers in NATO ASI Series;Series E:Applied Sciences,vol.176(1990),pp.377-399;及びN.Dilsiz and G.Akovali“Plasma Polymerization of Selected Organic Compounds”,Polymer,vol.37(1996)pp.333-341が参照される。
【0142】
低圧下での既知のプラズマ処理としては、プラズマ堆積、プラズマ誘導重合、プラズマグラフト化、プラズマ酸化などが挙げられる。低圧下でのプラズマ処理は、例えば、Focus NIGHT&DAY(登録商標)及びAIR OPTIX(登録商標)(Alcon)並びにPUREVISION(登録商標)(Bausch&Lomb)などの市販製品において使用されている。例えば、Focus NIGHT&DAY(登録商標)で見られるようなプラズマコーティングの利点は、その耐久性、比較的高い親水性/湿潤性)並びに脂質及びタンパク質の沈着及び吸着に対する感受性が低いことである。プラズマ処理の例は、米国特許第4143949号明細書;同第4312575号明細書;同第5464667号明細書;同第6881269号明細書;及び同第7078074号明細書に開示されているものである(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。予備成形されたコンタクトレンズは、典型的には、低圧下でのプラズマ処理前に乾燥されなければならないことが理解される。
【0143】
当業者は、プラズマ(すなわち電気グロー放電プラズマ)が、高濃度の励起された原子、分子、イオン及びフリーラジカル種からなり、真空チャンバー中のガスを、典型的には無線周波数(rf)(又はマイクロ波若しくは他の周波数)である電場に曝すことによって生成される部分的にイオン化されたガスであることをよく理解している。
【0144】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの低圧下でのプラズマ処理の例示として、1つ以上の予備成形されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、対向する電極間の反応器チャンバー内に配置される。その後、チャンバーは、真空システムによって密閉され、減圧される。作動圧力までシステムをポンピングするために、かなりの時間を要する。チャンバー内で適切な圧力が得られると、プロセスガスがチャンバー内部に導入され、電極が活性化する。得られたプラズマ雲は、ポリマーの薄層(又はポリマーコーティング)をレンズに塗布することができ、且つ/又は使用されるプロセスガスに応じてレンズ表面の最上層の化学組成を変更することができる。適切な時間後、電極の電源が切られ、反応器チャンバーが大気圧に戻され、それによりレンズを取り出すことができる。
【0145】
低圧プラズマ処理システムは、当業者に公知であり、特許及び論文で開示されている。例えば、Peng Ho及びYasudaは、その論文(“Ultrathin Coating Of Plasma Polymer Of Methane Applied On The Surface Of Silicone Contact Lenses,”Journal of Biomedical Materials Research、Vol.22、919-937(1988)、この全体が参照により本明細書に組み込まれる)において、対向するアルミニウム電極が配置され、回転可能なアルミニウムプレートが電極間に配置され、システム内の誘導モーターによって駆動される、ベル形状の真空チャンバーを含むバッチ式低圧プラズマ処理システム(又は回転プラズマシステム)を開示している。Matsuzawa及びWintertonは、米国特許第6,881,269号明細書(この全体が参照により本明細書に組み込まれる)において、直線型低圧プラズマシステムを開示している。
【0146】
本発明によれば、乾燥状態の予備成形されたコンタクトレンズは、空気、N2、O2、CO2又はC1~C6炭化水素と、空気、N2、O2、CO2及びこれらの組み合わせからなる群から選択される二次ガスとの混合物(好ましくはCO2又はC1~C4炭化水素ガスと、空気、CO2、N2及びこれらの組み合わせからなる群から選択される二次ガスとの混合物、より好ましくはCO2又はメタンと、空気、CO2、N2及びこれらの組み合わせからなる群から選択される二次ガスとの混合物、更に好ましくはCO2又はメタンとCO2との混合物)から構成されるプラズマガス(すなわち雰囲気)内で生成する低圧プラズマで処理される。
【0147】
本発明では、好ましくは、米国特許第9156213号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている大気圧プラズマ表面処理が使用される。大気圧プラズマ表面処理では、コンタクトレンズは、完全に水和した状態にされ得る。
【0148】
当業者は、少なくとも1つの第1の反応性官能基(カルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシド基、アジリジン基、ビニルスルホン基、チオール基及びこれらの組み合わせ)を有する化合物を、公知のカップリング反応に従い、コンタクトレンズの表面にグラフト化(共有結合)する方法をよく知っている。
【0149】
本明細書で使用される「LbLコーティング」は、コンタクトレンズのポリマーマトリックスに共有結合されておらず、1種以上のポリマー系材料のレンズ上へのレイヤーバイレイヤー(「LbL」)堆積によって得られるコーティングを指す。LbLコーティングは、1つ以上の層から構成することができる。コンタクトレンズ上のLbLコーティングは、米国特許第6451871号明細書、同第6719929号明細書、同第6793973号明細書、同第6811805号明細書、同第6896926号明細書、同第8044112号明細書、同第8158192号明細書及び同第8147897号明細書に記載されている方法に従って得ることができる。好ましくは、LbLコーティングは、それぞれカルボキシル基を含む1種以上のポリアニオン性ポリマーと、任意選択的である、カルボキシル基以外の第1の反応性官能基を含むように化学的に修飾されたポリアニオン性ポリマーとの少なくとも1つの層を含む。ポリアニオン性ポリマーは、好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチルアクリル酸、ポリ(アクリル酸-co-メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸-co-エタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸-co-エタクリル酸)及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリアニオン性ポリマーであり、より好ましくはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(アクリル酸-co-メタクリル酸)又はこれらの混合物であるポリアニオン性ポリマーである。ポリアニオン性ポリマーを、カルボキシル基以外の少なくとも1つの第1の反応性官能基を有する化合物と反応させることによって化学的に修飾することがよく知られている。
【0150】
コンタクトレンズをポリマー溶液と接触させることにより、カルボキシル基を有するポリアニオン性ポリマーのLbLコーティングをコンタクトレンズ上に形成することができる。コンタクトレンズとポリマーのコーティング溶液との接触は、コンタクトレンズをコーティング溶液に浸すか、又はコンタクトレンズにコーティング溶液を噴霧することによって行うことができる。1つの接触プロセスは、コンタクトレンズをコーティング溶液の浴中に一定時間浸漬することのみを含むか、又は代わりにコンタクトレンズをコーティング溶液の一連の浴中により短い一定時間にわたって各浴に順次浸漬することを含む。別の接触プロセスは、コーティング溶液を噴霧することのみを含む。しかしながら、複数の代替手段は、噴霧工程と浸漬工程との様々な組み合わせを含み、これは、当業者によって設計され得る。コンタクトレンズと反応性ポリマーのコーティング溶液との接触時間は、最大で約10分、好ましくは約5~約360秒、より好ましくは約5~約250秒、更に好ましくは約5~約200秒継続され得る。
【0151】
コンタクトレンズ上にコーティングを形成するためのポリアニオン性ポリマーの溶液は、1種以上のポリマーを、水、水と水混和性有機溶媒との混合物、有機溶媒又は1種以上の有機溶媒の混合物に溶解することによって調製することができる。好ましくは、ポリマーは、水と1種以上の有機溶媒との混合物、有機溶媒又は1種以上の有機溶媒の混合物に溶解される。少なくとも1種の有機溶媒を含む溶媒系は、コンタクトレンズを膨潤させ、それにより反応性ポリマーの一部をコンタクトレンズに浸透させることで、コーティングの耐久性を高めることができると考えられる。有機溶媒の例は、上に記載されている。ポリアニオン性ポリマー溶液のpHは、比較的厚く安定なLbLコーティングを形成するために、好ましくは約1.5~約4.0である。コーティング溶液の温度は、好ましくは、約20℃~約70℃である。
【0152】
当業者は、第1の反応性官能基を有する1種以上のポリマーをコンタクトレンズの表面に共有結合させる方法を知っている。1種以上の親水性ポリマーを医療用デバイスに共有結合させるための例示的な方法は、米国特許第5599576号明細書、同第5766158号明細書、同第6087415号明細書、同第6096726号明細書、同第6340465号明細書、同第6440571号明細書、同第6500481号明細書、同第6534559号明細書、同第6623747号明細書、同第6683062号明細書、同第6838491号明細書、同第6866936号明細書、同第6923978号明細書及び同第8529057号明細書並びに米国特許出願公開第2009-0145086A1号明細書、同第2009-0145091A1号明細書、同第2008-0142038A1号明細書及び同第2007-0122540A1号明細書に開示されている。
【0153】
親水性ポリマーコーティングを形成するための、ビニル系架橋試薬の存在下又は非存在下における、少なくとも1つの第1の反応性官能基(例えば、カルボキシル、アミノ、アゼチジニウム基、エポキシド基、アジリジン基及びこれらの組み合わせ)を有する1種以上のビニルモノマーのグラフト重合は、米国特許第6099122号明細書、同第6436481号明細書、同第6440571号明細書、同第6447920号明細書、同第6465056号明細書、同第6521352号明細書、同第6586038号明細書、同第6730366号明細書、同第6734321号明細書、同第6835410号明細書及び同第6878399号明細書並びに特開2001075060号公報など多くの特許に記載されている。例えば、乾燥状態の予備成形されたコンタクトレンズは、最初に、反応性官能基を有するプラズマコーティングを形成するために、少なくとも1つの反応性官能基(例えば、一級若しくは二級アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、アズラクトン基、アジリジン基又はイソシアネート基)を有する化合物のプラズマ雰囲気中でプラズマ処理に供される。プラズマ処理されたコンタクトレンズは、フリーラジカル開始剤部位(例えば、熱開始剤又は光開始剤)又は好ましくはリビング重合開始剤部位(例えば、原子移動ラジカル重合(ATRP)開始剤又は可逆的付加-開裂連鎖移動重合(RAFT)開始剤)と、当業者に公知のカップリング反応条件下でカップリング剤の存在下又は非存在下でコンタクトレンズ上のプラズマコーティングの官能基と共反応する官能基とを有する化合物と反応する。得られたフリーラジカル開始剤部位をその上に有するコンタクトレンズは、少なくとも1つの第1の官能基を有する1種以上のビニルモノマーの溶液中に浸漬され、これらのビニルモノマーのフリーラジカル重合を開始する条件に曝されることで、第1の反応性官能基を含むグラフトによるポリマーの層が形成される。
【0154】
本発明によれば、外面ヒドロゲル層又は外側前面及び後面ヒドロゲル層を形成するための親水性ポリマー系材料(すなわち架橋親水性コーティング)は、第2の反応性官能基を含む。好ましくは、親水性ポリマー系材料は、三次元ネットワーク(すなわち限られた量の1種以上の架橋剤によって架橋されたポリマー鎖のため、高度に分岐された親水性ポリマー系材料が水に可溶又は分散可能である)と第2の反応性官能基とを含む高度に分岐された親水性ポリマー系材料である。
【0155】
そのような高度に分岐された親水性ポリマー系材料の一例は、スキームI
【化8】
(式中、X
1は、-S-*、-OC(=O)-*又は-NR’-*であり、R’は、水素又はC
1~C
20の無置換又は置換アルキル基であり、*は、有機ラジカルを表す)
に示される架橋反応に従う、アゼチジニウム基を有する少なくとも1種のアゼチジニウム含有ポリマーと、カルボキシル、一級アミン、二級アミン又はチオール基を有する少なくとも1種の親水性ポリマーとの部分反応生成物である。得られる高度に分岐された親水性ポリマーは、アゼチジニウム基と、任意選択的である、カルボキシル、一級アミン、二級アミン、チオール基又はこれらの組み合わせとを含む。
【0156】
任意の適切なアゼチジニウム含有ポリマーを本発明で使用することができる。アゼチジニウム含有ポリマーの例としては、限定するものではないが、エピクロロヒドリン官能化ポリアミン、アゼチジニウム含有ビニルモノマーのホモポリマー、アゼチジニウム含有ビニルモノマーと1種以上のビニルモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0157】
好ましくは、アゼチジニウム含有ポリマーは、エピクロロヒドリン官能化ポリアミンである。エピクロロヒドリン官能化ポリアミンは、エピクロロヒドリンをポリアミンポリマー又は二級アミノ基含有ポリマーと反応させることによって得ることができる。例えば、ポリアミンとジカルボン酸とから誘導される重縮合物であるポリ(アルキレンイミン)又はポリ(アミドアミン)(例えば、アジピン酸-ジエチレントリアミンコポリマー)は、エピクロロヒドリンと反応して、エピクロロヒドリン官能化ポリマーを形成することができ;モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマー又はコポリマーも、エピクロロヒドリンと反応してエピクロロヒドリン官能化ポリアミンを形成することができ;ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)コポリマーは、エピクロロヒドリンと反応してエピクロロヒドリン官能化ポリアミン(すなわちポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリン)を形成することができる。ポリアミン又はポリアミドアミンポリマーのエピクロロヒドリン官能化の反応条件は、欧州特許第1465931号明細書に記載されている。好ましいエピクロロヒドリン官能化ポリアミンは、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン(PAE)又はポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンである。
【0158】
ポリアミドアミン-エピクロロヒドリンは、例えば、HerculesからのKymene(登録商標)又はPolycup(登録商標)樹脂(エピクロロヒドリン官能化アジピン酸-ジエチレントリアミンコポリマー)など、市販されている。
【0159】
ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンは、米国特許出願公開第2016/0061995A1号明細書に記載されている手順に従って調製することができる。
【0160】
アゼチジニウム含有ビニルモノマーのホモポリマー及びコポリマーは、米国特許出願公開第2013/03371600A1号明細書に記載されている手順に従って得ることができる。
【0161】
眼に適合性であり、且つ少なくとも1つのアミノ基、少なくとも1つのカルボキシル基及び/又は少なくとも1つのチオール基を含み、好ましくは少なくとも1つのカルボキシル基、少なくとも1つのチオール基又はこれらの組み合わせを含む限り、任意の適切な親水性ポリマーを本発明で使用することができる。
【0162】
アゼチジニウム基を含む親水性ポリマー系材料は、米国特許出願公開第2016/0061995A1号明細書及び米国特許出願公開第2013/0337160A1号明細書並びに米国特許第8529057号明細書に開示されているプロセスに従って調製することができる。
【0163】
そのような高度に分岐された親水性ポリマー系材料の別の例は、公知のカップリング反応による、エポキシ基を有する少なくとも1種のポリマーと、カルボキシル、一級アミン、二級アミン又はチオール基を有する少なくとも1種の親水性ポリマーとの部分反応生成物である。得られる高度に分岐された親水性ポリマーは、エポキシ基と、任意選択的にカルボキシル、一級アミン、二級アミン、チオール基又はこれらの組み合わせとを含む。例えば、末端エポキシ基を有するマルチアームドポリエチレングリコールは、末端チオール基(又はカルボキシル又はアミノ基)を有するマルチアームドポリエチレングリコールと部分的に反応することができる。代わりに、エポキシ含有ビニルモノマー(すなわちエポキシ基を有するビニルモノマー)と1種以上の親水性ビニルモノマーとのコポリマーを、チオール、カルボキシル又はアミノ基を有する親水性ポリマーと反応させることができる。そのような親水性ポリマー系材料は、米国特許第9244195号明細書に開示されているプロセスに従って調製することができる。
【0164】
そのような高度に分岐された親水性ポリマー系材料の別の例は、公知のカップリング反応による、アジリジン基(又はアズラクトン基)を有する少なくとも1種のポリマーと、カルボキシル、一級アミン、二級アミン又はチオール基を有する少なくとも1種の親水性ポリマーとの部分反応生成物である。得られる高度に分岐された親水性ポリマーは、アジリジン基(又はアズラクトン基)と、任意選択的にカルボキシル、一級アミン、二級アミン、チオール基又はこれらの組み合わせとを含む。アジリジン基又はアズラクトン基を含む親水性ポリマーの例としては、アジリジン含有ビニルモノマー(すなわちアジリジン基を有するビニルモノマー)又はアズラクトン含有ビニルモノマー(すなわちアズラクトン基を有するビニルモノマー)と1種以上の親水性ビニルモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0165】
そのような高度に分岐された親水性ポリマー系材料の別の例は、公知のマイケル付加反応による、ビニルスルホン基を有する少なくとも1種のポリマーと、チオール基を有する少なくとも1種の親水性ポリマーとの部分反応生成物である。得られる高度に分岐された親水性ポリマーは、ビニルスルホン基及び/又はチオール基を含む。ビニルスルホン基を含む親水性ポリマーの例としては、末端スルホン基を有するマルチアームドポリエチレングリコール、それぞれチオール基を有するモノマー単位を含み、チオラクトンを、それぞれアミノ基を有するモノマー単位と反応させることによって得られるポリマー(すなわちアミノ含有ビニルモノマー由来)が挙げられる。
【0166】
本発明によれば、水性反応性溶液中のアゼチジニウム含有ポリマーに対する親水性向上剤の濃度比は、得られる水溶性の熱架橋性ポリマー系材料を非水溶性(すなわち室温で水100mlあたり0.005g未満の溶解度)にしないように、且つアゼチジニウム含有ポリマーのアゼチジニウム基が約99%、好ましくは約98%、より好ましくは約97%、更に好ましくは約96%を超えて消費されないように選択されなければならない。
【0167】
本発明によれば、第1の反応性官能基をその上に有する予備成形されたコンタクトレンズは、第2の反応性官能基を有する親水性ポリマー系材料を含む水溶液中で、予備成形されたコンタクトレンズの表面にヒドロゲルコーティングを形成するように、架橋親水性ポリマー系材料を予備成形されたコンタクトレンズの上に共有結合させながら親水性ポリマー系材料を架橋するための時間にわたり、約40℃~約140℃の温度で加熱される。
【0168】
好ましくは、第1の反応性官能基がビニルスルホン基ではない場合、加熱の工程は、密封されたレンズパッケージ内のパッケージング溶液である水溶液(すなわちpH6.7~7.6の緩衝水溶液)中に浸漬されている、予備成形されたコンタクトレンズであって、その上に第1の反応性官能基を有する予備成形されたコンタクトレンズを約115℃~約125℃の温度で約20~90分間オートクレーブ処理することによって行われる。オートクレーブ処理中、架橋反応に関与しないそれらのアゼチジニウム基(又はエポキシ、アジリジン又はアズラクトン基)は、2,3-ジヒドロキシプロピル(HO-CH2-CH(OH)-CH2-)基(又はヒドロキシル、アミノ又はカルボキシル基)に加水分解され得、またレンズパッケージング溶液中に存在するアゼチジニウム含有ポリマー系材料(又はエポキシ、アジリジン又はアズラクトン含有ポリマー系材料)は、該当する場合、レンズの装着感を改善できる非反応性のポリマー系湿潤剤に変換することができると考えられる。その結果、パッケージング溶液は、オートクレーブ後に眼科的に安全である。
【0169】
レンズパッケージ(又は容器)は、コンタクトレンズをオートクレーブ処理及び保管するための当業者に周知である。本発明では、任意のレンズパッケージを使用することができる。好ましくは、レンズパッケージは、ベースとカバーとを含むブリスターパッケージであり、カバーは、ベースに取り外し可能に密封され、ベースは、滅菌パッケージング溶液とコンタクトレンズとを受け入れるためのキャビティを含む。
【0170】
レンズは、個別のパッケージにパッケージングされ、密封され、使用者に分配される前に滅菌される(例えば、約120℃以上のオートクレーブにより、加圧下で少なくとも30分間)。当業者は、レンズパッケージの密封及び滅菌の方法をよく理解するであろう。
【0171】
本発明によれば、パッケージング溶液は、少なくとも1種の緩衝剤と、当業者に公知の1種以上の他の成分とを含有する。他の材料の例としては、限定するものではないが、等張化剤、界面活性剤、抗菌剤、防腐剤及び潤滑剤(例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン)が挙げられる。
【0172】
パッケージング溶液は、パッケージング溶液のpHを所望の範囲、例えば好ましくは約6.5~約7.5の生理学的に許容される範囲に維持するのに十分な量の緩衝剤を含む。生理的に適合性のある任意の既知の緩衝剤を使用することができる。本発明によるコンタクトレンズケア組成物の構成成分としての適切な緩衝剤は、当業者に公知である。例としては、ホウ酸、ホウ酸塩、例えばホウ酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸塩、例えばクエン酸カリウム、重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウム、TRIS(すなわち2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール)、Bis-Tris[すなわちビス-(2-ヒドロキシエチル)-イミノ-トリス-(ヒドロキシメチル)-メタン]、ビス-トリスプロパン[すなわち1,3-ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン]、ビス-アミノポリオール、トリエタノールアミン、ACES[すなわちN-(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸]、BES[すなわちN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸]、HEPES[すなわち4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸]、MES[すなわち2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸]、MOPS[すなわち3-[N-モルホリノ]-プロパンスルホン酸]、PIPES[すなわちピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸]、TES{すなわちN-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-2-アミノエタンスルホン酸}、その塩、リン酸緩衝液、例えばNa2HPO4、NaH2PO4及びKH2PO4又はそれらの混合物が挙げられる。パッケージング水溶液中のそれぞれの緩衝剤の量は、好ましくは、0.001重量%~2重量%、好ましくは0.01重量%~1重量%;最も好ましくは約0.05重量%~約0.30重量%である。
【0173】
パッケージング水溶液は、約200~約450ミリオスモル(mOsm)、好ましくは約250~約350mOsmの張度を有する。パッケージング水溶液の張度は、張度に影響を与える有機又は無機物質を添加することにより調節することができる。眼用に許容できる好適な等張化剤としては、限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール、プロピレングリコール、ポリオール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0174】
本発明のパッケージング溶液は、25℃で約1センチポアズ~約5センチポアズの粘度を有する。
【0175】
好ましい実施形態では、パッケージング溶液は、好ましくは、約0.01%~約2%、より好ましくは約0.05%~約1.5%、更に好ましくは約0.1%~約1%、最も好ましくは約0.2%~約0.5重量%の、第2の反応性官能基を有する親水性ポリマー系材料を含有する。
【0176】
特定の用語、デバイス及び方法を使用して本発明の種々の実施形態が記載されたが、そのような記載は、例証目的のみのためのものである。使用される用語は、限定する意味よりも、むしろ説明のための用語である。当業者に明らかなように、本開示の新規な概念の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって本発明の多くの変形形態及び修正形態がなされ得る。加えて、以下に示すように、本発明の様々な実施形態の態様は、全体的又は部分的に交換され得るか、又はいずれかの様式で組み合わされ得、且つ/又は一緒に使用され得ることが理解されるべきである:
1.外面ヒドロゲル層で被覆されたレンズバルク材料を含み、且つ後面と、反対側の前面とを有するコンタクトレンズであって、外面ヒドロゲル層は、前面外側ヒドロゲル層と、後面外側ヒドロゲル層とからなり、外側後面ヒドロゲル層は、少なくとも約1.2のインデンテーション深さの比
【数2】
を有することによって特徴付けられるように、外側前面ヒドロゲル層よりも柔軟であり、式中、(Id)
PSは、ナノインデンテーション試験において、9.5μmの先端半径及び0.54N/mの剛性を有するインデンテーションプローブを用いて、後面に対して5KPaの圧縮圧力で測定されるインデンテーション深さであり、(Id)
ASは、ナノインデンテーション試験において、9.5μmの先端半径及び0.54N/mの剛性を有するインデンテーションプローブを用いて、前面に対して5KPaの圧縮圧力で測定されるインデンテーション深さである、コンタクトレンズ。
2.外側後面ヒドロゲル層は、少なくとも約1.3のインデンテーション深さの比
【数3】
を有することによって特徴付けられるように、外側前面ヒドロゲル層よりも柔軟である、実施形態1に記載のコンタクトレンズ。
3.外側後面ヒドロゲル層は、少なくとも約1.4のインデンテーション深さの比
【数4】
を有することによって特徴付けられるように、外側前面ヒドロゲル層よりも柔軟である、実施形態1に記載のコンタクトレンズ。
4.外側後面ヒドロゲル層は、少なくとも約1.5のインデンテーション深さの比
【数5】
を有することによって特徴付けられるように、外側前面ヒドロゲル層よりも柔軟である、実施形態1に記載のコンタクトレンズ。
5.外側後面ヒドロゲル層は、少なくとも約1.6のインデンテーション深さの比
【数6】
を有することによって特徴付けられるように、外側前面ヒドロゲル層よりも柔軟である、実施形態1に記載のコンタクトレンズ。
6.少なくとも10秒の水切れ時間を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
7.少なくとも12.5秒の水切れ時間を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
8.少なくとも15秒の水切れ時間を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
9.少なくとも17.5秒の水切れ時間を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
10.少なくとも20秒の水切れ時間を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
11.レンズバルク材料は、硬質プラスチック材料で本質的に作製された予備成形されたハードコンタクトレンズである、実施形態1~11のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
12.硬質プラスチック材料は、架橋ポリメタクリレートである、実施形態11に記載のコンタクトレンズ。
13.レンズバルク材料は、に硬質ガス透過性レンズ材料で本質的に作製された予備成形された硬質ガス透過性コンタクトレンズである、実施形態1~11のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
14.前面及び後面の外側ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.2μm~約20μmの厚さを有する、実施形態11~13のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
15.前面及び後面の外側ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.3μm~約15μmの厚さを有する、実施形態11~13のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
16.前面及び後面の外側ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.4μm~約10μmの厚さを有する、実施形態11~13のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
17.前面及び後面の外側ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.5μm~約8μmの厚さを有する、実施形態11~13のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
18.レンズバルク材料は、予備成形されたハイブリッドコンタクトレンズであり、予備成形されたハイブリッドコンタクトレンズは、硬質ガス透過性レンズ材料で本質的に作製された中央光学ゾーンを有し、且つ非シリコーンヒドロゲル材料で本質的に作製された周囲ゾーンによって囲まれる、実施形態1~10のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
19.レンズバルク材料は、予備成形された埋め込みコンタクトレンズであり、レンズバルク材料は、3次元物品と、非シリコーンヒドロゲル材料とから本質的になり、3次元物品は、非ヒドロゲル材料で作製され、且つコンタクトレンズのものよりも小さい3次元サイズを有し、それにより、3次元物品は、非シリコーンヒドロゲル材料内に完全に埋め込まれる、実施形態1~10のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
20.レンズバルク材料は、非シリコーンヒドロゲル材料で本質的に作製された予備成形された非シリコンヒドロゲルコンタクトレンズである、実施形態1~10のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
21.非シリコンヒドロゲル材料は、少なくとも50モル%の、少なくとも1種のヒドロキシル含有ビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態18~20のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
22.前記少なくとも1つのヒドロキシル含有ビニルモノマーは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態21に記載のコンタクトレンズ。
23.前記少なくとも1種のヒドロキシル含有ビニルモノマーは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート及びビニルアルコールからなる群から選択される、実施形態21に記載のコンタクトレンズ。
24.非シリコーンヒドロゲル材料は、約10重量%~80重量%の平衡含水率を有する、実施形態18~23のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
25.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.05μm~約20μmの厚さを有する、実施形態18~24のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
26.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.1μm~約15μmの厚さを有する、実施形態18~24のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
27.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.2μm~約10μmの厚さを有する、実施形態18~24のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
28.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.3μm~約6μmの厚さを有する、実施形態18~24のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
29.レンズバルク材料は、予備成形されたハイブリッドコンタクトレンズであり、予備成形されたハイブリッドコンタクトレンズは、硬質ガス透過性レンズ材料で本質的に作製された中央光学ゾーンを有し、且つシリコーンヒドロゲル材料で本質的に作製された周囲ゾーンによって囲まれる、実施形態1~10のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
30.レンズバルク材料は、予備成形された埋め込みコンタクトレンズであり、レンズバルク材料は、3次元物品と,シリコーンヒドロゲル材料とから本質的になり、3次元物品は、非ヒドロゲル材料で作製され、且つ予備成形された埋め込みコンタクトレンズのものよりも小さい3次元サイズを有し、それにより、3次元物品は、シリコーンヒドロゲル材料内に完全に埋め込まれる、実施形態1~10のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
31.レンズバルク材料は、シリコーンヒドロゲル材料で本質的に作製された予備成形された非シリコンヒドロゲルコンタクトレンズである、実施形態1~10のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
32.シリコーンヒドロゲル材料は、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基を有するビニルモノマー、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有するビニルモノマー、ポリシロキサンビニルモノマー、3-メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、t-ブチルジメチル-シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態29~31のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
33.前記少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーは、式(M1)又は(M2)
【化9】
(式中、a1は、ゼロ又は1であり;R
oは、H又はメチルであり;X
oは、O又はNR
1であり;L
1は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであるか、又は
【化10】
の二価ラジカルであり;L
1’は、0又は1つのヒドロキシル基を有するC
2~C
8アルキレン二価ラジカルであり;L
1’’は、0又は1つのヒドロキシル基を有するC
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;X
1は、O、NR
1、NHCOO、OCONH、CONR
1又はNR
1COであり;R
1は、Hであるか、又は0~2つのヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキルであり;R
t1及びR
t2は、互いに独立して、C
1~C
6アルキルであり;X
1’は、O又はNR
1であり;q1は、1~30の整数であり;q2は、0~30の整数であり;n1は、3~40の整数であり;r1は、2又は3の整数である)
のビニルモノマーを含む、実施形態32に記載のコンタクトレンズ。
34.前記少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーは、トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、[3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ]プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、[3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ]プロピルビス(トリメチルシロキシ)ブチルシラン、3-(メタ)アクリルオキシ-2-(2-ヒドロキシエトキシ)-プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、N-[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]-(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)-プロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ))シリル)プロピルオキシ)プロピル)-2-メチルアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル]-(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルエチルシロキシ)-シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)-プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-2-(メタ)アクリルオキシエチル-O-(メチル-ビス-トリメチルシロキシ-3-プロピル)シリルカルバメート、3-(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3-(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル-トリス(トリメチル-シロキシ)シラン、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート又はこれらの組み合わせを含む、実施形態32又は33に記載のコンタクトレンズ。
35.前記少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーは、α-(メタ)アクリルオキシプロピル末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(2-ヒドロキシル-メタクリロキシプロピルオキシプロピル)-ω-C
1~C
4-アルキル-デカメチルペンタシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシ-プロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロキシ-ブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリロキシ(ポリエチレンオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-エトキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-N-エチルアミノプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-アミノプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリロイルアミドプロピルオキシプロピル末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-N-メチル-(メタ)アクリロイルアミドプロピルオキシプロピル末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-プロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキルポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロイルアミド-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキルポリジメチルシロキサン、α-[3-[N-メチル-(メタ)アクリロイルアミド]-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、N-メチル-N’-(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)(メタ)アクリルアミド、N-(2,3-ジヒドロキシプロパン)-N’-(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルアミドプロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン、α-ビニルカーボネート-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-ビニルカルバメート末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン又はこれらの混合物を含む、実施形態32~34のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
36.シリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤の繰り返し単位を含む、実施形態29~35のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
37.前記少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤は、ジ-(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサン、ジビニルカーボネート末端ポリジメチルシロキサン、ジビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン;N,N,N’,N’-テトラキス(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル)-アルファ,オメガ-ビス-3-アミノプロピル-ポリジメチルシロキサン又はこれらの組み合わせを含む、実施形態36に記載のコンタクトレンズ。
38.前記少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤は、式(I)
【化11】
(式中、
υ1/ω1が約0.035~約0.15(好ましくは約0.040~約0.12、更に好ましくは約0.045~約0.10)であることを条件として、υ1は、30~500の整数であり、ω1は、1~75の整数であり;
X
01は、O又はNR
Nであり、R
Nは、水素又はC
1~C
10-アルキルであり;
R
oは、水素又メチルであり;
R
I1及びR
I2は、互いに独立して、置換若しくは無置換C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであるか、又は-R
I4-O-R
I5-の二価ラジカルであり、R
I4及びR
I5は、互いに独立して、置換若しくは無置換C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであり;
R
I3は、式(Ia)~(Ie)
【化12】
のいずれか1つの一価ラジカルであり、
p1は、ゼロ又は1であり;m1は、2~4の整数であり;m2は、1~5の整数であり;m3は、3~6の整数であり;m4は、2~5の整数であり;
R
I6は、水素又はメチルであり;
R
I7は、(m2+1)の価数を有するC
2~C
6炭化水素ラジカルであり;
R
I8は、(m4+1)の価数を有するC
2~C
6炭化水素ラジカルであり;
R
I9は、エチル又はヒドロキシメチルであり;
R
I10は、メチル又はヒドロメチルであり;
R
I11は、ヒドロキシル又はメトキシであり;
X
I1は、-S-の硫黄結合又は-NR
I12-の三級アミノ結合であり、R
I12は、C
1~C
1アルキル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又は2,3-ジヒドロキシプロピルであり;
X
I2は、
【化13】
のアミド結合であり、R
I13は、水素又はC
1~C
10アルキルである)
のビニル系架橋剤を含む、実施形態36に記載のコンタクトレンズ。
39.前記少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤は、式(1)~(7)
【化14】
(式中、
υ1は、30~500の整数であり;
υ2は、5~50の整数であり;
υ3は、5~100の整数であり;
ω2及びω3は、互いに独立して、1~15の整数であり;
a1及びg1は、互いに独立して、ゼロ又は1であり;
h1は、1~20の整数であり、h2は、0~20の整数であり;
m1及びm3は、互いに独立して、0又は1であり、m2は、1~6の整数であり、m4は、1~5の整数であり、m5は、2又は3であり;
q1は、1~20の整数であり、q2は、0~20の整数であり、q3は、0~2の整数であり、q4は、2~50の整数であり、q5及びq6は、互いに独立して、0~35の数であるが、(q4+q5+q6)は、2~50の整数であることを条件とし;
x+yは、10~30の整数であり;
e1は、5~100の整数であり、p1及びb1は、互いに独立して、0~50の整数であるが、(p1+b1)≧1である場合、(e1+p1+b1)≧10、且つ
【数7】
(好ましくは約2:1~約10:1、より好ましくは約3:1~約6:1)であることを条件とし;
R
oは、H又はメチルであり;
R
1、R
1n、R
2n、R
3n及びR
4nは、互いに独立して、Hであるか、又は0~2つのヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキルであり;
R
n5は、H又はC
1~C
10アルキルであり;
R
2は、C
4~C
14の炭化水素二価ラジカルであり;
R
3は、C
2~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
R
4及びR
5は、互いに独立して、C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであるか、又はC
1~C
6アルキレン-オキシ-C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
R
6及びR
7は、互いに独立して、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル又は
1~C
6アルコキシ-C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
R
8及びR
9は、互いに独立して、置換又は無置換C
1~C
12アルキレン二価ラジカルであり;
X
o、X
1’、X
o1、X
02及びX
03は、互いに独立して、O又はNR
1であり;
X
1は、O、NR
1、NHCOO、OCONH、CONR
1又はNR
1COであり;
X
o4は、-COO-又は-CONR
n5-であり;
X
o5及びX
o7は、互いに独立して、直接結合、-COO-又は-CONR
n5-であり;
X
o6は、直接結合、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、C
1~C
6アルキレンオキシ二価ラジカル、-COO-又は-CONR
n5-であり;
X
o8は、直接結合又は-COO-であり;
X
o9は、O又はNR
n5であり;
X
10は、直接結合、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、-COO-又は-CONR
n5-であり;
E
1’は、
【化15】
の一価ラジカルであり;
E
2は、
【化16】
の一価ラジカルであり;
E
3は、
【化17】
の一価ラジカルであり;
E
4は、
【化18】
の一価ラジカルであり;
L
1は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであるか、又は
【化19】
の二価ラジカルであり;
L
1’は、0又は1つのヒドロキシル基を有するC
2~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
1’’は、0又は1つのヒドロキシル基を有するC
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
3は、
【化20】
の二価ラジカルであり、
PEは、
【化21】
の二価ラジカルであり、
L
3’は、C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
4は、
【化22】
の二価ラジカルであり、
hpL
1は、
【化23】
の二価ラジカルであり、
hpL
2は、
【化24】
の二価ラジカルであり、
hpL
3は、
【化25】
の二価ラジカルであり、
hpL
4は、
【化26】
の二価ラジカルであり、
pOAlkは、
【化27】
の二価ラジカルであり、
EOは、オキシエチレン単位(-CH
2CH
2O-)であり、POは、オキシプロピレン単位
【化28】
であり、BOは、オキシブチレン単位
【化29】
であり;
M
0は、C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
M
1は、C
4~C
14炭化水素二価ラジカルであり;
M
2及びM
3は、互いに独立して、C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
J
0は、0~2つのヒドロキシル基又はカルボキシル基を有するC
1~C
12炭化水素ラジカルであり;
G1は、直接結合、C
1~C
4アルキレン二価ラジカル、又は
【化30】
の二価ラジカルであり、
ここで、M
oは、Si原子に結合しており、X
04~X
10は、式(7)の-CH
2-の基に結合しており、式(7)のJ
0及びG1の少なくとも1つは、ヒドロキシル基、-OCONH-のウレタン結合、-NHR
oのアミノ基、-NH-のアミノ結合、-CONH-のアミド結合、カルボキシル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部位を含み;
G
2は、C
1~C
4アルキレン二価ラジカルであるか、又は
【化31】
の二価ラジカルであり;
G
3は、
【化32】
の二価ラジカルであり;
ここで、h3及びh4は、互いに独立して、1又は0であり;
G4は、(a)-NR
3’-(式中、R
3’は、水素又はC
1~C
3アルキルである)、(b)
【化33】
、(c)-NR
0-G
5-NR
0-(式中、G
5は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、2-ヒドロキシルプロピレン二価ラジカル、2-(ホスホニルオキシ)プロピレン二価ラジカル、1,2-ジヒドロキシエチレン二価ラジカル、2,3-ジヒドロキシブチレン二価ラジカルである)、及び(d)-O-G
6-O-(式中、G
6は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、
【化34】
の二価ラジカル(式中、h4’は、1又は2である)、
【化35】
の二価ラジカル、
【化36】
の二価ラジカル(式中、h5は、1~5である)、
【化37】
の二価ラジカル(式中、h6は、2又は3である)又はヒドロキシル基若しくはホスホニルオキシ基を有する置換C
3~C
8アルキレン二価ラジカルのいずれか1つの二価ラジカルであり;
Y
1は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、2-ヒドロキシルプロピレン二価ラジカル、2-(ホスホニルオキシ)プロピレン二価ラジカル、1,2-ジヒドロキシエチレン二価ラジカル、
【化38】
の二価ラジカル、又は
【化39】
の二価ラジカルであり;
Y
2は、
【化40】
の二価ラジカルであり;
Y
3は、
【化41】
の二価ラジカルであり;
Z
0は、直接結合又はC
1~C
12アルキレン二価ラジカルであり;
Z
1は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、ヒドロキシ若しくはメトキシ置換C
1~C
6アルキレン二価ラジカル又は置換若しくは無置換フェニレン二価ラジカルであり、
Z
2は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、ヒドロキシル若しくはメトキシ-置換C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、ジヒドロキシル若しくはジメトキシ-置換C
2~C
6アルキレン二価ラジカル、-C
2H
4-(O-C
2H
4)
m2-の二価ラジカル、-Z
4-S-S-Z
4-の二価ラジカル、ヒドロキシル-若しくはメトキシ置換C
1~C
6アルキレン二価ラジカル又は置換若しくは無置換フェニレン二価ラジカルであり、
Z
3は、(a)-NR
n3-、(b)
【化42】
、(c)-NR
0-Z
5-NR
0-、及び(d)-O-Z
6-O-のいずれか1つの二価ラジカルであり、
Z
4は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり、
Z
5は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、2-ヒドロキシルプロピレン二価ラジカル、2-(ホスホニルオキシ)プロピレン二価ラジカル、1,2-ジヒドロキシエチレン二価ラジカル、2,3-ジヒドロキシブチレン二価ラジカルであり、
Z
6は、(a)C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、(b)
【化43】
の二価ラジカル、又は(c)ヒドロキシ基又はホスホニルオキシ基を有する置換C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり、
Z
7は、
【化44】
の二価ラジカルであり、
Z
8は、
【化45】
の二価ラジカルである)
のいずれか1種のビニル系架橋剤を含む、実施形態36に記載のコンタクトレンズ。
40.前記少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤は、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシ-イソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルアミドエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-プロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミド-ブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-エトキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-N-エチルアミノプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-アミノプロピル]-ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-カルボニルオキシ-エトキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-カルボニルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]-末端ポリジメチルシロキサン又はこれらの組み合わせである、実施形態36に記載のコンタクトレンズ。
41.シリコーンヒドロゲルは、少なくとも1種の親水性ビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態29~40のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
42.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、(1)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアルキル(メタ)アクリルアミド;(2)N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるヒドロキシル含有アクリルモノマー;(3)2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-2-メチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-3-メチルブタン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2メチル-3,3-ジメチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸、4-(メタ)アクリルアミド-3,3-ジメチルヘキサン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるカルボキシル含有アクリルモノマー;(4)N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ含有アクリルモノマー;(5)N-ビニルピロリドン(別名N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド及びこれらの混合物からなる群から選択されるN-ビニルアミドモノマー;(6)1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメチレン含有ピロリドンモノマー;(7)C
1~C
4アルコキシエトキシ基を有し、且つエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するC
1~C
4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びこれらの組み合わせから選択されるアクリルモノマー;(8)エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるビニルエーテルモノマー;(9)エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアリルエーテルモノマー;(10)(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるホスホリルコリン含有ビニルモノマー;(11)アリルアルコール;(12)N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート;(13)N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL);(14)N-カルボキシビニル-α-アラニン;(15)又はこれらの組み合わせを含む、実施形態41に記載のコンタクトレンズ。
43.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド又はこれらの組み合わせを含む、実施形態41又は42のコンタクトレンズ。
44.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドを含む、実施形態41~43のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
45.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド又はこれらの組み合わせを含む、実施形態41~44のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
46.シリコーンヒドロゲルは、少なくとも1種の非シリコーン系ビニル系架橋剤の繰り返し単位を含む、実施形態29~45のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
47.前記少なくとも1種の非シリコーン系ビニル系架橋剤は、エチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、グリセロールジ-(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート、グリセロール1,3-ジグリセロレートジ-(メタ)アクリレート、エチレンビス[オキシ(2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイル)]ジ-(メタ)アクリレート、ビス[2-(メタ)アクリルオキシエチル]ホスフェート、トリメチロールプロパンジ-(メタ)アクリレート及び3,4-ビス[(メタ)アクリロイル]テトラヒドロフラン、ジアクリルアミド、ジメタクリルアミド、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-メチルアミン、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-エチルアミン、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2-ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2,3-ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3-ビス(メタ)アクリルアミドプロパン-2-イルリン酸二水素塩、ピペラジンジアクリルアミド、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、N-アリル-メタアクリルアミド、N-アリル-アクリルアミド又はこれらの組み合わせを含む、実施形態46に記載のコンタクトレンズ。
48.シリコーンヒドロゲルは、少なくとも1種のブレンドビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態29~45のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
49.前記少なくとも1種のブレンドビニルモノマーは、C
1~C
10アルキル(メタ)アクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、4,6-トリメチルスチレン(TMS)、t-ブチルスチレン(TBS)、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-イソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせを含む、実施形態29~45のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
50.前記少なくとも1つのブレンドビニルモノマーは、メタクリル酸メチルを含む、実施形態29~45のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
51.シリコーンヒドロゲルは、少なくとも1種のUV吸収性ビニルモノマーの繰り返し単位と、任意選択的に少なくとも1種のUV/HEVL吸収性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含む、実施形態29~50のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
52.シリコーンヒドロゲル材料は、約10重量%~約80重量%の平衡含水率を有する、実施形態29~51のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
53.シリコーンヒドロゲル材料は、約20重量%~約80重量%の平衡含水率を有する、実施形態29~51のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
54.シリコーンヒドロゲル材料は、約30重量%~約80重量%の平衡含水率を有する、実施形態29~51のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
55.シリコーンヒドロゲル材料は、約40重量%~約80重量%の平衡含水率を有する、実施形態29~51のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
56.シリコーンヒドロゲル材料は、約50barrer~約180barrerの酸素透過性を有する、実施形態29~55のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
57.シリコーンヒドロゲル材料は、約60barrer~約180barrerの酸素透過性を有する、実施形態29~55のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
58.シリコーンヒドロゲル材料は、約70barrer~約180barrerの酸素透過性を有する、実施形態29~55のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
59.シリコーンヒドロゲル材料は、約80barrer~約180barrerの酸素透過性を有する、実施形態29~55のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
60.シリコーンヒドロゲル材料は、約90barrer~約180barrerの酸素透過性を有する、実施形態29~55のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
61.シリコーンヒドロゲル材料は、約100barrer~約180barrerの酸素透過性を有する、実施形態29~55のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
62.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.05μm~約20μmの厚さを有する、実施形態29~61のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
63.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.1μm~約15μmの厚さを有する、実施形態29~61のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
64.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.2μm~約15μmの厚さを有する、実施形態29~61のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
65.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、完全に水和されたときに約0.3μm~約10μmの厚さを有する、実施形態29~61のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
66.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、それぞれ、(1)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアルキル(メタ)アクリルアミド;(2)N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるヒドロキシル含有アクリルモノマー;(3)2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-2-メチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-3-メチルブタン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2メチル-3,3-ジメチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸、4-(メタ)アクリルアミド-3,3-ジメチルヘキサン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるカルボキシル含有アクリルモノマー;(4)N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ含有アクリルモノマー;(5)N-ビニルピロリドン(別名N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド及びこれらの混合物からなる群から選択されるN-ビニルアミドモノマー;(6)1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメチレン含有ピロリドンモノマー;(7)C
1~C
4アルコキシエトキシ基を有し、且つエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するC
1~C
4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド及びこれらの組み合わせから選択されるアクリルモノマー;(8)エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるビニルエーテルモノマー;(9)エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアリルエーテルモノマー;(10)(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるホスホリルコリン含有ビニルモノマー;(11)アリルアルコール;(12)N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート;(13)N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL);(14)N-カルボキシビニル-α-アラニン;(15)又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1種の親水性ビニルモノマーの繰り返しモノマー単位を含むポリマー鎖を含む架橋親水性ポリマー系材料である、実施形態1~65のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
67.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーのモノマー単位は、各ポリマー鎖中に少なくとも約25モル%の量で存在する、実施形態66に記載のコンタクトレンズ。
68.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーのモノマー単位は、各ポリマー鎖中に少なくとも約35モル%の量で存在する、実施形態66に記載のコンタクトレンズ。
69.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーのモノマー単位は、各ポリマー鎖中に少なくとも約45モル%の量で存在する、実施形態66に記載のコンタクトレンズ。
70.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーのモノマー単位は、各ポリマー鎖中に少なくとも約55モル%の量で存在する、実施形態66に記載のコンタクトレンズ。
71.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、アルキル(メタ)アクリルアミドを含む、実施形態66~70のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
72.アルキル(メタ)アクリルアミドは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド又はこれらの組み合わせである、実施形態71に記載のコンタクトレンズ。
73.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、ヒドロキシ含有アクリルモノマーを含む、実施形態66~72のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
74.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、カルボキシル含有アクリルモノマーを含む、実施形態66~73のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
75.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、アミノ含有アクリルモノマーを含む、実施形態66~74のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
76.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、N-ビニルアミドモノマーを含む、実施形態66~75のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
77.N-ビニルアミドモノマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド又はこれらの組み合わせである、実施形態76に記載のコンタクトレンズ。
78.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、メチレン含有ピロリドンモノマーを含む、実施形態66~77のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
79.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、C
1~C
4アルコキシエトキシ基を有するアクリルモノマーを含む、実施形態66~78のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
80.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、ビニルエーテルモノマーを含む、実施形態66~79のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
81.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、アリルエーテルモノマーを含む、実施形態66~80のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
82.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、ホスホリルコリン含有ビニルモノマーを含む、実施形態66~81のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
83.ホスホリルコリン含有ビニルモノマーは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート又はこれらの組み合わせである、実施形態82に記載のコンタクトレンズ。
84.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーは、アリルアルコール、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン又はこれらの組み合わせを含む、実施形態66~83のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
85.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、ポリ(エチレングリコール)鎖を含む架橋親水性ポリマー系材料である、実施形態1~65のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
86.ポリ(エチレングリコール)鎖は、(1)-NH
2、-SH、-COOH、エポキシ基又はビニルスルホンの1つの唯一の官能基を有するポリ(エチレングリコール);(2)-NH
2、-COOH、-SH、エポキシ基、ビニルスルホン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール);(3)-NH
2、-COOH、-SH、エポキシ基、ビニルスルホン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアームポリ(エチレングリコール);又は(4)これらの組み合わせから直接誘導される、実施形態85に記載のコンタクトレンズ。
87.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、少なくとも80重量%の平衡含水率を有する、実施形態1~86のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
88.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、少なくとも85重量%の平衡含水率を有する、実施形態1~86のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
89.外側前面及び後面ヒドロゲル層は、互いに独立して、少なくとも90重量%の平衡含水率を有する、実施形態1~86のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
90.乾燥状態のコンタクトレンズのXPS分析によって測定した場合、総元素パーセント割合の約5%以下のケイ素原子パーセント割合を有する、実施形態1~89のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
91.乾燥状態のコンタクトレンズのXPS分析によって測定した場合、総元素パーセント割合の約4%以下のケイ素原子パーセント割合を有する、実施形態1~89のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
92.乾燥状態のコンタクトレンズのXPS分析によって測定した場合、総元素パーセント割合の約3%以下のケイ素原子パーセント割合を有する、実施形態1~89のいずれか1つに記載のコンタクトレンズ。
93.実施形態1~92のいずれか1つに記載のコンタクトレンズを製造する方法であって、
(1)凹面と、反対側の凸面とを有し、且つ実施形態1~92のいずれか1つに記載のレンズバルク材料と、前面及び後面上且つ/又はそれらの近傍の第1の反応性官能基とを含むコンタクトレンズ前駆体を得る工程であって、第1の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシド基、アジリジン基、ビニルスルホン基、チオール基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、工程;
(2)コンタクトレンズ前駆体の凹面が上を向く一方、凸面が下を向くことを確実にするための位置において、容器内にコンタクトレンズ前駆体を配置する工程;
(3)凹面を上向きに維持しながら、コンタクトレンズ前駆体を容器内の水溶液に完全に浸漬するための量において、水溶液をコンタクトレンズ前駆体の凹面に投与する工程であって、水溶液は、室温を有し、且つ少なくとも1種の親水性ポリマー系材料を含み、前記少なくとも1種の親水性ポリマー系材料は、それぞれ室温より高い温度で1つの第1の反応性官能基と反応して共有結合を形成することができる第2の反応性官能基を含み、第2の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシド基、アジリジン基、チオール基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、工程;及び
(4)コンタクトレンズ前駆体をその中に有する水溶液の温度を約35℃~約140℃の温度に上げて、コンタクトレンズを形成する工程
を含む方法。
94.コンタクトレンズ前駆体は、凹面及び凸面上且つ/又はそれらの近傍に第1の反応性官能基をもともと含む、実施形態93に記載の方法。
95.コンタクトレンズ前駆体は、約0.1重量%~約10重量%の、少なくとも1つの第1の反応性官能基を更に含むビニルモノマーを含有する重合性組成物を重合することによって得られる、実施形態94に記載の方法。
96.コンタクトレンズ前駆体は、約0.25重量%~約7重量%の、少なくとも1つの第1の反応性官能基を更に含むビニルモノマーを含有する重合性組成物を重合することによって得られる、実施形態94に記載の方法。
97.コンタクトレンズ前駆体は、約0.5重量%~約5重量%の、少なくとも1つの第1の反応性官能基を更に含むビニルモノマーを含有する重合性組成物を重合することによって得られる、実施形態94に記載の方法。
98.コンタクトレンズ前駆体は、約0.75重量%~約3重量%の、少なくとも1つの第1の反応性官能基を更に含むビニルモノマーを含有する重合性組成物を重合することによって得られる、実施形態94に記載の方法。
99.前記少なくとも1つの第1の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシ基、アジリジン基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態95~98のいずれか1つに記載の方法。
100.コンタクトレンズ前駆体は、記予備成形されたコンタクトレンズを、第1の反応性官能基を有するように表面処理に供することによって得られる、実施形態93に記載の方法。
101.表面処理は、プラズマ処理;化学処理;化学蒸着;予備成形されたコンタクトレンズ上への、少なくとも1つの反応性官能基をそれぞれ有する1種以上の化合物のグラフト化(共有結合);予備成形されたコンタクトレンズ上への、少なくとも1つの第1の反応性官能基を有する1種以上のビニルモノマーのグラフト重合;予備成形されたコンタクトレンズ上への、第1の反応性官能基を有する1種以上のポリマー系材料のレイヤーバイレイヤー(「LbL」)堆積;予備成形されたコンタクトレンズ上への、第1の反応性官能基を有する1種以上のポリマー系材料の共有結合;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのプロセスを含む、実施形態100に記載の方法。
102.表面処理は、プラズマ処理を含む、実施形態100に記載の方法。
103.表面処理は、予備成形されたコンタクトレンズ上への、少なくとも1つの反応性官能基をそれぞれ有する1種以上の化合物のグラフト化(共有結合)を含む、実施形態100又は102に記載の方法。
104.表面処理は、予備成形されたコンタクトレンズ上への、少なくとも1つの第1の反応性官能基を有する1種以上のビニルモノマーのグラフト重合を含む、実施形態100又は102に記載の方法。
105.表面処理は、予備成形されたコンタクトレンズ上への、第1の反応性官能基を有する1種以上のポリマー系材料の共有結合を含む、実施形態100又は102に記載の方法。
106.第1の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、アゼチジニウム基、エポキシ基、アジリジン基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態100~105のいずれか1つに記載の方法。
107.第1の反応性官能基は、カルボキシル基及び/又はアミノ基であり、第2の反応性官能基は、アゼチジニウム基、エポキシ基、アジリジン基又はこれらの組み合わせである、実施形態93~106のいずれか1つに記載の方法。
108.第1の反応性官能基は、チオール基であり、第2の反応性官能基は、アゼチジニウム基、エポキシ基、アジリジン基、ビニルスルホン基又はこれらの組み合わせである、実施形態93~106のいずれか1つに記載の方法。
109.第1の反応性官能基は、アゼチジニウム基であり、第2の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、チオール基又はこれらの組み合わせである、実施形態93~106のいずれか1つに記載の方法。
110.第1の反応性官能基は、エポキシ基であり、第2の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、チオール基又はこれらの組み合わせである、実施形態93~106のいずれか1つに記載の方法。
111.第1の反応性官能基は、アジリジン基であり、第2の反応性官能基は、カルボキシル基、アミノ基、チオール基又はこれらの組み合わせである、実施形態93~106のいずれか1つに記載の方法。
112.第1の反応性官能基は、ビニルスルホン基であり、第2の反応性官能基は、チオール基である、実施形態93~106のいずれか1つに記載の方法。
113.第1の反応性官能基は、チオール基であり、第2の反応性官能基は、ビニルスルホン基である、実施形態93~106のいずれか1つに記載の方法。
114.前記少なくとも1種の親水性ポリマー系材料は、第2の反応性官能基を含む高度に分岐された親水性ポリマー系材料である、実施形態93~113のいずれか1つに記載の方法。
115.高度に分岐された親水性ポリマー系材料は、ビニルスルホン基を含み、且つビニルスルホン基を有する少なくとも1種のビニルスルホン含有ポリマーと、チオール基を有する少なくとも1種のチオール含有親水性ポリマーとの部分反応生成物である、実施形態114に記載の方法。
116.前記少なくとも1種のビニルスルホン含有親水性ポリマーは、末端スルホン基を有するマルチアームドポリエチレングリコール又はそれぞれビニルスルホン基を有するモノマー単位を含み、且つジビニルスルホン化合物をアミノ含有モノマー単位のアミノ基と反応させることによって得られる親水性ポリマー(すなわちアミノ含有ビニルモノマー由来)からなる群から選択され、前記少なくとも1種のチオール含有親水性ポリマーは、末端チオール基を有するマルチアームドポリエチレングリコール又はそれぞれチオール基を有するチオール含有モノマー単位を含み、且つチオラクトンをアミノ含有モノマー単位のアミノ基と反応させることによって得られる親水性コポリマー(すなわちアミノ含有ビニルモノマー由来)からなる群から選択される、実施形態115に記載の方法。
117.高度に分岐された親水性ポリマー系材料は、エポキシ基を含み、且つエポキシ基を有する少なくとも1種のエポキシ含有親水性ポリマーと、アミノ基を有する少なくとも1種のアミノ含有親水性ポリマー、カルボキシル基を有する少なくとも1種のカルボキシル含有親水性ポリマー又はチオール基を有する少なくとも1種のチオール含有親水性ポリマーとの部分反応生成物である、実施形態114に記載の方法。
118.前記少なくとも1種のエポキシ含有親水性ポリマーは、末端エポキシ基を有するマルチアームドポリエチレングリコール又はエポキシ含有ビニルモノマーの親水性コポリマーからなる群から選択され、前記少なくとも1種のチオール含有親水性ポリマーは、末端チオール基を有するマルチアームドポリエチレングリコール又はそれぞれチオール基を有するチオール含有モノマー単位を含み、且つチオラクトンをアミノ含有モノマー単位のアミノ基と反応させることによって得られる親水性コポリマー(すなわちアミノ含有ビニルモノマー由来)からなる群から選択され、前記少なくとも1種のアミノ含有親水性ポリマーは、アミノ含有ビニルモノマーの親水性コポリマーであり、前記少なくとも1種のカルボキシル含有親水性ポリマーは、カルボキシル含有ビニルモノマーの親水性コポリマーである、実施形態117に記載の方法。
119.高度に分岐された親水性ポリマー系材料は、アジリジン基を含み、且つアジリジン基を有する少なくとも1種のアジリジン含有親水性ポリマーと、アミノ基を有する少なくとも1種のアミノ含有親水性ポリマー、カルボキシル基を有する少なくとも1種のカルボキシル含有親水性ポリマー又はチオール基を有する少なくとも1種のチオール含有親水性ポリマーとの部分反応生成物である、実施形態114に記載の方法。
120.前記少なくとも1種のアジリジン含有親水性ポリマーは、アジリジン含有ビニルモノマーの親水性コポリマーであり、前記少なくとも1種のチオール含有親水性ポリマーは、末端チオール基を有するマルチアームドポリエチレングリコール又はそれぞれチオール基を有するチオール含有モノマー単位を含み、且つチオラクトンをアミノ含有モノマー単位のアミノ基と反応させることによって得られる親水性コポリマー(すなわちアミノ含有ビニルモノマー由来)からなる群から選択され、前記少なくとも1種のアミノ含有親水性ポリマーは、アミノ含有ビニルモノマーの親水性コポリマーであり、前記少なくとも1種のカルボキシル含有親水性ポリマーは、カルボキシル含有ビニルモノマーの親水性コポリマーである、実施形態119に記載の方法。
121.高度に分岐された親水性ポリマー系材料は、アゼチジニウム基を含み、且つ少なくとも1種のアゼチジニウム含有ポリマーと、少なくとも1つのカルボキシル、一級アミン、二級アミン又はチオール基を有する少なくとも1種の親水性強化ポリマーとの部分反応生成物である、実施形態114に記載の方法。
122.熱架橋性親水性ポリマー系材料は、
(i)約20重量%~約95重量%の、前記少なくとも1種のアゼチジニウム含有ポリマーに由来する第1のポリマー鎖、
(ii)約5~約80重量%の、アミノ基、カルボキシル基、チオール基及びこれらの組み合わせ(好ましくはカルボキシル基)からなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する前記少なくとも1種の親水性強化ポリマーに由来する第2のポリマー鎖であって、アゼチジニウム含有ポリマーの1つのアゼチチニウム基と、親水性増強剤の1つのアミノ、カルボキシル又はチオール基との間にそれぞれ形成される1つ以上の共有結合を介して第1のポリマー鎖に共有結合している第2のポリマー鎖、及び
(iii)第1のポリマー鎖の一部であるアゼチジニウム基又は第1のポリマー鎖に共有結合しているペンダント又は末端基
を含む、実施形態121に記載の方法。
123.前記少なくとも1種のアゼチジニウム含有ポリマーは、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリンである、実施形態121又は122の方法。
124.前記少なくとも1種のアゼチジニウム含有ポリマーは、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンである、実施形態121又は122の方法。
125.親水性強化ポリマーは、一級アミン含有多糖、二級アミン含有多糖、カルボキシル含有多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸又はこれらの組み合わせである、実施形態121~124のいずれか1つに記載の方法。
126.親水性強化ポリマーは、1つの唯一のアミノ、カルボキシル又はチオール基を有するポリエチレングリコール;2つの末端アミノ、カルボキシル及び/又はチオール基を有するポリエチレングリコール;1つ以上のアミノ、カルボキシル及び/又はチオール基を有するマルチアームポリエチレングリコール;1つ以上のアミノ、カルボキシル及び/又はチオール基を有するポリエチレングリコールデンドリマーである、実施形態121~124のいずれか1つに記載の方法。
127.親水性強化ポリマーは、(1)約60重量%以下の1種以上の反応性ビニルモノマーと、(2)1種以上の非反応性親水性ビニルモノマーとを含有する組成物の重合生成物であるコポリマーである、実施形態121~124のいずれか1つに記載の方法。
128.前記1種以上の反応性ビニルモノマーは、カルボキシル基を有するビニルモノマー(好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、N,N-2-アクリルアミドグリコール酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される)である、実施形態127に記載の方法。
129.前記1種以上の反応性ビニルモノマーは、アミノ基を有するビニルモノマー(好ましくはアミノC
2~C
6アルキル(メタ)アクリレート、C
1~C
6アルキルアミノ-C
2~C
6アルキル(メタ)アクリレート、アリルアミン、ビニルアミン、アミノ-C
2~C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、C
1~C
6アルキルアミノ-C
2~C
6アルキル(メタ)アクリルアミド及びこれらの組み合わせである)である、実施形態127に記載の方法。
130.前記1種以上非反応性ビニルモノマーは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、3-(メタ)アクリロイルアミノ-1-プロパノール、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-アクリルアミド、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、最大で1500ダルトンの重量平均分子量を有するC
1~C
4-アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ビニルアルコール及びこれらの組み合わせからなる群から(好ましくは、アクリアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、最大で400ダルトンの重量平均分子量を有するC
1~C
4-アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルコール及びこれらの組み合わせからなる群から)選択される、実施形態127~129のいずれか1つに記載の方法。
131.前記1種以上非反応性ビニルモノマーは、ホスホリルコリン含有ビニルモノマー(好ましくはメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)である、実施形態127~129のいずれか1つに記載の方法。
132.組成物は、約50重量%以下(好ましくは約0.1重量%~約30重量%、より好ましくは約0.5重量%~約20重量%、更に好ましくは約1重量%~約15重量%)の前記1種以上の反応性ビニルモノマーを含む、実施形態127~131のいずれか1つに記載の方法。
133.コンタクトレンズ前駆体は、その上にベースコーティングを有し、コーティングは、カルボキシル基を有するポリアニオン性ポリマーの層を含む、実施形態121~132のいずれか1つに記載の方法。
134.ポリアニオン性ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチルアクリル酸、ポリ(アクリル酸-co-メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸-co-エタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸-coエタクリル酸)又はそれらの混合物である、実施形態133に記載の方法。
135.第1の反応性官能基は、ビニルスルホン基ではなく、加熱の工程は、密封されたレンズパッケージ内のパッケージング溶液である水溶液中に浸漬されている、予備成形されたコンタクトレンズであって、その上に第1の反応性官能基を有する予備成形されたコンタクトレンズを約115℃~約125℃の温度で約20~90分間にわたってオートクレーブ処理することによって行われる、実施形態93~134のいずれか1つに記載の方法。
136.パッケージング溶液は、6.7~7.6のpHを有し、且つ約0.01重量%~約2重量%の、第2の反応性官能基を有する親水性ポリマー系材料を含む緩衝水溶液である、実施形態135に記載の方法。
【0177】
上記の本開示により、当業者が本発明を実施することが可能となる。本明細書に記載される種々の実施形態に対する種々の修正形態、変更形態及び組み合わせがなされ得る。読者が特定の実施形態及びその利点を理解することをよりよく可能にするために、以下の実施例の参照が提案される。本明細書及び実施例は、例示的であると考えられることが意図される。
【実施例】
【0178】
実施例1
酸素透過性の測定
レンズ及びレンズ材料の見かけの酸素透過性(Dkapp)、見かけの酸素透過性(Dk/t)、固有の(又はエッジ補正された)酸素透過性(Dkc)は、米国特許出願公開第2012/0026457A1号明細書の実施例1に記載の手順に従って決定する。
【0179】
表面濡れ性試験
コンタクトレンズの水接触角(WCA)は、コンタクトレンズの表面湿潤性の一般的な尺度である。特に、低い水接触角は、より濡れやすい表面に対応する。コンタクトレンズの動的キャプティブバブル接触角は、FDS Future Digital Scientific CorpのFDS計測装置を使用して測定される。FDS装置は、前進及び後進接触角を測定することができる。測定は、室温で水和したコンタクトレンズ上で行う。コンタクトレンズをバイアルから取り出し、約40mLの新しいPBS中に浸し、少なくとも30分間振とうし、次いで新しいPBSと交換し、別段の指定がない限り、更に30分間浸して振とうする。その後、コンタクトレンズをレンズペーパーの上に置き、軽くたたいて表面の水を取り除いてから、フロントカーブを上にしてレンズホルダーの上に置き、レンズホルダーの上部をねじ込む。確実に固定したレンズホルダーを、ろ過したPBSで満たされたガラス製セルキュベット内に入れる。ガラスセルキュベットをFDS装置のステージ上に置く。ステージの高さ及びシリンジニードルを調整し、レンズ表面に気泡を分配する。レンズごとに分配/抜き出しを3サイクル繰り返し、前進及び後進の接触角を得る。後進接触角は、以下の実施例で報告されている。
【0180】
水切れ時間(WBUT)試験
レンズの表面親水性(オートクレーブ処理後)は、水膜がレンズ表面で壊れ始めるのに要する時間を測定することによって評価する。WBUT≧10秒を示すレンズは、親水性の表面を有すると見なされ、眼に十分な湿潤性(涙液膜を支持する能力)を示すことが期待される。
【0181】
レンズは、柔軟なプラスチックのピンセット(例えば、Meniconからのもの)を用いてブリスターからレンズを取り出し、リン酸緩衝生理食塩水が入っている試験管にレンズを入れることにより、水切れ測定のために準備する。試験管には、1つのレンズあたり10mLのリン酸緩衝生理食塩水が入っており、1本の試験管あたり1つのレンズが入っている。試験前にレンズを一晩(少なくとも16時間)浸す。
【0182】
WBUTは、室温で以下の通りに測定する:レンズを試験管から取り出し、PBSに沈めた台の上に載せる。次いで、台をPBS溶液から持ち上げ(t=0)、ビデオカメラでレンズ表面から流れる流体を観察する。レンズ表面の流体が途切れたとき、このWBUT時間が記録される。任意選択的に、台がPBSから持ち上げられてから、レンズ表面の流体が途切れるまでの時間を測定するためにストップウォッチを使用することができる。台が引き抜かれ、レンズがPBSの表面の下に引っ張られる。レンズごとに少なくとも3つのスポットを測定し、各レンズグループの平均WBUT測定値を得るために少なくとも3つのレンズを測定する。
【0183】
平衡含水率
コンタクトレンズの平衡含水率(EWC)は、以下の通りに決定する。
【0184】
生理食塩水で完全に平衡化された水和ヒドロゲルコンタクトレンズ中に存在する水の量(重量パーセントで表される)は、室温で測定する。レンズを迅速に積み重ね、レンズを布で拭った後、レンズのスタックを分析天びんのアルミパンに移す。各サンプルパンのレンズの数は、典型的には、5つである。パン+レンズの水和重量を記録する。パンをアルミニウムホイルで被う。パンを100±2℃の実験室用オーブンに入れ、16~18時間乾燥させる。パン+レンズをオーブンから取り出し、デシケーター内で少なくとも30分間冷却する。デシケーターから1つのパンを取り出し、アルミニウムホイルを捨てる。分析天びんでパン+乾燥レンズサンプルを秤量する。全てのパンについて繰り返す。レンズサンプルの湿潤重量及び乾燥重量は、空の秤量パンの重量を差し引くことで計算することができる。
【0185】
弾性率
コンタクトレンズの弾性率は、MTSインサイト装置を使用して決定する。コンタクトレンズを、最初にPrecision Conceptの2ステージカッターを使用して幅3.12mmのストリップにカットする。6.5mm以内のゲージ長で5つの厚さの値を測定する。ストリップを装置のグリップに取り付け、21±2℃に制御された温度でPBS中に沈める。典型的には、5Nのロードセルが試験に使用される。サンプルが破損するまで、一定の力及び速度をサンプルに加える。力及び変位のデータをTestWorksソフトウェアによって収集する。弾性率の値は、TestWorksソフトウェアによって計算され、これは、弾性変形領域における、ゼロの伸び近傍での応力対ひずみ曲線の傾き又は接線である。
【0186】
コンタクトレンズの表面の柔軟性
表面が改質された全てのコンタクトレンズは、それらのバルク特性と異なる表面弾性率を有することができる。特に、その上に柔軟なヒドロゲルコーティングを有するコンタクトレンズは、バルクよりも柔軟な表面弾性率を有する。表面近傍の領域及び表面を含む領域のコンタクトレンズの見かけの表面弾性率特性は、ナノインデンテーション試験において、コンタクトレンズの1つの表面に対して5KPaの圧縮圧力で、9.5μmの先端半径及び0.54N/mの剛性を有するインデンテーションプローブのインデンテーション深さを測定することによって特徴付けることができる。1~500kPaの表面弾性率のために、このカンチレバーの剛性が推奨される。より硬い又はより柔軟な表面サンプルのために、別のカンチレバーを使用することができるであろう。
【0187】
ナノインデンテーション試験
以下の通り、マイクロインデンテーション試験において、コンタクトレンズの1つの表面に対して5KPaの圧縮圧力で、9.5μmの先端半径及び0.54N/mの剛性を有するインデンテーションプローブのインデンテーション深さを測定する。
【0188】
変位のインデンテーション深さ関数を決定するためにOptics11 Piuma装置が使用される。インデンテーションを実行する前に、Piumaプローブは、マニュアルの指示に従い、選択した試験溶液(すなわちPuriLens plus,OPTIFREE Replenish vehicle,PBS)で校正される(https://optics11life.com/wp-content/uploads/2019/05/Piuma-Nanoindenter-Manual.pdfを参照されたい)。この校正は、プローブが試験溶液に沈められているが、基材表面と接触していない状態で、最初に光学センサーを校正することからなる。次に、スライドガラス上でテストインデンテーションを行い、2番目のカンチレバー校正を行う。レンズを試験溶液ですすぎ洗いして、余分なレンズパッケージ溶液を洗い流す(30~50mlの試験溶液を10~20分間)。レンズホルダーの底部(
図2に示す)に25mlの試験溶液を充填し、少なくとも5分間脱気する。浸漬後、レンズをレンズホルダー底部のセンターポストに(試験面を上にして)配置する。レンズは、レンズの端がホルダーから離れる方向を向くように配置する必要がある。その後、レンズをポスト上で逆にして、気泡又は過剰な試験液の残りを最小限にする。
【0189】
上のピースを下のピースの上に置き、所定の位置でロックして、レンズを確実に固定する。その後、ホルダーを試験ステージ上に配置し、レンズの中心をプローブに合わせる。十分な試験溶液でサンプルを完全に沈めるようにする。
【0190】
最後に、Piumaプローブをレンズ表面のすぐ上(約1~2mm離して)に動かし、プローブを試験溶液に沈める。カンチレバーが完全に浸されて信号が安定するまで、プローブ表面に溶液をしたたらせ続ける。
【0191】
ナノインデンテーションの「表面探索」ルーチンは、メーカーの典型的な手順に従って行われる。インデンテーションルーチンは、1μm/秒の速度の10μmのインデンテーションから構成される。プローブが表面に移動し、カンチレバーによって検出された最初のたわみによって接触点が決定される。典型的には、3つの窪みがスポット間の大きい距離(すなわち250ミクロン)でレンズ表面の複数のスポット(すなわち16個)で形成され、レンズの種類ごとに5枚のレンズが典型的には試験される。
【0192】
1~500kPaの表面弾性率を特性評価するために使用される典型的なPiumaプローブは、0.54N/mの剛性及び9.5μmの先端半径を有する。球冠(Scap)の接触面積は、以下の式によって計算することができる:
Scap=2πRh
(式中、「R」は、先端半径であり、hは、インデンテーション深さである)。
【0193】
インデンテーション行われると、インデンテーション深さ及びインデンテーション力の両方が記録される。5kPaにおけるインデンテーション深さを計算するために、インデンテーション力を球冠の接触面積で割ることでインデンテーション圧力を求める。このデータセットから、5kPa(典型的には、まぶたの圧力は、1~5kPaである)におけるインデンテーション距離を報告することができる。
【0194】
全ての生データは、MATLABを使用して処理され、Excelを使用して分析される。
【0195】
化学物質
以下の実施例では、以下の略語が使用される:AMAは、アリルメタクリレートを表し;NVPは、N-ビニルピロリドンを表し;MMAは、メチルメタクリレートを表し;TEGDMAは、トリエチレングリコールジメタクリレートを表し;EGMAは、エチレングリコールメチルエーテルメタクリレートを表し;VAZO64は、2,2’-ジメチル-2,2’アゾジプロピオノニトリルを表し;Noblocは、Aldrichの2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレートであり;RB247は、リアクティブブルー247であり;TAAは、tert-アミルアルコールを表し;PAAは、ポリアクリル酸を表し;PAEは、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン(別名ポリアミン-エピクロロヒドリン)を表し;MPCは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを表し;ポリ(AAm-co-AA)は、ポリ(アクリルアミド-co-アクリル酸)を表し;PBSは、25℃で7.2±0.2のpHを有し、且つ約0.044wt.%のNaH
2PO
4・H
2と、約0.388wt.%のNa
2HPO
4・2H
2Oと、約0.79wt.%のNaClとを含むリン酸緩衝生理食塩水を表し;wt.%は、重量パーセントを表し;mSi1は、モノブチル末端モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Gelestから、Mw約600~800g/mol)を表し;「GA」マクロマーは、式(A)のジメタクリロイルオキシプロピル末端ポリシロキサン(Mn約6.8Kg/mol、OH含有量約1.2meq/g)を表す。
【化46】
【0196】
実施例2
重合性組成物の調製
レンズ配合物(重合性組成物)は、以下の組成(単位部)を有するように調製する:mSi1(34単位重量部);GA(6単位重量部);NVP(40単位重量部);MMA(10単位重量部);EGMA(10単位重量部);TEGDMA(0.4単位重量部);AMA(0.1単位重量部);Nobloc(1単位重量部);VAZO64(0.5単位重量部);RB247(0.01単位重量部);TAA(1単位重量部)。配合物は、記載の成分をそれらの目標量で清浄な瓶内に入れ、撹拌子を用いて室温において30分間600rpmで混合することによって調製する。全ての固形物が溶解した後、2.7μmのグラスマイクロファイバーフィルター(GMF)を使用することにより、配合物の濾過を行う。
【0197】
キャストモールドされたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ
レンズ配合物は、室温で30~35分間窒素でパージする。N2パージしたレンズ配合物をポリプロピレン製モールド内に入れ、以下の硬化条件下で熱硬化させる:約7℃/分の昇温速度で室温から55℃まで昇温;55℃で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で55℃から80℃まで昇温;55℃で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で80℃から100℃まで昇温;100℃で約30分間保持。モールドを開け、成形されたレンズをモールドから取り出す。
【0198】
レンズの特性評価前に、得られたシリコーンヒドロゲル(SiHy)コンタクトレンズ(コーティングされていないSiHyレンズ)を以下の成形後処理に供する。離型後、上で作製したSiHyレンズをPBS中に2回、室温で約60分間浸漬する。PBSで5分間すすぎ洗いした後、レンズを、0.6mLのPBSが入っているポリプロピレンレンズパッケージシェル(又はブリスター)(シェルごとに1つのレンズ)内に入れる。その後、ブリスターをホイルで密封し、約121℃で約45分間オートクレーブ処理を行う。SiHyレンズは、約83barrerの酸素透過性(ポーラログラフ法に従って測定)、約0.67MPaのバルク弾性率、約50重量%の含水率、Alsaconレンズに対して約11.0の相対イオン透過性及びゼロ秒のWBUTを有する。
【0199】
実施例3
PAA水溶液の調製
ポリアクリル酸(PAA)の水溶液は、水(蒸留水又は脱イオン水)中に適量のPAA(Mn約450kD)を添加することによって調製する。PAAが完全に溶解した後、PAA水溶液に約1.85%のギ酸を添加することにより、pHを約2に調整する。PAAの目標濃度は、約0.1重量%である。いかなる粒子状物質又は異物も除去するために、調製したPAA水溶液をろ過する。
【0200】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
リン酸緩衝生理食塩水は、以下の組成を有するように、所定量の精製水(蒸留又は脱イオン)中にNaH2PO4・H2O、Na2HPO4・2H2Oを溶解することによって調製する:約0.044w/w%のNaH2PO4・H2O、約0.388w/w/%のNa2HPO4・2H2O及び約0.79w/w%のNaCl。
【0201】
NaClなしのリン酸緩衝(PB)(PB、NaClなし)
PBは、PBSの調製と同じ手順を使用して調製するが、NaClを添加しない。
【0202】
IPC生理食塩水
IPC生理食塩水は、以下の濃度を有するように、適切な量のポリ(AAm-co-AA)(90/10)、PAE、NaH2PO4・H2O、Na2HPO4・2H2O及びNaClをDI(脱イオン)水中に溶解/混合し、その後pHを約7.3に調整することによって調製される:約0.132重量%のポリ(AAm-co-AA);約0.11重量%のPAE;約0.044重量%のNaH2PO4・H2O、約0.388重量%のNa2HPO4・2H2O及び約0.79重量%のNaCl。ポリ(AAm-co-AA)(90/10)部分ナトリウム塩、ポリ(AAm-co-AA)90/10、Mw200,000)は、Polysciences,Inc.から購入し、受け取ったままの状態で使用する。調製した溶液を65℃で約6時間前処理する。熱による前処理後、IPC生理食塩水を冷却して室温に戻す。バイオバーデンの成長を防止するために、最大で5ppmの過酸化水素を最終IPC生理食塩水に添加することができ、IPC生理食塩水は、0.22ミクロンのメンブレンフィルターを使用してろ過する。
【0203】
PAAベースコートを有するSiHyレンズ
モールドから取り出した後、SiHyコンタクトレンズ(実施例2で作製)を適切なトレイに入れる。次いで、レンズが入ったトレイを、PAAの1つの浴中に120分間又はPAAの2つの連続した浴で1つ目の浴中に30分浸漬してから2つ目の浴中に90分の浸漬のいずれかで、PAA溶液中に一定時間浸漬する。PAA浸漬溶液を、室温より上、例えば40℃に加熱する。浸漬工程中にPAA溶液の適切な流れを確保するために、十分な撹拌(例えば、水平方向の振とう又は上下の動き)が使用され得る。
【0204】
PAA浸漬後、通常、室温で最大で約1時間、PBの入った浴にレンズを移す。浸漬工程中にPBの適切な流れを確保するために、十分な撹拌(例えば、水平方向の振とう又は上下の動き)が使用され得る。
【0205】
次いで、通常、室温で約5~10分間、水の入った浴にレンズを移す。浸漬工程中に水の適切な流れを確保するために、十分な撹拌(例えば、水平方向の振とう又は上下の動き)が使用され得る。
【0206】
ヒドロゲルコーティングをその上に有するSiHyコンタクトレンズ
上で作製したPAAベースコーティングをその上に有するSiHyレンズを、以下の3つの位置の1つにおいて、約0.15~0.3mLのIPC生理食塩水を含むポリプロピレンレンズパッケージシェル(1つのシェルあたり1つのレンズ)内に入れる:位置I(後面を下に向けて前面を上に向ける);位置II(後面を上に向けて前面を下に向ける);及び位置III(逆にした後面を下に向け、逆にした前面を上に向ける)。約0.35~0.5mLのIPC生理食塩水を凹面(すなわち後面又は逆にした前面)に入れ、パッケージングシェル内のIPC生理食塩水が若干溢れ出る。次いで、ブリスター(パッケージングシェル)をホイルで密封し、約121℃で約45分間オートクレーブ処理して、架橋親水性コーティング(すなわちヒドロゲルコーティング)をその上に有するSiHyコンタクトレンズを形成する。コンタクトレンズの前面及び後面を確実に指定位置にするために、オートクレーブ処理中、シェルを水平に維持する。
【0207】
ヒドロゲル層をその上に有するSiHyコンタクトレンズの表面特性
パッケージから直接取り出した得られたSiHyコンタクトレンズ(位置Iでオートクレーブ処理)は、10秒を超えるWBUTと、55度未満の液滴(静的)による水接触角とを有する。
【0208】
実施例4
コンタクトレンズの表面の柔軟性を実施例1に記載の手順に従って決定する。実施例2で作製したコーティングされていないコンタクトレンズ(EWC約50%;バルク弾性率約0.69MPa)、実施例3で作製したコーティングされたコンタクトレンズ(EWC約50%;バルク弾性率約0.69MPa)及び市販のコンタクトレンズBioTrueTM(EWC約78%;バルク弾性率約0.49MPa、Bausch&Lamb)をこの実施例で使用する。結果を表1に報告する。
【0209】
【0210】
上記のように、ナノインデンテーション試験において、レンズ表面に対して、9.5μmの先端半径及び0.54N/mの剛性を有するインデンテーションプローブを用いて、5KPaの圧縮圧力で測定されたインデンテーション深さの値は、その表面における見かけの硬さ(すなわち表面の柔軟性)を反映することに注目する必要がある。値が大きいほど、その表面が柔軟である。
【0211】
表1は、BioTrueレンズが、コーティングされたレンズよりも低い体積弾性率(0.49MPa)を有しているにもかかわらず、コーティングされたレンズの後面及び前面の両方がBioTrueレンズよりもはるかに柔軟であること;コーティングされたレンズの後面及び前面の両方が、コーティングされていないレンズよりもはるかに柔軟であること;及びレンズパッケージ内のレンズのオートクレーブ位置が、オートクレーブ処理中、パッケージ内のコーティングされたコンタクトレンズの後面及び前面の表面の柔軟性に直接影響を与える可能性があることを示している。
【0212】
実施例5
この実施例は、
図3に示す低コヒーレンス干渉計(LCI)に従い、コンタクトレンズの後面及び前面で表面の材料及び/又は構造特性に相違を有するか否かを定性的に判断する方法を示す。
【0213】
超音波と同様に、LCIは、微細な光線(ビーム幅約40μm)を使用して多層製品の厚さを測定する。これは、層間の表面からの反射光に依存する。材料の複数の層の表面は、深度走査されたシグナルのピークとして検出される。各ピークの中心位置は、表面(界面)の位置を規定する。ピーク強度は、表面からの反射光に比例する。試験では、コンタクトレンズは、生理食塩水で満たされたキュベット又はウェットセル内に配置され、後面を下に向けて平らなウインドウの上に置かれる。走査プローブは、レンズの上方又はレンズの下方に配置することができる。
【0214】
コンタクトレンズが2つのレンズ表面で同一の材料及び機械的特性を有する場合、FC及びBCのシグナルのピークは、同じ強度であると見込まれる(例えば、
図4の市販のAIR Optix Plus Hydraglydeレンズ(Alcon)のFC及びBC面については、それぞれピーク1FC及びピーク1BCを参照されたい)。
【0215】
試験した市販のDAILIES(登録商標)TOTAL1レンズ(Alcon)では、FCシグナルのピーク2FCは、BCシグナルのピーク2BCよりもわずかに低い(
図4)。
【0216】
しかしながら、オートクレーブ位置IIで実施例3において作製したコーティングされたコンタクトレンズでは、FCシグナルピーク3FCは、BCシグナルピーク3BCよりもはるかに大きい(
図4)。FC面シグナルとBC面シグナルとの劇的な違い(又はシグナル強度の差)は、FC面とBC面との光学特性の相違を反映している。同様のコンタクトレンズについての実施例4のナノインデンテーション測定結果を考慮すると、これらの結果は、単純な光学的検出結果が、表面の表面柔軟性、すなわち異なる材料及び構造特性を有する後面及び前面の表面柔軟性と相関することを示している。
【0217】
図5は、実施例3で作製されたが、オートクレーブ位置III(すなわちレンズパッケージ及びオートクレーブに入れる前にコンタクトレンズを逆にしたもの)であるレンズについて収集されたLCIデータも示す。シグナル強度は、反転する:FC面のピークシグナル4FC及び5FCは、BC面のピークシグナル4BC及び5BCよりもはるかに弱い。この結果は、オートクレーブ処理中のレンズパッケージ内のレンズのオートクレーブ位置が、オートクレーブ処理中、パッケージ内のコーティングされたコンタクトレンズの後面及び前面の柔軟性に直接影響を与えることを更に裏付ける。
【0218】
本明細書で引用された全ての刊行物及び特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。