(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】産業規模構造デジタルツインのコンポーネントベースの低次元化モデリングのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20241001BHJP
【FI】
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2022524941
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 IB2020060441
(87)【国際公開番号】W WO2021105803
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-08-08
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522168202
【氏名又は名称】アクセロス エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クネジェビッチ,デイビッド ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サビー,ブライアン ジョージ
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-226774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0294978(US,A1)
【文献】Partha Sharma et.al.,RB-FEA Based Digital Twin for Structural Integrity Assessment of Offshore Structures,[online], Offshore Technology Conference,2018年05月03日,第1-5頁,[令和6年5月7日検索],インターネット,<https://akselos.com/wp-content/uploads/2022/10/industry-paper-otc2018-29005-ms-final.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的資産のモデルを解析することによって生成された推奨に基づいて前記物理的資産を保守する方法であって、前記モデルは、複数のコンポーネントを含み、及び前記物理的資産の物理ベースのデジタルツインを形成し、前記方法は、
(a)計算デバイスにより、偏微分方程式の少なくとも一部分のポート削減静的縮小簡約基底要素近似を使用して、複数のモデルの合成モデルを構築することであって、前記複数のモデルの各々は、複数のコンポーネントの少なくとも1つを表し、前記複数のコンポーネントの各々は、物理的資産の少なくとも1つの領域を表す、構築することと、
(b)前記計算デバイスにより、前記複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルについて、前記少なくとも1つのモデルと関連付けられた誤差のレベルを識別する誤差インジケータを解析して、前記識別された誤差のレベルが許容レベルを超えると判断することと、
(c)前記計算デバイスにより、前記少なくとも1つのモデルが、前記許容レベルを超える誤差のレベルを有するという判断に基づいて、前記ポート削減静的縮小簡約基底要素近似における基底関数の数を増大させることと、
(d)前記複数のモデルの各々の前記誤差のレベルが前記許容レベルを下回るまで、前記複数のモデルにおける各モデルについて(b)及び(c)を繰り返すことと、
(e)前記計算デバイスにより、前記物理的資産と関連付けられた第1のオペレーションデータソースから、前記複数のコンポーネントにおける少なくとも1つのコンポーネントの少なくとも1つのパラメータによって表される前記物理的資産の少なくとも1つの領域と関連付けられた第1のオペレーションデータを受信することと、
(f)前記計算デバイスにより、前記受信された第1のオペレーションデータに基づいて前記合成モデルを更新することと、
(g)前記計算デバイスにより、前記更新された合成モデルに基づいて、前記物理的資産を保守する推奨を提供することと
を含
み、
(a)~(d)の後であって(e)の前に、前記合成モデルを使用して、前記物理的資産の物理ベースの解析を生成することを更に含み、前記生成することは、
前記計算デバイスにより、前記物理的資産が評価される少なくとも1つの物理的条件を示す入力値を識別する第1のユーザ入力を受信することと、
前記計算デバイスにより、前記合成モデルを使用して、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの入力値に基づいて少なくとも1つの出力値を生成することであって、前記少なくとも1つの出力値は、前記少なくとも1つの物理的条件下での物理系の挙動を示し、前記少なくとも1つの出力値は、N次元領域にわたる複数の出力値を含む、生成することと
を更に含み、
前記受信することは、前記計算デバイスにより、前記物理的資産の物理的検査に基づく検査レポートから抽出された入力値を識別するユーザ入力を受信することを更に含む、
方法。
【請求項2】
前記受信することは、前記計算デバイスにより、前記物理的資産と関連付けられたセンサから受信されるオペレーションデータから抽出された入力値を識別するユーザ入力を受信することを更に含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
(h)前記計算デバイスによって実行されるシミュレーションツールにより、前記物理的資産の物理ベースの解析の少なくとも1つの結果の視覚化を含む、前記合成モデルの視覚的レンダリングを生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(i)前記シミュレーションツールにより、前記受信された第1のオペレーションデータに基づいて前記視覚的レンダリングを更新することを更に含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
(d)は、反復の閾値数に達するまで、前記複数のモデルにおける各モデルについて(b)及び(c)を繰り返すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(e)は、前記計算デバイスにより、前記物理的資産と関連付けられた前記第1のオペレーションデータソースから、前記物理的資産と関連付けられたセンサによって生成された第1のオペレーションデータを受信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(e)は、前記計算デバイスにより、前記物理的資産と関連付けられた前記第1のオペレーションデータソースから、前記物理的資産と関連付けられた検査レポートから抽出された第1のオペレーションデータを受信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(e)は、前記計算デバイスにより、前記物理的資産と関連付けられた前記第1のオペレーションデータソースから、前記物理的資産のオペレータによって生成されたレポートから抽出された第1のオペレーションデータを受信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
(h)前記計算デバイスにより、前記更新された合成モデルに基づいて、優先度のレベルに従ってランク付けされた前記
物理的資産の複数の側面を検査するために前
記複数の側面を識別する推奨を提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(h)前記計算デバイスにより、前記更新された合成モデルに基づいて、前記物理的資産への提案された改変の実現可能性のレベルを判断するための推奨を提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(h)前記計算デバイスにより、前記更新された合成モデルに基づいて、前記物理的資産の運用性のレベルを判断するための推奨を提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(h)前記計算デバイスにより、前記物理的資産と関連付けられた前記第1のオペレーションデータソースから、前記複数のコンポーネントにおける前記少なくとも1つのコンポーネントの前記少なくとも1つのパラメータによって表される前記物理的資産の前記少なくとも1つの領域と関連付けられた第2のオペレーションデータを受信することと、
(i)前記計算デバイスにより、前記受信された第2のオペレーションデータに基づいて前記合成モデルを更新することと、
(j)前記計算デバイスにより、前記更新された合成モデルに基づいて、前記物理的資産を保守する第2の推奨を提供することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
(h)前記計算デバイスにより、前記物理的資産と関連付けられた第2のオペレーションデータソースから、前記複数のコンポーネントにおける少なくとも第2のコンポーネントの少なくとも第2のパラメータによって表される前記物理的資産の少なくとも第2の領域と関連付けられた第2のオペレーションデータを受信することと、
(i)前記計算デバイスにより、前記受信された第2のオペレーションデータに基づいて前記合成モデルを更新することと、
(j)前記計算デバイスにより、前記更新された合成モデルに基づいて、前記物理的資産を保守する第2の推奨を提供することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(h)前記第1のオペレーションデータソースから第2のオペレーションデータを受信することと、
(i)前記受信された第2のオペレーションデータに基づいて、前記複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルを更新することと、
(j)前記計算デバイスにより、前記複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルについて、前記少なくとも1つのモデルと関連付けられた誤差のレベルを識別する誤差インジケータを解析して、前記識別された誤差のレベルが許容レベルを超えるかどうかを判断することと、
(k)前記計算デバイスにより、前記少なくとも1つのモデルが、前記許容レベルを超える誤差のレベルを有するという判断に基づいて、前記ポート削減静的縮小簡約基底要素近似における基底関数の数を増大させることと、
(l)前記複数のモデルの各々の前記誤差のレベルが前記許容レベルを下回るまで、前記複数のモデルにおける各モデルについて(b)及び(c)を繰り返すことと、
(m)前記計算デバイスにより、前記受信された第2のオペレーションデータに基づいて前記合成モデルを更新することと、
(n)前記計算デバイスにより、前記更新された合成モデルに基づいて、前記物理的資産を保守する推奨を提供することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
(h)第2のオペレーションデータソースから第2のオペレーションデータを受信することと、
(i)前記受信された第2のオペレーションデータに基づいて、前記複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルを更新することと、
(j)前記計算デバイスにより、前記複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルについて、前記少なくとも1つのモデルと関連付けられた誤差のレベルを識別する誤差インジケータを解析して、前記識別された誤差のレベルが許容レベルを超えるかどうかを判断することと、
(k)前記計算デバイスにより、前記少なくとも1つのモデルが、前記許容レベルを超える誤差のレベルを有するという判断に基づいて、前記ポート削減静的縮小簡約基底要素近似における基底関数の数を増大させることと、
(l)前記複数のモデルの各々の前記誤差のレベルが前記許容レベルを下回るまで、前記複数のモデルにおける各モデルについて(b)及び(c)を繰り返すことと、
(m)前記計算デバイスにより、前記受信された第2のオペレーションデータに基づいて前記合成モデルを更新することと、
(n)前記計算デバイスにより、前記更新された合成モデルに基づいて、前記物理的資産を保守する推奨を提供することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータ実行可能命令で符号化された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令は、計算デバイスで実行されると、前記計算デバイスに、物理的資産のモデルを解析することによって生成された推奨に基づいて前記物理的資産を保守する方法を実行させ、前記モデルは、複数のコンポーネントを含み、及び前記物理的資産の物理ベースのデジタルツインを形成し、前記方法は、
(a)計算デバイスにより、偏微分方程式の少なくとも一部分のポート削減静的縮小簡約基底要素近似を使用して、複数のモデルの合成モデルを構築することであって、前記複数のモデルの各々は、複数のコンポーネントの少なくとも1つを表し、前記複数のコンポーネントの各々は、物理的資産の少なくとも1つの領域を表す、構築することと、
(b)前記計算デバイスにより、前記複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルについて、前記少なくとも1つのモデルと関連付けられた誤差のレベルを識別する誤差インジケータを解析して、前記識別された誤差のレベルが許容レベルを超えると判断することと、
(c)前記計算デバイスにより、前記少なくとも1つのモデルが、前記許容レベルを超える誤差のレベルを有するという判断に基づいて、前記ポート削減静的縮小簡約基底要素近似における基底関数の数を増大させることと、
(d)前記複数のモデルの各々の前記誤差のレベルが前記許容レベルを下回るまで、前記複数のモデルにおける各モデルについて(b)及び(c)を繰り返すことと、
(e)前記計算デバイスにより、前記物理的資産と関連付けられた第1のオペレーションデータソースから、前記複数のコンポーネントにおける少なくとも1つのコンポーネントの少なくとも1つのパラメータによって表される前記物理的資産の少なくとも1つの領域と関連付けられた第1のオペレーションデータを受信することと、
(f)前記計算デバイスにより、前記受信された第1のオペレーションデータに基づいて前記合成モデルを更新することと、
(g)前記計算デバイスにより、前記更新された合成モデルに基づいて、前記物理的資産を保守する推奨を提供することと
を含
み、
(a)~(d)の後であって(e)の前に、前記合成モデルを使用して、前記物理的資産の物理ベースの解析を生成することを更に含み、前記生成することは、
前記計算デバイスにより、前記物理的資産が評価される少なくとも1つの物理的条件を示す入力値を識別する第1のユーザ入力を受信することと、
前記計算デバイスにより、前記合成モデルを使用して、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの入力値に基づいて少なくとも1つの出力値を生成することであって、前記少なくとも1つの出力値は、前記少なくとも1つの物理的条件下での物理系の挙動を示し、前記少なくとも1つの出力値は、N次元領域にわたる複数の出力値を含む、生成することと
を更に含み、
前記受信することは、前記計算デバイスにより、前記物理的資産の物理的検査に基づく検査レポートから抽出された入力値を識別するユーザ入力を受信することを更に含む、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
産業機械及び基盤を構造保全の観点から管理する従来の手法は、設計時に拡張解析を実行して、関連する全ての動作条件を査定することを試み、この解析に基づいて、(i)資産の動作寿命と、(ii)検査、保守及び修理の規定スキーム(多くの場合に一定の時間間隔に基づく)とを決定することである。この作業で重要な観察は、この設計ベースの規定方法論が、基本的に、資産の真の動作条件がどのようなものであるかについての大量の不確実性によって制限されることである。例えば、航洋船の場合を考える。船舶は、船舶が受けるであろう環境条件(波、風、腐食性海水)及び動作条件(貨物、荷積み/荷下ろしサイクルの数及び頻度)の仮定に基づいて設計される。しかし、当然ながら、将来の動作条件は、設計時に未知であり、そのため、唯一の選択肢は、保守的な仮定を行い、不確実性を補償するために大きい安全率を組み込むことである。実際には、このタイプの設計時解析に完全に依存する場合、構造の真の容量と比較した資産の過大設計(対応する過度の資本支出を伴う)若しくは時期尚早の廃止又はこれらの両方に繋がる。更に、保守的な設計仮定を用いても、異常気象又は事故等、設計中に仮定した「最悪事例」を超えた予見できない状況のリスクが動作中に常に存在する。また、無駄のない設計に向かう動きは、- 特に、プロジェクトの経済的実行可能性が損益分岐点に近い - コスト削減のために安全マージンが可能な限り制限され、それにより、資産がその承認された動作エンベロープ外に出る確率を更に増大させる - ことが多い再生可能エネルギー等の分野において、一層大きくなっている。これは、健康リスク及び安全リスクを生じさせるとともに、資産の寿命を縮めるか、又は高価な修復介入を必要とする破損にも繋がり得る。したがって、物理的資産の動作寿命を通した保守及び安全のための条件及び推奨のモデリングを提供する解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
概要
一態様では、物理的資産のモデルを解析することによって生成された推奨に基づいて物理的資産を保守する方法であって、モデルは、複数のコンポーネントを含み、及び物理的資産の物理ベースのデジタルツインを形成する、方法は、計算デバイスにより、偏微分方程式の少なくとも一部分のポート削減静的縮小簡約基底要素近似(port-reduced static condensation reduced basis element approximation)を使用して、複数のモデルの合成モデルを構築することであって、複数のモデルの各々は、複数のコンポーネントの少なくとも1つを表し、複数のコンポーネントの各々は、物理的資産の少なくとも1つの領域を表す、構築することを含む。方法は、計算デバイスにより、複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルについて、少なくとも1つのモデルと関連付けられた誤差のレベルを識別する誤差インジケータを解析して、識別された誤差のレベルが許容レベルを超えると判断することを含む。方法は、計算デバイスにより、少なくとも1つのモデルが、許容レベルを超える誤差のレベルを有するという判断に基づいて、ポート削減静的縮小簡約基底要素近似における基底関数の数を増大させることを含む。方法は、複数のモデルの各々の誤差のレベルが許容レベルを下回るまで、複数のモデルにおける各モデルについて誤差解析及び基底関数を増大させることを繰り返すことを含む。方法は、計算デバイスにより、物理的資産と関連付けられた第1のオペレーションデータソースから、複数のコンポーネントにおける少なくとも1つのコンポーネントの少なくとも1つのパラメータによって表される物理的資産の少なくとも1つの領域と関連付けられた第1のオペレーションデータを受信することを含む。方法は、計算デバイスにより、受信された第1のオペレーションデータに基づいて合成モデルを更新することを含む。方法は、計算デバイスにより、更新された合成モデルに基づいて、物理的資産を保守する推奨を提供することを含む。
【0003】
図面の簡単な説明
本開示の上記及び他の目的、態様、特徴及び利点は、添付図面と併せて行われる以下の説明を参照することにより、より明確及びより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】複数のコンポーネントを接続することによって系レベル有限要素モデルをどのように取得し得るかを示す図である。
【
図1B】検査レポート内の少なくとも1つの値に基づいて更新された船体モデルを示す。
【
図1C】自動座屈チェックレポートの生成に使用される更新された船体モデルを示す。
【
図2A】複数のコンポーネントを含む物理的資産のモデルを解析し、物理的資産の物理ベースのデジタルツインを形成することによって生成された推奨に基づいて物理的資産を保守するシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【
図2B】ブロック図は、浮体式洋上構造のデジタルスレッドを生成する方法200の視覚化を示す。
【
図2C】ブロック図は、洋上プラットフォームのデジタルスレッドを生成する方法200の視覚化を示す。
【
図3】複数のコンポーネントを含む物理的資産のモデルを解析し、物理的資産の物理ベースのデジタルツインを形成することによって生成された推奨に基づいて物理的資産を保守する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【
図4A】本明細書に記載の方法及びシステムに関連して有用なコンピュータの実施形態を示すブロック図である。
【
図4B】本明細書に記載の方法及びシステムに関連して有用なコンピュータの実施形態を示すブロック図である。
【
図4C】本明細書に記載の方法及びシステムに関連して有用なコンピュータの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
本明細書に記載の方法及びシステムは、複数のコンポーネントを含む物理的資産のモデルを解析し、物理的資産の物理ベースのデジタルツインを形成することによって生成された推奨に基づいて物理的資産を保守する機能を提供する。物理的資産の保守に加えて、本明細書に記載の方法及びシステムは、検査されるべき(例えば、物理的検査を受けるべき)物理的資産の1つ又は複数の側面を識別する機能を提供し得る。物理的資産の保守に加えて、本明細書に記載の方法及びシステムは、物理的資産への提案された改変の実現可能性のレベルを判断する機能を提供し得る。物理的資産の保守に加えて、本明細書に記載の方法及びシステムは、物理的資産の運用性のレベルを判断する機能を提供し得る。
【0006】
本明細書に記載の方法及びシステムは、動作中、構造保全の監視及び再査定を実行する機能を提供し得、それにより異常又は予測不能な事象の影響を追跡して、安全性及び信頼性を保証しながら、資産に存在する余力を識別する(したがって早期廃止を阻止する)か、又は過度に面倒な保守体制を識別することを可能にし得る。幾つかの実施形態では、動作中の資産追跡及び保全監視というこの目標は、構造デジタルツインの概念に動機を与える。デジタルツインという用語は、例えば、検査及びセンサデータに基づいて、動作寿命中に資産との同期が維持される物理的資産の計算レプリカを指し得る。構造デジタルツインは、デジタルツインの目的が、資産の「そのままの」状態に基づいて構造保全を査定することである特定の場合を指し得る。構造デジタルツインへの更新は、資産への任意の構造関連変更を捕捉し得、例えば検査データ(例えば、視覚的検査、超音波厚さ測定、レーザスキャン)又はセンサ測定(例えば、加速度計、歪みゲージ、環境監視)に基づき得る。この検査及び器具は、資産の真の状態及びその環境を反映するようにデジタルツインを常時更新できるようにするため、動作条件と関連付けられた不確実性を、なくすとは言わないまでも、大幅に低減する。したがって、この手法を通して、本明細書に記載の方法及びシステムのユーザは、設計時に作成された計画に依存する代わりに、構造デジタルツインによって情報を与えられる更新された資産管理計画(例えば、検査、保守、修理、許容動作条件への変更、破損又は事故への対応又は資産寿命拡張について)を作成し得る。更に、固定若しくは浮体式洋上構造、航空機、鉱業機械、回転機械又は圧力容器等の産業系内の物理的資産の構造デジタルツインを提供し得ることに留意されたい。したがって、本発明に記載の方法及びシステムは、大規模産業系の高速のホリスティックで詳細及びパラメトリックな構造解析を可能にする静的縮小簡約基底要素(SCRBE(Static Condensation Reduced Basis Element))法に基づく、コンポーネントベースの低次元化モデリングレームワークを含む。この方法論は、構造デジタルツインのモデリングニーズをサポートし、ここで、構造デジタルツインは、系の動作寿命にわたり、系の「そのままの」状態を追跡する構造系の詳細な物理ベースのモデルである。検査及び/又はセンサデータを組み込み、詳細な構造保全解析を効率的に実行し、後処理及びレポート生成を可能にして、極めて重要な構造系の動作中のデータ駆動式意思決定をサポートするSCRBE手法の独自の能力を示す数値範囲例について、更に詳細に以下で考察する。
【0007】
本明細書に記載の方法及びシステムは、以下の4つの性質を満たす構造デジタルツインを生成及び更新する機能を提供する。即ち、ホリスティックで詳細なモデリング、速度、パラメトリックモデリング、並びに、規格遵守性及び保証可能な精度である。
【0008】
構造デジタルツインは、例えば、応力及び疲労ホットスポットにおける最も可能性の高い「故障場所」を識別するために系全体の「スクリーニング」を可能にし、それにより例えばこれらの場所を検査計画で優先することができる。このタイプのスクリーニングを可能にするために、ホリスティックで詳細なモデルが使用されて、物理的資産のコンポーネント全体にわたる応力を正確に解消する。検査データ及びセンサデータから最大の洞察を得るために、構造デジタルツインは、資産全体を1つのホリスティックモデルとして表すべきであり、及び全ての関連データをデジタルツインに正確にマッピングすることができるように十分な詳細レベルを提供すべきである。この手法を通して、デジタルツインは、測定又は観測された全ての更新(例えば、改変、欠陥、破損)の局所的影響、非局所的影響及び累積的影響を捕捉し得る。これは、それまでの全ての更新の累積的影響が、新たな予期しない応力ホットスポット又は故障モードの予測に繋がらないことをシステムが保証できるようにする、資産の「そのままの」状態の査定の一態様である。ホリスティックで詳細なモデリングは、全ての最新の資産データを詳細に組み込むモデルが、資産の現在状態についての「信頼できる唯一の情報源」を提供し、複数の別個の局所モデルを管理する必要性を回避するという意味において、作業フロー効率の観点からも望ましい。
【0009】
構造デジタルツインからのステータスレポートは、通常、数千もの異なる負荷事例を解決して、例えば極めて重要な部品の疲労寿命推定を実行するか、又は広範囲の「仮説」シナリオ下で関連する業界規格に基づいて強度チェックを実行することを含む。オペレータがデジタルツインを使用してデータ駆動式意思決定に情報を与えられるように、意思決定プロセスのために適時にステータスレポートが利用可能であるように十分に早く一連の解析結果を完了する必要がある。したがって、本明細書に記載の方法及びシステムは、生成又は更新された構造デジタルツインが意思決定を通知する必要がある時間枠内で構造デジタルツインを生成及び更新する機能を提供する。
【0010】
構造デジタルツインの一態様は、資産の更新された状態に基づいて、又は提案された様々な変更若しくは「仮説」シナリオを査定することを望み得るオペレータによって課された改変に起因して進化し得る(及び幾つかの実施形態では連続進化する)ことである。したがって、本明細書に記載の方法及びシステムは、容易及び効率的に改変可能な構造デジタルツインを生成及び更新する機能を提供する。パラメトリックモデリング手法は、そのような改変を促進し得る。なぜなら、パラメトリックモデリングは、例えば、剛性、密度、負荷、ジオメトリ等を変えるように「ダイアル」の変更を介して性質を改変し、自動的及び効率的に解決できるようにするためである。パラメトリックモデリングは、不確実性定量化も促進し、なぜなら、モデルパラメータを統計的にサンプリングして、様々な負荷シナリオ又は腐食速度の範囲下での構造疲労査定等のデジタルツインの予測における不確実性を査定することができるためである。このタイプの統計的不確実性解析は、デジタルツインに基づいて資産管理のリスクベースの計画を行うことができるようにする。
【0011】
構造デジタルツインは、通常、安全性が極めて重要で価値の高い資産に対してデプロイされ、これに関連して使用すべき解析のタイプを管理する規制者及び規格団体からの多くの既存の規約がある。したがって、本明細書に記載の方法及びシステムは、規制者及びオペレータが、正確性及び信頼性を確認するためにチェックし得る解析結果を提供しながら、提供する結果に十分な信頼を置くことができるように、これらの規格に遵守する構造デジタルツインを生成及び更新する機能を提供する。
【0012】
産業機器の構造保全解析のための1つの従来のツールは、有限要素(FE)法である。FEは、規格遵守及び保証可能な正確性についての要件を確実に満たすが、残りの3つの項目では大きい制限を有する。ホリスティックで詳細なモデリング及び速度に関して、FEの計算速度及びメモリ要件は、通常、自由度の数に伴って超線形的に増大し、したがって、大半の実用状況では、FEを用いた詳細でホリスティックなモデリングは、大規模系で実現可能ではない。FEに伴うこの問題は、多くのサブモデリングベースのワークフロー(粗い大域モデル及び別個の精細局所モデル)の開発をもたらしたが、サブモデリング手法は、構造デジタルツインへの更新を実行する際、本発明者らが捕捉しようとしている非局所的影響及び累積的影響を無視する。パラメトリックモデリングに関して、FEは、任意のパラメトリック変更により、新しい(多く場合に計算集約的な)解決を最初から実行する必要がある点で本質的にパラメトリックではない。
【0013】
人工知能及び機械学習(AI/ML)並びに応答面等の関連する方法は、デジタルツインに奨励されることが多いもう1つの組の方法論候補である。AI/MLでは、通常、特定の関心のある数量(QoI)をパラメータの関数として評価することにより、系の高速解析が可能である。その結果、AI/MLは、速度及びパラメトリックモデリングの項目をカバーするが、残りの2項目では不十分である。ホリスティックで詳細なモデリングでは、特定の関心のある数量の評価は、資産の全ての詳細が完全に表されるべきホリスティックで詳細なモデルの概念と一貫せず、なぜなら、特定のQoI出力は、資産全体の描写を提供しないためである。規格遵守及び保証可能な正確性について、AI/MLモデルは、解釈するのが難しく、物理学の第1原理に基づかないか、又は物理ベースの資産保全規格を遵守しない「ブラックボックス」であることが周知である。
【0014】
放物線直交分解(POD(Parabolic Orthogonal Decomposition))、固有一般化分解(PGD(Proper Generalized Decomposition))又は認証簡約基底法(Certified Reduced Basis Method)を含め、先に考察した構造デジタルツインのタイプに向けて開発され、構造デジタルツインのタイプの候補であり得る広範囲の低次元化モデリング(ROM(reduced order modeling))法があり、ROMは、確実に速度を提供し、- ROMタイプに応じて - パラメトリックモデリング及び保証可能な正確性を提供することもできる。しかしながら、ROMは、一般に、大規模系のホリスティックで詳細なモデリングを可能にせず、したがって、通常、例えば大規模洋上構造又は航空機の十分に詳細なモデルに必要とされるように、例えば108FE超の自由度に相当する最大産業系に適用される方法論を提供しない。先に触れたROM手法は、ROMが、異なる構成について全次元モデルを多数回解くことによって「トレーニング」される必要があり、全次元モデルが非常に大きい規模である場合、これは、法外に高価であるため、このタイプの大規模モデルにあまり適さない。
【0015】
したがって、本明細書に記載の方法及びシステムは、静的縮小簡約基底要素(SCRBE)フレームワークに基づく、コンポーネントベースのROM手法を提供する。SCRBE方法論は、認証簡約基底法上に構築され、パラメトリック偏微分方程式(PDE)の物理ベースのROMを提供する。ROM手法に典型的なように、SCRBEは、オフラインステージ中、モデルデータが「トレーニング」され、オンラインステージ中、モデルデータが続けて特定のパラメータ選択について評価されるオフライン/オンライン分解を含む。オフラインステージは、計算集約的であるが、完了すると、予め定義された範囲内の任意の新しいパラメータ選択について、オンラインステージを非常に高速に評価し得る(通常、対応するFEソルブよりも数桁高速である)。しかしながら、この方法論を先に考察したROM法から差別化する、この方法論の重要な側面は、系全体がより小さいコンポーネントに分解され、別個のROMが各コンポーネントでトレーニングされる点でコンポーネントベースであることである。SCRBEを用いる場合、系は、オフラインステージ中、全次元(例えば、FE)ソルバを用いて系全体を解く必要がない - トレーニングデータを生成するには、分離されたコンポーネント及び局所サブシステムを解くのみで十分である - ため、これは、他の手法よりも大きいスケーラビリティを可能にする。各コンポーネントに生成されたROMは、コンポーネント内部(標準簡約基底法を介する)及び「ポート削減」を介するコンポーネント境界の両方の低次元化表現からなる。ベースラインSCRBE法は、線形PDEに適用され、なぜなら、定式化は、静的縮小を利用するが、必要に応じて、非線形FE領域をモデルに含めることによって非線形性を組み込むように自然に拡張することができるためである。そのようなSCRBEフレームワークは、上述した構造デジタルツインの4つ全ての性質に対処する。
【0016】
本明細書に記載の方法及びシステムは、SCRBE方法論に基づく構造デジタルツインに焦点を当てているが、幾つかの実施形態では、これらの方法及びシステムは、SCRBE、FE及び/又はAI/MLの機能と組み合わされる。したがって、本明細書に記載の方法は、AI/MLシステムからの出力を受信し、その出力を解析に組み込むことを含み得、そのような方法は、出力を元のAI/MLシステムに提供することを含み得、AI/MLシステムは、出力を用いて続く実行を自動的に改善し得る。特に、AI/MLは、動作中、特定のQoIに基づいて潜在的な「警告」を迅速に生成することができる点で「カナリア」として非常に効率的であり得、次いでSCRBEが全詳細解析に適用されて、警告シナリオをより詳細に査定し、必要に応じて更なる行動を指示し得る。SCRBEとAI/MLとの別の組合せは、SCRBEを使用して、現実世界の測定値を拡張するために使用することができる物理ベースのデータを生成し、次いで拡張データセットを使用して、より豊富なAI/MLモデルをトレーニングすることができる。これは、AI/MLモデルが希な挙動(故障等、故障は、通常、十分に管理された資産では希である)を正確に分類できるようにするために特に重要であり、なぜなら、希な事象についての現実世界データセットは、当然ながら、限られるためである。この問題に対処するために、SCRBE等の物理ベースのROMを使用して、特定の故障シナリオをシミュレートし、仮想センサ読み取り値を抽出して、AI/MLトレーニングセットを拡張し、リッチ化することによって広範囲の故障モードデータを効率的に生成することができる。同様に、SCRBEは、構造保全問題を有する恐れがある系内の局所領域を識別するのに使用することができる大規模系の高速及びパラメトリックなモデリングを可能にするため、SCRBE及びFEは、互いを良好に補う。領域が識別されると、その領域に拡張局所FE解析を受けさせて、更なる査定を実行することができる - 及びSCRBEは、FEメッシュに基づくため、系は、SCRBEモデル内のコンポーネントの任意のサブセットを使用してFEを実行し得る。
【0017】
この研究で考慮される構造デジタルツインは、コアにSCRBEを有するが、極めて重要なシステムを日常的に管理するオペレータにとって有用な完全なワークフローを提供するために必要である広大な層の前処理及び後処理がある。そのようなシステムは、新しいデータに基づいて構造デジタルツインを自動的及びシームレスに更新し、要求に応じて、主要な発見をまとめたレポートを生成すべきである。デジタルツインへの更新データから新たな報告及び推奨へのこの流れは、多くの場合、「デジタルスレッド」と呼ばれ、ここで、「スレッド」は、デジタル資産保全フレームワークの全ての関連部分を繋ぐ。物理的資産でのデジタルスレッドの例 - SCRBEベースの構造デジタルツインを中心にして構築される - について、更に詳細に以下で考察する。
【0018】
コンポーネントベースのモデリングは、長い間、大規模構造系の解析への標準手法であった。コンポーネントベースの定式化の開始点は、通常、n
compコンポーネントのセットを定義することであり、ここで、コンポーネントiは、空間領域Ω
iに対応し、コンポーネントiを近隣コンポーネントに接続することができる境界 - 本発明者らがポートと呼ぶ - のセットを含む。n
portを、系全体での接続されたポートの総数とする。
図1に示すように、このコンポーネント/ポートフレームワークに基づいて、コンポーネントを接続して、領域
【数1】
を形成することにより、均等な系レベルFEモデルを取得し得る。
図1に示すように、船体からのコンポーネント(上部)が組み付けられて、完全接続系レベルモデル(下部)になる。先に紹介した系レベルモデルのコンポーネントベースの分解を利用するパラメトリックROMを作成するSCRBE手法について、更に詳細に以下に記載する。
【0019】
系
KU=F (1)
を、静的又は準静的線形弾性等のΩに課される平衡構造解析FE問題(有限要素空間に基づく離散化が適用された後)とする。ここで、
【数2】
は、(対称)剛性行列であり、
【数3】
は、変位ベクトルであり、
【数4】
は、負荷ベクトルであり、ここで、N
FEは、ΩにおけるFE離散化でのFE自由度(DOF)の数を示す。(1)の系は、この問題の標準FE定式化と呼ぶことができ、ROMに関連して、これは、「トゥルース」定式化と呼ばれることが多い。
【0020】
コンポーネントの役割に関して及び例示のために、n
comp=2及びn
port=1を有する高度に簡素化された場合、系レベル領域は、Ω=Ω
1∪Ω
2であり、pは、Ω
1とΩ
2とを結ぶ1つのポートを示す。N
FE,1及びN
FE,2を、それぞれコンポーネント1及び2の内部(非ポート)領域と関連付けられたFE DOFの数とし、N
FE,pをp上のFE DOFの数とする。p上のDOFは、FEメッシュにおける個々のノードと関連付けられた標準FEラグランジュ基底関数であり得るか、又はポート全体上にサポートを有する一般関数であり得ることに留意されたい - 「ポート削減」の場合、後者が必要とされ、これについて更に詳細に以下で考察する。次いで、(1)は、ブロック形態:
【数5】
で書き換えることができる。
【0021】
ここで、行列構造は、以下のようにU
pに関してU
1及びU
2を解くことを示唆する。
【数6】
(3)を(2)に代入すると、未知数としてU
pのみを有する系となり:
【数7】
又は均等に、
【数8】
になる。以下の表記は、部分構造化剛性行列及び負荷ベクトルに使用され得る。
【数9】
式中、
【数10】
及び
【数11】
である。したがって、
【数12】
となる。
【0022】
ここで、(7)は、(1)の厳密な再定式化であり、ここで、重要な点は、(3)のように一連のコンポーネント局所解決を実行することにより、系が、元のサイズNFE×NFEの代わりに、NFE,p×NFE,pのサイズに縮小することである。この手順は、文献において、部分構造化、補足、静的縮小又はブロックガウス消去等の幾つかの異なる名称で呼ばれている。この手法を指すのに部分構造化という名称を使用し得る。
【0023】
(2)~(5)における手法は、(1)の線形性に依拠し、したがって、このセクションで考察するコンポーネントベースの定式化は、線形のみである。非線形解析に適用される手法について、更に詳細に以下で考察する。
【0024】
(2)~(5)を効率的に実施するために、一実施形態では、
【数13】
の明示的な計算はない。代わりに、(3)は、一連のN
FE,p+1ソルブ - ポートp上の各DOFにつき1つに加えて、F
iにつき1つ - として以下のように書き換えられる。
【数14】
式中、e
jは、j番目のエントリにlを有する、
【数15】
における正準単位ベクトルであり、このシーケンスを完了すると、
【数16】
及び
【数17】
を再構築することができ、したがってK
p,iの前乗算を介して(5)における項を取得することができる。(8)におけるXベクトルは、物理的な意味を有さず、それらの役割は、
【数18】
及び
【数19】
の組み立てに使用されることのみである。
【0025】
上記微分では、ncomp=2であり、1つのみのポートpがあると仮定するが、全てのものは、自然に、任意の数のコンポーネント及びポートの事例に一般化される。その結果、以下では、NFE,pが系における全てのポート上のFE DOFの数を指すと理解するものとする。
【0026】
上述した部分構造化手法は、広く使用されており、幾つかの魅力的な計算効率及び利便性を提供する。上述したように、1つの利点は、(5)における系が、通常、(1)における系よりもはるかに小さいことである。別の利点は、コンポーネントi内で変更が行われた場合、更新されたN
FE,p×N
FE,p剛性行列及び負荷ベクトルを組み立てるために、全てのコンポーネントではなく、コンポーネントiについてのみ(3)を解くのみでよく、したがってコンポーネントベースの系への局所変更を効率的なコンポーネント局所様式で実行できることである。これらの利点は、幾つかの場合に魅力的であるが、一般に、(1)における標準FE定式化と比較した部分構造化の計算利点は、2つの主な問題に起因してかなり限られる。第1に、コンポーネント内の変更を組み込むことについて上述した手順は、実際にモジュール式であるが、コンポーネントへの各変更で新しいコンポーネント局所FEソルブを実行する必要があるため、面倒であり得る。実際に、これには、特に多くの更新が必要である場合(例えば、リアルタイムセンサ測定を合わせるために若しくは最適化の内部ループ内で改変が実行される場合)又は高度に分解されたコンポーネントメッシュを使用する場合、コストがかかり得る。第2に、N
FE,p×N
FE,p行列
【数20】
は、実際に、内部DOFが縮小されているため、(1)よりも小さいが、一般に(n
comp>2の場合)、ブロックスパースであり、コンポーネント境界上のポートDOF数に対応するサイズを有する潜在的に大きく密なブロックを有する。関心のある多くの場合のこの行列構造における追加の密度に起因して、(7)を解くために、元のスパースFE系(1)と同様の又は更に多くの計算リソースを必要とし得る。これは、部分構造化に伴う周知の問題であり、これに対処する通常の助言は、密なブロックのサイズを制限するために、ポートが可能な限り少ないDOFを含むことを確実にすることである(例えば、小さいか又は粗くメッシュされたポートを領域に配置することにより)。実際には、これらの要件は、非常に厳しい制限を部分構造化の適用に課し、多くの場合(モデルジオメトリ又はメッシュ密度に応じて)、要件を満たすことが可能ではない。
【0027】
ここでの問題の本質は、部分構造化がROMではないことである。代わりに、それは、先に記したように、元のFE問題の厳密な再定式化である。これは、解析での最高精度の保持を保証するが、他方では、先に記した計算の問題に起因した制限(場合により厳しい制約)を保証する。したがって、本明細書に記載の方法及びシステムは、標準部分構造化手法の計算制限に対処するために、部分構造化手法を基礎としたROM定式化を開発する。特に、ここでの目標(任意のROM手法と同様に)は、大きい計算利点を見返りとして、非簡約手法と比較して小さい追加近似を導入することである。先に列記した第1の問題に対処するために、一実施形態では、認証簡約基底(RB)法を使用してコンポーネント局所パラメトリックROMを作成して、(3)からのFEソルブをパラメータ化RBソルブで置換する。パラメータベクトル
【数21】
を導入し、これは、剛性、シェル厚、密度、インピーダンス、負荷又はジオメトリ等の各コンポーネントにおけるパラメータ化された性質を符号化する。パラメータ領域Dは、μ
i、i=1,...,Dの最小/最大値を定義し、RBフレームワークに従い、この領域は、オフラインステージでRB貪欲アルゴリズムを実行する前に設定され、なぜなら、RB貪欲アルゴリズムは、D内のパラメータをサンプリングするためである。ここでの全ての続く開発及び以下のセクションでは、考慮中の系がμによってパラメータ化されると仮定するものとする。次いで、各コンポーネントのRB表現を作成し、それによりコンポーネント内部FEソルブ - 注記2.1に記したように、ポートDOFごとに1つのソルブ - をコンポーネント内部パラメトリックRBソルブで置換し得る。このプロセスにおける最初のステップは、以下のようにアフィン拡大をコンポーネントiに導入することである。
【数22】
ここで、パラメータ依存関数(即ちθ)及びパラメータ独立演算子(即ちK行列及びFベクトル)に分割する - これは、以下で考察するようにRB法のオンライン効率にとって極めて重要である。次いで、(9)を使用して、以下のように(8)からの一連のソルブをコンポーネントi上で再定式化することができる。
【数23】
【0028】
次に、(10)におけるNFE,p+1パラメトリック方程式の各々に「RB空間」を生成する。これは、RB貪欲アルゴリズムを使用して「オフライン」ステージ中に実行されて、パラメータ領域D全体にわたる(10)における方程式の各々の全範囲の解を正確に表す簡約基底関数のセットを生成する。RB貪欲アルゴリズムは、残余ベースの事後誤り限界を使用して、パラメータ空間における適応サンプリングをガイドして、関心のあるパラメータ領域全体にわたって正確である効率的なRBモデルを生成することによってこれを達成する。
【0029】
これは、N
FE,p+1のRB基底を生成する。特に、
【数24】
をコンポーネントiの「RB基底関数行列」とし、ここで、N
RB,iは、RB基底関数の数を示し、Z
iの列jは、第jの基底関数である。次いで、以下のように(10)からのパラメータ独立演算子を「簡約」することができ、これらの簡約演算子は、オンラインソルブ中に続けて使用するために記憶される。N
FE,i及びN
RB,iの典型的なサイズは、それぞれO(10
5)及びO(10)であり、したがって、(11)は、RBフレームワークからよく知られているように、大きいスパース行列から非常に小さい高密度行列への簡約を表す。
【数25】
【0030】
「オンライン」ステージにおいて、各コンポーネントの内部からの寄与を集めるために、(11)からの記憶前簡約演算子がθと結合されて - オンライン要求されたパラメータベクトルμにおいて評価される -、関心のある任意の特定のμについて簡約系を組み立てて解く。この組み立て及びソルブは、NFE,iではなく、サイズNRB,iの数量のみに依存するため、非常に高速である。NFE,iからのこのオンライン独立性は、RB法のオフライン/オンライン分解と呼ばれ、(10)からのアフィン拡大によって可能になる。SCRBEに関連して、オフライン/オンライン分解により、任意のコンポーネント(又は同時に全てのコンポーネント)内のパラメトリック性質が改変された後、系(5)を迅速に組み立て直すことが可能となり、これは、上記の第1の問題に直接対処する。
【0031】
経験補間法(EIM)を適用して、厳密なアフィン分解が利用できない場合でも近似アフィン分解を可能にすることができる。これは、実際、多くの場合、コンポーネントの形状を「モーフィング」するジオメトリックマッピングを含む特定のタイプの複雑なパラメータ化を可能にするために使用される。
【0032】
一般に、パラメトリックROM、特にRB法に関連して、ROMのオフライン及びオンライン計算コストは、一般に、パラメータ数が増大するにつれて急速に増大することが周知である - これは、いわゆる「次元の呪い」である。しかしながら、SCRBEフレームワークは、RB貪欲及びパラメータのコンポーネントベースの局所化を介してこの問題を回避する。コンポーネントiにおけるRB貪欲アルゴリズムは、コンポーネントiに影響するパラメータのサブセットのみを含む。系レベルモデルは、各コンポーネントが2、3のパラメータのみを有する多くのコンポーネントから構築することができるため、これは、「次元の呪い」による影響を受けずに、多くの(例えば、数千もの)パラメータを有する大きい系をセットアップできることを意味する。
【0033】
上記の第2の問題に関して、計算の問題の原因は、従来の部分構造化が(2)の表記においてポート上のNFE,p DOFを使用することであることに留意されたい。この問題に対する自然解は、ポートDOFのROMを作成することにより、ポート上のDOFの数を低減することである。「ポートROM」を作成するこのプロセスは、SCRBEの文献では「ポート削減」と呼ばれる(幾つかの記事では、「ポート削減を用いたSCRBE」は、「PR-SCRBE」と略されるが、本研究では、ポート削減が常に適用されると仮定し、したがって全体を通してより短い名称である「SCRBE」を使用する)。固有直交分解(POD)を介するポートベースのモデル縮小を含むペアワイズトレーニング及び経験モデル、又は伝達固有問題を解いて、最適な組のポートDOFを取得する「最適モデル」等、文献からの種々のポート削減方式を利用する。これらの方式の目標は、隣接コンポーネント間の主要情報転送がポートDOFの縮小セットによって効率的に捕捉されることを保証することにより、全次元ソルブと比較して精度を保持しながら、各ポートでのNPR,p(<<NFE,p)DOFの縮小セットを構築することである。ポート削減方式は、オフラインステージ中、系全体の小さいサブモデルに基づいても動作し、したがって全次元系レベルソルブを実行する必要がない。
【0034】
ポートモデルの縮小セットは、(7)の代わりに、サイズN
PR,p×N
PR,pの系:
【数26】
を取得することを意味し、式中、
【数27】
は、高密度ブロックの縮小サイズに起因して、
【数28】
よりも低密度でもある。(先に紹介したように、コンポーネント内部についてRB定式化に起因して、ここで、(12)にパラメータ依存性も含めることに留意されたい)。更に、ポート削減は、(10)におけるN
FE,pをN
PR,pで置換するため、コンポーネント内部についてのRB近似と関連付けられたオフラインコスト及びオンラインコストを低減する。
【0035】
任意の形状又はサイズのポートを使用し、それらをモデル内のいずれの箇所にも配置し得るため、ポート削減は、部分構造化フレームワークの適用可能性を大幅に上げ、ポートに効率的なROMを生成することができる限り、全体モデルを効率的に解くことが可能である。特に、大規模モデルに対してポート削減を用いるSCRBEを使用して、典型的には標準FEソルブと比較して数桁の加速を取得する一方、多くの場合、標準部分構造化を用いると、部分構造化系のソルブ時間は、上述したように、標準FEソルブのソルブ時間と同等であるか又はそれよりも更に遅い。
【0036】
恐らく、従来のFEと比較した加速よりも重要なことは、ポート削減を用いたSCRBEがもたらすスケーラビリティである。FEを用いた大規模構造モデルを解く計算コストは、当然ながら、NFEの関数として増大し、ここで、増大率は、プレコンディショナタイプ、ソルバタイプ及びKの条件数に依存する。実際には、産業系と関連付けられた大半の構造問題は、何らかの形態の不良状態、例えばシェル要素、細い中実要素、剛性コネクタ又は堅い梁を含み、この不良状態は、前処理付き共役勾配法若しくはGMRES又は代数マルチグリッド法等の前処理を用いた反復ソルバが収束する可能性がかなり低いことを意味する。スパース直接ソルバは、以下に示すタイプの問題に対するFE定式化の信頼性の高いソルバである。直接ソルバの1つの利点は、いかなる収束問題も回避することであるが、1つの欠点は、大規模問題 - 特にメモリ要件と関連付けられたもの - に対して大きいスケーラビリティ問題を呈することである。逆に、後述するように、ポート削減を用いたSCRBEは、収束問題を回避しながら、非常に大規模なモデルを効率的に解けるようにし、なぜなら、オフラインステージ中に系レベルで全次元ソルブを実行する必要がなく、オンラインステージにおいて、直接ソルバを用いて迅速に効率的に解くのに十分に小さいポート削減DOFのみからなる縮小系を構築し得る - 上述した通り - ためである。したがって、SCRBEは、大規模構造問題で従来のFEソルバに存在する主な計算制限を解決する。したがって、まとめると、ここに提示されるSCRBEフレームワークは、コンポーネント内部でのRB法と、コンポーネント境界でのポート削減とを組み合わせて、上述した第1及び第2の問題の両方を解決する。これにより、産業系の構造デジタルツインに理想的に適した機能セットである大規模系の高速、詳細及びパラメトリックな解析が可能になる。
【0037】
構造デジタルツインに大きく関連する別の問題クラスは、ヘルムホルツ音響性又はヘルムホルツ弾動性等の強制振動の周波数領域解析である。この場合、FE系は、
(K(v)-ω2M(v))U(ω,v)=F(ω,v) (13)
の形態をとり、式中、Mは、FE離散化質量行列を示し、ωは、周波数であり、Uは、例えば、圧力(音響性)又は構造応答(弾動性)を表す複素値解ベクトルである。(13)では、νをユーザ指定のパラメータベクトル(例えば、材料性質、ジオメトリ、負荷、インピーダンス)とし、したがって、全パラメータベクトルμは、先のように、μ=(ω,ν)によって与えられる。H(μ)=K(ν)-ω2M(ν)とし、したがって、(13)を、
H(μ)U(μ)=F(μ) (14)
として書き換えることができる。
【0038】
上述したものと同じ手法を使用して標準部分構造化フレームワーク(2)~(5)を(14)に適用することができ、第1及び第2の問題において識別した物と同じ欠点がある。行列構造における追加密度問題は、先とまさに同じように、ここでも制限的である一方、単一周波数での(14)の評価が十分であることは、非常に希であるため、コンポーネントが変更される場合のコストの問題は、典型的には、周波数領域の場合にはるかに制限的である - 周波数領域解析の目標は、典型的には、周波数範囲にわたり「掃引」を実行することである。
【0039】
先に紹介したSCRBEフレームワークをここでもデプロイして、これらの問題を解決することができる。これは、先と同じ全ての恩恵をもたらすとともに、周波数ωは、SCRBEパラメトリックROMに自然に組み込まれる - パラメータベクトルμのエントリの1つとして単純に扱われる - ため、(14)を用いて高効率周波数掃引を実行できることも保証する。
【0040】
SCRBEフレームワークは、略未変更で(14)に適用することができる。1つの差異は、ここで、K(μ)の代わりにH(μ)のアフィン拡大を作成することであるが、追加要件は、以下のように各コンポーネントにおいても質量行列のアフィン拡大を行わなければならないことのみであるため、これは、先に紹介した手法から簡単に得られる。
【数29】
また、(3)からの全てのコンポーネント内部ソルブが安定していることを保証するために、ω∈[0,λ
compであるように、ωのパラメータ範囲に限度を課さなければならなず、式中、λ
compは、一般化固有値問題のモデルにおける全てのコンポーネントにわたって最小の固有値を示し、即ち、
【数30】
であり、式中、
【数31】
であり、
【数32】
であるように固有値が順序付けられると仮定する。λ
comp未満では、各コンポーネントに分離されたヘルムホルツ方程式は、強圧的である一方、λ
min超では、inf-sup定数が共振時にゼロに減衰するにつれて不安定性に直面するため、この制限は、コンポーネント局所ソルブの安定性を保証する。しかしながら、典型的には、個々のコンポーネントは、全体系と比較して小さく、したがって、λ
compは、典型的には、系レベルにおいて高周波数に対応するため、λ
compによってωに課される最大は、通常、系レベル固有値及び固有モードに関連してあまり制限的でないことに留意することが重要である。SCRBEモデルが作成され、周波数領域問題に向けてトレーニングされると、典型的には、ωでの高密度サンプリングを用いて広範囲の周波数にわたって高速「掃引」を実行して、高精度で複雑な振動応答を解決することができる。
【0041】
次に、パラメータ化動的モデル:
【数33】
を考え、これは、FE離散化が空間的に適用された後の構造系の運動方程式を示し、式中、Cは、減衰行列であり、ここで、変位場
【数34】
は、時間の関数である。次いで、時間的に離散化し、標準の明示又は黙示の時間進行方式を適用してこの系を解くが、これは、特に大規模系では高度に計算集約的な手法であり得る。その結果、一般的な代替は、対応する固有値問題の最初のN
modes固有値/固有モード対(典型的にはN
Modes<<N
FE)について解くこと:
K(μ)V
j(μ)=λ
j(μ)M(μ)V
j(μ),j=1,...,N
modes (18)
であり、次いで固有モードの打切られたセットへのモード重ね合わせを介して動的解を表す。
【数35】
式中、
【数36】
は、係数ベクトルである。均等に、U(μ,t)=V(μ)W(μ,t)を記述することができ、式中、
【数37】
は、列jが固有ベクトルV
j(μ)である行列を示す。(19)を(17)に代入し、M(μ)に関して固有モードの直交性を適用して、
【数38】
を取得し、式中、
【数39】
である。(20)は、一般に、系の大域動力学を良好に捕捉する - N
modesが十分に大きい場合 - N
modesODEの系である。
【0042】
しかしながら、構造系が大きく及び/又は複雑である場合、大域固有問題(18)を解くことは、計算的に実現可能でないことがある。その結果、(18)、したがって(20)の効率的な計算を可能にするために、コンポーネントベースのモデル縮小フレームワークが広く発達した。最も広く知られている手法は、クレイグ-バンプトン法であり、この方法では、(i)(8)からの
【数40】
と同一である境界制約モード、及び(ii)全てのポートにゼロ制約が課されるコンポーネント局所固有問題を介して取得されるl固定境界法線モードのセットに基づいて、各コンポーネントにおけるDOFの縮小セットを形成する。(i)及び(ii)の組合せは、コンポーネントiにおける
【数41】
を以下のように「一般化座標」
【数42】
で置換することに対応する。
【数43】
式中、
【数44】
は、コンポーネントiにおける最初のl固定境界法線モードの行列であり、K
i,i(μ)及びK
p,i(μ)は(2)からのものであり、
【数45】
は、恒等行列である。この変換は、典型的には、l<<N
FE,iを選択するため、固定境界法線モードの打切りに起因したコンポーネントiにおける内部DOFの数の削減に対応する。このDOF変換は、(17)に直接適用することができるか、又は(20)のように、まずモード問題(18)に適用し、次いで動的系に適用することができる。
【0043】
多くの拡張がクレイグ-バンプトン法に提案されており、それらは、一般に、コンポーネントモード合成(CMS)法のファミリにグループ化される。CMSは、クレイグ-バンプトン表現をコンポーネント内部の追加のDOFで増強することを含む。CMS法(クレイグ-バンプトンを含む)は、コンポーネント内部DOFの打切りを介してDOF数の大幅な減少を提供しながら、構造系の主要なモード的挙動及び動的挙動を捕捉するため、効率的で広く使用されているコンポーネントベースのROMである。しかしながら、ここで、CMSでの計算考慮事項を考慮し、特にCMS法に関連して上記の第1及び第2の問題を再考する。
【0044】
まず、マトリックス構造における追加密度に起因して、(7)を解くために必要な同じ又は追加の計算リソースに関して、CMSの標準定式化がポート削減を含まず、即ち先に示したように、(21)におけるIp,pブロックは、サイズNFE,p×NFE,pを有することに留意されたい。しかしながら、ポート上の打切り固有モデル表現を使用してポートDOFの数を減少させることにより、CMSに伴うこの問題に対処するための手法が提案されている - それにもかかわらず、固有モデル拡大の幾分遅い収束は、この手法の制限であり、したがって、ペアワイズトレーニング、経験モード又は「最適モード」手法は、これに関連して固有モデル打切りよりも優れた利点を提供することができる。しかしながら、この問題は、CMSによって対処されない。(17)~(21)におけるμへの依存性から、μが変更される都度、CMS定式化の実施に必要な数量を再計算する必要があることが明らかである。静的、準静的及びヘルムホルツの場合とまさに同じように、これは、例えば、設計最適化に関連してパラメータを変更することによって広範囲のモデル構成を解析することを望む場合、又は構造デジタルツインに関連してセンサデータ若しくは検査データと一致させるためのリアルタイムモデル更新でのCMSの主要な制限である。
【0045】
コンポーネント変更時の計算コスト問題に対処するために、SCRBEに基づくコンポーネントベースのパラメトリックROM固有ソルバが以前に開発された。このSCRBEベースの固有ソルバのコア概念は、
(K(μ)-σM(μ))V(μ)=τ(σ,μ)K(μ)V(μ) (22)
であるように、ユーザ指定のパラメータベクトルμ及びシフトパラメータσを含むように固有問題(18)を再定式化することであり、式中、τは、
τ(λi(μ),μ)=0 (23)
を満たすシフトされた固有値であり、式中、λi(μ)は、(18)からのものである。次のステップは、(22)のSCRBE近似を行うことであり、これは、(22)における左辺行列が厳密にセクション2.2からのH行列であるため、先のヘルムホルツ問題について考察したものと同じ考えに沿って進む。上記のように、Hについてのコンポーネント内部ソルブの安定性、したがって安定性を保証するために、σ∈[0,λcompであるようにσを制限し、ここでも、これは、実際には控えめな制限であり、なぜなら、典型的には、λcompは、系レベルにおいて高周波数に対応するためであることに留意されたい。
【0046】
SCRBEベースのROMが(22)に向けて構築されると、これをオンラインステージで使用して、任意の値の対(σ,μ)について縮小固有問題を組み立て解くことができる。実際には、この能力を以下のように使用する。ユーザ指定のパラメータベクトルμを所与として、各jについて、
【数46】
であるような値
【数47】
を見つける。
【数48】
を見つけるために、ブレント法等の反復ルート発見アルゴリズムを適用する。次いで、これらの値は、(23)に起因して元の系の固有値をもたらす。このフレームワークに基づいて、μの多くの異なる値についてSCRBEベースのROMを介してパラメータ化固有値を効率的に解くことが可能であり、(20)に続き、生成された固有モードをパラメータ化系の動的解析に適用することもできる。
【0047】
次に、非線形構造解析問題へのコンポーネントベースROMの適用を考慮する。1つの特定のクラスの非線形コンポーネントベースROMは、フレキシブル多体動力学である。この手法は、剛性多体動力学を一般化し、系は、複数の接続された剛性コンポーネントからなり、この手法は、産業用途、例えば駆動列及びロボット工学モデリングで広く使用されている。フレキシブル多体動力学では、剛体系におけるコンポーネントは、コンポーネントの弾性応答を表すROM(典型的にはCMSを使用する)によって置換され得る。その場合、全体解析は、多体系内の各コンポーネントの有限回転及び並進に起因して幾何学的に非線形であるが、各フレキシブルコンポーネントは、その基準系内で線形弾性応答を有すると仮定される。CMSに基づくフレキシブル多体動力学は、その適用域内では有効な手法であるが、その適用域は、かなり限定的であり、弾塑性、接触/摩擦及び大きい歪みを含む詳細な応力及び疲労解析等、構造デジタルツインに必要とされる要件範囲に対処しない。その結果、本明細書では他の手法に焦点を当てるが、多体動力学解析は、詳細構造保全解析に向けてSCRBEベースモデルで課され得る負荷データを提供することができるため、剛体又は可撓体動力学手法は、ここで考察される(線形又は非線形)SCRBEベースのモデル縮小にとって自然な補足であることに留意されたい。
【0048】
実際に、一般には、非線形系のモデル縮小は、難しい問題である。効率的な非線形ROMを可能にするために、完全なオフライン/オンライン分解を可能にし、それにより、オンラインROM組み立てて及びソルブがNFEに依存しない、経験補間(EIM)、離散経験補間(DEIM)又は「ギャッピーPOD」法等の種々のいわゆる超縮小戦略が開発されてきた。非線形ROMへの別の手法は、機械学習(ML)であり、教師あり学習手法に基づいてMLモデルを非侵襲的にトレーニングすることができ、全次元ソルバが「トゥルース」データを提供する。しかし、これらの各方法には、本質的に計算複雑性又は精度制限が伴い、したがって、多くの場合、非線形問題へのROMの計算的利点には議論の余地があり得る。これは、特に、掛けられる負荷の小さい変化が接触面又は「塑性波頭」における離散ジャンプに繋がり得る接触解析及び弾塑性等の「非平滑」非線形性に当てはまる。このタイプの非平滑応答は、本質的に、ROMには解決が難しく、なぜなら、ROMが応答の低次元表現の構築に依存し、応答が非平滑である場合、正確な低次元表現が存在しないことがある(数学用語では、応答のコルモゴロフ幅が大きい値であり得、したがって効率的なモデル縮小が可能ではない)ためである。特定の場合に適用される、非線形ROMに対して確かに多くの有効で計算的利点のある方法があるが、本発明者らの観点では、接触/摩擦、弾塑性及び有限歪み(例えば、座屈/座屈後)等の構造解析に適切である、全範囲の非線形解析の全次元モデルにわたって大きい計算的利点を与える単一のROM手法はない。
【0049】
上記の考慮事項を念頭に置いて、大規模構造系に使用することができる汎用非線形ソルバを得る本発明者らの手法は、いわゆるハイブリッドソルバを適用することであり、ハイブリッドソルバは、完全結合されたグローバルソルブ内で線形領域でのSCRBEと非線形領域でのFEとを結合する。本発明者らは、まずΩを2つのサブ領域Ωlin及びΩnonlinに細分することによってこれを定式化し、ここで、Ωnonlinは、全ての非線形性を含み、Ωlinは、いかなる非線形性も含まない。
【0050】
Ω
linでは、セクション2.1からのSCRBEフレームワークを適用し、それによりサイズN
PR,pの縮小系(12)が与えられる。Ω
nonlinでは、非線形FE演算子
【数49】
を導入し、ここで、
【数50】
は、Ω
nonlinにおけるFE DOFの数を示す。
【数51】
をSCRBE/FEハイブリッド系への大域解とし、ここで、
【数52】
は、Ω
linでの解であり、
【数53】
は、Ω
nonlinでの解である。一般に、U
hybirdのこの定義は、Ω
nonlinとΩ
linとの境界上の不連続性を許すため、連続性を強化するために本発明では制約行列Cを導入し、この行列は、CU
hybrid(μ)が連続するようにSCRBEポートモードに合うように境界上のFE DOFを制約する。したがって、全体領域Ωでの定式化は、
【数54】
として記述することができ、式中、
【数55】
は、Ωにおける大域非線形/線形演算子を示し、C
Τ前因子は、ガラーキン式の趣旨における試行機能と同じテスト機能を使用することを保証する。
【0051】
(25)を、線形領域と非線形領域との間に完全双方向性結合を有する非線形系として扱い、したがってGにニュートン法を適用することによって(25)を解く。Gのヤコビ行列
【数56】
は、
【数57】
によって与えられ、次いで収束に達するまでニュートン反復:
【数58】
を適用する。
【0052】
実施において(25)及び(26)の定式化を使用して、ΩlinにおけるSCRBE定式化及びΩnonlinにおけるFE定式化に基づいて残差及びヤコビの線形部分及び非線形部分を独立して組み立て得、したがって、2つの領域の結合は、全体的に行列Cによって扱われる。
【0053】
構造デジタルツインに関連して、ハイブリッドソルバ手法は、幾つかの魅力的な特徴を有する。第1に、非線形性を正確に表すためにFEの完全一般性を提供する。第2に、デジタルツインは、例えば、大きい系の種々の別個の部品の破損、又は摩耗、又は疲労に起因して、複数の別個の非線形領域を必要とし得る。完全結合非線形グローバルソルバの性質に起因して、これらの全ての領域の非局所的影響及び累積的影響がハイブリッドソルバによって自動的に捕捉される。(これとは対照的に、従来の「サブモデリング」ワークフローは、非局所的影響及び累積的影響を無視する)。第3に、線形優位性を有する場合、ハイブリッドソルバは、全次元ソルブと比較して大きい計算的利点を提供し、例えば100倍以上の加速が典型的であり、線形優位性は、FE領域におけるDOF数がSCRBE領域における全次元DOF数よりもはるかに少ない場合を指す。線形優位性は、非線形性が、例えば、局所破損又は局所故障を有する領域又は局所接触領域でのみ必要とされることが多い構造デジタルツイン用途で一般的であることに留意されたい。航空機翼若しくは風力タービン翼の大変形解析等の線形優位性を有さない場合及びモデル全体(若しくはモデルの略全体)を非線形として扱わなければならない場合、非線形FEグローバルソルブ又は該当する場合には先に引用した他の非線形ROM法の1つを実施し得る。
【0054】
誤差インジケータ及び適応ROMリッチ化手法に関して、事後誤差査定は、オフラインステージ中及びオンラインステージ中の両方において、SCRBE解の正確性をチェックするためにSCRBEフレームワークで重要な成分である。これは、オンライントレーニングをいつ停止するか又は更なるROMリッチ化がオンラインステージ中にいつ要求されるかについての指針を提供する。Ωにおける「トゥルース」FE定式化に関するSCRBE法(ポート削減を用いる)の事後誤差推定量を開発することができる。SCRBEの誤差推定量も、残差ベースの手法を使用して開発されており、手法を厳密にするために、幾つかの定数が計算されて、残差に関して誤差を拘束する(例えば、残差ベースの誤差推定に一般に必要とされるように、演算子の安定係数及び残差の双対ノルムを拘束するために必要な定数)。後述する方法及びシステムでは、「トゥルース」FE空間に対する残差を計算する。しかしながら、簡潔にするために、詳細誤差推定量に必要とされる追加の制約の計算を省き、代わりに事後誤差インジケータとして残差を直接使用する。この残差ベースの誤差インジケータ手法は、構造デジタルツインに関連して良好に適合し、なぜなら、残差は、構造エンジニアにとって解正確性を示すのに物理的に妥当な数量である「力平衡」基準として解釈することができるためである。更に、離散全次元系に対する残差を計算し、この数量は、典型的には、反復ソルバ(線形クリロフ部分空間式の方法又は非線形ニュートン型の方法)に関連して停止基準の決定に使用され、したがって、この数量に基づいてSCRBE解正確性を査定する概念は、反復ソルバに馴染みのあるエンジニアにとって自然である。
【0055】
本発明において残差の定式化を精密にするために、まず、
【数59】
からの係数によってスケーリングされた、ポートDOF及びコンポーネント内部DOFの加重和に基づいて全体系レベル領域Ωにおいて再構築されたSCRBE解である
【数60】
を導入しなければならない。次いで、(1)に基づいて以下のように残差R(μ)を定義する。
【数61】
R(μ)は、コンポーネント内部及びポートからの残差への寄与を別個に扱うことによって計算効率的に評価することができる。次いで、最後に、本発明による誤差インジケータ
ε(μ)=||R(μ)||/||F(μ)||
を導入し、この誤差インジケータは、負荷のノルムによって正規化された残差のノルムである。
【0056】
後述するように、残差ベースの誤差インジケータをオフラインステージ及びオンラインステージの両方で使用する。以下の説明では、モデルの表記を使用し、モデルは、全てのパラメータ(材料、ジオメトリ、負荷等)が指定されるSCRBEコンポーネントの組み立て体を指すことに留意されたい。
【0057】
述べたように、本明細書に記載の方法及びシステムにおけるSCRBEフレームワークの使用は、大規模系の構造デジタルツインを可能にするための強力な手法を提供する。これらの能力は、SCRBEベースのモデルを検査データ及びセンサデータに結び付け、自動資産保全報告を目的として後処理を構成することによって更に実現される。オペレーション資産データ(例えば、センサ又は検査)から構造デジタルツイン更新及び解析、後処理及び報告へのデータフローは、「デジタルスレッド」と呼ぶことができる。このデジタルスレッドは、資産データ及びSCRBEベースのデジタルツインを利用した深い構造保全洞察を資産オペレータに提供し得る。
【0058】
ここで、
図3と併せて
図2Aを参照すると、物理的資産のモデルを解析することによって生成された推奨に基づいて物理的資産を保守する方法200であって、モデルは、複数のコンポーネントを含み、及び物理的資産の物理ベースのデジタルツインを形成する、方法200は、計算デバイスにより、偏微分方程式の少なくとも一部分のポート削減静的縮小簡約基底要素近似を使用して、複数のモデルの合成モデルを構築することであって、複数のモデルの各々は、複数のコンポーネントの少なくとも1つを表し、複数のコンポーネントの各々は、物理的資産の少なくとも1つの領域を表す、構築すること(202)を含む。方法200は、計算デバイスにより、複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルについて、少なくとも1つのモデルと関連付けられた誤差のレベルを識別する誤差インジケータを解析して、識別された誤差のレベルが許容レベルを超えると判断すること(204)を含む。方法200は、計算デバイスにより、少なくとも1つのモデルが、許容レベルを超える誤差のレベルを有するという判断に基づいて、ポート削減静的縮小簡約基底要素近似における基底関数の数を増大させること(206)を含む。方法200は、複数のモデルの各々の誤差のレベルが許容レベルを下回るまで、複数のモデルにおける各モデルについて誤差インジケータを解析すること及び基底関数の数を増大させることを繰り返すこと(208)を含む。方法200は、計算デバイスにより、物理的資産と関連付けられた第1のオペレーションデータソースから、複数のコンポーネントにおける少なくとも1つのコンポーネントの少なくとも1つのパラメータによって表される物理的資産の少なくとも1つの領域と関連付けられた第1のオペレーションデータを受信すること(210)を含む。方法200は、計算デバイスにより、受信された第1のオペレーションデータに基づいて合成モデルを更新すること(212)を含む。方法200は、計算デバイスにより、更新された合成モデルに基づいて、物理的資産を保守する推奨を提供すること(214)を含む。
【0059】
したがって、方法200は、幾つかのステップを実行するオフラインステージを提供する。方法200は、トレーニングモデルのセットM、トレーニング許容差TOL及びトレーニング反復回数NMを指定することを含む。方法200は、各モデルM∈Mについて、以下のステップを含む:(a)現在のSCRBE ROMを用いて解き、誤差インジケータε(μ)を計算するステップ、及び(b)ε(μ)>TOLの場合、上述したようにSCRBE ROMのコンポーネント及びポートリッチ化を実行するステップ。方法200は、全てのM∈Mについてステップ(a)及び(b)をNM回又はε≦TOLになるまで繰り返すことを含む。方法200は、オンラインステージも含む。オンラインステージでは、任意のモデルMについて、方法200は、オフラインステージで生成されたSCRBE ROMを使用して系を解く。任意選択的に、ε(μ)も評価して、SCRBE解の正確性を検証し、ε(μ)が所望よりも大きいことが分かった場合、必要に応じてオフラインステージから手順を再訪することにより、更なるリッチ化を実行することができる - これは、完全に自動的に実行され得る(誤差インジケータによって駆動される)か、又は更なるリッチ化が実行される場合及び/又はとき、ユーザは、ガイドすることを選択し得る。したがって、誤差インジケータが利用可能であることは、オンラインステージで解の正確性を保証するロバストな方法を提供する。また、完全なオフラインステージが実行される場合、典型的には、オフライン計算を再訪する必要があることは、希であり、大半の場合、高速で正確な解を関心のある全範囲の系に提供する、純粋にオンラインのROMを有することになる。上述のオフライン/オンライン手順を適応ROMリッチ化(ARE)と呼ぶ。
【0060】
ここで、
図2Aを更に詳細に、なお
図3と併せて参照すると、物理的資産のモデルを解析することによって生成された推奨に基づいて物理的資産を保守する方法200であって、モデルは、複数のコンポーネントを含み、及び物理的資産の物理ベースのデジタルツインを形成する、方法200は、計算デバイスにより、偏微分方程式の少なくとも一部分のポート削減静的縮小簡約基底要素近似を使用して、複数のモデルの合成モデルを構築することであって、複数のモデルの各々は、複数のコンポーネントの少なくとも1つを表し、複数のコンポーネントの各々は、物理的資産の少なくとも1つの領域を表す、構築すること(202)を含む。計算デバイス306は、SCRBEフレームワークを使用するオフラインコンポーネント308(ハードウェアコンポーネント又はソフトウェアコンポーネントとして提供され得る)を実行して、複数のモデルの合成モデルMを構築し得る。先に示したように、幾つかの実施形態では、ハイブリッドソルバを使用して合成モデルを構築し、そのような実施形態では、偏微分方程式の少なくとも第1の部分は、SCRBE手法を使用して近似される一方、FEAは、偏微分方程式の少なくとも第2の部分に適用される。
【0061】
方法200は、計算デバイスにより、複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルについて、少なくとも1つのモデルと関連付けられた誤差のレベルを識別する誤差インジケータを解析して、識別された誤差のレベルが許容レベルを超えると判断すること(204)を含む。オフラインコンポーネント308は、現在のSCRBE ROMを用いて解き、誤差インジケータを計算し得る。
【0062】
方法200は、計算デバイスにより、少なくとも1つのモデルが、許容レベルを超える誤差のレベルを有するという判断に基づいて、ポート削減静的縮小簡約基底要素近似における基底関数の数を増大させること(206)を含む。誤差インジケータが許容レベルよりも大きい場合、オフラインコンポーネント308は、上述したようにSCRBE ROMをリッチ化する(例えば、少なくとも1つの基底関数を組み入れる)。基底関数(又は本明細書に記載されるように自由度)は、コンポーネントの境界及び内部の両方に追加され得る。コンポーネント内部基底関数は、上述したように簡約基底貪欲アルゴリズムに従って追加され得、関心のあるパラメータ領域全体にわたって正確である効率的なRBモデルを生成するように、パラメータ空間における適応サンプリングをガイドするために、残差ベースの事後誤差を拘束する。コンポーネント境界基底関数は、隣接コンポーネント間の主要情報転送を捕捉するデータを追加することに基づいて追加され得る。
【0063】
方法200は、複数のモデルの各々の誤差のレベルが許容レベルを下回るまで、複数のモデルにおける各モデルについて誤差インジケータを解析すること及び基底関数の数を増大させることを繰り返すこと(208)を含む。一実施形態では、方法200は、複数のモデルにおける各モデルについて、複数のモデルの各々の誤差のレベルが許容レベルを下回るまで又は反復の閾値数に達するまで、誤差インジケータを解析すること及び基底関数の数を増大させることを繰り返すことを含む。一例として、方法200は、複数のモデルにおける各モデルによって許容レベルが満たされたと判断した後、終了し得る(208)。別の例として、方法200は、予め定義された反復回数後に終了し得(208)、このようにして、複数のモデルの各々が許容レベルを満たすことができない場合、方法200は、エンドレスに反復し続けない。
【0064】
方法200に関連して、(202)~(208)は、オフラインステージと呼ぶことができる。方法200に関連して、(202)~(208)は、合成モデルの視覚的レンダリングの生成前に行われ得る。方法200に関連して、(202)~(208)は、計算デバイスにより、物理的資産と関連付けられた第1のオペレーションデータソースから、複数のコンポーネントにおける少なくとも1つのコンポーネントの少なくとも1つのパラメータによって表される物理的資産の少なくとも1つの領域と関連付けられた第1のオペレーションデータを受信する前に行われ得る。
【0065】
幾つかの実施形態では、合成モデルの任意選択的な視覚的レンダリングを生成する前又はオペレーションデータを受信する前に、方法200は、ユーザ入力を受信する(例えば、「仮説」シナリオをモデリングするために)ことを含む。したがって、方法200は、計算デバイスにより、物理的資産が評価される少なくとも1つの物理的条件を示す入力値を識別する第1のユーザ入力を受信することと、計算デバイスにより、合成モデルを使用して、少なくとも部分的に少なくとも1つの入力値に基づいて少なくとも1つの出力値を生成することであって、少なくとも1つの出力値は、少なくとも1つの物理的条件下での物理系の挙動を示し、少なくとも1つの出力値は、N次元領域にわたる複数の出力値を含む、生成することとを含み得る。N次元領域は、3次元領域又は任意の他の値のNであり得る。ユーザ入力は、任意の多様な入力タイプであり得る。例えば、ユーザ入力は、物理的資産の物理的検査に基づく検査レポートから抽出された入力値を識別し得る。別の例として、ユーザ入力は、物理的資産と関連付けられたセンサから受信されるオペレーションデータから抽出された入力値を識別し得る。更なる例として、ユーザ入力は、特定の動作条件下でコンポーネントをモデリングして、例えば極めて重要な部品の疲労寿命推定を実行するか、又は少なくとも1つの動作条件下で産業規格に基づいて強度チェックを実行するための入力値を識別し得る。
【0066】
幾つかの実施形態では、方法200は、計算デバイスによって実行されるシミュレーションツールにより、物理的資産の物理ベースの解析の少なくとも1つの結果の視覚化を含む、合成モデルの視覚的レンダリングを生成することを含み得る。幾つかの実施形態では、シミュレーションツール304は、合成モデルの視覚的レンダリングを生成する。シミュレーションツール304は、物理的資産の物理ベースの解析の全ての結果の視覚化を含む、合成モデル全体の視覚的レンダリングを生成し得る。代替的に、シミュレーションツール304は、生成された値のサブセットを視覚化し得る。例えば、シミュレーションツール304は、物理的資産全体にわたる応力レベルとは対照的に、単一の溶接点における応力レベルを視覚化し得る。シミュレーションツール304(ハードウェアコンポーネント又はソフトウェアコンポーネントとして提供され得る)は、視覚的レンダリングを生成し得る。シミュレーションツール304は、ユーザインターフェースを含み得、ユーザインターフェースを用いて、システム300のユーザは、合成モデルの視覚的レンダリングと対話し、ユーザ入力を提供し得る。例えば、ユーザインターフェース314は、ユーザが、ジオメトリ、材料及び/又は任意の他の適した物理特性等の物理系の1つ又は複数の側面を指定することによって物理系のモデルを構築できるようにし得る。そのようなモデルが構築されると、ユーザは、ここでもユーザインターフェース314を介して、モデルに基づいてシミュレーションを実行して、物理系が1つ又は複数の選択された条件下でどのように挙動し得るかを予測するようにシミュレーションツール304に指示し得る。シミュレーションの結果は、シミュレーションの1つ又は複数の出力値を視覚的にレンダリングすること等により、任意の適した様式でユーザインターフェース314を介してユーザに届けられ得る。したがって、ユーザが物理系の1つ又は複数の側面を改変し、更新されたシミュレーション結果をリアルタイムで取得できるようにする、改善されたシミュレーションツールが提供される。例えば、限定ではなく、コンポーネントの1つ又は複数のパラメータの改変、コンポーネントの追加(例えば、既存のコンポーネントをクローン化することにより)、コンポーネントの除去、先に接続されたコンポーネントの切断、物理系のある部分から物理系の別の部分へのコンポーネントの移動及びコンポーネントの回転を含む種々の改変を実行できるようにするユーザインターフェース機能をユーザに提供し得る。ユーザによって要求されるそのような変更に応答して、シミュレーションツールは、先に計算されたデータを利用することにより、更新されたシミュレーション結果を迅速に届けることが可能であり得る。例えば、幾つかの実装形態では、シミュレーションツールは、パラメータ及び/又は接続が変更されるコンポーネントに関連する特定の計算を更新し得るが、変更によって直接影響されないコンポーネントの先に計算されたデータを再使用し得る。更なる実施形態によれば、改良されたシミュレーションツールは、1つ又は複数の一貫性チェックを実行して、ユーザによって要求された変更が物理系の他の側面に適合するかどうかを判断し得る。シミュレーションツールは、任意の不適合が検出された場合、ユーザに警告し得る。追加又は代替として、シミュレーションツールは、ユーザ要求による変更によって導入される1つ又は複数の不適合性を除去する、物理系への更なる変更を提案し得る。更なる実施形態によれば、シミュレーション結果と関連付けられた誤差を自動的に計算する、改良されたシミュレーションツールが提供される。幾つかの実装形態では、誤差は、シミュレーション結果と、完全FEA解が計算された場合に得られたであろう結果との間の生じ得る最大差等の厳密に計算された誤差限界であり得る。例えば、RB近似がコンポーネント内部関数に計算される一実施形態では、各バブル関数の「局所」誤差限界を計算し得、局所誤差限界は、バブル関数に計算される低次元化モデルと、対応する完全FEA解との間の差を示す。次いで、そのような局所誤差限界を結合して、物理系全体又はその一部分の全体誤差限界を取得し得る。他の実装形態では、誤差は、厳密な誤差限界と比較して短い時間で計算することができる誤差推定であり得る。更に他の幾つかの実装形態では、ユーザは、シミュレーションツールによっていずれのタイプの誤差(例えば、厳密な誤差限界又は誤差推定)が計算されるべきかを選択し得る。
【0067】
方法200は、計算デバイスにより、物理的資産と関連付けられた第1のオペレーションデータソースから、複数のコンポーネントにおける少なくとも1つのコンポーネントの少なくとも1つのパラメータによって表される物理的資産の少なくとも1つの領域と関連付けられた第1のオペレーションデータを受信すること(210)を含む。計算デバイス306で実行されるオンラインコンポーネント310は、第1のオペレーションデータを受信し得る。計算デバイス306は、物理的資産と関連付けられた第1のオペレーションデータソースから、物理的資産と関連付けられたセンサによって生成された第1のオペレーションデータを受信し得る。計算デバイス306は、物理的資産と関連付けられた第1のオペレーションデータソースから、物理的資産と関連付けられた検査レポートから抽出された第1のオペレーションデータを受信し得、例えば、検査データは、資産の視覚的検査からの結果(例えば、パイプにひび割れ又は腐食があり、その情報がデジタルツインに内蔵されるべきであることの観測)を含み得る。計算デバイス306は、物理的資産と関連付けられた第1のオペレーションデータソースから、物理的資産のオペレータによって生成されたレポートから抽出された第1のオペレーションデータを受信し得る。デジタルスレッドへのオペレーションデータ入力は、オペレーション資産から入手可能な検査データ及びセンサデータを含み得る。限定ではなく、例としては、超音波厚さ測定に基づく厚さ測定、特定の時間間隔での環境モニタリング、例えば洋上構造の風及び波の状態、動作負荷モニタリング、例えばスループット率、タンク充填レベル及び時間間隔当たりの荷積み/荷下ろしサイクルの数、加速度計及び歪みゲージ等の構造センサからの測定値、圧力及び/又は温度モニタリングがある。
【0068】
方法200は、計算デバイスにより、受信された第1のオペレーションデータに基づいて合成モデルを更新すること(212)を含む。計算デバイスは、受信された第1のオペレーションデータ内において、物理的資産が評価される少なくとも1つの物理的条件を示す入力値を識別し、合成モデルを使用して、少なくとも部分的に少なくとも1つの入力値に基づいて少なくとも1つの出力値を生成し得、少なくとも1つの出力値は、少なくとも1つの物理的条件下での物理系の挙動を示し、少なくとも1つの出力値は、N次元領域にわたる複数の出力値を含む。計算デバイスは、インポータアプリケーションを実行し得、インポータアプリケーションは、測定データを受信し、データをフォーマットし、測定データを組み込むようにモデルを更新し、例えば厚さ測定値について、計算デバイスは、カンマ区切り値フォーマットの測定データを含むドキュメント(例えば、スプレッドシート)で測定データを受信し得、インポートされた測定値に合うようにSCRBEモデルの厚さを更新し得る。センサデータでは、計算デバイスは、取り決められたフォーマットでデータを受信し、受信されたデータをSCRBEモデルに組み込み得る。センサ読み取り値は、テキストフォーマットで受信し得、次いで、インポータソフトウェアは、取り決められたテキストフォーマットを読み取り、データをモデルに適用するように構成され得る。計算デバイスは、センサが物理的資産のいずれの箇所に設置されているかの識別情報を受信し得る。計算デバイスは、各測定値が物理的資産のいずれの箇所から到来したものであるかを指定する検査データについてのフォーマットの識別情報を受信し得る。フォーマットは、デジタルツインが最初に構成されているとき、デジタルツインが、受信されるオペレーションデータと一貫するように構成されるように、物理的資産のオペレータ又は所有者と、デジタルツインを生成するユーザとの間で取り決められ得る。計算デバイスが、オペレータ観測であるか、又はセンサ読み取り値であるか、又は検査レポートであるかに関係なく、オペレーションデータをオペレーションデータソースから受信すると、計算デバイスは、受信されたオペレーションデータをSCRBEモデルへの入力として使用し得る。
【0069】
幾つかの実施形態では、シミュレーションツール304は、合成モデルの視覚的レンダリングを生成している。そのような実施形態では、シミュレーションツール304は、受信された第1のオペレーションデータを使用して合成モデルによって生成された更新された出力値に基づいて、合成モデルの視覚的レンダリングを更新し得る。
【0070】
方法200は、第1のオペレーションデータソースからの第1のオペレーションデータの受信時に1回のみならず、複数のオペレーションデータソースからの複数のオペレーションデータの受信時に複数回、合成モデルを更新することを含み得る。例えば、デジタルツインは、オンラインステージ全体を通して常時更新されて、物理的資産と「同期」した状態を保ち得る。方法200は、同じオペレーションデータソースからの異なるデータの受信若しくは異なるオペレーションデータソースからの異なるデータの受信又はこれらの両方に基づいて、モデル及び任意の任意選択的に生成された視覚的レンダリングを更新するステップを実行し得る。したがって、方法200は、計算デバイスにより、物理的資産と関連付けられた第1のオペレーションデータソースから、複数のコンポーネントにおける少なくとも1つのコンポーネントの少なくとも1つのパラメータによって表される物理的資産の少なくとも1つの領域と関連付けられた第2のオペレーションデータを受信することと、計算デバイスにより、受信された第2のオペレーションデータに基づいて合成モデルを更新することと、計算デバイスにより、更新された合成モデルに基づいて、物理的資産を保守する第2の推奨を提供することとを含み得る。シミュレーションツール304が合成モデルの視覚的レンダリングを生成している実施形態では、シミュレーションツール304は、受信された第2のオペレーションデータを使用して合成モデルによって生成された更新された出力値に基づいて、合成モデルの視覚的レンダリングを更新し得る。同様に、方法200は、計算デバイスにより、物理的資産と関連付けられた第2のオペレーションデータソースから、複数のコンポーネントにおける少なくとも第2のコンポーネントの少なくとも第2のパラメータによって表される物理的資産の少なくとも第2の領域と関連付けられた第2のオペレーションデータを受信することと、計算デバイスにより、受信された第2のオペレーションデータに基づいて合成モデルを更新することと、計算デバイスにより、更新された合成モデルに基づいて、物理的資産を保守する第2の推奨を提供することとを含み得る。シミュレーションツール304が合成モデルの視覚的レンダリングを生成している実施形態では、シミュレーションツール304は、受信された第2のオペレーションデータを使用して合成モデルによって生成された更新された出力値に基づいて、合成モデルの視覚的レンダリングを更新し得る。
【0071】
先に示したように、方法200は、オフラインステージを定期的に更新することを含み得る。更新することは、複数のモデルにおける少なくとも1つのモデル内の値を変更することを含み得る。更新することは、観測された新たな動作状況(例えば、オペレータが検査レポートを生成することにより又はセンサがセンサデータを生成することにより)を反映するように複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルを置換することを含み得る。したがって、方法200は、第1のオペレーションデータソースから第2のオペレーションデータを受信することと、受信された第2のオペレーションデータに基づいて、複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルを更新することと、計算デバイスにより、複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルについて、少なくとも1つのモデルと関連付けられ誤差のレベルを識別する誤差インジケータを解析して、識別された誤差のレベルが許容レベルを超えるかどうかを判断することと、計算デバイスにより、少なくとも1つのモデルが、許容レベルを超える誤差のレベルを有するという判断に基づいて、ポート削減静的縮小簡約基底要素近似における基底関数の数を増大させることと、複数のモデルの各々の誤差のレベルが許容レベルを下回るまで、複数のモデルにおける各モデルについて誤差インジケータを解析すること及び基底関数の数を増大させることを繰り返すことと、計算デバイスにより、受信されたデータに基づいて合成モデルを更新することと、計算デバイスにより、更新された合成モデルに基づいて、物理的資産を保守する推奨を提供することとを含み得る。シミュレーションツール304が合成モデルの視覚的レンダリングを生成している実施形態では、シミュレーションツール304は、受信された第2のオペレーションデータを使用して合成モデルによって生成された更新された出力値に基づいて、合成モデルの視覚的レンダリングを更新し得る。同様に、方法200は、第2のオペレーションデータソースから第2のオペレーションデータを受信することと、受信された第2のオペレーションに基づいて、複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルを更新することと、計算デバイスにより、複数のモデルにおける少なくとも1つのモデルについて、少なくとも1つのモデルと関連付けられた誤差のレベルを識別する誤差インジケータを解析して、識別された誤差のレベルが許容レベルを超えるかどうかを判断することと、計算デバイスにより、少なくとも1つのモデルが、許容レベルを超える誤差のレベルを有するという判断に基づいて、ポート削減静的縮小簡約基底要素近似における基底関数の数を増大させることと、複数のモデルの各々の誤差のレベルが許容レベルを下回るまで、複数のモデルにおける各モデルについて誤差インジケータを解析すること及び基底関数の数を増大させることを繰り返すことと、計算デバイスにより、受信データに基づいて合成モデルを更新することと、計算デバイスにより、更新された合成モデルに基づいて、物理的資産を保守する推奨を提供することとを含み得る。シミュレーションツール304が合成モデルの視覚的レンダリングを生成している実施形態では、シミュレーションツール304は、受信された第2のオペレーションデータを使用して合成モデルによって生成された更新された出力値に基づいて、合成モデルの視覚的レンダリングを更新し得る。
【0072】
方法200は、計算デバイスにより、更新された合成モデルに基づいて、物理的資産を保守する推奨を提供すること(214)を含む。システム100は、更新された合成モデルによって計算された少なくとも1つの出力値に基づいて推奨を生成し得る。デジタルスレッドの典型的な出力は、認識された規格団体からの強度、疲労及び運転適合性規格等の構造保全についての産業固有のコードチェックである。これらの規格によって必要とされる計算は、典型的には、応力データを後処理して(多くの場合に数百又は数千の別個の負荷事例に基づいて)、残りの疲労推定又は座屈利用等の数量を算出することを含む。
【0073】
オンラインコンポーネント310は、物理的資産を保守する推奨を生成し得る。オンラインコンポーネント310は、ユーザインターフェース314を介してユーザに表示するために推奨をシミュレーションツール304に提供し得る。物理的資産を保守する推奨を提供することに加えて又はその代わりに、計算デバイス306は、物理的資産の複数の側面を識別する推奨を提供して、更新された合成モデルに基づいて、優先度のレベルに従ってランク付けされた複数の側面を検査し得る。物理的資産を保守する推奨を提供することに加えて又はその代わりに、計算デバイス306は、更新された合成モデルに基づいて、物理的資産への提案された改変の実現可能性のレベルを判断する推奨を提供し得る。物理的資産を保守する推奨を提供することに加えて又はその代わりに、計算デバイス306は、更新された合成モデルに基づいて、物理的資産の少なくとも1つの動作条件を判断する推奨を提供し得る。
【0074】
ユーザインターフェース314は、ダッシュボードインターフェースを含み得、ダッシュボードインターフェースでは、ユーザは、デジタルツインの現在状態(即ち最新のオペレーションデータを組み込む)に基づいて関連する規格に基づくチェックを実行し、チェックに基づいてレポートを生成するボタンをクリックすることができる。レポートは、「全てOK」、又は「資産のXYZ領域に問題あり」、又は「シナリオXYZで資産を動作させるのはOKではない」等の1つ又は複数の推奨を含み得る。この出力は、各資産の「信号灯」として提示することもでき、例えば、「緑色光」は、全てのチェックに合格したことを意味し、「赤色光」は、少なくとも1つのチェックが不合格であることを意味し、オペレータからの更なる注目又は調査を必要とする何らかのものがあることを示し、オペレータは、次いで、詳細についてフルレポートをチェックすることができる。幾つかの実施形態では、システム100は、生成された推奨を含むレポートを別の計算デバイスに送信する機能を含む。幾つかの実施形態では、システム100は、推奨を実施する機能を含む。
【0075】
ここで、
図2Bを参照すると、ブロック図は、浮体式洋上構造のデジタルスレッドを生成する方法200の視覚化を示す。入力は、センサデータ及び検査データであり、これらは、構造デジタルツインを自動的に更新及び解析するために使用される。解析は、典型的には、数千のSCRBEソルブからなり、「そのままの」状態での資産の強度及び疲労を査定する。解析が完了すると、分類社会基準に基づく報告が自動的に生成される。
【0076】
ここで、
図2Cを参照すると、ブロック図は、洋上プラットフォームのデジタルスレッドを生成する方法200の視覚化を示す。
図2Cに示すように、構造(例えば、物理的資産)上の複数の加速度計は、環境への構造応答を監視する。方法200は、産業規格に基づいて自動報告を実行し、生成する。
【0077】
示したように、上述したSCRBEフレームワークは、上述したデジタルツインモデリングに4つの性質を提供する。ホリスティックで詳細なモデリングに関して、SCRBEフレームワークは、コストのかかる計算の問題を解決し、それによりO(107)又はO(108)FE DOFと均等な系を効率的に解けるようにする。これにより、大規模構造系のホリスティックで詳細なモデリングが可能になる。速度に関して、SCRBEフレームワークは、コンポーネント局所RBモデル及びポート削減の両方の結果として要件を満たし、コンポーネント局所RBは、モデルへの高速改変を可能にし、ポート削減は、高速系レベルソルブを可能にする。パラメトリックモデリングに関して、コンポーネント局所RBモデルは、パラメトリックROM機能を好都合及び効率的に導入し、これは、コンポーネントごとのRB貪欲が、典型的には、少数のパラメータのみに対処する必要があるのみであるため、多数のパラメータに良好にスケーリングする。規格準拠及び保証可能な正確性に関して、SCRBEは、基本的に物理ベースの方法であり、ポートDOF及びコンポーネント内部RB DOFの縮小セットへの投影に起因した加速を除き、FEと同じメッシュベースの手法に関して定式化され、これは、典型的には、FEに向けて設計された構造保全解析の規格の全てがSCRBEモデルに直接適用することを意味する。更に、上述したように、SCRBE手法の誤差推定量又は誤差インジケータを評価することができ、それによりオンラインステージで計算する任意の解の正確性を保証する。したがって、SCRBEベースの手法は、デジタルツインの全ての主要機能を提供して、大規模産業系にとって関心のある構造デジタルツインワークフローを可能にする。
【0078】
本明細書に記載の方法及びシステムは、大規模資産の構造デジタルツインに強力で独自の能力を提供するSCRBEフレームワークを実施する機能を提供する。適応ROMリッチ化方法論は、オフラインステージでSCRBEモデルの効率的で信頼性の高いトレーニングを可能にするとともに、オンラインステージで正確な査定及びリッチ化ガイダンス(必要に応じて)を可能にする。様々な構造解析例は、SCRBEフレームワークによって可能になるスケーラビリティ、速度及びパラメータ化能力を実証しており、SCRBEベースの構造デジタルツインを中心に構築されたデジタルスレッドのコア概念について上述した。本明細書に記載のデジタルスレッドは、極めて重要な資産の「そのままの」状態に基づいてより深い構造保全洞察をオペレータに提供する自動フレームワークを可能にし、したがってより安全でより効率的に動作することを可能にする。
【0079】
図1B及び
図1Cは、上述した方法及びシステムの非限定的な例を提供する。ここで、
図1Bを参照すると、ブロック図は、検査レポート内の少なくとも1つの値に基づいて更新される船体モデルを示す。検査レポートは、船体内の各エンティティ(例えば、板又は補剛材)の厚さを指定し、それにより、スクリプトは、構造デジタルツイン内の対応するエンティティの厚さを自動的に更新して、検査データを組み込むことができる。ここで、
図1Cを参照すると、ブロック図は、自動座屈チェックレポートを生成するために使用される、更新された船体モデルを示す。左側の図は、船体における各エンティティ(例えば、板及び補強パネル)を示す。中央下の図に示される応力データは、各エンティティについて抽出され、次いで、座屈規格は、利用値を提供するために各エンティティが評価する公式を指定する。中央上の図において、船体上の「ヒートマップ」として利用値を示し、利用値が1を超える任意のエンティティは、不合格と見なされる。次いで、システムは、座屈チェックに不合格であったあらゆるエンティティを識別するレポート(右)を生成する。そのようなレポートは、検査、保守及び修理の優先順位を付けるため又は資産の構造健康状態を査定するために物理的資産のオペレータによって使用することができる。
【0080】
ここで、
図4A、
図4B及び
図4Cを参照すると、ブロック図は、上述した方法及びシステムを実施する実行機能に対して変更され得る、計算デバイスに関する追加の詳細を示す。ここで、
図4Aを参照して、ネットワーク環境の一実施形態を示す。概要では、ネットワーク環境は、1つ又は複数のネットワーク404を介して1つ又は複数のリモートマシン106a~106n(一般にサーバ106又は計算デバイス106とも呼ばれる)と通信する1つ又は複数のクライアント102a~102n(一般にローカルマシン102、クライアント102、クライアントノード102、クライアントマシン102、クライアントコンピュータ102、クライアントデバイス102、計算デバイス102、エンドポイント102又はエンドポイントノード102とも呼ばれる)を含む。
【0081】
図4Aは、クライアント102とリモートマシン106との間にネットワーク404を示すが、クライアント102及びリモートマシン106は、同じネットワーク404上にあり得る。ネットワーク404は、企業イントラネット等のローカルエリアネットワーク(LAN)、大都市圏ネットワーク(MAN)又はインターネット若しくはワールドワイドウェブなどの広域ネットワーク(WAN)であり得る。幾つかの実施形態では、クライアントとリモートマシン106との間に複数のネットワーク404がある。これらの実施形態の1つでは、ネットワーク404’(図示せず)は、私設ネットワークであり得、ネットワーク404は、公衆ネットワークであり得る。これらの実施形態の別の1つでは、ネットワーク404は、私設ネットワークであり得、ネットワーク404’は、公衆ネットワークであり得る。更に別の実施形態では、ネットワーク404及び404’は、両方とも私設ネットワークであり得る。更に別の実施形態では、ネットワーク404及び404’は、両方とも公衆ネットワークであり得る。
【0082】
ネットワーク404は、任意のタイプ及び/又は形態のネットワークであり得、以下のいずれかを含み得る:ポイントツーポイントネットワーク、ブロードキャストネットワーク、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、電気通信ネットワーク、データ通信ネットワーク、コンピュータネットワーク、ATM(非同期転送モード)ネットワーク、SONET(同期光ネットワーク)ネットワーク、SDH(同期デジタルハイアラーキ)ネットワーク、無線ネットワーク及び有線ネットワーク。幾つかの実施形態では、ネットワーク404は、赤外線チャネル又は衛星バンド等の無線リンクを含み得る。ネットワーク404のトポロジは、バス、スター又はリングネットワークトポロジであり得る。ネットワーク404は、本明細書に記載の動作をサポートすることが可能である、当業者に既知の任意のネットワークトポロジであり得る。ネットワーク404は、AMPS、TDMA、CDMA、GSM、GPRS、UMTS又はLTEを含め、モバイルデバイス(一般にテーブル及びハンドヘルドデバイスを含む)間で通信するために使用される任意の1つ又は複数のプロトコルを利用する携帯電話網を含み得る。幾つかの実施形態では、異なるプロトコルを介して異なるタイプのデータを伝送し得る。他の実施形態では、異なるプロトコルを介して同じタイプのデータを伝送し得る。
【0083】
クライアント102及びリモートマシン106(全般的に計算デバイス400と呼ばれる)は、任意のワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップ又はノートブックコンピュータ、サーバ、ポータブルコンピュータ、携帯電話、モバイルスマートフォン若しくは他のポータブル電気通信デバイス、メディアプレーヤデバイス、ゲーミングシステム、モバイル計算デバイス又は任意のタイプ及び形態のネットワークで通信することが可能であり、及び本明細書に記載の動作を実行するのに十分なプロセッサ能力及びメモリ容量を有する任意の他のタイプ及び/又は形態の計算、電気通信又はメディアデバイスであり得る。クライアント102は、アプリケーションを実行、動作又は他の方法で提供し得、アプリケーションは、限定ではなく、任意のタイプ及び/又は形態のウェブブラウザ、ウェブベースのクライアント、クライアント-サーバアプリケーション、ActiveXコントロール若しくはJAVAアプレット又はクライアント102で実行することが可能な任意の他のタイプ及び/又は形態の実行可能命令を含む、任意のタイプ及び/又は形態のソフトウェア、プログラム又は実行可能命令であり得る。
【0084】
一実施形態では、計算デバイス106は、ウェブサーバの機能を提供する。幾つかの実施形態では、ウェブサーバ106は、カリフォルニア州サンフランシスコ所在のNGINX, Inc.により提供されるNGINXウェブサーバ又はデラウェア州所在のApache Software Foundationにより維持されるAPACHEサーバ等のオープンソースウェブサーバを含む。他の実施形態では、ウェブサーバは、ワシントン州レドモンド所在のMicrosoft Corporationにより提供されるINTERNET INFORMATION SERVICES製品、カリフォルニア州レッドウッドショア所在のOracle Corporationにより提供されるORACLE IPLANETウェブサーバ製品又はカリフォルニア州サンタクララ所在のBEA Systemsにより提供されるBEA WEBLOGIC製品等のプロプライエタリソフトウェアを実行する。
【0085】
幾つかの実施形態では、システムは、複数の論理的にグループ化されたリモートマシン106を含み得る。これらの実施形態の1つでは、リモートマシンの論理的グループは、サーバファーム438と呼ぶことができる。これらの実施形態の別の実施形態では、サーバファーム438は、単一のエンティティとして管理され得る。
【0086】
図4B及び
図4Cは、クライアント102又はリモートマシン106の一実施形態を実施するのに有用な計算デバイス400のブロック図を示す。
図4B及び
図4Cに示すように、各計算デバイス400は、中央演算処理装置421及びメインメモリユニット422を含む。
図4Bに示すように、計算デバイス400は、記憶装置428、インストールデバイス416、ネットワークインターフェース418、I/Oコントローラ423、ディスプレイデバイス424a~n、キーボード426、マウス等のポインティングデバイス427及び1つ又は複数の他のI/Oデバイス430a~nを含み得る。記憶装置428は、限定ではなく、オペレーティングシステム及びソフトウェアを含み得る。
図4Cに示すように、各計算デバイス400は、中央演算処理装置421と通信するメモレポート403、ブリッジ470、1つ又は複数の入出力デバイス430a~n(全般的に参照番号430を使用して参照される)及びキャッシュメモリ440等の追加の動作要素を含むこともできる。
【0087】
中央演算処理装置421は、メインメモリユニット422からフェッチされた命令に応答して命令を処理する任意の論理回路である。多くの実施形態では、中央演算処理装置421は、カリフォルニア州マウンテンビュー所在のIntel Corporation製、イリノイ州シャンバーグ所在のMotorola Corporation製、カリフォルニア州サンタクララ所在のTransmeta Corporation製、ニューヨーク州ホワイトプレインズ所在のInternational Business Machines製又はカリフォルニア州サニーベール所在のAdvanced Micro Devices製等のマイクロプロセッサユニットによって提供される。他の例には、SPARCプロセッサ、ARMプロセッサ、UNIX/LINUX「ホワイト」ボックスの構築に使用されるプロセッサ及びモバイルデバイスのプロセッサがある。計算デバイス400は、これらのプロセッサのいずれか又は本明細書に記載のように動作することが可能な任意の他のプロセッサに基づき得る。
【0088】
メインメモリユニット422は、データの記憶が可能であり、マイクロプロセッサ421が任意の記憶ロケーションに直接アクセスできるようにする1つ又は複数のメモリチップであり得る。メインメモリ422は、本明細書に記載されるように動作することが可能な任意の利用可能なメモリチップに基づき得る。
図4Bに示す実施形態では、プロセッサ421は、システムバス450を介してメインメモリ422と通信する。
図4Cは、プロセッサがメモレポート403を介してメインメモリ422と直接通信する計算デバイス400の一実施形態を示す。
図4Cは、メインプロセッサ321が、バックサイドバスと呼ばれることがあるセカンダリバスを介してキャッシュメモリ440と直接通信する一実施形態も示す。他の実施形態では、メインプロセッサ421は、システムバス450を使用してキャッシュメモリ440と通信する。
【0089】
図4Bに示す実施形態では、プロセッサ421は、ローカルシステムバス450を介して種々のI/Oデバイス430と通信する。種々のバスは、中央演算処理装置421を、VESA VLバス、ISAバス、EISAバス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、PCIバス、PCI-Xバス、PCI-Expressバス又はNuBusを含むI/Oデバイス430のいずれかに接続するために使用され得る。I/Oデバイスがビデオディスプレイ424である実施形態では、プロセッサ421は、アドバンストグラフィックスポート(AGP)を使用してディスプレイ424と通信し得る。
図4Cは、メインプロセッサ421が、例えば、HYPERTRANSPORT、RAPIDIO又はINFINIBAND通信技術を介してI/Oデバイス430bとも直接通信するコンピュータ400の一実施形態を示す。
【0090】
多様なI/Oデバイス430a~nの1つ又は複数は、計算デバイス400に存在するか又は計算デバイス400に接続され得、それらの各々は、同じ又は異なるタイプ及び/又は形態であり得る。入力デバイスは、キーボード、マウス、トラックパッド、トラックボール、マイクロホン、スキャナ、カメラ及び描画タブレットを含む。出力デバイスは、ビデオディスプレイ、スピーカ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、3Dプリンタ及び昇華型プリンタを含む。I/Oデバイスは、
図4Bに示すように、I/Oコントローラ423によって制御され得る。更に、I/Oデバイスは、記憶及び/又はインストール媒体416を計算デバイス400に提供することもできる。幾つかの実施形態では、計算デバイス400は、カリフォルニア州ロスアラミトス所在のTwintech Industry, Inc.製デバイスのUSB Flash Driveライン等のハンドヘルドUSB記憶装置を受けるUSB接続(図示せず)を提供し得る。
【0091】
なお
図4Bを参照すると、計算デバイス400は、3.5インチ、5.25インチディスク又はZIPディスク等のフロッピーディスクを受けるためのフロッピーディスクドライブ、CD-ROMドライブ、CD-R/RWドライブ、DVD-ROMドライブ、種々のフォーマットのテープドライブ、USBデバイス、ハードドライブ又はソフトウェア及びプログラムをインストールするのに適した任意の他のデバイス等の任意の適したインストールデバイス416をサポートし得る。幾つかの実施形態では、計算デバイス400は、ネットワーク404を経由してソフトウェアをインストールする機能を提供し得る。計算デバイス400は、オペレーティングシステム及び他のソフトウェアを記憶する、1つ又は複数のハードディスクドライブ又は独立ディスク冗長アレイ等の記憶装置を更に含み得る。代替的に、計算デバイス400は、ハードディスクの代わりに、記憶するためにメモリチップに依存し得る。
【0092】
更に、計算デバイス400は、限定ではなく、標準電話回線、LAN若しくはWANリンク(例えば、802.11、T1、T3、56kb、X.25、SNA、DECNET)、ブロードバンド接続(例えば、ISDN、フレームリレー、ATM、ギガビットEthernet、Ethernet-over-SONET)、無線接続又は上記のいずれか若しくは全ての何らかの組合せを含む多様な接続を通してネットワーク404とインターフェースするためのネットワークインターフェース418を含み得る。接続は、多様な通信プロトコル(例えば、TCP/IP、IPX、SPX、NetBIOS、Ethernet、ARCNET、SONET、SDH、ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、RS232、IEEE 802.11、IEEE 802.11a、IEEE 802.11b、IEEE 802.11g、IEEE 802.11n、802.15.4、Bluetooth、ZIGBEE、CDMA、GSM、WiMax及び直接非同期接続)を使用して確立することができる。一実施形態では、計算デバイス400は、セキュアソケットレイヤ(SSL)又はトランスポートレイヤセキュリティ(TLS)等の任意のタイプ及び/又は形態のゲートウェイ又はトンネリングプロトコルを介して他の計算デバイス400’と通信する。ネットワークインターフェース418は、内蔵ネットワークアダプタ、ネットワークインターフェースカード、PCMCIAネットワークカード、カードバスネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、USBネットワークアダプタ、モデム又は計算デバイス400を、通信可能であり、本明細書に記載の動作を実行することが可能な任意のタイプのネットワークとインターフェースするのに適した任意の他のデバイスを含み得る。
【0093】
更なる実施形態では、I/Oデバイス430は、USBバス、Apple Desktopバス、RS-232シリアル接続、SCSIバス、FireWireバス、FireWire 800バス、Ethernetバス、AppleTalkバス、ギガビットEthernetバス、非同期転送モードバス、HIPPIバス、Super HIPPIバス、SerialPlusバス、SCI/LAMPバス、FibreChannelバス又はシリアルアタッチド小型コンピュータシステムインターフェースバス等のシステムバス150と外部通信バスとの間のブリッジであり得る。
【0094】
図4B及び
図4Cに示される種類の計算デバイス400は、典型的には、タスクのスケジューリング及びシステムリソースへのアクセスを制御するオペレーティングシステムの制御下で動作する。計算デバイス400は、MICROSOFT WINDOWSオペレーティングシステムのバージョンのいずれか、UNIX及びLINUXオペレーティングシステムの異なるリリース、MacintoshコンピュータのためのMAC OSの任意のバージョン、任意の組み込みオペレーティングシステム、任意のリアルタイムオペレーティングシステム、任意のオープンソースオペレーティングシステム、任意のプロプライエタリオペレーティングシステム、モバイル計算デバイスのための任意のオペレーティングシステム又は計算デバイス上で起動し、本明細書に記載の動作を実施することが可能な任意の他のオペレーティングシステム等の任意のオペレーティングシステムを起動することができる。典型的なオペレーティングシステムは、限定ではなく、とりわけ全てワシントン州レドモンド所在のMicrosoft Corporation製であるWINDOWS 3.x、WINDOWS 95、WINDOWS 98、WINDOWS 2000、WINDOWS NT 3.1-4.0、WINDOWS CE、WINDOWS XP、WINDOWS 7、WINDOWS 8、WINDOWS VISTA及びWINDOWS 10、カリフォルニア州クパチーノ所在のApple Inc.製のMAC OSの任意のバージョン、ニューヨーク州アーモンク所在のInternational Business Machines製のOS/2、ノースカロライナ州ローリー所在のRed Hat, Inc.によって配布されるRed Hat Enterprise Linux、Linuxバリアントオペレーティングシステム、英国ロンドン所在のCanonical Ltd.によって無料配布されるオペレーティングシステムであるUbuntu又は任意のタイプ及び/又は形態のUNIXオペレーティングシステムを含む。
【0095】
計算デバイス400は、任意のワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップ又はノートブックコンピュータ、サーバ、ポータブルコンピュータ、携帯電話若しくは他のポータブル電気通信デバイス、メディアプレーヤデバイス、ゲーミングシステム、モバイル計算デバイス又は通信可能であり、及び本明細書に記載の動作を実行するのに十分なプロセッサ能力及びメモリ容量を有する任意の他のタイプ及び/又は形態の計算、電気通信又はメディアデバイスであり得る。幾つかの実施形態では、計算デバイス400は、デバイスと一貫した異なるプロセッサ、オペレーティングシステム及び入力デバイスを有し得る。他の実施形態では、計算デバイス400は、JAVA対応セルラ電話/スマートフォン又は個人情報端末(PDA)等のモバイルデバイスである。計算デバイス400は、限定ではなく、例として、カリフォルニア州クパチーノ所在のApple Inc.製、テキサス州フォートワース所在のGoogle/MotorolaDiv.製、日本国京都所在の京セラ製、韓国ソウル所在のSamsung Electronics Co., Ltd.製、フィンランド所在のNokia製、カリフォルニア州サニーベール所在のHewlett-Packard Development Company, L.P製及び/又はPalm, Inc.製、スウェーデン国ルンド所在のSony Ericsson Mobile Communications AB製又はカナダ国オンタリオ州ウォータールー所在のResearch In Motion Limited製等のモバイルデバイスであり得る。更に他の実施形態では、計算デバイス400は、スマートフォン、POCKET PC、POCKET PC PHONE又はMicrosoft Windows Mobile Softwareをサポートする他のポータブルモバイルデバイスである。
【0096】
幾つかの実施形態では、計算デバイス400は、デジタルオーディオプレーヤである。これらの実施形態の1つでは、計算デバイス400は、Apple Inc.製のApple IPOD、IPOD TOUCH、IPOD NANO及びIPOD SHUFFLEラインのデバイス等のデジタルオーディオプレーヤである。これらの実施形態のうちの別の実施形態では、デジタルオーディオプレーヤは、ポータブルメディアプレーヤ及び大容量記憶装置の両方として機能し得る。他の実施形態では、計算デバイス400は、限定ではなく、例えばニュージャージー州リッジフィールドパーク所在のSamsung Electronics America製又はシンガポール所在のCreative Technologies Ltd.製等のデジタルオーディオプレーヤである。更に他の実施形態では、計算デバイス400は、限定ではなく、MP3、WAV、M4A/AAC、WMA Protected AAC、AEFF、Audible audiobook、Apple Losslessオーディオファイルフォーマット並びに.mov、.m4v及び.mp4 MPEG-4(H.264/MPEG-4AVC)ビデオファイルフォーマットを含むファイルフォーマットをサポートするポータブルメディアプレーヤ又はデジタルオーディオプレーヤである。
【0097】
幾つかの実施形態では、計算デバイス400は、デジタルオーディオプレーヤ又はポータブルメディアプレーヤと組み合わされた携帯電話等のデバイスの組合せを含む。これらの実施形態の1つにおいて、計算デバイス400は、Google/Motorolaラインのデジタルオーディオプレーヤ及び携帯電話を組み合わせたデバイスである。これらの実施形態のうちの別の実施形態において、計算デバイス400は、Apple Inc.製のIPHONEスマートフォンラインのデバイスにおけるデバイスである。これらの実施形態のうちの更に別の実施形態では、計算デバイス400は、Open Handset Allianceにより配布されるANDROIDオープンソース携帯電話プラットフォームを実行するデバイスであり、例えば、デバイス400は、韓国ソウル所在のSamsung Electronics又は台湾中華人民共和国所在のHTC Headquarters製等のデバイスであり得る。他の実施形態では、計算デバイス400は、限定ではなく、例えばApple Inc.製のIPADラインのデバイス、Research In Motion製のPLAYBOOK、バーモント州リッチモンド所在のVelocity Micro, Inc.製のCRUZラインのデバイス、カリフォルニア州アーバイン所在のToshiba America Information Systems, Inc.製のFOLIO及びTHRIVEラインのデバイス、Samsung製のGALAXYラインのデバイス、Hewlett-Packard製のHP SLATEラインのデバイス及びテキサス州ラウンドロック所在のDell, Inc.製のSTREAKラインのデバイス等のタブレットデバイスである。
【0098】
計算デバイス400は、ファイルサーバ、アプリケーションサーバ、ウェブサーバ、プロキシサーバ、アプライアンス、ネットワークアプライアンス、ゲートウェイ、アプリケーションゲートウェイ、ゲートウェイサーバ、仮想化サーバ、デプロイサーバ、SSL VPNサーバ又はファイアウォールであり得る。幾つかの実施形態では、計算デバイス400は、リモート認証ダイアルインユーザサービスを提供し、RADIUSサーバと呼ばれる。他の実施形態では、計算デバイス400は、アプリケーションサーバ又はマスタアプリケーションサーバとして機能する能力を有し得る。更に他の実施形態では、計算デバイス400は、ブレードサーバである。
【0099】
計算デバイス400は、クライアントノード、クライアントマシン、エンドポイントノード又はエンドポイントと呼ばれ得る。幾つかの実施形態では、クライアント400は、サーバによって提供されるリソースにアクセスしようとするクライアントノード及びホストされたリソースへのアクセスを他のクライアントに提供するサーバノードの両方として機能する能力を有する。
【0100】
幾つかの実施形態では、第1のクライアント計算デバイス400aは、第2のサーバ計算デバイス400bと通信する。一実施形態では、クライアントは、サーバファーム内の計算デバイス400の1つと通信する。ネットワークを経由して、クライアントは、例えば、サーバファーム内の計算デバイス400によってホストされる種々のアプリケーションの実行を要求し、表示のためにアプリケーション実行結果の出力データを受信することができる。
【0101】
複数のコンポーネントを含み、及び物理的資産の物理ベースのデジタルツインを形成する物理的資産のモデルを解析することによって生成された推奨に基づいて物理的資産を保守する方法及びシステムの特定の実施形態を説明したが、ここで、本開示の概念を組み込んだ他の実施形態を使用し得ることが当業者に明らかになるであろう。