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特許7564210エアロゾル生成装置及び物品の存在を判定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置及び物品の存在を判定する方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20241001BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20241001BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20241001BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20241001BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/50
A24F40/51
A24F40/40
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022537594
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 GB2020053297
(87)【国際公開番号】W WO2021123815
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】1918808.5
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】パトリック, モロニ-
(72)【発明者】
【氏名】コーラス, アントン
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/129843(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110101117(CN,A)
【文献】特表2017-515488(JP,A)
【文献】国際公開第2018/178113(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/53
A24F 40/50
A24F 40/51
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル化可能媒体を含む物品を受け入れるように構成されるチャンバと、
前記チャンバ内のエアロゾル化可能媒体を含む物品の存在を示すデータを生成するように構成される検出回路と
を備えるエアロゾル生成装置であって、
前記検出回路が、
共振回路に配置されるインダクタ及びコンデンサと、
前記共振回路の共振周波数を測定し、前記測定された共振周波数に基づいて前記チャンバ内の前記物品の存在を示すデータを出力するように構成される検出器と
を備える、エアロゾル生成装置。
【請求項2】
前記検出回路が、
前記共振回路を前記共振周波数で振動させるように構成されるイニシエータを備え、
前記検出回路が、前記イニシエータが前記共振回路を前記共振周波数で振動させることに応答して前記共振周波数を測定するように構成される、請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項3】
前記イニシエータが、
電源と、
スイッチ素子と
を備え、
前記スイッチ素子が、前記電源によって駆動される直流電流を選択的に前記インダクタに流し、以て、前記共振周波数で前記共振回路の振動を開始させるように制御される、請求項2に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項4】
前記スイッチ素子が、電界効果トランジスタである、請求項3に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項5】
前記共振回路が、サセプタ素子を加熱するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項6】
予め定められたデータを記憶するメモリと、
前記メモリとデータ通信するプロセッサであって、
前記物品の存在を示す前記データを受信し、
前記受信したデータ及び前記予め定められたデータに基づいて物品特性を決定するように構成される、前記プロセッサと
を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記決定された物品特性に基づいて、前記エアロゾル生成装置の動作のうちの1つ又は複数の態様を決定するように構成されている、請求項6に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項8】
前記プロセッサが、
前記検出器に前記共振周波数を測定させ、前記チャンバ内の前記物品の存在を示す前記データを出力させるように構成されている、請求項6又は請求項7に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項9】
エアロゾル化可能媒体からエアロゾルを生成するシステムであって、
請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置と、
エアロゾル化可能媒体を含む物品と
を備える、システム。
【請求項10】
前記物品が、前記インダクタとの誘導性相互作用に基づいて前記共振回路の前記共振周波数を変化させる素子を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記物品が前記チャンバ内に受け入れられたときに、前記物品が前記インダクタのコア領域の少なくとも一部を占有する、請求項9又は請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記物品が、
エアロゾル化可能媒体と、
前記チャンバが空のときに前記共振回路が振動する前記共振周波数とは異なるシフトされた共振周波数で前記共振回路が振動するように、前記インダクタと誘導的に相互作用するための素子と
を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置と共に使用するための物品。
【請求項13】
チャンバ内のエアロゾル化可能媒体を含む物品の存在を判定する方法であって、
共振回路をその固有周波数で振動させるステップと、
前記共振回路の前記固有周波数を決定するステップと、
前記固有周波数に基づいて、エアロゾル化可能媒体を含む物品が存在するか否かを判定するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記決定された固有周波数と予め定められたデータとの比較に基づいて物品特性を決定するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記決定された物品特性に基づいて、前記チャンバを備えるエアロゾル生成デバイスの動作を制御するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
物品挿入信号に応答して前記チャンバ内のエアロゾル化可能媒体を含む物品の存在を判定するステップを含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置、エアロゾルを生成するシステム、物品、及びエアロゾル化可能媒体を含む物品の存在を判定する方法に関する。
【従来技術の説明】
【0002】
[背景]
シガレット、シガーなどの物品は、タバコの煙を生成するために使用中にタバコを燃焼させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を作ることによって、タバコを燃焼させるこのような物品の代替物を提供しようと試みられている。そのような製品の例は、タバコ加熱製品又はタバコ加熱デバイスとしても知られている、いわゆる非燃焼加熱式製品であり、これらは材料を燃焼ではなく加熱することによって化合物を放出する。材料は、例えば、タバコ又は他の非タバコ製品、又はニコチンを含有してもしなくてもよいブレンド混合物のような組み合わせ物であってもよい。
【発明の概要】
【0003】
[概要]
第1の実施例では、エアロゾル化可能媒体を含む物品を受け入れるように構成されるチャンバと、チャンバ内でのエアロゾル化可能媒体を含む物品の存在を示すデータを生成するように構成される検出回路とを備え、検出回路は、共振回路内に配置されるインダクタ及びコンデンサと、共振回路の共振周波数を測定し、測定された共振周波数に基づいてチャンバ内の物品の存在を示すデータを出力するように構成される検出器とを備える、エアロゾル生成装置が提供される。
【0004】
第2の実施例では、エアロゾル化可能媒体からエアロゾルを生成するシステムが提供され、このシステムは、第1の実施例によるエアロゾル生成装置と、エアロゾル化可能媒体を含む物品とを含む。
【0005】
第3の実施例では、第1の態様による装置と共に使用するための物品が提供され、物品は、エアロゾル化可能媒体と、チャンバが空のときに共振回路が振動する共振周波数とは異なるシフトされた共振周波数で共振回路が振動するように、インダクタと誘導的に相互作用するための素子とを備える。
【0006】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して行われる、単なる例として与えられる本発明の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施例によるエアロゾル生成装置の概略斜視図である。
図2図1のエアロゾル生成装置の概略内部側面図である。
図3】一実施例による検出回路の概略図である。
図4】一実施例による、時間に対する測定電圧のグラフのスケッチを示す図である。
図5】一実施例による、チャンバ内のエアロゾル化可能媒体を含む物品の存在を判定する方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[詳細な説明]
図1を参照すると、例示的なエアロゾル生成装置の概略斜視図が示されている。エアロゾル生成装置は、エアロゾル化可能媒体の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成される。
【0009】
エアロゾル生成装置は、ハウジング102と、チャンバ104、キャビティ又はホルダなどの容器とを備える。本明細書に記載される実施例は、以下でチャンバ104と称するチャンバである容器との関連におけるものである。
【0010】
チャンバ104は、エアロゾル化可能媒体を含む物品106を受け入れるように構成される。エアロゾルは、エアロゾル化可能媒体から、例えばエアロゾル化可能媒体への加熱によって生成されてもよい。エアロゾル生成装置は、エアロゾル化可能媒体を加熱することによって生成されたエアロゾルを送達するように構成されてもよい。物品106は、タバコ加熱製品(THP)物品であってもよい。エアロゾル生成装置は、例えば、吸入可能なエアロゾルを提供するのに使用するための携帯型デバイスであってもよい。以下、エアロゾル生成装置をデバイス100と称する。
【0011】
本明細書中で使用される場合、用語「エアロゾル化可能媒体」(「エアロゾル生成材料」又は「エアロゾル化可能材料」とも称され得る)は、エネルギーの付加(例えば、加熱など)時にエアロゾルの形態で揮発される成分を提供する媒体又は材料を指す。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、タバコ成分を含んでいてもよく、タバコ成分は、タバコ又はその誘導体を含む任意の材料である。タバコ成分は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコ茎、再生タバコ及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。他の種類のエアロゾル化可能材料としては、葉材料、草本材料又はアロマテラピーなどで使用される感覚刺激物質を挙げてもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成基質は、タバコ代替品を含んでいてもよい。
【0012】
図1の実施例におけるデバイス100は、カバー108も有する。カバー108は、物品106などの物品がチャンバ104内に存在しない場合には、チャンバ104を覆うように移動可能である。他の実施例では、デバイス100はカバー108を備えていなくてもよい。
【0013】
図1の実施例では、デバイス100は電源ボタン110を有する。使用中、デバイス100が電源ボタン110を使用してスイッチがオンになると、電源(デバイス100内のバッテリなど)からの電力がデバイス100の様々な構成部品に供給される。例えば、電源ボタン110を押すことに応答して、チャンバ104内の物品が加熱され、エアロゾルの流れがその物品から発生するように、電力がヒータに流れてもよい。
【0014】
図2は、図1のデバイス100の内部側面図の実施例を示し、特定の構成部品が機能ブロックとして示されている。デバイス100は、検出回路200を備える。検出回路200は、チャンバ104内にエアロゾル化可能媒体を含む物品の存在を示すデータを生成するように構成される。例えば、データは、以下でさらに詳細に説明するように、特定の種類の物品がチャンバ内に存在するか否かを示してもよい。
【0015】
検出回路200は、共振回路、例えば図3を参照して以下により詳細に説明されるような回路に配置されるインダクタ202及びコンデンサ204を備える。物品の存在を示すデータは、共振回路の共振周波数又は共振回路に関する他のパラメータを示すデータであってもよい。この場合、データは、共振回路によって生成される直接波形であっても、又はその波形の何らかの特性であってもよい。波形の例示的特性としては、周波数、周期、半周期、振幅減衰時定数、及び絶対最大振幅が挙げられる。データは、物品の存在又は特性をそれ自体が示すものであることもでき、例えば、データは特定の物品、若しくは物品が本物であるか否かに対応していてもよい。物品の存在による共振の変化は、物品の特性決定、及び/又は本物の物品と偽造物品とを区別するための効果的な方法であってもよい。
【0016】
検出回路200は、共振回路の共振周波数を測定し、測定された共振周波数に基づいてチャンバ104内の物品の存在を示すデータを出力するように構成される検出器206をさらに備える。共振回路などの振動器システムは、1つ又は複数の固有周波数を有する。振動器システムがその固有周波数のうちの1つで駆動されると共振が起こる。共振が起こる周波数を共振周波数と呼んでもよい。したがって、本開示において、用語「共振周波数」及び「固有周波数」は、同じ意味で用いられる。チャンバ104内の物品の存在は、共振周波数が変化するように共振回路に影響を及ぼし、又は共振回路と相互作用してもよい。この共振周波数の変化は、チャンバ104内の物品の存在を識別するために使用することができ、また、共振周波数の変化に基づいて異なる物品を区別することを可能にしてもよい。
【0017】
上述のように、物品の存在を示すデータは、特定の種類の物品の存在の判定を可能にしてもよい。これについては、以下でさらに詳細に説明する。したがって、デバイス100は、チャンバ104内に挿入された物品に関する情報を示すデータを生成することができる。
【0018】
図2の実施例では、物品106はチャンバ104内に受け入れられる。物品106は、エアロゾル化可能媒体208を含む。一緒に、本明細書に記載される実施例のいずれかによる物品106及びデバイス100は、エアロゾル化可能媒体からエアロゾルを生成するシステム210を形成する。
【0019】
物品106は、本明細書に記載される実施例のいずれかによるデバイス100と共に使用するために特に設計されており、逆もまた同様である。物品106は、チャンバ104が空のときに共振回路が振動する共振周波数とは異なるシフト、変更又は調節された共振周波数で共振回路が振動するように、インダクタ202と誘導的に相互作用するための素子212とを備えていてもよい。素子212は、変動磁界の存在下で励起される任意の材料を含んでいてもよい。例えば、素子212は、変動磁界の存在下でヒステリシス及び/又は渦電流を受ける材料を含んでいてもよい。素子212の材料の例としては、導電性材料及び鉄材料が挙げられる。材料の例としては、軟鋼、耐食コーティングを有する鉄鋼(例えば、ニッケル及びコバルト)、フェライト系ステンレス鋼(例えば、いわゆる「400系」鋼)、アルミニウム、金、銀、非フェライト系ステンレス鋼、銅、黄銅、及びクロムが挙げられる。他の実施形態では、共振周波数に影響を与えることを主目的として合金が配合されてもよい。素子212は、別個のものであっても、又は物品を包む紙、エアロゾル化可能媒体208などのような他の構成部品に一体化若しくは組み込まれてもよい。
【0020】
共振回路の共振周波数は、インダクタ202と物品106に関連する素子212との間の誘導性相互作用に基づいて変化してもよい。したがって、チャンバ104内の物品106の存在は、共振回路の共振周波数の変化/シフトを引き起こす。換言すれば、検出器206は、物品106がチャンバ104内に挿入されたとき、物品106がチャンバ104内に挿入されていない場合とは異なる共振周波数を測定する。
【0021】
例えば、物品106がチャンバ104内に挿入される場合、システム210の構成体は、素子212が、(例えば、電流がインダクタ202に流れるとき)インダクタ202によって生成された磁界と相互作用するように配置されるようなものである。素子212の存在は、インダクタ202に関連する透磁率を変化させ、これにより、インダクタ202のインダクタンス、ひいては共振回路の共振周波数を変化させる。このようにして、素子212の存在は、共振回路の共振周波数をシフトさせる。
【0022】
システム210は、物品106がチャンバ104内に受け入れられたときに、物品106がインダクタ202のコア領域の少なくとも一部を占有するように構成されてもよい。例えば、インダクタ202は、物品106がチャンバ104内に挿入されたときにコイルの内側に配置されるように、チャンバ104の周りに延びるコイルであってもよい。これは、インダクタンス、ひいては共振周波数が、同じ素子212が異なる位置に配置される場合よりも大きく変化することを意味し得る。これは、インダクタ202によって生成される磁界の磁束密度が、インダクタ202のコア領域において最大となってもよいためである。したがって、素子212とインダクタ202との間の誘導性相互作用は、素子212をインダクタ202のコア領域内に配置することによって最大化してもよい。これにより、共振周波数の同じ変化に対してより小さな素子212を使用することが可能となり、製造コストが低減される。
【0023】
検出回路200は、共振回路を共振周波数で振動させるように構成されるイニシエータ214を備えていてもよい。検出回路200は、イニシエータが共振回路を共振周波数で振動させることに応答して共振周波数を測定するように構成されてもよい。イニシエータ214は、共振回路の振動を共振周波数で開始することを可能にし、すると、この共振周波数は測定することができる。イニシエータ214の提供は、物品の存在を示すデータの生成が所望されるときに、一度に共振周波数での振動を開始できることを意味する。いくつかの実施例では、共振回路は、検出又は識別が所望されるとき、例えば、デバイス100の使用セッション開始時にのみ振動するようにされる。他の実施例では、検出又は識別は、周期的に、断続的に又は連続的に、例えば使用セッションを通して連続的に行われてもよい。これは、例えば、本物の消耗品が使用セッション開始時に最初に使用されず、次に偽造の消耗品と置き換えられることを確実にするために有用であり得る。
【0024】
図3は、検出回路300の一実施例の概略図を示す。図3の実施例では、電源318及びスイッチ素子320を備えたイニシエータがある。スイッチ素子320は、電源318によって駆動される直流電流を選択的にインダクタ302に流し、以て、例えば、インダクタを通る定常電流をオフに切り替えることによって、共振周波数で共振回路322の振動を開始させるように制御される。電源318は、上述した電源であってもよい。例えば、デバイス100は、検出回路200を備えたデバイス100の様々な構成部品に電力を供給する電源としてバッテリを備えていてもよい。他の実施例では、電源318は、例えばDC-DCコンバータを介してバッテリから得てもよい。これにより、電源318をバッテリとは異なる電圧にすることができる。
【0025】
図3の実施例では、電源318は、この実施例では並列LC回路である共振回路322の一方の側に電力を供給する。スイッチ素子320は、共振回路322の他方の側を接地324に接続する。したがって、スイッチ素子は、インダクタ302及びコンデンサ304を接地324に選択的に接続し、インダクタ302及びコンデンサ304を接地から選択的に切断することができる。この選択的な接続及び切断は、共振周波数を測定することができるように、振動を開始する簡単な方法を提供することができる。
【0026】
スイッチ素子320は、任意の種類のスイッチ素子、例えばトランジスタ又はリレーであってもよい。図3の特定の実施例では、スイッチ素子320は、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などの電界効果トランジスタ(FET)である。FET及びMOSFETは、他の回路機構と共に単一チップで設計及び製造することができ、非常に小さくすることができるという利点を有する。FETの使用は、いくつかの他の種類のスイッチング素子と比較して、縮小された物理的サイズを有する構成体を提供し得る。縮小された物理的サイズは、携帯型デバイスであるデバイス100にとって特に有利であり得る。
【0027】
共振回路322は、イニシエータによって以下のように共振周波数で振動させられてもよい。第1に、FET320は、電源318によって駆動される直流電流がインダクタ302を通って接地324に流れるようにオンに切り替えられる。最初にオンに切り替えられたとき、インダクタがインダクタを流れる電流の変化に抵抗するため、過渡効果が存在する。時間の経過と共にその過渡効果は減少し、インダクタを流れる電流は定常状態に向かう傾向がある。定常状態では、直流電流がインダクタ302に流れ、エネルギーが関連する磁界に蓄積される。同様に、コンデンサはさらに、最初に電流がコンデンサを流れるとき、過渡効果を受ける。時間の経過と共に、その過渡効果は小さくなり、コンデンサを流れる電流はゼロ電流の定常状態に向かう傾向がある。定常状態では、コンデンサは電圧を有し、エネルギーは関連する電界に蓄積される。
【0028】
インダクタが、例えば、定常電流の約10%又は約5%内で定常状態に到達又は接近するのに十分な所与の時間オンになった後、FET320は、共振回路322が接地324から切断されるようにオフに切り替えられる。すると、インダクタ302に磁界の形で蓄積されたエネルギーと、コンデンサに電界の形で蓄積されたエネルギーとは、インダクタ302とコンデンサ304との間で振動してもよい。この場合、共振回路322は駆動されていないため、共振回路322はその固有周波数で振動する。
【0029】
検出回路300は、共振周波数を示す1つ又は複数のパラメータを測定する検出器デバイスを備える。本開示において、共振周波数を測定することは、共振周波数を導出することができる任意のパラメータを測定することを含む。図3の実施例では、電圧計326が検出器デバイスとして提供されている。電圧計326は、インダクタ302とコンデンサ304(図示の通り)との間、又は下部ノード328(図3に示すように、インダクタ302とコンデンサ304との間の下部接続部である)と接地324との間の電圧を測定してもよく、その電圧は、インダクタ302とコンデンサ304との間のエネルギーの振動に対応して振動する。周波数は、電圧計が読み取った値を観察することによって測定され得る。
【0030】
時間に対して電圧計326によって測定された電位差又は電圧は、共振周波数を示すデータとして、例えば波形として出力されてもよい。いくつかの実施例では、検出回路200は、測定電圧を直接出力するのではなく、測定電圧に基づいてデータを出力する他の構成部品を備えていてもよい。例えば、検出回路200は、時間に対して測定された電圧(例えば、上述した波形)を受信し、共振周波数を決定し、共振周波数を示すデータ(例えば、データは、ヘルツ単位の周波数値、振動に関連する期間などを表してもよい)を出力する回路構成体(図示せず)を備えていてもよい。時間に対して測定された電圧が出力される実施例では、デバイス100のプロセッサ(以下にさらに説明する)は、データから共振周波数を決定してもよい。例えば、連続するゼロ交差間の時間は共振周波数において半周期となるため、電圧信号の連続するゼロ交差間の時間が測定され、周波数を計算するために使用されてもよい。
【0031】
所与の時間(FET320がオフに切り替えられて振動を引き起こすまでオンのままである)は、インダクタ302に、電源318の特性が与えられたときに蓄積可能なエネルギーの実質的に最大量まで、その磁界にエネルギーを蓄積するのに十分な時間が与えられるように選択されてもよい。所与の時間は、インダクタ302の特性、及び潜在的には、検出回路300内又は検出回路300に近接した他の構成部品(例えば、磁気特性を有するデバイス100の他の構成部品)に依存していてもよい。インダクタ302がより多くのエネルギーを蓄積するようにすることは、共振回路322におけるより大きな振幅の振動を可能にし、その結果、共振周波数をより高い精度で測定することができる。
【0032】
いくつかの実施例では、所与の時間は、インダクタ302が実質的に最大のエネルギーを蓄積するための状態に到達するのに必要な時間量より短くてもよいが、それにもかかわらず、共振周波数の決定のために少なくとも半周期の振動が測定されることを可能にするために十分なエネルギーが蓄積されてもよい。
【0033】
一旦振動すると、さらなる駆動がないことにより、共振回路322は減衰によりエネルギーを時間と共に消散させる。したがって、振動の振幅は時間と共に減少する。減衰量は、例えば、素子212又は物品106の他の構成部品の特性に依存していてもよい。例えば、エネルギーは、素子212とインダクタ302との間の誘導性相互作用により素子212に消散してもよい。
【0034】
図4は、電圧計がノード328と接地との間の電圧を測定するときに、電圧計326によって測定される電圧信号の実施例を示す。横軸402は時間を表し、縦軸404は測定電圧の振幅を表す。トレース406は、時間に対して測定された電圧を示す。トレース406は、共振回路322の振動に対応する測定電圧の正弦波振動の一部を示し、その振動は上述のように時間と共に減衰する。スイッチング素子がオフにされた時点で、ノード328と接地との間の電圧はゼロであるため、振動はゼロで始まる。どの電圧が測定されるかに応じて、測定された初期値もゼロでなくてもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、共振周波数は、図4のようにΔTとラベル付けされた正弦波振動の半周期の決定に基づいて求められてもよい。例えば、示される正弦波振動の周波数の値は、ヘルツ単位で1/(2×ΔT)として求められてもよい。
【0036】
図4に示す正弦波振動は時間と共に減衰する。時間に対して測定された電圧を直接データとして出力する実施例では、減衰に関する情報がデータに含まれている。他の実施例では、検出回路200によって出力されるデータは、減衰に関する情報、例えば、示されている減衰に関連する時定数を含んでいてもよい。上述したように、共振周波数は、チャンバ104内に挿入された物品に関する判定を可能にする。減衰に関する情報は、いくつかの実施例では、チャンバ104内に挿入された物品の特性を決定するために、共振周波数の代替又は追加であってもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、共振回路322は、サセプタ素子も加熱するように構成されてもよい。このようにして、インダクタ302は、サセプタ素子を加熱するためのエネルギーを誘導的に供給するヒータとしてさらに機能することができる。この目的のために、共振回路322は、交流電流を用いて駆動されてもよい。例えば、スイッチ素子は、物品106を検出及び/又は識別するために使用されるような減衰した振動を開始させるのではなく、共振回路をその共振周波数で駆動するように選択的に動作させられてもよい。代替的又は追加的に、ヒータとして使用されるときに、別個の電源及び関連する駆動回路機構など、さらなる構成部品がインダクタを駆動するために設けられてもよい。
【0038】
誘導加熱は、導電性物体が、物体に変動磁界を侵入させることによって加熱されるプロセスである。このプロセスはファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒータは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すデバイスとを備えていてもよい。電磁石及び加熱される物体が適切に相対的に配置されて、電磁石によって生成された、結果として生じた変動磁界が物体に侵入するとき、1つ又は複数の渦電流が物体内部に生成される。物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、このような渦電流が物体に生じると、物体の電気抵抗に逆らうその流れにより、物体が加熱される。このプロセスはジュール加熱、オーム加熱又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱可能な物体は、サセプタとして公知である。
【0039】
サセプタが閉じた電気回路の形態である場合、サセプタと使用中の電磁石との間の磁気結合が強化され、その結果、ジュール加熱が増大又は改善されることが分かっている。
【0040】
磁気ヒステリシス加熱とは、磁性材料から作られた物体が、変動磁界を物体に侵入させることによって加熱されるプロセスである。磁性材料は、多くの原子スケール磁石又は磁気双極子を含むと考えることができる。磁界がそのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁界と整列する。したがって、例えば電磁石によって生成されるような交番磁界のような変動磁界が磁性材料に侵入するとき、磁気双極子の配向は、印加される変動磁界と共に変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料に熱が発生する。
【0041】
物体が導電性及び磁性の両方である場合、変動磁界が物体に侵入させることによって、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方が生じ得る。さらに、磁性材料の使用により、磁界を強くすることが出来、これは、ジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱を強化することができる。
【0042】
上記の各プロセスでは、熱伝導による外部の熱源ではなく、物体自体の内部で熱が生成されるため、特に適切な物体の材質及び幾何形状、物体に対する適切な変動磁界の大きさ及び配向を選択することによって、物体の急速な温度上昇及びより均一な熱分布を実現することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱は、変動磁界発生源と物体との間に物理的な接続を必要としないため、設計自由度及び加熱プロファイルの制御がより優れたものとなり得、コストは低下し得る。
【0043】
本明細書に記載される実施例において、インダクタ302は、交流電流が流れるときに変動磁界を生成することによって、記載された電磁石の機能を実行してもよい。
【0044】
いくつかの実施例では、インダクタを流れる交流電流に応答してインダクタによって生成される変動磁界は、サセプタにおいてジュール加熱及び/又は磁気ヒステリシス加熱を引き起こしてもよい。
【0045】
デバイス100は、サセプタ素子を備えていてもよい。例えば、デバイス100は、チャンバ104を取り囲むサセプタとして使用するのに適した管を備えていてもよい。インダクタは、エアロゾル化可能媒体208に熱を与え、エアロゾル化可能媒体208のうちの少なくとも1つの成分を揮発させるように、管を加熱してもよい。他の実施例では、デバイス100は、様々な他の異なるサセプタ素子を備えていてもよい。
【0046】
いくつかの実施例において、サセプタ素子は、物品106の一部として設けられてもよい。例えば、サセプタ素子は、エアロゾル化可能媒体208に近接して物品106内に設けられてもよい。いくつかの例では、エアロゾル化可能媒体208は、サセプタとして機能する粒子、フレークなどを通して分散していてもよい。サセプタは、例えば、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、黒鉛、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、銅及び青銅の材料のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0047】
いくつかの実施例では、物品を検出及び/又は識別することを可能にするために機能する上述の素子212は、サセプタ素子としても機能してもよい。例えば、素子212は、本明細書に記載される物品の存在の判定を行うために、共振回路322の共振周波数を変化させてもよい。加えて、素子212は、エアロゾル生成のためにエアロゾル化可能媒体208を加熱するように、インダクタによってさらに誘導加熱されてもよい。そのような実施例では、素子212は、当該エアロゾル化可能媒体を加熱するのに十分な変動磁界の存在下でヒステリシス及び/又は渦電流を示す材料を含んでいてもよい。材料はまた、物品を上記のように検出及び/又は識別することを可能にするのにも適している。材料の例としては、軟鋼、耐食コーティングを有する鉄鋼(例えば、ニッケル、コバルトなど)、フェライト系ステンレス鋼(例えば、いわゆる「400系」鋼)及びアルミニウムが挙げられる。
【0048】
サセプタ素子を加熱するように構成される共振回路322は、単一の回路が2つの異なる機能、すなわち、エアロゾル化可能媒体を加熱すること、並びにチャンバ104内の物品の存在及び/又は同一性を判定する際の使用の両方のために使用され得ることを意味する。これは、デバイス100の一部として備えられる回路機構/構成部品の量を低減してもよく、リソースを節減し、デバイス100のサイズ制限を少なくする(例えば、デバイス100はより小さくされてもよい)。
【0049】
再び図2を参照すると、いくつかの実施例では、デバイス100は、共振周波数を既知の物品及び/又は加熱プロファイルなどの物品特性にマッチングさせるルックアップテーブルのような予め定められたデータを記憶しているメモリ215と、メモリ215とデータ通信を行うプロセッサ216とを備えていてもよい。プロセッサ216は、物品の存在を示すデータを受信し、受信したデータ及び予め定められたデータに基づいて物品特性を決定するように構成されてもよい。予め定められたデータは、正確な測定値、例えば特定の周波数であってもよい。代替的又は追加的に、予め定められたデータのうちの一部又は全部は範囲として表されてもよく、これにより検出におけるより大きな公差を可能にする。異なる検出公差が、検出回路によって測定されてもよい異なる特性に適用されてもよい。例えば、周波数は一般に、振幅減衰時定数よりも正確に測定することができるため、振幅減衰時定数に対してより大きな公差が使用されてもよい。
【0050】
プロセッサ216は、共振回路の共振周波数を決定してもよい。データが時間に対して測定された電圧の波形である実施例では、プロセッサ216は、例えば振動の半周期の値ΔTを決定し、次に上述のように対応する周波数を計算することによって、波形から共振周波数を決定してもよい。あるいは、ΔTそれ自体の値は、例えばルックアップテーブルにおいて直接使用されてもよい。
【0051】
上述したように、いくつかの実施例では、検出器回路の出力は、ヘルツ単位の周波数値、振動に関連する期間などを表すデータであってもよい。これらの実施例では、プロセッサ216は、共振周波数に到達するために必要なさらなる計算を実行してもよい(例えば、データが期間を示す場合、振動の期間の逆数を計算する)。いくつかの実施例では、プロセッサ216は、複数の受信されたデータユニットを用いて(例えば、平均をとることによって)共振周波数を決定してもよい。
【0052】
予め定められたデータは、各物品に対応するデータを含んでいてもよい。例えば、デバイス100の使用が意図された物品に対応する予め定められたデータがあってもよく、これは、例えば、偽造物品又は異なるデバイスと共に使用されることが意図された物品と区別することができる。例えば、予め定められたデータは、受信データが非偽造物品のためのものであると予想される共振周波数の非偽造範囲を含んでいてもよい。これは、例えば、デバイス100が複数の異なる物品と共に使用されることが意図されている場合であり得る。プロセッサ216は、受信データを予め定められたデータと比較し、チャンバ104内に非偽造物品が存在するか否かを判断してもよい。例えば、受信データが、共振周波数の非偽造範囲内の共振周波数を示す場合、プロセッサ216は、非偽造品(すなわち、本物の物品)が存在すると判断してもよい。挿入された物品が本物であるか偽造であるかは、物品特性の一例である。
【0053】
いくつかの実施例では、予め定められたデータは、他の物品特性を示してもよい。例えば、予め定められたデータは、異なる種類及び/又は量のエアロゾル化可能媒体を含む物品に対応してもよい。物品特性の他の例としては、エアロゾル化可能媒体中に存在する特定の香味料、チャンバ104内に存在する物品のバッチ/シリアル番号などが挙げられる。
【0054】
受信データを予め定められたデータと比較することによって、チャンバ104内に受け入れられた物品の様々な物品特性を決定することができる。プロセッサ216は、決定された物品特性に基づいて、デバイス100の動作の1つ又は複数の態様を決定するように構成されてもよい。
【0055】
例えば、偽造物品がチャンバ104内に挿入されたと判定された場合、プロセッサ216は、その旨の通知を発行してもよい。デバイス100は、デバイス100のユーザに情報を示すように構成されるインジケータを備えていてもよい。通知は、インジケータによってユーザに提供されてもよい。例えば、インジケータは、ディスプレイスクリーン又は1つ若しくは複数のインジケータライトのような視覚的なもの、スピーカ又はブザーのような可聴式のもの、振動モータのような触覚式のものであってもよい。ディスプレイスクリーンを例にとると、偽造物品が検出されたとき、ディスプレイスクリーンは、チャンバ104に挿入された物品が偽造であることをユーザに示す記号、1つ又は複数の適切な言葉などを表示してもよい。
【0056】
代替的に、又は追加的に、デバイス100は、情報を遠隔装置に送信するトランスミッタを備えていてもよい。上述した通知は、トランスミッタを使用して遠隔装置に送信されてもよい。例えば、トランスミッタは、3GPPによって設定されたもののような、IEEE 802.15(Bluetooth)、IEEE 802.11(WiFi)及び移動通信規格に従う規格を用いた無線トランスミッタであってもよい。遠隔装置は、携帯電話、パーソナルコンピュータ、又はデバイス100の製造業者に接続されたサーバであってもよい。
【0057】
いくつかの実施例では、プロセッサ216は、決定された物品特性に基づいて動作の他の態様を決定してもよい。例えば、プロセッサ216は、エアロゾル化可能媒体の種類及び/又は量に応じて(又はヒータをどのように作動させるかを決定するときに考慮することが有利である任意の他の物品特性に応じて)デバイス100のヒータを制御してもよい。プロセッサ216は、デバイス100のヒータを、例えばエアロゾル化可能媒体の種類及び/又は量に応じた特定の加熱プロファイルに従って動作させてもよい。このようにして、デバイス100は、チャンバ104内に収容された特定の物品に最適な方法で動作させられてもよい。
【0058】
プロセッサ216は、検出回路200に共振周波数を測定させ、チャンバ104内の物品の存在を示すデータを出力させるように構成されてもよい。例えば、検出回路が図3を参照して上述した検出回路である場合、プロセッサ216は、共振回路322をその共振周波数で振動させるためにFET320を制御してもよい。プロセッサ216は、FET320のゲート端子に適切な電圧を印加させてオンに切り替えてもよく、上述の所与の時間の後、プロセッサ216は、FET320のゲート端子に適切な電圧を印加させてオフに切り替えてもよい。上述したように、これは共振回路322をその共振周波数で振動させる。次いで、プロセッサ216は、検出器デバイスからデータを出力させてもよい。上述した電圧計326である検出器デバイスの実施例では、プロセッサ216は、アナログ-デジタル変換器を使用して予め定められた間隔で測定された電圧をサンプリングし、以て経時的な電圧の表示を取得してもよい。予め定められた間隔は、例えば、測定される最大周波数のナイキスト周波数に対応するように設定されてもよい。
【0059】
プロセッサ216は、FET320を制御し、それによって共振周波数が測定される時点の制御を可能にする。いくつかの実施例では、デバイス100は、何かがチャンバ104内に挿入されたときに物品挿入信号を提供する物品挿入検出器を備えていてもよい。例えば、物品の端部がチャンバ104の一部を通過するとき、チャンバ104が覆われないようにカバー108が移動するときなどに、オン/オフに切り替わる電子スイッチがあってもよい。プロセッサ216は、検出回路200に共振周波数を測定させ、物品挿入検出器から物品挿入信号を受信したとき(例えば、物品挿入信号の受信後の適切な時間遅延後)に、チャンバ104内の物品の存在を示すデータを出力させてもよい。
【0060】
他の実施例では、プロセッサ216は、共振周波数を測定し、チャンバ104内の物品の存在を示すデータを、所望に応じて他の時点で出力してもよい。例えば、プロセッサ216は、電源ボタン110が作動されてデバイス100の使用を開始した後に動作するように検出回路200を制御してもよい。
【0061】
図5は、チャンバ内のエアロゾル化可能媒体を含む物品の存在を判定する方法500を示すフローチャートである。例えば、方法500は、デバイス100のチャンバ104内の物品の存在を判定するためであってもよい。方法500は、例えば、上述した検出回路200を用いて行ってもよい。方法500のブロック502において、共振回路がその固有周波数で振動させられる。例えば、プロセッサ216は、上述のように共振回路322をその固有周波数で振動させてもよい。
【0062】
ブロック504では、共振回路の固有周波数が決定される。例えば、プロセッサ216は、上述のように受信したデータを使用して固有周波数を決定してもよい。ブロック506では、エアロゾル化可能媒体を含む物品が存在するか否かは、固有周波数に基づいて判定される。上述したように、特定の種類の物品の存在が判定されてもよい。プロセッサ216は、例えば、共振周波数に基づいて1つ又は複数の物品特性を決定することによって、この判定を行ってもよい。
【0063】
このように、方法500はまた、決定された固有周波数と予め定められたデータとの比較に基づいて物品特性を決定することをさらに含んでいてもよい。予め定められたデータは、上述のようにメモリ215に記憶された予め定められたデータであってもよい。物品特性としては、上述したように、チャンバ内に受け入れられた物品が偽造であるか否か、エアロゾル化可能媒体の種類及び/又は量などを挙げることができる。物品特性の決定は、ブロック506における物品の存在の判定の一部であってもよい。
【0064】
方法500は、決定された物品特性に基づいてデバイス100の動作を制御することをさらに含んでいてもよい。例えば、上述したように、プロセッサ216は、決定された物品特性に基づいて、通知を提供し、及び/又はデバイス100のヒータを制御してもよい。
【0065】
方法500は、物品挿入信号に応答してチャンバ104内のエアロゾル化可能媒体を含む物品の存在を判定することを含んでいてもよい。例えば、上述したように、プロセッサ216は、物品挿入信号を受信し、これに応答して(例えば、適切な時間遅延の後)検出回路200に固有周波数を測定させ、物品の存在を示すデータを出力してもよい。
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「香料」及び「香味料」とは、現地の規制が許容する場合、成人消費者のために製品中に所望の味又は香りを作り出すために使用されてもよい材料を指す。それらには、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランビュイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種由来のハッカ油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤又は刺激剤、糖及び/又は糖代替物(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤が含まれてもよい。それらは、模倣成分、合成成分若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば、油、液体、固体、又は粉末であってもよい。例えば、液体、油、又は他のそのような流体香料を多孔質固体材料に含浸させて、その多孔質固体材料に香料及び/又は他の特性を付与してもよい。そのため、液体又は油は、含浸される固体材料の構成成分である。
【0067】
上記実施例は、本発明の例示的実施例として理解されるべきものである。本発明のさらなる例が想定される。任意の1つの実施例に関連して記載された任意の特徴は、単独で使用されても、又は記載された他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、任意の他の実施例のうちの1つ若しくは複数の特徴と組み合わせて、又は任意の他の実施例の任意の組み合わせでさらに使用されてもよいことを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、上記に記載されていない等価物及び変形がさらに採用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5