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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】カチオン性界面活性剤及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/18 20220101AFI20241001BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20241001BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20241001BHJP
   C07F 7/18 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
C09K23/18
C09K3/00 R
C11D1/62
C07F7/18 X
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022538149
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 US2020066609
(87)【国際公開番号】W WO2021138148
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】62/955,192
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ナンクオ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンツリック、ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヤン
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-068246(JP,A)
【文献】特開2016-144938(JP,A)
【文献】特開昭54-038998(JP,A)
【文献】特開平02-154069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 23/00
C09K 3/00
C11D 1/62
C07F 7/18
D06M 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
[Z-D-N(-D-NR (R)2-a][X (I)
[式中、Zは、シロキサン部分であるか、又は5~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル部分であり、Dは、共有結合又は二価連結基であり、Dは、二価連結基であり、RはHであるか、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、各々のRは、1~4個の炭素原子を有する、独立して選択された非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aは1又は2であり、各々のXはアニオンである]を有するカチオン性界面活性剤。
【請求項2】
Zは、前記非置換ヒドロカルビル部分であり、(i)前記非置換ヒドロカルビル部分Zは、6~18個の炭素原子を有するアルキル基であるか、(ii)下付き文字aは1であり、かつRはHであるか、(iii)Dは前記共有結合であるか、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1にカチオン性界面活性剤。
【請求項3】
(i)Zは、前記シロキサン部分であるか、(ii)Dは、前記二価連結基であるか、(iii)下付き文字aは1であり、かつRはHであるか、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1に記載のカチオン性界面活性剤。
【請求項4】
Zは、前記シロキサン部分であり、前記シロキサン部分Zは、式:
【化1】
[式中、各々のRは、R及び-OSi(Rから独立して選択され、ただし、少なくとも1つのRは、-OSi(Rであり、各々のRは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、各々のRは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、各々のRは、R及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、0≦m≦100であり、各々のRは、独立して置換又は非置換ヒドロカルビル基である]を有する、請求項1又は3に記載のカチオン性界面活性剤。
【請求項5】
Zは、前記シロキサン部分であり、前記シロキサン部分Zは、以下の構造(i)~(iv):
【化2】
のうちの1つを有する、請求項1、3、及び4のいずれか一項に記載のカチオン性界面活性剤。
【請求項6】
Dは、前記二価連結基であり、かつ(i)前記二価連結基Dは、分岐鎖若しくは直鎖アルキレン基であるか、又は(ii)前記二価連結基Dは、式-D-NY-D-[式中、各々のDは、独立して選択された二価連結基であり、Yは、H又は-(D-NR [式中、D、R、及びXは上記で定義されている]である]を有する、請求項1、及び3~5のいずれか一項に記載のカチオン性界面活性剤。
【請求項7】
(i)各々のDは-CHCH(OH)CH-であるか、(ii)各々のRはメチルであるか、(iii)各々のXはClであるか、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1~6のいずれか一項に記載のカチオン性界面活性剤。
【請求項8】
カチオン性界面活性剤を調製する方法であって、前記方法は、
(A)アミン化合物と(B)第四級アンモニウム化合物とを反応させて、前記カチオン性界面活性剤を得ることを含み、
前記アミン化合物(A)は、一般式(II):
Z-D-NHR (II)
[式中、Zは、シロキサン部分であるか、又は5~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル部分であり、Dは、共有結合又は二価連結基であり、RはHであるか、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基である]を有し、
前記第四級アンモニウム化合物(B)は、一般式(III):
[RNR [X] (III)
[式中、Rはアミン反応性基であり、各々のRは、1~4個の炭素原子を有する、独立して選択された非置換ヒドロカルビル基であり、Xはアニオンである]を有し、
前記カチオン性界面活性剤は、請求項1~7のいずれか一項に記載のカチオン性界面活性剤である、方法。
【請求項9】
(i)Zは、前記シロキサン部分であるか、(ii)Dは、前記二価連結基であるか、(iii)RはHであるか、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Zは、前記非置換ヒドロカルビル部分であり、(i)前記非置換ヒドロカルビル部分Zは、6~18個の炭素原子を有するアルキル基であるか、(ii)RはHであるか、(iii)Dは前記共有結合であるか、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項8に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月30日出願の米国特許仮出願第62/955,192号に対する優先権及び全ての利点を主張するものであり、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、全般的には界面活性剤に関し、特にカチオン性界面活性剤及びそれを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
界面活性剤及び界面活性剤組成物は、当該技術分野において既知であり、無数の最終用途及び環境で利用されている。特に、界面活性剤及び界面活性剤組成物は、多数の工業用、商業用、ホームケア、及びパーソナルケア用配合物に利用されている。一例としてではあるが、界面活性剤及び界面活性剤組成物は、多種多様な表面処理及びコーティング組成物の調製に一般的に利用され、例えば、組成物自体の特性に影響を与え、そのような表面処理/コーティング組成物で処理される基材に表面効果を提供している。例えば、ポリフルオロアルキル系界面活性剤及びその組成物は、工業用組成物においては、煙霧抑制剤及びエッチング用添加剤として広く用いられ、表面処理においては、敷物類、室内装飾材料、衣料品、繊維などの物品の表面に撥水性及び撥油性を付与するために広く用いられ、洗浄用組成物、ワックス、シーラント、及び発泡剤などの多くの商業的製品にも広く用いられてきた。
【0004】
しかし、残念なことに、ポリフルオロアルキル系界面活性剤は、環境条件下で分解、あるいは劣化して、多数のフルオロケミカルを生成することが示されており、そのようなフルオロケミカルの一部は、そのような化合物が広く使用される結果をもたらした、そのような化合物が有する望ましい性質の多く(例えば、高い耐薬品性、広い化学的適合性、高い疎油性など)のため、環境中に残存し続けることが判明している。したがって、ポリフルオロアルキル系界面活性剤は、次第に生産も使用もされなくなっており、多くの広く利用されている界面活性剤及び界面活性剤組成物を引き続き利用することが難しくなりつつある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、カチオン性界面活性剤を提供する。カチオン性界面活性剤は、一般式:
[Z-D-N(-D-NR (R)2-a][X (I)
[式中、Zは、シロキサン部分であるか、又は5~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル部分であり、Dは、共有結合又は二価連結基であり、Dは、二価連結基であり、Rは、Hであるか、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、各々のRは、1~4個の炭素原子を有する、独立して選択された非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aは、1又は2であり、かつ各々のXは、アニオンである]を有する。
【0006】
本開示はまた、カチオン性界面活性剤を調製する方法(「調製方法」)をも提供する。調製方法は、(A)アミン化合物と(B)第四級アンモニウム化合物とを反応させて、カチオン性界面活性剤を得ることを含む。アミン化合物(A)は、一般式(II):
Z-D-N(H)(R)2-a (II)
[式中、Zは、シロキサン部分であるか、又は5~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル部分であり、Dは、共有結合又は二価連結基であり、Rは、Hであるか、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aは、1又は2である]を有する。第四級アンモニウム化合物(B)は、一般式(III):
[RNR [X] (III)
[式中、Rは、アミン反応性基であり、各々のRは、独立して選択された、1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、かつXは、アニオンである]を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
カチオン性界面活性剤が提供される。カチオン性界面活性剤は、一般式(I):
[Z-D-N(-D-NR (R)2-a][X (I)
[式中、Zは、シロキサン部分であるか、又は5~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル部分であり、Dは、共有結合又は二価連結基であり、Dは、二価連結基であり、Rは、Hであるか、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、各々のRは、1~4個の炭素原子を有する、独立して選択された非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aは、1又は2であり、かつ各々のXは、アニオンである]を有する。
【0008】
式(I)に関して、上記のように、Zは、シロキサン部分又は非置換ヒドロカルビル部分を表す。以下の特定の実施形態に関して、明確化及び参照の容易さのために、例えば、Zがそれぞれシロキサン部分又はヒドロカルビル部分である場合には、Zは、より具体的に、「シロキサン部分Z」又は「ヒドロカルビル部分Z」と称され得る。シロキサン部分Z及びヒドロカルビル部分Zの両方を、順次以下に説明する。
【0009】
ある実施形態では、カチオン性界面活性剤は、シロキサン部分Zを含む。シロキサン部分Zは、シロキサンを含み、それ以外の点では特に限定されない。当該技術分野で理解されるように、シロキサンは、ケイ素原子に結合した有機ケイ素及び/又は有機側基を有する、無機ケイ素-酸素-ケイ素基(すなわち、-Si-O-Si-)を含む。このように、シロキサンは、一般式([R SiO(4-i)/2(R3-jSi-[式中、下付き文字iは、1、2、及び3から独立して選択され、下付き文字hで示される各々の部分において、下付き文字hは、少なくとも1であり、下付き文字jは、1、2、又は3であり、かつ各々のRは、ヒドロカルビル基、アルコキシ基及び/又はアリールオキシ基、並びにシロキシ基から独立して選択される]で表され得る。
【0010】
に好適なヒドロカルビル基には、一価の炭化水素部分、並びにその誘導体及び改変物が含まれ、これらは独立して、置換され又は非置換であり、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであってもよく、かつ飽和又は不飽和であり得る。そのようなヒドロカルビル基に関して、「非置換」という用語が記載しているのは、炭素原子及び水素原子から構成される炭化水素部分、すなわちヘテロ原子による置換基なしで構成される炭化水素部分である。「置換された」という用語が記載しているのは、少なくとも1つの水素原子が、水素以外の原子又は基(例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミン基など)によって置き換えられている(すなわち、ペンダント又は末端置換基として)炭化水素部分か、炭化水素の鎖/骨格内の炭素原子が、炭素以外の原子(例えば、酸素、硫黄、窒素などのヘテロ原子)(すなわち、鎖/骨格の一部として)で置き換えられているか、又はその両方で置き換えられている炭化水素部分である。そのようなものとして、好適なヒドロカルビル基は、炭素鎖/その骨格内及び/又は上にある、(すなわち、これらに取り付けられる、かつ/又はこれらと統合化される)1つ以上の置換基を有する炭化水素部分を含み得るか、そのような炭化水素部分であり得る。その結果、そのような炭化水素部分は、エーテル、エステルなどを含み得るか、又はこれらであり得る。直鎖及び分岐鎖のヒドロカルビル基は、独立して、飽和又は不飽和であり得るが、不飽和である場合、コンジュゲートされていても、又はコンジュゲートされていなくてもよい。環状ヒドロカルビル基は、独立して、単環式又は多環式であってもよく、かつシクロアルキル基、アリール基、及び複素環を包含してもよく、これらは、芳香族、飽和かつ非芳香族、かつ/又は非コンジュゲートなどであってもよい。直鎖状及び環状ヒドロカルビル基の組み合わせの例には、アルカリール基、アラルキル基などが挙げられる。ヒドロカルビル基において、又はヒドロカルビル基として好適に使用するための炭化水素部分の一般例としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロカーボン基など、並びにこれらの誘導体、改変物、及び組み合わせが挙げられる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシルなど(すなわち、例えば6個より多くの炭素原子を有する、他の直鎖状又は分岐状飽和炭化水素基)が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、ジメチルフェニルなど、並びにこれらの誘導体及びこれらの改変物が挙げられ、これらは、アルカリール基(例えば、ベンジル)及びアラルキル基(例えば、トリル、ジメチルフェニルなど)と重複し得る。アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基など、並びにこれらの誘導体及びこれらの改変物が挙げられる。ハロカーボン基の一般的な例としては、上記の炭化水素部分のハロゲン化誘導体が挙げられ、その例としては、ハロゲン化アルキル基(例えば、上記のアルキル基のうちのいずれかであって、1つ以上の水素原子が、例えばF又はClなどのハロゲン原子で置き換えられているもの)、アリール基(例えば、上記のアリール基のうちのいずれかであって、1つ以上の水素原子が、F若しくはClなどのハロゲン原子で置き換えられているもの)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化アルキル基の例としては、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、2,3-ジクロロシクロペンチルなど、並びにこれらの誘導体及びこれらの改変物が挙げられる。ハロゲン化アリール基の例としては、クロロベンジル基、ペンタフルオロフェニル基、フルオロベンジル基など、並びにこれらの誘導体及びこれらの改変物が挙げられる。
【0011】
に好適なアルコキシ基及びアリールオキシ基としては、一般式、-ORxi[式中、Rxiは、Rに関して上述したヒドロカルビル基のうちの1つである]を有するものが挙げられる。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ベンジルオキシなど、並びにこれらの誘導体及びこれらの改変物が挙げられる。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ、トリルオキシ、ペンタフルオロフェノキシなど、並びにこれらの誘導体及び改変物が挙げられる。
【0012】
に好適な、好適なシロキシ基の例としては、[M]、[D]、[T]、及び[Q]単位が挙げられ、これらは、当該技術分野で理解されるように、各々が、例えばオルガノシロキサン及びオルガノポリシロキサンなどのシロキサン中に存在する個別の官能性の構造単位を表す。より具体的には、[M]は、一般式Rxii SiO1/2の、単官能性単位を表し、[D]は、一般式Rxii SiO2/2の二官能性単位を表し、[T]は、一般式RxiiSiO3/2の三官能性単位を表し、[Q]は、一般式SiO4/2の四機能性単位を表し、これらは下記の一般構造部分により示されている:
【0013】
【化1】
【0014】
これらの一般構造部分において、各々のRxiiは、独立して、一価又は多価の置換基である。当技術分野で理解されるように、各々のRxiiに好適な具体的な置換基は、限定されるものではなく、単原子又は多原子、有機又は無機、直鎖状又は分岐状、置換又は非置換、芳香族、脂肪族、飽和又は不飽和、及びこれらの組み合わせであり得る。典型的に、各々のRxiiは、ヒドロカルビル基、アルコキシ基及び/又はアリールオキシ基、並びにシロキシ基から独立して選択される。したがって、各々のRxiiは、独立して、式-Rxiのヒドロカルビル基、又は式-ORxiのアルコキシ基若しくはアリールオキシ基[両式中、Rxiは上記で定義されたとおりであるか、又は上記の[M]、[D]、[T]、及び/又は[Q]単位のいずれか1つ若しくはこれらの組み合わせで表されるシロキシ基である]であってもよい。
【0015】
シロキサン部分Zは、例えば、その中に存在する[M]、[D]、[T]、及び/又は[Q]シロキシ単位の数及び配置に基づいて、直鎖状、分岐状、又はこれらの組み合わせであり得る。分岐状である場合、シロキサン部分Zは、最小分岐状、又は代替的に、超分岐状及び/若しくは樹枝状であり得る。
【0016】
ある実施形態では、シロキサン部分Zは、式-Si(R[式中、少なくとも1つのRは、-OSi(Rであり、各々の他のRは、R及び-OSi(Rから独立して選択され、各々のRは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択される]を有する分岐状シロキサン部分である。Rのこれらの選択について、各々のRは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、かつ各々のRは、R及び-[OSiR OSiR から独立して選択される。各々の選択において、Rは、独立して選択された、置換又は非置換ヒドロカルビル基、例えば、Rに関して既に説明したもののうちの任意のものであり、かつ(すなわち、該当する場合、各々の選択において)各々の下付き文字mは、0≦m≦100となるように個々に選択される。
【0017】
既に述べたように、各々のRは、R及び-OSi(Rから選択され、ただし、少なくとも1つのRは、式-OSi(Rのものである。ある実施形態では、Rのうちの少なくとも2つは、式-OSi(Rのものである。特定の実施形態では、各々のRは、-OSi(Rのものである。より多くのRが-OSi(Rであれば、シロキサン部分Z内の分岐のレベルがより高くなるということが理解されるであろう。例えば、各々のRが-OSi(Rである場合には、各々のRが結合するケイ素原子は、Tシロキシ単位である。あるいは、Rのうちの2つが式-OSi(Rのものである場合、各々のRが結合しているケイ素原子は、[D]シロキシ単位である。また、Rが式-OSi(Rのものであり、かつRが式-OSi(Rのものである場合、更なるシロキサン結合及び分岐が、シロキサン部分Z内に存在する。このことは更に、Rが式-OSi(Rのものである場合にも該当する。したがって、シロキサン部分Z中の各々の後続のR3+n部分は、その特定の選択に応じて、更なる分岐の発生を与えることができるということを、当業者は理解するであろう。例えば、Rは式-OSi(Rのものであってもよく、かつRは式-OSi(Rでのものであってもよい。したがって、各々の置換基の選択に応じて、[T]及び/又は[Q]シロキシ単位に起因する更なる(すなわち、上述の他の置換基/部分のものを越える)分岐が、シロキサン部分Zに存在し得る。
【0018】
各々のRは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR [式中、0≦m≦100である]から選択される。R及びRの選択に応じて、更なる分岐が、シロキサン部分Zに存在し得る。例えば、各々のRがRである場合には、各々の-OSi(R部分(すなわち、式-OSi(Rの各々のR)が、ターミナル[M]シロキシ単位である。言い換えれば、各々のRが-OSi(Rであり、かつ各々のRがRである場合、各々のRは、-OSiR (すなわち、[M]シロキシ単位)として記載され得る。そのような実施形態では、シロキサン部分Zは、式(I)のD基に結合した[T]シロキシ単位を含み、その[T]シロキシ単位は、3つの[M]シロキシ単位でキャップされている。また、Rが式-[OSiR OSiR のものである場合、Rは、任意選択の[D]シロキシ単位(すなわち、下付き文字mで示される各々の部分におけるシロキシ単位)並びに[M]シロキシ単位(すなわち、OSiR で表されるもの)を含む。したがって、各々のRが、式-OSi(Rのものであり、各々のRが、式-[OSiR OSiR のものである場合、各々のRは、[Q]シロキシ単位を含む。より具体的には、そのような実施形態では、各々のRは、式-OSi([OSiR OSiR のものであり、その結果、各々の下付き文字mが0である場合には、各々のRは、3つの[M]シロキシ単位で末端をキャップされた[Q]シロキシ単位である。同様に、下付き文字mが0より大きい場合、各々のRは、下付き文字mに起因する重合度を有する直鎖部分(すなわち、ジオルガノシロキサン部分)を含む。
【0019】
上記のように、各々のRはまた、式-OSi(Rのものであってもよい。1つ以上のRが、式-OSi(Rのものである実施形態では、Rの選択に応じて、更なる分岐が、シロキサン部分Zに存在し得る。より具体的には、各々のRは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR [式中、各々のRは、R及び-[OSiR OSiR から選択され、かつ各々の下付き文字mは、上記で定義されたとおりである]から選択される。
【0020】
下付き文字mは、0~100、あるいは0~80、あるいは0~60、あるいは0~40、あるいは0~20、あるいは0~19、あるいは0~18、あるいは0~17、あるいは0~16、あるいは0~15、あるいは0~14、あるいは0~13、あるいは0~12、あるいは0~11、あるいは0~10、あるいは0~9、あるいは0~8、あるいは0~7、あるいは0~6、あるいは0~5、あるいは0~4、あるいは0~3、あるいは0~2、あるいは0~1、あるいは0である。ある実施形態では、各々の下付き文字mは0であり、その結果、シロキサン部分ZはDシロキシ単位を含まない。
【0021】
重要なことに、R、R、R、R、及びRの各々は、独立して選択される。したがって、これらの置換基の各々に関する上記の説明は、各々の置換基が同じであることを意味するものでもなく、暗に示すものでもない。むしろ、例えば、Rに関する上記のいかなる説明も、シロキサン部分Z中の1つのみのRに関する場合も、又は任意の数のRに関する場合もあるなどということが言える。加えて、R、R、R、R、及びRの異なる選択が、その結果として、同じ構造をもたらす場合もあり得る。例えば、Rが-OSi(Rであり、各々のRが-OSi(Rであり、各々のRがRである場合、Rは、-OSi(OSiR と記述することができる。同様に、Rが-OSi(Rであり、各々のRが-[OSiR OSiR である場合、下付き文字mが0であるときには、Rは、-OSi(OSiR と記述することができる。上に示すように、これらの特定の選択の結果、Rについての異なる選択に基づいて、Rについて同じ最終構造が得られる。そのために、シロキサン部分Zの最終構造に対する制限のいかなる条件も、その条件で必要とされる、同じ構造をもたらす代替的選択によって満たされるとみなされる。
【0022】
ある実施形態では、各々のRは、独立して選択されるアルキル基である。一部のそのような実施形態では、各々のRは、独立して選択された、1~10個、あるいは1~8個、あるいは1~6個、あるいは1~4個、あるいは1~3個、あるいは1~2個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0023】
特定の実施形態では、各々の下付き文字mは0であり、各々のRは、メチルであり、シロキサン部分Zは、以下の構造(i)~(iv)のうちの1つを有する:
【0024】
【化2】
【0025】
ある実施形態では、カチオン性界面活性剤は、ヒドロカルビル部分Zを含む。一般に、ヒドロカルビル部分Zは、5~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル部分であり、それ以外については特に限定されない。好適なそのようなヒドロカルビル部分の例としては、Rに関して上述した、非置換一価炭化水素部分が挙げられる。したがって、ヒドロカルビル部分Zは、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組み合わせを含み得るか、あるいは直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組み合わせであり得るということが理解されよう。同様に、ヒドロカルビル基Zは、エチレン性及び/又はアセチレン性不飽和(すなわち、それぞれアルケン及びアルキンとして知られる、C-C二重及び/又は三重結合)を含む、脂肪族不飽和を含み得る。ヒドロカルビル基Zは、ただ1つのみのそのような不飽和基を含んでもよく、あるいは1つより多くの不飽和基を含んでもよく、そのような不飽和基は、非コンジュゲートであっても、又はコンジュゲートであってもよく(例えば、ヒドロカルビル部分Zが、ジエン、エン-イン、ジインなどを含む場合)、かつ/又は芳香族であってもよい(例えば、ヒドロカルビル部分Zが、フェニル基、ベンジル基などを含む場合)。
【0026】
ある実施形態では、ヒドロカルビル部分Zは、アルキル基を含むか、あるいはアルキル基である。好適なアルキル基には、飽和アルキル基が含まれ、これは、直鎖状、分岐状、環状(例えば、単環式又は多環式)、又はこれらの組み合わせであり得る。そのようなアルキル基の例としては、一般式C2b-2c+1[式中、下付き文字b(すなわち、アルキル基中に存在する炭素原子の数)は、5~20であり、下付き文字cは、独立した環/環状ループの数であり、下付き文字bで表される少なくとも1つの炭素原子が、上記一般式(I)内のD基に結合されている]を有するものが挙げられる。そのようなアルキル基の直鎖状及び分岐状異性体の例(すなわち、アルキル基が環状基を含まず、下付き文字c=0となるもの)としては、一般式C2b+1[式中、下付き文字bは上記で定義されたとおりであり、下付き文字bで表される少なくとも1つの炭素原子は、上記一般式(I)内のD基に結合されている]を有するものが挙げられる。単環式アルキル基の例としては、一般式C2b-1[式中、下付き文字bは、上記で定義されたとおりであり、下付き文字bで表される少なくとも1つの炭素原子は、上記一般式(I)のD基に結合されている]を有するものが挙げられる。
【0027】
そのようなアルキル基の具体例としては、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びエイコシル基が挙げられ、これらの直鎖状、分岐状、及び/又は環式異性体も含まれる。例えば、ペンチル基は、n-ペンチル(すなわち、直鎖異性体)及びシクロペンチル(すなわち、環状異性体)、並びに分岐状異性体、例えばイソペンチル(すなわち、3-メチルブチル)、ネオペンチル(すなわち、2,2-ジメチルプロピル)、tert-ペンチル(すなわち、2-メチルブタン-2-イル)、sec-ペンチル(すなわち、ペンタン-2-イル)、sec-イソペンチル(すなわち、3-メチルブタン-2-イル)など)、3-ペンチル(すなわち、ペンタン-3-イル)、及び活性ペンチル(すなわち、2-メチルブチル)を包含する。
【0028】
ある実施形態では、ヒドロカルビル部分Zは、式-(CHb-1CH[式中、下付き文字bは、上述のように5~20である]の非置換の直鎖アルキル基を含む、あるいはそのような非置換の直鎖アルキル基である。一部のそのような実施形態では、ヒドロカルビル部分Zは、下付き文字bが7~19である上記のような非置換直鎖アルキル基であり、その結果、ヒドロカルビル部分Zは、6~18個の炭素原子を有する非置換直鎖アルキル基である。特定のそのような実施形態では、下付き文字bは、7、9、11、又は13であり、その結果、ヒドロカルビル部分Zは、それぞれ6、8、10、又は12個の炭素原子を有する非置換直鎖アルキル基である。
【0029】
上述したように、カチオン性界面活性剤及び式(I)に更に関して、Dは、共有結合又は二価連結基を表す。カチオン性界面活性剤中に存在する特定のDは、一般的に、本明細書の組成物、方法、及び実施例の成分及びパラメータによって例示されるような、カチオン性界面活性剤を調製するために利用されるメカニズムの関数である。明確化及び参照の容易さのために、以下の特定の実施形態に関して、例えばDが共有結合又は二価連結基である場合、Dは、より具体的に「共有結合D」又は「二価連結基D」とそれぞれ称され得る。両方の選択は、以下のある実施形態に記載及び例示される。
【0030】
ある実施形態では、Dは共有結合であり(すなわち、カチオン性界面活性剤は、共有結合Dを含む)、その結果、部分ZはアミノN原子に直接結合している。これらの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、以下の式:
[Z-N(-D-NR (R)2-a][X
[式中、Zは、上記で定義及び記載されているとおりであり、各D、R、R、下付き文字a、及びXは、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]によって表され得る。
【0031】
特定の実施形態では、Dは共有結合であり、Zはヒドロカルビル部分である(すなわち、カチオン性界面活性剤は、共有結合D及びヒドロカルビル部分Zを含む)。一部のそのような実施形態では、ヒドロカルビル部分Zは、カチオン性界面活性剤のアミノN原子に直接結合したアルキル基であり、その結果、カチオン性界面活性剤は、以下の式:
[(C2b+1)-N(-D-NR (R)2-a][X
[式中、下付き文字bは、上記で定義及び記載されているとおりであり、各D、R、R、下付き文字a、及びXは、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]を有する。一部のそのような実施形態では、下付き文字bは、6~18、例えば、6~14、あるいは6~12である。
【0032】
ある実施形態では、Dは、二価連結基である(すなわち、カチオン性界面活性剤は、二価連結基Dを含む)。そのような実施形態では、当業者には理解されるように、カチオン性界面活性剤は、上記の式(I)に大略的に準拠しており、その中の変数及び部分の任意の更なる選択によって修飾されている。二価連結基Dは、特に限定されず、置換若しくは非置換、直鎖状若しくは分岐状、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0033】
典型的には、二価連結基Dは、二価炭化水素基から選択される。そのような炭化水素基の例としては、Rに関して上述したもののうちの任意のものなどの、上述のヒドロカルビル基又は炭化水素基の二価形態が挙げられる。したがって、二価連結基Dの好適な炭化水素基は、置換又は非置換であってもよく、直鎖状、分岐状、及び/又は環状であってもよいということが理解されよう。
【0034】
ある実施形態では、二価連結基Dは、式-(CH-[式中、下付き文字dは1~18である]を有する直鎖状炭化水素部分などの、C~C18炭化水素部分を含むか、あるいは、C~C18炭化水素部分である。一部のそのような実施形態では、下付き文字dは、1~16、例えば1~12、あるいは1~10、あるいは1~8、あるいは1~6、あるいは2~6、あるいは2~4である。特定の実施形態では、下付き文字dは3であり、その結果、二価連結基Dはプロピレン(すなわち、3個の炭素原子の鎖)を含む。当業者には理解されるように、下付き文字dで表される各々の単位は、メチレン単位であり、その結果、直鎖状炭化水素部分は、アルキレン基と定義されるか、あるいはアルキレン基と称され得る。各々のメチレン基は、独立して、非置換及び非分岐であってもよく、又は置換(例えば、水素原子が、非水素原子又は基で置き換えられている)及び/又は分岐状(例えば、水素原子が、アルキル基で置き換えられている)であってもよいことが理解されよう。ある実施形態では、二価連結基Dは、非置換アルキレン基を含むか、あるいは非置換アルキレン基である。他の実施形態では、二価連結基Dは、置換アルキレン基などの置換炭化水素基を含むか、あるいはそのような置換基である。そのような実施形態では、例えば、二価連結基Dは、主鎖がエーテル部分、アミン部分などを含むように、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、N、Sなど)を有する炭素骨格を典型的に含む。
【0035】
特定の実施形態では、二価連結基Dは、アミノ置換炭化水素(すなわち、窒素置換炭素鎖/骨格を含む炭化水素)を含むか、あるいはそのようなアミノ置換炭化水素である。例えば、一部のそのような実施形態では、二価連結基Dは、式-D-NY-D-を有するアミノ置換炭化水素であり、その結果、カチオン性界面活性剤は、以下の式:
[Z-D-NY-D-N(-D-NR (R)2-a][X
[式中、Zは、上記で定義及び記載されているとおりであり、各々のDは、独立して選択された二価連結基であり、Yは、H又は第四級アンモニウム部分であり、各DR、R、下付き文字a、及びXは、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]で表され得る。
【0036】
既に述べたように、アミノ置換炭化水素の各々のDは、独立して選択される。典型的には、各々のDは、二価連結基Dに関して上述したもののうちの任意のものなどの、独立して選択されたアルキレン基を含む。例えば、一部の実施形態では、各々のDは、1~8個の炭素原子、例えば、2~8個、代替的に2~6個、代替的に2~4個の炭素原子を有するアルキレン基から独立して選択される。ある実施形態では、各々のDはプロピレン(すなわち-(CH-)である。しかしながら、一方又は両方のDは、別の二価連結基(すなわち、上述のアルキレン基以外のもの)であり得るか、又はそれを含み得るということが理解されるべきである。更に、各々のDは、置換若しくは非置換、直鎖状若しくは分岐状、及びこれらの様々な組み合わせであり得る。
【0037】
また既に述べたように、アミノ置換炭化水素のYは、H又は第四級アンモニウム部分である。例えば、特定の実施形態では、YはHであり、その結果、カチオン性界面活性剤は以下の式:
[Z-D-NH-D-N(-D-NR (R)2-a][X
[式中、各Z及びDは、上記で定義及び記載されているとおりであり、各D、R、R、下付き文字a、及びXの各々は、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]で表され得る。
【0038】
他の実施形態では、Yは、第四級アンモニウム部分であり、これは、式-D-NR [式中、D、R、及びXは、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]によって表される。したがって、そのような実施形態では、カチオン性界面活性剤は、以下の式:
[Z-D-N(-D-NR )-D-N(-D-NR (R)2-a][Xa+1
[式中、各Z及びDは、上記で定義及び記載されているとおりであり、各D、R、R、下付き文字a、及びXは、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]によって表され得る。一部のそのような実施形態では、Zは、シロキサン部分であり、二価連結基Dのうちの1つを介してカチオン性界面活性剤のアミノN原子に連結されたケイ素原子を含む。例えば、これらの実施形態では、シロキサン部分Zは、上述の分岐シロキサン部分であり、その結果、カチオン性界面活性剤は、以下の式:
[(RSi-D-N(-D-NR )-D-N(-D-NR (R)2-a][Xa+1
[式中、各D及びRは、上記で定義及び記載されているとおりであり、各D、R、R、下付き文字a、及びXは、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]を有する。
【0039】
引き続き、式(I)によって表されるようなカチオン性界面活性剤、及び上述したその誘導体配合物に関して、下付き文字aは、1又は2である。当業者によって理解されるように、下付き文字aは、部分式、-N(-D-NR (R)2-aによって表されるカチオン性界面活性剤の第四級アンモニウム置換アミノ部分が、1つの第四級アンモニウム基を有するか、又は2つの第四級アンモニウム基(すなわち、部分式(-D-NR )の基)を有するかを示す。同様に、そのような第四級アンモニウム基の各々がカチオン性であるため、下付き文字aはまた、第四級アンモニウム基からのカチオン性電荷をバランスさせるのに必要な対アニオンの数(すなわち、以下に説明されるようなアニオンXの数)も示す。例えば、一部の実施形態では、下付き文字aは1であり、カチオン性界面活性剤は以下の式:
[Z-D-N(R)-D-NR ][X
[式中、Z及びDは、上記で定義及び記載されているとおりであり、各々のD、R、R、及びXは、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]を有する。一部のそのような実施形態では、二価連結基Dは、式-D-NY-D-[式中、Yは、式-D-NR を有する第四級アンモニウム部分である]を有するアミノ置換炭化水素であり、その結果、カチオン性界面活性剤は、以下の式:
【0040】
【化3】
[式中、Z及び各Dは、上記で定義及び記載されているとおりであり、各D、R、R、及びXは、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]を有する。
【0041】
一部の実施形態では、下付き文字aは、2であり、カチオン性界面活性剤は、以下の式:
【0042】
【化4】
[式中、Z及びDは、上記で定義及び記載されているとおりであり、各々のD、R、及びXは、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]を有する。一部のそのような実施形態では、二価連結基Dは、式-D-NY-D-[式中、Yは、式-D-NR を有する第四級アンモニウム部分である]を有するアミノ置換炭化水素であり、その結果、カチオン性界面活性剤は、以下の式:
【0043】
【化5】
[式中、Z及び各Dは、上記で定義及び記載されているとおりであり、各D、R、及びXは、上記で定義及び以下で記載されているとおりである]を有する。
【0044】
カチオン性界面活性剤の各々の分子中で、下付き文字aは、1又は2であるが、カチオン性界面活性剤は、式(I)に対応するが、互いに異なる(例えば、下付き文字aについて異なる)分子の混合物を含み得るということを理解されたい。したがって、各々の分子中で、下付き文字aは、1又は2であるが、カチオン性界面活性剤を含む混合物は、1~2のaの平均値、例えば、平均値1.5(例えば、カチオン性界面活性剤の分子の50:50の混合物のa=1から、カチオン性界面活性剤の分子のa=2まで)を有し得る。
【0045】
式(I)で表されるようなカチオン性界面活性剤及び上述したその誘導体に更に関して、Rは、H、又は炭素原子が存在する場合(例えば、下付き文字aが1の場合)に、1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基を表す。一部の実施形態では、Rは、Hである。他の実施形態では、Rは、1~4個、例えば1~3個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有するアルキル基である。例えば、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n-プロピル基又はイソ-プロピル基)、又はブチル基(例えば、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、又はtert-ブチル基)であり得る。ある実施形態では、Rはメチルである。
【0046】
引き続き、式(I)によって表されるようなカチオン性界面活性剤、及び上述したその誘導体配合物に関して、各々のRは、1~4個の炭素原子を有する、独立して選択された、非置換ヒドロカルビル基を表す。例えば、ある実施形態では、各々のRは、1~4個、例えば1~3個、あるいは1~2個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択される。そのような実施形態では、各々のRは、典型的には、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n-プロピル基及びイソ-プロピル基)、及びブチル基(例えば、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、及びtert-ブチル基)から選択される。独立して選択されるが、ある実施形態では、各々のRは、カチオン性界面活性剤中の各他のRと同じである。例えば、ある実施形態では、各々のRはメチル又はエチルである。特定の実施形態では、各々のRは、メチルである。
【0047】
式(I)によって表されるようなカチオン性界面活性剤、及び上述したその誘導体配合物に更に関して、各々のDは、独立して選択される二価連結基(「連結基D」)を表す。カチオン性界面活性剤中に存在する特定の連結基Dは、大略的には、本明細書の組成物、方法、及び実施例の成分及びパラメータによって例示されるような、カチオン性界面活性剤を調製するために利用されるメカニズムの関数である。
【0048】
典型的には、連結基Dは、置換及び非置換の二価炭化水素基から選択される。そのような炭化水素基の例としては、R、D、及びDに関して上述したもののうちの任意のものなどの、上述のヒドロカルビル基又は炭化水素基の二価形態が挙げられる。したがって、連結基Dにおいて、又は連結基Dとして使用されるのに好適な炭化水素基は、直鎖状であっても分岐状であってもよいということが理解されよう。
【0049】
ある実施形態では、連結基Dは、二価連結基Dに関して上述したもののうちの1つなどのアルキレン基を含む。例えば、ある実施形態では、連結基Dは、例えば1~6個、あるいは2~6個、あるいは2~4個の炭素原子などの、1~8個の炭素原子を有するアルキレン基を含む。一部のそのような実施形態では、連結基Dのアルキレン基は非置換である。そのようなアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。
【0050】
ある実施形態では、連結基Dは、置換アルキレン基などの置換炭化水素基を含むか、あるいは置換炭化水素基である。そのような実施形態では、例えば、連結基Dは、典型的には、少なくとも2個の炭素原子を有する炭素骨格と、その骨格中の少なくとも1つのヘテロ原子(例えばO)、又はその骨格の炭素原子のうちの1つに、(例えば、ペンダント置換基として)結合される、少なくとも1つのヘテロ原子(例えばO)を含む。
【0051】
例えば、一部の実施形態では、連結基Dは、式-D-CH(-(CH-OH)-D-[式中、各々のDは、独立して、共有結合又は二価連結基であり、下付き文字eは、0又は1である]を有する、ヒドロキシル置換炭化水素を含む。そのような実施形態では、少なくとも1つのDは、典型的には、上記のもののうちの任意のものなどの、独立して選択されたアルキレン基を含む。例えば、一部の実施形態では、各々のDは、例えば1~6個、あるいは1~4個、あるいは1~2個などの、1~8個の炭素原子を有するアルキレン基から独立して選択される。ある実施形態では、各々のDは、メチレン(すなわち-CH-)である。しかしながら、一方又は両方のDは、別の二価連結基(すなわち、上述のアルキレン基以外のもの)であり得るか、又はそれを含み得るということが理解されるべきである。
【0052】
一部の実施形態では、各々の連結基Dは、独立して選択されたヒドロキシプロピレン基である(すなわち、各々のDが、共有結合及びメチレンから独立して選択される、ただし、下付き文字eが1である場合、少なくとも1つのDが共有結合であり、下付き文字eが0である場合、各々のDは、メチレンである)。したがって、一部のそのような実施形態では、各々の連結基Dは、独立して、以下の式:
【0053】
【化6】
のうちの1つのものである。
【0054】
ある実施形態では、Zは、非置換ヒドロカルビル部分であり、ヒドロカルビル部分Zは、6~18個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基であり、Dは、共有結合であり、下付き文字aは、1であり、Rは、Hであり、各々の連結基Dは、(2-ヒドロキシ)プロピレン基であり、かつ各々のRは、メチルであり、その結果、カチオン性界面活性剤は、以下の式:
【0055】
【化7】
[式中、下付き文字bは、5~17(例えば、5~11、あるいは5~9)であり、Xは、上記で定義及び以下に記載されるとおりである]を有する。他の実施形態では、カチオン性界面活性剤は、直前に説明したものと同じように、ただし下付き文字a=2であるように構成されており、その結果、カチオン性界面活性剤は以下の式:
【0056】
【化8】
[式中、下付き文字bは、上記で定義及び記載されているとおりであり、かつ各々のXは、上記で定義及び以下で記載されるとおりである]を有する。
【0057】
一部の実施形態では、Zは、シロキサン部分であり、Dは、二価連結基であり、シロキサン部分Zは、分岐状シロキサン部分であり、二価連結基Dは、式-D-NY-D-[式中、各々のDはプロピレンであり、かつYはHである]を有するアミノ置換炭化水素であり、下付き文字aは、1であり、RはHであり、各々の連結基Dは、(2-ヒドロキシ)プロピレン基であり、各々のRは、メチルであり、その結果、カチオン性界面活性剤は、以下の式:
【0058】
【化9】
[式中、各々のRは、上記で定義及び記載されているとおりであり、かつXは、上記で定義及び以下で記載されるとおりである]を有する。他の実施形態では、カチオン性界面活性剤は、直前に説明したものと同じように、ただし下付き文字a=2であるように構成されており、その結果、カチオン性界面活性剤は以下の式:
【0059】
【化10】
[式中、各々のRは、上記で定義及び記載されているとおりであり、かつ各々のXは、上記で定義及び以下で記載されるとおりである]を有する。他の実施形態では、カチオン性界面活性剤は、直前に説明したものと同じように、ただしYが、式-D-NR を有する第四級アンモニウム部分であるように構成されており、その結果、カチオン性界面活性剤は以下の式:
【0060】
【化11】
[式中、各々のRは、上記で定義及び記載されているとおりであり、かつ各々のXは、上記で定義及び以下で記載されるとおりである]を有する。更に他の実施形態では、カチオン性界面活性剤は、直前に説明したものと同じように、ただし下付き文字a=1であり、かつRがHであるように構成されており、その結果、カチオン性界面活性剤は以下の式:
【0061】
【化12】
[式中、各々のRは、上記で定義及び記載されているとおりであり、かつ各々のXは、上記で定義及び以下で記載されるとおりである]を有する。
【0062】
引き続き、式(I)によって表されるようなカチオン性界面活性剤、及び上述したその誘導体配合物に関して、Xはアニオンを表す。Xは、特に限定されず、本明細書の説明を考慮して当業者に理解されるように、Xは、典型的には、カチオン性界面活性剤中に存在するカチオン性第四級アンモニウム部分とイオン対になる。より具体的には、カチオン性界面活性剤は、典型的には、1つのカチオン性第四級アンモニウム部分につき、少なくとも1つのアニオンXを含み、各々のそのようなアニオンXは、独立して選択される。しかしながら、Xは、ポリアニオン性(例えば、ジアニオン性など)であってもよく、その場合には、1つのアニオンXが、カチオン性界面活性剤中に存在する2つ以上のカチオン性第四級アンモニウム部分を相殺するのに十分であり得る。したがって、アニオンXの数は、例えば、カチオン性界面活性剤の構造に基づいて容易に選択されることとなる。カチオン性界面活性剤中に存在する特定のアニオンXは、大略的に、本明細書の組成物、方法、及び実施例の成分及びパラメータによって例示されるような、カチオン性界面活性剤を調製するために利用されるメカニズムの関数である。
【0063】
好適なアニオンの例としては、有機アニオン、無機アニオン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、各々のアニオンXは、カチオン性界面活性剤の他の部分と非反応性であるモノアニオンから独立して選択される。そのようなアニオンの例としては、例えば、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物)、サルフェート(例えば、アルキルサルフェートなど)、スルホネート(例えばトリフレート、ベンジル又は他のアリールスルホネートなど)など、並びにこれらの誘導体、改変物、及び組み合わせなどの、中程度の酸及び強酸のコンジュゲート塩基が挙げられる。ホスフェート、硝酸アニオン、カルボキシレート(例えば、アセテート)などの有機アニオン、並びにこれらの誘導体、改変物、及び組み合わせなどの他のアニオンも利用され得る。そのようなアニオンの誘導体には、上記の例が指定されている2つ以上の官能基を含むポリアニオン性化合物が含まれることが理解されるべきである。例えば、ポリカルボキシレート(例えば、クエン酸など)のモノ及び/又はポリアニオンは、上記のアニオンによって包含される。アニオンの他の例としては、トシレートアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、テトラフルオロボレートアニオンなど、並びにこれらの誘導体、改変物、及び組み合わせが挙げられる。
【0064】
ある実施形態では、各々のアニオンXは、一価~三価の無機アニオンである。そのようなアニオンの例としては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、6~18個の炭素原子を有するアリールスルホネート、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、及びホウ酸アニオンなどのモノアニオン、例えばサルフェート及び亜硫酸イオンなどのジアニオン、及びホスフェートなどのトリアニオンが挙げられる。ある実施形態では、各々のXは、ハロゲン化物アニオンである。一部のそのような実施形態では、各々のXは塩化物(すなわち、Cl)である。
【0065】
カチオン性界面活性剤を調製する方法もまた提供され、以下、全般的に「調製方法」と称することとする。調製方法は、(A)アミン化合物と(B)第四級アンモニウム化合物とを反応させて、カチオン性界面活性剤を得ることを含む。調製方法に従って調製されたカチオン性界面活性剤は、上述した式(I)に対応する。
【0066】
本明細書の説明を考慮して当業者によって理解されるように、調整方法において用いられるアミン化合物(A)は、カチオン性界面活性剤のうちの、式(I)中で、部分式Z-D-N(R)-によって表されるアミノ部分に対応する部分を形成する。同様に、調製方法において用いられる第四級アンモニウム化合物(B)は、カチオン性界面活性剤のうち、式(I)中で、部分式-NR によって表される第四級アンモニウム部分に対応する部分を形成する。以下に追加的に詳細に記載されるように、連結基Dは、大略的に、成分(A)及び(B)の反応によって形成され、下付き文字aは、成分(A)の性質/タイプ並びに使用される成分(A)及び(B)の相対量によって制御され、かつアニオンXは、使用される成分(B)の性質/タイプによって制御される。したがって、特に示されない限り、上記のカチオン性界面活性剤の説明は、調製方法(例えば、その成分)にも同様に適用されることを理解されたい。
【0067】
一般に、アミン化合物(A)は、少なくとも1つの、アルキル化可能なアミン官能基(すなわち、第一級又は第二級アミン)を有する、有機化合物又は有機ケイ素化合物である。具体的には、アミン化合物(A)は、一般式(II):
Z-D-NHR (II)
[式中、Z、D、及びRは、カチオン性界面活性剤に関して上記で定義及び記載されるとおりである]を有する。
【0068】
より具体的には、式(II)を参照すると、Zは、シロキサン部分であるか、又は5~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル部分であり、Dは、共有結合又は二価連結基であり、Rは、Hであるか、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基である。上記にもかかわらず、当業者は、一般式(I)に関して上記のカチオン性界面活性剤の変数Z、D、及びRの説明を考慮して、一般式(II)における同じ変数Z、D、及びRの限定の特定の変形例を容易に理解するであろう。
【0069】
ある実施形態では、上記一般式(II)のDは共有結合であり、その結果、アミン化合物(A)は、式Z-NHR[式中、Z及びRは、上記で定義されたとおりである]を有する。一部のそのような実施形態では、Rは、Hであり、その結果、アミン化合物(A)は、式Z-NH[式中、Zは上記で定義されたとおりである]を有する。他のそのような実施形態では、Rは、1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基である。一部のそのような実施形態では、Rは、C~Cアルキル基であり、その結果、アミン化合物(A)は、式Z-NH-(C2b+1)[式中、下付き文字bは、1、2、3、又は4であり、かつZは上記で定義されたとおりである]を有する。例えば、特定のそのような実施形態では、下付き文字bは、1であり、その結果、アミン化合物(A)は、式Z-NHCH[式中、Zは、上で定義したとおりである]を有するメチルアミンである。
【0070】
一部の実施形態では、上記一般式(II)中のDは共有結合であり、Zはヒドロカルビル部分であり、その結果、アミン化合物(A)は、オルガノアミンとして更に定義され得る。一部のそのような実施形態では、ヒドロカルビル部分Zは、5~20個の炭素原子を有するアルキル基(すなわち、C~C20のアルキル基)であり、その結果、アミン化合物(A)は、式(C2b+1)-NHR[式中、下付き文字bは、5~20であり、Rは、上で定義されたとおりである]を有するアルキルアミンである。例えば、特定のそのような実施形態では、Rは、Hであり、その結果、アミン化合物(A)は、C~C20の第一級アルキルアミンである。そのようなアルキルアミンの例としては、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、及びオクタデシルアミンが挙げられ、これらの直鎖状、分岐状、及び/又は環状の異性体を含む。例えば、ペンチルアミンは、1-ペンチルアミン(すなわち、1-アミノペンタン、直鎖異性体)、及びシクロペンチルアミン(すなわち、環状異性体)、並びに、例えば、イソペンチルアミン、ネオペンチルアミン、tert-ペンチルアミン(すなわち、tert-アミルアミン)、sec-ペンチルアミン(すなわち、2-アミノペンタン)、sec-イソペンチルアミン(すなわち、3-メチルブチルアミン、3-ペンチルアミン(すなわち、3-アミノペンタン)、及び2-メチルブチルアミン)などの分岐異性体を包含する。他のそのような実施形態では、Rは、C~Cアルキル基であり、その結果、アミン化合物(A)は、上に説明したC~C20アルキル基と、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基から選択される1つのアルキル基と、を有する、ジアルキルアミン(すなわち、第二級アミン)である。例えば、アミン化合物(A)としての使用に好適なそのようなジアルキルアミンとしては、N-メチルオクチルアミン(すなわち、メチル(オクチル)アミン)が挙げられる。
【0071】
ある実施形態では、上記一般式(II)中のDは、二価連結基であり、かつZは、シロキサン部分であり、その結果、アミン化合物(A)は、式([R SiO(4-i)/2(R3-jSi-D-NHR[式中、R、D、R、下付き文字h、下付き文字i、及び下付き文字jは、独立して選択され、上記で定義されたとおりである]を有するオルガノアミノシロキサンである。特定のそのような実施形態では、シロキサン部分Zは、分岐状シロキサン部分であり、その結果、アミン化合物(A)は、式(RSi-D-NHR[式中、R、二価連結基D、及び部分式(RSi-によって表される分岐状有機ケイ素部分は、カチオン性界面活性剤の同一の部分に関連して、上記で定義され、記載されているとおりである]を有する分岐状アミノシロキサンである。より具体的には、Rは、Hであるか、又は非置換C~Cヒドロカルビル基であり、Dは、二価連結基であり、各々のRは、大略的にR及び-OSi(Rから選択され、ただし、少なくとも1つのRは、-OSi(R[式中、各々のRは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、なお、各々のRは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、各々のRは、R及び-[OSiR OSiR から独立して選択される]である。各々の事例において、各々のRは、独立して選択される、置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、各々の下付き文字mは、0≦m≦100となるように個別に選択される。上記にもかかわらず、当業者であれば、上記カチオン性界面活性剤の、分岐状有機ケイ素部分(RSi-の説明を考慮して、同じ部分の限定の特定の変形例を容易に理解するであろう。
【0072】
一部の実施形態では、上記の一般式(II)のシロキサン部分Zは、分岐状有機ケイ素部分であり、二価連結基Dは、式-D-NH-D-を有するアミノ置換炭化水素であり、その結果、アミン化合物(A)が、式(RSi-D-NH-D-NHR[式中、各々のDは、独立して選択された二価連結基であり、R及びRの各々は、上記で定義したとおりである]を有するようになる。
【0073】
一部の実施形態では、アミン化合物(A)は、以下の式:
【0074】
【化13】
[式中、各々のR、R、R、及びDは、独立して選択され、上記で定義されたとおりである]を有する。特定のこのような実施形態では、各々のRは、Rであり、各々のRは、メチルである。いくつかのこのような実施形態では、各々のRは、Hである。
【0075】
特定の実施形態では、アミン化合物(A)は、以下の構造式:
【0076】
【化14】
[式中、各々のR、R、R、及びDは、独立して選択され、上記で定義されたとおりである]を有する。特定のこのような実施形態では、各々のRは、Rであり、各々のRは、メチルである。いくつかのこのような実施形態では、各々のRは、Hである。
【0077】
ある実施形態では、アミン化合物(A)は、以下の構造式:
【0078】
【化15】
[式中、各々のR、R、R、及びDは、独立して選択され、上記で定義されたとおりである]を有する。特定のこのような実施形態では、各々のRは、Rであり、各々のRは、メチルである。いくつかのこのような実施形態では、各々のRは、Hである。
【0079】
分岐状有機ケイ素部分であるシロキサン部分Zに属する上述した例示的な構造において、各々のRがRであり、各々のRは、メチルである場合のある実施形態が挙げられる。しかしながら、Rが、R以外である場合に、すなわち、Rが、OSi(R及び-[OSiR OSiR [式中、各々のRは、R及び-[OSiR OSiR から選択され、各々のR及び下付き文字mは、独立して選択され、上記で定義されたとおりである]から選択される場合に、更なる次世代の分岐が、分岐状有機ケイ素部分に導入され得るということを理解されたい。
【0080】
アミン化合物(A)は、当業者によって選択される任意の量で利用されてもよく、例えば、反応に選択される特定の成分、採用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、反応させられる成分(A)及び/又は調製されるカチオン性界面活性剤の総量)などに応じたものとなる。
【0081】
アミン化合物(A))は、調製方法の一部として調製されてもよく、又は他の方法で(すなわち、調製済化合物として)入手されてもよい。アミン化合物(A)中に、又はアミン化合物(A)として使用するのに好適な化合物を調製する方法は、当該技術分野において周知であり、そのような化合物の一部は、様々な供給元から市販されている。また、調製方法の一部として、アミン化合物(A)を調製することは、成分(A)及び(B)の反応の前、又はその場で(すなわち、成分(A)及び(B)の反応中に)実施され得る。
【0082】
一般に、第四級アンモニウム化合物(B)は、テトラ(オルガノ)アンモニウム-アニオン錯体であり、第四級アンモニウム部分及びアミン反応性基、すなわち第四級アンモニウム化合物(B)とアミン化合物(A)のアルキル化可能なアミンとの間に共有結合を形成することができる基を有するテトラ(オルガノ)アンモニウムカチオンを有する。具体的には、第四級アンモニウム化合物(B)は、一般式(III):
-NR [X] (III)
[式中、部分式-NR によって表される第四級アンモニウム部分と、対アニオン部分[X]とは、カチオン性界面活性剤に関連して、上記で定義され、記載されているとおりであり、Rはアミン反応性基である]を有する。
【0083】
より具体的には、式(III)中の、第四級アンモニウム部分-NR と対アニオン部分[X]を参照すると、各々のRは、独立して選択された、1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、Xはアニオンである。上記にもかかわらず、当業者は、一般式(I)に関して上記のカチオン性界面活性剤の変数R、及びXの説明を考慮して、一般式(III)における同じ変数R、及びXの限定の特定の変形例を容易に理解するであろう。
【0084】
ある実施形態では、上記一般式(III)における各々のRは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n-プロピル基及びイソ-プロピル基)、及びブチル基(例えば、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、及びtert-ブチル基)などのC~Cのアルキル基から選択される。特定の実施形態では、各々のRは、メチル又はエチルである。特定の実施形態では、各々のRは、メチルであり、その結果、第四級アンモニウム化合物(B)のテトラ(オルガノ)アンモニウムカチオン(すなわち、化合物(B)のうち、上記の一般式(III)中の部分式R-NR で表される部分)が、式R-N(CH [X]を有するオルガノ(トリメチルアンモニウム)化合物として更に定義され得る。
【0085】
典型的には、上記一般式(III)中のXは、無機又は有機モノアニオン(例えば、ハロゲン化物、アリールスルホネート、硝酸、亜硝酸、又はホウ酸アニオンなど)などのモノアニオンである。ある実施形態では、Xは、ハロゲン化物アニオンである。一部のそのような実施形態では、各々のXは、塩化物(すなわち、Cl)である。Xは、上記の代わりにポリアニオンを表してもよく、例えば、2つ以上のテトラ(オルガノ)アンモニウム分子が第四級アンモニウム化合物(B)のテトラ(オルガノ)アンモニウム-アニオン錯体中に存在するということが理解されよう。
【0086】
上に記載されたように、Rは、アミン反応性基である。アミン反応性基Rは特に限定されず、アミン化合物(A)と第四級アンモニウム化合物(B)とから、式(I)のカチオン性界面活性剤を調製するのに好適な任意の基を含み得る。より具体的には、Rは、アミン化合物(A)のアルキル化可能なアミンと(例えば、カップリング反応において)反応させて、第四級アンモニウム化合物(B)とアミン化合物(A)との間に共有結合を形成することができる基である。特に、本明細書の説明を考慮して当業者によって理解されるように、アミン反応性基Rは、カチオン性界面活性剤の連結基Dを形成する。成分(A)及び(B)のカップリング反応は、アミン反応性基Rの特定の選択されたもの、及びそれとのアミン化合物(A)のアルキル化可能なアミンの反応に基づいて分類、特徴付け、又は他のやり方で記載され得る。好適なカップリング反応の例としては、求核置換、開環付加、縮合、求核付加(例えば、マイケル付加)、アルキル化など、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。当業者は、そのようなカップリング反応が、範囲で重複し得ることを容易に理解するであろう。その結果、異なるカップリング反応が同様に分類/特徴付けられ得る。
【0087】
したがって、アミン反応性基Rは、縮合性の官能基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、無水物基など、又は加水分解性及びその後の縮合性を有する基)、置換可能な官能基(例えば、当該技術分野で「脱離基」として理解される、ハロゲン原子、又はひとたび脱離すると、イオン形態で安定な他の基、又はそのような脱離基を含む官能基、例えばエステル、無水物、アミド、エポキシドなどの官能基、求電子性の官能基(例えば、イソシアネート、エポキシドなど)、又はこれらの様々な組み合わせを含み得るか、あるいはそのようなものであり得る。ある実施形態では、アミン反応性基Rは、エポキシド基又はハロゲン原子を含む。
【0088】
ある実施形態では、一般式(III)中のアミン反応性基Rは、式CH(O)CH-Dーを有するエポキシド官能基であり、その結果、第四級アンモニウム化合物(B)のテトラ(オルガノ)アンモニウムカチオン部分が、以下の式:
【0089】
【化16】
[式中、各々のRは、独立して選択され、上記で定義されたとおりであり、Dは、二価連結基である]を有する。
【0090】
大略的に、Dは、任意選択で、例えば、アルコキシ基、シロキシ基、シリル基、アミノ基、アミド基、アセトキシ基、及びアミノキシ基で改質又は置換され得る、二価の置換又は非置換炭化水素基から選択される。Dは、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。一部の実施形態では、Dは、C~C20炭化水素基である。しかし、Dは、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、O、N、Sなど)を有する骨格を含む炭化水素基であり得る。例えば、一部の実施形態では、Dは、エーテル部分を含む骨格を有する炭化水素である。一部のそのような実施形態では、Dは、アミン反応性基Rが、グリシジルエーテルを含むように選択される。他の実施形態では、Dは、例えばメチレン、エチレンなどの、アルキレン基である。ある実施形態では、Dはメチレンであり、その結果、アミン反応性基Rは、エポキシプロピル基である。
【0091】
ある実施形態では、第四級アンモニウム化合物(B)のテトラ(オルガノ)アンモニウムカチオン部分は、以下の式:
【0092】
【化17】
[式中、各々のRが、独立して選択され、上記で定義されたとおりである]を有する。一部のそのような実施形態では、各々のRは、メチルである。
【0093】
一部の実施形態では、一般式(III)中のアミン反応性基Rは、式X’-D-[式中、Dは、上記で定義されているとおりであり、X’は、塩素又は臭素である]を有するハロアルキル基である。例えば、そのような実施形態では、アミン反応性基Rは、ハロエチル基、ハロプロピル基、ハロブチル基、ハロペンチル基、ハロヘキシル基、ハロヘプチル基、ハロオクチル基など、例えば、そのような基のクロロ又はブロモバージョン(例えば、5-ブロモペンチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチルなど)、並びにこれらの誘導体及びこれらの改変物(例えば、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルなど)を含み得るか、あるいはこれらであり得る。
【0094】
第四級アンモニウム化合物(B)としての使用に好適な化合物の具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、(5-ブロモペンチル)トリメチルアンモニウムブロミド、(2-ブロモエチル)トリメチルアンモニウムブロミド、(2-クロロエチル)トリメチルアンモニウムクロリドなど、並びにこれらの誘導体、改変物、及び組み合わせ(代替的塩形態、代替的ハロ形態(例えば、ブロモ対クロロ、クロロ対ブロモなど)などが挙げられる。ある実施形態では、他の化合物もまた、例えば、(3-カルボキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリドなど、並びにこれらの誘導体、改変物、及び組み合わせなどの、第四級アンモニウム化合物(B)において、又はそのような第四級アンモニウム化合物(B)として利用され得る。
【0095】
第四級アンモニウム化合物(B)は、当業者によって選択される任意の量で利用されてもよく、例えば、反応に選択される特定の成分、採用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、反応させられる成分(B)及び/又は調製されるカチオン性界面活性剤の総量)などに応じたものとなる。
【0096】
第四級アンモニウム化合物(B)は、調製方法の一部として調製されてもよく、又は他の方法で(すなわち、調製済化合物として)入手されてもよい。第四級アンモニウム化合物(B)中に、又はアンモニウム化合物(B)として使用するのに好適な化合物を調製する方法は、当該技術分野において周知であり、そのような化合物の一部は、様々な供給元から市販されている。更に、調製方法の一部として実施される場合、第四級アンモニウム化合物(B)を調製することは、成分(A)と(B)との反応の前に、又はその場で(すなわち、成分(A)及び(B)の反応中に)実施され得る。その結果、例えば、第四級アンモニウム化合物(B)を成分(A)と、任意選択的に触媒を用いて組み合わせることによって、成分(B)が形成時に消費される。
【0097】
成分(A)及び(B)の各々は、入手されても、形成されてもよい。より具体的には、上述したように、アミン化合物(A)、第四級アンモニウム化合物(B)の各々は、「そのままで」提供され得る。すなわち、カチオン性界面活性剤を調製するための反応の準備ができている状態で提供され得る。あるいは、成分(A)及び(B)のうちのいずれか一方又は両方は、反応の前又は反応中に形成され得る。したがって、一部の実施形態では、調製方法は、アミン化合物(A)及び/又は第四級アンモニウム化合物(B)を調製することを含む。特定の実施形態では、調製方法は、アミン化合物(A)を調製することを含む。
【0098】
成分(A)及び(B)の各々は、任意の形態、例えば、未希釈(すなわち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤などが存在しない)で利用されてもよく、又は溶媒若しくは分散剤などの担体ビヒクル中に配置されてもよい。これについては、後で更に詳しく説明する。例えば、ある実施形態では、成分(A)及び成分(B)の反応は、担体ビヒクル(例えば、溶媒、希釈剤、分散剤など)の存在下で実行される。一般に、担体ビヒクルは、溶媒、流体、油(例えば、有機油及び/若しくはシリコーン油)など、又はこれらの組み合わせを含むか、あるいは溶媒、流体、油(例えば、有機油及び/若しくはシリコーン油)など、又はこれらの組み合わせである。
【0099】
ある実施形態では、担体ビヒクルは、水を含むか、あるいは、水である。水は特に限定されない。例えば、蒸留水及びイオン交換水などの精製水、生理食塩水、リン酸緩衝水溶液など、又はこれらの組み合わせ及び/若しくはこれらを改質したものを使用することができる。一部のそのような実施形態では、担体ビヒクルは、水と、少なくとも1つの他の溶媒と、を含み、その少なくとも1つの他の溶媒は、水混和性有機溶媒若しくは流体など、又は水不混和性溶媒若しくは流体を含む。
【0100】
一部の実施形態では、担体ビヒクルは、有機溶媒を含む。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及びn-プロパノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンなどのケトン、ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素、ヘプタン、ヘキサン、及びオクタンなどの脂肪族炭化水素、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、及びエチレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテル、ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ホワイトスピリット、ミネラルスピリット、ナフサ、n-メチルピロリドンなど、並びに誘導体、改変物、及びこれらの組み合わせを含むものが挙げられる。ある実施形態では、担体ビヒクルは、水と親和性のある溶媒などの極性有機溶媒を含む。ある実施形態で利用されるそのような極性有機溶媒の特定の例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、2-ブタノン、テトラヒドロフラン、アセトン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0101】
ある実施形態では、担体ビヒクルは、揮発性及び/又は半揮発性炭化水素、エステル、及び/又はエーテルを含む有機油を典型的に含む有機流体を含む。このような有機流体の一般的な例としては、C~C16アルカン、C~C16イソアルカン(例えば、イソデカン、イソドデカン、イソヘキサデカンなど)、C~C16分岐状エステル(例えば、イソヘキシルネオペンタノエート、イソデシルネオペンタノエートなど)などの揮発性炭化水素油、並びにこれらの誘導体、改変物、及び組み合わせが挙げられる。好適な有機流体の追加の例としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、4個以上の炭素原子を有するアルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル、芳香族ハロゲン化物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11~C13)、Isopar H(C11~C12)、水素化ポリデセンが挙げられる。エーテル及びエステルには、ネオペンタン酸イソデシル、ヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジステアリン酸グリコール、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル、ネオペンタン酸トリデシル、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、ネオペンタン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、オクチルエーテル、パルミチン酸オクチル、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0102】
一部の実施形態では、担体ビヒクルは、シリコーン流体を含む。シリコーン流体は、典型的には、低粘度及び/又は揮発性の低いシロキサンである。一部の実施形態では、シリコーン流体は、低粘度オルガノポリシロキサン、揮発性メチルシロキサン、揮発性エチルシロキサン、揮発性メチルエチルシロキサンなど、又はこれらの組み合わせである。典型的には、シリコーン流体は、25℃で1~1,000mm/秒の範囲の粘度を有する。好適なシリコーン流体の具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3、ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサンペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキシルトリメチコンなど、並びにこれらの誘導体、改変物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なシリコーン流体の更なる例としては、5×10-7~1.5×10-6/秒などの好適な蒸気圧を有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。
【0103】
他の担体ビヒクルもまた利用することができる。例えば、一部の実施形態では、担体ビヒクルは、イオン液体を含む。イオン液体の例としては、アニオン及びカチオンの組み合わせが挙げられる。一般に、アニオンは、アルキルスルファート系アニオン、トシラートアニオン、スルホン酸系アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、テトラフルオロボレートアニオンなどから選択され、カチオンは、イミダゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、リチウムカチオンなどから選択される。しかしながら、複数のカチオンとアニオンとの組み合わせもまた利用されてもよい。イオン性液体の具体例としては、典型的には、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス-(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3-メチル-1-プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ビニルイミダゾリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなど、並びにこれらの誘導体、改変物、及び組み合わせが挙げられる。
【0104】
担体ビヒクルが利用される場合、担体ビヒクルは、所望のカップリング反応を考慮して選択される特定のアミン化合物(A)及び/又は第四級アンモニウム化合物(B)などの反応の特定の成分に基づいて選択される。より具体的には、一部の実施形態では、担体ビヒクルは、それが関与するカップリング反応における、かつ/又はそのような反応のタイプの、アミン反応性基Rの性質及びタイプに基づいて選択されることとなる。例えば、ある実施形態では、調製方法は、水、アルコール、エーテル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなど、又はこれらの組み合わせなどの極性成分を含む担体ビヒクル若しくは溶媒の存在下で実施される。同様に、担体ビヒクル又は溶媒の一部を、アミン化合物(A)、第四級アンモニウム化合物(B)、及び/又は(利用される場合/利用される際)他の成分と、個別に、成分の混合物と共にまとめて、又は反応混合物と共に一体として添加するか、又は別様に組み合わせることができることが理解されよう。同様に、アミン化合物(A)及び/又は第四級アンモニウム化合物(B)は、反応の任意の1つ以上の他の成分と組み合わせる前、その最中、又はその後に利用される場合には、担体ビヒクルと組み合わせてもよい。反応混合物中に存在する担体ビヒクル/溶媒の総量は、例えば、選択される特定の成分、採用される反応パラメータなどに基づいて、当業者によって選択されることとなる。
【0105】
ある実施形態では、アミン化合物(A)及び/又は第四級アンモニウム化合物は、担体ビヒクルを含まないか、あるいは、実質的に含まない。一部のそのような実施形態では、アミン化合物(A)及び/又は第四級アンモニウム化合物(B)は、アミン化合物(A)、第四級アンモニウム化合物(B)、調製中のカチオン性界面活性剤、及び/又は反応物の任意の1つ以上の他の成分と反応する担体ビヒクル/揮発性物質を含まないか、あるいは実質的に含まない。例えば、ある実施形態では、調製方法は、反応物の任意の1つ以上の他の成分と組み合わせる前に、アミン化合物(A)及び/又は第四級アンモニウム化合物(B)を、揮発性物質及び/又は溶媒からストリッピングすることを含み得る。ストリッピングする技術は、当該技術分野において公知であり、加熱、乾燥、減圧/真空の適用、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの利用など、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。これらの実施形態では、成分(A)及び(B)の反応は、典型的には、いかなる担体ビヒクルも溶媒も存在しない条件下で実行され、すなわち、その結果、反応中、反応混合物中には何らの担体ビヒクルも溶媒も存在しない(例えば、反応混合物は、溶媒を含まず、あるいは実質的に含まない)。上記にもかかわらず、ある実施形態では、成分(A)及び(B)のうちの一方又は両方は、例えば、反応混合物の任意の他の(複数の)成分を担持、溶解、又は分散させるのに十分な量の流体として利用される場合には、担体であり得る。
【0106】
利用されるアミン化合物(A)及び第四級アンモニウム化合物(B)の相対量は、例えば、選択された特定のアミン化合物(A)、選択された特定の第四級アンモニウム化合物(B)、用いた反応パラメータ、例えば、触媒若しくは他の成分が利用されるかどうかなどに基づいて変化し得る。典型的には、成分(A)及び(B)のうちの1つの過剰(例えば、モル及び/又は化学量論的)を利用して、例えば、そこから形成される反応生成物の精製を簡素化するために、アミン化合物(A)及び/又は第四級アンモニウム化合物(B)を完全に変換させるか、又は消費する。例えば、ある実施形態では、第四級アンモニウム化合物(B)は、アミン化合物(A)を相対的に過剰に利用して、アミン化合物(A)のアルキル化を最大化して、そこからカチオン性界面活性剤を調製する。(例えば、第四級アンモニウム化合物(B)の最大消費が望ましい場合、アミン化合物(A)のアルキル化に制限を加えることが望まれる場合など)代わりに、アミン化合物(A)は、第四級アンモニウム化合物(B)を過剰に使用することができることを理解されたい。
【0107】
当業者によって理解されるように、アミン化合物(A)と第四級アンモニウム化合物(B)とのアルキル化/カップリングは、アミン化合物(A)内のアルキル化可能なアミノ基(例えば、N-H基)の数に基づいて、理論上の最大値で生じる。特に、上記のアミン化合物(A)の一般式(II)を参照すると、式-NHRのアミン部分は、Rが、非置換ヒドロカルビル基であるときに、1回アルキル化され得る。RがHである場合には2回アルキル化され得る。更に、二価連結基Dが、式-D-NH-D-のアミノ置換炭化水素部分である場合、アミン化合物(A)は、別のアルキル化可能なアミノ基を含む。したがって、アミン化合物(A)は、上記一般式(II)のR及び二価連結基Dの選択に応じて、1つ、あるいは2つ、あるいは3つのアルキル化可能なアミノ基を含む。これらのアルキル化可能なアミノ基の各々は、アミン反応性基Rと反応させることができ、その結果、理論的に完全な(すなわち、最大の)アルキル化反応を達成するためには、1モル当量の第四級アンモニウム化合物(B)が、アミン化合物(A)の、全てのアルキル化可能なアミノ基ごとに必要とされるようになる。同様に、アミン化合物(A)と第四級アンモニウム化合物(B)との反応の理論上の最大化学量論比は、[N-H]:[R]=1:1[式中、[N-H]は、アミン化合物(A)のアルキル化可能なアミノ基の数を表し、[R]は、第四級アンモニウム化合物(B)のアミン反応性基Rの数を表し、これは一般に、1で固定されている]である。したがって、アミン化合物(A)と、第四級アンモニウム化合物(B)とは、典型的には、[N-H]:[R]=10:1~1:10、あるいは8:1~1:8、あるいは6:1~1:6、あるいは4:1~1:4、あるいは2:1~1:2、あるいは1:1の化学量論比で反応する。なお、[N-H]及び[R]は、上で定義したとおりである。これらの又は他の実施形態では、アミン化合物(A)及び第四級アンモニウム化合物(B)を、(A):(B)=10:1~1:10、あるいは8:1~1:8、あるいは6:1~1:6、あるいは4:1~1:4、あるいは2:1~1:2、あるいは1:1.5のモル比で反応させる。
【0108】
しかしながら、上記の特定の範囲外の比も利用され得ることが理解されよう。例えば、ある実施形態では、例えば、反応中に第四級アンモニウム化合物(B)が担体(すなわち、溶媒、希釈剤等)として使用される場合、総過剰量(例えば、アミン化合物(A)の、化学量論又はモル量の5倍以上、あるいは10倍以上、あるいは15倍以上、20倍以上の量で)で使用される。同様に、他の実施形態では、例えば、反応中に、アミン化合物(A)が担体(すなわち、溶媒、希釈剤など)として使用される場合、アミン化合物(A)は、総過剰量(例えば、第四級アンモニウム化合物(B)の化学量論量又はモル量の5倍以上、10倍以上、又は15倍以上、又は20倍以上の量)で使用される。いずれにせよ、当業者は、理論上の最大反応性比、任意の担体ビヒクル(複数可)の存在、利用される特定の成分などを含む、様々な成分の特定の量及び比を容易に選択して、本明細書に記載の実施形態による組み込まれたシリコーンを調製する。
【0109】
一部の実施形態では、調製方法は、(C)触媒の存在下で、アミン化合物(A)及び第四級アンモニウム化合物(B)を反応させることを含む。触媒(C)を含めることは、典型的には、第四級アンモニウム化合物(B)のアミン反応性基Rの選択に基づく。同様に、触媒(C)において又は触媒(C)として使用するために選択された特定のタイプの、又は具体的な(複数種の)化合物は、選択された特定のアミン化合物(A)及び第四級アンモニウム化合物(B)に基づいて、当業者によって容易に選択されるであろう。より具体的には、触媒(C)は、アミン化合物(A)の、第四級アンモニウム化合物(B)とのカップリングの触媒として作用するように選択され、したがって、利用した第四級アンモニウム化合物(Bの具体的なアミン反応性基R、所望のカップリング反応の種類などに基づいて選択される。したがって、これは、本明細書の説明を考慮することで当業者には理解されるように、触媒(C)は特に制限されず、アミン化合物(A)と第四級アンモニウム化合物(B)とのカップリング(例えば、アミン化合物(A)のアルキル化可能なアミンと第四級アンモニウム化合物(B)のアミン反応性基Rの反応を介して/の反応を含む)を促進するのに好適な任意の化合物を含み得るか、又はそのような化合物であり得る。例えば、ある実施形態では、触媒(C)は、開環付加、求核置換、求核付加、アルキル化、縮合などを含むこれらの促進反応、並びにそのような反応の組み合わせから選択される。
【0110】
一部の実施形態では、触媒(C)は、無機若しくは有機塩基若しくは酸(すなわち、酸型若しくは塩基型触媒)、ルイス酸若しくはルイス塩基などの酸又は塩基触媒を含むか、あるいはそのような酸又は塩基触媒である。このような実施形態では、触媒(C)は、金属原子を含み得る。あるいは、金属原子を実質的に含まなくてもよく、またあるいは、金属原子を含まなくてもよい。当業者によって理解されるように、酸/塩基型触媒を利用して、アミン化合物(A)及び第四級アンモニウム化合物(B)を開環反応、求核置換、求核付加、縮合などを介して結合させることができる。
【0111】
触媒(C)において又は触媒(C)としての使用に好適な酸/塩基型触媒の例としては、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化セシウム(CsOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム((CH)NOH、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、スルホン酸、硫酸(HSO)、カルボン酸、鉱酸など、並びにこれらの誘導体、改変物、及び組み合わせが挙げられる。ある実施形態では、触媒(C)は、鉱酸、例えば、塩酸(HCl)、硝酸(HNO)、リン酸(HPO)、硫酸(HSO)、ホウ酸(HBO)、フッ化水素酸(HF)、臭化水素酸(HBr)、過塩素酸(HClO)など、又はこれらの組み合わせを含むか又はこれらである。特定の実施形態では、鉱酸は、アニオンXに基づいて選択される。例えば、ある実施形態では、アニオンXはClであり、触媒(C)は、塩酸を含むか、あるいは塩酸である。
【0112】
触媒(C)において、又は触媒(C)として使用するのに好適な化合物を調製する方法は、当該技術分野において周知であり、本明細書に列挙される化合物の多くは、様々な供給元から市販されている。したがって、触媒(C)は、調製方法の一部として調製されてもよく、又は他の方法で(すなわち、調製済化合物として)入手されてもよい。触媒(C)の調製は、成分(A)と(B)との反応の前に、又はその場で(すなわち、成分(A)と(B)との反応中に、例えば、触媒(C)の成分を成分(A)及び/又は(B)と組み合わせることによって)実施され得る。
【0113】
触媒(C)は、任意の形態、例えば、未希釈で利用されてもよく(すなわち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤などが存在しない)、又は溶媒若しくは分散剤(例えば、上記で列挙したもののいずれかなど)などの担体ビヒクル中に配置されてもよい。一部の実施形態では、触媒(C)は、水、及び/又は化合物(A)及び/又は(B)、触媒(C)そのもの(すなわち、少なくとも、成分(A)と(B)と組み合わされるまで)、及び/又は調製中のカチオン性界面活性剤と反応する水及び/又は担体ビヒクル/揮発性物質不在の形で用いられる。例えば、ある実施形態では、調製方法は、触媒(C)から揮発性物質及び/又は溶媒(例えば、水、有機溶媒など)をストリッピングすることを含んでもよい。触媒(C)をストリッピングするための技術は、当技術分野において既知であり、加熱、乾燥、減圧/真空の印加、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの利用など、及びこれらの組み合わせを含み得る。他の実施形態では、触媒(C)は、担体ビヒクル中の溶液又は懸濁液として利用される。例えば、一部の実施形態では、触媒(C)は、HCl(水溶液)などの鉱酸の水溶液を含む。
【0114】
触媒(C)は、当業者によって選択される任意の量で利用されてもよいが、これは、例えば、選択される特定の触媒(C)(例えば、その活性成分の濃度/量、利用されている触媒のタイプ、実施されるカップリング反応のタイプなど)、利用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、利用される成分(A)及び(B)の総量など)などに基づく。反応に利用される成分(A)及び/又は(B)に対する触媒(C)のモル比は、カチオン性界面活性剤を調製するためのカップリングの速度及び/又は量に影響を及ぼし得る。したがって、成分(A)及び/又は(B)と比較した触媒(C)の量、並びにこれらの間のモル比は、変動し得る。典型的には、これらの相対量及びモル比は、(例えば、反応の経済的効率の増加、形成される反応生成物の精製の簡易性の増加などのために)触媒(C)の充填量を最小限に抑えながら、成分(A)及び成分(B)の反応を最大化するように選択される。
【0115】
ある実施形態では、触媒(C)は、利用される成分(A)の総量に基づいて、0.000001~50重量%の量(すなわち、重量/重量)で反応において利用される。例えば、触媒(C)は、利用される成分(A)の総量に基づいて、0.000001~40重量%、例えば、0.000001~20重量%、あるいは0.000001~10重量%、あるいは0.000002~5重量%、あるいは0.000002~2重量%、あるいは0.000002~0.5重量%、あるいは0.00001~0.5重量%、あるいは0.0001~0.5重量%、あるいは0.001~0.5重量%、あるいは0.01~0.5重量%の量で使用され得る。同様に又は代替的に、触媒(C)は、利用される成分(B)の総量に基づいて、0.000001~50重量%の量(すなわち、重量/重量)で反応において利用され得る。例えば、触媒(C)は、利用される成分(B)の総量に基づいて、0.000001~40重量%、例えば0.000001~20重量%、あるいは0.000001~10重量%、あるいは0.000002~5重量%、あるいは0.000002~2重量%、あるいは0.000002~0.5重量%、あるいは0.00001~0.5重量%、あるいは0.0001~0.5重量%、あるいは0.001~0.5重量%、あるいは0.01~0.5重量%の量で使用され得る。これらの範囲外の比率も同様に利用され得ることが理解されよう。
【0116】
一部の実施形態では(例えば、架橋反応のタイプが化学量論的充填量を決定する場合)、利用される触媒(C)の量は、当業者によって理解されるように、反応の1つ以上の成分に基づくモル比で選択及び/又は決定され得る。そのような実施形態では、触媒(C)は、利用される成分(A)又は(B)の総量に基づいて、0.001~50モル%の量で反応に利用され得る。例えば、触媒(C)は、利用される成分(A)の総量、利用される成分(B)の総量、又は利用される成分(A)及び(B)の総量(すなわち合計した量)に基づいて、0.005~40モル%、あるいは0.005~30モル%、あるいは0.005~20モル%、あるいは0.01~20モル%の量で使用され得る。しかしながら、これらの範囲外の比も利用され得ることが理解されよう。
【0117】
アミン化合物(A)と第四級アンモニウム化合物(B)とを反応させることは、概して、アミン化合物(A)と第四級アンモニウム化合物(B)とを組み合わせることを含む。別の言い方をすれば、アミン化合物(A)と第四級アンモニウム化合物(B)とを組み合わせること以外に、還元反応に必要とされる積極的工程は概ね存在しないが、様々な任意選択による工程が本明細書に記載されている。
【0118】
典型的には、成分(A)及び(B)、及び任意選択的に(C)を、容器又は反応器内で反応させて、組み込まれたシリコーンを調製する。以下に記載されるように、反応が高温又は低温で実施されるとき、容器又は反応器は、例えばジャケット、マントル、交換器、浴、コイルなどを介して、任意の好適な様式で加熱又は冷却されてもよい。
【0119】
成分(A)及び成分(B)、並びに任意選択で成分(C)は、容器に一緒に若しくは別々に供給されてもよく、又は任意の添加の順番で、かつ任意の組み合わせで容器内に配給されてもよい。例えば、ある実施形態では、成分(B)及び成分(C)が、成分(A)を含有する容器に添加される。このような実施形態では、成分(B)及び成分(C)は、添加前に最初に組み合わされてもよく、又は容器に順次添加されてもよい(例えば、(C)の後に(B))。他の実施形態では、成分(C)は、成分(A)及び(B)を入れた容器に、事前に作製された触媒として、又はその場で触媒(C)を形成するための個々の成分として添加される。概して、本明細書における「反応混合物」への言及は、全般的に、成分(A)及び成分(B)、並びに任意選択で成分(C)(それが用いられる場合には)を含む(例えば、上述のような成分を組み合わせることによって得られるような)混合物を指す。
【0120】
調製方法は、反応混合物を撹拌することを更に含み得る。撹拌は、例えば、反応混合物において組み合わされたときに、成分(A)、成分(B)、及び任意選択で成分(C)をより一層混合及び接触させることができる。このような接触は独立して、(例えば、並行して又は順次)撹拌を伴って、又は撹拌を伴わずに(すなわち、独立して、あるいはその代わりに)他の条件を使用することもできる。他の条件は、アミン化合物(A)と第四級アンモニウム化合物(B)との接触、したがって反応(すなわち、架橋)を増進して、カチオン性界面活性剤を形成するように適応され得る。他の条件は、反応収率を向上するための、又はカチオン性界面活性剤化合物と共に反応生成物内に含まれる特定の反応副生成物の量を最小限に抑えるための、結果を得るのに有効な条件であり得る。
【0121】
成分(A)及び(B)は、均質な条件下又は不均一な条件下、例えば、均質な溶液中又は多相(例えば、二相性)反応において反応させることができる。本明細書の例示的な実施形態から理解されるように、任意選択で成分(C)の存在下での成分(A)及び(B)の反応の特定の形態及び条件は独立して選択される。
【0122】
ある実施形態では、利用される特定の第四級アンモニウム化合物(B)に応じて、成分(A)及び(B)の反応は、副生成物を生成し得る。そのような実施形態では、これらの副生成物は、ひとたび生成されると、反応混合物から除去され得る。当該技術分野において理解されるように、カップリング反応の一部は、可逆反応であり、それによって副生成物を反応混合物から除去することが、(例えば、反応の平衡をその生成物に向かって選択的に駆動することによって)反応に、カチオン性界面活性剤の選択性に関して好ましくかつ/又は全体的な収率に関して影響を及ぼす。副生成物の除去は、蒸留、加熱、減圧/真空の適用、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの使用など、及びこれらの組み合わせを、反応中であっても含み得る。
【0123】
一部の実施形態では、反応は、高温で実施される。高温は、選択された特定のアミン化合物(A)、選択された特定の第四級アンモニウム化合物(B)、選択された反応容器(例えば、大気圧に開放されているかどうか、封止されているかどうか、減圧下であるかどうか)などに応じて、選択され、制御される。したがって、高温は、選択された反応条件及びパラメータ、並びに本明細書の説明を考慮して、当業者によって容易に選択される。高温は、典型的には、25℃(周囲温度)超~300℃であり、例えば、30~260℃、あるいは30~250℃、あるいは35~250℃、あるいは35~225℃、あるいは35~200℃、あるいは40~200℃、あるいは40~180℃、あるいは40~160℃、あるいは45~140℃、あるいは45~120℃、あるいは40~120℃である。
【0124】
上記の高温はまた、特に高温及び他の条件(例えば、減圧)の両方が組み合わされて利用される場合、上述した範囲とは異なり得るということを理解されたい。同様に、成分(A)及び(B)の反応中に、反応パラメータを修正してもよいことも理解されたい。例えば、温度、圧力、及び他のパラメータは、反応中に独立して選択又は修正され得る。これらのパラメータはいずれも、独立して、周囲パラメータ(例えば、室温及び/又は大気圧)及び/又は非周囲パラメータ(例えば、低温若しくは高温及び/又は減圧若しくは高圧)であってもよい。任意のパラメータはまた、動的に変更されてもよく、リアルタイムで、すなわち、反応中に変更されてもよく、又は静的(例えば、反応の持続時間中又はその任意の部分にわたって)であってもよい。
【0125】
カチオン性界面活性剤を調製するための成分(A)及び(B)の反応が実施される間の時間は、規模、反応パラメータ及び条件、特定の成分の選択などに相関する。比較的大きい規模(例えば、1kg超、あるいは5kg超、あるいは10kg超、あるいは50kg超、あるいは100kg超)では、(例えば、アミン化合物(A)の転化、カチオン性界面活性剤の生成などを、例えばクロマトグラフィ及び/又は分光方法によってモニタすることによって)当業者によって容易に決定されるであろうように、反応は、2~240時間、あるいは2~120時間、あるいは2~96時間、あるいは2~72時間、2~48時間、あるいは3~36時間、あるいは4~24時間、あるいは6、12、18、24、36、又は48時間などの数時間の間実施され得る。ある実施形態では、反応が実施される時間は、成分(A)及び(B)が、任意選択的に成分(C)の存在下で組み合わされた後、0超~240時間、あるいは1~120時間、あるいは1~96時間、あるいは1~72時間、あるいは1~48時間、あるいは1~36時間、あるいは1~24時間、あるいは1~12時間、あるいは2~12時間、あるいは2~8時間である。特定の実施形態では、反応が実行されている間の時間は、0超~10時間であり、例えば1分間~8時間、あるいは5分間~6時間、あるいは10分間~4時間、あるいは30分間~3時間である。
【0126】
概して、成分(A)と(B)との反応によって、カチオン性界面活性剤を含む反応生成物が調製される。特に、反応の過程にわたって、成分(A)及び(B)を含む反応混合物は、増加した量のカチオン性界面活性剤及び減少した量の成分(A)及び(B)を含む。ひとたび反応が完了すると(例えば、成分(A)又は成分(B)のうちの1つが消費され、追加のカチオン性界面活性剤が調製されないなど)、反応混合物は、カチオン性界面活性剤を含む反応生成物と称され得る。このように、反応生成物は、典型的には、任意の残りの量の成分(A)及び(B)、並びに任意選択的に(C)、並びにその分解生成物及び/又は反応生成物(例えば、蒸留、ストリッピングなどによって以前に除去されなかった副生成物及び/又は材料)を含む。反応が任意の担体ビヒクル又は溶媒中で実施される場合、反応生成物はまた、このような担体ビヒクル又は溶媒も含んでもよい。
【0127】
一部の実施形態では、調製方法は、反応生成物のpHを調整することを含む。当業者には理解されるように、反応生成物のpHを調整することは、酸又は塩基を添加して、それぞれpHを増加又は減少させることを含む。例えば、ある実施形態では、pHを調整することは、反応生成物のpHを8以上、あるいは9以上に調整するのに十分な量で酸(例えば、HCl)を添加することを含む。一部の実施形態では、調製方法は、カチオン性界面活性剤の全てではないが一部のアミン基をプロトン化するのに十分な量で酸を添加することを含み、その結果、反応生成物は、緩衝溶液として(すなわち、遊離アミン基及びそのプロトン化形態(例えば、アンモニウムカチオン)の両方を用いて調製される。
【0128】
ある実施形態では、調製方法は、カチオン性界面活性剤を反応生成物から単離及び/又は精製することを更に含む。本明細書で使用される場合、カチオン性界面活性剤を単離することは、典型的には、カチオン性界面活性剤の相対濃度を、(例えば、反応生成物又はその精製されたバージョンにおいて)それと組み合わせた他の化合物と比較して高めることと定義される。したがって、当該技術分野で理解されるように、単離/精製は、他の化合物をこのような組み合わせから除去すること(すなわち、例えば、反応生成物中のカチオン性界面活性剤と合わせた不純物の量を減少させること)、及び/又はカチオン性界面活性剤自体を、組み合わせから取り出すことを含み得る。単離のための任意の好適な技術及び/又はプロトコルが利用され得る。好適な単離技術の例としては、蒸留、ストリッピング/蒸発、抽出、濾過、洗浄、分配、相分離、クロマトグラフィなどが挙げられる。当業者によって理解されるように、これらの技術のいずれかは、任意の別の技術と組み合わせて(すなわち、順次に)使用されて、カチオン性界面活性剤を単離し得る。単離は、カチオン性界面活性剤の精製を含み得、したがって、カチオン性界面活性剤の精製と称され得ることを理解されたい。しかしながら、カチオン性界面活性剤の精製は、カチオン性界面活性剤の単離に利用されるものと比較して、代替的かつ/又は追加の技術を含み得る。選択される特定の(複数の)技術に関係なく、カチオン性界面活性剤の単離及び/又は精製は、反応自体と連続して(すなわち、インラインで)実施され得、したがって自動化され得る。他の事例では、精製は、カチオン性界面活性剤を含む反応生成物に施される独立した手順であり得る。
【0129】
特定の実施形態では、カチオン性界面活性剤を単離することは、例えば、追加の有機溶媒又は水性溶媒をそれに添加して、反応生成物を分配及び/又は相分離することによって、担体ビヒクルの溶解度プロファイルを変えることを含む。これらの又は他の実施形態では、カチオン性界面活性剤を単離することは、反応生成物の他の成分を濾過して取り除く(すなわち、カチオン性界面活性剤が残留物/固体中に存在する場合)ことを含む。これらの又は他の実施形態では、カチオン性界面活性剤を単離することは、反応生成物の他の成分を、(例えば、有機及び/又は水性溶媒を用いて)カチオン性界面活性剤から洗い流すことを含む。ある実施形態では、カチオン性界面活性剤を単離することは、それから溶媒及び/又は他の揮発性成分をストリッピングすることを含み、これは、カチオン性界面活性剤を乾燥させることを包含する。
【0130】
本開示の実施形態を示す以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。以下の簡潔な概要により、ある特定の略語、略記、及び実施例に利用される成分に関する情報が得られる。ケイ素原子からの明示的に示されていない各々の基、及びケイ素原子から下がっている各々の基は、特に指示がない限り、メチル基(-CH)である。
【0131】
「Si10PrCl」は、10個のケイ素原子、及びクロロプロピル基(PrCl、-CHCHCH-Cl)を有する分岐状有機ケイ素であり、以下の一般式(a)のものである。
【0132】
【化18】
【0133】
Si7PrCl」は、7個のケイ素原子、及びクロロプロピル基(PrCl、-CHCHCH-Cl)を有する分岐状有機ケイ素であり、以下の一般式(b)のものである。
【0134】
【化19】
【0135】
Si4PrCl」は、3-(3-クロロプロピル)-1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン、4個のケイ素原子を有する分岐状有機ケイ素、及びクロロプロピル基(PrCl、-CHCHCH-Cl)を有する分岐状有機ケイ素であり、以下の一般式(c)のものである。
【0136】
【化20】
【0137】
「Si10PDA」は、10個のケイ素原子、及びプロピルジアミノプロピル基(PrNHPrNH、-(CHNH(CHNH)を有する分岐状有機ケイ素であり、以下の一般式(d)のものである。
【0138】
【化21】
【0139】
Si7PDA」は、7個のケイ素原子、及びプロピルジアミノプロピル基(PrNHPrNH、-(CHNH(CHNH)を有する分岐状有機ケイ素であり、以下の一般式(e)のものである。
【0140】
【化22】
【0141】
Si4PDA」は、4個のケイ素原子、及びプロピルジアミノプロピル基(PrNHPrNH、-(CHNH(CHNH)を有する分岐状有機ケイ素であり、以下の一般式(f)のものである。
【0142】
【化23】
【0143】
調製例1:3-(3-クロロプロピル)-1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン(Si4PrCl)の調製
【0144】
【化24】
グローブボックス内で、トリクロロ(3-クロロプロピル)シラン(12.718g、60mmol)及びクロロトリメチルシラン(39.110g、360mmol)を秤量し、撹拌子、滴下漏斗、サーモウェル、窒素入口、及びNaHCOスクラバーに接続された窒素出口を備えた250mLの三口フラスコ中に混合する。上記の系を水浴(20~23℃)で冷却し、18分かけて、無水2-プロパノール(32.454g、540mmol)を滴下して充填し、得られた混合物を1.5時間撹拌した。次いで、混合物を氷浴で冷却し、脱イオン水(9.720g、540mmol)をゆっくりと添加し(DI H2O添加中に、温度を2.8℃から21℃に上昇させる)、得られた混合物を、1時間45分撹拌しながら氷浴内に維持する。次いで、氷浴を除去し、混合物を室温で3時間15分(5時間、全反応時間)撹拌する。トルエン(100mL)を添加し、得られた混合物を室温で5分間撹拌し、分液漏斗に移す。水相を除去し、残りのトルエン相を水(2×100mL)で洗浄し、10%のNaHCO/HO溶液(2×100mL)で洗浄し、かつ水(3×100mL)で洗浄し、それからMgSO上で乾燥させ、フラスコ内に濾過した。次いで、溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、生成物を透明な油として得る(Si4PrCl:20.98g、95%GC面積、89%収率)。これを、H、13C、及び29Si NMR(溶媒として、Cを用いる)で分析する。NMRの結果は、上に示した構造と一致している。
【0145】
調製例2:Si7PrClの調製
1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(255g)を、熱電対、機械的撹拌機、滴下漏斗、及びNバブラーに適合された水冷凝縮器を備えた500mLの四口フラスコに充填する。次いで、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(BCF、50ppm)を、フラスコに添加する。3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン(96.3g、Gelest、Inc.より入手)及びBCF(150ppm)を、滴下漏斗内で混合して触媒混合物を形成し、その後、その触媒混合物を、30分かけてフラスコにゆっくりと添加する一方で、氷水浴を使用して熱を除去し、ポット温度を30℃未満に制御する。次いで、混合物を、室温で1時間撹拌する。この時点で、H NMRは、変換が99%超であることを示す。次いで、混合物を、ロータリーエバポレーター(110℃、1トル、30分)を用いて濃縮し、生成物(Si7PrCl)を得る。
【0146】
調製例3:Si10PrClの調製
1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(470g)を、熱電対、機械的撹拌機、滴下漏斗、及びNバブラーに適合された水冷凝縮器を備えた1000mLの四口フラスコに充填する。次いで、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(BCF、25ppm)を、フラスコに添加する。3-クロロプロピルトリメトキシシラン(130.6g、Gelest、Incより入手)、及びBCF(175ppm)を、滴下漏斗内で混合して触媒混合物を形成し、その後、その触媒混合物を、58分かけてフラスコにゆっくりと添加する一方で、氷水浴を使用して熱を除去し、ポット温度を30℃未満に制御する。次いで、混合物を、室温で2時間撹拌する。この時点で、H NMRは、変換が100%であることを示す。次いで、混合物を、ロータリーエバポレーター(130℃、1トル、60分)を用いて濃縮し、生成物(Si10PrCl)を得る。
【0147】
調製例4:Si4PDAの調製
【0148】
【化25】
20mLの試料バイアルに、1,3-ジアミノプロパン(7.15g)及びSi4PrCl(12.05g)を充填し、次いで120℃に加熱し、約17時間混合する。次いで、混合物を室温まで冷却し、100mLのガラス試料瓶に移す。脱イオン水(32.5g)及びヘプタン(10.36g)を瓶に添加し、二相混合物を、圧力蓄積を回避するために瓶に蓋をせずに撹拌する。次いで、二相溶液が完全に分離するまで試料を静置させる。次いで、最上層を、一頚丸底フラスコに取り出し、ロータリーエバポレーター(60℃、約15mmHg)を介してストリッピングして、ヘプタンを除去し、最終生成物(Si4-Pr-ジアミノプロパン(「Si4PDA」)、10.86g回収)を得る。
【0149】
調製例5:Si7PDAの調製
【0150】
【化26】
2本の20mLの試料バイアルの各々に、1,3-ジアミノプロパン(5.62g)及びSi7PrCl(14.59g)を充填し、次いで120℃に加熱し、約15時間混合する。次いで、各々の混合物を室温まで冷却し、500mLのガラス試料瓶中で合わせて、合計39.17gの反応溶液を得る。脱イオン水(38.72g)及びヘプタン(37.80g)を瓶に添加し、二相混合物を、圧力蓄積を回避するために瓶に蓋をせずに撹拌する。次いで、二相溶液が完全に分離するまで試料を静置させる。次いで、最上層をシリンジを介して除去し、シリンジフィルター(2.0μm)を通してフラスコに濾過し、単純蒸留(60℃及び約20mmHg)を介してストリッピングして、ヘプタンを除去し、最終生成物(Si7-Pr-ジアミノプロパン(「Si7PDA」))を得る。
【0151】
調製例6:Si10PDAの調製
【0152】
【化27】
200mLの受容用フラスコに、Si10PrCl(50g)、1,3-ジアミノプロパン(25g)、及びZnO(2.62g)を充填し、次いで油浴を使用して140℃に加熱し、9時間保持する。次いで、混合物を室温まで冷却し、濾過して固体を除去し、相分離させる。最上層を回収し、回転蒸発器(120℃、1mmHg未満の圧力下、60分間)で濃縮させ、生成物(Si10PDA、ほぼ無色)を得る。
【0153】
実施例1:Si4(QUAB)の合成
【0154】
【化28】
3-アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(6.34g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(4.09g、72.7%水溶液)、エタノール(5.50g)、及びHCl(0.66g、0.1N)を、1オンスバイアル中で混合し、60℃の加熱ブロック上で撹拌して混合物を得る。この混合物は、約9分以内に透明になる。混合物を1時間40分間撹拌し、次いでHCl(3.10g、2N)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、カチオン性界面活性剤(Si4(QUAB)、濃度47.1%)を含む反応生成物を得る。
【0155】
実施例2:Si4(QUAB)1.5の合成
【0156】
【化29】
3-アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(6.35g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(6.01g、72.7%水溶液)、エタノール(5.86g)、及びHCl(1.5g、0.1N)を、1オンスバイアル中で混合し、60℃の加熱ブロック上で撹拌して混合物を得る。この混合物は、約15分以内に透明になる。混合物を1時間40分撹拌し、次いでHCl(3.09g、2N)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、カチオン性界面活性剤(Si4(QUAB)1.5、水で40重量%の濃度に調整)を含む反応生成物を得る。
【0157】
実施例3:C6N(QUAB)の合成
【0158】
【化30】
1-ヘキシルアミン(2.82g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(6.21g、72.7%水溶液)、エタノール(5.02g)、及びHCl(1.35g、0.1N)を、1オンスバイアル中で混合し、60℃の加熱ブロック上で撹拌して混合物を得る。この混合物は約2分以内に透明になる。混合物を2.5時間撹拌し、次いでHCl(4.69g、2N)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、カチオン性界面活性剤(C6N(QUAB)、濃度36.7重量%)を含む反応生成物を得る。
【0159】
実施例4:C8N(QUAB)の合成
【0160】
【化31】
1-オクチルアミン(3.60g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(6.21g、72.7%水溶液)、エタノール(5.04g)、及びHCl(1.35g、0.1N)を、1オンスバイアル中で混合し、60℃の加熱ブロック上で撹拌して混合物を得る。この混合物は、約3分以内に透明になる。混合物を2.5時間撹拌し、次いでHCl(4.76g、2N)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、カチオン性界面活性剤(C8N(QUAB)、濃度38.6重量%)を含む反応生成物を得る。
【0161】
実施例5:C10N(QUAB)の合成
【0162】
【化32】
1-デシルアミン(4.38g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(6.19g、72.7%水溶液)、エタノール(5.00g)、及びHCl(1.35g、0.1N)を、1オンスバイアル中で混合し、60℃の加熱ブロック上で撹拌して混合物を得る。この混合物は、約4分以内に透明になる。混合物を2.5時間撹拌し、次いでHCl(4.72g、2N)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、カチオン性界面活性剤(C10N(QUAB)、濃度40.8重量%)を含む反応生成物を得る。
【0163】
実施例6:Si4PDA(QUAB)の合成
【0164】
【化33】
Si4PDA(4.63g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(1.47g、72.7%水溶液)、エタノール(4.08g)、及びHCl(1.18g、0.1N)を、1オンスバイアル中で混合し、60℃の加熱ブロック上で撹拌して混合物を得る。この混合物は、25分後には透明になる。混合物を3時間撹拌し、次いで冷却させて、カチオン性界面活性剤(Si4PDA(QUAB)、濃度53.7重量%)を含む反応生成物を得る。
【0165】
実施例7:Si7PDA-QUABの合成
【0166】
【化34】
Si7PDA(2.64g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(0,46g、72.7%水溶液)、エタノール(3.00g)、及びHCl(0.05g、0.1N)を、1オンスのバイアル中で混合し、50℃の加熱ブロック上で撹拌して混合物を得る。この混合物は、直ちに透明になる。混合物を3時間撹拌し、次いでHCl(1.29g、2N)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、カチオン性界面活性剤(Si7PDA(QUAB)、濃度38.8重量%)を含む反応生成物を得る。
【0167】
実施例8:Si7PDA(QUAB)1.5の合成
【0168】
【化35】
Si7PDA(2.18g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(0.88g、1.5当量、72.7%水溶液)、エタノール(3.00g)、及びHCl(0.08g、0.1N)を、1オンスのバイアル中で混合し、50℃の加熱ブロック上で撹拌して混合物を得る。この混合物は、直ちに透明になる。混合物を3時間撹拌し、次いでHCl(1.12g、2N)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、カチオン性界面活性剤(Si7PDA(QUAB)1.5、濃度39.3重量%)を含む反応生成物を得る。
【0169】
実施例9:Si10PDA-QUABの合成
【0170】
【化36】
Si10PDA(2.66g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(0.40g、72.7%水溶液)、エタノール(3.00g)、及びHCl(0.04g、0.1N)を、1オンスのバイアル中で混合し、50℃の加熱ブロック上で撹拌して混合物を得る。この混合物は、直ちに透明になる。混合物を3時間撹拌し、次いでHCl(0.99g、2N)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、カチオン性界面活性剤(Si10PDA(QUAB)、濃度41.7重量%)を含む反応生成物を得る。
【0171】
実施例10:Si10PDA(QUAB)1.5の合成
【0172】
【化37】
Si10PDA(2.40g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(0.70g、1.5当量、72.7%水溶液)、エタノール(3.00g)、及びHCl(0.06g、0.1N)を、1オンスのバイアル中で混合し、50℃の加熱ブロック上で撹拌して混合物を得る。この混合物は、直ちに透明になる。混合物を3時間撹拌し、次いでHCl(0.88g、2N)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、カチオン性界面活性剤(Si10PDA(QUAB)1.5、濃度41.3重量%)を含む反応生成物を得る。
【0173】
上の記載は、開示の一般かつ特定の実施形態に関する。しかしながら、同等の教義を含む特許法の原理に従って解釈されるものである、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の趣旨及びより広い態様から逸脱することなく、様々な改変及び変更が行われ得る。したがって、本開示は、例示目的のために提示され、開示の全ての実施形態の網羅的な記載として、又はこれらの実施形態に関連して例示又は記載される特定の要素に対して特許請求の範囲の範囲を限定するように解釈されるべきではない。例えば、冠詞「a」、「an」、「the」、又は「当該」を使用する単数形の要素への任意の言及は、要素を単数形に限定するものとして解釈されるものではない。更に、「直角」、「直交」、「垂直」、及び「平行」という用語は、絶対的な意味ではなく、相対的に本明細書で一般に用いられることを理解されたい。更に、「実質的に」、「約」、「本質的に」などの用語は、修飾されている特性のわずかな偏差を示すことが理解されるであろう。このような偏差は、特定の特性の0~10%、あるいは0~5%、あるいは0~3%であり得る。
【0174】
また、添付の特許請求の範囲が、詳細な説明に記述された明確で特定のアセンブリ、システム、又は方法に限定されず、これらのアセンブリ、システム、又は方法が、添付の特許請求の範囲内にある特定の実施形態間で異なってもよいことを理解されたい。様々な実施形態の特定の特徴又は態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュグループに関して、他の全てのマーカッシュメンバーから独立した各々のマーカッシュグループの各々のメンバーから異なる、特別な、かつ/又は予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュ群の各々の要素は、個々にかつ又は組み合わされて依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態に適切な根拠を提供し得る。
【0175】
更に、本発明の様々な実施形態を説明する際に依拠とされる任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は一部の値が明記されていなくても、そのような値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分的範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分的範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分などに描かれ得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9」の範囲は、更に、下方の3分の1、すなわち、0.1~0.3、中央の3分の1、すなわち、0.4~0.6、及び上方の3分の1、すなわち、0.7~0.9に描かれ得、これらは、個々に及び包括的に、添付の特許請求の範囲内であり、そして添付の特許請求の範囲内の具体的な実施形態に、個々に及び/又は包括的に依拠され得、そして十分なサポートを提供している。更に、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」「未満」「以下」などに関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などを本質的に含み、そして各々の部分範囲は、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に、個々に及び/又は包括的に依拠され得、そして十分なサポートを提供している。最終的に、開示した範囲内の個々の数は、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に、依拠され得、そして十分なサポートを提供している。例えば、「1~9」の範囲は、様々な個々の整数、例えば3、並びに、小数点(又は分数)を含む個々の数、例えば4.1を含み、これは、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に、依拠され得、そして十分なサポートを提供している。