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特許7564214火炎噴霧熱分解により、酸化ケイ素で被覆された粒子を調製するための方法
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  • 特許-火炎噴霧熱分解により、酸化ケイ素で被覆された粒子を調製するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】火炎噴霧熱分解により、酸化ケイ素で被覆された粒子を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 9/02 20060101AFI20241001BHJP
   C09C 3/06 20060101ALI20241001BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20241001BHJP
   C01F 5/06 20060101ALI20241001BHJP
   C01G 23/047 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 8/28 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20241001BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20241001BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20241001BHJP
   C23C 4/129 20160101ALI20241001BHJP
【FI】
C01G9/02 B
C09C3/06
C09D7/62
C01F5/06
C01G23/047
A61K8/29
A61K8/27
A61K8/26
A61K8/28
A61K8/19
A61Q17/04
A61Q1/02
C23C4/129
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022539238
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2020087874
(87)【国際公開番号】W WO2021130370
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】1915679
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・ジャンヌ-ローズ
(72)【発明者】
【氏名】アンリ・サマン
(72)【発明者】
【氏名】イアニス・デリギアンナキス
(72)【発明者】
【氏名】マリア・ルルディ
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-081770(JP,A)
【文献】特開2010-053019(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0126604(US,A1)
【文献】特表2009-545509(JP,A)
【文献】国際公開第2019/131112(WO,A1)
【文献】特表2018-514525(JP,A)
【文献】Georgios A sotiriou ら,engneering safer-by-design silica-coated ZnO nanorods with reduced DNA damege potential,environmental science nano,2014年,vol.2014 No.1,P.144-153,https://doi.org/10.1039/c3en00062a
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 9/02
C09C 3/06
C09D 7/62
C01F 5/06
C01G 23/047
A61K 8/19-8/29
A61Q 17/04
A61Q 1/02
C01G 23/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
元素M酸化物の被覆粒子を調製するための方法であって、前記方法が、少なくとも以下の工程:
a)1つ以上の元素M前駆体を1つ以上の可燃性溶媒に添加することにより、組成物(A)を調製する工程、その後、
b)火炎噴霧熱分解装置において、元素M酸化物の凝集体が得られるまで、前記組成物(A)及び酸素含有ガスを注入することにより、火炎を形成する工程、並びに
c)酸化ケイ素を含有する無機コーティング層が元素Mの前記凝集体の表面上に得られるまで、1つ以上のケイ素前駆体と水以外の1つ以上の極性プロトン性溶媒とを含む組成物(B)を前記火炎に注入する工程
を含むことを特徴とし、
- 前記元素M、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、及びチタンから選択されること
- 前記元素M前駆体が、1つ以上のナフタレート又はナフテネート基と錯化された元素Mの1つ以上の原子を含むこと、並びに
- 前記ケイ素前駆体ヘキサジメチルジシロキサン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2-ビス(トリメトキシシリル)エタン及びこれらの混合物から選択されること
が理解される、方法。
【請求項2】
前記元素M酸化物が、式Mを有し、ここで、x及びyは、1≦y/x≦2であるようなものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物(A)中の元素M前駆体の含有率が、前記組成物(A)の合計質量に対して1質量%~60質量%であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
工程(b)で形成され、工程(c)で維持される前記火炎が、前記組成物(B)を輸送する管の出口において、200℃~600℃の温度であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(M/ケイ素)注入モル原子比が、0.1~10の範囲内であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物(B)中の水以外の前記極性プロトン性溶媒が、(C~C)アルカノールから選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物(B)中のケイ素前駆体の含有率が、前記組成物(B)の合計質量に対して1質量%~60質量%であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、工程(c)の終了時に得られた元素M酸化物の粒子の、pH7~11の中性若しくはアルカリ浴への導入を含む処理工程(d)、及び/又は工程(c)の終了時若しくは前記処理工程(d)の終了時に得られた元素M酸化物の粒子をか焼する工程(d)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
コア(1)と前記コア(1)を覆う1つ以上の上側コーティング層(2)とを含む元素M酸化物の球状粒子であって、
(i)前記コア(1)は、1つ以上の元素M酸化物からなること、
(ii)前記上側コーティング層(2)は、1つ以上の酸化ケイ素を含み、前記コア(1)の表面の少なくとも90%を覆うこと、
(iii)前記元素Mは、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、及びチタンから選択されること、
(iv)(M/ケイ素)粒子モル原子比は、X線蛍光により決定される、0.2~1.5の範囲内であること、並びに
(v)前記コア(1)の数平均直径Dが、3nm~1000nmの範囲内であり、前記上側コーティング層(2)の数平均厚さdが、1nm~30nmの範囲内であり、両方とも、透過電子顕微鏡法によって決定されること
を特徴とする、球状粒子。
【請求項10】
前記コア(1)を構成する前記元素M酸化物が、酸化亜鉛ZnO、酸化マグネシウムMgO、酸化カルシウムCaOから選択されることを特徴とする、請求項に記載の粒子。
【請求項11】
元素M酸化物の含有率と酸化ケイ素の含有率との和が、前記コア(1)と前記上側コーティング層(2)との合計質量に対して少なくとも99質量%に等しいことを特徴とする、請求項又は10に記載の粒子。
【請求項12】
透過電子顕微鏡法(TEM)によって決定される前記コア(1)の数平均直径Dが、6~50nmの範囲内であることを特徴とする、請求項11のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項13】
透過電子顕微鏡法(TEM)によって測定される前記上側コーティング層(2)の数平均厚さdが、1~15nmの範囲内であることを特徴とする、請求項12のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項14】
透過電子顕微鏡法(TEM)によって決定される前記粒子の数平均直径が、10~100nmの範囲内であることを特徴とする、請求項13のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項15】
請求項14のいずれか一項に記載の元素M酸化物の1つ以上の粒子を含む組成物。
【請求項16】
ヒト皮膚を可視線並びに/又はUV-A及び/若しくはUV-B紫外線に対して保護するために使用するための、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項14のいずれか一項に記載の元素M酸化物の粒子の使用であって、
- 化粧用組成物若しくは医薬組成物を配合すること、
- 塗料、ワニス及び/若しくは染色剤を配合すること、又は
- 電子デバイス若しくは製品のコーティングを製造すること
のための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火炎噴霧熱分解技術により、酸化ケイ素で被覆された酸化物粒子、特に金属酸化物粒子を調製するための方法、酸化ケイ素で被覆された酸化物粒子、特に金属酸化物粒子及び前記粒子を含む組成物に関する。
【0002】
本発明は、そのような方法から誘導される、酸化ケイ素で被覆された特定の酸化物粒子、特に金属酸化物粒子、そのような粒子を含む組成物及びまたその使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
酸化亜鉛、酸化銅又は酸化鉄など、酸化物とも呼ばれる無機化合物は、多くの用途(化粧品、塗料、染色剤、電子機器、ゴムなど)で使用されている。例えば、酸化亜鉛は、その光学特性、特に紫外線から表面を保護すること及び/又は周囲光を電気に変換することを可能にするその光吸収及び/又は光散乱特性のために特に使用されている。
【0004】
しかしながら、これらの酸化物の一部は、経時的に特に不安定になるという欠点を有する。それらは、特にそれらを含む組成物又は大気の水分に由来する水の存在下で分解する傾向がある。そのような分解は、酸化物を水中に部分的に又はさらに完全に溶解させ、前記酸化物の所望の特性を大幅に低下させるか又はさらになくす作用を有する。
【0005】
これらの分解は、特定の状況において、特に製品が化粧品、塗料又は食品産業などの公共用途である場合に特に問題となる場合がある。例として、酸化亜鉛が分解するのに伴い、日光用組成物の紫外線保護が低下する。これらの欠点を克服するために、これらの化合物を無水媒体中に包むこと又はさらに特定のパッケージングでそれらを保護することが一般的に行われており、これらは、特に限定的であることが示されている。
【0006】
使用の時点で即座に混合物を調製すること又はこれらの化合物を安定化できる保存料を添加することなどの他のアプローチも、消費者及び環境の両方の観点から、いずれに対しても満足できる解決手段となっていない。しかし、保存料化合物を減らすと、より酸性の配合物を使用することになり、その結果、使用される酸化物をより不安定にする条件が形成される。マグネシア又は亜鉛、銅及び鉄の酸化物は、特にこの酸性度の影響を受けやすい。
【0007】
特定の用途では、酸化物化合物は、例えば、表面への流体配合物の塗布など、粒子形態で使用することが意図されている。その場合、粒子が周囲空気中でCO及び水の形態を発生させるリスクがある。さらに、流体配合物が塗布される表面が水を含む場合又はこれが、その後、水と接触する可能性がある場合、酸化物化合物の分解が加速されることになる。例として、発汗により水、通常、酸性の水が生じ、後者は、化粧用組成物中に存在する酸化物化合物を分解する可能性がある。化粧品を皮膚又は髪に塗布した後、所望の又は所望でない(雨、スプレーなどの)水が供給される場合も同様である。したがって、そのような酸化物を含有する無水製品を使用すると、製品が皮膚又は毛髪に塗布された後に酸化物の分解が生じる可能性がある。
【0008】
これらの欠点は、微粒子を使用するとさらに大きくなる。しかしながら、そのような粒子は、目に見えず、また触れても分からないため、化粧品において一般的に使用されている。
【0009】
金属酸化物粒子を保護するために、それらを脂肪又はポリマーコーティングで被覆することが知られている。しかしながら、脂肪コーティングを使用すると、粒子の使用が制限され、疎水性製品又は界面活性剤を使用する必要がある。さらに、ポリマーコーティングの製造も、マイクロプラスチックに課せられた制限のために問題を有する。
【0010】
ゾル-ゲル方法によって金属酸化物をシリカで被覆することが想定されている。しかしながら、この解決手段は、完全に満足のいくものではない。金属酸化物の保護は、酸性媒体中で特に不十分であることが明らかになっている。
【0011】
酸化亜鉛粒子を調製するために火炎噴霧熱分解法(FSP法)を使用することも知られている。
【0012】
火炎噴霧熱分解又はFSPは、最近ではよく知られている方法であり、これは、制御された形態を有する様々な金属の単一酸化物若しくは混合酸化物(例えば、SiO、Al、B、ZrO、GeO、WO、Nb、SnO、MgO、ZnO)の超微細粉末を合成し、且つ/又は通常、有機若しくは無機の好ましくは不燃性の噴霧可能な液体の形態の多様な金属前駆体から出発することにより、様々な基材上に堆積させるために本質的に開発された。炎中に噴霧された液体は、燃焼、特に炎自体によってこれらの様々な基材上に噴霧される金属酸化物のナノ粒子を放出する。この方法は、シリカの層で覆われた酸化物粒子の製造のためにも使用されてきた。この方法の原理は、例えば、(非特許文献1)という名称のJohnson Mattheyによる最近(2011)の刊行物において想起されている。FSP方法及び反応器の多数の変形形態も、例えば、特許又は特許出願:(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)又は(特許文献4)、(特許文献5)又は(特許文献6)、(特許文献7)、(特許文献8)、(特許文献9)又は(特許文献10)、(特許文献11)又は(特許文献12)、(特許文献13)、(特許文献14)、(特許文献15)、(特許文献16)、(特許文献17)に記載されている。
【0013】
しかしながら、このように形成されたシリカの層は、それにもかかわらず、酸化物を水から保護するには薄すぎて不十分であることが明らかになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許第5958361号明細書
【文献】米国特許第2268337号明細書
【文献】国際公開第01/36332号パンフレット
【文献】米国特許第6887566号明細書
【文献】国際公開第2004/005184号パンフレット
【文献】米国特許第7211236号明細書
【文献】国際公開第2004/056927号パンフレット
【文献】国際公開第2005/103900号パンフレット
【文献】国際公開第2007/028267号パンフレット
【文献】米国特許第8182573号明細書
【文献】国際公開第2008/049954号パンフレット
【文献】米国特許第8231369号明細書
【文献】国際公開第2008/019905号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2009/0123357号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0126604明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0055340号明細書
【文献】国際公開第2011/020204号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【文献】Flame Spray Pyrolysis:a Unique Facility for the Production of Nanopowders”,Platinum Metals Rev.,2011,55,(2),149-151
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そのため、酸化物粒子、特に金属酸化物粒子を調製するための方法であって、使用される酸化物の特性、例えば光、より具体的には紫外線の吸収及び/又は散乱の点で良好な光学特性を維持しながら、経時的に良好な安定性、特に良好な耐水性を前記粒子に与えることを可能にする方法を開発する必要性が実際に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的は、本発明によって達成され、その1つの主題は、特に、元素M酸化物の被覆粒子を調製するための方法であって、少なくとも以下の工程:
a)1つ以上の元素M前駆体を1つ以上の可燃性溶媒に添加することにより、組成物(A)を調製する工程と、その後、
b)火炎噴霧熱分解装置において、元素M酸化物の凝集体が得られるまで、組成物(A)及び酸素含有ガスを注入することにより、火炎を形成する工程と、
c)酸化ケイ素を含有する無機コーティング層が前記元素Mの凝集体の表面上に得られるまで、1つ以上のケイ素前駆体と、水以外の1つ以上の極性プロトン性溶媒とを含む組成物(B)を火炎に注入する工程と
を含み、
- 前記元素Mは、元素の周期表の第1列からのアルカリ金属、第2列からのアルカリ土類金属、第3列~第16列からの元素及びランタニド族からの元素から選択されること、及び
- ケイ素前駆体は、少なくとも2つのケイ素原子と、いくつかのSi-炭素共有結合とを含むこと
が理解される、方法である。
【0018】
本発明による方法は、酸化ケイ素の層で被覆されており、特に経時的に安定であり、且つ酸性pHであっても良好な耐水性を有する、特定の元素M酸化物の粒子を得ることが可能であることが観測された。
【0019】
より具体的には、本発明の方法は、特定の「4員環」構造を有する二酸化ケイ素の層を形成することを可能にする。二酸化ケイ素のこの特定の集合体は、元素M酸化物を囲み、この化合物の周りに保護層を形成する。
【0020】
さらに、従来の被覆方法と異なり、本発明による方法は、コーティングが存在するにもかかわらず、中心の良好な固有の特性を保持するという利点を有する。実際、コーティング層の特定の性質のため、所定の粒子質量について、金属酸化物の特性を低下させ、且つ/又は悪影響を与えることなく、金属酸化物の割合を減少させることが可能である。
【0021】
したがって、本発明の方法は、安定な金属酸化物粒子を生成することを可能にする一方、前記酸化物の良好な光学特性を維持するために従来必要とされる粒子の量の増加による不都合を回避する。
【0022】
さらに、被覆された金属酸化物粒子を含む組成物は、充填剤、顔料又は水の影響を受けやすい他の無機活性剤、例えば酸化マグネシウムを保護することができる。
【0023】
金属酸化物、特にシリカの品質を変えることにより、高いが、完全ではない中間的な保護である水保護を得ることができる。これにより、例えば中心からの金属酸化物のより緩やかな又は制御された放出が可能になる。
【0024】
元素M酸化物のこれらの粒子は、コア(1)と、前記コア(1)を覆う1つ以上の上側コーティング層(2)とを含み、且つ
(i)コア(1)が、好ましくは結晶状態の1つ以上の元素M酸化物からなること、
(ii)前記上側コーティング層(2)が、コア(1)の表面の少なくとも90%を覆い、好ましくはコア(1)の表面の全体を覆い、且つ1つ以上の酸化ケイ素を含むこと、
(iii)前記元素Mが、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、鉄、ジルコニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選択されること、
(iv)(M/ケイ素)粒子モル原子比が、0.1~10、好ましくは0.2~2、より優先的には0.5~1.5の範囲内であること
を特徴とする。
【0025】
より具体的には、本発明による特定の元素M酸化物の粒子は、それらが水性組成物中又はさらに酸組成物中に配合されても、水の存在下で経時的にほとんど劣化しない。
【0026】
本発明に従って調製された粒子は、光吸収及び/又は光散乱に関する良好な光学特性など、使用される元素M酸化物に固有の特性を保持することも観測された。より具体的には、これらは、高いUV吸収と、低い可視光散乱又は高い可視光散乱とを有し、そのため、水の存在下での耐性の利益を得ながら、日光からの保護及び/又は視覚的外見の修飾などの用途を可能にする。
【0027】
さらに、そのような粒子を含む組成物は、特に長い及び短いUV-A線に関して、良好な遮蔽力を示した。
【0028】
さらに、本発明の粒子を含む組成物は、特に高い透明性を有し、これは、組成物が塗布されてからコーティング上、特に皮膚上で乾燥されるときに有利であることが証明され得る。
【0029】
加えて、本発明による酸化ケイ素で被覆された元素M酸化物の粒子は、疎水性コーティングを必要としないため、それらを広い配合物範囲にわたって(例えば、完全に水性の配合物及び/又は界面活性剤フリーの配合物において)使用することが可能である。このようにして得られた配合物が最終的に水(洗面台の排水路、湖又は海)に入ったとき、不適切な堆積物(洗面台の端、配管の壁又は岩の上)のリスクがさらに低減される。
【0030】
添付の図面は、概略図である。図面は、必ずしも一定の比率ではなく、それらは、特に本発明の原理を示すことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態による酸化亜鉛粒子の断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の他の主題、特徴、態様及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことでさらに明らかになるであろう。
【0033】
本明細書では、別途指定されない限り、
- 「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と均等であり、それに置き換えられ得、
- 「~」という表現は、「~の範囲」という表現と均等であり、それに置き換えられ得、且つ限界点が含まれることを示唆し、
- 「ケラチン物質」という表現は、特に皮膚及び毛髪などのヒトのケラチン繊維を表し、
- コア(1)は、「中心」とも呼ばれ、
- 上側コーティング層(2)は、「外層」、「シェル」又は「コーティング」とも呼ばれ、
- 「有機(無機)化合物」という表現は、「有機又は無機化合物」と均等であり、
- 「アルキル」は、「アルキル基」、すなわちC~C10、特にC~C、より具体的にはC~C、優先的にはC~Cの直鎖又は分岐の炭化水素系基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル又はtert-ブチルを意味し、
- 「アリール」基は、6~22個の炭素原子を含む単環式又は縮合若しくは非縮合多環式の炭素に基づく基であって、その少なくとも1つの環が芳香族である基を意味すると理解され、優先的には、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル又はテトラヒドロナフチル、好ましくはフェニルであり、
- 「アリーレート」基は、ナフタレート又はナフテネートなど、1つ以上の-C(O)Oカルボキシレート基を含むアリール基を意味すると理解され、
- 「錯化亜鉛」は、亜鉛が「金属錯体」又は「配位化合物」を形成し、中心原子に対応する金属イオン、すなわち亜鉛が1つ以上の電子供与体(配位子)に化学的に結合していることを意味すると理解され、
- 「配位子」は、配位する有機化学基又は化合物を意味すると理解され、すなわち、これは、少なくとも1つの炭素原子を含み、金属、特にZn原子、好ましくはZn(II)に配位することができ、配位又は錯化すると、所定の数の電子を有する配位球の原理に対応する金属化合物(固有の錯体又はキレート)になる - Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,“Metal complex dyes“,2005,p.1-42を参照されたい。より具体的には、配位子は、誘起効果及び/若しくはメソメリー効果により電子供与性である少なくとも1つの基を含む有機基であり、より具体的には少なくとも1つのアミノ、ホスフィノ、ヒドロキシ若しくはチオールである電子供与基を有するか、又は配位子は、特に「アルジェンゴ」型(イミダゾール-2-イリデン)の持続性カルベンであるか若しくは少なくとも1つのカルボニル基を含む。配位子としては、より具体的には、以下のものを挙げることができる:i)少なくとも1つのリン原子を含有するもの-P<、すなわちトリフェニルホスフィンなどのホスフィン、ii)アセチルアセトン又はβ-ジケトンなど、式R-C(X)-CR’R’’-C(X)-R’’’(式中、R及びR’’’は、互いに同じであるか又は異なり、直鎖又は分岐(C~C)アルキル基を表し、R’及びR’’は、互いに同じであるか又は異なり、水素原子であるか又は直鎖若しくは分岐(C~C)アルキル基を表し、優先的には、R’及びR’’は、水素原子を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子又はN(R)基(式中、Rは、水素原子又は直鎖若しくは分岐C~C)アルキル基を表す)を表す)の二座の配位子、iii)乳酸、グリコール酸、酒石酸、クエン酸及びマレイン酸並びにアリーレート、例えばナフタレートなど、式[HO-C(O)]-A-C(O)-OHの(ポリ)ヒドロキシカルボン酸配位子及びその脱プロトン化形態(式中、Aは、nの値がゼロの場合に一価の基を表すか、又はnが1以上である場合に多価の基を表し、これは、任意選択的に、1つ以上のヘテロ原子が挟まれており、且つ/若しくは任意選択的に置換されている、特に1つ以上のヒドロキシル基で置換されている1~20個の炭素原子を含む炭化水素に基づく飽和若しくは不飽和の、環状若しくは非環状の芳香族若しくは非芳香族であり、好ましくは、Aは、1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換されている一価(C~C)アルキル基又は多価(C~C)アルキレン基を表し、nは、0~10の整数(両端値を含む)を表し、好ましくは、nは、0~5、例えば0、1又は2からのものである)、及びiv)2~5つのヒドロキシル基を含むC~C10ポリオール配位子、特にエチレングリコール、グリセロール、より具体的にはさらにカルボキシ、カルボキシレート又はアミノ基を有する配位子、特にアセテート、(C~C)アルコキシレート、(ジ)(C~C)アルキルアミノ及びアリーレート、例えばナフタレート又はナフテネート基から選択される配位子、
「燃料」という用語は、二酸素とエネルギーを用いて、熱を生じる化学反応:燃焼で燃焼する液体化合物を意味すると理解される。特に、液体燃料は、プロトン性溶媒、特にメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノールなどのアルコール、メチルエステル及びアセテートから誘導されるもの(2-エチルヘキシルアセテートなど)などのエステル、酸(2-エチルヘキサン酸(EHA)など)、非環状エーテル(エチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル(TAME)、メチルtert-ヘキシルエーテル(THEME)、エチルtert-ブチルエーテル(ETBE)、エーテルtert-アミルエーテル(TAEE)、ジイソプロピルエーテル(DIPE)など)、環状エーテル(テトラヒドロフラン(THF)など)、芳香族炭化水素又はアレーン(キシレンなど)、非芳香族炭化水素から特に選択される非プロトン性溶媒並びにこれらの混合物から選択される。燃料は、任意選択的に、アセチレン、メタン、プロパン又はブタンなどの液化炭化水素及びこれらの混合物から選択することができる。
【0034】
「顔料」という用語は、ケラチン物質を着色する、合成由来又は天然由来の任意の無機顔料を意味すると理解される。それらの顔料の、25℃、大気圧(760mmHg)での水中への溶解度は、0.05質量%未満、好ましくは0.01質量%未満である。
【0035】
これらは、化粧品において通常使用される親水性及び親油性の液相に本来不溶性である白色又は着色された固体粒子である。より具体的には、それらは、水-アルコール性媒体に貧溶性又は不溶性の顔料である。
【0036】
使用され得る顔料は、特に当技術分野において知られている、特にKirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology及びUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されている無機顔料から選択される。特に言及することができる顔料としては、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry“Pigment organics”,2005 Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim及び同書中の“Pigments,Inorganic,1.General”2009 Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheimに定義及び記載されているものなどの無機顔料が挙げられる。
【0037】
これらの顔料は、粉末形態であり得る。顔料は、例えば、無機顔料、真珠光沢剤又は光輝フレークなどの特殊効果を有する顔料及びこれらの混合物から選択することができる。
【0038】
顔料は、無機顔料であり得る。「無機顔料」という語は、Ullmann’s encyclopaediaの無機顔料に関する章の定義を満たす任意の顔料を意味することを意図している。本発明に有用な無機顔料の中でも、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び酸化チタンを挙げることができる。顔料は、特殊効果を有する顔料であり得る。
【0039】
用語「特殊効果を有する顔料」は、非均一であり、且つ観測の条件(光、温度、観測角度など)に応じて変化する有色の外見(特定の色調、特定の輝き及び特定のレベルの輝度によって特徴付けられる)を一般に生じさせる顔料を指す。したがって、これらは、不透明、半透明又は透明の標準的な均一の色合いを呈する有色顔料と異なる。
【0040】
言及し得る特殊効果を有する顔料の例としては、真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、酸化鉄で被覆されたマイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、特に上述のタイプの染料で被覆されたチタンマイカ及びさらにオキシ塩化ビスマスなどのオキシハロゲン化ビスマスに基づく真珠光沢顔料が挙げられる。
【0041】
真珠光沢剤は、より詳細には、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、茶色、金色及び/又は銅色の色又は色合いを有し得る。
【0042】
本発明との関係において使用され得る真珠光沢剤の例示としては、特に、Engelhard社により名称Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)及びMonarch gold 233X(Cloisonne)で販売されている金色の真珠光沢剤、特にMerck社により名称Bronze fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)で、Eckart社により名称Prestige Bronzeで、並びにEngelhard社により名称Super bronze(Cloisonne)で販売されている青銅色の真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Orange 363C(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)で、並びにMerck社により名称Passion orange(Colorona)及びMatte orange(17449)(Microna)で販売されている橙色の真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Nu-antique copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)で販売されている茶色の真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Copper 340A(Timica)で、及びEckart社により名称Prestige Copperで販売されている銅色の色合いを有する真珠光沢剤、特にMerck社により名称Sienna fine(17386)(Colorona)で販売されている赤色の色合いを有する真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Yellow(4502)(Chromalite)で販売されている黄色の色合いを有する真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Sunstone G012(Gemtone)で販売されている金色の色合いを有する赤色の真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Nu antique bronze 240 AB(Timica)で販売されている金色の色合いを有する黒色の真珠光沢剤、特にMerck社により名称Matte blue(17433)(Microna)、Dark Blue(117324)(Colorona)で販売されている青色の真珠光沢剤、特にMerck社により名称Xirona Silverで販売されている銀色の色合いを有する白色の真珠光沢剤、並びに特にMerck社により名称Indian summer(Xirona)で販売されている金-緑、桃色-橙色の真珠光沢剤並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0043】
マイカ担体上の真珠光沢剤に加えて、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸ナトリウムカルシウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムなどの合成基材に基づく多層顔料も想定され得る。
【0044】
酸化ケイ素で被覆された粒子の調製方法
本発明による調製方法は、1つ以上の元素M前駆体と、1つ以上の可燃性溶媒とを含有する組成物(A)を調製する工程(a)を含む。前記元素Mは、元素の周期表の第1列からのアルカリ金属、第2列からのアルカリ土類金属、第3列~第16列からの元素及びランタニド族からの元素から選択される。
【0045】
有利には、元素Mは、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、鉄、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから、好ましくはマグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、鉄、チタン、アルミニウム、スズ、ランタン、セリウム及びイットリウムから選択される。
【0046】
元素M前駆体は、好ましくは、少なくとも1つの炭素原子を含有する1つ以上の配位子と任意選択的に錯化された、より優先的には少なくとも2つの炭素原子を含有する1つ以上の配位子と任意選択的に錯化された元素Mの1つ以上の原子を含む。
【0047】
好ましくは、配位子は、アセテート、(C~C)アルコキシレート、(ジ)(C~C)アルキルアミノ及びアリーレート、例えばナフタレート又はナフテネート基から選択される。
【0048】
本発明に従って使用することができる可燃性溶媒は、火炎噴霧熱分解で従来使用されている可燃性溶媒から選択することができる。
【0049】
好ましくは、可燃性溶媒は、プロトン性可燃性溶媒、非プロトン性可燃性溶媒及びこれらの混合物から、より優先的にはアルコール、エステル、酸、非環状エーテル、環状エーテル、芳香族炭化水素又はアレーン、非芳香族炭化水素及びこれらの混合物から、さらに好ましくは2-エチルヘキシルアセテート、2-エチルヘキサン酸(EHA)、エチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、メチルtert-アミルエーテル(TAME)、メチルtert-ヘキシルエーテル(THEME)、エチルtert-ブチルエーテル(ETBE)、エーテルtert-アミルエーテル(TAEE)、ジイソプロピルエーテル(DIPE)、テトラヒドロフラン(THF)、キシレン及びこれらの混合物から選択される。
【0050】
より優先的には、可燃性溶媒は、少なくとも3つの炭素原子を含む非プロトン性可燃性溶媒から、より優先的にはキシレン、テトラヒドロフラン、2-エチルヘキシルアセテート、2-エチルヘキサン酸(EHA)及びこれらの混合物から選択される。
【0051】
有利には、組成物(A)中の元素M前駆体の含有率は、組成物(A)の合計質量に対して1質量%~60質量%、好ましくは15質量%~30質量%である。
【0052】
本発明による調製方法は、工程(a)で調製された組成物(A)及び酸素含有ガスを火炎噴霧熱分解(FSP)装置に注入して、火炎を形成する工程(b)をさらに含む。
【0053】
この工程(b)中、組成物(A)及び酸素含有ガスは、互いに分離された2回の注入により、火炎噴霧熱分解装置に有利に注入される。換言すると、組成物(A)と酸素含有ガスとは、別々に注入される。すなわち、組成物(A)と酸素含有ガスとは、単一のノズルによって注入されない。
【0054】
より具体的には、組成物(A)は、1つの管によって輸送される一方、酸素含有ガス(「分散酸素」とも呼ばれる)は、別の管によって輸送される。2つの管の入口は、酸素含有ガスが負圧を生成し、ベンチュリー効果によって組成物(A)が吸い上げられて、液滴に変換されるように配置される。
【0055】
工程(b)は、任意選択的に、酸素と、1つ以上の可燃性ガスとを含む「プレミックス」混合物の追加の注入をさらに含み得る。この「プレミックス」混合物は「支持火炎酸素」とも呼ばれ、組成物(A)及び酸素含有ガス(すなわち「分散酸素」)から生じる火炎を点火及び維持することを目的とした支持火炎の生成を可能にする。
【0056】
好ましくは、工程(b)中、組成物(A)、酸素含有ガス及び任意選択的に「プレミックス」混合物(存在する場合)は、「封入管」とも呼ばれる反応管内に注入される。好ましくは、この反応管は、金属又は石英製である。有利には、反応管は、30cm以上、より優先的には40cm以上、さらに50cm以上の高さを有する。有利には、前記反応管の長さは、30cm~300cm、好ましくは40cm~200cm、より優先的には45cm~100cmであり、さらに好ましくは、この長さは、50cmである。
【0057】
一方の組成物(A)中に存在する溶媒の質量と、他方の酸素含有ガスの質量との質量比は、以下の通りに定義される:最初に、酸素含有ガス(酸化剤化合物とも呼ばれる)の量が、組成物(A)によって形成される集合体(すなわち一方の可燃性溶媒及び亜鉛前駆体並びに他方の酸素含有ガス)のために計算されることで、化学量論比で(したがって酸化剤化合物の過不足なしに)燃焼反応において一緒に反応することができる。
【0058】
「計算された酸化剤」とも呼ばれるこの計算された酸素含有ガスの量から始めて、「注入される酸化剤」とも呼ばれる注入される酸素含有ガスの量をこれから導くために、新しい計算が以下の式に従って実行される:注入される酸化剤=計算された酸化剤/φ。ここで、φは、好ましくは、0.30~0.9、より優先的には0.4~0.65である。
【0059】
この方法は、特に、An Introduction to Combustion:Concepts and Applications,3rd ed.;McGraw-Hill:New York,2012においてTurns,S.R.によって定義されている。
【0060】
本発明による調製方法の工程(b)により、元素M酸化物の凝集体を得ることができる。好ましくは、このように形成された元素M酸化物は、安定である。「安定な」という用語は、酸化性媒体中で金属がとるよりも高い酸化物を意味すると理解される。例として、鉄前駆体が使用される場合、得られる酸化物は、Feであり、Feではない。同様に、銅前駆体が使用される場合、得られる酸化物は、CuOであり、CuOではない。
【0061】
より優先的には、元素M酸化物は、式Mを有し、ここで、x及びyは、1≦y/x≦2であるようなものである。
【0062】
本発明の特定の一実施形態によれば、元素Mは、元素の周期表の第2列からのアルカリ土類金属から選択され、その結果、形成されるM酸化物は、式MOを有する。換言すると、この実施形態によれば、x=y=1である。
【0063】
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、元素Mは、元素の周期表の第3列~第16列からの元素及びランタニド族からの元素から、より具体的には第3列及び第4列からの元素、ランタニド族からの元素、第8列からの元素及び第11列~第14列からの元素から選択される。
【0064】
この実施形態によれば、このようにして形成された元素M酸化物は、好ましくは、酸化亜鉛ZnO、酸化マグネシウムMgO、酸化カルシウムCaO、酸化銅CuO、酸化チタンTiO、酸化鉄Fe、酸化アルミニウムAl、酸化セリウムCeO、酸化ランタンLa及び酸化イットリウムYから、より優先的には酸化亜鉛ZnO、酸化マグネシウムMgO、酸化カルシウムCaO、酸化銅CuO、酸化チタンTiO及び酸化鉄Feから選択される。
【0065】
本発明による調製方法は、工程(b)中に形成された火炎に、1つ以上のケイ素前駆体と、水以外の1つ以上の極性プロトン性溶媒とを含む組成物(B)を注入する工程(c)をさらに含み、このケイ素前駆体は、少なくとも2つのケイ素原子と、いくつかのSi-炭素共有結合とを含む。
【0066】
換言すると、本発明の方法は、連続的であり、工程(b)で形成された火炎は、維持される。
【0067】
本発明の調製方法の工程(c)中、組成物(A)及び(B)は、別々に且つ同時に注入される。換言すると、組成物(A)は、1つの管によって輸送される一方、組成物(B)は、別の管によって輸送される。2つの管の出口間の距離は、好ましくは、少なくとも30cm、より優先的には少なくとも40cmである。
【0068】
好ましくは、工程(b)中に形成される火炎は、火炎の少なくとも一部において2000℃以上の温度である。
【0069】
工程(b)で形成され、且つ工程(c)で維持される火炎への組成物(B)の注入の部位において、すなわち工程(c)中、温度は、好ましくは、200℃~600℃、より優先的には300℃~400℃である。
【0070】
有利には、工程(c)中、組成物(B)は、上述した前記反応管の上に配置された噴霧リングから注入され、ここで特に組成物(A)の注入が行われる。
【0071】
組成物(B)のケイ素前駆体は、少なくとも2つのケイ素原子と、いくつかのSi-炭素共有結合とを、好ましくは少なくとも3つのケイ素原子と、いくつかのSi-炭素共有結合とを含む。
【0072】
有利には、ケイ素前駆体は、ヘキサジメチルジシロキサン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2-ビス(トリメトキシシリル)エタン及びこれらの混合物から選択される。
【0073】
好ましくは、このように形成された酸化ケイ素は、二酸化ケイ素SiOであり、後者は、より優先的には、「4員環」構造である。
【0074】
本発明による方法中、(M/ケイ素)注入モル原子比を計算することができる。この比率は、一方の工程(c)中に注入されたケイ素原子のモル量に対する、他方の工程(b)中に注入された元素Mの原子のモル量に対応する。好ましくは、この(M/ケイ素)注入モル原子比は、0.1~10、より優先的には0.2~2、より優先的には0.5~1.5の範囲内である。
【0075】
好ましくは、工程(c)中の注入前に、本発明の組成物(B)中に窒素が吹き込まれる。その際、組成物(B)の注入速度は、当業者に公知の圧力の決定、例えばScott,D.W.;Messerly,J.F.;Todd,S.S.;Guthrie,G.B.;Hossenlopp,I.A.;Moore,R.T.;Osborn,A.G.;Berg,W.T.;McCullough,J.P.,Hexamethyldisiloxane:chemical thermodynamic properties and internal rotation about the siloxane linkage,J.Phys.Chem.,1961,65,1320-6によって規定されている方法によって制御することができる。
【0076】
本発明の特定の一実施形態によれば、上記組成物(B)は、工程(c)中のその注入前に25℃~70℃、より優先的には30℃~60℃の範囲内の温度にされる。
【0077】
好ましくは、本発明による方法の工程(c)中に注入される組成物(B)中のケイ素前駆体の含有率は、組成物(B)の合計質量に対して1質量%~60質量%、より好ましくは5質量%~30質量%である。
【0078】
有利には、組成物(B)中に存在する水以外の極性プロトン性溶媒は、(C~C)アルカノールから選択される。より優先的には、組成物(B)は、エタノールを含む。
【0079】
好ましくは、組成物(B)中に存在する水以外の極性プロトン性溶媒は、工程(c)の火炎温度で可燃性であり、且つ好ましくは200℃~600℃、より優先的には300℃~400℃の温度で可燃性である溶媒から選択される。さらに好ましくは、組成物(B)中に存在する水以外の極性プロトン性溶媒は、室温(25℃)以上、より優先的には50℃~120℃の沸点を有する。
【0080】
好ましくは、組成物(B)中に存在する水以外の極性プロトン性溶媒の含有率は、組成物(B)の合計質量に対して40質量%~99質量%、より優先的には50質量%~98質量%、さらに70質量%~95質量%である。
【0081】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明による調製方法は、
- 工程(c)の終了時に得られた元素M酸化物の粒子の、pH7~11、優先的にはpH7.5~9のアルカリ浴への導入を含む処理工程(d)、及び/又は
- 工程(c)の終了時又は処理工程(d)の終了時に得られた元素M酸化物の粒子を仮焼する工程(d
をさらに含む。
【0082】
処理工程(d)が存在する場合、
(i)処理は、好ましくは、10~600分、より優先的には40~300分間継続され、及び/又は
(ii)アルカリ浴のpHは、好ましくは、7~11、より優先的には7.5~9で変化し、及び/又は
(iii)温度は、好ましくは、室温、すなわち25℃であり、及び/又は
(iv)アルカリ浴中の工程(c)の終了時に得られる元素M酸化物の粒子の含有率は、好ましくは、アルカリ浴1リットルあたり0.5~100gの粒子、より優先的にはアルカリ浴1リットルあたり1~10gの粒子である。
【0083】
仮焼工程(d)が存在する場合、
(i)仮焼は、好ましくは、60~400分、より優先的には60~180間継続され、及び/又は
(ii)温度範囲は、好ましくは、100℃~600℃、より優先的には100℃~300℃、さらに優先的には130℃~250℃である。
【0084】
本発明の特定の一実施形態によれば、製造方法は、工程(c)の終了時、処理工程(d)、それに続く仮焼工程(d)をさらに含む。
【0085】
本発明の特定の一実施形態によれば、本発明による調製方法によって得られた元素M酸化物の粒子は、ドープされる。本発明のこの実施形態によれば、組成物(A)は、元素Mと異なる元素Dの1つ以上の前駆体をさらに含み、Dは、フッ素、イットリウム、バナジウム、スカンジウム、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、銅及びタングステンから選択される。
【0086】
元素M酸化物の粒子
本発明の別の主題は、コア(1)と、前記コア(1)を覆う1つ以上の上側コーティング層(2)とを含む元素M酸化物の粒子において、
(i)コア(1)は、好ましくは結晶状態の1つ以上の元素M酸化物からなること、
(ii)前記上側コーティング層(2)は、1つ以上の酸化ケイ素SiOを含み、且つコア(1)の表面の少なくとも90%を覆い、好ましくはコア(1)の表面の全体を覆うこと、
(iii)前記元素Mは、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、鉄、ジルコニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選択されること、及び
(iv)(M/ケイ素)粒子モル原子比は、0.1~10、好ましくは0.2~2、より優先的には0.5~1.5の範囲内であること
ことを特徴とする粒子である。
【0087】
好ましくは、本発明による粒子は、結晶状態の元素M酸化物からなるコア1を含む。コア1の結晶状態及びその組成は、例えば、従来のX線回折法によって決定することができる。
【0088】
有利には、本発明による粒子のコア1は、元素M酸化物の結晶性一次粒子の1つ以上の凝集体からなる。換言すると、コア1は、元素M酸化物のいくつかの微結晶からなる。
【0089】
好ましくは、元素M酸化物の粒子は、上記で定義した本発明の調製方法によって得られる。
【0090】
図1による元素M酸化物の粒子は、結晶状態の元素M酸化物からなり、且つ元素M酸化物の一次粒子の1つ以上の凝集体を含む、直径Dのコア1を含む。
【0091】
図1による元素M酸化物の粒子は、コア1の表面を完全に覆い、且つ厚さdを有する上側コーティング層2も含む。
【0092】
コア1の数平均直径Dは、例えば、透過電子顕微鏡法(TEMと略される)によって決定することができる。好ましくは、本発明による粒子のコア1の数平均直径Dは、3~1000nm、より優先的には6~50nm、さらに優先的には10~30nmの範囲内である。
【0093】
本発明による元素M酸化物の粒子は、コア1の表面の少なくとも90%を覆い、好ましくはコアの表面の全体を覆う1つ以上の上側コーティング層を含む。
【0094】
上側コーティング層によるコアの被覆の度合いは、例えば、SEM-EDX分析と組み合わされた、TEM-BF又はSTEM-HAADFタイプの視覚分析によって決定することができる。
【0095】
各分析は、統計的な数の粒子、特に少なくとも20個の粒子について行われる。粒子は、元素M及び粒子の一部を形成する他の金属(コア又は上側コーティング層)と異なる金属から作られた金属グリッド上に堆積される。例えば、グリッドは、銅製である(粒子の製造で銅を使用することが所望される場合を除く)。
【0096】
TEM-BF及びSTEM-HAADF画像の視覚分析により、コントラストに基づいて、コーティングが粒子のコアを完全に取り囲んでいるか否かを推測することができる。20個(以上)の画像のそれぞれを分析してコアの被覆の度合いを推定し、次いで平均を取ることにより、平均の被覆の度合いを決定することができる。
【0097】
STEM-EDX分析により、コーティングが実際に主にケイ素を含有するか又はケイ素のみを含有することを確認することができる。そのために、粒子の端部で(少なくとも20個の粒子について)測定を行う必要がある。その後、これらの測定からケイ素が明らかになる。
【0098】
STEM-EDX分析では、コアが元素Mを実際に含有しないことを確認することもできる。そのために、粒子の中心で(少なくとも20個の粒子について)測定を行う必要がある。その後、これらの測定から元素M及びケイ素が明らかになる。
【0099】
好ましくは、上側コーティング層は、コアの表面を完全に覆う。
【0100】
上側コーティング層の数平均厚さdも透過電子顕微鏡法によって決定することができる。好ましくは、数平均厚さdは、1~30nm、より優先的には1~15nm、さらに優先的には1~6nmの範囲内である。
【0101】
有利には、上側コーティング層は、アモルファスである。
【0102】
コアは、1つ以上の元素M酸化物からなる。
【0103】
有利には、元素Mは、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、鉄、ジルコニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから、好ましくはマグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、スズ、ランタン、セリウム及びイットリウムから選択される。
【0104】
好ましくは、このように形成された元素M酸化物は、安定であり、有利には式Mを有し、ここで、x及びyは、1≦y/x≦2であるようなものである。
【0105】
本発明の特定の一実施形態によれば、元素Mは、マグネシウム及びカルシウムから選択され、その結果、形成される元素M酸化物は、式MOを有する。換言すると、この実施形態によれば、x=y=1である。
【0106】
本発明の別の特定の実施形態によれば、元素Mは、亜鉛、銅、鉄、ジルコニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから、より具体的には亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、スズ、ランタン、セリウム及びイットリウムから選択される。
【0107】
これらの実施形態によれば、このように形成された元素M酸化物は、好ましくは、酸化亜鉛ZnO、酸化マグネシウムMgO、酸化カルシウムCaO、酸化銅CuO、酸化鉄Fe、酸化アルミニウムAl、酸化セリウムCeO、酸化ランタンLa及び酸化イットリウムYから、より優先的には酸化亜鉛ZnO、酸化マグネシウムMgO、酸化カルシウムCaO、酸化銅CuO及び酸化鉄Feから選択される。
【0108】
本発明による元素M酸化物の粒子は、本発明による粒子の(M/ケイ素)粒子モル原子比で元素M及びケイ素を含む。
【0109】
この比率は、一方では本発明による粒子中に存在するケイ素原子のモル量に対する、他方では本発明による粒子中に存在する元素M原子のモル量に対応する。
【0110】
この比率は、以下の2つの方法の1つに従って分光分析によって決定することができる。第1の方法によれば、粉末が広げられ、X線分光計を用いてX線蛍光測定調査が行われ、そこから金属比が推定される。別の方法によれば、本発明の粒子は、あらかじめ酸に溶解される。次いで、得られた材料に対してICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析)によって元素分析が行われ、そこから金属比が推定される。
【0111】
好ましくは、この(M/ケイ素)粒子モル原子比は、0.1~10、好ましくは0.2~2、より優先的には0.5~1.5の範囲内である。
【0112】
本発明による粒子の数平均直径も透過電子顕微鏡法によって決定することができる。好ましくは、本発明による粒子の数平均直径は、3~1000nm、より優先的には10~100nm、さらに15~70nmの範囲内である。
【0113】
好ましくは、本発明による粒子のBET比表面積は、1m/g~350m/g、より優先的には1m/g~200m/g、さらに優先的には30~100m/gである。
【0114】
好ましくは、元素M酸化物の含有率と、酸化ケイ素の含有率との和は、コア1と、上側コーティング層2との合計質量に対して少なくとも99質量%に等しい。
【0115】
元素M酸化物の粒子は、上側コーティング層を覆い、且つ少なくとも1つの疎水性有機化合物を含む追加のコーティング層を任意選択的にさらに含み得る。
【0116】
追加のコーティング層中に含まれる疎水性有機化合物は、より優先的には、シリコーン、特に少なくとも1つの脂肪鎖を含むシリコーン、少なくとも6つの炭素原子を含む、炭素に基づく誘導体、特に脂肪酸エステル及びそれらの混合物から選択される。
【0117】
追加のコーティング層は、液体法又は固体法によって製造することができる。液体法を介して、粒子の表面のヒドロキシル官能基は、コーティングを形成する化合物の反応性官能基(典型的にはシリコーンのシラノール官能基又は炭素に基づく脂肪物質の酸官能基)と反応する。固体法を介して、粒子は、疎水性物質を含む液体又はペースト状の化合物と接触する。次いで、接触後に混合物が乾燥され、混合物は、例えば、ミリングなどによって粉砕される。
【0118】
本発明の別の主題は、上述した元素M酸化物の1つ以上の粒子を含み、且つ好ましくは本発明による調製方法によって得られる組成物、好ましくは化粧用組成物に関する。
【0119】
本発明による組成物は、有利には、水性組成物である。
【0120】
本発明の元素M酸化物の被覆粒子は、乾燥形態(粉末、フレーク、プレート)において、分散液として、又は液体懸濁液として、又はエアロゾルとしても存在し得る。本発明の元素M酸化物の被覆粒子は、そのまま使用するか、又は他の成分と混合して使用することができる。
【0121】
本発明の組成物は、種々のガレノス型であり得る。したがって、本発明の組成物は、粉末(粉状)組成物若しくは液体組成物の形態又はミルク、クリーム、ペースト若しくはエアロゾル組成物の形態であり得る。
【0122】
本発明による組成物は、特に化粧用組成物である。すなわち、本発明の多層材料は、化粧媒体である。「化粧媒体」という用語は、ケラチン物質、特に皮膚などのヒトケラチン物質への適用に関して適切である媒体を意味し、前記化粧媒体は、一般に、水からなるか、又は水と1つ以上の有機溶媒との混合物若しくは有機溶媒の混合物からなる。好ましくは、組成物は、特に、組成物の合計質量に対して5質量%~95質量%の含有率で水を含む。
【0123】
「有機溶媒」という用語は、化学的に変性することなく別の物質を溶解することができる有機物質を意味する。本発明の組成物で使用され得る有機溶媒の例としては、例えば、低級C~Cアルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール、ポリオール及びポリオールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、並びにジエチレングリコールモノエチルエーテル及びモノメチルエーテル、並びに芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0124】
これらが存在する場合、有機溶媒は、好ましくは、組成物の合計質量に対して約0.1質量%~40質量%、より優先的には約1質量%~30質量%、さらに優先的には5質量%~25質量%の割合で存在する。
【0125】
本発明の組成物は、脂肪相を含有し得、直接又は逆エマルジョンの形態であり得る。
【0126】
本発明の組成物中に存在する元素M酸化物の粒子の含有率は、組成物の合計質量に対して好ましくは0.1質量%~40質量%、より優先的には0.5質量%~20質量%、さらに1質量%~10質量%、より優先的には1.5質量%~5質量%の範囲である。
【0127】
本発明の特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、無水組成物の形態、例えば油の形態であり得る。用語「無水組成物」は、組成物の合計質量に対して2質量%未満の水、好ましくは1質量%未満の水、さらにより優先的には0.5質量%未満の水を含有する組成物又はさらに水を含まない組成物を意味することが意図されている。この種の組成物において、存在する可能性のある水は、組成物の調製時に添加されたものではなく、混合した原料中から持ち込まれた残存水に対応する。
【0128】
本発明による組成物は、当業者に周知の技術に従って調製することができる。これは、特に、クリーム、乳状若しくはクリーム状のゲルなどの単純若しくは複合的なエマルジョン(水中油型若しくはO/Wと略記されるもの、油中水型若しくはW/O、油中水中油型若しくはO/W/O又は水中油中水型若しくはW/O/W)の形態又は粉末形態若しくはエアロゾル組成物の形態であり得る。
【0129】
本発明の別の主題は、皮膚、特にヒト皮膚を可視線(すなわち400nm~800nmの波長)並びに/又は紫外線(すなわち100nm~400nmの波長)、UV-A線(すなわち320nm~400nmの波長)及び/若しくはUV-B線(すなわち280nm~320nmの波長)に対して保護するために使用するための、本発明による組成物、好ましくは化粧用組成物である。本発明による組成物は、太陽放射線を効率的に遮蔽することを可能にし、これらは、特にUV-A線(長波UV-A線を含む)に対して広いスペクトルである一方、UV曝露下で経時的に特に安定である。
【0130】
本発明に従う組成物は、本発明による元素酸化物Mの粒子以外に、親水性、親油性若しくは不溶性の有機UV遮蔽剤及び/又は1つ以上の無機顔料から選択される1つ以上の追加のUV遮蔽剤を任意選択的に含み得る。これは、優先的には、少なくとも1つの親水性、親油性又は不溶性有機UV遮蔽剤から構成されるであろう。
【0131】
本発明の別の主題は、上述した元素M酸化物の粒子、好ましくは本発明による方法によって得られる粒子の使用であって、
- 特に皮膚、特にヒト皮膚を可視線及び/若しくは紫外線に対して保護するか、又は皮膚、特にヒト皮膚の外見を修飾することを意図された化粧用組成物又は医薬組成物を配合すること、
- 塗料、ワニス及び/又は染色剤を配合すること、又は
- 特に耐湿性電子部品を得るために、電子デバイス又は製品のコーティングを製造すること
のための使用である。
【0132】
適用方法
本発明の別の主題は、好ましくは、1~5回の連続適用により、上記で定義された組成物を材料に適用し、層間を乾燥させることによる、ケラチン物質、特に皮膚などのヒトケラチン物質を処理するための方法であり、適用は、噴霧又は他の様式である。
【0133】
本発明の組成物は、単回適用又は複数回適用で使用され得る。本発明の組成物が複数回適用を目的とする場合、本発明の元素M酸化物の粒子の含有率は、単回適用を目的とした組成物におけるものよりも通常低い。
【0134】
本発明の目的に関して、「単回適用」という用語は、組成物の単回適用を意味し、この適用は、場合により1日に数回繰り返され、各適用は、必要に応じて、次の適用から1時間以上離れているか、又は1日に1回の適用である。
【0135】
本発明の目的に関して、「複数回適用」という用語は、複数回、通常2~5回繰り返される組成物の適用を意味し、各適用は、次の適用から数秒間~数分間離される。それぞれの複数回適用は、必要に応じて、次の適用から1時間以上離して1日に複数回又は1日に1回繰り返すことができる。
【0136】
それらは、飽和単回適用、すなわち本発明による酸化ケイ素で被覆された元素M酸化物の高濃度の粒子を含む化粧用組成物の単回適用又は本発明による酸化ケイ素で被覆された元素M酸化物の1つ以上の粒子を含む(より濃度が低い)化粧用組成物の複数回適用などの接続された適用方法であり得る。複数回適用の場合、本発明の酸化ケイ素で被覆された元素M酸化物の1つ以上の粒子を含む化粧用組成物の複数回の連続した適用は、適用間の遅延の有無にかかわらず繰り返され得る。
【0137】
本発明の一実施形態によれば、複数回の適用は、本発明による酸化ケイ素で被覆された元素M酸化物の粒子を含む化粧用組成物の連続的な適用間に乾燥工程を伴い、ケラチン物質に対して行われる。本発明による酸化ケイ素で被覆された元素M酸化物の1つ以上の粒子を含む化粧用組成物の連続適用間の乾燥工程は、屋外で又は人工的に、例えばヘアドライヤーなどの熱風乾燥システムを用いて実施することができる。
【0138】
本発明の別の主題は、上記で定義した本発明による酸化ケイ素で被覆された元素M酸化物の1つ以上の粒子の、ケラチン物質、特に皮膚などのヒトケラチン物質を保護するためのUVA及びUVB遮蔽剤としての使用である。
【0139】
以下の実施例は、本質的に限定することなく、本発明を説明する役割を果たす。
【実施例
【0140】
実施例1:
1.1.最初に、キシレン中のナフテン酸亜鉛(500mM)の組成物(A)を調製した。次に、組成物(A)と、ヘキサジメチルジシロキサン及びエタノールを3:1の比率で含む組成物(B)との注入を含む、本発明によるFSP方法を使用して、二酸化ケイ素で被覆された酸化亜鉛粒子P1を調製した。
【0141】
調製方法のパラメータは、以下の通りである:
- 比率(組成物(A)/O)=5/7、すなわち5mL/分の液体及び7L/分の気体(O)。酸素流量を調整するために、φ=0.48を使用する。
【0142】
この方法では、高さ40cmの石英管を使用する。さらに、窒素が最初に組成物(B)に吹き込まれる。組成物(B)が注入される際、25℃に加熱された窒素の流れがヘキサジメチルジシロキサン(HMDSO)の蒸発を可能にし、比率(Zn/Si)注入比=1になるように調整される。
【0143】
1.2.これらの粒子のラマンスペクトルは、コーティングが特定の構造を有し、ケイ素原子が主に「4員環」の形態であることを示した。Si-Oの「3員環」のピークも存在するが、強度が低く、ピーク面積が小さい。
【0144】
1.3 耐水性の評価:
水1Lあたり100mgのP1の含有率で粒子P1及び水から水性懸濁液S1を調製した。次いで、このようにして得た懸濁液S1を20Wの出力で10分間超音波浴に入れた。
【0145】
その後、懸濁液S1の一部を硝酸溶液によってpH=5にした。その後、時間の関数として且つ導入された亜鉛の量と比較して、懸濁液中に存在するZn2+イオンの含有率を従来の陽極溶出ボルタンメトリー法によって測定した。
【0146】
結果は、下の表に列挙されている。
【0147】
【表1】
【0148】
は、超音波浴の終了後10分未満で行われた最初の測定に対応する。
【0149】
本発明の調製方法に従って得られた被覆された酸化亜鉛粒子P1は、酸性pHであっても良好な耐水性を有することに留意されたい。
【0150】
実施例2:
2.1.二酸化ケイ素で被覆された酸化亜鉛粒子P2を実施例1に記載の方法に従って調製した。次いで、このようにして得られた粒子P2を2つのグループP2a及びP2bに分割した。粒子P2aには、以下のプロトコルに従って後処理を行ったが、粒子P2bには後処理を行わなかった。
【0151】
粒子P2aの後処理のプロトコル:
方法によって得た粒子を回収した後、2つの処理を行う:
- 工程(c)の終了時に得られた元素M酸化物の粒子を、pH7.5、温度25℃、アルカリ浴1リットルあたり5gの粒子の比率のアルカリ浴(水酸化ナトリウムと水との混合物)中に120分間導入することを含む処理工程(d)、及び
- 工程(d)の終了時に得られた元素M酸化物の粒子を200℃で120分間仮焼する工程(d)。
【0152】
2.2.このようにして得た酸化亜鉛粒子P2a及びP2bは、結晶性であり、二酸化ケイ素で被覆されていることが観測された。(Zn/Si)粒子原子比は、1であり、粒子のBET比表面積は、粒子P2aについて116m/g、粒子P2bについて74m/gである。さらに、粒子は、40nmの数平均直径を有する。
【0153】
実施例1と均等な耐水性試験を実施したところ、FSP処理及び後処理を受けた粒子(P2a)は、さらに高い耐水性を有することが示された。
【0154】
水1Lあたり100mgのP2aの含有率で粒子P2a及び水から水性懸濁液S1’を調製した。次いで、このようにして得た懸濁液S1’を20Wの出力で10分間超音波浴に入れた。
【0155】
その後、懸濁液S’1の一部を硝酸溶液によってpH=5にした。その後、時間の関数として且つ導入された亜鉛の量と比較して、懸濁液中に存在するZn2+イオンの含有率を従来の陽極溶出ボルタンメトリー法によって測定した。
【0156】
結果は、以下の表に列挙されている。
【0157】
【表2】
【0158】
2.3耐水性の評価:
2つの水性懸濁液S2a及びS2bは、pH8.2の水1リットルあたり100mgの粒子の含有率で粒子P2a及びP2bと水とから調製した。
【0159】
さらに、水性懸濁液S3を、標準Z-COTE HP1(酸化亜鉛及びトリエトキシカプリリルシラン)としてBASF社から販売されている酸化亜鉛粒子及び水から、水1リットルあたり100mgの市販粒子の含有率で調製した。換言すると、粒子Z-COTE HP1は、トリエトキシカプリリルシランの層で被覆されているため、疎水性及び水からの保護が得られる。これらの粒子のBET比表面積は、15.8m/gである。
【0160】
その後、このようにして得た懸濁液S2a、S2b及びS3を20Wの出力で10分間超音波浴に入れた。
【0161】
その後、時間の関数として、懸濁液S2a、S2b及びS3のそれぞれの中に存在するZn2+イオンの含有率を各懸濁液についての従来の陽極溶出ボルタンメトリー法によって様々な時点で測定した。
【0162】
結果は、以下の表に列挙されている。
【0163】
【表3】
【0164】
は、超音波浴の終了後10分未満で行われた最初の測定に対応する。
【0165】
S2aのラマンスペクトルは、S1のラマンスペクトルと類似している。すなわち、「4員環」の形態のケイ素原子に対応するピークが存在する。Si-Oの「3員環」のピークも存在するが、強度が低く、ピーク面積が小さい。
【0166】
本発明の方法に従って得られた被覆された酸化亜鉛粒子P2a及びP2bは、特に高いBET比表面積(市販の化合物の15.8m/gに対して粒子P2a及びP2bの116m/g及び74m/g)にもかかわらず、市販の酸化亜鉛粒子よりも優れた耐水性を有することに留意されたい。方法の最後に形成された粒子がアルカリ後処理(P2b)を受けたことから、この耐性は、さらに改善される。
【0167】
さらに、本発明による被覆された酸化亜鉛粒子P2a及びP2bは、市販の酸化亜鉛粒子と同じ遮蔽力を有することにも留意されたい。本発明の酸化亜鉛粒子は、良好なUVA遮蔽特性を保持しながら、より優れた耐水性、可視スペクトルにおけるより優れた透明性を得ることを可能にする。
【0168】
実施例3:
キシレン中のナフタン酸マグネシウム(C2214Mg)(500mM)の組成物(C)を調製した。
【0169】
次いで、あらかじめ調製した組成物(C)を用いて、従来のFSP調製方法であるPrep 1を使用して、被覆されていない酸化マグネシウム粒子P4を調製した(本発明外)。
【0170】
次に、同じ組成物(C)並びに3:1の比率でヘキサジメチルジシロキサン及びエタノールを含む組成物(B)を用いて、本発明による調製方法であるPrep 2を使用して、二酸化ケイ素で被覆された酸化マグネシウム粒子P5を調製した(本発明)。
【0171】
Prep 1方法のパラメータは、以下の通りである:
- 比率(組成物(C)/O)=5mL/分の液体及び7L/分の気体(O)。酸素流量を調整するために、φ=0.48を使用する。
【0172】
Prep 2方法のパラメータは、以下の通りである:
- 比率(組成物(C)/O)=5/7、すなわち5mL/分の液体及び7L/分の気体(O)。酸素流量を調整するために、φ=0.48を使用する。
【0173】
このPrep 2方法では、高さ40cmの石英管を使用する。さらに、窒素が最初に組成物(B)に吹き込まれる。組成物(B)が注入される際、25℃に加熱された窒素の流れがヘキサジメチルジシロキサン(HMDSO)の蒸発を可能にし、(Mg/Si)注入比=1になるように調整される。
【0174】
次いで、このようにして得られた粒子P5を2つのグループP5a及びP5bに分割した。粒子P5aには、以下のプロトコルに従って後処理を行ったが、粒子P5bには後処理を行わなかった。
【0175】
粒子P5aの後処理のプロトコル:
方法によって得た粒子を回収した後、2つの処理を行う:
- 工程(c)の終了時に得られた元素M酸化物の粒子を、pH8.5、温度25℃、アルカリ浴1リットルあたり5gの粒子の比率のアルカリ浴(水酸化ナトリウムと水との混合物)中に120分間導入することを含む処理工程(d)、及び
- 工程(d)の終了時に得られた元素M酸化物の粒子を200℃で120分間仮焼する工程(d)。
【0176】
粒子を調製した後、得られた酸化マグネシウム粒子が結晶性であることが観測された。
【0177】
さらに、本発明による方法Prep 2に従って得られた粒子は、二酸化ケイ素で被覆されており、(Mg/Si)粒子原子比は、1である。
【0178】
方法Prep 2による粒子のBET比表面積は、24m/gである。
【0179】
粒子は、40~90nmのサイズを有する。
【0180】
次に、3つのP4、P5a及びP5b粒子サンプルの耐性を評価する。
【0181】
このために、
- 0.1gのP4サンプルを、塩酸(pH=5)で酸性化した2.5Lの水浴に入れる(すなわちMgO当量として1mM)、
- 0.2gの各P5a及びP5bサンプルを、塩酸(pH=5)で酸性化した2.5Lの水浴に入れる(すなわちMgO当量として1mM)。
【0182】
マグネチックスターラーで30分間撹拌した後、回収した固形分の量を濾過して秤量し、次いで「回収された固形物」の含有率(濾過された質量/初期質量)をそこから推定する。
【0183】
P4(被覆されていないMgO粒子)の場合、固形物は、回収されない。
【0184】
P5aの場合、回収される固形物は、93%である。
【0185】
P5bの場合、回収される固形物は、78%である。
【0186】
実施例4:
キシレン中のナフテン酸チタン(500mM)の組成物(D)を調製した。
【0187】
次に、前記組成物(D)と、ヘキサジメチルジシロキサン及びエタノールを3:1の割合で含む組成物(B)との注入を含む、本発明によるFSP方法を使用して、二酸化ケイ素で被覆された酸化チタン粒子P6を調製した(粒子P6)。
【0188】
調製方法のパラメータは、以下の通りである:
- 比率(組成物(D)/O)=5/7、すなわち5mL/分の液体及び7L/分の気体(O)。酸素流量を調整するために、φ=0.48を使用する。
【0189】
この方法では、高さ40cmの石英管を使用する。さらに、窒素が最初に組成物(B)に吹き込まれる。組成物(B)が注入される際、25℃に加熱された窒素の流れがヘキサジメチルジシロキサン(HMDSO)の蒸発を可能にし、(Ti/Si)注入比が1になるように調整される。
【0190】
実施例5:
5.1.二酸化ケイ素で被覆された酸化亜鉛粒子P1(本発明)を実施例1に記載の方法に従って調製した。
【0191】
二酸化ケイ素で被覆された酸化亜鉛粒子P7(比較)は、実施例1に記載の組成物(A)と、テトラエトキシシラン及びエタノールを3:1の割合で含む組成物(B1)との注入を含む同じ方法を使用して同時に調製した。
【0192】
二酸化ケイ素で被覆された酸化亜鉛粒子P8(比較)も、実施例1に記載の組成物(A)及びヘキサジメチルジシロキサンのみを含む組成物(B2)の注入を含む同じ方法を使用して調製した。
【0193】
調製方法のパラメータは、以下の通りである:
- 比率(組成物(A)/O)=5/7、すなわち5mL/分の液体及び7L/分の気体(O)。酸素流量を調整するために、φ=0.48を使用する。
【0194】
この方法では、高さ40cmの石英管を使用する。さらに、窒素が最初に組成物(B)、(B1)及び(B2)に吹き込まれる。これらの組成物(B)、(B1)及び(B2)が注入される際、25℃に加熱された窒素の流れがヘキサジメチルジシロキサン(HMDSO)又はテトラエトキシシランの蒸発を可能にし、(Zn/Si)注入比=1になるように調整される。
【0195】
5.2.粒子P7及びP8のラマンスペクトルは、粒子P1のラマンスペクトルと異なり、ケイ素原子が「4員環」形態にある特定の構造に対応するピークが低強度(P7)であるか又は広すぎる(P8)ことを示している。これらの結果は、「4員環」形態がP7の場合に適度にのみ形成され、比較粒子P8では形成されないことを示している。
【0196】
5.3耐水性の評価:
水性懸濁液S1、S7及びS8を水1リットルあたり100mgの粒子の含有率で粒子P1、P7及びP8と水とから調製した。次いで、このようにして得た懸濁液S1、S7及びS8を20Wの出力で10分間超音波浴に入れた。
【0197】
その後、懸濁液S1、S7及びS8の一部を硝酸によってpH=5にした。
【0198】
その後、時間の関数として、懸濁液S1、S7及びS8のそれぞれの中に存在するZ2+イオンの含有率を各懸濁液についての従来の陽極溶出ボルタンメトリー法によって測定した。
【0199】
結果は、以下の表に列挙されている。
【0200】
【表4】
【0201】
は、超音波浴の終了後10分未満で行われた最初の測定に対応する。
【0202】
特定の溶媒中で少なくとも2つのケイ素原子とSi-炭素共有結合とを含むケイ素前駆体を使用して、本発明の調製方法に従って得られた被覆された酸化亜鉛粒子P1は、優れた耐水性を有することに留意されたい。
【0203】
特定の溶媒中で2つのケイ素原子を含まない特定のケイ素前駆体を用いて得られた被覆粒子P7は、良好な耐水性を与える。
【0204】
逆に、2つのケイ素原子を含む特定のケイ素前駆体を用いるが、特定の溶媒を用いずに得られた粒子P8は、良好な耐水性を与えない。
【0205】
したがって、水保護効果を得るために、シリカに基づくコーティングを製造することは、十分ではないと結論付けられる。
図1