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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20241001BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241001BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241001BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20241001BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20241001BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20241001BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20241001BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 309
G09F9/30 349A
G09F9/30 349D
G09F9/00 338
H01L33/00 L
H01L33/54
H01L33/50
H01L33/60
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022545585
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2021028586
(87)【国際公開番号】W WO2022044709
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020146129
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】玉置 昌哉
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-194675(JP,A)
【文献】特開2021-027128(JP,A)
【文献】特開2019-046929(JP,A)
【文献】特開2007-227868(JP,A)
【文献】特開2005-276895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0022039(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 ー 9/46
H01L 33/00
H01L 33/54
H01L 33/50
H01L 33/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基体と、
前記第1基体上に重ねられ、重ね方向において貫通する貫通孔を有する第2基体と、
前記第1基体における前記貫通孔内に露出した部位上に実装される、上面および側面を有する発光素子と、
前記貫通孔内に設けられ、前記発光素子の少なくとも前記側面を封止する第1透明体と、
前記貫通孔内において前記第1透明体上に位置し、前記第1透明体よりも屈折率が小さく、前記第1透明体よりも厚さが厚い第2透明体と、を備え
前記第2基体は、前記第1基体上に間隔をもって設けられており、
前記第1透明体は、前記第1基体と前記第2基体との間に延在している表示装置。
【請求項2】
前記第1透明体は、透明樹脂接着材から成る請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記発光素子は、前記貫通孔内において前記第1透明体および前記第2透明体によって気密に封止されている請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1透明体は、前記第1基体と前記第2基体との間に延在している延在部の厚みが、前記貫通孔内の部位の厚みよりも薄い請求項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2基体は、前記第1基体に対向する側の面が粗面となっている請求項またはに記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1基体は、前記第2基体に対向する側の面が粗面となっている請求項1、4、および5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1透明体と前記第2透明体との間に位置する波長変換部材を備える請求項1~のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記波長変換部材は、蛍光体または量子ドットを含有する請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記波長変換部材と前記第2透明体との間に位置するカラーフィルタを備える請求項またはに記載の表示装置。
【請求項10】
前記発光素子は、前記上面が前記第1透明体から露出している請求項のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記貫通孔は、発光素子の出射光の少なくとも一部を内周面で複数回反射させる深さを有している請求項1~10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記発光素子は、出射光の最大強度光が前記上面の垂線に対して傾斜しており、
前記最大強度光が前記貫通孔の前記内周面で複数回反射する請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記貫通孔の内周面上に設けられた光反射膜を備える請求項1~12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第2基体は、表示面としての前記第1基体と反対側の面を有しており、
前記表示面上に位置する光吸収膜を備える請求項1~13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
発光素子が実装される部位を含む実装面を有する第1基体を準備する第1準備工程と、
貫通孔を有する第2基体を準備する第2準備工程と、
前記第1基体の前記部位上に、上面および側面を有する発光素子を実装する実装工程と、
第1透明樹脂を前記実装面上および前記発光素子の少なくとも前記側面に塗布する塗布工程と、
前記実装面の側において、前記第1基体上に前記第2基体を、前記発光素子が前記貫通孔内に位置するように位置付けて重ねる配置工程と、
前記第1透明樹脂を硬化させることによって、前記第1基体と前記第2基体とを固定するとともに、前記第1基体と前記第2基体との間および前記貫通孔内に位置し、前記発光素子を封止する第1透明体を形成する第1形成工程と、
前記第1透明樹脂よりも屈折率が小さい第2透明樹脂を前記貫通孔内に充填する充填工程と、
前記第2透明樹脂を硬化させることによって、前記第1透明体よりも厚さが厚い第2透明体を形成する第2形成工程と、を含む表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記配置工程は、前記第1基体に対して前記第2基体を相対的に押圧する押圧操作を含む請求項15に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)素子等の自発光素子を備えた表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された表示装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-54081号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の表示装置は、第1基体と、
前記第1基体上に重ねられ、重ね方向において貫通する貫通孔を有する第2基体と、
前記第1基体における前記貫通孔内に露出した部位上に実装される、上面と側面と下面を有する発光素子と、
前記貫通孔内に設けられ、前記発光素子の少なくとも前記側面を封止する第1透明体と、
前記貫通孔内において前記第1透明体上に位置し、前記第1透明体よりも屈折率が小さく、前記第1透明体よりも厚さが厚い第2透明体と、を備える。
【0005】
本開示の表示装置の製造方法は、発光素子が実装される部位を含む実装面を有する第1基体を準備する第1準備工程と、
貫通孔を有する第2基体を準備する第2準備工程と、
前記第1基体の前記部位上に、上面と側面と下面を有する発光素子を実装する実装工程と、
第1透明樹脂を前記実装面上および前記発光素子の少なくとも前記側面に塗布する塗布工程と、
前記実装面の側において、前記第1基体上に前記第2基体を、前記発光素子が前記貫通孔内に位置するように位置付けて重ねる配置工程と、
前記第1透明樹脂を硬化させることによって、前記第1基体と前記第2基体とを固定するとともに、前記第1基体と前記第2基体との間および前記貫通孔内に位置し、前記発光素子を封止する第1透明体を形成する第1形成工程と、
前記第1透明樹脂よりも屈折率が小さい第2透明樹脂を前記貫通孔内に充填する充填工程と、
前記第2透明樹脂を硬化させることによって、前記第1透明体よりも厚さが厚い第2透明体を形成する第2形成工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
図1】本開示の一実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
図2A図1の切断面線A1-A2で切断した断面図である。
図2B】本開示の他の実施形態に係る表示装置を示し、図2Aに対応する断面図である。
図3図1の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図4図1の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図5図1の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図6図1の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図7図1の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図8図2Aの表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図9A図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図9B図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図10A図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図10B図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図10C図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図10D図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図11A図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図11B図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図11C図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図11D図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図12】本開示の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の表示装置が基礎とする構成について説明する。従来、発光ダイオード素子等の自発光素子を複数備えた表示装置が種々提案されている。特許文献1は、複数の発光ダイオード素子が配列された第1基板上に、複数の発光ダイオード素子にそれぞれ対応する複数の貫通孔が形成された第2基板を配置し、複数の発光ダイオード素子の各々を透光性樹脂にて封止して成る表示装置を開示している。
【0008】
近年、表示装置の技術分野において、高精細化および光取り出し効率の向上が求められている。従来の表示装置は、高精細化および光取り出し効率の向上を図るにあたって、第1基板と第2基板との固定、および、発光素子の封止に関して、改善の余地がある。
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態に係る表示装置について説明する。以下で参照する各図は、実施形態に係る表示装置の主要な構成部材等を示している。実施形態に係る表示装置は、図示されていない回路基板、配線導体、制御IC,LSI等の周知の構成を備えていてもよい。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図であり、図2A,2Bは、図1の切断面線A1-A2で切断した断面図であり、図3図6は、図1の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。図3図6に示す断面図は、図2Aに示す断面図に対応する。
【0011】
本開示の表示装置1は、第1基体としての第1基板2と、第1基板2上に重ねられ、重ね方向において貫通する貫通孔31を有する第2基体としての第2基板3と、第1基板2における貫通孔31内に露出した部位2aa上に実装される、上面と側面と下面を有する発光素子4と、貫通孔31内に設けられ、発光素子4の少なくとも側面を封止する第1透明体5と、貫通孔31内において第1透明体5上に位置し、第1透明体5よりも屈折率が小さく、第1透明体5よりも厚さが厚い第2透明体6と、を備える構成である。
【0012】
上記の構成により、以下の効果を奏する。第2基体3の貫通孔31内において第1透明体5上に位置し、第1透明体5よりも屈折率が小さく、第1透明体5よりも厚さが厚い第2透明体6、を備えることから、第2透明体6が導光体として効果的に機能することから、発光素子4の放射光を外部に効率良く取り出すことができる。また、発光素子4の放射光が第1透明体5と第2透明体6との界面で全反射することを抑えるとともに貫通孔31の内周面31aで反射させることが容易になることから、発光素子4の放射光を外部に効率良く取り出すことが容易になるとともに、貫通孔31から外部に放射される光の指向性が向上する。また、発光素子4は第1透明体5および第2透明体6によって気密に封止されるとともに、発光素子4で発生した熱は第1透明体5および第2透明体6によって第2基体3に効率よく伝熱され放散されることから、信頼性が向上する。
【0013】
第1基体2および第2基体3は、基板等の板状体、ブロック状体、フレキシブルなシート状体、曲面または凹凸等の非平坦面を有する立体的構造体等の形状であってもよい。なお、以下の説明においては、第1基体2が第1基板2であり、第2基体3が第2基板3である例について説明する。貫通孔31は、その内周面31aで発光素子4の放射光を反射させるキャビティ(凹部)としても機能する。
【0014】
発光素子4は、上面と側面と下面を有する形状であり、例えば立方体、直方体、円柱、楕円柱、三角柱、多角柱、錐状体等の形状であってもよい。
【0015】
第1透明体5は、発光素子4の少なくとも側面を封止する。発光素子4の上面は、図2Aに示すように第1透明体5によって覆われていてもよく、図2Bに示すように第1透明体5から露出していてもよい。発光素子4の上面が第1透明体5から露出している場合、例えば第1透明体5と第2透明体6との間に波長変換部材7が位置している場合には、発光素子4の上面から放射される放射光が直接的に波長変換部材7に入射し、効率良く波長変換される。
【0016】
発光素子4は、下面側がフリップチップ接続される水平接続型発光素子である場合であって、発光素子4の下面と第1基板2の第1面2aとの間に隙間がある場合には、発光素子4の下面が第1透明体5によって覆われて封止されていてもよい。また、発光素子4は、下面側にある一方極性の端子が第1基板2の第1面2a上にある一方極性の電極に接続される垂直接続型発光素子である場合であって、発光素子4の下面と第1基板2の第1面2aとの間に隙間がない場合には、発光素子4の下面は第1透明体5によって封止されないことになる。
【0017】
本実施形態に係る表示装置1は、第1基板2と、第2基板3と、発光素子4と、第1透明体5と、第2透明体6とを含む。
【0018】
第1基板2は、第1面(一方主面)2aを有している。第1面2aは、発光素子4を実装する実装面でもある。第1基板2は、平面視したときの(すなわち、第1面2aに垂直な方向から見たときの)形状が、例えば、三角形、正方形、矩形、六角形、台形、円形、楕円形等の形状であってもよく、その他の形状であってもよい。
【0019】
第1基板2は、例えば、ガラス材料、セラミック材料、樹脂材料、金属材料、半導体材料等から成る。
【0020】
第1基板2に用いられるガラス材料としては、例えば、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、石英、ソーダガラス等が挙げられる。第1基板2に用いられるセラミック材料としては、例えば、アルミナ(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si34)、ジルコニア(ZrO2)、炭化珪素(SiC)等が挙げられる。第1基板2に用いられる樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。第1基板2に用いられる金属材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)(特に、純度99.95%以上の高純度マグネシウム)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)等が挙げられる。第1基板2に用いられる金属材料は、合金材料であってもよい。第1基板2に用いられる合金材料としては、例えば、鉄を主成分とする鉄合金(Fe-Ni合金、Fe-Ni-Co(コバルト)合金、Fe-Cr合金、Fe-Cr-Ni合金)、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金であるジュラルミン(Al-Cu合金、Al-Cu-Mg合金、Mg-Zn-Mg-Cu合金)、マグネシウムを主成分とするマグネシウム合金(Mg-Al合金、Mg-Zn合金、Mg-Al-Zn合金)、ボロン化チタン、Cu-Zn合金等が挙げられる。第1基板2に用いられる半導体材料としては、例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウムヒ素(GaAs)等が挙げられる。
【0021】
第1基板2は、上記のガラス材料、セラミック材料、樹脂材料、金属材料、半導体材料等から成る単層構造であってもよく、複数層の積層構造であってもよい。第1基板2が複数層の積層構造である場合、該複数層は同一の材料から成っていてもよく、異なる材料から成っていてもよい。
【0022】
第2基板3は、例えば図2Aに示すように、第1基板2の第1面2a上に配置されている。第2基板3は、板状またはブロック状の形状を有している。第2基板3は、第1基板2の第1面2aに対向する第2面3a、および第2面3aとは反対側の第3面3bを有している。第2基板3の第3面3bは、表示装置1が画像光を出射する表示面である。第2基板3は、平面視したときの形状が、例えば、三角形、正方形、矩形、六角形、台形、円形、楕円形等の形状であってもよく、その他の形状であってもよい。第1基板2と第2基板3とは、平面視形状が互いに一致していてもよい。
【0023】
第2基板3には、第2面3aから第3面3bにかけて貫通する貫通孔31が形成されている。貫通孔31は、第1面2aの部位(実装部位ともいう)2aaを露出させている。貫通孔31は、第2基板3の第3面3bに平行な断面の断面形状が、例えば、正方形状、矩形状、円形状、楕円形状等であってもよく、その他の形状であってもよい。貫通孔31は、第3面3bに平行な断面の断面形状が、第3面3bから第2面3aに向かう方向において、徐々に縮小する形状であってもよい。貫通孔31は、第3面3b上に開口する開口31bを有している。表示装置1は、平面視において、開口31bの周縁が実装部位2aaの周縁を取り囲む形状であってもよい。すなわち、貫通孔31は、上側の開口31bの大きさが下側の開口の大きさよりも大きい構成であってもよい。この場合、発光素子4の出射光を効率よく外部に取り出すことができる。
【0024】
第2基板3は、ガラス材料、セラミック材料、樹脂材料、金属材料、半導体材料等から成る。
【0025】
第2基板3に用いられるガラス材料としては、例えば、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、石英、ソーダガラス等が挙げられる。第2基板3に用いられるセラミック材料としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、ジルコニア、炭化珪素等が挙げられる。第2基板3に用いられる樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。第2基板3に用いられる金属材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、ベリリウム、マグネシウム(特に、純度99.95%以上の高純度マグネシウム)、亜鉛、錫、銅、鉄、クロム、ニッケル、銀等が挙げられる。第2基板3に用いられる金属材料は、合金材料であってもよい。第2基板3に用いられる合金材料としては、例えば、鉄を主成分とする鉄合金(Fe-Ni合金、Fe-Ni-Co合金、Fe-Cr合金、Fe-Cr-Ni合金)、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金であるジュラルミン(Al-Cu合金、Al-Cu-Mg合金、Al-Zn-Mg-Cu合金)、マグネシウムを主成分とするマグネシウム合金(Mg-Al合金、Mg-Zn合金、Mg-Al-Zn合金)、ボロン化チタン、Cu-Zn合金等が挙げられる。第2基板3に用いられる半導体材料としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素等が挙げられる。
【0026】
第2基板3は、上記の金属材料から成る単層構造を有していてもよく、複数層の積層構造であってもよい。第2基板3が複数層の積層構造である場合、該複数層は同一の材料から成っていてもよく、異なる材料から成っていてもよい。貫通孔31は、例えばパンチング加工法、電気鋳造法(メッキ法)、切削加工法、レーザ加工法等を用いて形成されていてもよい。第2基板3が金属材料から成る場合、貫通孔31は、例えばパンチング加工法、電気鋳造法等を用いて形成することができる。第2基板3が半導体材料から成る場合、貫通孔31は、ドライエッチング工程を含むフォトリソグラフィ法等によって形成することができる。
【0027】
第2基板3が金属材料または半導体材料から成る場合、第1基板2の第1面2aと第2基板3の第2面3aとの間には、電気絶縁材料から成る絶縁体または絶縁層が配置されていてもよい。これにより、第1面2a上に設けられる電極、配線導体等が、第2基板3を介して、互いに短絡することを抑制できる。絶縁体または絶縁層に用いられる電気絶縁材料としては、例えば、酸化珪素、窒化珪素等が挙げられる。
【0028】
発光素子4は、第1基板2における、貫通孔31内に露出した実装部位2aa上に実装されている。発光素子4は、自発光型の発光素子である。自発光型の発光素子は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)素子、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)素子、半導体レーザ(Laser Diode:LD)素子等であってもよい。本実施形態の表示装置1は、発光ダイオード素子である発光素子4を含む。発光ダイオード素子は、アノード端子41およびカソード端子42を有する2端子素子である。発光素子4は、マイクロ発光ダイオード素子であってもよい。マイクロ発光ダイオード素子は、実装部位2aa上に実装された状態で、一辺の長さが1μm程度以上100μm程度以下または5μm程度以上20μm程度以下である矩形状の平面視形状を有していてもよい。
【0029】
表示装置1は、アノード電極12およびカソード電極13を有している。アノード電極12およびカソード電極13は、例えば図1,2に示すように、第1基板2の第1面2a上に設けられている。アノード電極12およびカソード電極13は、第1面2aの実装部位2aa上に位置していてもよい。発光素子4のアノード端子41およびカソード端子42は、アノード電極12およびカソード電極13にそれぞれ電気的に接続される。
【0030】
発光素子4は、アノード電極12およびカソード電極13に対してフリップチップ接続されていてもよい。発光素子4とアノード電極12およびカソード電極13とは、はんだボール、金属バンプ、導電性接着剤、異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film:ACF)等の導電性接続部材を用いたフリップチップ接続によって、電気的および機械的に接続されていてもよい。発光素子4とアノード電極12およびカソード電極13との接続は、フリップチップ接続に限られない。発光素子4とアノード電極12およびカソード電極13とは、ボンディングワイヤ等の導電性接続部材を用いて、電気的に接続されていてもよい。
【0031】
第1基板2が金属材料または半導体材料から成る場合、第1基板2の少なくとも第1面2a上に酸化珪素、窒化珪素等から成る絶縁層を配置し、該絶縁層上にアノード電極12およびカソード電極13を配置してもよい。これにより、発光素子4とアノード電極12およびカソード電極13とを電気的に接続した際に、発光素子4のアノード端子41とカソード端子42とが電気的に短絡することを抑制できる。
【0032】
アノード電極12およびカソード電極13は、駆動回路に接続されている。駆動回路は、発光素子4の発光、非発光、発光強度等を制御することができる。駆動回路は、例えば、第1基板2の一方主面2a上に配置されていてもよく、第1基板2の他方主面2b上に配置されていてもよい。駆動回路は、一方主面2a上または他方主面2b上に配置された、酸化珪素、窒化珪素等から成る複数の絶縁層の層間に配置されていてもよい。
【0033】
駆動回路は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)および配線導体等を含んで構成される。TFTは、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)、低温多結晶シリコン(Low-Temperature Poly Silicon:LTPS)等から成る半導体膜(チャネルともいう)を有していてもよい。TFTは、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の3端子を有していてもよい。TFTは、ゲート電極に印加される電圧に応じてソース電極とドレイン電極との間の導通と非導通とを切り替えるスイッチング素子として機能する。駆動回路は、化学的気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法等の薄膜形成法を用いて形成されていてもよい。
【0034】
第1透明体5は、第1基板2の第1面2aと第2基板3の第2面3aとの間に位置している。また、第1透明体5は、貫通孔31内に位置しており、例えば図2Aに示すように、第1面2aの実装部位2aa上から貫通孔31内にかけて位置している。第1透明体5は、第1基板2と第2基板3と互いに固定しているとともに、発光素子4を封止している。
【0035】
第1透明体5は、透明樹脂接着材から成っていてもよい。この場合、第1透明体5は、第1基板2と第2基板3を固定する効果が向上する。透明樹脂接着材から成る第1透明体5は、樹脂接着材として多用されるエポキシ樹脂、またはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等の接着性を有する透明樹脂であってもよい。
【0036】
第1透明体5は、例えば図2Aに示すように、厚さが一定でなくてもよい。例えば、第2基板3は、第1基板2上に間隔をもって設けられており、第1透明体5は、第1基板2と第2基板3との間に延在している構成であってもよい。この場合、第1基板2と第2基板3とを固定する固定部材としても機能する第1透明体5は、第1基板2と第2基板3との間に延在していることから、第1基板2と第2基板3を固定する効果がより向上する。
【0037】
第1透明体5は、第1基板2と第2基板3との間に延在している延在部の厚みが、貫通孔31内の部位の厚みよりも薄い構成であってもよい。この場合、発光素子4の放射光が延在部を経て隣接する貫通孔31に入り込むことを抑えることができる。第1透明体5は、実装部位2aa上から貫通孔31内にかけて位置する部位の厚さが、例えば、2μm程度以上15μm程度以下であってもよい。また、第1透明体5は、第1面2aと第2面3aとの間に延在する延在部の厚さが、例えば、2μm程度以上5μm程度以下であってもよい。本明細書において、「厚さ」は、第1基板2の第1面2aに直交する方向の厚さを意味してよい。
【0038】
第2基板3は、第1基板2上に間隔をあけずに設けられており、第1透明体5は貫通孔31にのみ位置していてもよい。この場合、発光素子4の放射光が隣接する貫通孔31に入り込むことを防ぐことができる。
【0039】
第1透明体5は、例えば透明樹脂(第1透明樹脂)等から成る。第1透明樹脂は、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、2液混合硬化樹脂等であってもよい。第1透明樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。第1透明体5は、例えば、1.4程度以上1.9程度以下の屈折率を有していてもよい。
【0040】
第1透明体5は、第1透明樹脂から成る本体部と、該本体部中に分散している複数の光散乱粒子とを有していてもよい。光散乱粒子は、その屈折率が、本体部の屈折率よりも大きくてもよい。光散乱粒子は、例えば酸化チタン(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)等から成っていてもよい。光散乱粒子は外部から到来する光を散乱することができる。光散乱粒子は、外部から到来する光が、第1透明体5に入射し、発光素子4の出射光と干渉することを抑制できる。その結果、表示装置1の表示品位の低下を抑制できる。
【0041】
第2透明体6は、第2基板3に形成された貫通孔31内に位置している。第2透明体6は、第1透明体5よりも第3面3b側に位置している。第2透明体6は、第1透明体5に接していてもよい。あるいは、第1透明体5と第2透明体6との間に、他の光学部材が設けられることによって、第1透明体5と第2透明体6とが離隔していてもよい。第2透明体6は、第1透明体5よりも厚さが厚くされている。第2透明体6は、例えば図2Aに示すように、第1透明体5の、実装部位2aa上から貫通孔31内にかけて位置している部位よりも厚さが厚くてもよい。第2透明体6は、第2基板3の厚さの2分の1を超える厚さを有していてもよく、第2基板3の厚さの3分の2を超える厚さを有していてもよい。
【0042】
第2透明体6は、透明樹脂(第2透明樹脂)から成る。第2透明樹脂は、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、2液混合硬化樹脂等であってもよい。第2透明樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。第2透明体6は、第1透明体5よりも屈折率が小さくされている。第2透明体6は、例えば、1.33程度以上1.50程度以下の屈折率を有していてもよい。
【0043】
第2透明体6は、第2透明樹脂から成る本体部と、該本体部中に分散している複数の光散乱粒子とを有していてもよい。光散乱粒子は、その屈折率が、第2透明体6の本体部よりも大きくてもよい。光散乱粒子は、例えば酸化珪素(SiO2)等から成っていてもよい。光散乱粒子は外部から到来する光を散乱することができる。光散乱粒子は、外部から到来する光が、第2透明体6に入射し、発光素子4の出射光と干渉することを抑制できる。その結果、表示装置1の表示品位の低下を抑制できる。
【0044】
図2Aでは、第1透明体5の上面(第2透明体6側の面)および第2透明体6の下面(第1透明体5側の面)が第3面3bに略平行である例を示しているが、第1透明体5の上面は、第1基板2に向かって凹状に湾曲していてもよい。また、第2透明体6の下面は、第1基板2に向かって凸状に湾曲していてもよい。第1透明体5および第2透明体6のこのような構成によれば、第1透明体5と第2透明体6との界面が発揮する光学的機能によって、発光素子4の出射光を、発光素子4の中心を通り、第1面2aに垂直な仮想線上に集光できる。その結果、表示装置1から出射される画像光の指向性を高めることが可能になる。
【0045】
本実施形態の表示装置1では、第1透明体5が、第1基板2と第2基板3との間、および、貫通孔31内に位置している。第1透明体5は、第1面2a上に位置し、第1面2aと第2面3aとの間に介在しているとともに、貫通孔31内に延びている。このため、表示装置1の画素密度を高めた場合、すなわち、第2基板3に形成される貫通孔31の数が増加し、第2基板3の第2面3a(第1基板2に対向する面)の面積が減少した場合であっても、第1基板2と第2基板3とを強固に固定することができる。このように、本実施形態の表示装置1は、信頼性に優れた高精細の表示装置とすることができる。
【0046】
また、本実施形態の表示装置1は、第2透明体6の屈折率が第1透明体5の屈折よりも小さくされている。これにより、発光素子4の出射光が、第1透明体5と第2透明体6との界面で全反射し、外部に向かって伝播しなくなることを抑制できるため、光取り出し効率を向上させることができる。
【0047】
第1透明体5よりも厚い第2透明体6の光透過率が、第1透明体5の光透過率よりも高い構成であってもよい。これにより、第1透明体5および第2透明体6のトータルでの光透過性が格段に向上し、発光素子4の放射光を外部に効率良く取り出すことができる。第2透明体6の光透過率は、第1透明体5の光透過率の1倍を超え2倍程度以下であってもよいが、この範囲に限らない。
【0048】
第1透明体5の第2透明体6側の面が、発光素子4側に凹んだ凹面(第1凹面)であり、第2透明体6の上面が発光素子4側に凹んだ凹面(第2凹面)であある場合、第2凹面の曲率が第1凹面の曲率よりも小さい構成であってもよい。この場合、貫通孔31から外部放射される光の収束性が劣化することを抑えることができる。また、第1透明体5と第2透明体6との接触面積(接合面積)が大きくなることから、第1透明体5と第2透明体6との間の接合力が向上する。
【0049】
以下、本開示の一実施形態に係る表示装置の変形例について説明する。
【0050】
表示装置1は、例えば図3に示すように、第1透明体5と第2透明体6との間に位置する波長変換部材7を含んでいてもよい。波長変換部材7は、発光素子4の出射光を、該出射光の波長と異なる波長の光に変換する。発光素子4が青色LED素子である場合、波長変換部材7は、発光素子4から出射された青色光を、赤色光または緑色光に変換してもよい。発光素子4が紫外LED素子である場合、波長変換部材7は、発光素子4から出射された紫外光を、赤色光、緑色光または青色光に変換してもよい。
【0051】
波長変換部材7は、蛍光体または量子ドットを含有していてもよい。波長変換部材7は、透光性の絶縁樹脂または透光性のガラスから成る本体部と、該本体部中に分散している、蛍光体または量子ドットとを含んで構成されていてもよい。蛍光体または量子ドットは、本体部中に均一に分散していてもよい。
【0052】
波長変換部材7に用いられる絶縁樹脂は、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等であってよい。波長変換部材7に用いられる絶縁樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。波長変換部材7に用いられるガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、石英、ソーダガラス等が挙げられる。
【0053】
波長変換部材7の蛍光体に用いられる蛍光体材料としては、発光素子4の出射光で励起され、該出射光とは異なる波長の光を放出することができる種々の材料を用いることができる。赤色の蛍光を発する蛍光体としては、例えば、La22S:Eu、Y22S:Eu等が挙げられる。緑色の蛍光を発する蛍光体としては、例えば、ZnS:Cu,Al、SrGa24:Eu等が挙げられる。青色の蛍光を発する蛍光体としては、例えば、BaMgAl1012:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4612:Eu等が挙げられる。なお、「~:Eu」はEuを微量成分として含むことを意味する。量子ドットは、1nm程度以上100nm程度以下の直径を有する粒子である。波長変換部材7の量子ドットに用いられる量子ドット材料としては、例えば、CdSe(セレン化カドミウム)、CdS(硫化カドミウム)、InP(リン化インジウム)等が挙げられる。波長変換部材7が量子ドットを含む場合、波長変換部材7が出射する光の色純度を向上させることができる。
【0054】
表示装置1は、例えば図4に示すように、第2透明体6と波長変換部材7との間に位置するカラーフィルタ8を含んでいてもよい。カラーフィルタ8は、顔料または染料を添加した樹脂から成る。カラーフィルタ8に用いられる顔料は、有機顔料であってもよく、無機顔料であってもよい。カラーフィルタ8に用いられる樹脂は、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等であってもよい。カラーフィルタ8に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0055】
発光素子4が青色光を出射し、波長変換部材7が青色光を赤色光に変換する場合、カラーフィルタ8は赤色光を透過し、赤色光以外の可視光を吸収し透過を抑制するように構成される。言い換えれば、カラーフィルタ8は、発光素子4の出射光のうち赤色光に変換されなかった可視光を吸収するように構成される。カラーフィルタ8は、赤色光以外の可視光を、人の視感に感受されない程度に吸収し透過を抑制すればよい。これにより、赤色光以外の光による混色を低減することができ、表示装置1の色再現性を向上させることができる。また、発光素子4が青色光を出射し、波長変換部材7が青色光を緑色光に変換する場合、カラーフィルタ8は緑色光を透過し、緑色光以外の可視光を吸収し透過を抑制するように構成される。言い換えれば、カラーフィルタ8は、発光素子4の出射光のうち緑色光に変換されなかった可視光を吸収するように構成される。これにより、緑色光以外の光による混色を低減することができ、表示装置1の色再現性を向上させることができる。
【0056】
表示装置1は、発光素子4が紫外光を出射し、波長変換部材7が紫外光を、赤色光、緑色光、青色光等の可視光に変換する場合、カラーフィルタ8を含まなくてもよい。発光素子4の出射光のうち波長変換部材7によって可視光に変換されない光は、実質的に、人間の眼によって視認されない紫外光または近紫外光である。したがって、表示装置1がカラーフィルタ8を含まない場合であっても、表示装置1の色再現性は実質的に低下しない。
【0057】
波長変換部材7は、第1透明体5および/または第2透明体6に含まれていてもよい。波長変換部材7が第1透明体5に含まれる場合、発光素子4の出射光を直接的に波長変換することができ、波長変換効率が向上しやすい。波長変換部材7が第2透明体6に含まれる場合、発光素子4の出射光を長い光路でもって波長変換することができ、波長変換効率が向上しやすい。
【0058】
表示装置1は、発光素子4から出射された光が貫通孔31の内周面31aで少なくとも1回反射するように構成されていてもよい。これにより、第3面3bから出射される画像光を平行光に近付けることができるため、表示装置1から出射される画像光の指向性を高めることが可能になる。
【0059】
発光素子4の出射光を内周面31aで少なくとも1回反射させるには、例えば、第2基板3の厚みを第1基板2の厚みよりも厚くしてもよい。すなわち、貫通孔31の深さを深くしてもよい。表示装置1は、例えば、発光素子4の出射光の強度分布等に基づいて、第2基板3の厚み、貫通孔31の形状、貫通孔31と発光素子4との寸法比率等を適宜設計することによって、発光素子4の出射光が貫通孔31の内周面31aで少なくとも1回反射するように構成されてもよい。
【0060】
貫通孔31は、発光素子4の出射光の少なくとも一部を内周面31aで複数回反射させる深さを有している構成であってもよい。この場合、発光素子4の出射光が第2基板3の外部に高い収束性でもって放射されやすくなる。貫通孔31の深さは、発光素子4の高さの3倍~10倍程度であってもよく、5倍~10倍程度であってもよいが、これらの範囲に限らない。
【0061】
発光素子4は、出射光の最大強度光が発光素子4の上面の垂線に対して傾斜しており、最大強度光が貫通孔31の内周面31aで複数回反射する構成であってもよい。この場合、発光素子4の出射光が第2基板3の外部に、効率良くかつ高い収束性でもって放射されやすくなる。最大強度光の反射回数は、2回以上5回程度以下であるが、この範囲に限らない。最大強度光の放射方向は、発光素子4の実装部位2aaの面の垂線に対して傾斜した方向であってよい。その結果、貫通孔31から外部に放射される光の指向性が向上する。例えば、最大強度光が貫通孔31の内周面31aで複数回反射するように、第1基板2の厚みを0.2mm~2.0mm程度とし、第2基板3の厚みを1.0mm~3.0mm程度としてもよいが、これらの厚みの値に限らない。なお、最大強度光の方向は、実装部位2aaの垂線とのなす角度が30°~60°程度であってよいが、この角度範囲に限らない。
【0062】
第2基板3は、貫通孔31の内周面31aが鏡面であってもよい。これにより、内周面31aにおける発光素子4の出射光の反射率を高め、発光素子4の出射光が内周面31aにおいて反射する際の損失を低減できる。その結果、発光素子4の出射光の装置外への取り出し効率を向上させることができ、ひいては、高輝度の画像表示を行うことができる。
【0063】
貫通孔31の内周面31aには、例えば、電界研磨、化学研磨等の鏡面加工が施されていてもよい。貫通孔31は、内周面31aの表面粗さRaが、例えば、0.01μm程度以上0.1μm程度以下であってもよい。内周面31aは、可視光に対する反射率が、例えば、85%程度以上95%程度以下であってもよい。
【0064】
表示装置1は、例えば図5に示すように、貫通孔31の内周面31a上に設けられた光反射膜9を含んでいてもよい。これにより、第2基板3を構成する材料、内周面31aの表面粗さRa等に拘らず、貫通孔31内における光の反射率を高め、発光素子4の出射光が貫通孔31内で反射する際の損失を低減できる。その結果、表示装置1は、発光素子4から出射された光の装置外への取り出し効率を向上させることができ、高輝度の画像表示を行うことができる。
【0065】
光反射膜9は、例えば金属材料等から成っていてもよい。光反射膜9に用いられる金属材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金等が挙げられる。
【0066】
光反射膜9は、貫通孔31の内周面31aに、CVD法、蒸着法、メッキ法等の薄膜形成方法を用いて形成されてもよく、アルミニウム、銀、金等を含む粒子を含む樹脂ペーストを焼成し固化させる厚膜形成方法等の膜形成法を用いて形成されてもよい。光反射膜9は、貫通孔31の内周面31aに、アルミニウム、銀、金等を含むフィルムまたは上記合金のフィルムを接合する接合法を用いて形成されてもよい。光反射膜9の外表面には、光反射膜9の酸化による反射率の低下を抑制するための保護膜が設けられていてもよい。
【0067】
第2基板3は、第3面3bがブラスト処理等によって粗面化されていてもよい。第3面3bを粗面化することによって、第3面3bの表面積を増加させることができる。その結果、発光素子4で発生する熱を、第2基板3に伝達または伝導させ、第2基板3の第3面3bから外部に効果的に放熱することができる。
【0068】
また、第3面3bを粗面化することによって、第3面3bにおいて外部から到来する光(外光)を乱反射させることができるため、外光の反射光が表示装置1から出射される画像光に干渉することを抑制できる。その結果、表示装置1の表示品位が低下することを抑制できる。
【0069】
表示装置1は、例えば図5に示すように、第2基板3の第3面3b上に設けられた光吸収膜10を備えていてもよい。光吸収膜10は、第3面3bに向かって入射してくる外光を吸収することができる。その結果、第3面3bにおける外光の反射を低減でき、外光の反射光が表示装置1から出射される画像光に干渉することを抑制できる。ひいては、表示装置1の表示品位が低下することを抑制できる。
【0070】
光吸収膜10は、例えば、光吸収材料を含有する光硬化性または熱硬化性の樹脂材料を、第2基板3の第3面3bに塗布し、硬化させることによって形成されてもよい。光吸収材料は、例えば、無機顔料であってもよい。無機顔料は、例えば、カーボンブラックなどの炭素系顔料、チタンブラックなどの窒化物系顔料、Cr-Fe-Co系、Cu-Co-Mn(マンガン)系、Fe-Co-Mn系、Fe-Co-Ni-Cr系等の金属酸化物系顔料等であってもよい。
【0071】
光吸収膜10は、表面に入射光を吸収する凹凸構造を有していてもよい。例えば、光吸収膜10は、シリコーン樹脂等の母材中にカーボンブラック等の黒色顔料を混入させて形成された黒色膜であって、黒色膜の表面に凹凸構造が形成された構成であってもよい。この場合、光吸収性が格段に向上する。凹凸構造の算術平均粗さは、10μm~50μm程度であってもよく、20μm~30μm程度であってもよい。凹凸構造は、例えば転写法等によって形成されていてもよい。
【0072】
表示装置1は、複数の画素11を含んで構成されていてもよい。各画素11は、例えば図6に示すように、副画素11R、副画素11Gおよび副画素11Bを有していてもよい。
【0073】
副画素11Rは、赤色光を出射するように構成されていてもよい。副画素11Rは、青色光を出射する発光素子4と、発光素子4が出射する青色光を赤色光に変換する波長変換部材7Rとを含んで構成されていてもよい。波長変換部材7Rは、例えば図6に示すように、貫通孔31内に設けられ、第1透明体5における第3面3b側の面に位置していてもよい。副画素11Rは、赤色光のみを透過するカラーフィルタ8Rを有していてもよい。カラーフィルタ8Rは、波長変換部材7Rよりも第3面3b側に位置していてもよい。
【0074】
副画素11Gは、緑色光を出射するように構成されていてもよい。副画素11Gは、青色光を出射する発光素子4と、発光素子4が出射する青色光を緑色光に変換する波長変換部材7Gとを含んで構成されていてもよい。波長変換部材7Gは、例えば図6に示すように、貫通孔31内に設けられ、第1透明体5における第3面3b側の面に位置していてもよい。副画素11Gは、緑色光のみを透過するカラーフィルタ8Gを有していてもよい。カラーフィルタ8Gは、波長変換部材7Gよりも第3面3b側に位置していてもよい。
【0075】
副画素11Bは、青色光を出射するように構成されていてもよい。副画素11Gは、青色光を出射する発光素子4を含んで構成されていてもよい。
【0076】
上記構成の表示装置1によれば、フルカラー表示が可能になる。また、上記構成の表示装置1によれば、青色LED素子だけを用いてフルカラー表示を行うことができる。ひいては、発光ダイオード素子の種類ごとに異なる発光特性に起因する表示画像の表示むらを低減できるとともに、表示装置1の製造コストを低減することができる。
【0077】
フルカラー表示を可能とする表示装置1は、以下のように構成されてもよい。
【0078】
表示装置1は、例えば図7に示すように、副画素11R、副画素11Gおよび副画素11Bを有している。副画素11Rは、紫外光を出射する発光素子4と、発光素子4が出射する紫外光を赤色光に変換する波長変換部材7Rとを含んでいる。波長変換部材7Rは、例えば図7に示すように、貫通孔31内に設けられ、第1透明体5における第3面3b側の面に位置している。副画素11Gは、紫外光を出射する発光素子4と、発光素子4が出射する紫外光を緑色光に変換する波長変換部材7Gとを含んでいる。波長変換部材7Gは、例えば図7に示すように、貫通孔31内に設けられ、第1透明体5における第3面3b側の面に位置している。副画素11Bは、紫外光を出射する発光素子4と、発光素子4が出射する紫外光を青色光に変換する波長変換部材7Bとを含んでいる。波長変換部材7Bは、例えば図7に示すように、貫通孔31内に設けられ、第1透明体5における第3面3b側の面に位置している。
【0079】
上記構成の表示装置1によれば、フルカラー表示が可能となるとともに、カラーフィルタ8を省略することが可能となる。また、上記構成の表示装置1によれば、紫外LED素子だけを用いてフルカラー表示を行うことができる。ひいては、発光ダイオード素子の種類ごとに異なる発光特性に起因する表示画像の表示むらを低減できるとともに、表示装置1の製造コストを低減することができる。
【0080】
図8は、図2Aの表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。図9A,9B,10A~10D,11A~11Dはそれぞれ、図8の表示装置の変形例を模式的に示す断面図である。図9A,9B,10A~10D,11A~11Dでは、図8のA部を拡大して図示している。また、図8,9A,9B,10A~10D,11A~11Dでは、アノード端子41、カソード端子42、アノード電極12およびカソード電極13を省略して図示している。
【0081】
図8の表示装置1は、第2基板3は、第1基板2上に間隔をもって設けられており、第1透明体5は、第1基板2と第2基板3との間に延在しており、延在部5eの厚みが貫通孔31内の部位の厚みよりも薄い構成である。第2基板3の第3面3b上に光吸収膜10が位置している。この場合、第1基板2と第2基板3とが、第1透明体5の延在部5eによって強固に接合され固定される。また、発光素子4の放射光が隣接する貫通孔31に入り込むことを抑えることができる。
【0082】
図9Aは、図8の構成において、第2基板3の第1基板2に対向する側の面である、第2基板3の第2面3aが、細かな凹凸を多数有する粗面となっている構成である。この場合、延在部5eの接合面積が増大し、第1基板2と第2基板3とが、第1透明体5の延在部5eによってより強固に接合され固定される。また、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、第2面3aの細かな凹凸によって散乱され、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。図9Bは、図8の構成において、第1基板2の第2基板3に対向する側の面である、第1基板2の第1面2aが、細かな凹凸を多数有する粗面となっている構成である。この場合も図9Aの構成と同様の効果を奏する。
【0083】
第2基板3の第2面3aが粗面となっている場合、第2面3aの算術平均粗さは50nm~1000nm程度であってもよく、100nm~1000nm程度であってもよいが、これらの範囲に限らない。第1基板2の第1面2aが粗面となっている場合も同様である。
【0084】
図10Aは、図8の構成において、第2基板3に形成されている貫通孔31の内周面3hの下端部における第1透明体5に接する部位に、凹部3oが配置されている構成である。この場合、第1透明体5の接合面積が増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。凹部3oは、内周面3hの周方向および/または深さ方向において複数あってもよく、内周面3hの周方向の全周にわたって形成された溝状であってもよい。これらの場合、第1透明体5の接合面積がより増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。
【0085】
図10Bは、図8の構成において、第2基板3に形成されている貫通孔31の下端の角部に、段差3dが配置されている構成である。この場合、第1透明体5の接合面積が増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。段差3dは、内周面3hの周方向の全周にわたって形成されていてもよい。この場合、第1透明体5の接合面積がより増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。
【0086】
図10Cは、図8の構成において、第2基板3の第2面3aに凹部3oが配置されている構成である。この場合、第1透明体5の接合面積が増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。また、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、第2面3aの凹部3oによって散乱され、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。凹部3oは、第2面3aに平面視で発光素子4を囲むように複数が形成されていてもよく、溝状に形成されていてもよい。これらの場合、第1透明体5の接合面積がより増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。また、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、第2面3aの凹部3oによってより散乱され、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。また、凹部3oは、第2面3aにおける発光素子4に近接する端縁部に配置されていてもよい。この場合、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、発光素子4に近い位置にある凹部3oによって散乱されることから、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。
【0087】
図10Dは、図8の構成において、第1基板2の第1面2aに凹部2oが配置されている構成である。この場合、第1透明体5の接合面積が増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。また、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、第1面2aの凹部2oによって散乱され、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。凹部2oは、第1面2aに平面視で発光素子4を囲むように複数が形成されていてもよく、溝状に形成されていてもよい。これらの場合、第1透明体5の接合面積がより増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。また、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、第1面2aの凹部2oによってより散乱され、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。また、凹部2oは、第1面2aにおける発光素子4に近接する部位に配置されていてもよい。この場合、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、発光素子4に近い位置にある凹部2oによって散乱されることから、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。
【0088】
図11Aは、図8の構成において、第2基板3に形成されている貫通孔31の内周面3hの下端部における第1透明体5に接する部位に、凸部3tが配置されている構成である。この場合、第1透明体5の接合面積が増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。凸部3tは、内周面3hの周方向および/または深さ方向において複数あってもよく、内周面3hの周方向の全周にわたって形成された堤状であってもよい。これらの場合、第1透明体5の接合面積がより増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。
【0089】
図11Bは、図8の構成において、第2基板3に形成されている貫通孔31の下端の角部に、凸部3tが配置されている構成である。この場合、第1透明体5の接合面積が増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。凸部3tは、内周面3hの周方向の全周にわたって堤状に形成されていてもよい。この場合、第1透明体5の接合面積がより増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。
【0090】
図11Cは、図8の構成において、第2基板3の第2面3aに凸部3tが配置されている構成である。この場合、第1透明体5の接合面積が増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。また、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、第2面3aの凸部3tによって散乱され、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。凸部3tは、第2面3aに平面視で発光素子4を囲むように複数が形成されていてもよく、堤状に形成されていてもよい。これらの場合、第1透明体5の接合面積がより増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。また、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、第2面3aの凸部3tによってより散乱され、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。また、凸部3tは、第2面3aにおける発光素子4に近接する端縁部に配置されていてもよい。この場合、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、発光素子4に近い位置にある凸部3tによって散乱されることから、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。
【0091】
図11Dは、図8の構成において、第1基板2の第1面2aに凸部2tが配置されている構成である。この場合、第1透明体5の接合面積が増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。また、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、第1面2aの凸部2tによって散乱され、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。凸部2tは、第1面2aに平面視で発光素子4を囲むように複数が形成されていてもよく、堤状に形成されていてもよい。これらの場合、第1透明体5の接合面積がより増加し、第1基板2と第2基板3とが第1透明体5によってより強固に接合され固定される。また、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、第1面2aの凸部2tによってより散乱され、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。また、凸部2tは、第1面2aにおける発光素子4に近接する部位に配置されていてもよい。この場合、発光素子4の放射光が、延在部5eに入り込んだとしても、発光素子4に近い位置にある凸部2tによって散乱されることから、隣接する貫通孔31に入り込むことをより抑えることができる。
【0092】
本開示の表示装置1は、第1基板2および第2基板3が、フレキシブルな透明樹脂材料等の透明材料から成る透明表示装置であってもよい。この場合、曲面等の非平坦面を有する建築物、車両、航空機、船舶等の壁面に設置することができる。また表示装置1は、フレキシブルな両面表示型透明表示装置であってもよい。この場合、建築物、車両、航空機、船舶等の窓ガラス等の透明部材に設置し、表面側と裏面側とのそれぞれにおいて画像を表示することができる。表面側の画像と裏面側の画像は同じあってもよく、異なっていてもよい。
【0093】
本開示の表示装置1の製造方法は、発光素子4が実装される部位2aaを含む実装面(第1面)2aを有する第1基板2を準備する第1準備工程と、貫通孔31を有する第2基板3を準備する第2準備工程と、第1基板2の部位2aa上に、上面と側面と下面を有する発光素子4を実装する実装工程と、第1透明樹脂を実装面2a上および発光素子4の少なくとも側面に塗布する塗布工程と、実装面2aの側において、第1基板2上に第2基板3を、発光素子4が貫通孔31内に位置するように位置付けて重ねる配置工程と、第1透明樹脂を硬化させることによって、第1基板2と第2基板3とを固定するとともに、第1基板2と第2基板3との間および貫通孔31内に位置し、発光素子4を封止する第1透明体5を形成する第1形成工程と、第1透明樹脂よりも屈折率が小さい第2透明樹脂を貫通孔31内に充填する充填工程と、第2透明樹脂を硬化させることによって、第1透明体5よりも厚さが厚い第2透明体6を形成する第2形成工程と、を含む構成である。この構成により、信頼性および光取り出し効率に優れた、高精細の表示装置1を製造することができる。
【0094】
配置工程は、第1基板2に対して第2基板3を相対的に押圧する押圧操作を含む構成であってもよい。この場合、図8の構成のように、押圧力を調整することによって、第1透明体5の延在部5eの厚みを第1透明体5の貫通孔31の部位の厚みよりも薄くすることが容易になる。また、押圧力を大きくすることによって、第1透明体5の延在部5eをなくすこともできる。押圧操作において、第1基板2を載置台等の治具上に載置した状態で、第2基板3を第1基板2に対して可動とし、位置固定された第1基板2に対して第2基板3を押圧してもよい。また、第2基板3を懸架装置等に懸架した状態で、第1基板2を第2基板3に対して可動とし、位置固定された第2基板3に対して第1基板2を押圧してもよい。また、第1基板2および第2基板3をそれぞれ可動とし、互いに押圧される構成であってもよい。
【0095】
以下、本開示の一実施形態に係る表示装置の製造方法について説明する。図12は、本開示の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するフローチャートである。
【0096】
本実施形態の表示装置の製造方法は、第1準備工程S1と、第2準備工程S2と、実装工程S3と、塗布工程S4と、配置工程S5と、第1形成工程S6と、充填工程S7と、第2形成工程S8とを含む。
【0097】
第1準備工程S1は、第1基板2を準備する工程である。第1基板2は、前述したガラス材料、セラミック材料、樹脂材料、金属材料、半導体材料等を用いて作製することができる。本工程では、第1基板2の第1面2aにおける発光素子4が実装される部位(実装部位)2aaに、アノード電極12およびカソード電極13を形成してもよい。また、本工程では、第1基板2の一方主面2aおよび他方主面2bの少なくとも一方に、発光素子4を駆動するための電極、配線導体、駆動回路等を形成してもよい。
【0098】
第2準備工程S2は、第2基板3を準備する工程である。第2基板3は、前述したガラス材料、セラミック材料、樹脂材料、金属材料、半導体材料等を用いて作製することができる。第2基板3を第2面3aから第3面3bにかけて貫通する貫通孔31は、パンチング加工法、電気鋳造法(メッキ法)、切削加工法、レーザ加工法、ドライエッチング工程を含むフォトリソグラフィ法等によって形成することができる。本工程では、貫通孔31の内周面31aに鏡面加工を施してもよく、内周面31aに光反射膜を形成してもよい。また、本工程では、第2基板3の第3面3bに粗面化処理を施してもよく、第3面3bに光吸収膜を形成してもよい。
【0099】
なお、第1準備工程S1および第2準備工程S2を行う順序は、図12に示す順序に限定されない。第2準備工程S2を行った後に、第1準備工程S1を行ってもよく、第1準備工程S1および第2準備工程S2を同時に行ってもよい。
【0100】
実装工程S3は、第1基板2の部位2aa上に発光素子4を実装する工程である。本工程では、発光素子4を、実装部位2aaに形成されたアノード電極12およびカソード電極13に対して、フリップチップ接続してもよい。
【0101】
塗布工程S4は、第1基板2の第1面2a上、および、実装部位2aaに実装された発光素子4上に、第1透明樹脂を塗布する工程である。第1透明樹脂は、例えばディスペンサ、スリットコータ等の塗布方法を用いて塗布することができる。
【0102】
配置工程S5は、第1基板2と第2基板3とを相対的に位置付ける工程である。本工程では、第1基板2の第1面2aが第2基板3の第2面3aに対向し、発光素子4が貫通孔31内に位置するように、第1基板2と第2基板3とを相対的に位置付ける。発光素子4は、その少なくとも一部分が貫通孔31内に位置していればよい。
【0103】
第1形成工程S6は、第1透明樹脂を硬化させることによって、第1透明体5を形成する工程である。第1透明体5は、第1基板2と第2基板3と互いに固定しているとともに、発光素子4を封止している。第1透明樹脂は、その重合特性または硬化特性に応じた紫外線照射、加熱、2液混合等によって硬化させることができる。
【0104】
充填工程S7は、第1透明樹脂よりも屈折率が小さい第2透明樹脂を貫通孔31内に充填する工程である。本工程では、第2透明樹脂を、例えばディスペンサ、スリットコータ等の装置を用いて、第2基板3の第3面3b側から貫通孔31内に吐出し、第1透明体5上に被着させる。本工程では、第2透明樹脂を、第1透明体5上から第3面3bの高さ位置まで充填してもよく、第1透明体5上から第3面3bと第1透明体5の第3面3b側の面との間の高さ位置まで充填してもよい。
【0105】
第2形成工程S8は、第1透明体5上に被着させた第2透明樹脂を硬化させることによって、第2透明体6を形成する工程である。第2透明樹脂は、その重合特性または硬化特性に応じた紫外線照射、加熱、2液混合等によって硬化させることができる。
【0106】
上記の製造方法によって、例えば図1,2に示すような表示装置1を製造することができる。
【0107】
表示装置の製造方法は、第1形成工程S6と充填工程S7との間に、波長変換部形成工程を行ってもよい。
【0108】
波長変換部形成工程は、第1透明体5における第3面3b側の面上に位置する波長変換部材7を形成する工程である。本工程では、蛍光体または量子ドットが分散している絶縁樹脂を、例えばインクジェット、ディスペンサ等の装置を用いて、第2基板3の第3面3b側から貫通孔31内に吐出し、第1透明体5上に被着させる。絶縁樹脂は、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂であってもよい。その後、第1透明体5上に被着させた絶縁樹脂を、その重合特性または硬化特性に応じた紫外線照射、加熱等の方法によって硬化させる。このような方法によって、波長変換部材7を形成することができる。
【0109】
表示装置の製造方法は、波長変換部形成工程を行った後、充填工程S7を行う前に、カラーフィルタ形成工程を行ってもよい。カラーフィルタ形成工程は、波長変換部材7における第3面3b側の面上に位置するカラーフィルタ8を形成する工程である。本工程では、顔料または染料を添加した樹脂を、例えばインクジェット、ディスペンサ等の装置を用いて、第2基板3の第3面3b側から貫通孔31内に吐出し、波長変換部材7上に被着させる。樹脂は、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂であってもよい。その後、波長変換部材7上に被着させた樹脂を、その重合特性または硬化特性に応じた紫外線照射、加熱等の方法によって硬化させる。このような方法によって、カラーフィルタ8を形成することができる。
【0110】
以上のように、本開示の表示装置によれば、第2基体の貫通孔内において第1透明体上に位置し、第1透明体よりも屈折率が小さく、第1透明体よりも厚さが厚い第2透明体、を備えることから、発光素子の放射光を外部に効率良く取り出すことができる。また、貫通孔から外部に放射される光の指向性が向上する。また、発光素子は第1透明体および第2透明体によって気密に封止されるとともに、発光素子で発生した熱は第1透明体および第2透明体によって第2基体に効率よく伝熱され放散されることから、信頼性が向上する。従って、信頼性および光取り出し効率に優れた、高精細の表示装置を提供することができる。また、本開示の表示装置の製造方法によれば、信頼性および光取り出し効率に優れた、高精細の表示装置を製造することができる。
【0111】
以上、本開示の各実施形態について詳細に説明したが、また、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本開示の表示装置は、各種の電子機器に適用できる。その電子機器としては、自動車経路誘導システム(カーナビゲーションシステム)、船舶経路誘導システム、航空機経路誘導システム、自動車等の乗り物の計器用インジケータ、インスツルメントパネル、スマートフォン端末、携帯電話、タブレット端末、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子手帳、電子書籍、電子辞書、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム機器の端末装置、テレビジョン、商品表示タグ、価格表示タグ、産業用のプログラマブル表示装置、カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー、ファクシミリ、プリンタ、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、医療用表示装置、デジタル表示式腕時計、スマートウォッチ、駅および空港等に設置される案内表示装置、広告宣伝用のサイネージ(デジタルサイネージ)等がある。
【符号の説明】
【0113】
1 表示装置
2 第1基体(第1基板)
2a 第1面(一方主面、実装面)
2aa 部位(実装部位)
2b 他方主面
2o 凹部
2t 凸部
3 第2基体(第2基板)
3a 第2面
3b 第3面
3h 内周面
3o 凹部
3t 凸部
31 貫通孔
31a 内周面
31b 開口
4 発光素子
41 アノード端子
42 カソード端子
5 第1透明体
5e 延在部
6 第2透明体
7,7R,7G,7B 波長変換部材
8,8R,8G カラーフィルタ
9 光反射膜
10 光吸収膜
11 画素
11R,11G,11B 副画素
12 アノード電極
13 カソード電極
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12