(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】工具経路修正装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4093 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G05B19/4093 H
(21)【出願番号】P 2022547550
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2021032388
(87)【国際公開番号】W WO2022054703
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2020151329
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 極
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-082851(JP,A)
【文献】特開平09-270027(JP,A)
【文献】特許第5606658(JP,B1)
【文献】特許第6157781(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/00 ~ 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工プログラム又は加工プログラムに変換されるデータとして提供され、被加工物を加工する工具が移動する工具経路を前記工具が通過すべき複数の指令点により特定する工具経路情報を修正する工具経路修正装置であって、
前記工具経路情報を取得する工具経路取得部と、
前記工具の形状を特定する工具形状情報を取得する工具形状取得部と、
前記被加工物の加工後の目標形状を特定する目標形状情報を取得する目標形状取得部と、
前記目標形状の特徴が変化する特徴変化点に近接する位置に新たな前記指令点として追加指令点を追加する指令点追加部と、
前記追加指令点を追加した前記工具経路情報を、数値制御装置又は前記工具経路情報を数値制御装置が処理可能なデータ形式に変換するポストプロセッサに出力する工具経路出力部と、
を備える工具経路修正装置。
【請求項2】
前記指令点追加部は、
前記工具経路の前記指令点で区分される複数の区間のうち、前記特徴変化点に近接する特徴区間を特定する特徴区間特定部と、
前記特徴変化点に対応する前記工具の位置である追加位置を算出する追加位置算出部と、
前記追加位置に前記追加指令点を配置する追加指令点配置部と、
を有する、請求項1に記載の工具経路修正装置。
【請求項3】
前記特徴変化点は、前記目標形状の曲率半径の極小点、前記目標形状の曲率半径の変化の不連続点、及び前記目標形状を形成する面の境界点の少なくともいずれかを含む、請求項1又は2に記載の工具経路修正装置。
【請求項4】
前記追加指令点を基準として、他の前記指令点を再配置する指令点再配置部をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の工具経路修正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具経路修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械において被加工物を工具で加工するために、例えばCAD等により生成した被加工物の加工後の目標形状(製品形状)に沿って工具を相対移動させるよう数値制御装置に対する命令を作成することが行われている。工具は立体形状を有するため、工具の移動経路のプロファイルと、加工後の被加工物の表面形状とは完全には一致しない。このため、工具の形状を考慮して、工具の移動経路を修正する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、工具が移動する工具経路の情報は、工具が通過すべき複数の指令点の座標の集まりとして表現される。つまり、工作機械において、工具は、工具経路情報に含まれる複数の指令点を直線で接続した経路を移動する。このため、被加工物の目標形状が曲面を有する場合、工具を複数の指令点を直線で接続した工具経路に沿って移動すると、指令点の間で工具が目標形状から離間したり目標形状に食い込んだりする。また、指令点の位置が適切でないと、指令点においても工具が目標形状から離間したり目標形状に食い込んだりする。これによって、加工後の被加工物の形状の目標形状に対する誤差が生じる。そこで、被加工物を正確に目標形状に加工することができるよう工具が移動する工具経路を修正できる工具経路修正装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る工具経路修正装置は、被加工物を加工する工具が移動する工具経路を前記工具が通過すべき複数の指令点により特定する工具経路情報を取得する工具経路取得部と、前記工具の形状を特定する工具形状情報を取得する工具形状取得部と、前記被加工物の加工後の目標形状を特定する目標形状情報を取得する目標形状取得部と、記目標形状の特徴が変化する特徴変化点に近接する位置に新たな前記指令点として追加指令点を追加する指令点追加部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る工具経路修正装置によれば、被加工物を正確に目標形状に加工することができるよう工具が移動する工具経路を修正できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態の工具経路修正装置を備える加工システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】CAMが生成する工具経路を例示する模式図である。
【
図3】
図2の工具経路における特徴変化点に対する最近点を示す模式図である。
【
図4】
図3の最近点に対応して挿入される追加指令点の配置を示す模式図である。
【
図5】
図4の追加指令点を基準とする指令点の再配置を示す模式図である。
【
図6】本開示の第2実施形態の工具経路修正装置を備える加工システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の第1実施形態の工具経路修正装置を備える加工システムの構成を示すブロック図である。
図1の加工システムは、CAD1と、CAM2と、本開示の一実施形態の工具経路修正装置3と、ポストプロセッサ4と、数値制御装置5と、工作機械6とを備える。
【0009】
CAD1は、コンピュータを用いて設計を行う公知のシステムである。つまり、CAD1は、工作機械6において加工される被加工物の加工後の目標形状(製品形状、部品形状等)を設計するために使用される。目標形状は、平面、円筒面、球面、ベジエ曲面、NURBS曲面等により特定されてもよい。
【0010】
CAM2は、工作機械6により被加工物をCAD1により設計した目標形状に加工するために、工作機械6を制御する数値制御装置5が利用する加工プログラム等を生成する公知のシステムである。CAM2は、被加工物を加工する工具が移動する工具経路を工具が通過すべき複数の指令点により特定する工具経路情報を生成する。このために、CAM2は、CAD1により作成された目標形状に対応する加工領域の形状を生成してもよい。工具経路情報は、個々の工作機械6の構成及び設定を考慮しないCL(Cutter Location)データの形式で生成され得る。
【0011】
工具経路情報は、工具のどの部分が工具経路上を移動するかについての情報を含んでもよい。工具の工具経路上を移動する部分(以下、基準点ということがある)としては、工具先端、工具形状の中心(例えばボールエンドミルのボール中心)等が挙げられる。また、工具経路情報は、工具経路を工具が移動する際の移動が、切削を伴う移動か切削を伴わない移動(早送り、アプローチ、退避など)かの情報を含んでもよい。さらに、工具経路情報は、工具経路を工具が移動する際の具体的な送り速度の情報を含んでもよい。
【0012】
工具経路修正装置3は、目標形状取得部31と、工具形状取得部32と、工具経路取得部33と、指令点追加部34と、指令点再配置部35と、工具経路出力部36と、を有する。工具経路修正装置3は、例えばCPU、メモリ、入出力インターフェイス等を備えるコンピュータ装置に適切な制御プログラムを実行させることにより、実現することができる。工具経路修正装置3の目標形状取得部31、工具形状取得部32、工具経路取得部33、指令点追加部34、指令点再配置部35及び工具経路出力部36は、機能的に区別されるものであって、物理的構成及びプログラム構成において明確に区分できなくてもよい。また、工具経路修正装置3は、CAM2、ポストプロセッサ4等の他の装置と一体に構成されてもよい。つまり、工具経路修正装置3は、CAM2、ポストプロセッサ4等に制御プログラムを追加することによって実現されてもよい。
【0013】
目標形状取得部31は、被加工物の加工後の目標形状を特定する目標形状情報を取得する。目標形状情報は、CAD1において生成される製品形状の情報であってもよく、CAM2により作成される加工領域の形状(例えば複数の平面の集合として近似した加工面の形状等)の情報であってもよい。つまり、目標形状取得部31は、図示するようにCAD1から目標形状情報を取得してもよく、CAM2から目標形状情報を取得してもよい。また、目標形状取得部31は、他の装置又は記録媒体から目標形状情報を取得してもよい。
【0014】
工具形状取得部32は、工具の形状を特定する工具形状情報を取得する。工具形状取得部32は、CAM2から、CAM2が工具経路情報を生成するために用いた工具形状情報を取得するよう構成することができる。また、工具形状取得部32は、不図示のサーバ、記録媒体等から工具形状情報を取得するよう構成されてもよい。
【0015】
本加工システムで用いられる工具は、必ずしも限定されないが、典型的にはフライス工具である。具体的なフライス工具としては、ボールエンドミル、ラジアスエンドミル、スクエアエンドミル、レンズ型ミル、バレル型ミル、テーパー型ミル等が挙げられる。
【0016】
工具経路取得部33は、CAM2が生成した工具経路情報を取得する。工具経路取得部33は、不図示のサーバ、記録媒体等を介して工具経路情報を取得してもよい。
【0017】
指令点追加部34は、目標形状の特徴が変化する特徴変化点に近接する位置に新たな指令点として追加指令点を追加する。平面と曲面の境界等の目標形状の特徴が変化する部分は、高い加工精度が要求されることが多い部分である。このような位置に指令点を配置することは、工具経路と目標形状の誤差を低減させ、加工精度を向上させるのに有効である。具体的には、目標形状の特徴変化点に近接する位置に工具が通過する指令点を配置することによって、指令点の間における工具の目標形状からの離間又は目標形状への食い込みを小さくすることができる。なお、「近接する」は、距離が近いこと、例えば工具の直径以下であることを意味し、距離がゼロである場合を含む。
【0018】
特徴変化点は、目標形状の曲率半径の極小点、目標形状の曲率半径の変化の不連続点、及び目標形状を形成する曲面の境界点の少なくともいずれかを含むことが好ましく、目標形状の曲率半径の極小点を含むことが特に好ましい。曲率半径は、目標形状の法線方向の変化率によって表されてもよい。また、曲率半径の変化は、曲率半径の中心位置の変化として表されてもよい。また、特徴変化点は、指定されるその他の形状的特徴を有する点を含んでもよい。なお、目標形状のエッジ、つまり法線方向が不連続に変化する点は、極限値の観点から、曲率半径がゼロである点と解釈することができ、法線方向の変化率が無限大である点と解釈することもできる。
【0019】
指令点追加部34は、工具経路の指令点で区分される複数の区間のうち、特徴変化点に近接する特徴区間を特定する特徴区間特定部341と、特徴変化点に対応する工具の位置である追加位置を算出する追加位置算出部342と、追加位置に追加指令点を配置する追加指令点配置部343と、を有する構成とすることができる。
【0020】
特徴区間特定部341は、工具経路の区間の前側の指令点に工具を配置した場合の切削点における目標形状の曲率半径、法線方向、曲率半径の中心位置等の特徴量と、後ろ側の指令点に工具を配置した場合の切削点における目標形状の特徴量とに基づいて、その区間が特徴変化点に近接するか否かを判定してもよい。具体例として、特徴区間特定部341は前側の指令点における前記特徴量と後側の指令点における前記特徴量との変化量を指令点間の距離で除した値(変化率)が予め設定される閾値よりも大きい場合に、その区間が特徴変化点に近接していると判断できる。なお、切削点は、工具形状と目標形状との接点又は最近点(目標形状上の工具形状から最も近い点)として算出され得る。
【0021】
また、目標形状が複数の面を繋ぎ合わせて形成される場合、特徴区間特定部341は、前側の指令点における切削点を含む面と後側の指令点における切削点を含む面とが異なる場合に、その区間が特徴変化点に近接していると判断してもよい。特徴区間特定部341は、その他の予め設定される条件を満たす場合に、その区間が特徴変化点に近接していると判断してもよい。
【0022】
追加位置算出部342は、例えば二分探索法によって特徴変化点の位置を算出することができる。具体例として、追加位置算出部342は、2つの指令点の中間点における特徴量を算出し、中間点で区分された2つの分割区間のうち、両端の特徴量の差(特徴量の変化量)が大きい方に特徴変化点に対する最近点が存在すると判定し、最近点が存在すると判定された区間をさらに2分割して最近点が存在する分割区間を選択する処理を繰り返すことで、特徴変化点に対する最近点の位置を特定してもよい。この繰り返し処理は、2つの分割区間における特徴量の変化量の差が所定の閾値以下である場合には、その中間点が特徴変化点に対する最近点であると判断して、終了され得る。また、追加位置算出部342は、分割区間の長さが所定の閾値以下となる場合に、その中間点を最近点であると判断してもよい。
【0023】
追加位置算出部342は、算出された最近点の位置を基準に、その位置に工具を配置した場合に工具形状が目標形状に接する追加位置を算出する。例として、追加位置算出部342は、最近点を、工具の回転軸方向、目標形状の法線方向又は最近点に近い3つの指令点を含む拘束面に沿う方向に移動して、工具形状が目標形状に接する追加位置を算出してもよい。
【0024】
追加指令点配置部343は、工具経路情報に、追加指令点として追加位置算出部342が算出した追加位置を示す情報を挿入する。指令点の間隔が小さ過ぎると工具の動作が滑らかでなくなるおそれがあるため、追加指令点配置部343は、追加位置から一定距離以内にある指令点の情報を工具経路情報から消去するよう構成されてもよい。
【0025】
指令点再配置部35は、追加指令点の近傍の指令点、例えば追加指令点からの工具経路長(指令点間の距離の合計)が予め設定される距離以下である範囲に存在する前後の指令点を再配置する。なお、この近傍範囲内に別の追加指令点が配置されている場合、当該追加指令点を基準とする再配置と隣接する追加指令点を基準とする再配置とが同じ指令点を再配置の対象としないようにするために、以下のようにされてもよい。例えば、次の追加指令点の1つ前の指令点までが、当該追加指令点を基準とする再配置の対象とされると共に、次の追加指令点を基準とする再配置の対象から除外されるようにしてもよい。次の追加指令点との中間点よりも近い指令点が当該追加指令点を基準とする再配置の対象とされると共に、次の追加指令点との中間点よりも遠い指令点が次の追加指令点を基準とする再配置の対象とされてもよい。
【0026】
指令点再配置部35は、指令点を略等間隔に再配置してもよく、目標形状の曲率が大きい程指令点の密度が大きくなるよう指令点を再配置してもよい。指令点の再配置は、再配置する指令点群に隣接する指令点(少なくとも一方は追加指令点)を結ぶ直線上に指令点を仮配置し、追加位置算出部342において追加位置を算出したのと同様に各指令点の位置を工具形状が目標形状に接するよう調整することにより、行われてもよい。
【0027】
工具経路出力部36は、指令点追加部34及び指令点再配置部35によって修正された工具経路情報を記憶し、必要に応じてポストプロセッサ4に出力する。
【0028】
ポストプロセッサ4は、工具経路修正装置3から出力される工具経路情報のデータ形式を数値制御装置5が処理可能なデータ形式に変換する。典型的には、ポストプロセッサ4は、CLデータ形式の工具経路情報を、Gコードに変換する。ポストプロセッサ4としては、周知のものを使用することができる。
【0029】
数値制御装置5は、ポストプロセッサ4から入力される工具経路情報に従って、工作機械6を制御する。数値制御装置5としては、周知のものを使用することができる。
【0030】
工作機械6は、数値制御装置5からの指示に従って、工具を用いて被加工物を加工する。工作機械6としては、周知のものを使用することができる。
【0031】
図2から
図5に、指令点追加部34による追加指令点の挿入及び指令点の再配置を模式的に示す。
図2は、特徴変化点Qを有する目標形状Sと、CAM2が生成し、指令点P1~P6によって特性される工具経路Fと、各指令点P1~P6における工具形状Mと、を例示する。
図3は、工具経路Fにおける特徴変化点Qに対する最近点Rを示す。
図4は、最近点Rに対応して挿入される追加指令点Psの配置を示す。
図5は、追加指令点Psを基準とする指令点P1~P6の再配置を示す。
【0032】
図2に示すように、目標形状Sの曲率半径等の特徴量が変化する特徴変化点Qを挟む指令点P3及びP4が特徴変化点Qから離れて配置されている場合、指令点P3,P4の間を工具(工具形状M)が直線的に移動することで、二点鎖線で示すように、工具形状Mが特徴変化点Qにおいて目標形状Sに大きく食い込む。
【0033】
先ず、特徴区間特定部341は、上述のような方法で区間P3~P4が特徴変化点Qに近接することを特定する。次に、追加位置算出部342は、上述のような方法で区間P3~P4における工具経路F上の特徴変化点Qに対する最近点Rを算出する(
図3)。そして、追加位置算出部342は、最近点Rに工具の基準点を配置した場合の工具形状Mを、目標形状Sと一点で接触する位置まで移動し、移動後の工具形状Mの基準点の位置を追加指令点Psを配置すべき追加位置とする(
図4)。
【0034】
指令点再配置部35は、
図5に示すように、追加指令点Psを基準として、前後の指令点P1~P6を再配置し、目標形状Sに沿う工具のスムーズな移動を担保すると共に、隣接するパス間での工具位置のずれを抑制する。
【0035】
以上のように、本実施形態の加工システムにおいて、工具経路修正装置3は、指令点追加部34により目標形状の特徴変化点に近接する位置に追加指令点を追加するため、指令点の間における工具の目標形状からの離間又は目標形状への食い込みが小さくなるよう工具経路を修正できる。これにより、本実施形態の加工システムは、被加工物を正確に目標形状に加工できる。
【0036】
また、本実施形態の加工システムにおいて、工具経路修正装置3は、目標形状の特徴変化点近傍の指令点を再配置する指令点再配置部35を備えるため、特徴変化点の近傍において工具経路の隣接するパス間の指令点の位置のずれを小さくできる。これにより、隣接するパス間で指令点間において生じる微細な誤差が同じ傾向となるため、工具の移動経路に沿う縞模様のような加工痕が形成されにくい。
【0037】
<第2実施形態>
図6は、本開示の第2実施形態の工具経路修正装置を備える加工システムの構成を示すブロック図である。
図6の加工システムは、CAD1と、CAM2と、本開示の一実施形態の工具経路修正装置3Aと、ポストプロセッサ4と、数値制御装置5と、工作機械6とを備える。
図6の加工システムについて、
図1の加工システムと同様の構成要素には、同じ符号を付して重複する説明を省略する。
図6の加工システムでは、工具経路修正装置3Aは、ポストプロセッサ4が数値制御装置5に入力する例えばGコードによって記述される加工プログラムを修正する。
【0038】
工具経路修正装置3Aは、目標形状取得部31と、工具形状取得部32と、工具経路取得部33Aと、指令点追加部34Aと、指令点再配置部35Aと、工具経路出力部36Aと、を備える。工具経路修正装置3Aは、例えばCPU、メモリ、入出力インターフェイス等を備えるコンピュータ装置に適切な制御プログラムを実行させることにより実現することができ、ポストプロセッサ4、数値制御装置5等と一体に構成されてもよい。
【0039】
工具経路取得部33Aは、ポストプロセッサ4から工具経路情報を取得する。したがって、工具経路取得部33Aが取得する工具経路は、例えばGコード等の形式とされる。
【0040】
図6の加工システムにおける指令点追加部34A、指令点再配置部35A及び工具経路出力部36Aは、機能的には
図1の加工システムにおける指令点追加部34、指令点再配置部35及び工具経路出力部36と同じであるが、工具経路の記述形式が異なるため、プログラムの細部等が異なり得る。
【0041】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限るものではない。また、上述の実施形態に記載された効果は、本開示から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本開示による効果は、上述の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0042】
本開示に係る工具経路修正装置において、指令点再配置部は省略されてもよい。また本開示に係る工具経路修正装置が数値制御装置と一体である場合、工具経路出力部は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 CAD
2 CAM
3,3A 工具経路修正装置
4 ポストプロセッサ
5 数値制御装置
6 工作機械
31 目標形状取得部
32 工具形状取得部
33,33A 工具経路取得部
34,34A 指令点追加部
341 特徴区間特定部
342 追加位置算出部
343 追加指令点配置部
35,35A 指令点再配置部
36,36A 工具経路出力部