IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 華為技術有限公司の特許一覧

特許7564231ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス
<>
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図1
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図2
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図3
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図4
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図5
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図6
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図7
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図8
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図9
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図10
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図11
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図12
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図13
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図14
  • 特許-ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ケーブルアセンブリ、信号伝送構造および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/32 20060101AFI20241001BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20241001BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01L23/32 D
H05K1/18 J
H05K1/14 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022554883
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2021072568
(87)【国際公開番号】W WO2021179796
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】202010178016.7
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 国▲棟▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 冲
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲鍵▼
(72)【発明者】
【氏名】向 少勇
(72)【発明者】
【氏名】曲 志▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ ▲長▼幸
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-214285(JP,A)
【文献】国際公開第2019/055911(WO,A1)
【文献】特開2001-352004(JP,A)
【文献】実開昭52-128064(JP,U)
【文献】特表2015-523743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/12-23/15
H01L23/32
H05K 1/00- 1/02
H05K 1/11- 1/14
H05K 3/36
H05K 3/40- 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号伝送構造であって、
複数の導電孔を備える回路基板と、
前記回路基板の一方の側の表面に組み付けられるチップであって、前記チップは前記導電孔に電気的に接続されるチップと、
前記回路基板の、前記チップから離れた側の表面に組み付けられた、ケーブルを備えるケーブルアセンブリであって、前記ケーブルが前記導電孔に電気的に接続され、前記チップとの信号伝送を実施するように構成されている、ケーブルアセンブリと
を備え、
前記回路基板は、前記チップに電気的に接続された第1パッドと、前記ケーブルに電気的に接続された第2パッドと、を備え、
前記導電孔は、前記導電孔が形成された前記回路基板と同一の前記回路基板内側に形成されたワイヤに直接接続されることによって前記ワイヤに電気的に接続され、前記第1パッドは、前記導電孔に電気的に接続され、前記第2パッドは、前記ワイヤに電気的に接続されるか、または
前記導電孔は、前記導電孔が形成された前記回路基板と同一の前記回路基板内側に形成されたワイヤに直接接続されることによって前記ワイヤに電気的に接続され、前記第1パッドは、前記ワイヤに電気的に接続され、前記第2パッドは、前記導電孔に電気的に接続されている、信号伝送構造。
【請求項2】
前記ケーブルアセンブリは、ベースと、前記ベース上に設置された複数のケーブルユニットとを備え、前記ケーブルユニットは接地部を備え、前記ベースの表面は1つ以上の導電部を有し、前記導電部は接地されるように構成され、前記接地部は前記導電部に電気的に接続され、前記チップは接地ピンを備え、前記接地ピンも前記導電孔を用いて前記導電部に電気的に接続される、請求項1に記載の信号伝送構造。
【請求項3】
前記ケーブルユニットは、信号接続端子と、前記ケーブルとを備え、前記チップは、信号ピンをさらに備え、前記信号ピンは、前記導電孔を用いて前記信号接続端子に電気的に接続され、前記信号接続端子は、前記ケーブルに電気的に接続される、請求項2に記載の信号伝送構造。
【請求項4】
前記ベース上における前記複数のケーブルユニットの配置密度は、前記チップの信号ピンの配置密度と一致する、請求項3に記載の信号伝送構造。
【請求項5】
前記ベースが金属ベースである場合、前記導電部は、前記ベースの領域の少なくとも一部であり、前記ベースが絶縁体である場合、前記導電部は、前記ベースの表面に締結されている、請求項2から4のいずれか1項に記載の信号伝送構造。
【請求項6】
前記ベースは絶縁体であり、前記導電部は金属板であり、前記金属板は前記ベースに締結され、前記金属板は圧縮性接点を備え、前記圧縮性接点は前記接地ピンに電気的に接続される、請求項2に記載の信号伝送構造。
【請求項7】
前記ケーブルユニットは、ケーブル締結ヘッドをさらに備え、前記ケーブル締結ヘッドは、前記ケーブルユニットを前記ベースに締結するように構成される、請求項2に記載の信号伝送構造。
【請求項8】
請求項1に記載の信号伝送構造を備える電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0002】
本願は情報技術の分野に関し、特に、ケーブルアセンブリ、信号伝送構造、および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
通信システムがますます高い信号伝送速度を必要とするようになるにつれて、従来式の信号伝送解決策の限界がより顕著になり、新しいアーキテクチャが高い伝送速度の要件に適合するように設計される必要がでてきている。従来式の信号伝送構造は、通常、回路基板(PCB)と、回路基板に実装されたチップ素子およびコネクタとを含んでいる。技術的解決策では、コア部品として、BGA(Ball Grid Array)を使用して回路基板の表面にチップが溶接される。図1は、従来式の技術における信号伝送構造の構造の概略図である。図1に示すように、チップ1内側の信号は、はんだボールを用いて回路基板2に伝送された後、回路基板内のワイヤ21を用いて他のチップやコネクタなどの素子と接続され、信号伝送を実行する。この解決策では、チップ1は、回路基板内のワイヤ21を使用してコネクタに接続され、コネクタはさらに互いに接続されて、異なるチップ間の信号伝送を実行する。
【0004】
従来式の技術では、回路基板の内側で配線が実行される必要があり、回路基板のレベルに対して比較的高い要求を課し、その結果、製品のコストが相対的に高くなる。また、回路基板内側のワイヤを介した信号伝送の損失が大きく、信号伝送速度の高速化を著しく制限する。したがって、新しい信号伝送の解決策が提案される必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本願は、信号伝送構造の伝送速度を高め、信号伝送構造のコストを削減するためのケーブルアセンブリ、信号伝送構造、および電子デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本願は信号伝送構造を提供する。信号伝送構造は、回路基板と、チップと、ケーブルアセンブリとを含み、チップは回路基板の一方の側に組み付けられ、ケーブルアセンブリは回路基板の他方の側に組み付けられる。ケーブルアセンブリはケーブルを含み、回路基板は複数の導電孔を含む。チップは、導電孔を使用してケーブルアセンブリのケーブルに電気的に接続され、ケーブルを使用してチップの信号を送信する。この技術的解決策では、ワイヤは回路基板内の広い領域に配置される必要がなく、その結果、PCB基板材料の損失抵抗特性に対する要件が比較的低く、すなわち、PCB基板材料のレベルに対する要件が低減されることができ、それによって材料のコストを低減することができる。また、ケーブルの信号伝送速度は、回路基板内側のワイヤの信号伝送速度よりもはるかに高速であり、長距離の信号伝送をさらに容易にする。したがって、この解決策では、製品のコストが削減されるだけでなく、通信デバイスの適用範囲が拡大され、製品の高速性能が改善される。
【0007】
チップとケーブルとを電気的に接続するために、回路基板は、第1パッドおよび第2パッドをさらに含む。第1パッドはチップに電気的に接続され、第2パッドはケーブルに電気的に接続される。導電孔の二端は、それぞれ第1パッドおよび第2パッドに電気的に接続され、チップとケーブルとを電気的に接続する。具体的には、第1パッドと第2パッドとは複数の方法で接続されてもよい。例えば、第1パッドと第2パッドとは、導電孔の二端で直接接続されていてもよい。あるいは、比較的短い回路基板内側のワイヤが使用されて第1パッドを導電孔の一端に接続し、導電孔の他端が回路基板内側のワイヤに接続され、回路基板内側のワイヤが第2パッドに接続されて、第1パッドと第2パッドとを電気的に接続する導電経路を形成する。別の技術的解決策では、第1パッドが回路基板内側のワイヤに接続され、回路基板内側のワイヤが導電孔の一端に接続され、導電孔の他端が第2パッドに接続されて、第1パッドと第2パッドとを電気的に接続する導電経路を形成することができる。
【0008】
ケーブルアセンブリは、ベースと、ベース上に設置された複数のケーブルユニットとを含む。ケーブルユニットは、ケーブルと接地部とを含む。接地部は、接地されるように構成されている。ケーブルは、差動信号を伝送するように構成されてもよく、接地部は、ケーブルの差動信号のための基準電圧を供給してもよい。ベースの表面は、接地された導電部を有する。導電部の数量は限定されず、1つ以上の導電部があってもよい。ケーブルユニットの接地部は、ベースの導電部に電気的に接続され、接地部を接地する。具体的には、接地部は、導電部と電気的に接続されている。この解決策では、接地部は、差動信号の基準電圧を供給するように構成され、これは、ケーブルアセンブリの構造を単純化し、ケーブルアセンブリのベース上のケーブルユニットの配置密度を改善するのを補助する。チップは、接地ピンをさらに含む。接地ピンは、導電孔を使用してベースの導電部に電気的に接続され、その結果、チップのクロストーク信号を遮蔽するために接地ネットワークが形成され得る。この解決策では、ベースを使用してケーブルと回路基板とが相対的に締結されることができる。具体的には、ベースと回路基板との締結方法は限定されず、例えば、ベースと回路基板とは、ねじ接続、接合、溶接、圧着、またはリベット止めによって締結されてもよい。
【0009】
ベースの導電部の具体的な形態や構造は限定されない。例えば、ベースは金属ベースであってもよく、ベースは導電性を有する。この場合、導電部は、ベースの領域の少なくとも一部の領域であると考えられてもよい。あるいは、ベースは、絶縁材料を用いて製造された絶縁性のベースであり、導電部は、絶縁性のベースの表面に締結されて接地構造として用いられてもよい。なお、ベースが絶縁されている場合、導電部はベースの表面に位置されていてもよく、またはベースの内側の他の導体が接地部に電気的に接続されていてもよい。
【0010】
ベースの表面に締結される導電部の具体的な構造も限定されない。例えば、ベースの表面に金属板が締結され得、その金属板が導電部として用いられてもよい。金属板は、スタンピングバンプまたは切断された弾性ピンなどの圧縮性接点をさらに含むことができる。金属板は、圧縮性接点を使用して回路基板の導電孔に電気的に接続され、チップの接地ピンに電気的に接続されてもよい。この解決策では、ベースの導電部の構造は比較的単純であり、回路基板の導電孔に直接電気的に接続され得る圧縮性接点を有し、その結果、接続構造も比較的単純である。
【0011】
他の種類の導電部は、導電性接着剤または導電性発泡体などであってもよく、ベースの表面に接着される。導電部は弾性であるので、ベースおよび回路基板が固定的に設置されると、導電部は導電孔に直接電気的に接続されてもよく、構造は比較的簡単である。
【0012】
ケーブルユニットは、ケーブルおよび信号接続端子をさらに含み、ケーブルは、信号接続端子に一対一に対応して接続された信号線を含む。チップは信号ピンを含み、信号ピンは導電孔を使用して信号接続端子に電気的に接続され、チップとケーブルとを電気的に接続し、ケーブルを使用してチップの信号を送信する。
【0013】
ケーブルは少なくとも2つの信号線を含むか、またはケーブルは一対以上の信号線を含むことができることに留意されたい。
【0014】
ケーブルと信号接続端子との間の確実な接続を実行するために、ケーブルユニットは、ケーブル締結ヘッドをさらに含む。ケーブル締結ヘッドは、信号線が信号接続端子に接続される場所にあり、ケーブル締結ヘッドは、基板上に設置され、その結果、ケーブルユニットが基板上に設置されることができる。具体的には、ケーブル締結ヘッドは、ベースに対して垂直に配置されてもよく、またはケーブル締結ヘッドは、ベースと特定の角度を形成するように配置されてもよく、すなわち、ケーブル締結ヘッドは、ベースに対して傾斜して配置される。
【0015】
ケーブル締結ヘッドは、ケーブルアセンブリの接地部をベースの導電部に接続するための別の導体としてさらに使用されてもよい。具体的には、ケーブル締結ヘッドは導電構造を有してもよく、導電構造はベースの導電部分に電気的に接続される。具体的には、ケーブル締結ヘッドがベース上に設置されると、ケーブル締結ヘッドの導電構造がベースに接触する。ベースが金属ベースである場合、ベースの導電性を利用してベースが導電部に接続されてもよい。あるいは、ベースが絶縁ベースである場合、ベース上にケーブル締結ヘッドが設置される開口部の内壁に導電層がコーティングされ、導電層がケーブル締結ヘッドの導電構造と接触して電気的に接続され得、次いで導電層がベースの導電部に電気的に接続される。
【0016】
具体的な技術的解決策では、接地部の具体的な構造も限定されない。任意選択で、ケーブルは、信号線と平行に配置された接地線をさらに含んでもよく、接地線は接地部として使用されてもよい。接地線は、ケーブル締結ヘッドから突出する必要はなく、ケーブル締結ヘッドに直接電気的に接続され、ベースの導電部に電気的に接続され得る。あるいは、ケーブルは、信号線の外側に巻き付けられたラッピング層をさらに含む。ラッピング層は、ケーブル締結ヘッドに電気的に接続された遮蔽層を含み、遮蔽層は、ケーブル締結ヘッドに電気的に接続され、ベースの導電部に電気的に接続される。この解決策では、ケーブルの接地部は、ケーブル締結ヘッドを使用してベースに電気的に接続され、ケーブルユニットは、ベースの締結ヘッドから突出する必要がなく、これは、ベース上のケーブルユニットが占めるスペースを減らすのに役立ち、それによって、ベース上のケーブルユニットの配置密度を向上させる。
【0017】
具体的には、ケーブルユニットは、導電孔を用いてチップの信号ピンに電気的に接続されるため、ベース上のケーブルユニットの配置密度は、チップの信号ピンの配置密度と一致する。この場合、ベース上のケーブル配置ユニットの配置密度は比較的高い。「マッチング」は、同一であってもよいし、若干異なっていてもよい。
【0018】
特定の実施形態では、ケーブルアセンブリは、ベースの導電部に電気的に接続された接地接続端子をさらに含むことができ、接地接続端子は、回路基板の貫通孔を使用してチップの接地ピンに電気的に接続される。ケーブルアセンブリの信号接続端子および接地接続端子はそれぞれ、弾性ピン、ばねピン、はんだボール、または圧着ピンであってもよい。使用者は、要件に基づいて適切な端末フォームを選択することができる。
【0019】
第2の態様によれば、本願では電子デバイスをさらに提供する。電子デバイスは、前述の技術的解決策のいずれかにおける信号伝送構造を含む。この技術的解決策では、信号伝送構造内の回路基板内の広い領域にワイヤが配置される必要がないため、PCB基板材料の損失抵抗特性の要件は比較的低く、すなわち、PCB基板材料のレベルに対する要件は低減されることができ、それによって材料コストを低減することができる。また、ケーブルの信号伝送速度は、回路基板内側のワイヤの信号伝送速度よりもはるかに高速であり、長距離の信号伝送をさらに容易にする。したがって、この解決策では、製品のコストが削減されるだけでなく、電子デバイスの適用範囲が拡大され、製品の高速性能が改善される。
【0020】
第3の態様によれば、本願は、ケーブルアセンブリをさらに提供する。ケーブルアセンブリは、ベースと、ベース上に設置された複数のケーブルユニットとを含む。ケーブルユニットは、ケーブルと接地部とを含む。接地部は、接地されるように構成されている。ケーブルは、差動信号を伝送するように構成されてもよく、接地部は、ケーブルの差動信号のための基準電圧を供給してもよい。ベースの表面は、接地された導電部を有する。導電部の数量は限定されず、1つ以上の導電部があってもよい。ケーブルユニットの接地部は、ベースの導電部に電気的に接続され、接地部を接地する。具体的には、接地部は、導電部と電気的に接続されている。この解決策では、接地部は、差動信号の基準電圧を供給するように構成されて、これは、ケーブルアセンブリの構造を単純化し、ケーブルアセンブリのベース上のケーブルユニットの配置密度を改善するのを補助する。
【0021】
ベースの導電部の具体的な形態や構造は限定されない。例えば、ベースは金属ベースであってもよく、ベースは導電性を有する。この場合、導電部は、ベースの領域の少なくとも一部の領域であると考えられてもよい。あるいは、ベースは、絶縁材料を用いて製造された絶縁性のベースであり、導電部は、絶縁性のベースの表面に締結されて接地構造として用いられてもよい。なお、ベースが絶縁されている場合、導電部はベースの表面に位置されていてもよく、またはベースの内側の他の導体が接地部に電気的に接続されていてもよい。
【0022】
ベースの表面に締結される導電部の具体的な構造も限定されない。例えば、ベースの表面に金属板が締結され得、その金属板が導電部として用いられてもよい。金属板は、スタンピングバンプまたは切断された弾性ピンなどの圧縮性接点をさらに含むことができる。金属板は、圧縮性接点を使用して回路基板の導電孔に電気的に接続され、チップの接地ピンに電気的に接続されてもよい。この解決策では、ベースの導電部の構造は比較的単純であり、回路基板の導電孔に直接電気的に接続され得る圧縮性接点を有し、その結果、接続構造も比較的単純である。
【0023】
他の種類の導電部は、導電性接着剤または導電性発泡体などであってもよく、ベースの表面に接着される。導電部は弾性であるので、ベースおよび回路基板が固定的に設置されると、導電部は導電孔に直接電気的に接続されてもよく、構造は比較的簡単である。
【0024】
ケーブルユニットは、ケーブルおよび信号接続端子をさらに含み、ケーブルは、信号接続端子に一対一に対応して接続された信号線を含む。チップは信号ピンを含み、信号ピンは導電孔を使用して信号接続端子に電気的に接続され、チップとケーブルとを電気的に接続し、ケーブルを使用してチップの信号を送信する。具体的には、ケーブルユニットは、導電孔を用いてチップの信号ピンに電気的に接続されるため、ベース上のケーブルユニットの配置密度は、チップの信号ピンの配置密度と一致する。この場合、ベース上のケーブル配置ユニットの配置密度は比較的高い。
【0025】
ケーブルと信号接続端子との間の確実な接続を実行するために、ケーブルユニットは、ケーブル締結ヘッドをさらに含む。ケーブル締結ヘッドは、信号線が信号接続端子に接続される場所にあり、ケーブル締結ヘッドは、基板上に設置され、その結果、ケーブルユニットが基板上に設置されることができる。具体的には、ケーブル締結ヘッドは、ベースに対して垂直に配置されてもよく、またはケーブル締結ヘッドは、ベースと特定の角度を形成するように配置されてもよく、すなわち、ケーブル締結ヘッドは、ベースに対して傾斜して配置される。
【0026】
ケーブル締結ヘッドは、ケーブルアセンブリの接地部をベースの導電部に接続するための別の導体としてさらに使用されてもよい。具体的には、ケーブル締結ヘッドは導電構造を有してもよく、導電構造はベースの導電部分に電気的に接続される。具体的には、ケーブル締結ヘッドがベース上に設置されると、ケーブル締結ヘッドの導電構造がベースに接触する。ベースが金属ベースである場合、ベースの導電性を利用してベースが導電部に接続されてもよい。あるいは、ベースが絶縁ベースである場合、ベース上にケーブル締結ヘッドが設置される開口部の内壁に導電層がコーティングされ、導電層がケーブル締結ヘッドの導電構造と接触して電気的に接続され得、次いで導電層がベースの導電部に電気的に接続される。
【0027】
具体的な技術的解決策では、接地部の具体的な構造も限定されない。任意選択で、ケーブルは、信号線と平行に配置された接地線をさらに含んでもよく、接地線は接地部として使用されてもよい。接地線は、ケーブル締結ヘッドから突出する必要はなく、ケーブル締結ヘッドに直接電気的に接続され、ベースの導電部に電気的に接続され得る。あるいは、ケーブルは、信号線の外側に巻き付けられたラッピング層をさらに含む。ラッピング層は、ケーブル締結ヘッドに電気的に接続された遮蔽層を含み、遮蔽層は、ケーブル締結ヘッドに電気的に接続され、ベースの導電部に電気的に接続される。この解決策では、ケーブルの接地部は、ケーブル締結ヘッドを使用してベースに電気的に接続され、ケーブルユニットは、ベースの締結ヘッドから突出する必要がなく、これは、ベース上のケーブルユニットが占めるスペースを減らすのに役立ち、それによって、ベース上のケーブルユニットの配置密度を向上させる。
【0028】
特定の実施形態では、ケーブルアセンブリは、ベースの導電部に電気的に接続された接地接続端子をさらに含むことができ、接地接続端子は、回路基板の貫通孔を使用してチップの接地ピンに電気的に接続される。ケーブルアセンブリの信号接続端子および接地接続端子はそれぞれ、弾性ピン、ばねピン、はんだボール、または圧着ピンであってもよい。使用者は、要件に基づいて適切な端末フォームを選択することができる。
【0029】
具体的には、ベースは、板状ベースであってもよく、一体構造であってもよく、または少なくとも2つの接合部を含んでもよい。したがって、比較的大きなサイズのケーブルアセンブリを製造する場合、製造、保管、および輸送を容易にするために、各接合部に対応する部品が最初に製造されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来式の技術による信号伝送構造の構造の概略図である。
図2】本願の実施形態による信号伝送構造の構造の概略図である。
図3】本願の実施形態による信号伝送構造の部分的な拡大図である。
図4】本願の実施形態による、チップの、回路基板に面する構造の概略図である。
図5】本願の実施形態による信号伝送構造の別の構造の概略図である。
図6】本願の実施形態による信号伝送構造の別の構造の概略図である。
図7】本願の実施形態によるケーブルアセンブリの構造の概略図である。
図8】本願の実施形態によるケーブルアセンブリの側面の構造の概略図である。
図9】本願の実施形態によるケーブルユニットの構造の概略図である。
図10】本願の実施形態によるケーブルユニットの側面の構造の概略図である。
図11】本願の実施形態によるケーブルアセンブリのベースの表面の構造の概略図である。
図12】本願の実施形態による導電部の構造の概略図である。
図13】本願の実施形態によるケーブルアセンブリの別の構造の概略図である。
図14】本願の実施形態による信号伝送構造の応用例の概略図である。
図15】本願の実施形態による信号伝送構造の別の応用例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、以下でさらに、添付図面を参照して本願を詳細に記載する。
【0032】
以下の実施形態で使用されている用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、本願を限定するものではない。本願の明細書と添付の特許請求の範囲で使用される単数形の表現、例えば「one(1つ)」、「one type(1つのタイプ)」、「the(その)」、「the foregoing(前述の)」、「this(これ)」、および「the one(その1つ)」は、文脈において明確な逆であるという指摘がない限り、「one or more(1つ以上)」などの表現を含むことをも意図する。
【0033】
本明細書に記載された「一実施形態」、「いくつかの実施形態」などへの言及は、実施形態を参照して記載された具体的な特徴、構造、または特徴が、本願の1つまたは複数の実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の異なる部分に現れる「一実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「いくつかの他の実施形態では」、「いくつかの他の実施形態では」などの記述は、別の方式で別途具体的に強調されない限り、必ずしも同じ実施形態への言及を意味せず、「すべての実施形態ではないが1つまたは複数の実施形態」ということを意味する。「含む」、「備える」、「有する」という用語、およびそれらの変形形態はすべて、別の方式で別途具体的に強調されない限り、「含むが限定はされない」ということを意味する。
【0034】
本願の実施形態で提供される信号伝送構造は、信号を送信する必要がある任意の電子デバイスに適用されることができる。従来式の技術では、回路基板上にチップが設置されており、チップと他の構造物との間の信号伝送は、通常、回路基板の内部に位置するワイヤを用いて実行される必要がある。回路基板の内部で配線が行われ、このことが回路基板のレベルに対する比較的高い要求を課し、その結果、製品のコストが相対的に高くなる。加えて、回路基板内側のワイヤの信号伝送効率は比較的低く、ワイヤ間の比較的高い損失があり、信号伝送速度も制限させる可能性がある。
【0035】
そのため、本願は電子デバイスを提供する。電子デバイスは、回路基板内側のワイヤで配線が行われる必要がない、または回路基板の内部で極端に短いワイヤが必要とされる信号伝送構造を含む。図2は、本願の実施形態による信号伝送構造の構造の概略図である。図2に示すように、信号伝送構造は、チップ1と、回路基板2(PCB)と、ケーブルアセンブリ3(HSCGA、high speed cable grid array)とを含む。チップ1は回路基板2の一方の側の表面に配置され、チップ1は複数のピン11を有する。回路基板2は、複数の導電孔22を有し、チップ1のピン11は、導電孔22のチップ1に近い側に電気的に接続されている。ケーブルアセンブリ3は、ケーブル31を含む。ケーブルアセンブリ3は、回路基板2のチップ1から離れた側の表面に組み付けられている。ケーブル31は、導電孔22のチップ1から離れた側に電気的に接続されているので、ケーブル31はチップ1に電気的に接続され、ケーブル31を用いてチップ1の信号は伝送されることができる。この解決策では、ケーブル31は、チップ1の信号を送信するためにチップ1のピン11に接続される。導電孔22は、チップ1とケーブル31とを接続するために回路基板2に配置されることができ、回路基板2内の広い領域にワイヤが配置される必要がない。ワイヤは、回路基板2内の広い領域に配置される必要がなく、その結果、PCB基板材料の損失抵抗特性に対する要求が比較的低く、すなわち、PCB基板材料のレベルに対する要求が低減され、それによって材料コストを低減することができる。例えば、同じ使用要件が満たされる場合、従来技術における回路基板2は、回路基板の厚さが約4 mmである32層のサブ基板をプレスすることによって形成される必要がある。しかしながら、本願における技術的解決策が使用される場合、回路基板2は、サブ基板の16層のみをプレスすることによって形成される必要があり、回路基板の厚さは約2.5 mmである。したがって、本願で提供される技術的解決策が使用されると、回路基板のコストは約50%削減される。また、ケーブル31の信号伝送速度は、回路基板2内のワイヤの信号伝送速度よりもはるかに速い。具体的には、高速信号伝送の適用シナリオでは、ケーブルの伝送損失は、PCB内部のワイヤの損失のわずか25%である。具体的には、チップ1が同じ駆動能力を有し、ドライバゲインの補償がない場合、同じリンクの長さにおいて、ケーブルによって支持されることができる伝送速度は、PCBの内側のワイヤの伝送速度の約4倍である。さらに、同じ伝送速度では、ケーブルの伝送距離は、PCB内部のワイヤの伝送距離の少なくとも4倍である。したがって、この解決策では、製品のコストが削減されるだけでなく、通信デバイスの適用範囲が拡大され、製品の高速性能が改善される。
【0036】
本願の実施形態では、「電気的接続」は、2つの構造が導電性であり得るか、または信号が2つの構造間で送信され得ることを意味することに留意されたい。しかしながら、2つの電気的に接続された構造は、直接物理的に接続されていなくてもよく、すなわち、2つの電気的に接続された構造の間に導電孔、導線、またはパッドなどの別の導電構造があってもよい。これは本願で限定されない。
【0037】
本願の技術的解決策が具体的に実行される場合、回路基板2の、チップ1に面する側に第1パッド23があってもよく、回路基板2の、ケーブルアセンブリ3に面する側に第2パッド24があってもよい。導電孔22を用いて、回路基板2の第1パッド23と第2パッド24とが電気的に接続される。第1パッド23が第2パッド24に具体的に電気的に接続される場合、第1パッド23は導電孔22の一端に直接電気的に接続されてもよく、第2パッド24は導電孔22の他端に直接接続される。さらに、図4は、本願の実施形態による信号伝送構造の部分的に拡大させた概略図である。図3に示すように、回路基板2の内部には、比較的短いワイヤ25がさらに配置されてもよい。ワイヤ25は、導電孔22に電気的に接続され、第1パッド23または第2パッド24は、ワイヤ25に電気的に接続される。具体的には、一実施態様での解決策では、第1パッド23は導電孔22の一端に電気的に接続され、第2パッド24はワイヤ25を用いて導電孔22の他端に接続される。具体的には、ワイヤ25の一端は、導電孔22の他端に電気的に接続され、ワイヤ25の他端は、第2パッド24に電気的に接続されている。別の実施態様での解決策では、第2パッド24は導電孔22の他端に電気的に接続され、第1パッド23はワイヤ25を用いて導電孔22の一端に接続される。具体的には、ワイヤ25の一端は第1パッド23に接続され、ワイヤ25の他端は導電孔22の一端に接続されている。比較的短いワイヤ25が回路基板2の内側に配置され、その結果、導電孔22が要件に基づいて適切に配置され、導電孔22の配置の柔軟性を向上させることができ、それにより、チップ1におけるピン11による導電孔22の配置の制限を低減させ、ケーブルアセンブリ3におけるケーブル31の配置の柔軟性を向上させる。導電孔22は、具体的には電気めっき孔であってもよい。チップ1のピン11は第1パッド23に接続され、ケーブル31は第2パッド24に接続される。導電孔22は、チップ1の信号をケーブル31に伝送するために、第1パッド23の信号を第2パッド24に伝送することができる。
【0038】
チップ1と回路基板2との接続の仕方は特に限定されない。チップ1のピン11は弾性ピンであってもよく、チップ1は弾性ピンを使用して第1パッド23に接続される。あるいは、チップ1のピン11は、はんだボールであってもよく、チップ1は、はんだボール、すなわちはんだボールアレイ(Ball Grid Array、BGA)パッケージを使用して第1パッド23に溶接される。別の態様では、チップ1のピン11は、ランドグリッドアレイ(Land Grid Array、LGA)に配置されてもよい。これに対応して、第1パッド23もランドグリッドアレイに配置されている。任意の接続方法がこの解決策に適用可能である。
【0039】
図4は、本願の実施形態による、チップの、回路基板に面する構造の概略図である。図4に示す実施形態では、例として、36mm×36mmのサイズのチップ1が使用される。チップ1は、複数のピン11を含む。複数のピン11は35×35アレイに配置され、すなわち、チップ1は1225個のピン11を有する。隣り合う2つのピン11のピッチは1.0 mmである。ピン11は、信号ピン111および接地ピン112を含む。信号ピン111は通常、高速差動信号を送信するように構成され(当然ながら、別のタイプの信号を送信するように構成されてもよい)、接地ピン112は接地されるように構成される。接地ピン112は、信号ピン111の周りに分布されており、別の信号ピンに伝送される信号を遮蔽して、保護された信号ピン111に伝送される信号に生じるクロストークを防止する。ピン11は、回路基板2の第1パッド23と電気的に接続され、導電孔22を用いて第2パッド24に伝達されることで、ケーブル31に高速信号が伝達され、接地ピン112が接地される。
【0040】
図5は、本願の実施形態による信号伝送構造の別の構造の概略図である。図5に示す実施形態では、信号伝送構造は、放熱部品4と、チップ1と、回路基板2と、ケーブルアセンブリ3とを含む。チップ1は、回路基板2の一方の側の表面に締結され、ケーブルアセンブリ3は、回路基板2の、チップ1から離れた側の表面に締結され、放熱部品4は、チップ1の、回路基板2から離れた側の表面に締結されている。回路基板2の2つの側面にはそれぞれ第1パッド23と第2パッド24があり、第1パッド23と第2パッド24との間には導電孔22が接続されており、第1パッド23は第2パッド24に電気的に接続されている。チップ1の回路基板2に面する側には複数のピン11があり、チップ1はピン11を用いて回路基板2の第1パッド23に接続され、チップ1と回路基板2との固定接続および電気的接続を実行する。チップ1のピン11は、信号ピン111および接地ピン112を含む。ケーブルアセンブリは、ベース32と、ケーブル31と、接続端子33とを含む。接続端子33は、信号接続端子331と、接地接続端子332とを含む。ベース32が回路基板2に締結され、ケーブル31がベース32に締結されることにより、ケーブル31と回路基板2とが相対的に締結され、チップ1からケーブル31への電気信号の確実な伝送を向上させる。信号接続端子331は、第2パッド24に接続された後、導電孔22を用いて第1パッド23に接続され、チップ1の信号ピン111に接続される。ケーブルアセンブリ3の信号接続端子331の一端はチップ1の信号ピン111に電気的に接続され、信号接続端子331の他端はケーブル31に電気的に接続され、ケーブル31を用いてチップ1の信号を伝送する。同様に、接地接続端子332は、第2パッド24に接続されるとともに、導電孔22を用いて第1パッド23に接続され、チップ1の接地ピン112に接続される。ケーブルアセンブリ3の接地接続端子332の一端は、チップ1の接地ピン112に電気的に接続され、接地接続端子332の他端は、ケーブル31に電気的に接続され、すなわち、接地接続端子332は、ケーブル31を用いて接地される。放熱部品4は、チップ1の回路基板2から離れた側に締結されている。具体的には、放熱部品4は、チップ1の回路基板2から離れた面に取り付けられてもよい。放熱部品4を設置するには、ねじを用いて放熱部品4が回路基板2に締結されればよく、接続構造が比較的信頼性が高く、設置および取り外しが容易である。
【0041】
ケーブルアセンブリ3のベース32は、回路基板2に固定的に接続され、特定の締結方法は限定されない。一実施態様では、ベース32は回路基板2に接合されてもよく、構造は比較的単純である。別の実施態様では、ベース32は回路基板2に溶接されてもよく、接続強度は比較的高い。さらに別の実施態様では、ベース32は、ねじ山を使用して回路基板2に固定的に設置されてもよい。この解決策では、ねじ接続構造は比較的信頼性が高く、取り外し可能な接続であり、信号伝送構造を維持するのに役立つ。あるいは、別の実施形態では、ベース32は、回路基板2に圧着またはリベット留めされてもよい。これは、本願では特に限定されない。
【0042】
図6は、本願の実施形態による信号伝送構造の別の構造の概略図である。図6に示す実施形態では、チップ1は別個のチップであり、別個のチップはチップ本体12と設置ベース13とを含む。設置ベース13のチップ本体12と面する側には弾性ピン14があり、弾性ピン14はチップ本体12のピンと電気的に接続されている。設置ベース13のチップ本体12から離れた側には、弾性ピン14に電気的に接続されたピン11があり、設置ベース13のピン11は、回路基板2の第1パッド23に電気的に接続されている。
【0043】
図7は、本願の実施形態によるケーブルアセンブリの構造の概略図である。図8は、本願の実施形態によるケーブルアセンブリの側面の構造の概略図である。図7および図8に示すように、ケーブルアセンブリ3は、ベース32と、ケーブル31と、接続端子33とを含む。接続端子33は、信号接続端子331と、接地接続端子332とを含む。接続端子33は、ベース32の一方の側の表面に配置され、ケーブル31は、ベース32の、接続端子33から離れた側の表面に位置し、ケーブル31は、ベース32に締結され、接続端子33(信号接続端子331または接地接続端子332)に一対一に対応して接続される。複数の接続端子33のベース32から離れた端部は、ほぼ同一平面上に位置される。複数の接続端子33の端部のベース32から離れた端面により形成される面の平面度は0.2 mm以下であり、接続端子33の弾性変形を当該平面度以上とすることができる。具体的には、平面度は、凹凸している平面の高さの理想的な平面からのずれであり、凹凸している高さは、理想的な平面の方向に垂直な高さである。したがって、ケーブルアセンブリ3のベース32が回路基板2に締結される際に、すべての接続端子33が回路基板2の第2パッド24に接続されることができ、それにより電気的な接続の信頼性を向上させることができ、効果的に信号が伝送され得ることを確実にする。接続端子33の弾性変形能力を確保するために、ベリリウム銅弾性ピンが選択されることができる。接続端子33は、シート状構造を有してもよく、シート状構造を有する接続端子の厚さは相対的に小さくなるはずで、具体的には0.05mm~0.1mmであり得る。特定の実施形態では、金属端子の厚さは0.05mmであってもよく、弾性変形量は0.3mmであり、最大弾性変形圧力は40g/ピン未満である。
【0044】
図7および図8に示されるように、本願の本実施形態におけるケーブルアセンブリ3は、ケーブルユニット34を含むことができる。各ケーブルアセンブリ3に含まれるケーブルユニット34の数量は限定されず、1つ、2つ、またはそれ以上のケーブルユニット34があってもよい。図9は、本願の実施形態によるケーブルユニットの構造の概略図である。図10は、本願の実施形態によるケーブルユニットの側面の構造の概略図である。図9および図10に示すように、ケーブルユニット34は、ケーブル31と、接続端子33と、ケーブル締結ヘッド341とを含む。ケーブル31は少なくとも2つの信号線311を含み、接続端子33は信号接続端子331を含む。ケーブル締結ヘッド341は、信号ケーブル31が信号接続端子331に接続される位置にあり、信号接続端子331は、ケーブル締結ヘッド341から露出して、回路基板2のパッドに接続される。ケーブル31の外側にはラッピング層342がある。一態様では、ケーブル締結ヘッド341は、信号接続端子331と信号ケーブル31との間の接続の信頼性を向上させる。別の態様では、ケーブル締結ヘッド341は、ケーブルユニット34をケーブルアセンブリ3のベース32に締結または設置するように構成される。ケーブルユニット34をベース32に締結する具体的な方法は限定されない。ケーブル締結ヘッド341は、可撓性が比較的高くなるように、ケーブルユニット34の設置および交換を容易にするために、ベース32にクランプされてもよい。あるいは、ケーブル締結ヘッド341とベース32とは一緒に成形されることができ、その結果、接続構造は比較的信頼性が高い。
【0045】
ケーブル31は、少なくとも2本の信号線311を含む。実施形態では、ケーブル31は2本の信号線311を含み、2本の信号線311はチップ1の一対の差動信号ピンに接続される。ケーブル31が単に差動信号を伝送するように構成されている場合、各差動信号対は2つの差動信号を含むため、ケーブル31に含まれる信号線311の数量は偶数である。ケーブル31が特異的に適用される場合、ケーブル31の信号線311は、別の信号を送信するようにさらに構成されてもよい。このシナリオでは、ケーブルに含まれる信号線311の数量は偶数または奇数であり得る。
【0046】
ケーブルアセンブリ3において、ケーブル締結ヘッド341がベース32上に設置されるとき、ケーブル締結ヘッド341は、ベース32に対して垂直に配置されてもされなくてもよい。ケーブル締結ヘッド341およびベース32は、特定の角度を形成するように配置されてもよく、すなわち、ケーブル締結ヘッド341は、ベース32に対して傾斜して配置される。実際の製品設置要件に基づいて、配置の適切な角度が選択されることができる。
【0047】
図11は、本願の実施形態によるベースの表面の構造の概略図である。図11に示すように、本願の技術的解決策では、ベース32の表面は1つまたは複数の導電部6を有し、導電部6は接地されるように構成される。図10に示すように、ケーブル31は、接地部をさらに含み得、接地部は、他の導体を用いて導電部6と電気的に接続される。接地部は、ケーブル31の信号線311の信号に基準電圧を供給することができる。
【0048】
具体的には、接地部は接地線312であってもよく、接地線312は信号線311と平行に配置される。接地線312は、ベース32の導電部6に電気的に接続され、ケーブルを接地する。具体的には、ケーブル締結ヘッド341に導電構造が配置されてもよく、接地線312は、ケーブル締結ヘッド341の導電構造に電気的に接続される。ケーブル締結ヘッド341がベース32上に設置された後、ケーブル締結ヘッド341の導電構造は、ケーブルの接地線312を接地するために、ベース32の導電部6に電気的に接続される。別の技術的解決策では、ラッピング層342は、遮蔽層および保護層を含む。この場合、ベース32の導電部6に電気的に接続されるケーブル31の接地部として、遮蔽層が用いられてケーブルを接地してもよい。具体的には、遮蔽層は、ケーブル締結ヘッド341の導電構造に電気的に接続されてもよい。ケーブル締結ヘッド341がベース32上に設置された後、ケーブル締結ヘッド341の導電構造は、ケーブルの接地線312を接地するために、ベース32の導電部6に電気的に接続される。
【0049】
ケーブルアセンブリ3の接続端子33は、弾性ピン、ばねピン、はんだボール、または圧着ピンであってもよい。これは、本願では特に限定されず、製品の要件に基づいて選択される。
【0050】
ケーブルユニット34は、2本の信号線311を含み、各ケーブルユニット34は、チップ1内で一対の差動信号を伝送するように構成されており、すなわち、各信号線311は、一対の差動信号のうちの差動信号を伝送するように接続されている。ケーブルアセンブリ3内のケーブルユニット34の位置は、チップ1内の差動信号の分布に基づいて配置されることができ、したがって、この解決策の柔軟性は比較的高い。
【0051】
本願の技術的解決策では、ベース32上の複数のケーブルユニット34の配置密度は、チップ1の信号ピン111の配置密度と一致する。チップ1の信号ピン111の配置密度が比較的高いため、この解決策では、ベース上の複数のケーブルユニット34の配置密度が比較的高く、すなわち、隣接するケーブルユニット34間のピッチ(pitch)が比較的短い。本願の技術的解決策によれば、ケーブル31の接地部は、ケーブルユニット34のケーブル締結ヘッドの空間を占有しないため、ケーブルユニット34のサイズであって、ケーブルユニット34がベース32に接続される位置でベース32から突出するサイズが縮小されることができ、それによってベース32上の複数のケーブルユニット34の配置密度を向上させるのを補助する。ベース32上の複数のケーブルユニット34の配置密度がチップ1の信号ピン111の配置密度と一致することは、ベース32上の複数のケーブルユニット34の配置密度がチップ1の信号ピン111の配置密度と等しいか、またはわずかに異なることを意味し得ることに留意されたい。したがって、ベース32上における複数のケーブルユニット34の配置密度は、チップ1の信号ピン111の配置密度とほぼ同じであると考えられてもよい。
【0052】
チップ1の接地ピン112を接地し、干渉信号を遮蔽するために、チップ1の接地ピン112がベースの導電部6(図12参照)に電気的に接続されてもよい。この解決策では、チップ1の接地ピン112およびケーブルアセンブリ3のベース32は、共通の接地ネットワーク設計を形成する。具体的には、接地は、ケーブルアセンブリ3のベース32の表面を使用することによって実行されることができ、構造は比較的単純であり、製造プロセスを簡略化することができる。
【0053】
具体的な実施態様において、チップ1の接地ピン112は、回路基板2の導電孔22を使用することによって導電部6に電気的に接続されてもよい。ケーブルアセンブリ3の接続端子33は、接地接続端子332をさらに含み、接地接続端子332は、接地ピン112導電部6とを接続している。具体的には、接地接続端子332の一端は導電部6に電気的に接続され、接地接続端子332の他端は第2パッド24に電気的に接続されている。第2パッド24は、導電孔22を使用して第1パッド23に接続され、さらにチップ1の接地ピン112に電気的に接続され、チップ1の接地ピン112およびケーブルアセンブリ3のベース32の共通の接地ネットワーク設計を実施する。特定の実施態様のプロセスでは、接地接続端子332は、信号接続端子331の構造と同じ構造を有することができ、そして接地接続端子332は、ベース32に締結される。接地接続端子332の、回路基板2に面する端部と、信号接続端子331の、回路基板2に面する端部とは、同じ平面上に位置される。
【0054】
ベース32の表面における導電部6の具体的な構造は限定されない。実施形態では、ベース32は金属ベース32であってもよく、導電部6はベース32の領域の少なくとも一部である。この場合、ケーブル締結ヘッド341の導電構造が導電部6に電気的に接続される場合、ケーブル締結ヘッド341がベース32に設置されると、ケーブル締結ヘッド341の導電構造がベース32に接触し、ベース32の導電性を利用して導電部6に接されることができる。この解決策では、ケーブル締結ヘッド341およびベース32の導電構造は他の導体である。任意選択的に、ベース32は絶縁され、絶縁ベース32の本体の表面に独立した導電部6が製造されてもよく、例えば、金属層がプラスチック本体の外面にコーティングされるか、または導電部がプラスチック本体に締結される。したがって、ベース23上にケーブル締結ヘッド341が設置される開口部の内壁に導電層がコーティングされ得て、導電層がケーブル締結ヘッド341の導電構造に接触して、電気的に接続され、次いで導電層がベースの導電部6に電気的に接続される。この解決策では、ケーブル締結ヘッド341の導電構造および導電層は他の導体である。ベース32が絶縁されている場合、導電部6は、他の導体を用いてケーブルユニット34の接地部に電気的に接続される。もちろん、ベース32の具体的な材料は限定されない。しかしながら、ベース32は、ケーブルアセンブリ3に十分な強度の支持を提供する必要があり、ケーブルアセンブリ3内の接続端子33の端部であってチップ1に面する端部の平面が比較的高い平面度を有するように、十分な平面度を設ける必要がさらにある。また、ベースの製品形態は、通常、基板である。
【0055】
図11は、本願の一実施形態による導電部の構造の概略図である。図11に示すように、別の特定の技術的解決策では、導電部6は金属板5であってもよく、金属板5は、ケーブルアセンブリ3のベース32の、回路基板2に面する側に締結される。金属板5は、圧縮性接点51および開口部52を有する。圧縮性接点51は、第2パッド24に電気的に接続されている。具体的には、圧縮性接点51は、第2パッド24と接触してもよい。第2パッド24は、チップ1の接地ピン112に電気的に接続され、その結果、チップ1の接地ピン112およびケーブルアセンブリ3のベース32は、共通の接地ネットワークを形成する。開口部52は、基本ケーブルユニットがベース32を通過することを可能にし、基本ケーブルユニットの信号接続端子331が第2パッド24に電気的に接続されることを可能にするように構成されている。特定の実施形態では、圧縮性接点51は、スタンピングの凸包であってもよいし、弾性接続接着剤であってもよい。これは、本願では特に限定されない。
【0056】
別の技術的解決策では、図10に示すように、導電部6は、ケーブルアセンブリ3のベース32の、回路基板2に面する側に接合される。具体的には、導電部6は、導電性発泡体、導電性接着剤、または遮蔽用導電パッドを含む。導電部6は弾性であるので、ベース32と回路基板2とが固定的に設置される際に、導電部6は導電孔22に直接電気的に接続されることができ、構造が比較的簡単である。具体的には、導電部6が第2パッド24に電気的に接続され、第2パッド24がチップ1の接地ピン112に電気的に接続されることにより、チップ1の接地ピン112とケーブルアセンブリ3のベース32とが共通の接地ネットワークを形成する。
【0057】
特定の技術的解決策では、ベース32の特定の構造は限定されない。一般に、ベース32の形態は、板状ベース32である。ベースは、図7に示すように、全体的な構造である。図13は、本願の実施形態によるケーブルアセンブリの別の構造の概略図である。図15を参照すると、別の技術的解決策では、ベース32は少なくとも2つの接合部321を含み、ケーブルユニット34は接合部321に締結される。接合部321は、接合されて完全なベース32を形成する。接合部321を接合する具体的な方法は限定されない。図15に示すように、ベース32は締結部322を含み、締結部322を使用して接合部321が接合されて、完全なベース32を形成する。あるいは、接合部321は、ねじを用いて締結されてもよいし、接合されてもよい。
【0058】
本願の技術的解決策では、ケーブルアセンブリ3のケーブル31の、チップ1から離れた端部は、要件に基づいて様々な構造に接続されることができる。例えば、実施形態では、ケーブルアセンブリ3のケーブル31の、チップ1から離れた端部は、チップ1に電気的に接続されてもよい。図14に示すように、ケーブルアセンブリ3のケーブル31の他端も、別のチップ1に電気的に接続されたケーブルアセンブリ3を有する。言い換えると、2つのケーブルアセンブリ3は、2つのチップ1間の通信を実行するために、1つのケーブル31を共有する。この解決策では、ケーブルアセンブリ3のケーブル31の2つの端部が同じ端子に接続されることができる。あるいは、図15に示すように、ケーブルアセンブリ3のケーブル31の、チップ1から離れた端部がコネクタに接続されて、別の構造で信号の伝送を行ってもよい。コネクタの具体的な種類は限定されない。例えば、コネクタは、外部コネクタであってもよいし、バックプレーンコネクタであってもよい。具体的には、コネクタが外部コネクタである場合、コネクタは、チップ1から光モジュールに信号を伝送するための光ポートを有するコネクタであってもよい。コネクタがバックプレーンコネクタである場合、バックプレーン間の接続が実行されることができる。
【0059】
前述の説明は、本願の特定の実施態様にすぎず、本願の保護範囲を限定することが意図されるものではない。本願に開示されている技術的範囲内で当業者によって容易に考え出されるいかなるバリエーションや置換も、本願の保護範囲内に入るものとする。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0060】
1 チップ
11 ピン
111 信号ピン
112 接地ピン
12 チップ本体
13 設置ベース
14 弾性ピン
2 回路基板
21 回路基板内側のワイヤ
22 導電孔
23 第1パッド
24 第2パッド
25 ワイヤ
3 ケーブルアセンブリ
31 ケーブル
311 信号線
312 接地線
32 ベース
321 接合部
322 締結部
33 接続端子
331 信号接続端子
332 接地接続端子
34 ケーブルユニット
341 ケーブル締結ヘッド
342 ラッピング層
4 放熱部品
5 金属板
51 圧縮性接点
52 開口部
6 導電部
7 コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15