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特許7564234工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム
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  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図1
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図2
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図3
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  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図5
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図6
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図7
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図8
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図9
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図10
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図11
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図12
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図13
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図14
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図15
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図16
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図17
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図18
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図19
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図20
  • 特許-工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム 図21
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 41/00 20060101AFI20241001BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20241001BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20241001BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B23Q41/00 F
B23Q3/155 F
B23Q17/00 D
G05B19/18 T
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022560598
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2020041517
(87)【国際公開番号】W WO2022097268
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安木 詠介
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-031599(JP,A)
【文献】特開平06-079591(JP,A)
【文献】特開平05-084631(JP,A)
【文献】特開昭62-063052(JP,A)
【文献】特開平04-256537(JP,A)
【文献】特開平01-216754(JP,A)
【文献】特開2004-195581(JP,A)
【文献】特開2009-106982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/18-19/416
G05B19/42-19/46
B23Q41/00
B23Q 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具搬送システムであって、
表示部と、
複数の工作機械と、
複数の工具を収納するための工具収納部と、
前記工具収納部に収納されている工具の内の指定された工具を、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置と、
前記工具搬送システムを制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記工具搬送システムが保有している各工具の識別情報を規定した保有工具情報を取得する処理と、
前記複数の工作機械でのワークの加工スケジュールに基づいて、前記複数の工作機械での使用予定の複数の工具を特定する処理と、
前記使用予定の複数の工具の内で、前記保有工具情報に規定されていない未保有工具を特定する処理と、
前記未保有工具の識別情報を前記表示部に表示する処理と
前記加工スケジュールに基づいて、前記未保有工具について、現在から前記工具搬送システムで必要となるまでの残り時間を算出する処理と、
前記未保有工具についての前記残り時間を前記表示部に表示する処理とを実行する、工具搬送システム。
【請求項2】
前記工具搬送システムは、さらに、工具データベースを備え、前記工具データベースは、複数の工具の識別情報を含み、
前記制御部は、さらに、
工具の属性情報の入力を受け付けたことに基づいて、前記工具データベースにおいて、当該工具の識別情報に当該属性情報を関連付ける処理と、
前記未保有工具の前記属性情報が前記工具データベースに登録されているか否かを示す情報を前記表示部に表示する処理とを実行する、請求項1に記載の工具搬送システム。
【請求項3】
前記工具搬送システムは、通信端末と通信可能に構成されており、
前記制御部は、さらに、前記工具データベースにおいて前記属性情報が登録されていない未保有工具の識別情報を前記通信端末に送信する処理を実行する、請求項2に記載の工具搬送システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記未保有工具の内で前記残り時間が最短である未保有工具の識別情報を他の未保有工具の識別情報よりも強調して前記表示部に表示する、請求項1~3のいずれか1項に記載の工具搬送システム。
【請求項5】
工具搬送システムの制御方法であって、
前記工具搬送システムは、
表示部と、
複数の工作機械と、
複数の工具を収納するための工具収納部と、
前記工具収納部に収納されている工具の内の指定された工具を、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置とを備え、
前記制御方法は、
前記工具搬送システムが保有している各工具の識別情報を規定した保有工具情報を取得するステップと、
前記複数の工作機械でのワークの加工スケジュールに基づいて、前記複数の工作機械での使用予定の複数の工具を特定するステップと、
前記使用予定の複数の工具の内で、前記保有工具情報に規定されていない未保有工具を特定するステップと、
前記未保有工具の識別情報を前記表示部に表示するステップと
前記加工スケジュールに基づいて、前記未保有工具について、現在から前記工具搬送システムで必要となるまでの残り時間を算出するステップと、
前記未保有工具についての前記残り時間を前記表示部に表示するステップとを備える、制御方法。
【請求項6】
工具搬送システムの制御プログラムであって、
前記工具搬送システムは、
表示部と、
複数の工作機械と、
複数の工具を収納するための工具収納部と、
前記工具収納部に収納されている工具の内の指定された工具を、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置と、
前記工具搬送システムを制御するための制御部とを備え、
前記制御プログラムは、前記制御部に、
前記工具搬送システムが保有している各工具の識別情報を規定した保有工具情報を取得するステップと、
前記複数の工作機械でのワークの加工スケジュールに基づいて、前記複数の工作機械での使用予定の複数の工具を特定するステップと、
前記使用予定の複数の工具の内で、前記保有工具情報に規定されていない未保有工具を特定するステップと、
前記未保有工具の識別情報を前記表示部に表示するステップと
前記加工スケジュールに基づいて、前記未保有工具について、現在から前記工具搬送システムで必要となるまでの残り時間を算出するステップと、
前記未保有工具についての前記残り時間を前記表示部に表示するステップとを実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工具搬送システムに保有される工具を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の工作機械を運用する企業が増えている。管理する工作機械の数が増えると、各工作機械で使用される工具の管理が難しくなる。これに関して、特許文献1(国際公開第2015/029232号)は、複数の工作機械で用いられる工具を管理する工具管理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/029232号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、工具搬送システムの開発が進められている。当該工具搬送システムは、複数の工作機械の内の指定された工作機械に必要な工具を自動で搬送する。特許文献1に開示される工具管理システムは、このような工具搬送システムに関するものではない。
【0005】
工具搬送システムは、複数の工作機械と、複数の工具を収納するための工具収納部と、ロボットなどの搬送装置とを含む。当該搬送装置は、指定された工具を工具収納部から取り出し、当該工具を指定された工作機械に搬入する。また、当該搬送装置は、使用済みの工具を工作機械から搬出し、当該工具を工具収納部に戻す。このように、工具収納部の工具は、複数の工作機械で共有される。
【0006】
各工作機械で加工時に使用される工具は、作業者によって工具搬送システムに予めセットされている必要がある。しかしながら、使用予定の工具が工具搬送システムに保有されていないことが加工開始直前に作業者に知らされたとしても、作業者は、当該工具を直ぐには準備できない。その結果、加工の開始が遅れてしまう。したがって、工具搬送システムが保有していない使用予定の工具を作業者に予め知らせるための技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例では、工具搬送システムは、表示部と、複数の工作機械と、複数の工具を収納するための工具収納部と、上記工具収納部に収納されている工具の内の指定された工具を、上記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置と、上記工具搬送システムを制御するための制御部とを備える。上記制御部は、上記工具搬送システムが保有している各工具の識別情報を規定した保有工具情報を取得する処理と、上記複数の工作機械でのワークの加工スケジュールに基づいて、上記複数の工作機械での使用予定の複数の工具を特定する処理と、上記使用予定の複数の工具の内で、上記保有工具情報に規定されていない未保有工具を特定する処理と、上記未保有工具の識別情報を上記表示部に表示する処理とを実行する。
【0008】
本開示の一例では、上記工具搬送システムは、さらに、工具データベースを備える。上記工具データベースは、複数の工具の識別情報を含む。上記制御部は、さらに、工具の属性情報の入力を受け付けたことに基づいて、上記工具データベースにおいて、当該工具の識別情報に当該属性情報を関連付ける処理と、上記未保有工具の上記属性情報が上記工具データベースに登録されているか否かを示す情報を上記表示部に表示する処理とを実行する。
【0009】
本開示の一例では、上記工具搬送システムは、通信端末と通信可能に構成されている。上記制御部は、さらに、上記工具データベースにおいて上記属性情報が登録されていない未保有工具の識別情報を上記通信端末に送信する処理を実行する。
【0010】
本開示の一例では、上記制御部は、上記加工スケジュールに基づいて、上記未保有工具について、現在から上記工具搬送システムで必要となるまでの残り時間を算出する処理と、上記未保有工具についての上記残り時間を上記表示部に表示する処理とを実行する。
【0011】
本開示の一例では、上記制御部は、上記未保有工具の内で上記残り時間が最短である未保有工具の識別情報を他の未保有工具の識別情報よりも強調して上記表示部に表示する。
【0012】
本開示の他の例では、工具搬送システムの制御方法が提供される。上記工具搬送システムは、表示部と、複数の工作機械と、複数の工具を収納するための工具収納部と、上記工具収納部に収納されている工具の内の指定された工具を、上記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置とを備える。上記制御方法は、上記工具搬送システムが保有している各工具の識別情報を規定した保有工具情報を取得するステップと、上記複数の工作機械でのワークの加工スケジュールに基づいて、上記複数の工作機械での使用予定の複数の工具を特定するステップと、上記使用予定の複数の工具の内で、上記保有工具情報に規定されていない未保有工具を特定するステップと、上記未保有工具の識別情報を上記表示部に表示するステップとを備える。
【0013】
本開示の他の例では、工具搬送システムの制御プログラムが提供される。上記工具搬送システムは、表示部と、複数の工作機械と、複数の工具を収納するための工具収納部と、上記工具収納部に収納されている工具の内の指定された工具を、上記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置と、上記工具搬送システムを制御するための制御部とを備える。上記制御プログラムは、上記制御部に、上記工具搬送システムが保有している各工具の識別情報を規定した保有工具情報を取得するステップと、上記複数の工作機械でのワークの加工スケジュールに基づいて、上記複数の工作機械での使用予定の複数の工具を特定するステップと、上記使用予定の複数の工具の内で、上記保有工具情報に規定されていない未保有工具を特定するステップと、上記未保有工具の識別情報を上記表示部に表示するステップとを実行させる。
【0014】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】工具搬送システムの外観を示す図である。
図2】工具搬送システムの駆動機構の構成例を示す図である。
図3】使用予定の未保有工具の抽出過程を概略的に示す図である。
図4】工具搬送システムの機能構成の一例を示す図である。
図5】加工設定のデータ構造の一例を示す図である。
図6】ワークデータベースのデータ構造の一例を示す図である。
図7】一例としての加工スケジュールを示す図である。
図8】使用予定工具の特定過程を概略的に示す図である。
図9】工具データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図10】出力部による出力態様の一例を示す図である。
図11】使用予定工具の特定過程を概略的に示す図である。
図12】保有工具情報を示す図である。
図13】未保有工具の特定過程を概略的に示す図である。
図14】工具セットアップ装置から工具収納部への工具の搬入工程の流れを概略的に示す図である。
図15】収納情報のデータ構造の一例を示す図である。
図16】工具収納部から工作機械への工具の搬入工程の流れを概略的に示す図である。
図17】工具収納部から工具セットアップ装置への工具の搬出工程の流れを概略的に示す図である。
図18】管理装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図19】PLC(Programmable Logic Controller)の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図20】操作端末のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図21】使用予定の未保有工具の識別情報を出力する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0017】
<A.工具搬送システム10の外観>
図1を参照して、工具搬送システム10について説明する。図1は、工具搬送システム10の外観を示す図である。
【0018】
図1に示されるように、工具搬送システム10は、工具セットアップ装置200と、工具収納部250と、搬送装置300と、工作機械400とを含む。
【0019】
本明細書でいう「搬送装置」とは、工具を搬送する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。以下では、搬送装置300の一例として、4~7軸駆動の多関節ロボットを例に挙げて説明を行うが、搬送装置300は、多関節ロボットに限定されない。一例として、搬送装置300は、2~3軸駆動の直交ロボット(オートローダ)であってもよい。あるいは、搬送装置300は、自走式のロボットであってもよい。
【0020】
また、本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械400は、横形のマシニングセンタであってもよいし、縦形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械400は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。
【0021】
以下では、説明の便宜のために、搬送装置300の移動方向に相当する方向を「X方向」とする。X方向は、水平面上の一方向である。また、X方向と直交する方向を「Y方向」とする。Y方向は、水平面上の一方向である。また、X方向およびY方向の両方に直交する方向を「Z方向」とする。「Z方向」は、鉛直方向(重力方向)である。
【0022】
工具セットアップ装置200は、操作端末200Aを含む。操作端末200Aは、工具搬送システム10に対する各種の操作を受け付ける。作業者は、工具セットアップ装置200において搬入対象の工具をセットする。その後、作業者が操作端末200Aに対して搬入開始操作を行うことで、搬入対象の工具は、搬送装置300によって工具収納部250に搬入される。
【0023】
工具収納部250は、搬送装置300による工具の搬送先の1つである。工具収納部250には、複数の工具が収納され得る。典型的には、工具収納部250は、レール331と平行に設けられる。
【0024】
搬送装置300は、工具収納部250に収納されている工具の内の指定された工具を、複数の工作機械400A~400Eの内の指定された工作機械に搬送する。一例として、搬送装置300は、アームロボット330と、レール331と、台車332とを含む。アームロボット330は、台車332の上に固定されている。台車332は、レール331上を移動可能に構成される。工具収納部250および工作機械400は、レール331を挟むように、かつ、レール331に沿って平行に配置される。搬送装置300は、工具セットアップ装置200と工具収納部250との間で工具を搬送するように構成されるとともに、工具収納部250と工作機械400との間で工具を搬送するように構成される。
【0025】
工作機械400は、搬送装置300による工具の搬送先の1つである。図1には、工作機械400として、6台の工作機械400A~400Fが示されているが、工具搬送システム10に備えられる工作機械400の数は、1台以上であればよい。工作機械400は、予め設計された加工プログラムに従って、指定された工具を用いてワークを加工する。
【0026】
なお、工具搬送システム10は、パレット搬送システム(図示しない)をさらに備えても良い。パレット搬送システムは、予め定められた加工スケジュールに従って、ワークを載せたパレットを工作機械400に搬送するためのシステムである。
【0027】
<B.工具搬送システム10の駆動機構>
次に、図2を参照して、工具搬送システム10における各種の駆動機構について説明する。図2は、工具搬送システム10の駆動機構の構成例を示す図である。
【0028】
図2に示されるように、工具搬送システム10は、制御部50と、リモートI/O(Input/Output)ユニット71~73と、工具セットアップ装置200と、搬送装置300と、工作機械400とを含む。
【0029】
本明細書でいう「制御部50」とは、工具搬送システム10を制御する装置を意味する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。図2の例では、制御部50は、管理装置100と、PLC150と、上述の操作端末200Aとで構成されている。
【0030】
管理装置100は、工具搬送システム10を管理するメインコンピュータである。管理装置100は、1つのコンピュータで構成されてもよいし、複数のコンピュータで構成されてもよい。一例として、管理装置100は、工具搬送を担うコンピュータと、パレット搬送を担うコンピュータとで構成される。
【0031】
PLC150は、加工工程を自動化するための種々の産業用機器を制御する。操作端末200Aは、工具の搬出入に関する各種の操作を受け付けるための端末である。
【0032】
管理装置100、PLC150、および操作端末200Aは、ネットワークNW1に接続される。管理装置100、PLC150、および操作端末200Aは、有線で通信接続されてもよいし、無線で通信接続されてもよい。ネットワークNW1には、EtherNET(登録商標)などが採用される。管理装置100および操作端末200Aは、ネットワークNW1を介して、PLC150に制御指令を送る。当該制御指令によって、搬送対象の工具、当該工具の搬送先、当該工具の搬送開始/停止などが指定される。
【0033】
リモートI/Oユニット71~73およびPLC150は、ネットワークNW2に接続されている。ネットワークNW2には、データの到達時間が保証される、定周期通信を行うフィールドネットワークを採用することが好ましい。このような定周期通信を行うフィールドネットワークとして、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、CC-Link(登録商標)、またはCompoNet(登録商標)などが採用される。
【0034】
工具セットアップ装置200は、1つ以上のモータドライバ234と、1つ以上のモータ235とを含む。図2の例では、2つのモータドライバ234A,234Bと、2つのモータ235A,235Bとが示されている。
【0035】
工具セットアップ装置200内または工具セットアップ装置200周辺には、リモートI/Oユニット71が設置される。リモートI/Oユニット71は、工具セットアップ装置200内の各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ234)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。一例として、モータドライバ234は、リモートI/Oユニット71を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従ってモータ235の駆動を制御する。
【0036】
モータ235Aは、たとえば、後述のマガジンM1(図14参照)の駆動を制御する。モータ235Bは、たとえば、工具セットアップ装置200内のATC(Automatic Train Control)の駆動を制御する。
【0037】
モータドライバ234は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ235は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0038】
搬送装置300は、1つ以上のモータドライバ334と、1つ以上のモータ335とを含む。図2の例では、2つのモータドライバ334A,334Bと、2つのモータ335A,335Bとが示されている。
【0039】
搬送装置300内または搬送装置300周辺には、リモートI/Oユニット72が設置される。リモートI/Oユニット72は、搬送装置300内の各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ334)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。一例として、モータドライバ334は、リモートI/Oユニット72を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従ってモータ335の駆動を制御する。
【0040】
モータ335Aは、たとえば、上述の台車332(図1参照)の駆動を制御する。モータ335Bは、たとえば、アームロボット330(図1参照)の駆動を制御する。モータ335Bは、アームロボット330の関節の数に応じて設けられる。
【0041】
モータドライバ334は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ335は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0042】
工作機械400は、CNC(Computer Numerical Control)401と、1つ以上のモータドライバ411と、1つ以上のモータ412とを含む。図2の例では、2つのモータドライバ411A,411Bと、2つのモータ412A,412Bとが示されている。
【0043】
工作機械400内または工作機械400周辺には、リモートI/Oユニット72が設置される。リモートI/Oユニット72は、工作機械400内の各種駆動ユニット(たとえば、CNC401)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。モータドライバ411は、モータドライバ334と同様に、リモートI/Oユニット72を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従って、モータ412の駆動を制御する。
【0044】
モータ412Aは、たとえば、工具を装着可能に構成される主軸を当該主軸の軸方向に駆動する。モータ412Bは、たとえば、主軸の軸方向を中心とした回転方向に主軸を回転駆動する。
【0045】
モータドライバ411は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ412は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0046】
<C.概要>
作業者は、加工時に工作機械400で使用される工具(以下、「使用予定工具」ともいう。)を工具搬送システム10に予め搬入しておく必要がある。しかしながら、使用予定工具が工具搬送システム10に保有されていないことが加工開始直前に作業者に知らされたとしても、作業者は、使用予定工具を直ぐには準備できない。そこで、工具搬送システム10は、使用予定の未保有工具を作業者に予め知らせる。これにより、作業者は、余裕を持って使用予定工具を準備することができ、加工開始前までに使用予定工具を工作機械400に搬入することができる。
【0047】
図3を参照して、未保有工具の抽出方法の概略について説明する。図3は、使用予定の未保有工具の抽出過程を概略的に示す図である。
【0048】
まず、工具搬送システム10の制御部50は、使用予定工具情報127を取得する。使用予定工具情報127には、現在から所定時間以内に全ての工作機械400で使用される各工具の識別情報が規定される。当該識別情報は、工具を一意に識別するための情報である。一例として、当該識別情報は、工具名であってもよい、工具ID(Identification)であってもよいし、工具の画像であってもよい。使用予定工具は、たとえば、工作機械400におけるワークの加工スケジュールに基づいて特定される。使用予定工具の特定方法の詳細については後述する。
【0049】
次に、工具搬送システム10の制御部50は、保有工具情報128を取得する。保有工具情報128には、工具搬送システム10に保有されている各工具の識別情報が規定される。なお、折損または摩耗などの理由により使用不能となっている工具の識別情報は、保有工具情報128に規定されなくてもよい。
【0050】
次に、制御部50は、使用予定工具情報127に規定される使用予定工具の内で、保有工具情報128に規定されていない未保有工具を特定する。図3の例では、使用予定工具情報127には工具「A」~「E」が規定されており、保有工具情報128には工具「A」,「C」,「F」,「G」,「H」が規定されている。この場合、制御部50は、使用予定工具情報127に規定される使用予定工具の内で、保有工具情報128に規定されていない工具「B」,「D」,「E」を未保有工具として特定する。特定された未保有工具の識別情報は、たとえば、未保有工具情報129に書き込まれる。
【0051】
その後、制御部50は、未保有工具情報129に規定される各工具の識別情報を工具搬送システム10のディスプレイ(表示部)に表示する。一例として、当該ディスプレイは、操作端末200A(図1参照)のディスプレイである。
【0052】
以上により、工具搬送システム10は、使用予定の未保有工具を加工開始前に作業者に知らせることができる。これにより、作業者は、使用予定の未保有工具を余裕を持って準備することができる。
【0053】
<D.工具搬送システム10の機能構成>
次に、図4図10を参照して、未保有工具の報知機能を実現するための機能構成について説明する。図4は、工具搬送システム10の機能構成の一例を示す図である。
【0054】
図4に示されるように、工具搬送システム10は、機能構成として、スケジュール生成部52と、使用工具特定部54と、保有工具取得部56と、未保有工具特定部58と、工具設定部60と、出力部62とを含む。以下では、これらの構成について順に説明する。
【0055】
なお、各機能構成の配置は、任意である。一例として、図4に示される機能構成の全ては、上述の管理装置100(図2参照)に実装されてもよいし、上述のPLC150(図2参照)に実装されてもよいし、上述の操作端末200A(図2参照)に実装されてもよい。あるいは、図4に示される機能構成の一部が管理装置100に実装され、残りの機能構成の一部がPLC150に実装され、残りの機能構成が操作端末200Aに実装されてもよい。あるいは、図4に示される機能構成の一部は、サーバーなどの外部装置に実装されてもよいし、専用のハードウェアに実装されてもよい。
【0056】
(D1.スケジュール生成部52)
まず、図5図7を参照して、図4に示されるスケジュール生成部52の機能について説明する。
【0057】
スケジュール生成部52は、図5に示される加工設定123と、図6に示されるワークデータベース124とに基づいて、図7に示される加工スケジュール126を生成する。
【0058】
図5は、加工設定123のデータ構造の一例を示す図である。作業者は、加工設定123を登録することにより加工対象のワークを予め登録しておく。加工設定123は、たとえば、上述の管理装置100または上述の操作端末200Aなどにおいて作業者によって登録される。作業者によって登録される内容は、たとえば、加工対象のワークの識別情報、加工対象のワークの個数、およびワークの加工順などを含む。
【0059】
図5の例では、加工時間が15分である10個のワーク「A」の加工タスクと、加工時間が35分である8個のワーク「D」の加工タスクと、加工時間が25分である5個のワーク「C」の加工タスクと、加工時間が35分である4個のワーク「B」の加工タスクとが加工設定123として加工順に登録されている。
【0060】
図6は、ワークデータベース124のデータ構造の一例を示す図である。一例として、ワークデータベース124には、ワークの加工を実現するための加工プログラムと、ワークの加工時に使用される工具と、ワークの加工に要する加工時間と、ワークの加工に関するその他の情報とが、ワークの識別情報別に規定されている。
【0061】
ワークデータベース124に規定される加工プログラムは、たとえば、上述の管理装置100、上述の操作端末200A、または上述の工作機械400などにおいて作業者によって登録される。当該加工プログラムの生成方法は、任意である。一例として、工作機械400の中には、オペレータが対話形式での質問に応えることにより自動で加工プログラムを生成する機能を有するものがある。加工プログラムは、たとえば、当該機能により生成される。あるいは、加工プログラムは、作業者がプログラムコードを記述することにより設計されてもよい。
【0062】
ワークデータベース124に規定される使用予定工具は、たとえば、ユーザによって予め設定される。あるいは、当該使用予定工具は、加工プログラムから特定されてもよい。より具体的には、加工プログラムには、使用予定の工具を呼び出すための命令コードが規定されている。当該命令コードは、たとえば、主軸に装着する工具を指定するためのTコードである。スケジュール生成部52は、各加工プログラムから当該Tコードを探索することにより、各ワークの加工で使用される工具の識別情報を特定する。
【0063】
ワークデータベース124に規定される加工時間は、たとえば、作業者によって予め入力される。あるいは、当該加工時間は、各ワークの過去の加工実績から算出されてもよい。
【0064】
スケジュール生成部52は、ワークデータベース124を参照して、加工設定123に規定される各ワークについて加工時間を特定する。次に、スケジュール生成部52は、当該特定した加工時間と、加工設定123に規定される各ワークの個数と、加工設定123に規定される各ワークの加工順序とに基づいて、加工スケジュール126を生成する。
【0065】
図7は、一例としての加工スケジュール126を示す図である。加工スケジュール126には、工作機械400の各々におけるワークの加工タスクが規定される。
【0066】
図7の例では、工作機械400A~400Dのそれぞれには、2個のワーク「A」の加工タスクと、1個のワーク「D」の加工タスクと、1個のワーク「C」の加工タスクと、1個のワーク「B」の加工タスクとが割り当てられている。工作機械400E,400Fのそれぞれには、1個のワーク「A」の加工タスクと、2個のワーク「D」の加工タスクと、2個のワーク「C」の加工タスクとが割り当てられる。
【0067】
なお、ワークの加工タスクは、必ずしもワークの加工順に応じて割り当てられる必要は無い。一例として、同種類のワークが同一の工作機械400に割り当てられるようにワークの加工タスクが割り当てられてもよい。
【0068】
(D2.使用工具特定部54)
次に、図8を参照して、図4に示される使用工具特定部54の機能について説明する。図8は、使用予定工具の特定過程を概略的に示す図である。
【0069】
使用工具特定部54は、工作機械400A~400Fでのワークの加工スケジュール126に基づいて、工作機械400A~400Fでの使用予定工具を特定する。
【0070】
より具体的には、まず、使用工具特定部54は、加工スケジュール126において、現在から所定時間ΔT後までの情報を抽出する。時間ΔTの長さは、ユーザによって任意に設定され得る。時間ΔTの長さは、たとえば、数分または数時間に設定される。
【0071】
次に、使用工具特定部54は、上述のワークデータベース124を参照して、加工スケジュール126に規定される各ワークの加工時に使用される予定の工具を特定し、当該使用予定工具の識別情報を使用予定工具情報127として出力する。
【0072】
(D3.保有工具取得部56)
次に、上述の図3を参照して、図4に示される保有工具取得部56の機能について説明する。
【0073】
保有工具取得部56は、保有工具情報128を取得する。保有工具情報128には、工具搬送システム10に保有されている各工具の識別情報が規定されている。一例として、保有工具情報128は、工具セットアップ装置200が保有している工具の識別情報と、工具収納部250に収納されている工具の識別情報と、搬送装置300が保有している工具の識別情報と、全ての工作機械400が保有している工具の識別情報とを含む。
【0074】
保有工具情報128は、たとえば、管理装置100(図2参照)によって管理されている。管理装置100は、工具セットアップ装置200に工具がセットされたことに基づいて、当該工具の識別情報を保有工具情報128に書き込む。また、管理装置100は、工具セットアップ装置200から工具が取り出されたことに基づいて、当該工具の識別情報を保有工具情報128から削除する。
【0075】
(D4.未保有工具特定部58)
次に、上述の図3を参照して、図4に示される未保有工具特定部58の機能について説明する。
【0076】
未保有工具特定部58は、上述の使用予定工具情報127と、上述の保有工具情報128とに基づいて、工作機械400A~400Eで使用される予定のある未保有工具を特定する。典型的には、未保有工具特定部58は、使用予定工具情報127に規定される使用予定工具の内で、保有工具情報128に規定されていない工具を使用予定の未保有工具として特定する。
【0077】
(D5.工具設定部60)
次に、図9を参照して、図4に示される工具設定部60の機能について説明する。
【0078】
工具設定部60は、工具設定に関する入力を受け付ける。工具設定は、たとえば、作業者または管理者によって入力される。各作業者によって入力される内容は、たとえば、工具の属性情報を含む。当該属性情報とは、工具形状または工具状態などの工具の特徴を示す情報である。一例として、当該属性情報は、工具径、工具長、および工具寿命などを含む。工具径は、主軸の軸方向と直交する方向における工具の直径を示す。工具長は、主軸の軸方向における工具の長さを示す。工具寿命は、工具の交換すべきタイミングを示す指標である。工具寿命は、たとえば、使用可能時間または使用可能回数で示される。
【0079】
属性情報は、たとえば、キーボードやマウスなどの入力デバイスを用いて入力される。当該入力デバイスは、たとえば、管理装置100の後述の入力デバイス108(図18参照)、操作端末200Aの後述の入力デバイス208(図20参照)、またはその他の装置の入力デバイスである。工具設定部60は、工具の属性情報の入力を受け付けたことに基づいて、工具データベース130において、当該工具の識別情報に当該属性情報を関連付ける。
【0080】
図9は、工具データベース130のデータ構造の一例を示す図である。工具データベース130には、複数の工具の識別情報を含む。図9に示されるように、属性情報が登録された工具については属性情報が関連付けられており、属性情報が登録されていない工具については属性情報が関連付けられていない。
【0081】
(D6.出力部62)
次に、図4に示される出力部62の機能について説明する。
【0082】
出力部62は、未保有工具特定部58によって特定された使用予定の未保有工具を所定の出力先に出力する。出力部62による当該未保有工具の出力先は任意である。
【0083】
ある局面において、当該出力先は、工具搬送システム10内の表示部である。当該表示部は、たとえば、操作端末200A(図1参照)のディスプレイである。これにより、使用予定の未保有工具が当該ディスプレイに表示され、作業者は、当該未保有工具を把握することができる。
【0084】
他の局面において、当該出力先は、工具搬送システム10内に設けられるスピーカー(図示しない)である。これにより、使用予定の未保有工具が音声で出力され、作業者は、当該未保有工具を把握することができる。
【0085】
他の局面において、当該出力先は、工具搬送システム10と通信可能な通信端末(図示しない)である。当該通信端末は、デスクトップ型のPC(Personal Computer)であってもよいし、ノート型のPCであってもよいし、スマートフォンおよびタブレット端末などの携帯型のデバイスであってもよい。これにより、使用予定の未保有工具が通信端末に送信され、通信端末のユーザは、当該未保有工具を把握することができる。
【0086】
図10は、出力部62による出力態様の一例を示す図である。図10には、出力部62による出力態様の一例として出力画面80が示されている。
【0087】
出力画面80は、たとえば、工具搬送システム10内の表示部、または、工具搬送システム10と通信可能な通信端末の表示部に表示される。
【0088】
出力画面80は、使用予定の未保有工具の識別情報を少なくとも含む。一例として、出力画面80は、加工スケジュール90と、工具情報91とを含む。
【0089】
加工スケジュール90は、上述の加工スケジュール126(図7参照)の一部または全部の情報を含む。一例として、加工スケジュール90は、加工タスクの実行順を示すシーケンス番号90Aと、加工日を示す日付情報90Bと、加工開始時刻を示す加工開始情報90Cと、加工を行う工作機械の識別情報90Dと、加工に用いる工具群を示す工具グループ90Eと、加工に要する時間を示す加工時間情報90Fとを含む。
【0090】
工具情報91は、上述の工具データベース130(図9参照)の一部または全部の情報を含む。一例として、工具情報91は、たとえば、工具が必要となるまでの残り時間を示す残り時間情報91Aと、工具の格納場所を示す格納場所情報91Bと、工具の識別情報91Cと、工具を準備する際の参考情報91Dと、工具の寿命が尽きるまでの時間を示す寿命情報91Eと、工具の搬送状態を示す91Fとを含む。
【0091】
作業者は、格納場所情報91Bを確認することで、使用予定の工具がどこにあるのかを把握することができる。格納場所情報91Bは、たとえば、格納場所が工具セットアップ装置200であることを示す情報(たとえば、TSS)と、格納場所が工具収納部250であることを示す情報(たとえば、CTS_01)と、格納場所が搬送装置300であることを示す情報(たとえば、Robot)と、未保有であることを示す情報(たとえば、FloorまたはShort)とを含む。
【0092】
使用予定の未保有工具は、他の工具よりも強調して表示される。強調表示の方法は任意である。一例として、強調表示は、使用予定の未保有工具が特定の文字色(たとえば、赤色)で表示されることにより実現される。あるいは、強調表示は、使用予定の未保有工具が特定の背景色(たとえば、赤色)で表示されることにより実現される。あるいは、強調表示は、使用予定の未保有工具にハッチングが付されることにより実現される。あるいは、強調表示は、使用予定の未保有工具の表示サイズが他の工具の表示サイズよりも大きく表示されることにより実現される。図10の例では、未保有工具がハッチングにより強調されている。
【0093】
なお、使用予定の未保有工具の報知方法は、図10の例に限定されず、作業者が使用予定の未保有工具を把握できる任意の方法で代替し得る。一例として、使用予定の未保有工具の識別情報のみが表示されてもよい。
【0094】
また、出力部62は、未保有工具の属性情報が上述の工具データベース130(図9参照)に登録されているか否かを示す情報を出力画面80に表示する。当該情報は、たとえば、出力画面80の格納場所情報91Bの欄に表示される。一例として、工具の属性情報が工具データベース130に登録されている未保有工具は、「Floor」として示される。一方で、工具の属性情報が工具データベース130に登録されていない未保有工具は、「Short」として示される。
【0095】
工具の属性情報は、加工時において加工プログラムによって参照されるため、加工開始前に登録されている必要がある。工具の属性情報は、たとえば、工具測定具などを用いて登録される。このような測定作業は、工具の測定室にいる作業者によって行われる。当該測定作業には時間がかかる。そのため、工具の属性情報が登録されているか否かに応じて、作業者が工具を準備するまでの時間が変わる。作業者は、「Floor」または「Short」を確認することで、より効率的に工具を準備することができる。
【0096】
好ましくは、出力部62は、工具データベース130において属性情報が登録されていない使用予定の未保有工具の識別情報を通信端末に送信する。すなわち、出力部62は、少なくとも、「Short」として示される未保有工具の識別情報を通信端末する。このとき、「Floor」として示される未保有工具の識別情報は、当該通信端末に送信されてもよいし、当該通信端末に送信されなくてもよい。
【0097】
典型的には、送信先の通信端末は、予め登録されている。好ましくは、当該送信先の通信端末は、工具の測定室にあるPCと、工具の測定作業を行う作業者が保有する携帯端末との少なくとも一方を含む。これにより、当該作業者は、測定作業および登録作業をすべき未保有工具を容易に把握することができる。
【0098】
また、出力部62は、使用予定の未保有工具について、現在から工具搬送システム10で必要となるまでの残り時間を算出し、当該残り時間を出力画面80に表示する。当該残り時間は、たとえば、出力画面80の残り時間情報91Aの欄に表示される。当該残り時間は、作業者が工具を準備するまでの猶予時間に相当する。以下、当該残り時間を「猶予時間」ともいう。
【0099】
一例として、当該猶予時間は、上述の加工スケジュール126(図8参照)に基づいて算出される。上述のように、加工スケジュール126には、各ワークの加工開始時刻と加工終了時刻とが工作機械400ごとに規定されている。また、上述のように、各ワークの加工に必要な工具は、上述のワークデータベース124(図8参照)に規定されている。そのため、出力部62は、ワークデータベース124と加工スケジュール126とを参照することで、各工具が必要となる時刻を特定することができる。出力部62は、当該特定した時刻までの現時刻からの時間を猶予時間として算出し、当該猶予時間を残り時間情報91Aに表示する。作業者は、残り時間情報91Aに示される猶予時間を確認することで、使用予定の未保有工具をいつまでに準備すればいいのかを容易に把握することができる。
【0100】
好ましくは、出力部62は、使用予定の未保有工具の内で、残り時間情報91Aに示される残り時間が最短である未保有工具の識別情報を他の未保有工具の識別情報よりも強調して出力画面80に表示する。
【0101】
当該強調表示の方法は任意である。一例として、当該強調表示は、残り時間が最短である未保有工具の識別情報が特定の文字色(たとえば、赤色)で表示されることにより実現される。あるいは、当該強調表示は、残り時間が最短である未保有工具の識別情報が特定の背景色(たとえば、赤色)で表示されることにより実現される。あるいは、当該強調表示は、残り時間が最短である未保有工具の識別情報にハッチングが付されることにより実現される。あるいは、当該強調表示は、残り時間が最短である未保有工具の表示サイズが他の工具の識別情報の表示サイズよりも大きく表示されることにより実現される。これにより、作業者は、優先的に準備すべき未保有工具を特定しやすくなる。
【0102】
<E.変形例>
次に、図11図13を参照して、変形例に従う工具搬送システム10について説明する。
【0103】
上述の工具搬送システム10は、使用予定の未保有工具を特定し、当該未保有工具の識別情報を出力していた。これに対して、変形例に従う工具搬送システム10は、当該未保有工具の本数を特定し、当該未保有工具の本数をさらに出力する。これにより、作業者は、何本の工具を準備すべきかを容易に把握することができる。
【0104】
図11を参照して、変形例に従う使用工具特定部54Aの機能について説明する。図11は、使用工具特定部54Aによる使用予定工具の特定過程を概略的に示す図である。
【0105】
使用工具特定部54Aは、上述の加工スケジュール126に基づいて、工作機械400A~400Fでの使用予定工具と、使用予定工具の本数とを工具種別に特定する。
【0106】
より具体的には、まず、使用工具特定部54Aは、加工スケジュール126において、現在から所定時間ΔT後までの情報を抽出する。時間ΔTの長さは、ユーザによって任意に設定され得る。時間ΔTの長さは、たとえば、数分または数時間に設定される。
【0107】
次に、使用工具特定部54Aは、上述のワークデータベース124を参照して、加工スケジュール126に規定される各ワークについて加工時に使用される使用予定工具を特定する。
【0108】
次に、使用工具特定部54Aは、同時に使用される工具の最大本数を工具ごとに特定し、当該特定した情報を使用予定工具情報127Aとして取得する。
【0109】
図11に示される使用予定工具情報127Aの例では、工具「A」については同時に最大6本使用されることが示されている。工具「B」については同時に最大4本使用されることが示されている。工具「C」については同時に最大6本使用されることが示されている。工具「D」については同時に最大6本使用されることが示されている。工具「E」については同時に最大4本使用されることが示されている。
【0110】
このように、図11に示される使用予定工具情報127Aには、現在から所定時間以内に工作機械400で使用される各工具の識別情報だけでなく、各工具の同時使用本数が規定される点で、図3に示される使用予定工具情報127とは異なる。
【0111】
次に、図12を参照して、変形例に従う保有工具情報128Aについて説明する。図12は、変形例に従う保有工具情報128Aを示す図である。
【0112】
図12に示される保有工具情報128Aには、工具搬送システム10が保有している各工具の識別情報だけでなく、各工具の本数が規定される点で、図3に示される保有工具情報128とは異なる。
【0113】
次に、図13を参照して、変形例に従う未保有工具特定部58Aの機能について説明する。図13は、未保有工具特定部58Aによる未保有工具の特定過程を概略的に示す図である。
【0114】
未保有工具特定部58Aは、使用予定工具情報127Aと、保有工具情報128Aとに基づいて、使用予定の未保有工具の本数を工具の種別に特定する。より具体的には、未保有工具特定部58Aは、使用予定工具情報127Aに規定される各工具の本数から、保有工具情報128Aに規定される同種の工具の本数を差分し、当該差分結果を未保有工具情報129Aとして出力する。差分結果が0よりも小さい工具は、工具搬送システム10に余分に保有されているため、未保有工具特定部58Aは、当該差分結果を0とする。
【0115】
出力部62は、使用予定の未保有工具の識別情報とともに、当該未保有工具の本数を他のデバイスに出力する。出力部62による当該未保有工具の出力先は任意である。これにより、作業者は、準備すべき未保有工具の本数を把握することができる。
【0116】
<F.工具収納部250への工具搬入工程>
次に、図14および図15を参照して、工具の搬入工程について説明する。図14は、工具セットアップ装置200から工具収納部250への工具の搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【0117】
ステップS1において、作業者は、搬入対象の工具T1をマガジンM1にセットする。工具T1をセットする位置の付近には、バーコードまたはQRコード(登録商標)の読み取り装置(図示しない)が設けられており、当該読み取り装置は、工具T1に付されているバーコードまたはQRコードを読み取る。これにより、搬入対象の工具T1の識別情報が読み取られる。作業者は、工具T1のセットが完了すると、操作端末200Aに対して完了操作を行う。
【0118】
次に、ステップS2において、制御部50は、モータ235A(図2参照)を制御し、工具セットアップ装置200内のマガジンM1を駆動する。これにより、制御部50は、搬入対象の工具T1を所定の工具交換位置に移動する。当該工具交換位置の近傍には、ATC(Automatic Train Control)238が設けられている。ATC238は、当該工具交換位置にある工具T1をマガジンM1から取り外し、半回転する。
【0119】
次に、ステップS3において、アームロボット330は、ATC238から工具T1を取り外し、当該工具T1を台車332上の仮置き場336に置く。搬入対象の工具が他にある場合には、仮置き場336の収納最大数を超えない範囲で、ステップS1~S3の工程が繰り返される。
【0120】
次に、ステップS4において、制御部50は、モータ335Aを制御し、台車332を駆動する。これにより、制御部50は、指示された工具搬入位置に台車332を移動する。当該工具搬入位置は、たとえば、図15に示される収納情報174に基づいて決定される。
【0121】
図15は、収納情報174のデータ構造の一例を示す図である。収納情報174において、工具収納部250内における各収納場所と、当該収納場所の座標値と、当該収納場所に収納されている工具の識別情報と、当該収納場所における工具の収納状態と、当該収納場所に収納されている工具の残寿命とが対応付けられている。
【0122】
収納情報174に規定される収納場所は、IDなどの番号で示されてもよいし、収納場所名で示されてもよい。収納情報174に規定される収納場所の座標値は、2次元で規定されてもよいし、3次元で規定されてもよい。図15の例では、当該座標値は、レール331と平行な方向における座標値「x」と、鉛直方向における座標値「z」とで示されている。収納情報174に規定される工具の識別情報は、IDなどの工具番号で示されてもよいし、工具名で示されてもよい。収納情報174に規定される収納状態は、たとえば、収納場所が空であるか否か、または、当該収納場所に収納されている工具が正常であるか否かなどを示す。収納情報174に規定される工具の残寿命は、工具の使用可能な最大時間に対する現在の使用総時間で示されてもよいし、工具の使用可能な最大回数に対する現在の使用総回数で示されてもよい。
【0123】
制御部50は、収納情報174に規定される空の収納場所を参照して、工具T1の収納先を決定する。空の収納場所が複数ある場合には、制御部50は、複数の空の収納場所の中からランダムに選択された1つの収納場所を収納先として決定してもよいし、複数の空の収納場所の中から選択された搬送装置300により近い1つの収納場所を収納先として決定してもよい。
【0124】
再び図14を参照して、ステップS5において、アームロボット330は、搬入対象の工具T1を仮置き場336から取り外し、当該工具T1を決定した収納先に収納する。その後、制御部50は、工具T1の収納場所と、工具T1の識別情報とを収納情報174に書き込む。
【0125】
搬入対象の工具が他に仮置き場336に残っている場合には、制御部50は、仮置き場336上の工具が無くなるまでステップS4,S5の工程を繰り返す。
【0126】
<G.工作機械400への工具搬入工程>
次に、図16を参照して、図14に引き続く工具の搬入工程について説明する。図16は、工具収納部250から工作機械400への工具の搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【0127】
あるタイミングにおいて、制御部50は、工作機械400への工具T2の搬送指示を受け付けたとする。搬送対象の工具T2および搬送先の工作機械400は、たとえば、操作端末200Aに対して作業者によって指定される。制御部50は、工具T2の搬送指示を受け付けたことに基づいて、上述の収納情報174(図15参照)から工具T2の収納場所を特定する。その後、制御部50は、モータ335A(図2参照)を制御することで台車332を駆動し、工具T2の収納場所の前に台車332を移動する。
【0128】
次に、ステップS11において、アームロボット330は、搬送対象の工具T2を工具収納部250から取り出し、台車332上の仮置き場336に工具T2を置く。
【0129】
次に、ステップS12において、制御部50は、モータ335Aを制御することで、搬送先の工作機械400の位置に台車332を駆動する。
【0130】
次に、ステップS13において、アームロボット330は、搬送先の工作機械400に備えられるATC438に工具T2を渡す。その後、ATC438は、アームロボット330から受けた工具T2を工作機械400内のATC438に装着する。その後、ATC438は、工作機械400内のマガジンに工具T2をセットする。これにより、工具T2が工作機械400で使用可能な状態になる。
【0131】
<H.工具セットアップ装置200への工具の搬出工程>
次に、図17を参照して、工具の搬出工程について説明する。図17は、工具収納部250から工具セットアップ装置200への工具の搬出工程の流れを概略的に示す図である。
【0132】
あるタイミングにおいて、制御部50は、工具セットアップ装置200への工具T3の搬出指示を受け付けたとする。このことに基づいて、制御部50は、上述の収納情報174(図15参照)に基づいて、工具T3の収納先を特定する。その後、制御部50は、上述のモータ335A(図2参照)を制御することで台車332を駆動し、工具T3の収納場所の前に台車332を移動する。次に、アームロボット330は、工具収納部250から工具T3を取り出し、当該工具T3を台車332上の仮置き場336に置く。また、制御部50は、収納情報174から工具T3の識別情報を削除し、工具T3の収納元を空の状態に書き換える。
【0133】
次に、ステップS21において、制御部50は、上述のモータ335Aを制御することで台車332を駆動し、工具セットアップ装置200の前に台車332を移動する。
【0134】
次に、ステップS22において、アームロボット330は、搬出対象の工具T3を仮置き場336から取り外し、工具セットアップ装置200に備えられる上述のATC238(図14参照)に工具T3を装着する。その後、ATC238は、工具セットアップ装置200のマガジンM1に工具T3を装着する。
【0135】
次に、ステップS23において、制御部50は、上述のモータ235Aを制御することでマガジンM1を駆動し、搬出対象の工具T3を出口に移動する。その後、作業者は、当該出口から搬出対象の工具T3を取り出す。
【0136】
<I.管理装置100のハードウェア構成>
次に、図18を参照して、図2に示される管理装置100のハードウェア構成について説明する。図18は、管理装置100のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0137】
管理装置100は、制御回路101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、表示インターフェイス105と、入力インターフェイス107と、記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、バス110に接続される。
【0138】
制御回路101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0139】
制御回路101は、制御プログラム122やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで管理装置100の動作を制御する。制御回路101は、制御プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120またはROM102からRAM103に制御プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0140】
通信インターフェイス104には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。管理装置100は、通信インターフェイス104を介してネットワークNW1に接続される。これにより、管理装置100は、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、PLC150やサーバー(図示しない)などを含む。
【0141】
表示インターフェイス105には、ディスプレイ106が接続される。表示インターフェイス105は、制御回路101などからの指令に従って、ディスプレイ106に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ106は、たとえば、工具の搬入指示を受け付けるための操作画面や、搬送対象の工具を指定するための選択画面などを表示する。ディスプレイ106は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。なお、ディスプレイ106は、管理装置100と一体的に構成されてもよいし、管理装置100とは別に構成されてもよい。
【0142】
入力インターフェイス107には、入力デバイス108が接続される。入力デバイス108は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス108は、管理装置100と一体的に構成されてもよいし、管理装置100とは別に構成されてもよい。
【0143】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置120は、制御プログラム122、上述のワークデータベース124、上述の加工スケジュール126、上述の保有工具情報128、上述の工具データベース130などを格納する。これらの格納場所は、記憶装置120に限定されず、制御回路101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM102、RAM103、他の装置(たとえば、サーバー、PLC150、または操作端末200A)などに格納されていてもよい。
【0144】
制御プログラム122は、上記図4に示される機能構成の一部または全部を実現するためのプログラムである。制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、制御プログラム122による搬送制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で管理装置100が構成されてもよい。
【0145】
<J.PLC150のハードウェア構成>
図19を参照して、図2に示されるPLC150のハードウェア構成の一例について説明する。図19は、PLC150の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【0146】
PLC150は、制御回路151と、ROM(Read Only Memory)152と、RAM(Random Access Memory)153と、通信インターフェイス154,155と、記憶装置170とを含む。これらのコンポーネントは、バス160に接続される。
【0147】
制御回路151は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGAまたはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0148】
制御回路151は、制御プログラム172など各種プログラムを実行することで搬送装置300や工作機械400の動作を制御する。制御回路151は、制御プログラム172の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置170からROM152に制御プログラム172を読み出す。RAM153は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム172の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0149】
通信インターフェイス154には、LANやアンテナなどが接続される。PLC150は、通信インターフェイス154を介してネットワークNW1に接続される。これにより、PLC150は、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、管理装置100やサーバー(図示しない)などを含む。
【0150】
通信インターフェイス155は、フィールドネットワークであるネットワークNW2に接続するためのインターフェイスである。PLC150は、通信インターフェイス155を介してネットワークNW2に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、上述のリモートI/Oユニット71~73などを含む。
【0151】
記憶装置170は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置170は、制御プログラム172および上述の収納情報174(図15参照)などを格納する。これらの格納場所は、記憶装置170に限定されず、制御回路151の記憶領域(たとえば、キャッシュ領域など)、ROM152、RAM153、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0152】
制御プログラム172は、上記図4に示される機能構成の一部または全部を実現するためのプログラムである。制御プログラム172は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム172の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム172によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム172の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でPLC150が構成されてもよい。
【0153】
<K.操作端末200Aのハードウェア構成>
図20を参照して、図1に示される操作端末200Aのハードウェア構成について説明する。図20は、操作端末200Aのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0154】
操作端末200Aは、制御回路201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、表示インターフェイス205と、入力インターフェイス207と、記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、バス210に接続される。
【0155】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0156】
制御回路201は、制御プログラム222やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで操作端末200Aの動作を制御する。制御回路201は、制御プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置220またはROM202からRAM203に制御プログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0157】
通信インターフェイス204には、LANやアンテナなどが接続される。操作端末200Aは、通信インターフェイス204を介してネットワークNW1に接続される。これにより、操作端末200Aは、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、PLC150やサーバー(図示しない)などを含む。
【0158】
表示インターフェイス205には、ディスプレイ206が接続される。表示インターフェイス205は、制御回路201などからの指令に従って、ディスプレイ206に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ206は、たとえば、工具の搬入指示を受け付けるための操作画面、搬送対象の工具を指定するための工具選択画面、または、搬送先の工作機械400を指定するための工作機械選択画面などを表示する。ディスプレイ206は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。なお、ディスプレイ206は、操作端末200Aと一体的に構成されてもよいし、操作端末200Aとは別に構成されてもよい。
【0159】
入力インターフェイス207には、入力デバイス208が接続される。入力デバイス208は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス208は、操作端末200Aと一体的に構成されてもよいし、操作端末200Aとは別に構成されてもよい。
【0160】
記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置220は、制御プログラム222などを格納する。制御プログラム222の格納場所は、記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM202、RAM203、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0161】
制御プログラム222は、上記図4に示される機能構成の一部または全部を実現するためのプログラムである。制御プログラム222は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、制御プログラム222による制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム222の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム222によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム222の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で操作端末200Aが構成されてもよい。
【0162】
<L.フローチャート>
次に、図21を参照して、使用予定の未保有工具の識別情報を出力する際の制御フローについて説明する。図21は、使用予定の未保有工具の識別情報を出力する処理を示すフローチャートである。
【0163】
図21に示される処理の一部または全部は、上述の制御プログラム122(図18参照)に規定される。あるいは、図21に示される処理の一部または全部は、上述の制御プログラム172(図19参照)に規定される。あるいは、図21に示される処理の一部または全部は、上述の制御プログラム222(図20参照)に規定される。あるいは、図21に示される処理の一部または全部は、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0164】
ステップS110において、制御部50は、上述のスケジュール生成部52(図4参照)として機能し、加工設定123とワークデータベース124とに基づいて、加工スケジュール126を生成する。スケジュール生成部52の機能については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
【0165】
ステップS112において、制御部50は、上述の使用工具特定部54(図4参照)として機能し、ワークデータベース124と加工スケジュール126とに基づいて、現在から所定時間後までの間に工具搬送システム10で使用される予定の工具を特定する。使用工具特定部54の機能については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
【0166】
ステップS114において、制御部50は、上述の保有工具取得部56(図4参照)として機能し、保有工具情報128を取得する。保有工具情報128には、工具搬送システム10が保有している各工具の識別情報が規定されている。保有工具取得部56の機能については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
【0167】
ステップS116において、制御部50は、上述の未保有工具特定部58(図4参照)として機能し、保有工具情報128に規定される工具の内で、ステップS112で特定した使用予定工具を除く工具を未保有工具として特定する。未保有工具特定部58の機能については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
【0168】
ステップS118において、制御部50は、上述の出力部62(図4参照)として機能し、ステップS116で特定された使用予定の未保有工具の識別情報を所定の出力先に出力する。出力部62の機能については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
【0169】
<M.まとめ>
以上のようにして、工具搬送システム10は、現在から所定時間後までの間に使用される予定の工具の内で、工具搬送システム10に保有されていない未保有工具を特定し、当該未保有工具の識別情報をディスプレイに表示する。これにより、作業者は、使用予定の未保有工具を加工開始前に知ることができ、当該未保有工具を余裕を持って準備することができる。
【0170】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0171】
10 工具搬送システム、50 制御部、52 スケジュール生成部、54,54A 使用工具特定部、56 保有工具取得部、58,58A 未保有工具特定部、60 工具設定部、62 出力部、71,72,73 リモートI/Oユニット、80 出力画面、90,126 加工スケジュール、90A シーケンス番号、90B 日付情報、90C 加工開始情報、90D 工作機械の識別情報、90E 工具グループ、90F 加工時間情報、91 工具情報、91A 残り時間情報、91B 格納場所情報、91C 工具の識別情報、91D 参考情報、91E 寿命情報、100 管理装置、101,151,201 制御回路、102,152,202 ROM、103,153,203 RAM、104,154,155,204 通信インターフェイス、105,205 表示インターフェイス、106,206 ディスプレイ、107,207 入力インターフェイス、108,208 入力デバイス、110,160,210 バス、120,170,220 記憶装置、122,172,222 制御プログラム、123 加工設定、124 ワークデータベース、127,127A 使用予定工具情報、128,128A 保有工具情報、129,129A 未保有工具情報、130 工具データベース、174 収納情報、200 工具セットアップ装置、200A 操作端末、234,234A,234B,334,334A,334B,411,411A,411B モータドライバ、235,235A,235B,335,335A,335B,412,412A,412B モータ、238,438 ATC、250 工具収納部、300 搬送装置、330 アームロボット、331 レール、332 台車、336 仮置き場、400,400A,400D,400E,400F 工作機械。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図21