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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】イヤホンコア及びイヤホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/24 20060101AFI20241001BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20241001BHJP
   H04R 9/00 20060101ALI20241001BHJP
   H04R 1/28 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
H04R1/24 A
H04R1/10 104Z
H04R9/00 C
H04R1/28 310Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022580509
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 CN2022106750
(87)【国際公開番号】W WO2024000689
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】202221689854.1
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】任 璋
(72)【発明者】
【氏名】▲鍾▼ 志威
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-276997(JP,A)
【文献】実開昭59-147396(JP,U)
【文献】登録実用新案第3178414(JP,U)
【文献】特開平11-298995(JP,A)
【文献】特開2005-295366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/24
H04R 1/10
H04R 9/00
H04R 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤホンコアであって、
フレームと、前記フレームに固定保持された振動システム及び磁気回路システムとを備え、
前記振動システムは、振動膜及びボイスコイルを備え、
前記磁気回路システムは、インナー磁気ギャップ及び前記インナー磁気ギャップを囲んで設置されたアウター磁気ギャップを備え、
前記振動膜は、第1振動膜及び前記第1振動膜を囲んで設置された第2振動膜を備え、
前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁はいずれも、前記磁気回路システムに固定され、
前記第2振動膜の外周縁は、前記フレームに固定され、
前記ボイスコイルは、前記インナー磁気ギャップに挿入され、かつ前記第1振動膜を振動させるように駆動する第1ボイスコイルと、前記アウター磁気ギャップに挿入され、かつ前記第2振動膜を振動させるように駆動する第2ボイスコイルとを備え、
前記イヤホンコアは、前記フレームに固定保持されたフロントカバーをさらに備え、
前記第1振動膜と前記フロントカバーとによって囲まれて第1チャンバが形成され、
前記第2振動膜と前記フロントカバーとによって囲まれて第2チャンバが形成され、
前記第1チャンバと前記第2チャンバは仕切られ、かつ前記フロントカバーには前記第1チャンバに連通する第1音孔及び前記第2チャンバに連通する第2音孔が貫設され
前記磁気回路システムは、前記フレームに固定保持された磁気ヨーク、前記磁気ヨーク内に設置されかつ前記磁気ヨークと間隔を隔てて前記アウター磁気ギャップを形成する永久磁石及びポールプレートを備え、前記永久磁石は、第1磁石及び前記第1磁石の前記振動膜から離れた側に設置された第2磁石を備え、前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁はいずれも前記第1磁石に固定され、前記第1磁石には第1スルーホールが貫設され、前記第2磁石には第2スルーホールが貫設され、前記ポールプレートは、前記第1スルーホール内に挿入されかつ前記第1磁石と間隔を隔てて前記インナー磁気ギャップを形成する壁部と、前記壁部に接続されかつ前記第1磁石と前記第2磁石との間に介設された板部とを備える、ことを特徴とするイヤホンコア。
【請求項2】
前記第1磁石には固定枠が固設され、前記第1振動膜の外周縁は前記固定枠の内壁に固定され、前記フロントカバーは囲壁を備え、前記囲壁は、前記固定枠の第1磁石から離れる一端に当接して前記第1チャンバと前記第2チャンバとを仕切る、ことを特徴とする請求項に記載のイヤホンコア。
【請求項3】
前記磁気ヨークは、底壁と、前記底壁の周縁から前記振動膜の方向に延在することで形成されかつ前記フレームに固定保持された側壁とを備え、前記第2磁石は、前記底壁に固設され、前記側壁は、前記永久磁石と間隔を隔てて前記アウター磁気ギャップを形成する、ことを特徴とする請求項に記載のイヤホンコア。
【請求項4】
前記イヤホンコアは、前記底壁を通って前記第1スルーホール及び前記第2スルーホール内に挿入された導電部材をさらに備え、前記導電部材は、前記第2ボイスコイルと電気的に接続され、かつ前記壁部は前記導電部材を取り囲んでいる、ことを特徴とする請求項に記載のイヤホンコア。
【請求項5】
前記導電部材は、本体部と、前記本体部に嵌設されかつ前記第2ボイスコイルと電気的に接続された導電性金属片とを備える、ことを特徴とする請求項に記載のイヤホンコア。
【請求項6】
イヤホンであって、
ハウジングと、前記ハウジングに冠着されて収容スペースを形成するイヤホンキャップと、請求項1~のいずれか一項に記載のイヤホンコアとを備え、
前記イヤホンコアは、前記収容スペース内に固設され、前記イヤホンキャップは、前記イヤホンコアのフロントカバーを覆い、かつ前記イヤホンキャップには前記第1音孔と前記第2音孔のそれぞれを外界と連通させる出音口が設けられている、ことを特徴とするイヤホン。
【請求項7】
前記イヤホンキャップと前記フロントカバーとの間には共振チャンバを備え、前記共振チャンバは、前記第1音孔と前記出音口とを連通させる、ことを特徴とする請求項に記載のイヤホン。
【請求項8】
前記共振チャンバは、前記フロントカバーから前記イヤホンキャップ側に向かって凹んで形成される、ことを特徴とする請求項に記載のイヤホン。
【請求項9】
前記出音口は、第1出音口及び第2出音口を備え、前記第1出音口は、前記共振チャンバを外界と連通させ、前記第2出音口は、前記第2音孔を外界と連通させる、ことを特徴とする請求項に記載のイヤホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換の技術分野に関し、特にイヤホンコア及びイヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動通信技術の急速な発展に伴い、消費者はますます多くの音声機能付きの移動体通信機器を使用するようになり、イヤホンも人々の日常活動や仕事において不可欠な通信機器の一つとなっており、小型で精巧な外観、装着のしやすさだけでなく、そして何より音質の良さと立体感が求められている。そのため、イヤホンの性能をさらに向上させ、内部構造をより合理的に設計することは、研究すべき課題となっている。
【0003】
関連技術のイヤホンは、ハウジングと、ハウジングに冠着されて収容スペースを形成するイヤホンキャップと、収容スペース内に固設されたイヤホンコアとを備え、イヤホンコアは、振動して発音するための振動膜を備え、一般的に、収容スペースは、振動膜によって、前音チャンバ及び後音チャンバに仕切られ、イヤホンキャップには前音チャンバと連通する出音口が設けられている。しかしながら、チャンバが2つのみある構造のイヤホンでは、その動作周波数帯域範囲が制限され、広い周波数帯域、高音質、複数の音響効果といった要求に応えることができない。
【0004】
したがって、上記の課題を解決するために、新たなイヤホンを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、周波数帯域を広げることができるイヤホンコア及びイヤホンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フレームと、前記フレームに固定保持された振動システム及び磁気回路システムとを備え、前記振動システムは振動膜及びボイスコイルを備え、前記磁気回路システムは、インナー磁気ギャップ及び前記インナー磁気ギャップを囲んで設置されたアウター磁気ギャップを備え、前記振動膜は、第1振動膜及び前記第1振動膜を囲んで設置された第2振動膜を備え、前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁は、いずれも前記磁気回路システムに固定され、前記第2振動膜の外周縁は、前記フレームに固定され、前記ボイスコイルは、前記インナー磁気ギャップに挿入されかつ前記第1振動膜を振動させるように駆動する第1ボイスコイルと、前記アウター磁気ギャップに挿入されかつ前記第2振動膜を振動させるように駆動する第2ボイスコイルとを備え、前記イヤホンコアは、前記フレームに固定保持されたフロントカバーをさらに備え、前記第1振動膜と前記フロントカバーとによって囲まれて第1チャンバが形成され、前記第2振動膜と前記フロントカバーとによって囲まれて第2チャンバが形成され、ここで、前記第1チャンバと前記第2チャンバは仕切られ、かつ前記フロントカバーには前記第1チャンバに連通する第1音孔及び前記第2チャンバに連通する第2音孔が貫設され、前記磁気回路システムは、前記フレームに固定保持された磁気ヨーク、前記磁気ヨーク内に設置されかつ前記磁気ヨークと間隔を隔てて前記アウター磁気ギャップを形成する永久磁石及びポールプレートを備え、前記永久磁石は、第1磁石及び前記第1磁石の前記振動膜から離れた側に設置された第2磁石を備え、前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁はいずれも前記第1磁石に固定され、前記第1磁石には第1スルーホールが貫設され、前記第2磁石には第2スルーホールが貫設され、前記ポールプレートは、前記第1スルーホール内に挿入されかつ前記第1磁石と間隔を隔てて前記インナー磁気ギャップを形成する壁部と、前記壁部に接続されかつ前記第1磁石と前記第2磁石との間に介設された板部とを備える。
【0008】
好ましくは、前記第1磁石には固定枠が固設され、前記第1振動膜の外周縁は、前記固定枠の内壁に固定され、前記フロントカバーが囲壁を備え、前記囲壁は、前記固定枠の第1磁石から離れる一端に当接して前記第1チャンバと前記第2チャンバとを仕切る。
【0009】
好ましくは、前記磁気ヨークは、底壁と、前記底壁の周縁から前記振動膜の方向に延在することによって形成され、前記フレームに固定保持された側壁を備え、前記第2磁石は、前記底壁に固設され、前記側壁は、前記永久磁石と間隔を隔てて前記アウター磁気ギャップを形成する。
【0010】
好ましくは、前記イヤホンコアは、前記底壁を通って前記第1スルーホール及び前記第2スルーホールに挿入された導電部材をさらに備え、前記導電部材は、前記第2ボイスコイルと電気的に接続され、かつ前記壁部は前記導電部材を取り囲んでいる。
【0011】
好ましくは、前記導電部材は、本体部と、前記本体部に嵌設されかつ前記第2ボイスコイルと電気的に接続された導電性金属片とを備える。
【0012】
本発明によるイヤホンは、ハウジング、前記ハウジングに冠着されて収容スペースを形成するイヤホンキャップ、及び上記のいずれか一項に記載のイヤホンコアを備え、前記イヤホンコアは、前記収容スペース内に固設され、前記イヤホンキャップは、前記イヤホンコアのフロントカバーを覆い、かつ前記イヤホンキャップには前記第1音孔と前記第2音孔のそれぞれを外界と連通させる出音口が設けられている。
【0013】
好ましくは、前記イヤホンキャップと前記フロントカバーとの間には共振チャンバを備え、前記共振チャンバは、前記第1音孔と前記出音口とを連通する。
【0014】
好ましくは、前記共振チャンバは、前記フロントカバーのイヤホンキャップに向かう側に凹んで形成される
【0015】
好ましくは、前記出音口は、第1出音口及び第2出音口を備え、前記第1出音口は、前記共振チャンバを外界と連通させ、前記第2出音口は、前記第2音孔を外界と連通させる。
【発明の効果】
【0016】
関連技術に比べて、本発明によるイヤホンコア及びイヤホンは、イヤホンコアを2つの発音振動膜と2つの発音チャンバを組み合わせる発音構造にすることにより、イヤホンの周波数帯域範囲を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の提供するイヤホンの分解図である。
図2図1に示すイヤホンにおけるイヤホンコア部分の構造の分解図である。
図3図1に示すイヤホンの組み立て後の構成を示す模式図である。
図4図3に示すイヤホンのA-A方向に沿った断面図である。
図5図3に示すイヤホンのB-B方向に沿った断面図である。
図6図5に示すイヤホンにおける一部の構造の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確で、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0019】
図1図6に示すように、イヤホンは、ハウジング1、ハウジング1に冠着されて収容スペースAを形成するイヤホンキャップ2及びイヤホンコア3を備え、イヤホンキャップ2には出音口21が設けられ、イヤホンコア3は、収容スペースA内に固設され、イヤホンコア3の発する音は、出音口21を介して外界に伝達される。
【0020】
イヤホンコア3は、フレーム4、フレーム4に固定保持された振動システム5、磁気回路システム6及びフロントカバー7を備える。
【0021】
振動システム5は、振動膜51及びボイスコイル53を備え、ボイスコイル53は、振動膜51の振動発音を駆動する。
【0022】
振動膜51は、第1振動膜511と、第1振動膜511を取り囲んで設置された第2振動膜513とを備え、第1振動膜511の外周縁と第2振動膜513の内周縁は、いずれも磁気回路システム6に固定され、第2振動膜513の外周縁は、フレーム4に固定される。
【0023】
第1振動膜511とフロントカバー7とによって囲まれて第1チャンバBが形成され、かつフロントカバー7には第1チャンバBと連通する第1音孔71が貫設されている。
【0024】
第2振動膜513とフロントカバー7とによって囲まれて第2チャンバCが形成され、かつフロントカバー7には第2チャンバCと連通する第2音孔73が貫設されている。
【0025】
ここで、第1チャンバBと第2チャンバCとは仕切られ、イヤホンキャップ2はフロントカバー7を覆い、かつ第1音孔71及び第2音孔73は、出音口21を介して外界と連通する。
【0026】
ボイスコイル53は、第1振動膜511の振動を駆動する第1ボイスコイル531と、第2振動膜513の振動を駆動する第2ボイスコイル533とを備える。ここで、第1振動膜511の振動によって発せられる音は、第1チャンバB、第1音孔71及び出音口21を介して外界に伝達され、第2振動膜513の振動によって発せられる音は、第2チャンバC、第2音孔73及び出音口21を介して外界に伝達される。
【0027】
ここで、第1振動膜511と第2振動膜513及び第1ボイスコイル531と第2ボイスコイル533は、いずれも同軸に設置される。このように、振動システム5は、同軸に設置された2つの振動部を備えることができる。
【0028】
なお、第1振動膜511の振動によって発せられる音は、第1オーディオ範囲を有し、第2振動膜513の振動によって発せられる音は、第2オーディオ範囲を有し、このように、2つの発音振動膜が2つの発音チャンバと組み合わせることで、イヤホンの周波数帯域範囲を増加させることができる。本実施例において、好ましくは、第1オーディオ範囲は、高周波オーディオ(すなわち第1振動膜511が高周波効果を提供する)とし、第2オーディオ範囲は、低周波オーディオ(すなわち第2振動膜513が低周波効果を提供する)とする。
【0029】
本実施例において、イヤホンキャップ2とフロントカバー7との間には共振チャンバDを備え、共振チャンバDは、第1音孔71と出音口21とを連通する。共振チャンバDを設置することにより高効率の第1オーディオ周波応答出力を提供することができ、例えば、第1振動膜511が提供するのは高周波効果である場合、共振チャンバDは、高効率の高周波応答出力を提供することができる。
【0030】
図4及び図5に示すように、共振チャンバDは細長いチャンバである。本実施例において、好ましくは、共振チャンバDは、フロントカバー7からイヤホンキャップ2側に向かって凹んで形成される。このようにするによって、イヤホンキャップ2が可撓性を有する材料で製造することを可能にして、イヤホンが人間の耳に押し込まれた後の快適さを向上させることができる。
【0031】
なお、第1振動膜511と第2振動膜513との出音口は、分離してもよく、重ね合わせてもよく、イヤホンの造形と共振チャンバDの長さの設計に応じて定義することができる。
【0032】
図3及び図5に示すように、出音口21は、第1出音口211及び第2出音口213を備え、第1出音口211は、共振チャンバDを外界と連通させ、第2出音口213は、第2音孔73を外界と連通させる。
【0033】
本実施例において、振動システム5は、骨格55及びフレキシブル回路板57をさらに備える。骨格55は、第2振動膜513に固定された第1固定部551と、前記第1固定部551と第2ボイスコイル533とを接続する第2固定部553とを備え、フレキシブル回路板57は、第1固定部551の第2振動膜513から離れた側に固定され、かつ第2ボイスコイル533と電気的に接続される。
【0034】
磁気回路システム6は、インナー磁気ギャップ6Aと、インナー磁気ギャップ6Aを取り囲んで設置されたアウター磁気ギャップ6Bとを備え、ここで、第1ボイスコイル531がインナー磁気ギャップ6Aに挿入され、第2ボイスコイル533がアウター磁気ギャップ6Bに挿入される。
【0035】
本実施例において、磁気回路システム6は、フレーム4に固定された磁気ヨーク61、磁気ヨーク61内に設置されかつ磁気ヨーク61と間隔を隔ててアウター磁気ギャップ6Bを形成する永久磁石63及びポールプレート65を備える。
【0036】
永久磁石63は、第1磁石631と、第1磁石631の振動膜51から離れる側に設置された第2磁石633とを備え、第1振動膜511の外周縁と第2振動膜513の内周縁はいずれも第1磁石631に固定され、第1磁石631には第1スルーホール632が貫設され、第2磁石632には第2スルーホール634が貫設される。
【0037】
ポールプレート65は、第1スルーホール632内に挿入され、第1磁石631と間隔を隔ててインナー磁気ギャップ6Aを形成する壁部651と、壁部651に接続され、第1磁石631と第2磁石633との間に介設された板部653とを備える。
【0038】
図2に示すように、第1磁石631、第2磁石633及び壁部651は、いずれも連続的な環状構造を呈する。なお、他の実施形態において、第1磁石631、第2磁石633及び壁部651は、複数の分割構造で構成されてもよいことが理解されるべきである。
【0039】
図4及び図5に示すように、第1磁石631には固定枠8が固設され、第1振動膜511の外周縁が固定枠8の内壁に固定される。フロントカバー7は、囲壁75を備え、囲壁75は、固定枠8の第1磁石631から離れた一端に当接して、第1チャンバBと第2チャンバCとを仕切る。すなわち、第1振動膜511は、固定枠8によって第1磁石631に間接的に固定され、このようにすることによって、一方では、第1振動膜511が十分な振動スペースを有するように、第1振動膜511と磁気回路システム6との間に一定のギャップが存在することができ、他方では、第1磁石631が十分な振動スペースを有するように、第1磁石631に第1振動膜511の振動を退避する構造を設計することが避けられるため、第1磁石631の体積を増加させて、インナー磁気ギャップ6A及びアウター磁気ギャップ6Bの磁界強度を増加させることに有利である。
【0040】
磁気ヨーク61は、底壁611と、底壁611の周縁から振動膜51の方向に延在することによって形成され、フレーム4に固定された側壁613とを備え、第2磁石633は、底壁611に固設され、側壁613は、永久磁石63と間隔を隔ててアウター磁気ギャップ6Bを形成する。
【0041】
本実施例において、イヤホンコア3は、底壁611を通って第1スルーホール632及び第2スルーホール634内に挿入された導電部材9をさらに備え、導電部材9は、第2ボイスコイル533と電気的に接続され、かつ壁部651は、導電部材9を取り囲んでいる。なお、他の実施形態において、導電部材9を設けることではなく、導線を介して第2ボイスコイル533をアウター回路と直接電気的に接続することも可能であることを理解できる。
【0042】
導電部材9は、本体部91と、本体部91に嵌設されかつ第2ボイスコイル533と電気的に接続された導電性金属片93とを備える。
【0043】
上記したのは、本発明の実施形態だけであり、本発明が属する技術分野の当業者にとって、本発明の創造的構想から逸脱しない範囲において種々変更可能であるが、これらはいずれも本発明の保護範囲内に属するものと理解されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6