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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ロボット内視鏡カメラのねじれ防止機構
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20241001BHJP
   A61B 1/01 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A61M25/00 530
A61B1/01 511
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023005542
(22)【出願日】2023-01-18
(65)【公開番号】P2023113124
(43)【公開日】2023-08-15
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】17/591,432
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】シーア ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】松村 淳一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴久
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533996(JP,A)
【文献】実開昭57-122812(JP,U)
【文献】特開2014-200871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61B 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の駆動ワイヤを介して作動部によって作動されるように構成された操縦可能カテーテルであって、前記操縦可能カテーテルは、
カテーテル本体であって、カテーテル先端と、カテーテル軸に沿って当該カテーテル本体の近位端及び前記カテーテル先端を通って延在するツールチャネルと、を有するカテーテル本体と、
前記カテーテル先端に着脱可能に取り付けられるハウジングを有するイメージングデバイスと、
を備え、
前記ツールチャネルは、前記カテーテル軸を中心とするツールチャネル直径を有し、
前記カテーテル先端は、前記ツールチャネルの少なくとも一部に形成された傾斜路状表面を含み、
前記傾斜路状表面は、前記カテーテル軸に平行な面に関して角度を成して形成された傾斜した平坦面であり、前記ツールチャネルの断面は、前記傾斜路状表面が前記カテーテル先端の遠位端から近位端に向かって延びるにつれて前記ツールチャネルの全直径まで大きくなり
前記ハウジングの1つの側面は、前記傾斜路状表面と嵌合し、
前記カテーテル先端の前記遠位端は、1つの平坦な表面を有する実質的な楕円形であり、
前記ハウジングの前記1つの側面と前記傾斜路状表面が嵌合することにより、前記ツールチャネルに関する前記イメージングデバイスの回転が防止され、かつ/又は、前記イメージングデバイスに関する前記カテーテル先端のねじれが防止される、
操縦可能カテーテル。
【請求項2】
前記カテーテル先端は、第1のセクション及び第2のセクションを有するように形成され、
前記カテーテル先端の前記第1のセクションは、前記傾斜路状表面が形成される場所に位置し、前記カテーテル先端の前記第2のセクションは、前記傾斜路状表面が形成されない場所に位置する、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項3】
前記第1のセクション及び前記第2のセクションは、単一部品コンポーネントとして製造されたものである
請求項2に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項4】
前記第1のセクションは、前記ツールチャネルの出口ポートとして機能し、前記出口ポートは、前記カテーテル先端の前記遠位端において非外傷性表面を含み、
前記第2のセクションは、前記ツールチャネルに沿って前記カテーテル先端から前記カテーテル本体まで延在するインナーライナを含み、
前記傾斜路状表面は、前記ハウジングの前記1つの側面と、長さ方向に着脱可能に嵌合するように構成される、
請求項3に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項5】
前記第1のセクション及び前記第2のセクションは、実質的に円筒状であり、2部式コンポーネントとして製造されたものである、
請求項2に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項6】
前記第1のセクションは、前記カテーテル軸に関して非対称な前記傾斜路状表面を含み、前記第2のセクションは、前記カテーテル軸に関して対称である直線的な表面を含む、
請求項に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項7】
前記第1のセクションは、その遠位端に非外傷性表面を含み、また、当該第1のセクションと一体的に形成されるとともに当該第1のセクションの近位端から突出する1つ以上のピンを含み、
前記第2のセクションは、当該第2のセクションの壁を通って当該第2のセクションの近位端から遠位端まで延在する複数のコンジットを含む、
請求項に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項8】
前記複数のコンジットは、前記第2のセクションの前記遠位端において、前記第1のセクションの前記1つ以上のピンに1対1対応で接続するように構成される、
請求項7に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項9】
前記複数のコンジットは、前記第2のセクションの前記近位端において、前記操縦可能カテーテルの前記1つ以上の駆動ワイヤに1対1対応で接続するように構成される、
請求項7に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項10】
前記カテーテル先端の前記第1のセクションは、当該第1のセクションの遠位端に非外傷性表面を含み、当該第1のセクションの近位端に複数のコンジットを含み、
前記カテーテル先端の前記第2のセクションは、当該第2のセクションの壁に沿って当該第2のセクションの近位端から遠位端まで長さ方向に延在する複数のコンジットを含む、
請求項に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項11】
前記第2のセクションの前記複数のコンジットは、前記第2のセクションの前記遠位端から突出し前記第1のセクションに向かって延びる複数のアンカーを含み、
前記複数のコンジットは、前記第1のセクションの前記近位端において、前記第2のセクションから突出する前記複数のアンカーと1対1対応で接続するように構成される、
請求項10に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項12】
前記第2のセクションの前記複数のコンジット内の前記複数のアンカーは、その近位端において、前記操縦可能カテーテルの前記1つ以上の駆動ワイヤに1対1対応で取り付けられるように構成される、
請求項10に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項13】
前記カテーテル先端の前記第1のセクションは、当該第1のセクションの遠位端に非外傷性表面を含み、当該第1のセクションの近位端に複数のコンジットを含み、
前記カテーテル先端の前記第2のセクションは、当該第2のセクション位端に複数のコンジットを含み、当該第2のセクションの近位端付近の当該第2のセクションの壁に沿った複数のアンカーを含む、
請求項5に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項14】
前記第2のセクションに対して前記第1のセクションを位置合わせし、前記第2のセクションに前記第1のセクションを接続するように構成された複数の専用ピン、
を更に備え、
前記複数の専用ピンは、前記第2のセクションの前記遠位端の前記複数のコンジットに挿入され、前記第1のセクションの前記近位端の前記複数のコンジットに1対1対応で挿入される、
請求項13に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項15】
前記第2のセクションの前記近位端付近の前記複数のアンカーは、前記操縦可能カテーテルの前記1つ以上の駆動ワイヤに接続するように構成される、
請求項13に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項16】
前記カテーテル先端の前記第1のセクションは、当該第1のセクションの遠位端に非外傷性表面を含み、当該第1のセクションの近位端に複数のコンジットを含み、
前記カテーテル先端の前記第2のセクションは、当該第2のセクションの遠位端から突出する複数のピンと、当該第2のセクションの近位端付近の当該第2のセクションの壁に沿った複数のアンカーと、を含む、
請求項5に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項17】
前記第2のセクションの前記遠位端から突出する前記複数のピンは、前記第1のセクションの前記近位端の前記複数のコンジットに1対1対応で挿入される、
請求項16に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項18】
前記第2のセクションの前記近位端付近の前記複数のアンカーは、前記操縦可能カテーテルの前記1つ以上の駆動ワイヤに接続するように構成される、
請求項16に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項19】
前記第2のセクションの長さは、前記第1のセクションの長さの少なくとも2倍である
請求項2に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項20】
前記ハウジングは、前記イメージングデバイスとともに、前記ツールチャネルを通して前記カテーテル先端に対して挿入可能かつ除去可能である、
請求項19に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項21】
前記傾斜路状表面により、前記カテーテル先端の前記遠位端での前記ツールチャネルの断面が小さくなり、それにより、前記ハウジング及び/又は前記イメージングデバイスが前記カテーテル先端の前記第1のセクションを越えて遠位に移動することが防止される、
請求項19に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項22】
前記ハウジングは、実質的に矩形であり、前記カテーテル先端の前記遠位端から前記近位端まで長さ方向に延在する曲面含み、
前記イメージングデバイスは、前記カテーテル先端の前記遠位端、又は前記カテーテル先端の前記遠位端付近取り付けられるように構成される
請求項19に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項23】
前記ハウジングの断面の第1の寸法は、当該第1の寸法に垂直な第2の寸法よりも小さく、
前記ハウジングの前記第1の寸法と前記第2の寸法は、両方とも前記ツールチャネル直径よりも小さく、
前記ハウジングが前記カテーテル先端に挿入されたとき、前記カテーテル先端から前記イメージングデバイスを除去することなく、前記ツールチャネルを通る流体が妨げられずに流れるように、前記ハウジングと前記ツールチャネルとの間に間隙が生じる、
請求項22に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項24】
前記カテーテル本体は、前記作動部に取付け可能な近位セクションと、患者の管腔内に挿入可能な遠位セクションとを含み、前記カテーテル本体の前記遠位セクションは、複数の湾曲セグメントを有し、
各湾曲セグメントは、前記カテーテル本体の壁に沿って配置される少なくとも1つの駆動ワイヤによって前記作動部に接続され、
各湾曲セグメントに取り付けられる前記少なくとも1つの駆動ワイヤは、前記管腔内での位置及び/又は向きに前記カテーテル先端を操縦するように、前記作動部からの作動力を前記カテーテル本体に伝達するように構成される、
請求項2に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項25】
前記カテーテル先端が前記作動力によって操縦されるとき、前記カテーテル先端の前記位置及び/又は向きに関して前記イメージングデバイスの位置及び/又は向きが実質的に変わらないままであるような形で、前記ハウジングの少なくとも1つの平坦な側面は、前記傾斜路状表面と連結する、
請求項24に記載の操縦可能カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
該当なし
【0002】
本開示は、医療機器に関する。より具体的には、本開示は、ロボットカテーテル又は内視鏡のねじれ防止機構の様々な実施形態を対象とする。ねじれ防止機構は、カテーテル又は内視鏡のツールチャネルに対する、カメラ等の着脱可能なイメージングデバイスの回転を防止するように構成される。
【背景技術】
【0003】
ロボットカテーテルや内視鏡は、作動部によって制御される金属製ワイヤを通して加えられる作動力(引く力又は押す力)によって動作する軟性の管状シャフトを含む。軟性管状シャフト(本明細書では「操縦可能カテーテル」と呼ばれる)には、ヘビのように連続的に曲がって回転するように構成された複数の関節セクションが含まれることがある。典型的には、操縦可能カテーテルは、患者の体の自然開口や小さな切開部を通して挿入され、患者の管腔を通して標的部位(例えば、アブレーションや生検等の管腔内処置の対象に指定された患者の解剖学的構造内の部位)まで展開される。患者の体内での内視鏡ナビゲーションを制御するための、ユーザとロボットシステムの間の相互作用のためのインタフェースとしては、ハンドヘルドコントローラ(例えばゲームパッドコントローラ)が使用される。
【0004】
操縦可能カテーテルのナビゲーションは、カテーテルシャフトの遠位先端に配置されたカメラやビデオスコープによって誘導される。コンソールに設けられるか又は壁に取り付けられる液晶ディスプレイ(LDC)モニタ等の表示デバイスは、カメラの視野の画像(FOV画像)を表示して、ユーザが標的部位に到達するように患者の生体構造を通して操縦可能カテーテルをナビゲートするのを支援する。カメラビュー、コントローラ及びカテーテルの向きは、患者の体内にカテーテルが挿入される前にマッピング(較正)される。ユーザが患者の生体構造内で内視鏡を操作すると、カメラは、カメラのFOV画像を表示装置に転送する。理想的には、表示される画像により、ユーザは、ユーザ自身の目が実際に内視鏡の空洞内部にあるかのように、内視鏡画像と関わることができるはずである。
【0005】
しかしながら、操縦可能カテーテルの遠位先端がナビゲーション中にねじれて、カメラが回転してしまう可能性があり、結果として、操縦入力と視覚的ガイダンスの相関にエラーが生じてしまう。ロボットカテーテルのねじれは、例えば米国特許第9572628号(参照により全体として本明細書に援用される)に記載されるように、いくつかの要因から生じ得る。最先端の技術では、内視鏡がどのように操作されるかに関係なく、内視鏡画像の適切な直立重力レベルの向きを維持するための技術が、多くの刊行物によって開示されている。表示された画像の回転を制御するための技術としては、内視鏡の向きを測定し、次に内視鏡画像を光学的、機械的又は電子的に回転させて、内視鏡先端の向きの変化又はカメラの回転を補償することが挙げられる。例えば、米国特許出願公開第2011/0026787号及び第2013/0204126号、並びに米国特許第8864652号、第10275899号及び第10376134号を参照されたい。
【0006】
医用連続体ロボット(MCR)として知られる新しいタイプの操縦可能カテーテルでは、ナビゲーション中に画像ガイダンスを提供するための軟性ビデオスコープカメラが挿入されるチャネルの数が少なく(好ましくは単一のチャネル)、また、手術器具やエンドエフェクタのアクセスを可能にし、かつ/又は流体の通過を可能にするために、同じチャネルを使用することが多い。カメラがカテーテル先端に統合されるとともに、ツールと流体のアクセスを可能にするために別々のチャネルが使用される従来の内視鏡デバイスに比べて、イメージングデバイス用とツール用に単一のチャネルを使用すると、全体的な外形を小さくすることができる。
【0007】
MCRのカテーテルデバイスでは、カメラがカテーテル先端に固定されないので、カメラとカテーテルのチャネルの内径(ID)との間に一定の公差(間隙)を設けることにより、カメラが適所にある状態で流体を通過させることができる。例えば、イメージング中、間隙を用いて、カテーテルを通して水を供給して、カメラビューを遮っている粘液や血液を除去することができる。ただし、操縦可能カテーテルには複数の湾曲セクションがあり、各湾曲セクションは、曲がりくねった生体構造を通してカテーテルを操縦する1つ以上の制御ワイヤによって操作される。制御ワイヤを押したり引いたりすることにより、カテーテル内のワイヤの長さの変化(変位)が生じる。このような変化により、個々の湾曲セクションは、3つ以上の自由度(DOF)で操縦可能カテーテルを偏向させてしまう。引っ張られている駆動ワイヤは、内側の曲げ半径を形成するように曲がり、押されるワイヤは、外側の曲げ半径に沿って曲がる。
【0008】
湾曲セクションの構造により、カテーテルは、作動入力と、カテーテルの進む際に通る生体構造との摩擦に起因して、ねじれてしまうおそれがある。カメラはカテーテルの先端に固定されないので、先端は、カメラの周りで自由にねじれたり回転したりすることができる。或いは、カテーテルの先端が曲がり、かつ/又は移動するときに、カテーテル体に対してカメラが回転する場合がある。カテーテル先端がカメラの周りでねじれたり回転したりすると、カメラのビューと、コントローラを通してカテーテルの近位端で提供される操縦入力との間に、食い違いが生じてしまう。したがって、カメラビューの向きと、ゲームパッドコントローラの向きと、カテーテル先端の向きとの間で適切な相関を維持しながら、カメラ回転の悪影響を防止できる、改善されたカテーテルシステムが求められている。
【発明の概要】
【0009】
本明細書に開示される少なくとも1つの実施形態によれば、医用連続体ロボット(MCR)によって駆動可能であるように構成された操縦可能カテーテルが提供される。操縦可能カテーテルは、カテーテル本体であって、カテーテル本体の近位端から遠位端まで延びる少なくとも1つのツールチャネルを有するカテーテル本体と、ツールチャネルの壁に沿って配置された複数の駆動ワイヤと、を含む。ツールチャネルは、医用ツールと、イメージングデバイスと、流体とのうちの1つ以上を通すように構成される。カテーテル先端又はイメージングデバイスには、イメージングデバイスをカテーテル先端に着脱可能に係止するためのねじれ防止特徴が設けられる。駆動ワイヤの1つ以上が、作動部からの作動力をカテーテル本体に伝えると、カテーテル本体の少なくとも一部が曲がり、かつ/又は回転する間、ねじれ防止機構が、ツールチャネル内でのイメージングデバイスの回転を防止する。
【0010】
ねじれ防止特徴は、カテーテル先端に組み込まれた傾斜路状表面(ramp-like surface)と、内視鏡カメラに恒久的に取り付けられるハウジング機構と、を含む。傾斜路状表面により、ツールチャネルの断面積に対する影響が最小限である単純な形状が生み出され、流体の十分な流れが提供され、ねじれ防止機構を越えてカテーテル先端から器具を容易に通過させることができる。
【0011】
ロボットコントローラによって駆動される操縦可能カテーテルは、カテーテル本体であって、カテーテル先端と、カテーテル軸に沿って当該カテーテル本体の近位端及びカテーテル先端を通って延びるツールチャネルと、を有するカテーテル本体を備える。カテーテル先端は、ツールチャネル直径の一部に形成された傾斜路状表面を含む。傾斜路状表面は、カテーテル軸に平行な面に関して角度を成して形成された傾斜した平坦面であり、角度は、傾斜路状表面がカテーテル先端の遠位端から近位端に向かって延びるにつれて大きくなる。イメージングデバイスに恒久的に取り付けられるハウジング機構は、ツールチャネルに関するイメージングデバイスの回転を防止し、かつ/又は、イメージングデバイスに関するカテーテル先端のねじれを防止するように、イメージングデバイスを傾斜路状表面に係止するように構成される。
【0012】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面及び提供された特許請求の範囲と併せて読むと、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1Aは、操縦可能カテーテル100を動作させるように構成された連続体ロボットシステム1000の実施形態を示す。図1Bは、操縦可能カテーテル100の実施形態を示す。
図2図2A図2B及び図2Cは、本開示の例示の実施形態に係る、カテーテル先端120を有する操縦可能カテーテル100の更なる詳細を図示する。
図3図3A図3B及び図3Cは、本開示の実施形態に係る、内径D1をもつ第1のセクション120A(傾斜路状表面125が形成される)と、内径D2(D1とは異なる)をもつ第2のセクション120B(傾斜路状表面125が形成されない)とを備えた、1部式(one-part)カテーテル先端120を図示する。
図4図4A図4B図4C及び図4Dは、本開示の別の実施形態に係る、第1のセクション120A及び第2のセクション120Bを含む2つの別個の部品から成る2部式(two-part)カテーテル先端120の様々な実施例を図示する。
図5図5A図5B及び図5Cは、図4Aに示される実施形態に対応する2部式カテーテル先端120の等角図を示す。
図6図6A図6B及び図6Cは、図4Dに示される実施形態に対応する2部式カテーテル先端120の等角図を示す。
図7図7A及び図7Bは、ツールチャネルに関するイメージングデバイス180の回転を防止し、かつ/又は、イメージングデバイス180に関するカテーテル先端120のねじれを防止するために、イメージングデバイス150がカテーテル先端120と連結されるように、内視鏡カメラ(イメージングデバイス180)に取り付けられ、ツールチャネル105を通して挿入されるように構成されたねじれ防止ハウジング機構150を示す。
図8図8Aは、カテーテル先端120に挿入されるねじれ防止ハウジング機構150の正面図を示し、図8Bは、ねじれ防止ハウジング機構150の断面図を示す。ハウジング機構150は、ツールチャネルに関するイメージングデバイス180の回転を防止し、かつ/又は、イメージングデバイス180に関するカテーテル先端120のねじれを防止するために、傾斜路状表面125によってカテーテル先端120と連結される平坦面153を有する実質的に矩形の断面を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の態様は、添付の図面に照らして以下の詳細な説明を読むことによって、最もよく理解される。なお、標準の慣行に従って、図面の様々な特徴は、縮尺どおりに描かれておらず、実際のコンポーネントを表すものでもない。各種特徴の寸法等のいくつかの詳細は、説明を容易にするために任意に増減される場合がある。更に、同様のコンポーネント及び/又は機能を描写するために、参照番号及び/又は文字が様々な例で繰り返されている。この繰返しは、単純さ及び明確さを目的としており、それ自体が、論じられる同じコンポーネントの各種実施形態及び/又は構成を限定するものではない。
【0015】
図全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号及び文字は、例示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント又は部分を示すために用いられる。更に、同封の図を参照して本開示を詳細に説明するが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲から逸脱することなく、説明される例示の実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。図面はいくつかの可能な構成及びアプローチを表すが、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、本開示の特定の態様をより分かりやすく図示及び説明するために、特定の特徴が誇張、削除又は部分的に切断される場合がある。本明細書に記載の説明は、網羅的であること、そうでなければ、図面に示され以下の詳細な説明に開示される正確な形態及び構成に特許請求の範囲を限定又は制限することを意図するものではない。
【0016】
当業者には当然のことながら、一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して、“オープン”な用語として意図されている(例えば、「含む(including)」という用語は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである、等)。更に、当業者には当然のことながら、導入された請求項記載の具体的な数字が意図されている場合、そのような意図は特許請求の範囲に明示的に記載され、また、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しない。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項記載を導入するために、「少なくとも1つの」や「1つ以上の」という導入句の使用を含む場合がある。ただし、そのような語句の使用は、同じ請求項に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」との導入句と、“a”又は“an”等の不定冠詞とが含まれている場合でも、不定冠詞“a”又は“an”による請求項記載の導入により、そのような導入された請求項記載を含む特定の請求項が、そのような記載を1つだけ含む請求項に限定されることを意味すると解釈されるべきではない(例えば、“a”及び/又は“an”は、典型的には、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。請求項記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても、同じことが言える。
【0017】
更に、導入された請求項記載の具体的な数字が明示的に記載されている場合であっても、当業者には当然のことながら、そのような記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきである(例えば、他の修飾語を伴わずに「2つの記載」とだけ記載される場合、典型的には、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B及びC等のうちの少なくとも1つ」に類似した規定が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者が該規定を理解し得るという意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独で、B単独で、C単独で、AとBを併せて、AとCを併せて、BとCを併せて、かつ/又は、A、B及びCを併せて有するシステム等を含み得る)。「A、B又はC等のうちの少なくとも1つ」に類似した規定が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者が該規定を理解し得るという意味で意図されている(例えば、「A、B又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独で、B単独で、C単独で、AとBを併せて、AとCを併せて、BとCを併せて、かつ/又は、A、B及びCを併せて有するシステム等を含み得る)。更に、当業者には当然のことながら、典型的には、離接語、及び/又は2つ以上の代替用語を表す語句(明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれにおいても)は、文脈上別段の指示がない限り、該用語の一方、該用語のいずれか、又は該用語の両方を含む可能性を企図するものと理解されるべきである。例えば、「A又はB」という表現は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0018】
本明細書において、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「上」にあるとして言及されるとき、それは、当該他の特徴又は要素の直上に存在してよく、又は、介在する特徴及び/又は要素も存在してよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「直上」にあるとして言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。また、当然のことながら、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続される」、「取り付けられる」、「結合される」等として言及されるとき、それは、当該他の特徴に直接的に接続されてよく、取り付けられてよく、又は結合されてよく、又は、介在する特徴又は要素が存在してもよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接的に接続される」、「直接的に取り付けられる」又は「直接的に結合される」として言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。一実施形態に関して説明又は図示したが、一実施形態においてそのように説明又は図示された特徴及び要素は、他の実施形態に適用することができる。また、当業者であれば理解できるように、別の特徴に「隣接」して配置されている構造又は特徴への言及は、当該隣接する特徴にオーバーラップするかその下にある部分をもつ場合がある。
【0019】
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらの要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの指定の用語によって限定されない。これらの指定の用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分は、単に区別を目的として、しかし限定をすることなく、また、構造的又は機能的な意味から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分と呼ぶことができる。
【0020】
本明細書において用いられる場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」、「備える」、「成る」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。更に、本開示では、「~から成る」という移行句は、クレームで指定されていないいかなる要素、ステップ又はコンポーネントも除外する。更に、留意すべきこととして、一部のクレーム又はクレームの一部の特徴は、任意の要素を除外するように起草される場合があり、このようなクレームは、クレーム要素の記載に関連して「単独で」、「~のみ」等の排他的な用語を使用する場合があり、又は、「否定的な」限定を使用する場合がある。
【0021】
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、例えば10%以内、5%以内又はそれ未満を意味する。一部の実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することがある。これに関して、説明され又はクレームされる際に、用語が明示的に表示されていなくても、全ての数値は「約」又は「およそ」という語が前置されているかのように読まれてよい。「約」又は「およそ」という語句は、大きさ及び/又は位置を記述するとき、記載の値及び/又は位置が値及び/又は位置の妥当な予想範囲内にあることを示すために使用されることがある。例えば、数値は、記述された値(又は値の範囲)の±0.1%、記述された値(又は値の範囲)の±1%、記述された値(又は値の範囲)の±2%、記述された値(又は値の範囲)の±5%、記述された値(又は値の範囲)の±10%等である値を含み得る。本明細書に記載されている場合、あらゆる数値範囲は、具体的に別段の記載がない限り、終了値を含むことを意図しており、そこに属する全ての部分範囲を含む。本明細書で用いられる場合、「実質的に」という用語は、意図された目的に悪影響を及ぼさない、記述子からの逸脱を許容することを意味する。例えば、測定値の限定に由来する逸脱、製造公差内の差異、又は5%未満の変動は、実質的に同じ範囲内にあると見なすことができる。指定された記述子は、絶対値(例えば、実質的に球形、実質的に垂直、実質的に同心等)又は相対語(例えば、実質的に類似、実質的に同じ等)であり得る。
【0022】
具体的に別段の記載がない限り、以下の開示から明らかであるように、本開示を通して、「処理する」、「コンピュータで計算する」、「計算する」、「決定する」、「表示する」等の用語を用いた議論は、コンピュータシステム、又は同様の電子コンピューティングデバイス、又は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、同様にコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報の記憶、伝送又は表示用のデバイス内の物理量として表される他のデータに変換するデータ処理デバイスの、動作及びプロセスを指すものと理解される。本明細書に記載されているか、若しくは添付の特許請求の範囲に記載されているコンピュータ動作又は電子動作は、文脈上別段の指示がない限り、一般に、任意の順序で実行することができる。また、様々な動作フロー図が順番に提示されているが、当然のことながら、各種動作は、図示又は特許請求されている順序以外の順序で実行することができ、或いは、動作を同時に実行することができる。そのような代替の順序付けの例としては、文脈上別段の指示がない限り、重複、インターリーブ、中断、再順序付け、増分、準備、補足、同時、逆、又は他の変形の順序付けが挙げられる。更に、「~に応答して」、「~に応えて」、「~に関連して」、「~に基づいて」等の用語、又は他の同様の過去形容詞は、文脈上別段の指示がない限り、通常、そのような変形を除外することを意図していない。
【0023】
本開示は、概して医療機器に関し、内視鏡又はカテーテルの実施形態を例示し、より具体的には、医用連続体ロボット(MCR)によって制御される操縦可能カテーテルに関する。内視鏡又はカテーテル及びその部分の実施形態を、三次元空間におけるそれらの状態に関して説明する。本明細書で用いられる場合、「位置」という用語は、3次元空間における物体又は物体の一部の位置(例えばデカルトX、Y、Z座標に沿った3自由度の並進自由度)を指し、「向き」という用語は、物体又は物体の一部の回転配置(回転の3自由度―例えばロール、ピッチ、ヨー)を指し、「姿勢」という用語は、少なくとも1つの並進自由度にある物体又は物体の一部の位置と、少なくとも1つの回転自由度にある物体又は一部の物体の向きとを指し(合計で最大6つの自由度)、「形状」という用語は、物体の長尺体に沿って測定された一連の姿勢、位置及び/又は方向を指す。
【0024】
医療機器の分野において既知であるように、「近位」及び「遠位」という用語は、ユーザから手術部位又は診断部位まで延びる器具の端部の操作に関して用いられる。これに関して、「近位」という用語は、器具のユーザに近い部分(例えばハンドル)を指し、「遠位」という用語は、ユーザから離れており外科部位又は診断部位に近い器具の部分(先端)を指す。更に、当然のことながら、便宜上簡潔にするために、本明細書では、図面に関して「垂直」、「平行」、「上」、「下」等の空間用語が用いられる場合がある。ただし、手術器具は多くの向きと位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的かつ/又は絶対的であることを意図していない。
【0025】
本明細書で用いられる場合、「カテーテル」との用語は、概して、広範囲の医療機能を実行するために、狭い開口を通して解剖学的管腔(例えば血管)の中に挿入されるように設計された、医療グレードの材料から作られる軟性の薄い管状器具を指す。「操縦可能カテーテル」というより具体的な用語は、1つ以上の作動可能セクションから成る細長いシャフトを備えた医用器具を指す。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「内視鏡」との用語は、カメラ又はファイバベース光学プローブを用いて患者の体腔又は臓器の内部を観察する、硬性又は軟性の医用器具を指す。内視鏡が自然開口を通して挿入される医療処置は、内視鏡検査と呼ばれる。専用の内視鏡は、気管支鏡(口)、S状結腸鏡(直腸)、膀胱鏡(膀胱)、腎臓鏡(腎臓)、気管支鏡(気管支)、咽頭鏡(咽頭)、耳鏡(耳)、関節鏡(関節)、腹腔鏡(腹部)及び消化管内視鏡等、一般に、内視鏡の使用方法や使用場所にちなんで名付けられる。本開示では、「光ファイバ」又は単に「ファイバ」等の用語は、全反射として知られる効果によって一端から他端に光を伝導することができる、細長い軟性の光伝導管を指す。「導光コンポーネント」又は「導波管」との用語も、光ファイバを指す場合があり、又は光ファイバの機能をもつ場合がある。「ファイバ」との用語は、1つ以上の光伝導ファイバを指す場合がある。
【0027】
「ねじれる」や「ねじれた」、「ねじれ」との用語は、基準点に関する円運動で力(モーメント)によってある物を曲げたり回転させたりする動作を指す。何かをねじる動作によって、形状又は位置の正常でない変化が発生する可能性がある。「コンジット」との用語は、ワイヤの配線やルーティング、保護に用いられる管やパイプ、チャネル、溝、スルーホール等の管状構造を意味するように採用される。例として、電線用のコンジットが挙げられる。本開示では、コンジットは、駆動ワイヤ及び/又は電線をカテーテルに通す、又はルーティングする、又は保護する、又は取り付けるために使用され得る。
【0028】
<連続体ロボットシステム>
図1A図2Cは、ロボットカテーテル又は内視鏡を動作させるように構成された連続体ロボットシステの関連部品を示す。図1Aは、操縦可能カテーテル100を動作させるように構成された連続体ロボットシステム1000の実施形態を示す。図1Bは、操縦可能カテーテル100の実施形態を示す。図2A図2B及び図2Cは、操縦可能カテーテル100と、カテーテルのツールチャネルに設けられるねじれ防止特徴の関連コンポーネントの1つ以上の実施形態を図示する。
【0029】
図1Aに示されるように、連続体ロボットシステム1000の全体構造は、コンピュータシステム400(例えばシステムコンソール)と、ロボット制御システム300と、ハンドル200を介してロボット制御システム300に接続された操縦可能カテーテル100と、を含む。代替の用途又は実施形態では、操縦可能カテーテル100は、ハンドル200を介して、ハンドヘルドコントローラ(ゲームパッドコントローラ等)又はポータブル電子デバイス(スマートフォンやタブレットコンピュータ等)に接続することができる。慣例により、システム1000は、x,y,z軸の3次元(3D)デカルト座標系によって定義される3D空間で動作する。操縦可能カテーテル100は、非操縦可能な近位セクション102と、操縦可能な遠位セクション103と、カテーテル先端120とを含み、これらは、z軸方向に平行な長手方向のカテーテル軸Axに沿って配置されている。遠位セクション103は複数の湾曲セグメント(103a、103b、103c)に分割され、各湾曲セグメントは、リング状部品(リング)から成り、1つ以上の駆動ワイヤ110によって個々に作動される(曲げられ、かつ/又は回転される)ように構成される。カテーテル先端120内では、イメージングデバイス180が、ねじれ防止ハウジング機構150によって着脱可能に配置される。
【0030】
操縦可能カテーテル100の挿入/引戻し中の曲げ及び/又は回転(本明細書では概して「操縦」と呼ばれる)は、キネマティック作動システムによって制御され、該システムは、ハンドル200、ロボット制御システム300及びコントローラ(例えばゲームパッドコントローラ又はコンピュータシステム400)から成る。より具体的には、ロボット制御システム300は、一般に、ハンドヘルドコントローラ及び/又は制御室コンピュータを含むか、又はそれに接続される。コンピュータシステム400は、中央処理装置(CPU)410の1つ以上のプロセッサによって動作される適切なソフトウェア、ファームウェア及び周辺ハードウェアとともに、操縦可能カテーテル100の操縦を制御するために用いられる汎用コントローラシステムを表す。メモリモジュール409は、全体として連続体ロボットシステム1000を動作させるためのソフトウェアアプリケーション及びコンピュータ実行可能コードを格納するコンピュータ可読媒体を表す。コンピュータシステム400、ロボット制御システム及びハンドル200は、ネットワークリンク(例えば無線リンク)又はケーブル束425によって、互いに動作可能に接続される。一部の実施形態では、ロボット制御システム300は、ハンドヘルドコントローラ(ゲームパッド等)又はポータブル処理デバイス(スマートフォンやタブレットコンピュータ等)によって実装されてよい(又は、それに接続されてよい)。数ある機能の中でも、ロボット制御システム300及び/又はコンピュータシステム400は、外科医その他のユーザに、画像表示装置420を通して表示画面422及び/又はグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供することができる。画像表示装置420(LCD又はOLEDのディスプレイを含み得る)により、ユーザは、イメージングデバイス180によって取得された画像を観察し、操縦可能カテーテル100及びシステム1000と全体としてインタラクトすることができる。
【0031】
ハンドル200は、操縦可能カテーテル100とロボット制御システム300の間の電気機械インタフェースを提供する。例えば、ハンドル200は、機械接続、電気接続及び/又は光学接続のためのインタフェースと、操縦可能カテーテル100をロボット制御システム300とインタフェース接続するためのデータ又はデジタル取得(DAQ)システムと、を提供することができる。また、ハンドル200は、外科医又は操作者がエンドエフェクタツールを挿入する際に使用できる1つ以上の入力ポート250を提供することができる。また、ハンドル200は、カテーテル100をシステムに手動接続するための1つ以上のダイヤル252を含んでもよい。「エンドエフェクタ」との用語は、外科用の器具又はツールの作業部分を指す。内視鏡手術器具としては、当技術分野の当業者に知られているように、検査中又は手術中に身体部分(器官又は組織)を操作するのに役立つクランプ、把持器、はさみ、ステープラ、針、その他の同様のツールが挙げられる。ハンドル200は、操縦可能カテーテル100を直線方向に動かすためのロボット支持プラットフォーム600(例えばリニアステージ602及び/又はロボットアーム601)に取付け可能である。ロボット制御システム300及び/又はコンピュータシステム400は、ハンドル200を介して、かつ/又は追加の接続205(有線又は無線のネットワークリンク等)を通して、支持プラットフォーム600及び/又はリニアステージ601に制御信号を送ることができる。
【0032】
ロボット制御システム300は、アクチュエータシステム310及びコントローラ320を含む。コントローラ320は、当業者に既知である適切なソフトウェア、ファームウェア及び周辺ハードウェアとともに、比例・積分・微分(PID)コントローラ又は他のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を含んでよい。PID又はDSPベースのコントローラは、一般に、ロボットシステム1000のコンポーネントに組み込まれた専用の集積回路である。ただし、一部の実施形態では、DSP機能は、他の回路によって、例えばコンピュータシステム400によって制御されるフィールドプログラマブルゲートアレイチップ(FPGA)を用いて、実装されてもよい。アクチュエータシステム310は、図1Aにモータ1、モータ2、~モータMとして示される複数の作動モータ(又はアクチュエータ)を含んでよい。一部の実施形態では、Mは、遠位セクション103の各種セグメントを操縦するのに必要な駆動ワイヤ110の数に等しくすることができる。他の実施形態では、単一のモータ又はアクチュエータによって、2つ以上(又は全て)の制御ワイヤを作動させることができる。駆動ワイヤ110は、典型的には、一端が遠位セクション103の長さに沿ってアンカー部材に固定され、他端がアクチュエータシステム310のモータ又はアクチュエータに接続されている金属製ワイヤである。
【0033】
また、ロボット制御システム300は、電線112を介して駆動ワイヤ110及び/又は操縦可能カテーテル100に作動的に接続された1つ以上のセンサ304を含む。センサ304は、アクチュエータシステム310によって駆動ワイヤ110にかけられた圧縮力又は引張力を検出及び/又は測定するように機能する1つ以上のひずみセンサ及び/又は1つ以上の位置/向きセンサを含んでよい。センサ304は、所与の時点で各駆動ワイヤ110に加えられた圧縮力又は引張力の量(ひずみの量)に対応する1つ又は複数の信号305を出力することができる。各駆動ワイヤ110のセンサ304(ひずみセンサ及び/又は位置センサ)からの信号305は、フィードバック制御ループにより各駆動ワイヤの作動を制御するために、コントローラ320にフィードバックされる。このように、各駆動ワイヤ110は、患者の生体構造の管腔内の蛇行経路を通して操縦可能カテーテル100をナビゲートするために適切なシャフト誘導を実施するように、能動的に制御することができる。
【0034】
図1Bは、操縦可能カテーテル100の実施形態を示す。操縦可能カテーテル100は、管状スリーブ又は管状ガイド又は管状シースとも呼ばれる細長い管状シャフト(カテーテル本体)を有する。先に述べたように、操縦可能カテーテル100は、近位セクション102と遠位セクション103を有する。遠位セクション103は、複数の湾曲セグメントと、最遠位の湾曲セグメントの前方に配置されたカテーテル先端120と、を含む。湾曲セグメントは、複数のリング部材108aから成る第1の湾曲セグメント103aと、複数のリング部材108bから成る第2の湾曲セグメント103bと、複数のリング部材108cから成る第3の湾曲セグメント103cと、を含み得る。複数の駆動ワイヤ110は、カテーテルシャフトの壁に沿って(典型的には、壁内に)配置される。駆動ワイヤ110は、各湾曲セグメントを個々にかつ/又は独立して作動させるように、アンカー部材109a、109b、109cに固定される。
【0035】
カテーテルの長さに沿って、カテーテル本体の近位端と遠位端を通って延びる少なくとも1つのワーキングチャネルが存在する。ワーキングチャネルは、単純化するために「ツールチャネル」と呼ぶことにする。ツールチャネル105は、アクセスポート250から操縦可能カテーテル120のカテーテル先端120を越えて送達される各種インターベンションツール(エンドエフェクタ)のアクセスを可能にする。また、ツールチャネル105は、ツールチャネル105は、患者内部の標的領域に対する液体状態又は気体状態の流体(例えば空気や水)の送達又は回収に用いられてもよい。更に、ツールチャネル105を用いて、医用イメージングデバイス180(内視鏡カメラやビデオスコープ、ファイバベースのイメージングプローブ等)を、当該デバイスを動作させるのに必要な光ファイ及び/又は電線とともに、着脱可能に保持することができる。内視鏡カメラの例としては、操縦可能カテーテル100の遠位先端120に着脱可能に配置されるように構成されたミニチュアCMOSセンサ及び照明器を備えたカメラ等の、チップ・オン・ティップ(COT)カメラが挙げられるが、これに限定されない。更に、カテーテルの位置及び向きをトラッキングするために、遠位先端120に、かつ/又は操縦可能カテーテル100に沿って、1つ以上の電磁(EM)センサ190を設けることができる。
【0036】
動作中、操縦可能カテーテル100が解剖学的管腔80に挿入されると、遠位先端120は、制御部320によって駆動ワイヤ110を介して湾曲セグメントの1つ以上に加えられる力に基づき、運動学的原理に従って駆動される。遠位セクション103のセグメントは、全ての湾曲セグメントの組み合わさった作動によってカテーテル先端120を方向付けるように個別に制御することができる。或いは、最も遠位の湾曲セグメントと、最遠位セグメントの辿る経路に従う残りのセグメントを制御することにより、フォローザリーダー(FFL)アプローチでカテーテル先端を操作することができる。イメージングデバイス180は、一般に、患者内でのカテーテルの使用前にカテーテル先端120に組み付けられる(挿入される)。しかしながら、管腔を通したカテーテルのナビゲーション中、又は処置中に、イメージングデバイス180をカテーテル本体から引き出し、ツールチャネル105を通して挿入し直すことができる。
【0037】
図2A図2B及び図2Cは、本開示の例示の実施形態に係る操縦可能カテーテル100の更なる詳細を図示する。図2Aは、近位セクション102、遠位セクション103及びカテーテル先端120から成る操縦可能カテーテル100の斜視図である。図2Bは、遠位セクション103のリング状部材(アンカー部材109b及びリング状ワイヤ誘導部材108a)を示す。図2Cは、操縦可能カテーテル100の作動状態を示す。
【0038】
図2Aに示されるように(図1Bと同様に)、近位セクション102は管状シャフトとして形成され、遠位セクション103は、z軸方向に平行な中心長手方向軸Axに沿って配置された複数のリング状部品を含む。複数のワイヤ110は、管状シャフトの壁に沿って配置され、リング状部品のワイヤコンジット104を通る(図2B参照)。遠位セクション103は、第1の湾曲セグメント103a及び第2の湾曲セグメント103bを含む複数の湾曲セグメントを含む。湾曲セグメントは、アンカー部材109aによって変曲点107で互いに結合される。第1の湾曲セグメント103aは、複数のリング状ガイド部材108aを含み、第2の湾曲セグメント103bは、複数のリング状ガイド部材108bを含む。最も遠位の湾曲セグメントの前方には、カテーテル先端120が配置される。
【0039】
複数の駆動ワイヤ110は、近位セクション102の壁に沿って、遠位セクション103の1つ以上の湾曲セグメントを通って延びる。カテーテルの近位端では、全ての駆動ワイヤ110が、アクチュエータシステム310(図1Aに示される)の個々のモータ又はアクチュエータに結合される。特定の実施形態では、駆動ワイヤ110のうちの1つ以上が、アクチュエータに結合されることなく、代わりに、ロボット制御システム300の固定構造(例えばシャシやハウジング)に取り付けられてよい。この場合、駆動ワイヤは作動されず、操縦可能カテーテル100の支持ワイヤとして機能する。
【0040】
駆動ワイヤ110は、遠位セクション103に沿って、リング状ガイド部材108の円環壁を長さ方向に通る。遠位セクション103では、駆動ワイヤ110は、ワイヤ固定部品109に選択的に固定される。一部の駆動ワイヤ110は、変曲点107で第1のアンカー部材109aに固定され、駆動ワイヤ110の一部は、遠位セクション103の遠位端で第2のアンカー部材109bに固定される。駆動ワイヤ110は、例えばピアノタイプのワイヤ、ステンレス鋼ワイヤ、又はニッケルチタン合金(ニチノール)ワイヤ、形状記憶合金(SMA)ワイヤ、或いはそれらの同様の構造及び/又は組合わせ等の、金属ワイヤであり得る。アンカー部材109a及び109bは、ガイド部材108と同様に、その中心軸がZ軸方向に沿って延びる円環形状を有する。各駆動ワイヤ110の遠位端は、例えば接着、ピン止め、溶接又はねじ止め(図示なし)により、アンカー部材109a、109bの一方に固定して結合される。
【0041】
図2Bは、代表的なガイド部材108bと代表的なガイド部材108aの斜視図を示す。各ガイド部材108は、z軸方向に沿って延びる中心軸Axをもつ円環形状を有する。各ガイド部材108aは、その円環状壁上に6つのワイヤコンジット104a、104b、104c、104d、104e及び104fを有し、それを通して対応する6本の駆動ワイヤ110(ワイヤコンジットごとに1本の駆動ワイヤ)を通すことができる。各ガイド部材108bは、その円環状壁に沿って長さ方向に延びる3つのワイヤコンジット104a、104c及び104eを有し、それを通ってスライドする対応する数の駆動ワイヤ110を通すことができる。各ガイド部材108aのワイヤコンジット104a~104fにより、アンカー部材109aに結合される3本の駆動ワイヤ110と、アンカー部材109bに結合される3本の駆動ワイヤ110を集合的に通すことが可能となる。一方、各ガイド部材108bのワイヤコンジット104a、104c及び104eにより、アンカー部材109bに結合される対応する3本の駆動ワイヤを通すことが可能となる。
【0042】
駆動ワイヤ110の少なくとも一部が能動的に駆動されて、蛇行経路を通してカテーテルをナビゲートするときの例示の動き(操縦)を、図2A及び図2Cを参照して説明する。図2Aでは、第1の湾曲セグメント103aと第2の湾曲セグメント103bを有する操縦可能カテーテル100が、駆動ワイヤ110に力が加わっていない弛緩(コンプライアント又は非作動)状態にある。対照的に、図2Cでは、駆動ワイヤ110の1つ以上に力を加えることにより、単一の湾曲セグメントを有する操縦可能カテーテル100が作動されている(曲がっている)。
【0043】
操縦可能カテーテル100を曲げる際、各駆動ワイヤ110は、アクチュエータシステム310のそれぞれのアクチュエータ又はモータによって個々に制御することができる。或いは、各駆動ワイヤ110は、アクチュエータシステム310の単一のアクチュエータ又はモータによって個々に制御することができる。例えば、図2Cでは、駆動ワイヤ110bが最も遠位のアンカー部材109及び各ガイド部材108に固定又は係留される一方、駆動ワイヤ110aは制御力F1で引っ張られ、駆動ワイヤ110cは制御力F2で引っ張られる(この例では、制御力F2は制御力F1よりも小さい/低い)。このように、駆動ワイヤ110a及び110bの駆動量(線形変位)の組合わせに従って、遠位セクション103を所望の方向に曲げることができる。操縦可能カテーテル100のカテーテル先端120の姿勢を2自由度内で制御するには、3本の駆動ワイヤのうち2本の駆動ワイヤ(例えば110aと110c)を駆動すれば十分である。
【0044】
同様に、図1B又は図2Aに図示されるカテーテルの1本以上の駆動ワイヤを引いたり押したりすることにより、全ての湾曲セグメントの1つ以上を作動させることができるので、個別の駆動ワイヤの駆動量に従って各湾曲セグメントの姿勢を個別に制御することができる。更に、操縦可能カテーテル100をその中心長手方向軸Axの周りで能動的に回転させるか又はねじる機構が、追加で設けられてよい。例えば、操縦可能カテーテルの遠位端の回転又はねじれの量を提供するために、まず、1本の駆動ワイヤのみを駆動することによって湾曲セグメントを所望の方向に曲げることができ、次に、異なる駆動ワイヤを操作することにより、或いは、軸Axに関してハンドル200を手動で回転させることにより、操縦可能カテーテルの本体を回転させることができる。
【0045】
図1B図2A図2B及び図2Cでは、各アンカー部材109と各ガイド部材108が、1つ以上のワイヤコンジット104と少なくとも1つのツールチャネル105を有する。これらのコンポーネントは、典型的には、Pebax(登録商標)という商標で販売されているポリエーテルブロックアミドから構成される。カテーテル100の少なくとも一部を覆うアウターシースと、ツールチャネル105の表面を保護するインナーシース(インナーライナ)又はコーティングも、Pebaxから作製することができる。他の周知の医療グレードのプラスチック又は同様の合成物も、ロボットカテーテルのコンポーネントを作製する際に実行可能であり、例えばポリウレタンである。また、近位部102の管状シャフトの典型的な材料としては、例えば任意の適切な数の層を含むことができるポリイミド及び/又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。また、他の材料としては、熱可塑性エラストマー(Pebax(登録商標)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)等)、Pellethane(登録商標)等の熱可塑性ポリウレタン、NuSil(商標)等のシリコーン生体材料が挙げられる。このような材料により、寸法が縮小されたカテーテルや内視鏡等の、柔軟でありながらねじり弾性のある操縦可能器具の製造が可能となる。上記のものと類似の材料を用いて、カテーテル先端120とねじれ防止ハウジング機構150を作製することができる。
【0046】
一実施形態によれば、例えば図2A図2Cに示されるように、操縦可能カテーテル100は約0.14インチの外径(OD)を有してよく、遠位部103は長さがおよそ2.0インチであり、カテーテル100の全長は約24インチである。別のプロトタイプの操縦可能カテーテル100の例示寸法は、外径(OD)約3.3mm、内径(ID)2.4mm、全長約550mmである。更なる例示の実施形態では、プロトタイプの操縦可能カテーテル100は、遠位セクション103の遠位端で約0.087~0.089インチ(又は2.2~2.26mm)の内径(ID)をもつように設計された。そのような小さい直径をもつカテーテル内で流体の吸引及び/又は灌注に十分な間隙を提供するために、イメージングデバイス180(カメラ)は、約0.061インチ(1.55mm)のODを有する。これは、ツールチャネルの内径とカメラの外径の間に約0.028インチ(0.71mm)の間隙が存在し得ることを意味する。
【0047】
従来は、カテーテルの遠位セクション103が能動的に曲げられ、イメージングデバイス180がツールチャネル105の内側に配置されると、カテーテル先端120が、カメラの周りでねじれたり回転したりする可能性がある。これは、操縦機構によって、駆動ワイヤに取り付けられたカテーテルのセクションが曲げられることが原因であるが、イメージングデバイスの周りのカテーテル先端のねじれ又は回転は、曲がりくねった生体構造を通るナビゲーションや、生体構造とカテーテルの外表面との間の摩擦の副産物である。イメージングデバイス180がカテーテル先端120に対してその適切な位置及び向きを維持することを確実にするために、本明細書に開示されるねじれ防止特徴は、カテーテルの先端でイメージングデバイス180をツールチャネル105に着脱可能に係止するように構成される。
【0048】
本開示によれば、カテーテル先端120にねじれ防止特徴を追加して、このようなねじれ防止特徴が、カメラの回転を防止するためにイメージングデバイスとカテーテル体の先端を機械的に連結する手段として機能するようにすることが、有利である。本明細書で用いられる場合、2つ以上のコンポーネントを連結することは、異なるコンポーネントの機能を連係させるために、該2つ以上のコンポーネントを一緒に機械的に係止することを指す。2つ以上のコンポーネントを連結することは、機械的特徴(突起と凹部、キー溝とキーイングタブ、キーホールとピン又はキー等)を重ね合わせたり嵌め合わせたりすることによって、該コンポーネントを互いに機械的に係合させることを指す。一部の実施形態では、2つ以上のコンポーネントを連結することは、該コンポーネントを圧入することによって達成されてよい。
【0049】
<ねじれ防止傾斜路を備えた1部式カテーテル先端>
図3A図3B及び図3Cは、図1A図1Bに示されるカテーテル先端120の異なる図を示す。この実施形態によれば、カテーテル先端120は、カメラ等のイメージングデバイスがツールチャネル105に関して回転することを防止するために、ねじれ防止特徴を含む単一部品コンポーネントである。一実施形態では、操縦可能カテーテル100のカテーテル先端120の内径内部に、傾斜した平坦表面(傾斜路状表面)の形状をしたねじれ防止特徴が形成される。一例の実施形態では、カテーテル先端120全体は、押出成形、又は射出成形、又は積層造形(すなわち3D印刷)、又は類似のプロセスによって、硬質プラスチックから作製することができる。代替の実施形態では、カテーテル先端120は、別個の部品から作製することができる。この場合、例えば、少なくとも非外傷性表面121は、より柔らかいポリマー材料から作製され、或いは潤滑性材料でコーティングされる。また、カテーテル先端120の本体は、操縦可能遠位セクション103の最も遠位のアンカー部材に対して圧入、接着又は溶接される単一のプラスチックチューブから作製される。
【0050】
当然のことながら、ツールチャネル105にねじれ防止特徴を追加することにより、イメージングデバイスとカテーテル本体の内径との間の間隙が潜在的に減少する。更に、ツールチャネル内に形成されたねじれ防止特徴により、灌注及び/又は吸引中にカテーテルを通る流体の流量が潜在的に減少する。更に、ツールチャネル105にねじれ防止特徴を追加する場合に考慮すべき別の問題は、カテーテル本体の柔軟性と曲げ安定性への影響である。このような問題に対処するために、一実施形態によれば、ねじれ防止特徴は、操縦可能セクションには設けられず、操縦可能セクションの遠位端に取り付けられたカテーテル先端120に設けられる。より具体的には、傾斜路状表面125を有するねじれ防止特徴が、最も遠位の湾曲セグメントの前方に取り付けられたカテーテル先端に組み込まれる。言い換えれば、ねじれ防止特徴は、駆動ワイヤや駆動ワイヤ用のコンジットを含まないカテーテル先端に設けられる。このように、カテーテル先端120はその壁に駆動ワイヤとコンジットを含まないので、カテーテルの柔軟性や曲げ安定性に影響を与えることなく、カテーテル先端120の厚さを用いて、ねじれ防止特徴を設けることができる。流量減少の問題に対処するために、ねじれ防止傾斜路状表面125に相補的なほぼ矩形の外形をもつねじれ防止ハウジング機構150は、十分な流量容量を提供するために、最小限のフットプリントで設計される。
【0051】
図3Aはカテーテル先端120の斜視図であり、図3Bはカテーテル先端120の前面図である。図1A図2Cに示されるように、カテーテル先端120は、操縦可能遠位セクション103の管状延在部である。カテーテル先端120は、ツールチャネル105の出力ポート(出口ポート122)として機能する中央開口をもつ丸みを帯びた非外傷性表面121を含む。イメージングデバイス180をカテーテル先端120に係止するために、カテーテル先端120は、カテーテル先端120の内径内に組み込まれた単一の傾斜路状表面125を含む。傾斜路状表面125により、ツールチャネルの開断面積に対する影響が最小限である単純な形状が生み出され、流体の十分な流れが提供され、ねじれ防止特徴を越えて先端から器具を容易に通過させることができる。カテーテルの遠位端の位置と向きをトラッキングし、かつ/又は、イメージングデバイス180の向きをトラッキングするために、カテーテル先端120は、傾斜路状表面125に関して既知の位置及び向きにEMセンサ190(又は他のタイプのトラッキングマーカ又はフィデューシャル)を含む。例えば、図3Aでは、傾斜路状表面125は、EMセンサ190に対してわずかに遠位に位置付けられ、EMセンサ190から約90度に方向付けられる。このように、イメージングデバイス180がカテーテル先端120に挿入されるとき、ねじれ防止特徴が、カメラとカテーテル先端の相対的な位置及び向きを実質的に変化しないように維持する間に、システムは、カメラの位置及び向きを容易にトラッキングすることができる。
【0052】
図3Bは、出口ポート122の小さなセクション(円弧)に傾斜路状表面125を成形できることを示す。より具体的には、出口ポート122は、ツールチャネル直径にほぼ対応する直径D1をもつ円形断面を有する開口である。そして、円形断面の一部(円弧)内の直径D1の内側に、傾斜路状表面125が形成される。例えば、傾斜路状表面125は、出口ポート122を画定する円の約10~30度の円弧に成形することができる。ただし、傾斜路状表面は平坦なので、表面そのものは円弧であることに指定されない。むしろ、平坦面は、器具がカテーテルから出るための先端を通る最小限の通路を維持しながら、円の円弧を占めるのに十分な程度に、カテーテル先端の内径に延在する必要がある。一実施形態では、図2Bに示されるように、カテーテル先端120の内径の直径D1は、約2.2mmであってよい。傾斜路状表面125は、約2mmの開口又は通路D1-Rを提供するように、直径D1の内側に約0.2mmの距離Rに形成される。
【0053】
図3Cは、カテーテル先端120の断面A-Aに沿った断面図を示す。図示されるように、カテーテル先端120は、1部式コンポーネントとして形成することができるが、2つの別個のセクション、すなわち、傾斜路状表面125が形成される第1のセクション120Aと、傾斜路状表面が形成されない第2のセクション120Bとを有することができる。このような2つのセクションは、傾斜路状表面125の作製を最適化し、カテーテル先端120に対するイメージングデバイス180の係止/係止解除を容易にし、ツールチャネル105の開断面への影響を最小限に抑えるような寸法をもつ。一実施形態では、第1のセクション120Aの長さは約2mmであってよく、第2のセクション120Bの長さは約6mmであってよい。更に、第1のセクション120Aは直径D1(約2.2mm)を有し、第2のセクション120Bは、より大きな直径D2(約2.6mm)を有してよい。第2のセクション120Bの直径D2により、インナーライナ106(インナーシース)のための空間を確保することができる。インナーライナ106は、操縦可能遠位セクション103の全長に沿ってツールチャネル105内に配置されてよく、また、最も遠位のアンカー部材109から遠位先端120の内径に突出することになる。このように、インナーライナ106により、ねじれ防止特徴(傾斜路状表面125)と容易に位置合わせされるように、イメージングデバイス180の挿入が容易になる。
【0054】
傾斜路状表面は、カテーテル先端120の遠位端又はその付近から始まって長さ方向に形成され、カテーテルの遠位端から近位に向かう方向にテーパ状になっている。より具体的には、傾斜路状表面125は、カテーテル軸Axに平行な面に関して角度シータ(θ)を成して形成された傾斜した平坦面であり、角度シータは、傾斜路状表面125がカテーテルの遠位端から近位端に向かって延びるにつれて大きくなる。例えば、図3B及び図3Cに示されるように、カテーテル先端の遠位端では、傾斜路状表面125により、出口ポート122の断面がD1から第1の寸法D1-Rまで小さくなる。そして、傾斜路状表面125が遠位端から近位端に向かって延在するにつれて、ツールチャネル105の断面は、その全直径D1まで大きくなる。更に、カテーテル先端の残りのセクションには駆動ワイヤ用のコンジットがないので、カテーテル先端120の内径は、第1の寸法D1よりも大きい第2の寸法D2まで大きくすることができる。
【0055】
言い換えれば、成形性を高め、カテーテル先端120とイメージングデバイス180(例えば軟性ビデオスコープ)のアウターハウジングとの間のレジストレーションを容易にするために、傾斜路状表面125は、カテーテルの長さ方向にテーパ状になっている/抜き勾配がある。成形された傾斜路状表面125により、ツールチャネルに関してイメージングデバイスの位置及び向きを係止しながら、ツールチャネル105の管腔サイズ/断面積を最小限にするように設計されたねじれ防止特徴が形成される。イメージングデバイスがカテーテル先端120に挿入されると、イメージングデバイスの連結特徴は、十分な回転安定性をもたらす程度に安定する。また、イメージングデバイスがカテーテル先端120に挿入されると、傾斜路状表面125により、実質的な力がなくても、カテーテル先端120からのイメージングデバイスの係合解除も容易になる。更に、イメージングデバイスがカテーテル先端120に挿入されると、傾斜路状表面125は、イメージングデバイスが出口ポート122を越えて誤って突出(移動)することを防止することができる。
【0056】
以上の記載から、概して、カテーテル先端120は、長さ方向に2つの別個のセクション、すなわち、傾斜路状表面125が形成される第1のセクション120A(遠位成形セクション)と、傾斜路状表面が形成されない第2のセクション120B(近位成形セクション)とを有することができる。第1のセクション120Aの長さは、第2のセクション120Bの長さとは異なる(例えば、第2のセクション120Bの長さは、第1のセクション120Aの長さの約3倍である)。また、第1のセクション120Aの直径D1は、第2のセクション120Bの直径D2とは異なる(例えば直径D2は約1.3×D1である)。傾斜路状表面125は、カテーテル軸Axに平行な面に関して角度シータ(θは約45度である)を成して直径D1の内側に形成された傾斜した平坦面であり、角度シータは、傾斜路状表面125がカテーテルの遠位端から近位端に向かって延びるにつれて大きくなる。
【0057】
カテーテル先端120の内側に傾斜路状表面125を設けることに加えて、カメラハウジングの断面積及び容積は、流体の流量を最適化するように最小限に抑えることができる。より具体的には、カメラハウジングは、ツールチャネルの妨害を最小限に抑えるために、実質的に楕円形の断面を有するように構成することができる。更に、カメラハウジングには、カテーテル先端120に対するイメージングデバイスの係止/係止解除を更に改善するために、傾斜路状表面125と相補的な平坦な側面が設けられる(図7A図7Bを参照)。
【0058】
<ねじれ防止傾斜路を備えた2部式カテーテル先端>
図4A図6Cは、2つの別個の部品から成るカテーテル先端120(2部式カテーテル先端)の実施形態を図示する。2部式のカテーテル先端120は、複数の方法で実装することができる。図4Aは、2部式カテーテル先端120を図示し、第1のセクション120Aは、その近位端から突出するピン127を含み、第2のセクション120Bは、その遠位端に、第1のセクション102Aのピン127に接続する穴124を含む。ピン127は、第1のセクション120Aと一体形成される(一体部品である)。例えば、第1のセクション102Aは、ピン127とともに成形される。第2の部分120Bの遠位端は、駆動ワイヤ110をカテーテル先端120に取り付ける(圧着する)ためのアンカー116を有する。図4Bは、2部式カテーテル先端120を図示し、第2のセクション120Bは、その遠位端から突出するピン129を含み、第1のセクション120Aは、その近位端に、第2のセクション120Bのピン129に接続する穴128を含む。ピン129は、第2のセクション120Bと一体的に形成されることが好ましい。例えば、第2のセクション102Bは、その遠位端のピン129と、その近位端のアンカー116用の穴を備えるように成形される。第2の部分120Bの遠位端のアンカー116は、図4A図4Dの全ての実施形態に見られるように、駆動ワイヤ110をカテーテル先端120に取り付ける(圧着する)ためのものである。
【0059】
図4Cは、2部式カテーテル先端120を図示し、第1のセクション120Aは、その近位端に穴128を含み、第2のセクション120Bは、その近位端から遠位端まで延びるスルーホール穴124(コンジット)を含む。アンカー116は、第1のセクション120Aの穴128に配置され、第2のセクション120Bのスルーホール124まで延在する。アンカー116は、第2のセクション120Bを第1のセクション120Aに接続し、また、カテーテル先端120の第2のセクション120Bに駆動ワイヤ110を取付ける(圧着する)ために用いられる。このように、駆動ワイヤ110用の長いアンカー116は、第1のセクション120Aを第2のセクション102Bに接続する“ピン”になる。図4Bによれば、第1のセクション120Aは、傾斜路状表面125を有し、突出ピン127を有さないように作製することができる。第2のセクション120Bは、カテーテル軸Axに関して対称な直線状の円筒状管を用いて作製することができる。
【0060】
この変形実施形態では、第1のセクション120Aは、カテーテル先端120の内径D1を囲む穴128を含むことができる。そして、第1のセクション120Aと第2のセクション120Bが組み立てられると、第2のセクション120Bを通して駆動ワイヤ110を挿入して、第1のセクション120A内まで前進させて、長いアンカー116によって圧着することができる。この変形実施形態では、カテーテル先端120の両セクション(第1のセクション120Aと第2のセクション120B)に駆動ワイヤ110を圧着できるように、第1のセクション120Aと第2のセクション120Bの両方に、アンカー116を通すスルーホールを設けることができる。この場合、第1のセクション120Aは、駆動ワイヤ110の数と1対1対応する数のアンカー116によって、第2のセクション120Bに取り付けられる。
【0061】
図4Dは、2部式カテーテル先端120を図示し、第1のセクション120Aは、その近位端に穴128を含み、第2のセクション120Bは、その遠位端に穴124を含む。この場合、専用ピン130は、第1のセクション120Aを第2のセクション120Bに接続するために用いられる。第1のセクション120Aの穴128と、第2のセクション120Bの穴124は、専用ピン130によって位置合わせされ、1対1対応で接続される。第2のセクション120Aは、その近位端に、駆動ワイヤ110をカテーテル先端120に1対1対応で取り付ける(圧着する)ためのアンカー116を含む。ここで、留意すべきこととして、カテーテル先端をカテーテル本体に取り付けるために用いられる駆動ワイヤの数とは異なる数のピンを用いて、第1のセクション120Aを第2のセクション120Bに取り付けることができるので、図4Bの場合を除き、ピン(127、130)の数と駆動ワイヤ110の数は、必ずしも互いに等しくない。図4A図4Dの実施形態のいずれかでは、第2の円筒状セクション120Bは、図3Cに示されるように、ツールチャネルに沿ってカテーテル先端からカテーテル本体まで延在するインナーライナを含む。実際、当業者には当然のことながら、図3C図4A図4B図4C及び図4Dに示される遠位先端120の実施形態は実質的に類似するので、傾斜路状表面125及び実質的に矩形のハウジング150によって提供されるねじれ防止特徴が維持される限り、これらの実施形態は、過度の実験を行うことなく、交換可能に組合わせ及び/又は変更することができる。
【0062】
図5A図5B及び図5Cは、図4Aに示される実施形態に対応する2部式カテーテル先端120の等角図を示す。図5Aは、第1の円筒状セクションである第1のセクション120Aを図示し、当該セクションは、直径D1の中央開口と、当該セクションの近位端から長さ方向に突出しているピン127とを備える。図5Bは、第2の円筒状セクションである第2のセクション120Bを図示し、当該セクションは、直径D2の中央開口と、第2のセクション120Bの壁に沿って遠位端に設けられた複数の穴124とを備える。
【0063】
この実施形態によれば、第2のセクション120Bは、直径D2の中央開口を有するように形成された円筒状管であり、中央開口周りの管の壁には、複数の穴124が形成されている。一方、第1のセクション120Aは、非外傷性遠位表面121と、ツールチャネル105用の出口ポートとして機能する直径D1の中央開口とを有するように形成される。傾斜路状表面125は、第1のセクション120Aのみに形成される。この実施形態では、第1のセクション120Aは、カテーテルの近位端に向かって長さ方向に突出する1つ以上のピン127を含む。第2のセクション120Bの遠位端の穴124は、その中にピン127が収まるように構成される。アンカースリーブ又はアンカー116は、第2のセクション120Bの近位端において駆動ワイヤ110を固定するために、第2のセクション120Bの壁に埋め込まれる。
【0064】
図5Cは、第1のセクション120Aが第2のセクション120Bと組み立てられている2部式カテーテル先端120の側面図を示す。組立ては、例えば、第1のセクション102Aの1つ以上のピン127を第2のセクション120Bの穴124に圧入したり、接着剤で接着したり、溶接したりすることによって行うことができる。更に、駆動ワイヤ110を挿入し、第2のセクション120Bに固定することができる。この実施形態では、ピン127は、第1のセクション120Aと一体形成され、第2のセクション120Bの遠位端の穴124に直接、接着剤で接着したり、超音波溶接やレーザ溶接をしたり、圧入したりすることができる。一方、駆動ワイヤ110は、第2のセクション120Bの近位端から遠位端への方向に挿入され、第2のセクション120の長さに沿った1つ以上の場所でアンカー116に圧着される。例えば、図5Cに示されるように、第1のセクション120Aに非常に近い第1の圧着点115Aと、第2のセクション120Bの近位端付近の第2の圧着点115Bにおいて、駆動ワイヤ110を圧着することができる。当業者には当然のことながら、ピン127と駆動ワイヤ110は、図5Cに示されるように、第2のセクション120Bの異なる端部から別々の穴124に挿入することができる。或いは、穴124が、第2のセクション120Bの近位端から遠位端まで延在するスルーホールである場合、第2のセクション120Bの同じコンジット又はスルーホール124の一端からピン127を挿入し、他端から駆動ワイヤ110を挿入して、機械的に固定することができる。
【0065】
図6A図6B及び図6Cは、図4Dに示される実施形態に対応する2部式カテーテル先端120の等角図を示す。図6Aは、第1の円筒状セクションである第1のセクション120Aを図示し、当該セクションは、直径D1の中央開口と、当該セクションの近位端から遠位端まで長さ方向に第1の円筒状セクションの壁に形成されたスルーホール128とを備える。図6Bは、第2の円筒状セクションである第2のセクション120Bを図示し、当該セクションは、直径D2の中央開口と、第2のセクション120Bの壁に沿って遠位端に形成された穴128に圧入される複数のピン130とを備える。この実施形態では、第1のセクション120Aは、先の実施形態に記載されたような傾斜路状表面125を有する。この実施形態における顕著な違いは、第1のセクション120Aがピン127を含まないことであり、代わりに、第1のセクション102Aは、円筒状セクションの壁に形成された穴128を有する。ここで、穴128は、近位端から形成され第1のセクション102Aの遠位端に到達しない“止まり穴”であり、或いは、穴128は、近位端から遠位端まで延在する管状体の壁に形成されたスルーホールであってよい。この点に関して、図6Aの第1のセクション120Aは、図4C及び図4Dに示される実施形態に等しく適用される。図6B及び図6Cに示される第2のセクション120Bは、図4Dに示される実施形態を更に正確に表現する。すなわち、図6Bの第2のセクション120Bの遠位端に圧入されるピン130は、遠位成形先端を近位成形先端に接続するための専用ピンである。一方、図4Cの実施形態では、第2のセクション120Bの壁を通るアンカー116は、カテーテル先端120の第2のセクション120Bに対して第1のセクション120Aの位置合わせ及び取付けを行うために用いられる“ピン”となる。
【0066】
言い換えれば、カテーテル先端120が2部式コンポーネントである場合、カテーテル先端は、2つの物理的に別個の部品から成る。2つの別個の部品には、遠位端から近位端へ向かう方向に配置された第1の円筒状セクション(第1のセクション102A)と第2の円筒状セクション(第2のセクション120B)が含まれる。2部式カテーテル先端120の全ての実装において、第1の円筒状セクションは、その内径に傾斜路状表面125を有し、第2の円筒状セクションは、中空インナーコアを有し、また、当該セクションの壁に、当該セクションの近位端に取り付けられる複数の駆動ワイヤのためのコンジットを有する。第1の実装では、第1の円筒状セクションは、その近位端から突出する一体形成されたピン127を有する。第2、第3及び第4の実装では、第1の円筒状セクションは、その近位端から遠位端に向かって壁に沿って形成された穴124を有する。穴124は、第1の円筒状セクションの近位端のみに形成された“止まり穴”であってよく、或いは、第1の円筒状セクションの近位端から遠位端まで延在するスルーホール(コンジット)であってよい。第1の実装では、第2の円筒状セクションは、その遠位端に、第1の円筒状セクションのピン127と接続する穴124を含む。第2の実装では、第2の円筒状セクションは、第1の円筒状セクションの穴128と接続するための、当該セクションの遠位端から突出する一体化したピン129を含む。
【0067】
第3の実装では、第2の円筒状セクションは、近位端から遠位端まで延在する壁に沿って形成されたスルーホール124を有する。第1の円筒状セクションの穴128と、第2の円筒状セクションの穴124には、長いアンカー116(第1のセクション120Aを第2のセクション120Bに接続するための“ピン”として機能する)が配置される。第4の実装では、第2の円筒状セクションは、その遠位端に、第1の円筒状セクションを第2の円筒状セクションに接続する専用ピン130と接続する穴124を含む。この実装では、専用ピン130は、第1のセクション120A及び第2のセクション120Bとは別に作製される。有利な点として、専用ピン130は、放射線不透過性材料から作製することができ、遠位先端120の位置の決定に用いることができる。
【0068】
カテーテル先端120を2つの別々の部品から作製し、第1のセクション120Aが駆動ワイヤ用の最も遠位のアンカーになることにより、カテーテル先端120の全体の剛性長さが短くなる。一実施形態では、カテーテル先端120が1部式コンポーネントであり、駆動ワイヤがカテーテル先端120に取り付けられない実施形態に比べて、カテーテル先端120の剛性長さを2.0mmも短縮することができる。ここで留意すべきこととして、カテーテル先端の2部式構造は、必ずしも、剛性長さの短縮が達成される唯一の理由ではない。成形先端と駆動ワイヤ用の別個の遠位アンカーを有するのとは対照的に、成形カテーテル先端の近位セクションに作動ワイヤが埋め込まれるということによって、カテーテル先端の剛性長さの短縮が達成される。したがって、駆動ワイヤが1部式カテーテル先端120の近位セクションに直接取付けられる場合は、係る実施形態においても、剛性長さの少なくともある程度の短縮を達成することができる。
【0069】
2部式カテーテル先端120は、カテーテルのナビゲーション性能を向上させることもできる。カテーテル先端120を2つの部分に分けることにより、第1の円筒状セクション及び/又は第2の円筒状セクションにスルーホールを形成することができるので、成形時にコアピンを支持するための窓が不要となる。具体的には、成形部品を作製する成形工程において、成形部品に止まり穴が追加される場合、空洞内にコアピンが支持なく浮いていることになる。浮いているピンは射出時に歪む可能性が高いので、コアの端部を支持する必要がある。このような支持には、成形部品に開口(すなわち窓)を形成する金属特徴が鋳型に必要となる。一方、2つの別々の部品によって遠位先端が形成される場合、各部品を別々に成形できるので、成形工程中に開口(窓)が形成されない。
【0070】
また、2つの部品からカテーテル先端を作製することにより、図3Cに示されるように、第1のセクション120Aをインナーライナ106に取り付けることが容易になる(アクセスしやすくなる)。具体的には、図3Cを参照すると、インナーライナ106は、操縦可能遠位セクション103の内径と、カテーテル先端120の第2のセクション120Bを通して配置される。カテーテル先端120が2つの別々の部品から作製される場合、インナーライナ106を第1のセクション120Aまで延ばすことができる。
【0071】
第2のセクション120Bを最も遠位のアンカーとすることにより、より長いチューブアンカー116を使用することができ、カテーテル先端に駆動ワイヤ110を取り付けるための複数のフル(ダブル)クリンプのための十分な空間が得られる。例えば、図5Cに示されるように、各駆動ワイヤは、第1のクリンプ115A及び第2のクリンプ115Bによって取り付けることができる。2重のクリンプで駆動ワイヤを第2のセクション120Bに取り付けることにより、ねじれ効果に対して回復力の高いカテーテル先端を得ることができる。例えば、ダブルクリンプによって、ワイヤに対するアンカーの引張強度を50+Nにすることができる。ちなみに、図4Dに示される変形の2部式カテーテル先端では、第1のセクション120A及びセクション120Bに駆動ワイヤが圧着されるときに更に高い引張強度を提供することができる。
【0072】
単一部品のカテーテル先端を用いると、インナーライナ106の端部に成形先端が置かれ(図3Cに示されるように)、これは、先端の座ぐりに収まるように精確な長さにカットする必要がある。そして、接着のために、先端の近位側(右)に接着剤を塗布することしかできない。一方、2部式カテーテル先端では、第2のセクション102Bをインナーライナ上に配置し、両側に接着剤を塗布してから、成形部品と面一になるようにインナーライナを切り取ることができる。その後、インナーライナに接着された第2のセクション120Bに、先端の第1のセクション120Aを取り付けることができる。したがって、2部式カテーテル先端は、(1部式カテーテル先端と比べて)追加の組立てステップを必要とする場合があるが、2部式の実施形態では、引張強度が高くなり、カテーテル先端120の剛性長さを短縮することができる。
【0073】
2部式カテーテル先端120の更なる利点は、カテーテル本体を保護するためのアウターライナ(図示なし)に適合するように、第2のセクション120の外径を寸法決定できることである。図5C及び図6Cでは、例えば、第1のセクション120Aの外径(OD1)は、第2のセクション120Bの外径(OD2)よりもわずかに大きい。このような外径OD1>OD2の差により、第2のセクション120Bの周囲に、アウターライナ又はアウターシースが配置及び固定される小さな空間が形成される。
【0074】
<ねじれ防止ハウジング機構>
7Aと図7Bは、内視鏡カメラ(イメージングデバイス180)に取り付けられ、ツールチャネル105を通して挿入されてカテーテル先端120と係止されるように構成されたねじれ防止ハウジング機構150を示す。有利な点として、ねじれ防止ハウジング機構150は、カテーテル先端120の開口に組み込まれた傾斜路状表面125に相補的な少なくとも1つの表面を有する実質的に矩形の本体に成形される。図7Aは、ねじれ防止ハウジング機構150の正面図を示し、図7Bは、断面B-Bに沿った断面図を示す。図7A及び図7Bに示されるように、ねじれ防止ハウジング機構150は、ツールチャネル105に収まり、カテーテル本体を通ってカテーテル先端120まで進むように構成されたケーシング又はシャシ構造である。ねじれ防止ハウジング機構150がカテーテル先端120に挿入されると、ハウジング機構150は、イメージングデバイスを回転させずに、イメージングデバイス180を所定の向きに保持することになる。
【0075】
ねじれ防止ハウジング機構150は、イメージングデバイス180を包囲し、所定の向きに保持するように構成された管状部材である。ハウジング機構150は、遠位端151と近位端156の間に長さ方向に含まれる第1の管状セクション154と第2の管状セクション155から形成され、該セクション間には中空空間がある(図7Bに示されるように)。第1の管状セクション154の長さL1は、第2の管状セクション155の長さL2とは異なる。一実施形態では、長さL1は約3.5mmであり、長さL2は約1.5mmである。言い換えれば、第1の管状セクション154の長さは、第2の管状セクション155の長さの約2.33倍である。更に、第1の管状セクション154の断面寸法(例えば直径)は、第2の管状セクション155の断面寸法とは異なる。
【0076】
遠位端151の断面は、少なくとも1つの平坦な側面153と1つ以上の湾曲面152(図7A参照)を有する実質的な矩形である。湾曲面152は、小径Dn及び大径Dmを有する楕円Eによって画定される。一実施形態では、小径Dnは約1.8mmであり、大径Dmは約2.5mmである。大径Dmは、ツールチャネル105の直径D2(カテーテル100の内径)にほぼ等しい。平坦な側面153は、カテーテル軸Axに平行な面に沿って長さ方向に形成されるので、平坦面153は、大径Dmの方向に垂直である。言い換えれば、第1の円筒状セクション154は、実質的に楕円状の円筒内に収まり、該楕円状円筒の1つの平坦な側面153は、楕円状円筒の狭い側に沿って長さ方向に延びている。
【0077】
近位表面156の断面は、直径D4の円Cに収まる連続した湾曲面によって画定される。一実施形態では、円Cの直径D4は、約1.6mmである。言い換えれば、第2の円筒状セクション154は、第1の円筒状セクション(楕円状円筒)の一端から、直径D4の円Cに収まる近位表面156まで延在する円錐状円筒である。直径D4は、処置中の流体の十分な流量を可能にするために、ツールチャネル105の内径よりもかなり小さくてよい。例えば、一実施形態では、ツールチャネル105は約2.5mmの直径を有してよく、ねじれ防止ハウジング機構の近位端での直径は、約1.5mmである。
【0078】
ねじれ防止ハウジング機構150は、少なくとも1つの平坦な側面がツールチャネルの長さ方向に延びている概ね矩形のハウジングである。遠位端151において、実質的に矩形のハウジングは楕円Eに収まり、近位端156において、実質的に矩形のハウジングは円Cに収まる。少なくとも1つの実施形態では、遠位端151において、ねじれ防止ハウジング機構150は、楕円の(湾曲した)表面152と、2つ以上の平坦な側面とを有し得る。例えば、図7Aでは、平坦な側面153は、第1の平坦面153A(図7Aの上部)及び第2の平坦面153B(図7Aの下部)を含み得る。楕円の長軸に沿う方向に取った実質的に矩形のハウジングの寸法“ds”は、一端(頂点)から、頂点の反対側の大体の焦点までで画定される。一例では、距離dsは、約1.5mm~1.6mmである。
【0079】
近位端156では、第2の管状セクション155の外表面が直径D4の円Cに収まるような形で、ねじれ防止ハウジング機構150が円形又は楕円形の断面を有する。したがって、当然のことながら、ねじれ防止ハウジング機構150は、少なくとも1つの平坦な側面153をもつ実質的に矩形の形状をもつことができ、少なくとも1つの平坦な側面153は、ハウジング機構150の外表面をカテーテル先端120の傾斜路状表面125と係止するように構成される。更に、少なくとも1つの平坦な側面153は、ハウジング機構150の内表面をイメージングデバイス180と係止するように構成される。
【0080】
本明細書に開示されるねじれ防止ハウジング機構150は、薄い金属シート及び/又は細い金属管(例えばハイポチューブ)から作製されてもよいし、又は、細いワイヤやファイバで強化された成形塑性押出品であってもよい。ねじれ防止特徴150の材料厚は、比較的小さい(薄い)必要があり、これにより、ハウジング機構は、ツールチャネルの断面積を最小限に抑えるのみであり、よって、流体の流れを最適化することができる。ただし、材料厚か過度に小さい(薄すぎる)場合、ねじれ防止ハウジング機構150が歪んだり曲がったりして、多少のねじれが発生するおそれがある。したがって、当業者であれば、曲げや潰れの可能性を低減するために材料厚を増すことと、流体の流れを最適化するために材料厚を減らすこととのバランスを見つける努力をするであろう
【0081】
図8A図8Bは、カテーテル先端120に挿入されたねじれ防止ハウジング機構150の前面図と、断面図C-Cに沿った断面図を示す。ねじれ防止ハウジング機構150は、カテーテル先端120に関してイメージングデバイス180を所定の向きに維持するように構成される。図6Aに示されるように、例えば、y軸が重力方向と一致し、z軸がカテーテル軸Axと一致し、x軸がイメージングデバイス180の側面と一致する所定の向きで、イメージングデバイス180をねじれ防止ハウジング機構150に取り付けることができる。少なくとも1つの実施形態では、イメージングデバイス180は、電子制御盤及び照明光学系(発光ダイオード及び/又は光ファイバ等)とともに、小型のCMOSセンサやCCDカメラを含むことができる。
【0082】
ねじれ防止ハウジング機構150は、カメラの矩形形状を収める(受け入れる)ための少なくとも1つの平坦な側面153を含み、カテーテル先端のねじれ防止特徴(傾斜路状表面125)は、より一貫してカメラ及びカテーテル先端の向きを維持する。したがって、ねじれ防止ハウジング機構150がカテーテル先端120に挿入されると、処置全体を通して、カメラFOVの向きがコントローラのナビゲーション入力により良好に対応するようになるので(すなわち、右コマンドが右の移動及び表示に対応し、上コマンドが上の移動及び表示に対応する等)、より直感的なナビゲーションが可能となる。また、ねじれ防止特徴のフットプリントが小さいので、カメラを除去することなく、流体を十分に流すことができる(例えば吸引と灌注)。
【0083】
図8Bは、カテーテル先端120においてねじれ防止ハウジング機構150のハウジング部分内に保持されるとともに、傾斜路状表面125によってツールチャネルに連結されたカメラ180の断面図を図示する。図8Aに示されるように、ハウジング機構150は、平坦な側面153及び湾曲面152を含む。湾曲面152は、楕円Eに収まる。楕円Eの小径Dnの寸法は、ハウジング機構150の外表面がツールチャネル105の内径よりも小さくなるように決定される。これにより、ツールチャネル105とハウジング機構150の間に間隙105A、105Bが生じる。この間隙105A、105Bにより、特定の手順中にカメラを除去することなく、流体の灌注及び/又は吸引にツールチャネル105が十分な流量を維持できることが保証される。
【0084】
再び図1B及び図3Aを参照すると、カテーテル先端120は、傾斜路状表面125に関して所定の位置及び/又は向きに配置された1つ又は複数の電磁(EM)センサ190を含み得る。EMトラッキングシステム(図示なし)等のトラッキングシステムは、カテーテル先端120及び/又はイメージングデバイス180(カメラ)の位置及び/又は向きをトラッキングすることができる。アクティブトラッキングは、例えば、米国特許第6380732号(あらゆる目的で参照により本明細書に援用される)に記載されるような術中イメージングによって実施することができる。
【0085】
図8Bに示されるように、ねじれ防止ハウジング機構150は、イメージングデバイス180を、光ファイバ及び/又は電気ケーブル182等の他のコンポーネントと一緒に包囲することができる。このようなケーブル182を用いて、カメラ及び/又はEMセンサ190を、操縦可能カテーテル100の外側(例えばハンドル内)に配置された電子回路に電気的に接続することができる。更に、カメラによるイメージング時の管腔80の照明用に、光ファイバを用いることができる。したがって、軟性ケーブル束184がハウジング機構150に取り付けられてよく、ケーブル束184は、一緒に配線されてツールチャネル105を通る光ファイバ及び/又は電気ケーブル182を包含することができる。カメラ180は、繊細な電気ケーブル182によって電力供給され、繊細な光ファイバ(例えば照明用)も含み得るので、ツールチャネル内でのカメラの回転は非常に望ましくない。しかしながら、軟性ビデオスコープを1つ以上のエンドエフェクタツールと容易に交換するために、カメラは、カテーテル軸Axに沿った線形運動L2により、ツールチャネル105を通して迅速に展開及び引戻しできることが有利である。この点について、傾斜路状表面125は、平坦な側面152を有するねじれ防止ハウジング機構150と協働して、適切な画像方向と十分な流体流量を維持しながら、イメージングデバイス180の迅速な展開及び引戻しを容易にする。
【0086】
様々な実施形態によれば、傾斜路状表面125は、ねじれ防止ハウジング機構150の平坦な側面153と容易に係合できるので、ツールチャネルに関するイメージングデバイス180(カメラやビデオスコープ)の回転を防止するのに十分な力を提供する。ねじれ防止特徴(傾斜路状表面125とねじれ防止ハウジング機構150)は、カメラの位置及び向きを実質的に変えることなく維持するだけでなく、イメージングデバイスの電気接続及び/又は光学接続を損傷及び/又は切断から保護する。更に、ねじれ防止ハウジング機構150は、カテーテル先端120を強化する。更に、傾斜台状表面125のテーパ状成形特徴により、カテーテル先端120とビデオスコープカメラの間のレジストレーションが容易になるであろう。
【0087】
MCRは、カテーテル体の全体的な外形を増大させることなくねじれ防止特徴を介してカテーテル先端と連結する、着脱可能なカメラを有する。ねじれ防止特徴により、カテーテル先端に関するカメラの向きがより一定に保たれ、また、手順全体を通してカメラ視野がナビゲーション入力により良好に対応するので(すなわち右の制御入力が右の動作に対応し、上の制御入力が上の動作に対応する等)、より直感的なナビゲーションが可能となる。また、該特徴により、カメラを取り外すことなく吸引及び灌注を実行することができる。また、画像ガイダンス中、カメラとカテーテル内壁の間の隙間を効率的に用いて、カメラビューを遮っている身体物質(例えば粘液)を除去するための流体(例えば水やガス)も供給/除去されるので、この特徴は重要である。
【0088】
本明細書に開示されるねじれ防止特徴の様々な実施形態は、軟性ビデオスコープを含む医用連続体ロボット(MCR)カテーテルシステムに適用可能であるとして記載されている。しかしながら、本開示はこれに限定されない。内視鏡画像を実質的に変化させずに維持する必要のある内視鏡システムは、本明細書に開示されるねじれ防止特徴を実装することができ、その恩恵を受けることができる。
【0089】
本明細書に開示されるねじれ防止特徴の有意な効果を最適化するための一部の検討事項としては、以下が挙げられる:カテーテルの遠位先端が、それに成形され得る特徴を包含し、カテーテル先端120と軟性ビデオスコープのねじれ防止ハウジング機構との間の連結として機能する;傾斜路状表面の成形特徴が、ねじれ防止ハウジングと容易に係合して、遠位先端をビデオスコープと連結する;先端とビデオスコープの間のより簡単なレジストレーション(結合)を可能にするように、成形特徴をテーパ加工/抜き加工することができる;成形特徴は、ツールチャネルのルーメンサイズ/断面積を最小限に抑えるように設計される;ねじれ防止特徴は、ビデオスコープの遠位端に恒久的に取り付けることができる;ビデオスコープ上のねじれ防止特徴は、画像の向きを実質的に変えずに維持するのに十分な回転安定性を提供するのに十分な安定性をもつ;ねじれ防止特徴の断面積及び総体積は、ビデオスコープイメージングデバイスを取り外すことなく流体流量を最適化するように、最小化される。
【0090】
本開示は、前述の検討事項、特徴及び利点に限定されない。本開示のいくつかの態様(具体的には25の態様)は、請求項の番号1~25のリストに記載される。追加の態様は以下を含むが、限定されるものではない:
【0091】
態様26:1つ以上の駆動ワイヤを介して作動部によって作動されるように構成された操縦可能カテーテルであって、操縦可能カテーテルは、以下を備える:カテーテル本体であって、カテーテル軸に沿って当該カテーテル本体の近位端から遠位端まで延びるツールチャネルを有するカテーテル本体;及び、カテーテル本体の遠位端に取り付けられるカテーテル先端であって、ツールチャネルを通して挿入されたイメージングデバイスの実質的に矩形のハウジングと嵌合するように構成されたカテーテル先端。ツールチャネルは、カテーテル軸を中心とするツールチャネル直径を有し、カテーテル先端は、カテーテル軸に沿って長さ方向にツールチャネルとアライメントされる開口を有し、カテーテル先端は、カテーテル軸に平行な面に関して角度を成して開口内部に形成された傾斜路状表面を含み、該角度は、傾斜路状表面がカテーテル先端の遠位端から近位端に向かって延びるにつれて大きくなる。
【0092】
態様27。態様26に係る操縦可能カテーテルであって、カテーテル先端は、遠位端から近位端への順番で、第1の円筒状セクション及び第2の円筒状セクションを含み、第1の円筒状セクションは内径及び外径を有し、第2の円筒状セクションは内径及び外径を有する。
【0093】
態様28。態様27に係る操縦可能カテーテルであって、第1の円筒状セクションの内径の寸法は、第2の円筒状セクションの内径の寸法とは異なり、第1の円筒状セクションの外径の寸法は、第2の円筒状セクションの外径の寸法とは異なる。
【0094】
態様29。態様29に係る操縦可能カテーテルであって、第2の円筒状セクションの内径に寄せて配置されるとともに、ツールチャネル直径を通ってカテーテル本体の近位端に向かって延びるインナーライナと、第2の円筒状セクションの外径に寄せて配置されるとともに、カテーテル本体の外面を通ってカテーテル本体の近位端に向かって延在するアウターライナと、を更に備える。
【0095】
態様30。態様26に係る操縦可能カテーテルであって、第1の円筒状セクションと第2の円筒状セクションは、1部式コンポーネントとして製造される。
【0096】
態様31。態様26に係る操縦可能カテーテルであって、第1の円筒状セクションと第2の円筒状セクションは、2部式コンポーネントとして製造される。
【0097】
態様32。態様31に係る操縦可能カテーテルであって、第1の円筒状セクションは、その近位端において一体形成された複数のピンを含み、第2の円筒状セクションは、その遠位端に複数の穴を含むとともに、第2の円筒状セクションの近位端から遠位端への方向に第2の円筒状セクションの壁に沿って挿入される複数のアンカーを含み、第2の円筒状セクションの遠位端の複数の穴は、第1の円筒状セクションの複数のピンに1対1対応で接続するように構成され、第2の円筒状セクションの複数のアンカーは、操縦可能カテーテルの1つ以上の駆動ワイヤに接続するように構成される。[図4A
【0098】
態様33。態様31に係る操縦可能カテーテルであって、第1の円筒状セクションは、その近位端から遠位端への方向に形成された複数の穴を含み、第2の円筒状セクションは、その遠位端に一体形成され第1の円筒状セクションに向かって突出する複数のピンを含むとともに、第2の円筒状セクションの近位端から遠位端への方向に第2の円筒状セクションの壁に沿って挿入される複数のアンカーを含み、第1の円筒状セクションの近位端の複数の穴は、第2の円筒状セクションの複数のピンに1対1対応で接続するように構成され、第2の円筒状セクションの複数のアンカーは、操縦可能カテーテルの1つ以上の駆動ワイヤに接続するように構成される。[図4B
【0099】
態様34。態様31に係る操縦可能カテーテルであって、第1の円筒状セクションは、その近位端から遠位端への方向に形成された複数の穴を含み、第2の円筒状セクションは、その遠位端から近位端まで延在して第2の円筒状セクションの壁に沿って形成された複数のスルーホールを含み、第1の円筒状セクションが複数のアンカーによって第2の円筒状セクションに接続されるように、複数のアンカーが、第2の円筒状セクションのスルーホールに沿って、第1の円筒状セクションの複数の穴に1対1対応で挿入され、第2の円筒状セクションの近位端において、複数のアンカーは、操縦可能カテーテルの1つ以上の駆動ワイヤに1対1対応で接続するように構成される。[図4C
【0100】
態様35。態様31に係る操縦可能カテーテルであって、第2の円筒状セクションに対して第1の円筒状セクションを位置合わせし、第2の円筒状セクションに第1の円筒状セクションを接続するように構成された複数の専用ピンを更に備え、第1の円筒状セクションは、その近位端から遠位端への方向に形成された複数の穴を含み、第2の円筒状セクションは、その遠位端から近位端への方向に形成された複数の穴を含み、第1の円筒状セクションの近位端の複数の穴と、第2の円筒状セクションの遠位端の複数の穴は、複数の専用ピンに1対1対応で接続するように構成される。第2の円筒状セクションの複数のアンカーは、操縦可能カテーテルの1つ以上の駆動ワイヤに接続するように構成される。[図4D
【0101】
<ソフトウェア関連の開示>
本明細書に開示される例示の実施形態の少なくとも特定の態様は、記憶媒体(「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と呼ばれる場合もある)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム又は実行可能コード)を読み出して実行して、前述した1つ以上のブロック図又はフローチャートの機能を実行するコンピュータシステム又は装置によって実現することができる。コンピュータは、当業者に知られている各種コンポーネントを含んでよい。例えば、コンピュータシステム400は、例えば、コンピュータ実行可能命令を記憶媒体から読み出して実行して、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行することにより、かつ/又は、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路を制御することにより、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)や特定用途向け集積回路(ASIC))によって実装される信号プロセッサを含んでよい。コンピュータシステム400は、1つ以上のプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU)410、マイクロ処理ユニット(MPU))を含んでよく、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための別個のコンピュータ又は別個のプロセッサのネットワークを含んでよい。コンピュータ実行可能命令は、例えばクラウドベースのネットワークから、又は記憶媒体から、コンピュータに提供することができる。記憶媒体は、例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、分散コンピューティングシステムのストレージ、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はBlu-ray Disc(BD)(商標)等)、フラッシュメモリデバイス、メモリカード等のうち1つ以上を含んでよい。コンピュータは、入出力デバイスに対して通信信号(データ)を送受信するために入出力(I/O)インタフェースを含んでよく、入出力デバイスとしては、キーボード、ディスプレイ、マウス、タッチスクリーン、タッチレスインタフェース(例えばジェスチャー認識デバイス)、印刷デバイス、ライトペン、光学式ストレージデバイス、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル及びネットワーク(有線又は無線)が挙げられる。
【0102】
<実施形態の変形及び/又は組合わせ>
説明に言及する際、開示する例を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。他の例では、本開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、コンポーネント及び回路は、詳細には説明されない。本明細書において別段の定義がされない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。その点に関して、本開示の広さ及び範囲は、明細書又は図面によって限定されるのではなく、むしろ、採用される特許請求の範囲の用語の平易な意味によってのみ限定される。
【0103】
図面に示された例示の実施形態を説明する際、分かりやすくするために、具体的な専門用語が使用される。しかしながら、本特許明細書の開示はそのように選択された具体的な専門用語に限定されることを意図するものではなく、当然ながら、具体的な要素の各々は、同様に機能する技術的な均等物を全て含む。
【0104】
本開示は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本開示は、開示された例示の実施形態に限定されない。全ての実施形態は、特定の用途に適用可能であるようにねじれ防止特徴を改善及び/又は単純化するために、変更及び/又は組合せすることができる。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
【0105】
本明細書において参照により援用されるとされる特許、付与前特許公報、又は他の開示の全部又は一部は、援用される資料が、標準的な定義や用語、或いは本開示に記載された記述及び説明と矛盾しない範囲でのみ、援用される。そのため、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載された開示は、参照により援用される矛盾する資料に優先する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8