(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】微細気泡水のヘッダ管供給システム
(51)【国際特許分類】
B01F 23/23 20220101AFI20241001BHJP
B01F 23/2373 20220101ALI20241001BHJP
B01F 23/2375 20220101ALI20241001BHJP
B01F 25/10 20220101ALI20241001BHJP
B01F 25/452 20220101ALI20241001BHJP
E03C 1/02 20060101ALI20241001BHJP
E03C 1/10 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B01F23/23
B01F23/2373
B01F23/2375
B01F25/10
B01F25/452
E03C1/02
E03C1/10
(21)【出願番号】P 2023012913
(22)【出願日】2023-01-31
【審査請求日】2024-04-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000154233
【氏名又は名称】株式会社富士計器
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正志
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-166496(JP,A)
【文献】特開2001-090202(JP,A)
【文献】特開2019-025460(JP,A)
【文献】特開2018-134587(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049650(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/02- 1/10
B01F 21/00-25/90
B03B 7/00
E03C 1/02
E03C 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水本管から量水器を経由して
供給される水道水
を受水し、複数の水道水需要箇所
側に分岐する
ための複数の分岐給水孔
を有するヘッダ管と、
前記
複数の分岐給水孔の夫々に接続され、水道水に含有される気泡を微細化する
複数の微細気泡水生成器と、
前記微細気泡水生成器の出水口
の夫々に接続され、
複数の水道水需要箇所に微細気泡水を途中で分岐することなく個別に供給する微細気泡水生成ホースと、から成り、
前記ヘッダ管は、真鍮又はステンレス素材の金属管により形成され、前記
複数の分岐給水孔
の夫々には、前記微細気泡
水生成
器に螺合する
接続手段が施され、
前記微細気泡水生成ホースは、前記微細気泡水生成器の出水口から
供給される微細気泡水を途中で継ぎ目なく前記
複数の水道水需要箇所の夫々に個別に供給する可撓性素材から形成された、
ことを特徴とする微細気泡水のヘッダ管供給システム。
【請求項2】
水道水本管から量水器を経由して
供給される水道水
を受水し、
給湯器に供給するための給湯器用分岐給水孔
を有する第1アダプタと、
前記第1アダプタを経由して供給される水道水を
複数の水道水需要箇所に分岐する複数の分岐給水孔
を有する第2アダプタと、
から成るヘッダ管と、
前記給湯器用
分岐給水孔及び前記
複数の分岐給水孔の夫々に接続され、水道水に含有される気泡を微細化する
複数の微細気泡水生成器と、
前記微細気泡水生成器の
出水口の夫々
に接続され、前記給湯器と前記
複数の水道水需要箇
所に微細気泡水を途中で分岐することなく個別に供給する微細気泡水生成ホースと、から成り、
前記ヘッダ管は、真鍮又はステンレス素材の金属管により形成され、
前記給湯器用分岐給水孔及び前記分岐給水孔には
、前記微細気泡
水生成
器に螺合する
接続手段が施され、
前記微細気泡水生成ホースは、
前記微細気泡水生成器の出水口から
供給される微細気泡水を途中で継ぎ目なく前記給湯器と前記
複数の水道水需要箇所の夫々に個別に供給する可撓性素材から形成された、
ことを特徴とする微細気泡水のヘッダ管供給システム。
【請求項3】
前記第1アダプタと前記第2アダプタは、可撓性素材により形成されたホース
又は金属管の螺合により接続され
る、ことを特徴とする請求項2に記載の微細気泡水のヘッダ管供給システム。
【請求項4】
前記微細気泡水生成器は、
前記給湯器用分岐給水孔又は前記分岐給水孔からの水道水を取水するための複数の取水孔を有する取水プレートと、
前記取水プレートの下流側に配置され
た微細気泡水生成ノズルと、
から構成され、
前記微細気泡水生成ノズルは、
水道水の流れる方向に沿って径が漸次縮小する第1通水路と、
前記第1通水路の出口側に連通して設けられ水道水の流れる方向に沿って径が漸次増大する第2通水路と、
前記第1通水路と前記第2通水路とを繋ぐ絞り部と、
を有することを特徴とする、
請求項1乃至3の何れかに記載の微細気泡水のヘッダ管供給システム。
【請求項5】
前記
複数の取水
孔は、その入
水側から出
水側に向けての中心軸が前記取水プレートの中心軸に対し傾斜
している請求項
4に記載の微細気泡水のヘッダ管微細気泡水生成器。
【請求項6】
前記
複数の取水
孔は、
前記取水プレートの中心軸から所定距離離れた位置において円状に等間
隔に設けられた請求項
5に記載の微細気泡水のヘッダ管供給システム。
【請求項7】
前記取水
孔の内面には乱流を発生するための凹凸面を形成した請求項
6に記載の微細気泡水のヘッダ管供給システム。
【請求項8】
前記取水
孔は、
入水側から出
水側に向けて屈曲形成された請求項
7に記載の水道管用ヘッダ管微細気泡水生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水に含まれる空気をマイクロサイズ又はナノサイズ等のレベルに微細化させる微細気泡水生成器を、水道供給事業者からの受水ポイント近傍に設置し、微細気泡水を使用する複数のポイントに供給するための微細気泡水のヘッダ管供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
微細気泡水とは、そこに含まれる気泡の直径が概ね100μm以下のマイクロメーターやナノメータ(直径50~500nm程度)サイズの空気を多く含む水を意味し、毛穴よりも微小な気泡水が毛穴や汗腺に浸透して汚れを効果的に除去することができことから、シャワー水、洗顔水としても美容目的や健康目的のために様々な用途として利用されている。
【0003】
さらに、このような微細気泡水は、衣類等の繊維の間により効率的に浸透し、また、食器等の表面に密接触することから、近年、洗濯水、便座洗浄水を含む洗浄水としても広く利用されるに至っている。
【0004】
微細気泡水については、そこに多く含有されている微細気泡の電気的作用による洗浄効果も注目されている。微細気泡水に含まれる微細気泡の表面はマイナスの電荷に荷電されていることが多く、気泡水どうしが合体することなく、水中にきめ細かく分離、拡散、浮遊する性質を有する。これに対し、油や皮脂、細かい異物等による汚れは、プラスに帯電していることが多く、マイナスの電荷を帯びた被洗浄物と電気的に結合している。これにより、マイナスの電荷を帯びている微細気泡がプラス電荷の汚れに吸着すると電気的に中和されて、汚れを被洗浄物から分離しやすい状態となる。そして、電気的に中和されて被洗浄物から分離した汚れは、微細気泡の気液界面に吸着したまま気泡の浮力によって水面に浮上することで、被洗浄物から除去された汚れが微細気泡水中で再び被洗浄物に付着されることなく洗浄されることが判明している。
【0005】
このような微細気泡を多く含有する液体を生成するには、高速せん断方式、加圧圧壊方式、キャビテーション方式などが知られているが、その多くが、アスピレータ方式などで、外部から空気を吸引している。或いは、強制注入している。
【0006】
外部から空気を導入するものでは、加速手段にて加速される液体、及び気液混合手段によりケーシングに導入される気体(直径が数ミリ程度の気泡)から成る混合流体をケーシング内にキャビテーションを起こさせて、マイクロバブルを発生するマイクロバブル発生装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
また、入口から出口に向かってその中心軸に直交する断面積を漸減する通水用入口側の第1ノズルと、入口側の第1ノズルの出口から連通して設けられた連通路を介して連続して配設され、入口から出口に向かってその中心軸に直交する断面積を漸増する通水用出口側の第2ノズルと、前記連通路にのみ開口した隙間又は側室とを有するマイクロバブル発生装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-021343号公報
【文献】特開2009-136864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1によるマイクロバブル発生装置は、タンクに貯留した水を加速して行う気液混合方式であり、この方式は、装置が大型化し、水道管直結型の簡易なタイプが要求される一般住居には不向きである。
【0010】
特許文献2によるマイクロバブル発生装置は、外部から空気を吸入することなしに、水の中の溶存空気からキャビテーション方式によってマイクロバブルを発生させているため水道に直結でき、一般の住居用に向いている。しかしながら、設置場所の水道圧の状況に応じて一定の水量を確保する必要から、特許文献2では第1ノズルと第2ノズルとの間に、調整機構によってサイズが変更される側室を設けるため、ノズル全体の構成が複雑であり住居の給水管には取り付けるには作業が煩雑となる。尚、ここでの給水管はいわゆる完全埋設配管や密閉配管ではなく、敷設後に工事が可能に設置された配管である。
【0011】
本発明は、上述した従来技術の課題に鑑みて、一般住宅における水道水供給システムにおいて、必要に応じて水道水使用箇所の末端毎に設けていた微細気泡水生成器に鑑みて成されたものであり、冷水又は温水の給水管の根元に簡単に取り付けできると共に、住宅内の供給される全ての水道水冷水及び温水を微細気泡水に生成して供給する微細気泡水のヘッダ管供給システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、水道水本管から量水器を経由して供給される水道水を受水し、複数の水道水需要箇所側に分岐するための複数の分岐給水孔を有するヘッダ管と、前記複数の分岐給水孔の夫々に接続され、水道水に含有される気泡を微細化する複数の微細気泡水生成器と、前記微細気泡水生成器の出水口の夫々に接続され、複数の水道水需要箇所に微細気泡水を途中で分岐することなく個別に供給する微細気泡水生成ホースと、から成り、前記ヘッダ管は、真鍮又はステンレス素材の金属管により形成され、前記複数の分岐給水孔の夫々には、前記微細気泡水生成器に螺合する接続手段が施され、前記微細気泡水生成ホースは、前記微細気泡水生成器の出水口から供給される微細気泡水を途中で継ぎ目なく前記複数の水道水需要箇所の夫々に個別に供給する可撓性素材から形成された、ことを特徴とする微細気泡水のヘッダ管供給システムを提供するものである。
【0013】
削除
【0014】
そして、本発明の第2の態様は、水道水本管から量水器を経由して供給される水道水を受水し、給湯器に供給するための給湯器用分岐給水孔を有する第1アダプタと、前記第1アダプタを経由して供給される水道水を複数の水道水需要箇所に分岐する複数の分岐給水孔を有する第2アダプタと、から成るヘッダ管と、前記給湯器用分岐給水孔及び前記複数の分岐給水孔の夫々に接続され、水道水に含有される気泡を微細化する複数の微細気泡水生成器と、前記微細気泡水生成器の出水口の夫々に接続され、前記給湯器と前記複数の水道水需要箇所に微細気泡水を途中で分岐することなく個別に供給する微細気泡水生成ホースと、から成り、前記ヘッダ管は、真鍮又はステンレス素材の金属管により形成され、前記給湯器用分岐給水孔及び前記分岐給水孔には、前記微細気泡水生成器に螺合する接続手段が施され、前記微細気泡水生成ホースは、前記微細気泡水生成器の出水口から供給される微細気泡水を途中で継ぎ目なく前記給湯器と前記複数の水道水需要箇所の夫々に個別に供給する可撓性素材から形成された、ことを特徴とする微細気泡水のヘッダ管供給システムを提供するものである。
【0015】
ここで、前記第1アダプタと前記第2アダプタは、可撓性素材により形成されたホース又は金属管の螺合により接続される。
【0016】
そして、前記微細気泡水生成器は、前記給湯器用分岐給水孔又は前記分岐給水孔からの水道水を取水するための複数の取水孔を有する取水プレートと、前記取水プレートの下流側に配置された微細気泡水生成ノズルと、から構成され、前記微細気泡水生成ノズルは、水道水の流れる方向に沿って径が漸次縮小する第1通水路と、前記第1通水路の出口側に連通して設けられ水道水の流れる方向に沿って径が漸次増大する第2通水路と、前記第1通水路と前記第2通水路とを繋ぐ絞り部と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、前記複数の取水孔は、その入水側から出水側に向けての中心軸が前記取水プレートの中心軸に対し傾斜しており、前記取水プレートの中心軸から所定距離離れた位置において円状に等間隔に設けられる。
【0018】
そして、前記取水孔の内面には乱流を発生するための凹凸面を形成し、前記取水孔は、入水側から出水側に向けて屈曲形成される。
【0019】
削除
【0020】
削除
【0021】
削除
【発明の効果】
【0022】
本発明による微細気泡水のヘッダ管供給システムによれば、一般住宅における水道水供給システムにおいて、水道水需要箇所に対して水道水の冷水/温水を微細気泡水に生成して供給することを可能にした。
【0023】
そして、本微細気泡水のヘッダ管供給システムによる特に重要な技術的特徴は、微細気泡水を供給するヘッダ管を、水道局から水の供給を受ける最大水圧の受水点近傍に設けることにより、微細気泡水の気泡の直径がマイクロメーターサイズの気泡をより多く含ませることが可能となり、その微細気泡水を住宅内の全ての水道利用箇所に供給できる点にある。
【0024】
削除
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る微細気泡水のヘッダ管供給システムを適用する一般的な住宅における水道水供給系統の概略図を示す。
【
図2】微細気泡水のヘッダ管供給システムの側面図を示す。
【
図3】微細気泡水のヘッダ管供給システムの側断面図を示す。
【
図5】本発明に係る微細気泡
水生成器の側面断面図を示す。
【
図6】微細気泡
水生成器の(a)は上流側からの外観斜視図を示し、(b)は下流側からの外観斜視図を示す。
【
図7】微細気泡
水生成器の取水部について、上流側からの平面図を(a)に、側面図を(b)に、下流側からの平面図を(c)に夫々示す。
【
図8】ノズル内でのキャビテーション作用の模式的な説明図を示す。
【
図9】取水孔が屈曲形成された取水部の側面図を示す。
【
図10】水道水供給本管から量水器を経て家庭内における複数の水道水需要箇所に水道を給水する給水管系統の例を示し、(a)は、家庭内の各所において給水管を分岐して供給する例を示し、(b)は、ヘッダ管を用いて、ヘッダ管から家庭内の各水道水需要箇所に給水する例を示す。
【
図11】従来における、水道水供給本管から量水器を経て家庭内において、水道水の冷水と温水を、浴室、洗濯機、洗面台、台所、トイレ等の複数の水道水需要箇所に水道を給水する配管の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明に係る微細気泡水のヘッダ管供給システムを適用する一般住宅内の水道水供給系統例の概略図を示す。
【0027】
図1に示す本発明に係る微細気泡水のヘッダ管供給システムを詳しく説明する前に、その対比として従来の水道水供給管の系統例を説明する。
【0028】
図11は、従来の一般住宅における水道水供給系統例を示す。
図11に示すように、例えば地方自治体の水道局から供給される水道水は、水道水供給本管から水道水を分水する分水栓20及び分水された給水管21を経由して、第1止水栓22、補助止水栓23、量水器(水道使用量のメーター)24を経て住宅内に供給される。
【0029】
図11において、量水器24を経て住宅内に供給された水道水は多くの場合、家庭内の分岐管32aを経て一部温水器25に供給され、分岐管32aを通過した水道水(冷水)は、住宅内の水道水使用箇所である、トイレ(便器洗浄水用及び便座水用)26、洗濯機27、台所流し台28、風呂及びシャワー29、洗面台30、屋外散水栓31等に分岐配管され、当該各所において使用される。
【0030】
また、温水器25においてガスや電気によって温められた温水は、水道水(冷水)を分岐する冷水供給管システム33とは別系統の温水供給管システム34により、例えば、トイレ(温水洗浄便座用)26、台所流し台28、風呂及びシャワー29、洗面台30等に分岐配管され、当該各所において使用される。
【0031】
ここで、水道水(冷水)を分岐する冷水供給管システム33と温水供給管システム34は、通常、住宅の床下(地下を含む)や壁内に配管される。
【0032】
ところで、近年、水道水に含まれる空気をマイクロサイズ又はナノサイズ等のレベルに微細化させる微細気泡水生成器を、トイレ(便器洗浄水用及び温水洗浄便座)26、洗濯機27、台所流し台28、風呂及びシャワー29、洗面台30等における水道水又は温水の使用箇所に設置する需要が飛躍的に増えてきている。
【0033】
微細気泡水とは、水道(冷水)又は温水に含まれる気泡の直径が概ね100μm以下のマイクロメーターやナノメータ(直径50~500nm程度)サイズの空気を多く含む水を意味し、毛穴よりも微小な気泡水が毛穴や汗腺に浸透して汚れを効果的に除去することができることから、特にシャワー水、洗顔水としても美容目的や健康目的のために様々な用途として利用されている。
【0034】
また、このような微細気泡水は、衣類等の繊維の細かい隙間に効果的に浸透し、また、繊維や食器、皮膚等の表面に密接触することから、近年、洗濯水、温水洗浄便座用等の洗浄水としても広く利用されるに至っている。
【0035】
さらに、最近は、洗濯機内部の受水口やシャワーヘッド内に微細気泡水生成器を装備した製品も多く見られ、近年特に広く使用されるに至っている。
【0036】
このような、水道(冷水)又は温水に含まれる気泡の直径がマイクロメーターやナノメータサイズの気泡を多く含む水を生成する微細気泡水生成器は、従来、水道水の利用箇所(シャワー、洗濯機、温水洗浄便座等)毎に設置していたのである。
【0037】
本発明は、上述した従来の一般住宅における水道水供給システムおいて、そして、水道水使用箇所の末端毎に必要に応じて設けていた微細気泡水生成器の必要性に鑑みて成されたものであり、住宅等の給水システムの冷水又は/及び温水の供給本管の根元近傍に簡単に取り付けることができ、これにより、住宅内の供給される全ての水道水冷水及び温水を微細気泡水に生成して供給する微細気泡水のヘッダ管供給システムを提供するものである。
【0038】
本発明に係る微細気泡水のヘッダ管供給システムは、その第1の実施の形態として、冷水のみを微細気泡水に生成して住宅内の水道水利用箇所に給水する構成を説明する。
【0039】
この第1の実施の形態においては、水道水の供給を受ける水道水本管を経由し量水器24を経て接続される(冷水用)水道管接続ユニット100と、この水道管接続ユニット100を構成する(
図1に示す)第1アダプタ11aと、この第1アダプタ11aに接続される微細気泡水生成ユニット(
図2に示す13a乃至13e)と、から構成される。
【0040】
次に、その第2の実施の形態として、冷水(水道水)及び温水(本願では、「住宅内に設置された給湯器や地域温水供給システム等の外部から供給される温水」を意味する)を冷水及び温水毎に別々に微細気泡水及び微細気泡温水(本願では、適宜総称して単に「微細気泡水」という)に生成した上で、住宅内のシャワーや洗濯機等の水道水利用箇所に給水する構成を説明する。
【0041】
この第2の実施の形態においては、量水器24を経て接続される上述した冷水用水道管接続ユニット100(
図1及び
図2)と、温水用水道管接続ユニット101(
図1)と、冷水用水道管接続ユニット100を構成する第1アダプタユニット(本願では、単に「第1アダプタ」という)11aと、この第1アダプタ11aに接続される微細気泡水生成ユニット(
図2に示す13a乃至13e)の他に、さらに、温水用水道管接続ユニット101(
図1)を構成する第2アダプタ11b(本願では、単に「第2アダプタ」という。)尚、この第2アダプタ11bは、
図2に示す第1アダプタ11aと同じ構成であることから、図示せず)と、この第2アダプタ11bに接続される微細気泡水生成ユニット(
図2に示す13a乃至13eに相当し同一の構成であるから図示しない)と、から構成される。
【0042】
上述したように、現代において稀であるが、冷水のみを使用し温水を使用しない住宅(すなわち、温水器を設置していない住宅又は施設等)や、あえて冷水のみを微細気泡水に生成して利用したい場合は、上述した第1の実施の形態を採用し、大多数の一般的住宅等の如く、冷水のみならず、給湯器等から供給される温水も微細気泡水に生成して利用したい場合は、上述した第2の実施の形態を採用する。
【0043】
以下、上述した理由により、冷水及び温水を微細気泡水にして利用する第2の実施の形態について主に説明する。
【0044】
図1は、冷水及び温水を夫々微細気泡水にして利用する上記した本発明の第2の実施の形態の例に係る微細気泡水のヘッダ管供給システムの一例を示す。
【0045】
図1において、量水器24を経て接続される冷水用水道管接続ユニット100を構成する第1アダプタ11aには、
図2に示す微細気泡水生成ユニット13a乃至13eが接続され、温水用水道管接続ユニット101を構成する第2アダプタ11bには、(
図2に示す)微細気泡水生成ユニット13a乃至13eと同等又は同一のものが接続される。
【0046】
ここで、
図2又は
図3に示すように、水道管接続ユニット100は、水道水(冷水)の供給を受ける上流側に、水道水分岐手段を兼ねる
図2に示す第1アダプタ10、または
図3(a)に示す水道水分岐手段を有する第1アダプタ10を有する。
【0047】
図2に示す第1アダプタ10は、
図2の左側から水道水が流入し、第1アダプタ10は、給湯器側に給水する水と、例えば、洗濯機、トイレ等の(冷水)水道水利用箇所に供給する水に分岐する。
【0048】
尚、
図3に示すように、第1アダプタ10は、
図3(a)の左側から水道水が流入し、分岐手段を有する第1アダプタ10は、給湯器側に給水する水(
図13aに示す)と、洗濯機、トイレ等の(冷水)水道水利用箇所に供給する水(
図13bに示す)に分岐するようにしても良い。
【0049】
ここで、第1アダプタ10とこの第1アダプタ10の下流側に配置されて水道水需要側の水道管に接合される一端を有する第2アダプタ11とは、当然のことながら、例えば水漏れを防止する円環状のパッキン等(図示せず)を介して水道管結合部におい接続(
図2)又は結合(
図3)する。
【0050】
第1アダプタ10と第2アダプタ11の接続、すなわち水道管ユニットの結合(接続)は、例えば、
図2に示すようにホースを介して接続しても良いし、若しくは、
図3に示すように、
図3(a)に示す第1アダプタ10と
図3(b)に示す第2アダプタ11とをホースを経由せずに直接的に螺合接続しても良い。
【0051】
尚、水道水供給管と第1アダプタ10及び/又は第2アダプタ11との螺合接合は、継ぎ合わせを固定する結合ナットを用い、例えば、切断された水道管の両端にはそれぞれ、第1アダプタ10及び/又第2アダプタ11と螺合するため、例えば雌ネジが形成され、他方の雄ネジは、雌ネジは長く切られることにより、短い方の雄ネジは水道管結合部と長さいっぱいに螺合され、長い方の雌ネジの長さを水道管結合部と螺合する長さに調整加減することにより、本水道管ヘッダ管を構成する第1アダプタ10と第2アダプタ11が水道管の間に収まるよう調節される。
【0052】
このように、螺合接続を行うには、螺合する一方の管を雄ネジにネジ切りし、他方の管を雌ネジにネジ切りする必要があることから、本微細気泡水のヘッダ管供給システムを、例えば新築住宅の建設時に設置する場合は支障がないものの、既存の住宅に本微細気泡水のヘッダ管供給システムを導入する場合は、床材や壁材を広範囲に剥がさなければならない場合等もあることから、そのような場合には、例えば、
図4に示すような、着脱式の接続部材を使用することも可能である。このような着脱式の水道管や水道ホースの接合部材は、洗濯機のホースを水道水の蛇口にワンタッチでジョイント接続する給水ジョイント等として広く知られており、当業者のみならず一般的にも公知であることから、ここではそのジョイントの機構等について説明しない。
【0053】
また、本ヘッダ管供給システムにおいては、上述したように、第1アダプタ10と第2アダプタ11a、11bの水道水出口には、それぞれ、微細気泡水生成器12、13a-13eが接続又は結合されるが、第1アダプタ10と第2アダプタ11間の接合のように、一方の管を雄ネジにネジ切りし、他方の管を雌ネジにネジ切りする螺合接続であっても、上述したような着脱式のジョイント結合であっても良い。
【0054】
このように、微細気泡水生成器12、13a-13eの入水口側(
図5に示す52A側)は、第1アダプタ10と第2アダプタ11a、11bの水道水出力口に接続されるが、微細気泡水生成器12、13a-13eの出水口側(
図5に示す52B側)は、
図2に示すように、それぞれ、給湯器、キッチン(流し台)、風呂、洗面所、トイレ、洗濯機等の水道水(冷水及び/又は温水)使用箇所に導くためのホース14(
図14)に接続される。
【0055】
尚、本ヘッダ管供給システムにおいては、第1アダプタ10と第2アダプタ11は、その耐久性や水漏れ防止性能に優れていることから、真鍮又はステンレス素材の金属管により形成され、第1アダプタ10と第2アダプタ11の分岐給水孔と微細気泡
水生成器12、13a-13eの入水口側とは、堅固に且つ水漏れが生じないように、上述したような螺合結合手段が好ましいが、微細気泡水生成器12、13a-13eの出水口側と、給湯器、キッチン(流し台)、風呂、洗面所、トイレ、洗濯機等の水道水(冷水及び/又は温水)使用箇所に導くためのホース14(
図14)は、これに限らず水漏れが生じない着脱式の接続であっても良い。
【0056】
また、微細気泡水生成12、13a-13eからのホース14は、水道水需要箇所の夫々に個別に供給する可撓性素材から形成されたホースが望ましい。その理由は、微細気泡水生成12、13a-13eから各水道水需要箇所の設置作業が容易であること、さらに、地震等が生じて水道水の供給経路等に振動や歪みが生じでも、ホース14が柔軟であることから、
図10に示すように金属製コンジットで水道水の供給経路を形成するよりも、耐久性が高いからである。
【0057】
ここで、本ヘッダ管供給システムに用いる可撓性素材のホース14は、例えば、ポリプデン素材や架橋ポリエチレン素材により形成されたホース14が望ましい。塩化ビニール素材等と比較して、可撓性のみならず、防水性及び耐久性にも優れることが、本願の発明者の実験や試験によって確認されている。
【0058】
次に、本発明に係る微細気泡水のヘッダ管供給システムに使用する微細気泡
水生成器12、13a-13eの例について、
図5乃至
図9の記載に基づいて説明する。尚、本ヘッダ管供給システムに使用するタイプの生成器に限定されるものでない。
【0059】
図5は、本微細気泡水のヘッダ管供給システムにおいて用いる微細気泡
水生成器12、13a-13eの例を側断面図で示し、水道の配水管や高架水槽等からの水を蛇口へと導く給水管2の途中に配置される。
【0060】
微細気泡水生成器12、13a-13eは、筒体53の中に円柱形状のノズル56を配置して構成される。筒体53は、断面の径が異なる第1円筒部54と第2円筒部55とから成り、径が小さい方の第1円筒部54はその外周に雄ネジ部54aを有して、給水管52の上流管部52Aに挿入されて螺合により接続される。
【0061】
径の大きい第2円筒部55は、その内周に雌ネジ部55aを有して、挿入される給水管52の下流管部52Bの先端と螺合により接続される。そして、第1円筒部54の外周には環状のゴムパッキン57が嵌め込まれており、第1円筒部54が給水管52に挿入されたとき、上流管部52Aの環状の端面はゴムパッキン57を介在して第2円筒部5の端面と接触する。
【0062】
ノズル56は、その外径が第1円筒部54の内径と略等しく、ノズル56の一部が第1円筒部54に挿入された状態で筒体53の中に保持される。ノズル56の内部は、左右の両端から中央部に向けてそれぞれ絞り込まれた形状の通水部58が設けられている。すなわち、通水部58は、その中央部に断面の径が最小となる頸部59が形成されて、頸部59からそれぞれ左右に延びるにしたがい径が大きくなるよう略円錐状に刳り抜かれた構造となっている。
【0063】
よって、通水部58は、水道水の流れる方向に沿って径が漸次縮小する第1通水路58aと、第1通水路58aの出口側に連通して設けられ水道水の流れる方向に沿って径が漸次増大する第2通水路58bとで構成されている。
【0064】
ノズル56の入口側である第1通水路58aの最大口径は、出口側である第2通水路58bの最大口径より大きくすることが好ましいが、同じ寸法であっても或いは逆に入口が狭くても良い。
【0065】
取水部60は円形の厚板で構成されて、筒体53の中にあってノズル56の第1通水路58aの入口側に配置される。本例の取水部60には、
図6に示すように、平面上に等間隔で軸方向に貫通する4個の丸孔の取水孔61を円状に穿設している。取水孔61は、設置される水道水の配管等の流量に応じて8個程度まで設けることができる。したがって、取水孔61の数が多くなるときには、円状に等間隔で配置するよりは、取水部60の平面に一様に均しく配置するのが好ましい。
【0066】
図6は、微細気泡
水生成器12、13a-13eの、(a)部は、上流側からの外観斜視図を示し、(b)部は、下流側からの外観斜視図を示す。
【0067】
図7(b)の側面図で示すように、この取水孔61は奥行き方向の中心軸が給水管62の軸に対して傾斜するよう設けられている。よって、各取水孔61は斜円柱の形状となるため、取水孔61を通過する水道水は取水部60の軸より傾斜した方向に放出されて、上流管部52Aからの水道水流にひねりが加えられ、旋回流となって取水部60から放出されることになる。尚、
図7(b)では、取水孔61の1つだけが代表して示されている。
【0068】
このとき各取水孔61は、
図7(c)では反時計回りにて旋回流となりながら隣の取水孔61の方向へと水道水を放出するように、それぞれの傾斜が設けられている。したがって、各取水部60を通過する水道水は、
図7(a)において矢印で示すように同一方向にひねられた旋回流となって、ノズル54の第1通水路58aへと導入する。
【0069】
さらに、
図7(b)に示すように、取水孔61の内壁表面を凹凸面61aとすることで、水道水は乱流度を上げながら取水孔61から放出される。本例では、
図7(b)に示すように、多数の突起を設けて凹凸面61aを形成している。このように乱流度を向上させることで水道水中の溶存空気が取り出しやすくなり、ノズル54内でキャビテーション気泡を効果的に発生させることができる。
【0070】
各取水孔61から旋回流となって放出される水道水は、第1通水路58aの内壁に斜めから突き当たるため、
図8に示すように螺旋状に旋回しながら頸部59へ進む。そして、第1通水路58aはその水路径が漸次狭まる絞った構造であるため、頸部59に向けて近づくほど速度を上げ、頸部59から第2通水路58bへ放出される。
【0071】
このようにしてその流速を増した水道水は、頸部59から高圧で吹き出されて、第2通水路58b内で拡散される。これにより急激な圧力低下が生じて、沸騰現象により水道水中には無数の微細なキャビテーション気泡が発生し、下流管部52Bへと放出される。一般的に、水道局から一般家庭に供給される水道水の供給水圧は1.5kgf/cm2から3kgf/cm2(0.15MPa0.3)が下限とされており、ノズル56は、水道水の中に含まれている空気をこの水道水圧だけで、キャビテーションにより微細化された気泡を極めて多く含む微細気泡水にする。この場合の理想的な水道水圧は、2.0乃至4.0kgf/cm2(0.2乃至0.39MPa)である。
【0072】
上記の実施形態においては、第1通水路58aの最大口径を第2通水路58bの最大口径より大きくしているが、同一口径として頸部59を中心に対称となる形状で構成してもよい。また、頸部59からそれぞれの最大口径部までの水平方向での寸法が異なっていてもよく、要するに、第1通水路58aから吹き出される水道水の圧力と、第2通水路58b内での拡散による低下する圧力との関係で、適切な量と微細気泡としての質のキャビテーション気泡が生成できればよい。
【0073】
また、取水孔61の形状を
図9に示すように、入口側から出口側に向けての形状を斜円柱ではなく、中間に屈曲部を有する形状に構成するとよい。これにより、取水孔61の中を通過する水道水の流れには捻じれが生じるために、取水孔61の内壁の凹凸面61aと相俟って乱流度が更に高まり、ノズル61内でのキャビテーション気泡の発生効果を向上させることができる。
【0074】
微細気泡水生成器12、13a-13eは、一般家庭に供給されている水道に直結されて、水道水の中に含まれている空気を水道水の圧力だけで、キャビテーション作用でマイクロバブル化している。そして、微細気泡水生成器12、13a-13eは、水道メーターの下流側に配置されるが、微細気泡水生成器12、13a-13eから微細気泡水を利用する洗濯機等への配管距離は、平均で15メートル程度とされている。この場合、マイクロバブルの目視は不可能であることから、本願発明者は、暗所におけるレーザーポインターによって被処理水にレーザーを当てて気泡からの反射光を検出することで、20メートル長の配管末端においても、マイクロバブルが形成されていることが確認された。
【0075】
さらに効率良くマイクロバブルを生成するには、前段のノズル56の第2通水路58bに後段のノズル56の第1通水路58aを接続する関係で、複数のノズル56を直列に第2円筒部55の内部に配置して、キャビテーション発生を繰り返す構成にするとよい。
【0076】
上述したように、本発明は、従来、水道(冷水)又は温水に含まれる気泡の直径がマイクロメーターやナノメータサイズの気泡を多く含む水を生成する微細気泡水生成器を、水道水の利用箇所(シャワー、洗濯機、温水洗浄便座等)毎に設置していた課題に鑑みて成されたものであり、住宅等の給水システムの冷水又は/及び温水の供給本管の根元近傍に簡単に取り付けることができ、これにより、住宅内の供給される全ての水道水冷水及び温水を微細気泡水に生成して供給する。
【0077】
そして、本発明による微細気泡水のヘッダ管供給システムは、第1アダプタ10と第2アダプタ11とを結合ナットで締結して組み立てるタイプの継手内に微細気泡水生成器12、13a-13eを配置する構成であるから、給水管の途中に容易に配設することができる。
【0078】
そして、本発明の特筆すべき技術的特長は、本微細気泡水のヘッダ管100,101を、水道局から水の供給を受ける最大水圧の受水点近傍に設けることから、微細気泡水の気泡の直径がマイクロメーターサイズの気泡をより多く含ませることが可能となり、その微細気泡水を住宅内の全ての水道利用箇所に供給することを可能にしたのである。
【符号の説明】
【0079】
100 冷水用水道管接続ユニット
101 温水用水道管接続ユニット
10 水道管接続ユニットを構成する第1アダプタ
11a、11b 水道管接続ユニットを構成する第2アダプタ
12、13a-13e 微細気泡水生成器
58a 微細気泡水生成器の第1通水路
58b 微細気泡水生成器の第2通水路
60 微細気泡水生成器の取水部
61 微細気泡水生成器の取水孔
61a 微細気泡水生成器の凹凸面