(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】光ファイバ加工装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/00 20060101AFI20241001BHJP
B23B 41/00 20060101ALI20241001BHJP
B23B 47/00 20060101ALI20241001BHJP
B23B 47/18 20060101ALI20241001BHJP
B23B 49/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G02B6/00 326
B23B41/00 Z
B23B47/00 B
B23B47/18 C
B23B49/00 A
(21)【出願番号】P 2023035862
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2021543464の分割
【原出願日】2020-01-28
【審査請求日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2019-0011310
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523131807
【氏名又は名称】株式会社ANS
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲裴▼ 錫晩
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-531894(JP,A)
【文献】国際公開第2018/212424(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0196533(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0118656(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00-6/036
G02B 6/24-6/255
B23B 35/00-49/06
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバのコアの外周面を覆うクラッドに
多数の出光ウィンドウを
切削加工する光ファイバ加工装置において、
前記光ファイバが通過する光ファイバ進行トンネル、及び前記トンネルの周囲に放射状に
所定角度間隔で形成される
多数の光ファイバ加工用加工ロッド挿入ホールを備えた光ファイバマシニングヘッドと、
前記加工ロッド挿入ホールを介し、前記トンネル内の光ファイバのクラッドに出光ウィンドウを
切削加工する切削加工チップを有する
多数の加工ロッドと、
前記
多数の加工ロッド
それぞれを回転させるモータを有する
多数のアクチュエータと、を含む、光ファイバ加工装置。
【請求項2】
前記加工ロッドは、前記トンネルを中心に相互互い違いに配されている、請求項1に記載の光ファイバ加工装置。
【請求項3】
前記トンネルの内面と光ファイバとの間にギャップを許容しながら光ファイバを支持するスペーサが形成されている、請求項1または2に記載の光ファイバ加工装置。
【請求項4】
前記トンネルの内部に、光ファイバを取り囲むブッシングが設けられ、ブッシングの内部に、前記スペーサが形成されている、請求項3に記載の光ファイバ加工装置。
【請求項5】
前記スペーサによって形成されるギャップに、前記光ファイバを冷却させる冷媒が注入される、請求項3または4に記載の光ファイバ加工装置。
【請求項6】
前記光ファイバにその先端部分が接触し、光ファイバに対する加工深を機械的に検出するセンシングチューブが前記加工ロッドに設けられている、請求項1
から5のうちいずれか1項に記載の光ファイバ加工装置。
【請求項7】
前記マシニングヘッドは、前記光ファイバが通過するトンネルを提供するヘッドコア、及びヘッドコアを支持するヘッドボディを具備する、請求項1
から5のうちいずれか1項に記載の光ファイバ加工装置。
【請求項8】
前記ヘッドコアに、光ファイバが貫通するブッシングが設けられ、
前記ブッシングの内面に、前記光ファイバを支持するスペーサが多数形成されている、請求項7に記載の光ファイバ加工装置。
【請求項9】
前記ヘッドボディに、外部からの冷媒が流入される冷媒通過ホール及び加工ロッド挿入ホールが設けられ、前記冷媒通過ホールは、前記ヘッドボディ内部において、前記加工ロッド挿入ホールと連結され、前記冷媒が前記加工ロッド挿入ホールを介し、前記ブッシング内部に流入される、請求項8に記載の光ファイバ加工装置。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記マシニングヘッドに対し、相対的位置が固定されたステイタフレーム、ステイタフレームに対し、直線往復する移動フレームを具備し、前記移動フレームに前記モータが設けられている、請求項1
から9のうちいずれか1項に記載の光ファイバ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ加工装置に係り、詳細には、光ファイバの外部面に光が出光するウィンドウを形成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光が進行するコアと、該コアを取り囲むクラッドと、を含む纎維状の光ファイバは、光を伝送したり供給したりする光学素子であり、光伝送だけではなく、太陽発電装置、ディスプレイまたはバックライトのような光応用素子などにおいても使用される。
【0003】
前記光ファイバへの光の入射は、該コアの一側の鏡面(facet)を介しても行われ、出光は、その他端の鏡面、またはそのコアを覆うクラッドが形成された外周面を介してもなされる。鏡面を介する光出射は、伝統的な光導波構造によるものであり、外周面を介する出光は、太陽発電装置またはディスプレイなどにも利用される。光ファイバの外周面に形成されるウィンドウは、クラッドに形成される開口部(opening)によって提供される。
【0004】
光ファイバのクラッドに対するウィンドウ形成は非常にややこしく、一般的な機械加工に依存しなければならない関係により、長い加工時間が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、光ファイバのクラッドに対するウィンドウを、迅速であって正確に加工することができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一類型によれば、
光ファイア加工装置は、
光ファイバが通過する光ファイバ進行トンネル、及び前記トンネルの周囲に多数形成される光ファイバ加工用加工ロッド挿入ホールを備えた光ファイバマシニングヘッドと、
前記加工ロッド挿入ホールを介し、前記進行トンネル内の光ファイバを加工する加工チップを有する加工ロッドと、
前記加工ロッドを作動させるアクチュエータと、を含む。
【0007】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記加工ロッドは、前記トンネルを中心に相互互い違いにも配される。
【0008】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記トンネルの内部に、前記光ファイバ周囲に、トンネルの内面と光ファイバとの間にギャップを許容し、光ファイバを支持する多数のスペーサが形成されうる。
【0009】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記トンネルの内部に、光ファイバを取り囲むブッシングが設けられ、該ブッシングの内部に、前記多数のスペーサが形成されうる。
【0010】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記スペーサによって形成されるギャップに、前記光ファイバを冷却させる冷媒が注入されうる。
【0011】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記加工ロッドに、加工ロッドによる加工深を機械的に検出するセンシングチューブが設けられてもよい。
【0012】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記マシニングヘッドは、前記光ファイバが通過するトンネルを提供するヘッドコア、及び該ヘッドコアを支持するヘッドボディを具備することができる。
【0013】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記ヘッドコアに、光ファイバが貫通するブッシングが設けられ、前記ブッシングの内面に、前記光ファイバを支持するスペーサが多数形成されてもよい。
【0014】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記ヘッドボディに、外部からの溶媒が流入される冷却液通過ホール及び加工ロッド挿入ホールが設けられ、前記冷却液通過ホールは、前記ヘッドボディ内部において、前記加工ロッド挿入ホールと連結され、前記冷却液が前記加工ロッド通過ホールを介し、前記ブッシング内部にも流入される。
【0015】
1またはそれ以上の実施形態によれば、前記アクチュエータは、前記マシニングヘッドに対し、相対的位置が固定されたステイタフレーム、該ステイタフレームに対し、直線往復する移動フレーム、そして該移動フレームに設けられ、前記加工ロッドを高速回転させるモータを具備することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】1またはそれ以上の実施形態による光ファイバ加工装置によって加工された光ファイバを概念的に図示する図面である。
【
図2】
図1に図示された光ファイバをさらに具体的に図示する図面である。
【
図3】出光ウィンドウが形成された光ファイバの実際写真である。
【
図4】1またはそれ以上の実施形態において、光ファイバに対する出光ウィンドウ形成構造の概念を示す図面である。
【
図5】1またはそれ以上の実施形態において、光ファイバに対する出光ウィンドウ形成構造の概念を示す図面である。
【
図6】1またはそれ以上の実施形態による光ファイバ加工装置の加工ロッドの先端部の加工チップ近辺に設けられるセンシングチューブの作動について説明する図面である。
【
図7】光ファイバ加工装置によって形成される光ファイバのコア周囲出光ウィンドウの配置について説明する図面である。
【
図8】1またはその以上の実施形態による光ファイバ加工装置の概略的外観を示す斜視図である。
【
図9】1またはそれ以上の実施形態による光ファイバ加工装置の概略的内部構造を示す投影図である。
【
図10】1またはそれ以上の実施形態による光ファイバ加工装置において、光ファイバが通過するファイバ進行トンネルの部分拡大図である。
【
図11】1またはそれ以上の実施形態による光ファイバ加工装置において、加工ロッドを作動させるアクチュエータの設置状態を図示する図面である。
【
図12】1またはそれ以上の実施形態による光ファイバ加工装置において、加工ロッドを作動させるアクチュエータの設置状態を図示する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照し、本発明概念の望ましい実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明概念の実施形態は、さまざまに異なる形態にも変形され、本発明概念の範囲は、以下で説明する実施形態によって限定されると解釈されるものではない。本発明概念の実施形態は、当業界で当業者に、本発明概念についてさらに完全に説明するために提供されると解釈されることが望ましい。同一符号は、変わらずに同一要素を意味する。さらには、図面における多様な要素と領域は、概略的に描かれたものである。従って、本発明概念は、添付図面に描かれた相対的な大きさや間隔によって制限されるものではない。
【0018】
第1、第2のような用語は、多様な構成要素についての説明にも使用されるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されるものではない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。例えば、本発明概念の権利範囲を外れずに、第1構成要素は、第2構成要素とも命名され、反対に、第2構成要素は、第1構成要素とも命名される。
【0019】
本出願で使用されている用語は、単に、特定の実施形態についての説明に使用されたものであり、本発明概念を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」というような表現は、明細書に記載された特徴、個数、段階、動作、構成要素、部分品、またはそれらの組み合わせが存在することを指定するものであり、1またはそれ以上の他の特徴、個数、動作、構成要素、部分品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されなければならない。
【0020】
異なって定義されない限り、ここで使用される全ての用語は、技術用語と科学用語とを含み、本発明概念が属する技術分野において当業者が共通して理解しているところと同一の意味を有する。また、一般的に使用される、事前に定義されているような用語は、関連技術の脈絡において、それらが意味するところの一貫する意味を有すると解釈されなければならず、ここに明示的に定義されない限り、過度に形式的な意味に解釈されるものではないと理解されるものである。
【0021】
ある実施形態が異なって具現可能である場合、特定の工程順序は、説明される順序と異なっても遂行される。例えば、連続して説明される2つの工程が、実質的に同時にも遂行され、説明される順序と反対の順序にも遂行される。
【0022】
添付図面において、例えば、製造技術及び/または公差により、図示された形状の変形が予想されうる。従って、本発明の実施形態は、本明細書に図示された領域の特定形状に制限されるものであると解釈されてはならず、例えば、製造過程で招かれる形状の変化を含むものである。ここに使用される全ての用語「及び/または」は、言及された構成要素のそれぞれ、及び1以上の全ての組み合わせを含む。また、本明細書で使用される用語「基板」は、基板それ自体、または基板、及びその表面に形成された所定の層または膜などを含む積層構造体を意味しうる。また、本明細書において、「基板の表面」とは、基板それ自体の露出表面、または基板上に形成された所定の層または膜などの外側表面を意味しうる。また、「上部」や「上」と記載されたものは、接触して真上にあるものだけではなく、非接触で上にあるものも含むのである。
【0023】
図1は、1またはそれ以上の実施形態による光ファイバ加工装置によって加工された光ファイバを概念的に図示し、
図2は、光ファイバ10をさらに具体的に図示する。
【0024】
図1、
図2に図示されているように、光ファイバ10は、光1が進むコア10aと、コア10aの外周面を覆うクラッド10bと、を具備する。前記クラッド10bには、コア10a内部を進んだ光が抜け出る出光ウィンドウ10cが、光ファイバ10の長手方向に沿って多数形成されている。
【0025】
前記光ファイバ10の一側領域または鏡面(facet)を介し、コア10a内に光1が注入され、コア10aに注入された光1は、コア10aに沿って進んでいて、出光ウィンドウ11cに出合い、このとき、光1の一部が、出光ウィンドウ11cを介し、光ファイバ10の外部に抜け出る。
【0026】
前記出光ウィンドウ10cは、コア10aを覆うクラッド10bが部分的に除去された開口部(opening)であり、コア10aに沿って進んだ光の一部が抜け出る出光領域である。
【0027】
図3は、出光ウィンドウ10cが形成される光ファイバ10の実際写真である。
【0028】
図3に図示されているように、光ファイバ10は、全体的または部分的に発光する纎維状の発光体の機能を有する。そのような光ファイバ10は、多様な形態の光源として使用することが可能であるが、自動車用照光、照明、表示システム、温室、特に、スマートファーム(smart farm)用光源装置、ディスプレイ装置、太陽発電システムなどがあり、その用途は、さらに拡大されるであろう。
【0029】
図4及び
図5は、1またはそれ以上の実施形態において、光ファイバに対する出光ウィンドウ形成構造の概念を示す。
【0030】
図4、
図5に図示されているように、一方向に移送される光ファイバ10の周囲に、光ファイバの進行方向に直交する方向に、加工ロッド31が、所定角度間隔をもって配される。光ファイバ10は、光ファイバ10に対する漸進的出光ウィンドウ10c形成に合わせ、一定の間距離ほど間歇的に移送される。
【0031】
前記加工ロッド31は、高速回転及び前進/後進自在に設けられ、その端部には、光ファイバ10のクラッド10bを削り取る加工チップ(tip)31aが設けられている。前記加工ロッド31は、高速回転により、クラッド10bに貫通孔、すなわち、出光ウィンドウ10cを形成する。
【0032】
前記加工ロッド31は、光ファイバ10を中心に、その周囲に所定角度間隔に配され、光ファイバ10に一次進行(接近)した後、光ファイバ10のクラッド10bに、加工チップ31aが接触され、二次進行により、クラッド10bに対する出光ウィンドウ10cの加工が遂行される。一次進行の距離は、クラッド10bの厚み値に対応し、従って、二次進行距離が非常に短い。クラッド10bの加工結果により、二次進行距離が適切に調節されうる。ここで、該二次進行は、該一次進行後、加工チップ31aがクラッド10bに接触した後から始まり、その距離は、接触した時点の加工チップ31a先端の位置から計算される。それは、機械的誤差が存在する加工ロッド31の配置状態に係わりなく、クラッド10bに、正確厚の出光ウィンドウ10cを形成するためのものである。
【0033】
そのために、付加装置で加工チップ31aが進み、クラッド10bに接触したとき、それを、機械的、電気的/電子的に検出する機械的構造または電気電子的インタラプタを具備し、加工深を制御することにより、クラッド10bに接触した後、一定距離ほど、出光ウィンドウ10cの加工が進められるようにする。または、クラッド10bに対する出光ウィンドウ10cの加工が始まった後、その深さを、機械的または電子的に検出し、加工深を制御することにより、クラッド10bに対する出光ウィンドウ10cを精密に加工することができる。加工ロッド31による機械的切削により、出光ウィンドウ10cを加工する過程において、クラッド10b内側のコアも一部分切削されることになるが、前述のような加工深制御による全ての加工ロッド31によるコアの切削部分の深さを、一定にまたは目的とする深さに調節することができる。
【0034】
図6は、加工ロッド31の先端部の加工チップ31a近辺にセンシングチューブ35を設け、センシングチューブ35が、加工チップ31aから後方に後退したとき、加工を中断するようにする概念を示す。
【0035】
図6(a)に図示されているように、センシングチューブ35は、その先端部が、ノーマル状態において、加工ロッド31の先端部と一致するように配される。そのような状態において、加工ロッド31が前進すれば、センシングチューブ35も共に動くことになる。
【0036】
図6(b)に図示されているように、加工ロッド31が前進し、その端部が光ファイバ10のクラッド10bに接触しながら、出光ウィンドウの加工が始まる。
【0037】
図6(c)に図示されているように、出光ウィンドウの加工が進みながら、加工ロッド31の先端部に設けられたセンシングチューブ35は、クラッド10bに押されながら、加工ロッド31の後方に後退することになる。このとき、後退した距離が、既設定値になったとき、加工ロッド31による出光ウィンドウ10cの加工は、中断される。加工の停止は、加工ロッド31の後退、及び加工ロッドの回転停止を含む。ここで、既設定値の測定は、前記加工ロッド31に対するセンシングチューブ35の後退距離を検出することによって可能であり、従って、センシングチューブ35は、距離測定のための付加的装置にも連結される。
【0038】
図7は、コア周囲に形成される前記出光ウィンドウの配置について説明する。
図7及び
図5に図示されているように、出光ウィンドウ10cを形成する加工ロッド31は、コア10aの中心を置き、互いに対向せず、互い違いに配されることにより、コア10aの中心10a’に向かい合う2つの出光ウィンドウ10cが1直線上に位置されないようにする。
【0039】
前記出光ウィンドウ10cを形成する過程において、機械的加工による出光ウィンドウ10cの底面、すなわち、出光ウィンドウ10cの下部に露出されるコア10a表面の切削面を滑らかに加工することが、光損失抑制に有益である。そのために、前記光ファイバ10を、低温または零下の温度で加工すれば、すなわち、冷間切削加工を行えば、滑らかな切削面を得ることができる。低温加工においては、作業空間を低温に維持するこのが有益であり、さらには、低温状態の窒素ガスを局所的に供給し、光ファイバ10を急冷させることができる。
【0040】
図8、
図9は、1またはそれ以上の実施形態による光ファイバ加工装置の概略的外観を示す斜視図及び投影図であり、
図10は、光ファイバが通過するファイバ進行トンネル23部分の拡大図である。
【0041】
図8、
図9に図示された光ファイア加工装置は、その内部を通過する光ファイバ10のクラッド10bに対する出光ウィンドウ10cの形成が行われるファイバ進行トンネル23、及び前記トンネル23に直交する方向に、前記トンネル23の周囲で、トンネル23と連結されるように、放射状に多数形成される加工ロッド挿入ホール102を備えた光ファイバマシニングヘッド20を具備する。
【0042】
前記マシニングヘッド20の周囲には、前記加工ロッド挿入ホール102を介し、前記進行トンネル内の光ファイバの表面(クラッド)を加工する加工チップ31aを有する加工ロッド31、そして前記加工ロッドを作動させるアクチュエータ30が設けられる。前記アクチュエータ30は、非常に小さい孔を加工することができるマイクロドリルである。
【0043】
前記マシニングヘッド20は、前記光ファイバ10が通過するトンネル23が形成されたヘッドコア21と、ヘッドコア21を支持するヘッドボディ22を含んでもよい。しかし、他の実施形態によれば、前記トンネル23は、前記ヘッドコア21なしに、前記ヘッドボディ22自体にも形成される。すなわち、前記マシニングヘッド20は、1つの本体をなすヘッドボディ22とヘッドコア21とを含んでもよい。
【0044】
また、前記ヘッドボディ22には、前記加工ロッド挿入ホール102と交差する冷却液通過ホール101が形成される。前記冷媒通過ホール101は、ヘッドボディ22と光ファイバ10とを冷却するためのものであり、選択的要素である。ヘッドボディ22に結合されるニップル40を介して注入された気体状または液体状の冷媒は、前記加工ロッド挿入ホール102を介し、前記光ファイバ進行トンネル23に流入され、後述するスペーサ25によって形成されるギャップを介し、トンネル23への流入後に排出される。
【0045】
マシニングヘッド内部において、光ファイバが通過するトンネル23を中心に、その周囲に放射状に配される加工ロッド挿入ホール102、及びそれを横切ったり直交したりするように形成される冷却液通過ホール101の連結構造を示す。
【0046】
そして、前記トンネル23の周囲に、放射状に配されるアクチュエータは、光ファイバ10のコア10aまたはトンネル23を中心に同一直線上に置かれない。それは、光ファイバに形成される出光ウィンドウ10cが、互いに対向することによって発生する光損失、または出光量不均一を抑制するためである。すなわち、
図9の実施形態においては、7個のアクチュエータ30が等角に配されており、従って、トンネルを中心に、全てのアクチュエータ30が互い違いに形成されている。
【0047】
図10に図示されているように、ヘッドボディ22に設けられたヘッドコア21に、光ファイバ10が通過するブッシング24が設けられてもよい。前記ブッシング24の内面には、光ファイバ10と接触し、それを支持する多数のスペーサ25が形成される。前記多数のスペーサ25は、光ファイバ10を支持しながら、コアシリンダと光ファイバ10との摩擦を減らすために、多数一定間隔に配される。そのようなスペーサ25の配置により、冷間加工のための冷媒流入空間が形成される。
【0048】
そのようなスペーサ25は、ブッシング24の内面に、所定角度間隔で多数配置され、歯車型スペーシング構造に形成され、それら各スペーサ25は、光ファイバ10の延長方向または進行方向に延設されうる。
【0049】
他の実施形態によれば、前記ブッシング24の内部に形成されるスペーサ25は、前記ヘッドコア21に形成されるトンネル23の内部にも直接形成される。
【0050】
図11及び
図12は、加工ロッド31を作動させるアクチュエータ30の設置状態を図示する。
【0051】
アクチュエータ30は、マシニングヘッド20の本体、本実施形態において、ヘッドボディ22の外周面に固定されるステイタフレーム33と、それに対して直線往復する移動フレーム32、そして移動フレームに設けられ、前記加工ロッド31を高速回転させるモータ34を具備する。前記ステイタフレーム33は、前記マシニングヘッド20に対し、相対的位置が固定されており、本実施形態において、マシニングヘッド20に固定される。
【0052】
前記移動フレーム32の動きは、前記加工ロッド31が装着されたヘッドボディ22の加工ロッド挿入ホール102に対する往復運動を起こし、従って、高速回転する加工ロッド31の加工チップ31aは、光ファイバ10のクラッド10bに接触しながら、クラッド10bに対する出光ウィンドウ10cの加工が行われる。前記加工チップ31aは、人造ダイヤモンドまたは天然ダイヤモンドによっても形成される。出光ウィンドウ10cの加工によれば、出光ウィンドウ10cの底に露出されるクラッド10cも、所定深切削され、この深さは、前述のような切削深調節構造によっても制御される。
【0053】
本発明によれば、太陽光発電、宇宙工学、大型船舶、電気自動車、携帯用電気製品など、応用分野が広範囲に使用されるように、側面に出光がなされる光ファイバの量産が可能になる。
【0054】
本開示において、特定の実施形態について図示して説明されたが、特許請求の範囲によって提供される本発明の精神や分野を外れない限度内において、本発明は、多様に改良及び変化されうるということは、当業界で当業者には、容易く理解されることであるということを明らかにしておく。