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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】被災状況把握システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20241001BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20241001BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20241001BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B17/00 F
G08B23/00 510D
G08B25/10 D
H04M11/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023054535
(22)【出願日】2023-03-30
(62)【分割の表示】P 2019035643の分割
【原出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2023078452
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】長藤 真作
(72)【発明者】
【氏名】河合 秀規
(72)【発明者】
【氏名】橋本 守
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-140453(JP,A)
【文献】特開2017-182289(JP,A)
【文献】特開2017-157061(JP,A)
【文献】特開2017-1789(JP,A)
【文献】特開2008-28452(JP,A)
【文献】特開2006-253888(JP,A)
【文献】特開2018-142338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00-31/00
H04B 7/24- 7/26
H04M 3/00, 3/16- 3/20, 3/38- 3/58
7/00- 7/16,11/00-11/10
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備え所定エリアのマップを表示可能な表示装置と、
前記所定エリアに設置された発信器からの信号を受信して当該発信器の識別情報を含む発信器情報および自己の識別情報を送信可能な無線通信器を有する携帯情報端末により送信された情報に基づいて、当該携帯情報端末の現在位置を特定しその位置を示す携帯端末位置情報を送信可能なサーバと、
前記所定エリアに設置された感知器からの検出信号を受信可能な受信機と、
を備えた被災状況把握システムであって、
前記表示装置は、
前記サーバより取得した携帯端末位置情報に基づいて所定マークを前記マップの携帯端末滞在位置に表示させる携帯端末位置表示手段と、
前記受信機が受信した検出信号に基づいて、被災マークを前記マップの被災発生箇所に表示させる被災状況表示手段と、を備え、
当該表示装置の表示画面に表示されている前記所定マークが選択された場合に、当該所定マークに対応する前記携帯情報端末からの通信を許可するためのソフトウェアボタンを表示し、当該ソフトウェアボタンが操作された場合に前記携帯情報端末からの通信を許可することを特徴とする被災状況把握システム。
【請求項2】
前記携帯情報端末は、前記所定エリアにおける被災状況に関する情報を保有者が入力し前記受信機または前記サーバへ送信可能であり、
前記表示装置は、前記受信機および/又は前記サーバより取得した前記被災状況に関する情報に基づいて前記表示部の表示画面上に被災状況を表示可能であることを特徴とする請求項に記載の被災状況把握システム。
【請求項3】
前記受信機もしくは前記サーバには前記携帯情報端末の保有者の属性情報が記憶されており、
前記表示装置は、受信した携帯情報端末の識別情報に基づいて当該携帯情報端末の保有者の属性情報を前記表示部の表示画面上に表示可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の被災状況把握システム。
【請求項4】
前記表示装置は、所定の資格を有する保有者もしくは当該保有者が保有する携帯情報端末のマークを、前記所定の資格を有しない保有者もしくは当該保有者が保有する携帯情報端末のマークと異なる形態で前記表示部に表示可能であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の被災状況把握システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被災状況を把握するための被災状況把握システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビーコンを備えた位置情報システムを利用して、建物等の施設内の在留者の位置を取得し、火災発生時に避難誘導や消火活動の支援を行うための支援システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、建築物に配設された感知手段が異状を感知すると異状情報を送出する自動警報設備と接続された支援装置と、自衛消防隊の各隊員が携帯する複数の端末とを具備し、前記端末は、表示部と、操作部と、通信回線を介して前記支援装置と送受信する通信部とを備え、前記支援装置は、前記自動警報設備と通信する第1の通信部と、前記通信回線を介して前記端末と通信する第2の通信部とを備え、前記自動警報設備からの異状情報を受信すると、前記端末に異状情報を伝達すると共に、前記異状に対応する活動を要請するメッセージを前記端末に表示させ、該メッセージに対する前記端末からの応答を受信して活動状況を把握すると共に、前記端末に当該活動の支援情報を送信する支援システムに関する発明が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-91477号公報
【文献】特開2016-99706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の防災システムでは、現場にいる自衛消防隊員から防災センター等の指令室に待機している防災担当者への情報の伝達や防災担当者から自衛消防隊員への指令の伝達が簡便でないとともに、防災担当者による迅速かつ正確な現状把握に限界があったため、自衛消防隊員に対して適切な指示を付与できているとは言えなかった。
【0005】
本発明は上記のような課題に着目してなされたものでその目的とするところは、防災センター等の指令室に配設されている表示装置への表示を工夫することで、防災担当者による迅速かつ正確な現状把握を可能となり、それによって自衛消防隊員等に対して適切な指示を与えることが可能な被災状況把握システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本出願に係る発明は、
表示部を備え所定エリアのマップを表示可能な表示装置と、
前記所定エリアに設置された発信器からの信号を受信して当該発信器の識別情報を含む発信器情報および自己の識別情報を送信可能な無線通信器を有する携帯情報端末により送信された情報に基づいて、当該携帯情報端末の現在位置を特定しその位置を示す携帯端末位置情報を送信可能なサーバと、
前記所定エリアに設置された感知器からの検出信号を受信可能な受信機と、
を備えた被災状況把握システムであって、
前記表示装置は、
前記サーバより取得した携帯端末位置情報に基づいて所定マークを前記マップの携帯端末滞在位置に表示させる携帯端末位置表示手段と、
前記受信機が受信した検出信号に基づいて、被災マークを前記マップの被災発生箇所に表示させる被災状況表示手段と、を備え、
当該表示装置の表示画面に表示されている前記所定マークが選択された場合に、当該所定マークに対応する前記携帯情報端末からの通信を許可するためのソフトウェアボタンを表示し、当該ソフトウェアボタンが操作された場合に前記携帯情報端末からの通信を許可するようにしたものである。
かかる構成によれば、許可されない携帯情報端末からの通信をなくすことができ、複数の報告が同時になされて現状把握に混乱を生じさせることなく、優先して知りたい情報を取得することができる。
【0010】
また、上記のような構成によれば、火災受信機等既存の設備機器からの情報と合わせて被災状況を把握することができる。
【0011】
また、望ましくは、前記携帯情報端末は、前記所定エリアにおける被災状況に関する情報を保有者が入力し前記受信機または前記サーバへ送信可能であり、
前記表示装置は、前記受信機および/又は前記サーバより取得した前記被災状況に関する情報に基づいて前記表示部の表示画面上に被災状況を表示可能に構成する。
かかる構成によれば、災害発生現場にいる自衛消防隊員が入力した内容が表示装置のマップ上に表示されるため、災害発生現場の状況を正確に把握することができる。
【0012】
また、望ましくは、前記受信機もしくは前記サーバには前記携帯情報端末の保有者の属性情報が記憶されており、前記表示装置は、受信した携帯情報端末の識別情報に基づいて当該携帯情報端末の保有者の属性情報を前記表示部の表示画面上に表示可能に構成する。
上記のような構成を有する被災状況把握システムによれば、携帯情報端末の保有者の属性情報が表示装置に表されるため、指示を与えたい者を容易に見極めることができ、迅速な連絡と適切な指示を実施することができる。
【0013】
さらに、望ましくは、前記表示装置は、前記所定の資格を有する保有者もしくは当該保有者が保有する携帯情報端末のマークを、前記所定の資格を有しない保有者もしくは当該保有者が保有する携帯情報端末のマークと異なる形態で前記表示部に表示可能に構成する。
かかる構成によれば、位置情報システムが、自衛消防隊員のような所定の資格を有する者以外のエリア滞在者の位置を把握してマップ上に表示する情報を生成して送信するように構成されている場合に、位置情報システムに変更を加えることなく、所定の資格を有する者と所定の資格を有しない者を区別して表示することができ、それによって所定の資格を有する者に対して迅速な連絡と適切な指示を実施することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、既存のシステムに若干の変更を加えるだけで、現場にいる自衛消防隊員から防災センター等の指令室に待機している防災担当者への情報の伝達や防災担当者から自衛消防隊員への指令の伝達を簡便に行うことができる。また、防災センター等の指令室に待機する防災担当者による迅速かつ正確な現状把握を可能となり、それによって自衛消防隊員等に対して適切な指示を与えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】位置情報システムと火災報知システムを統合した本発明に係る被災状況把握システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2】実施形態の被災状況把握システムに用いられる携帯情報端末の構成例を示すブロック図である。
図3】防災センター等にある火災受信機の表示装置に表示される監視エリアのフロア図画像の一例を示す図である。
図4】フロア図上のマークが選択された際に表示装置に表示される監視エリアのフロア図画像の一例を示す図である。
図5】実施形態の被災状況把握システムに用いられる携帯情報端末における簡易報告操作の概要を示す説明図である。
図6】実施形態の被災状況把握システムに用いられる携帯情報端末における現状報告操作の概要を示す説明図である。
図7】実施形態の被災状況把握システムを構成する火災受信機における被災状況把握処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】上記実施形態の被災状況把握システムの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を適用した被災状況把握システムの実施形態について説明する。図1は、本実施形態の被災状況把握システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態の位置情報システムは、図1に示すように、建物内部の複数箇所に配設されているビーコン(発信器)10からの信号(電波)を受信可能な携帯情報端末20と、携帯電話基地局30及びインターネット等の通信ネットワークNを介して携帯情報端末20との間でデータ通信を行う位置情報サーバ40と、建物内部の複数箇所に配設されている火災感知器50からの火災検出信号を受信可能な火災受信機60と、ゲートウェイ(中継器)70及びインターネット等の通信ネットワークNを介して位置情報サーバ40との間でデータ通信を行う表示装置61と、防災担当者が操作する情報端末(以下、指揮端末と称する)90などから構成されている。
【0017】
なお、表示装置61は、表示部とデータ処理部とを備えており、位置情報サーバ40から取得した端末位置情報および監視エリアのマップ情報を火災等のイベントの発生に関する情報と共に表示部に表示する機能を有する。また、表示装置61には、監視エリアに設置されている火災感知器(IDもしくはアドレス)や防排煙装置などの設備と設置位置との対応表や、火災感知器から取得した火災の発生場所情報や発生時刻情報などを含む火災情報履歴を記憶する記憶装置62、キーボードやマウスのような入力装置63が接続されている。
【0018】
携帯情報端末20へ無線信号(機器IDや設備情報などの固有情報)を発信するビーコン10は、例えばBluetooth(登録商標)通信やIEEE 802.11規格に従ったWiFi等の無線LAN、赤外線通信、可視光通信など公知の通信方式を利用して信号を発信する。ビーコン10を配置する間隔は特に限定されないが、例えば隣接するそれぞれのビーコン10の通信範囲が建物内の空間を網羅できるように配置されている。
また、ビーコン10は、自己の識別情報を無線信号に乗せて定期的に周囲に発信する発信部を備える。ビーコン10が無線で発信する信号(ビーコン信号)には、少なくとも当該ビーコン10の識別情報(発信器の機器ID)が含まれていれば良く、さらに、設置されているエリアに関する情報が含まれても良い。
【0019】
携帯情報端末20および指揮端末90は、例えばCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するプログラムを格納した不揮発性メモリ、作業用のRAM(Random Access Memory)などからなるデータ処理機能の他、無線通信機能を備える機器であり、公知のスマートフォン等を利用することができる。また、携帯情報端末20はビーコン10からの信号を受信する受信機能を備え、指揮端末90は画像を撮影するカメラ機能を備える。
携帯情報端末20の内部メモリには、定期的にビーコン10から無線で発信されるビーコン信号を受信して当該ビーコン信号に含まれる識別情報(機器ID)等を抽出し、識別情報を含むビーコン情報を携帯電話基地局30及び通信ネットワークNを介して位置情報サーバ40へ送信する処理と、通信ネットワークN及び携帯電話基地局30を介して位置情報サーバ40から送信されたフロア図情報に基づくフロア図画像を画面に表示する処理とを実行するアプリケーション・プログラム(位置情報表示アプリ)が格納されている。
【0020】
本実施形態においては、後に説明するように、火災受信機60が表示装置61の画面上において選択された携帯情報端末20の連絡先(電話番号もしくはメールアドレス)を記述したQRコード(登録商標)のような2次元コードを表示可能にされており、指揮端末90は、表示された2次元コードをカメラ機能を用いて読み取ると、コードを解読して連絡先を抽出し、抽出した連絡先の携帯情報端末20と自動的に通信を行う処理を実行するアプリケーション・プログラムが格納されている。
かかるプログラムは、一般的なスマートフォンに搭載されているので、特に本実施形態のシステムのために新たなアプリケーション・プログラムを格納することなく、通常のスマートフォンを指揮端末90として利用することができる。
【0021】
火災感知器50は、警戒区域ごとに異なる感知器回線51を介して火災受信機60に接続されており、熱、煙、炎、有害ガスなどの発生を検出すると、感知器回線51を介して火災検出信号を火災受信機60へ送信する。火災感知器50は、火災検出信号に自己の設置アドレスを付加するタイプ(いわゆるR型)の感知器であっても良いし、設置アドレスを付加しないタイプ(いわゆるP型)の感知器であっても良い。
【0022】
火災受信機(R型またはP型)60は、火災感知器50からの火災検出信号を受信した場合、表示部に火災報知表示を行うとともに地区ベルの鳴動や防排煙装置などの連動制御を行う。
なお、火災受信機60は、火災検出信号に火災感知器50の設置アドレスが付加されている場合には、当該設置アドレスに基づいて火災の発生場所を特定する。一方、火災検出信号に火災感知器50の設置アドレスが付加されていない場合には、当該火災検出信号を伝送した感知器回線51に基づいて火災の発生場所(警戒区域)を特定する。
【0023】
位置情報サーバ40は、当該位置情報サーバ40が管理する建物の各フロアの地図情報(フロア図)と、携帯情報端末固有の識別情報(端末ID)と、携帯情報端末の保有者の資格(自衛消防隊員)や役割(通報係、誘導係、救護係、消火係)等の属性に関する情報(保有者属性情報)とを記憶するデータベース41を備えている。なお、各フロアの地図情報(フロア図情報)には、各フロアに設置されているビーコン10の機器ID及び設置位置情報などが含まれる。
位置情報サーバ40は、携帯情報端末20からビーコン10の機器IDを受信すると、受信したビーコンの機器IDとデータベース41に記憶されている情報に基づいて当該携帯情報端末20のフロア図上の位置を算出する。
【0024】
そして、位置情報サーバ40は、携帯情報端末20のフロア図上での位置情報を通信ネットワークNおよびゲートウェイ70を介して表示装置61へ送信する処理を実行する。この際、監視エリア(フロア図)内に複数の携帯情報端末20が存在するときは、複数の携帯情報端末のそれぞれの現在位置を示す情報を表示装置61へ送信する。
また、位置情報サーバ40は、携帯情報端末20から送られてくる発信器の機器IDと端末IDに基づいて、データベース41内のテーブルデータを参照して保有者の属性を判断し、属性情報を位置情報と共にゲートウェイ70を介して表示装置61や火災受信機60へ送信する機能を有する。携帯情報端末IDと保有者の属性との対応を示すテーブルを表示装置61側の記憶装置62内に格納しておいて、保有者の属性を判断する機能を表示装置61に持たせるようにしても良い。
【0025】
表示装置61は、記憶装置62内から読み出して表示部に表示しているフロア図上に、位置情報サーバ40から受信した携帯情報端末20の位置情報に基づいて現在位置を示すマークや火災受信機60から受信した信号に基づく火災を示すマークを発生位置に表示する。この際に、監視エリアにいる携帯情報端末20の保有者が自衛消防隊員など所定の資格や役割を有する者である場合には、マークの表示形態を変えてフロア図上に表示する。具体的には、マークの図柄は同一でも自衛消防隊員のマークは例えば黒色、それ以外の一般利用者のマークは例えば青色で表示することが考えられる。
【0026】
図2には、携帯情報端末20の構成例が示されている。図2に示すように、携帯情報端末20は、ビーコン10からの電波を受信可能なビーコン受信器21、ネットワークNを介して位置情報サーバ40と通信を行うための無線通信器22、CPU(中央処理ユニット)などからなるデータ処理部23、アプリケーション・プログラムなどを記憶する記憶装置24、入力部および表示部を備えたタッチパネルディスプレイ25、電源電圧を供給する電池26、クロック信号を生成するクロック生成器27などを備えている。
【0027】
また、データ処理部23は、ビーコン受信器21により受信した信号からビーコンの機器IDなどの情報を抽出するとともに記憶装置24から自器のIDを読み出して位置情報サーバ40へ周期的に送信する送信処理部32、無線通信器22により位置情報サーバ40から受信したフロア図等のマップや指揮端末90から受信した情報を表示部に表示するマップ表示処理部33、タッチパネルディスプレイ25の入力部への入力操作の内容を判断し認識する入力内容認識部34などを備えている。
【0028】
次に、表示装置61によって実行される表示部の画面上へ表示する画像とそれに基づく処理および機能の特徴について、図3図6を用いて説明する。
このうち図3には、表示装置61の画面上に表示されるフロア図の一例が示されている。図3において、符号Dが付されているのは火災感知器のマーク、符号Bが付されているのはビーコンのマーク、符号Sが付されているのは携帯情報端末20を保有する自衛消防隊員等の端末保有者のマーク、符号Fが付されているのは異常(火炎)の発生位置を表わすマーク、「×」は破損が発生している個所を示すマークである。また、符号Mが付されているマークは、要救助者を表している。図3では、感知器とビーコンが別の位置に示されているが、同一位置に設置されていても良い。図3にはマークSとして人を模したマークを表示しているが、携帯情報端末を模したマークを表示するようにしても良い。
【0029】
本実施例の表示装置61の特徴的な機能は、フロア図に表示されている自衛消防隊員のマークSにカーソルCを合わせると、図4に示すように、当該自衛消防隊員が保有する携帯情報端末の連絡先(電話番号とメールアドレス)と、電話番号もしくはメールアドレスをコード化したQRコード(登録商標)が吹き出しの形態で表示される機能である。また、吹き出しSBの下部には、携帯情報端末20の側からの通信を許可するための「通信許可」ボタンCBと、吹き出しSBの表示を終了させるための「閉じる」ボタンEBが設けられている。吹き出しSBによる表示の代わりに、例えばQRコード等をポップアップで表示するとともに対応する隊員のマークSを点滅させるようにしても良い。
【0030】
指揮担当者は、指令ボタンCBをクリックすることで、当該吹き出しに対応する携帯情報端末(自衛消防隊員)からの報告を許可することができる。これにより、例えばフロア図を見て火災発生個所に最も近い携帯情報端末を選択して報告を許可することで、複数の報告が同時になされて現状把握に混乱を生じさせることなく、優先して知りたい情報を取得することができる。
なお、吹き出しSBに2次元コードを表示し指揮端末90のカメラで取り込む代わりに、吹き出しSBに表示したメールアドレスにカーソルCを合わせてマウスをクリックすると、自動的にメールを送信するように構成しても良い。
【0031】
また、表示装置61の画面の左上には、「メニュー」ボタンMBが表示されており、この「メニュー」ボタンMBにカーソルCを合わせてマウスをクリックすると、作業メニューの一覧が表示される。その作業メニューの一覧の中に「簡易報告」がある。マウス等による入力操作により「簡易報告」が選択されると、図5に示すようなポップアップPAが表示され、このポップアップPAの下部にある「報告指示」ボタンRBをマウス操作すると、表示装置61から、フロア図に表示されているすべての携帯情報端末へ現状報告の指示メール(もしくは自動音声による命令)が、フロア図情報と共に送信される。なお、この指示が送信される携帯情報端末20は、自衛消防隊員や警備員等の防災関係者が保有する携帯情報端末に限定しても良い。
【0032】
図5(A)のフロア図には、報告者からの報告があった際に表示装置61に表示される報告内容の表示例が示されている。
報告者が保有する携帯情報端末20においては、表示装置61からの現状報告要求の指示を受信すると、図5(B)に示すような現状報告依頼の画面が表示され、「報告する」ボタンにタッチすると、図5(C)に示すような入力画面が表示される。この画面においては、「火災」と「煙」と「破損」を示すマークが画面下部に表示されており、その中から報告したいイベントのマークにタッチして発生している位置へドローすると、指を離した位置にマークが表示される。
【0033】
なお、図示しないが、上記入力の際に、イベントのレベルを例えば1~3の3段階のいずれであるか入力可能にされている。レベルの入力は、例えば携帯情報端末20の画面に表示されている入力対象のイベントのマークを指でタップした回数で変える方法が考えられる。上記のようにして携帯情報端末20で入力されたイベントの位置とそのレベルは、図5(A)に示すように、表示装置61の画面上のフロア図に表示される。ポップアップPAには、マークの内容を説明する文字が表示されるため、指揮担当者は状況を容易に把握することができる。携帯情報端末20で簡易入力された内容は、火災情報サーバ40または指揮端末90において、指定時間帯の状態表示、指定時間帯における指定時間間隔での連続表示に対応できる。
【0034】
また、報告者は、携帯情報端末20の画面上のフロア図に指を触れてループを描く操作をすることで、火災の範囲を入力することができるように構成されており、図5(A)に示すように、表示装置61の画面上に、入力された火災範囲FAを示すラインが表示されるようになっている。ラインを表示する代わりに火災範囲FAを塗り潰すようにしても良い。
【0035】
さらに、図6に示すように、報告者は、携帯情報端末20の画面上のフロア図に表示されているマークに指を触れて移動させることで、火災の発生位置の移動を入力することができる。さらに、入力項目を切り替えることで火災の範囲や煙の範囲、破損の範囲、要救助者、通行不能を報告する入力も可能である。
また、指揮担当者が、表示装置61の画面上のフロア図に既に表示されている端末保有者のマークSではなく火災や煙、破損個所を表すマークにカーソルを合わせた場合にも、当該イベントの発生を報告してきた端末保有者の情報(属性、電話番号、メールアドレス等)を記憶装置62から読み出して、吹き出し形態で表示するように、表示装置61のプログラムを構成しても良い。
【0036】
次に、本実施形態の被災状況把握システムを構成する表示装置61における火災発生時の被災状況把握処理手順を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この被災状況把握処理は、火災受信機60または携帯情報端末20から火災の発生を受信した場合に開始するように構成することができる。
表示装置61が図7の被災状況把握処理を開始すると、先ず、位置情報サーバ40に対して監視エリア内に存在するすべての携帯情報端末20の位置情報を要求し受信する(ステップS1)。次に、記憶装置62からマップ情報を読み出して(ステップS2)、上記ステップS1で受信した携帯情報端末20の位置情報に基づいてマップの対応する位置に携帯情報端末20のマーク(保有者のマーク)を付記したフロア図を表示装置61の表示部の画面上に表示する(ステップS3)。このとき、位置情報サーバ40から送信されてきた端末保有者の属性に基づいて、マークの表示形態を決定して表示する。
【0037】
次に、マークの選択があったか否か判定し(ステップS4)、マークの選択があった(Yes)と判定した場合には、記憶装置62または位置情報サーバ40から保有者の電話番号やメールアドレス、電話番号をコード化したQRコードなどの情報を読み出し(ステップS5)、それらの情報を表示装置61の画面上に吹き出し表示する(ステップS6)。続いて、表示装置61の表示部の画面上の「通信許可」ボタンCBが操作されたか否か判定し(ステップS7)、「通信許可」ボタンCBが操作された(Yes)と判定した場合には、「通信許可」を送信する(ステップS8)。
その後、QRコードを指揮端末90のカメラで取り込んで通信を行なった端末保有者から報告があるので、携帯情報端末20からの通信を受信した否か判定し(ステップS9)、受信している場合には、受信内容に応じて表示処理等を実行する(ステップS10)。
【0038】
上述したように、本実施形態の被災状況把握システムによれば、火災受信機等既存の設備機器に僅かな機能を追加もしくは変更するだけで上述したような火災情報取得機能を有するシステムを実現することができる。
また、非常時に防災センターにて火災の状況を把握して自衛消防隊員へ適切な指示を与える指揮担当者(管理者、消防隊長、警備員)はスマートフォンのような通常の携帯情報端末を使用して現場にいる自衛消防隊員や警備員からリアルタイムで情報を収集して迅速かつ正確に状況を把握することができる。さらに、自衛消防隊員や警備員は、所定の防災アプリをインストールした携帯情報端末を携帯することで、タッチパネルを使用した簡単な端末操作で火災現場の状況を報告することができる。
【0039】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、携帯情報端末の保有者への連絡先情報を含む連絡コードとしてQRコードのような2次元コードを表示装置61へ表示すると説明したが、QRコードの代わりにバーコード等を表示するようにしても良い。また、上記実施形態では、表示装置61が火災等の情報の表示処理を行うようにしているが、図8に示すように、記憶装置62と入力装置63を受信機60に接続して、受信機60が図3図5のような情報の表示処理を行うように構成しても良い。
【0040】
また、上記実施形態では、受信機60に接続される感知器の例として火災感知器を挙げているが、煙感知器やCOガスなどのガス感知器であっても良い。また、上記実施形態では、位置情報システムとして、ビーコンによる測位を利用したシステムを例示したが、これに限定されず、位置情報システムは例えばIMES(Indoor Messaging System)等のその他の方式による測位を利用したシステムであっても良い。
さらに、上記実施形態では、火災発生時における被災状況把握するシステムに適用した場合について説明したが、本発明は地震、テロ事件などによる災害発生時における被災状況把握するシステムにも利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 ビーコン(発信器)
20 携帯情報端末
40 位置情報サーバ(サーバ装置)
41 データベース(発信器設置位置情報記憶手段)
50 火災感知器
60 火災受信機(受信機)
61 表示装置
62 記憶装置
63 入力装置
90 指揮端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8