(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】絶縁紙巻き機構
(51)【国際特許分類】
B65H 75/00 20060101AFI20241001BHJP
B65H 75/38 20060101ALI20241001BHJP
H01F 5/06 20060101ALI20241001BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B65H75/00 Z
B65H75/38 J
H01F5/06 W
H01F5/06 H
H02G3/04
H02G3/04 081
(21)【出願番号】P 2023104176
(22)【出願日】2023-06-26
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】塩野 広人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 由太
(72)【発明者】
【氏名】林 弘樹
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-122864(JP,A)
【文献】特開平11-329689(JP,A)
【文献】実開昭60-12566(JP,U)
【文献】特開平9-114079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00
B65H 75/38
H01F 5/06
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変成器用電線を被覆する絶縁紙を筒状に巻く絶縁紙巻き機構であって、
前記絶縁紙の端部を挟んで回転し、前記絶縁紙を外面に巻き付ける回転筒と、
前記絶縁紙が回転筒から抜けることを防止する防止部材と
を備える絶縁紙巻き機構。
【請求項2】
前記回転筒は、
長さ方向に沿って形成され、供給される前記絶縁紙の端部を挟む挟み口を有し、
前記防止部材は、前記絶縁紙の供給側と反対側にて前記回転筒と接する接触部を有する請求項1に記載の絶縁紙巻き機構。
【請求項3】
前記防止部材は、前記反対側から前記回転筒を囲み、前記絶縁紙の供給側が開放されており、
前記接触部に近い程、前記回転筒と前記防止部材との間隙が狭くなっている請求項2に記載の絶縁紙巻き機構。
【請求項4】
前記接触部は前記回転筒と接する平面を有する請求項2に記載の絶縁紙巻き機構。
【請求項5】
前記防止部材は、少なくとも、前記回転筒の両端部に配設されている請求項1に記載の絶縁紙巻き機構。
【請求項6】
前記絶縁紙を支える支持面を有して前記回転筒に前記絶縁紙を供給する支持台を備え、
前記回転筒は、前記支持面を含む平面と交わる位置を基準に180°~300°の回転角範囲に係る外面内の所定位置が前記接触部と接している請求項2に記載の絶縁紙巻き機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁紙巻き機構に関する。
【背景技術】
【0002】
変成器の生産工程は、例えば、絶縁紙で被覆された電線を巻回してコイルを製作する巻線工程、鉄心とコイルとを組み合わせる内装工程、鉄心が組み込まれたコイルを乾燥してケースに収納する組立工程、出荷検査を行う検査工程などを含む。組立工程においてコイルに巻回された電線の端末部を変成器の充電部などの外部の端子に接続するため、巻線工程では、コイルから口出線を導出する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような変成器用の電線を絶縁紙で被覆する作業には、筒形状に巻かれた絶縁紙(以下、巻回体と称する)が用いられる。しかし、絶縁紙の巻回体を製造する作業は手作業にて行われ、作業性及び生産性が劣るうえに、製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、変成器用絶縁紙の巻回体の製造を自動化できる絶縁紙巻き機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る絶縁紙巻き機構は、変成器用電線を被覆する絶縁紙を筒状に巻く絶縁紙巻き機構であって、前記絶縁紙の端部を挟んで回転し、前記絶縁紙を外面に巻き付ける回転筒と、前記絶縁紙が回転筒から抜けることを防止する防止部材とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、変成器用絶縁紙の巻回体の製造を自動化できる絶縁紙巻き機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る絶縁紙巻き機構の要部構成を示す斜視図である。
【
図4】実施形態1に係る絶縁紙巻き機構の要部構成を示す縦断面図である。
【
図5】実施形態1に係る絶縁紙巻き機構が絶縁紙を巻く動作を説明する説明図である。
【
図6】実施形態2に係る絶縁紙巻き機構の回転筒の構成を示す断面図である。
【
図7】実施形態3に係る絶縁紙巻き機構の回転筒の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
【0010】
(実施形態1)
本実施形態に係る絶縁紙巻き機構は、例えば、変成器用の電線を被覆する絶縁紙を筒状に巻く機械に用いられる。
図1は、実施形態1に係る絶縁紙巻き機構100の要部構成を示す斜視図である。絶縁紙巻き機構100は、絶縁紙Pの端部を挟んで回転し、絶縁紙Pを外面に巻き付ける回転筒10と、絶縁紙Pを支える扁平な支持面21を有し、回転筒10に絶縁紙Pを供給する支持台20と、回転筒10を保持する保持台60とを備えている。
図1において、矢印は、絶縁紙Pの供給方向を示している。
【0011】
支持台20は、回転筒10から少し離れた位置から回転筒10に絶縁紙Pを供給する。即ち、支持台20は回転筒10に対して絶縁紙Pの供給側に配設されている。回転筒10は、支持台20の支持面21を含む平面と交わる位置に配設されている。以下では、便宜上、回転筒10に対して絶縁紙Pの供給側を一方側とも称する。
【0012】
支持台20は、例えば絶縁紙Pの供給方向と直交する方向に延びる略矩形の板形状を成している。支持台20は、回転筒10側の長辺部が下方に折り曲げられている。支持面21の上面には絶縁紙Pが載置され、絶縁紙Pは支持面21に案内されて回転筒10側に移動する。
【0013】
図2は、
図1のII-II線による縦断面図である。
回転筒10は、円筒形状であり、絶縁紙Pの供給方向と直交する方向、即ち支持台20の長さ方向に延びている。回転筒10は例えば金属製であり、回転筒10の長さは支持台20の長さよりも長い。
【0014】
また、回転筒10は、支持台20側、即ち一方側から供給される絶縁紙Pの端部を挟む挟み口11を有している。挟み口11はスリット形状である。即ち、挟み口11は、回転筒10を厚み方向に貫通する切り欠きであり、長さ方向に沿って回転筒10の一端から他端に亘って直線状に形成されている。回転筒10は絶縁紙Pの端部を挟んで回転し、絶縁紙Pを外周面に巻き付けて円筒形状に巻く。
【0015】
回転筒10の一端には回転筒10を支持して回転中心Oを中心に回転させる回転装置40が設けられている(
図1参照)。回転装置40は、回転可能に回転筒10の端面を支える軸受け部(図示せず)と、回転筒10を正回転又は逆回転させるサーボモータ(図示せず)とを備えている。前記サーボモータは、図示しない制御装置によりその回転が制御される。
なお、便宜上、
図1では省略しているが、回転筒10の他端にも回転筒10を回転可能に支持する軸受け部が設けられている。
【0016】
回転筒10に対し、回転筒10の径方向において前記一方側と反対側には、保持台60が配設されている。保持台60は防止部材30を複数備えている。防止部材30は、回転筒10が回転する際、挟み口11から絶縁紙Pが抜けることを防止する。
【0017】
保持台60は、内側に複数の防止部材30を収容している収容部61と、収容部61を前記巻く機械に取り付けるための取り付け部63と、前記複数の防止部材30を遊貫して保持する保持丸棒64とを備えている。
【0018】
収容部61は、金属板材からなり、縦断面視でL字形状を成している。収容部61は回転筒10の長さ方向に延びている。収容部61の両端の縁には板形状の側壁62が夫々立設されている。2つの側壁62は対向配置されており、保持丸棒64の両端を保持している。即ち、保持丸棒64は2つの側壁62の間で横架されている。上述の如く、収容部61の内側には、複数の防止部材30が収容されており、複数の防止部材30は、回転筒10の長さ方向、即ち、保持丸棒64の長さ方向に並設されている。防止部材30同士の間には、回転筒10の長さ方向に延びるスペーサ65が配設されており、スペーサ65の両端が防止部材30に夫々固定されている。
【0019】
図3は、防止部材30を示す斜視図である。
防止部材30は、立設された略矩形厚板形状であり、逆方向に開放されたC字形状を成している。即ち、防止部材30は、前記一方側(支持台20側)が開放された凹部31を有しており、前記反対側から回転筒10を囲んでいる。凹部31の内面は、回転筒10の外径よりも大径の曲面であり、回転筒10は、防止部材30の凹部31内に配置されている。上述の如く、前記複数の防止部材30は厚み方向に並設されている。前記複数の防止部材30は、回転筒10の長さ方向に等間隔を隔てて、回転筒10の両端部及び中間部を含む複数箇所に配設されている。
【0020】
凹部31の内面のうち、前記一方側(開放側)に対して前記反対側の上部分には、後述の如く、回転筒10の外周面と接する接触部32が形成されている。即ち、接触部32は回転筒10に対して斜め上側に形成されている。接触部32は平らな平面321を有しており、平面321が回転筒10の外周面と接している(
図2の破線楕円部参照)。
【0021】
また、防止部材30は、接触部32近傍の隅部に、厚み方向に防止部材30を貫通する貫通孔34が形成されている。縦断面視で貫通孔34は長円である。貫通孔34は、保持丸棒64の長さ方向と直交する方向、即ち、回転筒10に対する接離方向に延びている。各防止部材30の貫通孔34を保持丸棒64が遊貫している。
【0022】
更に、防止部材30では、凹部31と反対側の反対側面が収容部61と対向しており、前記反対側面に、防止部材30を収容部61に保持させるための保持棒33が設けられている。保持棒33は、前記反対側面から突設されており、一端が防止部材30の前記反対側面に固定され、他端は、収容部61に形成された貫通孔(図示せず)に遊貫されている。よって、防止部材30と共に保持棒33は、長さ方向に移動可能である。
【0023】
即ち、貫通孔34及び保持棒33によって、防止部材30は、上下方向及び回転筒10の長さ方向における位置が固定されるものの、回転筒10に対する接離方向には所定範囲内を移動可能である。
【0024】
図4は、実施形態1に係る絶縁紙巻き機構100における、支持台20、回転筒10及び防止部材30の位置関係を示す縦断面図である。また、
図4において矢印は、回転筒10の回転方向を示し、破線は、支持台20の支持面21を含む仮想の平面を示す。
【0025】
上述の如く、回転筒10から斜め上側には防止部材30の接触部32が形成されている。より詳しくは、回転筒10において、支持台20の支持面21を含む平面と交わる交差位置から、回転方向へ、防止部材30の接触部32との接点(
図4の破線楕円部参照)までの回転角(
図4の角θ参照)は180°~300°の範囲内である。
【0026】
換言すれば、回転筒10における前記交差位置を基準に180°~300°の回転角範囲に係る外周面内の所定位置(接点)で回転筒10の径方向に対向するよう、接触部32が形成されている。また、望ましくは、回転角は190°~270°の範囲内であり、更に望ましくは回転角は250°である。
【0027】
絶縁紙巻き機構100は、防止部材30を回転筒10側に付勢する付勢部材50を更に備えている。付勢部材50は、防止部材30と、収容部61との間に介在している。付勢部材50は、例えばばねであり、保持棒33に外嵌されている。付勢部材50は保持棒33と遊嵌している。付勢部材50によって、防止部材30は、回転筒10に対する接離方向に移動可能であり、防止部材30の斯かる移動は、貫通孔34及び保持棒33によって案内される。
【0028】
上述の如く、回転装置40によって回転筒10が保持されているのに対して、付勢部材50によって防止部材30が回転筒10側に押されているので、回転筒10の外周面が防止部材30の接触部32と接する。
【0029】
なお、絶縁紙巻き機構100においては、防止部材30(凹部31)の内面の曲率が適宜調整され、凹部31の支持台20側の縁から、防止部材30の回転方向に沿って、接触部32へ近づくにつれて、回転筒10と防止部材30との間隙Gが徐々に狭くなるように構成されている。
【0030】
図5は、実施形態1に係る絶縁紙巻き機構100が絶縁紙Pを巻く動作を説明する説明図である。絶縁紙Pを巻く動作は
図5A~
図5Dの順に実行される。
【0031】
まず、
図5Aで示すように、支持台20によって絶縁紙Pが供給される。絶縁紙Pは支持台20の支持面21上を回転筒10側に移動する。供給された絶縁紙Pの一端部は、回転筒10の挟み口11を介して回転筒10の内側に入り、挟み口11に挟まれる(
図5B)。以降、回転装置40が回転筒10を回転させる。
【0032】
回転筒10が回転すると、一端部が挟み口11に挟まれているので、絶縁紙Pは回転筒10側に引っ張られる(
図5C)。絶縁紙Pは回転筒10に引きずられ、凹部31の支持台20側の縁から間隙G内に入る(
図5D)。上述の如く、接触部32へ近づくにつれて間隙Gが徐々に狭くなるので、絶縁紙Pは、間隙Gに案内されて回転筒10の外周面に沿って湾曲する。従って、回転筒10の外周面と絶縁紙Pとの間の空気が押し出され、回転筒10の外周面と絶縁紙Pとが密着される。よって、綺麗な円筒状に絶縁紙Pを巻くことができる。
【0033】
更に回転筒10が回転すると、防止部材30の接触部32と回転筒10との間に絶縁紙Pが介在し、接触部32と回転筒10とに挟持される。よって、挟み口11から絶縁紙Pが抜けることが防止される。回転筒10の回転がより進んでも、接触部32と回転筒10とによる絶縁紙Pの挟持状態が維持されるので、挟み口11から絶縁紙Pが抜けることはない。
【0034】
また、2周目以降においても、間隙Gに案内されて絶縁紙Pが巻かれ、かつ接触部32と回転筒10とによる絶縁紙Pの挟持状態が維持されるので、内周及び外周の絶縁紙P間の空気が押し出され、絶縁紙P同士が密着される。よって、形が整った絶縁紙Pの巻回体を得ることができる。
【0035】
そして、上述の如く、貫通孔34及び保持棒33によって防止部材30が回転筒10へ接離可能に保持されているので、回転筒10の回転数が増加すると共に、即ち、絶縁紙Pの巻回体の厚みが厚くなるにつれて、防止部材30が回転筒10から遠ざかる。よって、絶縁紙Pの巻回体の厚み変動にも対応できる。
【0036】
以上のようにして回転筒10の外周面上に巻きつけられた絶縁紙Pの巻回体を回転筒10から取り外し、円筒の絶縁紙Pの巻回体が得られる。よって、変成器用絶縁紙Pの巻回体の製造を自動化でき、作業性及び生産性を高めることができる。以降、得られた絶縁紙Pの巻回体の内側に変成器用の電線を通して電線を被覆する。
【0037】
実施形態1に係る絶縁紙巻き機構100では、上述の如く、回転筒10に対して絶縁紙Pの供給側と反対側に、防止部材30(凹部31)の接触部32が設けられているので、絶縁紙Pの抜け防止効果を更に高めることができる。
【0038】
絶縁紙Pは挟み口11に挟まれているものの、挟み口11に挟持されていない。例えば、間隙Gが最も広い凹部31の支持台20側の縁の近傍に、接触部32が設けられている場合は、挟み口11に絶縁紙Pが引っ掛かっていない状態で絶縁紙Pが接触部32に当たるので、接触部32と絶縁紙Pとの摩擦によって、絶縁紙Pが簡単に挟み口11から抜け落ちる。
【0039】
これに対して、絶縁紙巻き機構100では、上述の如く、接触部32が絶縁紙Pの供給側と反対側に設けられている。即ち、回転筒10が約180°以上回転した位置に接触部32が設けられているので、絶縁紙Pが挟み口11の縁に引っ掛かり(
図5D参照)、かつ、間隙Gに案内されて絶縁紙Pが回転筒10の外周面と密着していることから、接触部32との摩擦によって絶縁紙Pが挟み口11から抜けることを防止できる。
【0040】
また、実施形態1に係る絶縁紙巻き機構100では、上述の如く、接触部32が平面321を有し、平面321が回転筒10と接するように構成されている。即ち、接触部32において回転筒10と接する部分は平面である。例えば、接触部32と回転筒10との接触部が曲面である場合、平面である場合に比べて、絶縁紙Pを巻く際に絶縁紙Pとの接触面積が増えるので摩擦力も増えることになり、挟み口11から絶縁紙Pが抜けるおそれがある。
これに対して、絶縁紙巻き機構100は、回転筒10との接触部が平らな平面321であるので、絶縁紙Pとの接触面積を最小限に抑え、摩擦力の発生を抑制できる。
【0041】
以上では防止部材30が、回転筒10の両端部及び中間部を含む複数の箇所に夫々配設されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。防止部材30は、少なくとも、回転筒10の両端部(2箇所)に夫々配設されていれれば良い。
【0042】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る絶縁紙巻き機構100の回転筒10の構成を示す断面図である。説明の便宜上、
図6では、前記一方側から絶縁紙Pが供給され、回転筒10の挟み口11を通る状態を示している。
図6中、破線は絶縁紙Pを示している。
【0043】
実施形態1と同様、回転筒10は、円筒形状であり、絶縁紙Pの供給方向と直交する方向に延びている。また、回転筒10は、前記一方側から供給される絶縁紙Pの端部を挟む挟み口11を有しており、挟み口11はスリット形状である。回転筒10は絶縁紙Pの端部を挟んで回転し、絶縁紙Pを外周面に巻き付ける。
【0044】
実施形態2に係る絶縁紙巻き機構100においては、挟み口11の縁間の間隔が、回転筒10の外側に近い程、広くなるように形成されている。即ち、挟み口11が回転筒10の全長に亘って形成されているので、回転筒10は周方向にて2つの端部が対応しており、両端部に係る端面111,112が互いに対向している。端面111,112間の間隔は、回転筒10の外側から内側に近い程、狭くなる。
【0045】
以上のような構成を有することから、実施形態2に係る絶縁紙巻き機構100においては、回転筒10の回転開始前に絶縁紙Pを挟み口11に通す作業が容易になる。
【0046】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
(実施形態3)
図7は、実施形態3に係る絶縁紙巻き機構100の回転筒10の構成を示す断面図である。説明の便宜上、
図7では、前記一方側から絶縁紙Pが供給され、回転筒10の挟み口11を通る状態を示している。
図7中、破線は絶縁紙Pを示している。
【0048】
実施形態1と同様、回転筒10は、円筒形状であり、絶縁紙Pの供給方向と直交する方向に延びている。また、回転筒10は、前記一方側から供給される絶縁紙Pの端部を挟む挟み口11を有しており、挟み口11はスリット形状である。回転筒10は絶縁紙Pの端部を挟んで回転し、絶縁紙Pを外周面に巻き付ける。
【0049】
実施形態3に係る絶縁紙巻き機構100においては、挟み口11が回転筒10の径方向に対して回転方向へ斜めに回転筒10を内外に貫通するように形成されている。従って、挟み口11は、内側の開口部114が、外側の開口部113よりも、回転筒10の回転方向へ回転筒10の周方向に沿ってズレた下流側に形成されている。よって、絶縁紙Pにおいて挟み口11に挟まれた回転筒10内の部分(以下、絶縁紙Pの挟まれた部分と称する)が回転筒10の内壁側に寄り添った状態で絶縁紙Pの巻きが行われ、絶縁紙Pの挟まれた部分が回転筒10の回転中心O側に折り曲げられることが抑制される。
【0050】
以上のような構成を有することから、実施形態3に係る絶縁紙巻き機構100によって得られた絶縁紙Pの巻回体においては、絶縁紙Pの挟まれた部分が巻回体の中心側に折り曲げられず、絶縁紙Pの巻回体の内側に変成器用の電線を通す作業の妨げにならないので、作業性が高まる。
【0051】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
実施の形態1~3で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせることにより、新しい技術的特徴を想到することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0053】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0054】
10 回転筒、11 挟み口、20 支持台、21 支持面、30 防止部材、32 接触部、50 付勢部材、100 絶縁紙巻き機構、113 外側の開口部、114 内側の開口部、321 平面、G 間隙、P 絶縁紙
【要約】
【課題】変成器用絶縁紙の巻回体の製造を自動化できる絶縁紙巻き機構を提供する。
【解決手段】変成器用電線を被覆する絶縁紙を筒状に巻く絶縁紙巻き機構であって、前記絶縁紙の端部を挟んで回転し、前記絶縁紙を外面に巻き付ける回転筒10と、前記絶縁紙が回転筒10から抜けることを防止する防止部材30とを備える。
【選択図】
図2