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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】車道に対する埋設物設置工法
(51)【国際特許分類】
   E01C 5/08 20060101AFI20241001BHJP
   E01C 11/16 20060101ALI20241001BHJP
   E01F 11/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
E01C5/08
E01C11/16
E01F11/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023125328
(22)【出願日】2023-08-01
【審査請求日】2024-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000162593
【氏名又は名称】エクシオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】吉中 一樹
(72)【発明者】
【氏名】上原 一泰
(72)【発明者】
【氏名】西垣 知泰
(72)【発明者】
【氏名】岡山 暢亜
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅貴
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-152669(JP,A)
【文献】特開2017-160727(JP,A)
【文献】特開昭60-129303(JP,A)
【文献】特開2022-89213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 5/00~5/22
E01C 11/00~11/26
E01F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
降雪量の多い地域において、床版を備えない道路に埋設物を設置するための工法であって、
アスファルト層を掘削して路盤あるいは路床を露出させる掘削工程と、
前記路盤あるいは前記路床に架台を設置する架台設置工程と、
前記架台に誘導板と埋設物を固定する仮設工程と、
前記掘削工程により形成された掘削部位にコンクリートを打設して、前記架台と前記誘導板、及び前記埋設物の埋設を行うコンクリート打設工程とを有することを特徴とする車道に対する埋設物設置工法。
【請求項2】
前記架台設置工程の後であって、前記仮設工程の前に、
前記架台を固定、及びアンカーとして機能させるためのコンクリートを打設する基礎形成工程を有することを特徴とする請求項1に記載の車道に対する埋設物設置工法。
【請求項3】
前記埋設物には、グラウト材を介して金属部材を付帯させておき、
前記仮設工程では、前記架台に対して前記誘導板を固定し、
前記金属部材を介して直接、または間接に、前記誘導板に前記埋設物を固定することを特徴とする請求項2に記載の車道に対する埋設物設置工法。
【請求項4】
前記掘削工程では、前記掘削部位に位置する前記アスファルト層の断面に横穴を穿孔することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車道に対する埋設物設置工法。
【請求項5】
前記架台設置工程では、前記横穴に鉄筋を配置することを特徴とする請求項4に記載の車道に対する埋設物設置工法。
【請求項6】
前記コンクリートには、超速硬コンクリートを用いることを特徴とする請求項5に記載の車道に対する埋設物設置工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ等の計測機器を含む埋設物を車道に設置するための技術に係り、特に、降雪量の多い地域において路盤に床版を持たない道路へ埋設を行う場合に好適な埋設物設置工法に関する。
【背景技術】
【0002】
降雪量の多い地域では、道路上に降り積もった雪を除雪するという作業が不可欠となる。ところが、橋梁などのコンクリート構造物を構成する伸縮装置などの埋設物が道路上に存在する場合、除雪車両に取付けられた除雪用の板(除雪板)が、埋設物に引っ掛かり、伸縮装置や路面を傷める他、除雪車両自体もダメージを受ける場合がある。このため、こうした伸縮装置の近傍には、特許文献1に開示されているように、除雪用の板を上方に逃がし、伸縮装置に引っ掛からないようにする対策が講じられている。具体的には、伸縮装置を基点として車両の進行方向の上流側近傍と下流側近傍の双方に、除雪用の板を導く傾斜面を備えた誘導板を埋設するというものである。
【0003】
このような技術を採用すれば、除雪作業をスムーズに実施することが可能となると共に、除雪作業に起因して埋設物が傷つくといった事態を避けることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-160727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような構成の誘導板は、アンカーを介して基礎となる床版に固定される、もしくは伸縮装置へ直接溶接固定したうえでコンクリート床版から反力を得る構成であるため、車両重量に起因した誘導板自体の沈み込みを抑制することができ、その機能を発揮することが可能となる。しかし、橋梁などのコンクリート構造物上に設けられる道路とは異なる道路では、アスファルトの基礎は、砂利などにより構成される路盤としている場合が多い。このため、誘導板を支持するためのアンカーを打ち込んだとしても、荷重に対する沈み込みを抑制する十分な耐性を得ることができず、埋設物に対する保護機能を発揮することができなくなる場合がある。
【0006】
そこで本発明では、積雪量の多い地域において、コンクリート製の床版を持たない道路であっても、埋設物を適切に保護した状態で設置することのできる埋設物設置工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る車道に対する埋設物設置工法は、降雪量の多い地域において、床版を備えない道路に埋設物を設置するための工法であって、アスファルト層を掘削して路盤あるいは路床を露出させる掘削工程と、前記路盤あるいは前記路床に架台を設置する架台設置工程と、前記架台に誘導板と埋設物を固定する仮設工程と、前記掘削工程により形成された掘削部位にコンクリートを打設して、前記架台と前記誘導板、及び前記埋設物の埋設を行うコンクリート打設工程とを有することを特徴とする。
【0008】
また、上記のような特徴を有する車道に対する埋設物設置工法では、前記架台設置工程の後であって、前記仮設工程の前に、前記架台を固定、及びアンカーとして機能させるためのコンクリートを打設する基礎形成工程を有するようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、荷重を面で受けることができ、沈み込み耐性が得られ、架台を安定させることができる。このため、仮設工程で固定する誘導板や埋設物が重量物であっても、道路面状の目的とする位置に埋設物の設置を可能とし、位置がズレるなどの不具合を生じさせる事が無い。
【0009】
また、上記のような特徴を有する車道に対する埋設物設置工法において前記埋設物には、グラウト材を介して金属部材を付帯させておき、前記仮設工程では、前記架台に対して前記誘導板を固定し、前記金属部材を介して直接、または間接に、前記誘導板に前記埋設物を固定するようにすることができる。このような特徴を有する事によれば、埋設物を容易且つ確実に固定することができ、埋設物と誘導板との位置関係を適切に配置することができるようになる。
【0010】
また、上記のような特徴を有する車道に対する埋設物設置工法において前記掘削工程では、前記掘削部位に位置する前記アスファルト層の断面に横穴を穿孔するようにしても良い。このような特徴を有する事によれば、コンクリート打設工程において掘削部位に打設するコンクリートが、穿孔した横穴にも流入することとなる。このため、掘削部位を埋めるコンクリートが、コンクリート周囲のアスファルト層から浮き上がる事を抑制することができるようになる。
【0011】
また、上記のような特徴を有する車道に対する埋設物設置工法において前記架台設置工程では、前記横穴に鉄筋を配置するようにしても良い。このような特徴を有する事によれば、コンクリートの浮き上がり抑制効果を高めることができる。
【0012】
さらに、上記のような特徴を有する車道に対する埋設物設置工法において前記コンクリートには、超速硬コンクリートを用いることが望ましい。このような特徴を有する事によれば、工期を大幅に短縮することが可能となり、工事による車両通行止め時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0013】
上記のような特徴を有する車道に対する埋設物設置工法によれば、積雪量の多い地域において、コンクリート製の床版を持たない道路であっても、埋設物を適切に保護した状態で設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車道に対する埋設物設置工法に係る実施形態のうち、掘削工程を説明するための図である。
図2】車道に対する埋設物設置工法に係る実施形態のうち、架台設置工程を説明するための図である。
図3】車道に対する埋設物設置工法に係る実施形態のうち、基礎形成工程を説明するための図である。
図4】車道に対する埋設物設置工法に係る実施形態のうち、仮設工程における誘導板の固定を説明するための図である。
図5】車道に対する埋設物設置工法に係る実施形態のうち、仮設工程における補助プレートの固定を説明するための図である。
図6】車道に対する埋設物設置工法に係る実施形態のうち、仮設工程における埋設物の固定を説明するための図である。
図7】車道に対する埋設物設置工法に係る実施形態のうち、コンクリート打設工程を説明するための図である。
図8】実施形態で用いる架台の構成に関する1例を説明するための斜視図である。
図9】実施形態で用いる誘導板の構成に関する1例を説明するための斜視図である。
図10】実施形態において、架台に誘導板と鉄筋、及び補助プレートを固定した状態を説明するための長手方向側面図である。
図11】実施形態に係る埋設物の構造を説明するための断面図である。
図12】実施形態に係る埋設物の側面構成を示す図である。
図13】車道に対する埋設物設置工法に関する変形例1を説明するための図である。
図14】車道に対する埋設物設置工法に関する変形例2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の車道に対する埋設物設置工法に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上で好適な形態の一部であり、その効果を奏する限りにおいて、工法に用いる誘導板の形態や、配筋の形態等に変更を加えたとしても、本発明の一部とみなすことができる。
【0016】
本発明に係る車道に対する埋設物設置工法(以下、単に埋設物設置工法と称す)は特に、降雪量の多い地域において、橋梁などの高架以外の道路、すなわちコンクリート製の床版を備えていない道路に埋設物を設置する場合に好適な工法である。なお、以下の実施形態では、埋設物の一例として軸重センサを例に挙げて説明するが、埋設物はこれに限定されるものでは無い。
【0017】
本実施形態に係る埋設物設置工法は、掘削工程と、架台設置工程、基礎形成工程、仮設工程、及びコンクリート打設工程を基本としている。以下、各工程についての詳細を、図1から図7を参照して説明する。
【0018】
[掘削工程]
掘削工程は図1に示すように、道路100におけるアスファルト層102を剥がし、路盤104、あるいは路床106を露出させて掘削部位を形成する作業を行う工程である(本実施形態では、路盤104を露出させている)。ここで路盤104とは、道路100を構成するアスファルト層102の下部に位置し、砕石などのいわゆる砂利で構成される地固め層をいう。また、路床106とは、路盤104の下層に位置し、道路の基礎となる層をいう。掘削工程による掘削範囲は、埋設物10(図6図11等参照)と誘導板16(図4図9等参照)を配置し、かつ設置作業を実施することができる程度の範囲で行う。掘削範囲をできるだけ狭めることで、掘削工程に要する作業時間の短縮を図ることができることはもちろん、詳細を後述するコンクリート打設工程に要する作業時間の短縮も図ることができるようになるからである。なお、図1から図7に示す例は、道路100の断面を示すものであり、図中奥行方向が道路100の幅方向なり、本実施形態では、道路100を構成する車線単位で、幅方向を長軸とする矩形状の開口を有するように掘削を行っている。
【0019】
[架台設置工程]
掘削工程により舗装(アスファルト層102)の剥離が完了した後、図2に示すように、架台12を設置する。なお、架台12は、図6図7等に示すように、誘導板16、及び埋設物10(本実施形態では、軸重センサ10a(図11参照)を含む物体)を支持するための要素である。架台12の形態、及び構成は限定するものでは無いが、例えば図8に斜視図を示すように、掘削開口の長軸方向(埋設物10の長手方向)に沿って配置される複数の主筋12aと、この主筋12aの配置方向に沿って所定の間隔で配置される複数のアンカー筋12bを主体として構成されている。ここで、主筋12aは、架台12の下端部の位置決めと、アンカー筋12bの配置間隔を定めるための鉄筋であり、アンカー筋12bは、詳細を後述する誘導板16を固定するアンカーとしての役割を担う鉄筋である。このため、アンカー筋12bは、少なくともその一部が、詳細を後述する基礎形成工程において打設されるコンクリート50から露出するように立設されている。なお、図8に示す例では、架台12の安定性、及び位置決めのために、基礎筋12cを設けるようにしている。また、本実施形態では、架台12を掘削部位に配置した後、アンカー14を路盤104に打ち込み、架台を位置決めするようにしている。
【0020】
[基礎形成工程]
掘削部位に架台12を配置した後、架台12を固定、及びアンカーとして機能させるために、コンクリート50の打設を行う(図3参照)。基礎形成工程におけるコンクリート50の打設は、架台12を固定、及びアンカーとして機能させることができれば、その打設範囲(コンクリート50を打設する深さ)を限定するものでは無い。コンクリートの種類や掘削部位の規模、架台12のサイズ、硬化に費やせる時間などにより、コンクリート50を打設する深さの適正値を変化させる場合も生じ得るからである。
【0021】
架台12を固定、及びアンカーとして機能させることのできるコンクリート50の打設範囲として一例を挙げるとすれば、掘削部位の下半部以上を埋設させ、少なくとも架台12(詳細には、架台12を構成するアンカー筋12b)の上端部が露出する程度とすることができる。なお、上端部には、誘導板16や埋設物10等を固定するため、露出させておく必要がある。
【0022】
ここで、打設に用いるコンクリート50は、超速硬コンクリートを採用すると良い。一般的なコンクリートでは、実用レベルの強度(実用強度)が出るまでの硬化時間が1週間、最高強度に至るまでには4週間程度を要するとされている。また、一般的な速硬コンクリートであっても、実用強度に至るまでには3日、最高強度に至るまでには1週間程度を要するとされている。これに対し、超速硬コンクリートは、実用強度に至るまでの時間を1.5時間、最高強度に至るまでの時間が3時間とされている。このため、打設に用いるコンクリート50として超速硬コンクリートを用いる事により、硬化のための待ち時間を大幅に短縮することができ、工期の短縮、及び作業性の向上、工事による車両通行止め時間の短縮を図ることができる。
【0023】
[仮設工程]
掘削部位に対して架台12を配置、固定した後、架台12に誘導板16と埋設物10を固定する。ここで、本実施形態に用いる誘導板16は、図9に斜視図を示すように、少なくとも、下辺16aと上辺16b、第1側辺16c、第2側辺16d、及び傾斜辺16eを基本として構成され、板面の中央に開口部16fが形成されている。開口部16fには、鉄筋18(図5参照)を挿通させ、この鉄筋18を誘導板16に固定することで、誘導板16の振れ防止(位置決め)と、補助プレート(図5参照)の固定を成すことができるようになる。
【0024】
なお、図9に示す誘導板16は、下辺16aに開口部16fが連結する切欠きが設けられているが、この切欠きは、必ずしも必要とされるものでは無い。誘導板16は図4に示すように、傾斜辺16eが車両進行方向と対向する方向に位置するように配置する。このような配置形態とすることで、車両進行方向から進行して来る除雪車両(不図示)の除雪板が傾斜辺16eに接触した際、除雪板(不図示)を上辺16b側へ導くことが可能となり、引っ掛かりによる埋設物10や除雪板の損傷を防ぐことができる。ここで、傾斜辺16eは、図7に示すようにコンクリート60で覆われていたとしても、車両通行によってコンクリート60が摩耗すると表出することになる。上述した誘導板16の損傷防止機能は、このように傾斜辺16eが露出した場合に発揮されることとなる。
【0025】
なお、アンカー筋12bに対する誘導板16の固定は、両者を強固に固定可能な手段であれば限定するものでは無い。一例としては、溶接を挙げることができる。
【0026】
次に、架台12に固定された誘導板16に対して、埋設物10を固定する。本実施形態では、図11に示すような断面形態を有する軸重センサ10aが支持固定し易い矩形断面を持つように、軸重センサ10aの周囲をグラウト材10bで覆うようにしている。ここで、グラウト材10bの下端側角部には、金属板10c(図11に示す例ではL字型金属板)を付帯させるようにしている。金属板10cを付帯させる事により、固定手段として溶接を用いる事が可能となるからである。なお、グラウト材10bによりセンサ類を覆う場合には、グラウト材10bがセンサ類の機能面を覆う事が無いようにすると良い。
【0027】
上記のような事前加工を施した埋設物10と誘導板16との固定は、直接溶接によるものでも良いが、図5図6に示すように、補助プレート20を介して行うようにすると良い。具体的には、補助プレート20としてL字型金属板を採用し、誘導板16、及び誘導板16の開口部16fに挿通、固定した鉄筋18に対して、補助プレート20を溶接固定すれば良い。誘導板16に補助プレート20を溶接固定した状態を架台12の長手方向に沿った側面から見た状態を図10に示す。
【0028】
補助プレート20にL字型の金属板を採用する事によれば、垂直方向に配置される板面がリブの役割を果たし、板の撓みを抑えて埋設物10(軸重センサ10a)の支持状態を安定させることができる。このため、補助プレート20を配置する際には、埋設物10を配置する側に、補助プレート20の一部が延設されるようにする。
【0029】
補助プレート20の溶接固定が完了した後、延設部分に埋設物10を配置し、予め付帯させておいた金属板10cと、補助プレート20を溶接する。この時、埋設物10の上面と、誘導板16の上辺16bとの高さが一致するように、事前に固定する補助プレート20の固定位置や、埋設物10におけるグラウト材10bの厚みを調整しておくと良い。
【0030】
[コンクリート打設工程]
架台12に対する誘導板16、及び埋設物10の固定が終了した後、掘削部位に誘導板16、及び埋設物10を埋設するように、コンクリート60を打設する(図7参照)。コンクリート60の打設は、コンクリート60の上面が舗装道路を構成するアスファルト層102の上面と一致する高さとなるように行う。アスファルト層102とコンクリート60との継ぎ目の高さを一致させることにより、道路を走行する車両が受ける振動や、走行時に生じる騒音を軽減することが可能となるからである。また、打設に用いるコンクリート60は、基礎形成工程で用いたコンクリート50と同様に、超速硬コンクリートを用いると良い。なお、埋設物10や誘導板16の上面にコンクリート60が被ってしまった場合には、打設したコンクリート60が硬化した後、コンクリート60の表面に軸重センサ10aの表面が道路の表層に露出するように、コンクリート表面を斫ると良い。
【0031】
[効果]
上記のような埋設物設置工法によれば、除雪車両による作業が必要となる積雪量の多い地域で、コンクリート製の床版を持たない道路であっても、埋設物を適切に保護した状態で設置することが可能となる。また、短い工期で設置が可能であるため、道路(車線)を封鎖する時間が短く、運用中の道路であっても埋設物を設置することが可能となる。
【0032】
[変形例1]
上記実施形態では、掘削工程では、単純にアスファルト層102を掘削する旨記載した。しかしながら、掘削工程において、掘削部位に位置するアスファルト層102の断面に、図13に示すような横穴102aを穿孔するようにしても良い。横穴を形成した場合、基礎形成工程においてコンクリート50を打設した際、コンクリート50が横穴102a内にも流入することとなる。このため、横穴102a内に流れ込んだコンクリート50が硬化すると、アンカーとしての役割を担うこととなり、アスファルト層102に対してコンクリート50(コンクリート60)が浮き上がる事を抑制することができるようになる。
【0033】
[変形例2]
また、変形例1のようにして、掘削工程で形成した掘削部位のアスファルト層102の断面に横穴102aを形成する場合、異形棒鋼のような鉄筋102bを横穴102aに配置するようにしても良い(図14参照)。このような構成とすることで、コンクリート50(コンクリート60)の浮き上がり抑制効果を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
上記実施形態では、誘導板16に対する埋設物10の固定は、現場での溶接作業であるように説明している。しかしながら、誘導板16の形態や、埋設物10の大きさなどによっては、埋設物10と誘導板16とを予め固定した状態で現場に搬入し、架台12に対する固定作業を行うようにしても良い。
【0035】
また、上記実施形態では、埋設物10について、グラウト材10bを介して金属板10cを付帯させる旨記載している。しかしながら、埋設物10に付帯させる金属部材は、溶接可能な金属であれば、板状のものに限らず、ブロック状、棒状などその形態自体を問うものでは無い。
【符号の説明】
【0036】
10………埋設物、10a………軸重センサ、10b………グラウト材、10c………金属板、12………架台、12a………主筋、12b………アンカー筋、12c………基礎筋、14………アンカー、16………誘導板、16a………下辺、16b………上辺、16c………第1側辺、16d………第2側辺、16e………傾斜辺、16f………開口部、18………鉄筋、20………補助プレート、50………コンクリート、60………コンクリート、100………道路、102………アスファルト層、102a………横穴、102b………鉄筋、104………路盤、106………路床。
【要約】
【課題】積雪量の多い地域において、コンクリート製の床版を持たない道路であっても、埋設物を適切に保護した状態で設置することのできる埋設物設置工法を提供する。
【解決手段】降雪量の多い地域において、床版を備えない道路に埋設物を設置するための工法であって、アスファルト層102を掘削して路盤104あるいは路床106を露出させる掘削工程と、路盤104あるいは路床106に架台12を設置する架台設置工程と、掘削部位にコンクリート50を打設する基礎形成工程と、架台12に誘導板16と埋設物10を固定する仮設工程と、コンクリート60により架台12と誘導板16、及び埋設物10の埋設を行うコンクリート打設工程とを有することを特徴とする。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14