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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】車載用ウーファー装置及びその設計方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/28 20060101AFI20241001BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H04R1/28 310Z
H04R1/02 101B
H04R1/02 102B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023507831
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2021104528
(87)【国際公開番号】W WO2022033235
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】202010794316.8
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519348325
【氏名又は名称】蘇州上声電子股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU SONAVOX ELECTRONICS CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薛 夏豊
(72)【発明者】
【氏名】柴 国強
【審査官】松崎 孝大
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-220599(JP,A)
【文献】特開2000-023279(JP,A)
【文献】特開2003-092793(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106528907(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/28
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス及び前記ボックス内に設置されたウーファーを含み、前記ウーファーにはサウンドコーンが含まれ、前記サウンドコーンには、車体の内部に面する前面と反対側の後面があり、前記サウンドコーンの後面と前記ボックスの間に空洞が形成され、前記ボックス内には、前記空洞と外部を連通する主導波管が配置される車載用ウーファー装置であって、前記ボックス内に副導波管も配置され、前記主導波管と前記副導波管はそれぞれ前記空洞に連通する入口を有し、前記主導波管は車体の外部と連通する出口を有し、前記副導波管は車体の外部または内部と連通する出口を有し、
前記サウンドコーンはフレームに配置され、前記フレームは、前記ボックスの前端に接続され、前記ボックスの後端に裏蓋が配置され、各前記出口はそれぞれ前記裏蓋に設置され、
前記ボックス内には第1の仕切板が設置され、前記第1の仕切板は、前記ウーファーと前記裏蓋の間に配置されることにより、前記第1の仕切板の前側に前記空洞を形成し、前記主導波管および前記副導波管は、前記第1の仕切板と前記裏蓋との間に形成され、各前記入口はそれぞれ前記第1の仕切板に配置され、
前記ボックス内には、第2の仕切板、第3の仕切板、および第4の仕切板も配置され、前記第2の仕切板は、前記第1の仕切板と前記裏蓋との間の空間を第1の空間部と第2の空間部とに仕切り、前記第3の仕切板は前記第1の空間部を分割して前記主導波管を形成し、前記第4の仕切板は前記第2の空間部を分割して前記副導波管を形成し、
前記第3の仕切板の先端と前記第4の仕切板の先端は、それぞれ前記第2の仕切板に接続され、前記第3の仕切板の尾端及び前記第4の仕切板の間と、前記第4の仕切板の尾端及び前記第2の仕切板の間には、それぞれ、対応する前記導波管の出口に連通する隙間が形成され、それにより、主導波管と副導波管の気流方向に垂直な断面積が、まず隙間で減少し、その後増加する、
車載用ウーファー装置。
【請求項2】
前記第3の仕切板および前記第4の仕切板は共に円弧形状であり、2つの前記円弧は同じ中心を持ち、且つ前記第3の仕切板の半径は前記第4の仕切板の半径より小さいことを特徴とする請求項に記載の車載用ウーファー装置。
【請求項3】
前記第4の仕切板の先端は、前記第3の仕切板の尾端に隣接していることを特徴とする請求項に記載の車載用ウーファー装置。
【請求項4】
前記主導波管の入口は前記第3の仕切板の前記先端に隣接し、前記副導波管の入口は前記第4の仕切板の前記先端に隣接していることを特徴とする請求項に記載の車載用ウーファー装置。
【請求項5】
前記裏蓋の中間部には、後方に伸びる出口管部が形成され、前記出口管部は前記第2の仕切板によって仕切られ、前記主導波管の出口と前記副導波管の出口とを形成することを特徴とする請求項に記載の車載用ウーファー装置。
【請求項6】
前記ボックス内には、第2の仕切板、第3の仕切板も配置され、前記第2の仕切板は、前記第1の仕切板と前記裏蓋との間の空間を第1の空間部と第2の空間部とに仕切り、前記第3の仕切板は、前記第1の空間部を分割して前記主導波管を形成するか、または前記第2の空間部を分割して前記副導波管を形成することを特徴とする請求項に記載の車載用ウーファー装置。
【請求項7】
前記ウーファーの磁気回路システムは、前記サウンドコーンの前側に取り付けられ、前記ウーファーのボイスコイルの後端は前記サウンドコーンに接続され、前記ボイスコイルの前端は前記磁気回路システムによって形成された磁気ギャップに挿入されることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の車載用ウーファー装置。
【請求項8】
前記磁気回路システムは、ブラケットを介してフレームに取り付けられ、前記ブラケットには気流が通過するための貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項に記載の車載用ウーファー装置。
【請求項9】
前記ウーファーにはダンパーも含まれ、前記ダンパーは、前記ボイスコイルの後端部に固定的に配置され、前記ダンパーは、前記サウンドコーンの後側にあり、前記ダンパーの外周縁は、ブラケットを介してフレームに取り付けられ、前記フレームには、気流が通過するための貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項に記載の車載用ウーファー装置。
【請求項10】
前記サウンドコーンはペーパーコーンであることを特徴とする請求項1に記載の車載用ウーファー装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の車載用ウーファー装置の設計方法であって、前記設計方法は、
主導波管と副導波管を選択し、選択した前記主導波管と前記副導波管の合計放射インピーダンスを計算するステップS1と、
ステップS1で求めた前記主導波管と前記副導波管の放射インピーダンスからスピーカー装置のモデルを構築し、前記モデルを次の微分方程式系で表し、
【数33】
ここで、U(t)はスピーカーユニットのフロントエンドアンプの出力電圧、Rはボイスコイルの直流抵抗、i(t)はボイスコイルの電流、Lはボイスコイルのインダクタンス、Blは電磁力誘導係数、v(t)はボイスコイルの移動速度、Mmsはスピーカー振動システムの振動質量、Rmsはスピーカー振動システムの振動抵抗、Kmsはスピーカー振動システムの剛性係数、
【数34】
はスピーカ振動システムの振動加速度と時間の関係、
【数35】
はスピーカ振動システムの振動速度と時間の関係、X(t)はスピーカー振動システムの振動変位と時間の関係、tは時間であるステップS2と、
ステップS2で確立されたモデルに従って、スピーカー装置の放射音場を計算するステップS3と、
ステップS3で得られた放射音場と期待される放射音場を比較し、期待される放射音場が満たされている場合、前記主導波管と前記副導波管が設計要件を満たしていると判断され、期待される放射音場が満たされていない場合、前記主導波管と前記副導波管の構造を調整するステップS4と、を含み、 前記ステップS1において、次の式に従って総放射インピーダンスを計算し、
=R b0 +jωM b0 +R a0 +jωM a0
式中、R a0 は主導波管の放射抵抗、M a0 は主導波管の放射質量、R b0 は副導波管の放射抵抗、M b0 は副導波管の放射質量であり、jは虚数単位、ωは角周波数であり、
前記ステップS3は具体的には、
前記微分方程式系を初期化し、スピーカーユニットのパラメータを設定し、ステップS1で得られた総放射インピーダンスZ を合わせて前記微分方程式系に代入するステップS3-1と、
フォワードオイラー法を使用して前記微分方程式系を解き、
ウーファーの入出力は次式に示すように
y=AX
ここで、
【数36】
ベクトル X は次の関係式を満たし
【数37】
i(t)、x(t)、dx/dtは、それぞれ、電流と時間の関係、変位と時間の関係、速度と時間の
関係であり、M はサウンドコーンとボイスコイルの質量、R は振動インピーダンス、K は弾性部品の弾性力係数であり、
離散時間領域では、上記の関係式を次の1次前進差分形式
【数38】
(n)、X (n)、X (n)は、それぞれウーファーの電流、サウンドコーンの変位、およびサ
ウンドコーンの振動速度であり、1は単位ベクトル、ΔTは採用される間隔時間であるス
テップS3-2と、
スピーカーの放射音圧を求め、
スピーカのサウンドコーンの振動速度X (n)に応じて、スピーカーの放射面全体の体積
速度X (n)S を得て、これがU に記録され、ここでS はスピーカーの有効放射面積であり

空洞を複数のセクションに分割し、空洞の最初のセクションを通過した後、体積速度U
【数39】
であり、
ここで、ΔL は空洞の最初のセクションの長さ、U は空洞の最初のセクションを通過す
る前の体積速度であり、
同様に、主導波管と副導波管の接合部での体積速度が得られるまで、各セクションの空洞を通過する体積速度U を段階的に計算し
【数40】
ここで、U i-1 は該空洞を通過する前の体積速度であるステップS3-3と、
S3-4、主導波管と副導波管の接合部では、音圧連続条件を満たしp +p =p =p
ここで、p は主導波管と副導波管の接合部に入射する放射音圧、p は反射音圧、p は主
導波管の音圧、p は副導波管の音圧であり、
対応する体積速度も連続条件を満たし、U +U =U +U
ここで、U は主導波管と副導波管の接合部に入射体積速度、U は反射体積速度、U
主導波管の体積速度、U は副導波管の音波であるステップS3-4と、
質点速度v=p/ρ を上記の式に代入して
【数41】
が得られ
ここで、pは該質点位置での音圧、ρ は音波が伝搬する媒体の密度、c は空気中の音波伝搬速度、S は主導波管と副導波管を分離しない場合の断面積、Sは主導波管の断面積、Z b0 は副導波管と放射開口部の総放射インピーダンスであるステップS3-5と、
上式に音圧連続条件方程式を代入すると、
【数42】
が得られ
ここでp ai は主導波管と副導波管の接合部に入射する放射音圧、p ar は反射音圧であり、
上記方程式を解くと、音圧反射係数γ が得られ、
【数43】
同様に、透過係数
【数44】

は主導波管内の音圧であり、
主導波管を通過した後の体積速度を、最後のセクションまで徐々に計算し、つまり、主導波管のn番目のセクションの後の体積速度U は、
【数45】
であり、
ここで、U は主導波管のn番目のセクションを通過した後の体積速度、Z はn番目のセ
クションの主導波管口の放射抵抗、U n-1 は主導波管のn-1番目のセクションを通過した
後の体積速度であり、
最後に、スピーカーシステム全体の異なる周波数点での放射音圧pを計算し
【数46】
異なる周波数点での音圧を求め、音圧レベルを計算して音圧レベル曲線を得るステップS3-6と、を含むことを特徴とする設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用スピーカーの分野に属し、車載用ウーファー装置及びその設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質のカーオーディオシステムでは、ウーファーが特に重要であり、換気式スピーカーはウーファーユニットの一種である。車載用換気式スピーカーは、主にスピーカーの後方放射エネルギーを配管を介して車体内に導き、配管とスピーカーの後部キャビティはヘルムホルツ共鳴器として機能し、後部キャビティのサイズ及び配管の長さと厚さを調整することでウーファー装置の低周波共振周波数と高周波カットオフ周波数を調整できる。しかし、車内の構造が非常に複雑なため、配管内の音圧出力を調整するのが難しい場合があり、スピーカーの感度をさらに向上させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記課題の少なくとも1つに対して、本開示は、高感度で、低域の伸びが顕著であり、低域の音圧レベルが改善された車載用ウーファー装置を提供する。
【0004】
また、本開示は、多くのパラメータを調整および制御することができ、より自由度の高い車載用ウーファー装置の設計方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示の一態様は、ボックスと、前記ボックス内に配置されたウーファーとを含む車載用ウーファー装置を提供し、前記ウーファーにはサウンドコーンが含まれ、前記サウンドコーンには、車体の内部に面する前面と反対側の後面があり、前記サウンドコーンの後面と前記ボックスの間に空洞が形成され、前記ボックス内には、前記空洞と外部を連通する主導波管が配置され、前記ボックス内に副導波管も配置され、前記主導波管と前記副導波管はそれぞれ前記空洞に連通する入口を有し、前記主導波管は車体の外部と連通する出口を有し、前記副導波管は車体の外部または内部と連通する出口を有する。
【0006】
好ましくは、前記サウンドコーンはフレームに配置され、前記フレームは、前記ボックスの前端に接続され、前記ボックスの後端に裏蓋が配置され、各前記出口はそれぞれ前記裏蓋に設置され。
より好ましくは、前記ボックス内には第1の仕切板が設置され、前記第1の仕切板は、前記ウーファーと前記裏蓋の間に配置されることにより、前記第1の仕切板の前側に前記空洞を形成し、前記主導波管および前記副導波管は、前記第1の仕切板と前記裏蓋との間に形成され、各前記入口はそれぞれ前記第1の仕切板に配置される。
【0007】
さらに、前記ボックス内には、第2の仕切板、第3の仕切板、および第4の仕切板も配置され、前記第2の仕切板は、前記第1の仕切板と前記裏蓋との間の空間を第1の空間部と第2の空間部とに仕切り、前記第3の仕切板は前記第1の空間部を分割して前記主導波管を形成し、前記第4の仕切板は前記第2の空間部を分割して前記副導波管を形成する。
【0008】
さらに、前記第3の仕切板および前記第4の仕切板は共に円弧形状であり、2つの前記円弧は同じ中心を持ち、且つ前記第3の仕切板の半径は前記第4の仕切板の半径より小さい。
【0009】
また、前記第3の仕切板の先端と前記第4の仕切板の先端は、それぞれ前記第2の仕切板に接続され、前記第3の仕切板及び前記第4の仕切板の尾端は、それぞれ前記第2の仕切板の間には、対応する前記導波管出口に連通する隙間が形成される。
【0010】
特定の好ましい実施例では、前記第4の仕切板の先端は、前記第3の仕切板の尾端に隣接している。
【0011】
特定の好ましい実施例では、前記主導波管の入口は前記第3の仕切板の前記先端に隣接し、前記副導波管の入口は前記第4の仕切板の前記先端に隣接している。
【0012】
特定の好ましい実施例では、前記裏蓋の中間部には、後方に伸びる出口管部が形成され、前記出口管部は前記第2の仕切板によって仕切られ、前記主導波管の出口と前記副導波管の出口とを形成する。
【0013】
任意の実施例において、前記ボックス内には、第2の仕切板、第3の仕切板も配置され、前記第2の仕切板は、前記第1の仕切板と前記裏蓋との間の空間を第1の空間部と第2の空間部とに仕切り、前記第3の仕切板は、前記第1の空間部を分割して前記主導波管を形成するか、または前記第2の空間部を分割して前記副導波管を形成する。
【0014】
好ましくは、前記主導波管と前記副導波管の気流方向に垂直な断面積は、まず減少し、その後増加する。
【0015】
好ましくは、前記ウーファーの磁気回路システムは、前記サウンドコーンの前側に取り付けられ、前記ウーファーのボイスコイルの後端は前記サウンドコーンに接続され、前記ボイスコイルの前端は前記磁気回路システムによって形成された磁気ギャップに挿入される。
【0016】
より好ましくは、前記磁気回路システムは、ブラケットを介してフレームに取り付けられ、前記ブラケットには気流が通過するための貫通穴が設けられている。
【0017】
さらに好ましくは、前記ウーファーにはダンパーも含まれ、前記ダンパーは、前記ボイスコイルの後端部に固定的に配置され、前記ダンパーは、前記サウンドコーンの後側にあり、前記ダンパーの外周縁は、ブラケットを介してフレームに取り付けられ、前記ブラケットには、気流が通過するための貫通穴が設けられている。
【0018】
特定の好ましい実施例では、前記サウンドコーンはペーパーコーンである。
【0019】
本開示の別の態様は、上記車載用ウーファー装置の設計方法を提供し、前記設計方法は、
主導波管と副導波管を選択し、選択した前記主導波管と前記副導波管の合計放射インピーダンスを計算するステップS1と、
ステップS1で求めた前記主導波管と前記副導波管の放射インピーダンスからスピーカー装置のモデルを構築し、前記モデルを次の微分方程式系で表し、
【数1】
ここで、U(t)はスピーカーユニットのフロントエンドアンプの出力電圧、Reはボイスコイルの直流抵抗、i(t)はボイスコイルの電流、Leはボイスコイルのインダクタンス、Blは電磁力誘導係数、v(t)はボイスコイルの移動速度、Mmsはスピーカー振動システムの振動質量、Rmsはスピーカー振動システムの振動抵抗、Kmsはスピーカー振動システムの剛性係数、
【数2】
はスピーカ振動システムの振動加速度と時間の関係、
【数3】
はスピーカ振動システムの振動速度と時間の関係、X(t)はスピーカー振動システムの振動変位と時間の関係、tは時間であるステップS2と、
ステップS2で確立されたモデルに従って、スピーカー装置の放射音場を計算するステップS3と、
ステップS3で得られた放射音場と期待される放射音場を比較し、期待される放射音場が満たされている場合、前記主導波管と前記副導波管が設計要件を満たしていると判断され、期待される放射音場が満たされていない場合、前記主導波管と前記副導波管の構造を調整するステップS4と、を含む。
【0020】
一実施例では、前記ステップS1は、具体的には、主導波管の放射インピーダンスを計算するステップS11、副導波管の放射インピーダンスを計算するステップS12、および主導波管と副導波管の総放射インピーダンスを計算するステップS13を含む。
【0021】
ステップS11は具体的には以下を含む。
S111、主導波管の末端にある開口部の放射インピーダンスZarを計算し、主導波管末端の断面積はSaL、半径はa、開口放射インピーダンスZarは次式である。
Zar=Rar+jωMar
そのうち、音響放射抵抗Rar1
【数4】
であり、
音響放射リアクタンスは
【数5】
であり、
且つ、jは虚数単位、ωは角周波数、ρ0は音波が伝搬する媒体の密度、c0は空気中の音波伝搬速度、kは波数であり、具体的にはk=ω/c0に定義され、
S112、主導波管の分布式インピーダンスを計算し、主導波管の曲率変化に応じて、導波管はn個のセクションに分割し、各セクションは円柱体であり、断面積がSi、長さがΔliであるi番目のセクションの導波管の放射インダクタンスΔLiと放射リアクタンスΔCiはそれぞれ
【数6】
に示すように、
ここで、1≦i≦n。
S113、ステップ計算によって主導波管の総放射インピーダンスを得て、
n 番目のセクション断面管と開口部放射で構成される総インピーダンスZn1を計算し、
【数7】
n-1番目のセクション断面管とZnの間の総インピーダンスZn-1を計算し、
【数8】
同様に、主導波管と放射開口部への総放射インピーダンスZa0
【数9】
である。
【0022】
ステップS12は具体的には以下を含む。
S121、副導波管の末端にある開口部の放射インピーダンスZbrを計算し、副導波管末端の断面積はSbL、半径はb、開口放射インピーダンスZbrはZbr=Rbr+jωMbrであり、
そのうち、音響放射抵抗Rbr1
【数10】
であり、
音響放射リアクタンスは
【数11】
であり、
且つ、jは虚数単位、ωは角周波数、ρ0は音波が伝搬する媒体の密度、c0は空気中の音波伝搬速度、kは波数であり、具体的にはk=ω/c0に定義され
S122、副導波管の分布式インピーダンスを計算し、副導波管の曲率変化に応じて、導波管はn個のセクションに分割し、各セクションは円柱体であり、断面積がSi、長さがΔliであるi番目のセクションの導波管の放射インダクタンスΔLiと放射リアクタンスΔCiはそれぞれ
【数12】
であり、
ここで、1≦i≦n。
S123、ステップ計算によって副導波管の総放射インピーダンスを得て、
n 番目のセクション断面管と開口部放射で構成される総インピーダンスZn1を計算し、
【数13】
n-1番目のセクション断面管とZnの間の総インピーダンスZn-1を計算し、
【数14】
同様に、副導波管と放射開口部への総放射インピーダンスZb0
【数15】
であり、
同時に、主導波管と副導波管の間の接続部の開口部の放射インピーダンスZiと断面積Siを計算できる。
【0023】
ステップS13において、導波管の放射インピーダンスZ1は、Z1=R0+jωM0
であり、
主導波管を使用する必要がある場合、導波管の放射インピーダンスZ1は、Z1=Za0=Ra0+jωMa0であり、
副導波管を使用する必要がある場合、導波管の放射インピーダンスZ1は、Z1=Zb0=Rb0+jωMb0であり、
主導波管と副導波管の両方を使用する必要がある場合、導波管の放射インピーダンスZ1は、
Z1=Za0+Zb0=Rb0+jωMb0+Ra0+jωMa0
であり、
Ra0は主導波管の放射抵抗、Ma0は主導波管の放射質量、Rb0は副導波管の放射抵抗、Mb0は副導波管の放射質量である。
【0024】
一実施例では、ステップS2のスピーカー装置の数学的モデルを使用して、スピーカー装置と主および副導波管を説明する。
【0025】
一実施例では、ステップS2は具体的には以下を含む
S21、スピーカーシステム回路の回路方程式は
【数16】
であり、
ここで、U(t)はスピーカーユニットのフロントエンドアンプの出力電圧、Reはボイスコイルの直流抵抗、i(t)はボイスコイルの電流、Leはボイスコイルのインダクタンス、Blは電磁力誘導係数、v(t)はボイスコイルの移動速度、tは時間である。
S22、スピーカーシステムの振動回路方程式は
【数17】
であり、
ここで、Mはサウンドコーンとボイスコイルの質量、Rmは振動インピーダンス、Kmはダンパーなどの弾性部品の弾性力係数、X(t)はスピーカー振動システムの振動変位と時間の関係である。
S23、主および副導波管の放射インピーダンスから音響振動に対する影響を、振動回路の音響負荷として前記振動回路方程式に追加し、振動回路方程式を次のように書き直す
【数18】
ここで、
【数19】

Spはスピーカーコーンの相当面積である。
S24、スピーカー装置のすべての回路を考慮すると、前記数学的モデルは次の微分方程式系で示される
【数20】
【0026】
一実施例では、ステップS3において、前記数学的モデルを解き、スピーカーの異なる周波数点における音圧を取得し、音圧に応じて異なる周波数ポイントでの音圧レベルを計算し、スピーカーシステムの音圧レベル曲線を取得する。
【0027】
一実施例では、ステップS3で得られた音圧レベル曲線に従って、該曲線が期待される放射音場を満たすかどうかを比較し、満たさない場合、新しい主および副導波管の構造パラメータを設定し、ステップS1に戻り、ステップS2に従って、再び解を求めて新しい音圧レベル曲線を取得し、期待される放射音場と比較し、期待される放射音場の音圧レベル曲線が得られるまでサイクルを繰り返し、主導波管と副導波管の対応する構造パラメータを維持する。
【0028】
一実施例では、前記主および副導波管の構造パラメータは、断面積、変化する曲率、長さを含む。
【0029】
一実施例では、導波管の構造パラメータを再設計するとき、パラメータの1つだけを変更し、他のパラメータを変更しないままである。
【0030】
一実施例では、ステップS3は具体的には以下を含む。
S31、前記微分方程式系を初期化し、スピーカーユニットのパラメータを設定し、ステップS1で得られた主導波管と副導波管の放射インピーダンスを合わせて微分方程式系に代入する。
S32、フォワードオイラー法を使用して微分方程式系を解き、
スピーカーシステムの入出力は、y=AX
であり、
ここで、
【数21】
、ベクトル X は次の関係式を満たし
【数22】
i(t)、x(t)、dx/dtは、それぞれ、電流と時間の関係、変位と時間の関係、速度と時間の関係であり、Mmはサウンドコーンとボイスコイルの質量、Rmは振動インピーダンス、Kmは弾性部品の弾性力係数であり、
離散時間領域では、微分形式を1次前方差分形式として記述し、上記の関係式を次のように書き換え
【数23】
X1(n)、X2(n)、X3(n)は、それぞれウーファーの電流、サウンドコーンの変位、およびサウンドコーンの振動速度であり、1 は単位ベクトルであり、ΔTは採用される間隔時間である。
S33、スピーカーの放射音圧を求める
ステップS32により、スピーカユニットのダイヤフラムの振動速度、すなわちX3(n)を得て、スピーカーの放射面全体の体積速度X3(n)Sdを得て、Uiに記録され
ここでSdはスピーカーの有効放射面積であり、
空洞を複数のセクションに分割し、空洞の最初のセクションを通過した後、体積速度U1
【数24】
であり、
ここで、ΔL1は空洞の最初のセクションの長さ、U0は空洞の最初のセクションを通過する前の体積速度である。
同様に、主導波管と副導波管の接合部での体積速度が得られるまで、各セクションの空洞を通過する体積速度Uiを段階的に計算し
【数25】
ここで、Ui-1は該空洞を通過する前の体積速度である。
S34、主導波管と副導波管の接合部では、音圧連続条件を満たし、pi+pr=pt=pb
ここで、piは主導波管と副導波管の接合部に入射する放射音波、prは反射音波、ptは主導波管の音波、pbは副導波管の音波であり、
対応する体積速度も連続条件を満たし、Ui+Ur=Ut+Ub
ここで、Uiは主導波管と副導波管の接合部に入射体積速度、Urは反射体積速度、Uは主導波管の体積速度、Ubは副導波管の音波である。
S35、質点速度v=p/ρ0c0を上記の式に代入して
【数26】
が得られる
ここで、pは該質点位置での音圧、ρ0は音波が伝搬する媒体の密度、c0は空気中の音波伝搬速度、SLは主導波管と副導波管を分離しない場合の断面積、Sは主導波管の断面積、Zb0は副導波管と放射開口部の総放射インピーダンスである。
S36、上式に音圧連続条件方程式を代入すると、
【数27】
が得られる
ここでpaiは主導波管と副導波管の接合部に入射する放射音圧、parは反射音圧であり、
上記方程式を解くと、音圧反射係数γpが得られる
【数28】
同様に、透過係数
【数29】
は主導波管内の音圧である。
【0031】
S2のステップと組み合わせて、主導波管を通過した後の体積速度を、最後のセクションまで徐々に計算し、つまり、主導波管のn番目のセクションの後の体積速度Un
【数30】
であり、
ここで、Unは主導波管の n 番目のセクションを通過した後の体積速度、Znはn番目のセクションの主導波管口の放射抵抗、Un-1は主導波管のn-1番目のセクションを通過した後の体積速度であり、
最後に、スピーカーシステム全体の異なる周波数点での放射音圧pを計算する
【数31】
【0032】
異なる周波数点での音圧を求め、音圧レベルを計算して音圧レベル曲線を得る。
【0033】
上記車載用ウーファー装置の設計システムは、上記設計方法を採用している。該設計システムは、
伝送線路の理論モデルを導入し、分布式パラメータを採用し、可変断面導波管の音響インピーダンスを離散的に計算する導波管放射インピーダンス設計モジュールと、
スピーカーユニットの振動特性やスピーカーシステムの放射音場特性に影響を与える導波管の放射インピーダンスの影響を考慮したモデルが確立されているスピーカーシステムの数学的モデルと、
時間領域の状態空間モデルを使用してスピーカーシステムの微分方程式を解き、係数行列を作成し、1次差分等価式を導入し、漸進的な解の式を取得するスピーカーシステムの解きモジュールと、
計算された音圧レベル曲線と目標曲線の誤差を比較し、誤差の変化に応じて導波管の構造パラメータを調整し、パラメータの再設定の過程で、ほとんどのパラメータは変更せずに維持でき、そのうちの1つのパラメータだけを大きくしたり小さくしたりでき、誤差が大きくなった場合は、パラメータを逆方向に調整する必要があるスピーカーシステムの最適化モジュールと、を含む。
【発明の効果】
【0034】
本開示は、上記の手段を採用しており、従来技術と比較して以下の利点を有する。
本開示のウーファー装置では、主導波管と副導波管とが用いられ、サウンドコーンが下に移動すると、空気が圧縮されて音波が発生し、音波は空洞に入り、再び圧縮され、そして、主導波管と副導波管を介して外側に放射し、スピーカー装置の感度を向上させ、低域の広がりをより明確にし、低域の音圧レベルを改善する。
本開示の設計方法では、導波管の設計概念をデュアルチャネル換気式車載用ウーファーシステムに導入し、既存のヘルムホルツ共鳴器に基づく設計手段より、高い設計自由度を有し、調整および制御できるパラメータがもっと多く、伝送線路理論に基づく導波管放射インピーダンスの解析的計算方法を提供し、それは様々な可変断面導波管に適用でき、実際の工学的操作に対して優れた指導的意義を持っている。導波管の放射インピーダンスを考慮したスピーカシステムの小信号パラメータ数学的モデルを与え、導波管の放射インピーダンスからスピーカユニットの振動特性に対する影響を計算することができる。本開示は、状態空間方程式を使用して導波管の放射音場を反復的に計算する方法を提供し、これは工学計算に有益であり、実用的な価値がある。デュアルチャネル換気式車載用ウーファー装置の最適化設計方法を与え、誤差の大きさの変化と最新の誤差反復基準によって主導波管と副導波管の構造パラメータを調整し、実用的な工学的意義があり、実際の操作に非常に有益である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下は、実施例の説明で使用される添付の図面を簡単に説明し、明らかに、以下の説明における図面は、本開示のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとって、創造的な努力なしにこれらの図面から他の図面を取得することもできる。
【0036】
図1a】本開示の実施例によるウーファー装置の立体概略図である。
図1b図1aに示すウーファー装置を別の角度から見た立体概略図である。
図2】本開示の実施例によるボックスの正面概略図である。
図3】本開示の実施例によるウーファーの立体概略図である。
図4図1に示すウーファー装置の背面概略図である。
図5図4のA-A方向に沿った断面図である。
図6】本実施例によるウーファー装置の裏蓋を省略した立体概略図である。
図7図6に示すウーファー装置の背面概略図である。
図8a】本開示の実施例によるいくつかの導波管の概略図を示す。
図8b】本開示の実施例によるいくつかの導波管の概略図を示す。
図8c】本開示の実施例によるいくつかの導波管の概略図を示す。
図8d】本開示の実施例によるいくつかの導波管の概略図を示す。
図9】単一導波管ウーファー装置と本実施例のウーファー装置の周波数応答曲線の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本開示の好ましい実施例について、添付の図面を参照して詳細に説明することにより、本開示の利点および特徴が当業者により容易に理解されるようにする。
【0038】
本実施例は、デュアル導波管を備えた車載用ウーファー装置を提供する。図1a、図2および図3を参照すると、該車載用ウーファー装置は主に、ボックス1とウーファー2の2つの部分を含み、ウーファー2はボックス1内に配置される。図1aから図8dに示されるように、該ウーファー2はサウンドコーン20を含み、サウンドコーン20には、車体の内部に面する前面と反対側の後面があり、ウーファー2の前方音波を車体内部の自由空間に放射する。本実施例のサウンドコーンは具体的にはペーパーコーンを採用しており、PP等も選択可能である。サウンドコーン20の後面とボックス1の間に空洞3が形成され、ボックス1内には、空洞3と外部を連通する主導波管31が配置され、ボックス1内に副導波管32も配置され、主導波管は31空洞3に連通する入口311を有し、副導波管は32空洞3に連通する入口321を有し、主導波管31はまた、車体の外部と連通する出口312を有し、副導波管32はまた、車体の外部または内部と連通する出口322を有する。具体的には、本実施例において、第1の導波管31及び副導波管32の出口312、322は、いずれも車体外部に連通する。ウーファー 2 の前方放射音場と2つの導波管から放射される音場は、バッフルによって分離され、該バッフルは、車両のトランクと車体の間のシール板金、または床板と車体の間のシール板金にすることができ、板金には2本の導波管の放射穴として貫通穴がある。
【0039】
図5に示すように、該サウンドコーン20は、フレーム21上に固定配置される。ボックス1の前端(具体的には、図5の下端)は開放配置されており、フレーム21の外周縁がボックス1の前端に固定接続されている。ボックス1の後端(具体的には、図5の上端)には裏蓋10が配置されており、主導波管31の出口312および副導波管32の出口322は、それぞれ裏蓋10に配置されている。具体的には、裏蓋10の中間部には、後方に伸びる出口管部100が形成され、該出口管部100は、前述の2つの出口312、322を形成する。該出口管部100は、上記板金部を貫通して車体外部と連通可能である。なお、本明細書でいう「前」「後」は、説明の便宜上定義したものであり、図5の紙面下側と上側に対応する。
【0040】
図2および図5~7に示されるように、ボックス1内に第1の仕切板11が固定配置され、第1の仕切板11は、ウーファー2と裏蓋10の間に配置されることにより、第1の仕切板11の前側に空洞3を形成する。主導波管31および副導波管32は、第1の仕切板11と裏蓋10との間に形成され、各導波管の入口311、321はそれぞれ第1の仕切板11に配置される。本実施例では、第1の仕切板11は水平に配置され、その外周縁がボックス1の側壁に固定接続されるか、両者が一体に形成されている。
【0041】
ボックス1内には、第2の仕切板12、第3の仕切板、および第4の仕切板も配置される。第2の仕切板12は、第1の仕切板11と裏蓋10との間の空間を第1の空間部と第2の空間部とに仕切り、第3の仕切板13は第1の空間部を分割して主導波管31を形成し、第4の仕切板14は第2の空間部を分割して副導波管32を形成する。具体的には、図6および図7に示すように、第3の仕切板13および第4の仕切板14は共に円弧形状であり、2つの円弧形状は中心を共有している。そして、第3の仕切板13の半径は、第4の仕切板14の半径より小さい。第3の仕切板13の先端と第4の仕切板14の先端はそれぞれ第2の仕切板12に接続され、第3の仕切板13、第4の仕切板14の尾端および第2の仕切板12の間には、対応する導波路出口312、322に連通する隙間131、141が形成され、ここで第4の仕切板14の先端は、第3の仕切板13の尾端に隣接している。主導波管31の入口311は第3の仕切板13の先端に隣接し、副導波管32の入口321は第4の仕切板14の先端に隣接する。
【0042】
第2の仕切板12は、概ね垂直に配置され、裏蓋10の出口管部100を2つの部分に分割し、それぞれ主導波管31の出口312と副導波管32の出口322を形成する。これに対応して、第2の仕切板12の形状は不規則であり、具体的には、出口管部100の内径を収容するために、その後部の幅がその前部の幅に対して減少している。各仕切板11、12、13および14の間の接合部と12、ボックス1と接触する接合部は、気流が通過するための小さな隙間を避けるために密閉する必要があることにも留意されたい。
【0043】
この実施例では、主導波管31の入口311および出口312の面積は、副導波管32の入口321および出口322の面積よりそれぞれ大きく、そして、主導波管31の中間部の断面積は、副導波管32の中間部の断面積より大きく、且つそれぞれの入口311、321および出口312、322、の面積より小さく、それにより主導波管31と副導波管32の気流方向に垂直な断面積は、まず減少し、その後増加する。
【0044】
図5に示すように、該フレーム21は中空のフレーム21であり、その上に気流流通用の複数の貫通穴が設けられている。該ウーファー2の磁気回路システム22は、サウンドコーン20の前側に取り付けられ、ウーファー2のボイスコイル24の後端はサウンドコーン20に接続され、ボイスコイル24の前端は磁気回路システム22によって形成された磁気ギャップに挿入される。磁気回路システム22は、ブラケット23を介してフレーム21に取り付けられ、ブラケット23には気流が通過するための貫通穴230も設けられている。該ウーファー2にはダンパー25も含まれ、ダンパー25は、ボイスコイル24の後端部に固定的に配置され、ダンパー25は、サウンドコーン20の後側にあり、ダンパー25の外周縁はまた、フレーム21に固定接続される。
【0045】
図8aに示されるように、主導波管31および副導波管32の断面積は一定であり得る。図8bに示すように、主導波管31及び副導波管32の断面積は、気流方向に沿って徐々に増加することができる。主導波管31および副導波管32の断面積は一定であり得る。図8cに示すように、主導波管31および副導波管32の断面積は、気流方向に沿って徐々に減少することができる。図8dに示すように、主導波管31および副導波管32の断面積は、最初に減少し、次に増加することができ、本実施例においてこのタイプの主導波管31および副導波管32を採用する。
【0046】
該ウーファー装置では、ウーファー2 をボックス 1に逆に取り付けて、スピーカー装置全体の体積が小さくなり、構造が比較的コンパクトになる。主導波管31および副導波管32は、直線チャネルではなく、「螺旋」チャネルに類似している。サウンドコーン20が下に移動すると、空気が圧縮されて音波が発生し、音波は空洞3に入り、再び圧縮され、そして、主導波管31と副導波管32を介して外側に放射し、スピーカー装置の感度を向上させる。
【0047】
本実施例は、設計例も提供する。まず、使用したウーファーの小信号パラメータは、Re=2.02ohm、インダクタンスLe=0.288mH、共振周波数fs=50.4Hz、振動質量Mms=50.258g、ダンピングRms=1.347kg/s、振動システムの弾性係数Kms=5.05N/mm、電磁駆動力係数Bl=2.826N/Aである。次に、主導波管と副導波管の長さと断面積の変化特性を設定し、主導波管と副導波管の音響インピーダンスを計算し、4つの導波管設計スキームを図8aから8dに示す。そして、計算された音響インピーダンスによると、次のウーファー装置の数学的モデルが得られ
【数32】
この微分方程式系を解いて、スピーカー装置の放射音場を計算し、得られた放射音場と期待される放射音場を比較し、計算された音圧レベル曲線と目標曲線の誤差を比較し、誤差の変化に応じて主副導波管の構造パラメータを調整する。
【0048】
従来技術の単一導波管に基づくウーファー装置と、本実施例のウーファー装置の性能試験を行った。両方で使用されるウーファーの信号パラメータはすべて、直流抵抗Re=2.02ohm、インダクタンスLe=0.288mH、共振周波数fs=50.4Hz、振動質量Mms=50.258g、ダンピングRms=1.347kg/s、振動システムの弾性係数Kms=5.05N/mm、電磁駆動力係数Bl=2.826N/Aである。性能試験は半無響室で実施され、ウーファー装置をバッフルの上に設置し、バッフルの開口部はスピーカー放射出口の直径と同じである。スピーカー装置の出力信号を収集するために、スピーカーから1m離れた場所にB&Kマイク4189が配置された。スピーカーとマイクを同じレベルにした。さらに、この実験では、Klippel 社のR&D 測定システムであるパワーアンプも選択されている。
【0049】
試験結果を図9に示すように、図中の細い線は、既存の単一チャネルヘルムホルツ共鳴器スピーカー装置の周波数応答曲線であり図中の太線は、本実施例のデュアル導波管タイプウーファー装置の周波数特性曲線である。図から分かるように、本実施例のウーファー装置の低域の伸びがより顕著であり、例えば図9のAを参照すると、本実施例のウーファー装置の音圧レベルは低域で高くなる。
【0050】
上述の実施例は、本開示の技術的思想および特徴を説明するためだけのものであり、好ましい実施例であり、その目的は、当業者が本開示の内容を理解し、それに応じてそれを実施できるようにすることであり、本開示の保護範囲を限定するものではない。
【0051】
本開示は、2020年8月10日に出願された出願番号CN202010794316.8の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は参照により本開示に組み込まれる。
【符号の説明】
【0052】
1ボックス
10裏蓋
100出口管部
11第1の仕切板
12第2の仕切板
13第3の仕切板
131隙間
14第4の仕切板
141隙間
2ウーファー
20サウンドコーン
21フレーム
210貫通穴
22磁気回路システム
23ブラケット
230貫通穴
24ボイスコィル
25ダンパー
3空洞
31主導波管
311入口
312出口
32副導波管
321入口
322出口
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9