(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】霧化装置、加熱電気回路、方法、読取可能記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G01R27/02 R
(21)【出願番号】P 2023514756
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 CN2021136079
(87)【国際公開番号】W WO2022143035
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】202023298846.8
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522441529
【氏名又は名称】江門摩爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Jiangmen Moore Technology.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李亜飛
(72)【発明者】
【氏名】李祥忠
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111436668(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109656283(CN,A)
【文献】特表2008-503813(JP,A)
【文献】特許第6667709(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/082280(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体抵抗、MCUを含む霧化装置の加熱電気回路において、
更に、サンプリング抵抗
、第1駆動ユニット及び第2駆動ユニットを含み
、
前記サンプリング抵抗の抵抗値は前記発熱体抵抗の抵抗
値よりも大きく、
前記第1駆動ユニットは、PMOSFET、スイッチングデバイス、第3抵抗及び第4抵抗を含み、前記MCUの第1IOポートは、前記スイッチングデバイスの制御端子及び前記第4抵抗の第1端子にそれぞれ接続され、前記スイッチングデバイスの第1端子及び前記第4抵抗の第2端子はそれぞれグランドに接続され、前記スイッチングデバイスの第2端子は前記PMOSFETのゲート及び前記第3抵抗の第1端子にそれぞれ接続され、前記PMOSFETのソース及び前記第3抵抗の第2端子はバッテリ電源にそれぞれ接続され、前記PMOSFETのドレインは前記発熱体抵抗の第1端子に接続され、前記発熱体抵抗の第2端子はグランドに接続され、
前記MCUは、PWMサイクルの第1期間内は、
前記第1IOポートを通じて前記第1駆動ユニットを制御することで、バッテリ電源が前記発熱体抵抗にのみ電気を供給するよう
にして、前記発熱体抵抗を正常に動作させ、
前記MCUは、PWMサイクルの第2期間内は、
対応するIOポートを通じて前記第2駆動ユニットを制御することで、バッテリ電源が、直列に接続される前記サンプリング抵抗及び前記発熱体抵抗に電気を供給するよう
にし、且つ、
対応するIOポートを通じて前記発熱体抵抗の電圧及び前記サンプリング抵抗の電圧をそれぞれ収集し、前記サンプリング抵抗の抵抗値及び収集した電圧に基づいて前記発熱体抵抗の抵抗値を算出することを特徴とする
霧化装置の加熱電気回路。
【請求項2】
前記第2駆動ユニットは第1バイポーラトランジスタを含み、且つ、前記第1バイポーラトランジスタのベースは前記MCUの第2IOポートに接続され、前記第1バイポーラトランジスタのコレクタはバッテリ電源に接続され、前記第1バイポーラトランジスタのエミッタは前記サンプリング抵抗の第1端子及び前記MCUの第3IOポートにそれぞれ接続され、前記サンプリング抵抗の第2端子は前記発熱体抵抗の第1端子及び前記MCUの第4IOポートにそれぞれ接続されることを特徴とする請求項
1に記載の霧化装置の加熱電気回路。
【請求項3】
前記スイッチングデバイスはNMOSFETを含み、且つ、前記NMOSFETのゲートは前記MCUの第1IOポートに接続され、前記NMOSFETのソースはグランドに接続され、前記NMOSFETのドレインは前記PMOSFETのゲート及び前記第3抵抗の第1端子にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項
1に記載の霧化装置の加熱電気回路。
【請求項4】
前記スイッチングデバイスは第2バイポーラトランジスタ及び第5抵抗を含み、前記第2バイポーラトランジスタのベースは前記第4抵抗の第1端子及び前記第5抵抗の第1端子にそれぞれ接続され、前記第2バイポーラトランジスタのコレクタは前記PMOSFETのゲート及び前記第3抵抗の第1端子にそれぞれ接続され、前記第2バイポーラトランジスタのエミッタ及び前記第4抵抗の第2端子はそれぞれグランドに接続され、前記第5抵抗の第2端子は前記MCUの第1IOポートに接続されることを特徴とする請求項
1に記載の霧化装置の加熱電気回路。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の加熱電気回路を含むことを特徴とする霧化装置。
【請求項6】
MCUに応用される霧化装置の加熱方法において、
発熱体抵抗、MCUを含む加熱電気回路であって、
更に、サンプリング抵抗、第1駆動ユニット及び第2駆動ユニットを含み、
前記サンプリング抵抗の抵抗値は前記発熱体抵抗の抵抗値よりも大きく、
前記第1駆動ユニットは、PMOSFET、スイッチングデバイス、第3抵抗及び第4抵抗を含み、前記MCUの第1IOポートは、前記スイッチングデバイスの制御端子及び前記第4抵抗の第1端子にそれぞれ接続され、前記スイッチングデバイスの第1端子及び前記第4抵抗の第2端子はそれぞれグランドに接続され、前記スイッチングデバイスの第2端子は前記PMOSFETのゲート及び前記第3抵抗の第1端子にそれぞれ接続され、前記PMOSFETのソース及び前記第3抵抗の第2端子はバッテリ電源にそれぞれ接続され、前記PMOSFETのドレインは前記発熱体抵抗の第1端子に接続され、前記発熱体抵抗の第2端子はグランドに接続された加熱電気回路
を使用し、
PWMサイクルの第1期間内は、
前記第1IOポートを通じて前記第1駆動ユニットを制御することで、バッテリ電源が
前記発熱体抵抗にのみ電気を供給するよう
にして、前記発熱体抵抗を正常に動作させ、
PWMサイクルの第2期間内は、
対応するIOポートを通じて前記第2駆動ユニットを制御することで、前記バッテリ電源が、直列に接続される
前記サンプリング抵抗及び前記発熱体抵抗に電気を供給するよう制御するとともに、前記発熱体抵抗の電圧及び前記サンプリング抵抗の電圧をそれぞれ収集し
、前記サンプリング抵抗の抵抗値及び収集した電圧に基づいて前記発熱体抵抗の抵抗値を算出する、
ことを含むことを特徴する霧化装置の加熱方法。
【請求項7】
コンピュータプログラムが記憶されている読取可能記憶媒体において、
前記コンピュータプログラムは、プロセッサにより実行される際に、請求項
6に記載の加熱方法を実現することを特徴とする読取可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化機器の分野に関し、特に、霧化装置、加熱電気回路、方法、読取可能記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
霧化装置において、中核となる部材は加熱部材であり、中核技術は加熱部材の温度制御である。また、温度制御を行う際のポイントは、加熱部材の温度を測定することである。且つ、通常、加熱部材は発熱体抵抗であり、発熱体抵抗に電気を供給して熱を発生させることで霧化基質を加熱する。これにより、霧化基質を昇温させると、煙霧又はエアロゾルが発生する。現在の加熱電気回路では、通常、加熱回路にサンプリング抵抗を直列に接続して発熱体抵抗の抵抗値を検出し、続いて、オペアンプでサンプリング抵抗における電圧降下を増幅したあと、MCU(Microcontroller Unit,マイクロコントローラユニット)に収集させて演算する。MCUは、まず、I=U1/R1から電流を取得する。U1はサンプリング抵抗における電圧降下、R1はサンプリング抵抗の抵抗値、Iは電流である。通常、MCUにおいて、電圧はLDO(Low Dropout Regulator,低ドロップアウトリニアレギュレータ)で降圧したあと取得される。また、MCUが収集可能な電圧は加熱電源(バッテリ)の電圧よりも小さい。そのため、発熱体抵抗の電圧は、サンプリング抵抗で分圧したあとMCUに収集させて、R2=U2/Iから発熱体抵抗の抵抗値を算出する必要がある。U2は発熱体抵抗における電圧降下、R2は発熱体抵抗の抵抗値である。このような方式では、サンプリング抵抗が加熱回路に直列に接続されるため、サンプリング抵抗値が非常に小さくなければ(mΩレベル)加熱効率に影響を及ぼしてしまう。また、サンプリング抵抗における電圧降下が非常に小さいことから、サンプリング抵抗の電圧降下を増幅させるオペアンプを追加する必要がある。且つ、サンプリング抵抗が非常に小さいために、抵抗値自体の精度を非常に高くすることは難しい。そのほか、オペアンプ自体の誤差も存在するため、サンプリングされる電流の誤差が比較的大きくなる。加えて、サンプリング抵抗の精度誤差によって、収集される発熱体抵抗の電圧にも誤差が存在する。結果として、R2=U2/Iから算出される発熱体抵抗の抵抗値の誤差が比較的大きくなる。且つ、オペアンプを追加する必要があるため、コストが比較的高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術に存在する誤差が大きく、コストが高いとの欠点を解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
発熱体抵抗、MCUを含むとともに、サンプリング抵抗を更に含み、且つ、前記サンプリング抵抗の抵抗値が前記発熱体抵抗の抵抗値のサンプリング抵抗よりも大きい霧化装置の加熱電気回路を構成する。
【0006】
前記MCUは、PWM(Pulse Width Modulation,パルス幅変調)サイクルの第1期間内は、バッテリ電源が前記発熱体抵抗にのみ電気を供給するよう制御することで、前記発熱体抵抗を正常に動作させる。
【0007】
前記MCUは、PWMサイクルの第2期間内は、バッテリ電源が、直列に接続される前記サンプリング抵抗及び前記発熱体抵抗に電気を供給するよう制御する。且つ、前記発熱体抵抗の電圧及び前記サンプリング抵抗の電圧をそれぞれ収集し、前記サンプリング抵抗の抵抗値及び収集した電圧に基づいて前記発熱体抵抗の抵抗値を算出する。
【0008】
選択的に、更に、第1駆動ユニット、第2駆動ユニットを含む。
【0009】
且つ、前記MCUは、PWMサイクルの第1期間内は、対応するIO(Input/Output)ポートを通じて前記第1駆動ユニットを制御することで、バッテリ電源が前記発熱体抵抗にのみ電気を供給するようにする。
【0010】
前記MCUは、PWMサイクルの第2期間内は、対応するIOポートを通じて前記第2駆動ユニットを制御することで、バッテリ電源が、直列に接続される前記サンプリング抵抗及び前記発熱体抵抗に電気を供給するようにする。且つ、対応するIOポートを通じて前記発熱体抵抗の電圧及び前記サンプリング抵抗の電圧をそれぞれ収集し、前記サンプリング抵抗の抵抗値及び収集した電圧に基づいて前記発熱体抵抗の抵抗値を算出する。
【0011】
選択的に、前記第1駆動ユニットは、PMOS(Positive Channel Metal Oxide Semiconductor,P型金属酸化物半導体)FET、スイッチングデバイス、第3抵抗及び第4抵抗を含む。前記MCUの第1IOポートは、前記スイッチングデバイスの制御端子及び前記第4抵抗の第1端子にそれぞれ接続され、前記スイッチングデバイスの第1端子及び前記第4抵抗の第2端子はそれぞれグランドに接続され、前記スイッチングデバイスの第2端子は前記PMOSFETのゲート及び前記第3抵抗の第1端子にそれぞれ接続され、前記PMOSFETのソース及び前記第3抵抗の第2端子はバッテリ電源にそれぞれ接続され、前記PMOSFETのドレインは前記発熱体抵抗の第1端子に接続され、前記発熱体抵抗の第2端子はグランドに接続される。
【0012】
選択的に、前記第2駆動ユニットは第1バイポーラトランジスタを含む。且つ、前記第1バイポーラトランジスタのベースは前記MCUの第2IOポートに接続され、前記第1バイポーラトランジスタのコレクタはバッテリ電源に接続され、前記第1バイポーラトランジスタのエミッタは前記サンプリング抵抗の第1端子及び前記MCUの第3IOポートにそれぞれ接続され、前記サンプリング抵抗の第2端子は前記発熱体抵抗の第1端子及び前記MCUの第4IOポートにそれぞれ接続される。
【0013】
選択的に、前記スイッチングデバイスは、NMOS(Negative Channel Metal Oxide Semiconductor,N型金属酸化物半導体)FETを含む。且つ、前記NMOSFETのゲートは前記MCUの第1IOポートに接続され、前記NMOSFETのソースはグランドに接続され、前記NMOSFETのドレインは前記PMOSFETのゲート及び前記第3抵抗の第1端子にそれぞれ接続される。
【0014】
選択的に、前記スイッチングデバイスは第2バイポーラトランジスタ及び第5抵抗を含む。前記第2バイポーラトランジスタのベースは前記第4抵抗の第1端子及び前記第5抵抗の第1端子にそれぞれ接続され、前記第2バイポーラトランジスタのコレクタは前記PMOSFETのゲート及び前記第3抵抗の第1端子にそれぞれ接続され、前記第2バイポーラトランジスタのエミッタ及び前記第4抵抗の第2端子はそれぞれグランドに接続され、前記第5抵抗の第2端子は前記MCUの第1IOポートに接続される。
【0015】
本発明は、更に、上述した加熱電気回路を含む霧化装置を構成する。
【0016】
本発明は、更に、MCUに応用される霧化装置の加熱方法を構成する。当該方法は、以下を含む。
【0017】
PWMサイクルの第1期間内は、バッテリ電源が発熱体抵抗にのみ電気を供給するよう制御することで、前記発熱体抵抗を正常に動作させる。
【0018】
PWMサイクルの第2期間内は、前記バッテリ電源が、直列に接続されるサンプリング抵抗及び前記発熱体抵抗に電気を供給するよう制御するとともに、前記発熱体抵抗の電圧及び前記サンプリング抵抗の電圧をそれぞれ収集する。前記サンプリング抵抗の抵抗値は前記発熱体抵抗の抵抗値よりも大きい。
【0019】
前記サンプリング抵抗の抵抗値及び収集した電圧に基づいて前記発熱体抵抗の抵抗値を算出する。
【0020】
選択的に、バッテリ電源が発熱体抵抗にのみ電気を供給するよう制御することには、第1駆動ユニットを制御することで、前記バッテリ電源が発熱体抵抗にのみ電気を供給するようにすることが含まれる。
【0021】
選択的に、前記バッテリ電源が、直列に接続されるサンプリング抵抗及び前記発熱体抵抗に電気を供給するよう制御することには、第2駆動ユニットを制御することで、前記バッテリ電源が、直列に接続されるサンプリング抵抗及び前記発熱体抵抗に電気を供給するようにすることが含まれる。
【0022】
本発明は、更に、コンピュータプログラムが記憶されている読取可能記憶媒体を構成する。前記コンピュータプログラムは、プロセッサにより実行される際に上述した加熱方法を実現する。
【発明の効果】
【0023】
本発明で提供する技術方案において、霧化装置の加熱電気回路には、加熱回路が設置されるだけでなく、検出回路も別途追加される。且つ、MCUは、PWM駆動方式で加熱制御を実現する。即ち、期間別に加熱回路及び検出回路の動作を制御する。具体的には、PWMサイクルの第1期間において、MCUは、バッテリ電源が発熱体抵抗にのみ電気を供給するよう制御する。即ち、加熱回路の動作を制御する。また、PWMサイクルの第2期間において、MCUは、バッテリ電源が、直列に接続されるサンプリング抵抗及び発熱体抵抗に電気を供給するよう制御する。即ち、検出回路の動作を制御する。当該加熱電気回路において、サンプリング抵抗は、発熱体抵抗の抵抗値を検出するとき(PWMサイクルの第2期間内)にのみ動作し、ほかのタイミングでは動作しない。よって、当該サンプリング抵抗に抵抗値の大きな抵抗を選択可能となる。こうすることで、第一に、抵抗値の大きなサンプリング抵抗は精度がより高くなり得るため、発熱体抵抗の抵抗値の検出精度を向上させられる。第二に、オペアンプを用いて増幅しなくても、MCU(ADC(Analog To Digital Converter,アナログデジタルコンバータ)ポートを有する)でサンプリング抵抗の電圧を直接サンプリングできるため、電圧のサンプリング精度を向上させることができ、更には、発熱体抵抗の抵抗値の検出精度を比較的高くまで向上させられる。且つ、オペアンプを設置しなくともよいため、コストを低下させられる。
【0024】
本発明の実施例をより明瞭に説明するために、以下に、実施例の記載にあたり使用を要する図面について簡単に述べる。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は本発明の一部の実施例にすぎず、当業者であれば、創造的労働を伴わないことを前提に、これら図面からその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明における霧化装置の加熱電気回路の実施例1の回路図である。
【
図2】
図2は、本発明における霧化装置の加熱電気回路の実施例2の回路図である。
【
図3】
図3は、本発明における霧化装置の加熱方法の実施例1のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施例に係る図面を組み合わせて、本発明の実施例における技術方案について明瞭簡潔に記載する。なお、言うまでもなく、ここで記載する実施例は本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働を行わないことを前提に取得するその他全ての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0027】
従来の加熱電気回路に存在する発熱体の抵抗値の検出精度が高くなく、コストが大きいとの技術的課題に対し、本発明は、霧化装置の加熱電気回路を構成する。当該加熱電気回路は、MCU、発熱体抵抗、サンプリング抵抗を含み、且つ、サンプリング抵抗の抵抗値が発熱体抵抗の抵抗値よりも大きい。例えば、サンプリング抵抗には、抵抗値がΩレベル(即ち、少なくとも1Ωの電気抵抗)の高精度の抵抗を選択する。且つ、MCUは、PWMサイクルの第1期間内は、バッテリ電源が発熱体抵抗にのみ電気を供給するよう制御することで、前記発熱体抵抗を正常に動作させる。また、MCUは、PWMサイクルの第2期間内は、バッテリ電源が、直列に接続されるサンプリング抵抗及び発熱体抵抗に電気を供給するよう制御する。且つ、第2期間内は、発熱体抵抗の電圧及びサンプリング抵抗の電圧をそれぞれ収集し、サンプリング抵抗の抵抗値及び収集した電圧に基づいて発熱体抵抗の抵抗値を算出する。理解すべき点として、PWMサイクルは第1期間と第2期間の和に等しい。
【0028】
本実施例において、加熱電気回路には、加熱回路が設置されるだけでなく、検出回路も別途追加される。且つ、MCUは、PWM駆動方式で加熱制御を実現する。即ち、期間別に加熱回路及び検出回路の動作を制御する。具体的には、PWMサイクルの第1期間において、MCUは、バッテリ電源が発熱体抵抗にのみ電気を供給するよう制御する。即ち、加熱回路の動作を制御する。また、PWMサイクルの第2期間において、MCUは、バッテリ電源が、直列に接続されるサンプリング抵抗及び発熱体抵抗に電気を供給するよう制御する。即ち、検出回路の動作を制御する。本実施例の加熱電気回路において、サンプリング抵抗は、発熱体抵抗の抵抗値を検出するとき(PWMサイクルの第2期間内)にのみ動作し、ほかのタイミングでは動作しない。よって、当該サンプリング抵抗に抵抗値の大きな抵抗を選択可能となる。こうすることで、第一に、抵抗値の大きなサンプリング抵抗は精度がより高くなり得るため、発熱体抵抗の抵抗値の検出精度を向上させられる。第二に、オペアンプを用いて増幅しなくても、MCU(ADCポートを有する)でサンプリング抵抗の電圧を直接サンプリングできるため、電圧のサンプリング精度を向上させることができ、更には、発熱体抵抗の抵抗値の検出精度を比較的高くまで向上させられる。且つ、オペアンプを設置しなくともよいため、コストを低下させられる。
【0029】
更に、選択的な実施例において、本発明の加熱電気回路は第1駆動ユニット及び第2駆動ユニットを更に含む。且つ、MCUは、PWMサイクルの第1期間内は、対応するIOポートを通じて前記第1駆動ユニットを制御することで、バッテリ電源が前記発熱体抵抗にのみ電気を供給するようにする。また、MCUは、PWMサイクルの第2期間内は、対応するIOポートを通じて前記第2駆動ユニットを制御することで、バッテリ電源が、直列に接続される前記サンプリング抵抗及び前記発熱体抵抗に電気を供給するようにする。且つ、対応するIOポートを通じて前記発熱体抵抗の電圧及び前記サンプリング抵抗の電圧をそれぞれ収集し、前記サンプリング抵抗の抵抗値及び収集した電圧に基づいて前記発熱体抵抗の抵抗値を算出する。
【0030】
図1は、本発明における霧化装置の加熱電気回路の実施例1の回路図である。本実施例の加熱電気回路は、MCU U1(即ち、マイクロコントローラU1)、発熱体抵抗R2、サンプリング抵抗R1、第1駆動ユニット及び第2駆動ユニットを含む。且つ、サンプリング抵抗R1の抵抗値は発熱体抵抗R2の抵抗値よりも大きい。
【0031】
第1駆動ユニットは、PMOSFET Q1、NMOSFET Q3、第3抵抗R3及び第4抵抗R4を含む。MCU U1の第1IOポート(PMOS)は、NMOSFET Q3のゲート及び第4抵抗R4の第1端子にそれぞれ接続される。また、NMOSFET Q3のソース及び第4抵抗R4の第2端子はそれぞれグランドに接続され、NMOSFET Q3のドレインはPMOSFET Q1のゲート及び第3抵抗R3の第1端子にそれぞれ接続される。また、PMOSFET Q1のソース及び第3抵抗R3の第2端子はバッテリ電源(BAT)にそれぞれ接続され、PMOSFET Q1のドレインは発熱体抵抗R2の第1端子に接続される。また、発熱体抵抗R2の第2端子はグランドに接続される。
【0032】
第2駆動ユニットは第1バイポーラトランジスタQ2を含む。且つ、第1バイポーラトランジスタQ2のベースはMCU U1の第2IOポート(ISEN)に接続され、第1バイポーラトランジスタQ2のコレクタはバッテリ電源(BAT)に接続され、第1バイポーラトランジスタQ2のエミッタはサンプリング抵抗R1の第1端子及びMCU U1の第3IOポート(IS1)にそれぞれ接続される。また、サンプリング抵抗R1の第2端子は発熱体抵抗R2の第1端子及びMCUの第4IOポート(IS2)にそれぞれ接続される。理解すべき点として、MCU U1の第3IOポート(IS1)及び第4IOポート(IS2)はADポートである。
【0033】
次に、当該加熱電気回路の動作原理について説明する。
【0034】
各PWMサイクルの第1期間内は、MCU U1の第1IOポート(PMOS)がハイレベルを出力し、NMOSFET Q3がターンオンすることで、PMOSFET Q1がターンオンする。同時に、MCU U1の第2IOポート(ISEN)がローレベルを出力し、第1バイポーラトランジスタQ2がターンオフする。このとき、バッテリ電源(VBAT)の電圧がPMOSFET Q1を通じて発熱体抵抗R2に直接印加され、発熱体抵抗R2が正常な動作を開始する。
【0035】
各PWMサイクルの第2期間内は、MCU U1の第1IOポート(PMOS)がローレベルを出力し、NMOSFET Q3がターンオフすることで、PMOSFET Q1がターンオフし、発熱体抵抗R2が加熱を停止する。同時に、MCU U1の第2IOポート(ISEN)がハイレベルを出力し、第1バイポーラトランジスタQ2がターンオンする。このとき、電流はバッテリ電源(VBAT)から、第1バイポーラトランジスタQ2、サンプリング抵抗R1、発熱体抵抗R2を経由してグランドに到達する。且つ、第1バイポーラトランジスタQ2のベース電圧がMCU U1のIOポートのハイレベルとなる。第1バイポーラトランジスタQ2のベース電圧のクランプ作用によって、ターンオン時の第1バイポーラトランジスタQ2のエミッタ電圧はベース電圧よりもやや小さくなる。よって、このとき、MCU U1の第3、第4IOポート(IS1,IS2)の電圧はいずれもMCU U1のIOポートのハイレベルよりも小さくなるため、MCU U1の第3、第4IOポート(IS1,IS2)は電圧サンプリングを直接実施可能となる。仮に、MCU U1の第3IOポートがサンプリングする電圧をVIS1、MCU U1の第4IOポートがサンプリングする電圧をVIS2として、式I=(VIS1-VIS2)/R1から検出回路の電流Iを算出する。なお、R1はサンプリング抵抗R1の抵抗値である。そして、式R2=VIS2/I=R1*VIS2/(VIS1-VIS2)から発熱体抵抗R2の抵抗値R2を算出する。
【0036】
図2は、本発明における霧化装置の加熱電気回路の実施例2の回路図である。本実施例の加熱電気回路は、
図1に示した実施例と比較して、以下の点のみが異なっている。即ち、スイッチングデバイスをNMOSFET Q3から第2バイポーラトランジスタQ4及び第5抵抗R5に変更する。且つ、第2バイポーラトランジスタQ4のベースは第4抵抗R4の第1端子及び第5抵抗R5の第1端子にそれぞれ接続される。また、第2バイポーラトランジスタQ4のコレクタはPMOSFET Q1のゲート及び第3抵抗R3の第1端子にそれぞれ接続される。また、第2バイポーラトランジスタQ4のエミッタ及び第4抵抗R4の第2端子はそれぞれグランドに接続され、第5抵抗R5の第2端子はMCU U1の第1IOポート(PMOS)に接続される。そのほかの同一部分についてはここでは詳述しない。
【0037】
次に、当該加熱電気回路の動作原理について説明する。
【0038】
各PWMサイクルの第1期間内は、MCU U1の第1IOポート(PMOS)がハイレベルを出力し、第2バイポーラトランジスタQ4がターンオンすることで、PMOSFET Q1がターンオンする。同時に、MCU U1の第2IOポート(ISEN)がローレベルを出力し、第1バイポーラトランジスタQ2がターンオフする。このとき、バッテリ電源(VBAT)の電圧が、PMOSFET Q1を通じて発熱体抵抗R2に直接印加され、発熱体抵抗R2が正常な動作を開始する。
【0039】
各PWMサイクルの第2期間内は、MCU U1の第1IOポート(PMOS)がローレベルを出力し、第2バイポーラトランジスタQ4がターンオフすることで、PMOSFET Q1がターンオフし、発熱体抵抗R2が加熱を停止する。同時に、MCU U1の第2IOポート(ISEN)がハイレベルを出力し、第1バイポーラトランジスタQ2がターンオンする。このとき、電流はバッテリ電源(VBAT)から、第1バイポーラトランジスタQ2、サンプリング抵抗R1、発熱体抵抗R2を経由してグランドに到達する。且つ、第1バイポーラトランジスタQ2のベース電圧がMCU U1のIOポートのハイレベルとなる。第1バイポーラトランジスタQ2のベース電圧のクランプ作用によって、ターンオン時の第1バイポーラトランジスタQ2のエミッタ電圧はベース電圧よりもやや小さくなる。よって、このとき、MCU U1の第3、第4IOポート(IS1,IS2)の電圧はいずれもMCU U1のIOポートのハイレベルよりも小さくなるため、MCU U1の第3、第4IOポート(IS1,IS2)は電圧サンプリングを直接実施可能となる。仮に、MCU U1の第3IOポートがサンプリングする電圧をVIS1、MCU U1の第4IOポートがサンプリングする電圧をVIS2として、式I=(VIS1-VIS2)/R1から検出回路の電流Iを算出する。なお、R1はサンプリング抵抗R1の抵抗値である。そして、式R2=VIS2/I=R1*VIS2/(VIS1-VIS2)から発熱体抵抗R2の抵抗値R2を算出する。
【0040】
本発明は、更に、霧化装置を構成する。当該霧化装置は加熱電気回路を含む。且つ、当該加熱電気回路の構造については上記の記載を参照すればよい。
【0041】
図3は、本発明における霧化装置の加熱方法の実施例1のフローチャートである。本実施例の加熱方法はMCUに応用され、且つ、具体的に以下のステップを含む。
【0042】
ステップS10:PWMサイクルの第1期間内は、バッテリ電源が発熱体抵抗にのみ電気を供給するよう制御することで、前記発熱体抵抗を正常に動作させる。
【0043】
ステップS20:PWMサイクルの第2期間内は、前記バッテリ電源が、直列に接続されるサンプリング抵抗及び前記発熱体抵抗に電気を供給するよう制御するとともに、前記発熱体抵抗の電圧及び前記サンプリング抵抗の電圧をそれぞれ収集する。前記サンプリング抵抗の抵抗値は前記発熱体抵抗の抵抗値よりも大きい。
【0044】
ステップS30:前記サンプリング抵抗の抵抗値及び収集した電圧に基づいて前記発熱体抵抗の抵抗値を算出する。
【0045】
本実施例では、1つのPWMサイクル内で、発熱体抵抗に対し期間別に加熱制御及び抵抗値検出を行う。具体的に、PWMサイクルの第1期間において、MCUは、バッテリ電源が発熱体抵抗にのみ電気を供給するよう制御する。即ち、発熱体抵抗が正常に動作するよう制御する。また、PWMサイクルの第2期間において、MCUは、バッテリ電源が、直列に接続されるサンプリング抵抗及び発熱体抵抗に電気を供給するよう制御する。即ち、発熱体抵抗の抵抗値を検出する。サンプリング抵抗は、発熱体抵抗の抵抗値を検出するとき(PWMサイクルの第2期間内)にのみ動作し、ほかのタイミングでは動作しない。よって、当該サンプリング抵抗に抵抗値の大きな抵抗を選択可能となる。こうすることで、第一に、抵抗値の大きなサンプリング抵抗は精度がより高くなり得るため、発熱体抵抗の抵抗値の検出精度を向上させられる。第二に、オペアンプを用いて増幅しなくても、MCU(ADCポートを有する)でサンプリング抵抗の電圧を直接サンプリングできるため、電圧のサンプリング精度を向上させることができ、更には、発熱体抵抗の抵抗値の検出精度を比較的高くまで向上させられる。且つ、オペアンプを設置しなくともよいため、コストを低下させられる。
【0046】
更に、MCUは、第1駆動ユニットを制御することで、前記バッテリ電源が発熱体抵抗にのみ電気を供給するようにできる。また、これに対応して、MCUは、第2駆動ユニットを制御することで、前記バッテリ電源が、直列に接続されるサンプリング抵抗及び前記発熱体抵抗に電気を供給するようにできる。
【0047】
本発明は、更に、読取可能記憶媒体を構成する。当該読取可能記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶されている。且つ、当該コンピュータプログラムは、プロセッサにより実行される際に上述した加熱方法を実現する。
【0048】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を制限するものではない。当業者にとって、本発明には各種の変更及び変形が存在し得る。本発明の精神及び原則の範囲内で実施される何らかの修正、同等の置換、改良等は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。