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特許7564350デュアル出力エネルギー変換装置、変調方法及び給電設備
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】デュアル出力エネルギー変換装置、変調方法及び給電設備
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
H02M3/155 W
H02M3/155 U
H02M3/155 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023518414
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 CN2021127098
(87)【国際公開番号】W WO2022089543
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】202011177447.8
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515308855
【氏名又は名称】蘇州捷芯威半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】GPOWER SEMICONDUCTOR,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】胡 茂
(72)【発明者】
【氏名】裴 軼
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-059265(JP,A)
【文献】特開2016-047005(JP,A)
【文献】特開平07-007949(JP,A)
【文献】特開平05-095682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアル出力エネルギー変換装置であって、
第1エネルギー貯蔵モジュールと、第1複合直列ブリッジアームモジュールと、コンデンサエネルギー貯蔵モジュールと、第2複合直列ブリッジアームモジュールと、を含み、
前記第1エネルギー貯蔵モジュール、第1複合直列ブリッジアームモジュール、コンデンサエネルギー貯蔵モジュール、第2複合直列ブリッジアームモジュールは順に接続されており、
前記第1複合直列ブリッジアームモジュールは直列接続された第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットと第1補助トランジスタブリッジアームユニットを含み、
前記第2複合直列ブリッジアームモジュールは直列接続された第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットと第2補助トランジスタブリッジアームユニットを含み、
前記第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットと前記第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットは第1変換出力回路を形成し、前記第1エネルギー貯蔵モジュール及び/又は前記コンデンサエネルギー貯蔵モジュールのエネルギーを後段負荷に出力し、
前記第1補助トランジスタブリッジアームユニットと前記第2補助トランジスタブリッジアームユニットは第2変換出力回路を形成し、前記第1エネルギー貯蔵モジュール及び/又は前記コンデンサエネルギー貯蔵モジュールのエネルギーを後段負荷に出力し、
前記第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットは第1マスタースイッチトランジスタと第2マスタースイッチトランジスタを含み、前記第1マスタースイッチトランジスタと前記第2マスタースイッチトランジスタは直列接続されており、
前記第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットは第3マスタースイッチトランジスタと第4マスタースイッチトランジスタを含み、前記第3マスタースイッチトランジスタと前記第4マスタースイッチトランジスタは直列接続されてり、
前記コンデンサエネルギー貯蔵モジュールは第1バスコンデンサを含み、前記第1バスコンデンサの第1端子は前記第1マスタースイッチトランジスタ及び前記第3マスタースイッチトランジスタに電気的に接続され、前記第1バスコンデンサの第2端子は前記第2マスタースイッチトランジスタ及び前記第4マスタースイッチトランジスタに電気的に接続され、
前記第1変換出力回路は第1出力端子と第2出力端子を含み、前記第1出力端子は前記第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットの中性点に形成され、前記第2出力端子は前記第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットの中性点に形成され、
前記第1マスタースイッチトランジスタ、第2マスタースイッチトランジスタ、第3マスタースイッチトランジスタ及び第4マスタースイッチトランジスタは駆動信号に応じて導通状態を切り替えて、前記第1エネルギー貯蔵モジュール及び前記第1バスコンデンサのエネルギーを、前記第1出力端子及び前記第2出力端子を介して交番信号を後段負荷に出力する
ことを特徴とするデュアル出力エネルギー変換装置。
【請求項2】
前記第1補助トランジスタブリッジアームユニットは第1補助トランジスタと第2補助トランジスタを含み、前記第1補助トランジスタと前記第2補助トランジスタは直列接続されており、
前記第2補助トランジスタブリッジアームユニットは第3補助トランジスタと第4補助トランジスタを含み、前記第3補助トランジスタと前記第4補助トランジスタは直列接続されており、
前記コンデンサエネルギー貯蔵モジュールは第2バスコンデンサを含み、前記第2バスコンデンサは前記第1バスコンデンサに直列接続されており、前記第2バスコンデンサの第1端子は前記第1バスコンデンサの第2端子に電気的に接続され、
前記第2バスコンデンサの第1端子はさらに、前記第2補助トランジスタ及び前記第4補助トランジスタに電気的に接続され、前記第2バスコンデンサの第2端子は前記第1補助トランジスタ及び前記第3補助トランジスタに電気的に接続され、
前記第2変換出力回路は第3出力端子と第4出力端子を含み、前記第3出力端子は前記第1補助トランジスタブリッジアームユニットの中性点に形成され、前記第4出力端子は前記第2補助トランジスタブリッジアームユニットの中性点に形成され、
前記第1補助トランジスタ、第2補助トランジスタ、第3補助トランジスタ及び第4補助トランジスタは、駆動信号に応じて導通状態を切り替えて、前記第1エネルギー貯蔵モジュール及び前記第2バスコンデンサのエネルギーを、前記第3出力端子及び前記第4出力端子を介して交番信号を後段負荷に出力することを特徴とする請求項に記載のデュアル出力エネルギー変換装置。
【請求項3】
第1フィルタリングモジュールと第2フィルタリングモジュールをさらに含み、
前記第1フィルタリングモジュールは前記第1変換出力回路の出力端子に電気的に接続され、前記第1変換出力回路によって出力された交番信号を標準正弦波信号に変換し、
前記第2フィルタリングモジュールは前記第2変換出力回路の出力端子に電気的に接続され、前記第2変換出力回路によって出力された交番信号を標準正弦波信号に変換することを特徴とする請求項に記載のデュアル出力エネルギー変換装置。
【請求項4】
第1逆流防止モジュールを含み、
前記第1逆流防止モジュールは前記第1エネルギー貯蔵モジュールと前記第1変換出力回路との間に設けられ、第1変換出力回路のエネルギーの逆流を防止することを特徴とする請求項に記載のデュアル出力エネルギー変換装置。
【請求項5】
第2逆流防止モジュールを含み、
前記第2逆流防止モジュールは前記第2変換出力回路と電源負極との間に設けられ、第2変換出力回路のエネルギーの逆流を防止することを特徴とする請求項に記載のデュアル出力エネルギー変換装置。
【請求項6】
前記第1エネルギー貯蔵モジュールは電源正極と第1変換出力回路との間に設けられ、
前記第1エネルギー貯蔵モジュールは少なくとも1つのダイオードを含み、前記第1エネルギー貯蔵モジュールはインダクタ及びコンデンサのうちの少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデュアル出力エネルギー変換装置。
【請求項7】
前記第1複合直列ブリッジアームモジュール、前記第2複合直列ブリッジアームモジュールのスイッチトランジスタはすべてIII族窒化物トランジスタであることを特徴とする請求項1に記載のデュアル出力エネルギー変換装置。
【請求項8】
変調方法であって、
請求項1~のいずれか1項に記載のデュアル出力エネルギー変換装置に適用され、
第1変調波信号を第1搬送波入力信号及び第2搬送波入力信号とそれぞれ比較して、第1正弦パルス幅信号及び第2正弦パルス幅信号を生成するステップと、
第2変調波信号を第1搬送波入力信号及び第2搬送波入力信号のそれぞれと比較して、第2固定パルス幅信号及び第2固定パルス幅信号を生成するステップと、
第1変調波入力信号及び第2変調波入力信号をそれぞれ駆動基準グラウンド信号と比較して、第1ゼロクロス検出信号及び第2ゼロクロス検出信号を生成するステップと、
前記第1正弦パルス幅信号、第1固定パルス幅信号及び第1ゼロクロス検出信号に基づいて、第1複合論理モジュールによって第1変換出力回路の駆動信号Vgs1~Vgs4を生成するステップと、
前記第2正弦パルス幅信号、第2固定パルス幅信号及び第2ゼロクロス検出信号に基づいて、第2複合論理モジュールによって第2変換出力回路の駆動信号Vgsub1~Vgsub4を生成するステップと、
前記第1変換出力回路の駆動信号Vgs1~Vgs4に応じて、前記第1変換出力回路を駆動するステップと、
前記第2変換出力回路の駆動信号Vgsub1~Vgsub4に応じて、前記第2変換出力回路を駆動するステップと、を含み、
前記第1搬送波入力信号と前記第2搬送波入力信号との位相差が180°であることを特徴とする変調方法。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載のデュアル出力エネルギー変換装置を含むことを特徴とする給電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインバータの技術分野に関し、具体的には、デュアル出力エネルギー変換装置、変調方法及び給電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電、風力発電などの新エネルギー発電の場合、インバータは電気エネルギー変換を効果的に実現する重要な装置である。新エネルギー発電の場合の逆変換装置は主に電源の広範な出力電圧範囲とマルチポート出力との2つの特徴を備えている。この応用の特徴に対応するために、逆変換装置は通常、昇降圧電気エネルギーの変化能力とマルチポート出力、柔軟な容量拡張能力を備える必要がある。前者は二段式や多段式の昇降圧電力変換装置を採用するのが一般的であり、一方、後者は通常、複数の電力変換装置を並列接続したり、分離型回路により単入力、多出力を実現したりする。
【0003】
上記のどちらの解決手段も、多くの回路部材と複雑な制御を必要とし、回路の電圧ストレスが非常に大きくなる。しかし、電圧ストレスが大きすぎると、電力管のスイッチング動作過程で大きな瞬時電流が発生し、電源装置の電波障害(EMI:Electromagnetic Interference)を悪化させ、さらに装置の電気エネルギー変換効率を低下させ、III族窒化物などのワイドバンドギャップ半導体デバイスの応用を深刻に制限している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、例えば、回路の電圧ストレスを低下させ、装置の電力変換効率を高めることができるデュアル出力エネルギー変換装置、変調方法及び給電設備を提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は以下のように実現される。
第1態様では、本発明の実施例は、
第1エネルギー貯蔵モジュールと、第1複合直列ブリッジアームモジュールと、コンデンサエネルギー貯蔵モジュールと、第2複合直列ブリッジアームモジュールと、を含み、
前記第1エネルギー貯蔵モジュール、第1複合直列ブリッジアームモジュール、コンデンサエネルギー貯蔵モジュール、第2複合直列ブリッジアームモジュールは順に接続されており、
前記第1複合直列ブリッジアームモジュールは直列接続された第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットと第1補助トランジスタブリッジアームユニットを含み、
前記第2複合直列ブリッジアームモジュールは直列接続された第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットと第2補助トランジスタブリッジアームユニットを含み、
前記第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットと前記第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットは第1変換出力回路を形成し、前記第1エネルギー貯蔵モジュール及び/又は前記コンデンサエネルギー貯蔵モジュールのエネルギーを後段負荷に出力し、
前記第1補助トランジスタブリッジアームユニットと前記第2補助トランジスタブリッジアームユニットは第2変換出力回路を形成し、前記第1エネルギー貯蔵モジュール及び/又は前記コンデンサエネルギー貯蔵モジュールのエネルギーを後段負荷に出力するデュアル出力エネルギー変換装置を提供する。
【0006】
好ましい実施形態では、前記第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットは第1マスタースイッチトランジスタと第2マスタースイッチトランジスタを含み、前記第1マスタースイッチトランジスタと前記第2マスタースイッチトランジスタは直列接続されており、
前記第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットは第3マスタースイッチトランジスタと第4マスタースイッチトランジスタを含み、前記第3マスタースイッチトランジスタと前記第4マスタースイッチトランジスタは直列接続されており、
前記コンデンサエネルギー貯蔵モジュールは第1バスコンデンサを含み、前記第1バスコンデンサの第1端子は前記第1マスタースイッチトランジスタ及び前記第3マスタースイッチトランジスタに電気的に接続され、前記第1バスコンデンサの第2端子は前記第2マスタースイッチトランジスタ及び前記第4マスタースイッチトランジスタに電気的に接続され、
前記第1変換出力回路は第1出力端子と第2出力端子を含み、前記第1出力端子は前記第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットの中性点に形成され、前記第2出力端子は前記第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニットの中性点に形成され、
前記第1マスタースイッチトランジスタ、第2マスタースイッチトランジスタ、第3マスタースイッチトランジスタ及び第4マスタースイッチトランジスタは駆動信号に応じて導通状態を切り替えて、前記第1エネルギー貯蔵モジュール及び前記第1バスコンデンサのエネルギーを、前記第1出力端子及び前記第2出力端子を介して交番信号を後段負荷に出力する。
【0007】
好ましい実施形態では、前記第1補助トランジスタブリッジアームユニットは第1補助トランジスタと第2補助トランジスタを含み、前記第1補助トランジスタと前記第2補助トランジスタは直列接続されており、
前記第2補助トランジスタブリッジアームユニットは第3補助トランジスタと第4補助トランジスタを含み、前記第3補助トランジスタと前記第4補助トランジスタは直列接続されており、
前記コンデンサエネルギー貯蔵モジュールは第2バスコンデンサを含み、前記第2バスコンデンサは前記第1バスコンデンサに直列接続されており、前記第2バスコンデンサの第1端子は前記第1バスコンデンサの第2端子に電気的に接続され、
前記第2バスコンデンサの第1端子はさらに、前記第2補助トランジスタ及び前記第4補助トランジスタに電気的に接続され、前記第2バスコンデンサの第2端子は前記第1補助トランジスタ及び前記第3補助トランジスタに電気的に接続され、
前記第2変換出力回路は第3出力端子と第4出力端子を含み、前記第3出力端子は前記第1補助トランジスタブリッジアームユニットの中性点に形成され、前記第4出力端子は前記第2補助トランジスタブリッジアームユニットの中性点に形成され、
前記第1補助トランジスタ、第2補助トランジスタ、第3補助トランジスタ及び第4補助トランジスタは、駆動信号に応じて導通状態を切り替えて、前記第1エネルギー貯蔵モジュール及び前記第2バスコンデンサのエネルギーを、前記第3出力端子及び前記第4出力端子を介して交番信号を後段負荷に出力する。
【0008】
好ましい実施形態では、前記デュアル出力エネルギー変換装置は第1フィルタリングモジュールと第2フィルタリングモジュールをさらに含み、
前記第1フィルタリングモジュールは前記第1変換出力回路の出力端子に電気的に接続され、前記第1変換出力回路によって出力された交番信号を標準正弦波信号に変換し、
前記第2フィルタリングモジュールは前記第2変換出力回路の出力端子に電気的に接続され、前記第2変換出力回路によって出力された交番信号を標準正弦波信号に変換する。
【0009】
好ましい実施形態では、前記デュアル出力エネルギー変換装置は第1逆流防止モジュールを含み、
前記第1逆流防止モジュールは前記第1エネルギー貯蔵モジュールと前記第1変換出力回路との間に設けられ、第1変換出力回路のエネルギーの逆流を防止する。
【0010】
好ましい実施形態では、前記デュアル出力エネルギー変換装置は第2逆流防止モジュールを含み、
前記第2逆流防止モジュールは前記第2変換出力回路と電源負極との間に設けられ、第2変換出力回路のエネルギーの逆流を防止する。
【0011】
好ましい実施形態では、前記第1エネルギー貯蔵モジュールは電源正極と第1変換出力回路との間に設けられ、
前記第1エネルギー貯蔵モジュールは少なくとも1つのダイオードを含み、前記第1エネルギー貯蔵モジュールはインダクタ及びコンデンサのうちの少なくとも1種をさらに含む。
【0012】
好ましい実施形態では、前記第1複合直列ブリッジアームモジュール、前記第2複合直列ブリッジアームモジュールのスイッチトランジスタはすべてIII族窒化物トランジスタである。
【0013】
第2態様では、本発明の実施例は、前述実施形態のいずれかに記載のデュアル出力エネルギー変換装置に適用され、
第1変調波信号を第1搬送波入力信号及び第2搬送波入力信号とそれぞれ比較して、第1正弦パルス幅信号及び第2正弦パルス幅信号を生成するステップと、
第2変調波信号を第1搬送波入力信号及び第2搬送波入力信号のそれぞれと比較して、第2固定パルス幅信号及び第2固定パルス幅信号を生成するステップと、
前記第1変調波入力信号及び第2変調波入力信号をそれぞれ駆動基準グラウンド信号と比較して、第1ゼロクロス検出信号及び第2ゼロクロス検出信号を生成するステップと、
前記第1正弦パルス幅信号、第1固定パルス幅信号及び第1ゼロクロス検出信号に基づいて、第1複合論理モジュールによって第1変換出力回路の駆動信号Vgs1~Vgs4を生成するステップと、
前記第2正弦パルス幅信号、第2固定パルス幅信号及び第2ゼロクロス検出信号に基づいて、第2複合論理モジュールによって第2変換出力回路の駆動信号Vgsub1~Vgsub4を生成するステップと、
前記第1変換出力回路の駆動信号Vgs1~Vgs4に応じて、前記第1変換出力回路を駆動するステップと、
前記第2変換出力回路の駆動信号Vgsub1~Vgsub4に応じて、前記第2変換出力回路を駆動するステップと、を含み、
前記第1搬送波入力信号と前記第2搬送波入力信号との位相差が180°である変調方法を提供する。
第3態様では、本発明の実施例は、前述実施形態のいずれかに記載のデュアル出力エネルギー変換装置を含む給電設備を提供する。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比べて、本発明によるデュアル出力エネルギー変換装置、変調方法及び給電設備において、第1エネルギー貯蔵モジュールを用いることにより変換装置のバス電圧向上能力を大幅に向上させ、変換装置を広範な入力電圧範囲内で使用可能にし、第1変換出力回路及び第2変換出力回路が設けられ、すべてのスイッチトランジスタの電圧ストレスを直流バス電圧の半分に低下させることにより、高周波応用の場合の変換装置のシステムEMIを大幅に低下させ、装置の電力変換効率を高める。前段と後段の中性点電圧クランプ及びその他の制御を同時に実現しなければならず、制御構造が複雑である従来の多段式構造と比べて、本発明によるデュアル出力エネルギー変換装置は、1段の電力変換の制御を実現するだけでよく、制御構造が簡素化する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例に必要な図面を簡単に説明するが、以下の図面は本発明のいくつかの実施例だけを示し、範囲を限定するものとしてみなすべきではなく、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の関連する図面を得ることもできることを理解すべきである。
図1】本実施例によるデュアル出力エネルギー変換装置の構造概略図を示す。
図2A】本実施例による変調主要波形図(D>0.5)を示す。
図2B】本実施例による変調主要波形図(D≦0.5)を示す。
図3A-3H】本実施例によるデュアル出力エネルギー変換装置の昇圧逆変換((D>0.5)作動モード図を示す。
図4A-4E】本実施例によるデュアル出力エネルギー変換装置の降圧逆変換((D≦0.5)作動モード図を示す。
図5A-5C】本実施によるスイッチトランジスタの概略図を示す。
図6】本実施例によるIII族窒化物ダイオードの概略断面図を示す。
図7A-7B】本実施例によるIII族窒化物整流デバイスの電気的接続の概略図を示す。
図8A-8B】本実施例によるIII族窒化物整流デバイスの平面断面図を示す。
図9A-9C】本実施例による第1エネルギー貯蔵モジュールの概略図を示す。
図10A-10C】本実施例によるデュアル出力エネルギー変換装置の実験結果の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。通常、ここでの図面に説明されたり示されたりする本発明の実施例の部材はさまざまな構成で配置、設計され得る。
【0017】
太陽光発電、風力発電などの新エネルギー発電の場合、インバータは電気エネルギー変換を効果的に実現する重要な装置である。新エネルギー発電の場合の逆変換装置は主に(1)電源の広範な出力電圧範囲と(2)マルチポート出力との2つの特徴を備えている。この応用の特徴に対応するために、逆変換装置は通常、昇降圧電気エネルギーの変化能力とマルチポート出力、柔軟な容量拡張能力を備える必要がある。前者は二段式や多段式の昇降圧電力変換装置を採用するのが一般的であり、一方、後者は通常、複数の電力変換装置を並列接続したり、分離型回路により単入力、多出力を実現したりする。
【0018】
上記のどちらの解決手段も、多くの回路部材と複雑な制御を必要とし、回路の電圧ストレスが非常に大きくなる。特に新世代半導体デバイスの適用に伴い、スイッチングデバイスの作動頻度が大幅に高くなり、電圧ストレスが大きすぎると、電力管のスイッチング動作過程で大きなdv/dtが発生し、電源装置のEMIを悪化させ、さらに装置の電気エネルギー変換効率を低下させ、III族窒化物などのワイドバンドギャップ半導体デバイスの応用を深刻に制限している。
【0019】
従来技術に存在する上記の欠点を解決するために、本発明は、デュアル出力エネルギー変換装置を提供し、図1に示すように、図1は本実施例によるデュアル出力エネルギー変換装置の構造概略図を示す。
【0020】
デュアル出力エネルギー変換装置は、電源入力端子と、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitと、第1複合直列ブリッジアームモジュール110と、第2エネルギー貯蔵モジュールと、第2複合直列ブリッジアームモジュール130と、を含む。
【0021】
第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unit、第1複合直列ブリッジアームモジュール110、コンデンサエネルギー貯蔵モジュール120、第2複合直列ブリッジアームモジュール130は順に接続されている。
【0022】
第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは電源入力端子に電気的に接続され、電源(本実施例では、電源は直流電源Uin)に接続されて、エネルギーを貯蔵してバス電圧を向上させるものであり、第1複合直列ブリッジアームモジュール110は、直列接続された第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット111と第1補助トランジスタブリッジアームユニット112を含み、第2複合直列ブリッジアームモジュール130は直列接続された第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット131と第2補助トランジスタブリッジアームユニット132を含み、第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット111と第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット131は第1変換出力回路(図示せず)を形成し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unit及び/又はコンデンサエネルギー貯蔵モジュール120のエネルギーについて、交番信号を後段負荷に出力し、第1補助トランジスタブリッジアームユニット112と第2補助トランジスタブリッジアームユニット132は第2変換出力回路(図示せず)を形成し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unit及び/又はコンデンサエネルギー貯蔵モジュール120のエネルギーについて、交番信号を後段負荷に出力する。
【0023】
本実施例による技術案では、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitを用いることにより変換装置のバス電圧向上能力を大幅に向上させ、変換装置を広範な入力電圧範囲で使用可能にし、補助トランジスタ及びマスタースイッチトランジスタが設けられることにより、2つの変換出力回路を形成し、マスタースイッチトランジスタによって第1変換出力回路のエネルギー変換、補助トランジスタによって第2変換出力回路のエネルギー変換を担当し、これによってデュアル出力回路を形成し、また、補助トランジスタを利用してマスタースイッチトランジスタの電圧ストレスを分散させ、システムの電圧ストレスを低下させ、1段の電力変換の制御を実現するだけでよく、制御構造が簡素化する。
【0024】
可能な実施形態では、また、図1に示すように、第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット111は第1マスタースイッチトランジスタS1と第2マスタースイッチトランジスタS2を含み、第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット131は第3マスタースイッチトランジスタS3と第4マスタースイッチトランジスタS4を含み、第1マスタースイッチトランジスタS1と第2マスタースイッチトランジスタS2は直列接続されており、第3マスタースイッチトランジスタS3と第4マスタースイッチトランジスタS4は直列接続されている。
【0025】
可能な実施形態では、コンデンサエネルギー貯蔵モジュール120は第1バスコンデンサCbus1を含み、第1バスコンデンサCbus1の第1端子(本実施例では、第1端子は正極)は第1マスタースイッチトランジスタS1及び第3マスタースイッチトランジスタS3に電気的に接続され、第1バスコンデンサCbus1の第2端子(本実施例では、第2端子は負極)は第2マスタースイッチトランジスタS2及び第4マスタースイッチトランジスタS4に電気的に接続される。
【0026】
第1変換出力回路は第1出力端子Bと第2出力端子Aを含み、第1出力端子Bは第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット111の中性点、すなわち、第1マスタースイッチトランジスタS1と第2マスタースイッチトランジスタS2との接続点に形成され、第2出力端子Aは第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット131の中性点、すなわち、第3マスタースイッチトランジスタS3と第4マスタースイッチトランジスタS4との接続点に形成され、第1マスタースイッチトランジスタS1、第2マスタースイッチトランジスタS2、第3マスタースイッチトランジスタS3及び第4マスタースイッチトランジスタS4は、駆動信号に応じて導通状態を切り替えて、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unit及び第1バスコンデンサCbus1のエネルギーを変換して、第1出力端子B及び第2出力端子Aを介して交番信号を後段負荷に出力するものである。
【0027】
可能な実施形態では、また、図1に示すように、第1補助トランジスタブリッジアームユニット112は第1補助トランジスタSsub1と第2補助トランジスタSsub2を含み、第2補助トランジスタブリッジアームユニット132は第3補助トランジスタSsub3と第4補助トランジスタSsub4を含み、第1補助トランジスタSsub1と第2補助トランジスタSsub2は直列接続されており、第3補助トランジスタSsub3と第4補助トランジスタSsub4は直列接続されている。
【0028】
コンデンサエネルギー貯蔵モジュール120は第2バスコンデンサCbus2を含み、第2バスコンデンサCbus2は第1バスコンデンサCbus1に直列接続され、第2バスコンデンサCbus2の第1端子(本実施例では、第1端子は正極)は第1バスコンデンサCbus1の第2端子に電気的に接続され、第2バスコンデンサCbus2の第1端子はさらに、第2補助トランジスタSsub2及び第4補助トランジスタSsub4に電気的に接続され、第2バスコンデンサCbus2の第2端子(本実施例では、第2端子は負極)は第1補助トランジスタSsub1及び第3補助トランジスタSsub3に電気的に接続される。
【0029】
第2変換出力回路は第3出力端子Cと第4出力端子Dを含み、第3出力端子Cは第1補助トランジスタブリッジアームユニット112の中性点、すなわち、第2補助トランジスタSsub2と第1補助トランジスタSsub1との接続点に形成され、第4出力端子Dは第2補助トランジスタブリッジアームユニット132の中性点、すなわち、第4補助トランジスタSsub4と第3補助トランジスタSsub3との接続点に形成される。
【0030】
第1補助トランジスタSsub1、第2補助トランジスタSsub2、第3補助トランジスタSsub3及び第4補助トランジスタSsub4は、駆動信号に応じて導通状態を切り替えて、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unit及び第2バスコンデンサのエネルギーを変換して、第3出力端子C及び第4出力端子Dを介して交番信号を後段負荷に出力するものである。
【0031】
本実施例では、第1複合直列ブリッジアームモジュール110を例にして、第1複合直列ブリッジアームモジュール110は第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット111と第1補助トランジスタブリッジアームユニット112を含み、第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット111と第1補助トランジスタブリッジアームユニット112は直列接続されており、第1補助トランジスタブリッジアームユニット112は第1補助トランジスタSsub1と第2補助トランジスタSsub2を含み、第2補助トランジスタSsub2は第2マスタースイッチトランジスタS2に接続され、同様に、第4補助トランジスタSsub4は第4マスタースイッチトランジスタS4に接続される。
【0032】
デュアル出力エネルギー変換装置は第1逆流防止モジュールD1と第2逆流防止モジュールD2を含み、第1逆流防止モジュールD1は第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitと第1変換出力回路との間に設けられ、第1変換出力回路のエネルギーの逆流を防止する。
【0033】
可能な実施形態では、第1逆流防止モジュールD1は第1逆流防止ダイオードD1Aと第2逆流防止ダイオードD1Bを含み、第1逆流防止ダイオードD1Aと第2逆流防止ダイオードD1Bの正極はいずれも第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitの第2端子に電気的に接続され、第1逆流防止ダイオードD1Aの負極は第1出力端子Bに電気的に接続され、第2逆流防止ダイオードD1Bの負極は第2出力端子Aに電気的に接続される。
【0034】
第2逆流防止モジュールD2は第2変換出力回路と電源負極との間に設けられ、第2変換出力回路のエネルギーの逆流を防止する。
【0035】
可能な実施形態では、第2逆流防止モジュールD2は第3逆流防止ダイオードD2Aと第4逆流防止ダイオードD2Bを含み、第3逆流防止ダイオードD2ADと第4逆流防止ダイオードD2Bの負極はすべて電源負極に電気的に接続され、第3逆流防止ダイオードD2Aの正極は第3出力端子Cに電気的に接続され、第4逆流防止ダイオードD2Bの正極は第4出力端子Dに電気的に接続される。
【0036】
可能な実施形態では、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは、第2マスタースイッチトランジスタS2と第2補助トランジスタSsub2が同時に導通する、又は第4マスタースイッチトランジスタS4と第4補助トランジスタSsub4が同時に導通する場合に電気エネルギーを貯蔵し、それ以外の場合に、第1変換出力回路、第2変換出力回路、第1バスコンデンサCbus1及び第2バスコンデンサCbus2に電気エネルギーを供給する。
【0037】
当第2マスタースイッチトランジスタS2と第2補助トランジスタSsub2が同時に導通する場合、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは電源入力端子の両端に直接接続されることに相当し、第4マスタースイッチトランジスタS4と第4補助トランジスタSsub4が同時に導通する場合、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは電源入力端子の両端に直接接続されることに相当し、このような場合、電源は第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitに充電し、それ以外の場合、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは放電状態であり、貯蔵したエネルギーを負荷又は第1バスコンデンサCbus1及び第2バスコンデンサCbus2に移すことができる。
【0038】
可能な実施形態では、第1変換出力回路の各スイッチトランジスタとして第1マスタースイッチトランジスタS1、第2マスタースイッチトランジスタS2、第3マスタースイッチトランジスタS3及び第4マスタースイッチトランジスタS4は駆動信号により導通又は遮断制御されて、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitのエネルギー及び/又は第1バスコンデンサCbus1のエネルギーに応じて、第1出力端子及び第2出力端子を介して交番パルス信号を出力するものである。
【0039】
第2変換出力回路の各スイッチトランジスタとして第1補助トランジスタSsub1、第2補助トランジスタSsub2、第3補助トランジスタSsub3及び第4補助トランジスタSsub4は駆動信号によって導通又は遮断制御されて、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitのエネルギー及び/又は第2バスコンデンサCbus2のエネルギーに応じて、第3出力端子及び第4出力端子を介して交番パルス信号を出力するものである。
【0040】
可能な実施形態では、デュアル出力エネルギー変換装置は第1フィルタリングモジュールFilto1と第2フィルタリングモジュールFilto2をさらに含む。
【0041】
第1フィルタリングモジュールFilto1は第1変換出力回路に電気的に接続されて、第1変換出力回路によって出力されたパルス信号を正弦パルス信号に変換する。第1フィルタリングモジュールFilto1は第1入力端子と第2入力端子を含み、第1フィルタリングモジュールFilto1の第1入力端子は第1変換出力回路の第1出力端子Bに電気的に接続され、第1フィルタリングモジュールFilto1の第2入力端子は第1変換出力回路の第2出力端子Aに電気的に接続される。
【0042】
第2フィルタリングモジュールFilto2は第2変換出力回路に電気的に接続されて、第2変換出力回路によって出力されたパルス信号を正弦パルス信号に変換するものである。第2フィルタリングモジュールFilto2は第1入力端子と第2入力端子を含み、第2フィルタリングモジュールFilto2の第1入力端子は第2変換出力回路の第3出力端子Cに電気的に接続され、第2フィルタリングモジュールFilto2の第2入力端子は第2変換出力回路の第4出力端子Dに電気的に接続される。
【0043】
可能な実施形態では、該第1フィルタリングモジュールFilto1及び第2フィルタリングモジュールFilto2はL型フィルタリングモジュール、L-C型フィルタリングモジュール又はL-C-L型フィルタリングモジュールのうちの1種であってもよい。
【0044】
第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは少なくとも2種の複数の素子か構成される昇圧モジュールを含み、例えば第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは少なくとも1つのダイオードに加えて、インダクタ及びコンデンサのうちの少なくとも1種を含む。
【0045】
可能な実施形態では、図9Aに示すように、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは複数のコンデンサ、ダイオードから構成されるものであってもよく、いくつかの他の可能な実施形態では、図9B図9Cに示すように、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは複数のインダクタ、コンデンサ及びダイオードから構成されるものであってもよい。
【0046】
可能な実施形態では、該デュアル出力エネルギー変換装置は入力コンデンサをさらに含み、入力コンデンサの第1端子は電源の正極に電気的に接続され、入力コンデンサの第2端子は電源の負極に電気的に接続される。入力コンデンサは電源の出力端子によって出力されたスパイク電圧を吸收して、電源出力端子によって出力された直流信号の波形をより平滑にするためである。
【0047】
以下、図面を参照して、本実施例によるデュアル出力エネルギー変換装置の変調方法の作動原理について例示的に説明する。
【0048】
該変調方法は以下のステップを含む。
ステップ110:第1変調波信号を第1搬送波入力信号及び第2搬送波入力信号とそれぞれ比較して、第1正弦パルス幅信号及び第2正弦パルス幅信号を生成する。
ステップ120:第2変調波信号を第1搬送波入力信号及び第2搬送波入力信号のそれぞれと比較して、第2固定パルス幅信号及び第2固定パルス幅信号を生成する。
ステップ130:前記第1変調波入力信号及び第2変調波入力信号をそれぞれ駆動基準グラウンド信号と比較して、第1ゼロクロス検出信号及び第2ゼロクロス検出信号を生成する。
ステップ140:前記第1正弦パルス幅信号、第1固定パルス幅信号及び第1ゼロクロス検出信号に基づいて、第1複合論理モジュールによって第1変換出力回路の駆動信号Vgs1~Vgs4を生成する。
ステップ150:前記第2正弦パルス幅信号、第2固定パルス幅信号及び第2ゼロクロス検出信号に基づいて、第2複合論理モジュールによって第2変換出力回路の駆動信号Vgsub1~Vgsub4を生成する。
ステップ160:前記第1変換出力回路の駆動信号Vgs1~Vgs4に応じて、前記第1変換出力回路を駆動する。
ステップ170:前記第2変換出力回路の駆動信号Vgsub1~Vgsub4に応じて、前記第2変換出力回路を駆動する。
【0049】
前記第1搬送波入力信号と前記第2搬送波入力信号との位相差が180°である。
【0050】
具体的には、デュアル出力エネルギー変換装置の変調信号は第1搬送波入力信号Vtri1、第2搬送波入力信号Vtri2、第1変調波入力信号Vsine、第2変調波入力信号Vdc、第1~第5比較モジュールComp1~Comp5、第1複合論理モジュールLog1、第2複合論理モジュールLog2、第1~第4マスタースイッチトランジスタのトランジスタ出力駆動信号Vgs1~Vgs4、第1~第43レベル補助トランジスタ駆動信号Vgsub1~Vgsub4を含む。
【0051】
第1搬送波入力信号Vtri1と第2搬送波入力信号Vtri2との位相差が180°であり、第1搬送波入力信号Vtri1と第2搬送波入力信号Vtri2はいずれもノコギリ波信号であり、第1変調波入力信号Vsineは正弦波信号であり、第2変調波入力信号Vdcは直流信号である。
【0052】
第1変調波入力信号Vsineと第1搬送波入力信号Vtri1からは第1比較モジュールComp1によって第1正弦パルス幅信号Vspwm1を生成し、第2変調波入力信号Vdcと第1搬送波入力信号Vtri1からは第2比較モジュールComp1によって第1固定パルス幅信号Vpwm1を生成し、第1変調波入力信号Vsineと駆動基準グラウンド信号AGNDからは第5比較モジュールComp5によってゼロクロス検出信号Vzeroを生成し、第1正弦パルス幅信号Vspwm1、第1固定パルス幅信号Vpwm1及びゼロクロス検出信号Vzeroからは第1複合論理モジュールLog1によって第1~第4マスタースイッチトランジスタのトランジスタ出力駆動信号Vgs1~Vgs4を生成する。
【0053】
同様に、第1変調波入力信号Vsine、第2搬送波入力信号Vtri2、第2変調波入力信号Vdcからは第3比較モジュールComp3、第4比較モジュールComp4、第5比較モジュールComp5によって第1正弦パルス幅信号Vspwm2を生成し、第1固定パルス幅信号Vpwm2及びゼロクロス検出信号Vzeroからは、第2複合論理モジュールLog2によって第1~第43レベル補助トランジスタ駆動信号Vgsub1~Vgsub4を生成することができる。
【0054】
デュアル出力エネルギー変換装置の昇降圧能力は第1固定パルス幅信号Vpwm1(又は第2固定パルス幅信号Vpwm2)のデューティサイクルDの値に依存し、D>0.5とD≦0.5の2つの場合があり、変調主要波形図(正弦正半周)は図2A-2Bに示され、正負半周変調が対称であることから、本実施例では、正半周変調主要波形図のみが示される。
【0055】
図3A-3Hに示すように、図2Aに示す変調信号を参照した、デュアル出力エネルギー変換装置の8つの昇圧モードでの各作動状態がそれぞれ示されている。
【0056】
モード1:図3Aに示すように、この段階では、第2マスタースイッチトランジスタS2と第3マスタースイッチトランジスタS3は第2補助トランジスタSsub2と第4補助トランジスタSsub4に導通し、一方では、電源は第2マスタースイッチトランジスタS2と第2補助トランジスタSsub2によって第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitに充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitはエネルギーを貯蔵し、他方では、第1バスコンデンサCbus1は第2マスタースイッチトランジスタS2と第3マスタースイッチトランジスタS3によって、第1フィルタリングモジュールFilto1を介して第1出力負荷Rl1にエネルギーを供給する。
【0057】
このとき、A点とB点との間の電位差はVAB=-Vcbus1であり、第2変換出力回路は第2補助トランジスタSsub2と第4補助トランジスタSsub4を介してフリーウィーリングタスクを実行し、C点とD点との間の電位差はVCD=0である。第1マスタースイッチトランジスタS1の電圧はVcbus1に等しく、第1補助トランジスタSsub1の電圧はVcbus2に等しく、第4マスタースイッチトランジスタS4の電圧はVcbus1に等しく、第3補助トランジスタSsub3の電圧はVcbus2に等しい。
【0058】
モード2:図3Bに示すように、この段階では、第2マスタースイッチトランジスタS2と第4マスタースイッチトランジスタS4は第2補助トランジスタSsub2と第4補助トランジスタSsub4に導通する。一方では、電源は第2マスタースイッチトランジスタS2と第2補助トランジスタSsub2によって第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitに充電し、また、第4マスタースイッチトランジスタS4と第4補助トランジスタSsub4によって第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitに充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは充電されてエネルギーを貯蔵し、他方では、第1変換出力回路は第2マスタースイッチトランジスタS2と第4マスタースイッチトランジスタS4によってフリーウィーリングタスクを実行し、A点とB点との間の電位差はVAB=0であり、第2変換出力回路は第2補助トランジスタSsub2と第4補助トランジスタSsub4によってフリーウィーリングタスクを実行し、C点とD点との間の電位差はVCD=0である。このモードでは、第1マスタースイッチトランジスタS1の電圧はVcbus1に等しく、第1補助トランジスタSsub1の電圧はVcbus2に等しく、第3マスタースイッチトランジスタS3の電圧はVcbus1に等しく、第3補助トランジスタSsub3の電圧はVcbus2に等しい。
【0059】
モード3:図3Cに示すように、この段階では、第2マスタースイッチトランジスタS2と第4マスタースイッチトランジスタS4は第1補助トランジスタSsub1と第3補助トランジスタSsub3に導通する。一方では、電源は第2マスタースイッチトランジスタS2と第1補助トランジスタSsub1によって第2バスコンデンサCbus2に充電し、また、第4マスタースイッチトランジスタS4と第3補助トランジスタSsub3によって第2バスコンデンサCbus2に充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは放電してエネルギーを放出し、他方では、第1変換出力回路は第2マスタースイッチトランジスタS2と第4マスタースイッチトランジスタS4によってフリーウィーリングタスクを実行し、このモードでは、A点とB点との間の電位差はVAB=0であり、第2変換出力回路は第1補助トランジスタSsub1と第3補助トランジスタSsub3によってフリーウィーリングタスクを実行し、C点とD点との間の電位差はVCD=0である。このモードでは、第1マスタースイッチトランジスタS1の電圧はVcbus1に等しく、第2補助トランジスタSsub2の電圧はVcbus2に等しく、第3マスタースイッチトランジスタS3の電圧はVcbus1に等しく、第4補助トランジスタSsub4の電圧はVcbus2に等しい。
【0060】
モード4:図3Dに示すように、この段階では、第2マスタースイッチトランジスタS2と第4マスタースイッチトランジスタS4は第2補助トランジスタSsub2とSsub3に導通し、一方では、電源は第2マスタースイッチトランジスタS2と第2補助トランジスタSsub2によって第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitに充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは充電されてエネルギーを貯蔵し、他方では、第1変換出力回路は第2マスタースイッチトランジスタS2と第4マスタースイッチトランジスタS4によってフリーウィーリングタスクを実行し、A点とB点との間の電位差はVAB=0であり、第2バスコンデンサCbus2は第2補助トランジスタSsub2と第3補助トランジスタSsub3によって第2出力負荷Rl2にエネルギーを供給し、C点とD点との間の電位差はVCD=Vcbus2である。この段階では、第1マスタースイッチトランジスタS1の電圧はVcbus1に等しく、第1補助トランジスタSsub1の電圧はVcbus2に等しく、第3マスタースイッチトランジスタS3の電圧はVcbus1に等しく、第4補助トランジスタSsub4の電圧はVcbus2に等しい。
【0061】
モード5:図3Eに示すように、この段階では、第1マスタースイッチトランジスタS1と第3マスタースイッチトランジスタS3は第2補助トランジスタSsub2と第4補助トランジスタSsub4に導通し、一方では、電源は第1マスタースイッチトランジスタS1と第2補助トランジスタSsub2によって第1バスコンデンサCbus1に充電し、また、第3マスタースイッチトランジスタS3と第4補助トランジスタSsub4によって第1バスコンデンサCbus1に充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは放電してエネルギーを放出し、他方では、第1変換出力回路は第1マスタースイッチトランジスタS1と第3マスタースイッチトランジスタS3によってフリーウィーリングタスクを実行し、A点とB点との間の電位差はVAB=0であり、第2変換出力回路は第2補助トランジスタSsub2と第4補助トランジスタSsub4によってフリーウィーリングタスクを実行し、C点とD点との間の電位差はVCD=0である。第2マスタースイッチトランジスタS2の電圧はVcbus1に等しく、第1補助トランジスタSsub1の電圧はVcbus2に等しく、第4マスタースイッチトランジスタS4の電圧はVcbus1に等しく、第3補助トランジスタSsub3の電圧はVcbus2に等しい。
【0062】
モード6:図3Fに示すように、この段階では、第2マスタースイッチトランジスタS2と第3マスタースイッチトランジスタS3は第1補助トランジスタSsub1と第3補助トランジスタSsub3に導通し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitはエネルギーを放出して、第2マスタースイッチトランジスタS2と第1補助トランジスタSsub1によって第2バスコンデンサCbus2に充電し、また、第2マスタースイッチトランジスタS2と第3補助トランジスタSsub3によって第2バスコンデンサCbus2に充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは放電してエネルギーを放出し、他方では、第1バスコンデンサCbus1は第2マスタースイッチトランジスタS2と第3S3によって第1出力負荷Rl1にエネルギーを供給し、A点とB点との間の電位差はVAB=-Vcbus1であり、第2変換出力回路は第1補助トランジスタSsub1と第3補助トランジスタSsub3によってフリーウィーリングタスクを実行し、C点とD点との間の電位差はVCD=0である。第1マスタースイッチトランジスタS1の電圧はVcbus1に等しく、第2補助トランジスタSsub2の電圧はVcbus2に等しく、第4マスタースイッチトランジスタS4の電圧はVcbus1に等しく、第4補助トランジスタSsub4の電圧はVcbus2に等しい。
【0063】
モード7:図3Gに示すように、この段階では、第1マスタースイッチトランジスタS1と第3マスタースイッチトランジスタS3は第2補助トランジスタSsub2と第3補助トランジスタSsub3に導通し、一方では、電源は第1マスタースイッチトランジスタS1と第2補助トランジスタSsub2によって第1バスコンデンサCbus1に充電し、また、第3マスタースイッチトランジスタS3と第2補助トランジスタSsub2によって第1バスコンデンサCbus1に充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは放電してエネルギーを放出し、他方では、第1変換出力回路は第1マスタースイッチトランジスタS1と第3マスタースイッチトランジスタS3によってフリーウィーリングタスクを実行し、A点とB点との間の電位差はVAB=0であり、第2バスコンデンサCbus2は第2補助トランジスタSsub2と第3補助トランジスタSsub3によって第2出力負荷Rl2にエネルギーを供給し、C点とD点との間の電位差はVCD=Vcbus2である。第2マスタースイッチトランジスタS2の電圧はVcbus1に等しく、第1補助トランジスタSsub1の電圧はVcbus2に等しく、第4マスタースイッチトランジスタS4の電圧はVcbus1に等しく、第4補助トランジスタSsub4の電圧はVcbus2に等しい。
【0064】
モード8:図3Hに示すように、この段階では、第2マスタースイッチトランジスタS2と第3マスタースイッチトランジスタS3は第2補助トランジスタSsub2と第3補助トランジスタSsub3に導通し、一方では、電源は第マスター2スイッチトランジスタS2と第2補助トランジスタSsub2によって第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitに充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは充電されてエネルギーを貯蔵し、他方では、第1バスコンデンサCbus1は第2マスタースイッチトランジスタS2と第3マスタースイッチトランジスタS3によって第1出力負荷Rl1にエネルギーを供給し、A点とB点との間の電位差はVAB=-Vcbus1であり、第2バスコンデンサCbus2は第2補助トランジスタSsub2と第3補助トランジスタSsub3によって第2出力負荷Rl2にエネルギーを供給し、C点とD点との間の電位差はVCD=Vcbus2である。この段階では、第1マスタースイッチトランジスタS1の電圧はVcbus1に等しく、第1補助トランジスタSsub1の電圧はVcbus2に等しく、第4マスタースイッチトランジスタS4の電圧はVcbus1に等しく、第4補助トランジスタSsub4の電圧はVcbus2に等しい。
【0065】
上記の8つの異なる段階の作動状態のうち少なくとも6つの状態では、正弦正半周において、A点とB点との間の電位差VABが常に-Vcbus1又は0であり、C点とD点との間の電位差VCDが常にVcbus2又は0であることによって、信号は出力側の第1フィルタリングモジュールFilto1と第2フィルタリングモジュールFilto2のそれぞれによってフィルタリングされて正弦交流信号に変換され、後段負荷に出力される。バス電圧Vbus=Vcbus1+Vcbus2=1/(1-D)*Vinであり、式においては、Dは第1固定パルス幅信号Vpwm1又は第2固定パルス幅信号Vpwm2のデューティサイクルであって、Vcbus1=Vcbus2であるため、D>0.5の場合、Vcbus1=Vcbus2>Vinであり、すなわち、第1変換出力回路と第2変換出力回路との2つによって出力された正弦パルス電圧はすべて電源の電圧Vinよりも高く、これは昇圧逆変換である。
【0066】
以下、図2Bを参照して、双方向エネルギー変換装置が降圧モードである場合のいくつかの可能なモードについて説明する。
【0067】
モード1:図4Aに示すように、この段階では、第2マスタースイッチトランジスタS2と第3マスタースイッチトランジスタS3は第1補助トランジスタSsub1と第3補助トランジスタSsub3に導通し、一方では、第2マスタースイッチトランジスタS2と第1補助トランジスタSsub1は第2バスコンデンサCbus2に充電し、また、第2マスタースイッチトランジスタS2と第3補助トランジスタSsub3は第2バスコンデンサCbus2に充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは放電してエネルギーを放出し、他方では、第1バスコンデンサCbus1は第2マスタースイッチトランジスタS2と第3マスタースイッチトランジスタS3によって第1出力負荷Rl1にエネルギーを供給し、A点とB点との間の電位差はVAB=-Vcbus1であり、第2変換出力回路は第1補助トランジスタSsub1と第3補助トランジスタSsub3によってフリーウィーリングタスクを実行し、C点とD点との間の電位差はVCD=0である。第1マスタースイッチトランジスタS1の電圧はVcbus1に等しく、第2補助トランジスタSsub2の電圧はVcbus2に等しく、第4マスタースイッチトランジスタS4の電圧はVcbus1に等しく、第4補助トランジスタSsub4の電圧はVcbus2に等しい。
【0068】
モード2:図4Bに示すように、この段階では、第2マスタースイッチトランジスタS2と第4マスタースイッチトランジスタS4は第1補助トランジスタSsub1と第3補助トランジスタSsub3に導通する。一方では、電源は第2マスタースイッチトランジスタS2と第1補助トランジスタSsub1によって第2バスコンデンサCbus2に充電し、また、第4マスタースイッチトランジスタS4と第3補助トランジスタSsub3によって第2バスコンデンサCbus2に充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは放電してエネルギーを放出し、他方では、第1変換出力回路は第2マスタースイッチトランジスタS2と第4マスタースイッチトランジスタS4によってフリーウィーリングタスクを実行し、このモードでは、A点とB点との間の電位差はVAB=0であり、第2変換出力回路は第1補助トランジスタSsub1と第3補助トランジスタSsub3によってフリーウィーリングタスクを実行し、C点とD点との間の電位差はVCD=0である。このモードでは、第1マスタースイッチトランジスタS1の電圧はVcbus1に等しく、第2補助トランジスタSsub2の電圧はVcbus2に等しく、第3マスタースイッチトランジスタS3の電圧はVcbus1に等しく、第4補助トランジスタSsub4の電圧はVcbus2に等しい。
【0069】
モード3:図4Cに示すように、この段階では、第1マスタースイッチトランジスタS1と第3マスタースイッチトランジスタS3は第2補助トランジスタSsub2と第3補助トランジスタSsub3に導通し、一方では、電源は第1マスタースイッチトランジスタS1と第2補助トランジスタSsub2によって第1バスコンデンサCbus1に充電し、また、第3マスタースイッチトランジスタS3と第2補助トランジスタSsub2によって第1バスコンデンサCbus1に充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは放電してエネルギーを放出し、他方では、第1変換出力回路は通第1マスタースイッチトランジスタS1と第3マスタースイッチトランジスタS3によってフリーウィーリングタスクを実行し、A点とB点との間の電位差はVAB=0であり、第2バスコンデンサCbus2は第2補助トランジスタSsub2と第3補助トランジスタSsub3によって第2出力負荷Rl2にエネルギーを供給し、C点とD点との間の電位差はVCD=Vcbus2である。第2マスタースイッチトランジスタS2の電圧はVcbus1に等しく、第1補助トランジスタSsub1の電圧はVcbus2に等しく、第4マスタースイッチトランジスタS4の電圧はVcbus1に等しく、第4補助トランジスタSsub4の電圧はVcbus2に等しい。
【0070】
モード4:図4Dに示すように、この段階では、第1マスタースイッチトランジスタS1と第3マスタースイッチトランジスタS3は第2補助トランジスタSsub2と第4補助トランジスタSsub4に導通し、一方では、電源は第1マスタースイッチトランジスタS1と第2補助トランジスタSsub2によって第1バスコンデンサCbus1に充電し、また、第3マスタースイッチトランジスタS3と第4補助トランジスタSsub4によって第1バスコンデンサCbus1に充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは放電してエネルギーを放出し、他方では、第1変換出力回路は第1マスタースイッチトランジスタS1と第3マスタースイッチトランジスタS3によってフリーウィーリングタスクを実行し、A点とB点との間の電位差はVAB=0であり、第2変換出力回路は第2補助トランジスタSsub2と第4補助トランジスタSsub4によってフリーウィーリングタスクを実行し、C点とD点との間の電位差はVCD=0である。第2マスタースイッチトランジスタS2の電圧はVcbus1に等しく、第1補助トランジスタSsub1の電圧はVcbus2に等しく、第4マスタースイッチトランジスタS4の電圧はVcbus1に等しく、第3補助トランジスタSsub3の電圧はVcbus2に等しい。
【0071】
モード5:図4Eに示すように、この段階では、第1マスタースイッチトランジスタS1と第3マスタースイッチトランジスタS3は第1補助トランジスタSsub1と第3補助トランジスタSsub3に導通し、一方では、電源は第1マスタースイッチトランジスタS1と第1補助トランジスタSsub1によって1経路を通じて第1バスコンデンサCbus1、第2バスコンデンサCbus2に充電し、また、第2経路はマスタースイッチトランジスタS3と第4補助トランジスタSsub4によって第1バスコンデンサCbus1と第2バスコンデンサCbus2に充電し、第1エネルギー貯蔵モジュールLCD Unitは放電してエネルギーを放出し、他方では、第1変換出力回路は第1マスタースイッチトランジスタS1と第3マスタースイッチトランジスタS3によってフリーウィーリングタスクを実行し、A点とB点との間の電位差はVAB=0であり、第2変換出力回路は第1補助トランジスタSsub1と第3補助トランジスタSsub3によってフリーウィーリングタスクを実行し、C点とD点との間の電位差はVCD=0である。第2マスタースイッチトランジスタS2の電圧はVcbus1に等しく、第2補助トランジスタSsub2の電圧はVcbus2に等しく、第4マスタースイッチトランジスタS4の電圧はVcbus1に等しく、第4補助トランジスタSsub4の電圧はVcbus2に等しい。
【0072】
上記の5つの異なる段階の作動状態では、正弦正半周において、A点とB点との間の電位差VABが常に-Vcbus1又は0であり、C点とD点との間の電位差VCDが常にVcbus2又は0であることによって、信号は出力側の第1フィルタリングモジュールFilto1と第2フィルタリングモジュールFilto2のそれぞれによってフィルタリングされて正弦交流信号に変換され、後段負荷に出力される。バス電圧Vbus=Vcbus1+Vcbus2=1/(1-D)*Vinであり、Vcbus1=Vcbus2であるため、D≦0.5の場合、Vcbus1=Vcbus2≦Vinであり、すなわち、第1変換出力回路と第2変換出力回路の2つによって出力された正弦パルス電圧はいずれも電源の電圧Vin以下であり、これは降圧逆変換である。
【0073】
昇圧逆変換及び降圧逆変換の原理を考慮して、本実施例によるデュアル出力エネルギー変換装置は、いずれの状態で作動していても、マスタースイッチトランジスタと補助トランジスタの電圧ストレスがバス電圧Vbusの半分であり、すなわち、該回路はデバイスの電圧ストレスを低下させることができ、一方、2つの出力回路によって出力された電圧はすべてVcbus1(又はVcbus2)よりも低く、又はVcbus1(又はVcbus2)よりも高く、このように、入力電圧Vinと出力電圧には昇降圧の調整能力を付与する。
【0074】
可能な実施形態では、本実施例によるデュアル出力エネルギー変換装置では、マスタースイッチトランジスタS1~S4及び補助トランジスタSsub1~Ssub4はすべてIII族窒化物トランジスタであり、これらは、電界効果トランジスタ(FET)、例えば高電子移動度トランジスタ(HEMT)、ヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET)、POLFET、JFET、MESFET、CAVET又は電力スイッチング用に適している他の任意のIII族窒化物トランジスタの構造であってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、III族窒化物トランジスタはエンハンスメント型(E型)デバイス、図5Aに示すようにノーマリオフデバイスであり、これにより、閾値電圧が0Vよりも大きく、例えば約1.5V~2V又は2Vよりも大きく、前記エンハンスメント型(E型)デバイスを使用する場合は、逆ボディダイオードが含まれていないため、電源装置のデバイスリバースフリーウィーリングの場合の導通損失を低下させることができる。他の可能な実施形態では、III族窒化物トランジスタは高電圧III族窒化物デプレッション型(D型)トランジスタと低電圧エンハンスメント型(E型)トランジスタとをカスケード接続したものであり、図5Bに示すように接続されており、前記デプレッション型(D型)デバイスはノーマルオンデバイスであり、閾値電圧を0V未満にし、前記低電圧エンハンスメント型(E型)トランジスタは低電圧Si MOSデバイスであってもよく、いくつかの実施例では、図5Cに示すように、図5Bに記載の前記III族窒化物トランジスタはデバイスの逆回復損失を低減させるための外付けされた逆並列ダイオードをさらに含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、III族窒化物トランジスタは高電圧スイッチングトランジスタである。本実施例に使用されるスイッチトランジスタのように、高電圧スイッチングトランジスタは高電圧スイッチング用のために最適化されたトランジスタである。すなわち、トランジスタは遮断したとき、高電圧、例えば約300V、又は約600V、又は約1200V又はこれらよりも高い電圧を遮断することができ、トランジスタは導通したとき、上記の用途に用いられるのに十分に低い導通抵抗を有し、すなわち、大量の電流が該デバイスを流れる場合に、低い導通損失が図られる。
【0077】
いくつかの実施例では、デュアル出力エネルギー変換装置の逆流防止モジュールはすべてIII族窒化物整流デバイスであり、III族窒化物整流デバイスは少なくとも2つの横型III族窒化物ダイオードであってもよく、例えば図6に示すIII族窒化物ダイオードのように、すべての電極に対して半導体本体の対向側に絶縁又は半絶縁性部分を有する。図6のIII族窒化物ダイオードは、絶縁又は半絶縁性部分61と、III族窒化物緩衝層63(例えばGaN)と、III族窒化物バリア層64(例えばAlGaN)と、二次元電子ガス(2DEG)チャンネル65の半導体本体62、絶縁又は半絶縁性部分61の対向側で半導体本体62と接触して、半導体本体62の半導体材料とのショットキー接触を形成する陽極接点28と、2DEGチャンネル65とのオーム接触を形成する陰極接点29と、を含む。III族窒化物ダイオードは任意に導電又は半導電部分66、例えばシリコン基板を含んでもよい。
【0078】
可能な実施形態では、III族窒化物整流デバイスのIII族窒化物ダイオードは図7Aに示すように共通陽極接続であってもよく、図7Bに示すように共通陰極接続であってもよい。
【0079】
いくつかの実施例では、III族窒化物整流デバイスは独立したパッケージを有する2つのIII族窒化物ダイオードを外部で電気的に接続してなるIII族窒化物整流デバイスであり、独立したパッケージを有するIII族窒化物ダイオードは図8Aに示され、図8Aの平面図においては、パッケージの複数の部分やパッケージ内にパッケージ又はシールされた電子デバイスが示されている。電子部品90は、独立したパッケージ内にパッケージ、封入又はシールされた単一のIII族窒化物ダイオード22を含む。独立したパッケージは複数のシール構造部分、例えばパッケージベース94、及び非構造部分、例えばピン91、92及び93を含む。本明細書に使用されるパッケージの「構造部分」とはパッケージの基本形状を構成するか、又は封入対象のデバイスを成形して保護するために必要なパッケージの構造剛性部分である。多くの場合、ディスクリート回路にパッケージを含む電子部品が使用されている場合、パッケージの構造部分は回路又は回路基板に直接取り付けられる。図8Aの独立したパッケージでは、パッケージベース94は導電性材料で形成され、すなわち、パッケージベース94はパッケージの導電性構造部分である。単一のパッケージは陽極ピン91と陰極ピン93の少なくとも2つのピンを含み、また、任意に少なくとも1つの他のピン、例えば開回路ピン92を含んでもよい。ピン91~93はすべて導電性材料で形成される。開回路ピン92を含む場合、この開回路ピン92はパッケージベース94に電気的に接続されるか、又はパッケージベース94に電気的に絶縁してもよく、また、他のピンはすべてパッケージベースに電気的に絶縁する。本明細書において使用される場合、2つ以上の接点又は他の事項が、十分に導電して、接点又は他の事項における各々の箇所での電気ポテンシャルがいずれのバイアス条件でも同じであることを確保できれば、すなわち、ほぼ同じ材料で接続すれば、2つ以上の接点又は他の事項は「電気的に接続される」として記載される。
【0080】
III族窒化物ダイオード22がIII族窒化物整流デバイスに用いられる場合、III族窒化物ダイオード22は単一のパッケージ内に取り付けられ、また、以下のように接続されてもよく、1つ又は複数のワイヤボンディングであってもよい電気ボンディングワイヤ38~39はパッケージの複数の部分及びIII族窒化物ダイオード22同士を電気的に接続することができる。ここでは、III族窒化物ダイオード22に対応する絶縁又は半絶縁基板はすべてパッケージベース94に接触する。III族窒化物ダイオード22の陰極接点29はパッケージの導電性構造部分、例えばパッケージベース94に電気的に接続されるか、又は、また例えば導電性ボンディングワイヤ39を介してパッケージの陰極ピン93に電気的に接続されてもよい。III族窒化物ダイオード22の陽極接点28は例えば導電性ボンディングワイヤ38を介してパッケージの陽極ピン91に電気的に接続される。
【0081】
いくつかの他の実施例では、III族窒化物整流デバイスは2本入りパッケージを有するIII族窒化物ダイオードから構成されるものであり、図8Bに示すように、図8Bの平面図においては、パッケージの複数の部分、及びパッケージ内にパッケージ又はシールされた電子デバイスが示されている。電子部品90’は、2本入りパッケージ内にパッケージ、封入又はシールされたIII族窒化物ダイオード22とIII族窒化物ダイオード22’を含む。2本入りパッケージは複数のシール構造部分、例えばパッケージベース94、及び非構造部分、例えばピン91、92及び93を含む。本明細書に使用されるパッケージの「構造部分」とはパッケージの基本形状を構成するか、又は封入対象のデバイスを成形して保護するために必要なパッケージの構造剛性部分である。多くの場合、ディスクリート回路にパッケージを含む電子部品が使用されている場合、パッケージの構造部分は回路又は回路基板に直接取り付けられる。図8Bの2本入りパッケージでは、パッケージベース94は導電性材料で形成され、すなわち、パッケージベース94はパッケージの導電性構造部分である。単一のパッケージは陽極ピン91、陽極ピン93及び共通陰極ピン92の少なくとも3つのピンを含む。ピン91~93はすべて導電性材料で形成される。共通陰極ピン92はパッケージベース94に電気的に接続されるか、又はパッケージベース94に電気的に絶縁してもよく、また、他のピンはすべてパッケージベースに電気的に絶縁する。本明細書において使用される場合、2つ以上の接点又は他の事項が、十分に導電して、接点又は他の事項における各々の箇所での電気ポテンシャルがいずれの偏置条件でも同じであることを確保できれば、すなわち、ほぼ同じ材料で接続すれば、2つ以上の接点又は他の事項は「電気的に接続される」として記載される。
【0082】
III族窒化物ダイオードがIII族窒化物整流デバイスに用いられる場合、III族窒化物ダイオード22とIII族窒化物ダイオード22’は2本入りパッケージ内に取り付けられ、また、以下のように接続されてもよく、1つ又は複数のワイヤボンディングであってもよい電気ボンディングワイヤ38、38’、39はパッケージの複数の部分、III族窒化物ダイオード22及びIII族窒化物ダイオード22’同士を電気的に接続することができる。ここでは、III族窒化物ダイオード22及びIII族窒化物ダイオード22’に対応する絶縁又は半絶縁基板はすべてパッケージベース94に接触する。III族窒化物ダイオード22の陰極接点29とIII族窒化物ダイオード22’の陰極接点29’はパッケージの導電性構造部分、例えばパッケージベース94に電気的に接続され、また、導電性ボンディングワイヤ39を介してパッケージの共通陰極ピン92に電気的に接続される。III族窒化物ダイオード22の陽極接点28は例えば導電性ボンディングワイヤ38を介してパッケージの陽極ピン91に電気的に接続され、III族窒化物ダイオード22’の陽極接点28’は例えば導電性ボンディングワイヤ38’を介してパッケージの陽極ピン93に電気的に接続される。
【0083】
図10A図10Cには、デュアル出力エネルギー変換装置の実験結果が示されており、これらのうち、図10Aはデュアル出力エネルギー変換装置の昇圧逆変換(Vin=200V、Po=1000W)の場合の第1入力直流電源Uinの電流Iin、第1入力直流電源Uinの電圧Vin、第1出力電圧Vo1、第2出力電圧Vo1の波形であり、第1出力負荷Rl1、第2出力負荷Rl2側の電圧Vo1(311.58V)及びVo2(311.74V)はすべて第1入力直流電源Uinの電圧Vinよりも高いことが分かった。
【0084】
図10Bはデュアル出力エネルギー変換装置の降圧逆変換(Vin=200V、Po=1000W)の場合の第1入力直流電源Uinの電流Iin、第1入力直流電源Uinの電圧Vin、第1出力電圧Vo1、第2出力電圧Vo1の波形であり、第1出力負荷Rl1、第2出力負荷Rl2側の電圧Vo1(87.84V)及びVo2(87.71V)はすべて第1入力直流電源Uinの電圧Vinよりも低いことが分かった。
【0085】
図10Cに示すように、図10Cはデュアル出力エネルギー変換装置のバス電圧Vbus、マスタースイッチトランジスタS1~S4の電圧ストレス及び3レベル補助トランジスタSsub1~Ssub4の電圧ストレスであり、すべてのマスタースイッチトランジスタ及び補助トランジスタの電圧ストレスはバス電圧Vbusの半分であることが分かり、デバイスの電圧ストレスの低下が図られる。
【0086】
本実施例はまた、上記の実施例によるデュアル出力エネルギー変換装置を含む給電設備を提供する。
【0087】
以上は本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の特許範囲はこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明で開示された技術範囲を逸脱することなく容易に想到し得る変化又は置換はすべて本発明の特許範囲に含まれる。このため、本発明の特許範囲は特許請求オン範囲による特許範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0088】
LCD Unit 第1エネルギー貯蔵モジュール
110 第1複合直列ブリッジアームモジュール
111 第1マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット
112 第1補助トランジスタブリッジアームユニット
120 コンデンサエネルギー貯蔵モジュール
130 第2複合直列ブリッジアームモジュール
131 第2マスタースイッチトランジスタブリッジアームユニット
132 第2補助トランジスタブリッジアームユニット
B 第1出力端子
A 第2出力端子
C 第3出力端子
D 第4出力端子
D1 第1逆流防止モジュール
D1A 第1逆流防止ダイオード
D1B 第2逆流防止ダイオード
D2 第2逆流防止モジュール
D2A 第3逆流防止ダイオード
D2B 第4逆流防止ダイオード
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C