(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】浮遊式海洋構造物及びそれを備える浮遊式海洋発電装置
(51)【国際特許分類】
B63B 35/00 20200101AFI20241001BHJP
B63B 35/34 20060101ALI20241001BHJP
B63B 35/44 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B63B35/00 T
B63B35/34 Z
B63B35/44 Z
(21)【出願番号】P 2023524929
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(86)【国際出願番号】 KR2021015242
(87)【国際公開番号】W WO2022092818
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0143771
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0095134
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0095139
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0095144
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0139754
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520387760
【氏名又は名称】エイチディー ヒュンダイ ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン チン ウク
(72)【発明者】
【氏名】チュン チョン チン
(72)【発明者】
【氏名】ムン ジューン ソ
(72)【発明者】
【氏名】パク ムン キュ
(72)【発明者】
【氏名】ソク サン ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨン マン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソン フン
(72)【発明者】
【氏名】リム テ ウン
(72)【発明者】
【氏名】イ ミン キョン
(72)【発明者】
【氏名】イ イン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】オ ミン ハン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヨン チェ
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/167137(WO,A1)
【文献】特開2020-101182(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0007947(KR,A)
【文献】実開昭62-074100(JP,U)
【文献】特開2012-096601(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0105235(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110949633(CN,A)
【文献】特表2020-516526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/00
B63B 35/34
B63B 35/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコラムと、
前記コラムの下端に設けられる複数のポンツーンと、を含み、
前記コラムを連結する仮想の線によって多角形状が形成され、
前記ポンツーンは前記多角形状の内側に設けられ、
前記コラムは第1コラム、第2コラム及び第3コラムを含み、
前記第1コラムの海水面に平行な断面の面積は前記第2コラム及び第3コラムの海水面に平行な断面の面積より大き
く、前記ポンツーンは、前記第1コラム、前記第2コラム及び前記第3コラムのそれぞれの下端に設けられる第1ポンツーン、第2ポンツーン及び第3ポンツーンを含み、前記第1ポンツーンの大きさは、前記第2ポンツーン及び前記第3ポンツーンの大きさより大きい、ことを特徴とする浮遊式海洋構造物。
【請求項2】
前記第1コラムの海水面に平行な断面は、長方形の対向する2つの頂点に隣接する領域が面取りされた六角形状を有し、前記面取りされた領域が前記多角形状の外部を向くように配置され、
前記第2コラム及び前記第3コラムの海水面に平行な断面は、長方形形状を有することを特徴とする請求項1に記載の浮遊式海洋構造物。
【請求項3】
前記第1ポンツーン、前記第2ポンツーン及び前記第3ポンツーンの海水面に平行な断面は、長方形の対向する2つの頂点のうち少なくとも1つに隣接する領域が面取りされた形状を有し、前記面取りされた領域は、前記多角形状の内部を向くように配置されることを特徴とする請求項
1に記載の浮遊式海洋構造物。
【請求項4】
前記第1コラムと前記第2コラムの上端を連結する第1上部ブレースと、前記第1コラムと前記第3コラムの上端を連結する第2上部ブレースと、前記第1上部ブレース及び前記第2上部ブレースの前記第2コラム及び前記第3コラムに隣接する領域を連結する第3上部ブレースと、
前記第1ポンツーンと前記第2ポンツーンを連結する第1下部ブレースと、前記第1ポンツーンと前記第3ポンツーンを連結する第2下部ブレースと、前記第2コラムと前記第3コラムの下部を連結する第3下部ブレースと、を含む下部ブレースと、をさらに含むことを特徴とする請求項
1に記載の浮遊式海洋構造物。
【請求項5】
前記ポンツーンは、前記コラムの前記多角形状の内部側面に設けられ、
前記ポンツーンは海水面に垂直な方向に形成される中空部を備え、
前記中空部には多孔性ダンパが設けられることを特徴とする請求項1に記載の浮遊式海洋構造物。
【請求項6】
前記多孔性ダンパは、複数の通孔を備える第1多孔性プレート、第2多孔性プレート及び第3多孔性プレートを備え、
前記第1多孔性プレート及び前記第2多孔性プレートの通孔は互いに重畳せず、前記第1多孔性プレート及び前記第3多孔性プレートの通孔は平面上において互いに重畳することを特徴とする請求項
5に記載の浮遊式海洋構造物。
【請求項7】
前記多孔性ダンパは、複数の通孔を備える第1多孔性プレート、第2多孔性プレート及び第3多孔性プレートを備え、
前記第1多孔性プレート、前記第2多孔性プレート及び前記第3多孔性プレートの通孔は、平面上において互いに重畳することを特徴とする請求項
5に記載の浮遊式海洋構造物。
【請求項8】
前記
第1ポンツーン
、前記第2ポンツーン及び前記第3ポンツーンは、前記第1コラム、前記第2コラム及び前記第3コラムの下端を連結
し、
前記第1コラムの上端と前記第2コラムの上端とを連結する、及び前記第1コラムの上端と前記第3コラムの上端とを連結する複数のブレースと、
前記第2コラム及び前記第3コラムの下端に設けられる第1延長ポンツーン及び第2延長ポンツーン
と、をさらに含み、
前記第1ポンツーン、前記第2ポンツーン及び前記第3ポンツーンは前記多角形状の線に対応して配置され、
前記第1延長ポンツーン及び前記第2延長ポンツーンは前記多角形状の外側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の浮遊式海洋構造物。
【請求項9】
前記第1延長ポンツーンは前記第1ポンツーンに平行に延長した形状を有し、
前記第2延長ポンツーンは前記第1ポンツーンに平行に延長した形状を有することを特徴とする請求項
8に記載の浮遊式海洋構造物。
【請求項10】
発電構造物のタワーを支持するタワー支持コラムをさらに含み、
前記タワー支持コラムは前記多角形状の辺のうち1つの一地点に設けられることを特徴とする請求項1に記載の浮遊式海洋構造物。
【請求項11】
請求項1から請求項1
0の何れか1項に記載の浮遊式海洋構造物と、
前記浮遊式海洋構造物上に設けられる発電構造物と、を備えることを特徴とする浮遊式海洋発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊式海上構造物及びそれを備える浮遊式海洋発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化に伴う環境規制と化石燃料の需給不安などの問題点が浮かび上がるにつれて新再生可能エネルギーの生産システムの1つである風力発電が関心を集めている。
【0003】
風力発電装置は、陸上または海上に設けられて風のエネルギーを電気エネルギーに変えて電力を生産する装置である。
【0004】
風力発電装置は、主に陸上に設置されてきたが、次第に海上への設置が増加している。風力発電のために海上は陸上に比べて風の質が概して良い方であり、羽根の騒音問題においてもより容易に対応できるというメリットがある。特に、経済性を確保するためには大規模の団地の確保が求められるが、陸上にはそのような団地を備えることが困難であり、沿岸や近海の海上が大規模の海上風力団地として浮上している。
【0005】
風力発電装置を海上に設置するための構造は、固定式と浮遊式とに大別できる。固定式構造は陸上でのように構造物が直接海底面に固定されて環境荷重を構造的変形で対応する形式であり、浮遊式は水面に浮かんでおり、自重、浮力、環境荷重及び係留力を受け、構造物の運動と係留力で環境荷重に耐える方式である。
【0006】
最近まで海上風力発電装置は固定式で主に水深の浅い所に設置されていた。しかし、固定式構造は構造物が海底面に固定されており、有利な発電条件を提供するが、水深が深くなると構造物の規模が大きくなりすぎて疲労破壊の危険性を避けることが困難となる。また、風力発電装置の大型化の傾向に伴い、構造物の製作、設置にかかる費用が天文学的に増加するという問題点がある。
【0007】
また、風は陸上から離れるほど強く、一定となるため、発電効率を上げることができる。そのため、海岸から遠く離れて水深の深い所における風力発電の開発の必要性が次第に提起されている。従って、水深が深くなっても構造物の大きさに制限を受けない浮遊式構造を用いた海上風力発電装置に対する多くの研究がなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の技術を改善するために創出されたものであり、本発明の一目的は水深に関わらず設置可能な浮遊式海洋構造物及びそれを備える浮遊式海洋発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面による浮遊式海洋構造物は、複数のコラムと、上記コラムの下端に設けられる複数のポンツーンと、を含み、上記コラムを連結する仮想の線によって多角形状が形成され、上記ポンツーンは上記多角形状の内側に設けられてもよい。
【0010】
具体的に、上記コラムは第1~第3コラムを含み、上記第1コラムの海水面に平行な断面は長方形の対向する2つの頂点に隣接する領域が面取りされた六角形状を有し、上記面取りされた領域が上記多角形状の外部を向くように配置され、上記第2及び第3コラムの海水面に平行な断面は長方形状を有し、上記第1コラムの海水面に平行な断面の面積は上記第2及び第3コラムの海水面に平行な断面の面積より大きくてもよい。
【0011】
具体的に、上記ポンツーンは上記第1~第3コラムのそれぞれの下端に設けられる第1~第3ポンツーンを含み、第1ポンツーンの大きさは上記第2及び第3ポンツーンの大きさより大きくてもよい。
【0012】
具体的に、上記第1~第3ポンツーンの海水面に平行な断面は長方形の対向する2つの頂点のうち少なくとも1つに隣接する領域が面取りされた形状を有し、上記面取りされた領域は上記多角形状の内部を向くように配置されてもよい。
【0013】
具体的に、上記第1コラムと上記第2コラムの上端を連結する第1上部ブレースと、上記第1コラムと上記第3コラムの上端を連結する第2上部ブレースと、上記第1上部ブレース及び第2上部ブレースの上記2コラム及び上記第3コラムに隣接する領域を連結する上部ブレースと、上記第1ポンツーンと上記第2ポンツーンを連結する上記第1下部ブレースと、上記第1ポンツーンと上記第3ポンツーンを連結する第2下部ブレースと、上記第2コラムと上記第3コラムの下部を連結する第3下部ブレースを含む下部ブレースと、をさらに含んでもよい。
【0014】
具体的に、上記ポンツーンは上記コラムの上記多角形状の内部側面に設けられ、上記ポンツーンは海水面に垂直な方向に形成される中空部を備え、上記中空部には多孔性ダンパが設けられてもよい。
【0015】
具体的に、上記多孔性ダンパは複数の通孔を備える第1~第3多孔性プレートを備え、上記第1及び第2多孔性プレートの通孔は上記互いに重畳せず、上記第1及び第3多孔性プレートの通孔は平面上において互いに重畳してもよい。
【0016】
具体的に、上記多孔性ダンパは複数の通孔を備える第1~第3多孔性プレートを備え、上記第1~第3多孔性プレートの通孔は平面上において互いに重畳してもよい。
【0017】
具体的に、上記コラムは第1~第3コラムを含み、上記ポンツーンは上記第1~第3コラムの下端を連結する第1~第3ポンツーンを含み、上記第1及び第2コラムの上端と上記第1及び第3コラムの上端を連結する複数のブレースと、第2及び第3コラムの下端に設けられる第1及び第2延長ポンツーンをさらに含み、上記第1~第3ポンツーンは上記多角形状の線に対応して配置され、上記第1及び第2延長ポンツーンは上記多角形状の外側に設けられてもよい。
【0018】
具体的に、上記第1延長ポンツーンは上記第1ポンツーンに平行に延長した形状を有し、上記第2延長ポンツーンは上記第1ポンツーンに平行に延長した形状を有してもよい。
【0019】
具体的に、発電構造物のタワーを支持するタワー支持コラムをさらに含み、上記タワー支持コラムは上記多角形状の辺のうち1つの一地点に設けられてもよい。
【0020】
本発明の一側面による浮遊式海洋発電装置は上述の浮遊式海洋構造物と、上記浮遊式海洋構造物上に設けられる発電構造物と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明による浮遊式海洋構造物及び浮遊式海洋発電装置は設置場所の水深の影響を受けずに設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による浮遊式海洋構造物を備える浮遊式海洋発電装置を説明するための図である。
【
図2】
図1に示す浮遊式海洋構造物FOSを説明するための斜視図である。
【
図3】
図2の第1コラム及び第1ポンツーンを説明するための斜視図である。
【
図4】
図2の第2及び第3コラムと第2及び第3ポンツーンを説明するための斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施形態による浮遊式海洋構造物のコラム及びポンツーンを説明するための斜視図である。
【
図6】
図5に示すコラム及びポンツーンの平面図である。
【
図7】
図5に示すダンパを説明するための分解斜視図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施形態による浮遊式海洋構造物を説明するための斜視図である。
【
図9】
図8に示す第1コラムを説明するための斜視図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施形態による浮遊式海洋構造物を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、特定の利点及び新規な特徴は添付の図面に関する以下の詳細な説明及び好ましい実施形態からより明らかになるであろう。本明細書では、各図面の構成要素に参照番号を付するにおいて、同じ構成要素に限ってはたとえ異なる図面上に表示されても、できるだけ同じ番号を付したことに留意されたい。また、本発明を説明するに当たり、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明による好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態による浮遊式海洋構造物を備える浮遊式海洋発電装置を説明するための図である。
【0026】
図1を参照すると、浮遊式海洋発電装置は浮遊式海洋構造物FOS及び発電構造物PGSを含んでもよい。
【0027】
浮遊式海洋構造物FOSは発電構造物PGSを支持する構造物であってもよい。浮遊式海洋構造物FOSは複数のコラム100、複数のポンツーン200、及び複数のブレース300を備えてもよい。
【0028】
複数のコラム100は浮遊式海洋構造物FOSの垂直構造物であり、複数のポンツーン200は浮遊式海洋構造物FOSに浮力を与える浮力体であってもよく、複数のブレース300は複数のコラム100と複数のポンツーン200を連結して浮遊式海洋構造物FOSの構造的安定性を向上させることができる。
【0029】
発電構造物PGSは浮遊式海洋構造物FOS上に設けられてもよい。発電構造物PGSはタワーTW、ナセルNC、及びブレードBLを含んでもよい。
【0030】
タワーTWは浮遊式海洋構造物FOS上に設けられてもよい。ここで、タワーTWは浮遊式海洋構造物FOSの複数のコラム100のうち1つの上に設けられてもよい。即ち、発電構造物PGSは浮遊式海洋構造物FOSの一側に偏心して設置されてもよい。
【0031】
ナセルNCはタワーTWの上部に設けられてもよい。ナセルNCはブレードBLの回転力から電気を生産することができる。
【0032】
ブレードBLはナセルNCに回転可能に設けられ、風力によって回転することができる。
【0033】
一方、本一実施形態では、発電構造物PGSが浮遊式海洋構造物FOSの一側に偏心して設けられることを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、発電構造物は浮遊式海洋構造物FOSの中心部に設けられてもよい。
【0034】
図2は
図1に示す浮遊式海洋構造物FOSを説明するための斜視図であり、
図3は
図2の第1コラム及び第1ポンツーンを説明するための斜視図であり、
図4は
図2の第2及び第3コラムと第2及び第3ポンツーンを説明するための斜視図である。
【0035】
図2~
図4を参照すると、浮遊式海洋構造物FOSは複数のコラム110、120、130と、複数のポンツーン210、220、230と、複数のブレース310、320、330、340、350、360と、を備えてもよい。
【0036】
複数のコラム110、120、130は上部構造物、例えば、発電構造物PGSを支持することができる。複数のコラム110、120、130を連結する仮想の線によって浮遊式海洋構造物FOSは多角形状を有することができる。即ち、コラム110、120、130は多角形状の頂点に配置されることができる。
【0037】
複数のコラム110、120、130は第1~第3コラム110、120、130を含んでもよい。一方、本実施形態では、浮遊式海洋構造物FOSが3つのコラム110、120、130を含むことを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、浮遊式海洋構造物FOSは4つ以上のコラムを含んでもよい。
【0038】
第1~第3コラム110、120、130の海水面に平行な断面は多角形の形状を有し、第1~第3コラム110、120、130は互いに同じ断面または異なる断面を有することができる。例えば、第1コラム110の海水面に平行な断面は長方形の対向する2つの頂点に隣接する領域が面取りされた六角形状であってもよい。ここで、第1コラム110の面取りされた領域は浮遊式海洋構造物FOSの外側に向かって配置されてもよい。第1コラム110の面取りされた領域は複数のコラム110、120、130が形成する多角形状の外部を向くように配置されてもよい。
【0039】
また、第2コラム120及び第3コラム130の海水面に平行な断面は長方形の形状を有することができる。第1コラム110の海水面に平行な断面積は第2コラム120及び第3コラム130のそれぞれの海水面に平行な断面積より大きくてもよい。
【0040】
一方、本実施形態では、第1~第3コラム110、120、130の海水面に平行な断面が多角形の形状を有することを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第1~第3コラム110、120、130の海水面に平行な断面は複数のポンツーン210、220、230に接する部分が直線で、その他の領域は曲線形状であってもよい。また、第1~第3コラム110、120、130の海水面に平行な断面は円の一部が直線に切開された形状を有し、切開された領域にポンツーン210、220、230が設けられてもよい。
【0041】
複数のポンツーン210、220、230は第1~第3ポンツーン210、220、230を含んでもよい。第1~第3ポンツーン210、220、230は第1~第3コラム110、120、130の下端に設けられてもよい。ここで、第1~第3ポンツーン210、220、230は第1~第3コラム110、120、130が形成する多角形状の内側に設けられてもよい。
【0042】
また、第1ポンツーン210の大きさは第2ポンツーン220及び第3ポンツーン230の大きさより大きくてもよい。従って、第1ポンツーン210が提供する浮力は第2ポンツーン220及び第3ポンツーン230のそれぞれが提供する浮力より大きくてもよい。
【0043】
第1~第3ポンツーン210、220、230の海水面に平行な断面は多角形の形状を有し、互いに同じ断面または異なる断面を有することができる。例えば、第1ポンツーン210の海水面に平行な断面は第1コラム110から離隔して配置される長方形の2つの頂点に隣接する領域が面取りされた六角形状であってもよい。また、第2ポンツーン220及び第3ポンツーン230の断面は第2コラム120及び第3コラム130から離隔して配置される長方形の2つの頂点のうち少なくとも1つの頂点が長方形の面取りされた形状であってもよい。第1~第3ポンツーン210、220、230の断面で面取りされた領域は直線またはラウンドになった曲線形状であってもよい。
【0044】
第1~第3ポンツーン210、220、230の面取りされた領域は複数のコラム110、120、130が形成する多角形状の内側を向くように配置されてもよい。
【0045】
第1~第3ポンツーン210、220、230は中空部HPを備えてもよい。中空部HPは海水面に垂直な方向に形成され、波などによる第1~第3コラム110、120、130の損傷を防止することができる。
【0046】
複数のブレース310、320、330、340、350、360は上部ブレース310、320、330及び下部ブレース340、350、360を含んでもよい。
【0047】
上部ブレース310、320、330は第1~第3上部ブレース310、320、330を含んでもよい。第1上部ブレース310は第1コラム110の上端と第2コラム120の上端を連結することができる。第2上部ブレース320は第1コラム110の上端と第3コラム130の上端を連結することができる。第3上部ブレース330は第1上部ブレース310と第2上部ブレース320を連結することができる。ここで、第3上部ブレース330は第1上部ブレース310及び第2上部ブレース320の第2コラム120及び第3コラム130に隣接する領域を連結することができる。
【0048】
下部ブレース340、350、360は第1ポンツーン210と第2ポンツーン220を連結する第1下部ブレース340と、第1ポンツーン210と第3ポンツーン230を連結する第2下部ブレース350と、第2コラム120と第3コラム130の下部を連結する第3下部ブレース360と、を含んでもよい。第3下部ブレース360は第1下部ブレース340と第2下部ブレース350に連結されてもよい。
【0049】
第1下部ブレース340の長さは第1上部ブレース310の長さより短くてもよい。これは、第1上部ブレース310は第1コラム110と第2コラム120の上部を連結するが、第1下部ブレース340は第1ポンツーン210と第2ポンツーン220を連結するためである。
【0050】
第2下部ブレース350の長さは第2上部ブレース320の長さより短くてもよい。これは、第2上部ブレース320は第1コラム110と第3コラム130の上部を連結するが、第2下部ブレース350は第1ポンツーン210と第3ポンツーン230を連結するためである。
【0051】
第3下部ブレース360の長さは第3上部ブレース330の長さより長くてもよい。これは、第3下部ブレース360は第1上部ブレース310及び第2上部ブレース320の第2コラム120及び第3コラム130に隣接する領域を連結するが、第3下部ブレース360は第2コラム120の下部と第3コラム130の下部を連結するためである。
【0052】
一方、第1コラム110上には発電構造物PGSのタワーを設けられてもよい。即ち、発電構造物PGSは浮遊式海洋構造物FOSの一側に偏心して設置されてもよい。これは、第1コラム110の断面積が最も大きくて発電構造物PGSの設置空間を十分に確保できるためである。また、第1コラム110に設けられる第1ポンツーン210の浮力が最も大きいため、第1コラム110上に発電構造物PGSが設けられても発電構造物PGSの安定性を向上させることができるためである。
【0053】
一方、本実施形態では、発電構造物PGSが浮遊式海洋構造物FOSの第1コラム110上に設けられることを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、発電構造物は浮遊式海洋構造物FOSの中心部に設けられてもよい。
【0054】
上述のような浮遊式海洋構造物FOSでは、第1~第3ポンツーン210、220、230が第1~第3コラム110、120、130の下端の内側面に設けられてもよい。従って、浮遊式海洋構造物FOS及び発電構造物PGSを設置またはメンテナンスするための船舶の岸壁の接岸に有利であることができる。
【0055】
また、第1下部ブレース340及び第2下部ブレース350のそれぞれの長さは第1上部ブレース310及び第2上部ブレース320のそれぞれの長さより短いため、浮遊式海洋構造物FOSの構造的安定性が向上することができる。
【0056】
図5は本発明の他の実施形態による浮遊式海洋構造物のコラム及びポンツーンを説明するための斜視図であり、
図6は
図5に示すコラム及びポンツーンの平面図であり、
図7は
図5に示すダンパを説明するための分解斜視図である。
【0057】
図5~
図7を参照すると、コラム100は浮遊式海洋構造物FOSの垂直構造物であり、コラム100の海水面に平行な断面は多角形の形状を有することができる。
【0058】
ポンツーン200は浮遊式海洋構造物FOSに浮力を与えることができる。ポンツーン200はコラム100の下端の一面に設けられてもよい。
【0059】
ポンツーン200の海水面に平行な断面は多角形状を有することができる。例えば、ポンツーン200の海水面に平行な断面はコラム100から離隔して配置される長方形の2つの頂点に隣接する領域が面取りされた形状であってもよい。
【0060】
ポンツーン200は中空部HPを含んでもよく、中空部HPは海水面に垂直な方向に形成されて波などによるコラム100の損傷を防止することができる。また、中空部HPには多孔性ダンパDPが配置されてもよい。ダンパDPは複数の通孔THを備える少なくとも1つの多孔性プレートDP1、DP2、DP3を含むことができる。例えば、ダンパDPは第1~第3多孔性プレートDP1、DP2、DP3を含んでもよい。
【0061】
ダンパDPは浮遊式海洋構造物FOSのエネルギー消散に役立つことができる。従って、ダンパDPは浮遊式海洋構造物FOSの上下運動を減少させることができる。
【0062】
一方、互いに隣接する多孔性プレートDP1、DP2、DP3の通孔THは重畳しなくてもよい。例えば、第1多孔性プレートDP1及び第2多孔性プレートDP2の通孔THは互いに重畳しなくてもよい。また、第2多孔性プレートDP2及び第3多孔性プレートDP3の通孔THは平面上において互いに重畳しなくてもよい。また、第1多孔性プレートDP1及び第3多孔性プレートDP3の通孔THは平面上において互いに重畳してもよい。
【0063】
また、互いに隣接する多孔性プレートDP1、DP2、DP3の通孔THは重畳してもよい。例えば、第1~第3多孔性プレートDP1、DP2、DP3の通孔THは平面上において互いに重畳することができる。
【0064】
図8は本発明のさらに他の実施形態による浮遊式海洋構造物を説明するための斜視図であり、
図9は
図8に示す第1コラムを説明するための斜視図である。
【0065】
図8及び
図9を参照すると、浮遊式海洋構造物FOSは複数のコラム110、120、130と、複数のポンツーン210、220、230、240、250と、複数のブレース310、320と、を備えてもよい。
【0066】
複数のコラム110、120、130は上部構造物、例えば、発電構造物PGSを支持することができる。複数のコラム110、120、130を連結する仮想の線によって浮遊式海洋構造物FOSは多角形状を有することができる。即ち、コラム110、120、130は多角形状の頂点に配置されることができる。
【0067】
複数のコラム110、120、130は第1~第3コラム110、120、130を含んでもよい。
【0068】
第1~第3コラム110、120、130の海水面に平行な断面は多角形の形状を有し、第1~第3コラム110、120、130は互いに同じ断面または異なる断面を有することができる。例えば、第1コラム110の海水面に平行な断面は長方形の対向する2つの頂点に隣接する領域が面取りされ、面取りされた線が連結される五角形状を有することができる。第2コラム120及び第3コラム130の海水面に平行な断面は長方形の形状を有することができる。ここで、第1コラム110の面取りされた部分は浮遊式海洋構造物FOSの内側に向かって配置されてもよい。また、第1コラム110の断面積は第2コラム120及び第3コラム130のそれぞれの断面積より大きくてもよい。
【0069】
複数のポンツーン210、220、230、240、250は第1~第3ポンツーン210、220、230と、第1及び第2延長ポンツーン240、250と、を含んでもよい。第1ポンツーン210は第1コラム110と第2コラム120の下端を連結する形状を有することができる。ここで、第1ポンツーン210は第1コラム110の面取りされた領域のうち1つに連結されてもよい。第2ポンツーン220は第1コラム110と第3コラム130を連結する形状を有することができる。ここで、第2ポンツーン220は第1コラム110の面取りされた領域のうち他の1つに連結されてもよい。第3ポンツーン230は第2コラム120と第3コラム130の下端を連結する形状を有することができる。即ち、第1~第3ポンツーン210、220、230は第1~第3コラム110、120、130が形成する多角形状の線に対応して配置されることができる。
【0070】
浮遊式海洋構造物FOSにおいて、第1延長ポンツーン240は第2コラム120の下端の外側面に設けられてもよい。浮遊式海洋構造物FOSにおいて、第2延長ポンツーン250は第3コラム130の下端の外側面に設けられてもよい。ここで、第1延長ポンツーン240は第1ポンツーン210に平行に延長した形状であり、第2延長ポンツーン250は第2ポンツーン220に平行に延長した形状であってもよい。従って、第1~第3ポンツーン210、220、230と第1及び第2延長ポンツーン240、250は全体的にA字状を形成することができる。
【0071】
複数のブレース310、320は第1ブレース310及び第2ブレース320を含んでもよい。第1ブレース310は第1コラム110の上端と第2コラム120の上端を連結し、第2ブレース320は第1コラム110の上端と第3コラム130の上端を連結することができる。
【0072】
本実施形態による浮遊式海洋構造物FOSは、第1~第3コラム110、120、130の近傍にのみポンツーンが配置される浮遊式海洋構造物に比べて高い浮力を有することができる。従って、浮遊式海洋構造物FOSの浮遊安定性が向上することができる。
【0073】
図10は本発明のさらに他の実施形態による浮遊式海洋構造物を説明するための斜視図であり、
図11は
図10に示す浮遊式海洋構造物の平面図である。
【0074】
図10及び
図11を参照すると、浮遊式海洋構造物FOSはタワーTWと、複数のコラム160、170、180、
タワー支持コラムTSCと、複数のブレース310、320、330、340、350、360と、複数の水平補強
材と、を含んでもよい。
【0075】
複数のコラム160、170、180、タワー支持コラムTSCは上部構造物、例えば、発電構造物PGSを支持することができる。複数のコラム160、170、180、TSCは第1~第3コラム160、170、180とタワー支持コラムTSCを含んでもよい。第1~第3コラム160、170、180とタワー支持コラムTSCの海水面に平行な断面は円または多角形などの様々な形状を有することができる。例えば、第1~第3コラム160、170、180とタワー支持コラムTSCの海水面に平行な断面は円形状であってもよい。
【0076】
第1~第3コラム160、170、180はタワー支持コラムTSCの外側に配置されることができる。例えば、第1~第3コラム160、170、180は多角形、例えば、三角形の頂点に対応して配置されてもよい。
【0077】
タワー支持コラムTSC上には発電構造物PGSのタワーTW、ナセルNC、及びブレードBLが設けられてもよい。タワー支持コラムTSCの高さは第1~第3コラム160、170、180の高さと同一または高くてもよい。
【0078】
複数のブレース310、320、330、340、350、360は上部ブレース310、320、330と、下部ブレース340、350、360と、を含んでもよい。
【0079】
上部ブレース310、320、330は第1~第3コラム160、170、180のそれぞれの上端を連結することができる。
【0080】
下部ブレース340、350、360は第1~第3コラム160、170、180のそれぞれの下端を連結することができる。
【0081】
上部ブレース310、320、330は第1~第3上部ブレース310、320、330を含んでもよい。第1上部ブレース310は第1コラム160の上端と第2コラム170の上端を連結することができる。第2上部ブレース320は第1コラム160の上端と第3コラム180の上端を連結することができる。第3上部ブレース330は第2コラム170の上端と第3コラム180の上端を連結することができる。
【0082】
下部ブレース340、350、360は第1~第3下部ブレース340、350、360を含んでもよい。第1下部ブレース340は第1コラム160の下端と第2コラム170の下端を連結することができる。第2下部ブレース350は第1コラム160の下端と第3コラム180の下端を連結することができる。第3下部ブレース360は第2コラム170の下端と第3コラム180の下端を連結することができる。
【0083】
一方、タワー支持コラムTSCは第1~第3コラム160、170、180が形成する多角形の辺のうち1つの一地点に設けられてもよい。例えば、タワー支持コラムTSCは第1~第3コラム160、170、180が形成する多角形の辺の何れか1つの辺において辺の中心と端を含まない地点に設けられてもよい。即ち、タワー支持コラムTSCは第1~第3コラム160、170、180が形成する多角形の辺の何れか1つの辺の中心と両端を除く位置に設けられることができる。
【0084】
第1~第3コラム160、170、180とタワー支持コラムTSCの内部はバラスト水で充填されてもよい。ここで、タワー支持コラムTSCは第1~第3コラム160、170、180が形成する多角形の中心ではない位置に設けられるため、COD(co-directional wave、current、and wind)の制御のために、第1~第3コラム160、170、180とタワー支持コラムTSCのバラスト水の充填量は互いに異なってもよい。例えば、タワー支持コラムTSCに隣接するほど、バラスト水の充填量が少なくてもよい。即ち、第1~第3コラム160、170、180のうちタワー支持コラムTSCに隣接するコラムのバラスト水の充填量は他のコラムのバラスト水の充填量より少なくてもよい。
【0085】
本発明は上述した実施形態の他にも、上記実施形態のうち少なくとも2つ以上の組み合わせまたは少なくとも1つ以上の上記実施形態と公知技術の組み合わせにより発生する実施形態を全て包括することができる。
【0086】
以上、本発明を具体的な実施形態を通じて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者によりその変形や改良が可能であることは明らかである。
【0087】
本発明の単純な変形ないし変更は全て本発明の範囲に属し、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲によって明らかになるであろう。