(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】単車の自動車前照灯のための照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/24 20180101AFI20241001BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20241001BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20241001BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20241001BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20241001BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20241001BHJP
F21W 107/17 20180101ALN20241001BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241001BHJP
【FI】
F21S41/24
F21S41/143
F21S41/153
F21S41/663
F21S41/25
F21W102:13
F21W107:17
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2023527420
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 EP2021080132
(87)【国際公開番号】W WO2022106178
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-05-08
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ベールマン、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤンシェク、マルティーン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウナー、ニーナ
(72)【発明者】
【氏名】フィシャー、マリーナ
(72)【発明者】
【氏名】キセリカ、ヤロスラフ
(72)【発明者】
【氏名】ココシュカ、アントン
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142433(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168249(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/24
F21S 41/143
F21S 41/153
F21S 41/663
F21S 41/25
F21W 102/13
F21W 107/17
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメント化された配光分布を生成する、単車の自動車前照灯のための照明装置(10)であって、前記照明装置(10)は、
光学系本体(100)であって、本体(110)と複数の導光体(200)とを備え、前記複数の導光体は、光源(50)の光から規定可能なセグメント化された配光分布を形成するために前記本体(110)から突出し、前記複数の導光体(200)は、それぞれ、前記光源(50)から光が供給され得る光入射面(210)と、それぞれの前記導光体(200)に供給され得る光が出射する出射面(220)とを備え、隣接する導光体(200)の前記出射面(220)は、前記光学系本体(100)の共通の出射面(220a)を形成する、光学系本体(100)と、
複数の光源(50)であって、少なくとも1つの光源は、それぞれ、導光体(200)の入射面(210)に対応付けられる光源(50)と、
光軸(A)を有する投影光学系(300)であって、前記照明装置(10)の前面の前記共通の出射面(220a)から出射された光を主出射方向(X)の方向に投射するよう構成された投影光学系(300)と、を備え、
前記本体(110)は、第一発光半体(110a)と第二発光半体(110b)とを有し、
前記第一発光半体(110a)と前記第二発光半体(110b)とは、それぞれ導光体(200)を有し、
当該導光体(200)は、少なくとも、直線に沿った第一列(R1)内および直線に沿った第二列(R2)内に配置され、
前記第一列(R1)が沿う直線および前記第二列(R2)が沿う直線は、互いに第一角度オフセット(W1)を成すよう配置され、
前記第一発光半体(110a)と前記第二発光半体(110b)とは、前記本体(110)の垂直対象軸(V)に関して、互いに鏡面対称に配置され
、
各導光体(200)は、前記入射面(210)から前記出射面(220)に延びる側壁を有し、
前記出射面(220)は、それぞれ、2つの短辺と2つの長辺とにより範囲が定まり、
前記導光体(200)の側面は、前記主出射方向(X)に直交する方向と直角に交わり、湾曲して構成され、
前記垂直対象軸(V)に向いた、前記導光体(200)の前記側面は、凸状に構成され、前記垂直対象軸(V)と反対に向いた、前記導光体(200)の前記側面は、凹状に構成されること
を特徴とする照明装置(10)。
【請求項2】
請求項1記載の照明装置であって、
列(R1、R2)の前記導光体(200)の前記出射面(220)は、前記垂直対象軸(V)を起点として順に大きくなること
を特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の照明装置であって、
前記導光体(200)の前記入射面(210)は、共通の垂直面内に配置され、
前記垂直面は、前記投影光学系(300)の前記光軸(A)に直角に配置されること
を特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置であって、
前記光学系本体(100)の前記共通の出射面(220a)は、湾曲して構成されていること
を特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の照明装置であって、
前記投影光学系(300)は、湾曲した焦点面を有し、
前記光学系本体(100)の前記共通の出射面(220a)は、前記投影光学系(300)の前記焦点面に配置され、
前記共通の出射面(220a)は、少なくとも部分的に、前記投影光学系(300)の前記焦点面の前記湾曲に沿うこと
を特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項
1から5のいずれか1項記載の照明装置であって、
各列(R1、R2)は、前記垂直対象軸(V)から離れて配置される最外側導光体と、少なくとも1つの内側導光体とを有し、
各列(R1、R2)の前記少なくとも1つの内側導光体は、前記湾曲した側面を有すること
を特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項記載の照明装置であって、
前記光学系本体は、前記垂直対象軸(V)で前記2つの発光半体が1点に集まる領域に、少なくとも2つの導光体を有する少なくとも1つの列(400)を備え、
前記列(400)は、前記垂直対象軸(V)に直交して配置される直線に沿って配置されること
を特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項記載の照明装置であって、
各導光体(200)の前記入射面(210)は、前記主出射方向(X)から見たとき、前記出射面(220)の面中心と前記対応する入射面(210)の面中心とがオフセットを有するように、前記対応する出射面(220)と平行なオフセットを有すること
を特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項記載の照明装置であって、
当該照明装置(10)は、制御部と少なくとも1つのロール角センサとを備え、
前記ロール角センサは、前記照明装置(10)の前記主出射方向(X)について実際の位置の、定義された標準の位置からの誤差を測定するよう構成され、
前記制御部は、前記少なくとも1つのロール角センサからロール角を受信し、当該ロール角に応じて前記導光体(200)の個々の列(R1、R2)を、点灯および/または消灯するよう構成されること
を特徴とする照明装置。
【請求項10】
請求項
9記載の照明装置であって、
前記制御部は、第一ロール角が検出されると、前記光学系本体(100)の前記第一発光半体(110a)または前記第二発光半体(110b)の、前記第一列(R1)を起動または点灯するよう構成され、
前記制御部は、第二ロール角が検出されると、前記光学系本体(100)の前記第一発光半体(110a)または前記第二発光半体(110b)の、前記第一列(R1)および前記第二列(R2)を起動または点灯するよう構成されること
を特徴とする照明装置。
【請求項11】
請求項
9または10記載の照明装置であって、
前記光学系本体(100)は、導光体(200)の第三列(R3)を備え、
前記第三列(R3)は、前記第一列から第二角度オフセットを有し、前記垂直対象軸(V)に関して軸対称に配置され、
前記光学系本体(100)は、導光体(200)の第四列(R4)を備え、
前記第四列(R4)は、前記第一列から第三角度オフセットを有し、前記垂直対象軸(V)に関して軸対称に配置されること
を特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項
11記載の照明装置であって、
前記制御部は、第三ロール角が検出されると、前記光学系本体(100)の前記第一発光半体(110a)または前記第二発光半体(110b)の、前記第一列(R1)、前記第二列(R2)および前記第三列(R3)を起動または点灯するよう構成され、
前記制御部は、第四ロール角が検出されると、前記光学系本体(100)の前記第一発光半体(110a)または前記第二発光半体(110b)の、前記第一列(R1)、前記第二列(R2)、前記第三列(R3)および第四列(R4)を起動または点灯するよう構成されること
を特徴とする照明装置。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれか1項記載の照明装置であって、
前記セグメント化された配光分布は、分割された遠方ビーム配光分布(ハイビーム配光分布)または減光ビーム配光分布(ロービーム配光分布)であること
を特徴とする照明装置。
【請求項14】
請求項
7記載の照明装置であって、
前記光学系本体は、2つの列(400)を備えること
を特徴とする照明装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の照明装置(10)を少なくとも1つ有する車両前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメント化された配光分布を生成する、単線式自動車(単車)の自動車前照灯のための照明装置であって、以下を備える照明装置に関する。
-光学系本体であって、本体と複数の導光体とを備え、前記導光体は、光源の光から規定可能なセグメント化された配光分布を形成するために前記本体から突出し、前記導光体は、それぞれ、前記光源から光が供給され得る光入射面と、それぞれの導光体に供給され得る光が出射する出射面とを備え、隣接する導光体の前記出射面は、前記光学系本体の共通の出射面を形成する、光学系本体と、
-複数の光源であって、少なくとも1つの光源は、それぞれ、導光体の入射面に対応付けられる光源と、
光軸を有する投影光学系であって、前記照明装置の前面の前記共通の出射面から出射された光を主出射方向の方向に投射(結像)するよう構成された投影光学系。
【0002】
さらに、本発明は、前記発明による照明装置を少なくとも1つ有する自動車前照灯に関する。
【背景技術】
【0003】
単車、例えば、モータバイク等のコーナリング時に、運転手の視界の照度を改善するために、コーナリングの位置に応じて、追加のライトセグメントが点灯される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102018104261号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、これは、追加の反射板および/または光モジュールによって、実現されていた。
【0006】
しかしながら、このような追加のモジュールは、広い設置スペースが必要であり、また、追加モジュール同士を事前に調整する必要があり、さらに手間がかかる。
【0007】
本発明の課題は、改善された照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明の第一の視点によれば、セグメント化された配光分布を生成する、単車の自動車前照灯のための照明装置であって、前記照明装置は、
光学系本体であって、本体と複数の導光体とを備え、前記複数の導光体は、光源の光から規定可能なセグメント化された配光分布を形成するために前記本体から突出し、前記複数の導光体は、それぞれ、前記光源から光が供給され得る光入射面と、それぞれの前記導光体に供給され得る光が出射する出射面とを備え、隣接する導光体の前記出射面は、前記光学系本体の共通の出射面を形成する、光学系本体と、
複数の光源であって、少なくとも1つの光源は、それぞれ、導光体の入射面に対応付けられる光源と、
光軸を有する投影光学系であって、前記照明装置の前面の前記共通の出射面から出射された光を主出射方向の方向に投射するよう構成された投影光学系と、を備え、
前記本体が、第一発光半体と第二発光半体とを有し、
第一発光半体と第二発光半体とは、それぞれ、導光体を有し、
前記導光体は、少なくとも、直線に沿った第一列内および直線に沿った第二列内に配置され、
前記第一列および前記第二列の前記直線は、互いに第一角度オフセットを成すよう配置され、
前記第一発光半体および第二発光半体は、前記本体の垂直対称軸に関して、互いに鏡面対称に配置されることにより解決される。
【0009】
本発明の第二の視点によれば、上記照明装置(10)を少なくとも1つ有する車両前照灯が提供される。
なお、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解を容易にするためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
一つの列の、隣接する導光体の前記出射面どうしは、当該出射面間に隙間なく直接隣接させることができる。
【0012】
異なる列の、隣接する導光体の前記出射面どうしは、当該出射面間に隙間なく直接隣接させることができる。
【0013】
一つの列の、前記導光体の前記出射面は、前記垂直対象軸を起点として順に大きくすることができる。
【0014】
前記導光体の前記入射面は、共通の垂直面であって、前記投影光学系の前記光軸と直角に配置される垂直面内に配置されることができる。
【0015】
前記光源は、発光ダイオードとすることができる。
【0016】
前記発光ダイオードは、それぞれ独立に制御可能とすることができる。
【0017】
前記光学系本体の前記共通の出射面は、湾曲したものとすることができる。
【0018】
前記投影光学系は、湾曲した焦点面を有するものとすることができる。そして、前記光学系本体の共通の出射面は、前記投影光学系の前記焦点面上に配置できる。また、前記共通の出射面は、少なくとも部分的に、前記投影光学系の前記焦点面の湾曲に沿うことができる。ここで、前記出射面は、前記焦点面の、とりわけ中心領域において、つまり、前記投影光学系の前記光軸に近い領域において湾曲に沿う。
【0019】
各導光体は、前記入射面から前記出射面に延びる側壁を有することができる。そして、前記出射面は、2つの短辺と2つの長辺とによりそれぞれ範囲を定めることができる。少なくとも1つの導光体の前記側面は、主出射方向Xに直交する方向と直角に交わり、湾曲して構成することができる。前記導光体の前記側面のうち、前記垂直対象軸に向いた側面は、凸状に構成され、前記導光体200の前記側面のうち、垂直対象軸と反対に向いた側面は、凹状に構成されることができる。
【0020】
各列は、前記垂直対象軸から離れて配置される最外側導光体と、少なくとも1つの内側導光体とを有することができる。各列の前記少なくとも1つの内側導光体は、前記湾曲した側面を有することができる。
【0021】
これにより、投影レンズのペッツバール面の幾何学的形状に対抗する作用を生じ、湾曲した位置でセグメントの斜めの明暗境界に沿って、並びに、斜めの明暗境界に沿って配光分布の中心から放射状に外向きに、所望の強度変化を達成する。
【0022】
前記光学系本体は、前記垂直対象軸において前記2つの発光半体が収束する領域に、少なくとも1つの列を備えることができる。当該列は、少なくとも2つの導光体を有することができる。この列は、直線に沿って配置されることができる。直線は、前記垂直対象軸に直交するよう配置されることができる。前記光学系本体は、2つの列を備えることが望ましい。
【0023】
これにより、セグメント化された配光分布が遠方ビーム配光分布として意図された場合、遠方ビームモードでも車両の前方領域に光が届くようになり、輝度最小を回避することが可能になる。
【0024】
各導光体の前記入射面は、前記主出射方向から見たとき、前記出射面の面中心と前記対応する入射面の面中心とがオフセット(ずれ)を有するといった、前記対応する出射面から平行なオフセット(ずれ)を有するものとすることができる。
【0025】
この規定は、中心で最大となる一様な(連続した)配光分布を生成するために前記光の前記焦点を前記配光分布の中心に向けて移動させる役割を果たす。
【0026】
前記照明装置は、制御部と、少なくとも1つのロール角センサとを備えることができる。ロール角センサは、前記照明装置の前記主出射方向について、実際の位置の、定義された標準の位置からの誤差を測定するよう構成されることができる。前記制御部は、少なくとも1つのロール角センサからロール角を受信し、当該ロール角に応じて前記導光体の個々の列を点灯および/または消灯するよう構成されることができる。
【0027】
前記制御部は、第一ロール角が検出されると、前記光学系本体の前記第一発光半体または前記第二発光半体の前記第一列を起動または点灯するよう構成されることができる。また、前記制御部は、第二ロール角が検出されると、前記光学系本体の前記第一発光半体または前記第二発光半体の前記第一列および前記第二列を起動または点灯するよう構成されることができる。
【0028】
前記光学系本体は、導光体の第三列を備えることができる。前記第三列は、前記第一列から第二角度オフセットを有し、前記垂直対象軸に関して軸対称に配置されることができる。前記光学系本体は、導光体の第四列を備えることができる。前記第四列は、前記第一列から第三角度オフセットを有し、前記垂直対象軸に関して軸対称に配置されることができる。
【0029】
前記制御部は、第三ロール角が検出されると、前記光学系本体の前記第一発光半体または前記第二発光半体の、前記第一列、前記第二列および前記第三列を起動または点灯するよう構成されることができる。前記制御部は、第四ロール角が検出されると、前記光学系本体の前記第一発光半体または前記第二発光半体の、前記第一列、前記第二列、前記第三列および第四列を起動または点灯するよう構成されることができる。
【0030】
前記第一ロール角は、5°から7°の範囲、前記第二ロール角は7°から17°の範囲、前記第三ロール角は17°から27°の範囲、そして、前記第四ロール角は、27°を超えた範囲とすることができる。
【0031】
上記の角度は絶対値として理解され、負の角度も含まれること、すなわち、示されたロール角の範囲は、左方向だけでなく右方向へのコーナリング位置でも同様に理解されることに留意されたい。
【0032】
セグメント化された配光分布は、遠方ビーム配光分布(ハイビーム配光分布)とすることができる。
【0033】
また、前記課題は、本発明による少なくとも1つの照明装置を有する車両前照灯によっても達成される。
【0034】
以下、例示的な図面に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、光学系本体と下流の投影光学系とを備える照明装置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、互いに角度オフセットを有する列に配置された導光体を有する
図2の光学系本体の背面図である。
【
図4A】
図4Aは、導光体の第一列を点灯した際の配光分布例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、導光体の第一列および第二列を点灯した際の配光分布例を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、導光体の第一列、第二列および第三列を点灯した際の配光分布例を示す図である。
【
図4D】
図4Dは、導光体の第一列、第二列、第三列および第四列を点灯した際の配光分布例を示す図である。
【実施例】
【0036】
図1に、単車、例えば、モータバイク等の、自動車前照灯のための、セグメント化された配光分布を生成する照明装置10の一例を示す。照明装置10は、光学系本体100を有する。光学系本体100は、本体110と複数の導光体200とを備える。導光体200は、光源50の光から、規定可能なセグメント化された配光分布を生成するために本体110から突出する。
【0037】
導光体200は、それぞれ、光の入射面210と出射面220とを備える。入射面210には、光源50から光が供給される。出射面220からはそれぞれの導光体200に供給され得る光が出射する。隣接する導光体200の出射面220は、光学系本体100の、湾曲した共通の出射面220aを形成する。
【0038】
さらに、照明装置10は、複数の光源50を備える。少なくとも1つの光源は、導光体200の入射面210にそれぞれ対応付けられる。照明装置10は、さらに、Aを光軸とする(光軸Aを有する)投影光学系300を有する。投影光学系300は、照明装置10の前面の共通の出射面220aから出射した光を、主出射方向Xの方向に投射するよう構成される。
【0039】
さらに、投影光学系300は、湾曲した焦点面を有する。光学系本体100の共通の出射面220aは、投影光学系300の焦点面内に配置される。共通の出射面220aは、投影光学系300の焦点面の湾曲(曲率)に沿う。
【0040】
本体110は、第一発光半体110aと第二発光半体110bとを備える。第一発光半体110aは、直線G1に沿った第一列R1上と、直線G2に沿った第二列R2上と、直線G3に沿った第三列R3上と、直線G4に沿った第四列R4上とに配置される導光体200を有する。第一列R1が沿う直線と第二列R2が沿う直線とは、互いに第一角度オフセットW1を成すよう配置される。第一列R1が沿う直線と第三列R3が沿う直線とは、互いに第二角度オフセットW2を成すよう配置される。第一列R1が沿う直線と第四列R4が沿う直線とは、互いに第三角度オフセットW3を成すよう配置される。また、第一発光半体110aと第二発光半体110bとは、本体110上の垂直対象軸Vに対し鏡面対称に配置される。この場合、第二発光半体110bも、4つの列R1’、R2’、R3’、およびR4’を有する。これらは、それぞれ、第一発光半体110aの各列と同様に、互いに対応する角度オフセットを有する。
【0041】
図2および
図3に示すように、各列R1、R1’、R2、R2’、R3、R3’、R4、R4’の導光体200の出射面220は、垂直対象軸Vを起点として順に大きくなることがわかる。
【0042】
また、(複数の)導光体200の入射面210は、共通の垂直面に配置される。この共通の垂直面は、投影光学系300の光軸Aと直角に配置される。
【0043】
また、
図2および
図3に示すように、各導光体200は、入射面210から出射面220に延びる側壁を有する。出射面220は、2つの短辺と2つの長辺とによりそれぞれ範囲が定まる。少なくとも1つの導光体200の側面は、主出射方向Xに直交する方向と直角に交わり、湾曲している。導光体200の側面のうち、垂直対象軸Vに向いた側面230aは、凸状に構成され、導光体200の側面のうち、垂直対象軸Vと反対に向いた側面230bは、凹状に構成される。
【0044】
さらに、各列R1、R1’、R2、R2’、R3、R3’、R4、R4’は、垂直対象軸Vから離れて配置される最外側導光体と、少なくとも1つの内側導光体とを有する。各列R1、R1’、R2、R2’、R3、R3’、R4、R4’の少なくとも1つの内側導光体は、湾曲した側面を有する。
【0045】
また、
図2および
図3に示すように、各導光体200の入射面210は、主出射方向Xから見たとき、出射面220の面中心と対応する入射面210の面中心とがオフセットを有するように、対応する出射面220から平行なオフセットを有する。
【0046】
さらに、照明装置10は、制御部と、少なくとも1つのロール角センサとを備える。ロール角センサは、主出射方向Xについて、照明装置10の、実際の位置の、定義された標準位置からのロール角の誤差を測定するよう構成される。制御部は、少なくとも1つのロール角センサからロール角を受信し、ロール角に応じて、導光体200の個々の列R1,R1’、R2、R2’、R3、R3’、R4、R4’を点灯および/または消灯するよう構成される。
【0047】
図3Aは、光学系本体100の他の例を示す。ここでは、光学系本体100は、垂直対称軸Vにおいて2つの発光半体が1点に集まる領域に、2つの列400を備える。2つの列は、少なくとも2つの導光体を有する。これらの列400は、垂直対称軸
Vに直交する直線に沿って配置される。上記は、
図3Aに示す実施形態にも適用される。
【0048】
図4A、4B、4Cおよび4Dに、例えば、モータバイク等の単車が、左側の位置(左手ポジション)または左曲がりのカーブ(左手ベンド)にいる場合の配光分布例をそれぞれ示す。第一発光半体110aの個々の列は、ロール角によって点灯される。なお、上記は、対応する右手ポジションまたは右手ベンドにも適用されるものとする。
【0049】
図4Aに示すように、制御部は、第一ロール角が検出されたとき、光学系本体100の第一発光半体110aまたは第二発光半体110bの第一列R1を起動または点灯するよう構成される。また、
図4Bに示すように、制御部は、第二のロール角が検出されたとき、光学系本体100の第一発光半体110aまたは第二発光半体110bの、第一列R1および第二列R2を起動または点灯するよう構成される。
【0050】
さらに、
図4Cに示すように、制御部は、第三ロール角が検出されたとき、光学系本体100の第一発光半体110aまたは第二発光半体110bの第一列R1、第二列R2および第三列R3を起動または点灯するよう構成される。また、
図4Dに示すように、制御部は、第四のロール角が検出されたとき、光学系本体100の第一発光半体110aまたは第二発光半体110bの、第一列R1、第二列R2、第三列R3および第四列R4を起動または点灯するよう構成される。
【0051】
第一ロール角は5°から7°の範囲、第二ロール角は7°から17°の範囲、第三ロール角は17°から27°の範囲、そして、第四ロール角は、27°を超えた範囲である。
【0052】
上記の実施形態および変形例の一部又は全部は、以下に付記する形態のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
セグメント化された配光分布を生成する、単車の自動車前照灯のための照明装置であって、前記照明装置は、
光学系本体であって、本体と複数の導光体とを備え、前記複数の導光体は、光源の光から規定可能なセグメント化された配光分布を形成するために前記本体から突出し、前記複数の導光体は、それぞれ、前記光源から光が供給され得る光入射面と、それぞれの前記導光体に供給され得る光が出射する出射面とを備え、隣接する導光体の前記出射面は、前記光学系本体の共通の出射面を形成する、光学系本体と、
複数の光源であって、少なくとも1つの光源は、それぞれ、導光体の入射面に対応付けられる光源と、
光軸を有する投影光学系であって、前記照明装置の前面の前記共通の出射面から出射された光を主出射方向の方向に投射するよう構成された投影光学系と、を備え、
前記本体は、第一発光半体と第二発光半体とを有し、
前記第一発光半体と前記第二発光半体とは、それぞれ導光体を有し、
当該導光体は、少なくとも、直線に沿った第一列内および直線に沿った第二列内に配置され、
前記第一列が沿う直線および前記第二列が沿う直線は、互いに第一角度オフセットを成すよう配置され、
前記第一発光半体と前記第二発光半体とは、前記本体の垂直対称軸に関して、互いに鏡面対称に配置されること
を特徴とする照明装置。
(付記2)
付記1記載の照明装置において、
列の前記導光体の前記出射面は、前記垂直対称軸を起点として順に大きくなることが望ましい。
(付記3)
付記1または2記載の照明装置において、
前記導光体の前記入射面は、共通の垂直面内に配置され、
前記垂直面は、前記投影光学系の前記光軸に直角に配置されることが望ましい。
(付記4)
付記1から3のいずれかに記載の照明装置において、
前記光学系本体の前記共通の出射面は、湾曲して構成されていることが望ましい。
(付記5)
付記1から4のいずれかに記載の照明装置において、
前記投影光学系は、湾曲した焦点面を有し、
前記光学系本体の前記共通の出射面は、前記投影光学系の前記焦点面に配置され、
前記共通の出射面は、少なくとも部分的に、前記投影光学系の前記焦点面の前記湾曲に沿うことが望ましい。
(付記6)
付記1から5のいずれかに記載の照明装置において、
各導光体は、前記入射面から前記出射面に延びる側壁を有し、
前記出射面は、それぞれ、2つの短辺と2つの長辺とにより範囲が定まり、
前記導光体の前記側面は、前記主出射方向に直交する方向と直角に交わり、湾曲して構成され、
前記垂直対称軸に向いた、前記導光体の前記側面は、凸状に構成され、前記垂直対称軸と反対に向いた、前記導光体の前記側面は、凹状に構成されることが望ましい。
(付記7)
付記6記載の照明装置において、
各列は、前記垂直対称軸から離れて配置される最外側導光体と、少なくとも1つの内側導光体とを有し、
各列の前記少なくとも1つの内側導光体は、前記湾曲した側面を有することが望ましい。
(付記8)
付記1から7のいずれかに記載の照明装置において、
前記光学系本体は、前記垂直対称軸で前記2つの発光半体が1点に集まる領域に、少なくとも2つの導光体を有する少なくとも1つの列を備え、
前記列は、前記垂直対称軸に直交して配置される直線に沿って配置され、
前記光学系本体は、好ましくは2つの列を備えることが望ましい。
(付記9)
付記1から8のいずれかに記載の照明装置において、
各導光体の前記入射面は、前記主出射方向から見たとき、前記出射面の面中心と前記対応する入射面の面中心とがオフセットを有するように、前記対応する出射面と平行なオフセットを有することが望ましい。
(付記10)
付記1から9のいずれかに記載の照明装置において、
当該照明装置は、制御部と少なくとも1つのロール角センサとを備え、
前記ロール角センサは、前記照明装置の前記主出射方向について実際の位置の、定義された標準の位置からの誤差を測定するよう構成され、
前記制御部は、前記少なくとも1つのロール角センサからロール角を受信し、当該ロール角に応じて前記導光体の個々の列を、点灯および/または消灯するよう構成されることが望ましい。
(付記11)
付記10記載の照明装置において、
前記制御部は、第一ロール角が検出されると、前記光学系本体の前記第一発光半体または前記第二発光半体の、前記第一列を起動または点灯するよう構成され、
前記制御部は、第二ロール角が検出されると、前記光学系本体の前記第一発光半体または前記第二発光半体の、前記第一列および前記第二列を起動または点灯するよう構成されることが望ましい。
(付記12)
付記1から11のいずれかに記載の照明装置において、
前記光学系本体は、導光体の第三列を備え、
前記第三列は、前記第一列から第二角度オフセットを有し、前記垂直対称軸に関して軸対称に配置され、
前記光学系本体は、導光体の第四列を備え、
前記第四列は、前記第一列から第三角度オフセットを有し、前記垂直対称軸に関して軸対称に配置されることが望ましい。
(付記13)
付記12記載の照明装置において、
前記制御部は、第三ロール角が検出されると、前記光学系本体の前記第一発光半体または前記第二発光半体の、前記第一列、前記第二列および前記第三列を起動または点灯するよう構成され、
前記制御部は、第四ロール角が検出されると、前記光学系本体の前記第一発光半体または前記第二発光半体の、前記第一列、前記第二列、前記第三列および第四列を起動または点灯するよう構成されることが望ましい。
(付記14)
付記1から13のいずれかに記載の照明装置において、
前記セグメント化された配光分布は、分割された遠方ビーム配光分布(ハイビーム配光分布)または減光ビーム配光分布(ロービーム配光分布)であることが望ましい。
(付記15)
付記1から14のいずれかに記載の照明装置を少なくとも1つ有する車両前照灯。
【符号の説明】
【0053】
10:照明装置
50:光源
100:光学系本体
110:本体
110a:第一発光半体
110b:第二発光半体
200:導光体
210:入射面
220:出射面
220a:共通の出射面
300:投影光学系
A:光軸
X:主出射方向
V:垂直対象軸
W1、W2、W3:角度オフセット
R1、R2、R3、R4、400:列
G1、G2、G3、G4:直線