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特許7564368高耐熱性コネクター及びこれを含むバッテリーモジュール、バッテリーパック、自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】高耐熱性コネクター及びこれを含むバッテリーモジュール、バッテリーパック、自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/296 20210101AFI20241001BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20241001BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241001BHJP
【FI】
H01M50/296
H01M50/211
H01M50/249
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023532412
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 KR2022013945
(87)【国際公開番号】W WO2023048443
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0125999
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャン-フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン-ウン・ジュン
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-161067(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0088170(KR,A)
【文献】特表2020-506506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクターターミナルと、
前記コネクターターミナルを取り囲むコネクターハウジングと、
前記コネクターハウジングに結合され、1000℃以上の融点を有する耐熱性金属素材と前記耐熱性金属素材よりも軽い軽量金属素材とを含む異種複合素材からなるコネクターヘッダボディーと、
を含むコネクターであって、
前記コネクターヘッダボディーは、前記コネクターハウジングから相対的に遠く、当該コネクターが接続するセル組立体に向かう第1部分が前記耐熱性金属素材からなり、前記第1部分よりも前記コネクターハウジングに近い第2部分が前記軽量金属素材からなる、コネクター。
【請求項2】
前記コネクターヘッダボディーは、前記コネクターハウジングから相対的に遠い前記第1部分がステンレス(SUS金属)素材からなり、前記第1部分よりも前記コネクターハウジングに近い第2部分がアルミニウム系金属素材からなる、請求項1に記載のコネクター。
【請求項3】
前記異種複合素材は、クラッド金属(cladmetal)である、請求項1または2に記載のコネクター。
【請求項4】
少なくとも一つのバッテリーセルを含むセル組立体と、
前記セル組立体を収容するモジュールケースと、
前記モジュールケースに装着されるコネクターと、
を含むバッテリーモジュールであって
前記コネクターは、
前記バッテリーセルと電気的に接続するためのコネクターターミナルと、
前記コネクターターミナルを取り囲むコネクターハウジングと、
前記コネクターハウジングに結合され、前記モジュールケースに少なくとも一部が挿入されて前記モジュールケースに装着され、1000℃以上の融点を有する耐熱性金属素材と前記耐熱性金属素材よりも軽い軽量金属素材とを含む異種複合素材からなるコネクターヘッダボディーと、を含み、
前記コネクターヘッダボディーは、前記モジュールケースの内側の前記セル組立体に向かう第1部分が前記耐熱性金属素材からなり、前記第1部分よりも前記モジュールケースの外側に向かう第2部分が前記軽量金属素材からなる
バッテリーモジュール。
【請求項5】
前記コネクターヘッダボディーは、前記モジュールケースの内側の前記セル組立体に向かう第1部分がステンレス(SUS金属)素材からなり、前記第1部分よりも前記モジュールケースの外側に向かう第2部分がアルミニウム系金属素材からなる、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記コネクターヘッダボディーは、前記耐熱性金属素材が前記モジュールケースの内側の前記セル組立体に向かっており、前記耐熱性金属素材の融点が1400℃以上である、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記異種複合素材は、クラッド金属である、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記モジュールケースに開口部が形成されており、前記コネクターヘッダボディーは、前記開口部の内側で前記モジュールケースに面接触しながらボルト締結されて前記開口部を気密とする、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記コネクターハウジングは、前記コネクターヘッダボディーに締り嵌めまたはフック締結により結合される、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記コネクターハウジングと前記コネクターヘッダボディーは、一体成形された単一部品である、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記モジュールケースとコネクターヘッダボディーとの間に介在され、1000℃以上の融点を有するシーリングガスケットをさらに含む、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
前記モジュールケースに開口部が形成されており、前記コネクターヘッダボディーは、前記開口部の内側で前記シーリングガスケットを介在して前記モジュールケースに面接触しながら前記開口部を気密とする、請求項11に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
前記シーリングガスケットは、前記開口部と同じ大きさの中空を有するフレーム形状を有する、請求項12に記載のバッテリーモジュール。
【請求項14】
前記シーリングガスケットと前記コネクターヘッダボディーは、前記モジュールケースにボルト締結される、請求項11に記載のバッテリーモジュール。
【請求項15】
前記シーリングガスケットは、シリコンガスケットである、請求項11に記載のバッテリーモジュール。
【請求項16】
請求項から15のいずれか一項に記載の少なくとも一つのバッテリーモジュールと、
前記少なくとも一つのバッテリーモジュールをパッケージングするパックケースと、
を含む、バッテリーパック。
【請求項17】
請求項16に記載の少なくとも一つのバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュール、バッテリーパック、及びこれらを含む自動車に関し、より詳しくは、改善されたコネクターを有するバッテリーモジュール、バッテリーパック、及びこれらを含む自動車に関する。本出願は、2021年9月23日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0125999号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて引用によって本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、製品群による適用容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有するため、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源により駆動する電気自動車やハイブリッド自動車、電力貯蔵装置などに広く適用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用量を大幅に削減できるという一次的な利点だけでなく、エネルギーの使用に伴う副産物を発生させないことから、エネルギー効率を向上させ、環境に配慮した新しいエネルギー源として注目されている。
【0003】
電気自動車などに適用されるバッテリーパックは、高出力を得るために、複数の二次電池バッテリーセルを含む複数のセル組立体を直列に接続した構造を有する。さらに、バッテリーセルは、正極及び負極の集電体、セパレーター、活物質、電解液などを含む構成要素間の電気化学的反応によって、充電および放電を繰り返すことができる。
【0004】
一方、近年、エネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量構造の必要性が高まっているため、複数のバッテリーセルが直列及び/又は並列に接続された複数のバッテリーモジュールを集合させたマルチモジュール構造のバッテリーパックの需要が増加している。バッテリーパックを構成する場合、まず少なくとも一つのバッテリーセルからなるバッテリーモジュールを構成し、このような少なくとも一つのバッテリーモジュールを用いてその他の構成要素を追加することによってバッテリーパックを構成する方法が一般的である。前記バッテリーパックに含まれるバッテリーモジュールの数、またはバッテリーモジュールに含まれるバッテリーセルの数は、要求される出力電圧または充放電容量に応じて多様に設定され得る。
【0005】
バッテリーモジュールは、バッテリーセルと各種電装部品などをモジュールケース内にパッケージングし、モジュールケースの外側の外部機器などと電気的に接続するためのコネクターを備える。コネクターは、複数のバッテリーモジュールを互いに電気的に接続するための接続用コネクター、バッテリーセルの電圧をモニタリングするためのセンシング用コネクター、バッテリーセルを充電するための充電装置と接続するための充電用コネクター、またはバッテリーセルに充電されたエネルギーを用いて駆動するモーターと接続する出力用コネクターなどであってもよい。
【0006】
従来のバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルが狭いスペースに密集した形で製造されるため、火災などを予防することが重要である。特に、このようなバッテリーモジュール及びこれを含むバッテリーパックが車両に適用される場合、厳しい安全性テストに合格する必要がある。
【0007】
既存のバッテリーモジュールに搭載されているコネクターは、コネクターターミナル以外は一般にプラスチックの射出成形により作製されるのがほとんどであるが、これを適用したバッテリーモジュールが異常高温になるとコネクターが溶けやすいという問題があった。特に、このようなコネクターを装着したバッテリーモジュールまたはその集合体であるバッテリーパックは、熱暴走試験に合格しない場合がある。熱暴走試験とは、GB規格のことで、バッテリーパックまたはシステムが、バッテリーの熱暴走による熱拡散によって自動車の搭乗空間に危険を及ぼす5分前に、熱イベントアラーム信号を提供する試験を意味する。
【0008】
したがって、GB規格を満足するためには、火炎などによる高温環境及び/又はベントガス(venting gas)による高圧環境の拡散を防止するためのコネクターが必ず必要というのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、バッテリーモジュール内の火炎の発生などによる高温及び/又はバッテリーモジュール内のベントガスによる高圧環境が、外部に拡散することを防止するための改善されたコネクターを提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする他の課題は、改善されたコネクターを含むバッテリーモジュールを提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、このようなバッテリーモジュールを含むことにより、火災や爆発に対する安定性を高めたバッテリーパック及び自動車を提供することである。
【0012】
しかしながら、本発明が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されるものではなく、言及されていないさらに他の課題は、後術する発明の説明から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明に係るコネクターは、コネクターターミナルと、前記コネクターターミナルを取り囲むコネクターハウジングと、前記コネクターハウジングに結合され、1000℃以上の融点を有する耐熱性金属素材と前記耐熱性金属素材よりも軽い軽量金属素材とを含む異種複合素材からなるコネクターヘッダボディーと、を含む。
【0014】
前記コネクターヘッダボディーは、前記コネクターハウジングから相対的に遠い第1部分が前記耐熱性金属素材からなり、前記第1部分よりも前記コネクターハウジングに近い第2部分が前記軽量金属素材からなっていてもよい。
【0015】
前記コネクターヘッダボディーは、前記コネクターハウジングから相対的に遠い第1部分がステンレス(SUS金属)素材からなり、前記第1部分よりも前記コネクターハウジングに近い第2部分がアルミニウム系金属素材からなっていてもよい。
【0016】
前記異種複合素材は、クラッド金属(clad metal)であってもよい。
【0017】
上記課題を解決するための本発明に係るバッテリーモジュールは、少なくとも一つのバッテリーセルを含むセル組立体と、前記セル組立体を収容するモジュールケースと、前記モジュールケースに装着されるコネクターと、を含む。前記コネクターは、前記バッテリーセルと電気的に接続するためのコネクターターミナルと、前記コネクターターミナルを取り囲むコネクターハウジングと、前記コネクターハウジングに結合され、前記モジュールケースに少なくとも一部が挿入されて前記モジュールケースに装着されるコネクターヘッダボディーと、を含む。ここで、前記コネクターヘッダボディーは、1000℃以上の融点を有する耐熱性金属素材と前記耐熱性金属素材よりも軽い軽量金属素材とを含む異種複合素材からなることを特徴とする。
【0018】
本発明において、前記コネクターヘッダボディーは、前記モジュールケースの内側の前記セル組立体に向かう第1部分が前記耐熱性金属素材からなり、前記第1部分よりも前記モジュールケースの外側に向かう第2部分が前記軽量金属素材からなっていてもよい。
【0019】
前記コネクターヘッダボディーは、前記モジュールケースの内側の前記セル組立体に向かう第1部分がステンレス(SUS金属)素材からなり、前記第1部分よりも前記モジュールケースの外側に向かう第2部分がアルミニウム系金属素材からなっていてもよい。
【0020】
前記コネクターヘッダボディーは、前記耐熱性金属素材が前記モジュールケースの内側の前記セル組立体に向かっており、前記耐熱性金属素材の融点が1400℃以上であってもよい。
【0021】
前記モジュールケースに開口部が形成されており、前記コネクターヘッダボディーは、前記開口部の内側で前記モジュールケースに面接触しながらボルト締結されて前記開口部を気密とするものであってもよい。
【0022】
このとき、前記コネクターヘッダボディーは、前記モジュールケースの内側の前記セル組立体に向かう第1部分が前記耐熱性金属素材からなり、前記第1部分よりも前記モジュールケースの外側に向かう第2部分が前記軽量金属素材からなっていてもよい。
【0023】
前記コネクターハウジングは、前記コネクターヘッダボディーに締り嵌めまたはフック締結により結合されてもよい。
【0024】
他の例として、前記コネクターハウジングと前記コネクターヘッダボディーは、一体成形された単一の部品であってもよい。
【0025】
本発明の他の実施形態によれば、前記バッテリーモジュールは、前記モジュールケースとコネクターヘッダボディーとの間に介在され、1000℃以上の融点を有するシーリングガスケットをさらに含む。
【0026】
前記モジュールケースに開口部が形成されており、前記コネクターヘッダボディーは、前記開口部の内側で前記シーリングガスケットを介在して前記モジュールケースに面接触しながら前記開口部を気密とするものであってもよい。
【0027】
前記シーリングガスケットは、前記開口部と同じ大きさの中空を有するフレーム形状を有するものであってもよい。
【0028】
前記シーリングガスケットと前記コネクターヘッダボディーは、前記モジュールケースにボルト締結されてもよい。
【0029】
前記シーリングガスケットは、シリコンガスケットであってもよい。
【0030】
本発明はまた、このようなバッテリーモジュールを少なくとも一つ含むバッテリーパックと、このようなバッテリーパックを少なくとも一つ含む自動車と、を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、バッテリーモジュール内の火炎の発生による高温環境及び/又はバッテリーモジュール内のベントガスによる高圧環境が、外部に拡散することを防止するための改善されたコネクター、いわゆる高耐熱性コネクター及びこれを含むバッテリーモジュールを提供することができる。
【0032】
本発明に係るバッテリーモジュールは、1000℃以上の融点を有する耐熱性金属素材を含むコネクターヘッダボディーを含むコネクターを備えているため、バッテリーモジュール内で火炎が発生して異常な高温状態になっても、バッテリーモジュールの外側への火炎拡散を防止することができる。また、バッテリーモジュール内でベントガスが発生して異常な高圧状態になっても、コネクター側による爆発を防止することができる。
【0033】
特に、本発明で提案するように、コネクターに異種複合素材を適用することにより、バッテリーモジュールの内側の火炎にさらされる部分のみが耐熱性金属素材で作られ、残りの部分はより軽い軽量金属素材で作られると、気密性及び耐熱性に加えて軽量化をも実現することができる。
【0034】
このように本発明によれば、熱暴走が発生してもバッテリーモジュールの気密構造を維持し、高温/高圧環境に耐える高耐熱性コネクターを含むバッテリーモジュールを提供することができる。異種複合素材を適用することで、単一金属のコネクターを適用する場合に比べて軽量化及びコスト削減の効果もある。
【0035】
さらに、本発明に係る他のバッテリーモジュールは、1000℃以上の融点を有するシーリングガスケットを含むので、バッテリーモジュールの外側への火炎拡散を防止する効果を最大化することができる。
【0036】
例えば、モジュールケース付近の温度が約600℃(最小5分)以上に上昇する場合でも、本発明で提案するコネクターを含むバッテリーモジュールは、高温/高圧(100kpa)に耐えることができ、熱転移を防ぐことができる。したがって、本発明によれば、安全性が向上したバッテリーモジュール、これを含むバッテリーパック及び自動車を提供することができる。
【0037】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解するのに役にたつが、本発明は、そのような図面に記載されている事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュールの概略分離斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュールの正面図であり、コネクター部分を拡大して示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュールからコネクター部分を分離して示す斜視図である。
図4図2のIV-IV’線に沿う断面に対応する図1の部分断面図である。
図5図2のV-V’線に沿う断面に対応する図1の部分断面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係るバッテリーモジュールからコネクター部分を分離して示す斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態に係るバッテリーモジュールに含まれ得るシーリングガスケットの斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックを示す概略図である。
図9】本発明の一実施形態に係る自動車を示す概略図である。
図10】実験用に作製したコネクターの写真である。
図12】実験用に作製したコネクターの写真である。
図13】コネクター検証用のテストセッティング写真である。
図14】コネクター検証用のテストセッティング写真である。
図15】テスト結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0040】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。なお、本発明の理解を助けるために、添付の図面は、実際の縮尺ではなく一部構成要素の寸法が誇張されて示されることがある。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュールの概略分離斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュールの正面図であり、コネクター部分を拡大して示す図である。図3は、本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュールからコネクター部分を分離して示す斜視図である。図4は、図2のIV-IV’線に沿う断面に対応する図1の部分断面図であり、図5は、図2のV-V’線に沿う断面に対応する図1の部分断面図である。
【0042】
まず、図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュール10は、セル組立体100と、モジュールケース150と、コネクター200とを含む。
【0043】
セル組立体100は、少なくとも一つのバッテリーセルを含む。セル組立体100を構成するバッテリーセルは、パウチ型二次電池として提供されてもよく、セル組立体100内に複数が積層されて整列されてもよい。前記複数のバッテリーセルは、互いに電気的に接続され得、各バッテリーセルは、電極組立体と、これを収容する外装材と、前記外装材の外に突出し、前記電極組立体と電気的に接続される電極リードと、を含み得る。
【0044】
電極リードは、正極電極リードと負極電極リードとを含んでいてもよい。正極電極リードと負極電極リードは、バッテリーセルの長さ方向に対して互いに反対方向に配置されてもよく、または、正極電極リードと負極電極リードは、バッテリーセルの長さ方向に対して互いに同じ方向に配置されてもよい。正極電極リードと負極電極リードは、様々な材質からなり得、例えば、正極電極リードはアルミニウム材質からなり、負極電極リードは銅材質からなり得る。
【0045】
電極リードは、バスバー(図示せず)に電気的に結合されてもよい。バッテリーセルは、正極板-セパレーター-負極板の順に配列される単位セル、または正極板-セパレーター-負極板-セパレーター-正極板-セパレーター-負極板の順に配列されるバイセルを、容量に合わせて複数積層した構造を有することができる。
【0046】
セル組立体100は、複数のバッテリーセルが互いに積層されるように構成され得る。ここで、バッテリーセルは様々な構造を有することができ、また、複数のバッテリーセルは様々な方式で積層され得る。
【0047】
セル組立体100は、各バッテリーセルを収納する複数のカートリッジ(図示せず)を備えていてもよい。各カートリッジ(図示せず)は、プラスチック射出成形で製造されてもよく、バッテリーセルを収納できる収納部が形成された複数のカートリッジが積層されてもよい。複数のカートリッジが積層されたカートリッジ組立体には、端子要素が設けられてもよい。端子要素は、バッテリーセルに接続されるメイン端子であり、正極端子と負極端子とを含み、端子要素は、ターミナルボルトを備えて外部と電気的に接続されてもよい。一方、バッテリーセルは、様々な形状を有し得る。
【0048】
モジュールケース150は、内部に空きスペースを有する。モジュールケース150は、セル組立体100を収容し、バッテリーモジュール10の外観を形成する。モジュールケース150は、セル組立体100またはカートリッジ組立体の形状に対応する形状に形成されてもよい。例えば、セル組立体100またはカートリッジ組立体が六面体形状で提供される場合、モジュールケース150もそれに対応して六面体形状で提供されてもよい。モジュールケース150内には、各種電装部品が含まれてもよく、例えば、内部回路ボード(ICB:Internal Circuit Board)またはバッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)などが含まれてもよい。前記ICB及びBMSボードなどの電装部品は、前記複数のバッテリーセルと電気的に接続され得る。
【0049】
モジュールケース150は、例えば、金属材質のプレートを折り曲げて製造されてもよく、またはプラスチック射出物によって製造されてもよい。そして、モジュールケース150は、一体型として製造されてもよく、または分離型として製造されてもよい。一般に、モジュールケース150は、少なくとも一面が開放された形態で提供され、セル組立体100を、開放部分を通じて挿入した後、開放部分を塞ぐ構造であってもよい。モジュールケース150は、全体として直方体形状に提供されてもよい。
【0050】
モジュールケース150の構成は多様であり得る。例えば、モジュールケース150は、セル組立体100を収容し、上部が開放されたU字型フレームと、U字型フレームの上部でセル組立体100を覆う上部プレート(top plate)と、を含んでいてもよい。U字型フレームは、上面、前面及び後面が開放されており、U字型フレームの前面と後面にはエンドプレートがそれぞれ位置し、開放された前面と後面を塞ぐことができる。
【0051】
他の例として、モジュールケース150は、対向する両側が開放された四角筒状のモノフレームと、前記モノフレームの対向する両側を塞ぐフロントカバーとリアカバーと、を含んでいてもよい。本発明は、特定のモジュールケース150の構造に限定されるものではない。
【0052】
コネクター200は、モジュールケース150に取り付けられる。コネクター200は、モジュールケース150内に収容されるセル組立体100と電気的に接続されやすい部分に取り付けられてもよい。例えば、セル組立体100に含まれるバッテリーセルの電極リードに近い部分に取り付けられてもよい。例えば、図示のように、バッテリーセルの電極リードが位置し得る、モジュールケース150の部分に隣接するエンドプレート、フロントカバー、またはリアカバー側に取り付けられてもよい。コネクター200は、バッテリーモジュール10内部のバッテリーセルの電圧や温度に関するデータを提供できるBMSなどに接続されるための様々なタイプの電気接続部品や接続部材として提供されてもよい。そして、コネクター200は、電圧や温度に関するデータを外部に送信するためにモジュールケース150に結合される。
【0053】
図2及び図3を参照すると、コネクター200は、コネクターターミナル210、コネクターハウジング220、及びコネクターヘッダボディー230を含む。
【0054】
コネクターターミナル210は、コネクター200を基準としてコネクター200の一方の側に設けられる構成要素と、コネクター200の他方の側に設けられる他の構成要素とを電気的に接続するためのものである。本実施形態において、コネクター200は、バッテリーセルの電圧をモニタリングするためのセンシング用コネクターであり、コネクターターミナル210は、セル組立体100のバッテリーセルと電気的に接続するためのものである。コネクターターミナル210には、セル組立体100のバッテリーセルの電圧に関するデータをBMSなどに送出するための送出プラグ(図示せず)が接続され得る。コネクターターミナル210は、例えば、銅(Cu)などの導電性材質を含んでいてもよい。
【0055】
コネクターハウジング220は、コネクターターミナル210を取り囲む。コネクターハウジング220は、コネクターターミナル210を収容して一端を露出させる構造であってもよい。
【0056】
コネクターハウジング220は、コネクターヘッダボディー230に結合される。コネクターハウジング220は、プラスチック射出成形で製造されたコネクターヘッダボディー230とは別個の部品であってもよい。コネクターハウジング220を、コネクターヘッダボディー230に締り嵌めまたはフック締結で結合することができる。
【0057】
コネクターヘッダボディー230は、コネクターハウジング220から露出するコネクターターミナル210の一端を露出させることができる。コネクターヘッダボディー230は、モジュールケース150に少なくとも一部が挿入されてモジュールケース150に取り付けられ、コネクターハウジング220がモジュールケース150の外側に維持されるようにする。コネクターターミナル210は、コネクターハウジング220とコネクターヘッダボディー230とを通過することができる。コネクターヘッダボディー230には、コネクターターミナル210が通過する孔が形成されてもよい。コネクターターミナル210は、コネクターヘッダボディー230の孔を通じてモジュールケース150内に引き込まれ得る。
【0058】
コネクターヘッダボディー230は、モジュールケース150に結合される。コネクターヘッダボディー230は、様々な方式でモジュールケース150に結合され得る。
【0059】
図4及び図5をさらに参照すると、本実施形態では、モジュールケース150に開口部152が形成されており、コネクターヘッダボディー230は、開口部152内でモジュールケース150に面接触しながらボルト240締結されて開口部152を気密としている。コネクターヘッダボディー230には、ボルト240が通過する締結孔が形成されてもよい。
【0060】
開口部152を除く、モジュールケース150のすべての部位は、溶接法によって密封(シーリング)され得る。この場合、バッテリーモジュール10内に熱暴走が発生したととき、火炎やガスに最もさらされる部分がコネクター200部分となる。本発明では、コネクター200を改善することにより、バッテリーモジュール10内の火炎の発生による高温環境及び/又はバッテリーモジュール10内のベントガスによる高圧環境が、外部に拡散することを防止することができる。
【0061】
コネクターヘッダボディー230にコネクターハウジング220を結合した状態でモジュールケース150の内側での開口部152を通過してコネクターハウジング220を露出させた後、モジュールケース150とコネクターヘッダボディー230とをボルト240で締結することができる。その代わりに、モジュールケース150の内側でコネクターヘッダボディー230をモジュールケース150に面接触してモジュールケース150の外側でボルト240締結した後、モジュールケース150の外側でコネクターハウジング220をコネクターヘッダボディー230に結合することもできる。
【0062】
開口部152は、コネクターハウジング220の締結によって遮られるサイズを有していてもよい。開口部152がコネクターハウジング220よりも大きくて、コネクターヘッダボディー230の一部がモジュールケース150の外側から見えることもある。
【0063】
ここで、コネクターヘッダボディー230は、異種複合素材からなることを特徴とする。ここで、異種複合素材は、1000℃以上の融点を有する耐熱性金属素材と、前記耐熱性金属素材よりも軽い軽量金属素材とを含むものを指す。コネクターヘッダボディー230は、コネクターハウジング220から相対的に遠い第1部分230aが前記耐熱性金属素材からなり、前記第1部分230aよりも前記コネクターハウジング220に近い第2部分230bが前記軽量金属素材からなり得る。コネクターヘッダボディー230をなす異種複合素材は、クラッド金属(clad metal)であってもよい。クラッド金属とは、特性の異なる2種以上の金属を高圧下で接合した後、拡散焼鈍を施して異種金属間の結合を誘導した複合金属を指す。クラッド金属は、異種金属間の層状構造を有することができ、単一素材として使用することができる。
【0064】
耐熱性金属素材は、融点が1000℃以上で溶けにくい金属素材である。例えば、融点が鉄の融点である1539℃よりも高い金属の総称である難融金属または耐火金属という金属がこのような耐熱性金属の素材であり得る。例えば、ニオブ、バナジウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、タングステンがこのような耐熱性金属素材である。
【0065】
鉄、ニッケルやコバルトの合金でありながら約1100℃まで使用されるが、1300℃以上も耐える耐熱合金も耐熱性金属素材であり得る。鉄系合金は、ステンレス(SUS金属)、ここにクロム、ニッケルを増やして改良したり、他の元素を添加したりすることが可能である。ニッケル系の合金としては、ニッケルにクロムやコバルトを加えたものがある。ハステロイというニッケル-モリブデン合金もある。
【0066】
バッテリーモジュール10の内部で火炎が発生する場合、コネクターヘッダボディー230付近の温度が約600℃(最小5分)以上まで上昇する可能性があるため、コネクターヘッダボディー230は、高温/高圧(100kpa)に耐えられなければならない。したがって、本発明では、コネクターヘッダボディー230が1000℃以上の融点を有する耐熱性金属素材を含むことを提案する。
【0067】
特に、モジュールケース150内側のセル組立体100に向わせる、融点が1400℃以上の耐熱性金属素材を用いることが好ましい。
【0068】
本実施形態では、図4及び図5に示すように、モジュールケース150内側のセル組立体100に向かう、コネクターヘッダボディー230の第1部分230aは、このような耐熱性金属素材からなる。第1部分230aに比べてモジュールケース150の外側に向かう第2部分230b、本実施形態ではモジュールケース150の内側と面接触する部分は、第1部分230aよりも軽い軽量金属素材からなる。
【0069】
好ましくは、第1部分230aはステンレス(SUS金属)素材からなり、第2部分230bはアルミニウム系金属素材からなる。ステンレス(SUS金属)素材は、融点が1400℃以上であるため、バッテリーモジュール10の内部で火炎が発生しても溶けにくい。ステンレス(SUS金属)素材は、他の耐熱性金属素材に比べて安価である。ステンレス(SUS金属)素材は、軽量金属素材と共にクラッド金属として容易に製造できる加工性を有している。アルミニウムは、融点が660℃であるため、バッテリーモジュール10の外部で発生する高温関連の問題に対してある程度の抵抗性を有しており、非常に軽い。また、アルミニウムは、ステンレス(SUS金属)素材と共にクラッド金属として容易に製造できる加工性を有している。
【0070】
本発明によれば、コネクターヘッダボディー230の第1部分230aは、比較的高温の環境下でも無傷のままであり得る。例えば、火炎がコネクターヘッダボディー230に直接接触しても、第1部分230aは溶融せず、モジュールケース150の反対側のコネクターハウジング220側への熱転移を防止することができる。
【0071】
コネクターヘッダボディー230全体が耐熱性金属素材で作られているわけでなく、モジュールケース150内側のセル組立体100に向かう第1部分230aのみが耐熱性金属素材で作られ、残りの部分、すなわち、モジュールケース150の外側に向かう第2部分230bは、第1部分230aよりも軽い軽量金属素材で作られる。これにより、バッテリーモジュール10の内側に露出して高温/高圧にさらされる部分にはステンレス(SUS金属)素材を適用することにより、耐熱性を確保することができる。バッテリーモジュール10の外側を向かう部分は、軽量化のためにアルミニウム系金属素材などの軽量金属素材で形成される。
【0072】
従来のコネクターでは、コネクターハウジング220とコネクターヘッダボディー230に相当する部品がプラスチック射出物のみで構成されているため、熱暴走時に溶けて煙及び火炎が外部に露出する。プラスチック射出物よりも高い融点を有する材料、例えば単一金属でコネクターを作成するならば、非常に重くなる。重いコネクターをモジュールケース150に締結すると、例えば、ボルト240などの締結手段が緩み、気密性が保たれなくなる場合がある。
【0073】
本発明では、高耐熱性を有しながらも軽量な異種複合素材を適用したコネクターを提供することにより、熱暴走に関するGB規格を満足しつつ、気密性及び軽量化を実現することができる。
【0074】
このように本発明によれば、熱暴走が発生してもバッテリーモジュールの気密構造を維持し、高温/高圧環境に耐える高耐熱性コネクターを含むバッテリーモジュールが提供される。異種複合素材を適用することで、単一金属に比べて軽量化及びコスト削減の効果もある。
【0075】
本実施形態において、コネクターヘッダボディー230とコネクターハウジング220とが別部品である場合について説明した。他の例として、コネクターハウジング220とコネクターヘッダボディー230は、一体成形された単一の部品であってもよい。耐熱性金属素材と軽量金属素材とを含むクラッド金属原板を製造した後、所望の形状のコネクターヘッダボディー230に加工してコネクターヘッダボディー230を製造することができる。金型内にコネクターヘッダボディー230とコネクターターミナル210を配置した後、プラスチックを溶かし、金型に注入して硬化させると、コネクターハウジング220をコネクターヘッダボディー230と一体成形して製造することができる。インサート射出方法によるものと言える。コネクターハウジング220をコネクターヘッダボディー230と一体に製造すると、別途の締結部材を用いなくてもコネクターハウジング220とコネクターヘッダボディー230との間に強い結束力を有することができる。これにより、部品点数の削減による製造コストの低減、締結作業の省略による製造時間の短縮、安定した結合構造の形成が可能となる。
【0076】
図6は、本発明の他の実施形態に係るバッテリーモジュールからコネクター部分を分離して示す斜視図である。図7は、本発明の他の実施形態に係るバッテリーモジュールに含まれ得るシーリングガスケットの斜視図である。
【0077】
図6及び図7を参照すると、バッテリーモジュール10は、モジュールケース150とコネクターヘッダボディー230との間に介在され、1000℃以上の融点を有するシーリングガスケット235をさらに含み得る。
【0078】
モジュールケース150には開口部152が形成されており、コネクターヘッダボディー230は、開口部152内側でシーリングガスケット235を介在してモジュールケース150に面接触しながら開口部152を気密とすることができる。コネクターヘッダボディー230には、ボルト240が通過する締結孔が形成されてもよい。
【0079】
コネクターヘッダボディー230にシーリングガスケット235とコネクターハウジング220とを結合した状態でモジュールケース150の内側での開口部152を通過してコネクターハウジング220を露出させた後、モジュールケース150とコネクターヘッダボディー230とをボルト240で締結することができる。その代わりに、モジュールケース150の内側でコネクターヘッダボディー230とモジュールケース150との間にシーリングガスケット235を介して面接触するように配置した後、モジュールケース150の外側でボルト240締結し、モジュールケース150の外側でコネクターハウジング220をコネクターヘッダボディー230に結合することもできる。
【0080】
シーリングガスケット235は、開口部152と同じ大きさの中空を有するフレーム形状を有していてもよい。シーリングガスケット235の外周は、コネクターヘッダボディー230の外周と一致してもよい。
【0081】
シーリングガスケット235及びコネクターヘッダボディー230は、モジュールケース150に共にボルト240締結されてもよい。参照符号237は、シーリングガスケット235にボルト240が通過するように設けられた締結孔である。
【0082】
シーリングガスケット235はシリコンガスケットであることが好ましい。シーリングガスケット235は、バッテリーモジュール10内の熱暴走時にも気密性を維持し、火炎及びガスがコネクター200を介してバッテリーモジュール10の外部に露出しないようにする効果に優れている。
【0083】
開口部152は、コネクターハウジング220の締結によって遮られるサイズを有していてもよい。開口部152がコネクターハウジング220よりも大きくて、コネクターヘッダボディー230の一部がモジュールケース150の外側から見えることもある。
【0084】
シーリングガスケット235は、コネクター200を構成する部品と見なすこともできるし、コネクター200とは別個の部品と見なすこともできる。このようなシーリングガスケット235を含むバッテリーモジュールは、バッテリーモジュール内で火炎が発生して異常高温状態になる場合でも、バッテリーモジュールの外側への火炎拡散を防止する効果を極大化することができる。
【0085】
本発明によれば、コネクターヘッダボディー230は、比較的高温の環境下でも無傷のままであり得る。火炎がコネクターヘッダボディー230に直接接触しても溶融しない。シーリングガスケット235も比較的高温の環境下でも無傷のままであり得る。火炎がシーリングガスケット235に直接接触しても溶融しない。シーリングガスケット235は、モジュールケース150の反対側のコネクターハウジング220側への熱転移を防止することができる。
【0086】
従来のコネクターでは、コネクターハウジング220とコネクターヘッダボディー230に相当する部品がプラスチック射出物のみで構成されているため、熱暴走時に溶けて煙及び火炎が外部に露出する。シーリングガスケット235などのシーリング部品もない。本発明では、1000℃以上の融点を有することにより耐熱性の高いコネクターヘッダボディー230を含むコネクター200とシーリングガスケット235とを含むバッテリーモジュール10を提供することにより、熱暴走に関するGB規格を満足しつつ、気密性を維持することができる。
【0087】
このように本発明によれば、熱暴走が発生しても、バッテリーモジュールの気密構造を維持し、高温/高圧環境に耐えるバッテリーモジュールが提供される。
【0088】
図8は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパックを示す概略図である。図9は、本発明の一実施形態に係る自動車を示す概略図である。
【0089】
図8及び図9を参照すれば、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック300は、上述した本発明に係るバッテリーモジュール、例えば、一実施形態に係るバッテリーモジュール10を少なくとも一つ含み得る。また、バッテリーパック300は、前記少なくとも一つのバッテリーモジュール10を収容できるパックケース310を含み得る。なお、このようなバッテリーモジュール10に加えて、他の様々な構成要素、例えば、リレーや電流センサーなどの、本発明の出願時に公知であるバッテリーパックの構成要素などをさらに含んでいてもよい。
【0090】
バッテリーモジュール10は、略直方体状に形成されていて、バッテリーパックケース310内に整然と並べることができ、各バッテリーモジュール10は、自動車400の走行に必要な電力を確保できるように接続されている。
【0091】
バッテリーパックケース310は、バッテリーモジュール10を固定収納する容器であり、直方体の箱である。また、このバッテリーパックケース310は、自動車400内の所定の位置に配設され得る。
【0092】
好ましくは、自動車400は電気自動車であり得る。バッテリーパック300は、電気自動車のモーターに駆動力を提供して自動車400を駆動するための電気エネルギー源として使用され得る。この場合、バッテリーパック300は、100V以上の高い公称電圧を有する。
【0093】
バッテリーパック300は、モーター及び/又は内燃機関の駆動によってインバーターにより充電又は放電される。バッテリーパック300は、ブレーキ(brake)と結合された回生充電装置によって充電され得る。バッテリーパック300は、インバーターを介して自動車400のモーターに電気的に接続される。また、バッテリーパック300は、前記自動車以外にも、二次電池を用いた電力貯蔵装置(ESS)などの他の装置や器具及び設備などにも搭載されてもよいことは言うまでもない。
【0094】
このように、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック300、および前記自動車400などの前記バッテリーパック300を備える装置や器具及び設備は、上述の前記バッテリーモジュール10を含むので、上述のバッテリーモジュール10によるすべての利点を有するバッテリーパック300、およびこのようなバッテリーパック300を備える自動車400などの装置や器具及び設備などを実現することができる。
【0095】
以上のような様々な実施形態によれば、バッテリーモジュール内で火炎が発生して異常高温状態になった場合でも、バッテリーモジュールの外側への火炎拡散を防止することができる。また、本発明によれば、バッテリーモジュール内でベントガスが発生して異常高圧状態になっても、バッテリーモジュールの爆発を防止することができる。
【0096】
例えば、モジュールケース付近の温度が約600℃(最小5分)以上まで上昇した場合でも、本発明で提案するコネクターを含むバッテリーモジュールは、高温/高圧(100kpa)に耐えることができ、熱転移を防止することができる。したがって、本発明によれば、安全性が向上したバッテリーモジュール、これを含むバッテリーパック及び自動車を提供することができる。
【0097】
以下、実験形態を説明することにより本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0098】
図10から図12は、実験用に作製したコネクターの写真であり、まず、図10は、コネクターヘッダボディー230と、コネクターターミナル210が含まれるコネクターハウジング220とを含むコネクター200と、シーリングガスケット235とを示している。
【0099】
図11は、コネクター200とシーリングガスケット235とを組み立てた後、コネクターヘッダボディー230側から撮影した写真であり、バッテリーモジュールのモジュールケースの内側の様子を示す。コネクターヘッダボディー230の第1部分230aは、SUS金属製である。コネクターヘッダボディー230の第2部分230bは、アルミニウム製である。第1部分230aおよび第2部分230bは、クラッド金属である異種複合素材である。クラッド金属の厚さは6mmであり、このうちSUS金属の厚さはクラッド金属の全厚さの10%である。
【0100】
図12は、コネクター200とシーリングガスケット235とを組み立てた後、シーリングガスケット235側で撮影した写真であり、バッテリーモジュールのモジュールケースの外側の様子を示す。シーリングガスケット235はシリコン素材からなる。シーリングガスケット235の厚さは2mmである。
【0101】
図13及び図14は、コネクター200を検証するためのテストセッティング写真である。モジュールケースにコネクター200を装着するために、図13に示すように、モジュールケース150と類似のアルミニウム製のプレート150’にシーリングガスケット235を介在してコネクター200を装着した。モジュールケース内側で火炎が発生する場合をシミュレートするために、プレート150’の反対側にてトーチ500で加熱してテストした。テスト時に各部位の温度をチェックするために、図14に示すように、火炎に直接さらされる部位である第1部分230aに近い位置「a」、コネクターヘッダボディー230とシーリングガスケット235との間の位置「b」、及びシーリングガスケット235とプレート150’との間の位置「c」にそれぞれ温度測定線を接続した。
【0102】
図15は、テスト結果を示すグラフである。図15は、特定の時点で撮影したコネクター200の写真を挿入写真として示す。
【0103】
トーチ500で火炎を発生させ始めた時間をグラフ横軸の0とし、位置a、位置bおよび位置cでの温度を測定し、縦軸にマッピングしてグラフ化した。位置aでの温度変化は、火炎に直接さらされる部位である第1部分230aでの温度変化を示し、図15に示すように、約1000℃の非常に高い温度である。しかしながら、第1部分230aが熱転移を遮断するので、コネクターヘッダボディー230とシーリングガスケット235との間の位置bでの温度は400℃近くまで落ちる。さらに、シーリングガスケット235が熱転移を遮断するので、シーリングガスケット235とプレート150’との間の位置cでの温度は200℃以下に維持され、5分後に約400℃まで上昇する。このように、コネクター200とシーリングガスケット235とを含むことにより、モジュールケース内部で火炎が発生してもモジュールケース外側への熱転移を防止する効果が確認できる。
【0104】
特に、挿入写真を経時的に見ると、耐熱性の効果が顕著である。
【0105】
図15の挿入写真(1)を参照すると、コネクターハウジング220の変形の始まりは、トーチ500による加熱の40秒後の時点から観察された。挿入写真(2)は1分11秒経過時の写真であり、コネクターハウジング220の燃焼が始まった。その後、挿入写真(3)に示すように、3分経過後にコネクターハウジング220の離脱が発生した。挿入写真(4)は、4分経過後の写真であり、コネクターハウジング220が完全燃焼したが、プレート150’の外部への火炎露出は全くなかった。
【0106】
このように、本発明で提案するように、異種複合素材でコネクター200を作った場合、3分後にコネクターハウジング220の離脱が起こるが、そうでない従来の場合には、火炎露出直後に直ちにコネクターハウジングが離脱してしまう。これは、異種複合素材ではなく、プラスチック素材のみで作られているためである。異種複合素材でコネクター200を作った場合、火炎が外部に露出しないが、さもない場合は、コネクターハウジングが直ちに離脱するので、10秒も経たずに火炎が外に露出してしまう。本発明に係るコネクター200は、1000℃で5分間火炎に耐えることができ、モジュールケースの外部への火炎の露出を防止する顕著な効果を有する。
【0107】
また、通常、バッテリーモジュール内部で火炎が発生すると、約100kpaの高圧環境となる。以上の実験例は、プレート150’にコネクター200を装着して未密閉の状態で行われたが、コネクター200に1000℃の火炎が加えられた状態でも耐熱性が保たれるため、本発明のコネクター200は、火炎による高圧にも耐えられることが十分に期待できる。
【0108】
以上のように、本発明が限定された実施形態と図面によって説明されたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と下記に記載される請求範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0109】
10 バッテリーモジュール
100 セル組立体
150 モジュールケース
200 コネクター
210 コネクターターミナル
220 コネクターハウジング
230 コネクターヘッダボディー
235 シーリングガスケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15