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特許7564375防眩フィルム、並びに、それを用いた偏光板、表面板、画像表示パネル及び画像表示装置
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  • 特許-防眩フィルム、並びに、それを用いた偏光板、表面板、画像表示パネル及び画像表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】防眩フィルム、並びに、それを用いた偏光板、表面板、画像表示パネル及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20241001BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20241001BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20241001BHJP
   G02B 1/11 20150101ALI20241001BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G02B5/02 C
B32B3/30
B32B7/023
G02B1/11
G02B5/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023543277
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2022040073
(87)【国際公開番号】W WO2023074779
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-07-18
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】P 2021176739
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022071718
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛原 満広
(72)【発明者】
【氏名】岩田 行光
(72)【発明者】
【氏名】辻本 淳
(72)【発明者】
【氏名】古井 玄
(72)【発明者】
【氏名】倉重 牧夫
(72)【発明者】
【氏名】石田 一敏
(72)【発明者】
【氏名】西尾 俊平
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】橿本 英吾
【審判官】河原 正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/026468(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/026466(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/026470(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/026471(WO,A1)
【文献】特開2018-185769(JP,A)
【文献】特開2008-203836(JP,A)
【文献】特開2010-160398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防眩層を有する防眩フィルムであって、前記防眩フィルムは凹凸表面を有し、
前記凹凸表面の二乗平均粗さをRqと定義し、前記凹凸表面の二乗平均平方根波長をλqと定義した際に、Rqが0.300μm以上0.800μm以下、λqが12.326μm以上であり、
Rq及びλqは、JIS B0601のλcに相当する値を800μmとして、干渉顕微鏡により測定したものであり、
前記防眩フィルムは、JIS K7136:2000のヘイズが20%以上70%以下であり、
前記防眩フィルムは、JIS K7374:2007に準拠して測定した透過像鮮明度に関して、光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度をC2.0と定義した際に、C2.0が40%以下であり、
前記凹凸表面側から測定した60度鏡面光沢度が20.0以下であり、前記凹凸表面側から測定した20度鏡面光沢度が6.0以下であり、輝度の変動係数が0.0384以下である、防眩フィルム。
(輝度の変動係数の測定)
画素密度が424ppiのRGBストライプ型の液晶表示素子を有する画像表示装置上に、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面を貼り合わせる。暗室下で、前記画像表示装置の画像を緑表示し、前記防眩フィルム側からCCDカメラで撮影し、画像データを得る。CCDカメラは、ピクセルピッチが5.5μm×5.5μm、画素数が1600万画素のものを用いる。前記表示素子の表面からCCDカメラが備えるカメラレンズの入射瞳までの距離は500mmとする。CCDカメラの実効F値は36.4に設定する。得られた画像データから、128×128ピクセルの領域αを抽出する。前記領域αを8×8ピクセルずつの領域に細分化し、256の小領域を得る。各小領域において、各小領域の各画素の輝度を、各小領域の全画素の平均輝度で除し、補正輝度を得る。256の小領域の補正輝度の標準偏差を、256の小領域の補正輝度の平均値で除し、輝度の変動係数を算出する。
【請求項2】
前記凹凸表面の二乗平均平方根傾斜をΔqと定義した際に、Δqが0.250μm/μm以上であり、λqが12.326μm以上16.520μm以下であり、
Δq、JIS B0601のλcに相当する値を800μmとして、干渉顕微鏡により測定したものである、請求項1に記載の防眩フィルム。
【請求項3】
前記防眩層が、バインダー樹脂及び平均粒子径1.0μm以上10.0μm以下の粒子を含む、請求項1に記載の防眩フィルム。
【請求項4】
前記防眩層の厚みをT、前記粒子の平均粒子径をDと定義した際に、D/Tが0.20以上0.96以下である、請求項3に記載の防眩フィルム。
【請求項5】
前記バインダー樹脂100質量部に対して、前記粒子を10質量部以上200質量部以下含む、請求項3に記載の防眩フィルム。
【請求項6】
前記粒子として無機粒子を含む、請求項3に記載の防眩フィルム。
【請求項7】
前記粒子として、さらに有機粒子を含む、請求項6に記載の防眩フィルム。
【請求項8】
前記無機粒子が不定形無機粒子であり、前記不定形無機粒子と前記有機粒子との質量比が5:1-1:1である、請求項7に記載の防眩フィルム。
【請求項9】
前記防眩層が、さらに、平均粒子径1nm以上200nm以下の無機微粒子を含む、請求項3に記載の防眩フィルム。
【請求項10】
前記バインダー樹脂が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物及び熱可塑性樹脂を含む、請求項3に記載の防眩フィルム。
【請求項11】
前記防眩層上にさらに反射防止層を有し、前記反射防止層の表面が防眩フィルムの前記凹凸表面である、請求項1又は2に記載の防眩フィルム。
【請求項12】
偏光子と、前記偏光子の一方の側に配置された第一の透明保護板と、前記偏光子の他方の側に配置された第二の透明保護板とを有する偏光板であって、
前記第一の透明保護板及び前記第二の透明保護板の少なくとも一方が、請求項1に記載の防眩フィルムであり、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面と前記偏光子とが対向して配置された、偏光板。
【請求項13】
樹脂板又はガラス板上に保護フィルムを貼り合わせた画像表示装置用の表面板であって、前記保護フィルムが請求項1に記載の防眩フィルムであり、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面と前記樹脂板又は前記ガラス板とが対向して配置された、画像表示装置用の表面板。
【請求項14】
表示素子と、前記表示素子の光出射面側に配置された光学フィルムとを有する画像表示パネルであって、前記光学フィルムとして請求項1に記載の防眩フィルムを含み、前記防眩フィルムの前記凹凸表面側の面が前記表示素子とは反対側を向くように配置してなる、画像表示パネル。
【請求項15】
請求項14に記載の画像表示パネルを含み、かつ前記防眩フィルムを最表面に配置してなる画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防眩フィルム、並びに、それを用いた偏光板、表面板、画像表示パネル及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ、ノートPC、デスクトップPCのモニター等の画像表示装置の表面には、防眩性を付与するために、防眩フィルムが設置される場合がある。防眩性とは、照明及び人物等の背景の映り込みを抑制する特性である。
【0003】
防眩フィルムは、透明基材上に表面が凹凸形状である防眩層を有する基本構成からなる。防眩フィルムは、表面の凹凸形状を原因として、ギラツキを生じるという問題がある。ギラツキとは、映像光に微細な輝度のばらつきが見える現象である。
【0004】
このため、防眩性の付与と、ギラツキの抑制とを両立した防眩フィルムが提案されている(例えば、特許文献1-3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-172641号公報
【文献】特開2015-172832号公報
【文献】特開2015-172834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1-3のような従来の防眩フィルムは、照明及び人物等の背景の輪郭がぼやける程度の防眩性を付与するものであり、背景の映り込みを十分に抑制することが困難なものであった。
一方、防眩層の表面凹凸の粗さの程度を大きくすることにより、背景の映り込みを十分に抑制し、防眩性を高めることができる。しかし、単に表面凹凸の粗さの程度を大きくすると、ギラツキが悪化するという問題があった。
【0007】
本開示は、防眩性に優れ、かつ、ギラツキを抑制し得る防眩フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の[1]-[5]の防眩フィルム、並びに、それを用いた偏光板、表面板、画像表示パネル及び表示装置を提供する。
[1]防眩層を有する防眩フィルムであって、前記防眩フィルムは凹凸表面を有し、前記凹凸表面側から測定した60度鏡面光沢度が30.0以下であり、輝度の変動係数が0.0400以下である、防眩フィルム。
(輝度の変動係数の測定)
画素密度が424ppiの表示素子を有する画像表示装置上に、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面を貼り合わせる。暗室下で、前記画像表示装置の画像を緑表示し、前記防眩フィルム側からCCDカメラで撮影し、画像データを得る。CCDカメラは、ピクセルピッチが5.5μm×5.5μm、画素数が1600万画素のものを用いる。前記表示素子の表面からCCDカメラが備えるカメラレンズの入射瞳までの距離は500mmとする。得られた画像データから、128×128ピクセルの領域αを抽出する。前記領域αを8×8ピクセルずつの領域に細分化し、256の小領域を得る。各小領域において、各小領域の各画素の輝度を、各小領域の全画素の平均輝度で除し、補正輝度を得る。256の小領域の補正輝度の標準偏差を、256の小領域の補正輝度の平均値で除し、輝度の変動係数を算出する。
[2] 偏光子と、前記偏光子の一方の側に配置された第一の透明保護板と、前記偏光子の他方の側に配置された第二の透明保護板とを有する偏光板であって、
前記第一の透明保護板及び前記第二の透明保護板の少なくとも一方が、[1]に記載の防眩フィルムであり、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面と前記偏光子とが対向して配置された、偏光板。
[3] 樹脂板又はガラス板上に保護フィルムを貼り合わせた画像表示装置用の表面板であって、前記保護フィルムが[1]に記載の防眩フィルムであり、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面と前記樹脂板又は前記ガラス板とが対向して配置された、画像表示装置用の表面板。
[4] 表示素子と、前記表示素子の光出射面側に配置された光学フィルムとを有する画像表示パネルであって、前記光学フィルムとして[1]に記載の防眩フィルムを含み、前記防眩フィルムの前記凹凸表面側の面が前記表示素子とは反対側を向くように配置してなる、画像表示パネル。
[5] [4]に記載の画像表示パネルを含み、かつ前記防眩フィルムを最表面に配置してなる画像表示装置。
【発明の効果】
【0009】
本開示の防眩フィルム、並びに、それを用いた偏光板、表面板、画像表示パネル及び画像表示装置は、防眩性に優れ、かつ、ギラツキを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の防眩フィルムの一実施形態を示す概略断面図である。
図2】輝度の変動係数の測定する際の、画像表示装置、防眩フィルム、CCDカメラの配置関係の一実施形態を説明する概略図である。
図3】防眩フィルムの凹凸表面側から防眩フィルムに入射した光の挙動を説明するための模式図である。
図4】本開示の画像表示パネルの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を説明する。
[防眩フィルム]
本開示の防眩フィルムは、防眩層を有する防眩フィルムであって、前記防眩フィルムは凹凸表面を有し、前記凹凸表面側から測定した60度鏡面光沢度が30.0以下であり、輝度の変動係数が0.0400以下であるものである。
(輝度の変動係数の測定)
画素密度が424ppiの表示素子を有する画像表示装置上に、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面を貼り合わせる。暗室下で、前記画像表示装置の画像を緑表示し、前記防眩フィルム側からCCDカメラで撮影し、画像データを得る。CCDカメラは、ピクセルピッチが5.5μm×5.5μm、画素数が1600万画素のものを用いる。前記表示素子の表面からCCDカメラが備えるカメラレンズの入射瞳までの距離は500mmとする。得られた画像データから、128×128ピクセルの領域αを抽出する。前記領域αを8×8ピクセルずつの領域に細分化し、256の小領域を得る。各小領域において、各小領域の各画素の輝度を、各小領域の全画素の平均輝度で除し、補正輝度を得る。256の小領域の補正輝度の標準偏差を、256の小領域の補正輝度の平均値で除し、輝度の変動係数を算出する。
【0012】
図1は、本開示の防眩フィルム100の断面形状の概略断面図である。
図1の防眩フィルム100は、防眩層20を備え、凹凸表面を有している。図1では、防眩層20の表面が防眩フィルムの凹凸表面である。図1の防眩フィルム100は、透明基材10上に防眩層20を有している。図1の防眩層20は、バインダー樹脂21及び粒子22を有している。
図1は模式的な断面図である。すなわち、防眩フィルム100を構成する各層の縮尺、各材料の縮尺、及び表面凹凸の縮尺は、図示しやすくするために模式化したものであり、実際の縮尺とは相違している。図2図4も同様である。
【0013】
本開示の防眩フィルムは、図1の積層構成に限定されない。例えば、防眩フィルムは、防眩層の単層構造であってもよいし、透明基材及び防眩層以外の層を有するものであってもよい。透明基材及び防眩層以外の層としては、反射防止層及び防汚層等が挙げられる。防眩層上に他の層を有する場合、当該他の層の表面が防眩フィルムの凹凸表面となっていればよい。
防眩フィルムの好ましい実施形態は、透明基材上に防眩層を有し、防眩層の透明基材とは反対側の表面が防眩フィルムの凹凸表面であるものである。
【0014】
<透明基材>
防眩フィルムは、防眩フィルムの製造の容易性、及び、防眩フィルムの取り扱い性を高めるため、透明基材を有することが好ましい。
【0015】
透明基材としては、光透過性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものであることが好ましい。このような透明基材としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo-Olefin-Polymer:COP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。透明基材は、2枚以上のプラスチックフィルムを貼り合わせたものであってもよい。
上記の中でも、機械的強度及び寸法安定性を良好にするため、延伸加工、特に二軸延伸加工された、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステルが好ましい。TAC、アクリルは光透過性及び光学的等方性が良好であるため好適である。COP、ポリエステルは耐候性に優れる点で好適である。
【0016】
透明基材の厚みは、5μm以上300μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましく、30μm以上120μm以下であることがさらに好ましい。
防眩フィルムを薄膜化したい場合は、透明基材の厚みの好ましい上限は60μm以下であり、より好ましい上限は50μm以下である。透明基材がポリエステル、COP、アクリル等の低透湿性基材の場合には、薄膜化のための透明基材の厚みの好ましい上限は40μm以下であり、より好ましい上限は20μm以下である。大画面の場合であっても、透明基材の厚みの上限が前述した範囲であれば、防眩フィルムに歪みを生じにくくさせることができる点で好適である。
透明基材の厚みは、デジマチック標準外側マイクロメーター(ミツトヨ社、品番「MDC-25SX」)などで測定できる。透明基材の厚みは、任意の10点を測定した平均値が上記数値であればよい。
透明基材の厚みの好ましい範囲の実施形態としては、5μm以上300μm以下、5μm以上200μm以下、5μm以上120μm以下、5μm以上60μm以下、5μm以上50μm以下、5μm以上40μm以下、5μm以上20μm以下、20μm以上300μm以下、20μm以上200μm以下、20μm以上120μm以下、20μm以上60μm以下、20μm以上50μm以下、20μm以上40μm以下、30μm以上300μm以下、30μm以上200μm以下、30μm以上120μm以下、30μm以上60μm以下、30μm以上50μm以下、30μm以上40μm以下が挙げられる。
【0017】
透明基材の表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理等の物理的な処理や化学的な処理を施したり、易接着層を形成したりしてもよい。
【0018】
基材は、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
基材は、JIS K7136:2000のヘイズが10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
【0019】
<凹凸表面>
本開示の防眩フィルムは凹凸表面を有する。防眩層上に他の層を有さない場合は、防眩層の表面が凹凸表面であればよい。防眩層上に他の層を有する場合には、前記他の層の表面が凹凸表面であればよい。
【0020】
<60度鏡面光沢度、輝度の変動係数>
本開示の防眩フィルムは、凹凸表面側から測定した60度鏡面光沢度が30.0以下であり、輝度の変動係数が0.0400以下であることを要する。
【0021】
防眩フィルムの60度鏡面光沢度が30.0を超える場合、背景の映り込みを十分に抑制することができず、防眩性を良好にすることができない。
防眩フィルムの60度鏡面光沢度は20.0以下であることが好ましく、10.0以下であることがより好ましく、7.0以下であることがさらに好ましい。
【0022】
防眩フィルムの60度鏡面光沢度が低すぎると、映像光が防眩フィルムを透過する際に散乱しやすくなり、暗室コントラストが低下しやすくなる。このため、防眩フィルムの60度鏡面光沢度は、0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、1.2以上であることがさらに好ましい。
【0023】
本明細書において、数値の上限の選択肢及び下限の選択肢がそれぞれ複数示されている場合には、上限の選択肢から選ばれる一つと、下限の選択肢から選ばれる一つとを組み合わせ、数値範囲の実施形態とすることができる。例えば、60度鏡面光沢度の場合、0.5以上30.0以下、0.5以上20.0以下、0.5以上10.0以下、0.5以上7.0以下、1.0以上30.0以下、1.0以上20.0以下、1.0以上10.0以下、1.0以上7.0以下、1.2以上30.0以下、1.2以上20.0以下、1.2以上10.0以下、1.2以上7.0以下等の数値範囲の実施形態が挙げられる。
【0024】
本明細書において、60度鏡面光沢度及び20度鏡面光沢度は、JIS Z8741:1997に規定の鏡面光沢度を意味する。
本明細書において、60度鏡面光沢度及び20度鏡面光沢度は、防眩フィルムの凹凸表面とは反対側に、透明粘着剤層を介して黒色板を貼り合わせたサンプルを作製し、前記サンプルの凹凸表面側から測定するものとする。
サンプルの透明粘着剤層と接する層と、透明粘着剤層との屈折率差は0.15以内とすることが好ましく、0.10以内とすることがより好ましく、0.05以内とすることがより好ましく、0.01以内とすることがより好ましい。サンプルの透明粘着剤層と接する層としては、例えば、透明基材又は防眩層が挙げられる。黒色板は、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が1%以下のものが好ましく、0%のものがより好ましい。黒色板を構成する樹脂の屈折率と、透明粘着剤層との屈折率差は0.15以内とすることが好ましく、0.10以内とすることがより好ましく、0.05以内とすることがより好ましく、0.01以内とすることがより好ましい。
【0025】
防眩フィルムの輝度の変動係数が0.0400を超える場合、ギラツキを抑制することができない。
防眩フィルムの輝度の変動係数は、0.0350以下であることが好ましく、0.0280以下であることがより好ましく、0.0250以下であることがさらに好ましい。
防眩フィルムの輝度の変動係数が小さ過ぎると、防眩フィルムの防眩性が極端に低くなったり、逆に防眩フィルムの防眩性が極端に高くなりコントラスが低下したりする場合がある。このため、防眩フィルムの輝度の変動係数の下限は、0.0050以上であることが好ましく、より好ましくは0.0100以上である。
防眩フィルムの輝度の変動係数の好ましい範囲としては、0.0050以上0.0400以下、0.0050以上0.0350以下、0.0050以上0.0280以下、0.0050以上0.0250以下、0.0100以上0.0400以下、0.0100以上0.0350以下、0.0100以上0.0280以下、0.0100以上0.0250以下が挙げられる。
【0026】
防眩フィルムの輝度の変動係数は、以下の測定により算出するものとする。
(輝度の変動係数の測定)
画素密度が424ppiの表示素子を有する画像表示装置上に、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面を貼り合わせる。暗室下で、前記画像表示装置の画像を緑表示し、前記防眩フィルム側からCCDカメラで撮影し、画像データを得る。CCDカメラは、ピクセルピッチが5.5μm×5.5μm、画素数が1600万画素のものを用いる。前記表示素子の表面からCCDカメラが備えるカメラレンズの入射瞳までの距離は500mmとする。得られた画像データから、128×128ピクセルの領域αを抽出する。前記領域αを8×8ピクセルずつの領域に細分化し、256の小領域を得る。各小領域において、各小領域の各画素の輝度を、各小領域の全画素の平均輝度で除し、補正輝度を得る。256の小領域の補正輝度の標準偏差を、256の小領域の補正輝度の平均値で除し、輝度の変動係数を算出する。
【0027】
図2は、輝度の変動係数の測定する際の、画像表示装置120、防眩フィルム100、CCDカメラ300の配置関係の一実施形態を説明する概略図である。
図2では、画像表示装置120上に、防眩フィルムの凹凸表面とは反対側の面が貼り合わせられている。図2では、防眩フィルムの透明基材10側の面が、防眩フィルムの凹凸表面とは反対側の面に相当している。画像表示装置120と防眩フィルム100とは、図2に示すように、透明接着媒体200を介して貼り合わせることが好ましい。透明接着媒体の層構成は、例えば、透明接着剤層の単層のもの、透明接着剤層、透明基材、透明接着剤層の積層構造のものが挙げられる。透明接着剤層としては、透明粘着剤層(言い換えると、透明感圧接着剤層)、透明吸着層が挙げられる。
防眩フィルムの透明接着媒体と接する層と、透明接着媒体との界面の屈折率差は0.15以内とすることが好ましく、0.10以内とすることがより好ましく、0.05以内とすることがより好ましく、0.01以内とすることがより好ましい。防眩フィルムの透明接着媒体と接する層としては、例えば、透明基材又は防眩層が挙げられる。透明接着媒体と、画像表示装置の表面材との界面の屈折率差は0.15以内とすることが好ましく、0.10以内とすることがより好ましく、0.05以内とすることがより好ましく、0.01以内とすることがより好ましい。画像表示装置の表面材としては、例えば、カバーガラスが挙げられる。透明接着媒体200が、2層以上の積層構造である場合、防眩フィルムの透明接着媒体と接する層から、画像表示装置の表面材までの間に、前述した界面以外の界面を有することになる。この場合、前述した界面以外の界面の屈折率差も、0.15以内とすることが好ましく、0.10以内とすることがより好ましく、0.05以内とすることがより好ましく、0.01以内とすることがより好ましい。
画素密度が424ppiの表示素子を有する画像表示装置としては、例えば、ソニー株式会社の商品名「Xperia(登録商標) Z5 E6653」が挙げられる。画素密度が424ppiの表示素子を有する画像表示装置は、RGBストライプ型の液晶表示素子を有する画像表示装置が好ましい。
図2では、CCDカメラ300として、カメラ本体31にカメラレンズ32を装着したものを用いている。このようなCCDカメラとしては、例えば、カメラ本体(冷却CCDカメラ[ビットラン株式会社の商品名「BU-63M」、ピクセルピッチ:5.5μm×5.5μm、画素数:1600万画素、ピクセル数:4896×3264])に、カメラレンズ(ニコン株式会社の商品名「AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D」)を装着してなるものが挙げられる。
画像の撮影は、暗室環境下で画像表示装置を緑表示した状態で実施する。画像を撮影する際、表示素子の表面からCCDカメラが備えるカメラレンズの入射瞳までの距離は500mmとする。画像を撮影する際は、CCDカメラのフォーカスを表示素子の表面に合うように調節する。CCDカメラの実効F値は36.4に設定することが好ましい。
本明細書において、緑表示とは、表示素子の構成原色のうちの単一最大階調((R,G,B)=(0, 255, 0))での表示を意味する。
得られた画像データから、128×128ピクセルの領域αを抽出する。前記領域αを8×8ピクセルずつの領域に細分化し、256の小領域を得る。各小領域において、各小領域の各画素の輝度を、各小領域の全画素の平均輝度で除し、補正輝度を得る。256の小領域の補正輝度の標準偏差を、256の小領域の補正輝度の平均値で除し、輝度の変動係数を算出する。
4896×3264ピクセルから領域αを抽出する位置は特に制限されないが、4896×3264ピクセルの上下左右各10%を除いた、残り80%の中から抽出することが好ましい。
本開示の輝度の変動係数の測定方法では、前述したように、各小領域において、各小領域の各画素の輝度を、各小領域の全画素の平均輝度で除していることから、表示素子に固有の輝度ムラを補正することができる。さらに、本開示の輝度の変動係数の測定方法では、補正輝度の標準偏差を補正輝度の平均値で除しているため、表示素子に特有の輝度の絶対値の影響を受けることがない。なお、本開示の輝度の変動係数は無次元の値である。
【0028】
60度鏡面光沢度及び輝度の変動係数を上記範囲にしやすくするためには、後述するΔq及びλqを後述する範囲とすることが好ましい。
【0029】
本明細書において、60度鏡面光沢度及び輝度の変動係数、並びに、後述する20度鏡面光沢度、Δq、λq、ヘイズ及び全光線透過率は、16箇所の測定値の平均値を意味する。
本明細書において、16の測定箇所は、測定サンプルの外縁から1cmの領域を余白として除き、前記余白よりも内側の領域に関して、縦方向及び横方向を5等分する線を引いた際の、交点の16箇所を測定の中心とすることが好ましい。例えば、測定サンプルが四角形の場合、四角形の外縁から1cmの領域を余白として除き、前記余白よりも内側の領域を縦方向及び横方向に5等分した点線の交点の16箇所を中心として測定を行い、その平均値でパラメータを算出することが好ましい。測定サンプルが円形、楕円形、三角形、五角形等の四角形以外の形状の場合、これらの形状に内接する四角形を描き、前記四角形に関して、上記手法により16箇所の測定を行うことが好ましい。前述した四角形は、長方形であることが好ましい。
輝度の変動係数の場合、各箇所で輝度の変動係数を算出する。そして、16箇所の輝度の変動係数の平均値を、サンプルの輝度の変動係数とする。
【0030】
本明細書において、60度鏡面光沢度及び輝度の変動係数、並びに、後述する20度鏡面光沢度、Δq、λq、ヘイズ及び全光線透過率等の各種のパラメータは、特に断りのない限り、温度23±5℃、相対湿度40%以上65%以下で測定したものとする。また、各測定の開始前に、対象サンプルを前記雰囲気に30分以上60分以下晒してから測定を行うものとする。
【0031】
<20度鏡面光沢度>
本開示の防眩フィルムは、凹凸表面側から測定した20度鏡面光沢度が6.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましく、0.5以下であることがよりさらに好ましい。60度鏡面光沢度を上記範囲として、かつ、20度鏡面光沢度を6.0以下とすることにより、あらゆる方向において防眩性を良好にしやすくできる。
【0032】
防眩フィルムの20度鏡面光沢度が低すぎると、映像光が防眩フィルムを透過する際に散乱しやすくなり、暗室コントラストが低下しやすくなる。このため、防眩フィルムの20度鏡面光沢度は、0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましく、0.04以上であることがさらに好ましい。
防眩フィルムの20度鏡面光沢度の好ましい範囲としては、0.01以上6.0以下、0.01以上3.0以下、0.01以上1.0以下、0.01以上0.5以下、0.02以上6.0以下、0.02以上3.0以下、0.02以上1.0以下、0.02以上0.5以下、0.04以上6.0以下、0.04以上3.0以下、0.04以上1.0以下、0.04以上0.5以下が挙げられる。
【0033】
<Δq、λq>
本開示の防眩フィルムは、前記凹凸表面の二乗平均平方根傾斜をΔqと定義し、前記凹凸表面の二乗平均平方根波長をλqと定義した際に、Δqが0.250μm/μm以上であり、λqが17.000μm以下であることが好ましい。
Δqは凹凸表面の傾斜角に相関する。より具体的には、Δqが大きいほど凹凸表面の傾斜角が大きいことを意味する。また、Δqは、2乗のパラメータであるため、傾斜の中でも平均傾斜角よりも大きな角度の傾斜角が強く反映されたパラメータである。したがって、Δqは、全ての傾斜を単に平均化したパラメータである平均傾斜角とは異なるパラメータである。
λqは凹凸表面の凹凸の間隔に相関する。より具体的には、λqが小さいほど凹凸表面の凹凸の間隔が狭いことを意味する。λqは、後述する式(A)に示すように、2乗のパラメータであるΔq及びRqから算出されるパラメータである。このため、λqは、凹凸の中でも高低差が大きくて傾斜角が大きい凹凸の間隔が強く反映されたパラメータである。したがって、λqは、全ての凹凸の間隔を平均化したパラメータであるJISのRSmとは異なるパラメータである。
したがって、Δqが0.250μm/μm以上であり、かつ、λqが17.000μm以下である凹凸表面は、傾斜角の大きい凹凸が狭い間隔で存在していることを意味している。このように、傾斜角の大きい凹凸が狭い間隔で存在している場合、主に下記(1)-(7)の理由により、60度鏡面光沢度、20度鏡面光沢度及び輝度の変動係数を上述した範囲にしやすくできると考えられる。特に、λqを小さくすることにより、防眩フィルムに漆黒感を付与しやすくできる。λqを小さくすることにより、防眩フィルムに漆黒感を付与しやすくできる理由は、以下のように考えられる。
鏡面光沢度は正反射方向の光強度の大きさを表している。このため、正反射方向の光強度が小さくて鏡面光沢度が小さい場合であっても、正反射方向以外の方向の光強度が小さくない場合には、漆黒感を付与することができない。λqを小さくすることにより、下記(1)-(5)の作用をより強くすることでき、反射散乱光を観察者に感じさせにくくできるため、漆黒感をより付与しやすくできると考えられる。
【0034】
傾斜角の大きい凹凸が狭い間隔で存在している場合、主に下記(1)-(5)の理由により、60度鏡面光沢度及び20度鏡面光沢度を上述した範囲にしやすくできると考えられる。
(1)隣接する山の距離が近いため、任意の山の表面で反射した反射光の多くは、隣接する山に入射する。そして、隣接する山の内部で全反射を繰り返して、最終的に、観測者700とは反対側に進行する(図3の実線のイメージ)。
(2)任意の山の急斜面に入射した光の反射光は、隣接する山に関わらず、観測者700とは反対側に進行する(図3の破線のイメージ)。
(3)隣接する山の距離が近いため、正反射光を生じる略平坦な領域が少ない。
(4)少ない割合で存在する略平坦な領域で反射した反射光は、隣接する山にぶつかりやすい。このため、略平坦な領域で反射した反射光の角度分布は、所定の角度に偏らず、略均等な角度分布となる。
(5)任意の山の緩い斜面に入射した光の反射光は、観測者700側に進行する(図3の一点鎖線のイメージ)。しかし、山の緩い斜面にも所定の角度分布が存在し、かつ、前記角度分布は緩い角度の範囲で均等に分布している。よって、緩い斜面に入射した光の反射光の角度分布も特定の角度に偏ることがない。
【0035】
上記(1)-(3)より、反射散乱光を抑制でき、60度鏡面光沢度及び20度鏡面光沢度を上述した範囲として、ひいては防眩性を良好にし得ると考えられる。
さらに、上記(4)及び(5)より、微量な反射散乱光が生じたとしても、前記反射散乱光の角度分布を均等にすることができる。反射散乱光が微量であっても、前記反射散乱光の角度分布が特定の角度に偏っていると、反射光として認識されてしまう。このため、上記(4)及び(5)より、防眩性を極めて良好にすることができる。
また、上記(1)-(5)より、観測者に反射散乱光をほとんど感じなくすることができるため、防眩フィルムに漆黒感を付与することができ、ひいては画像表示装置に高級感を付与することができる。
【0036】
傾斜角の大きい凹凸が狭い間隔で存在している場合、主に下記(6)-(7)の理由により、輝度の変動係数を上述した範囲にしやすくできると考えられる。
(6)輝度の変動係数の値が大きくなる原因は、凹凸表面がレンズの如き役割を果たし、局所的に映像光が集光する現象が生じるためと考えられる。そして、前記の現象は、凹凸表面の凹凸の間隔が、表示素子の画素間隔と同等以上である場合に生じやすい。このため、凹凸表面において、凹凸が狭い間隔で存在することにより、輝度の変動係数を上述した範囲にしやすくできると考えられる。
(7)凹凸表面の傾斜角が小さいと、凹凸表面は円の一部に近似され、映像光が集光しやすくなる。一方、凹凸表面の傾斜角が大きいと、凹凸表面は楕円の一部に近似され、映像光が集光しにくくなる。このため、凹凸表面の傾斜角が大きいことにより、輝度の変動係数を上述した範囲にしやすくできると考えられる。
上記(6)及び(7)の作用は、相乗的に作用することにより、輝度の変動係数を上述した範囲にしやすくできると考えられる。このため、凹凸表面の形状は、Δqが0.250μm/μm以上であり、かつ、λqが17.000μm以下であることが好ましい。
【0037】
Δqは、0.275μm/μm以上であることがより好ましく、0.300μm/μm以上であることがより好ましく、0.325μm/μm以上であることがより好ましく、0.350μm/μm以上であることがより好ましく、0.400μm/μm以上であることがより好ましく、0.485μm/μm以上であることがより好ましい。
Δqが大き過ぎると、映像光が防眩フィルムを透過する際に散乱しやすくなり、暗室コントラストが低下しやすくなる。また、Δqが大き過ぎると、映像光の反射率が高くなり、映像光の透過率が低下しやすくなる。このため、Δqは0.800μm/μm以下であることが好ましく、0.700μm/μm以下であることがより好ましく、0.600μm/μm以下であることがさらに好ましい。
凹凸表面のΔqの好ましい範囲としては、0.250μm/μm以上0.800μm/μm以下、0.250μm/μm以上0.700μm/μm以下、0.250μm/μm以上0.600μm/μm以下、0.275μm/μm以上0.800μm/μm以下、0.275μm/μm以上0.700μm/μm以下、0.275μm/μm以上0.600μm/μm以下、0.300μm/μm以上0.800μm/μm以下、0.300μm/μm以上0.700μm/μm以下、0.300μm/μm以上0.600μm/μm以下、0.325μm/μm以上0.800μm/μm以下、0.325μm/μm以上0.700μm/μm以下、0.325μm/μm以上0.600μm/μm以下、0.350μm/μm以上0.800μm/μm以下、0.350μm/μm以上0.700μm/μm以下、0.350μm/μm以上0.600μm/μm以下、0.400μm/μm以上0.800μm/μm以下、0.400μm/μm以上0.700μm/μm以下、0.400μm/μm以上0.600μm/μm以下、0.485μm/μm以上0.800μm/μm以下、0.485μm/μm以上0.700μm/μm以下、0.485μm/μm以上0.600μm/μm以下が挙げられる。
【0038】
λqは、16.520μm以下であることがより好ましく、16.000μm以下であることがより好ましく、14.000μm以下であることがより好ましく、12.000μm以下であることがより好ましい。
λqが小さ過ぎると、映像光が防眩フィルムを透過する際に散乱しやすくなり、暗室コントラストが低下しやすくなる。このため、λqは3.000μm以上であることが好ましく、5.000μm以上であることがより好ましく、7.000μm以上であることがさらに好ましい。
凹凸表面のλqの好ましい範囲としては、3.000μm以上17.000μm以下、3.000μm以上16.520μm以下、3.000μm以上16.000μm以下、3.000μm以上14.000μm以下、3.000μm以上12.000μm以下、5.000μm以上17.000μm以下、5.000μm以上16.520μm以下、5.000μm以上16.000μm以下、5.000μm以上14.000μm以下、5.000μm以上12.000μm以下、7.000μm以上17.000μm以下、7.000μm以上16.520μm以下、7.000μm以上16.000μm以下、7.000μm以上14.000μm以下、7.000μm以上12.000μm以下が挙げられる。
【0039】
<Rq>
本開示の防眩フィルムは、防眩性を良好にするために、凹凸表面のRqが0.300μm以上であることが好ましく、0.350μm以上であることがより好ましく、0.400μm以上であることがさらに好ましい。
Rqが大きすぎる場合、凹凸表面の凹凸差が大きくなり過ぎ、凹凸表面が傷つきやすくなる。凹凸表面のうち摩擦物により傷が付けられる箇所は、主として凸部近傍であり、特に、高さの高い凸部近傍は傷付きやすいためである。特に、Rqが大きく、かつ、λqが大きいと、高さの高い凸部近傍に負荷がかかりやすくなる。このため、Rqは1.000μm以下であることが好ましく、0.900μm以下であることがより好ましく、0.800μm以下であることがより好ましく、0.720μm以下であることがより好ましい。
凹凸表面のRqの好ましい範囲としては、0.300μm以上1.000μm以下、0.300μm以上0.900μm以下、0.300μm以上0.800μm以下、0.300μm以上0.720μm以下、0.350μm以上1.000μm以下、0.350μm以上0.900μm以下、0.350μm以上0.800μm以下、0.350μm以上0.720μm以下、0.400μm以上1.000μm以下、0.400μm以上0.900μm以下、0.400μm以上0.800μm以下、0.400μm以上0.720μm以下が挙げられる。
【0040】
本明細書において、Δqは、JIS B0601:2001に規定される「粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔq」を三次元に拡張したものを意味する。
本明細書において、Rqは、JIS B0601:2001に規定される「粗さ曲線の二乗平均平方根高さRq」を三次元に拡張したものを意味する。
本明細書において、λqは、ΔqとRqとから、下記式(A)で表されるものを意味する。
λq=21.5π(Rq/Δq) ・・・(A)
【0041】
Δq、Rq及びλqは、干渉顕微鏡を用いて測定することが好ましい。干渉顕微鏡としては、例えば、Zygo社の商品名「New View」シリーズ等が挙げられる。前述の「New View」シリーズに付属の測定・解析アプリケーションソフト「MetroPro」を用いることにより、Δq、Rq及びλqを簡易に算出することができる。
前述の「New View」シリーズを用いて、Δq、Rq及びλqを測定する場合の測定条件は、実施例に記載の条件に従うことが好ましい。例えば、Filter Low Wavelen(JIS B0601のλcに相当)は800μmとすることが好ましい。すなわち、Δq、Rq及びλqは、JIS B0601のλcに相当する値を800μmとして、干渉顕微鏡により測定することが好ましい。Camera Res(解像度)は0.3μm以上0.5μm以下であることが好ましく、0.44μmであることがより好ましい。
【0042】
<防眩層>
防眩層は、反射散乱光を抑制し、防眩性の中心を担う層である。
【0043】
《防眩層の形成手法》
防眩層は、例えば、(A)エンボスロールによる賦型、(B)エッチング処理、(C)型による成型、(D)塗布による塗膜の形成等の手法により形成できる。これら方法の中では、安定した表面形状を得やすくするためには(C)の型による成型が好適であり、生産性及び多品種対応のためには(D)の塗布による塗膜の形成が好適である。
(D)の手法により塗膜(防眩層)を形成する場合、例えば、(d1)バインダー樹脂及び粒子を含む塗布液を塗布して、粒子により凹凸を形成する手段、(d2)任意の樹脂と、前記樹脂と相溶性の悪い樹脂を含む塗布液を塗布して、樹脂を相分離させて凹凸を形成する手段、が挙げられる。(D)の手法は、(d1)及び(d2)の何れでもよいが、(d1)の方が(d2)よりもΔq、λq及びRqを制御しやすい点で好ましい。
【0044】
《厚み》
防眩層の厚みTは、カール抑制、機械的強度、硬度及び靭性とのバランスを良好にするため、2μm以上10μm以下であることが好ましく、4μm以上8μm以下であることがより好ましい。
防眩層の厚みは、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)による防眩フィルムの断面写真の任意の箇所を20点選び、その平均値により算出できる。STEMの加速電圧は10kv以上30kV以下、STEMの倍率は1000倍以上7000倍以下とすることが好ましい。
防眩層の厚みの好ましい範囲の実施形態としては、2μm以上10μm以下、2μm以上8μm以下、4μm以上10μm以下、4μm以上8μm以下が挙げられる。
【0045】
《成分》
防眩層は、主として樹脂成分を含み、必要に応じて、有機粒子及び無機微粒子等の粒子、屈折率調整剤、帯電防止剤、防汚剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、粘度調整剤及び熱重合開始剤等の添加剤を含む。
【0046】
防眩層は、バインダー樹脂及び粒子を含むことが好ましい。粒子は有機粒子及び無機粒子が挙げられ、無機粒子が好ましい。すなわち、防眩層は、バインダー樹脂及び無機粒子を含むことがより好ましい。また、防眩層は、バインダー樹脂、無機粒子及び有機粒子を含むことがさらに好ましい。
【0047】
―粒子―
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル-スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等が挙げられ、シリカが好ましい。無機粒子の中でも不定形無機粒子が好ましく、不定形シリカがより好ましい。
粒子として不定形シリカ等の不定形無機粒子を用いることにより、急峻な凹凸を形成しやすくなるため、Δqを大きくしやすくできる。
粒子として不定形シリカ等の不定形無機粒子を用いる場合、Δq及びλqを上述した範囲としやすくするためには、防眩層中の不定形無機粒子の含有割合を高くすることが好ましい。防眩層中の不定形無機粒子の含有割合を高くすることにより、不定形無機粒子が一面に敷き詰められたような形状となってλqを小さくしやすくなる。さらに、不定形無機粒子に加えて有機粒子を添加することで、不定形無機粒子の極端な凝集が抑えられ、狭い凹凸間隔を保つことができるためλqを小さくすることができる。不定形無機粒子と有機粒子との質量比は、5:1-1:1が好ましく、4:1-2:1がより好ましい。
粒子として有機粒子を用いる場合、Δq及びλqを上述した範囲にしやすくするためには、防眩層は、後述する無機微粒子を含むことが好ましい。
【0048】
有機粒子及び無機粒子等の粒子の平均粒子径Dは、1.0μm以上10.0μm以下であることが好ましく、1.5μm以上8.0μm以下であることがより好ましく、1.7μm以上6.0μm以下であることがさらに好ましい。
平均粒子径Dを1.0μm以上とすることにより、Rqを大きくしやすくできる。粒子の中でも不定形無機粒子はΔq及びRqを大きくしやすい。平均粒子径Dを10.0μm以下とすることにより、λqを小さくしやすくできるとともに、Δq及びRqが大きくなり過ぎることを抑制しやすくできる。
粒子の平均粒子径の好ましい範囲の実施形態としては、1.0μm以上10.0μm以下、1.0μm以上8.0μm以下、1.0μm以上6.0μm以下、1.5μm以上10.0μm以下、1.5μm以上8.0μm以下、1.5μm以上6.0μm以下、1.7μm以上10.0μm以下、1.7μm以上8.0μm以下、1.7μm以上6.0μm以下が挙げられる。
【0049】
有機粒子及び無機粒子等の粒子の平均粒子径は、以下の(A1)-(A3)の作業により算出できる。
(A1)防眩フィルムを光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500倍以上2000倍以下が好ましい。
(A2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、前記2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(A3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を粒子の平均粒子径とする。
粒子が不定形無機粒子の場合は、平均粒子径をレーザー回折法による体積平均粒子径として測定することができる。
【0050】
防眩層の厚みTと、粒子の平均粒子径Dとの比であるD/Tは、0.20以上0.96以下であることが好ましく、0.25以上0.90以下であることがより好ましく、0.30以上0.80以下であることがさらに好ましく、0.35以上0.70以下であることがよりさらに好ましい。D/Tを前記範囲とすることにより、凹凸表面の山の高さ及び山の間隔を適切な範囲にしやすくなり、Δq、λq及びRqを上述した範囲としやすくできる。D/Tを0.96以下とすることにより、Rqが大きくなり過ぎることを抑制しやすくできる。
D/Tの好ましい範囲の実施形態としては、0.20以上0.96以下、0.20以上0.90以下、0.20以上0.80以下、0.20以上0.70以下、0.25以上0.96以下、0.25以上0.90以下、0.25以上0.80以下、0.25以上0.70以下、0.30以上0.96以下、0.30以上0.90以下、0.30以上0.80以下、0.30以上0.70以下、0.35以上0.96以下、0.35以上0.90以下、0.35以上0.80以下、0.35以上0.70以下が挙げられる。
【0051】
有機粒子及び無機粒子等の粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、15質量部以上170質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上150質量部以下であることがさらに好ましい。
粒子の含有量を10質量部以上とすることにより、Δq及びRqを大きくしやすくでき、λqを小さくしやすくできる。粒子の含有量を200質量部以下とすることにより、防眩層からの粒子の脱落を抑制しやすくできる。
粒子として、有機粒子を用いて、かつ、不定形無機粒子を用いない場合、「粒子の敷詰め」及び「粒子の段積み」を発現しやすくするため、粒子の含有量は、上記範囲において比較的多い量とすることが好ましい。粒子として不定形無機粒子を用いる場合、Δq及びRqが大きくなりすぎることを抑制するため、粒子の含有量は、上記範囲において比較的少ない量とすることが好ましい。
バインダー樹脂100質量部に対する粒子の含有量の好ましい範囲の実施形態としては、10質量部以上200質量部以下、10質量部以上170質量部以下、10質量部以上150質量部以下、15質量部以上200質量部以下、15質量部以上170質量部以下、15質量部以上150質量部以下、20質量部以上200質量部以下、20質量部以上170質量部以下、20質量部以上150質量部以下が挙げられる。
【0052】
―無機微粒子―
防眩層は、バインダー樹脂及び粒子に加えて、さらに無機微粒子を含むことが好ましい。本明細書において、無機微粒子と上述した粒子とは、平均粒子径で区別できる。防眩層が無機微粒子を含むことにより、凹凸表面の山と山との間に微細な凹凸が形成され、正反射光を低減しやすくできる。また、防眩層が無機微粒子を含むことにより、粒子の屈折率と、防眩層の粒子以外の組成物の屈折率との差が小さくなり、内部ヘイズを小さくしやすくできる。また、防眩層が無機微粒子を含む場合、防眩層塗布液の粘度を高くできるため、粒子が沈みにくくなる。このため、防眩層が無機微粒子を含む場合、Δqを大きくしやすく、λqを小さくしやすくできる。防眩層が無機微粒子を含む場合、粒子は有機粒子であることが好ましい。
【0053】
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等からなる微粒子が挙げられる。これらの中でも、内部ヘイズの発生を抑制しやすいシリカが好適である。
【0054】
無機微粒子の平均粒子径は、1nm以上200nm以下であることが好ましく、2nm以上100nm以下であることがより好ましく、5nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。
無機微粒子の平均粒子径の好ましい範囲の実施形態としては、1nm以上200nm以下、1nm以上100nm以下、1nm以上50nm以下、2nm以上200nm以下、2nm以上100nm以下、2nm以上50nm以下、5nm以上200nm以下、5nm以上100nm以下、5nm以上50nm以下が挙げられる。
【0055】
無機微粒子の平均粒子径は、以下の(B1)-(B3)の作業により算出できる。
(B1)防眩フィルムの断面をTEM又はSTEMで撮像する。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv以上30kV以下、倍率は5万倍以上30万倍以下とすることが好ましい。
(B2)観察画像から任意の10個の無機微粒子を抽出し、個々の無機微粒子の粒子径を算出する。粒子径は、無機微粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、前記2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(B3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を無機微粒子の平均粒子径とする。
【0056】
無機微粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、15質量部以上150質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上80質量部以下であることがさらに好ましい。
無機微粒子の含有量を10質量部以上とすることにより、上述した無機微粒子に基づく効果を得やすくすることができる。無機微粒子の含有量を200質量部以下とすることにより、防眩層の塗膜強度の低下を抑制しやすくできるとともに、粒子の流動性が阻害されることを抑制し、Δq、λq及びRqを上述した範囲にしやすくできる。
バインダー樹脂100質量部に対する無機微粒子の含有量の好ましい範囲の実施形態としては、10質量部以上200質量部以下、10質量部以上150質量部以下、10質量部以上80質量部以下、15質量部以上200質量部以下、15質量部以上150質量部以下、15質量部以上80質量部以下、20質量部以上200質量部以下、20質量部以上150質量部以下、20質量部以上80質量部以下が挙げられる。
【0057】
―バインダー樹脂―
バインダー樹脂は、機械的強度をより良くするため、熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等の硬化性樹脂の硬化物を含むことが好ましく、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましい。
【0058】
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
【0059】
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
【0060】
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよい。例えば、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等により、分子骨格の一部を変性したものも使用することができる。
【0061】
多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
【0062】
防眩層塗布液の粘度を調整するなどの目的で、電離放射線硬化性化合物として、単官能(メタ)アクリレートを併用してもよい。単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものである。促進剤としては、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。
【0064】
バインダー樹脂が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む場合、下記(C1)又は(C2)の構成であることが好ましい。
【0065】
(C1)バインダー樹脂として、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物に加えて、熱可塑性樹脂を含む。
(C2)バインダー樹脂として、実質的に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物のみを含み、かつ、電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性化合物として、モノマー成分を70質量%以上含む。
【0066】
上記C1の実施形態の場合、熱可塑性樹脂によって防眩層塗布液の粘度が高くなるため、粒子が沈みにくくなり、さらには、山と山との間にバインダー樹脂が流れ落ちにくくなる。このため、上記C1の実施形態の場合、Δqを大きくしやすく、λqを小さくしやすくできる。上記C1の実施形態において、防眩層が無機微粒子を含む場合には、無機微粒子によって防眩層塗布液の粘度をより高くすることができるため好ましい。
上記C1の実施形態では、粒子として有機粒子を用い、かつ、無機微粒子を含むことが好ましい。
【0067】
熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられ、透明性を良好にするためアクリル系樹脂が好ましい。
【0068】
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、2万以上20万以下であることが好ましく、3万以上15万以下であることがより好ましく、5万以上10万以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量の好ましい範囲の実施形態としては、2万以上20万以下、2万以上15万以下、2万以上10万以下、3万以上20万以下、3万以上15万以下、3万以上10万以下、5万以上20万以下、5万以上15万以下、5万以上10万以下が挙げられる。
【0069】
上記C1の実施形態において、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物と熱可塑性樹脂との質量比は、60:40-90:10であることが好ましく、70:30-80:20であることがより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物90に対して熱可塑性樹脂を10以上とすることにより、上述した防眩層塗布液の粘度が上がることによる効果を発揮しやすくできる。電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物60に対して熱可塑性樹脂を40以下とすることにより、防眩層の機械的強度が低下することを抑制しやすくできる。
【0070】
上記C2の実施形態の場合、防眩層の底部に粒子が敷き詰められ、かつ、一部の領域では粒子が段積みされた状態となり、これらの粒子を薄皮状のバインダー樹脂が覆ったような形状となる傾向がある。このため、上記C2の実施形態の場合、段積みされた粒子によってΔqを大きくしやすくでき、敷き詰められた粒子によってλqを小さくしやすくできる。
上記C2の実施形態では、粒子は無機粒子が好ましく、不定形無機粒子がより好ましく、不定形シリカがさらに好ましい。また、上記C2の実施形態では、無機粒子に加えて、有機粒子を含むことが好ましい。
【0071】
上記C2において、バインダー樹脂の全量に対する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物の割合は90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
上記C2において、電離放射線硬化性化合物の全量に対するモノマー成分の割合は、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。前記モノマー成分は、多官能性(メタ)アクリレート系化合物であることが好ましい。
【0072】
防眩層塗布液は、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能としたりするために溶剤を含むことが好ましい。溶剤の種類によって、塗布、乾燥した後の防眩層の表面形状が異なるため、溶剤の飽和蒸気圧、透明基材への溶剤の浸透性等を考慮して溶剤を選定することが好ましい。
溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のグリコールエーテル類;セロソルブアセテート類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。溶剤は、1種単独でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0073】
防眩層塗布液中の溶剤は、蒸発速度が速い溶剤を主成分とすることが好ましい。溶剤の蒸発速度を速くすることにより、粒子が防眩層の下部に沈降することを抑制し、さらには、山と山との間にバインダー樹脂が流れ落ちにくくなる。このため、Δqを大きくしやすくでき、λqを小さくしやすくできる。
主成分とは、溶剤の全量の50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
【0074】
本明細書において、蒸発速度が速い溶剤は、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした際に、蒸発速度が100以上の溶剤を意味する。蒸発速度が速い溶剤の蒸発速度は、120以上300以下であることがより好ましく、150以上220以下であることがさらに好ましい。
蒸発速度が速い溶剤としては、例えば、蒸発速度160のメチルイソブチルケトン、蒸発速度200のトルエン、蒸発速度370のメチルエチルケトンが挙げられる。
【0075】
防眩層塗布液中の溶剤は、蒸発速度が速い溶剤に加えて、少量の蒸発速度が遅い溶剤を含むことも好ましい。蒸発速度が遅い溶剤を少量含むことにより、粒子を凝集させ、Δq及びRqを大きくしやすくできる。但し、Rqが大きくなり過ぎることを抑制するため、蒸発速度が遅い溶剤の含有量は少量とすることが肝要である。
蒸発速度が速い溶剤と、蒸発速度が遅い溶剤との質量比は、99:1-80:20であることが好ましく、98:2-85:15であることがより好ましい。
【0076】
本明細書において、蒸発速度が遅い溶剤は、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした際に、蒸発速度が100未満の溶剤を意味する。蒸発速度が遅い溶剤の蒸発速度は、20以上60以下であることがより好ましく、25以上40以下であることがさらに好ましい。
蒸発速度が遅い溶剤としては、例えば、蒸発速度32のシクロヘキサノン、蒸発速度44のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
【0077】
防眩層塗布液から防眩層を形成する際には、乾燥条件を制御することが好ましい。
乾燥条件は、乾燥温度及び乾燥機内の風速により制御することができる。乾燥温度は30℃以上120℃以下が好ましく、乾燥風速は0.2m/s以上50m/s以下が好ましい。乾燥により防眩層の表面形状を制御するために、電離放射線の照射は塗布液の乾燥後に行うことが好適である。
【0078】
<光学特性>
防眩フィルムは、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
全光線透過率、及び、後述するヘイズを測定する際の光入射面は、凹凸表面とは反対側とする。
【0079】
防眩フィルムは、JIS K7136:2000のヘイズが20%以上98%以下であることが好ましく、30%以上98%以下であることがより好ましく、40%以上98%以下であることがより好ましく、50%以上80%以下であることがより好ましく、55%以上70%以下であることがより好ましい。
ヘイズを20%以上とすることにより、防眩性を良好にしやすくできる。防眩性をより良好にしやすくためには、ヘイズは40%以上であることが好ましい。ヘイズを98%以下とすることにより、映像の解像度の低下を抑制しやすくできる。
防眩フィルムのヘイズの好ましい範囲は、20%以上98%以下、20%以上80%以下、20%以上70%以下、30%以上98%以下、30%以上80%以下、30%以上70%以下、40%以上98%以下、40%以上80%以下、40%以上70%以下、50%以上98%以下、50%以上80%以下、50%以上70%以下、55%以上98%以下、55%以上80%以下、55%以上70%以下が挙げられる。
【0080】
防眩フィルムは、映像の解像度及びコントラストを良好にしやすくするために、内部ヘイズが20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
内部ヘイズは汎用の手法で測定することができる。例えば、凹凸表面上に透明粘着剤層を介して透明シートを貼り合わせるなどして、凹凸表面の凹凸を潰すことにより、内部ヘイズを測定することができる。
【0081】
防眩フィルムは、JIS K7374:2007に準拠して測定した透過像鮮明度に関して、光学櫛の幅が0.125mmの透過像鮮明度をC0.125、光学櫛の幅が0.25mmの透過像鮮明度をC0.25、光学櫛の幅が0.5mmの透過像鮮明度をC0.5、光学櫛の幅が1.0mmの透過像鮮明度をC1.0、光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度をC2.0と定義した際に、C0.125、C0.25、C0.5、C1.0及びC2.0の値が下記の範囲であることが好ましい。
0.125は、防眩性を良好にするため、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がより好ましい。C0.125は、解像度を良好にするため、1.0%以上が好ましい。C0.125の範囲としては、1.0%以上50%以下、1.0%以上40%以下、1.0%以上30%以下、1.0%以上20%以下が挙げられる。
0.25は、防眩性を良好にするため、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がより好ましい。C0.25は、解像度を良好にするため、1.0%以上が好ましい。C0.25の範囲としては、1.0%以上50%以下、1.0%以上40%以下、1.0%以上30%以下、1.0%以上20%以下が挙げられる。
0.5は、防眩性を良好にするため、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がより好ましい。C0.5は、解像度を良好にするため、1.0%以上が好ましい。C0.5の範囲としては、1.0%以上50%以下、1.0%以上40%以下、1.0%以上30%以下、1.0%以上20%以下が挙げられる。
1.0は、防眩性を良好にするため、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がより好ましい。C1.0は、解像度を良好にするため、1.0%以上が好ましい。C1.0の範囲としては、1.0%以上50%以下、1.0%以上40%以下、1.0%以上30%以下、1.0%以上20%以下が挙げられる。
2.0は、防眩性を良好にするため、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がより好ましい。C2.0は、解像度を良好にするため、5.0%以上が好ましい。C2.0の範囲としては、5.0%以上50%以下、5.0%以上40%以下、5.0%以上30%以下、5.0%以上20%以下が挙げられる。
【0082】
防眩フィルムは、防眩性を良好にするため、C0.125、C0.5、C1.0及びC2.0の合計が、200%以下が好ましく、150%以下がより好ましく、100%以下がより好ましく、80%以下がより好ましい。前記合計は、解像度を良好にするため、10.0%以上が好ましい。前記合計の範囲としては、10.0%以上200%以下、10.0%以上150%以下、10.0%以上100%以下、10.0%以上80%以下が挙げられる。
【0083】
<その他の層>
防眩フィルムは、上述した防眩層及び透明基材以外の層を有していてもよい。その他の層としては、反射防止層、防汚層及び帯電防止層等が挙げられる。
その他の層を有する好適な実施形態としては、防眩層の凹凸表面上に反射防止層を有し、反射防止層の表面が防眩フィルムの凹凸表面である実施形態が挙げられる。前記反射防止層は防汚性を備えることがより好ましい。すなわち、防眩層上に防汚性反射防止層を有し、防汚性反射防止層の表面が防眩フィルムの前記凹凸表面である実施形態がより好ましい。
【0084】
《反射防止層》
反射防止層は、例えば、低屈折率層の単層構造;高屈折率層と低屈折率層の2層構造;3層構造以上の多層構造;が挙げられる。低屈折率層及び高屈折率層は、汎用のウェット法又はドライ法等により形成することができる。ウェット法の場合は前記単層構造又は2層構造が好ましく、ドライ法の場合は前記多層構造が好ましい。
【0085】
―単層構造又は2層構造の場合―
単層構造又は2層構造は、ウェット法により好ましく形成される。
低屈折率層は、防眩フィルムの最表面に配置することが好ましい。反射防止層に防汚性を付与する場合、低屈折率層中に、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物等の防汚剤を含ませることが好ましい。
【0086】
低屈折率層の屈折率は、下限は、1.10以上が好ましく、1.20以上がより好ましく、1.26以上がより好ましく、1.28以上がより好ましく、1.30以上がより好ましく、上限は、1.48以下が好ましく、1.45以下がより好ましく、1.40以下がより好ましく、1.38以下がより好ましく、1.32以下がより好ましい。
低屈折率層の屈折率の好ましい範囲の実施形態としては、1.10以上1.48以下、1.10以上1.45以下、1.10以上1.40以下、1.10以上1.38以下、1.10以上1.32以下、1.20以上1.48以下、1.20以上1.45以下、1.20以上1.40以下、1.20以上1.38以下、1.20以上1.32以下、1.26以上1.48以下、1.26以上1.45以下、1.26以上1.40以下、1.26以上1.38以下、1.26以上1.32以下、1.28以上1.48以下、1.28以上1.45以下、1.28以上1.40以下、1.28以上1.38以下、1.28以上1.32以下、1.30以上1.48以下、1.30以上1.45以下、1.30以上1.40以下、1.30以上1.38以下、1.30以上1.32以下が挙げられる。
【0087】
低屈折率層の厚みは、下限は、80nm以上が好ましく、85nm以上がより好ましく、90nm以上がより好ましく、上限は、150nm以下が好ましく、110nm以下がより好ましく、105nm以下がより好ましい。
低屈折率層の厚みの好ましい範囲の実施形態としては、80nm以上150nm以下、80nm以上110nm以下、80nm以上105nm以下、85nm以上150nm以下、85nm以上110nm以下、85nm以上105nm以下、90nm以上150nm以下、90nm以上110nm以下、90nm以上105nm以下が挙げられる。
【0088】
高屈折率層は、低屈折率層よりも防眩層側に配置することが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、下限は、1.53以上が好ましく、1.54以上がより好ましく、1.55以上がより好ましく、1.56以上がより好ましく、上限は、1.85以下が好ましく、1.80以下がより好ましく、1.75以下がより好ましく、1.70以下がより好ましい。
高屈折率層の屈折率の好ましい範囲の実施形態としては、1.53以上1.85以下、1.53以上1.80以下、1.53以上1.75以下、1.53以上1.70以下、1.54以上1.85以下、1.54以上1.80以下、1.54以上1.75以下、1.54以上1.70以下、1.55以上1.85以下、1.55以上1.80以下、1.55以上1.75以下、1.55以上1.70以下、1.56以上1.85以下、1.56以上1.80以下、1.56以上1.75以下、1.56以上1.70以下が挙げられる。
【0089】
高屈折率層の厚みは、上限は、200nm以下が好ましく、180nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましく、下限は、50nm以上が好ましく、70nm以上がより好ましい。
高屈折率層の厚みの好ましい範囲の実施形態としては、50nm以上200nm以下、50nm以上180nm以下、50nm以上150nm以下、70nm以上200nm以下、70nm以上180nm以下、70nm以上150nm以下が挙げられる。
【0090】
―3層構造以上の多層構造の場合―
ドライ法により好ましく形成される多層構造は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に合計3層以上積層された構成である。多層構造においても、低屈折率層は、防眩フィルムの最表面に配置することが好ましい。
【0091】
高屈折率層は、厚みは10nm以上200nm以下であることが好ましく、屈折率は2.10以上2.40以下であることが好ましい。高屈折率層の厚みは20nm以上70nm以下であることがより好ましい。
低屈折率層は、厚みは5nm以上200nm以下であることが好ましく、屈折率は1.33以上1.53以下であることが好ましい。低屈折率層の厚みは20nm以上120nm以下であることがより好ましい。
【0092】
<大きさ、形状等>
防眩フィルムは、所定の大きさにカットした枚葉状の形態でもよいし、長尺シートをロール状に巻き取ったロール状の形態であってもよい。枚葉の大きさは特に限定されないが、最大径が2インチ以上500インチ以下程度である。「最大径」とは、防眩フィルムの任意の2点を結んだ際の最大長さをいうものとする。例えば、防眩フィルムが長方形の場合は、長方形の対角線が最大径となる。防眩フィルムが円形の場合は、円の直径が最大径となる。
ロール状の幅及び長さは特に限定されないが、一般的には、幅は500mm以上3000mm以下、長さは500m以上5000m以下程度である。ロール状の形態の防眩フィルムは、画像表示装置等の大きさに合わせて、枚葉状にカットして用いることができる。カットする際、物性が安定しないロール端部は除外することが好ましい。
枚葉の形状も特に限定されず、例えば、例えば、三角形、四角形、五角形等の多角形、円形、ランダムな不定形等の形状が挙げられる。より具体的には、防眩フィルムが四角形状である場合には、縦横比は表示画面として問題がなければ特に限定されない。例えば、横:縦=1:1、4:3、16:10、16:9、2:1等が挙げられる。デザイン性に富む車載用途及びデジタルサイネージにおいては、このような縦横比に限定されない場合が多い。
【0093】
防眩フィルムの凹凸表面とは反対側の表面形状は特に限定されないが、略平滑であることが好ましい。略平滑とは、JIS B0601:2001の算術平均粗さRaが0.03μm未満であることを意味し、好ましくは0.02μm以下である。
【0094】
[偏光板]
本開示の偏光板は、偏光子と、前記偏光子の一方の側に配置された第一の透明保護板と、前記偏光子の他方の側に配置された第二の透明保護板とを有する偏光板であって、
前記第一の透明保護板及び前記第二の透明保護板の少なくとも一方が、上述した本開示の防眩フィルムであり、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面と前記偏光子とが対向して配置されたものである。
【0095】
<偏光子>
偏光子としては、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等のシート型偏光子、平行に並べられた多数の金属ワイヤからなるワイヤーグリッド型偏光子、リオトロピック液晶や二色性ゲスト-ホスト材料を塗布した塗布型偏光子、多層薄膜型偏光子等が挙げられる。これらの偏光子は、透過しない偏光成分を反射する機能を備えた反射型偏光子であってもよい。
【0096】
<透明保護板>
偏光子の一方の側には第一の透明保護板、他方の側には第二の透明保護板が配置される。第一の透明保護板及び第二の透明保護板の少なくとも一方は、上述した本開示の防眩フィルムである。
本開示の偏光板は、第一の透明保護板及び第二の透明保護板の一方が上述した本開示の防眩フィルムであってもよいし、第一の透明保護板及び第二の透明保護板の両方が上述した本開示の防眩フィルムであってもよい。
【0097】
第一の透明保護板及び第二の透明保護板のうち、本開示の防眩フィルムではない透明保護板としては、汎用のプラスチックフィルム及びガラス等を用いることができる。
【0098】
偏光子と透明保護板とは、接着剤を介して貼り合わせることが好ましい。接着剤は汎用の接着剤を用いることができ、PVA系接着剤が好ましい。
【0099】
[画像表示装置用の表面板]
本開示の画像表示装置用の表面板は、樹脂板又はガラス板上に保護フィルムを貼り合わせた画像表示装置用の表面板であって、前記保護フィルムが上述した本開示の防眩フィルムであり、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面と前記樹脂板又は前記ガラス板とが対向して配置されたものである。
【0100】
樹脂板又はガラス板としては、画像表示装置の表面板として汎用的に使用されている樹脂板又はガラス板を用いることができる。
【0101】
樹脂板又はガラス板の厚みは、強度を良好にするため、10μm以上であることが好ましい。樹脂板又はガラス板の厚みの上限は、通常は5000μm以下である。薄型化のためには、樹脂板又はガラス板の厚みの上限は、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
樹脂板又はガラス板の厚みの範囲の実施形態は、10μm以上5000μm以下、10μm以上1000μm以下、10μm以上500μm以下、10μm以上100μm以下が挙げられる。
【0102】
[画像表示パネル]
本開示の画像表示パネルは、表示素子と、前記表示素子の光出射面側に配置された光学フィルムとを有する画像表示パネルであって、前記光学フィルムとして上述した本開示の防眩フィルムを含み、前記防眩フィルムの前記凹凸表面側の面が前記表示素子とは反対側を向くように配置してなるものである(図4参照)。
【0103】
画像表示パネル内において、本開示の防眩フィルムは、表示素子の光出射面側の最表面に配置することが好ましい。
【0104】
表示素子としては、液晶表示素子、EL表示素子(有機EL表示素子、無機EL表示素子)、プラズマ表示素子等が挙げられ、さらには、マイクロLED表示素子等のLED表示素子が挙げられる。これら表示素子は、表示素子の内部にタッチパネル機能を有していてもよい。
液晶表示素子の液晶の表示方式としては、IPS方式、VA方式、マルチドメイン方式、OCB方式、STN方式、TSTN方式等が挙げられる。
【0105】
本開示の画像表示パネルは、表示素子と防眩フィルムとの間にタッチパネルを有するタッチパネル付きの画像表示パネルであってもよい。
【0106】
画像表示パネルの大きさは特に限定されないが、最大径が2インチ以上500インチ以下程度である。最大径とは、画像表示パネルの面内の任意の2点を結んだ際の最大長さを意味する。
【0107】
[画像表示装置]
本開示の画像表示装置は、本開示の画像表示パネルを含むものである。
【0108】
本開示の画像表示装置は、本開示の画像表示パネルを含むものであれば特に限定されない。本開示の画像表示装置は、本開示の画像表示パネルと、前記画像表示パネルに電気的に接続された駆動制御部と、これらを収容する筐体とを備えることが好ましい。
表示素子が液晶表示素子である場合、本開示の画像表示装置にはバックライトが必要である。バックライトは、液晶表示素子の光出射面側とは反対側に配置される。
【0109】
画像表示装置の大きさ特に限定されないが、有効表示領域の最大径が2インチ以上500インチ以下程度である。
画像表示装置の有効表示領域とは、画像を表示し得る領域である。例えば、画像表示装置が表示素子を囲う筐体を有する場合、筐体の内側の領域が有効画像領域となる。
有効画像領域の最大径とは、有効画像領域内の任意の2点を結んだ際の最大長さをいうものとする。例えば、有効画像領域が長方形の場合は、長方形の対角線が最大径となる。有効画像領域が円形の場合は、円の直径が最大径となる。
【0110】
本開示は、以下の[1]-[18]を含む。
[1] 防眩層を有する防眩フィルムであって、前記防眩フィルムは凹凸表面を有し、前記凹凸表面側から測定した60度鏡面光沢度が30.0以下であり、輝度の変動係数が0.0400以下である、防眩フィルム。
(輝度の変動係数の測定)
画素密度が424ppiの表示素子を有する画像表示装置上に、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面を貼り合わせる。暗室下で、前記画像表示装置の画像を緑表示し、前記防眩フィルム側からCCDカメラで撮影し、画像データを得る。CCDカメラは、ピクセルピッチが5.5μm×5.5μm、画素数が1600万画素のものを用いる。前記表示素子の表面からCCDカメラが備えるカメラレンズの入射瞳までの距離は500mmとする。得られた画像データから、128×128ピクセルの領域αを抽出する。前記領域αを8×8ピクセルずつの領域に細分化し、256の小領域を得る。各小領域において、各小領域の各画素の輝度を、各小領域の全画素の平均輝度で除し、補正輝度を得る。256の小領域の補正輝度の標準偏差を、256の小領域の補正輝度の平均値で除し、輝度の変動係数を算出する。
[2] 前記凹凸表面側から測定した20度鏡面光沢度が6.0以下である、[1]に記載の防眩フィルム。
[3] 前記凹凸表面の二乗平均平方根傾斜をΔqと定義し、前記凹凸表面の二乗平均平方根波長をλqと定義した際に、Δqが0.250μm/μm以上であり、λqが17.000μm以下である、[1]又は[2]に記載の防眩フィルム。
[4] 前記凹凸表面の二乗平均粗さをRqと定義した際に、Rqが0.300μm以上である、[1]-[3]の何れかに記載の防眩フィルム。
[5] JIS K7136:2000のヘイズが40%以上98%以下である、[1]-[4]の何れかに記載の防眩フィルム。
[6] 前記防眩層が、バインダー樹脂及び平均粒子径1.0μm以上10.0μm以下の粒子を含む、[1]-[5]の何れかに記載の防眩フィルム。
[7] 前記防眩層の厚みをT、前記粒子の平均粒子径をDと定義した際に、D/Tが0.20以上0.96以下である、[6]に記載の防眩フィルム。
[8] 前記バインダー樹脂100質量部に対して、前記粒子を10質量部以上200質量部以下含む、[6]又は[7]に記載の防眩フィルム。
[9] 前記粒子として無機粒子を含む、[6]-[8]の何れかに記載の防眩フィルム。
[10] 前記粒子として、さらに有機粒子を含む、[9]に記載の防眩フィルム。
[11] 前記無機粒子が不定形無機粒子であり、前記不定形無機粒子と前記有機粒子との質量比が5:1-1:1である、[10]に記載の防眩フィルム。
[12] 前記防眩層が、さらに、平均粒子径1nm以上200nm以下の無機微粒子を含む、[6]-[10]の何れかに記載の防眩フィルム。
[13] 前記バインダー樹脂が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物及び熱可塑性樹脂を含む、[6]-[12]の何れかに記載の防眩フィルム。
[14] 前記防眩層上にさらに反射防止層を有し、前記反射防止層の表面が防眩フィルムの前記凹凸表面である、[1]-[13]の何れかに記載の防眩フィルム。
[15] 偏光子と、前記偏光子の一方の側に配置された第一の透明保護板と、前記偏光子の他方の側に配置された第二の透明保護板とを有する偏光板であって、
前記第一の透明保護板及び前記第二の透明保護板の少なくとも一方が、[1]-[14]の何れかに記載の防眩フィルムであり、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面と前記偏光子とが対向して配置された、偏光板。
[16] 樹脂板又はガラス板上に保護フィルムを貼り合わせた画像表示装置用の表面板であって、前記保護フィルムが[1]-[14]の何れかに記載の防眩フィルムであり、前記防眩フィルムの前記凹凸表面とは反対側の面と前記樹脂板又は前記ガラス板とが対向して配置された、画像表示装置用の表面板。
[17] 表示素子と、前記表示素子の光出射面側に配置された光学フィルムとを有する画像表示パネルであって、前記光学フィルムとして[1]-[14]の何れかに記載の防眩フィルムを含み、前記防眩フィルムの前記凹凸表面側の面が前記表示素子とは反対側を向くように配置してなる、画像表示パネル。
[18] [17]に記載の画像表示パネルを含み、かつ前記防眩フィルムを最表面に配置してなる画像表示装置。
【実施例
【0111】
次に、本開示を実施例により更に詳細に説明するが、本開示はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準とする。
【0112】
1.測定及び評価
以下のように、実施例及び比較例の防眩フィルムの測定及び評価を行った。なお、各測定及び評価時の雰囲気は、温度23±5℃、相対湿度40%以上65%以下とした。また、各測定及び評価の開始前に、対象サンプルを前記雰囲気に30分以上60分以下晒してから測定及び評価を行った。結果を表1又は2に示す。
【0113】
1-1.鏡面光沢度の測定
実施例及び比較例の防眩フィルムの透明基材側に、厚み25μmの透明粘着剤層(パナック社)、商品名「パナクリーンPD-S1」、屈折率1.49)を介して黒色板(クラレ社、商品名「コモグラス DFA2CG 502K(黒)系」、全光線透過率0%、厚み2mm、屈折率1.49)を貼り合わせたサンプルを作製した(サンプルの大きさ:縦10cm×横10cm)。
グロスメーター(村上色彩技術研究所社、商品名「GM-26PRO」)により、サンプルの凹凸表面側の60度鏡面光沢度及び20度鏡面光沢度を測定した。なお、光源が安定するよう事前に装置の電源スイッチをONにしてから15分以上待ち、装置に付属の標準板により標準合わせを行ったうえでサンプルを測定した。標準合わせは標準板の黒色ガラス面が測定面になるように試料台にセットし、標準板に定められた値になるようにスパン調整用ツマミで調整した。また、明細書本文の記載に基づき、測定はサンプルごとに16箇所で行い、16箇所の平均値を、各実施例及び比較例の60度鏡面光沢度及び20度鏡面光沢度とした。
【0114】
1-2.輝度の変動係数の測定
画素密度が424ppiの表示素子を有する画像表示装置として、ソニー株式会社の商品名「Xperia(登録商標) Z5 E6653」を準備した。前記画像表示装置上に、実施例及び比較例の防眩フィルムの凹凸表面とは反対側の面を、透明接着媒体(フジコピアン社、商品名「FIXFILM HGA2」)を介して貼り合わせた。前記透明接着媒体は、透明吸着層、厚み50μmの透明基材、透明粘着剤層をこの順に有している。このとき、前記透明接着媒体の吸着層側が前記画像表示装置側となり、前記透明接着媒体の粘着剤層側が前記防眩フィルムの凹凸表面とは反対側となるように貼り合わせた。
CCDカメラとして、カメラ本体(冷却CCDカメラ[ビットラン株式会社の商品名「BU-63M」、ピクセルピッチ:5.5μm×5.5μm、画素数:1600万画素、ピクセル数:4896×3264])に、カメラレンズ(ニコン株式会社の商品名「AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D」)を装着したものを準備した。
次いで、防眩フィルムを貼り合わせた画像表示装置と、CCDカメラとを、表示素子の表面からCCDカメラが備えるカメラレンズの入射瞳までの距離が500mmとなるように配置した。カメラレンズの実効F値は36.4に設定した。
CCDカメラのフォーカスを表示素子の表面に合うように調節し、暗室環境下で画像表示装置を緑表示した状態で撮影した。ここでいう緑表示は、ディスプレイの構成原色のうちの単一最大階調((R,G,B)=(0, 255, 0))での表示である。
撮影時は、取得したデータの階調が階調領域の上限及び下限をオーバーしないよう露光時間を調整し、データを取得した。
こうして得られた画像データから、輝度の変動係数の算出に必要な撮像素子128×128ピクセルの領域αを抽出した。前記領域αを8×8ピクセルずつの領域に細分化し、256の小領域を得た。各小領域において、各小領域の各画素の輝度を、各小領域の全画素の平均輝度で除し、補正輝度を得た。256の小領域の補正輝度の標準偏差を、256の小領域の補正輝度の平均値で除し、輝度の変動係数を算出した。
明細書本文で述べたように、本開示の輝度の変動係数の測定方法では、各小領域において、各小領域の各画素の輝度を、各小領域の全画素の平均輝度で除していることから、表示素子に固有の輝度ムラを補正することができる。さらに、本開示の輝度の変動係数の測定方法では、補正輝度の標準偏差を補正輝度の平均値で除しているため、表示素子に特有の輝度の絶対値の影響を受けることがない。
明細書本文の記載に基づき、測定はサンプルごとに16箇所で行い、16箇所の平均値を、各実施例及び比較例の輝度の変動係数とした。
【0115】
1-3.表面形状の測定
白色干渉顕微鏡(Zygo社、商品名「New View7300」)を用いて、計測ステージに1-1で作製したサンプルが固定かつ密着した状態となるようにセットしたのち、以下の条件にて、防眩フィルムの表面形状の測定及び解析を行った。測定ソフトとして、Zygo社の商品名「MetroPro ver9.0.10(64-bit)のMicroscope Stitching Application」を用いて複数画像を自動的につなぎあわせて測定した。解析にはMetroPro ver9.0.10(64-bit)のMicroscope Applicationを用いた。
【0116】
(測定条件)
対物レンズ:50倍
ImageZoom:1倍
Stitch Controls
Type:Column&Row
N Cols:3
N Rows:3
Overlap(%):10
測定領域:611μm×611μm
・Camera Res(解像度):0.44μm
・Instrument:NewView7000 Id 0 SN 073395
・Acquisition Mode:Scan
・Scan Lemgth:10μm bipolar(2sec)
・Camera Mode:496x496 70 Hz
・Subtract Sys Err:Off
・Sys Err File:SysErr.dat
・AGC:Off
・Phase Res:High
・Connection Order:Location
・Discon Action:Filter
・Min Mod(%):0.01
・Min Area Size:7
・Remove Fringes:Off
・Number of Averages:0
・FDA Noise Threshold:10
・Scan Length:10um bipolar (3 sec)
・Extended Scan Length:1000 μm
・FDA Res:High 2G
【0117】
(解析条件)
・Removed:None
・Data Fill:On
・Data Fill Max:10000
・Filter:HighPass
・FilterType:GaussSpline
・Filter Window Size:3
・Filter Trim:Off
・Filter Low wavelength:800μm
・Min Area Size:0
・Remove spikes: On
・Spike Height(xRMS):2.5
【0118】
「Low wavelength」は粗さパラメータにおける「カットオフ値λc」に相当する。
【0119】
Surface Map画面上に「rms」を表示させ、その数値を測定領域の「Rq」とした。また、Slope Mag Map画面上に「rms」を表示させ、その数値を測定領域の「Δq」とした。さらに、RqおよびΔqの数値を上記式(A)に代入し、「λq」を算出した。
【0120】
1-4.全光線透過率(Tt)及びヘイズ(Hz)
実施例及び比較例の防眩フィルムを10cm四方に切断した。切断箇所は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。ヘイズメーター(HM-150、村上色彩技術研究所製)を用いて、各サンプルのJIS K7361-1:1997の全光線透過率、及びJIS K7136:2000のヘイズを測定した。
なお、光源が安定するよう事前に装置の電源スイッチをONにしてから15分以上待ち、入口開口(測定サンプルを設置する箇所)に何もセットせずに校正を行い、その後に入口開口に測定サンプルをセットして測定した。測定時の光入射面は透明基材側とした。
【0121】
1-5.防眩性1(正反射方向の防眩性)
1-1で作製したサンプルを高さ70cmの水平な台に凹凸表面が上になるように設置し、明室環境下で、照明光の正反射方向となる角度から、下記の評価基準で凹凸表面への照明光の映り込みを評価した。評価の際は、照明の中央から出射する光のサンプルBに対する入射角が10度となるように、照明に対するサンプルの位置を調整した。照明は、Hf32形の直管三波長形昼白色蛍光灯を用い、照明の位置は水平台から鉛直方向2m上方の高さとした。サンプルの凹凸表面上の照度が500lux以上1000lux以下となる範囲で評価した。観測者の目線は床から160cm前後とした。観測者は、30歳台の視力0.7以上の健康な者から選んだ20人とした。
<評価基準>
A:照明の輪郭及び照明の位置が全く判別できないと答えた人が16人以上
A-:照明の輪郭及び照明の位置が全く判別できないと答えた人が11人以上15人以下
B:照明の輪郭及び照明の位置が全く判別できないと答えた人が10人以下。さらに、前記のように答えなかった人の中で、照明の輪郭及び照明の位置がぼんやりと判別できる、と答えた人の割合が半分未満。
C:照明の輪郭及び照明の位置が全く判別できないと答えた人が10人以下。さらに、前記のように答えなかった人の中で、照明の輪郭及び照明の位置がぼんやりと判別できる、と答えた人の割合が半分以上。
【0122】
1-6.防眩性2(様々な角度の防眩性)
1-1で作製したサンプルを両手で持ち、サンプルの高さ及び角度を変更しながら評価する点を変更した以外は、1-5と同様にして、凹凸表面への照明光の映り込みを評価した。前述した角度の変更は、照明の中央から出射する光のサンプルに対する入射角が10度以上70度以下となる範囲で実施した。
【0123】
1-7.ギラツキ
画素密度が424ppiの表示素子を有する画像表示装置として、ソニー株式会社の商品名「Xperia(登録商標) Z5 E6653」を準備した。前記画像表示装置上に、実施例及び比較例の防眩フィルムの凹凸表面とは反対側の面を、透明粘着フィルム(フジコピアン社、商品名「FIXFILM HGA2」)を介して貼り合わせた。前記透明粘着フィルムは、吸着層、厚み50μmの基材、粘着層をこの順に有している。このとき、前記透明粘着フィルムの吸着層側が前記画像表示装置側となり、前記透明粘着フィルムの粘着層側が前記防眩フィルムの凹凸表面とは反対側となるように貼り合わせた。
防眩フィルムを貼り合わせた画像表示装置を水平な台に置き、画像表示装置を緑表示として、防眩フィルムより直線距離50cm上方のあらゆる角度から、防眩フィルムを貼り合わせた箇所のギラツキが目立つか否かを目視で評価した。評価の環境は明室環境下とした(防眩フィルム上の照度が500-1000lux。照明:Hf32形の直管三波長形昼白色蛍光灯。照明の位置は水平台から鉛直方向2m上方の高さ)。
ギラツキを感じないものを3点、どちらともいえないものを2点、ギラツキを強く感じるものを0点として、20人の被験者が評価した。20人の評価の平均点を算出し、下記基準によりランク付けした。20人の被験者は、20歳台-50歳台の各年代から5名ずつとした。
<評価基準>
A:平均点が2.5以上
B:平均点が2.0以上2.5未満
C:平均点が1.5以上2.0未満
D:平均点が1.5未満
【0124】
1-8.透過像鮮明度
実施例及び比較例の防眩フィルムを10cm四方に切断した。切断箇所は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。スガ試験機社製の写像性測定器(商品名:ICM-1T)を用いて、JIS K7374:2007に準拠して、サンプルの透過像鮮明度を測定した。光学櫛の幅は0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの5つとした。測定時の光入射面は透明基材側とした。C0.125、C0.25、C0.5、C1.0及びC2.0の値と、C0.125、C0.5、C1.0及びC2.0の合計値を表2に示す。
【0125】
1-9.耐擦傷性
実施例及び比較例の防眩フィルムの凹凸表面を上面にして学振摩耗試験機の土台に貼り合わせた。スチールウール#0000(日本スチールウール(株)製、商品名「ボンスター B-204」)をセットした。凹凸表面にスチールウールを接触させ、移動速度100mm/秒、1往復での移動距離200mmにて、荷重をかけながらスチールウールを10回往復させた。スチールウールとサンプルとの接触面積は2cm×2cmとなるようにした。
その後、各サンプルを、蛍光灯の照明下で目視で観察し、傷の数を確認した。その際、防眩フィルム上の照度は800lux以上1200lux以下、観察距離は30cmとした。各防眩フィルムについて、試験後に傷が観察されないときの単位面積当たりの最大荷重(g)を確認した。各防眩フィルムについて、それぞれn=2で試験を行い、前記最大荷重の平均を算出し、下記の基準で評価した。防眩性の評価がCである比較例1及び2、ギラツキの評価がDである比較例3については、耐擦傷性の評価は実施しなかった。
<評価基準>
A:最大荷重が200g以上
B:最大荷重が150g以上200g未満
C:最大荷重が150g未満
【0126】
1-10.漆黒感
1-1で作製したサンプルを高さ70cmの水平な台に凹凸表面が上になるように設置した。照明からの出射光のうち、最も強い出射角の光がサンプルにギリギリ入射しないように、照明に対するサンプルの位置を調整した。前述した調整により、観測者を基準としたサンプルの位置は、1-5のサンプルの位置よりも観測者より遠い側に配置されている。
上記の位置にサンプルを配置し、下記の評価基準で反射散乱光の程度を評価した。観測者の目線は床から160cm前後とした。観測者は、視力0.7以上の健康な20人とした。前記20人は、20歳台-50歳台の各年代から5人ずつ選んだ。防眩性の評価がCである比較例1及び2、ギラツキの評価がDである比較例3については、漆黒感の評価は実施しなかった。
<評価基準>
A:漆黒感が良好と感じた人が14人以上
B:漆黒感が良好と感じた人が7人以上13人以下
C:漆黒感が良好と感じた人が6人以下
【0127】
2.防眩フィルムの作製
[実施例1]
透明基材(厚み80μmのトリアセチルセルロース樹脂フィルム(TAC)、富士フイルム社、TD80UL)上に、下記処方の防眩層塗布液1を塗布し、70℃、風速5m/sで30秒間乾燥した後、酸素濃度200ppm以下の窒素雰囲気下にて積算光量が100mJ/cmになるように紫外線を照射して、防眩層を形成し、実施例1の防眩フィルムを得た。防眩層の厚みは5.0μmであった。防眩フィルムの凹凸表面とは反対側の面の算術平均粗さRaは0.012μmであった。
実施例1-9、比較例1-3の防眩層は、明細書本文の(d1)の手法により作製したものである。
【0128】
[実施例2]
防眩層塗布液1を、下記の防眩層塗布液2に変更し、防眩層の厚みを6.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の防眩フィルムを得た。
【0129】
[実施例3、6、7、8]、[比較例1-3]
防眩層塗布液1を、下記の防眩層塗布液3-9に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3、6、7、8及び、比較例1-3の防眩フィルムを得た。
【0130】
[実施例4]
実施例1の防眩フィルムの防眩層上に、スパッタリング法により反射防止層を形成し、実施例4の防眩フィルムを得た。反射防止層は、SiOからなる膜厚10nmの低屈折率層、Nbからなる膜厚25nmの高屈折率層、SiOからなる膜厚35nmの低屈折率層、Nbからなる膜厚40nmの高屈折率層、およびSiOからなる膜厚104nmの低屈折率層をこの順に積層してなる多層構造であった。高屈折率層および低屈折率層の屈折率をベッケ法で測定したところ、高屈折率層の屈折率は2.32であり、低屈折率層の屈折率は1.45であった。
【0131】
[実施例5]
実施例2の防眩フィルムの防眩層上に、下記処方の低屈折率層塗布液1を塗布し、70℃、風速5m/sで30秒間乾燥した後、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して、低屈折率層を形成し、実施例5の防眩フィルムを得た。低屈折率層の厚みは0.10μmであり、屈折率は1.32であった。
【0132】
[実施例9]
実施例2の防眩フィルムに代えて実施例8の防眩フィルムを用いた以外は、実施例5と同様にして、実施例9の防眩フィルムを得た。
【0133】
[実施例10]
透明基材(厚み80μmのトリアセチルセルロース樹脂フィルム(TAC)、富士フイルム社、TD80UL)上に、下記処方の防眩層塗布液11を塗布し、70℃、風速5m/sで60秒間乾燥した後、積算光量が60mJ/cmになるように照射して、防眩層を形成した。防眩層の厚みは8.0μmであった。次いで、防眩層上に、低屈折率層塗布液1を塗布し、70℃、風速2m/sで30秒間乾燥した後、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して、低屈折率層を形成し、実施例11の防眩フィルムを得た。
実施例10、比較例4の防眩層は、明細書本文の(d2)の相分離の手法により作製したものである。
【0134】
[比較例4]
透明基材(厚み100μmポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PET)、三菱ケミカル社、ダイアホイル)上に、下記処方の防眩層塗布液10を塗布し、80℃、風速5m/sで60秒間乾燥した後、積算光量が100mJ/cmになるように照射して、防眩層を形成し、比較例4の防眩フィルムを得た。防眩層の厚みは9.0μmであった。防眩フィルムの凹凸表面とは反対側の面の算術平均粗さRaは0.014μmであった。
【0135】
[比較例5]
防眩層塗布液を、下記処方の防眩層塗布液12に変更するとともに、防眩層の厚みを7.0μmに変更した以外は、比較例4と同様にして、比較例5の防眩フィルムを得た。
【0136】
[比較例6]
防眩層塗布液を、下記処方の防眩層塗布液13に変更した以外は、比較例4と同様にして、比較例6の防眩フィルムを得た。
【0137】
[比較例7]
防眩層塗布液を、下記処方の防眩層塗布液14に変更するとともに、防眩層の厚みを6.0μmに変更した以外は、比較例4と同様にして、比較例7の防眩フィルムを得た。
【0138】
<防眩層塗布液1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 80部
(日本化薬社、商品名:KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレートオリゴマー 20部
(DIC社、商品名:V-4000BA)
・シリカ粒子 25部
(平均粒子径:4.1μm)
(富士シリシア化学社製、ゲル法不定形シリカ)
・有機粒子 10部
(積水化成品社、球状ポリアクリル-スチレン共重合体)
(平均粒子径2.0μm、屈折率1.515)
(粒子径1.8-2.2μmの粒子の割合が90%以上)
・光重合開始剤 3部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad184)
・光重合開始剤 2部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad907)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名:TSF4460)
・溶剤(トルエン) 233.0部
・溶剤(シクロヘキサノン) 27.1部
【0139】
<防眩層塗布液2>
防眩層塗布液1の有機粒子を、「平均粒子径3.5μm、屈折率1.515(積水化成品社、球状ポリアクリル-スチレン共重合体、粒子径3.3-3.7μmの粒子の割合が90%以上)」である有機粒子に変更し、シリカ粒子を「平均粒子径6.0μm(富士シリシア化学社製、ゲル法不定形シリカ)」であるシリカ粒子に変更し、シリカ粒子の添加量を25部から20部に変更した以外は、防眩層塗布液1と同様の組成からなる塗布液。
【0140】
<防眩層塗布液3>
防眩層塗布液1において、有機粒子の添加量を10部から0部に変更し、シリカ粒子の添加量を25部から30部に変更した以外は、防眩層塗布液1と同様の組成からなる塗布液。
【0141】
<防眩層塗布液4>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 51.4部
(日本化薬社、商品名:KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレートオリゴマー 23.7部
(DIC社、商品名:V-4000BA)
・熱可塑性樹脂 24.9部
(アクリルポリマー、三菱レイヨン社、分子量75,000)
・有機粒子 59.3部
(積水化成品社、球状ポリアクリル-スチレン共重合体)
(平均粒子径2.5μm、屈折率1.515)
(粒子径2.3-2.7μmの粒子の割合が90%以上)
・無機微粒子分散液 215部
(日産化学社、表面に反応性官能基が導入されたシリカ、溶剤:MIBK、固形分:35.5%)
(平均粒子径12nm)
(無機微粒子の有効成分:76.3部)
・光重合開始剤 1.5部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad184)
・光重合開始剤 4.8部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad907)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名:TSF4460)
・溶剤(トルエン) 317.6部
・溶剤(シクロヘキサノン) 15.0部・溶剤(メチルイソブチルケトン) 121.1部
【0142】
<防眩層塗布液5>
防眩層塗布液4において、有機粒子の添加量を59.3部から43.3部に変更し、無機微粒子分散液シリカ粒子の添加量を215部から182部に変更した以外は、防眩層塗布液4と同様の組成からなる塗布液。
【0143】
<防眩層塗布液6>
防眩層塗布液1において、シリカ粒子の添加量を25部から20部に変更した以外は、防眩層塗布液1と同様の組成からなる塗布液。
【0144】
<防眩層塗布液7>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 65部
(日本化薬社、商品名:KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレートオリゴマー 35部
(DIC社、商品名:V-4000BA)
・有機粒子 14部
(積水化成品社、球状ポリアクリル-スチレン共重合体)
(平均粒子径3.5μm、屈折率1.550)
・シリカ粒子 6部
(平均粒子径:12nm)
(日本アエロジル社製、フュームドシリカ)
・光重合開始剤 5部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad184)
・シリコーン系レベリング剤 0.025部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名:TSF4460)
・溶剤(トルエン) 100部
・溶剤(シクロヘキサノン) 20部
・溶剤(イソプロピルアルコール) 55部
【0145】
<防眩層塗布液8>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 100部
(日本化薬社、商品名:KAYARAD-PET-30)
・シリカ粒子 7部
(平均粒子径:4.1μm)
(富士シリシア化学社製、ゲル法不定形シリカ)
・光重合開始剤 5部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名:TSF4460)
・溶剤(トルエン) 150部
・溶剤(MIBK) 35部
・溶剤(酢酸エチル) 5.2部
【0146】
<防眩層塗布液9>
防眩層塗布液8のシリカ粒子の添加量を7部から14部に変更した以外は、防眩層塗布液8と同様の組成からなる塗布液。
【0147】
<防眩層塗布液10>
・アクリル系重合体 15.0部
(ダイセル・オルネクス社、商品名:サイクロマ―P)
・セルロースアセテートプロピオネート 3部
(イーストマン社、商品名:CAP-482-20)
・ナノシリカ含有アクリル系紫外線硬化性化合物 150部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名:UVHC7800G)
・シリコーンアクリレート 1部
(ダイセル・オルネクス社、商品名:EB1360)
・光重合開始剤 1部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad184)
・光重合開始剤 1部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad907)
・溶剤(メチルエチルケトン) 101部
・溶剤(1-ブタノール) 24部
【0148】
<防眩層塗布液11>
・イソボルニルメタクリレート含有オリゴマー 5.0部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 30部
・ナノシリカ含有アクリル系紫外線硬化性化合物 120部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名:UVHC7800G)
・光重合開始剤 1部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad184)
・光重合開始剤 1部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad907)
・溶剤(イソプロパノール) 115部
・溶剤(MIBK) 40部
【0149】
<防眩層塗布液12>
・アクリル系重合体 12.5部
(ダイセル・オルネクス社、商品名:サイクロマ―P)
・セルロースアセテートプロピオネート 5.5部
(イーストマン社、商品名:CAP-482-20)
・ナノシリカ含有アクリル系紫外線硬化性化合物 149部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名:UVHC7800G)
・フッ素系化合物 0.1部
(ネオス社、商品名:フタージェント602A)
・光重合開始剤 1部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad184)
・光重合開始剤 1部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad907)
・溶剤(メチルエチルケトン) 129部
・溶剤(1-ブタノール) 24部
・溶剤(1-メトキシ-2-プロパノール) 13部
【0150】
<防眩層塗布液13>
・アクリル系重合体 12.5部
(ダイセル・オルネクス社、商品名:サイクロマ―P)
・セルロースアセテートプロピオネート 4部
(イーストマン社、商品名:CAP-482-20)
・ナノシリカ含有アクリル系紫外線硬化性化合物 210部
(日揮触媒化成(株)製、HP-1004)
・シリコーンアクリレート 1部
(ダイセル・オルネクス社、商品名:EB1360)
・光重合開始剤 1部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad184)
・光重合開始剤 1部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad907)
・溶剤(メチルエチルケトン) 31部
・溶剤(1-ブタノール) 24部
・溶剤(1-メトキシ-2-プロパノール) 12部
【0151】
<防眩層塗布液14>
・アクリル系重合体 47.5部
(ダイセル・オルネクス社、商品名:サイクロマ―P)
・セルロースアセテートプロピオネート 1.5部
(イーストマン社、商品名:CAP-482-20)
・ウレタンアクリレート 79.5部
(新中村化学社、商品名:U-15HA)
・光重合開始剤 1部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad184)
・光重合開始剤 1部
(IGM Resins B.V.社、商品名:Omnirad907)
・溶剤(メチルエチルケトン) 175部
・溶剤(1-ブタノール) 28部
・溶剤(1-メトキシ-2-プロパノール) 2部
【0152】
<低屈折率層塗布液1>
・多官能アクリル酸エステル組成物 100質量部
(第一工業製薬株式会社製、商品名「ニューフロンティア MF-001」)
・中空シリカ粒子 200質量部
(平均一次粒子径75nm、メタクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理されてなる粒子)
・中実シリカ粒子 110質量部
(平均一次粒子径12.5nm、メタクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理されてなる粒子)
・シリコーン系レベリング剤 13質量部
(信越化学社、商品名「X-22‐164E」)
・光重合開始剤 4.3質量部
(IGM Resins社、商品名「Omnirad127」)
・溶剤 14,867質量部
(メチルイソブチルケトンと1-メトキシ-2-プロピルアセテートとの混合溶剤。質量比=68/32)
【0153】
【表1】

【表2】
【0154】
表1の結果から、実施例の防眩フィルムは、防眩性に優れ、かつ、ギラツキを抑制し得ることが確認できる。
【符号の説明】
【0155】
10:透明基材
20:防眩層
21:バインダー樹脂
22:粒子
100:防眩フィルム
110:表示素子
120:画像表示パネル
200:透明接着媒体
31:カメラ本体
32:レンズ
300:CCDカメラ
500:固定具
600:水平台
700:観測者

図1
図2
図3
図4