(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】エネルギーおよび水の使用量の削減を支援する方法およびシステムおよび装置
(51)【国際特許分類】
F24H 4/04 20060101AFI20241001BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20241001BHJP
F24H 7/02 20220101ALI20241001BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20241001BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20241001BHJP
F24H 15/32 20220101ALI20241001BHJP
F24H 15/37 20220101ALI20241001BHJP
F24H 15/375 20220101ALI20241001BHJP
F24H 15/414 20220101ALI20241001BHJP
【FI】
F24H4/04
F24H1/18 G
F24H7/02 601A
F24H15/219
F24H15/238
F24H15/32
F24H15/37
F24H15/375
F24H15/414
(21)【出願番号】P 2023547559
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 IB2022051049
(87)【国際公開番号】W WO2022168022
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-11-20
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】523293529
【氏名又は名称】オクトパス エナジー ヒーティング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCTOPUS ENERGY HEATING LIMITED
【住所又は居所原語表記】UK House, 164-182 Oxford Street, London, W1D 1NN, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】コノヴァルチク、ピーター
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-088348(JP,A)
【文献】特開平02-197761(JP,A)
【文献】特開平05-026514(JP,A)
【文献】特開2004-101031(JP,A)
【文献】特開2004-301469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内温水供給システムと、
前記温水供給システムにおける水を加熱するように配置された地熱源または空気源ヒート・ポンプと、
エネルギー貯蔵媒体の塊を含有するエネルギー貯蔵機構であって、前記エネルギー貯蔵媒体の塊は、前記温水供給システムの出口の開放から少なくとも前記地熱源または空気源ヒート・ポンプが前記温水供給システムにおける水を加熱し始めるまでの間隔に所定量の水を所定の温度に加熱するのに十分な熱容量を有する、エネルギー貯蔵機構と、
前記温水供給システムと前記地熱源または空気源ヒート・ポンプとの間に結合された熱交換器であって、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプによって加熱された液体との熱交換を通じて、前記温水供給システムにおける水を加熱するように配置された、熱交換器と、
前記温水供給システムの前記出口の前記開放に基づいて前記地熱源または空気源ヒート・ポンプに対して信号を提供するプロセッサと、
前記温水供給システムの前記出口への流路における電気ヒータである瞬間湯沸器と、
を含み、
前記瞬間湯沸器は、前記エネルギー貯蔵媒体と前記地熱源または空気源ヒート・ポンプとの状態に関する情報に基づいて、前記プロセッサによって制御され、前記熱交換器と前記電気ヒータである前記瞬間湯沸器との間の前記温水供給システム内の水の流路において温度トランスデューサが設けられ、
前記プロセッサは、前記温水供給システムの前記出口の前記開放を検知することと、検知された温水流量に基づいて、開放が検知されている前記出口のタイプを決定することと、検知された前記温水流量、開放が検知されている前記出口の決定された前記タイプ、前記エネルギー貯蔵機構の前記状態、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプの前記状態に基づいて前記地熱源または空気源ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するかどうかを決定することと、を行うように構成され、
前記プロセッサは、前記温水供給システムの前記出口へ十分な温水を供給するために、前記エネルギー貯蔵機構を優先的に利用し、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプを次いで利用するように構成される、
設備。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記エネルギー貯蔵機構および前記地熱源または空気源ヒート・ポンプが十分な温水を提供することができないときのみに、前記瞬間湯沸器を作動させるように構成される、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記プロセッサは、エネルギー消費を低減するために、前記瞬間湯沸器、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプ、および前記エネルギー貯蔵媒体からのエネルギーの使用を管理するロジックを備える、請求項1または2に記載の設備。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記エネルギー貯蔵媒体のエネルギー含有量を推定するように構成される、請求項1または2に記載の設備。
【請求項5】
設備における地熱源または空気源ヒート・ポンプを制御する方法であって、前記設備は、建物内温水供給システムと、前記温水供給システムにおける水を加熱するように配置された前記地熱源または空気源ヒート・ポンプと、前記温水供給システムと前記地熱源または空気源ヒート・ポンプとの間に結合された熱交換器と、エネルギー貯蔵媒体の塊を含有するエネルギー貯蔵機構であって、前記エネルギー貯蔵媒体の塊は、前記温水供給システムの出口の開放から少なくとも前記地熱源または空気源ヒート・ポンプが前記温水供給システムにおける水を加熱し始めるまでの間隔に所定量の水を所定の温度に加熱するのに十分な熱容量を有し、前記熱交換器は前記エネルギー貯蔵機構の一部である、エネルギー貯蔵機構と、前記エネルギー貯蔵機構と前記温水供給システムの前記出口との間の流路における、電気ヒータである瞬間湯沸器と、前記温水供給システムの前記出口の開放に基づいて前記地熱源または空気源ヒート・ポンプに対して信号を提供するプロセッサであって、前記エネルギー貯蔵機構の状態および前記地熱源または空気源ヒート・ポンプの状態に関する情報を受信するように構成されているプロセッサとを含み、前記プロセッサは、前記電気ヒータである前記瞬間湯沸器を制御するように構成され、
前記プロセッサは、前記温水供給システムの前記出口へ十分な温水を供給するために、前記エネルギー貯蔵機構を優先的に利用し、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプを次いで利用するように構成され、
前記方法は、前記プロセッサが、前記温水供給システムの前記出口の前記開放を検知する工程と、
検知された温水流量に基づいて、開放が検知されている前記出口のタイプを決定する工程と、検知された
前記温水流量、
開放が検知されている前記出口の決定された前記タイプ、前記エネルギー貯蔵機構の前記状態、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプの前記状態に基づいて、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するかどうかを決定する工程とを備える、方法。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプに対して
前記開始信号を提供するかどうかを決定する際に、予測されたおよび/またはスケジュールされた需要データを使用する工程をさらに含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記プロセッサが、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプに対して開始信号を提供しないことが決定された場合に、前記温水供給システムにおける水を加熱するために、前記瞬間湯沸器にエネルギー付与するかどうかを決定する工程をさらに備える、請求項5
または6に記載の方法。
【請求項8】
設備における地熱源または空気源ヒート・ポンプを制御するのに使用するプロセッサおよびメモリであって、前記設備は、建物内温水供給システムと、前記温水供給システムにおける水を加熱するように配置された地熱源または空気源ヒート・ポンプと、エネルギー貯蔵媒体の塊を含有するエネルギー貯蔵機構とを含み、前記エネルギー貯蔵媒体の塊は、前記温水供給システムの出口の開放から少なくとも前記地熱源または空気源ヒート・ポンプが前記温水供給システムにおける水を加熱し始めるまでの間隔に所定量の水を所定の温度に加熱するのに十分な熱容量を有し、
前記プロセッサは、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプに動作可能に接続して、前記温水供給システムの前記出口の前記開放に基づいて前記地熱源または空気源ヒート・ポンプに対して信号を提供するように構成され、前記プロセッサは、前記エネルギー貯蔵機構の状態と前記地熱源または空気源ヒート・ポン
プの状態とに関する情報を受信するように構成され、
電気ヒータである瞬間湯沸器が、前記エネルギー貯蔵機構と前記温水供給システムの前記出口との間の流路にあり、前記瞬間湯沸器は、前記プロセッサによって制御され、
前記メモリは、前記プロセッサに動作可能に結合され、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプを制御する方法を前記プロセッサに実行させる命令を記憶しており、前記方法において、
前記プロセッサは、前記温水供給システムの前記出口の前記開放を検知し、
検知された温水流量に基づいて、開放が検知されている前記出口のタイプを決定し、検知された
前記温水流量、
開放が検知されている前記出口の決定された前記タイプ、前記エネルギー貯蔵機構の前記状態
、前記地熱源または空気源ヒート・ポン
プの前記状
態に基づいて、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するかどうかを決定し、
前記プロセッサは、前記温水供給システムの前記出口へ十分な温水を供給するために、前記エネルギー貯蔵機構を優先的に利用し、前記地熱源または空気源ヒート・ポンプを次いで利用するように構成される、プロセッサおよびメモリ。
【請求項9】
命令を含むコンピュータ・プログラムであって、前記命令は、前記プログラムがプロセッサによって実行されたとき、請求項5乃至
7のいずれか1項に記載の方法を前記プロセッサに実行させる、コンピュータ・プログラム。
【請求項10】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されたとき、請求項5乃至
7のいずれか1項に記載の方法を前記プロセッサに実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、相変化材料に基づくエネルギー貯蔵機構を含む建物内温水供給システムを含む設備のための様々な方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指令2012/27/EUによれば、建築物はEUの最終エネルギー消費の40%、CO2排出の36%を占めている。EUの世帯では暖房および温水だけで最終エネルギー総使用量(約8.06×1018J(192.5Mtoe))の79%を占めると結論付けられている(例えば、非特許文献1参照)。また、欧州委員会は、「ユーロスタットによる2019年の数字によれば、冷暖房の約75%が依然として化石燃料から生成されているのに対し、わずか22%が再生可能エネルギーから生成されている」と報告している。EUの気候およびエネルギー目標を達成するためには、冷暖房部門はそのエネルギー消費を大幅に減らし、化石燃料の使用を削減しなければならない。ヒート・ポンプ(空気、土地、または水から取り出されるエネルギーを伴う)は、この問題に対処する上で潜在的に重要な貢献をするものと認められている。
【0003】
多くの国において、二酸化炭素排出量を削減するための政策および圧力がある。例えば、英国では2020年に、英国政府が将来の住宅基準(Future Homes Standard)に関する白書を発表し、2025年までに新築住宅からの炭素排出を既存の水準に比べて75~80%削減することを提案している。さらに2019年初めには、新築住宅へのガス・ボイラーの設置を2025年から禁止することが発表された。報告の時点で英国では、建物の暖房に使用される総エネルギーの78%がガスから生じ、12%が電気から生じていると報告されている。
【0004】
英国では、ガス焚きセントラル・ヒーティングを有しベッドルームが2~3以下である小規模な物件が多くあり、これらの物件のほとんどは、ボイラーが瞬間湯沸器とセントラル・ヒーティング用ボイラーとして機能する、いわゆるコンビネーション・ボイラーを使用している。コンビネーション・ボイラーは、それらが小さなフォーム・ファクタを有し、多かれ少なかれ即座の「無制限」温水源(20~35kW出力を有する)を提供し、温水貯蔵を必要としないため、一般的に普及している。そのようなボイラーは、評判の良い製造者から比較的安価に購入できる。フォーム・ファクタが小さく、温水貯蔵タンクなしで機能するので、一般に、台所に壁掛けされることが多い小さなアパートや家でもそのようなボイラーを収容することができ、一人の一日の作業で新しいボイラーを設置することができる。したがって、新しいコンビ・ガス・ボイラーを安価に設置することが可能である。新しいガス・ボイラーの禁止が差し迫ったため、ガス・コンビ・ボイラーに代わる代替熱源が必要となる。また、以前から設置されているコンビ・ボイラーも最終的に何らかの代替品に交換される必要がある。
【0005】
ヒート・ポンプは、化石燃料への依存を減らしCO2排出を削減する必要性に対する潜在的解決策として提案されているが、それらは、現在のところ、小規模な家庭(および小規模商業施設)のガス燃焼ボイラーの置き換えの問題、またはいくつかの技術的、商業的、および実用的理由に関して適していない。それらは典型的には非常に大きく、物件の外側に相当なユニットを必要とする。したがって、典型的なコンビ・ボイラーを備えた物件に容易に組み込むことができない。典型的なガス・ボイラーと同等の出力を提供できるユニットは、現在のところ高価であり、かなりの電力需要を必要とする可能性がある。ユニット自体が、同等のガス火力相当物の何倍もコストがかかるだけでなく、それらのサイズと複雑さは、設置が技術的に複雑であり、したがって高価であることを意味する。また、温水用の貯蔵タンクが必要であり、これは、小さな家庭用住居でのヒート・ポンプの使用を妨げるさらなる要因である。さらなる技術的問題は、ヒート・ポンプが、需要に応じて熱の発生を開始するのにかなりの時間を必要とする傾向があり、おそらく、自己チェックに30秒、次いで、加熱にいくらかの時間を必要とするので、温水の要求とその送達との間に1分以上の遅延がある。このような理由から、試みられているヒート・ポンプおよび/または太陽光を使用する再生可能な解決策は、一般的に、(スペース要求、熱損失、およびレジオネラ・リスクを伴う)温水貯蔵タンクのための空間を有する大きな物件に適用可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】The EU Commission report of 2016 “Mapping and analyses of the current and future (2020 - 2030) heating/cooling fuel deployment (fossil/renewables)”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、ガス・コンビ・ボイラー、特に小さな家庭用住居のガス・コンビ・ボイラーを置き換えるための適切な技術を見出すという問題の解決策を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、建物内温水供給システムと、温水供給システムにおける水を加熱するように配置されたヒート・ポンプと、相変化材料の塊を含有するエネルギー貯蔵機構と、温水システムとヒート・ポンプとの間に結合された熱交換器と、温水供給システムの出口の開放に基づいてヒート・ポンプに対して信号を提供するプロセッサ(システム・コントローラ)とを含む設備であって、相変化材料の塊は、温水供給システムの出口の開放から少なくともヒート・ポンプが温水供給システムにおける水を加熱し始めるまでの間隔に所定量の水を所定の温度に加熱するのに十分な潜熱容量を有する、設備が提供される。そのような設備は、従来の熱源、例えば、ガス・コンビ・ボイラーの代わりに外付けヒート・ポンプの利点を享受し、瞬間的な温水の需要を満たす便利な方法を提供する。
【0009】
好ましくは、設備は、温水をもたらすための優先的なエネルギー源としてPCMエネルギー貯蔵機構を使用するように構成される。そのような機構は、温水に対する短期的な需要のためにヒート・ポンプを始動する必要性を回避するとともに、「瞬間的な」水の加熱の補助的な供給源(電気的に加熱される要素やガス焚きボイラーなど)を使用する必要性を回避することができる。
【0010】
第2の態様では、建物内温水システムを含む設備であって、温水システムの出口への流路における熱交換器と、温水システムの出口への流路におけるエネルギー貯蔵機構および流量センサであって、熱交換器は、エネルギー貯蔵機構の一部である、エネルギー貯蔵機構および流量センサと、ヒート・ポンプから温水システム内の水に対して熱を伝達するために、熱交換器に接続されたヒート・ポンプと、流量センサおよびヒート・ポンプに結合されたプロセッサとを備える設備であり、プロセッサは、流量センサから受信された信号に基づいて、ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するように構成され、設備は、ヒート・ポンプに対する開始信号の提供とヒート・ポンプによる温水システム内の水の加熱との間に時間間隔が生じるように配置され、エネルギー貯蔵機構は、相変化材料の塊を含有し、相変化材料の塊は、少なくとも温水システム内の水がヒート・ポンプによって加熱されるまでに、温水システム内の所定量の水を目標の温度に加熱するのに十分な潜熱容量を有し、したがって、開始信号の送信と温水システム内の水のヒート・ポンプによる加熱との間の間隔において、制御可能な出口から温水が供給されることが可能である、設備が提供される。そのような設備は、従来の熱源、例えば、ガス・コンビ・ボイラーの代わりに外付けヒート・ポンプの利点を享受し、瞬間的な温水の需要を満たす便利な方法を提供する。そのような設備のエネルギー貯蔵機構は、ヒート・ポンプが稼動するまでの間隔において温水を供給することができ、温水供給設備の一部としての温水貯蔵の必要性を回避することができる。これは、サイズが大きくない住居でガス・コンビ・ボイラーを置き換えることができるならば、大きな実用的意義を有する。好ましくは、相変化材料は熱交換器に組み込まれる。これにより、エネルギー効率を改善することができ、設備に組み込まれる必要のある機器の部品点数と体積の両方を削減する可能性がある。
【0011】
好ましくは、上記の設備のいずれかは、温水システムの出口への流路において(エネルギー貯蔵機構と並列に、またはエネルギー貯蔵機構の下流に)瞬間湯沸器をさらに備え、瞬間湯沸器はプロセッサによって制御される。瞬間湯沸器は、好ましくは電気ヒータである。そのような追加の熱源は、ヒート・ポンプが利用できない期間、またはエネルギー貯蔵機構が低充電状態にある期間に有用であり得る。また、それは、低いもしくは負のエネルギー料金、または(例えば、家庭用太陽光発電設備もしくは家庭用風力タービンからの)局所的に発電された電力を利用する手段を提供する。
【0012】
任意選択で、上記の設備のいずれかは、熱交換器と瞬間湯沸器との間の温水システム内の水の流路における温度トランスデューサをさらに含み得る。このようにして、システム・コントローラは、熱交換器から出る水が追加の加熱からどのように利益を得るかを決定することができ、例えば、それぞれが異なる所定の供給温度を有し得るシャワー、手洗器、浴槽、台所シンクなどに供給される温水の所定の温度レベルの知識と組み合わせて、温水が供給されて来る蛇口/出口の知識に基づいて決定することができる。
【0013】
第3の態様では、建物内温水供給システムと、温水供給システムにおける水を加熱するように配置されたヒート・ポンプと、相変化材料の塊を含有するエネルギー貯蔵機構であって、相変化材料の塊は、温水供給システムの出口の開放から少なくともヒート・ポンプが温水供給システムにおける水を加熱し始めるまでの間隔に所定量の水を所定の温度に加熱するのに十分な潜熱容量を有する、エネルギー貯蔵機構と、温水システムとヒート・ポンプとの間に結合された熱交換器と、温水供給システムの出口の開放に基づいてヒート・ポンプに対して信号を提供するプロセッサと、温水システムの出口への流路における瞬間湯沸器であって、瞬間湯沸器は、相変化材料とヒート・ポンプとの状態に関する情報に基づいて瞬間湯沸器を制御するように構成されたプロセッサによって制御される、瞬間湯沸器とを含む設備が提供される。任意選択で、熱交換器は、冷水供給部と温水システムの制御可能な出口との間の流路にあり、設備は、プロセッサに連結された、冷水供給部と温水システムの出口との間の流路における流量センサをさらに備え、熱交換器は、エネルギー貯蔵機構の一部であり、プロセッサは、信号を、流量センサから受信された信号に基づいて、ヒート・ポンプに対して提供するように構成される。
【0014】
任意選択で、上記の設備のいずれかにおいて、プロセッサは、エネルギー貯蔵機構およびヒート・ポンプが十分な温水を提供することができないときのみに、瞬間湯沸器を作動させるように構成され得る。このようにして、ヒート・ポンプから供給される「グリーン」エネルギーは、(例えば)化石燃料を燃焼させることによって得られた可能性がある主系統から供給される電力と比較して優先的に使用され得る。
【0015】
プロセッサは、相変化材料とヒート・ポンプとの状態に関する情報に基づいて瞬間湯沸器を制御するように構成され得る。例えば、PCMが枯渇し、ヒート・ポンプが(例えば、所定の期間内に何度も起動されたため、またはかなり最近運転されたため)利用できない場合、瞬間湯沸器を使用して、PCMおよびヒート・ポンプからのエネルギーの利用可能性の不足を補償し得る。一方、PCMが完全に「充電」され、および/またはヒート・ポンプが利用可能である場合、プロセッサは、瞬間湯沸器を使用しないことを決定し得る。
【0016】
プロセッサは、エネルギー消費を低減するために、瞬間湯沸器、ヒート・ポンプ、および相変化材料からのエネルギーの使用を管理するロジックを備え得る。これにより、水を加熱するコストを削減することができ、また、化石燃料に由来するエネルギーよりも「グリーン」エネルギーを優先することができる。プロセッサがよりコストベースの手法を採用する場合、プロセッサは最新の料金情報を提供されることが好ましい。プロセッサは、世帯の活動(過去、現在、および計画)、占有情報、天気予報、および/または現在の天候条件などに関する情報に対するアクセスを有してもよい。
【0017】
プロセッサは、十分な温水を供給するために、エネルギー貯蔵機構を優先的に利用し、ヒート・ポンプを次いで利用するように構成され得る。そのような手法は、効率を改善し、ヒート・ポンプおよびその構成要素の損傷を低減することができる。
【0018】
エネルギー貯蔵機構のエンクロージャは、300mmと600mmの間の長さを有する第1の辺、300mmと600mmの間の長さを有する第2の辺、および150mmと350mmの間の長さを有する第3の辺によって画定される概ね長方形の立方体であってよい。このサイズ範囲のエンクロージャを作ることによって、以前設備されたコンビ・ガス・ボイラーを直接物理的に代替する装置を作成することができ、また新しい設備におけるコンビ・ガス・ボイラーに代わる設備に適したユニットを提供することができるはずである。
【0019】
エネルギー貯蔵機構のエンクロージャは、熱絶縁ジャケット内に収容され得る。エネルギー貯蔵機構内のエネルギー貯蔵材料は一般に摂氏40度と60度の間に維持される可能性が高いが、全体的なエネルギー効率は、適切な熱絶縁ジャケットまたは外エンクロージャを設けることによって改善される。
【0020】
エネルギー貯蔵機構は、エンクロージャ内に電気ヒータをさらに備えてよい。これにより、ヒート・ポンプが利用できないときでもPCMを「充電」する能力を提供し、また、例えば一時的な低い供給料金を利用し、または場合によっては家庭用太陽光もしくは風力発電設備から発電される「安い」電力の使用を可能にする。
【0021】
相変化材料の塊は、相変化材料の潜熱に基づいて、2メガジュールと5メガジュールの間のエネルギー貯蔵容量を有し得る。この範囲のエネルギー貯蔵容量は、家庭用ガス・コンビ・ボイラーの代わりにヒート・ポンプが使用されることを可能にするためにエネルギー貯蔵機構が使用される用途において、十分な瞬間的温水を提供するために適しているべきである。
【0022】
プロセッサは、相変化材料のエネルギー含有量を推定するように構成され得る。
相変化材料は、摂氏40度と60度の間の温度で相変態を有し得る。この温度範囲の相転移を有するPCMは、ヒート・ポンプの効率的な動作温度に適合しながら、家庭用温水を直接加熱するのに特に適している。
【0023】
相変化材料は、本出願で後述されるリストから選択されるパラフィンであり得る。パラフィン・ワックスは、優れた潜熱容量を有し、低い化学反応性を有し、優れた安定性および低い毒性を有する。
【0024】
任意選択で、本発明の態様のいずれかの設備は、エネルギー貯蔵機構が、複数の密封体を含むエンクロージャを備え、相変化材料は、密封体内に封入され、エネルギー・バンクが、エンクロージャ内の複数の密封体を取り囲むようにエネルギー伝達液体を含有するように構成され得る。
【0025】
任意選択で、エネルギー・バンクの入力側回路が、入力および出力を有する導管によって画定され、入力と出力は、無孔導管によって接続され、したがって、入力で導入された水がエンクロージャ内のエネルギー伝達液体と混合することなく導管壁によって出口に導かれる。
【0026】
任意選択でエネルギー伝達液体は、エンクロージャ内に密封される。
任意選択で、本発明の態様のいずれかの設備は、エネルギー・バンクの入力側回路が、エンクロージャの内部と連通する1つまたは複数の入力ポートおよび1つまたは複数の出力ポートを含むように構成されてよく、機構は、入力ポートのうちの1つまたは複数を介してエンクロージャの内部に導入された熱伝達液体が、エンクロージャ内の複数の密封体上を通過して流れ、出力ポートのうちの1つまたは複数を介してエンクロージャから出るように構成される。
【0027】
第4の態様では、設備におけるヒート・ポンプを制御する方法であって、設備は、建物内温水供給システムと、温水供給システムにおける水を加熱するように配置されたヒート・ポンプと、相変化材料の塊を含有するエネルギー貯蔵機構と、温水供給システムの出口の開放に基づいてヒート・ポンプに対して信号を提供するプロセッサであって、エネルギー貯蔵機構の状態およびヒート・ポンプの状態に関する情報を受信するように構成されているプロセッサとを含み、相変化材料の塊は、温水供給システムの出口の開放から少なくともヒート・ポンプが温水供給システムにおける水を加熱し始めるまで所定量の水を所定の温度に加熱するのに十分な潜熱容量を有し、上記方法は、プロセッサが、温水供給システムの出口の開放を検知する工程と、検知された温水流量、エネルギー貯蔵機構の状態、ヒート・ポンプの状態に基づいて、ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するかどうかを決定する工程とを備える、方法が提供される。
【0028】
第5の態様では、設備におけるヒート・ポンプを制御する方法であって、設備は、建物内温水システムを含み、設備は、冷水供給部と温水システムの制御可能な出口との間の流路における熱交換器と、ヒート・ポンプから温水システム内の水に対して熱を伝達するために、熱交換器に接続されたヒート・ポンプと、冷水供給部と温水システムの出口との間の流路におけるエネルギー貯蔵ユニットおよび流量センサと、流量センサおよびヒート・ポンプに結合されたプロセッサであって、エネルギー貯蔵機構の状態およびヒート・ポンプの状態に関する情報を受信するように構成されているプロセッサとを備え、プロセッサは、流量センサから受信された信号に基づいて、ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するように構成され、機構は、ヒート・ポンプに対する開始信号の提供とヒート・ポンプによる温水システム内の水の加熱との間に時間間隔が生じるようになされ、エネルギー貯蔵ユニットは、相変化材料の塊を含有し、相変化材料の塊は、少なくとも温水システム内の水がヒート・ポンプによって加熱されるまでに、温水システム内の所定量の水を目標の温度に加熱するのに十分な潜熱容量を有し、したがって、開始信号の送信と温水システム内の水のヒート・ポンプによる加熱との間の間隔において、制御可能な出口から温水が供給されることが可能であり、上記方法は、プロセッサが、温水供給システムの出口の開放を検知する工程と、検知された温水流量、エネルギー貯蔵機構の状態、ヒート・ポンプの状態に基づいて、ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するかどうかを決定する工程とを備える、方法が提供される。
【0029】
第4または第5の態様の方法は、プロセッサが、検知された温水流量に基づいて、開放が検知されている出口のタイプを決定する工程と、ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するかどうかを決定する際に、決定されたタイプを使用する工程とをさらに備え得る。
【0030】
第4または第5の態様の方法は、プロセッサが、ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するかどうかを決定する際に、予測されたおよび/またはスケジュールされた需要データを使用する工程をさらに含み得る。
【0031】
第4または第5の態様の方法において、建物内温水供給システムは、エネルギー貯蔵機構から下流の温水システムにおける水を加熱するために、プロセッサに結合された電気湯沸器をさらに備えてよく、この方法は、プロセッサが、ヒート・ポンプに対して開始信号を提供しないことが決定された場合に、温水システムにおける水を加熱するために、電気湯沸器にエネルギー付与するかどうかを決定する工程をさらに備える。
【0032】
第6の態様では、設備におけるヒート・ポンプを制御するのに使用するプロセッサおよびメモリであって、設備は、建物内温水供給システムと、温水供給システムにおける水を加熱するように配置されたヒート・ポンプと、相変化材料の塊を含有するエネルギー貯蔵機構とを含み、プロセッサは、ヒート・ポンプに動作的に接続して、温水供給システムの出口の開放に基づいてヒート・ポンプに対して信号を提供するように構成され、プロセッサは、エネルギー貯蔵機構の状態およびヒート・ポンプの状態に関する情報を受信するように構成され、
メモリは、プロセッサに動作的に結合され、ヒート・ポンプを制御する方法をプロセッサに実行させる命令を記憶しており、この方法において、プロセッサは、温水供給システムの出口の開放を検知し、検知された温水流量、エネルギー貯蔵機構の状態、ヒート・ポンプの状態に基づいて、ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するかどうかを決定する、プロセッサおよびメモリが提供される。
【0033】
次に、本開示の様々な態様の実施形態が、添付の図面を参照して単に例示として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本開示の一態様による建物内温水供給システムを含む設備の可能な配置を示す概略図。
【
図2】本開示の一態様によるインターフェース・ユニットの構成要素の可能な配置を示す概略図。
【
図3】
図2に示すようなインターフェース・ユニットの熱交換器内の熱伝達を改善するための配置を示す概略図。
【
図4】固体から液体への相の変化に伴って生じるような相変化材料の膨張を可逆的に補償するための配置を示す概略図。
【
図5】固体から液体への相の変化に伴って生じるような相変化材料の膨張を可逆的に補償するための配置を示す概略図。
【
図6】固体から液体への相の変化に伴って生じるような相変化材料の膨張を可逆的に補償するための別の配置を示す概略図。
【
図7】相変化材料の本体内の圧力を監視することにより、材料のエネルギー貯蔵状態に関する情報を提供することができる方法を示す概略図。
【
図8】本開示の一態様による圧力検知機構を含む建物内加熱システムの詳細を示す概略図。
【
図9】本開示の一態様による建物内水供給設備を示す概略図。
【
図10】本開示の一態様による温水供給部と冷水供給部の両方を含む建物内水供給設備を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本開示の第1の態様による設備を概略的に示す。設備100は、ボックス110で表される建物内温水供給システム(HWSS:hot water supply system)を含み、ヒート・ポンプ120(一般に建物の外側に位置する)が、HWSS110における水を加熱するように配置されている。HWSSは、蛇口またはシャワー出口のような少なくとも1つの出口130を含む。HWSSは、相変化材料(PCM)の塊を含有するエネルギー貯蔵機構(ESA:energy storage arrangement)140をさらに備える。システム・コントローラと呼ばれることもあるプロセッサ150が、温水システムの出口130などの出口の開放に基づいてヒート・ポンプ120に対して信号を提供するように配置される。
【0036】
相変化材料の塊は、温水供給システムの出口の開放から少なくともヒート・ポンプが温水供給システムにおける水を加熱し始めるまでの間隔に所定量の水を所定の温度に加熱するのに十分な潜熱容量を有する。適切な相変化材料のいくつかの例およびそれらの特性については、本明細書で後述される。
【0037】
HWSS110は、加熱されるべき水を、例えば、冷水供給部160から供給され、少なくとも1つの流量トランスデューサ170が、加熱されるべき水の供給部と少なくとも1つの出口130との間の流路に含まれる。好ましくは、ヒート・ポンプは、配管190によって概略的に示される閉ループ配置によってHWSSにおける水を加熱するように配置され、加熱されるべき水の供給部は、配管200で示されるようにHWSSに直接接続される。流量トランスデューサ170は、温水システムの供給側またはシステム全体の出口側に配置され得る。HWSSには、少なくとも1つの温度トランスデューサ210が設けられる。単一の温度トランスデューサ210のみが提供される場合、これは、エネルギー貯蔵機構140と少なくとも1つの出口130との間の流路にあるべきである。
【0038】
また、HWSS110は、好ましくは、図示されるようにエネルギー貯蔵機構140と少なくとも1つの出口130との間の流路に、またはエネルギー貯蔵機構140と並列に、瞬間湯沸器220を含む。瞬間湯沸器220がHWSSに含まれる場合、エネルギー貯蔵機構と瞬間湯沸器(直列接続されている場合)との間の流路、ならびに瞬間湯沸器と少なくとも1つの出口130との間の流路に、温度トランスデューサを含むことが好ましい。瞬間湯沸器は、好ましくは電気ヒータである。
【0039】
プロセッサ150は、流量トランスデューサ170、メモリ151、各温度トランスデューサ210、およびヒート・ポンプに結合される。さらに、プロセッサがESAの状態を認識するように、ESA内の1つまたは複数の検知機構がプロセッサに結合されることが好ましい。瞬間湯沸器220がシステムに含まれている場合、プロセッサ150も瞬間湯沸器220に接続される。
【0040】
ヒート・ポンプが閉ループ構成によりHWSS内の水を加熱する好ましい構成では、図示されていない熱交換器が、一方の側で、ヒート・ポンプによって加熱された液体を受け取り、他方の側で、加熱されるべきHWSS内の水を受け取る。好ましくは、熱交換器はESAの一部を構成する。好ましくは、熱交換器は、相変化材料の塊の一部または全部を含む。
【0041】
図1に示されるように、ヒート・ポンプは、その大きさのため、典型的には、HWSSを収容する建物の外側に配置される。ヒート・ポンプは、建物の外側に取り付けられたか内側に取り付けられたかにかかわらず、典型的には、開始信号を受信した後に熱を提供し始めるのに30秒から60秒を要する。これは、ヒート・ポンプの内部プロセッサが典型的には複数の構成要素およびサブシステムのチェックを行わなければならないためであり、また、コンプレッサおよびヒート・ポンプのポンプなどの始動に固有の遅れがあるためである。ヒート・ポンプの始動の後であっても、ヒート・ポンプからの熱がHWSSに到達するまでに、当然ながら不可避の遅れがある。同様に、熱ポンプによって供給される温液とHWSS内で加熱される水との間で、熱が熱交換器を介して伝達されるには、ある程度の時間が必要とされる。さらに、ヒート・ポンプは、典型的には1時間に6回を超える始動を回避するように構成されており(製造者によって異なるが、製造者間で数値は同様である)、システムのプロセッサ150は、接続されたヒート・ポンプに適用するこの制約を認識し、また、始動指示を送信したそれ自体の履歴について知り、この情報を、それを利用可能な様々な熱源の管理に関する決定に織り込む。
【0042】
HWSSのプロセッサ150は、流量センサ170から受信された信号に基づいて、ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するように構成される。上述されたように、設備は、ヒート・ポンプに対する開始信号の提供と、ヒート・ポンプによる温水システム内の水の加熱との間に時間間隔が生じるように構成されている。つまり、温水の貯蔵または他の何らかの温水源がなければ、HWSSから供給される蛇口またはシャワーを開けても、出口から温水が出現するまで1分間以上の長い待ち時間を必要とする。これは、ユーザにとって不満であると共に、水の多大な浪費である。ヒート・ポンプから温水が到達するような時間まで瞬間湯沸器を使用することにより、温水の待ち時間が短縮され得る。しかし、そのような配置では、(シャワーからとは対照的に)蛇口からの温水の使用のほとんどの場合が60秒から90秒未満であることを考えると、使用される温水のほとんどは、(電気的供給またはガス供給がされる)瞬間湯沸器からもたらされ、ヒート・ポンプを提供することのグリーン・エネルギーの利点は大部分が失われてしまう。
【0043】
プロセッサ150は、温度センサ210から受け取られた値に基づいて、電気素子220の電力出力を変調して、水の出口130で正しい目標温度を達成することができる。
ESAは、温水の要求(すなわち、蛇口またはシャワー制御の開放)とヒート・ポンプによって加熱される温水の送達との間のギャップを埋める手段として提供される。システムは、ESAがヒート・ポンプからのエネルギーで充電されるように構成されることが好ましい。プロセッサ150は、温度センサ(210)からの温度情報および流量センサ170からの流量情報を使用しており、出口130を介して供給される水を加熱するためにESAを優先的に使用するように構成される。このようにして、プロセッサ150は、瞬間湯沸器220の使用を最小限に抑える。
【0044】
したがってプロセッサは、流量センサから受信された信号に基づいて、ヒート・ポンプに対して開始信号を提供するように構成され、機構は、ヒート・ポンプに対する開始信号の提供とヒート・ポンプによる温水システム内の水の加熱との間に時間間隔が生じるように配置され、エネルギー貯蔵機構は、相変化材料の塊を含有し、相変化材料の塊は、少なくとも温水システム内の水がヒート・ポンプによって加熱されるまでに、温水システム内の所定量の水を目標の温度に加熱するのに十分な潜熱容量を有し、したがって、開始信号の送信と温水システム内の水のヒート・ポンプによる加熱との間の間隔において、制御可能な出口から温水が供給されることが可能である、設備が提供される。目標温度は、システムのユーザの好みに基づいて設定され得るが、典型的には摂氏40度から45度の領域である。所定の量は、最高流量を有するHWSSの出口に使用される通常の流量に基づいて、または適切かつ許容可能であると考えられる比較的低い流量に基づいて選択される流量での所望の水供給時間に基づいてよい。システムおよびプロセッサは、好ましくは、これら2つの変数(温度および量)を予め設定された範囲で調整できるように構成される(予め設定された範囲は、システムの設備において調整される場合がある)。
【0045】
流量センサ170からの情報は、例えば、開放された出口がシャワー出口であるかまたは洗面台出口であるかをプロセッサ150に伝えることができる。シャワー出口が開放されたとプロセッサ150が決定した場合、シャワーが通常要する数分間についてヒート・ポンプを起動する価値があると予想されるため、プロセッサ150はヒート・ポンプに対して開始信号を送る。逆に、プロセッサ150に対して供給される流量情報が、洗面台の蛇口が開放されたことを示唆する場合、洗面台の蛇口が再び閉められる前にヒート・ポンプが温水を提供できる可能性が低いため、プロセッサはヒート・ポンプに対して開始信号を送信しないと決定する。
【0046】
プロセッサ150は、HWSSによりサービス提供される構内の占有者の挙動をプロセッサが学習することを可能にするロジック、例えば、機械学習アルゴリズムに関連付けられてよく、それにより、時刻、曜日、使用される水出口などに応じてプロセッサ150が温水の需要/使用の量および持続時間を確実に予測することができるデータベースの作成を可能にする。そのような手法は、例えば、HWSSの異なる水出口(一部または全部、好ましくは少なくとも、クロークルームの手洗器のような短時間の温水需要を有する出口と、シャワーや台所シンクのような長時間の温水需要を有する出口とをすぐに区別できるようにする)に関連付けられた流量センサをさらに設けることによって強化され得る。さらに、冷水供給部に1つまたは複数の流量センサを設けることによって、トイレの洗浄に対応する冷水の使用を識別できることがあり、例えば、それから、手洗い用温水の短期間の供給に対する差し迫った需要を推測することができる。システム・プロセッサ150は、好ましくは、最も効果的、経済的、および効率的な方法で、すべての様々な加熱資源(ESA、瞬間湯沸器、およびヒート・ポンプ)を制御するためのロジックが設けられる。
【0047】
ESA140、熱交換器、プロセッサ150、瞬間湯沸器220、ならびに流量および温度トランスデューサ170および210は共に、ヒート・ポンプ120と建物内温水システム110との間のインターフェースをとるインターフェース・ユニット250を構成すると考えられ得る。
図1には、そのようなインターフェース・ユニットが建物内温水供給システム用の水を加熱するだけの役割をするように示されているが、世界の多くの地域では多くの建物内で空間暖房の必要性があり、そのような空間暖房にヒート・ポンプを使用するのが魅力的であることが理解されよう。
【0048】
典型的には、小規模住宅でも使用される現在のコンビ・ボイラーは、24kWを提供するのに十分な大きさがあり、シャワーまたは風呂の流量に相当する温水を提供するが、典型的な空間暖房エネルギー需要はかなり低く、典型的には約4kWである。DHWと空間暖房の両方がヒート・ポンプのみから供給されるシステムを設計した場合、DHW要件を満たすために24kWのヒート・ポンプを指定する必要があるが、そのようなシステムは、ほとんどの場合は空間暖房と断続的な温水の使用のみが必要である典型的な1~3個の寝室のアパートおよび家では非実用的に大きくなる。
【0049】
図2は、本開示の態様によるインターフェース・ユニット250の構成要素の可能な配置を概略的に示す。インターフェース・ユニットは、ヒート・ポンプ(この図には示されない)と建物内温水システムとの間のインターフェースをとる。インターフェース・ユニットは、エンクロージャ(別個に番号が付されていない)を備える熱交換器12を含み、熱交換器12は、エンクロージャ内に、ヒート・ポンプに接続するための、14として非常に単純化された形態で示される入力側回路と、建物内温水システム(この図には示されない)に接続するための、16として非常に単純化された形態で示される出力側回路とを備える。熱交換器12には、エネルギーの貯蔵のための蓄熱媒体を含むが、これは図には示されていない。
図1を参照して次に説明される例では、蓄熱媒体は相変化材料である。特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、蓄熱媒体、エネルギー貯蔵媒体、および相変化材料への言及は、文脈により明らかに異なる要求がない限り、互換性があるとみなされるべきである。
【0050】
典型的には、熱交換器における相変化材料は、(融解の潜熱によって貯蔵されるエネルギー量の観点で)2メガジュールと5メガジュールの間のエネルギー貯蔵容量を有するが、より多くのエネルギー貯蔵が可能であり、有用であり得る。もちろん、より少ないエネルギー貯蔵も可能であるが、一般的には、(物理的寸法、重量、コスト、および安全性に基づく実用的な制約のもとで)インターフェース・ユニット10の相変化材料におけるエネルギー貯蔵の可能性を最大化しようとする。適切な相変化材料およびそれらの特性ならびに寸法などについて、本明細書でさらに後で述べられる。
【0051】
入力側回路14は、ヒート・ポンプからの供給に接続するためのカップリング24を有するパイプ22から、ノード20から供給されるパイプまたは導管18に接続される。また、ノード20は、ヒート・ポンプからパイプ26へ流体を供給し、パイプ26は、家またはアパートの加熱ネットワークに接続する、例えば、床下暖房もしくはラジエータのネットワークまたは両方へ配管するように意図されたカップリング28で終端する。したがって、インターフェース・ユニット10が完全に設置され作動すると、ヒート・ポンプ(家またはアパートの外部に位置する)によって加熱された流体は、カップリング24を介してパイプ22に沿って進んでノード20に至り、ここから、3ポート弁32の設定に応じて、流体の流れは、パイプ18に沿って進んで熱交換器の入力側回路14に至り、またはパイプ26に沿って進んでカップリング28を通って家またはアパートの加熱インフラストラクチャに至る。
【0052】
ヒート・ポンプからの加熱された流体は、熱交換器の入口側回路14を通ってパイプ30に沿って熱交換器12から流れ出る。使用中、状況によっては、ヒート・ポンプからの加熱された流体によって運ばれる熱は、そのエネルギーの一部を熱交換器内の相変化材料に与え、一部を出力側回路16における水に与える。他の状況下では、後で説明されるように、熱交換器の入力側回路14を流れる流体は、相変化材料から実際に熱を獲得する。
【0053】
パイプ30は、入力側回路14を出る流体をモータ駆動3ポート弁32に供給し、次いで、弁の状態に応じてパイプ34に沿ってポンプ36に対して供給する。ポンプ36は、カップリング38を介して外部のヒート・ポンプへ流れを押し込む役割をする。
【0054】
また、モータ駆動3ポート弁32は、パイプ40から流体を受け取り、パイプ40は、カップリング42を介して、家またはアパートの加熱インフラストラクチャ(例えば、ラジエータ)から戻る流体を受け取る。
【0055】
モータ駆動3ポート弁32とポンプ36との間には、温度トランスデューサ44、流量トランスデューサ46、圧力トランスデューサ48の3つのトランスデューサが設けられている。さらに、温度トランスデューサ49が、ヒート・ポンプの出力から流体を取り入れるパイプ22において設けられている。これらのトランスデューサは、インターフェース・ユニット10における他のすべてのものと同様に、図示されていないプロセッサに動作的に接続され、またはプロセッサによってアドレス可能であり、プロセッサは、典型的にはインターフェース・ユニットの一部として設けられるが、別のモジュールに設けられてもよい。
【0056】
図2に図示されていないが、ヒート・ポンプの出力から流体を受け取るカプラ24の間の流路に、追加の電気加熱要素が設けられてもよい。この追加の電気加熱要素は、誘導加熱要素または抵抗加熱要素であってもよく、ヒート・ポンプの潜在的な故障を補償する手段として提供されるが、また、(例えば、現在のエネルギーコストに基づき、加熱および/または温水について予測される)蓄熱ユニットに対するエネルギーの追加の際に使用することも可能である。当然ながら、追加の電気加熱要素もシステムのプロセッサによって制御可能である。
【0057】
また、パイプ34には拡張容器50が接続されており、膨張容器50には弁52が接続されており、それにより、充填ループが加熱回路における流体を補充するように接続されている。また、インターフェース・ユニットの加熱回路の一部として、3ポート弁32と入力側回路14との間の圧力リリーフ弁54、およびカップリング42と3ポート弁32との間の(粒子状汚染物質を捕捉する)ストレーナ56が示されている。
【0058】
また、熱交換器12には、少なくとも1つの温度トランスデューサ58と、圧力トランスデューサ60とを含む、いくつかのトランスデューサが設けられ、温度トランスデューサ58は、図示されるように、より多くのもの(例えば、最大4つ以上)が設けられることが好ましい。図示されている例では、熱交換器は、相変化材料内に均一に分布する4つの温度トランスデューサを含み、それにより、温度変化が決定され得る(したがって、相変化材料のバルク全体にわたる状態に関する知識が得られる)。そのような配置は、追加熱伝達配置を最適化することを含めて、熱交換器の設計を最適化する手段として、設計/実装段階で特に有益であり得る。しかし、複数のセンサを有することにより、プロセッサおよびプロセッサにより採用された機械学習アルゴリズム(インターフェース・ユニットのみ、および/またはインターフェース・ユニットを含むシステムのプロセッサのいずれか)に対して有用な情報を提供できるため、そのような配置は、配備されたシステムにおいても引き続き有益であり得る。
【0059】
ここで、インターフェース・ユニット10の冷水供給および温水回路の配置について説明する。カップリング62は、給水主管からの冷水に接続するために設けられている。典型的には、給水主管からの水がインターフェース・ユニット10に到達する前に、水はアンチサイフォン逆止弁を通過して、その圧力を低下し得る。カップリング62から、冷水がパイプに沿って熱交換器12の出力側回路16に進む。我々がインターフェース・ユニット内の多数のセンサを監視するプロセッサを提供すると仮定すると、同じプロセッサに対して任意選択でもう1つタスクが与えられ得る。それは、給水主管から冷水が送達される圧力を監視するためである。この目的のために、さらなる圧力センサが、カップリング62の上流で、特に構内における任意の減圧機構の上流で、冷水供給ラインに導入され得る。すると、プロセッサは、供給された水の圧力を連続的または定期的に監視することができ、さらに、給水主管が法定最低圧力未満で水を供給する場合は、水供給会社に補償を求めるように所有者/ユーザに促すこともできる。
【0060】
出力側回路16からの水は、熱交換器を通過して加熱済みとなり得るものであり、パイプ66に沿って電気加熱ユニット68に進む。電気加熱ユニット68は、前述のプロセッサの制御下にあり、プロセッサからの命令に従って熱出力が変調され得る抵抗または誘導加熱機構を備え得る。
【0061】
プロセッサは、相変化材料の状態およびヒート・ポンプの状態に関する情報に基づいて、電気ヒータを制御するように構成される。典型的には、電気加熱ユニット68は、10kW以下の電力定格を有するが、状況によっては、より強力なヒータ、例えば12kWが提供され得る。
【0062】
次に、電気ヒータ68から、温水がパイプ70に沿ってカップリング74に進み、カップリング74には、家またはアパートの蛇口やシャワーなどの制御可能な出口を含む温水回路が接続される。
【0063】
温度トランスデューサ76は、電気ヒータ68の後に、例えば、電気ヒータ68の出口に設けられて、温水システムの出口における水温に関する情報を提供する。圧力リリーフ弁77も温水供給部に設けられており、これは電気ヒータ68と出口温度トランスデューサ76との間に配置されるように示されているが、正確な位置は重要ではなく、実際、
図1に示された構成要素の多くの場合と同様である。
【0064】
プロセッサは、空間暖房に対する需要に基づいて(例えば、プロセッサ内もしくは外部コントローラ内の記憶されたプログラムに基づいて、および/または1つもしくは複数のサーモスタット、例えば、室内スタット、外部スタット、床下暖房スタットからの信号に基づいて)、または温水に対する需要に基づいて、ヒート・ポンプを始動するように呼び出すことができることが理解されよう。ヒート・ポンプの制御は、単純なオン/オフのコマンドの形態であってよいが、追加的または代替的に、(例えば、ModBusを使用する)変調の形態であってもよい。
【0065】
インターフェース・ユニットの加熱回路の場合と同様に、冷水供給パイプ64に沿って、温度トランスデューサ78、流量トランスデューサ80、および圧力トランスデューサ82の3つのトランスデューサが設けられている。また、別の温度トランスデューサ84が、熱交換器12の出力側回路16の出口と電気ヒータ68との間でパイプ66に設けられている。同様に、これらのトランスデューサはすべて、前述のプロセッサに動作的に接続され、または前述のプロセッサによってアドレス可能である。
【0066】
また、冷水供給ライン64上には、磁気または電気整水器86、モータ駆動および変調可能弁88(これは、すべてのモータ駆動弁と同様に、前述のプロセッサによって制御され得る)、逆止弁90、ならびに膨張容器92が示されている。変調可能弁88は、冷水の流れを調節して、(例えば、温度トランスデューサ76によって測定される)温水の所望の温度を維持するように制御され得る。
【0067】
弁94および96はまた、それぞれ冷水および加熱水を貯蔵するための外部貯蔵タンクへの接続のために設けられている。任意選択で、少なくとも弁96を使用して、温水供給時間を短縮するために、構内における温水を再循環させることができるが、この機能性は、より高いエネルギー使用を必要とすることがあり、したがって、この機能性は注意して使用されるべきである。最後に、二重逆止弁98が冷供給パイプ64を別の弁100に接続し、これは、より多くの水または水と腐食防止剤との混合物を加熱回路に充填するために前述の弁52に接続する充填ループと共に使用され得る。
【0068】
図2は、様々な交差するパイプを示しているが、これらの交差がノード20のようにノードとして示されない限り、交差として示される2つのパイプは、前述の図の説明からここで明らかなように、相互に連絡しないことに留意されたい。
【0069】
図2には示されないが、熱交換器12は、熱を蓄熱媒体に入れるように構成された1つまたは複数の追加の電気加熱要素を含んでよい。これは直感に反するように見え得るが、次に説明されるように、そうすることが経済的に意味のあるときに、それは蓄熱媒体を予め充電するために電気エネルギーを使用することを可能にする。
【0070】
エネルギー供給企業が、需要の増加または減少の時間を考慮に入れ、需要と供給の能力のより良いバランスをとるために顧客行動を形成するのを助けるために、電力の単位コストが時刻に応じて変化するような料金を有することは、長い間、エネルギー供給企業の慣行であった。歴史的には、料金プランは発電と消費の両方の技術を反映して、かなり粗いものであった。しかし、太陽光発電(太陽電池、太陽光発電パネル、太陽光発電企業など)や風力発電などの電力の再生可能エネルギー源が諸国の発電構造にますます組み込まれることにより、エネルギーのより動的な価格設定が進展している。この手法は、そのような天候に依存した発電に固有の変動性を反映している。そのような動的な価格設定は、当初は大規模なユーザに限定されていたが、ますます動的な価格設定が国内消費者に提供されるようになっている。
【0071】
価格設定のダイナミズムの度合いは、国によって、また所定の国内の異なる生産者の間で異なる。ある極端な例では、「動的」価格設定は、1日の異なる時間枠で異なる料金を提供することに過ぎず、そのような料金は、週、月または季節について変動なしに適用される場合がある。しかし、いくつかの動的な価格設定の方式では、供給者が1日前またはそれ未満の通知で価格を変更することを可能にし、したがって、例えば、顧客には明日の30分の時間帯の価格を今日提示することができる。いくつかの国では、6分という短い時間帯が提示されており、エネルギー消費機器に「インテリジェンス」を含めることにより、間近の料金を消費者に通知するリードタイムがさらに短縮できると考えられる。
【0072】
太陽光および風力発電設備によって生成されるであろうエネルギーの量と、暖房および冷房のための電力需要の見込まれる規模との両方を予測するために、短期および中期の気象予測を用いることが可能であるため、極端な需要の期間を予測することが可能になる。生成可能発電容量が大きい発電会社の中には、電力に負の料金を課すことが知られているところもあり、文字通り、余剰電力を使用するために顧客に料金を支払っている。より多くの場合、電力が通常の料金と比べてわずかの料金で提供されることがある。
【0073】
本開示によるシステムの熱交換器のようなエネルギー貯蔵ユニットに電気ヒータを組み込むことによって、消費者は、低コストの供給の期間を利用し、エネルギー価格が高いときに電力への依存を減らすことが可能となる。これは個々の消費者に利益をもたらすだけでなく、化石燃料の燃焼によって過剰な需要を満たさなければならないときに需要を減らすことができるため、より一般的に有益である。
【0074】
インターフェース・ユニットのプロセッサは、インターネットなどのデータ・ネットワークに対する有線または無線(またはその両方)の接続を有し、プロセッサがエネルギー供給者から動的価格設定情報を受信することを可能にする。プロセッサはまた、ヒート・ポンプに対して命令を送信し、ヒート・ポンプから情報(例えば、状態情報および温度情報)を受信するために、ヒート・ポンプへのデータ・リンク接続(例えば、ModBus)を有することが好ましい。プロセッサは、それ*が世帯の行動を学習することを可能にするロジックを有し、これと動的価格設定情報を用いて、プロセッサは、安い電力を使用して暖房システムをプリチャージするかどうか、およびそれをいつするかを決定することができる。これは、熱交換器内の電気素子を使用してエネルギー貯蔵媒体を加熱することによって可能であるが、代わりに、ヒート・ポンプを通常よりも高い温度、例えば、摂氏40度と48度の間ではなく摂氏60度に駆動することによっても可能である。ヒート・ポンプの効率は、より高い温度で動作すると低下するが、これは、より安い電気をいつどのように使用するのが最適かを決定する際にプロセッサによって考慮され得る。
【0075】
*システム・プロセッサは、インターネットおよび/またはプロバイダのイントラネットのようなデータ・ネットワークに接続可能であるため、ローカル・システム・プロセッサは、外部計算能力から利益を得ることができる。したがって、例えば、インターフェース・ユニットの製造者は、クラウド・プレゼンス(またはイントラネット)を有する可能性が高く、ここで、コンピューティング能力は、例えば、予測される以下のものの計算のために提供される:
占有;活動;料金(短期/長期);天気予報(それらは、ローカル・プロセッサで簡単に使用されるように前処理されることが可能であり、インターフェース・ユニットが設置された物件の状況、場所、露出に合わせてかなり調整されることが可能であるので、一般に利用可能な天気予報よりも好ましくなり得る);偽陽性および/または偽陰性の識別。
【0076】
温水供給システムからの過熱水による火傷のリスクからユーザを保護するために、火傷防止機能を提供することが賢明である。これは、熱交換器の出力回路から温水が出るときに温水に冷水供給部からの冷水を混合するための電気的に制御可能な(変調可能な)弁を提供する形態をとり得る。
【0077】
開示の一態様として、熱交換器、PCMエネルギー・バンク、弁、ポンプ、およびコントローラを伴う他のハードウェアの予め製造されたセットで、コンビ・ガス・ボイラーを置き換えることを提案しており、それらのすべてはボックス内にあり、ガス・コンビ・ボイラーの形状および形態に適合し得る。そのような手法は、既存のガス・コンビ・ボイラーの交換のため、またはガス・コンビ・ボイラーの代わりの新規の設置のための設置時間および配管作業の複雑さを大幅に低減させる可能性がある。
【0078】
図2は、インターフェース・ユニットの「中身」と考えられるものを模式的に示しているが、これらの「中身」の容器は示されていない。本開示によるインターフェース・ユニットの重要な用途は、ガス焚きコンビネーション・ボイラーを以前に備えていた(または他のやり方でそのようなボイラーを有し得る)住居の空間暖房および温水要件に実際的に寄与するものとしてヒート・ポンプが使用されることを可能にする手段としてのものであり、従来のコンビ・ボイラーと同様に美観と安全性の両方のための容器を提供することがしばしば便利であることは理解されよう。さらに、好ましくは、そのような容器は、コンビ・ボイラーの直接交換を可能にするフォーム・ファクタに収まるような寸法にされ、コンビ・ボイラーは、典型的には、壁に取り付けられ、しばしばキッチンにあってキッチン・キャビネットと同じ場所にある。高さ、幅、および奥行きを有する概ね直方体の形状に基づいて(しかし、当然ながら、美観、人間工学、または安全性のために、容器の表面のいずれかまたはすべてに曲面が使用されてもよい)、適切なサイズは、高さ650mm~800mm、幅350mm~550mm、奥行き260mm~420mmというおおよその範囲に見出されてよく、例えば、高さ800mm、幅500mm、奥行き400mmとなるが、より大きな、特により高いユニットが、これらを収容し得る設置のために提供されてもよい。
【0079】
ガス・コンビ・ボイラーに関する開示によるインターフェース・ユニットの一つの注目すべき特徴は、後者の容器は一般に、高温燃焼室の存在により、鋼のような不燃性材料で作られる必要があるが、インターフェース・ユニットの内部温度は一般に、摂氏100度よりかなり低く、典型的には摂氏70℃未満、しばしば摂氏60℃未満であることである。したがって、インターフェース・ユニットのための容器を作製する際に、木、竹、または紙のような他の耐火性の低い材料を使用することが実際的となる。
【0080】
燃焼がなければ、一般にガス・コンビ・ボイラーの設置に適さないと考えられる場所にインターフェース・ユニットを設置する可能性も開き、もちろん、ガス・コンビ・ボイラーとは異なり、開示に従うインターフェース・ユニットは、排ガスのための煙道を必要としない。したがって、例えば、台所の調理台の下に設置するためのインターフェース・ユニットを構成し、カウンター下隅で表される悪名高いデッドスポットを利用することも可能になる。そのような場所に設置するために、インターフェース・ユニットは、好ましくは台所キャビネットの製造者との協力を通して、カウンター下の食器棚に実際に統合してよい。しかし、展開のための最大の柔軟性は、何らかの形態のキャビネットの後に効果的に位置するインターフェース・ユニットを有し、キャビネットがインターフェース・ユニットへのアクセスを可能にするように構成されることによって維持されるであろう。次いで、好ましくは、インターフェース・ユニットは、循環ポンプ36が入力側回路の流路から分離される前に、循環ポンプ36が熱交換器12から滑り出され離れることを可能にするように構成される。
【0081】
また、装備された台所で頻繁に浪費される他のスペース、すなわちカウンター下の食器棚の下のスペースを利用することも考慮され得る。幅300、400、500、600mm以上、高さ150mm超、深さ600mm程度のスペースがあることが多い(しかし、キャビネットを支える脚のために余裕を作る必要がある)。特に新しい設置の場合、または台所の改修と共にコンビ・ボイラーが交換される場合、少なくともインターフェース・ユニットの熱交換器を収容するために、または所定のインターフェース・ユニットに複数の熱交換器ユニットを使用するために、これらのスペースを使用することは理にかなっている。
【0082】
特に、壁取付けのために設計されたインターフェース・ユニットについては、インターフェース・ユニットの用途が何であれ潜在的に有益であるが、インターフェース・ユニットを複数のモジュールとして設計することがしばしば望ましい。そのような設計では、相変化材料の存在により、熱交換器単体の重量が25kgを超える可能性があるため、モジュールの1つとして熱交換器を有することが便利であり得る。衛生および安全の理由から、また一人での設置を容易にするために、インターフェース・ユニットが、重量が約25kgを超えないモジュールのセットとして提供できることを保証することが望ましい。
【0083】
そのような重量制約は、モジュールの1つを、インターフェース・ユニットを構造に取り付けるためのシャーシにすることによって対応され得る。例えば、インターフェース・ユニットが既存のガス・コンビ・ボイラーの代わりに壁に取り付けられる場合、他のモジュールを支持するシャーシを最初に壁に固定できれば便利であり得る。好ましくは、シャーシは、交換されるコンビ・ボイラーを支持するために使用される既存の固定点の位置と連動するように設計される。これは、一般的なガス・コンビ・ボイラーの間隔および位置に応じて予め形成された固定穴を有する「ユニバーサル」シャーシを提供することで行われ得る。あるいは、各々が特定の製造者のボイラーの位置/サイズ/間隔に適合する穴の位置/サイズ/間隔を有する一定のシャーシを製造することで費用対効果が高くなり得る。次いで、該当する製造者のボイラーを交換するために適切なシャーシを指定するだけでよい。この手法には複数の利点があり、固定ボルトのためのプラグ用の穴をさらに開ける必要がなくなり、目印を付け、穴を開け、清掃するのに必要な時間がなくなるだけでなく、設置が行われる住居の構造をさらに弱める必要がなくなり、このことは、「スタータ・ホーム」および他の低コスト住宅で頻繁に使用される低コストの建設技術および材料では、重要な考慮事項となり得る。
【0084】
好ましくは、熱交換器モジュールとシャーシ・モジュールは互いに結合するように構成される。このようにして、分離可能な固定の必要性をなくすことができ、ここでも設置時間を節約することができる。
【0085】
好ましくは、追加のモジュールは、熱交換器12の出力側回路16を建物内温水システムに結合するための第1の相互接続部、例えば、62および74を含む。
好ましくは、追加のモジュールは、熱交換器12の入力側回路14をヒート・ポンプに結合するための第2の相互接続部、例えば、38および24を含む。好ましくは、追加モジュールはまた、インターフェース・ユニットが使用される構内の熱回路にインターフェース・ユニットを結合するための第3の相互接続部、例えば42および28を含む。熱交換器は、最初にシャーシに接続部を取り付けるのではなく、それ自体が壁に直接接続されたシャーシに取り付けることによって、熱交換器の重みが壁のより近くに維持され、インターフェース・ユニットを壁に固定する壁固定具に対するカンチレバー負荷効果が低減されることが理解されるであろう。
【0086】
相変化材料
相変化材料の1つの適切なクラスは、家庭用温水供給のための、およびヒート・ポンプと組み合わせて使用するための、該当温度で固液相変化をするパラフィン・ワックスである。特に興味深いのは、摂氏40度から60度の範囲の温度で融解するパラフィン・ワックスであり、この範囲内では、特定の用途に適するような異なる温度で融解するワックスが見出され得る。典型的な潜熱容量は、約180kJ/kgと230kJ/kgの間であり、比熱はおそらく、液相で2.27Jg-1K-1、固相で2.1Jg-1K-1である。非常に大きなエネルギーが、融解の潜熱を使用して貯蔵され得ることが分かる。相変化液を融点より高く加熱することによって、より多くのエネルギーが貯蔵され得る。例えば、電力コストが比較的低く、温水の必要性が間もなくあることが予測できる場合(電気が、おそらく、よりコストがかかる可能性が高く、またはよりコストがかかるようになることが知られているとき)、通常よりも高い温度でヒート・ポンプを運転して熱エネルギー貯蔵を「過熱」することは理にかなうことがある。
【0087】
ワックスの適切な選択は、n-トリコサンC23、またはパラフィンC20~C33のような、摂氏約48℃で融点を有するものであり得る。熱交換器(ヒート・ポンプから供給される液体と熱交換器内の相変化材料との間)を横切って標準的な3Kの温度差を適用すると、ヒート・ポンプ液体温度が摂氏約51度となる。また、出力側でも同様に、3Kの温度低下を可能にして、一般的家庭用温水として満足できる摂氏45度の水温に到達し、これは、台所の蛇口には十分であるが、シャワー/バスルーム蛇口には若干高い可能性があるが、常に冷水を流れに加えて水温を下げることができることは明らかである。もちろん、世帯がより低い温水温度を受け入れるように訓練された場合、または他の何らかの理由で受け入れられる場合は、より低い融点を有する相変化材料が検討される可能性があるが、一般的には、45度から50度の範囲の相転移温度が良好な選択である可能性が高い。当然ながら、そのような温度で水を貯蔵することによるレジオネラ菌のリスクを考慮したい。
【0088】
ヒート・ポンプ(例えば、地熱源または空気源ヒート・ポンプ)は、最高摂氏60度の動作温度を有する(ただし、冷媒としてプロパンを使用することにより、最高摂氏72度の動作温度が可能である)が、摂氏45度から50度の範囲の温度で運転すると、それらの効率ははるかに高くなる傾向がある。したがって、ここで、摂氏48度の相転移温度からの摂氏51度は満足できるものと思われる。
【0089】
ヒート・ポンプの温度性能も考慮する必要がある。一般に、最大DT(ヒート・ポンプによって加熱される流体の入力温度と出力温度との差)は、好ましくは摂氏5~7度の範囲に維持されるが、10度にもなる可能性がある。
【0090】
パラフィン・ワックスは、エネルギー貯蔵媒体として使用するための好ましい材料であるが、それらは唯一の適切な材料ではない。塩水和物も、本発明におけるような潜熱エネルギー貯蔵システムに適している。この文脈での塩水和物は、無機塩と水の混合物であり、相変化では、その水の全部または大部分が失われる。相転移では、水和結晶は、無水(またはそれ未満の水性)塩と水に分けられる。塩水和物の利点は、それらがパラフィン・ワックスよりもはるかに高い(2倍から5倍高い)熱伝導率を有し、相転移に伴う体積変化がはるかに小さいことである。本出願に適した塩水和物は、Na2S2O3・5H2Oであり、これは、融点が摂氏約48度から49度であり、潜熱が200/220kJ/kgである。
【0091】
単純にエネルギー貯蔵の観点から、摂氏40~50度の範囲を大きく上回る相転移温度を有するPCMを使用することも考慮され得る。例えば、パラフィン・ワックスは、以下のような広範囲の融点で利用可能なワックスである:
摂氏約40度の融点を有するn-ヘニコサンC24、
摂氏約44.5度の融点を有するn-ドコサンC21、
摂氏約52度の融点を有するn-テトラコサンC23、
摂氏約54度の融点を有するn-ペンタコサンC25、
摂氏約56.5度の融点を有するn-ヘキサコサンC26、
摂氏約59度の融点を有するn-ヘプタコサンC27、
摂氏約64.5度の融点を有するn-オクタコサンC28、
摂氏約65度の融点を有するn-ノナコサンC29、
摂氏約66度の融点を有するn-トリアコンタン(n-triacosane)C30、
摂氏約67度の融点を有するn-ヘントリアコンタン(n-hentriacosane)C31、
摂氏約69度の融点を有するn-ドトリアコンタン(n-dotriacosane)C32、
摂氏約71度の融点を有するn-トリトリアコンタン(n-triatriacosane)C33、
摂氏約58~60度の融点を有するパラフィンC22~C45、
摂氏約66~68度の融点を有するパラフィンC21~C50、
摂氏約69~71度の融点を有するRT70HC。
【0092】
代替的には、摂氏約58度の融点および226/265kJ/kgの潜熱を有するCH3COONa・3H2Oなどの塩水和物がある。
金属発泡体、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、または銅は、特にパラフィン・ワックスが蓄熱材料として使用されるときに、蓄熱材料の熱伝達特性を改善するために使用され得る。
【0093】
代替的には、
図3に概略的に示されるように、熱交換器の入力回路および出力回路の熱伝達パイプ20は、銅、銅合金、または炭素繊維などの熱伝導率の高い材料で形成された突起22(ブレード24、フィンガ26、ワイヤまたはフィラメント28)を備えてよく、これらは、蓄熱材料の塊(例えばワックス)に延入しており、入力回路内の流体から蓄熱塊内、蓄熱塊全体、および蓄熱塊から熱交換器の出力回路内の水へのエネルギー伝達を効果的に改善する。ここで分かるように、熱交換器のエンクロージャ内の入力側および出力側回路は、管状本体によって画定され、フィラメント状突起が、管状本体の各々から相変化材料に延入するように設けられよく、ここで、フィラメント状突起は、相変化材料よりも高い導電率を有している。
【0094】
例えば、銅ワイヤ28または銅ブレード24またはフィンガ26は、銅パイプ20に対して、例えば溶接により、直接取り付けることができ(家庭用加熱および水システムにおける銅使用の優位性を与える熱交換器の回路のための材料の好ましい選択:アルミニウム合金配管および放射体を使用する設備について、電気化学的理由により、アルミニウムまたはその合金から、熱交換器入力および出力回路ならびに突起22を作ることが好ましいことがある)、それが入力回路および出力回路を提供し、各突起22の自由端は、それが取り付けられたパイプ20から離れて延びている。代替的には、各熱伝達ブレード24、または場合によっては、複数の熱伝達ワイヤ28、もしくはフィンガ26は、熱交換器の入力回路および出力回路の一方または他方のパイプにクリップ留めされそれにより固定されるバネ付きクリップ29(例えば、リン青銅製)に取り付けられてもよい。
【0095】
代替的には、
図3にも示されるように、熱交換器の入力回路を画定するパイプは、熱伝達メッシュ27に固定されてもよい。例えば、フィラメント状突起が一緒に1つまたは複数のメッシュを形成してもよい。
【0096】
固体から液体への相変化におけるパラフィン・ワックス相変化材料の熱膨張は体積で約10%である。熱交換器の構造に重大な機械的応力を与えることを回避するために、体積のこの変化に対して何らかの形態の補償を提供することが望ましい。そのような補償を提供する1つの可能な方法は、可逆的に圧縮可能である介在物を相変化材料の本体内に含めることである。これは、
図4で概略的に示されており、介在物30が相変化材料の塊全体に分散されている。
図3は、理解を容易にするために、入力および出力回路に関連付けられた任意の配管または熱伝達要素を省略することによって単純化されていることが理解されよう。これらの介在物は、例えば、(天然または合成の)スポンジ・ゴムのような固体の弾性的に圧縮可能な材料であってよい。代替的には、介在物は、相変化材料の相変化(典型的には液化時の膨張)によって引き起こされる圧力の増加によって圧縮されるのを可能にするのに十分に低い内部圧力を有する密閉中空体であってもよい。したがって、エンクロージャは、相の液化によって引き起こされる圧力の増加に応じて体積を減少し、相変化材料の固化によって引き起こされる圧力の減少に応答して再び膨張するように構成された複数の弾性体を含む。
【0097】
これらの介在物は、熱交換器のマトリックスの構造、すなわち、パイプおよび熱伝達突起の配置などによって所定の位置に保持され得る。しかし、介在物がクラスタ化したり、凝集したり、相変化材料の塊の上部に上昇したり、下部に下降しないことを確実にすることは、現実的に難しい可能性がある。これを回避し、介在物30が所定の位置に留まることを確実にする1つの方法は、
図5に概略的に示されるように、介在物を格子またはフレームワークのような固定支持構造44に固定することである。したがって、弾性体は、弾性体の変位を制限する役割をするマトリックスまたは格子構造44に結合される。
【0098】
液体から固体への遷移における相変化材料の膨張の問題を管理する代替的手法が
図6に概略的に示される。これは、相変化材料が液体形態から固体形態へ進むときおよびその逆のときに、相変化材料の膨張および収縮に可逆的に対応するコンサーティーナ形成部11を備える熱交換器のエンクロージャの一部分を示す。そのような形成部は、一端において熱交換器のエンクロージャの壁に組み込まれ得る。明らかに、そのような膨張ゾーンを有する熱交換器を設計する場合、入力および出力回路を形成する導管、ならびに回路とインターフェースをとる接続部に望ましくない応力および歪みを与えることを回避するために注意が必要である。一般に、これは、本明細書で説明の便宜のためにコンサーティーナ形成部と呼ぶ拡張ゾーン11が、入力および出力回路の導管ならびにそれらの相互接続への取付けの点を超えてエンクロージャの領域に設けられることを意味する。
【0099】
任意選択で、図に示されるように、プロセッサに結合された何らかの形態の変位トランスデューサ13を設けることにより、相変化材料の状態に関する情報をシステムのプロセッサに対して提供するために、熱交換器のエンクロージャの膨張および収縮が使用され得る。
【0100】
相変化材料の状態を監視する代替的方法として、その内圧に基づく方法が、
図7に概略的に示されている。これは、相変化材料の塊内の圧縮可能体60を示し、圧縮可能体60は、気体または液体を含む内部体積を有し、内部体積は、圧力トランスデューサ62(好ましくは、熱交換器のエンクロージャの内部体積の外側に配置される)に結合される。圧力トランスデューサ62は、インターフェース・ユニットのプロセッサに結合される。したがって、インターフェース・ユニットのプロセッサは、相変化材料の固化/液化の程度に関する信号を受け取り、それが、相変化材料のエネルギー貯蔵量に関する情報を提供する。圧縮可能体は、天然もしくは合成ゴムまたはプラスチック材料のようなポリマー材料で作られてよい。好ましくは、この場合、圧縮可能体は、熱交換器の動作温度範囲全体にわたって液体のままである適切な液体で満たされ、したがって、圧縮可能体内からの流体が時間経過に伴って漏れるリスクが低減される。代替的には、流体が圧縮可能体内から漏れる可能性を低減するために、液体またはガスの充填と共に金属体が使用されてもよい。インターフェース・ユニットのプロセッサは、相変化材料の固化の低度(より一般的には状態)を圧力トランスデューサ62からの圧力信号に対してマッピングできるように、プロトタイプの経験的分析に基づいて製造中またはその後にプログラムされ得る。例えば、生産前のプロトタイプは、相変化材料の状態が検査/分析によって決定され得るように、ガラス・サイド・パネルが取り付けられてよく、圧力トランスデューサ62からの圧力信号に対してマッピングされた状態、使用されている相変化材料の融解の潜熱の知識が、測定された各圧力について熱交換器に蓄えられた潜熱の量が計算されることを可能にする。このようにして得られたデータは、次いで、生産インターフェース・ユニットのためのプロセッサのプログラミングの際、ならびにこのプロセッサおよび潜在的にシステム内の他のプロセッサに機械学習アルゴリズムを通知する際に使用され得る。また、
図6と
図7に表されたアイデアを、例えば、生産前のプロトタイプの実証試験に基づいて組み合わせることも可能である。
【0101】
先述の方法の代替として、またはこれらの1つもしくは複数に加えて、提供され得る相変化材料の状態を監視する別の方法は、1つまたは複数の適切に配置された光学センサ(光学的検知機構)によって相変化材料不正検出の本体内へ光放射を放出する1つまたは複数の光源を提供することである。1つまたは複数の光源は、単一の波長もしくは波長の範囲(すなわち、実質的に単一の色)で動作してよく、または2つ以上の離れた波長(すなわち、異なる色)で動作してもよい。放射は、スペクトルの可視領域もしくは赤外領域にあり、または複数の色の光が使用される場合はその両方であり得る。光源は、LEDなどのインコヒーレント光源であってよく、またはLEDレーザなどのレーザであってもよい。光源は、単一の赤緑青色発光ダイオードであってもよい。光検知機構は、光検知機構から受信された情報に基づいて相変化材料に貯蔵されたエネルギーの量を推定するように構成されたプロセッサ(例えば、インターフェース・ユニットのプロセッサ)に結合され得る。
【0102】
先述の方法の代替として、またはこれらの1つもしくは複数に加えて提供され得る相変化材料の状態を監視する別の方法は、熱交換器内の相変化材料内に音を発射するように構成された音源と、音が相変化材料を通過した後に音源から発射される音を検出するための音響感知機構とを提供することである。好ましくは、音源は超音波を生成するように構成される。
【0103】
これまで、熱エネルギー貯蔵は、主に、1つまたは複数のコイルまたはループの形態のそれぞれ入力および出力回路を有する熱交換器内の相変化材料の単一の塊を有するものとして説明されてきた。しかし、熱伝達率の観点で、例えば、複数の密封体(例えば、出力回路(好ましくは、(家庭用)温水システムのための温水を提供するために使用される)が熱を抽出する熱伝達液体によって囲まれた、例えば、金属(例えば、銅または銅合金)シリンダ(または他の細長い形態))に相変化材料を封入することも有益であり得る。
【0104】
そのような構成では、熱伝達液体は熱交換器内に密封されてよく、より好ましくは、熱伝達液体はエネルギー貯蔵部を流れてもよく、エネルギー貯蔵部内の入力熱伝達コイルの使用なしに、グリーン・エネルギー源(例えばヒート・ポンプ)からの熱を伝達する熱伝達液体であってもよい。このようにして、入力回路は、コイルまたは他の通常の導管に限定されることなく、熱伝達液体が熱交換器を自由に通過するように、1つ(またはより一般的には複数)の入口および1つまたは複数の出口によって単純に提供されてよく、熱伝達液体は、熱を封入されたPCMに伝達し、または封入されたPCMから伝達し、次いで出力回路(したがって、出力回路内の水)に伝達する。このようにして、入力回路は、熱伝達液体のための1つまたは複数の入口および1つまたは複数の出口、ならびに封入されたPCMを通過しエネルギー貯蔵部内を通る自由形状の経路によって規定される。
【0105】
好ましくは、PCMは、管の入口から出口への経路上で、または入力コイルが使用される場合には熱エネルギー貯蔵部内に設けられた1つもしくは複数のインペラによって誘導されるように、パイプ上を横方向に(またはパイプもしくは他の封入エンクロージャの長さに対して横方向に)流れるように好ましくは配置された熱伝達流体を有する1つまたは複数の離間された配列(例えば、各列が複数の離間されたパイプを含む、パイプの千鳥列など)に配置された複数の細長い閉端パイプに封入される。
【0106】
任意選択で、出力回路は、エネルギー貯蔵部の上部に配置され、封入されたPCMにわたりその上に配置されてもよく、その容器は、水平に配置され、入力ループもしくはコイルの上部に配置されてもよく(したがって、対流がエネルギー貯蔵部を介して上方へのエネルギー伝達を支持する)、または封入されたPCMに対する、もしくは任意選択で情報の出力回路に向かう熱伝達液体が進入する入口方向に配置されてもよい。1つまたは複数のインペラが使用される場合、エネルギー貯蔵部のエンクロージャの完全性が損なわれないように、そのインペラまたは各インペラは、外部に取り付けられたモータに磁気的に結合されることが好ましい。
【0107】
任意選択で、PCMは、典型的には円形断面の細長いチューブに封入されてよく、その公称外径は、20mmから67mmの範囲、例えば、22mm、28mm、35mm、42mm、54mm、または67mmであり、これらのチューブは、典型的には、配管用途に適した銅で形成される。好ましくは、パイプの外径は、22mmと54mmの間、例えば、28mmと42mmの間である。
【0108】
熱伝達液体は、好ましくは、水または水性液体、例えば、流動添加剤、腐食防止剤、凍結防止剤、殺生物剤のうちの1つまたは複数の混合された水であり、水で適切に希釈されたセントラルヒーティングシステムで使用するように設計されたタイプの阻害剤、例えば、Sentinel X100またはFernox F1(両方ともRTM)を備え得る。
【0109】
したがって、本出願の明細書および請求の範囲を通して、文脈で明らかに異なる要求がない限り、入力回路という表現は、上述されたような配置を含み、入力回路の入力からその出力への液体の流れの経路は、通常の導管によって規定されず、むしろ、実質的に自由にエネルギー貯蔵部のエンクロージャ内を流れる液体を含むと解釈されるべきである。
【0110】
PCMは、円形またはほぼ円形の断面の複数の細長い円筒に封入されてよく、円筒は、好ましくは、1つまたは複数の列に間隔を置いて配置される。好ましくは、隣接する列の円筒は、熱伝達液体からの熱伝達および熱伝達液体への熱伝達を促進するために、互いに対してオフセットされる。任意選択で、入力マニホールドによって供給される封入体に向かって封入体上に熱伝達液体を導く、複数の入力ノズルの形態であり得る1つまたは複数の入力ポートによって、封入体に関する空間へ熱伝達液体が導入される入力機構が提供される。それらの出口のノズルのボアは、断面が概ね円形であってよく、または封入されたPCMに対して熱をより効果的に伝達する液体のジェットもしくはストリームを生成するように細長くてもよい。マニホールドは、流量を増加させ、圧力損失を低減させる目的で、一端または両端から供給され得る。
【0111】
熱伝達液体は、グリーン・エネルギー源(例えば、ヒート・ポンプもしくは太陽温水システム)のポンプもしくは別のシステムのポンプの作用の結果として、エネルギー貯蔵部12に送り込まれてよく、または熱エネルギー貯蔵部がそれ自体のポンプを含んでもよい。入力回路の1つまたは複数の出口にあるエネルギー貯蔵部から出た後、熱伝達液体は、エネルギー源(例えば、ヒート・ポンプ)に直接戻ってもよく、または、1つもしくは複数の弁の使用を介して、まず加熱設備(例えば、床下暖房、ラジエータ、もしくは他の何らかの形態の空間暖房)に進み、その後にグリーン・エネルギー源に戻るように切り替え可能であってよい。
【0112】
封入体は水平に配設され、出力回路のコイルが封入体上にわたり配置され得る。これは多くの可能な配置および配向のうちの1つに過ぎないことが理解されよう。封入体が垂直に配置された状態で同じ配置が同様に行われてもよい。
【0113】
代替的には、PCM封入を使用するエネルギー貯蔵部が、先に説明されたような円筒形の細長い封入体をここでも使用できるが、この場合、導管の形状、例えばコイルの形状の入力回路を有する。封入体は、それらの長軸が垂直に配設された状態で配置され、入力コイル14および出力コイル18がエネルギー貯蔵部12の両側に配設され得る。しかし、この配置は代替的配向で使用されてもよく、例えば、入力回路が底部にあり、出力回路が上部にあり、封入体がそれらの長軸を水平に配置される。好ましくは、1つまたは複数のインペラが、エネルギー貯蔵部12内に配置され、エネルギー伝達液体を入力コイル14の周囲から封入体に向けて推進する。そのインペラまたは各インペラは、好ましくは、磁気駆動システムを介して外部に取り付けられた駆動ユニット(例えば、電気モータ)に結合され、その結果、エネルギー貯蔵部12のエンクロージャは、駆動シャフトを受け入れるために穿孔される必要がなくなり、それにより、そのようなシャフトがエンクロージャに入る場合の漏れのリスクを低減する。
【0114】
PCMが封入されているという事実によって、エネルギー貯蔵のために複数の相変化材料を使用するエネルギー貯蔵部を構築することが容易に可能となり、特に、異なる遷移(例えば融解)温度を有するPCMが組み合わされることが可能であるエネルギー貯蔵ユニットの作成を可能とし、それにより、エネルギー貯蔵部の動作温度を拡張する。
【0115】
ここで説明されたタイプの実施形態において、エネルギー貯蔵部12は、熱伝達液体(例えば、水または水/阻害剤溶液)と組み合わせて潜熱としてエネルギーを貯蔵するように1つまたは複数の相変化材料を含有することが理解されよう。
【0116】
相変化材料の相変化によって引き起こされる圧力の増加に応じて体積を減少させ、相変化材料の逆相変化によって引き起こされる圧力の減少に応じて再び膨張させるように構成された複数の弾性体は、好ましくは、封入体内の相変化材料を提供される(それらは、本明細書の他の箇所に説明されているように、「バルク」PCMを使用するエネルギー・バンク内で使用されてもよい)。
【0117】
理解されるように、本開示は、上記の任意の代替形態で説明されるようなインターフェース・ユニットを含む建物内温水システムを備える設備を提供し、熱交換器の入力側回路はヒート・ポンプに結合され、熱交換器の出力側回路は建物内温水システムに結合されている。好ましくは、そのような設備では、建物内加熱回路が、熱交換器の入力側回路、およびヒート・ポンプに結合される。任意選択で、
図8に示されるように、そのような建物内加熱回路702は、設備のプロセッサ704に結合された少なくとも1つの圧力センサ700を含み、プロセッサ704は、建物内加熱回路702の圧力を監視し、例えば膨張容器の故障により圧力が所定の範囲の外に低下した場合にアラートを発するように構成される。また、圧力検知が、エネルギーの過剰供給と組み合わされた圧力リリーフ弁の故障によって発生し得る過圧を警告することもできる。
【0118】
また、本開示は、上記のいずれかの代替形態で説明されたインターフェース・ユニットを含む建物内温水システムを備える設備を提供し、熱交換器の入力側回路は、ヒート・ポンプに結合され、熱交換器の出力側回路は、流量センサおよび温度センサを有する建物内温水システムに結合され、設備はさらに、熱交換器の出力側回路の下流の温水システムの水を加熱するように構成された電気ヒータと、ヒート・ポンプ、流量センサ、温度センサ、および電気ヒータに動作的に結合されたプロセッサとを備え、プロセッサは、エネルギー消費を低減するために、電気ヒータ、ヒート・ポンプ、および相変化材料からのエネルギーの使用を管理するロジックを備える。
【0119】
本開示はさらに、上記のいずれかの代替形態で説明されたインターフェース・ユニットを含む建物内温水システムを備える設備を提供し、熱交換器の入力側回路は、ヒート・ポンプに結合され、熱交換器の出力側回路は、流量センサおよび温度センサを有する建物内温水システムに結合され、設備はさらに、熱交換器の出力側回路の下流の温水システムの水を加熱するように構成された電気ヒータと、ヒート・ポンプ、流量センサ、温度センサ、および電気ヒータに動作的に結合されたプロセッサとを備え、プロセッサは、ヒート・ポンプの電力よりも大きな電力入力を必要とする温水の流れを提供するように設備を管理するロジックを備える。
【0120】
さらに、これらの任意の設備は、1つまたは複数の追加の熱交換器をさらに備え、その1つまたは複数の各熱交換器はエンクロージャを備え、エンクロージャ内には、ヒート・ポンプに結合された入力側回路と、建物内温水システムに結合された出力側回路と、エネルギーの貯蔵のための相変化材料とを備える。
【0121】
任意選択で、設備は、建屋内温水システムへの冷水供給部における圧力センサと、圧力センサに結合されたプロセッサとをさらに備えてよく、プロセッサは、圧力の損失が検出された場合に警告を生成するように構成される。任意選択で、プロセッサは、圧力の損失が閾値時間を超えて継続する場合にのみ警告を生成するように構成される。任意選択で、設備は、建屋内温水システムへの冷水供給部における流量センサをさらに備え、流量センサはプロセッサに結合される。任意選択で、プロセッサは、警告を生成する際に、圧力センサと流量センサの両方からの情報を使用するように構成される。
【0122】
また、本開示は、建物内温水システム内へ配管されるガス焚きコンビネーション・ボイラーを置き換える方法を提供し、この方法は、ガス焚きコンビネーション・ボイラーを取り外して設置スペースを形成する工程と、設置スペース内に上記のいずれかの代替形態で説明されたインターフェース・ユニットを設置する工程と、建物内の温水に対して熱交換器の出力側回路を結合する工程と、熱交換器の入力側回路をヒート・ポンプに結合して、建物内温水システムの水が熱相変化材料および/またはヒート・ポンプによって加熱されることを可能にする工程とを備える。好ましくは、この方法は、熱交換器の入力側回路を建物内空間暖房システムに結合する工程をさらに備える。好ましくは、この方法は、インターフェース・ユニットのプロセッサをヒート・ポンプのコントローラに動作的に接続して、プロセッサがヒート・ポンプの挙動の態様を制御することを可能にする工程をさらに備える。
【0123】
インターフェース・ユニットのプロセッサは、ヒート・ポンプ、エネルギー・バンク、および瞬間湯沸器を制御するように構成される。これを行うことを可能にするために、プロセッサには、エネルギー・バンクの状態、ヒート・ポンプの状態、および好ましくは水流量に関する情報が提供される。水流量に関する情報は、関連する流路における流量測定デバイスによって提供され得るが、後述されるように、開放されている出口の認識に基づいてもよい。関連する出口または関連する出口のタイプについての知識を用いて、水に対する需要の見込まれる持続時間の予測が行われ得る。例えば、クロークルーム内の手洗器に関連付けられた出口が開放された場合、出口が約60秒以内に再び閉じられることが予期され、なぜならば、温水の需要は誰かが手を洗いたいことによる可能性が高いからである。逆に、開放された出口が風呂用のものである場合、水の需要が5分よりも長く続くと確信的に予測され得る。
【0124】
また、プロセッサには、時刻、曜日、季節、および世帯の記憶されたすべての学習された行動に基づいて様々な加熱資源の管理を改善するためのロジックが提供され得る。例えば、学齢期の子供がいる家庭では、学期中の月曜から金曜の例えば午前7時と8時30分の間では同じパターンの温水需要があるが、典型的には朝のその後、週末、および学校の休み中には、行動のかなり異なるパターンがあることが確実に予測され得る。
【0125】
エネルギー・バンクの状態に関する情報をプロセッサに提供するために、エネルギー・バンクには、例えば、相変化材料の光学的もしくは音響的分析に基づいて、またはエネルギー・バンク内の内部圧力に基づいて、および/またはエネルギー・バンクのエンクロージャの膨張もしくは収縮に基づく変位測定に基づいて、状態情報を提供するための1つまたは複数のセンサが設けられる。プロセッサは、ヒート・ポンプと双方向通信し、ヒート・ポンプから状態情報を受信するように配置される。プロセッサは、ヒート・ポンプに対する需要の履歴も認識している。従来、ヒート・ポンプは、典型的には1時間当たり6回以下で始動するように構成されており、内部プロセッサは、コンプレッサ、ポンプなどの状態をチェックを行って監視し、これらのデータは、始動要求に従うか否かを決定する際に、ヒート・ポンプの内部プロセッサによって使用される。典型的には、ヒート・ポンプのプロセッサが始動要求に従えない場合、それは、要求元(この場合はインターフェース・ユニットのプロセッサ)に対して、始動要求に従えないことを通知する。
【0126】
既に言及されたように、先に説明されたインターフェース・ユニットを含む温水設備は、エネルギー・バンクの下流(またはエネルギー・バンクと並列)の流路に、瞬間湯沸器、例えば、電気ヒータを任意選択で含み得る。また、瞬間湯沸器もインターフェース・ユニットのプロセッサの制御下にあるべきである。インターフェース・ユニットのプロセッサは、温水の需要を経済的に満足させるために、瞬間湯沸器、PCMエネルギー・バンク、およびヒート・ポンプを管理するように構成されることが好ましい。インターフェース・ユニットのプロセッサは、好ましくは、少なくとも断続的にインターネットに接続され、ヒート・ポンプ、インターフェース・ユニット、および電気瞬間ヒータが接続される電気供給に関する料金情報を、この方法または他の何らかの方法で認識させられる。このようにして、プロセッサは、低い電気料金が発生したときに、それを利用することができる。例えば、予測されたもしくは既知の需要時に、または予測されたもしくは既知の需要時の少し前に、電気が安いまたは安くなっていくことをインターフェース・ユニットのプロセッサが認識した場合、プロセッサは、エネルギー・バンクにエネルギーを投入するために動作するようにヒート・ポンプに指示することができ、したがって、エネルギー・バンクのエネルギーは、需要が生じたときに使用されることが可能である。
【0127】
インターフェース・ユニットのプロセッサは、様々なエネルギー源の制御とともに、その管理プロセスの一部として、温水供給部における1つまたは複数の流量調整器を制御してもよい。
【0128】
図9は、複数の制御可能な水出口(後でより詳細に説明される様々な蛇口およびシャワー)と、水の供給部105と、水の供給部105と複数の制御可能な水出口との間の水流路における、少なくとも1つの流量測定デバイス110および少なくとも1つの流量調整器115と、少なくとも1つの流量測定デバイス110および少なくとも1つの流量調整器115に動作的に接続されたプロセッサ140とを有する建物内水供給設備100を概略的に示す。図示された水供給設備は、マスター・バスルーム121、第1のエンスイート・シャワールーム122、第2のエンスイート・シャワールーム123、クロークルーム124、および台所125を有する住居を表す。マスター・バスルームおよび第1のエンスイート・シャワールームは、住居の1つの階にあり、クロークルーム、第2のエンスイート、および台所は、住居の別の階にあり得る。そのような状況では、図示されるように、様々な出口に対して水を供給するために2つの別個の回路130および131を有すると便利であり得る。
【0129】
マスター・バスルーム121は、シャワー出口135、浴室蛇口または水栓136、およびシンク用蛇口137を含むものとして示されている。また、エンスイート・シャワールーム122および123は、シャワー出口135およびシンク用蛇口137を含む。逆に、クロークルームは、トイレ(図示せず)、および蛇口138を備える手洗器のみを有する。最後に、台所は、蛇口139を備えるシンクを有する。
【0130】
関連付けられたメモリ141を有するプロセッサ、すなわち、システム・コントローラ140は、少なくとも1つの流量測定デバイス110および少なくとも1つの流量調整器115に結合されている。2つの回路130と131の各々が、それぞれの流量測定デバイス110および流量調整デバイス115を備えていることは理解されよう。プロセッサはまた、任意選択で、回路130と131の各々についての1つまたは複数の温度センサ143に接続されている。
【0131】
プロセッサはまた、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、またはZigBee(登録商標)などを介した双方向通信のために、少なくとも1つのRF送信機および少なくとも1つのRF受信機を含むRFトランシーバ142に結合され、好ましくはサーバまたは中央ステーション145に接続するためにインターネット144に結合され、任意選択でセルラー無線ネットワーク(LTE、UMTS、4G、5Gなど)にも結合される。RFトランシーバ142および/またはインターネットへの接続によって、プロセッサ140は、モバイル・デバイス150と通信することができ、モバイル・デバイス150は、建物内水供給設備のマッピングにおいて設置技術者に使用される、例えばスマートフォンまたはタブレットであり得る。モバイル・デバイス150は、本発明の実施形態によるマッピング方法を容易にするために、特に、技術者によって行われたアクションをシステム・コントローラ140/サーバ145のクロックに同期させるために、システム・コントローラ140内および場合によってはサーバ145内の対応するソフトウェアと協働する特定のアプリなどのソフトウェアを含む。メモリ141は、例えば新しい設備を試運転するプロセスにおいて、プロセッサが建物内水供給設備プロセッサをマッピングする方法を実行することを可能にするためのコードを含む。説明のために、
図9は温水供給設備を示すと考えるが、同様に冷水供給設備であってもよい。
【0132】
試運転プロセスにおいて、技術者は、(蛇口、シャワー、浴室、台所などの)すべての温水出口を定義するようにプロセッサ/システム・コントローラ140から求められる。システム・コントローラは、各出口(蛇口、シャワー出口など)を全開にするように技術者に求め、関連する流量測定デバイス110を用いて結果の水の流れを監視する。このプロセス中に、関連する流量測定デバイス110は水の流れを測定し、プロセッサは、これらのデータを受け取り、結果をデータベースに追加する。この情報に基づいて、システムは、その後、任意の出口が開放されたときに、関連する流量制御デバイス115を制御することによって、各単一の蛇口への最も効率的な流れを提供することができる。
【0133】
次に、
図9を参照して、本開示の第1の態様による建物内水供給設備をマッピングする方法が説明される。
この方法は、複数の制御可能な水出口のうちの第1の水出口を開放する工程と、少なくとも第1の流れ特性が決定されるまで、プロセッサ140を用いて少なくとも1つの流量測定デバイス110からの信号を処理する工程と、次いで、複数の制御可能な水出口のうちの第1の水出口を閉じる工程とを備える。複数の制御可能な水出口のうちの第1の水出口の開放は、好ましくは、プロセッサまたはシステム・コントローラ140が、関連する技術者により携帯されるモバイル・デバイス150に対してメッセージを送信することによって指示される。例えば、指示はWi-Fiによって送信されて、マスター・バスルーム121内の浴室温水蛇口136を開放するように技術者に伝えることができる。次いで、技術者は、モバイル・デバイス150を携帯して、マスター・バスルームに行き、浴室温水蛇口136を全開する。モバイル・デバイスは、技術者に対して、正確に蛇口を開放するときを技術者に伝えるために、好ましくは可聴のプロンプトをカウントダウンとともに提供することができる。代替的には、モバイル・デバイス上のアプリは、蛇口136が開放された瞬間に、ボタンの押下や解放などのエンジニアからの入力を受け付けるように構成され得る。いずれの場合も、アプリは、任意選択で、プロンプトまたは瞬間のローカル時間を取得し、次いで、関連する制御可能な出口の識別情報とともに、このローカル時間をシステム・コントローラ140またはサーバ145に対して送信し得る。このようにして、モバイル・デバイス150に到達するプロンプトの遅延、またはコントローラ140もしくはサーバ145に到達する命令のタイミングの遅延が考慮され得る(モバイル・デバイス150およびシステム・コントローラ140は、好ましくは、マッピング・プロセスの前または後のいずれかで、何らかのハンドシェーキング手順を経るので、2つのデバイスのクロックの間のオフセットは除去されるか、またはそれらも考慮され得る)が、これは実際には必要でないことがある。システムへの最も重要な入力は、試験時間中の水温変化である。
【0134】
次いで、技術者は、構内を回って作業し、アプリ上のリストまたはメニューから出口識別情報を選択するかまたは明確な識別子を入力して、各出口を順々に開放する。あるいは、システム・コントローラにすべての蛇口のリストなど(一般に「制御可能な出口」)が既に提供されていて、モバイル・デバイス150に別のメッセージを送信することによって、関連する出口に行くように技術者に促してもよい。アプリは、技術者が所定の位置にいて次の制御可能な出口を回避する命令を受け取る準備ができているというメッセージを、技術者がシステム・コントローラ140/サーバ145に対して送信するオプションを含む。次いで、このプロセスは、他の温水出口の各々について、すべての出口およびそれらの流れ特性、すなわち、流れが検出される前の遅れ、流量の上昇率、最大流量、水温、温度上昇遅延、および他の任意の識別可能な特性が取得されデータベースに記憶されるまで、繰り返される。データベースに記憶された特性を使用することによって、プロセッサ140は、その後、検出された流れ特性と各流れ特性との類似性に基づいて、複数の制御可能な水出口のうちの特定の1つの開放を識別することができる。
【0135】
また、プロセッサは、出口のタイプ(浴室蛇口、台所蛇口、洗面台蛇口、クロークルーム蛇口)およびその場所(例えば、メイン・バスルーム、エンスイート、子供の部屋、大人の部屋、クロークルーム、台所)に基づいて、好ましい流量および任意選択で流れ持続時間に関するいくつかのルールが提供され、これらのルールを、検出された流れ特性から認識された出口識別情報と共に使用して、目標流量を決定する。次いで、目標流量は、システム・コントローラ140によって、関連する流量コントローラ115を制御することによって課され、好ましくは、対応する流量測定デバイス110によって監視される。このようにして、関連する出口の識別に基づいて、少なくとも1つの流量調整器を制御することによって、プロセッサ140は、識別された制御可能な出口への水の供給を制御することができる。
【0136】
それぞれの流れ特性の各々は、それぞれの安定流量を含んでよい。そして、この方法は、プロセッサ140を構成して、それぞれの安定流量に基づいて、複数の制御可能な水出口の各々への流量に少なくとも10%削減を課すように、少なくとも1つの流量調整器115を制御する工程をさらに備える。任意選択で、この方法は、プロセッサ140を構成して、それぞれの安定流量に基づいて、毎分7リットルよりもそれぞれの流量が大きい複数の制御可能な水出口のいずれかへの流量に少なくとも10%削減を課すように、少なくとも1つの流量調整器115を制御する工程をさらに備える。これは、蛇口が主に手洗い用の水を提供するために使用されることが多い、トイレ、エンスイート、および特にクロークルームの洗面台用の蛇口のための特別な用途であり、極めて適度な流量で効果的に達成され得る。
【0137】
図10は、
図9に対応するが、
図9で既に紹介されたものに対応する制御可能な出口を有する、温水105と冷水205の両方の水供給部を含む設備を概略的に示している。したがって、マスター・バスルーム121の浴槽には、冷水蛇口236と温水蛇口136が設けられ、洗面台は冷水蛇口237と温水蛇口137の両方を有する。シャワー出口も、温水と冷水の両方の供給部に接続されている。同様に、他の部屋の各々にも温水蛇口に対応する冷水蛇口が存在する。これらのペアの温水蛇口と冷水蛇口は、別個であってよく、または2つの蛇口が一体化されたモノブロックであってもよい。モノブロック蛇口は、温水供給部と冷水供給部の各々に別個の制御部を有してよく、または温水と冷水の両方の量ならびに2つの水源の各々から来る流量の割合を制御する単一の制御部を有する混合水栓であってもよい。しかし、これらの配置のすべてにおいて、蛇口は、他のタイプの水を含まない1つのタイプの水の最大流量、すなわち、温水供給部から100%の水または冷水供給部から100%の水を与えるように設定することが可能である。このようにして、以下に説明されるマッピング動作に適した蛇口を設定することができる。このことは、シャワー・ミキサについても一般的にあてはまるが、それらは、単一源の流れに設定するためにより多くの注意を必要とする。
【0138】
冷水出口は、
図9を参照して説明されたプロセスを使用してマッピングされ得る。
ここで説明されたものは、水源105と、水源105に結合された複数の制御可能な水出口135、136、137と、水源105と複数の制御可能な水出口135、136、137との間の水流路130、131における少なくとも1つの流量測定デバイス110および少なくとも1つの流量調整器115とを有する建物内水供給設備をマッピングするのに使用するためのプロセッサ140およびメモリ141であることが認識されよう。プロセッサ140は、少なくとも1つの流量測定デバイス110および少なくとも1つの流量調整器115に動作的に接続するように構成される。プロセッサ140に動作的に結合されたメモリ141は、水供給設備をマッピングする方法をプロセッサ140に実行させる命令を記憶し、この方法において、プロセッサ140は、少なくとも第1の流れ特性が決定されるまで、複数の制御可能な水出口のうちの第1の水出口の開放の結果として少なくとも1つの流量測定デバイス110から受信される信号を処理する。複数の制御可能な水出口のうちの第1の水出口を閉じた後、複数の制御可能な水出口のうちの他の出口の各々について動作を繰り返し、各制御可能な水出口についてそれぞれの流れ特性を決定する。その後、プロセッサは、検出された流れ特性とそれぞれの流量特性との類似性に基づいて、複数の制御可能な水出口のうちの特定の1つの開放を識別し、この識別に基づいて、上記少なくとも1つの流量調整器を制御して、水源から識別された制御可能な水出口への水の供給を制御するように構成される。
【0139】
本開示はまた、プログラムがプロセッサ140によって実行されたとき、上述の方法をプロセッサ140に実施させる命令を備えるコンピュータ・プログラムを提供する。コンピュータ・プログラムは、インストール前にメモリ141にロードされてもよく、その後サーバ145からダウンロードされてもよく、例えば有線データ・リンクもしくは何らかの種類のRFリンクを使用して、別のデバイスからアップロードされてもよい。
【0140】
したがって、メモリ141は、プロセッサによって実行されたとき、前述の方法をプロセッサに実施させる命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体を構成し得る。
本開示は、水源105と、水源105に結合された複数の制御可能な水出口と、水源105と複数の制御可能な水出口との間の水流路における流量測定デバイス110および少なくとも1つの流量調整器115とを、上述のようなプロセッサ140およびメモリ141と共に含む、水供給設備であって、プロセッサ140は、流量測定デバイス110および少なくとも1つの流量調整器115に動作的に接続されている、水供給設備を提供する。
【0141】
図9および
図10では、説明を容易にするため、冷水と温水の供給部はいずれも単に容器として表されているが、実際には、両方の水供給部は、給水主管などのある種の連続した供給部から供給されることが見込まれることは理解されよう。いずれの供給部も、ある種のリザーバまたはアキュムレータを使用してもよいが、これは必須ではない。もちろん、いずれの水供給部も給水主管に接続されることは不可欠ではなく、例えば、一方または両方の水供給部が貯水池から給水されてもよい。
【0142】
本出願は、多くの態様がより広範な適用性を有する場合であっても、一般に共通の問題の集合に基づいて多くの自明に相互に関連した態様および実施形態を含む。特に、論理および制御方法は、必ずしも開示されたハードウェアによる動作に限定されず、より広範に適用されてもよく、すべて、様々なハードウェアの態様およびその好ましい変形例のハードウェアによる動作に特に適している。特定の態様は他の特徴の特定の例に関するものであり、特定の態様において説明または請求された好ましい特徴は他にも適用され得ることは、当業者には理解されよう。相互運用性についてすべての点で明示的な言及がされると、本開示は手に負えないほど長くなるであろう。当業者は、別段の明示的に記載されない限り、または文脈から明らかに不適切でない限り、任意の態様の好ましい特徴が他に適用され得ることを理解することが期待され、またここに明示的に理解することが指示される。繰り返しを避けるために、多くの態様および概念は、方法形態またはハードウェア形態でのみ説明されることがあるが、対応する装置またはコンピュータ・プログラムまたはロジックが方法の場合に開示され、ハードウェアを操作する方法が装置の説明の場合に開示されたものとして捉えられる。上記で意味されるものの一例として、流体ベース(典型的には空気源)のヒート・ポンプと、相変化材料と、電気補助発熱体と、プロセッサ(ユニット内もしくはリモートまたは両方)による制御との組み合わせに関係する、ハードウェアとソフトウェアの両方についての多くの特徴がある。これが好ましい適用であるが、ほとんどの方法およびハードウェアは、より一般的に、他のヒート・ポンプ(熱電および地熱源)と、他の再生可能エネルギー源(例えば、ソーラ・アレイ用のポンプ)と、代替の補助加熱(ガス・ボイラーのような燃焼ヒータのより好ましくない配置、またはより低効率でより高温でより低いCOPヒート・ポンプを含む)と、多温度蓄熱アレイを含む代替の蓄熱とに対して適用可能である。さらに、いずれかの構成要素のための特別な配置またはそれらの相互作用を与える態様が、システムの代替要素に焦点を当てる態様と自由に使用され得る。添付の特許請求の範囲は別個のセットとして提示されており、本出願では、各態様の追跡を容易にするため、また後続の出願の利益のために、連続的に番号は付されておらず、明示的な相互参照も付されていない。しかしながら、添付のすべての請求項は、明示的な相互参照のみに依存して人為的に縮小的に解釈されるのではなく、当業者によって理解されるように、それらが適合しない代替例に自明に関連する場合を除き、他のすべての請求項のセットに多重に従属するとみなされるべきである。