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特許7564377車両走行情報分析装置及び車両走行情報分析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】車両走行情報分析装置及び車両走行情報分析方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241001BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20241001BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241001BHJP
   G06F 16/909 20190101ALI20241001BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/01 A
G08G1/09 F
G06F16/909
G09B29/10 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023548146
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2022027841
(87)【国際公開番号】W WO2023042539
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2021149586
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】鬼丸 寛之
(72)【発明者】
【氏名】徳永 武雄
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 篤樹
(72)【発明者】
【氏名】大石 康夫
(72)【発明者】
【氏名】飯星 明
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-27461(JP,A)
【文献】特開2020-112910(JP,A)
【文献】特開2020-135821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G01C 21/00 - 21/36
G06F 16/909
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図を含む地図情報が記憶される地図情報記憶部と、
車両の走行情報が記憶される走行情報記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
複数の車両から位置情報と時刻情報を含む走行情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信した前記走行情報を車両の識別情報とともに前記走行情報記憶部に記憶する走行情報記録部と、
利用者から分析対象道路の情報を含む分析条件の指定を受け付ける分析条件入力部と、
前記分析条件入力部により受け付けた分析条件の指定に基づき、前記道路地図の複数個所にそれぞれ所定面積の抽出領域を設定する抽出領域設定部と、
前記抽出領域設定部により前記道路地図の複数個所にそれぞれ設定された前記抽出領域の全てにおいて、前記走行情報の記録を有する前記車両の識別情報を抽出する車両識別情報抽出部と、
を備えることを特徴とする車両走行情報分析装置。
【請求項2】
前記分析条件入力部は、さらに、
前記分析条件として、前記分析対象道路における走行方向を示す走行方向情報の指定を受け付け、
前記車両識別情報抽出部は、さらに、
前記走行方向情報に合致する時系列を持つ前記車両を、それぞれの前記抽出領域において、前記走行情報の記録を有する前記車両であって、前記走行情報に含まれる前記時刻情報の時系列が前記走行方向情報に合致する車両の識別情報を抽出することを特徴とする請求項1記載の車両走行情報分析装置。
【請求項3】
前記受信部は、さらに、
前記複数の車両から当該車両の進行方向を示す進行方向情報を含む前記走行情報を受信し、
前記分析条件入力部は、さらに、
前記分析条件として、前記分析対象道路における走行方向を示す走行方向情報の指定を受け付け、
前記車両識別情報抽出部は、さらに、
前記走行方向情報に合致する走行情報を持つ前記車両を、それぞれの前記抽出領域において、前記走行情報に含まれる進行方向情報が前記走行方向情報に合致する車両の識別情報を抽出することを特徴とする請求項1記載の車両走行情報分析装置。
【請求項4】
前記分析条件入力部は、さらに、
前記分析条件として、利用者から道路識別情報の指定を受け付けることにより前記分析対象道路の情報を指定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両走行情報分析装置。
【請求項5】
前記分析条件入力部は、さらに、
前記分析条件として、利用者から前記道路地図に記載された道路の始点及び終点の指定を受け付けることにより前記分析対象道路の情報を指定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両走行情報分析装置。
【請求項6】
道路地図を含む地図情報が記憶される地図情報記憶部と、
車両の走行情報が記憶される走行情報記憶部と、
を有する1つ以上のコンピュータにより実行される車両走行情報分析方法であって、
複数の車両から位置情報と時刻情報を含む走行情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信した前記走行情報を車両の識別情報とともに前記走行情報記憶部に記憶する走行情報記録ステップと、
利用者から分析対象道路の情報を含む分析条件の指定を受け付ける分析条件入力ステップと、
前記分析条件入力ステップにおいて受け付けた分析条件の指定に基づき、前記道路地図の複数個所にそれぞれ所定面積の抽出領域を設定する抽出領域設定ステップと、
前記抽出領域設定ステップにおいて前記道路地図の複数個所にそれぞれ設定された前記抽出領域の全てにおいて、前記走行情報の記録を有する前記車両の識別情報を抽出する車両識別情報抽出ステップと、
を有することを特徴とする車両走行情報分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両からの位置情報に基づいて、分析対象道路情報を含む分析条件に基づき、分析対象道路を走行した車両を抽出分析するための車両走行情報分析装置及び車両走行情報分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コネクテッドカーと呼ばれる無線通信機能を搭載した車両の普及が進み、車両から取得される車両データを用いた様々な分析サービスが展開されている。
これら分析サービスを実行するためには、車両の現在位置を含むプローブ情報をサーバに蓄積し、分析時に必要なプローブ情報を抽出する必要がある。特に道路毎に当該道路を走行する複数の走行車両を分析する場合には、指定した道路の分析したい道路長又は道路区間から、さらに場合によっては走行方向(上り線・下り線)の走行車両を抽出する必要がある。
例えば特許文献1には、マップマッチングシステムとして、通過する道路が含まれる地図上のグリッドを統合し、位置情報が含まれるイベントデータが多い場合は一部を選択することで、大量の車両からイベントデータが送信される場合であっても解析の精度を落とさず、かつ高速にマップマッチングを行う技術が開示されている。
また、特許文献2には、ナビゲーションシステムの現在地検出用センサによって車両の現在地座標を求めるとともに、地図データベースにおいて道路地図に設定されたリンク番号と対照することで、リンク番号に基づく車両の現在地情報を作成し、タコグラフシステムに送信する技術が開示されている。これにより、タコグラフシステムでは、リンク番号に基づく車両の走行した道路情報を蓄積することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許4978692号
【文献】特開平5-189636号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、測定された位置データの誤差を修正して分析可能なように近傍の道路位置に修正する技術であるが、大量の位置情報を含むデータをマップマッチングすることは処理の負荷が高く、実現が困難となっている。
また、特許文献2記載の技術は、リンク情報が埋め込まれたデジタル地図を利用する必要があり、当該地図を利用するには、利用者側のコスト負担が大きく、実現が困難となっている。また、多くの国においては、リンク番号の設定された正確な道路地図がないケースもある。
このため、特許文献1に記載されたような、処理負荷の高いマップマッチングを行わずに指定した道路を走行した車両データを抽出する技術、また特許文献2に記載されたリンク情報が埋め込まれたデジタル地図を利用せずに、指定した道路を走行した車両データを抽出する技術が求められている。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、指定された道路に対応して、道路地図上の複数箇所に座標点(通過点)及び当該座標点(通過点)を含む所定面積の領域を設け、当該複数個所の領域に位置情報が記録されている車両データを抽出することで、マップマッチングを行うことなく、またリンク情報が埋め込まれた地図を利用することなく、指定した道路を走行した車両データを抽出するための車両走行情報分析装置及び車両走行情報分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の車両走行情報分析装置(例えば、後述の車両走行情報分析装置30)は、
道路地図を含む地図情報が記憶される地図情報記憶部(例えば、後述の地図情報記憶部321)と、車両の走行情報が記憶される走行情報記憶部(例えば、後述の走行情報記憶部322)と、制御部(例えば、後述の制御部31)と、を備え、前記制御部は、複数の車両から位置情報と時刻情報を含む走行情報を受信する受信部(例えば、後述の受信部311)と、前記受信部により受信した前記走行情報を車両の識別情報とともに前記走行情報記憶部に記憶する走行情報記録部(例えば、後述の走行情報記録部312)と、利用者から分析対象道路の情報を含む分析条件の指定を受け付ける分析条件入力部(例えば、後述の分析条件入力部313)と、前記分析条件入力部により受け付けた分析条件の指定に基づき、前記道路地図の複数個所にそれぞれ所定面積の抽出領域を設定する抽出領域設定部(例えば、後述の抽出領域設定部314)と、前記抽出領域設定部により前記道路地図の複数個所にそれぞれ設定された前記抽出領域の全てにおいて、前記走行情報の記録を有する前記車両の識別情報を抽出する車両識別情報抽出部(例えば、後述の車両識別情報抽出部315)と、を備える。
【0007】
上記(1)によれば、マップマッチングを行うことなく、またリンク情報が埋め込まれた地図を利用することなく、利用者から指定された分析対象道路を走行した車両の識別情報を抽出することが可能となる。
【0008】
(2)上記(1)に記載の車両走行情報分析装置(例えば、後述の車両走行情報分析装置30)において、前記分析条件入力部(例えば、後述の分析条件入力部313)は、さらに、前記分析条件として、前記分析対象道路における走行方向を示す走行方向情報の指定を受け付け、前記車両識別情報抽出部(例えば、後述の車両識別情報抽出部315)は、さらに、前記走行方向情報に合致する時系列を持つ前記車両を、それぞれの前記抽出領域において、前記走行情報の記録を有する前記車両であって、前記走行情報に含まれる前記時刻情報の時系列が前記走行方向情報に合致する車両の識別情報を抽出するようにしてもよい。
【0009】
上記(2)によれば、利用者から指定された分析対象道路を、指定された走行方向(例えば、上り方面又は下り方面)を走行した車両の識別情報を抽出することが可能となる。
【0010】
(3)上記(1)に記載の車両走行情報分析装置(例えば、後述の車両走行情報分析装置30)において、
前記受信部(例えば、後述の受信部311)は、さらに、前記複数の車両から当該車両の進行方向を示す進行方向情報を含む前記走行情報を受信し、前記分析条件入力部(例えば、後述の分析条件入力部313)は、さらに、前記分析条件として、前記分析対象道路における走行方向を示す走行方向情報の指定を受け付け、前記車両識別情報抽出部(例えば、後述の車両識別情報抽出部315)は、さらに、前記走行方向情報に合致する走行情報を持つ前記車両を、それぞれの前記抽出領域において、前記走行情報に含まれる進行方向情報が前記走行方向情報に合致する車両の識別情報を抽出するようにしてもよい。
【0011】
上記(3)によれば、利用者から指定された分析対象道路を、指定された走行方向(例えば、上り方面又は下り方面)を走行した車両の識別情報を抽出することが可能となる。
【0012】
(4)上記(1)から(3)に記載の車両走行情報分析装置(例えば、後述の車両走行情報分析装置30)において、前記分析条件入力部(例えば、後述の分析条件入力部313)は、さらに、前記分析条件として、利用者から道路識別情報の指定を受け付けることにより前記分析対象道路の情報を指定するようにしてもよい。
【0013】
上記(4)によれば、利用者により道路識別情報を、例えば道路名の指定又は道路地図上に表示される道路自体をマウスでクリックする等により、道路識別情報の指定が可能となる。
【0014】
(5)上記(1)から(3)に記載の車両走行情報分析装置(例えば、後述の車両走行情報分析装置30)において、前記分析条件入力部(例えば、後述の分析条件入力部313)は、さらに、前記分析条件として、利用者から前記道路地図に記載された道路の始点及び終点の指定を受け付けることにより前記分析対象道路の情報を指定するようにしてもよい。
【0015】
上記(5)によれば、利用者により、道路識別情報により分析対象道路を指定する代わりに、道路地図に記載された道路の所定の区間を指定することが可能となる。例えば、道路名として国道1号線を指定する場合、東京から大阪までの道路区間が分析対象範囲となるが、道路地図に記載された道路の始点及び終点を指定することにより、利用者の望む分析対象道路を正確に指定することができる。
【0016】
(6)本発明の車両走行情報分析方法は、道路地図を含む地図情報が記憶される地図情報記憶部(例えば、後述の地図情報記憶部321)と、車両の走行情報が記憶される走行情報記憶部(例えば、後述の走行情報記憶部322)と、を有する1つ以上のコンピュータにより実行される車両走行情報分析方法であって、複数の車両から位置情報と時刻情報を含む走行情報を受信する受信ステップと、前記受信ステップにおいて受信した前記走行情報を車両の識別情報とともに前記走行情報記憶部に記憶する走行情報記録ステップと、利用者から分析対象道路の情報を含む分析条件の指定を受け付ける分析条件入力ステップと、前記分析条件入力ステップにおいて受け付けた分析条件の指定に基づき、前記道路地図の複数個所にそれぞれ所定面積の抽出領域を設定する抽出領域設定ステップと、前記抽出領域設定ステップにおいて前記道路地図の複数個所にそれぞれ設定された前記抽出領域の全てにおいて、前記走行情報の記録を有する前記車両の識別情報を抽出する車両識別情報抽出ステップと、を有する。
【0017】
上記(6)の方法によれば、上記(1)の車両走行情報分析装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、指定された道路に対応して、道路地図上の複数箇所に所定面積の領域を設け、当該複数個所の領域に位置情報が記録されている車両データを抽出することで、マップマッチングを行うことなく、またリンク情報が埋め込まれた地図を利用することなく、指定した道路を走行した車両データを抽出するための車両走行情報分析装置及び車両走行情報分析方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態である車両走行情報分析システム全体の基本的構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態における車載ナビゲーション装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態における携帯端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の実施形態における車両走行情報分析装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の実施形態における走行情報記憶部に記録される走行情報データ構造の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態において、分析対象道路上に設定される通過点及び抽出領域の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態において、分析対象道路上に3つの通過点(抽出領域)が設定された場合の各移動体の各通過点(抽出領域)における走行情報(時刻情報)を例示した図である。
図8】本発明の実施形態において、車両の進行方向が分析対象道路の上り方向に合致する条件について例示した図である。
図9】本発明の実施形態における、道路地図の複数個所にそれぞれ設定された各抽出領域において、走行情報の記録を有する車両の識別情報を抽出する場合の動作を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態における、道路地図の複数個所にそれぞれ設定された各抽出領域において、車両の進行方向が指定された走行方向に合致する走行情報の記録を有する車両の識別情報を抽出する場合の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の車両走行情報分析システムの好ましい一実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
<車両走行情報分析システム1の全体構成>
本発明の好ましい一実施形態に係る車両走行情報分析システム1について説明する。図1に、車両走行情報分析システム1の全体構成を示す。
【0022】
図1に示すように、車両走行情報分析システム1は、車載ナビゲーション装置10と、携帯端末20と、車両走行情報分析装置30と、を含んで構成される。これら各装置及び各端末は、通信網60を介して相互に通信可能に接続される。なお、図中では、これら各装置及び各端末にて送受信される情報についても図示しているが、これらの情報はあくまで一例である。本実施形態にて、図示をしている以外の情報が送受信されるようにしてもよい。
【0023】
車載ナビゲーション装置10は、車両50aに乗車したユーザに対して、ナビゲーション(経路案内)を行う装置である。また、車載ナビゲーション装置10は、車載ナビゲーション装置10の位置情報(すなわち、車両50aの位置情報)を測位する機能も有する。車載ナビゲーション装置10は、車両50に乗車したユーザの要求と、測位した位置情報とに基づき、現在位置から目的地までの経路案内を行う。
【0024】
また、車載ナビゲーション装置10は、測位した位置情報及び測位した時刻情報(日時情報、タイムスタンプともいう)を含む走行情報を、車載ナビゲーション装置10を識別するための識別情報である移動体IDとともに、車両走行情報分析装置30に対して適宜送信する。ここで、車載ナビゲーション装置10と車両50aは1対1の組として利用されているので、送信される位置情報は、実質的に、車両50aの位置情報とみなすことができる。なお、後述するように、移動体IDを車両識別情報ともいう。
このような車載ナビゲーション装置10は、移動体である車両50aに据え付けられ可搬可能なカーナビゲーション装置や、移動体である車両50aに簡易的に設置されたPND(Portable Navigation Device)により実現することができる。
【0025】
携帯端末20は、車両50bに乗車したユーザが利用する携帯型の端末である。携帯端末20は、上述した車載ナビゲーション装置10と同様に、ナビゲーション(経路案内)を行う機能や、携帯端末20の位置情報(すなわち、車両50bの位置情報)を測位する機能を有する。
【0026】
そして、携帯端末20は、これも上述した車載ナビゲーション装置10と同様に、測位した位置情報及び測位した時刻情報(日時情報、タイムスタンプともいう)を含む走行情報を、携帯端末20を識別するための識別情報である移動体IDとともに、車両走行情報分析装置30に対して適宜送信する。ここで、携帯端末20と車両50bは1対1の組として利用されているので、送信される走行情報は、実質的に、車両50bの走行情報とみなすことができる。
このような携帯端末20は、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、ノートパソコン、その他の携帯可能な電子機器により実現することができる。
【0027】
なお、図中では、車載ナビゲーション装置10と車両50aの組と、携帯端末20と車両50bの組をそれぞれ一組ずつ図示しているが、これらの組数に特に制限はなく、本実施形態には任意の数だけこれらの組が含まれていてよい。また、同様に、車両走行情報分析装置30の数についても、特に制限はなく、本実施形態には任意の数だけ車両走行情報分析装置30が含まれていてよい。
【0028】
また、以下の説明において、車載ナビゲーション装置10が搭載された車両50aや、携帯端末20を利用するユーザが乗車する車両50bを区別することなく呼ぶ場合には、末尾のアルファベットを省略して、単に「車両50」と呼ぶ。
さらに、車両50や、車両50にて利用される車載ナビゲーション装置10や携帯端末20は、車両50の移動に伴い移動する。そのため、以下の説明では、車両50、車載ナビゲーション装置10、及び携帯端末20のことを適宜「移動体」とも呼ぶ。
【0029】
車両走行情報分析装置30は、マップマッチングを行うことなく、またリンク情報が埋め込まれた地図を利用することなく、複数の車両50から受信する連続した位置情報と時刻情報とを含む走行情報に基づいて、ユーザにより指定された道路を走行した車両50の車両識別情報(移動体ID)を抽出することができる装置である。そうすることで、車両走行情報分析装置30は、負荷の高い処理をすることなく、また、コスト負担の大きい、リンク番号の設定された正確な道路地図を利用することなく、さらには、リンク番号の設定された正確な道路地図がない場合であっても、指定した道路を走行した車両識別情報を抽出することを可能としている。
【0030】
車両50は、車載ナビゲーション装置10や携帯端末20のユーザが乗車する移動体である。車両50は、例えば、四輪自動車及び自動二輪車等により実現される。
【0031】
通信網60は、インターネットや携帯電話網といったネットワークや、これらを組合せたネットワークにより実現される。また、ネットワークの一部に、LAN(Local Area Network)が含まれていてもよい。
車両走行情報分析装置30の説明をする前に、車載ナビゲーション装置10及び携帯端末20について簡単に説明する。
【0032】
<車載ナビゲーション装置10について>
車載ナビゲーション装置10は、車両50aから電源の供給を受けており、車両50aに乗車したユーザにより車両50aのイグニッションスイッチがオン(エンジンを始動)にされることによって自動起動する。そして、車載ナビゲーション装置10は、車両50aに乗車したユーザにより車両50aのイグニッションスイッチがオフ(エンジンを停止)にされるまで稼働する。
【0033】
図2に示すように、車載ナビゲーション装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、センサ部14と、表示部15と、入力部16とを含んで構成される。
【0034】
制御部11は、マイクロプロセッサ等の演算処理装置から構成され、車載ナビゲーション装置10を構成する各部の制御を行う。制御部11の詳細については、後述する。
【0035】
記憶部12は、半導体メモリ等で構成されており、ファームウェアやオペレーティングシステムと呼ばれる制御用のプログラムや、経路案内処理を行うためのプログラムや、車両走行情報分析装置30に対する走行情報の送信処理を行うためのプログラムといった各プログラム、さらにその他、経路案内のための施設情報や施設IDを含んだ地図情報等の種々の情報が記憶される。
【0036】
図中には、記憶部12が記憶する情報として、走行情報の送信処理に特に関する情報である、走行情報121、及び移動体ID122を図示する。
走行情報121は、後述のセンサ部14により測位された車載ナビゲーション装置10の位置情報(すなわち、車両50aの位置情報)、及び測位を行った時刻を含む。
【0037】
移動体ID122は、車載ナビゲーション装置10や、車載ナビゲーション装置10が設置された車両50aを識別するための情報(車両識別情報)である。
移動体ID122としては、例えば車載ナビゲーション装置10に一意に割り当てられた製造番号等を利用することができる。また、他にも、通信部13が携帯電話網等のネットワークである通信網60に接続するために、通信部13に挿入されたSIM(Subscriber Identity Module)に付与された電話番号を移動体ID122として利用することができる。また、他にも、車両50aに固有に付与されたVIN(車両識別番号)やナンバープレートの番号を移動体ID122として利用することができる。
【0038】
通信部13は、DSP(Digital Signal Processor)等を有し、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の規格や、Wi-Fi(登録商標)といった規格に準拠して、通信網60を介して他の装置(例えば、車両走行情報分析装置30)との間の無線通信を実現する。通信部13は、例えば、後述の走行情報送信部112が、記憶部12に格納されている走行情報121、及び移動体ID122を、車両走行情報分析装置30に対して送信するために利用される。ただし、通信部13と他の装置との間で送受信されるデータに特に制限はなく、位置情報と時刻情報を含む、走行情報に、車両走行情報分析装置30で分析に用いるための他のセンサ情報、例えば加速度、アクセル開度、及びステアリングの舵角、さらに進行方向情報、進行速度情報等の車両50aで測定される情報を含めてもよい。また、走行情報、及び車両識別情報(移動体ID122)以外の情報が送受信されるようにしてもよい。
【0039】

センサ部14は、例えばGPS(Global Positioning System)センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ等により構成される。センサ部14は、位置情報を検出する位置検出手段としての機能を備え、GPSセンサによりGPS衛星信号を受信し、車載ナビゲーション装置10の位置情報(緯度及び経度)を測位する。センサ部14による測位は、上述したように所定の時間間隔(例えば3秒間隔)で行われる。測位した位置情報は、測位した時刻情報とともに走行情報121として記憶部12に格納される。なお、GPSセンサは、緯度、経度に加えて標高を測位することができることから、位置情報として緯度、経度に加えて標高を含むようにしてもよい。
なお、センサ部14は、ジャイロセンサ、加速度センサにより測定される角速度や、加速度に基づいて車載ナビゲーション装置10の位置情報の測位精度をさらに高めることも可能である。
表示部15は、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等の表示デバイスにより構成される。表示部15は、制御部11からの指示を受けて画像を表示する。
入力部16は、テンキーと呼ばれる物理スイッチや表示部15の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置(図示を省略する。)等で構成される。
なお、この他、図示しないが、スピーカやマイク等を備えることもできる。スピーカは、運転者に対して音声出力を行い、マイクは、運転者によって発せられた音声等を集音する。
そうすることで、情報をスピーカから音声で出力したり、マイクを介して音声入力された運転者による各種の選択、指示を音声認識技術により、制御部11に入力したりすることもできる。
【0040】
次に、制御部11の詳細について説明をする。制御部11はCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random access memory)、ROM(Read Only Memory)、及びI/O(Input / output)等を有するマイクロプロセッサにより構成される。CPUは、ROM又は記憶部12から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部12から情報を読み出し、RAM及び記憶部12に対して情報の書き込みを行い、通信部13、センサ部14、表示部15、及び入力部16と信号の授受を行う。そして、このようにして、ハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することにより本実施形態における処理は実現される。
【0041】
制御部11は、機能ブロックとして、経路案内部111、及び走行情報送信部112を備える。
【0042】
経路案内部111は、ユーザによって入力又は選択された施設等の目的地までの経路案内処理を行う部分であり、当業者によく知られているので、詳細な説明は省略する。
【0043】
走行情報送信部112は、通信部13を利用した無線通信により、記憶部12に格納されている走行情報121、及び移動体ID122を、車両走行情報分析装置30に対して送信する部分である。
【0044】
走行情報送信部112による、車両走行情報分析装置30に対する走行情報121、及び移動体ID122の送信は、ドライブ開始時に車両50aに乗車したユーザにより車両50aのイグニッションスイッチがオン(エンジンを始動)にされ、車載ナビゲーション装置10が自動起動してから、ドライブ終了時に車両50aのイグニッションスイッチがオフ(エンジンを停止)にされるまでの間、周期的に行われる。例えば、所定の時間間隔(例えば3秒間隔)でセンサ部14が測位を行う都度、リアルタイムに送信が行われる。すなわち、一度ドライブが開始されて、このドライブが終了するまでの間、リアルタイムに送信が行われる。
また、リアルタイムに車両走行情報分析装置30に送信する替わりに、複数個まとめて(例えば3分間分の間に3秒間隔で更新された走行情報121と、移動体ID122とをまとめて)、一度に送信するようにしてもよい。すなわち、いわゆるバースト送信をするようにしてもよい。所定の時間間隔の長さや、リアルタイムに送信するか、それともバースト送信するかは、本実施形態を適用する環境等に応じて、任意に設定することができる。
このようにして、リアルタイム送信やバースト送信を行うことにより、走行情報送信部112は、センサ部14が測位した車両50aの走行経路を特定するための走行情報121と、移動体ID122とを、車両走行情報分析装置30に対して送信する。
【0045】
この場合に、イグニッションスイッチがオン(エンジンを始動)にされ、車載ナビゲーション装置10が自動起動した直後に測位された位置情報により特定される位置をドライブにおける最初の車両位置、すなわち出発位置として車両走行情報分析装置30に送信することができる。さらに、イグニッションスイッチがオフ(エンジン停止)される直前に測位された位置情報により特定される位置をドライブにおける最終の車両位置、すなわち駐車位置として車両走行情報分析装置30に送信することができる。例えば、出発位置を表す位置情報であることや駐車位置を表す位置情報であることを示す情報(例えば、これらを示すフラグの値を1にする。)を、位置情報に追加してから、走行情報121を車両走行情報分析装置30に送信するようにする。
なお、イグニッションスイッチがオフ(エンジン停止)される直前に測位された位置情報(すなわち、駐車位置)については、イグニッションスイッチがオン(エンジンを始動)にされ、車載ナビゲーション装置10が再度起動した際に送信されてもよい。
【0046】
なお、バースト送信を行う場合、例えば、経路案内部111により車両50aが施設等の目的地に到着したと判断された場合には、走行情報送信部112は、リアルタイムに送信を行うように切り替えることができる。このようにすれば、施設等の目的地に到着後、施設等の目的地の位置情報が送信される前に、イグニッションスイッチがオフ(エンジン停止)されてしまい、施設等の目的地の位置情報が車両走行情報分析装置30に対して送信されない、という事態を防止することができる。
【0047】
また、走行情報送信部112は、前述したように、走行情報121に、当該車両50aの加速度、アクセル開度、及びステアリングの舵角、さらに進行方向及び速度情報を含めて、車両走行情報分析装置30に対して送信するようにしてもよい。
【0048】
<携帯端末20について>
図3に示すように、携帯端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、センサ部24と、表示部25と、入力部26と、近距離通信部27とを含んで構成される。
ここで、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、センサ部24と、表示部25と、入力部26は、上述した車載ナビゲーション装置10が含む同名の機能ブロックと同等の機能を有している。つまり、上述した車載ナビゲーション装置10の説明における、「車載ナビゲーション装置10」の文言を「携帯端末20」に置き換え、「車両50a」の文言を「車両50b」に置き換えることにより、携帯端末20の各機能ブロックの説明となるので、重複する再度の説明は省略する。
【0049】
一方で、携帯端末20は、近距離通信部27を含んでいる点等で、車載ナビゲーション装置10と相違するので、この相違点について、以下説明をする。
近距離通信部27は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)といった規格に準拠した非接触の近距離通信、又はUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等を介した有線による近距離通信を行うための部分である。
【0050】
一方で、車両50bは、近距離通信部27と通信を行うための近距離通信部を備える。例えば車両50bのECU(Electronic Control Unit)が近距離通信部を備える。
そして、携帯端末20がECUと近距離通信により通信することができる場合とは、すなわち、携帯端末20が車両50bの車内に存在する場合である。この場合、携帯端末20のセンサ部24が測位する位置情報は、車両50bの位置情報に相当することになる。
【0051】
そこで、携帯端末20は、近距離通信部27を介してECUと近距離通信できる間は、走行情報送信部212を起動させる。そして、起動した走行情報送信部212が、車載ナビゲーション装置10の走行情報送信部112と同様にして、センサ部24が測位した車両50bの走行経路を特定するための走行情報221と、移動体ID222とを、車両走行情報分析装置30に対して送信する。
【0052】
例えば、ユーザが携帯端末20を所持して車両50bに乗車し、イグニッションスイッチ等の車両50bの起動スイッチをオンにすると、車両50bと携帯端末20とが接続(ペアリング)され、その後、携帯端末20で測位した位置情報、及び移動体ID222が携帯端末20から車両走行情報分析装置30に送信されるようになる。
さらに、イグニッションスイッチ等の車両50bの起動スイッチがオフにされると、車両50bと携帯端末20とのペアリングが解除される。
【0053】
なお、車両50bが位置情報を測位する機能を有している場合には、センサ部24が測位する位置情報ではなく、車両50bが測位する位置情報を位置情報として含む走行情報221を車両走行情報分析装置30に送信するようにしてもよい。この場合、携帯端末20から、センサ部24を省略するようにしてもよい。
【0054】
<車両走行情報分析装置30について>
次に、車両走行情報分析装置30が備える機能ブロックについて図4のブロック図を参照して説明をする。
【0055】
図4に示すように、車両走行情報分析装置30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33とを含んで構成される。
【0056】
制御部31は、マイクロプロセッサ等の演算処理装置から構成され、車両走行情報分析装置30を構成する各部の制御を行う。制御部31の詳細については、後述する。
【0057】
記憶部32は、半導体メモリ等で構成されており、ファームウェアやオペレーティングシステムと呼ばれる制御用のプログラムや、車両走行情報分析処理を行うためのプログラムといった各プログラム、さらにその他、地図情報等の種々の情報が記憶される。図中には、記憶部32が記憶する情報として、車両走行情報分析処理に関する情報である、地図情報を記憶する地図情報記憶部321、及び各車両50の位置情報を記憶する走行情報記憶部322を図示する。
【0058】
地図情報記憶部321に記憶される地図情報には、地図情報の外、道路情報、道路及び道路地図等の背景を表示するための表示用地図データ等を含む。なお、地図情報には、複数の施設について、施設の識別情報(施設ID)、施設の名称、施設の種別に関する施設種別(及び/又はジャンル)、電話番号、住所、営業時間、施設の中心位置(例えば、緯度経度の情報)を示す中心位置情報等を含むようにしてもよい。ここで、施設種別は、例えば、コンビニエンスストア、病院、カーディーラー等の施設の業態を示す。
【0059】
地図情報は、地図情報記憶部321に予め記憶しておく構成としてもよいし、通信網60に接続されたサーバ装置(図示を省略)等から必要に応じて適宜ダウンロードされる構成としてもよい。さらに、地図情報は、ユーザの入力等に応じて適宜修正されてもよい。
【0060】
走行情報記憶部322は、車載ナビゲーション装置10から受信した、位置情報及び測位した時刻情報を含む走行情報121を移動体ID122に対応づけたデータ、及び携帯端末20から受信した位置情報及び測位した時刻情報を含む走行情報221及び移動体ID222に対応づけたデータを記憶するデータベースである。
走行情報記憶部322は、制御部31に含まれる各機能ブロックにより構築及び更新される。走行情報記憶部322の詳細については、後述する。
【0061】
なお、以下の説明では、走行情報121及び走行情報221を区別することなく説明する際は、符号を省略して「走行情報」と呼ぶ。また、同様に移動体ID122及び移動体ID222を区別することなく説明する際は、符号を省略して「移動体ID」と呼ぶ。
【0062】
通信部33は、DSP等を有し、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)の規格や、Wi-Fi(登録商標)といった規格に準拠して、通信網60を介して他の装置(例えば、車載ナビゲーション装置10、及び携帯端末20等)との間の無線通信や有線通信を実現する。通信部33は、例えば、車載ナビゲーション装置10及び携帯端末20のそれぞれから送信される走行情報及び移動体IDを受信するために利用される。
ただし、通信部33と他の装置との間で送受信されるデータに特に制限はなく、これらの情報以外の情報が送受信されるようにしてもよい。
【0063】
次に、制御部31の詳細について説明をする。制御部31はCPU、RAM、ROM、及びI/O等を有するマイクロプロセッサにより構成される。CPUは、ROM又は記憶部32から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部32から情報を読み出し、RAM及び記憶部32に対して情報の書き込みを行い、通信部33と信号の授受を行う。そして、このようにして、ハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することにより本実施形態における処理は実現される。
【0064】
制御部31は、機能ブロックとして、受信部311、走行情報記録部312、分析条件入力部313、抽出領域設定部314、及び車両識別情報抽出部315を含む。
【0065】
<受信部311>
受信部311は、通信部33を介して、複数の車両50から連続した位置情報及び測位した時刻情報を含む走行情報を移動体IDとともに受信する。
【0066】
<走行情報記録部312>
走行情報記録部312は、受信部311により受信した、各車両50の走行情報を車両の識別情報(移動体ID)とともに走行情報記憶部322に記憶する。
ここで、走行情報記憶部322のデータ構造の一例について、図5を参照して説明する。図5に示すように、走行情報記憶部322には、受信部311により受信した「移動体ID」、及び「走行情報」を車両50毎に記憶するようにしてもよい。なお、車両から送信される走行情報として、車両50からの連続した位置情報と測位した時刻情報、に加えて、進行方向、及び速度情報等を含むようにしてもよい。
【0067】
走行情報記憶部322内の「移動体ID」は、上述したように、位置情報等の送信元である車載ナビゲーション装置10や携帯端末20や、これらを搭載した車両50を識別するための情報である。
走行情報記憶部322内の「走行情報」は、当該移動体から、走行情報等の送信が開始されてから現在までに受信した全ての連続した走行情報として記憶するようにしてもよい。この全ての連続した走行情報により、走行中の位置、走行日時等を含む走行位置情報を特定することが可能となる。なお、移動体から、進行方向、及び速度情報が送信される場合、受信した進行方向、及び速度情報を位置情報及び時刻情報に紐づけて記憶する。
【0068】
<分析条件入力部313>
分析条件入力部313は、車両走行情報分析システム1を利用する利用者から、例えばテンキーと呼ばれる物理スイッチや表示部(図示せず)の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置(図示省略)等で構成される入力部(図示せず)を介して、分析対象道路の情報を含む分析条件の指定を受け付ける。
また、分析条件入力部313は、例えば通信部33を介して通信可能に接続された端末(図示せず)を介して、利用者から分析対象道路の情報を含む分析条件の指定を受け付けるようにしてもよい。
分析条件入力部313は、分析対象道路の情報として、例えば、利用者から分析対象道路の識別情報(例えば国道1号線)を受け付ける。なお、分析対象道路の範囲(どの地点からどの地点までの範囲)に係る指定を受け付けるようにしてもよい。
このため、分析対象道路の識別情報等の指定方法として、分析条件入力部313は、例えば、表示部(図示せず)や端末(図示せず)に、道路識別情報のリストを表示し、利用者により特定の道路が指定された場合、さらに、当該道路の範囲(2つの地点)を利用者に入力させるようにしてもよい。また、分析対象道路の識別情報等の指定方法として、分析条件入力部313は、例えばタッチパネルを備える表示部(図示せず)又は端末(図示せず)に、道路地図を表示し、利用者に当該道路地図に記載された道路の分析対象範囲の両端となる2つの地点を(タッチして)指定させるようにしてもよい。以上のようにして、指定されることで、後述する車両識別情報抽出部315は、上り、下り等の走行方向に関係なく、分析対象道路を走行した車両の識別情報を抽出することができる。
なお、分析条件入力部313は、後述する車両識別情報抽出部315が分析対象道路を走行した車両を抽出するに際して、車両の走行した期間(分析対象期間)を分析対象道路の指定と合わせて、入力部(図示せず)又は端末(図示せず)を介して利用者から受け付けるようにしてもよい。
【0069】
また、分析条件入力部313は、分析条件として、利用者から、分析対象道路における車両50の走行方向を示す走行方向情報の指定を受け付けるようにしてもよい。そうすることで、後述する車両識別情報抽出部315は、分析対象道路を上り方向に走行した車両の識別情報のみ、又は下り方向を走行した車両の識別情報のみを抽出することができる。
分析条件入力部313は、分析対象道路の情報として、例えば、利用者から分析対象道路の識別情報(例えば国道1号線)を受け付ける。なお、分析対象道路の範囲(どの地点からどの地点までの範囲)に係る指定を受け付けるようにしてもよい。
このため、分析対象道路の識別情報及び走行方向の指定方法として、分析条件入力部313は、例えば、表示部(図示せず)に、道路識別情報のリストを表示し、利用者により特定の道路が指定された場合、さらに、当該道路の範囲(始点及び終点)を利用者に入力させるようにしてもよい。そうすることで、分析条件入力部313は、走行方向を、始点から終点に向かう方向として受け付けることができる。
また、分析対象道路の識別情報及び走行方向の指定方法として、分析条件入力部313は、例えばタッチパネルを備える表示部(図示せず)に、道路地図を表示し、利用者に当該道路地図に記載された道路の分析対象範囲の始点及び終点を(タッチして)指定させるようにしてもよい。そうすることで、分析条件入力部313は、走行方向を、道路地図上で指定された始点から終点に向かう方向として受け付けることができる。
以上のようにして、上り方向又は下り方向が利用者により指定されることで、後述する車両識別情報抽出部315は、分析対象道路を上りの走行方向又は下りの走行方向を走行した車両の識別情報を抽出することができる。
なお、分析条件入力部313は、後述する車両識別情報抽出部315が分析対象道路を走行した車両を抽出するに際して、車両の走行した期間(分析対象期間)を分析対象道路及び走行方向の指定と合わせて、入力部(図示せず)を介して利用者から受け付けるようにしてもよい。
【0070】
<抽出領域設定部314>
抽出領域設定部314は、分析条件入力部313により受け付けた分析条件の指定に基づいて、利用者から指定された分析対象道路上(例えば利用者により指定された分析対象道路の範囲)の通過点を複数箇所選択する。なお、通過点の集合には、分析対象道路範囲を示す両端(2つの地点)又は始点、終点を示す2つの地点を含むようにする。図6は、分析対象道路上に設定される通過点及び抽出領域の一例を示す図である。
図6に示すように、抽出領域設定部314は、通過点を選択する際に、隣りあう通過点を結んで作成される直線が、分析対象道路に近接するように選択する。すなわち、抽出領域設定部314は、隣りあう通過点を結んで作成される直線により、分析対象道路を近似することができるように、複数の通過点を選択する。
また、図6に示すように、抽出領域設定部314は、選択された通過点毎に、当該通過点を含む所定面積の抽出領域を設定する。抽出領域設定部314は、例えば、一辺又は直径が20mから50mの矩形や円形の領域を設定してもよい。また、より具体的には、抽出領域設定部314は、それぞれの抽出領域は、対応する通過点を含み、道路の方向に合わせて例えば長方形の形に設定してもよい。
この場合、抽出領域設定部314は、当該長方形の、道路方向に対応する1辺の長さは、GPSの精度(すなわち、誤差)と、車両50の速度に受信部311の車両から受信する走行情報(位置情報)の測定時間間隔を乗じた値と、を合計した値になるように設定してもよい。例えば、GPSの精度(すなわち、誤差)を10m、測定時間間隔を3秒、車両速度(平均車速)を約30km/h(約8.3m/s)と仮定した場合、45m程度となる。なお、車両速度(平均車速)は、例えば分析対象道路の道路種別(高速自動車道路、一般国道、都道府県道、市町村道等によっても異なり、また、例えば大雨、積雪等の天候によっても異なり、また、道路の混み具合等によっても、大きく異なることから、抽出領域設定部314は、利用者に車両速度(平均車速)に関係するこれらの情報を入力させることで、各通過点における所定面積の抽出領域を設定するようにしてもよい。また、道路種別により、車両速度(平均車速)を予め設定(例えば、高速道路80k/h、国道40kから50k/h、市町村道30k等)するようにしてもよい。
また、抽出領域設定部314は、道路幅の方向に対応する1辺の長さは、道路幅にGPSの精度(すなわち、誤差)を加算した値を利用するようにしてもよい。道路幅については、抽出領域設定部314は、分析対象道路の道路種別及び分析対象道路の車線数等により算出するようにしてもよい。
なお、抽出領域設定部314は、例えば、各通過点を含む所定の抽出領域の判定幅(長方形の場合2辺の長さ)を利用者に入力部(図示せず)や端末(図示せず)を介して入力させるようにしてもよい。
【0071】
また、抽出領域設定部314により、分析対象道路に設定された各通過点を、インデックス(i)を用いて識別する。具体的には、通過点の個数をN個とした場合、分析対象道路の両端のいずれかの地点又は分析対象道路の始点のインデックスを1として、通過点(1)とする。次に、通過点(1)から、分析対象道路を辿っていくことで、通過点(1)の次に設定されている通過点を通過点(2)とし、以降同様にして、通過点(i)を識別し、分析対象道路の両端の他方の地点又は分析対象道路の終点を通過点(N)とすることで、全ての通過点をインデックスi(1≦i≦N)により識別する。また、通過点(i)を含む抽出領域を抽出領域(i)とすることで、抽出領域をインデックスi(1≦i≦N)により識別する。
抽出領域設定部314は、各抽出領域(i)に含まれる位置を、当該位置に対応する、例えば緯度経度の座標値に変換することで、抽出領域(i)を、緯度経度の座標値の集合として設定することができる。以下、特に断らない限り、抽出領域(i)は、当該領域に含まれる緯度経度の座標値の集合を示す。
【0072】
<車両識別情報抽出部315>
まず、車両識別情報抽出部315は、抽出領域設定部314により道路地図の複数個所にそれぞれ設定された各抽出領域(i)(1≦i≦N)において、走行情報の記録を有する車両の識別情報を抽出する。なお、車両は、分析対象道路を、日をまたがらずに、同じ日に走行するものとしてもよい。したがって、車両識別情報抽出部315は、利用者から指定される分析対象期間に含まれる日毎に、各抽出領域(i)において、走行情報の記録を有する車両の識別情報(移動体ID)を抽出するようにしてもよい。このため、以下の説明においては、特に断らない限り、分析対象期間に含まれる日(「分析対象日」という)に対応して、各抽出領域(i)において、走行情報の記録を有する車両の識別情報(移動体ID)を抽出するものとする。このようにして、抽出領域(i)毎(1≦i≦N)に、走行情報の記録を有する移動体IDの集合{移動体ID}(i)(1≦i≦N)を算出する。具体的には、車両識別情報抽出部315は、走行情報記憶部322に記憶された車両の走行情報(時刻情報)が分析対象日に該当するとともに、走行情報(位置情報)が抽出領域(i)に含まれる車両の識別情報(移動体ID)を全て抽出することで、抽出領域(i)毎(1≦i≦N)に、走行情報の記録を有する移動体IDの集合{移動体ID}(i)(1≦i≦N)を算出する。
次に、車両識別情報抽出部315は、抽出領域(i)(1≦i≦N)毎に対応する走行情報の記録を有する移動体IDの集合{移動体ID}(i)(1≦i≦N)の全てに含まれる移動体IDを抽出し、全ての抽出領域(i)(1≦i≦N)に走行情報の記録を有する移動体IDの集合{移動体ID(j);(1≦j≦M)}を作成する。すなわち、{移動体ID(j);(1≦j≦M)}は、{移動体ID}(i)(1≦i≦N)の積集合である。なお、Mは、全ての抽出領域(i)(1≦i≦N)に走行情報の記録を有する移動体IDの集合{移動体ID(j);(1≦j≦M)}に含まれる移動体IDの個数とする。こうすることで、分析対象道路を走行した車両の識別情報(移動体ID)を抽出することができる。
次に、車両識別情報抽出部315は、上記積集合に含まれる移動体ID(j)(1≦j≦M)毎に、各抽出領域(i)における時刻情報(i,j)を抽出し、通過点(1)から通過点(N)の方向(「上り方向」という)に向かう走行情報及び通過点(N)から通過点(1)の方向(「下り方向」という)向かう走行情報を抽出する。
【0073】
車両識別情報抽出部315は、以下のように、移動体ID(j)毎に上り方向又は下り方向に向かう走行情報を抽出することができる。
車両識別情報抽出部315は、移動体ID(j)の各抽出領域(i)における時刻(i,j)を、
時刻(1,j)< 時刻(2,j)< 時刻(3,j)<・・・< 時刻(N,j)
となるように、上り方向の時系列順に並べることができるか否か、移動体ID(j)の時刻情報に基づいて判定する。
上り方向の時系列順に並べることができた場合、車両識別情報抽出部315は、この時系列情報に基づいて、当該移動体ID(j)を分析対象道路の上り方向を走行した車両の識別情報として抽出するとともに、移動体(j)の上り方向の走行情報を抽出することができる。なお、移動体ID(j)が、各抽出領域(i)において複数の走行情報の記録がある場合、車両識別情報抽出部315は、時刻(i,j)を組み合わせることで、上り方向の時系列順に並べることができる組み合わせがある場合、当該移動体ID(j)を分析対象道路の上り方向を走行した車両の識別情報として抽出するとともに、当該組み合わせに基づいて、移動体(j)の上り方向の走行情報を抽出するようにしてもよい。
逆に、車両識別情報抽出部315は、移動体ID(j)の各抽出領域(i)における時刻(i,j)を、
時刻(1,j)> 時刻(2,j)> 時刻(3,j)>・・・> 時刻(N,j)
と下り方向の時系列順に並べることができるか否か、移動体ID(j)の時刻情報に基づいて判定する。下り方向の時系列順に並べることができた場合、車両識別情報抽出部315は、当該移動体ID(j)を分析対象道路を下り方向を走行した車両の識別情報として抽出するとともに、この時系列情報に基づいて、移動体ID(j)の下り方向の走行情報を抽出することができる。なお、移動体ID(j)が、各抽出領域(i)において複数の走行情報の記録がある場合、車両識別情報抽出部315は、時刻(i,j)を組み合わせることで、下り方向の時系列順に並べることができる組み合わせがある場合、当該移動体ID(j)を分析対象道路の上り方向を走行した車両の識別情報として抽出するとともに、当該組み合わせに基づいて、移動体ID(j)の下り方向の走行情報を抽出することができる。
なお、仮に、移動体ID(j)の各抽出領域(i)における時刻(i,j)を、上り方向及び下り方向のいずれにも時系列順に並べることができない場合、車両識別情報抽出部315は、当該移動体ID(j)の車両は、分析対象道路を上り方向及び下り方向いずれの方向にも走行していないと判定することができる。このようなケースは、例外的に、例えば隣り合う通過点の間に他の道路との合流点があり、例えば、同じ車両が分析対象道路を始点から上り方向に走行中に当該合流点から他の道路に折れた場合であって、かつその後、同じ車両が分析対象道路を終点から下り方向に走行中に当該合流点から他の道路に折れた場合等に起こり得る。このため、前述した抽出領域設定部314は、通過点を選択する際に、他の道路との合流点を隣り合う通過点の間に含めないように選択するようにしてもよい。
以上のように、車両識別情報抽出部315は、走行方向情報に合致する時系列を持つ移動体(j)(車両)を、それぞれの抽出領域(i)において、走行情報の記録を有する移動体(j)(車両)であって、走行情報に含まれる時刻情報の時系列が走行方向情報(上り方向又は下り方向)に合致する車両の識別情報を抽出することができる。そうすることで、車両走行情報分析装置30は、分析対象道路を上り方向又は下り方向に走行した車両とその走行情報を取得することができる。
図7は、分析対象道路上に3つの通過点(抽出領域)が設定された場合の各移動体の各通過点(抽出領域)における走行情報(時刻情報)を例示した図である。図7に示すように、移動体ID:A及び移動体ID:Bが分析対象道路を上り方向に走行したと判定し、移動体ID:Cは、分析対象道路を走行していないと判定し、移動体ID:Dが分析対象道路を下り方向に走行したと判定することができる。
以上のように、抽出領域設定部314により道路地図上の分析対象道路の複数個所にそれぞれ所定面積の抽出領域を設定し、車両識別情報抽出部315は、当該抽出領域及び車両の走行情報に基づいて、簡易な処理をすることで分析対象道路を走行した車両の識別情報を抽出することができる。
【0074】
前述した車両識別情報抽出部315は、分析対象道路を走行した車両の識別情報(移動体ID)を抽出領域設定部314により道路地図の複数個所(通過点)にそれぞれ設定された抽出領域の全てにおいて、走行情報の記録を有する車両の識別情報(移動体ID)を抽出することで、当該分析対象道路走行をした車両の識別情報(移動体ID)を抽出できるようにした。そして、当該分析対象道路走行をした車両の走行情報(時刻情報)の時系列データが分析対象道路の上り方向又は下り方向に合致する車両を、それぞれ分析対象道路の上り方向又は下り方向を走行したと判定することで、分析対象道路走行を上り方向に走行した車両の識別情報(移動体ID)又は分析対象道路走行を下り方向に走行した車両の識別情報(移動体ID)を抽出するようにした。
これに対して、受信部311が、移動体(車両)の走行情報として、移動体(車両)の進行方向を受信することができる場合、車両識別情報抽出部315は、走行情報に含まれる車両の進行方向に基づいて、分析対象道路走行を上り方向に走行した車両の識別情報(移動体ID)又は分析対象道路走行を下り方向に走行した車両の識別情報(移動体ID)を抽出するようにしてもよい。
【0075】
まず、分析対象道路走行を上り方向に走行した車両の識別情報(移動体ID)を抽出する場合について説明する。
車両識別情報抽出部315は、分析対象期間に含まれる日(「分析対象日」という)に対応して、各抽出領域(i)において、走行情報の記録を有する車両の識別情報(移動体ID)を抽出するものとする。ただし、車両識別情報抽出部315は、走行情報に含まれる車両の進行方向が上り方向に合致する車両の識別情報(移動体ID)のみを抽出する。
このようにして、抽出領域(i)毎(1≦i≦N)に、走行情報の記録を有し、かつ車両の進行方向が上り方向に合致する移動体IDの集合{移動体ID}´(i)(1≦i≦N)を抽出する。
次に、車両識別情報抽出部315は、抽出領域(i)(1≦i≦N)毎に対応する走行情報の記録(進行方向が上り方向に合致する)を有する移動体IDの集合{移動体ID}´(i)(1≦i≦N)の全てに含まれる移動体IDを抽出し、全ての抽出領域(i)(1≦i≦N)に走行情報の記録(進行方向が上り方向に合致する)を有する移動体IDの集合{移動体ID(j);(1≦j≦M)}´を作成する。すなわち、{移動体ID(j);(1≦j≦M)}´は、{移動体ID}´(i)(1≦i≦N)の積集合である。なお、Mは、全ての抽出領域(i)(1≦i≦N)に走行情報の記録(進行方向が上り方向に合致する)を有する移動体IDの集合{移動体ID(j);(1≦j≦M)}´に含まれる移動体IDの個数とする。こうすることで、分析対象道路を上り方向に走行した車両の識別情報(移動体ID)を抽出するようにしてもよい。
分析対象道路を下り方向に走行した車両の識別情報(移動体ID)を抽出する処理については、上記の説明において、「進行方向が上り方向に合致する」を「進行方向が下り方向に合致する」に読み換えることで、説明される。
なお、車両の進行方向が分析対象道路の上り方向(又は下り方向)に合致する条件について、具体的に説明する。図8は、車両の進行方向が分析対象道路の上り方向に合致する条件について例示した図である。
図8を参照すると、車両識別情報抽出部315は、当該通過点(i)と次の通過点(i+1)とを結ぶ直線に対して、車両の進行方向が、予め設定された所定角度(閾値)以下(又は未満)となる場合に、車両の進行方向が分析対象道路の上り方向に合致すると判定する。下り方向についても同様である。
したがって、図8に示すように、当該通過点(i)と次の通過点(i+1)とを結ぶ直線に対して、車両の進行方向が、予め設定された所定角度(閾値)を超える(又は以上となる)場合は、当該車両は、走行情報に含まれる車両の進行方向が上り方向に合致する車両から除外される。
こうすることで、車両識別情報抽出部315は、全ての抽出領域(i)(1≦i≦N)に走行情報の記録(進行方向が上り方向に合致する)を有する移動体IDの集合{移動体ID(j);(1≦j≦M)}を、分析対象道路を上り方向に走行した車両の識別情報(移動体ID)の集合とするようにしてもよい。
以上のように変形例として、車両識別情報抽出部315は、当該抽出領域及び車両の走行情報(車両の進行方向)に基づいて、簡易な処理をすることで分析対象道路を走行した車両の識別情報を抽出することができる。なお、念のために、このようにして抽出された移動体ID(j)の各抽出領域(i)における時刻(i,j)が、時系列(上り方向の場合は上昇順、下り方向の場合は下降順)であることを確認するようにしてもよい。
以上、本実施形態として例示した車両走行情報分析装置30の各機能部の構成について説明した。
【0076】
<本実施形態の動作>
次に、図9及び図10に記載したフローチャートを参照して、本実施形態の動作について説明する。ここで、図9は、車両識別情報抽出部315が道路地図の複数個所にそれぞれ設定された各抽出領域(i)(1≦i≦N)において、走行情報の記録を有する車両の識別情報を抽出する場合の動作を示すフローチャートである。また、図10は、車両識別情報抽出部315が道路地図の複数個所にそれぞれ設定された各抽出領域(i)(1≦i≦N)において、走行情報の記録を有し、かつ走行情報に含まれる車両の進行方向が指定された走行方向に合致する車両の識別情報を抽出する場合の動作を示すフローチャートである。
なお、車両走行情報分析装置30(受信部311、及び走行情報記録部312)が、各車両50から、当該車両50の識別情報、位置情報、及び時刻情報等を受信して、走行情報記憶部322を作成更新する動作処理は、当業者にとって公知であり、図9及び図10における動作フローは、走行情報記憶部322に複数の車両の走行情報が記録されているものとする。
【0077】
図9を参照すると、ステップS10において、車両走行情報分析装置30(分析条件入力部313)は、利用者から分析対象道路情報を含む分析条件を受け付ける。なお、以下の説明においては、道路地図上の分析対象道路の範囲(どの地点からどの地点までの範囲)及び分析対象道路の走行方向(上り方向又は下り方向)に関する指定を受け付けているものとする。
【0078】
ステップS11において、車両走行情報分析装置30(抽出領域設定部314)は、ステップS10において受け付けた分析対象道路における複数の通過点(i)(1≦i≦N)を選択するとともに、選択された通過点(i)毎に、所定面積の抽出領域(i)を設定する。なお、以下、インデックス(i)は、走行方向に基づいて設定するものとする。すなわち、通過点(1)->通過点(2)-> ・・・ ->通過点(N-1)―>通過点(N)の方向が、指定された走行方向(上り又は下り)に合致するように設定する。
【0079】
ステップS12において、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、
抽出領域(i)(1≦i≦N)毎に、走行情報の記録(すなわち、時刻情報が分析対象日の時刻であって、かつ位置情報が抽出領域(i)に含まれる走行情報)を有する車両の識別情報を全て抽出して、抽出領域(i)毎(1≦i≦N)に、走行情報の記録を有する移動体IDの集合{移動体ID}(i)(1≦i≦N)を算出する。
【0080】
ステップS13において、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、ステップS12において算出された移動体IDの集合{移動体ID}(i)(1≦i≦N)に基づいて、{移動体ID}(i)(1≦i≦N)の積集合{移動体ID(j);(1≦j≦M)}を算出する。すなわち、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、抽出領域(i)(1≦i≦N)に対応する{移動体ID}(i)(1≦i≦N)の全てに含まれる移動体IDを抽出することで、全ての抽出領域(i)(1≦i≦N)に走行情報の記録を有する移動体IDの集合{移動体ID(j);(1≦j≦M)}(Mは、全ての抽出領域(i)(1≦i≦N)に、走行情報の記録を有する移動体IDの個数)を算出する。
【0081】
ステップS14において、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、jを初期化(j=1)する。
【0082】
ステップS15において、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、ステップS13において算出した、全ての抽出領域(i)(1≦i≦N)に走行情報の記録を有する移動体IDの集合{移動体ID(j);(1≦j≦M)}に属する移動体ID(j)の各抽出領域(i)に含まれる走行情報(特に時刻情報(i、j))が、
時刻(1,j)< 時刻(2,j)< 時刻(3,j)<・・・< 時刻(N,j)
となるように、指定された走行方向に対応する時系列順に並べることができるか否か、移動体ID(j)の時刻情報に基づいて判定する。並べることができる場合(Yesの場合)、ステップS16に移る。並べることができない場合(Noの場合)、ステップS17に移る。
【0083】
ステップS16において、移動体ID(j)を分析対象道路の指定された方向を走行した車両の識別情報として抽出する。
【0084】
ステップS17において、jに1を加算する。
ステップS18において、j>Mか否かを判定する。j>Mの場合、ステップS19に移る。j≦Mの場合、ステップS15に移る。
ステップS19において、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、ステップS16において、分析対象道路の指定された方向を走行した車両の識別情報として抽出された移動体ID(j)から構成される集合を、分析対象道路を指定された方向に走行した車両の識別情報の集合とする。
以上により、車両走行情報分析装置30が、マップマッチングを行うことなく、またリンク情報が埋め込まれた地図を利用することなく、指定された分析対象道路を走行した車両データを抽出することができる。
【0085】
次に、図10に記載したフローチャートを参照して、車両識別情報抽出部315が道路地図の複数個所にそれぞれ設定された各抽出領域(i)(1≦i≦N)において、走行情報の記録を有し、かつ走行情報に含まれる車両の進行方向が指定された走行方向に合致する車両の識別情報を抽出する場合の動作について説明する。
【0086】
図10を参照すると、ステップS20、及びステップS21は、ステップS10及びステップS11と同様の動作をする。
ステップS22において、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、
抽出領域(i)(1≦i≦N)毎に、走行情報の記録(すなわち、時刻情報が分析対象日の時刻であって、かつ位置情報が抽出領域(i)に含まれる走行情報)を有する車両であって、かつ走行情報に含まれる進行方向が、分析対象道路の指定された方向に合致する車両の識別情報を全て抽出して、抽出領域(i)毎(1≦i≦N)に、走行情報の記録を有するとともに、進行方向が指定された走行方向に合致する移動体IDの集合{移動体ID}´(i)(1≦i≦N)を算出する。
【0087】
ステップS23において、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、ステップS22において算出された移動体IDの集合{移動体ID}´(i)(1≦i≦N)に基づいて、{移動体ID}´(i)(1≦i≦N)の積集合{移動体ID(j);(1≦j≦M)}を算出する。すなわち、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、抽出領域(i)(1≦i≦N)に対応する{移動体ID}´(i)(1≦i≦N)の全てに含まれる移動体IDを抽出することで、全ての抽出領域(i)(1≦i≦N)において、(進行方向が、分析対象道路の指定された方向に合致する条件を含めて)走行情報の記録を有する移動体IDの集合{移動体ID(j);(1≦j≦M)}(Mは、全ての抽出領域(i)(1≦i≦N)に、(進行方向が、分析対象道路の指定された方向に合致する条件を含めて)走行情報の記録を有する移動体IDの個数)を算出する。
ステップS24において、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、このようにして算出される{移動体ID(j);(1≦j≦M)}に含まれる移動体IDを、分析対象道路を指定された方向に走行した車両の識別情報とする。
以上により、車両走行情報分析装置30が、マップマッチングを行うことなく、またリンク情報が埋め込まれた地図を利用することなく、指定された分析対象道路を走行した車両データを抽出することができる。
なお、上記フローにおいて、ステップS25を設けて、車両走行情報分析装置30(車両識別情報抽出部315)は、M個の移動体ID(j)がそれぞれ、抽出領域(i)を通過した時刻情報(i,j)(1≦i≦N)が、時系列順となることを確認することで、時系列順とならない移動体IDがある場合、削除するようにしてもよい。
【0088】
以上説明した本実施形態によれば、指定された分析対象道路に対応して、道路地図上の複数箇所に座標点(通過点)及び当該座標点(通過点)を含む所定面積の領域を設け、当該複数個所の領域に位置情報が記録されている車両データを抽出することで、マップマッチングを行うことなく、またリンク情報が埋め込まれた地図を利用することなく、指定した道路を走行した車両データを抽出するための車両走行情報分析装置及び車両走行情報分析方法を提供することが可能となる。
【0089】
<ハードウェア及びソフトウェアについて>
なお、上記のナビゲーションシステムに含まれる各機器のそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のナビゲーションシステムに含まれる各機器のそれぞれが協働することにより行なわれるナビゲーション方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0090】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0091】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0092】
<変形例1>
例えば、図2図3、及び図4の機能的構成は例示に過ぎず、本実施形態の機能的構成を限定するものではない。すなわち、本発明の車両走行情報分析機能に関する一連の処理を全体として実行できる機能が各機器に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図2図3、及び図4の例に限定されない。
また、他にも、上述した実施形態を、例えば以下に説明する変形例のように変形するようにしてもよい。なお、以下に説明する変形例をさらに組み合わせるようにしてもよい。
【0093】
<変形例2>
上述の実施形態では、車両走行情報分析装置30を1つのサーバ装置等により実現すると説明したが、車両走行情報分析装置30の各機能を、適宜複数のサーバ装置に分散する、分散処理システムとしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、車両走行情報分析装置30の各機能を実現してもよい。
【0094】
<変形例3>
上述の実施形態では、車両走行情報分析装置30が、各車両50から、当該車両50の識別情報、位置情報、及び時刻情報等を、通信部33を介して受信する構成とした。さらに、受信部311及び走行情報記録部312は、各車両50から受信した識別情報、位置情報、及び時刻情報等に基づいて、走行情報記憶部322を適宜作成更新する構成とした。
これに対して、車両走行情報分析装置30とは別に、例えばFCD(Floating Car Data)サーバ(仮称)を設けて、FCDサーバが、各車両50から、当該車両50の識別情報、位置情報、及び時刻情報等を受信するようにしてもよい。その場合、車両走行情報分析装置30は、FCDサーバから各車両の走行情報を取得して、走行情報記憶部322(移動推移)を適宜作成更新するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 車両走行情報分析システム
10 車載ナビゲーション装置
11 制御部
111 経路案内部
112 走行情報送信部
12 記憶部
13 通信部
14 センサ部
20 携帯端末
21 制御部
111 経路案内部
112 走行情報送信部
22 記憶部
23 通信部
24 センサ部
30 車両走行情報分析装置
31 制御部
311 受信部
312 走行情報記録部
313 分析条件入力部
314 抽出領域設定部
315 車両識別情報抽出部
32 記憶部
321 地図情報記憶部
322 走行情報記憶部
33 通信部
50、50a、50b 車両
60 通信網
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10