(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】レッグガスケットシステムを有する吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/494 20060101AFI20241001BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20241001BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A61F13/494 111
A61F13/49 410
A61F13/514 310
(21)【出願番号】P 2023550705
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 CN2022077634
(87)【国際公開番号】W WO2022183962
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/079060
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】森本 広一
(72)【発明者】
【氏名】ナタリア、ニコラエブナ、ガイコ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーヌ、エリザベート、ショーバー
(72)【発明者】
【氏名】チャン、メンメン
(72)【発明者】
【氏名】ザーラ、ツィッツァー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、トンビュールト-メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ペトラ、バレンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】チェン、レイ
(72)【発明者】
【氏名】フランツ-ジョセフ、エルメス
(72)【発明者】
【氏名】アーロン、ジェフリー、クノープ
(72)【発明者】
【氏名】カイル、ジェームズ、ラーベ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、アンドリュー、ストラセマイヤー
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523879(JP,A)
【文献】特開2000-288015(JP,A)
【文献】特表2016-526981(JP,A)
【文献】特表2018-512917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0079851(US,A1)
【文献】特表2020-527428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/494
A61F 13/49
A61F 13/514
A61F 13/511
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に面する側、衣類に面する側、長手方向軸、横断方向軸、一対の長手方向に延在する側縁部、及び一対の横断方向に延在する端縁部を有する吸収性物品であって、前記吸収性物品が吸収性本体を含み、前記吸収性本体が、
1)コアシャーシであって、
1a)液体透過性トップシートと、
1b)液体不透過性バックシートと、
1c)前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収性コアであって、前記長手方向及び前記横断方向の両方において前記バックシートよりも小さい寸法を有する、吸収性コアと、
1d)前記バックシートの前記衣類に面する側に配設された外側カバーであって、前記横断方向において前記吸収性コアよりも大きい寸法と、前記長手方向及び前記横断方向の両方において前記バックシートと同じ又はそれよりも小さい寸法とを有する、外側カバーと、
1e)それぞれの吸収性コア側縁部とバックシート側縁部との間の領域として画定された一対のコア側
縁領域と、を備える、コアシャーシと、
2)横方向外側に配設されており、かつ前記コアシャーシの前記一対の側縁部を包む一対の水不透過性カフ材料によって作製されたレッグガスケットシステムであって、
2a)前記コアシャーシの着用者に面する側にわたって前記カフ材料を内向きに延在させることによって形成された一対の着用者に面するカフ領域であって、各着用者に面するカフ領域が、長手方向に延在する内側カフシーリングと、前記内側カフシーリングから内向きに位置付けられた長手方向に延在する内側カフ自由縁部とを備え、前記内側カフシーリングが前記カフ材料と前記トップシートとを接合し、内側カフ弾性要素が前記内側カフ自由縁部に隣接して配設されている、一対の着用者に面するカフ領域と、
2b)前記コアシャーシの前記衣類に面する側にわたって前記カフ材料を内向きに延在させることによって形成された一対の衣類に面するカフ領域と、
2c)前記着用者に面するカフ領域又は前記衣類に面するカフ領域上に配設された一対の外側カフ弾性要素であって、各外側カフ弾性要素が前記コア側
縁領域に重なっており、前記内側カフシーリングから外向きに配設されている、一対の外側カフ弾性要素と、を備える、レッグガスケットシステムと、を備え、
各外側カフ弾性要素が複数の弾性ストランドを備える、吸収性物品。
【請求項2】
前記外側カフ弾性要素が、前記着用者に面するカフ領域上に配設されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記外側カフ弾性要素が、前記衣類に面するカフ領域上に配設されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記内側カフが、前記内側カフシーリングと前記内側カフ自由縁部との間の横断方向寸法である内側カフ高さを有し、前記衣類に面するカフ領域が、前記内側カフシーリングと、前記レッグガスケットシステムの前記側縁部との間の横断方向寸法である外側カフ高さを有し、前記内側カフ高さが、前記外側カフ高さよりも大きい、請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記内側カフ高さが、前記外側カフ高さよりも2mm~12mm大きい、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記衣類に面するカフ領域の衣類に面する表面を形成するための前記カフ材料が、第1の衣類に面する折り畳みを画定され、前記第1の衣類に面する折り畳みが更に折り畳まれ、外向きに延在して、第2の衣類に面する折り畳みを形成し、前記外側カフ弾性要素が、前記第1の衣類に面する折り畳みと前記第2の衣類に面する折り畳みとの間に挟まれる、請求項3~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
片側の外側カフ弾性ストランドの総数が少なくとも3である、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
最も外向きに配設された前記外側カフ弾性ストランドによって提供される力が、最も内向きに配設された前記外側カフ弾性ストランドによって提供される力よりも小さい、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
いずれの外側カフ弾性ストランドも330%以下の伸長率で配設されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
いずれの外側カフ弾性ストランドも680dtex以下のデニールを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記レッグガスケットシステムの各側が側縁部弾性ストランドを更に備え、前記側縁部弾性ストランドが前記バックシートから外向きに配設されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
着用者と前記外側カフ弾性要素との間に少なくとも2つの材料層が存在し、前記材料層が、前記カフ材料、前記トップシート、前記バックシート、及び前記外側カバーからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記衣類に面するカフ領域には、前記衣類に面する側から可視の色が設けられている、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記第2の衣類に面する折り畳みの端縁部が、前記バックシートの側縁部から内向きに存在する、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記衣類に面するカフ領域の横断方向寸法が、10mm~50mmである、請求項1~14のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項16】
2つの内側カフ高さと、前記一対の内側カフシーリング間の横断方向寸法との合計である空隙空間を有し、前記空隙空間が、150mm~250mmである、請求項1~15のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項17】
前記内側カフが前記コアシャーシ上に完全に平らに置かれたときに前記一対の内側カフ端縁部間の横断方向寸法であるカフ間隔を有し、前記カフ間隔が、70mm~140mmである、請求項1~16のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項18】
前記吸収性本体が、180mm~230mmの横断方向寸法を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項19】
前記吸収性本体の前記衣類に面する側に取り付けられた適用手段を更に備える、請求項1~18のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項20】
前記適用手段が、細長い部材及び受容部材を備える締結システムであり、前記細長い部材が、前記吸収性本体の後側領域の左側縁部及び右側縁部から横断方向に突出し、前側領域上に配設された前記受容部材に締結可能である、請求項19に記載の吸収性物品。
【請求項21】
前記適用手段が、前記吸収性本体の前側領域及び後側領域から横断方向に延在し、かつ互いに継ぎ合わされた弾性ベルトである、請求項19に記載の吸収性物品。
【請求項22】
前記適用手段が、前側ベルト及び後側ベルトを備えるリング状弾性ベルトであり、前記前側ベルト及び前記後側ベルトの各々が、前記横断方向軸に平行な横断方向に連続した近位縁部及び遠位縁部を有し、前記前側ベルトの横断方向縁部と前記後側ベルトの横断方向縁部が互いに継ぎ合わされている、請求項21に記載の吸収性物品。
【請求項23】
前記後側ベルト及び前記レッグガスケットシステムは、前記レッグガスケットシステムの張力が前記後側ベルトに伝達可能であるように構成されている、請求項22に記載の吸収性物品。
【請求項24】
前記前側ベルト及び前記レッグガスケットシステムは、前記レッグガスケットシステムの張力が前記前側ベルトに伝達可能であるように構成されている、請求項22又は23に記載の吸収性物品。
【請求項25】
前記外側カフ弾性要素の弾性が、前記吸収性本体の前側端縁部及び/又は後側端縁部に向かって非アクティブ化されており、前記外側カフ弾性要素が、非アクティブ化領域内で前記カフ材料に対して接着剤で接合されている、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項26】
前記第1の衣類に面する折り畳みと前記第2の衣類に面する折り畳みが、折り畳み支持接着剤によって接合されており、前記折り畳み支持接着剤が、前記外側カフ弾性要素の最も内向きの縁部から内向きの位置を接合する、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項27】
前記外側カフ弾性要素が弾性ストランドであり、前記折り畳み支持接着剤が、最も内向きに位置付けられた外側カフ弾性ストランドを更に接合する、請求項26に記載の吸収性物品。
【請求項28】
前記外側カフ弾性要素が複数の弾性ストランドであり、前記折り畳み支持接着剤が、最も内向きに位置付けられた外側カフ弾性ストランドと、2番目に最も内向きに位置付けられた外側カフ弾性ストランドとの間を更に接合する、請求項26又は27に記載の吸収性物品。
【請求項29】
前記外側カフ弾性要素が、前記吸収性本体の前側端縁部及び/又は後側端縁部に非アクティブ化領域を備え、前記折り畳み支持接着剤が、前記非アクティブ化領域に設けられている、請求項26~28のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項30】
前記折り畳み支持接着剤が2グラム/m
2以下の坪量で提供されている、請求項26~29のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項31】
前記第2の衣類に面する折り畳みと前記外側カバーが、補助接着剤によって接合されている、請求項26~30のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された柔軟性、被覆性、及び漏れ防止を有するレッグガスケットシステムを有するおむつなどの吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
内側レッグカフ及び外側レッグカフを備えるレッグガスケットシステムを有する吸収性物品は、当該技術分野において周知である。内側レッグカフの使用は、主に身体排出物の漏れを防ぐためであり、外側レッグカフは、主に、内側レッグカフを通して排出物が見えるのを最小限にし、かつ身体排出物が内側レッグカフを突破した場合に、それを捕捉する二次的な手段を提供するために、内側レッグカフを覆うカバーを提供するためのものである。内側レッグカフは、典型的には、実質的に液体不透過性の不織布材料と、長手方向に延在する内側レッグカフの自由縁部に配設され、着用者の皮膚に対して直接シーリングを提供するために吸収性物品の身体に面する表面上に配設された内側レッグ弾性要素とを使用して作製される。外側レッグカフは、典型的には、内側レッグカフと同様の不織布材料を使用して作製され、内側レッグカフの横方向外側に配設される。外側レッグカフはまた、長手方向に延在する外側レッグ弾性要素を有し得る。内側レッグ弾性要素及び外側レッグ弾性要素によって提供される力は、期待されるシーリングを提供するために慎重に選択されなければならない一方、着用中に着用者の皮膚に赤い斑点が生じることを回避し、着用者の皮膚から吸収性物品の残りの部分を引き離す不慮の力の発生を回避する。更に、外側レッグカフが、吸収性物品の長手方向に延在する側縁部を形成し得るという点で、外側レッグカフの外観は、吸収性物品全体の美的印象に影響を及ぼし得る。現在市場に出ている製品は、レッグガスケットシステムに期待される様々なニーズの全てを満たす、完全に満足できるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述に基づいて、漏れ保護の性能を維持しながら、改善された触覚的柔軟性、被覆性、及び下着様又は高品質の外観を有するレッグガスケットシステムを有する吸収性物品が必要とされている。更に、かかる着用可能物品を信頼性が高く経済的な方法で製造することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、皮膚に面する側、衣類に面する側、長手方向軸、横断方向軸、一対の長手方向に延在する側縁部、及び一対の横断方向に延在する端縁部を有する吸収性物品であって、吸収性物品が吸収性本体を含み、吸収性本体が、
1)コアシャーシであって
1a)液体透過性トップシートと、
1b)液体不透過性バックシートと、
1c)トップシートとバックシートとの間に配設された吸収性コアであって、長手方向及び横断方向の両方においてバックシートよりも小さい寸法を有する、吸収性コアと、
1d)バックシートの衣類に面する側に配設された外側カバーであって、横断方向において吸収性コアよりも大きい寸法と、長手方向及び横断方向の両方においてバックシートと同じ又はそれよりも小さい寸法とを有する、外側カバーと、
1e)それぞれの吸収性コア側縁部とバックシート側縁部との間の領域として画定された一対のコア側部領域と、を備える、コアシャーシと、
2)横方向外側に配設されており、コアシャーシの一対の側縁部を包む一対の水不透過性カフ材料によって作製されたレッグガスケットシステムであって、
2a)コアシャーシの着用者に面する側にわたってカフ材料を内向きに延在させることによって形成された一対の着用者に面するカフ領域であって、各着用者に面するカフ領域が、長手方向に延在する内側カフシーリングと、内側カフシーリングから内向きに位置付けられた長手方向に延在する内側カフ自由縁部とを備え、内側カフシーリングがカフ材料とトップシートとを接合し、内側カフ弾性要素が内側カフ自由縁部に隣接して配設されている、一対の着用者に面するカフ領域と、
2b)コアシャーシの衣類に面する側にわたってカフ材料を内向きに延在させることによって形成された一対の衣類に面するカフ領域と、
2c)着用者に面するカフ領域又は衣類に面するカフ領域上に配設された一対の外側カフ弾性要素であって、各外側カフ弾性要素がコア側部領域に重なっており、内側カフシーリングから外向きに配設されている、一対の外側カフ弾性要素と、を備える、レッグガスケットシステムと、を備える、吸収性物品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】テープ止めタイプの例示的な吸収性物品の斜視図である。
【
図1B】パンツタイプの例示的な吸収性物品の斜視図である。
【
図2A】平らな非収縮状態で衣類に面する表面を示す、
図1Aの吸収性物品の概略平面図である。
【
図2B】平らな非収縮状態で衣類に面する表面を示す、
図1Bの吸収性物品の概略平面図である。
【
図3A】
図2Aの線TXに沿って部分的に切り取られ、かつ線TDBに沿って部分的に切り取られた、本発明のレッグガスケットシステムの一実施形態の概略断面図である。
【
図3B】
図2Aの線TDBに沿って切り取られた、本発明のレッグガスケットシステムの別の実施形態の概略断面図である。
【
図3C】
図2Aの線TDBに沿って切り取られた、本発明のレッグガスケットシステムの別の実施形態の概略断面図である。
【
図3D】
図2Aの線TDBに沿って切り取られた、本発明のレッグガスケットシステムの別の実施形態の概略断面図である。
【
図3E】従来技術のレッグガスケットシステムの概略断面図である。
【
図4】本明細書における「脚部開口部測定」による、ハンガータイプの試料保持固定具の一例の概略図である。
【0006】
定義
本明細書で使用する場合、以下の用語は後に指定される意味を有するものとする。
「吸収性物品」とは、テープ止めタイプのおむつ、パンツタイプのおむつ、失禁者用ブリーフ、女性用衛生用衣類などの形態であり得る着用物品を指す。「吸収性物品」は、身体から排出される尿、糞便、経血など、様々な排出物を吸収及び収容するように構成され得る。
【0007】
「長手方向」とは、物品の腰部縁部から反対側の腰部縁部まで実質的に垂直に、及び物品の最大直線寸法に一般に平行に延びる方向を指す。
【0008】
「横断方向」とは、長手方向と垂直な方向を指す。
【0009】
「近位」及び「遠位」とはそれぞれ、物品の長手方向中心に対してより近い又はより遠い位置を指す。
【0010】
「内向き」及び「外向き」とはそれぞれ、物品の横方向中心に対してより近い位置又はより遠い位置を指す。
【0011】
「身体に面する」及び「衣類に面する」とはそれぞれ、要素、又は要素の表面、又は要素の群の相対位置を指す。「身体に面する」とは、要素又は表面が、何らかのその他の要素又は表面よりも、着用中に着用者により近いことを意味する。「衣類に面する」とは、要素又は表面が、何らかのその他の要素又は表面よりも、着用中に着用者からより遠く離れている(即ち、要素又は表面が、使い捨て吸収性物品の上に着用され得る着用者の衣類に対して近位にある)ことを意味する。
【0012】
「配置された」とは、要素が、ある特定の場所又は位置に置かれていることを指す。
【0013】
「接合された」とは、要素をその他の要素に直接付着させることにより、その要素がその他の要素に直接貼り付けられている構成、及び要素を中間部材に付着させ、その中間部材が更にその他の要素に貼り付けられていることにより、その要素がその他の要素に間接的に貼り付けられている構成を指す。
【0014】
「フィルム」とは、材料の長さ及び幅が材料の厚さを大きく上回るシート状材料を指す。典型的には、フィルムは約0.5mm以下の厚さを有する。
【0015】
「透水性」及び「不透水性」とは、使い捨て吸収性物品の意図される使用との関連において、材料の浸透性を指す。具体的には、用語「透水性」とは、層又は層構造体が、押し圧がない状態で、液体水、尿、又は合成尿が層又は層構造体の厚さを通過可能な、孔、開口部、及び/又は相互に接続された空隙を有していることを指す。反対に、用語「不透水性」とは、層又は層構造体が、(重力などの自然の力の他に)押し圧がない状態では、液体水、尿、又は合成尿が層又は層構造体の厚さを通過できないことを指す。この定義による不透水性の層又は層構造体は、水蒸気に対して透過性であってもよい、即ち、「蒸気透過性」であってもよい。
【0016】
「延伸性」及び「延伸可能な」とは、弛緩状態における構成要素の幅又は長さを延伸又は増大させることができることを意味する。
【0017】
「伸縮性がある」又は「伸縮性を持たせた」とは、構成要素が弾性材から作製された少なくとも一部分を含むことを意味する。
【0018】
「伸長性材料」、「延伸性材料」、又は「伸張性材料」は互換的に使用され、付勢力を加えると、破裂又は破断することなく、EDANA法20.2-89で測定して弛緩した元の長さの少なくとも約110%の伸長した長さまで伸びることができ(即ち、元の長さよりも10%長く伸びることができ)、加えた力を除くと、完全に破裂又は破断することなく、その伸長量の約20%未満というわずかな回復を示す材料を指す。そのような伸長性材料が、加えた力を解放した際に、その伸長量の少なくとも40%回復する場合、その伸長性材料は、「弾性」又は「エラストマー性」であるとみなされる。例えば、100mmの初期長さを有する弾性材料は、少なくとも150mmまで延伸することができ、力を取り除くと少なくとも130mmの長さまで収縮する(即ち、40%の回復を示す)。加えた力を解放した際に、材料の回復が、その伸長量の40%未満である場合、その伸長性材料は、「実質的に非弾性」又は「実質的に非エラストマー性」であるとみなされる。例えば、100mmの初期長さを有する伸長性材料は、少なくとも150mmまで延伸することができ、力を取り除くと少なくとも145mmの長さまで収縮する(即ち、10%の回復を示す)。
【0019】
物品の「寸法」、「長さ」、「幅」、「ピッチ」、「直径」、「アスペクト比」、「角度」、及び「面積」は、全て、特に指定されない限り、本明細書における「全物品力測定法」に従って物品が完全伸張時周囲長W1まで延伸された状態で、定規又はルーペを利用して測定される。
【0020】
「アートワーク」は、印刷又は他の方法で提供され、色を有する、裸眼への視覚的表示を意味する。印刷は、リソグラフィ、スクリーン印刷、フレキソ印刷、及びグラビアインクジェット印刷技術などの、当業者に周知の種々の方法及び装置を含む。
【0021】
本明細書において、「色」又は「色づけ」という用語は、白色以外のいずれかの原色、即ち、黒色、赤色、青色、紫色、オレンジ色、黄色、緑色、及びインディゴ色、並びにそれらの淡色又は混合色のいずれかを含み得る。白色は、CIE L*a*b*表色系に従って、少なくとも94のL*値、0±2に等しいa*値、及び0±2に等しいb*値を有する色として定義される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、吸収性本体(38)と適用手段とを備える吸収性物品に関し、吸収性本体(38)は、コアシャーシ(61)及びレッグガスケットシステム(63)を備え、レッグガスケットシステム(63)は、改善された柔軟性、被覆性、及び漏れ防止を提供する。本発明は、
図1Aのようなテープタイプ、又は
図1Aを参照する
図1Bのようなパンツタイプの吸収性物品に関する。テープ止めタイプの物品は、一対の細長い部材(190)と受容部材(192)とを備える締結システムである適用手段を有し得、細長い部材(190)は、吸収性本体(38)の後側領域(28)の左側縁部及び右側縁部から横断方向に突出し、前側領域(26)上に配設された受容部材(192)と締結可能である。本発明のテープタイプの物品では、前側領域、股部領域、及び後側領域(26、28、30)は、物品の長手方向寸法のおよそ3分の1ずつである。
図1Bを参照すると、本物品は、吸収性本体(38)の前側領域及び後側領域(26、28)から横断方向に延在し、一対の横断方向縁部でサイドシーム(32)として互いに継ぎ合わされた弾性ベルト(40)である適用手段を有し得る。
【0023】
図2A及び
図2Bを参照すると、本物品は、長手方向軸としての役割も果たす長手方向中心線LXと、横断方向軸としての役割も果たす横断方向中心線TXと、を有する。「近位の」という用語は、横断方向中心線TXにより近いことを指し、「遠位の」という用語は、横断方向中心線TXからより遠いことを指し、「内向き」という用語は、長手方向中心線LXにより近いことを指し、「外向き」という用語は、長手方向中心線LXからより遠いことを指す。本物品は、コアシャーシ(61)とレッグガスケットシステム(63)とを備える吸収性本体(38)を備える。コアシャーシ(61)は、液体透過性トップシート(58)と、液体不透過性バックシート(60)と、トップシート(58)とバックシート(60)との間に配設された吸収性コア(59)であって、長手方向及び横断方向の両方においてバックシートよりも小さい寸法を有する、吸収性コア(59)と、バックシート(60)の衣類に面する側に配設された外側カバー(42)であって、長手方向及び横断方向の両方において吸収性コア(59)よりも大きい寸法と、長手方向及び横断方向の両方においてバックシート(60)と同じ又はそれよりも小さい寸法とを有する、外側カバー(42)と、それぞれの吸収性コア側縁部(59SE)とバックシート側縁部(60SE)との間の領域として画定された一対のコア側部領域(62)と、を備える。
【0024】
トップシート(58)は、一般に、着用者に少なくとも部分的に接触して、又は着用者にごく近接して位置付けられ得る、コアシャーシ(61)の一部分である。好適なトップシート(58)は、多孔質発泡体、網状発泡体、有孔プラスチックフィルム;又は天然繊維(例えば、木材繊維若しくは綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維若しくはポリプロピレン繊維)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせによる織布ウェブ又は不織布ウェブなどの、広範囲の材料から製造されてもよい。トップシート(58)は、一般に、しなやかで柔らかい感触であり、着用者の皮膚に対して非刺激性である。一般に、トップシート(58)は、液体透過性であり、体液が、トップシート(58)の厚みを容易に貫通することを可能にする。本明細書で有用な1つのトップシート(58)は、Fibertex NiLai、Malaysiaから商品名H30501221で、又はFQN Hazlet NJから商品名SB1206169で入手可能である。トップシート(58)の任意の部分は、当技術分野で既知のローション又はスキンケア組成物でコーティングされてもよい。好適なローションの例としては、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,635,191号、及び同第5,643,588号に記載されているものが挙げられる。
【0025】
バックシート(60)は、長手方向及び横断方向の両方において吸収性コア(59)を越えて延在するように位置付けられる。バックシート(60)は、吸収性コア(59)によって吸収され、その中に含まれた排出物が、ベッドシーツ及び下着など、吸収性物品と接触し得る物品を汚すのを防止するように設計され得る。一般に、バックシート(60)は、実質的に不透水性である。好適なバックシート(60)材料としては、PLBA NBBS 10-12GSM PR V1の商品名でPlaster Argentinaによって製造されるものなどのフィルムが挙げられる。他の好適なバックシート(60)材料としては、蒸気が吸収性物品から逃げることを可能にする一方、依然として排出物がバックシート(60)を通過することを防止する、通気性材料が挙げられ得る。例示的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティングされた不織布ウェブなどの複合材料、及び、例えば、MPF DKH-180 15G V7の商品名でDaika Japanによって製造される、並びにBR-137P V13の商品名でBerry Nashville、TNによって製造される微多孔質フィルムが挙げられ得る。このような通気性複合材料は、国際公開第95/16746号及び米国特許第5,865,823号に、一層詳細に記載されている。不織布ウェブ及び孔あき成形フィルムを含めた他の通気性バックシートが、米国特許第5,571,096号に記載されている。例示的な好適なバックシートは、米国特許第6,107,537号に開示されている。以下に限定されないが、表面処理、特定のフィルムの選択及び加工、特定のフィラメントの選択及び加工などを含む、他の好適な材料及び/又は製造技術が、好適なバックシートを提供するために使用され得る。
【0026】
外側カバー(42)は、コアシャーシ(61)の衣類に面する側に位置する。外側カバー(42)は、柔らかい不織布材料から作製され得る。外側カバー(42)及びバックシート(60)は、接着剤又は任意の他の好適な材料若しくは方法によって一緒に接合されてもよい。特に好適な外側カバー(42)は、A10160EJ-MALAYSIAの商品名でFibertex NiLai Malaysiaから入手可能、及びSM1104174の商品名でFQN Hazlet NJから入手可能である。
【0027】
吸収性コア(59)は、吸収性層及び捕捉層を含み得る。吸収性層は、超吸収性ポリマーなどの高い保持容量を有する吸収性材料が存在する領域である。吸収性層は、実質的にセルロースを含まなくてもよい。吸収性層の超吸収性ポリマーは、熱可塑性接着剤材料の繊維層により不動化される第1の材料層と第2の材料層との間に配置されてもよい。第1の材料層及び第2の材料層は、PE、PET及びPPの単成分繊維、サイドバイサイド、コア/シース、又はアイランドインザシー型繊維などの多成分繊維などの合成繊維を含む、不織布繊維ウェブであってもよい。そのような合成繊維は、スパンボンドプロセス又はメルトブロープロセスを介して形成され得る。捕捉層は、身体排出物の捕捉及び分配を促進し、トップシート(58)と吸収性層との間に配置され得る。捕捉層は、セルロース繊維を含んでもよい。吸収性層は、吸収性コア(59)内に複数配設されてもよい。吸収性層の一部は、チャネル又は複数のチャネルを形成するために吸収性材料を実質的に有さないように構成されてもよい。チャネルは、吸収性コア(59)が、流体で膨潤する際に屈曲することを可能にするのに有用であり得、その結果、吸収性物品は、膨潤後に着用者の身体に適合して、物品のたるみを防止する。チャネルはまた、捕捉層内に形成されてもよく、吸収性層のチャネルと厚さ方向に少なくとも部分的に一致するように構成されてもよい。
【0028】
図3Aを参照すると、左側は、
図2AのTXに沿って切り取られた概略断面図である一方、右側は、TDBに沿って切り取られた概略断面図であり、適用手段は、除去されている。
図3B~
図3Dを参照すると、これらは、TDBに沿って切り取られた概略断面図であり、塗布手段は、除去されている。線TDBは、以下に詳述されるように、内側カフ(68)がトップシート(58)に対して接合され、弾性が非アクティブ化される場所に存在する。
図3A~
図3Dの全てについて、厚さ方向の寸法が、分解されている。
図3A~
図3Dを参照すると、本発明の吸収性物品は、横方向外側に配設され、コアシャーシ(61)の一対の側縁部を包む一対の水不透過性カフ材料(102)によって作製されたレッグガスケットシステム(100)を備える。レッグガスケットシステム(100)は、コアシャーシ(61)の着用者に面する側の上にカフ材料(102)を内向きに延在させることによって形成されている一対の着用者に面するカフ領域(64)を備え、各着用者に面するカフ領域(64)は、長手方向に延在する内側カフシーリング(68S)と、内側カフシーリング(68S)から内向きに位置付けられている長手方向に延在する内側カフ自由縁部(68E)とを備え、内側カフシーリング(68S)は、カフ材料(102)とトップシート(58)とを接合し、内側カフ弾性要素(69)が、内側カフ自由縁部(68E)に隣接して配設される。隣接するとは、内側カフ弾性要素(69)が、内側カフ自由縁部(68E)から約0.5mm~約3mm離れて、又は内側カフ自由縁部(68E)から約1mm~約2mm離れて配設されることを意味する。内側カフシーリング(68S)は、カフ材料(102)とトップシート(58)とを、例えば、接着剤によって、熱接着によって、超音波接着によって、又はそれらの任意の組み合わせによってしっかりと接合して、吸収性本体(38)の側縁部に沿って漏れ保護を提供する接合手段である。
【0029】
図3A~
図3Dを参照すると、レッグガスケットシステム(100)はまた、コアシャーシ(61)の衣類に面する側の上にカフ材料(102)を内向きに延在させることによって形成されている一対の衣類に面するカフ領域(72)と、着用者に面するカフ領域(64)又は衣類に面するカフ領域(72)上に配設されている一対の外側カフ弾性要素(70、74)とを備え、外側カフ弾性要素は、コア側部領域(62)に重なり、内側カフシーリング(68S)から外向きに配設される。
図3Dを参照すると、外側カフ弾性要素(70)は、着用者に面するカフ領域(64)上に配設され得る。外側カフ弾性要素(70)が、着用者に面するカフ領域(64)上に配置される場合、衣類に面するカフ領域(72)は、任意の外側カフ弾性要素を欠いていてもよい。
図3A~
図3Cを参照すると、外側カフ弾性要素(74)は、衣類に面するカフ領域(72)上に配設され得る。外側カフ弾性要素(74)が、衣類に面するカフ領域(72)上に配設される場合、着用者に面するカフ領域(64)は、任意の外側カフ弾性要素を欠いていてもよい。
【0030】
理論に束縛されるものではないが、横方向外側に配設され、コアシャーシ(61)の一対の側縁部を包み、コアシャーシ(61)の衣類に面する側に内向きに延在する一対の不透水性カフ材料(102)を有することによって、本発明のレッグガスケットシステム(100)は、改善された触覚的柔軟性及び被覆性を提供し、かつ高品質の仕上がり外観及び下着様外観を提供し得る。更に、外側カフ弾性要素(70、74)をコア側部領域(62)と重なるように配設することによって、知覚される及び実際の漏れ保護性能が、維持され得る。更に、これら及び他の利点は、以下で更に詳細に説明される構成をとることによって達成又は強化され得る。
【0031】
図3A~
図3Dを参照すると、着用者に面するカフ領域(64)を形成するためのカフ材料(102)は、内側カフ弾性要素(69)が間に挟まれた二重層内側カフ(68)を形成してもよく、外向きに折り畳まれた材料は、内側カフシーリング(68S)においてトップシート(58)に対して接合される。代替的に、外向きに折り畳まれた材料は、内側カフ自由縁部(68E)と内側カフシーリング(68S)との間でカフ材料(102)に対して接合されてもよい(図示せず)。内側カフ弾性要素(69)は、内側カフ(68)の長手方向長さにわたってよい。他の実施形態では、内側カフ弾性要素(69)は、股部領域30内の内側カフ(68)の少なくとも長手方向長さにわたってよい。内側カフ弾性要素(69)は、通常の着用中、内側カフ(68)が着用者と接触したままであり、それにより、内側カフ(68)のバリア特性を強化するように、十分な弾性を示すことが望ましい。吸収性本体(38)の端縁部に向かって、内側カフ自由縁部(68E)は、内側カフ(68)の長さ、並びにアクティブ弾性の内側カフ弾性要素(69)の長さを制御するために、トップシート(58)に対して接合され得る。
【0032】
図2Aを参照すると、線TDBは、内側カフ(68)がトップシート(58)に対して接合され、弾性が非アクティブ化される場所に存在する。内側カフ(68)のそのような接合は、吸収性本体(38)の前側及び後側端縁部の両方に向かって設けられていてもよい。同様に、外側カフ弾性要素(70、74)を包含する、着用者に面するカフ領域(64)又は衣類に面するカフ領域(72)は、後述するように、コアシャーシ又は適用手段に対して接合され得、吸収性本体(38)の前側及び/又は後側端縁部に向かって、弾性が不アクティブ化され得る。内側カフ弾性要素(69)又は外側カフ弾性要素(70、74)のいずれかに関して、弾性が非アクティブ化される領域には、カフ材料(100)、トップシート(58)、又は外側カバー(42)に対して接合するための接着剤が設けられていてもいなくてもよい。衣類に面するカフ領域(72)上に提供される外側カフ弾性要素(74)に焦点を当てると、接着剤は、非アクティブ化領域を備える外側カフ弾性要素(74)の全長に沿って設けられてもよい。代替的に、接着剤は、非アクティブ化領域において、外側カフ弾性要素(74)に設けられていなくてもよい。理論に束縛されるものではないが、接着剤が非アクティブ化領域に設けられている場合、カフ材料(100)は、互いに対して、かつコアシャーシ(61)にしっかりと接合され、したがって、製造中に材料の予期せぬ折り畳みが回避され得る。理論に束縛されるものではないが、接着剤が非アクティブ化領域に設けられていない場合、吸収性本体の端縁部は、柔らかく柔軟に維持され得る。
【0033】
図3C及び
図3Dを参照すると、衣類に面するカフ領域(72)の衣類に面する側を形成するためのカフ材料(102)は、第1の衣類に面する折り畳みを画定される。衣類に面するカフ領域(72)を形成するためのカフ材料(102)は、衣類に面するカフ領域(72)の最も内側の位置で終わってもよい。外側カバー(42)の側縁部は、バックシート(60)の側縁部よりも内向きに存在してもよい。より少ない材料を有するようにレッグガスケットシステムの側縁部を提供することによって、これは、柔軟で通気性のレッグガスケットシステムを提供する。
【0034】
図3A及び
図3Bを参照すると、第1の衣類に面する折り畳みを形成するためのカフ材料(102)は、更に折り畳まれて外向きに延在して、第2の衣類に面する折り畳みを形成し得、外側カフ弾性要素(74)は、第1の衣類に面する折り畳みと第2の衣類に面する折り畳みとの間に挟まれる。外側カフ弾性要素(74)が複数の弾性ストランドである場合、外側カフ弾性ストランド(74)の全てが、
図3Bのように、第1の衣類に面する折り畳みと第2の衣類に面する折り畳みとの間に挟まれてもよいか、又は少なくとも1つの外側カフ弾性ストランド(74)が、
図3Aのように、第1の衣類に面する折り畳みと第2の衣類に面する折り畳みとの間に挟まれてもよい。
図3Aを参照すると、第2の衣類に面する折り畳みの端縁部は、バックシート(60)の端縁部よりも内向きに存在してもよい。より少ない材料を有するようにレッグガスケットシステムの側縁部を提供することによって、これは、柔軟で通気性のレッグガスケットシステムを提供する。代替的に、
図3Bを参照すると、第2の衣類に面する折り畳みの端縁部は、バックシート(60)の側縁部を越えて存在し、外側カフ弾性要素(74)を完全に挟み込んでもよい。これにより、ロフティな、レッグガスケットシステムの側縁部が提供され得る。
【0035】
内側カフ弾性要素(69)及び外側カフ弾性要素(70、74)の各々は、それぞれ、弾性フィルム、1つ若しくは複数の弾性リボン、又は複数の弾性ストランドであってもよい。複数の弾性ストランドが、弾性要素のために配設される場合、約310dtex~約680dtexのデニールを有するものが、約330%以下の伸長率で配設されてもよい。伸長率により、「0%の伸長率」とは、弾性部材の元の長さを意味する。そのようなデニール及び伸長率は、所望の力を提供するのに好適であり得る一方、着用者への刺激が少なく、ひいては赤い斑点を回避する。外側カフ弾性要素(70、74)が1つ又は2つ以上の弾性ストランドを備える場合、片側の外側カフ弾性ストランド(70、74)の総数は、少なくとも3であり得る。そのような複数の外側カフ弾性ストランド(70、74)は、約8mm未満、又は約6mm未満のピッチで配設され得る。理論に束縛されるものではないが、各側部に少なくとも3つの外側カフ弾性ストランド(70、74)を有することによって、着用者の皮膚に対するストレスがより少ない状態で、良好な漏れ防止が達成され得ると考えられる。
【0036】
外側弾性要素(70、74)が、複数の弾性ストランドで提供される場合、最も外向きに存在する外側カフ弾性ストランド(70、74)によって提供される力は、最も内向きに存在する外側カフ弾性ストランド(70、74)によって提供される力よりも低くてもよい。例えば、3つの弾性ストランドが存在する場合、最も外側のストランドは、残りの2つの弾性ストランドよりも低い力を提供されてもよい。例えば、4つの弾性ストランドが存在する場合、2つの外側ストランドは、残りの2つの弾性ストランドよりも低い力を提供されてもよい。理論に束縛されるものではないが、外側ストランドにより小さい力を提供することによって、着用者に対するストレスが減少し、漏れ防止を維持しながら、柔軟なフィットが達成されると考えられる。
【0037】
図3B及び
図3BE1~
図3BE3を参照すると、第1の衣類に面する折り畳みを形成するためのカフ材料(102)は、更に折り畳まれて外向きに延在して、第2の衣類に面する折り畳みを形成し得、外側カフ弾性要素(74)は、第1の衣類に面する折り畳みと第2の衣類に面する折り畳みとの間に挟まれる。そのような構成では、第1の衣類に面する折り畳みと第2の衣類に面する折り畳みは、折り畳み支持接着剤(Fold Support Glue、FSG)によって接合されてもよく、折り畳み支持接着剤(FSG)は、外側カフ弾性要素(74)の最も内向きの縁部から内向きの位置を接合する。外側カフ弾性スタンド(74)をカフ材料(102)に接合することによって作成される接合に加えて、そのような位置に折り畳み支持接着剤(FSG)を提供することによって、第2の衣類に面する折り畳みは、たとえレッグガスケットシステム(100)の作製後のプロセス工程を通ろうとも、確実に接合されて、意図された位置に保持され得る。折り畳み支持接着剤(FSG)はまた、外側カフ弾性要素(74)の最も内側の位置を接合してもよい。
図3BE1及び
図3BP1を参照すると、外側カフ弾性要素(74)が弾性ストランドである場合、折り畳み支持接着剤(FSG)は、少なくとも、最も内向きに位置付けられた外側カフ弾性ストランド(74)を接合し得る。
図3BE2及び
図3BP2を参照すると、外側カフ弾性要素(74)が複数の弾性ストランドである場合、折り畳み支持接着剤(FSG)は、最も内向きに位置付けられた外側カフ弾性ストランドと、2番目に最も内向きに位置付けられた外側カフ弾性ストランドとの間を更に接合し得る。
【0038】
図3BE3及び
図3BP3を参照すると、外側カフ弾性要素(74)が、前側端縁部及び/又は後側端縁部に非アクティブ化領域を備える場合、折り畳み支持接着剤(FSG)が、非アクティブ化領域に提供され得る。折り畳み支持接着剤(FSG)は、外側カフ弾性要素(74)の活性領域において欠けていてもよい。折り畳み支持接着剤(FSG)は、外側カフ弾性要素(74)の活性領域の大部分において欠けていてもよい一方、外側カフ弾性要素(74)の活性領域の前縁部及び端縁部において小さな重なりを有する。
【0039】
折り畳み支持接着剤(FSG)は、比較的低い坪量、例えば、2グラム/m
2以下の坪量で提供されてもよい。折り畳み支持接着剤(FSG)を比較的低い坪量で提供することによって、これは、レッグガスケットシステム(100)の作製後に、外側カフ弾性要素(74)が適切な程度で収縮することを可能にする。外側カフ弾性要素(74)のいくらかの収縮は、この領域でレッグガスケットに寄与すると考えられる。
図3BE1~
図3BE3を参照すると、第2の衣類に面する折り畳みと外側カバーとが、補助接着剤(Auxiliary Glue、AXG)によって更に接合され得る。外側カフ弾性要素(74)の最も内側の位置の近くに補助接着剤(AXG)を提供することにより、第2の衣類に面する折り畳みが、意図された位置に更にしっかりと保持され得る。補助接着剤(AXG)が、バックシート(60)と、着用者に面するカフ領域(64)を形成するカフ材料(102)との間に更に設けられていてもよい。
【0040】
図3A~
図3Cを参照すると、着用者に面するカフ領域(64)上に外側弾性要素(70)がなくてもよい一方、衣類に面するカフ領域(72)上に少なくとも3つの外側カフ弾性ストランド(74)が存在する。そのような構成は、吸収性物品の衣類に面する側にバンド様の外観を提供する。これは、吸収性物品に下着のような外観を提供するのに有利である。更に、着用者と外側カフ弾性要素(74)との間に少なくとも2つの材料層が存在し、材料層は、カフ材料(102)、トップシート(58)、バックシート(60)、及び外側カバー(42)からなる群から選択される。着用者と外側カフ弾性要素(74)との間に少なくとも2つの材料層を有することによって、これは、外側カフ弾性要素(74)が、典型的には、皮膚の敏感領域である着用者の内側大腿部に対して刺激又は赤い斑点を引き起こすことを防止する。そのような衣類に面するカフ領域(72)及び/又は外側カフ弾性ストランド(74)の視認性を高めるために、衣類に面するカフ領域(72)には、衣類に面する側から可視の色が設けられていてもよい。色は、封じ込めの色(color of containment)と混同しない一方で、容易に認識されるために、緑、青、紫、ピンク、又はそれらの組み合わせから選択され得る。例えば、色で着色されたカフ材料(102)が、使用されてもよい。別の例では、着色された弾性ストランドが、外側カフ弾性ストランド(74)に使用され得る。同じ又は類似の色を、適用手段上に配設された他の弾性ストランド(96)に使用して、調整された外観を提供してもよい。衣類に面するカフ領域(72)の横断方向寸法は、約10mm~約50mm、又は約20mm~約30mmであり得る。
【0041】
図3A~
図3Cを参照すると、レッグガスケットシステム(100)は、側縁部弾性ストランド(73)を更に備え得、側縁部弾性ストランド(73)は、バックシート(60)から外向きに配設される。側縁部弾性ストランド(73)は、カフ材料(102)の外側縁部から約1~2mm離れて存在し得る。各側部に少なくとも1つ、又は1~2つの側縁部弾性ストランド(73)が存在してもよい。理論に束縛されるものではないが、側縁部弾性ストランド(73)をレッグガスケットシステム(100)の最も外側の部分に配設することによって、これは、レッグガスケットシステム(100)の側縁部に構造を提供する一方、バックシート(60)がこの位置に存在することを回避すると考えられる。バックシート(60)が、レッグガスケットシステム(100)の最も外側の部分まで延在する場合、着用者の大腿部に対して硬い感触を提供する傾向がある。
【0042】
内側カフ(68)及びレッグガスケットシステム(100)の残りの部分の寸法は、良好な漏れ防止を提供するために、慎重に調整され得る。
図3Aを参照すると、外側カフ弾性要素(74)が、衣類に面するカフ領域(72)上に配設され場合、内側カフ(68)は、内側カフシーリング(68S)と内側カフ自由縁部(68E)との間の横断方向寸法である内側カフ高さ(inner cuff height、ICH)を有し、衣類に面するカフ領域(72)は、内側カフシーリング(68S)と、レッグガスケットシステム(100)の側縁部との間の横断方向寸法である外側カフ高さ(outer cuff height、OCH)を有し、内側カフ高さ(ICH)は、外側カフ高さ(OCH)よりも大きい。内側カフ高さ(ICH)は、外側カフ高さ(OCH)よりも約2mm~約12mm大きくてもよい。外側カフ高さ(OCH)よりもわずかに大きい内側カフ高さ(ICH)を提供することによって、内側カフ(68)が脚部開口部内に延在することを防止しながら、着用中、着用者に対して提供される適切な量の力が存在する。
【0043】
図3Aを参照すると、本発明の吸収性物品は、2つの内側カフ高さ(ICH)と、一対の内側カフシーリング間の横断方向寸法(d1)との合計である空隙空間を有し得、空隙空間は、約150mm~約250mm、又は約200mm~約230mmであり得る。適切な空隙空間を有することによって、吸収性物品は、それが適用されている間、着用者にごく近接したままでありながら、十分な封じ込めを有し得る。
【0044】
図3Aを参照すると、本発明の吸収性物品は、内側カフがコアシャーシ上に完全に平らに置かれたときの一対の内側カフ自由縁部(68E)間の横断方向寸法(d2)であるカフ間隔を有し得、カフ間隔は、約70mm~約140mm、又は約80mm~約130mm、又は約84mm~約104mmであり得る。本発明の吸収性物品は、約180mm~約230mm、又は約204mm~約212mmの横断方向寸法を有し得る。
【0045】
吸収性本体(38)の寸法は、本発明のレッグガスケットシステム(100)の機能を更に強化し得る。吸収性本体(38)は、約180mm~約230mm、又は約204mm~約212mmの横断方向寸法を有し得る。吸収性本体(38)の横断方向寸法は、横断方向軸(TX)に平行な、吸収性本体(38)の最小寸法として定義される。吸収性本体(38)が、
図2A及び
図2Bのように長方形である場合、横断方向寸法は、吸収性本体(38)の長手方向長さ全体について同じである。
【0046】
図1B及び
図4を参照すると、本発明の吸収性物品が乳幼児用のパンツタイプである場合、吸収性物品は、以下の脚部開口部測定によって測定される着用時脚部開口部(Worn Leg Opening、WLO)を有し得る。着用時脚部開口部(WLO)は、着用者によって着用されたときの脚部開口部の周方向寸法を測定することを意図している。着用時脚部開口部(WLO)は、赤い斑点を回避しながら、レッグガスケットの安心感を提供し、かつ漏れを防止するために、約200mm~約400mmであり得る。本発明の吸収性物品は、以下の脚部開口部測定によって測定される最小脚部開口部(Minimum Leg Opening、MLO)を有し得る。本発明の吸収性物品は、着用時脚部開口部(WLO)と最小脚部開口部(MLO)との間に大きな差を有し得る。
【0047】
カフ材料(102)は、実質的に液体不透過性の材料から作製され得る。材料は、SMS不織布若しくはSMMS不織布材料、又は1ミクロン未満の平均直径を有する微細繊維を含む不織布構成要素層であってもよい。不織布ウェブの1つの有用な組み合わせは、スパンボンド熱可塑性プラスチック(例えば、ポリオレフィン)の外側層と、メルトブローン熱可塑性プラスチックの内側層とを備えるスパンボンド、メルトブローン、スパンボンド(spunbond, meltblown, spunbond、「SMS」)ウェブを含み得る。本明細書で有用な好適なカフ材料(102)としては、Toray Polytech Nantong Chinaから商品名LIVSEN SMS 13で入手可能、FQN Hazlet NJから商品名SM15009270で入手可能、及びFibertex Aalborg Denmarkから商品名B10160HSで入手可能なSMSタイプのものが挙げられ、挙げられる。
【0048】
同じカフ材料(102)から作製される一方、着用者に面するカフ領域(64)及び衣類に面するカフ領域(72)は、様々な物理的特性を提供するために、領域ごとに又は領域の一部において、ローション又は疎水性表面コーティングで処理され得る。カフ材料(102)は、約2mbar超、又は約3mbar超、又は約4mbar超の静水頭を有し得る。カフ材料(102)は、約200mbar未満、又は約100mbar未満、又は約75mbar未満、又は約50mbar未満、又は約25mbar未満、又は約15mbar未満の静水頭を有し得る。カフ材料(102)は、約15%~約50%のハンター不透明度、又は約20%~約45%のハンター不透明度の不透明度を有し得る。カフ材料(102)は、約45%~約75%のハンター不透明度、又は約50%~約70%のハンター不透明度の不透明度を有し得る。カフ材料(102)は、約50m3/m2/分未満、又は約45m3/m2/分未満の空気透過率を有し得る。カフ材料(102)は、約5m3/m2/分超、又は約10m3/m2/分超、又は約15m3/m2/分超、又は約20m3/m2/分超の空気透過率を有し得る。
【0049】
図1A及び
図2Aを参照すると、本発明の吸収性物品は、適用手段が、一対の細長い部材(190)と受容部材(192)とを備える締結システムであるテープタイプであり得、細長い部材(190)は、吸収性本体(38)の後側領域(28)の左側縁部及び右側縁部から横断方向に突出し、前側領域(26)上に配設された受容部材(192)と締結可能である。代替的に、細長い部材(190)は、前側領域(26)から突出し、後側領域(28)上の受容部材(192)と締結可能であってもよい。細長い部材(190)は、延在部分(334)及び再締結可能手段(335)を備えてもよい。延在部分(334)は、吸収性物品を適用する際に伸張力を受容するための高度に伸張可能な積層体から作製され得、再締結可能手段(335)は、受容部材(192)の材料と物理的に係合可能な材料から作製され得る。再締結可能手段(335)及び受容部材(192)に有用な材料の組み合わせとしては、フック及びループ、ラッチ及び穴、ボタン及び穴、フック及び穴、低粘着性接着剤、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
図2Aを参照すると、受容部材(192)はまた、再締結可能手段(335)を備えても備えなくてもよい突出部分を有してもよい。
【0050】
図1B及び
図2Bを参照すると、本発明の吸収性物品は、適用手段が、吸収性本体(38)の前側領域及び後側領域(26、28)から横断方向に延在する弾性ベルト(40)であるパンツタイプであり得、前側ベルト(84)の中心は、吸収性本体(38)の前側腰部パネル(52)に接合され、後側ベルト(86)の中心は、吸収性本体(38)の後側腰部パネル(54)に接合され、前側ベルト及び後側ベルト(84、86)は各々、吸収性本体(38)が重ならない左側パネル(82)及び右側パネル(82)を有し、一対の横断方向縁部でサイドシーム(32)として互いに継ぎ合わされて腰部開口及び2つの脚部開口部を形成し、各前側ベルト(84)及び後側ベルト(86)は、横断方向に連続する近位及び遠位縁部(90、88)を有し、近位縁部(90)は、物品の長手方向中心に対して遠位縁部(88)よりも近くに位置する。前側ベルト及び後側ベルト(84、86)は、内側シート(94)と、外側シート(92)と、それらの間に挟まれて横断方向に延びる複数の弾性体(96)とによって形成され得る。
【0051】
後側ベルト(86)及び/又は前側ベルト(84)並びにレッグガスケットシステム(100)は、レッグガスケットシステム(100)の張力が、後側ベルト(86)及び/又は前側ベルト(84)に伝達可能であるように構成され得る。レッグガスケットシステム(100)の張力を後側ベルト(86)及び前側ベルト(84)に伝達可能にすることによって、滑らかな脚部開口部周囲が作製され、それにより、着用者の臀部に追従するように吸収性本体(38)を形成するのに更に役立つ。
【0052】
脚部開口部測定
着用時脚部開口部(WLO)及び最小脚部開口部(MLO)は、パンツタイプである、即ち、適用手段が、吸収性本体の前側領域及び後側領域から横断方向に延在し、一対の横断方向縁部で互いに継ぎ合わされた弾性ベルトである、物品について得ることができる。着用時脚部開口部(WLO)及び最小脚部開口部(MLO)は、特定の力が、脚部開口部に印加されたときに得られる。
【0053】
MTS Criterion C42 running TestWorks 4 Software(MTS SYSTEMS(CHINA)CO.,LTDから入手可能)などのコンピュータインターフェースを備えた電気式引張試験機又は同等の機器を使用して、力を測定する。試験される試料に対して得られる力が、使用されるロードセルの能力の10~90%になるように、ロードセルを選択する。メーカーの指示書に従って機器を較正する。
【0054】
引張試験機に、
図4に示されるようなハンガータイプの試料保持固定具(300)を装着する。各固定具は、試験中に試料が滑るのを防ぐために、剛性で直線状のゴムでコーティングされた水平バー部分(302)を備える。水平バー部分(302)のバーの外径(ゴムコーティングを含む)は、10.0mmである。水平バー部分(302)の中央軸は、試験手順を通して平行で同一垂直面内にあるままであるように構成する。
【0055】
標点周囲長を、以下の式によって決定する:
基準周囲長=2×(H+D+πD/2)
式中、Hは、水平バー部分(302)間の垂直方向の隙間であり、Dは、バーの外径である。全ての試験は、23±2℃及び50±5%の相対湿度に維持した室内で実施する。以下の工程を実施するように機器を設定する:
【0056】
【0057】
バーが、物品の一方の脚部開口部及び腰部開口部を貫通するように、股部側を下にして物品を位置付けしながら、試料物品を、一方の脚部開口部から上側水平バー部分(302)上に挿入する。試験体が下側のバーの上方でぶら下がり、下側のバー(302)に触れなくなるまで、クロスヘッドを持ち上げる。ロードセルをゼロにリセットし、物品を伸張させずに、下側のバー(302)が、脚部開口部を通して挿入されることが可能となるように、クロスヘッドを下降させる。サイドシームの近位縁部及び外側カフ弾性要素が、機器のロードセルと同じ垂直軸上にあるように、試料を調整する。物品を必要に応じて手で所定の場所に保持しつつ、不要な力が加わらないように注意しながら、力が0.05~0.1Nになるまで、クロスヘッドをゆっくり上昇させる。この時点での標点周囲長が初期標点周囲長である。試験を開始し、12Nの力に達するまで、クロスヘッドを254mm/分で上方に移動させ、次いで、同じ速度でクロスヘッドをすぐに初期標点周囲長に戻す。試験の負荷(延伸)セグメントの間の8Nにおける周囲長、及び試験の無負荷(収縮)セグメントの間の0.1Nにおける周囲長を記録する。
【0058】
8Nにおける周囲長は、着用時脚部開口部(WLO)として定義する。0.1Nにおける周囲長は、最小脚部開口部(MLO)として定義する。5つの試料を分析し、左側及び右側脚部開口部の両方についての平均着用時脚部開口部(WLO)及び平均最小脚部開口部(MLO)を計算し、1mm単位で報告する。
【0059】
不透明度の方法
不透明度は、Universal Softwareを実行するHunterLab LabScan XE(Hunter Associates Laboratory Inc.、Reston、VAから入手可能)などの、コンピュータインターフェースを備えた0°照明/45°検出、周方向の光学的形状の分光光度計を使用して測定してもよい。機器の校正及び測定は、供給メーカーによって提供されている標準白黒校正プレートを使用して行う。全ての試験は、23±2℃及び50±2%の相対湿度に維持した室内で実施する。
【0060】
分光光度計を、XYZカラースケール、D65光源、10°標準観測者用に構成し、UVフィルタを公称に設定する。この機器を、製造業者の手順に従って、0.7インチポートサイズ及び0.5インチ視野域を使用して標準化する。校正後、ソフトウェアはY不透明度手順に設定され、これは測定中に白又は黒のいずれかの校正タイルで試料を覆うようにオペレータを促す。
【0061】
約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で、試験前に約2時間にわたって、物品を事前調整する。カフ材料試験片を得るため、物品を作業台上で、身体側表面を上にして平らに伸張させ、物品の長手方向の全長を測定する。内側カフ(68)における試験部位を、物品の長手方向の中点で選択する。鋏を使用して、内側カフ(68)の長手方向の中点を中心として、試験片を60mmの長さ×内側カフ(68)の全高さに切断する。同様に、物品の右側の内側カフ(68)から試験片を調製する。弾性部材は全て取り除く。
【0062】
試験片を測定ポートに被せて置く。試験片は、内側カフ(68)の内側を向いた表面に対応する表面が、ポートに向かって指向された状態で、ポートを完全に覆っている必要がある。試験片が、ポートプレートに対して平らに横たわるように、試験片を、その長手方向にピンと張った状態となるまで、緩やかに延伸させる。接着テープを貼って、試験片を、試験のために、延伸状態でポートプレートに固定する。テープは測定ポートのいずれの部分も覆ってはならない。次いで、試験片を、白い標準プレートで覆う。表示を読み取り、次いで白いタイルを取り除き、試験片を動かさないで、黒い標準タイルと交換する。2回目の表示を読み取り、不透明度を以下のように計算する:
不透明度=(Y値(黒色裏材)/Y値(白色裏材))×100
【0063】
5つの同一の物品(10個の内側カフ(68)(左側5個及び右側5個))からの試験片を分析して、それらの不透明度の結果を記録する。平均不透明度を計算し、0.01%単位で報告する。
【0064】
空気透過性試験
特注の1cm2の円形アパーチャ(Advanced Testing Instrumentsから入手可能)を備える、TexTest FX3300 Air Permeability Tester(Advanced Testing Instruments(Greer、SC)から入手可能)又は同等の機器を使用して空気透過率の試験を行う。製造業者の手順に従って、機器を較正する。全ての試験は、23℃±2℃及び50%±2%の相対湿度に維持された室内で実施する。
【0065】
約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で、試験前に約2時間にわたって、物品を事前調整する。試験片を得るため、物品を作業台上で身体対向面を上にして平らに伸張させ、物品の長手方向の全長を測定する。内側カフ(68)における試験部位を、物品の長手方向の中点で選択する。鋏を使用して、左側のカフの長手方向の中点を中心として、試験片を360mmの長さ×内側カフ(68)の全高さに切断する。同様に、物品の右側の内側カフ(68)から試験片を調製する。弾性部材は全て取り除く。
【0066】
測定ポートに被さるように試験片を中心に置く。試験片は、内側カフ(68)の内側を向いた表面に対応する表面が、ポートに向かって指向された状態で、ポートを完全に覆っている必要がある。試験片が、ポートをまたいで平らに横たわるように、試験片を、ピンと張った状態となるまで、その長手方向に緩やかに延伸させる。接着テープを貼って、試験片を、試験のために、延伸状態でポートをまたいで固定する。テープは測定ポートのいずれの部分も覆ってはならない。空気が試験片を通過できるように、試験圧力を設定する。不織布試験片については、圧力を125Paに設定し、フィルムを含有する試験片については、2125Paを使用する。試料リングを閉じて、測定値が機器の許容限度内にあるということを示す緑色を、範囲表示器が示すまで、測定範囲を調整する。空気透過率は、0.1m3/m2/分単位で記録する。
【0067】
静水頭の試験
特注の1.5cm2の円形測定ポート(Advanced Testing Instrumentsから入手可能)を備える、TexTest FX3000 Hydrostatic Head Tester (同様にAdvanced Testing Instruments、Greer、SCから入手可能)を使用して、静水頭を試験する。測定ポートの周囲のガスケットと同じ寸法の2つの環状スリーブリングを、微細不織布用の標準的な保護スリーブ(Advanced Testing Instrumentsから入手可能な部品、FX3000-NWH)から切り出す。次いで、スリーブリングを、TexTest機器の上部及び下部ガスケットの試料に面する表面に両面接着テープで接着して、クランプ中に試験片を保護する。製造業者の手順に従って、この計器を標準化する。全ての試験は、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で維持された室内で行う。
【0068】
約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で、試験前に約2時間にわたって、物品を事前調整する。試験片を得るため、物品を作業台上で身体対向面を上にして平らに伸張させ、物品の長手方向の全長を測定する。内側カフ(68)における試験部位を、物品の長手方向の中点で選択する。鋏を使用して、左側及び右側の両方における長手方向の中点を中心として、試験片を70mmの長さ×内側カフ(68)の全高さに切断する。弾性部材は全て取り除く。
【0069】
上側のテストヘッドのポートに被さるように試験片を中心に置く。試験片は、カフの外側を向いた表面に対応する表面がポートの方を向いた状態で、ポートを完全に覆っている必要がある(即ち、内側を向いた表面は水に面することになる)。試験片が、上側の試験プレートに対して平らに横たわるように、試験片を、その長手方向にピンと張った状態に、緩やかに延伸させる。接着テープを貼って、試験片を、試験のために、延伸状態で試験プレートに固定する。テープは測定ポートのいずれの部分も覆ってはならない。
【0070】
TexTestシリンジを蒸留水で満たし、下側の試験プレートの測定ポートを通して水を添加する。水位が下側ガスケットの頂部までくるように、充填を行う必要がある。上側のテストヘッドを機器の上に載置し、テストヘッドを下げて試験片の周囲を封止する。試験速度は、50mbar以下の静水頭を有する試料に関しては、3mbar/分、50mbarより高い静水頭を有する試料に関しては60mbar/分に設定する。試験を開始し、試験片表面を観察して、表面を透過する水滴を検出する。試料の表面に1つの滴が検出されたとき、又は圧力が200mbarを超えたときに試験を終了する。圧力を0.5mbar単位で記録する、又は浸透が検出なかった場合は>200mbarとして記録する。
【0071】
合計5つの同一の物品(10個の内側カフ(68)試験片)を分析し、それらの静水頭結果を記録する。平均静水頭報告を0.1mbar単位で計算及び報告する。
【実施例】
【0072】
実施例1~5及び比較例1
実施例1~5は、
図2Bのような全体構成、それぞれ
図3A~
図3Dのレッグガスケットシステム構成を有し、以下の表1のような構造要素及び寸法を有する、サイズ4のパンツタイプの吸収性物品である。弾性ストランドの数は、片側のみに対するものである。カフ材料は、カフ材料として商品名LIVSEN SMS 13でToray Polytech Nantong Chinaから入手可能なSMSタイプの不織布材料である。
【0073】
比較例1は、2020年に日本市場でP&Gから入手可能な、「Pampers Sarasara Care」サイズ4であり、
図2Bの全体構成、
図3Eのレッグガスケットシステム構成を有し、以下の表1のような構造要素及び寸法を有する。弾性ストランドの数は、片側のみに対するものである。
【0074】
【0075】
比較例1と比較して、実施例1~5は各々、漏れ保護の性能を維持しながら、触覚的及び知覚される下着様外観、全体的な柔らかさ、レッグカフの柔らかさ、及び脚へのフィット性のうちの1つ又は2つ以上の改善を提供する。
【0076】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。更に、本明細書全体を通して与えられるあらゆる数値範囲は、そのような広い数値範囲内に入るあらゆるより狭い数値範囲を含む。
【0077】
相互参照される文書又は関連特許若しくは出願を含めた、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか又は特に限定されない限り、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0078】
本発明の特定の実施形態を例解及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。