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特許7564396ナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/2375 20220101AFI20241001BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20241001BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20241001BHJP
   B05B 1/34 20060101ALI20241001BHJP
   B01F 25/20 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20241001BHJP
   A01G 25/02 20060101ALI20241001BHJP
   B01F 101/48 20220101ALN20241001BHJP
【FI】
B01F23/2375
B05B1/18
B05B1/02 101
B05B1/34 101
B01F25/20
B01F23/23
B01F35/75
B01F35/71
A01G25/02 602B
B01F101:48
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024034902
(22)【出願日】2024-03-07
【審査請求日】2024-04-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000154233
【氏名又は名称】株式会社富士計器
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正志
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-178267(JP,A)
【文献】特開2023-118439(JP,A)
【文献】特開2022-111963(JP,A)
【文献】特開2019-025451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 23/2375
B05B 1/18
B05B 1/02
B05B 1/34
B01F 25/20
B01F 23/23
B01F 35/75
B01F 35/71
A01G 25/02
B01F 101/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の内部に形成された円筒形の水の流路と、
前記本体部における前記流路の上流端に設けられたホースプラグと、
前記本体部における前記流路の下流端に設けられて水をシャワー状、ジェット状、ミスト状又はコーン状に切り替えて散水するための散水用ノズルと、
前記本体部の外側に設けられて前記散水用ノズルからの散水を操作するレバーと、
前記レバーの往復操作により前記本体部における前記流路を塞ぎ又は開放する弁体と弁機構と、
前記本体部における前記円筒形の水の流路を通過する水に含まれる水泡を微細化するナノバブル水生成器と、から成り、
前記ナノバブル水生成器は、
前記ホースプラグから前記レバーに至る前記ハンドル部の内部に配置され、
前記ハンドル部の内部における前記流路の内面に密接する円筒体と、
水道水を前記円筒体の中心軸から所定距離離れた同心円状に形成された複数の分岐孔を有する入水面体と、
前記円筒体から水道水を流出する複数の分岐孔を有する出水面体と、
により構成され、
前記入水面体と前記出水面体間の前記円筒体の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部が形成され、
前記入水面体の複数の分岐孔から流れ込む水が、前記螺旋状の切込みによる凹凸部に接触及び衝突することにより前記円筒体内で乱流を生じさせ、水道水内の気泡が微細に粉砕されて前記出水面体からナノバブル水が流出するように形成される、
ことを特徴とするナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン。
【請求項2】
前記入水面体に設けられた複数の分岐孔は、その入水側から出水側に向けての中心軸が当該入水面体の中心軸に対し所定角度だけ傾斜している請求項に記載のナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン。
【請求項3】
前記入水面体に設けられた複数の分岐孔は、中心から所定間隔離れた同心円上に等間隔設けられた、請求項に記載のナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン。
【請求項4】
前記入水面体の厚寸法は、円筒体の直径寸法の少なくとも概ね1/4である、請求項に記載のナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン。
【請求項5】
前記入水面側から前記出水面側への流水方向から見て、前記入水面体と前記出水面体におけるそれぞれの分岐孔の中心位置は、一致しないよう所定の角度ズレて配置されている、ことを特徴する請求項に記載のナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン。
【請求項6】
前記入水面体と前記出水面体は、少なくとも5ミリメートル以上の厚さを有する黄銅素材、樹脂素材又はステンレス素材により形成される、ことを特徴とする請求項に記載のナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン。
【請求項7】
前記円筒体は、黄銅素材、ステンレス素材又は樹脂素材により形成される、ことを特徴とする請求項に記載のナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン。
【請求項8】
水用ノズルガンに接続されるホース接続プラグであって、
前記ホース接続プラグへの水の流入口であるホース接続口と、
散水用ノズルガンのホースプラグにワンタッチで接続される散水用ノズルガンとの接続口と、
前記ホース接続口と前記散水用ノズルガンとの接続口間に設けられた円筒形の水の流路と、
前記流路に配置され、当該流路を通過する水に含まれる水泡を微細化するナノバブル水生成器と、から成り
前記ナノバブル水生成器は、
前記円筒形の水の流路の内面に密接する円筒体と、
水道水を前記円筒体の中心軸から所定距離離れた同心円状に形成された複数の分岐孔を有する入水面体と、
前記円筒体から水道水を流出する複数の分岐孔を有する出水面体と、
により構成され、
前記入水面体と前記出水面体間の前記円筒体の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部が形成され、
前記入水面体の複数の分岐孔から流れ込む水が、前記螺旋状の切込みによる凹凸部に接触及び衝突することにより前記円筒体内で乱流を生じさせ、水道水内の気泡が微細に粉砕されて前記出水面体からナノバブル水が流出するように形成される、
ことを特徴とする散水用ノズルガン用ホース接続プラグ。
【請求項9】
前記入水面体に設けられた複数の分岐孔は、その入水側から出水側に向けての中心軸が当該入水面体の中心軸に対し所定角度だけ傾斜している請求項に記載の散水用ノズルガン用ホース接続用プラグ。
【請求項10】
前記入水面体に設けられた複数の分岐孔は、前記入水面体の中心から所定間隔離れた同心円上に等間隔に設けられた、請求項8又は9に記載の散水用ノズルガン用ホース接続プラグ。
【請求項11】
前記入水面体体の厚寸法は、前記円筒体の直径寸法の少なくとも概ね1/4である、請求項10に記載の散水用ノズルガン用ホース接続プラグ。
【請求項12】
前記入水面体側から前記出水面体側への流水方向から見て、前記入水面体と前記出水面体におけるそれぞれの分岐孔の中心位置は、一致しないよう所定の角度ズレて配置されている、ことを特徴する請求項10に記載の散水用ノズルガン用ホース接続プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に洗浄、清掃、園芸などに用いられ、水道水をその水圧を利用して、シャワー状、ジェット状、ミスト状、コーン状等に散水する散水用ノズルガンに関し、特にナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガンを低コストで提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノバブル水とは、一般的に気泡の直径サイズが概ね100μm以下のマイクロバブルや、同サイズが50~500nm程度のナノバブルサイズの気泡を多く含む微細気泡水を意味する。
【0003】
このため、ナノバブル水は、水がキメ細やかでサラサラ状態を呈して、手足等の毛穴や汗腺に沁み込んで汚れを落とし、屋外の壁や床のレンガや石材の微細な隙間に入り込んでいる汚れを効果的に除去し、さらには、植物の葉や枝に付着している土、塵、ほこりを効率的に洗い流すと共に、水分子が葉の組織に効果的に浸透することから、従来の主な利用分野であった洗濯機やシャワー等の屋内での利用分野に留まらず、屋外での物品等の洗浄や清掃や園芸用等にナノバブル水を利用することが注目されるに至っている。
【0004】
また、ナノバブル水の電気的作用による洗浄効果も注目されてきている。ナノバブルの表面には通常、マイナスの電荷が帯電しており、電荷の反発作用により気泡同士が合体することなく、電荷がナノバブル水中に拡散・浮遊している。これに対し、油分、細かい異物等による汚れは、通常プラスに帯電している。よって、マイナスの電荷を帯びているナノバブル水の水分子が、プラス電荷の汚れ物質内に浸透し易くなって吸着することになる。これによって、例えば、草木の葉の表面に付着しているほこりや塵等の汚れを分離し洗い流し、葉や枝を構成する組織内に水分子が容易に浸透、植物の成長が促されると共の病害虫に侵されに難くなるのである。
【0005】
このような優れた作用効果を奏するナノバブル水を発生するには、従来から、例えば、高速せん断方式、加圧圧壊方式、キャビテーション方式などが知られているが、何れの方式のナノバブル発生器も、散水器内に内蔵させることは困難であった。また、従来のナノバブル発生器を外部から散水器に連結して使用するとなると、ナノバブル発生器の重量と大きさから散水器の操作性や使用勝手において支障が生じてしまう。特に、家庭用の散水機に、高速せん断方式や加圧圧壊方式のナノバブル発生器を用いることは現実的ではなかった。
【0006】
水の中に溶融しているいわゆる溶存空気からキャビテーション方式でナノバブル水を生成する例としては、入口から出口に向かいその中心軸に直交する断面積を漸減する通水用入口側の第1ノズルと、第1ノズルの出口から連通して設けられた連通路を介して連続して配設され、入口から出口に向かってその中心軸に直交する断面積を漸増する通水用出口側の第2ノズルと、前記連通路にのみ開口した隙間又は側室とを有するマイクロバブル発生装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
また、同様に水の中の溶存空気からキャビテーション方式によってマイクロバブル水を生成させる他の例としては、美容や健康面での効果に奏するシャワーヘッドが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-136864号公報
【文献】特開2016-002196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1によるマイクロバブル発生装置は、側室を備える連通路で急膨張した水流を第2ノズルで絞りによる減圧するために、使用するのに十分な量の水が供給できなくなることがある。そのため、そのときの水道圧の状況に応じて側室の軸流方向での幅サイズを調整しなければならず、家庭用の散水器内に内蔵させることは不可能である。
【0010】
また、特許文献2は、家庭でシャワーや洗濯の際にナノバブル水を使用できるようにしたものではあが、ここに用いられているような比較的に小型のマイクロバブル生成器であっても、軽くて小型で操作性を考慮すると主に家庭内で使用される散水器内に流用することは困難であった。
【0011】
このため、本発明は、水道水をその水圧を利用して、シャワー状、ジェット状、ミスト状、コーン状等に散水する散水用ノズルガンに関し、優れたナノバブル水生成機能を有すると共に、従来の散水用ノズルガンを軽量且つ小型で操作性に優れた散水用ノズルガンを低コストで提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、その第1の形態として、本体部と、前記本体部の内部に形成された円筒形の水の流路と、前記本体部における前記流路の上流端に設けられたホースプラグと、前記本体部における前記流路の下流端に設けられて水をシャワー状、ジェット状、ミスト状又はコーン状に切り替えて散水するための散水用ノズルと、前記本体部の外側に設けられて前記散水用ノズルからの散水を操作するレバーと、前記レバーの往復操作により前記本体部における前記流路を塞ぎ又は開放する弁体と弁機構と、前記本体部における前記円筒形の水の流路を通過する水に含まれる水泡を微細化するナノバブル水生成器と、から成り、前記ナノバブル水生成器は、前記ホースプラグから前記レバーに至る前記ハンドル部の内部に配置され、前記ハンドル部の内部における前記流路の内面に密接する円筒体と、水道水を前記円筒体の中心軸から所定距離離れた同心円状に形成された複数の分岐孔を有する入水面体と、前記円筒体から水道水を流出する複数の分岐孔を有する出水面体と、により構成され、前記入水面体と前記出水面体間の前記円筒体の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部が形成され、前記入水面体の複数の分岐孔から流れ込む水が、前記螺旋状の切込みによる凹凸部に接触及び衝突することにより前記円筒体内で乱流を生じさせ、水道水内の気泡が微細に粉砕されて前記出水面体からナノバブル水が流出するように形成される、ことを特徴とするナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガンを提供するものである。
【0014】
上述の入水面体と出水面体に夫々施される複数の分岐孔の数は、2乃至6程度であるが、分岐孔が2の場合はそのサイズは大きく、分岐孔の数が6の場合はそのサイズは小さくなる。尚、入水面体と出水面体に夫々施される分岐孔の数は4が標準である。
【0015】
そして、前記入水面体に設けられた複数の分岐孔は、その入水側から出水側に向けての中心軸が前記入水面体の中心軸に対し所定角度だけ傾斜するように形成され、前記入水面体に設けられた複数の分岐孔は、前記同心円上に等間隔に設けられる。これにより、ナノバブル水をさらに高効率に発生させている。
【0016】
このように、本散水用ノズルガンを構成するナノバブル水生成器においては、前記入水面側から前記出水面側への流水方向から見て、前記入水面体と前記出水面体におけるそれぞれの分岐孔の中心位置は、一致させるようにしても良いが、好ましくは、一致しないよう所定の角度ズレて配置するようにすると良い。これにより、入水面体の複数の孔から入水して円筒体内を通る水は乱流が生じ、且つ出水体面に衝突する量が増えることから、より効率的にナノバブル水を生成することができるのである。
【0017】
また、前記入水面体の厚寸法は、円筒体の直径寸法の少なくとも概ね1/4であり、少なくとも5ミリメートル以上の厚さを有する黄銅素材、樹脂素材又はステンレス素材により形成される。
【0018】
ここで、前記入水面体と前記出水面体は、少なくとも5ミリメートル以上の厚さを有する黄銅素材、樹脂素材又はステンレス素材により形成され、また、前記円筒体は、黄銅素材、ステンレス素材又は樹脂素材により形成される。
【0019】
本発明は、さらに、その第2の形態として、散水用ノズルガンに接続されるホース接続プラグであって、前記ホース接続プラグへの水の流入口であるホース接続口と、散水用ノズルガンのホースプラグにワンタッチで接続される散水用ノズルガンとの接続口と、前記ホース接続口と前記散水用ノズルガンとの接続口間に設けられた円筒形の水の流路と、前記流路に配置され、当該流路を通過する水に含まれる水泡を微細化するナノバブル水生成器と、から成り、前記ナノバブル水生成器は、前記円筒形の水の流路の内面に密接する円筒体と、水道水を前記円筒体の中心軸から所定距離離れた同心円状に形成された複数の分岐孔を有する入水面体と、前記円筒体から水道水を流出する複数の分岐孔を有する出水面体と、により構成され、前記入水面体と前記出水面体間の前記円筒体の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部が形成され、前記入水面体の複数の分岐孔から流れ込む水が、前記螺旋状の切込みによる凹凸部に接触及び衝突することにより前記円筒体内で乱流を生じさせ、水道水内の気泡が微細に粉砕されて前記出水面体からナノバブル水が流出するように形成される、ことを特徴とする散水用ノズルガン用ホース接続プラグを提供するものである。
【0020】
これにより、本発明の第2の形態においては、現在使用している散水用ノズルガンを廃棄して、上述した第1の形態の散水用ノズルガンに買い替えることなく、散水用ノズルガンに、ナノバブル水生成機能を持たせることを可能とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガンは、水道水をその水圧を利用して、シャワー状、ジェット状、ミスト状、コーン状等に散水する散水用ノズルガンに関し、優れたナノバブル水生成機能を有すると共に、従来の散水用ノズルガンを軽量且つ小型で操作性に優れた散水用ノズルガンを低コストで提供することを可能にしたのである。
【0023】
ここで、入水面体と出水面体間の円筒体の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部が形成され、入水面体の複数の分岐孔から流れ込む水が、螺旋状の凹凸部に接触及び衝突することにより円筒体内で水の乱流を生じさせ、水道水に含まれている気泡が微細に粉砕されて高性能のナノバブル水を生成することを可能にしたのである。
【0024】
さらに、上述した本発明の第2の形態に係る散水用ノズルガン用ホース接続用プラグは、現在使用している散水用ノズルガンを廃棄することなく、散水用ノズルガンにナノバブル水生成機能を持たせることを可能としたのである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガンの外観と内部の構造を説明するための第1の例を示す。
図2】本発明の散水用ノズルガンの第2の例を示し、外観とナノバブル水生成器の配置位置を示す。
図3】本散水用ノズルガンの外観と、本散水用ノズルガンに接続されるホース接続用プラグを示す。
図4】本発明の第2の形態の、散水用ノズルガンに接続されるホース接続用プラグの外観を(a)部に示し、本ホース接続用プラグの内部構造を(b)部に示す。
図5】本散水用ノズルガン又は図4に示した散水用ノズルガン用ホース接続用プラグ内に収容されるナノバブル水生成器の構成(その1)を示す。(a)部は、本散水用ノズルガン又はホース接続用プラグ内給水ホース内に収納された状態のナノバブル水生成器の内部構成を示す。(b)部は、入水面体の側面と出水面体の側面とを示す。入水面体の(図5に示す例では4つ)の孔と出水面体の(図5に示す例では4つ)の孔が流水方向において一致して設けられている。(c)部は、(b)に示すナノバブル水生成器のA-A′断面の遠近状態図を示す。円筒体の内面に螺旋状の切込みが施されている。
図6】本散水用ノズルガン又はホース接続用プラグ内給水ホース内に収容されるナノバブル水生成器の構成(その2)を示す。(a)部は、本散水用ノズルガン又はホース接続用プラグ内給水ホース内に収納された状態のナノバブル水生成器の内部構成を示す。(b)部は、入水面体の側面と出水面体の側面を示す。入水面体の(図6に示す例では4つ)の孔と出水面体の(図6に示す例では4つ)の孔が流水方向において約90度回転して設けられている。(c)部は、(b)に示すナノバブル水生成器のB-B′断面を示す。円筒体の内面に螺旋状の切込みが施されている。
図7】本散水用ノズルガンが、ホース接続用プラグを介してホースに接続された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る「ナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン」(以下、単に「本散水用ノズルガン」という)の実施の形態の例を図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明に係るナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガンの外観と内部の構造を説明するための第1の例を示す。
【0028】
図1に示すように、本散水用ノズルガン1は、本体部2と、本体部2の内部に形成された水の流路(ホースプラグ11から散水ノズル5に至る本体部2内に設けられた水流路)と、本体部2における前記流路の上流端に設けられたホースプラグ11と、本体部2の下流端に設けられて水をシャワー状、ジェット状、ミスト状、コーン状等に切り替えて散水するための散水用ノズル5と、本体部2の外側に設けられて散水ノズル5からの散水を操作するレバー12と、レバー12の往復操作により本体内2に形成された前記流路の水を塞ぎ又は開放する弁体8と弁機構13と、から成る。
【0029】
ここで、本散水用ノズルガン1においては、本体部2内の前記流路を通過する水に含まれる水泡を微細化するナノバブル水生成器3が、本体部2の内部に配置される。図1に示した例では、本体部2内のハンドル部4に収納されている。本体部2内のハンドル部4は、人が本散水用ノズルガン1を手で握る箇所であり、本散水用ノズルガン1におけるホースプラグ11から散水用ノズル5に至る本体部2内の水路で比較的に長い直線部が形成される箇所である。
【0030】
ホースプラグ11には、水道水の蛇口(図示せず)に接続されたホース30(図7)を直接繋いでも良いが、例えば、図7に示すように、ホースの先端に標準のホース接続口22を取り付けておき、このホース接続口22を本散水用ノズルガン1のホース接続用プラグ11にワンタッチ式に差し込むだけで接続することができる。これによって長期に亘って本散水用ノズルガン1とホースとの水漏れを防止できる。
【0031】
図1に示すように、本散水用ノズルガン1から、ナノバブル水を散水放水する場合は、レバー12を指でハンドル部4側に引く。ここで、レバー12をハンドル部4側に引くと、本体部2内の水路弁機構13が水路を開閉する弁体8を開方向に作動し、水路が解放されるので散水用ノズル5からの水が放水散水されることになる。
【0032】
ここで、散水用ノズルガンのレバー12には、レバー戻しバネ9がレバー12を戻す方向に付勢しているので、レバー12を離すことにより、本体部2内の水路は塞がれて散水用ノズル5からの水の散水は停止することになる。また、ハンドル部4のレバー12側下部には、レバーの係止手段(留めリング)10が設けられているので、レバー12をハンドル部4側に引き続けることなく、散水用ノズル5から水の散水を継続させることができる。
【0033】
図2は、本発明の散水用ノズルガンの第2の例を示し、外観とナノバブル水生成器の配置位置を示す。図2においては、各部の符号を図1と同じ符号にしていることから、図1の第1の散水用ノズルガンの説明は、この第2の例の散水用ノズルガンにおいても同様であり、ここでの再度の説明は省略する。
【0034】
ところで、この第2の例の散水用ノズルガンにおいては、第1の例の散水用ノズルガンと同様に、ナノバブル水生成器3を、本体部2内のハンドル部4内に収納させることもできるが、散水用ノズルガン1のレバー12と散水用ノズル5との距離が、上述した第1の例の散水用ノズルの場合と比較して離れていることから、レバー12と散水ノズル5間の水路に設けることも可能である。
【0035】
図3は、本散水用ノズルガン1(外観)と、この散水用ノズルガン1に接続されるホース接続用プラグ20と、このホース接続用プラグ20に接続されるホース接続口22と、の接続関係を示す。
【0036】
図3に示す例では、ホース接続用プラグ20を本散水用ノズルガン1のホースプラグ11側に差し込むことにより、散水用ノズルガン1の接続口21に水漏れすることなくワンタッチで接続される。また、水道水の蛇口に接続されるホース30(図7)に標準のホース接続口がついていれば、ホース接続プラグ20にワンタッチで接続することができる。
【0037】
図3に示す散水用ノズルガン1には、図1又は図2に示すように、その内部にナノバブル水生成器3を収納している。しかし、以下、図4において説明するように、散水用ノズルガン1内にナノバブル生成器3を収納していなくとも、ホース接続用プラグ20内にナノバブル生成器3を収納するようにしても良い。
【0038】
図4は、本発明の第2の形態に係る、散水用ノズルガン1に接続されるホース接続用プラグ20の外観を(a)部に示し、本ホース接続用プラグの内部構造を(b)部に示す。
【0039】
図4に示すように、本ホース接続用プラグ20は、散水用ノズルガン1のホースプラグ11に接続される接続口21とホース接続口22(図7を参照)を備え、本ホース接続用プラグ20の内部には、ナノバブル水生成器3が格納されている。
【0040】
これにより、本発明の第2の形態に係る散水用ノズルガン用ホース接続用プラグは、現在使用している散水用ノズルガンを廃棄することなく、散水用ノズルガンにナノバブル水生成機能を持たせることを可能としたのである。
【0041】
次に、本散水用ノズルガン1又は本ホース接続用プラグ20内に格納されるナノバブル水生成器の詳細について説明する。
【0042】
図5は、本散水用ノズルガン1又はホース接続用プラグ20内に収容されるナノバブル水生成器3の構成の第1の例を示す。ここで、(a)部は、散水用ノズルガン1又はホース接続用プラグ20内に収納された状態のナノバブル水生成器3の内部構成を示し、(b)部は、入水面体3-2の側面と出水面体3-3の側面とを示す。このナノバブル生成器の第1の例では、入水面体3-2の複数(図5に示す例では4つ)の孔6と出水面体3-3の複数(図5に示す例では4つ)の孔7が流水方向において一致して設けられている。(c)部は、(b)に示すナノバブル水生成器のA-A′断面の遠近状態図を示す。ナノバブル水生成器3の円筒体3-1の内面には螺旋状の切込みが施されている。ここで、入水面体3-2の側面と出水面体3-3は、円筒体の入水端部及び出水端部に、圧入された後、素材に応じて溶接又は接着され、高水圧でも水漏れや離脱が生じないように設けられる。
【0043】
図5(a)に示すように、ナノバブル水生成器3は、本散水用ノズルガン1又は本ホース接続用プラグ20の内面壁に密接するように配置される円筒体3-1と、水道水を円筒体3-1の中心軸から所定距離(円筒体3-1の直径サイズに応じたサイズ)だけ離れた同心円状に形成された(図5に示す例では4つ)の分岐孔6(6-1、6-2、6-3、6-4)を有する入水面体3-2と、円筒体3-1内の水道水を流出する(図5に示す例では4つ)の分岐孔7(7-1、7-2、7-3、7-4)を有する出水面体3-3と、により構成されている。
【0044】
ここで、円筒体3-1は、本体部2(図1)の内面に挿入された状態で、本散水用ノズルガン1又はホース接続用プラグ20の内壁に固定され、入水面体3-2と出水面体3-3間の円筒体3-1の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部3-4が形成されている。
【0045】
そして、入水面体3-2の(図5に示す例では4つ)の分岐孔6から流れ込む水が、螺旋状の凹凸部3-4に接触及び衝突することにより円筒体3-1内で乱流を生じさせ、水道水内の気泡が効率的に微細に粉砕されて出水面体3-3からナノバブル水が流出するように形成されている。
【0046】
このように、本散水用ノズルガン1又はホース接続用プラグ20は、内蔵されるナノバブル水生成器3が本散水用ノズルガン1又は本ホース接続用プラグ20の内壁に密接する円筒体3-1(3-2及び3-3を内蔵)に形成される小型且つ軽量の形状で、効果的に従来のナノバブル水生成器と同等数のナノサイズの微細気泡を生成させることができるのである。
【0047】
図6は、本散水用ノズルガン1又はホース接続用プラグ20内に収容されるナノバブル水生成器の第2の例を示す。
(a)部は、本散水用ノズルガン1又はホース接続用プラグ20内に収納された状態のナノバブル水生成器の内部構成を示し、(b)部は、入水面体の側面と出水面体の側面を示す。ここで、この第2の例では、図2に示した第1の例とは異なり、出水面体3-3の(図6に示す例では4つ)の孔7(7-1、7-2、7-3、7-4)は、入水面体3-2の(図6に示す例では4つ)の孔6(6-1、6-2、6-3、6-4)が流水方向において約90度回転して設けられている。また、(c)部は、図2に示した第1の例と同じであるが、(b)に示すナノバブル水生成器のB-B′断面を示す。円筒体3-1の内面に螺旋状の切込み3-4が施されている。
【0048】
このように、図6に示す第2の例では、入水面体3-2に設けられた(図6に示す例では4つ)の分岐孔6と、出水面体3-3に設けられた(図6に示す例では4つ)の分岐孔7は、相互にその中心軸が前記入水面体の中心軸に対し90度傾斜しているので、入水面体3-2体の(図6に示す例では4つ)の孔6を通過した水が、円筒体3-1内においてその入水孔6と出水孔がストレートな水流とはならず渦を成す水流となるので、より多くの水流が円筒体3-1の螺旋状切込みに衝突することになり、ナノバブル水をより高効率に発生させることができるのである。
【0049】
ところで、前記入水面体と前記出水面体は、少なくとも5ミリメートル以上の厚さを有する黄銅素材、樹脂素材又はステンレス素材により形成され、また、前記円筒体は、黄銅素材、ステンレス素材又は樹脂素材により形成される。
【0050】
さらに、入水面体3-2と出水面体3-3間の円筒体3-1の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部3-4が形成され、入水面体3-2の(図6に示す例では4つ)の分岐孔6から流れ込む水が、螺旋状の凹凸部3-4に接触及び衝突することにより円筒体3-1内で水の乱流を生じさせることにより、水道水内の気泡が微細に粉砕されて高性能のナノバブル水を生成することを可能にしたのである。
【0051】
図7は、本散水用ノズルガン1が、ホース接続用プラグ20と、ホースプラグ11を介してホース30に接続された状態を示す。
【0052】
図7においては、図1又は図2に示すように、その内部にナノバブル水生成器3を収納するようにしても、図4において説明したように、必ずしも散水用ノズルガン1内にナノバブル生成器3が収納されていなくとも、ホース接続用プラグ20内にナノバブル生成器3が収納されていても良い。
【0053】
上述したように、本散水用ノズルガン1又は散水用ノズルガン1に接続されるホース接続用プラグ20においては、水道水をその水圧を利用して、シャワー状、ジェット状、ミスト状、コーン状等に散水する散水用ノズルガンに関し、優れたナノバブル水生成機能を有すると共に、従来の散水用ノズルガンを軽量且つ小型で操作性に優れた散水用ノズルガンを低コストで提供することを可能にしたのである。
【0054】
ここに用いられるナノバブル水生成器3は、入水面体と出水面体間の円筒体の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部が形成され、入水面体の複数の分岐孔から流れ込む水が、螺旋状の凹凸部に接触及び衝突することにより円筒体内で水の乱流を生じさせ、水道水に含まれている気泡が微細に粉砕されて高性能のナノバブル水を生成することを可能にしたのである。
【0055】
ところで、本散水用ノズルガン又は散水用ノズルガンに接続されるホース接続用プラグによれば、一般家庭に供給されている水道水の中に含まれている空気を利用して、キャビテーションによりナノバブルを効果的に発生させることができる。ところで、水道直結の場合に、一般的な水道水圧は1.5kgf/cm2から3kgf/cm2(0.15乃至0.3MPa)が下限とされており、一般家庭に供給されている水道水の中に含まれている空気をこの水道水圧だけで、キャビテーションにより微細化された気泡を含む水道水にすることができる。この場合の水道水圧は、2.0乃至4.0kgf/cm2(0.2乃至0.39MPa)で供給されるのが好ましい。
【符号の説明】
【0056】
1 本ナノバブル水生成機能を有する散水用ノズルガン
2 本散水用ノズルガンの本体部
3 ナノバブル水生成器
3-1 ナノバブル水生成器を構成する円筒体
3-2 ナノバブル水生成器を構成する入水面体
3-3 ナノバブル水生成器を構成する出水面体
3-4 円筒体内面に形成される螺旋状凹凸部
4 本散水用ノズルガンのハンドル部
5 散水用ノズル
6 ナノバブル水生成器の入水面体に設けられる分岐孔
7 同出水面体に設けられる分岐孔
8 水路の弁体
9 本散水用ノズルガンのレバー戻しバネ
10 レバーの係止手段
11 ホースプラグ
12 散水用ノズルガンのレバー
13 散水用ノズルガンの本体部内の水路弁機構
20 散水用ノズルガン用のホース接続用プラグ
21 ホース接続用プラグにおける散水用ノズルガンとの接続口
22 ホース接続用プラグにおけるホース接続口
【要約】
【課題】水道水をその水圧を利用して、シャワー状、ジェット状、ミスト状等に散水する散水用ノズルガンにナノバブル水生成機能を持たせる。
【解決手段】本体部2における水の流路の上流端に設けられたホースプラグ11と、本体部2における流路の下流端に設けられて水をシャワー状、ジェット状、ミスト状、コーン状等に切り替えて散水するための散水用ノズル5と、本体部2の外側に設けられて散水用ノズル5からの散水を操作するレバー12と、レバー12操作により本体内の流路の水を塞ぎ又は開放する弁体8と弁機構13と、から成る散水用ノズルガン1において、本体部2内の流路を通過する水に含まれる水泡を微細化する小型で高性能のナノバブル水生成器3を内蔵する。ナノバブル水生成器3は、水道水を円筒体3-1の中心軸から所定距離離れた同心円状に形成された複数の分岐孔6をそれぞれ有する入水面体3-2と、水道水を流出する出水面体3-3とにより構成され、円筒体は本体部のハンドル部4内に配置される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7