(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】空気処理装置、及び空調システム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/06 20060101AFI20241002BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20241002BHJP
F24F 3/14 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B01D53/06 100
F24F7/08 101D
F24F3/14
(21)【出願番号】P 2020074124
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 信
(72)【発明者】
【氏名】田中 利夫
(72)【発明者】
【氏名】茂木 完治
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-092374(JP,A)
【文献】特開2002-191926(JP,A)
【文献】特開2019-018157(JP,A)
【文献】特開2020-044493(JP,A)
【文献】特開2003-130391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/06
B01D 53/26
F24F 3/14
F24F 1/0071
F24F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理空気が流れる処理側通路(20)と、
再生用空気が流れる再生側通路(30)と、
上記処理側通路(20)及び上記再生側通路(30)を横断するように配置されて回転する処理ロータ(50)と、
上記処理ロータ(50)へ供給される再生用空気を加熱する加熱部(H)とを備え、
上記被処理空気に含まれる有害物質を上記処理ロータ(50)に捕捉させ、上記加熱部(H)が加熱した再生用空気によって上記処理ロータ(50)を再生する空気処理装置(10)であって、
上記再生側通路(30)は、上記再生用空気が上記処理ロータ(50)を1度だけ通過するように構成され、
室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、上記室内空気が上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる動作と、上記室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、室外空気が上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる動作とを行い、
上記室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、上記室外空気が上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる動作中において、上記室内空気の温度が上記室外空気の温度に基づく基準値よりも高くなると、上記再生側通路(30)を流れ
る室内空気の量を増やす
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
被処理空気が流れる処理側通路(20)と、
再生用空気が流れる再生側通路(30)と、
上記処理側通路(20)及び上記再生側通路(30)を横断するように配置されて回転する処理ロータ(50)と、
上記処理ロータ(50)へ供給される再生用空気を加熱する加熱部(H)とを備え、
上記被処理空気に含まれる有害物質を上記処理ロータ(50)に捕捉させ、上記加熱部(H)が加熱した再生用空気によって上記処理ロータ(50)を再生する空気処理装置(10)であって、
上記再生側通路(30)は、上記再生用空気が上記処理ロータ(50)を1度だけ通過するように構成され、
室内空気の温度が室外空気の温度に基づく
第1基準値よりも高いとき、上記室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、上記室内空気のみが上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる第1動作を行い、
上記室内空気の温度が
室外空気の温度に基づく第2基準値よりも低いとき、上記室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、室外空気のみが上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる第3動作を行う
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項3】
被処理空気が流れる処理側通路(20)と、
再生用空気が流れる再生側通路(30)と、
上記処理側通路(20)及び上記再生側通路(30)を横断するように配置されて回転する処理ロータ(50)と、
上記処理ロータ(50)へ供給される再生用空気を加熱する加熱部(H)とを備え、
上記被処理空気に含まれる有害物質を上記処理ロータ(50)に捕捉させ、上記加熱部(H)が加熱した再生用空気によって上記処理ロータ(50)を再生する空気処理装置(10)であって、
上記再生側通路(30)は、上記再生用空気が上記処理ロータ(50)を1度だけ通過するように構成され、
室内空気の温度が室外空気の温度に基づく基準値よりも高いとき、上記室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、上記室内空気のみが上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる第1動作を行い、
上記室内空気の温度が上記基準値よりも低いとき、上記室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、上記室内空気及び上記室外空気の混合空気が上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる第2動作を行う
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項4】
被処理空気が流れる処理側通路(20)と、
再生用空気が流れる再生側通路(30)と、
上記処理側通路(20)及び上記再生側通路(30)を横断するように配置されて回転する処理ロータ(50)と、
上記処理ロータ(50)へ供給される再生用空気を加熱する加熱部(H)とを備え、
上記被処理空気に含まれる有害物質を上記処理ロータ(50)に捕捉させ、上記加熱部(H)が加熱した再生用空気によって上記処理ロータ(50)を再生する空気処理装置(10)であって、
上記再生側通路(30)は、上記再生用空気が上記処理ロータ(50)を1度だけ通過するように構成され、
室内空気の温度が室外空気の温度に基づく基準値よりも高いとき、上記室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、上記室内空気及び上記室外空気の混合空気が上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる第2動作を行い、
上記室内空気の温度が上記基準値よりも低いとき、上記室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、上記室外空気のみが上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる第3動作を行う
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項5】
請求項2において、
上記基準値は、第1基準値および該第1基準値より小さい第2基準値を含み、
上記室内空気の温度が上記第1基準値よりも高いとき、上記第1動作を行い、
上記室内空気の温度が上記第2基準値よりも低いとき、上記第3動作を行い、
上記室内空気の温度が上記第2基準値以上且つ上記第1基準値以下のとき、上記室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、上記室内空気及び上記室外空気の混合空気が上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる第2動作を行う
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項6】
請求項1又は3において、
上記再生側通路(30)を、上記室内空気のみが上記再生用空気として流れる第1状態と、上記室内空気及び上記室外空気の混合空気が上記再生用空気として流れる第2状態とに切り替える切替部(S)をさらに備える
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項7】
請求項1又は2において、
上記再生側通路(30)を、上記室内空気のみが上記再生用空気として流れる第1状態と、上記室外空気のみが上記再生用空気として流れる第3状態とに切り替える切替部(S)をさらに備える
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項8】
請求項6又は7において、
上記室内空気の温度を検出する第1温度センサ(61)と、
上記室外空気の温度を検出する第2温度センサ(62)とをさらに備え、
上記切替部(S)は、上記第1温度センサ(61)及び上記第2温度センサ(62)の検出値に応じて、上記再生側通路(30)の状態を切り替える
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つにおいて、
上記有害物質は、二酸化炭素である
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載の空気処理装置(10)と、
上記処理ロータ(50)のうち上記再生側通路(30)を横断する部分を通過した上記再生用空気を上記室外空気と熱交換させる熱交換器(73)を有し、該熱交換器(73)を通過した上記再生用空気を室外へ排出し、上記熱交換器(73)を通過した上記室外空気を室内へ供給する換気装置(70)とを備える
ことを特徴とする空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気処理装置、及び空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内空気を浄化する空気浄化装置(空気処理装置)が知られている。特許文献1には、電子デバイス製造工場のクリーンルーム等で発生する揮発性有機化合物(VOC)が含まれた汚染空気を浄化する空気浄化装置が開示されている。具体的には、空気浄化装置は、処理ゾーンと脱着ゾーンを有するロータ(処理ロータ)を備える。処理ゾーンに室内空気を通すと、室内空気に含まれるVOCが吸着剤に吸着されて、室内空気からVOCが分離除去される。脱着ゾーンに加熱した外気を通すと、吸着剤からVOCが脱離し、再びVOCを吸着できるようにロータが再生される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の空気浄化装置では、脱着ゾーンを通過する外気の温度を、ロータを再生させるのに必要な所定の温度まで上げる必要がある。このとき、例えば外気の温度が低い場合、外気を加熱する際の加熱量が大きくなってしまう。
【0005】
本開示の目的は、処理ロータの再生に必要なエネルギーを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、被処理空気が流れる処理側通路(20)と、再生用空気が流れる再生側通路(30)と、上記処理側通路(20)及び上記再生側通路(30)を横断するように配置されて回転する処理ロータ(50)と、上記処理ロータ(50)へ供給される再生用空気を加熱する加熱部(H)とを備え、上記被処理空気に含まれる有害物質を上記処理ロータ(50)に捕捉させ、上記加熱部(H)が加熱した再生用空気によって上記処理ロータ(50)を再生する空気処理装置(10)であって、上記再生側通路(30)は、上記再生用空気が上記処理ロータ(50)を1度だけ通過するように構成され、室内空気が上記被処理空気として上記処理側通路(20)を流れ、室内空気が上記再生用空気として上記再生側通路(30)を流れる動作を行うことを特徴とする。
【0007】
第1の態様では、室外空気の温度よりも室内空気の温度が高い場合、室内空気が再生用空気として再生側通路(30)を流れるので、再生用空気の加熱量を抑制できる。これにより、処理ロータ(50)の再生に必要なエネルギーを低減できる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、上記再生側通路(30)を、室内空気のみが上記再生用空気として流れる第1状態と、室内空気及び室外空気の混合空気が上記再生用空気として流れる第2状態とに切り替える切替部(S)をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
第2の態様では、切替部(S)によって、室内空気と混合空気とを選択的に再生用空気として処理ロータ(50)に供給できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1の態様において、上記再生側通路(30)を、室内空気のみが上記再生用空気として流れる第1状態と、室外空気のみが上記再生用空気として流れる第3状態とに切り替える切替部(S)をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
第3の態様では、切替部(S)によって、室内空気と室外空気とを選択的に再生用空気として処理ロータ(50)に供給できる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第2又は第3の態様において、室内空気の温度を検出する第1温度センサ(61)と、室外空気の温度を検出する第2温度センサ(62)とをさらに備え、上記切替部(S)は、上記第1温度センサ(61)及び上記第2温度センサ(62)の検出値に応じて、上記再生側通路(30)の状態を切り替えることを特徴とする。
【0013】
第4の態様では、第1温度センサ(61)及び第2温度センサ(62)の検出値に応じて、再生側通路(30)の状態を切り替えられるので、室外空気の温度と室内空気の温度との相対的な関係に応じて、再生用空気として処理ロータ(50)に送られる空気を変更できる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、上記有害物質は、二酸化炭素であることを特徴とする。
【0015】
本開示の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つに記載の空気処理装置(10)と、上記処理ロータ(50)のうち上記再生側通路(30)を横断する部分を通過した再生用空気を室外空気と熱交換させる熱交換器(73)を有し、該熱交換器(73)を通過した再生用空気を室外へ排出し、上記熱交換器(73)を通過した室外空気を室内へ供給する換気装置(70)とを備えることを特徴とする空調システムである。
【0016】
第6の態様では、熱交換器(73)によって、室内へ供給される室外空気を空気処理装置(10)で加熱された再生用空気と熱交換させることで、再生用空気の熱を回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る空調システムを示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の変形例1に係る
図1に相当する図である。
【
図3】
図3は、実施形態2に係る空調システムを示す
図1に相当する図である。
【
図4】
図4は、実施形態3に係る空調システムを示す
図1に相当する図である。
【
図5】
図5は、実施形態4に係る空調システムを示す
図1に相当する図である。
【
図6】
図6は、実施形態4の変形例1に係る空調システムを示す
図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本開示の空調システム(1)は、空気処理装置(10)を備える。空気処理装置(10)は、ビル等の室内空間(11)の空気(以下、室内空気(RA)という)に含まれる有害物質を除去して浄化し、有害物質が除去された空気を供給空気(SA)として室内空間(11)へ供給する。
【0019】
室内空間(11)には、還気口(11a)及び給気口(11b)が形成されている。還気口(11a)は、室内空気(RA)を空気処理装置(10)に供給する。給気口(11b)は、空気処理装置(10)から流出した供給空気(SA)を室内空間(11)に供給する。本実施形態では、有害物質は、二酸化炭素である。
【0020】
-空気処理装置-
図1に示すように、空気処理装置(10)は、処理側通路(20)と、再生側通路(30)と、導入通路(40)と、処理ロータ(50)と、2つの温度センサ(61,62)と、切替部(S)と、制御部(90)とを備える。
【0021】
処理ロータ(50)は、処理側通路(20)及び再生側通路(30)を横断するように配置されている。導入通路(40)は、処理側通路(20)及び再生側通路(30)の上流側に配置され、それぞれの通路(20,30)に空気を供給する。
【0022】
〈処理側通路〉
処理側通路(20)は、室内空気(RA)に含まれる二酸化炭素を除去して、浄化された空気を供給空気(SA)として室内空間(11)に供給するための通路である。処理側通路(20)には、室内空間(11)から流入する被処理空気が流れる。処理側通路(20)は、被処理空気が処理ロータ(50)を1度だけ通過するように構成される。
【0023】
処理側通路(20)は、第1処理路(21)と、第2処理路(22)とを有する。第1処理路(21)と第2処理路(22)とは、連通している。処理側通路(20)は、第1処理路(21)から第2処理路(22)に向かって被処理空気が流れる。
【0024】
第1処理路(21)は、処理ロータ(50)の上流側に配置される。第2処理路(22)は、処理ロータ(50)の下流側に配置される。第2処理路(22)の流出端は、室内空間(11)の給気口(11b)に接続されている。
【0025】
〈再生側通路〉
再生側通路(30)は、処理ロータ(50)を再生して、二酸化炭素が含まれた空気を排出空気(EA)として室外に排出するための通路である。ここで、再生とは、処理ロータ(50)から二酸化炭素(有害物質)を脱離させることである。
【0026】
再生側通路(30)には、処理ロータ(50)を再生するための再生用空気が流れる。被処理空気と再生用空気のそれぞれは、処理ロータ(50)の軸方向(厚さ方向)の一方の面から他方の面へ向かって流れる。再生側通路(30)は、再生用空気が処理ロータ(50)を1度だけ通過するように構成される。
【0027】
再生側通路(30)は、第1再生路(31)と、第2再生路(32)とを有する。第1再生路(31)と第2再生路(32)とは、連通している。再生側通路(30)は、第1再生路(31)から第2再生路(32)に向かって再生用空気が流れる。
【0028】
第1再生路(31)は、処理ロータ(50)の上流側に配置される。第2再生路(32)は、処理ロータ(50)の下流側に配置される。第2再生路(32)の流出端は、室外へ連通している。
【0029】
第1再生路(31)には、ヒータ(H)が配置されている。ヒータ(H)は、処理ロータ(50)へ供給される再生用空気を加熱する。ヒータ(H)は、本開示の加熱部に対応する。
【0030】
再生側通路(30)は、1度も処理ロータ(50)を通過していない空気を再生用空気としてヒータ(H)に供給する。
【0031】
〈導入通路〉
導入通路(40)は、処理側通路(20)及び再生側通路(30)に空気を供給するための通路である。導入通路(40)は、第1導入路(41)と、第2導入路(42)と、第3導入路(43)とを有する。
【0032】
第1導入路(41)は、室内空間(11)と処理側通路(20)とを繋いでいる。具体的には、第1導入路(41)の流入端は、室内空間(11)の還気口(11a)に接続されている。第1導入路(41)の流出端は、処理側通路(20)の第1処理路(21)の流入端と接続されている。
【0033】
第2導入路(42)は、室外空気(OA)を再生側通路(30)に送るための通路である。具体的には、第2導入路(42)の流入端は、室外へ連通している。第2導入路(42)の流出端は、再生側通路(30)の第1再生路(31)の流入端と接続されている。
【0034】
第3導入路(43)は、第1導入路(41)と第2導入路(42)とを繋いでいる。具体的には、第3導入路(43)の流入端は、第1導入路(41)に接続されている。第3導入路(43)の流出端は、第2導入路(42)に接続されている。第3導入路(43)は、第1導入路(41)から流入した室内空気(RA)を再生側通路(30)へ導いている。
【0035】
第1導入路(41)には、第1ファン(F1)と第1ダンパ(D1)とが配置されている。第1ファン(F1)は、第1導入路(41)における還気口(11a)側に配置されている。第1ダンパ(D1)は、第1ファン(F1)よりも下流側に配置されている。第1ファン(F1)は、室内空気(RA)を処理ロータ(50)に送るためのものである。
【0036】
第1ダンパ(D1)は、第1導入路(41)に流入した室内空気(RA)を処理側通路(20)と再生側通路(30)とに分配するのためのものである。第1ダンパ(D1)は、第1導入路(41)における第3導入路(43)との接続部分に配置されている。第1ダンパ(D1)は、第1導入路(41)を第1処理路(21)だけに連通させる状態と、第1導入路(41)を第1処理路(21)及び第3導入路(43)の両方に連通させる状態とに切り替わる。
【0037】
第2導入路(42)には、第2ファン(F2)が配置されている。第2ファン(F2)は、室外空気(OA)を処理ロータ(50)へ送るためのものである。第2ファン(F2)は、第2導入路(42)における、第3導入路(43)との接続部分よりも上流側に配置されている。
【0038】
〈処理ロータ〉
処理ロータ(50)は、二酸化炭素を捕捉及び脱離する。処理ロータ(50)は、厚い円板状に形成される。処理ロータ(50)は、厚さ方向に空気が通過できるように構成されている。処理ロータ(50)は、多孔性の基材と、二酸化炭素を捕捉する捕捉剤とを備える。
【0039】
処理ロータ(50)に被処理空気を通過させると、被処理空気に含まれる二酸化炭素が基材表面の捕捉剤に捕捉される。これにより、被処理空気から二酸化炭素を除去する。所定の温度まで温められた再生用空気を処理ロータ(50)に通過させると、捕捉剤から二酸化炭素が脱離される。これにより、処理ロータ(50)を再生する。
【0040】
処理ロータ(50)の基材は、メソポーラスシリカ、多孔質ポリマー、又は樹脂等の材料が用いられる。処理ロータ(50)の捕捉剤は、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、又はポリエチレンイミン(PEI)等の二酸化炭素を吸収できる物質が用いられる。捕捉剤として用いられるこれらの物質は、基材に浸み込んでいる。
【0041】
処理ロータ(50)は、処理側通路(20)と再生側通路(30)のそれぞれを横断するように設けられる。処理ロータ(50)は、その中心軸回りに回転可能である。処理ロータ(50)は、図外のモータによって回転駆動され、処理側通路(20)と再生側通路(30)との間を連続的に移動する。処理ロータ(50)は、処理ゾーン(51)と、再生ゾーン(52)とに区分される。
【0042】
処理ゾーン(51)及び再生ゾーン(52)は、処理ロータ(50)と同心の扇形状の部分である。処理ゾーン(51)は、処理ロータ(50)のうち処理側通路(20)を横断する部分である。再生ゾーン(52)は、処理ロータ(50)のうち再生側通路(30)を横断する部分である。処理ゾーン(51)では、被処理空気に含まれる二酸化炭素を捕捉する。再生ゾーン(52)では、ヒータ(H)が加熱した再生用空気によって処理ロータ(50)を再生する。
【0043】
空気処理装置(10)は、被処理空気に含まれる二酸化炭素を処理ロータ(50)の処理ゾーン(51)に捕捉させて、処理ゾーン(51)を通過して二酸化炭素が除去された被処理空気を室内空間(11)へ供給する。空気処理装置(10)は、ヒータ(H)によって加熱された再生用空気を処理ロータ(50)の再生ゾーン(52)に通過させて、再生ゾーン(52)で脱離した二酸化炭素を含んだ再生用空気を室外へ排出する。
【0044】
〈温度センサ〉
空気処理装置(10)は、第1温度センサ(61)と第2温度センサ(62)とを備える。第1温度センサ(61)は、第1導入路(41)における第1ファン(F1)の上流側に配置される。第1温度センサ(61)は、室内空気(RA)の温度を検出する。第2温度センサ(62)は、第2導入路(42)における第2ファン(F2)の上流側に配置される。第2温度センサ(62)は、室外空気(OA)の温度を検出する。
【0045】
〈切替部〉
切替部(S)は、再生側通路(30)を第1状態と、第2状態と、第3状態とに状態を切り替えるためのものである。第1状態では、再生側通路(30)を室内空気(RA)のみが再生用空気として流れる。第2状態では、再生側通路(30)を室内空気(RA)と室外空気(OA)との混合空気が再生用空気として流れる。第3状態では、再生側通路(30)を室外空気(OA)のみが再生用空気として流れる。
【0046】
本開示の切替部(S)は、第1ダンパ(D1)及び第2ファン(F2)によって構成される。
【0047】
第1状態では、第1ファン(F1)が稼働した状態で、第1ダンパ(D1)を第1導入路(41)が第1処理路(21)と第3導入路(43)の両方に連通する状態に設定するとともに、第2ファン(F2)を停止する。
【0048】
第1ファン(F1)が稼働した状態で第1ダンパ(D1)を上記のように調節するので、処理側通路(20)に室内空気(RA)が流れるとともに、第3導入路(43)を介して再生側通路(30)に室内空気(RA)が流れる。第2ファン(F2)が停止しているので、第2導入路(42)から再生側通路(30)に室外空気(OA)が流入しない。これにより、処理側通路(20)には、被処理空気として室内空気(RA)が流れるとともに、再生側通路(30)には、再生用空気として室内空気(RA)が流れる。
【0049】
第2状態では、第1ファン(F1)を稼働した状態で、第1ダンパ(D1)を第1導入路(41)が第1処理路(21)と第3導入路(43)の両方に連通する状態に設定するとともに、第2ファン(F2)を稼働する。
【0050】
第1ファン(F1)が稼働した状態で第1ダンパ(D1)を上記のように調節するので、処理側通路(20)に室内空気(RA)が流れるとともに、第3導入路(43)を介して再生側通路(30)に室内空気(RA)が流れる。第2ファン(F2)が稼働しているので、第2導入路(42)から再生側通路(30)に室外空気(OA)が流入する。これにより、処理側通路(20)には、被処理空気として室内空気(RA)が流れるとともに、再生側通路(30)には、再生用空気として室内空気(RA)と室外空気(OA)との混合空気が流れる。
【0051】
第3状態では、第1ファン(F1)を稼働した状態で、第1ダンパ(D1)を第1処理路(21)にのみ連通する状態に設定するとともに、第2ファン(F2)を稼働する。
【0052】
第1ファン(F1)が稼働した状態で第1ダンパ(D1)を上記のように調節するので、処理側通路(20)には室内空気(RA)が流れるが、第3導入路(43)を介して再生側通路(30)には室内空気(RA)が流れない。第2ファン(F2)が稼働しているので、第2導入路(42)から再生側通路(30)に室外空気(OA)が流入する。これにより、処理側通路(20)には、被処理空気として室内空気(RA)が流れるとともに、再生側通路(30)には、再生用空気として室外空気(OA)が流れる。
【0053】
〈制御部〉
制御部(90)は、切替部(S)を動作させるためのものである。制御部(90)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウェアを格納するメモリディバイス(具体的には、半導体メモリ)とを含む。制御部(90)には、第1温度センサ(61)と第2温度センサ(62)の検出値が入力される。制御部(90)は、入力された検出値に応じて、切替部(S)を動作させ、再生側通路(30)の状態を切り替える。
【0054】
-運転動作-
次に、空調システム(1)の運転動作について説明する。空調システム(1)の運転時には、空気処理装置(10)において処理ロータ(50)が回転駆動され、第1ファン(F1)が稼働する。空気処理装置(10)は、第1動作と、第2動作と、第3動作とを選択的に行う。
【0055】
第1動作は、再生側通路(30)を第1状態にする動作である。第1動作は、室内空気(RA)が被処理空気として処理側通路(20)を流れ、室内空気(RA)が再生用空気として再生側通路(30)を流れる動作である。
【0056】
第2動作は、再生側通路(30)を第2状態にする動作である。第2動作は、室内空気(RA)が被処理空気として処理側通路(20)を流れ、室内空気(RA)と室外空気(OA)との混合空気が再生用空気として再生側通路(30)を流れる動作である。
【0057】
第3動作は、再生側通路(30)を第3状態にする動作である。第3動作は、室内空気(RA)が被処理空気として処理側通路(20)を流れ、室外空気(OA)が再生用空気として再生側通路(30)を流れる動作である。
【0058】
空気処理装置(10)は、第1温度センサ(61)及び第2温度センサ(62)の検出値に応じて、第1~第3動作のうちいずれか1つを選択して行う。第1~第3動作について、詳細に説明する。
【0059】
〈第1動作〉
例えば、冬季には室内が暖房されているため、室内空気(RA)の温度が室外空気(OA)の温度よりも高くなる。この場合に、空気処理装置(10)は、第1動作を行う。
【0060】
第1温度センサ(61)及び第2温度センサ(62)が室内及び室外の温度を検出すると、各センサ(61,62)からの検出値が制御部(90)に入力される。制御部(90)に検出値が入力されると、制御部(90)では、第1温度センサ(61)の値(T1)と第2温度センサ(62)の値(T2)のどちらの値が大きいかが判定される。判定の結果、T1>T2+αであれば、再生側通路(30)を第1状態にするための制御信号が制御部(90)から切替部(S)に出力され、切替部(S)の切替動作が行われる。αは、例えば5℃である。
【0061】
上記の切替動作では、第1ダンパ(D1)は、第1導入路(41)が第1処理路(21)と第3導入路(43)の両方に連通する状態に設定されるとともに、第2ファン(F2)はその動作を停止する。
【0062】
室内空間(11)から第1導入路(41)に室内空気(RA)が流入する。第1導入路(41)に流入した室内空気(RA)は、第1ダンパ(D1)によって、第3導入路(43)に分流される。
【0063】
第1ダンパ(D1)を通過して第1導入路(41)を流れ続けた室内空気(RA)は、被処理空気として第1処理路(21)に流入する。第1処理路(21)に流入した室内空気(RA)は、処理ロータ(50)の処理ゾーン(51)に流入する。処理ゾーン(51)では、被処理空気中の二酸化炭素が処理ロータ(50)に捕捉される。
【0064】
二酸化炭素が除去された被処理空気は、第2処理路(22)を通過して、供給空気(SA)として室内空間(11)に供給される。これにより、室内空間(11)の二酸化炭素が除去される。室内空間(11)の空気の一部は、還気口(11a)から再び第1導入路(41)に流入する。
【0065】
一方、第3導入路(43)に流入した室内空気(RA)は、第2導入路(42)に流入した後、第1再生路(31)に再生用空気として流入する。
【0066】
ここで、第1ダンパ(D1)が上記のように設定されるので、第3導入路(43)を介して第1再生路(31)に、室外空気(OA)よりも温かい室内空気(RA)が流れ込む。第2ファン(F2)を停止しているので、第2導入路(42)から第1再生路(31)に温度の低い室外空気(OA)が流入しない。これにより、第1再生路(31)には、室外空気(OA)よりも温度の高い室内空気(RA)が再生用空気として流れる。
【0067】
第1再生路(31)に流入した再生用空気は、ヒータ(H)を通過する際に加熱される。このとき、再生用空気として第1再生路(31)に冷たい室外空気(OA)を流入させる場合に比べて、ヒータ(H)の加熱量を抑えられる。
【0068】
再生用空気はヒータ(H)で加熱された後、処理ロータ(50)の再生ゾーン(52)に流入する。再生用空気が再生ゾーン(52)を通過する際に、再生ゾーン(52)では、捕捉剤に捕捉された二酸化炭素が脱離する。再生ゾーン(52)を通過した再生用空気は、第2再生路(32)を通過して、排出空気(EA)として室外へ排出される。
【0069】
〈第2動作〉
例えば、春季及び秋季のように、室内空気(RA)の温度が室外空気(OA)の温度とほぼ同じような場合に、空気処理装置(10)は、第2動作を行う。
【0070】
第1温度センサ(61)及び第2温度センサ(62)からの検出値が制御部(90)に入力されると、制御部(90)では、第1温度センサ(61)の値(T1)と第2温度センサ(62)の値(T2)のどちらの値が大きいか判定される。判定の結果、T2-α≦T1≦T2+αであれば、再生側通路(30)を第2状態にするための制御信号が制御部(90)から切替部(S)に出力され、切替部(S)の切替動作が行われる。
【0071】
上記の切替動作では、第1ダンパ(D1)は、第1導入路(41)が第1処理路(21)と第3導入路(43)の両方に連通する状態に設定されるとともに、第2ファン(F2)は稼働する。
【0072】
室内空気(RA)が第1導入路(41)を介して処理側通路(20)に流入し、二酸化炭素の捕捉が行われる動作は、第1動作と同様である。
【0073】
一方、第3導入路(43)に流入した室内空気(RA)は、第2導入路(42)に流入する際に、第2導入路(42)を流れてきた室外空気(OA)と合流して混合空気となる。この混合空気は、再生用空気として第1再生路(31)に流入する。
【0074】
ところで、室外空気(OA)は室内空気(RA)に比べて二酸化炭素の濃度が低い。二酸化炭素濃度の低い室外空気(OA)を処理ロータ(50)の再生に用いると、二酸化炭素の脱離量を多くできる。言い換えると、処理ロータ(50)の再生量を多くできる。
【0075】
第1再生路(31)に流入した混合空気は、ヒータ(H)で加熱された後、処理ロータ(50)の再生ゾーン(52)に流入する。再生用空気に室外空気(OA)が含まれているので、処理ロータ(50)の再生量は多くなる。この後の再生用空気の流れは、第1動作と同様である。
【0076】
〈第3動作〉
例えば、夏季には室内が冷房されているため、室内空気(RA)の温度が室外空気(OA)の温度よりも低くなる。この場合に、空気処理装置(10)は、第3動作を行う。
【0077】
第1温度センサ(61)及び第2温度センサ(62)からの検出値が制御部(90)に入力されると、制御部(90)では、第1温度センサ(61)の値(T1)と第2温度センサ(62)の値(T2)のどちらの値が大きいか判定される。判定の結果、T1<T2-αであれば、再生側通路(30)を第3状態にするための制御信号が制御部(90)から切替部(S)に出力され、切替部(S)の切替動作が行われる。
【0078】
上記の切替動作では、第1ダンパ(D1)は、第1処理路(21)にのみ連通する状態に設定されるとともに、第2ファン(F2)が稼働する。
【0079】
室内空気(RA)が第1導入路(41)を介して処理側通路(20)に流入し、二酸化炭素の捕捉が行われる動作は、第1動作と同様である。
【0080】
上記のように第1ダンパ(D1)が設定されているので、第3導入路(43)には室内空気(RA)が流入しない。一方、第2ファン(F2)が稼働することにより、室外空気(OA)が第2導入路(42)を介して第1再生路(31)に再生用空気として流入する。
【0081】
第1再生路(31)に流入した再生用空気は、ヒータ(H)で加熱される。ここで、室外空気(OA)の温度は、室内空気(RA)の温度よりも高いので、再生用空気として第1再生路(31)に冷たい室内空気(RA)を流入させる場合に比べて、ヒータ(H)の加熱量を抑えられる。
【0082】
再生用空気はヒータ(H)で加熱された後、処理ロータ(50)の再生ゾーン(52)に流入する。この後の再生用空気の流れは、第1動作と同様である。
【0083】
-実施形態1の特徴(1)-
本実施形態の空気処理装置(10)の再生側通路(30)は、再生用空気が処理ロータ(50)を1度だけ通過するように構成されている。空気処理装置(10)は、室内空気(RA)が被処理空気として処理側通路(20)を流れ、室内空気(RA)が再生用空気として再生側通路(30)を流れる第1動作を行う。
【0084】
例えば、室内空気(RA)の温度が室外空気(OA)の温度よりも高い場合、室内空気(RA)が再生用空気として再生側通路(30)を流れるので、再生用空気をヒータ(H)で加熱する際に、温度の低い室外空気(OA)を加熱する場合に比べて、再生用空気の加熱量を抑制できる。これにより、処理ロータ(50)の再生に必要なエネルギーを低減できる。
【0085】
-実施形態1の特徴(2)-
本実施形態の空気処理装置(10)は、再生側通路(30)を第1状態と第2状態とに切り替える切替部(S)を備える。第1状態では、再生側通路(30)を室内空気(RA)のみが再生用空気として流れる。第2状態では、再生側通路(30)を室内空気(RA)と室外空気(OA)との混合空気が再生用空気として流れる。
【0086】
本実施形態の空気処理装置(10)では、切替部(S)によって、室内空気(RA)と混合空気とを選択的に再生用空気として処理ロータ(50)に供給できる。
【0087】
室外空気(OA)は室内空気(RA)に比べて二酸化炭素の濃度が低い。二酸化炭素濃度の低い室外空気(OA)を処理ロータ(50)の再生に用いると、二酸化炭素の脱離量を多くできる。言い換えると、処理ロータ(50)の再生量を多くできる。本実施形態の空気処理装置(10)は、切替部(S)によって再生側通路(30)を第1状態と第2状態とに切り替えられる。第1状態では、再生用空気として室内空気(RA)が流れるので処理ロータ(50)の再生に必要なエネルギーを抑制できる。第2状態では、再生用空気として混合空気が流れるので、処理ロータ(50)の再生エネルギーを抑制しつつ処理ロータ(50)の再生量を多くできる。
【0088】
-実施形態1の特徴(3)-
本実施形態の空気処理装置(10)は、再生側通路(30)を第1状態と第3状態とに切り替える切替部(S)を備える。第3状態では、再生側通路(30)を室外空気(OA)のみが再生用空気として流れる。
【0089】
本実施形態の空気処理装置(10)では、切替部(S)によって、室内空気(RA)と室外空気(OA)とを選択的に再生用空気として処理ロータ(50)に供給できる。
【0090】
切替部(S)によって再生側通路(30)を第1状態と第3状態とに切り替えられるので、必要に応じて再生側通路(30)を第3状態にすることで、処理ロータ(50)の再生量を多くするができる。
【0091】
-実施形態1の特徴(4)-
本実施形態の空気処理装置(10)は、第1温度センサ(61)及び第2温度センサ(62)を備える。第1温度センサ(61)は、室内空気(RA)の温度を検出する。第2温度センサ(62)は、室外空気(OA)の温度を検出する。切替部(S)は、第1温度センサ(61)及び第2温度センサ(62)の検出値に応じて、再生側通路(30)の状態を切り替える。
【0092】
本実施形態の空気処理装置(10)では、室外空気(OA)の温度と室内空気(RA)の温度との相対的な関係に応じて、再生用空気として処理ロータ(50)に送られる空気を変更できる。これにより、再生用空気の加熱量を抑制するように空気処理装置を運転できる。
【0093】
-実施形態1の変形例-
〈変形例1〉
図2に示すように、本実施形態の空気処理装置(10)では、切替部(S)は、第1ダンパ(D1)及び第2ダンパ(D2)によって構成されてもよい。
【0094】
具体的には、第1ダンパ(D1)は、第3導入路(43)の配置されている。第2ダンパ(D2)は、第2導入路(42)に配置されている。第2ダンパ(D2)は、第2導入路(42)における第2ファン(F2)よりも下流側に配置されている。
【0095】
切替部(S)は、再生側通路(30)を第1状態と、第2状態と、第3状態とに状態を切り替える。本変形例では、切替部(S)が再生側通路(30)の状態を切り替えるとき、第1ファン(F1)及び第2ファン(F2)は稼働している。
【0096】
第1状態では、第1ダンパ(D1)は開き、第2ダンパ(D2)は閉じている。
【0097】
切替部(S)が再生側通路(30)を第1状態に切り替えると、第1導入路(41)に流入した室内空気(RA)は、第1処理路(21)に流れるとともに、第3導入路(43)及び第1ダンパ(D1)を経由して第2導入路(42)に流入する。ここで、第2ダンパ(D2)は閉じているので、室外空気(OA)は第2ダンパ(D2)を通過できない。これにより、第1再生路(31)には、再生用空気として室内空気(RA)のみが流入する。
【0098】
第2状態では、第1ダンパ(D1)は開き、第2ダンパ(D2)も開いている。
【0099】
切替部(S)が再生側通路(30)を第2状態に切り替えると、第1導入路(41)に流入した室内空気(RA)は、第1状態と同様に、第1処理路(21)に流れるとともに、第3導入路(43)を経由して第2導入路(42)に流入する。ここで、第2ダンパ(D2)は開いているので、第2導入路(42)における第3導入路(43)との接続部分で、第2導入路(42)に流入した室外空気(OA)と第3導入路(43)に流入した室内空気(RA)とが混合空気となり、この混合空気が再生用空気として第1再生路(31)に流入する。
【0100】
第3状態では、第1ダンパ(D1)は閉じ、第2ダンパ(D2)が開いている。
【0101】
切替部(S)が再生側通路(30)を第3状態に切り替えると、第1導入路(41)に流入した室内空気(RA)は、第1処理路(21)に流れる。ここで、第1ダンパ(D1)は閉じているので、室内空気(RA)は、第1ダンパ(D1)を通過できず、第2導入路(42)に流入できない。第2ダンパ(D2)は開いているので、第2導入路(42)には室外空気(OA)のみが流入する。そして、第2導入路(42)を通過した室外空気(OA)は、第1再生路(31)に流入する。
【0102】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態の空調システム(1)は、実施形態1の空調システム(1)において、全熱交換器(73)を有する換気装置(70)を追加したものである。ここでは、本実施形態の空調システム(1)について、実施形態1の空調システム(1)と異なる点を説明する。
【0103】
図3に示すように、本実施形態の空調システム(1)は、空気処理装置(10)と換気装置(70)とを備える。換気装置(70)は、室内空気(RA)を室外へ排出し、室外空気(OA)を室内空間(11)へ供給する。換気装置(70)は、室内空間(11)と空気処理装置(10)とに連結されている。空気処理装置(10)は、実施形態1と同様の構成である。
【0104】
-換気装置-
換気装置(70)は、給気側通路(71)と、排気側通路(72)と、全熱交換器(73)とを有する。
【0105】
給気側通路(71)は、室外空気(OA)を室内空間(11)へ供給するための通路である。給気側通路(71)は、その一端が室外に開口し、その他端が室内空間(11)に開口している。
【0106】
給気側通路(71)における全熱交換器(73)よりも下流側の途中には、空気処理装置(10)の第2導入路(42)の流入端が接続されている。言い換えると、室外空気(OA)は、第2導入路(42)と給気側通路(71)とに分かれて流入する。
【0107】
給気側通路(71)には、第2ファン(F2)と第2ダンパ(D2)が配置されている。
【0108】
第2ファン(F2)は、室外空気(OA)を室内空間(11)及び処理ロータ(50)へ送るためのものである。第2ファン(F2)は、給気側通路(71)における、全熱交換器(73)よりも下流側に配置されている。
【0109】
第2ダンパ(D2)は、給気側通路(71)に流入した室外空気(OA)を、給気側通路(71)と第2導入路(42)とに分配するためのものである。第2ダンパ(D2)は、給気側通路(71)における第2導入路(42)との接続部分に配置される。第2ダンパ(D2)は、給気側通路(71)を室内空間(11)だけに連通させる状態と、給気側通路(71)を室内空間(11)と第2導入路(42)の両方に連通させる状態とに切り替わる。
【0110】
排気側通路(72)は、室内空気(RA)を室外へ排出するための通路である。排気側通路(72)は、その一端が空気処理装置(10)の再生側通路(30)の流出端と接続し、その他端が室外に開口している。
【0111】
全熱交換器(73)は、給気側通路(71)及び排気側通路(72)を横断するように配置される。全熱交換器(73)は、第1空気流路(73a)と第2空気流路(73b)とが形成された熱交換器である。全熱交換器(73)は、第1空気流路(73a)が給気側通路(71)と連通し、第2空気流路(73b)が排気側通路(72)と連通するように、ケーシング(74)内に配置される。
【0112】
全熱交換器(73)は、第1空気流路(73a)を流れる室外空気(OA)と、第2空気流路(73b)を流れる室内空気(RA)との間で顕熱と水分(潜熱)を交換させる。言い換えると、全熱交換器(73)は、処理ロータ(50)の再生ゾーン(52)を通過した再生用空気を室外空気(OA)と熱交換させる。これにより、再生用空気に含まれる熱を、第1空気流路(73a)を流れる室外空気(OA)に回収することができる。
【0113】
換気装置(70)では、全熱交換器(73)を通過した再生用空気を室外へ排出し、全熱交換器(73)を通過した室外空気(OA)を室内空間(11)へ供給する。全熱交換器(73)は、本開示の熱交換器(73)に対応する。
【0114】
再生用空気の熱を吸収した室外空気(OA)は、室内空間(11)に供給されるとともに、第2導入路(42)を介して再生側通路(30)に供給される。これにより、熱を吸収した室外空気(OA)が室内空間(11)に供給されることで、室内の暖房の負荷を低減できる。熱を吸収した室外空気(OA)が再生側通路(30)に供給されることで、ヒータ(H)の加熱量を抑制することができる。
【0115】
-実施形態2の特徴(1)-
本実施形態の空調システム(1)は、空気処理装置(10)と換気装置(70)とを備える。換気装置(70)は、再生ゾーン(52)を通過した再生用空気を室外空気と熱交換させる全熱交換器(73)を有する。換気装置(70)は、全熱交換器(73)を通過した再生用空気を室外へ排出し、全熱交換器(73)を通過した室外空気(OA)を室内へ供給する。
【0116】
本実施形態の空調システム(1)では、全熱交換器(73)によって、室内空間(11)へ供給される室外空気(OA)を、空気処理装置(10)のヒータ(H)で加熱された再生用空気と熱交換させることで、再生用空気の熱を回収できる。再生用空気の熱を吸収した室外空気(OA)を再生側通路(30)に流入させることで、ヒータ(H)の加熱量を抑制することができる。これにより、処理ロータ(50)の再生に必要はエネルギーを抑制できる。
【0117】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。本実施形態の空調システム(1)は、実施形態1の空調システム(1)において、熱交換器(73)を追加したものである。ここでは、本実施形態の空調システム(1)について、実施形態1の空調システム(1)と異なる点を説明する。
【0118】
図4に示すように、本実施形態の空調システム(1)は、空気処理装置(10)と、2つの熱交換器(73)とを備える。空気処理装置(10)は、実施形態1と同様の構成である。
【0119】
2つの熱交換器(73)は、第1熱交換器(76)及び第2熱交換器(77)によって構成される。第1熱交換器(76)は、第2熱交換器(77)と連結されている。第1熱交換器(76)と、第2熱交換器(77)との間には、熱媒体が流れている。熱媒体は、例えば水である。第1熱交換器(76)と第2熱交換器(77)との間には、ポンプ(P)が配置されている。ポンプ(P)は、第1熱交換器(76)及び第2熱交換器(77)の間を流れる熱媒体を循環させるためのものである。
【0120】
第1熱交換器(76)は、第2再生路(32)に設けられている。第2熱交換器(77)は、第2導入路(42)における第2ファン(F2)の下流側に設けられている。ここで、第2再生路(32)を流れる再生用空気は、ヒータ(H)によって温められた空気であるため、温度が高い。第1熱交換器(76)は、第2再生路(32)を通過する再生用空気を熱媒体と熱交換させる。
【0121】
第2再生路(32)を流れる再生用空気の熱を吸収した熱媒体は、第2熱交換器(77)へ流れる。第2熱交換器(77)は、第2導入路(42)を通る室外空気(OA)を熱媒体と熱交換させる。第2熱交換器(77)では、再生用空気から吸熱した熱媒体が第2導入路(42)を通る室外空気(OA)に対して放熱する。
【0122】
これにより、温度の低い室外空気(OA)が第2導入路(42)に流入した場合でも、再生用空気の排熱を再利用できるので、ヒータ(H)の加熱量を低減できる。
【0123】
《実施形態4》
実施形態4について説明する。本実施形態の空調システム(1)は、実施形態1の空調システム(1)において、ヒータ(H)を冷媒回路(80)の凝縮器(82)に変更したものである。ここでは、本実施形態の空調システム(1)について、実施形態1の空調システム(1)と異なる点を説明する。
【0124】
図5に示すように、本実施形態の空調システム(1)は、空気処理装置(10)と冷媒回路(80)とを備える。冷媒回路(80)は、空気処理装置(10)における処理ロータ(50)の上流側に配置される。空気処理装置(10)の基本的な構成は、実施形態1と同様である。
【0125】
-冷媒回路-
冷媒回路(80)は、圧縮機(81)と、凝縮器(82)と、膨張弁(83)と、蒸発器(84)とを配管で接続することによって形成された閉回路である。
【0126】
圧縮機(81)を作動させると、冷媒回路(80)を冷媒が循環し、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。圧縮機(81)は、吸入した低圧のガス冷媒を圧縮して高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機(81)から吐出された高圧のガス冷媒は、凝縮器(82)へ送られる。
【0127】
凝縮器(82)は、再生側通路(30)の第1再生路(31)に配置される。凝縮器(82)は、第1再生路(31)を流れる再生用空気を、圧縮機(81)から吐出された高圧のガス冷媒と熱交換させて加熱する。凝縮器(82)から流出した高圧の液冷媒は、膨張弁(83)で減圧されて、蒸発器(84)へ送られる。
【0128】
蒸発器(84)は、処理側通路(20)の第1処理路(21)に配置される。蒸発器(84)は、第1処理路(21)を流れる被処理空気を、膨張弁(83)から流出した低圧の液冷媒と熱交換させて冷却する。蒸発器(84)から流出した低圧のガス冷媒は、圧縮機(81)へ送られる。凝縮器(82)は、本開示の加熱部に対応する。
【0129】
このように、冷媒回路(80)の蒸発器(84)によって室内空気(RA)の熱を回収し、冷媒回路(80)の凝縮器(82)によって再生用空気を加熱できる。これにより、処理ロータ(50)の再生に必要なエネルギーを抑制できる。
【0130】
-実施形態4の変形例-
〈変形例1〉
図6に示すように、本実施形態の空調システム(1)では、冷媒回路(80)が空気処理装置(10)における処理ロータ(50)の下流側に配置されてもよい。
【0131】
具体的には、本変形例の空調システム(1)は、空気処理装置(10)と、冷媒回路(80)と、ダクト(86)とを備える。ダクト(86)には、室内空気(RA)が循環している。ダクト(86)は、その一端及び他端が室内空間(11)に開口している。
【0132】
冷媒回路(80)の蒸発器(84)は、第2処理路(22)に配置される。蒸発器(84)は、第2処理路(22)を流れる被処理空気を、膨張弁(83)から流出した低圧の液冷媒と熱交換させて冷却する。蒸発器(84)で冷却された被処理空気は、供給空気(SA)として室内空間(11)に供給される。蒸発器(84)から流出した低圧のガス冷媒は、圧縮機(81)へ送られる。
【0133】
圧縮機(81)から吐出された高圧のガス冷媒は、凝縮器(82)へ送られる。凝縮器(82)は、ダクト(86)を流れる室内空気(RA)を、圧縮機(81)から吐出された高圧のガス冷媒と熱交換させて加熱する。凝縮器(82)で加熱された空気は、ダクト(86)を流れて室内空間(11)に供給される。凝縮器(82)から流出した液冷媒は、膨張弁(83)で減圧されて、蒸発器(84)へ送られる。
【0134】
このように、冷媒回路(80)が暖房として機能している場合、室内空気(RA)が蒸発器(84)に直接入る場合に比べて、蒸発器(84)での冷媒の蒸発温度が高くなる。このため、圧縮機(81)の消費電力が減少する。
【0135】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0136】
上記各実施形態の空調システム(1)において、有害物質は、二酸化炭素以外の物質でのよい。例えば、VOC等でもよい。
【0137】
上記各実施形態の被処理空気が処理ロータ(50)の軸方向の一方の面から他方の面へ向かって流れているときに、再生用空気は処理ロータ(50)の軸方向の他方の面から一方の面へ向かって流れてもよい。
【0138】
上記各実施形態の処理ロータ(50)には、パージゾーンを設けてもよい。パージゾーンは、処理ゾーン(51)と再生ゾーン(52)との間に設けられ、ヒータ(H)で加熱した空気が通過することによって温められた再生ゾーン(52)を冷却するための部分である。
【0139】
上記実施形態2の換気装置(70)は、全熱交換器(73)に代えて、顕熱交換器を備えてもよい。顕熱交換器は、第1空気流路の空気と第2空気流路(73b)の空気との間で顕熱だけを交換させる。
【0140】
上記実施形態2の換気装置(70)において、室外空気(OA)は、室内空間(11)及び再生側通路(30)のいずれか一方に供給されてもよい。
【0141】
上記実施形態3の第2熱交換器(77)は、室内空気(RA)を熱媒体と熱交換させてもよい。この場合、第2再生路(32)を通過する再生用空気の排熱を、室内空気(RA)の加熱に用いることができる。
【0142】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、及びその他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上説明したように、本開示は、空気処理装置、及び空調システムについて有用である。
【符号の説明】
【0144】
1 空調システム
10 空気処理装置
20 処理側通路
30 再生側通路
50 処理ロータ
61 第1温度センサ
62 第2温度センサ
70 換気装置
73 全熱交換器(熱交換器)
H ヒータ(加熱部)
S 切替部