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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】浴槽洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20241002BHJP
   F24H 15/196 20220101ALI20241002BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
F24H15/196 301L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020158172
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052025
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】藤原 克博
(72)【発明者】
【氏名】市丸 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】濱田 誠
(72)【発明者】
【氏名】後藤 洋明
(72)【発明者】
【氏名】小幡 恭士
(72)【発明者】
【氏名】中塚 悠介
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-179500(JP,A)
【文献】特開平04-174615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
F24H 15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置から供給される湯水に洗剤を加えた洗浄液を浴槽に散布して浴槽を自動洗浄する浴槽洗浄装置を含む浴槽洗浄システムにおいて、
浴槽洗浄に係る情報を報知する報知手段を備え洗浄運転の開始操作を浴室の内部及び外部から行う為の複数の操作リモコンと、 浴槽の風呂蓋の開閉状態を検知する風呂蓋検知手段と、前記浴槽洗浄装置を制御する制御手段とを備え、
操作リモコンによる洗浄運転開始操作時に、前記風呂蓋検知手段で風呂蓋開と検知された場合には、洗浄運転開始を一時停止し、前記開始操作を行った操作リモコンを含む少なくとも1つの操作リモコンにより風呂蓋閉を促す報知を行い、
前記風呂蓋閉を促す報知を行った後に、その報知を行った操作リモコンにより洗浄運転開始の要否を選択可能に構成され、
前記洗浄運転開始が必要であると選択された後に、風呂蓋閉が検知されないまま浴槽洗浄を開始する場合には、浴槽に散布する洗浄液の噴射量を減らして洗浄運転を行うように構成したことを特徴とする浴槽洗浄システム。
【請求項2】
浴室操作リモコンにより風呂蓋閉を促す報知を行うことを特徴とする請求項1に記載の浴槽洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽洗浄装置を含む浴槽洗浄システムに関し、特に洗浄運転開始を指令した時に風呂蓋が閉じられていない場合の対策を講じた浴槽洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽の底部に洗浄ノズルを設け、浴槽の付近に給湯装置からの湯水を貯留する貯留タンク、バルブ類(開閉弁や定流量弁)、洗浄用ポンプ、逆止弁、流量センサ等を有する洗浄ユニットと、吐出される湯水に洗剤を供給する洗剤供給系等を設け、湯水に洗剤を加えた洗浄液を洗浄ノズルから浴槽の内面に噴射して浴槽の内面を自動的に洗浄する浴槽洗浄装置が実用化されている。
【0003】
上記の浴槽洗浄装置は、基本的には洗浄操作リモコンにより操作されるが、浴槽洗浄装置は給湯装置と信号授受可能に接続されており、浴室操作リモコンや台所操作リモコンによっても操作可能になっている。
しかも、最近では、給湯装置及び浴槽洗浄システムをインターネットを介してスマートフォン等によっても遠隔操作可能にしたいというニーズがある。
【0004】
ここで、浴槽を洗浄する際には風呂蓋を閉じておくことが必要である。
特許文献1には、光センサにより風呂蓋の有無を検知し、風呂蓋が開放状態のときは、洗浄湯の噴射を停止する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、洗浄運転開始時に、撮像手段により風呂蓋の開閉状態を検知し、風呂蓋が開状態のときはその旨の警報を報知したり、洗浄動作を禁止したりする技術が開示されている。
特許文献3には、浴槽のフランジ部に風呂蓋の有無を検知する検知手段を設け、風呂蓋が開状態のときは浴槽洗浄装置が動作しないように制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-224860号公報
【文献】特開2002-65493号公報
【文献】特開2007-298250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
浴槽洗浄装置を浴室外の操作リモコン(台所操作リモコンやスマートフォン)により遠隔操作する場合、浴槽の風呂蓋の開閉状態が分からないまま、洗浄運転開始を指令してしまうと、風呂蓋の開閉状態によらずに洗浄運転が開始されてしまう。
このとき、風呂蓋が開状態である場合には、浴室に多量の洗浄液が散布されて浴室が水浸しになったり、浴室内で乾燥中の衣類も濡れてしまったり、浴槽の洗浄効果も乏しくなるという問題がある。
【0008】
スマートフォン等により遠隔操作で浴槽洗浄装置を操作しようとすると、風呂蓋の開閉状態がわからないため、現状ではスマートフォン等により遠隔操作で浴槽洗浄装置を操作するようにはなっていない。
【0009】
本発明の目的は、操作リモコンから洗浄運転の開始を指令する場合に、風呂蓋の開閉状態に応じた制御を行うようにした浴槽洗浄システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の浴槽洗浄システムは、 給湯装置から供給される湯水に洗剤を加えた洗浄液を浴槽に散布して浴槽を自動洗浄する浴槽洗浄装置を含む浴槽洗浄システムにおいて、浴槽洗浄に係る情報を報知する報知手段を備え洗浄運転の開始操作を浴室の内部及び外部から行う為の複数の操作リモコンと、浴槽の風呂蓋の開閉状態を検知する風呂蓋検知手段と、前記浴槽洗浄装置を制御する制御手段とを備え、 操作リモコンによる洗浄運転開始操作時に、前記風呂蓋検知手段で風呂蓋開と検知された場合には、洗浄運転開始を一時停止し、前記開始操作を行った操作リモコンを含む少なくとも1つの操作リモコンにより風呂蓋閉を促す報知を行い、前記風呂蓋閉を促す報知を行った後に、その報知を行った操作リモコンにより洗浄運転開始の要否を選択可能に構成され、洗浄運転開始が必要であると選択された後に、風呂蓋閉が検知されないまま浴槽洗浄を開始する場合には、浴槽に散布する洗浄液の噴射量を減らして洗浄運転を行うように構成したことを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、洗浄運転開始操作時に風呂蓋開と検知された場合には、洗浄運転開始を一時停止し、開始操作を行った操作リモコンを含む少なくとも1つの操作リモコンにより風呂蓋閉を促す報知を行うため、例えば、スマートフォンから洗浄運転開始を指令した場合には、スマートフォンと台所操作リモコンにより報知を行うことができる。また、開始操作を行った操作リモコンが台所操作リモコンである場合は台所操作リモコンで報知してもよい。宅内の人により風呂蓋を閉める可能性を高めることができる。また、スマートフォンから洗浄運転開始を指令した場合には、例えば、台所操作リモコン又は浴室操作リモコンにより洗浄運転開始の要否を選択することができる。宅外からスマートフォンで洗浄運転開始を指令し、自宅が留守であっても浴槽洗浄が必要であるような場合に、浴槽洗浄を開始するときには浴槽に散布する洗浄液の噴射量を減らして洗浄運転を行う。これにより、洗浄力が下がるものの一応洗浄を行うことができ、浴室内への洗浄液の飛散を少なくすることができる。
【0012】
請求項2の浴槽洗浄システムは、浴室操作リモコンにより風呂蓋閉を促す報知を行うことを特徴としている。
浴室操作リモコンにより報知するため、浴室や脱衣室にいる人が報知を受けて、風呂蓋を閉める可能性が高くなる
【0013】
【0014】
【0015】
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のような種々の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る浴槽洗浄システムの構成図である。
図2】浴槽と風呂蓋と風呂蓋スイッチを示す斜視図である。
図3】洗浄運転開始制御のフローチャートである。
図4】(a)は、操作リモコンの画面に表示されたふろメニュー画面の例を示す図であり、(b)は洗浄運転の開始を指令した場合の表示画面の例を示す図である。
図5】風呂蓋閉を促す報知画面の例を示す図である。
図6】洗浄運転の開始の要否を選択する選択画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
最初に、浴槽洗浄装置10とその周辺機器を含む浴槽洗浄システムの全体構成について説明する。
図1に示すように、浴槽1には、浴槽1の湯張りや追焚きのための給湯装置2が湯張り追焚き配管3を介して接続され、配管3は浴槽1の循環アダプタ1aに接続されている。また、浴槽1の底部には、湯水を排水するための排水栓4と、洗剤と湯水を散布して浴槽1を洗浄するための洗浄ノズル5が配設されている。
図1図2に示すように浴槽1の蓋1cの開閉状態を検知する近接スイッチからなる風呂蓋検知スイッチ1sが浴槽1のフランジ部に設けられ、その検知信号は後述する制御部21へ供給されている。
【0020】
浴槽1の近傍には、洗浄ノズル5に洗剤と湯水を供給する洗浄ユニット6と、洗剤をためておく洗剤タンク7と、排水栓4の開閉操作を行うための排水スイッチ4aが配設されている。浴槽洗浄装置10は、洗浄ユニット6と洗剤タンク7と洗浄ノズル5を有し、複数の配管類によってこれらを接続して構成されている。
【0021】
洗浄ユニット6には、洗剤タンク7から洗剤を供給するための洗剤配管7aと、給湯装置2から湯水を供給するための給湯配管2aが接続されている。例えば浴室の天井に配設された電源通信ユニット8は、電源コードと通信コードにより給湯装置2に接続され、電源通信ユニット8と洗浄ユニット6は複数の駆動制御コードにより接続されている。浴室には浴室内の人の有無を検知する人感センサ9が設けられ、この人感センサ9は電源通信ユニット8に接続されている。
【0022】
給湯装置2は、例えば燃料の燃焼熱を利用して加熱した湯水を給湯する燃焼式給湯装置であるが、ヒートポンプ式熱源機を有する給湯装置等であってもよい。給湯装置2には、湯張り運転や追焚き運転の開始操作、給湯設定温度の設定操作等を行うための浴室操作リモコン11や台所操作リモコン12が接続されている。
【0023】
また、浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作等を行うための洗浄操作リモコン13が電源通信ユニット8及び給湯装置2に信号授受可能に接続されている。この洗浄操作リモコン13は脱衣室に設置されている。尚、リモコンとはリモートコントローラの略称である。台所操作リモコン12及び浴室操作リモコン11も、給湯装置2と電源通信ユニット8を介して浴槽洗浄装置10と通信可能である。
【0024】
台所操作リモコン12は、タッチ操作可能な表示部12aと音声出力部12bを有する。浴室操作リモコン11は、タッチ操作可能な表示部11aと、音声出力部11bを有する。洗浄操作リモコン13は、タッチ操作可能な表示部13aと、音声出力部材13bを有する。
【0025】
浴室操作リモコン11、台所操作リモコン12、洗浄操作リモコン13は、例えばルータ機能を備えた回線終端装置14によって構築された家庭内無線ネットワークを介してインターネット15に接続されている。インターネット15には、給湯装置2、浴槽洗浄装置10の提供者(製造者等)が設置したサーバ16が接続されている。
【0026】
サーバ16は、給湯装置2及び浴槽洗浄装置10のユーザが外出先でスマートフォン17等からインターネット15を介して操作を行うことができるように中継する。これら浴室操作リモコン11、台所操作リモコン12、洗浄操作リモコン13、スマートフォン17等は、浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作が可能なリモートコントローラである。
【0027】
浴槽洗浄装置10の洗浄ユニット6は、湯水を貯める貯留タンク22と、給湯配管2aに接続され且つ貯留タンク22に湯水を供給する湯水供給管23であって、2本の分岐通路23a,23bとこれら分岐通路23aが合流した合流通路23cを有する湯水供給管23と、この湯水供給管23に介装されたフィルタ24と、一方の分岐通路23aに上流側から順に介装された電磁開閉弁25a及び定流量弁26aと、他方の分岐通路23bに上流側から順に介装された電磁開閉弁25b及び定流量弁26bを有する。
【0028】
貯留タンク22には、低水位と高水位を検出可能なフロート式の水位検知計22aが設けられ、その検出信号は電源通信ユニット8内の制御部21に供給される。また、貯留タンク22にはオーバーフロー管22bも設けられている。
【0029】
更に、洗浄ユニット6は、貯留タンク22から洗浄ノブル5まで延びる吐出配管27と、この吐出配管27に上流側から順に介装されたポンプ28とサーミスタ29と2つの逆止弁30と流量センサ31と洗剤供給管7aが接続されたベンチュリ32等を有する。洗剤タンク7から延びる洗剤供給管7aには電磁開閉弁7cが介装されている。
【0030】
電源通信ユニット8に内蔵されている制御部21は、例えば演算部と記憶部と入出力部と時計回路を備えたマイクロコンピュータを備えており、記憶部に格納された制御プログラム等に基づいて洗浄運転に関連する機器や排水栓4の制御及び後述の洗浄運転開始制御を行う。
【0031】
この制御部21は、洗浄運転では、排水栓4を開け、湯水供給管23や洗剤供給管7aの電磁開閉弁25a,25b,7c等の開閉やポンプ28の駆動等を制御すると共に、洗浄運転の開始時刻又は終了時刻、洗浄コース、洗浄運転の回数(自動洗浄回数)等を含む洗浄運転履歴を記憶する。
【0032】
洗浄運転について説明する。
浴室操作リモコン11、台所操作リモコン12、洗浄操作リモコン13、スマートフォン17等の何れかの操作によって浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作が行われると、浴槽の蓋を閉じた状態で、制御部21は排水栓4を開き、貯留タンク22に湯水を貯めながら、ポンプ28を駆動して洗浄ノズル5に供給する湯水に洗剤を混合した洗浄液を洗浄ノズル5から噴射、散布する。
【0033】
1回の洗浄処理は、初期の湯水のみでの濯ぎ洗浄と、その後洗浄液を用いた複数回の洗浄及び待機動作と、最後の湯水のみでの濯ぎ洗浄とを含む。洗浄及び待機動作は、洗浄液を用いた洗浄動作と、この洗浄動作に続く待機動作とを含むものである。
【0034】
前記定流量弁26a,26bの流量は、例えば夫々5L/min、ポンプ28の吐出量は例えば6.5L/minであり、貯留タンク22内の水位が低水位になると、電磁開閉弁25a,25bが両方とも開弁されて10L/minの流量で湯水が供給され、また、貯留タンク22内の水位が高水位になると、電磁開閉弁25a,25bの一方が閉弁されて5L/minの流量で湯水が供給される。
【0035】
次に、制御部21により行なわれる洗浄運転開始制御について説明する。
図3に示すように、この制御が開始されると、操作リモコンから洗浄運転の開始指令を受信したか否か判定される。本実施形態では上記の操作リモコンはスマートフォン17である。
スマートフォン17により洗浄運転の開始を指令する場合、例えば、図4(a)に示すような「ふろメニュー画面」において、「ふろ洗浄」を選択し、図4(b)に示す「ふろ洗浄画面」において、「ふろ洗浄の開始」を選択することで、洗浄運転の開始を指令する。
【0036】
次に、S2では、風呂蓋検知スイッチ1sの検知信号を読み込み、S3では風呂蓋閉か否か判定され、その判定がYesのときはS4において浴槽1の排水栓開か否か判定され、排水栓閉の場合は、排水栓4を開けて排水する排水処理が実行されてからS6へ移行する。S4の判定がYesのときはS6において洗浄運転が開始され、この制御は終了する。
【0037】
他方、風呂蓋が開いている場合は、そのまま洗浄運転を開始するのは好ましくないため、S3からS7へ移行し、S7において洗浄運転開始が一時停止される。
次に、S8では開始指令を出した操作リモコン(スマートフォン17)と浴室操作リモコン11と台所操作リモコン12に風呂蓋閉を促す報知(文字表示と音声出力)が出される。例えば、スマートフォン17と台所操作リモコン12の画面には、例えば、図5に示すような「お風呂の蓋を閉めて下さい」という文字表示が出される。尚、開始指令を出した操作リモコンが台所操作リモコン12である場合は、台所操作リモコン12のみに報知を出してもよい。また、上記の報知は洗浄操作リモコン13にも出してもよい。
【0038】
次に、S9では、開始指令を出したスマートフォン17と浴室操作リモコン11と台所操作リモコン12に洗浄運転開始の要否選択画面が表示される。この場合、例えば、図6に示すような画面が表示される。
次のS10では、洗浄運転開始が必要か否か判定され、図6の画面で「続ける」を選択した場合は、S10の判定がYesとなってS11へ移行し、図6の画面で「やめる」を選択した場合は、S10の判定がNoとなり、その場合はS14へ移行する。
【0039】
S11では、風呂蓋閉か否か判定され、風呂蓋が開いている場合はS12へ移行し、S12においては、洗浄液の噴射量を例えば通常時の60%にして洗浄運転を開始し、この制御は終了する。S12において、洗浄液の噴射量を60%にするのは、噴射量100%で噴射すると、風呂蓋1cが開いているため洗浄液が浴室内に多量に飛散するからである。 そこで、噴射量を減らして洗浄運転を開始するようになっている。尚、上記の60%は一例であり、50~70%の間の適当な噴射量に設定してもよい。
【0040】
S3の判定の後で宅内の人が風呂蓋を閉めることもあり得る。その場合は、S11の判定がYesとなり、S11からS13へ移行する。S13では洗浄液の噴射量を通常の噴射量(100%の噴射量)で洗浄運転が開始され、その後この制御は終了する。
【0041】
S14においては、S8の報知後所定時間(例えば2分)の間に、風呂蓋閉が検知されず且つ何れかの操作リモコン11,12、13、17による操作がないか否か判定され、その判定がYesの場合はS15において洗浄運転が中止され、その後リターンする。S14の判定がNoの場合は、洗浄運転を中止することなくリターンする。尚、S14の判定がNoのときは風呂蓋開の可能性が高いため、S12と同様に洗浄液の噴射量を60%にして洗浄運転を開始してもよい。
【0042】
次に、上記の洗浄運転開始制御の作用、効果について説明する。
S4、S5において、排水栓4が開でないときは排水処理してから洗浄運転を開始するため、洗浄中に浴槽内に洗浄液が溜まることがなく、洗浄に支障を来すことがない。
【0043】
風呂蓋開のときは、洗浄運転開始を一時停止し(S7)、開始指令を出した操作リモコン(スマートフォン17)と台所操作リモコン12に風呂蓋閉を促す報知を出力するため、台所にいる人が風呂蓋を閉める可能性が高まる。或いは、スマートフォン17から宅内の人に電話して風呂蓋を閉めさせることもできる。
【0044】
S9では、開始指令を出したスマートフォン17と、台所操作リモコン12に、洗浄運転開始の要否選択画面を表示するため、浴槽が既に洗浄済みであるような場合など、宅内の状況や浴槽の状況に応じて洗浄運転開始の要否を選択することができる。
【0045】
S11、S12のように、風呂蓋開のまま洗浄運転を開始する場合には、洗浄液の噴射量を60%にして洗浄運転を開始するため、洗浄力は多少下がるものの、浴室に飛散する洗浄液を少なくすることができる。
【0046】
S14のように、S8の報知後所定時間(例えば2分)の間に、風呂蓋閉が検知されず且つ何れかの操作リモコン11,12、13、17による操作がないか否か判定し、Yesの場合は洗浄運転を中止するため、宅内に人がいない可能性が高い場合に、洗浄運転を中止することで、浴室の乾燥中の洗濯物を洗浄液で濡らしたり、浴室を洗浄液で水浸しにするのを防止できる。
【0047】
次に、前記実施形態を変更する例について説明する。
(1)風呂蓋検知スイッチ1sに代えて、浴槽1の4隅部に近接スイッチからなる4つの風呂蓋検知スイッチを設け、それら4つの全部の風呂蓋検知スイッチが風呂蓋開を検知した場合に、風呂蓋開と判定するように構成してもよい。
(2)風呂蓋検知スイッチは、近接スイッチ以外に光センサ、画像解析方式のセンサ等であってもよい。
【0048】
(3)その他、当業者ならば、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はその種の変更形態をも包含するものである。
【符号の説明】
【0049】
1 浴槽
1c 風呂蓋
1s 風呂蓋検知スイッチ
2 給湯装置
6 洗浄ユニット
8 電源通信ユニット
10 浴槽洗浄装置
11 浴室操作リモコン
12 台所操作リモコン
13 洗浄操作リモコン
17 スマートフォン
21 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6