(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20241002BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/06 L
(21)【出願番号】P 2020160996
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野内 義照
(72)【発明者】
【氏名】宮本 英一
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/239812(WO,A1)
【文献】特開2003-279090(JP,A)
【文献】特開2016-184197(JP,A)
【文献】特開2011-204062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外空間(S2)の空気を室内空間(S1)に供給する給気ファン(13)と、前記室内空間(S1)の空気を前記室外空間(S2)に排出する排気ファン(14)と、を含む換気装置(10)と、
前記換気装置(10)から前記室内空間(S1)の第1エリア(A1)へ供給される空気が通過する第1給気ダクト(21)と、
前記換気装置(10)から前記室内空間(S1)の第2エリア(A2)へ供給される空気が通過する第2給気ダクト(22)と、
前記第1エリア(A1)から前記換気装置(10)へ排出される空気が通過する第1還気ダクト(31)と、
前記第2エリア(A2)から前記換気装置(10)へ排出される空気が通過する第2還気ダクト(32)と、
前記第1エリア(A1)及び前記第2エリア(A2)のうち換気が必要なエリアを特定する特定部(50)と、
前記第1給気ダクト(21)、前記第2給気ダクト(22)、前記第1還気ダクト(31)及び前記第2還気ダクト(32)のそれぞれの風量を調整する風量調整部(40)と、
を備え、
前記特定部(50)は、
赤外線を受光して温度を検知し、前記温度から前記第1エリア(A1)及び前記第2エリア(A2)にいる感染症の罹患が疑われる者を検知可能なセンサ(51)を含み、前記センサ(51)の検知結果に基づいて、換気が必要なエリアを特定し、
前記風量調整部(40)は、前記特定部(50)が前記第1エリア(A1)を換気が必要なエリアとして特定した場合、前記第1給気ダクト(21)の風量(SA1)を前記第2給気ダクト(22)の風量(SA2)よりも相対的に少なくする第1調整及び前記第1還気ダクト(31)の風量(RA1)を前記第2還気ダクト(32)の風量(RA2)よりも相対的に多くする第2調整を行う、換気システム(1)。
【請求項2】
前記風量調整部(40)は、
開度を調整することで前記第1給気ダクト(21)の風量(SA1)を調整する第1給気量調整部(41)と、
開度を調整することで前記第2給気ダクト(22)の風量(SA2)を調整する第2給気量調整部(42)と、
開度を調整することで前記第1還気ダクト(31)の風量(RA1)を調整する第1還気量調整部(43)と、
開度を調整することで前記第2還気ダクト(32)の風量(RA2)を調整する第2還気量調整部(44)と、
を有し、
前記第1調整は、前記第1給気量調整部(41)の開度を前記第2給気量調整部(42)の開度よりも相対的に小さくする調整であり、
前記第2調整は、前記第1還気量調整部(43)の開度を前記第2還気量調整部(44)の開度よりも相対的に大きくする調整である、
請求項1に記載の換気システム(1,1a)。
【請求項3】
前記風量調整部(40)は、
開度を調整することで前記第1給気ダクト(21)の風量(SA1)を調整する第1給気量調整部(41)と、
開度を調整することで前記第2給気ダクト(22)の風量(SA2)を調整する第2給気量調整部(42)と、
開度を調整することで前記第1還気ダクト(31)の風量(RA1)を調整する第1還気量調整部(43)と、
開度を調整することで前記第2還気ダクト(32)の風量(RA2)を調整する第2還気量調整部(44)と、
を有し、
前記第1調整は、前記第1調整前よりも前記第1給気量調整部(41)の開度を小さくする制御、及び、前記第1調整前よりも前記第2給気量調整部(42)の開度を大きくする制御、の少なくとも一方を含み、
前記第2調整は、前記第2調整前よりも前記第1還気量調整部(43)の開度を大きくする制御、及び、前記第2調整前よりも前記第2還気量調整部(44)の開度を小さくする制御、の少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の換気システム(1,1a)。
【請求項4】
前記第1給気ダクト(21)及び前記第2給気ダクト(22)がそれぞれ前記室内空間(S1)に開口する給気位置(PS1、PS2)は、前記第1還気ダクト(31)及び前記第2還気ダクト(32)がそれぞれ前記室内空間(S1)に開口する還気位置(PR1、PR2)よりも上に位置する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の換気システム(1a)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内の換気を行う換気システムが知られている。特許文献1には、CO2センサの検出値が基準値を下回るように、複数の換気装置の運転台数を制御する換気システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、新型コロナウイルスによる集団感染の防止対策や、受動喫煙の防止対策が急務となっている。特に、感染者の飛沫や喫煙者の煙等の汚染粒子が室内に発生する状態で換気装置を使用すると、汚染粒子が換気装置により生じた気流に乗って拡散することで、発生源から離れた位置にいる在室者に汚染粒子が到達するおそれがある。汚染粒子が室内に拡散することを防止するために、より適切な気流により換気することができる換気システムが必要とされている。
【0005】
本開示は、より適切な気流により換気することができる換気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の換気システムは、室外空間の空気を室内空間に供給する給気ファンと、前記室内空間の空気を前記室外空間に排出する排気ファンと、を含む換気装置と、
前記換気装置から前記室内空間の第1エリアへ供給される空気が通過する第1給気ダクトと、
前記換気装置から前記室内空間の第2エリアへ供給される空気が通過する第2給気ダクトと、
前記第1エリアから前記換気装置へ排出される空気が通過する第1還気ダクトと、
前記第2エリアから前記換気装置へ排出される空気が通過する第2還気ダクトと、
前記第1エリア及び前記第2エリアのうち換気が必要なエリアを特定する特定部と、
前記第1給気ダクト、前記第2給気ダクト、前記第1還気ダクト及び前記第2還気ダクトのそれぞれの風量を調整する風量調整部と、
を備え、
前記風量調整部は、前記特定部が前記第1エリアを換気が必要なエリアとして特定した場合、前記第1給気ダクトの風量を前記第2給気ダクトの風量よりも相対的に少なくする第1調整及び前記第1還気ダクトの風量を前記第2還気ダクトの風量よりも相対的に多くする第2調整を行う。
【0007】
このように構成することで、汚染粒子が発生するなどにより換気が必要となったエリア(第1エリア)から他のエリア(第2エリア)に向かう気流の発生を抑制することができ、他のエリアが汚染粒子により汚染されることを抑制することができる。このように、本開示に係る換気システムによれば、より適切な気流により換気することができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記風量調整部は、
開度を調整することで前記第1給気ダクトの風量を調整する第1給気量調整部と、
開度を調整することで前記第2給気ダクトの風量を調整する第2給気量調整部と、
開度を調整することで前記第1還気ダクトの風量を調整する第1還気量調整部と、
開度を調整することで前記第2還気ダクトの風量を調整する第2還気量調整部と、
を有し、
前記第1調整は、前記第1給気量調整部の開度を前記第2給気量調整部の開度よりも相対的に小さくする調整であり、
前記第2調整は、前記第1還気量調整部の開度を前記第2還気量調整部の開度よりも相対的に大きくする調整である。
【0009】
開度の調整により各ダクトの風量を調整することで、第2エリアから第1エリアに向かう気流を生じさせることができる。これにより、より適切な気流により換気することができる。
【0010】
(3)好ましくは、前記風量調整部は、
開度を調整することで前記第1給気ダクトの風量を調整する第1給気量調整部と、
開度を調整することで前記第2給気ダクトの風量を調整する第2給気量調整部と、
開度を調整することで前記第1還気ダクトの風量を調整する第1還気量調整部と、
開度を調整することで前記第2還気ダクトの風量を調整する第2還気量調整部と、
を有し、
前記第1調整は、前記第1調整前よりも前記第1給気量調整部の開度を小さくする制御、及び、前記第1調整前よりも前記第2給気量調整部の開度を大きくする制御、の少なくとも一方を含み、
前記第2調整は、前記第2調整前よりも前記第1還気量調整部の開度を大きくする制御、及び、前記第2調整前よりも前記第2還気量調整部の開度を小さくする制御、の少なくとも一方を含む。
【0011】
開度の調整により各ダクトの風量を調整することで、第2エリアから第1エリアに向かう気流を生じさせることができる。これにより、より適切な気流により換気することができる。
【0012】
(4)好ましくは、前記第1給気ダクト及び前記第2給気ダクトがそれぞれ前記室内空間に開口する給気位置は、前記第1還気ダクト及び前記第2還気ダクトがそれぞれ前記室内空間S1に開口する還気位置よりも上に位置する。
【0013】
汚染粒子は一般に空気よりも重いため、汚染粒子が上方に移動すると、上方から再び下方に降りることで室内空間に拡散するおそれがある。これに対し、本開示のオプションによれば、給気位置を排気位置よりも上に位置させることで、室内空間において上方から下方に流れる気流を形成することができる。これにより、汚染粒子は室内空間の下方に移動するため、汚染粒子が拡散することをより確実に防止しつつ、より適切な気流により換気することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る換気システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る換気システムの制御状態を概略的に示す図である。
【
図3】本開示の第2実施形態に係る換気システムの構成及び制御状態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ、本開示の実施形態を説明する。
【0016】
[第1実施形態]
[換気システムの構成]
図1は、本開示の第1実施形態に係る換気システム1の構成を概略的に示す図である。換気システム1は、室内空間S1を換気するシステムである。換気システム1は、換気装置10と、給気部20と、還気部30と、風量調整部40と、特定部50と、制御部60とを備える。
【0017】
室内空間S1は、例えば1つの部屋内の全体を占める直方体状の空間である。室内空間S1は、第1エリアA1と、第2エリアA2と、を有する。第1エリアA1及び第2エリアA2は、それぞれ室内空間S1の一部を占める直方体状の空間である。第2エリアA2は、室内空間S1のうち第1エリアA1とは異なるエリアであり、第1エリアA1と水平方向に隣接するエリアである。
図1には、第1エリアA1と第2エリアA2とを区画する仮想面VP1を記載している。仮想面VP1は、鉛直方向に沿う面である。本実施形態では、室内空間S1に2つのエリアA1、A2がある例を挙げて説明するが、エリアの数は3つ以上であってもよい。
【0018】
換気装置10は、例えば室内空間S1を形成する部屋の天井裏に設置される。換気装置10は、ケーシング12と、ケーシング12内にそれぞれ内蔵された給気ファン13及び排気ファン14と、を有する。給気ファン13は、室外空間S2の空気を室内空間S1に供給するファンである。排気ファン14は、室内空間S1の空気を室外空間S2に排出するファンである。ケーシング12には、給気ファン13が設けられている給気通路と、排気ファン14が設けられている排気通路と、が形成されている。
【0019】
換気装置10は、熱交換器(図示省略)をさらに有していてもよい。この場合、熱交換器は、給気通路を通る空気と、排気通路を通る空気との間で熱交換を行うことで、換気装置10から室内空間S1に供給される空気の温度を、室内空間S1から換気装置10に排出される空気の温度に近づけることができる。これにより、室内空間S1の室温の変動を抑えつつ、室内空間S1を換気することができる。
【0020】
給気部20は、換気装置10の給気通路と室内空間S1とを接続するダクトである。給気部20は、第1給気ダクト21と、第2給気ダクト22と、合流ダクト23とを有する。合流ダクト23の一端は、給気通路に接続されている。合流ダクト23の他端は、第1給気ダクト21及び第2給気ダクト22に分岐している。第1給気ダクト21は、第1エリアA1に接続されている。換気装置10から第1エリアA1へ供給される空気は、合流ダクト23と第1給気ダクト21とを通過する。第2給気ダクト22は、第2エリアA2に接続されている。換気装置10から第2エリアA2へ供給される空気は、合流ダクト23と第2給気ダクト22とを通過する。本実施形態において、第1給気ダクト21と第2給気ダクト22は同じ流路抵抗を有する。例えば、第1給気ダクト21と第2給気ダクト22は、流路断面積及び流路長が同じで、互いに対称となる形状を有する。
【0021】
還気部30は、換気装置10の排気通路と室内空間S1とを接続するダクトである。還気部30は、第1還気ダクト31と、第2還気ダクト32と、合流ダクト33とを有する。合流ダクト33の一端は、排気通路に接続されている。合流ダクト33の他端は、第1還気ダクト31及び第2還気ダクト32に分岐している。第1還気ダクト31は、第1エリアA1に接続されている。第1エリアA1から換気装置10へ排出される空気は、第1還気ダクト31と合流ダクト33とを通過する。第2還気ダクト32は、第2エリアA2に接続されている。第2エリアA2から換気装置10へ排出される空気は、第2還気ダクト32と合流ダクト33とを通過する。本実施形態において、第1還気ダクト31と第2還気ダクト32は同じ流路抵抗を有する。
【0022】
風量調整部40は、第1給気ダクト21、第2給気ダクト22、第1還気ダクト31及び第2還気ダクト32のそれぞれのダクト内を通過する空気の風量を調整する。風量調整部40は、制御部60と電気的に接続され、制御部60の動作指令に基づいて風量を調整する。風量調整部40は、第1給気量調整部41と、第2給気量調整部42と、第1還気量調整部43と、第2還気量調整部44と、を有する。第1給気量調整部41、第2給気量調整部42、第1還気量調整部43及び第2還気量調整部44は、設けられる場所が異なること以外は、それぞれ同じ構成を有する。
【0023】
第1給気量調整部41は、開度を調整することで第1給気ダクト21の風量を調整する部材である。本実施形態において、第1給気量調整部41は、第1給気ダクト21の内部に設けられているダンパである。第1給気量調整部41の開度は、ダンパの羽根角度により複数段階に調整される。第1給気量調整部41の開度が小さくなると、第1給気ダクト21の流路断面積は小さくなり、第1給気ダクト21を通過する空気の風量は小さくなる。また、第1給気量調整部41の開度が大きくなると、第1給気ダクト21の流路断面積は大きくなり、第1給気ダクト21を通過する空気の風量は大きくなる。
【0024】
なお、第1給気量調整部41は、第1給気ダクト21の外部に設けられてもよい。例えば、第1給気量調整部41は、第1給気ダクト21が第1エリアA1と接続される部分に形成される給気口の外部に設けられ、当該給気口を開放又は閉塞することで、第1給気ダクト21を通過する空気の風量を調整してもよい。また、第1給気量調整部41は、シャッタ又は各種の弁(例えば、電磁弁)であってもよい。
【0025】
第2給気量調整部42、第1還気量調整部43及び第2還気量調整部44は、開度を調整することで、第2給気ダクト22、第1還気ダクト31及び第2還気ダクト32の風量をそれぞれ調整する部材である。
【0026】
特定部50は、第1エリアA1及び第2エリアA2のうち換気が必要なエリアを特定する部分である。特定部50は、センサ51と、本体部52とを有する。センサ51は、室内空間S1の状態を検知するセンサであり、例えば温度を検知する赤外線センサである。センサ51は、本体部52と電気的に接続され、本体部52に検知信号を出力する。センサ51は、第1エリアA1及び第2エリアA2のうち少なくとも一方に設置されている。
【0027】
本体部52は、センサ51の検知信号に基づいて、換気が必要なエリアを特定する演算装置(例えば、プロセッサ及びメモリを含むマイクロコンピュータ)である。例えば、本体部52は、センサ51の検知信号を演算・解析することで第1エリアA1内の一部の温度が所定の温度以上になっているとの情報を得ると、第1エリアA1に所定の温度以上の発熱者が在室していると判断し、第1エリアA1を換気が必要なエリアとして特定する。本体部52は、制御部60と電気的に接続され、制御部60に特定結果を出力する。
【0028】
本実施形態の特定部50は、同じケーシング内にセンサ51と本体部52とが内蔵されている。しかしながら、センサ51と本体部52との位置は、離れていてもよい。例えば、センサ51は単独で第1エリアA1又は第2エリアA2に設けられ、本体部52は換気装置10のケーシング12内に設けられてもよい。
【0029】
図1に示すように、センサ51が第1エリアA1及び第2エリアA2の一方にのみ設置されている場合、センサ51は第1エリアA1及び第2エリアA2の両方の状態を検知する。センサ51が第1エリアA1及び第2エリアA2の両方にそれぞれ1台ずつ(又はそれ以上)設置されている場合、第1エリアA1に設置されたセンサ51は第1エリアA1の状態を検知し、第2エリアA2に設置されたセンサ51は第2エリアA2の状態を検知するように構成してもよいし、各センサ51が第1エリアA1及び第2エリアA2の両方の状態をそれぞれ検知するように構成してもよい。
【0030】
制御部60は、CPU等のプロセッサと、RAM、ROM等のメモリとを含むマイクロコンピュータである。制御部60は、給気ファン13、排気ファン14、風量調整部40及び特定部50と電気的に接続されている。制御部60は、特定部50の特定結果に基づいて、給気ファン13及び排気ファン14の回転数と、第1給気量調整部41、第2給気量調整部42、第1還気量調整部43及び第2還気量調整部44の開度とを制御する。制御部60は、ケーシング12内に設けられてもよいし、ケーシング12と離れた位置に設けられてもよい。
【0031】
制御部60は、図示省略するリモートコントローラ(以下、「リモコン」と称する。)と有線又は無線により接続されている。制御部60は、リモコンの操作により、特定部50の特定結果に基づいて各部の制御を行う「気流調整モード」と、特定部50の特定結果に基づかずに各部の制御を行う「通常モード」とに、運転状態を切り替えることができる。
【0032】
制御部60の動作指令により、給気ファン13が所定の回転数で回転すると、室外空間S2からケーシング12の給気通路に所定の風量OAの空気が取り入れられる。当該空気は、合流ダクト23を通った後、一部は第1給気ダクト21を通過して第1エリアA1に所定の風量SA1で供給され、他の一部は第2給気ダクト22を通過して第2エリアA2に所定の風量SA2で供給される。第1給気ダクト21と第2給気ダクト22は同じ流路抵抗を有するため、第1給気量調整部41と第2給気量調整部42の開度が同じ場合、風量SA1と風量SA2は等しくなる。
【0033】
制御部60の動作指令により、排気ファン14が所定の回転数で回転すると、室内空間S1から還気部30を介してケーシング12の排気通路へ空気が取り込まれ、当該排気通路から室外空間S2に所定の風量EAの空気が排出される。第1エリアA1から第1還気ダクト31へは、所定の風量RA1の空気が取り込まれ、第2エリアA2から第2還気ダクト32へは、所定の風量RA2の空気が取り込まれる。第1還気ダクト31及び第2還気ダクト32を流れる空気は、合流ダクト33で合流した後、排気通路に流れ込む。第1還気ダクト31と第2還気ダクト32は同じ流路抵抗を有するため、第1還気量調整部43と第2還気量調整部44の開度が同じ場合、風量RA1と風量RA2は等しくなる。
【0034】
[換気システムの動作]
図2は、第1実施形態に係る換気システム1の制御状態の一例を概略的に示す図である。この例において、室内空間S1には2人の在室者OPが在室しており、そのうち1人の在室者OPが第1エリアA1に、他の1人の在室者OPが第2エリアA2に位置している。そして、第1エリアA1の在室者OPは、摂氏37.5度以上に発熱している。このため、第1エリアA1の在室者OPは、感染症の罹患が疑われる対象者TP1である。対象者TP1からはウイルス等の感染源を含む飛沫が発されるおそれがあるため、第1エリアA1及び第2エリアA2のうち換気がより必要なエリアは、第1エリアA1となる。
【0035】
はじめに、ユーザが、図示省略するリモートコントローラを操作することで、制御部60に「気流調整モード」の運転をするよう動作指示を行う。これにより、特定部50は、第1エリアA1及び第2エリアA2のうち換気が必要なエリアを特定する動作を開始する。
【0036】
具体的には、センサ51が、第1エリアA1及び第2エリアA2における複数の在室者OPの体温を所定時間ごとに(例えば10分ごとに)検知し、検知信号を本体部52に出力する。そして、本体部52が、複数の在室者OPのうち第1エリアA1に位置する対象者TP1の体温が所定値(例えば摂氏37.5度)以上であると判定すると、第1エリアA1を換気が必要なエリアとして特定し、特定結果を制御部60に出力する。
【0037】
特定部50から制御部60に特定結果が入力されると、制御部60は、第2エリアA2から第1エリアA1に向かう気流F1を生じさせるように、換気装置10及び風量調整部40を制御する。具体的には、制御部60は、給気ファン13及び排気ファン14の回転数を同じにしつつ、当該回転数を最大(強風)にする制御を行う。また、制御部60は、第1給気量調整部41の開度を第2給気量調整部42の開度よりも相対的に小さくする制御(第1調整)と、第1還気量調整部43の開度を第2還気量調整部44の開度よりも相対的に大きくする制御(第2調整)とを行う。
【0038】
第1調整では、第1給気量調整部41の開度を減少させる制御(例えば、開度を最小にする制御)、及び第2給気量調整部42の開度を増加させる制御(例えば、開度を最大にする制御)、のうち少なくとも一方の制御が行われる。これにより、第1給気ダクト21の風量SA1が、第2給気ダクト22の風量SA2よりも相対的に少なくなる(SA1<SA2)。
【0039】
第2調整では、第1還気量調整部43の開度を増加させる制御(例えば、開度を最大にする制御)、及び第2還気量調整部44の開度を減少させる制御(例えば、開度を最小にする制御)、のうち少なくとも一方の制御が行われる。これにより、第1還気ダクト31の風量RA1が、第2還気ダクト32の風量RA2よりも相対的に多くなる(RA1>RA2)。
【0040】
第1調整及び第2調整により、第1エリアA1における気圧よりも第2エリアA2における気圧のほうが高くなる。これにより、第2エリアA2から第1エリアA1に向かう気流F1を生じさせることができる。気流F1により、第1エリアA1から第2エリアA2に向かう気流の発生を抑制することができ、第2エリアA2が第1エリアA1で発生した汚染粒子により汚染されることを抑制することができる。また、第1調整及び第2調整により、室内空間S1を強制的に給気及び排気しつつ、気流F1を生じさせることができる。さらに、制御部60により、給気ファン13及び排気ファン14の回転数は最大となっているため、より強い気流F1を発生させることができる。このように、本実施形態に係る換気システム1によれば、より適切な気流により換気することができる。
【0041】
本実施形態に係る換気システム1によれば、第1給気量調整部41及び第2給気量調整部42の少なくとも一方の開度の調整と、第1還気量調整部43及び第2還気量調整部44の少なくとも一方の開度の調整とにより各ダクト21、22、31、32の風量を調整することで、第2エリアA2から第1エリアA1に向かう気流F1を生じさせることができる。これにより、より適切な気流により換気することができる。
【0042】
制御部60は、第1調整及び第2調整を行う際、第1還気ダクト31の風量RA1と第1給気ダクト21の風量SA1との差(RA1-SA1)を、第2給気ダクト22の風量SA2と第2還気ダクト32の風量RA2との差(SA2-RA2)と等しくする第3調整をさらに行う。第3調整は、例えば、第1給気量調整部41の開度と第2還気量調整部44の開度を等しくし、第1還気量調整部43の開度と第2給気量調整部42の開度を等しくする制御である。第3調整により、第1エリアA1における気圧の低下と、第2エリアA2における気圧の増加とが等しくなる。これにより、エリアごとの気圧を変動させて所望の気流F1を発生させつつ、室内空間S1の全体的な気圧の変動を抑制することができる。
【0043】
上記の第3調整は、第1調整及び第2調整の少なくとも一方に組み込まれていてもよく、第1調整及び第2調整後に別途第3調整を行う必要はない。例えば、第1調整及び第2調整において、第1給気量調整部41の開度と第2還気量調整部44の開度を等しくし、第1還気量調整部43の開度と第2給気量調整部42の開度を等しくするように制御することで、第1調整、第2調整及び第3調整を同時に行うことができる。
【0044】
[第2実施形態]
図3は、本開示の第2実施形態に係る換気システム1aの構成と制御状態を概略的に示す図である。第2実施形態において、上記の第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を適宜省略する。
【0045】
換気システム1aは、室内空間S1を換気するシステムである。換気システム1aと、上記の第1実施形態に係る換気システム1との主な相違点は、換気装置10aが設けられる場所と、還気部30aが室内空間S1と接続される位置である。第1実施形態の換気装置10が天井裏に設けられるのに対し、第2実施形態の換気装置10aは、室内空間S1を形成する部屋とは別の部屋(例えば、機械室)に設けられる。
【0046】
第1実施形態の還気部30が室内空間S1の天井に接続されているのに対し、第2実施形態の還気部30aは、室内空間S1の床に接続されている。具体的には、第1還気ダクト31は第1エリアA1の床に接続され、第2還気ダクト32は第2エリアA2の床に接続されている。
【0047】
ここで、第1給気ダクト21が室内空間S1に開口する位置を「給気位置PS1」と称し、第2給気ダクト22が室内空間S1に開口する位置を「給気位置PS2」と称し、第1還気ダクト31が室内空間S1に開口する位置を「還気位置PR1」と称し、第2還気ダクト32が室内空間S1に開口する位置を「還気位置PR2」と称する。本実施形態において、給気位置PS1、PS2は、還気位置PR1、PR2よりも上に位置する。
【0048】
第2実施形態において、制御部60により第1調整及び第2調整を行うと、第2給気ダクト22の風量SA2と第1還気ダクト31の風量RA1とが多くなるため、第2エリアA2から第1エリアA1に向かう気流と、天井から床に向かう気流とが発生する。気流F2は、これらの気流の合成成分であり、第2エリアA2から第1エリアA1に向かうにつれて鉛直方向下方に向かうように、斜め下に吹く。
【0049】
汚染粒子(例えば、感染源を含む飛沫(水滴)や、タバコの煙)は、一般に空気よりも重いため、汚染粒子が鉛直方向の上方に移動すると、汚染粒子が上方から再び下方に降りることで室内空間S1に拡散するおそれがある。これに対し、第2実施形態に係る換気システム1aによれば、給気位置PS1、PS2を還気位置PR1、PR2よりも上に位置させることで、室内空間S1において鉛直方向の上方から下方に流れる気流を形成することができる。これにより、汚染粒子は発生源から出た後、下方に移動するため、汚染粒子が室内空間S1において拡散することをより確実に防止することができる。
【0050】
[変形例]
本開示は上記の第1実施形態及び第2実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0051】
[ケーシングの変形例]
上記の第1実施形態に係る換気装置10では、1個のケーシング12に給気ファン13及び排気ファン14が内蔵されている。しかしながら、換気装置10は、それぞれ別体として設けられている2個のケーシングを有し、一方のケーシングに給気ファン13が内蔵され、他方のケーシングに排気ファン14が内蔵されていてもよい。
【0052】
[気流発生方向の変形例]
上記の第1実施形態では、特定部50が、第1エリアA1を換気が必要なエリアとして特定した場合を例に挙げて説明した。特定部50が、第2エリアA2を換気が必要なエリアとして特定した場合には、その特定の結果に基づいて、制御部60が風量調整部40を制御することで、第1エリアA1から第2エリアA2に向かう気流を発生させる。
【0053】
具体的には、制御部60は、第1給気量調整部41の開度を第2給気量調整部42の開度よりも相対的に大きくし、第1還気量調整部43の開度を第2還気量調整部44の開度よりも相対的に小さくする制御を行う。このように、換気システム1によれば、換気が必要なエリアに応じて、気流の方向を変更することができる。
【0054】
[給気位置及び還気位置の変形例]
上記の第2実施形態において、給気位置PS1、PS2はいずれも天井に位置し、還気位置PR1、PR2はいずれも床に位置する。しかしながら、給気位置PS1、PS2が還気位置PR1、PR2よりも上に位置する関係であれば、給気位置PS1、PS2及び還気位置PR1、PR2の位置は限定されない。例えば、給気位置PS1、PS2は天井付近の側壁面に位置してもよいし、還気位置PR1、PR2は床付近の側壁面に位置してもよい。
【0055】
汚染粒子を下方に移動させるために、還気位置PR1、PR2は、汚染粒子の発生源(例えば、人の口元)よりも下に位置することが好適である。例えば還気位置PR1、PR2は床付近の側壁面に位置する場合、還気位置PR1、PR2の床からの高さは70cm以下であることが好適である。
【0056】
[特定部の変形例]
センサ51は、第1エリアA1及び第2エリアA2の状態を検知する機能を有していれば、温度を検知するセンサに限られない。例えば、センサ51は、人感センサであってもよいし、ウイルスを検知するセンサであってもよいし、CO2濃度を検知するセンサであってもよい。
【0057】
センサ51が人感センサの場合、本体部52は、第1エリアA1及び第2エリアA2のうち人が所定人数以上(例えば4人以上)集まっているエリア(人が密集しているエリア)を換気が必要なエリアとして特定する。センサ51がCO2濃度センサの場合、本体部52は、第1エリアA1及び第2エリアA2のうちCO2濃度が所定値よりも高いエリア(人が密集しているエリア)を換気が必要なエリアとして特定する。
【0058】
汚染粒子としては、感染源を含む飛沫の他、タバコの煙や、人を不快にさせる臭気を含む粒子が挙げられる。そして、換気が必要なエリアとしては、感染源の発生源が位置するエリアの他、タバコの煙や臭気粒子が発生しているエリアが挙げられる。このため、センサ51は、タバコ等の煙を検知するセンサであってもよいし、臭気を検知するセンサであってもよい。
【0059】
特定部50は、センサ51に代えて、感染症への罹患が疑われる対象者TP1に関する情報を図示省略するサーバ等から受信する通信部を有していてもよい。この場合、特定部50は、通信部において受信した情報に基づいて、対象者TP1が在室しているエリアを換気が必要なエリアとして特定する。対象者TP1としては、例えば感染症の陽性患者や、その陽性患者との接触者が挙げられる。
【0060】
本体部52は、制御部60と同じマイクロコンピュータであってもよい。この場合、当該マイクロコンピュータは、制御部60としての機能と、本体部52としての機能の両方を併せ持つ。
【0061】
[給気部の変形例]
上記の第1実施形態において、給気部20の第1給気ダクト21及び第2給気ダクト22は、それぞれ合流ダクト23から分岐している。しかしながら、給気部20は、合流ダクト23を有さず、第1給気ダクト21及び第2給気ダクト22のそれぞれの一端が、ケーシング12の給気通路に直接接続されていてもよい。この場合、第1給気量調整部41及び第2給気量調整部42は、ケーシング12の給気通路にそれぞれ設けられていてもよい。
【0062】
[還気部の変形例]
上記の第1実施形態において、還気部30の第1還気ダクト31及び第2還気ダクト32は、それぞれ合流ダクト33から分岐している。しかしながら、還気部30は、合流ダクト33を有さず、第1還気ダクト31及び第2還気ダクト32のそれぞれの一端が、ケーシング12の排気通路に直接接続されていてもよい。この場合、第1還気量調整部43及び第2還気量調整部44は、ケーシング12の排気通路にそれぞれ設けられていてもよい。
【0063】
[風量調整の変形例]
上記の第1実施形態では、第1給気ダクト21と第2給気ダクト22が同じ流路抵抗を有する。この場合、第1給気量調整部41と第2給気量調整部42の開度を同じにすると、風量SA1と風量SA2は等しくなる。しかしながら、第1給気ダクト21と第2給気ダクト22は、異なる流路抵抗を有していてもよい。この場合、第1給気量調整部41と第2給気量調整部42の開度をそれぞれ調整することで、風量SA1と風量SA2を等しくすることができる。例えば、第1給気ダクト21の流路抵抗が第2給気ダクト22の流路抵抗よりも高い場合、第1給気量調整部41の開度を第2給気量調整部42の開度よりも大きくすることで、風量SA1と風量SA2を等しくすることができる。
【0064】
同様に、第1還気ダクト31と第2還気ダクト32は、異なる流路抵抗を有していてもよい。この場合、第1還気量調整部43と第2還気量調整部44の開度をそれぞれ調整することで、風量RA1と風量RA2を等しくすることができる。
【0065】
制御部60は、気流調整モードにおいて、特定部50から制御部60に特定結果が入力されるまで、各ダクト21、22、31、32の流路抵抗に応じて風量調整部40を制御することで、風量SA1と風量SA2を等しくし、風量RA1と風量RA2を等しくする。ここで、制御部60による第1調整前の第1給気量調整部41及び第2給気量調整部42の開度を、それぞれ「開度X11」、「開度X21」と称し、第2調整前の第1還気量調整部43及び第2還気量調整部44の開度を、それぞれ「開度X31」、「開度X41」と称する。第1給気ダクト21及び第2給気ダクト22の流路抵抗がそれぞれ異なる場合、開度X11及び開度X21もそれぞれ異なる。
【0066】
また、制御部60による第1調整後の第1給気量調整部41及び第2給気量調整部42の開度を、それぞれ「開度X12」、「開度X22」と称し、第2調整後の第1還気量調整部43及び第2還気量調整部44の開度を、それぞれ「開度X32」、「開度X42」と称する。
【0067】
特定部50から制御部60に第1エリアA1を換気が必要なエリアとする特定結果が入力されると、制御部60は、風量調整部40を制御することで、風量SA1を風量SA2よりも相対的に少なくする第1調整と、風量RA1を風量RA2よりも相対的に多くする第2調整とを行う。
【0068】
上記の第1実施形態の第1調整は、第1給気量調整部41の開度X12を第2給気量調整部42の開度X22よりも相対的に小さくする制御である(X12<X22)。これに対し、本変形例の第1調整では、第1調整前の第1給気量調整部41の開度X11よりも第1給気量調整部41の開度X12を小さくする制御(X11>X12)、及び、第1調整前の第2給気量調整部42の開度X21よりも第2給気量調整部42の開度X22を大きくする制御(X21<X22)の少なくとも一方を行う。この結果、第1調整前に等しかった風量SA1と風量SA2について、風量SA1を少なくする制御、及び、風量SA2を多くする制御、の少なくとも一方を行うことができる。
【0069】
本変形例の第1調整前において、開度X11が開度X21よりも大きい場合(X11>X21)、第1給気量調整部41の開度変化(X11-X12)と、第2給気量調整部42の開度変化(X22-X21)との和が、開度X11と開度X21との差分(X11-X21)よりも小さい場合、開度X12は開度X22よりも大きくなる。このように、本変形例の第1調整では、第1給気量調整部41の開度X12が第2給気量調整部42の開度X22よりも相対的に小さくすることは必須ではない。
【0070】
同様に、本変形例の第2調整では、第2調整前の第1還気量調整部43の開度X31よりも第1還気量調整部43の開度X32を大きくする制御(X31<X32)、及び、第2調整前の第2還気量調整部44の開度X41よりも第2還気量調整部44の開度X42を小さくする制御(X41>X42)の少なくとも一方を行う。この結果、第2調整前に等しかった風量RA1と風量RA2について、風量RA1を多くする制御、及び、風量RA2を少なくする制御、の少なくとも一方を行うことができる。
【0071】
[その他の変形例]
上記の各実施形態及び変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。
【0072】
[実施形態の作用効果]
(1)上記の実施形態の換気システム1,1aは、室外空間S2の空気を室内空間S1に供給する給気ファン13と、室内空間S1の空気を室外空間S2に排出する排気ファン14と、を含む換気装置10と、換気装置10から室内空間S1の第1エリアA1へ供給される空気が通過する第1給気ダクト21と、換気装置10から室内空間S1の第2エリアA2へ供給される空気が通過する第2給気ダクト22と、第1エリアA1から換気装置10へ排出される空気が通過する第1還気ダクト31と、第2エリアA2から換気装置10へ排出される空気が通過する第2還気ダクト32と、第1エリアA1及び第2エリアA2のうち換気が必要なエリアを特定する特定部50と、第1給気ダクト21、第2給気ダクト22、第1還気ダクト31及び第2還気ダクト32のそれぞれの風量を調整する風量調整部40と、を備え、風量調整部40は、特定部50が第1エリアA1を換気が必要なエリアとして特定した場合、第1給気ダクト21の風量SA1を第2給気ダクト22の風量SA2よりも相対的に少なくする第1調整及び第1還気ダクト31の風量RA1を第2還気ダクト32の風量RA2よりも相対的に多くする第2調整を行う。
【0073】
このように構成することで、汚染粒子が発生するなどにより換気が必要となったエリア(第1エリアA1)から他のエリア(第2エリアA2)に向かう気流の発生を抑制することができ、他のエリアが汚染物質により汚染されることを抑制することができる。このように、上記の実施形態に係る換気システム1,1aによれば、より適切な気流により換気することができる。
【0074】
(2)上記の実施形態では、風量調整部40が、開度を調整することで第1給気ダクト21の風量SA1を調整する第1給気量調整部41と、開度を調整することで第2給気ダクト22の風量SA2を調整する第2給気量調整部42と、開度を調整することで第1還気ダクト31の風量RA1を調整する第1還気量調整部43と、開度を調整することで第2還気ダクト32の風量RA2を調整する第2還気量調整部44と、を有する。また、第1調整は、第1給気量調整部41の開度を第2給気量調整部42の開度よりも相対的に小さくする調整であり、第2調整は、第1還気量調整部43の開度を第2還気量調整部44の開度よりも相対的に大きくする調整である。
【0075】
風量調整部40の各部の開度の調整により、各ダクトの風量を調整することで、第2エリアA2から第1エリアA1に向かう気流F1を生じさせることができる。これにより、より適切な気流により換気することができる。
【0076】
(3)上記の変形例では、風量調整部40が、開度を調整することで第1給気ダクト21の風量SA1を調整する第1給気量調整部41と、開度を調整することで第2給気ダクト22の風量SA2を調整する第2給気量調整部42と、開度を調整することで第1還気ダクト31の風量RA1を調整する第1還気量調整部43と、開度を調整することで第2還気ダクト32の風量RA2を調整する第2還気量調整部44と、を有する。また、第1調整は、第1調整前よりも第1給気量調整部41の開度を小さくする制御、及び、第1調整前よりも第2給気量調整部42の開度を大きくする制御、の少なくとも一方を含み、第2調整は、第2調整前よりも第1還気量調整部43の開度を大きくする制御、及び、第2調整前よりも第2還気量調整部44の開度を小さくする制御、の少なくとも一方を含む。
【0077】
風量調整部40の各部の開度の調整により、各ダクトの風量を調整することで、第2エリアA2から第1エリアA1に向かう気流F1を生じさせることができる。これにより、より適切な気流により換気することができる。
【0078】
(4)上記の第2実施形態では、第1給気ダクト21及び第2給気ダクト22がそれぞれ室内空間S1に開口する給気位置PS1、PS2は、第1還気ダクト31及び第2還気ダクト32がそれぞれ室内空間S1に開口する還気位置PR1、PR2よりも上に位置する。
【0079】
汚染粒子は一般に空気よりも重いため、汚染粒子が鉛直方向の上方に移動すると、汚染粒子が上方から再び下方に降りることで室内空間S1に拡散するおそれがある。これに対し、第2実施形態によれば、給気位置PS1、PS2を還気位置PR1、PR2よりも上に位置させることで、室内空間S1において鉛直方向の上方から下方に流れる気流を形成することができる。これにより、汚染粒子は室内空間S1の下方に移動するため、汚染粒子が拡散することをより確実に防止することができる。
【0080】
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0081】
1:換気システム、1a:換気システム、10:換気装置、12:ケーシング、13:給気ファン、14:排気ファン、20:給気部、21:第1給気ダクト、22:第2給気ダクト、23:合流ダクト、30:還気部、30a:還気部、31:第1還気ダクト、32:第2還気ダクト、33:合流ダクト、40:風量調整部、41:第1給気量調整部、42:第2給気量調整部、43:第1還気量調整部、44:第2還気量調整部、50:特定部、51:センサ、52:本体部、60:制御部、S1:室内空間、S2:室外空間、A1:第1エリア、A2:第2エリア、VP1:仮想面、F1:気流、F2:気流、SA1:風量、SA2:風量、RA1:風量、RA2:風量、PS1:給気位置、PS2:給気位置、PR1:還気位置、PR2:還気位置