(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】情報読取装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20241002BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H05K5/06 E
G06K7/10 436
(21)【出願番号】P 2021011972
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 克典
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-228416(JP,A)
【文献】特開2013-187129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/06
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を読み取るための読取部品を支持する筐体と、
前記筐体の内側に収容されており、音と信号の間の変換に関する音部品と、
前記音部品が前記筐体の外側から侵入する水に曝されることを防止するための防水シートと、
を備え、
前記筐体には、前記筐体の内側に収容されている前記音部品と対面する第1開口と、前記筐体の外面に設けられる第2開口と、を介して、前記筐体の内側の空間と前記筐体の外側の空間とを連通する連通口が設けられており、
前記防水シートは、前記第1開口と前記音部品との間に配置されており、
前記連通口の内側には、前記筐体の内側の空間の側に位置する第1防壁と、前記筐体の外側の空間の側に位置する第2防壁と、が設けられており、
前記第1防壁と前記第2防壁とは前記筐体と一体に形成されており、
前記筐体の前記外面が延びる第1方向において、前記第2防壁の位置は、前記第1防壁の位置とは異なっており、
前記第2開口は、前記第2防壁によって区画されるとともに、前記筐体の内側から前記筐体の外側に向かう第2方向において、前記第1防壁と対面している、情報読取装置。
【請求項2】
前記第2防壁の内面には、前記内面から前記音部品に向かって延びる第3防壁が設けられている、請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
情報を読み取るための読取部品を支持する筐体と、
前記筐体の内側に収容されており、音と信号の間の変換に関する音部品と、
前記音部品が前記筐体の外側から侵入する水に曝されることを防止するための防水シートと、
を備え、
前記筐体には、前記筐体の内側に収容されている前記音部品と対面する第1開口と、前記筐体の外面に設けられる第2開口と、を介して、前記筐体の内側の空間と前記筐体の外側の空間とを連通する連通口が設けられており、
前記防水シートは、前記第1開口と前記音部品との間に配置されており、
前記連通口の内側には、前記筐体の内側の空間の側に位置する第1防壁と、前記筐体の外側の空間の側に位置する第2防壁と、が設けられており、
前記第2防壁の内面には、前記内面から前記音部品に向かって延びる第3防壁が設けられており、
前記筐体の前記外面が延びる第1方向において、前記第2防壁の位置は、前記第1防壁の位置とは異なっており、
前記第2開口は、前記第2防壁によって区画されるとともに、前記筐体の内側から前記筐体の外側に向かう第2方向において、前記第1防壁と対面している、情報読取装置。
【請求項4】
複数個の前記第1防壁が、前記音部品から見て放射状に配置されており、
複数個の前記第2開口が、前記筐体の前記外面上において、前記音部品から見て放射状に配置されている、請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項5】
情報を読み取るための読取部品を支持する筐体と、
前記筐体の内側に収容されており、音と信号の間の変換に関する音部品と、
前記音部品が前記筐体の外側から侵入する水に曝されることを防止するための防水シートと、
を備え、
前記筐体には、前記筐体の内側に収容されている前記音部品と対面する第1開口と、前記筐体の外面に設けられる第2開口と、を介して、前記筐体の内側の空間と前記筐体の外側の空間とを連通する連通口が設けられており、
前記防水シートは、前記第1開口と前記音部品との間に配置されており、
前記連通口の内側には、前記筐体の内側の空間の側に位置する第1防壁と、前記筐体の外側の空間の側に位置する第2防壁と、が設けられており、
複数個の前記第1防壁が、前記音部品から見て放射状に配置されており、
複数個の前記第2開口が、前記筐体の前記外面上において、前記音部品から見て放射状に配置されており、
前記筐体の前記外面が延びる第1方向において、前記第2防壁の位置は、前記第1防壁の位置とは異なっており、
前記第2開口は、前記第2防壁によって区画されるとともに、前記筐体の内側から前記筐体の外側に向かう第2方向において、前記第1防壁と対面している、情報読取装置。
【請求項6】
前記複数個の第2開口は、前記筐体の前記外面上において、前記音部品から見て対称的に配置されている、請求項
4又は5に記載の情報読取装置。
【請求項7】
前記情報読取装置は、さらに、前記筐体の前記外面上に配置される、外力によって弾性変形可能な外部シートを備え、
前記外部シートは、前記第2開口の一部を塞ぐ、請求項1から
6のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項8】
情報を読み取るための読取部品を支持する筐体と、
前記筐体の内側に収容されており、音と信号の間の変換に関する音部品と、
前記音部品が前記筐体の外側から侵入する水に曝されることを防止するための防水シートと、
を備え、
前記筐体には、前記筐体の内側に収容されている前記音部品と対面する第1開口と、前記筐体の外面に設けられる第2開口と、を介して、前記筐体の内側の空間と前記筐体の外側の空間とを連通する連通口が設けられており、
前記防水シートは、前記第1開口と前記音部品との間に配置されており、
前記連通口の内側には、前記筐体の内側の空間の側に位置する第1防壁と、前記筐体の外側の空間の側に位置する第2防壁と、が設けられており、
前記第2防壁は、外力によって弾性変形可能に形成されており、
前記筐体の前記外面が延びる第1方向において、前記第2防壁の位置は、前記第1防壁の位置とは異なっており、
前記第2開口は、前記第2防壁によって区画されるとともに、前記筐体の内側から前記筐体の外側に向かう第2方向において、前記第1防壁と対面している、情報読取装置。
【請求項9】
前記第2防壁が前記外力によって前記筐体の内側に向かってたわむと、前記第2防壁が前記第1防壁に当接する、請求項
8に記載の情報読取装置。
【請求項10】
前記第1防壁の外面には、前記第1防壁の外面から前記筐体の外側に向かって延びる第4防壁が設けられている、請求項1から
9のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項11】
前記第1防壁の外面には、凹凸が設けられている、請求項1から
10のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、音と信号の間の変換に関する音部品を備える情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯電話機が開示されている。この携帯電話機では、ケーシング内面に放音孔へ通じる放音室が凹設され、放音室の入り口が防水シートによって塞がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、放音孔と対面する箇所に防水シートが設けられている。このため、放音孔から内部に水が侵入する際に、その水が防水シートに直撃する。防水シートに水が直撃すると、その水の勢いによって、例えば防水シートが変形する等、防水シートの信頼性が損なわれる可能性がある。
【0005】
特に、情報を読み取るための情報読取装置は、一般的なユーザではなく様々な現場(例えば雨天の野外)の作業者によって利用され得る。このため、一般的なユーザによって利用される携帯電話機よりも高い防水性能が求められる場合がある。
【0006】
本明細書では、情報読取装置において、防水シートの信頼性が損なわれることを抑制して、防水性能を高めるための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される情報読取装置は、情報を読み取るための読取部品を支持する筐体と、前記筐体の内側に収容されており、音と信号の間の変換に関する音部品と、前記音部品が前記筐体の外側から侵入する水に曝されることを防止するための防水シートと、を備え、前記筐体には、前記筐体の内側に収容されている前記音部品と対面する第1開口と、前記筐体の外面に設けられる第2開口と、を介して、前記筐体の内側の空間と前記筐体の外側の空間とを連通する連通口が設けられており、前記防水シートは、前記第1開口と前記音部品との間に配置されており、前記連通口の内側には、前記筐体の内側の空間の側に位置する第1防壁と、前記筐体の外側の空間の側に位置する第2防壁と、が設けられており、前記筐体の前記外面が延びる第1方向において、前記第2防壁の位置は、前記第1防壁の位置とは異なっており、前記第2開口は、前記第2防壁によって区画されるとともに、前記筐体の内側から前記筐体の外側に向かう第2方向において、前記第1防壁と対面している。
【0008】
このような構成によると、筐体の外側から筐体の内側に水が侵入する状況において、第2開口から侵入した水は、連通口を通って第1防壁の外面に当たり、その後に第1開口及び防水シートへと流れる。第2開口から侵入した水が防水シートに直撃せず第1防壁の外面に当たる。第1開口へ向かって流れる水の勢い、即ち、防水シートへ向かって流れる水の勢いが低減される。防水シートの信頼性が損なわれることを抑制し、情報読取装置の防水性能を高めることができる。
【0009】
本技術の一実施形態では、前記第2防壁の内面には、前記内面から前記音部品に向かって延びる第3防壁が設けられていてもよい。
【0010】
このような構成によると、第2開口から水が侵入すると、その水は、まず第1防壁の外面に当たった後に、さらに第3防壁に当たる。このように、第2開口から侵入した水の勢いは、第1防壁及び第3防壁によって二段階で低減される。防水シートへ向かう水の勢いがさらに低減され、情報読取装置の防水性能をさらに高めることができる。
【0011】
本技術の一実施形態では、複数個の前記第1防壁が、前記音部品から見て放射状に配置されていてもよい。また、複数個の前記第2開口が、前記筐体の前記外面上において、前記音部品から見て放射状に配置されていてもよい。
【0012】
このような構成によると、複数個の第2開口のそれぞれから水が侵入すると、複数個の第2開口のそれぞれから侵入する水同士が、互いに干渉する。防水シートへ向かう水の勢いがさらに低減される。情報読取装置の防水性能をさらに高めることができる。
【0013】
本技術の一実施形態では、前記複数個の第2開口は、前記筐体の前記外面上において、前記音部品から見て対称的に配置されていてもよい。
【0014】
このような構成によると、複数個の第2開口のそれぞれから侵入する水は、複数個の第2開口のそれぞれから侵入する水同士によって相殺される。
【0015】
本技術の一実施形態では、前記情報読取装置は、さらに、前記筐体の前記外面上に配置される、外力によって弾性変形可能な外部シートを備えてもよい。この場合、前記外部シートは、前記第2開口の一部を塞いでもよい。
【0016】
このような構成によると、筐体の外面に当たる水の力によって、外部シートが筐体の内側に向かってたわむ。この際、外部シートが、連通口を塞ぐか又は狭くする。防水シートへ向かう水の勢いがさらに低減される。情報読取装置の防水性能をさらに高めることができる。
【0017】
本技術の一実施形態では、前記第2防壁は、外力によって弾性変形可能に形成されていてもよい。
【0018】
このような構成によると、第2防壁に当たる水の力によって、第2防壁が筐体の内側に向かってたわむ。この際、第2防壁が、連通口を塞ぐか又は狭くする。防水シートへ向かう水の勢いがさらに低減される。情報読取装置の防水性能をさらに高めることができる。
【0019】
本技術の一実施形態では、前記第2防壁が前記外力によって前記筐体の内側に向かってたわむと、前記第2防壁が前記第1防壁に当接してもよい。
【0020】
このような構成によると、筐体の内側に向かってたわんだ第2防壁が、連通口を塞ぐ。防水シートへ向かって水が流れることを抑制することができる。情報読取装置の防水性能をさらに高めることができる。
【0021】
本技術の一実施形態では、前記第1防壁の外面には、前記第1防壁の外面から前記筐体の外側に向かって延びる第4防壁が設けられていてもよい。
【0022】
上記の構成によると、第1防壁の外面に設けられた第4防壁によって、第1開口及び防水シートへ向かって流れる水の勢いを抑制することができる。情報読取装置の防水性能をさらに高めることができる。
【0023】
本技術の一実施形態では、前記第1防壁の外面には、凹凸が設けられていてもよい。
【0024】
上記の構成によると、第2開口から侵入した水は、第1防壁の外面に設けられる凹凸に当たる。凹凸に当たった水は乱反射し、続けて侵入する水が乱反射した水に当たり、続けて侵入する水の勢いが低減される。情報読取装置の防水性能をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】
図1のII-II線における模式的な断面図を示す(第1実施例)。
【
図3】
図1のII-II線における模式的な断面図を示す(第2実施例)。
【
図4】
図1のII-II線における模式的な断面図を示す(第3実施例)。
【
図5】
図1のII-II線における模式的な断面図を示す(第4実施例)。
【
図6】
図1のII-II線における模式的な断面図を示す(第5実施例)。
【
図7】
図1のII-II線における模式的な断面図を示す(第6実施例)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施例)
(情報読取装置の構成;
図1、
図2)
本実施例に係る情報読取装置10は、情報コード(例えばバーコード)に記録されている情報を読み取るための装置である。なお、図中には、XYZ座標系が記載されている。
【0027】
情報読取装置10は、表示部12と、操作部14と、情報を読み取るための読取部品16と、を備える。読取部品16は、筐体18によって支持されている。読取部品16は、CCDイメージセンサである。筐体18は、例えば樹脂製である。なお、変形例では、読取部品16は、情報コードを走査するレーザ光源と受光部とを含む部品であってもよい。また、他の変形例では、読取部品16は、RFIDタグ、ICチップ等に記憶されている情報を読み取るための部品であってもよい。
【0028】
情報読取装置10は、操作部14の操作に応じて、読取部品16を起動し、情報コードから情報を読み取る。そして、情報読取装置10は、読み取り済みの情報を出力する。例えば、情報読取装置10は、当該情報によって表わされる読み取り結果(例えば文字列)を表示部12に表示する。また、情報読取装置10は、当該情報を外部の装置(例えばサーバ)に送信する。
【0029】
図2に示されるように、情報読取装置10は、筐体18の内側に収容されるスピーカ20を備える。スピーカ20は、筐体18の内側に収容されている図示省略の電子回路と接続されており、電子回路からの信号を音に変換して出力する。例えば、情報コードから情報を読み取ると、情報読取装置10は、情報コードから情報を読み取ったことを示す音をスピーカ20から出力する。
【0030】
また、筐体18には、筐体18の内側の空間と筐体18の外側の空間とを連通する連通口25が設けられている。連通口25は、内側開口24と、2個の外側開口22と、を有する。内側開口24は、筐体18の内側に収容されているスピーカ20と対面する位置に形成されている。外側開口22は、筐体18の外面に形成される(
図1参照)。スピーカ20から出力された音は、内側開口24、連通口25、及び外側開口22を通って、情報読取装置10の外部に出力される。
【0031】
また、例えば雨天の野外等で情報読取装置10を使用する状況では、筐体18の外側から、外側開口22、連通口25及び内側開口24を通って、水が筐体18の内部に侵入する可能性がある。なお、
図2の矢印は、水の流れる方向を示す。筐体18の内部に水が侵入することを防止するために、情報読取装置10は、防水シート26を備える。防水シート26の材料は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等である。防水シート26は、内側開口24とスピーカ20との間に配置される。防水シート26によって、スピーカ20が筐体18の外部から侵入する水に曝されることが防止される。
【0032】
また、連通口25の内側には、内側防壁32と外側防壁30とが設けられている。内側防壁32は、筐体18の内側の空間の側(即ち
図2のY軸負の方向の側)に位置する。内側防壁32は、内側開口24の近傍に設けられている。内側防壁32は、内側開口24を区画する。外側防壁30は、筐体18の外側の空間の側(即ち
図2のY軸正の方向の側)に位置する(
図1参照)。外側防壁30は、外側開口22の近傍に設けられている。外側防壁30は、外側開口22を区画する。筐体18の外面が延びる方向(即ち
図2のX軸の方向)において、外側防壁30の位置は、内側防壁32の位置と異なっている。ここで、「外側防壁30の位置は、内側防壁32の位置と異なっている」とは、筐体18の外面が延びる方向において、外側防壁30の位置が内側防壁32の位置と互いに重ならないように異なっていることと、外側防壁30の位置が内側防壁32の位置と一部が重なるように異なっていることと、を含む。本実施例では、
図2に示されるように、筐体18の外面が延びる方向において、外側防壁30の位置は、内側防壁32の位置と一部が重なるように異なっている。内側防壁32と外側防壁30は、筐体18と一体に形成されている。
【0033】
図2に示されるように、外側開口22は、筐体18の内側から外側に向かう方向(即ち
図2のY軸の方向)において、内側防壁32と対面している。
【0034】
また、
図2に示されるように、外側防壁30の内面(即ち
図2のY軸負の方向の面)には、当該内面からスピーカ20に向かって延びる中間防壁40が設けられている。中間防壁40は、外側防壁30と一体に形成されている。
【0035】
(第1実施例の効果)
以上の構成によると、雨天の野外での情報読取装置10の使用など、筐体18の外側から筐体18の内側に水が侵入する状況において、外側開口22から侵入した水は、連通口25を通って内側防壁32の外面に当たる。そして、内側防壁32の外面に当たった水が方向を変えて、内側開口24及び防水シート26へと向かって流れる。本実施例の構成によると、外側開口22から侵入した水が防水シート26に直撃しない。外側開口22から侵入した水が内側防壁32の外面に当たることによって、外側開口22から侵入した水の勢いが低減される。内側防壁32を備えない比較例において外側開口22から侵入した水が防水シート26に直撃する場合と比較して、内側開口24及び防水シート26へと向かって流れる水の勢いが低減される。防水シート26の信頼性が損なわれることを抑制することができる。情報読取装置10の防水性能を高めることができる。
【0036】
本実施例では、さらに、外側防壁30には中間防壁40が設けられている。外側開口22から侵入した水は、まず、連通口25を通って内側防壁32に当たる。次に、内側防壁32に当たった水が方向を変えて、中間防壁40に当たる。そして、中間防壁40に当たった水が方向を変えて、内側開口24及び防水シート26へと向かって流れる。外側開口22から侵入した水の勢いは、内側防壁32及び中間防壁40によって二段階で低減される。内側開口24及び防水シート26へと向かって流れる水の勢いがさらに低減される。情報読取装置10の防水性能をさらに高めることができる。
【0037】
また、筐体18の製造に関して、筐体18は樹脂の射出成形によって形成される。筐体18の一部である外側防壁30の部分は、筐体18の外側防壁30とは異なる部分と比較して、その厚さ(即ち
図2のY軸方向の厚さ)が薄くなり得る。外側防壁30の厚さが薄いと、外側防壁30を形成するキャビティの断面積も狭い。キャビティの断面積が小さいと樹脂を充填するための圧力が不足する可能性がある。一方、本実施例では、外側防壁30の内面に中間防壁40が設けられるので、外側防壁30を形成するキャビティの断面積を広げることができる。樹脂を充填するための圧力が不足する事態が発生することを抑制することができる。
【0038】
(対応関係)
内側開口24、外側開口22が、それぞれ、「第1開口」、「第2開口」の一例である。スピーカ20が、「音部品」の一例である。内側防壁32、外側防壁30、中間防壁40が、それぞれ、「第1防壁」、「第2防壁」、「第3防壁」の一例である。
図2のX軸方向、Y軸方向が、それぞれ、「第1方向」、「第2方向」の一例である。
【0039】
(第2実施例;
図3)
第2実施例の情報読取装置10は、外側防壁30の内面に中間防壁40が設けられていない点を除いて、第1実施例と同様である。なお、第1実施例と同様の部分には第1実施例と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下の第3実施例以降の実施例でも同様に、第1実施例と同様の部分には第1実施例と同じ符号を付す。
【0040】
第2実施例の情報読取装置10も、2個の外側開口22を備える。そして、それぞれの外側開口22と対面する位置に、内側防壁32が設けられている。即ち2個の内側防壁32が設けられている。2個の内側防壁32は、スピーカ20を通るY軸方向の軸の周りに線対称に配置されている。2個の外側開口22は、筐体18の外面上において、スピーカ20を通るY軸方向の軸の周りに線対称に配置されている。変形例では、3個以上の内側防壁32及び3個以上の外側開口22が形成されていてもよい。例えば、3個の内側防壁32及び3個の外側開口22が形成されている場合には、3個の内側防壁32及び3個の外側開口22は、スピーカ20を通るY軸方向の軸の周りに点対称に配置されていてもよい。一般的に言えば、2個以上の内側防壁32及び2個以上の外側開口22がスピーカ20から見て対称的に配置されていればよい。また、他の変形例では、2個の外側開口22は、スピーカ20から見て放射状に配置されていればよく、対称的に配置されていなくてもよい。例えば、スピーカ20を通るY軸方向の軸から一方の外側開口22までの距離と、スピーカ20を通るY軸方向の軸から他方の外側開口22までの距離と、が異なっていてもよい。
【0041】
(第2実施例の効果)
以上の構成によると、2個の外側開口22のそれぞれから水が侵入すると、2個の外側開口22のそれぞれから侵入する水同士が、互いに干渉する。この結果、2個の外側開口22のそれぞれから侵入した水の勢いがさらに低減される。特に、本実施例では、2個の外側開口22が線対称に配置されているので、一方の外側開口22から侵入する水は、一方の外側開口22と線対称に配置されている他方の外側開口22から侵入する水によって相殺される。一方からの水の勢いが他方からの水の勢いによって相殺されることにより、防水シート26へ向かう水の勢いが低減される。情報読取装置10の防水性能を高めることができる。
【0042】
(第3実施例;
図4)
第3実施例は、外側防壁30の内面に中間防壁40が設けられていない点、及び、外部シート50をさらに備える点を除いて、第1施例と同様である。
【0043】
図4に示されるように、情報読取装置10は、外部シート50を備える。外部シート50は、筐体18の外面上、特に外側防壁30の外面上に配置される。外部シート50は、筐体18の外面に当たる水の力(即ち外力)によって弾性変形可能である。外部シート50は、例えばゴム製である。
図4の破線は、筐体18の外面に当たる水の力によって、外部シート50が筐体18の内側に向かってたわむ様子を示す。
【0044】
(第3実施例の効果)
以上の構成によると、筐体18の外面に当たる水の力によって、外部シート50が筐体18の内側にたわむ(
図4の破線参照)。この際、
図4の破線で示されるように、外部シート50が、連通口25を塞ぐか又は狭くする。外部シート50を備えない比較例と比べて、防水シート26へ向かう水の勢いがさらに低減される。情報読取装置10の防水性能をさらに高めることができる。外部シート50が、「外部シート」の一例である。
【0045】
(第4実施例;
図5)
第4実施例は、外側防壁30の内面に中間防壁40が設けられていない点、及び、外側防壁30が筐体18とは別体の部品である点を除いて、第1実施例と同様である。
【0046】
外側防壁30は、筐体18の外面に当たる水の外力によって弾性変形可能である。外側防壁30は、例えばゴム製である。
図5の破線は、筐体18の外面に当たる水の外力によって、外側防壁30が筐体18の内側に向かってたわむ様子を示す。
【0047】
外側防壁30の材料は、筐体18とは別の材料である。例えば、外側防壁30は、二色成形によって筐体18に固定されている。変形例では、外側防壁30は、筐体18とは別体の部品であってもよい。例えば、外側防壁30は、ネジ、スナップフィット等の固定手段によって筐体18に固定されていてもよい。また、他の変形例では、外側防壁30と筐体18とは同じ材料で成形されていてもよい。本変形例では、例えば、外側防壁30は、比較的薄い板で外側開口22の縁に接続されていてもよい。
【0048】
(第4実施例の効果)
以上の構成によると、筐体18の外面に当たる水の力によって、外側防壁30が筐体18の内側にたわむ(
図5の破線参照)。この際、外側防壁30が、連通口25を塞ぐか又は狭くする。外側防壁30がたまわない比較例と比べて、防水シート26へ向かう水の勢いがさらに低減される。特に、筐体18の内側に向かってたわんだ外側防壁30が、内側防壁32に当接すると、連通口25を塞ぐ。外側防壁30が内側防壁32に当接することによって連通口25が塞がれると、防水シート26へ向かって水が流れることを抑制することができる。情報読取装置10の防水性能をさらに高めることができる。
【0049】
(第5実施例;
図6)
第5実施例は、外側防壁30の内面に中間防壁40が設けられていない点、及び、内側防壁32の外面に縁防壁60が設けられている点を除いて、第1実施例と同様である。
【0050】
図6に示されるように、内側防壁32の外面の内側開口24側における縁には、縁防壁60が設けられている。縁防壁60は、内側防壁32の外面から筐体18の外側(即ち
図6のY軸正方向の側)に向かって延びる。縁防壁60は、内側防壁32と一体に形成されている。
【0051】
(第5実施例の効果)
以上の構成によると、内側防壁32の外面に当たった水は、内側防壁32の外面に設けられた縁防壁60に当たる。これにより、内側開口24及び防水シート26へと向かって流れる水の勢いを抑制することができる。縁防壁60を有しない比較例と比べて、情報読取装置10の防水性能をさらに高めることができる。縁防壁60が、「第4防壁」の一例である。
【0052】
(第6実施例;
図7)
第6実施例は、外側防壁30の内面に中間防壁40が設けられていない点、及び、内側防壁32の外面に凹凸70が形成されている点を除いて、第1実施例と同様である。なお、凹凸の個数は、図中の個数に限らないことに留意されたい。
【0053】
(第6実施例の効果)
以上の構成によると、外側開口22から侵入した水は、内側防壁32の外面に当たる。特に、内側防壁32の外面に形成されている凹凸70に当たる。凹凸70に当たった水は乱反射し、続けて侵入する水が乱反射した水に当たり、続けて侵入する水の勢いが低減される。凹凸70を有しない比較例と比べて、情報読取装置10の防水性能をさらに高めることができる。凹凸70が、「凹凸」の一例である。
【0054】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0055】
(変形例1)「音部品」は、スピーカ20に限らず、例えば、音を信号に変換するマイクロホン等であってもよい。
【0056】
(変形例2)上記の第1実施例では、中間防壁40は、外側防壁30と一体に形成されていたが、変形例では、中間防壁40は、外側防壁30とは別体の部品であってもよい。
【0057】
(変形例3)上記の第5実施例では、縁防壁60は、内側防壁32と一体に形成されていたが、変形例では、縁防壁60は、内側防壁32とは別体の部品であってもよい。
【0058】
(変形例4)上記の第6実施例では、凹凸70は、内側防壁32と一体に形成されていたが、変形例では、凹凸70は、内側防壁32とは別体の部品であってもよい。
【0059】
(変形例5)上記の各実施例では、連通口25は2個の外側開口22を有していたが、変形例では、連通口25は、1個の外側開口のみを有してもよい。
【0060】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0061】
10:情報読取装置
12:表示部
14:操作部
16:読取部品
18:筐体
20:スピーカ
22:外側開口
24:内側開口
26:防水シート
30:外側防壁
32:内側防壁
40:中間防壁
50:外部シート
60:縁防壁
70:凹凸