(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】車体下部構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20241002BHJP
B62D 21/15 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B62D21/15 B
B62D25/20 G
(21)【出願番号】P 2021015560
(22)【出願日】2021-02-03
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】大野 敦史
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-105033(JP,A)
【文献】特開2020-111267(JP,A)
【文献】再公表特許第2019/151084(JP,A1)
【文献】特許第6332389(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B62D 21/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体下部構造であって、
前記車体の車幅方向に並ぶサイドシルアウターおよびサイドシルインナーを含む中空のサイドシルと、
前記サイドシルインナーから前記車幅方向に延びるフロアクロスメンバーと、
前記サイドシルインナーおよび前記フロアクロスメンバーに結合され、前記フロアクロスメンバーと協働して閉断面形状を形成するフロアパネルと、
前記フロアクロスメンバーと前記サイドシルインナーとの結合部に隣接配置され前記サイドシルインナーおよび前記フロアクロスメンバーの双方に結合されたブラケットと、
中空の軸状部を有し、前記サイドシル内に配置されたエネルギー吸収部材と、
を備え、
前記車幅方向から見て、前記エネルギー吸収部材のうち前記サイドシルインナー側の端部の領域として第1領域が規定され、
前記車幅方向から見て、前記フロアクロスメンバーのうち前記閉断面形状を形成する部分で囲まれた領域を含むフロアクロスメンバー側の領域と、前記ブラケットのうち前記フロアクロスメンバーおよび前記サイドシルインナーへの結合部で囲まれた領域としてのブラケット側の領域と、を含む第2領域が規定され、
前記第1領域の少なくとも一部は、前記第2領域に配置されて
おり、
前記サイドシルインナーは、前記エネルギー吸収部材の上方に配置され前記車幅方向の内側に延びる上横壁と、前記上横壁から下方に延びる縦壁と、前記縦壁から車幅方向の外側に延び前記エネルギー吸収部材の下方に配置される下横壁と、を備え、
前記第1領域の上端が前記サイドシルインナーの前記上横壁から離隔して配置されているか、または前記第1領域の下端が前記サイドシルインナーの前記下横壁から離隔して配置されている、車体下部構造。
【請求項2】
前記車幅方向から見て、前記第1領域の少なくとも一部は、前記ブラケット側の領域に配置されている、請求項1に記載の車体下部構造。
【請求項3】
前記車幅方向から見て、前記第1領域の少なくとも一部は、前記フロアクロスメンバー側の領域に配置されている、請求項1または請求項2に記載の車体下部構造。
【請求項4】
前記車体の車長方向において、
前記第1領域の前端は、前記第2領域の前端に配置されているかまたは前記第2領域の前方に配置され、
前記第1領域の後端は、前記第2領域の後端に配置されているかまたは前記第2領域の後方に配置されている、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の車体下部構造。
【請求項5】
前記車幅方向から見て、前記第1領域の上端および下端は、前記第2領域内に配置されている、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の車体下部構造。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記フロアクロスメンバーと前記車体の車高方向に並んでいる、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の車体下部構造。
【請求項7】
前記エネルギー吸収部材の前記軸状部の軸線方向は、前記車体の車長方向と交差している、請求項1~請求項6の何れか1項に記載の車体下部構造。
【請求項8】
前記エネルギー吸収部材は、前記軸状部を複数含み、
複数の前記軸状部が前記車体の車長方向に並んで配置されている、請求項7に記載の車体下部構造。
【請求項9】
前記エネルギー吸収部材は連結部材を有し、
前記連結部材は、前記軸状部における前記サイドシルアウター側の端部に配置され、複数の前記軸状部同士を連結する、請求項8に記載の車体下部構造。
【請求項10】
前記軸状部は、前記サイドシルアウター側から前記サイドシルインナー側に進むに従い細くなる形状、または、太くなる形状に形成されている、請求項7~請求項9の何れか1項に記載の車体下部構造。
【請求項11】
前記フロアクロスメンバーおよび前記ブラケットが何れも前記車体の車長方向に複数配置されることで、前記第2領域が複数設けられ、
前記車体の車幅方向から見て、前記第1領域は、複数の前記第2領域に跨がって配置されている、請求項1~請求項10の何れか1項に記載の車体下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車分野において、衝突安全規制は年々強化されており、燃費向上のための軽量化と、衝突安全性の両立が非常に重要となる。また、近年、地球環境保護の観点から、電気自動車等のエコカーの開発が進んでいる。電気自動車では、床下に多数の電池が配置される。したがって、電池への外力の作用を少なくするために、電池に近接して設けられるサイドシルの性能向上(主として衝突エネルギー吸収性能)が重要になる。
【0003】
一般に、サイドシル等の車両側面に設けられる車両用骨格部材は、軽量化のため2つのハット部材で中空断面を形成して製造される(例えば、特許文献1~3参照)。この骨格部材内に補強部材を配置することで、性能向上を図る場合がある(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
補強部材の配置方法としては、例えば、車両用骨格部材の長手方向に沿って補強部材を配置する場合と、車両用骨格部材の長手方向に直交する方向に補強部材を配置する場合が考えられる。前者は、部分的に板厚が増加するため、補強部材が存在する領域の強度が向上する。後者は、補強部材が車両用骨格部材の隔壁となるため、ねじり抵抗の増大や、補強部材がある領域の強度が向上する。自動車の衝突時に生じる変形は、大きく分けて曲げ変形、軸圧潰、ねじり変形の3つがある。軸圧潰およびねじり変形は、部品全体に変形が生じ易いため、部品重量あたりのエネルギー吸収量は高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5585530号明細書
【文献】特許第6264864号明細書
【文献】特許第6332389号明細書
【文献】国際公開WO2019/0151084
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、上述の3つの変形形態のうち、曲げ変形は、変形領域が限定されるため、部品重量あたりのエネルギー吸収量は小さい。特に衝突物が電柱等(ポール側突)の小さいものほど、より変形領域は小さくなるため、エネルギー吸収量はさらに小さくなる。
【0007】
EVの車体開発においては、斜めポール側面衝突に対する対応が重要である。斜めポール側面衝突とは、車体を平面視したときに、車体の車長方向に対してある程度傾斜した向きで車体に向かってくる電柱等のポールが車体と衝突することをいう。斜めポール側面衝突によって、サイドシルには大きな曲げ力が入力される。EVでは、床下にバッテリーボックスを配置する構成が主流であるため、斜めポール側面衝突によってサイドシルに衝突エネルギーが入力されたときに、バッテリーボックスの変形を抑制するには、サイドシルとその周辺部材(フロアクロスメンバー等)とで衝突エネルギーを吸収する必要がある。
【0008】
特許文献4に記載の構成では、サイドシルの変形とサイドシル内の補強部材の変形とによって、衝突エネルギーが吸収される。ここで、斜めポール側面衝突時に補強部材に十分なエネルギー吸収を行わせるためには、補強部材の塑性変形量が大きくなければならない。補強部材の塑性変形量を大きくするためには、補強部材を支えるサイドシルインナー側の構造の剛性が高い必要がある。この剛性が高いと、斜めポール側面衝突時に補強部材がサイドシルインナー側で高い剛性で受けられてエネルギー吸収部材の塑性変形を促進できる。
【0009】
本発明の目的の一つは、車体下部において、エネルギー吸収部材の塑性変形による衝突エネルギー吸収量をより高くできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記の車体下部構造を要旨とする。
【0011】
(1)車体下部構造であって、
前記車体の車幅方向に並ぶサイドシルアウターおよびサイドシルインナーを含む中空のサイドシルと、
前記サイドシルインナーから前記車幅方向に延びるフロアクロスメンバーと、
前記サイドシルインナーおよび前記フロアクロスメンバーに結合され、前記フロアクロスメンバーと協働して閉断面形状を形成するフロアパネルと、
前記フロアクロスメンバーと前記サイドシルインナーとの結合部に隣接配置され前記サイドシルインナーおよび前記フロアクロスメンバーの双方に結合されたブラケットと、
中空の軸状部を有し、前記サイドシル内に配置されたエネルギー吸収部材と、
を備え、
前記車幅方向から見て、前記エネルギー吸収部材のうち前記サイドシルインナー側の端部の領域として第1領域が規定され、
前記車幅方向から見て、前記フロアクロスメンバーのうち前記閉断面形状を形成する部分で囲まれた領域を含むフロアクロスメンバー側の領域と、前記ブラケットのうち前記フロアクロスメンバーおよび前記サイドシルインナーへの結合部で囲まれた領域としてのブラケット側の領域と、を含む第2領域が規定され、
前記第1領域の少なくとも一部は、前記第2領域に配置されている、車体下部構造。
【0012】
(2)前記車幅方向から見て、前記第1領域の少なくとも一部は、前記ブラケット側の領域に配置されている、前記(1)に記載の車体下部構造。
【0013】
(3)前記車幅方向から見て、前記第1領域の少なくとも一部は、前記フロアクロスメンバー側の領域に配置されている、前記(1)または(2)に記載の車体下部構造。
【0014】
(4)前記車体の車長方向において、
前記第1領域の前端は、前記第2領域の前端に配置されているかまたは前記第2領域の前方に配置され、
前記第1領域の後端は、前記第2領域の後端に配置されているかまたは前記第2領域の後方に配置されている、前記(1)~(3)の何れか1項に記載の車体下部構造。
【0015】
(5)前記車幅方向から見て、前記第1領域の上端および下端は、前記第2領域内に配置されている、前記(1)~(4)の何れか1項に記載の車体下部構造。
【0016】
(6)前記ブラケットは、前記フロアクロスメンバーと前記車体の車高方向に並んでいる、前記(1)~(5)の何れか1項に記載の車体下部構造。
【0017】
(7)前記エネルギー吸収部材の前記軸状部の軸線方向は、前記車体の車長方向と交差している、前記(1)~(6)の何れか1項に記載の車体下部構造。
【0018】
(8)前記エネルギー吸収部材は、前記軸状部を複数含み、
複数の前記軸状部が前記車体の車長方向に並んで配置されている、前記(7)に記載の車体下部構造。
【0019】
(9)前記エネルギー吸収部材は連結部材を有し、
前記連結部材は、前記軸状部における前記サイドシルアウター側の端部に配置され、複数の前記軸状部同士を連結する、前記(8)に記載の車体下部構造。
【0020】
(10)前記軸状部は、前記サイドシルアウター側から前記サイドシルインナー側に進むに従い細くなる形状、または、太くなる形状に形成されている、前記(7)~(9)の何れか1項に記載の車体下部構造。
【0021】
(11)前記フロアクロスメンバーおよび前記ブラケットが何れも前記車体の車長方向に複数配置されることで、前記第2領域が複数設けられ、
前記車体の車幅方向から見て、前記第1領域は、複数の前記第2領域に跨がって配置されている、前記(1)~(10)の何れか1項に記載の車体下部構造。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車体下部において、エネルギー吸収部材の塑性変形による衝突エネルギー吸収量をより高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るサイドシル、フロアクロスメンバー、フロアパネルの部分の車体下部構造を示す車体下部の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、車体下部のうちサイドシルの図示を省略した模式的な斜視図である。
【
図3】
図3は、車体下部の主要部の断面図であり、車長方向と直交する断面を示している。
【
図4】
図4は、車体下部におけるエネルギー吸収部材の断面図であり、車幅方向と直交する断面を示している。
【
図5】
図5は、車体下部を車幅方向の車内側から見た模式的な側面図であって、エネルギー吸収部材のレイアウトについて説明するための図である。
【
図6】
図6(A)は、エネルギー吸収部材の配置の変形例1を示す側面図である。
図6(B)は、エネルギー吸収部材の配置の変形例2を示す側面図である。
【
図7】
図7(A)は、エネルギー吸収部材の配置の変形例3を示す側面図である。
図7(B)は、エネルギー吸収部材の配置の変形例4を示す側面図である。
【
図8】
図8(A)は、エネルギー吸収部材の変形例1を示す模式図であり、車長方向から見た状態を示している。
図8(B)は、エネルギー吸収部材の変形例2を示す模式図であり、車長方向から見た状態を示している。
【
図9】
図9(A)は、エネルギー吸収部材の変形例3を示す主要部の模式的な断面図である。
図9(B)は、エネルギー吸収部材の変形例3を含む車体下部を車幅方向に見た側面図である。
【
図10】
図10(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例1を示す主要部の模式的な側面図である。
図10(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例2を示す主要部の模式的な側面図である。
図10(C)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例3を示す主要部の模式的な側面図である。
図10(D)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例4を示す主要部の模式的な側面図である。
【
図11】
図11(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例5を示す主要部の模式的な側面図である。
図11(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例6を示す主要部の模式的な側面図である。
図11(C)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例7を示す主要部の模式的な側面図である。
図11(D)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例8を示す主要部の模式的な側面図である。
【
図12】
図12(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例9を示す主要部の模式的な側面図である。
図12(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例10を示す主要部の模式的な側面図である。
【
図13】
図13(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例11を示す主要部の模式的な側面図である。
図13(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例12を示す主要部の模式的な側面図である。
図13(C)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例13を示す主要部の模式的な側面図である。
図13(D)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例14を示す主要部の模式的な側面図である。
【
図14】
図14(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例15を示す主要部の模式的な側面図である。
図14(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例16を示す主要部の模式的な側面図である。
図14(C)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例17を示す主要部の模式的な側面図である。
図14(D)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例18を示す主要部の模式的な側面図である。
【
図15】
図15(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例19を示す主要部の模式的な側面図である。
図15(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例20を示す主要部の模式的な側面図である。
【
図16】
図16(A)は、エネルギー吸収部材の変形例4について説明するための主要部の断面図である。
図16(B)は、エネルギー吸収部材の変形例5について説明するための主要部の断面図である。
【
図17】
図17(A)は、エネルギー吸収部材の変形例6について説明するための主要部の断面図である。
図17(B)は、エネルギー吸収部材の変形例7について説明するための主要部の断面図である。
【
図18】
図18は、フロアクロスメンバーおよびブラケットの形状の変形例を説明するための図であり、車体下部を車幅方向の車内側から見た模式的な側面図である。
【
図19】
図19は、
図18に示すフロアクロスメンバーおよびブラケットの形状の変形例を説明するための図であり、車体下部の主要部の断面図であって車長方向と直交する断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0025】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係るサイドシル、フロアクロスメンバー、フロアパネルの部分の車体下部構造を示す車体下部2の模式的な斜視図である。
図2は、車体下部2のうちサイドシル10の図示を省略した模式的な斜視図である。
図3は、車体下部2の主要部の断面図であり、車長方向Xと直交する断面を示している。
図4は、車体下部2におけるエネルギー吸収部材100の断面図であり、車幅方向Yと直交する断面を示している。
図5は、車体下部2を車幅方向Yの車内側から見た模式的な側面図であって、エネルギー吸収部材100のレイアウトについて説明するための図である。
図5では、エネルギー吸収部材100のうちサイドシルインナー21側の端部100a(サイドシルインナー21と車幅方向Yに向かい合っている面)を破線で示している。なお、本明細書では、車体下部2を車幅方向Yから見た状態を示す図は、全て、車幅方向Yの車内側から見た状態を示している。また、本出願の図面では、部材のうち続いている箇所を切断して示している箇所は、波線で示している。
【0026】
図1~
図5を参照して説明すると、本実施形態の車体1は、自動車の車体である。自動車として、乗用車を例示できる。上記乗用車の一例として、セダン型乗用車、クーペ型乗用車、ハッチバック型乗用車、ミニバン型乗用車、SUV(Sport Utility Vehicle)型乗用車等を挙げることができる。また、上記の乗用車は、車両を前進および後退する駆動力を発生する原動機としてガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関が搭載されたエンジン車であってもよいし、上記原動機として内燃機関と電動モータの双方が搭載されたハイブリッド車両(HV)であってもよいし、上記原動機として内燃機関は持たずに電動モータによって上記の駆動力を発生する電動車両(EV)であってもよい。上記の乗用車がHVまたはEVである場合、車体1の下部である車体下部2には、駆動用バッテリーが配置される。この駆動用バッテリーは、バッテリーケースに収容された状態で車体下部2の床下に設置される。本実施形態の車体1は、好ましくは、EV自動車に適用される。
【0027】
なお、本実施形態では、車体1の車長方向、車幅方向、および、車高方向をそれぞれ、車長方向X、車幅方向Y、および、車高方向Zという。また、本実施形態では、車体下部2は、車幅方向Yに対称な形状を有しているので、車幅方向Yの一方側の構成を説明し、他方側の説明を省略する。
【0028】
車体下部2は、フロアパネル4と、サイドシル10と、フロアクロスメンバー30,50と、ブラケット70,90と、エネルギー吸収部材100と、を有している。
【0029】
上記のフロアパネル4、サイドシル10、フロアクロスメンバー30,50、ブラケット70,90、エネルギー吸収部材100は、本実施形態では、鋼板を用いて形成されているけれども、鋼板以外の材料を用いて形成されていてもよい。鋼板以外の材料として、アルミニウム、繊維強化合成樹脂(FRP)、金属と樹脂の複合材料等を例示できる。
【0030】
フロアパネル4は、車体1のキャビン(車室)の下端部を形成する床部材である。フロアパネル4はフロアクロスメンバー30,50が配置されている領域において、補強用の凹凸部分としてのリブ(図示せず)を有しつつ、多くの部分が車高方向Zと直交して延びている。フロアパネル4は、サイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー30,50と、溶接または接着によって結合されている。車幅方向Yにおけるフロアパネル4の端部には例えば下向きのフランジ4bが形成されている。このフランジ4bは、サイドシル10の後述するサイドシルインナー21の縦壁24に溶接または接着によって結合されている。フロアパネル4は、フロアクロスメンバー30に結合されることで、フロアクロスメンバー30と協働して閉断面形状を形成している。同様に、フロアパネル4は、フロアクロスメンバー50に結合されることで、フロアクロスメンバー50と協働して閉断面形状を形成している。
【0031】
サイドシル10は、車体1のうち車幅方向Yの外側部分の下部に設けられている。サイドシル10は、車長方向Xに沿って延びる中空の部材である。なお、本明細書では、車幅方向Yの内側/外側というときは、車幅方向Yの車内側/車外側をいう。
【0032】
サイドシル10は、車幅方向Yに並ぶサイドシルアウター11と、サイドシルインナー21と、を有している。
【0033】
サイドシルアウター11およびサイドシルインナー21は、それぞれ、車長方向Xと直交する断面形状がハット形状に形成されており、サイドシル10における閉断面形状を形成している。サイドシルアウター11は、サイドシルインナー21に対して車幅方向Yの外側に配置されている。
【0034】
サイドシルアウター11は、上フランジ12と、上フランジ12から車幅方向Yの外側に延びる上横壁13と、上横壁13から下方に延びる縦壁14と、縦壁14から車幅方向Yの内側に延びる下横壁15と、下横壁15から下方に延びる下フランジ16と、を有している。
【0035】
サイドシルインナー21は、上フランジ22と、上フランジ22から車幅方向Yの内側に延びる上横壁23と、上横壁23から下方に延びる縦壁24と、縦壁24から車幅方向Yの外側に延びる下横壁25と、下横壁25から下方に延びる下フランジ26と、を有している。
【0036】
上フランジ12,22が溶接または接着等によって互いに結合されている。同様に、下フランジ16,26が溶接または接着等によって互いに結合されている。これにより、サイドシルアウター11とサイドシルインナー21との間に、エネルギー吸収部材100が配置される空間が形成されている。サイドシルインナー21から車幅方向Yの内側に向けて、フロアクロスメンバー30,50が延びている。
【0037】
フロアクロスメンバー30,50は、例えば、車体1によって形成される車室(キャビン)の前部座席側に配置されている。フロアクロスメンバー30,50は、車長方向Xに離隔して配置されており、フロアクロスメンバー30の後方にフロアクロスメンバー50が配置されている。フロアクロスメンバー30,50は、それぞれ、車幅方向Yと直交する断面形状が、ハット形状とされており、フロアパネル4と協働して閉断面形状を形成している。
【0038】
フロアクロスアメンバー30は、縦フランジ31と、前フランジ32と、前フランジ32の後端から上方に延びる前縦壁33と、前縦壁33の上端から後方に延びる天壁34と、天壁34の後端から下方に延びる後縦壁35と、後縦壁35の下端から後方に延びる後フランジ36と、を有している。縦フランジ31、前フランジ32、前縦壁33、天壁34、後縦壁35、後フランジ36のうち、サイドシルインナー21と車幅方向Yに直接向かい合っている面が、フロアクロスメンバー30の外側端部38を形成している。
【0039】
縦フランジ31は、前縦壁33から前方に延び前フランジ32と車幅方向Yに並ぶ前側縦フランジ31aと、天壁34から上方に延び且つ天壁34とブラケット70とで囲まれた空間内に配置された中間縦フランジ31bと、後縦壁35から後方に延び後フランジ36と車幅方向Yに並ぶ後側縦フランジ31cと、を有している。なお、縦フランジ31は設けられなくてもよい。
【0040】
縦フランジ31の各フランジ31a~31cは、溶接または接着等によってサイドシルインナー21に結合されている。前フランジ32、前縦壁33、天壁34、後縦壁35、および、後フランジ36は、溶接または接着等によってサイドシルインナー21に結合されていてもよいし、単にサイドシルインナー21とは結合されずにサイドシルインナー21の縦壁24におけるこれらの部分32~36が沿わされる部分と車幅方向Yに並んでいてもよい。
【0041】
前フランジ32は、溶接または接着等によってフロアパネル4に結合されている。同様に、後フランジ36は、溶接または接着等によってフロアパネル4に結合されている。
【0042】
上記の構成を有するフロアクロスメンバー30の外側端部38は、サイドシルインナー21に溶接または接着等によって結合されている。例えば外側端部38の全域または一部が、サイドシルインナー21の縦壁24に固定されている。
【0043】
フロアクロスアメンバー50は、縦フランジ51と、前フランジ52と、前フランジ52の後端から上方に延びる前縦壁53と、前縦壁53の上端から後方に延びる天壁54と、天壁54の後端から下方に延びる後縦壁55と、後縦壁55の下端から後方に延びる後フランジ56と、を有している。縦フランジ51、前フランジ52、前縦壁53、天壁54、後縦壁55、後フランジ56のうち、サイドシルインナー21と車幅方向Yに直接向かい合っている面が、フロアクロスメンバー50の外側端部58を形成している。
【0044】
縦フランジ51は、前縦壁53から前方に延び前フランジ52と車幅方向Yに並ぶ前側縦フランジ51aと、天壁54から上方に延び且つ天壁54とブラケット50とで囲まれた空間内に配置された中間縦フランジ51bと、後縦壁55から後方に延び後フランジ56と車幅方向Yに並ぶ後側縦フランジ51cと、を有している。なお、縦フランジ51は設けられなくてもよい。
【0045】
縦フランジ51の各フランジ51a~51cは、溶接または接着等によってサイドシルインナー21に結合されている。前フランジ52、前縦壁53、天壁54、後縦壁55、および、後フランジ56は、溶接または接着等によってサイドシルインナー21に結合されていてもよいし、単にサイドシルインナー21とは結合されずにサイドシルインナー21の縦壁24におけるこれらの部分52~56が沿わされる部分と車幅方向Yに並んでいてもよい。
【0046】
前フランジ52は、溶接または接着等によってフロアパネル4に結合されている。同様に、後フランジ56は、溶接または接着等によってフロアパネル4に結合されている。
【0047】
上記の構成を有するフロアクロスメンバー50の外側端部58は、サイドシルインナー21に溶接または接着等によって結合されている。例えば外側端部58の全域または一部が、サイドシルインナー21の縦壁24に固定されている。
【0048】
本実施形態では、フロアクロスメンバー30とフロアクロスメンバー50は、同じ形状および材料で形成されており、車長方向Xに並んでいる。本実施形態では、フロアクロスメンバー30,50の高さ位置は、一致している。なお、フロアクロスメンバー30,50は、車長方向X、車幅方向Y、および、車高方向Zにおける長さの少なくとも一つが互いに異なっていてもよい。また、フロアクロスメンバー30,50の高さ位置が互いに異なっていてもよい。
【0049】
ブラケット70は、フロアクロスメンバー30とサイドシルインナー21との結合部40に隣接配置されサイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー30の双方に結合されている。結合部40は、フロアクロスメンバー30の外側端部38と、サイドシルインナー21の縦壁24の一部と、を有している。当該縦壁24の一部は、外側端部38と直接車幅方向Yに向かい合っている部分を示す。同様に、ブラケット90は、フロアクロスメンバー50とサイドシルインナー21との結合部60に隣接配置されサイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー50の双方に結合されている。結合部60は、フロアクロスメンバー50の外側端部58と、サイドシルインナー21の縦壁24の一部と、を有している。当該縦壁24の一部は、外側端部58と直接車幅方向Yに向かい合っている部分を示す。本実施形態では、ブラケット70,90は、対応するフロアクロスメンバー30,50と車高方向Zに並んでいる。
【0050】
ブラケット70は、好ましくは、1枚の鋼板から形成された一体成形品であり、各部の板厚が一定である。ブラケット70は、袋状に形成されており、ブラケット70単体をみたときに、下方および車幅方向Yの外側が開放されている。本実施形態では、ブラケット70は、フロアクロスメンバー30の上方に配置されており、天壁34に固定されている。なお、ブラケット70は、フロアクロスメンバー30とともにフロアパネル4の下方に配置されてもよい。この場合、フロアパネル4の下方にフロアクロスメンバー30およびブラケット70が配置される。例えば、本実施形態におけるフロアクロスメンバー30およびブラケット70を上下対称な位置に移動することで、ブラケット70は、フロアクロスメンバー30とともにフロアパネル4の下方に配置される。車幅方向Yにおいて、ブラケット70の長さは、フロアクロスメンバー30の長さよりも短い。また、車長方向Xにおいて、ブラケット70は、フロアクロスメンバー30の天壁34における前端と後端との間に配置されている。また、車高方向Zにおいて、ブラケット70は、フロアクロスメンバー30の天壁34とサイドシルインナー21の上横壁23との間に配置されている。ブラケット70は、後述するように連続フランジ構造により、高い剛性(耐斜めポール側面衝突性能)を確保できる。よって、ブラケット70が上述したコンパクトなレイアウトであっても、斜めポール側面衝突に対して十分な性能を発揮できる。
【0051】
ブラケット70は、ブラケット本体71と、ブラケット本体71の周囲に配置された環状フランジ72と、を有している。
【0052】
ブラケット本体71は、車高方向Zに薄い扁平な形状に形成されており、車高方向Zに見て(平面視において)U字状に形成され、車長方向Xに見て車幅方向Yに細長い形状に形成されている。
【0053】
ブラケット本体71は、天板73と、天板73の縁部に連続する側板74と、を有している。
【0054】
天板73は、水平に配置された、平面視でU字状の板状部分である。車幅方向Yにおける天板73の外側縁部がサイドシルインナー21フロアクロスメンバー30の縦壁24と平行に配置され、天板73の内側縁部が車幅方向Yの内側に向けて凸となる形状に形成されている。天板73には、乗員用のシートを支えるシートレール用の取付孔が形成されてもよい。側板74は、天板73の前端縁部、車幅方向Yの内側縁部、および、後端縁部にそれぞれ連続する、平面視でU字状の部分である。天板73と側板74との接続部は、滑らかな湾曲形状とされている。側板74の下端面は、フロアクロスメンバー30の天壁34の上端面の真上に配置されている。
【0055】
環状フランジ72は、ブラケット本体71の外周縁部を全周に亘って取り囲む無端環状のフランジである。
【0056】
環状フランジ72は、側板74に連続しフロアクロスメンバー30の天壁34に沿わされる横フランジ75と、車幅方向Yにおけるブラケット本体71の外側端部に連続しサイドシルインナー21の縦壁24に沿わされる縦フランジ76と、を有している。
【0057】
横フランジ75は、側板74の下端部と、全域に亘って接続された帯状部分であり、平面視で天板73の外周縁部に沿って配置されたU字状の部分である。横フランジ75の幅W1は、横フランジ75を天壁34に溶接または接着等によって天壁34に結合可能な値に設定されている。横フランジ75と天壁34とは、横フランジ75の長手方向に沿ってスポット溶接等によって間欠的に固定されていてもよいし、レーザー溶接または接着剤等によって上記長手方向に沿って連続的に固定されていてもよい。
【0058】
横フランジ75は、車幅方向Yにおける横フランジ75の内側端部の前端部および後端部に形成された内側前R部75aおよび内側後R部75bを有している。内側前R部75aは、横フランジ75のうち車幅方向Yに細長い部分および車長方向Xに細長い部分の双方と同じ幅を有する円弧状の部分である。同様に、内側後R部75bは、横フランジ75のうち車幅方向Yに細長い部分および車長方向Xに細長い部分の双方と同じ幅を有する円弧状の部分である。
【0059】
縦フランジ76は、車幅方向Yにおけるブラケット本体71の外側端部と、全域に亘って接続された帯状部分であり、車幅方向Yから見てサイドシルインナー21の縦壁24に沿って配置されたU字状の部分である。縦フランジ76の帯状部分の幅は、横フランジ75の幅W1と同じに設定されており、当該縦フランジ76を溶接または接着等によって縦壁24に結合可能な値に設定されている。縦フランジ76と縦壁24とは、縦フランジ76の長手方向に沿ってスポット溶接等によって間欠的に固定されていてもよいし、レーザー溶接または接着剤等によって上記長手方向に沿って連続的に固定されていてもよい。
【0060】
縦フランジ76の上端部の前端部および後端部は、上側前R部76aおよび上側後R部76bを有している。上側前R部76aは、縦フランジ76のうち上側前R部76aの下方に位置する部分および上側前R部76aの真後ろに位置する部分の双方と同じ幅を有する円弧状の部分である。同様に、上側後R部76bは、縦フランジ76のうち上側後R部76bの下方に位置する部分および上側前R部76aの前方に位置する部分の双方と同じ幅を有する円弧状の部分である。上側前R部76aの外周縁部の曲率半径は、フロアクロスメンバー30における天壁34と前縦壁33との接続部の曲率半径r30aよりも大きい。同様に、上側後R部76bの外周縁部の曲率半径は、フロアクロスメンバー30における天壁34と後縦壁35との接続部の曲率半径r30bよりも大きい。このように、上側前R部76aと上側後R部76bのそれぞれの曲率半径が大きくされていることで、これら上側前R部76aと上側後R部76bにおける応力集中が生じにくくされている。これにより、ブラケット70がサイドシルインナー21とフロアクロスメンバー30との結合部40を補強する効果、特に、斜めポール側面衝突に対する補強効果を高くできる。
【0061】
なお、上側前R部76aの外周縁部の曲率半径は、上述した曲率半径r30aと同じでもよいし、曲率半径r30aより小さくてもよい。同様に、上側後R部76bの外周縁部の曲率半径は、上述した曲率半径r30bと同じでもよいし、曲率半径r30bより小さくてもよい。このような場合でも、これら上側前R部76aと上側後R部76bにおける応力集中を生じにくくできる。
【0062】
さらに、縦フランジ76と横フランジ75とは、前接続部77および後接続部78において互いに連続している。
【0063】
前接続部77は、縦フランジ76の前下端部と横フランジ75の車幅方向外側前端部とが互いに接続されることで形成されている。前接続部77は、車長方向Xに見てL字状の部分であり、縦フランジ76の一部で且つ横フランジ75の一部である。前接続部77は、滑らかな円弧形状で略90度曲がった形状を有しており、サイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー30と、環状フランジ72とは、環状フランジ72の略全域で面接触している。
【0064】
後接続部78は、縦フランジ76の後下端部と横フランジ75の車幅方向外側後端部とが互いに接続されることで形成されている。後接続部78は、車長方向Xに見てL字状の部分であり、縦フランジ76の一部で且つ横フランジ75の一部である。後接続部78は、滑らかな円弧形状で略90度曲がった形状を有しており、サイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー30と、環状フランジ72とは、環状フランジ72の略全域で面接触している。
【0065】
上述したように、環状フランジ72が無端環状に形成されていることにより、環状フランジ72の全体が連続化されている。これにより、サイドシル10に対する継手としての環状フランジ72の剛性を高くできるので、サイドシル10からブラケット70およびフロアクロスメンバー30への荷重伝達効率をより高くできる。また、袋状ブラケット70は、サイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー30と協働して強固な高剛性構造を構成している。特に、ブラケット70を車幅方向Yから見て、ブラケット本体71の天板73と側板74とが、フロアクロスメンバー30の天壁34と協働して閉断面形状を形成している。この閉断面形状は、天板73、側板74の前端部分と後端部分、および、天壁34で囲まれた矩形の閉断面形状である。よって、斜めポール側面衝突時において、上下に細長いポールがサイドシル10に衝突した後、エネルギー吸収部材100が十分な塑性変形をするまで、サイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー30の互いの結合部40(対向部)の変形を十分に抑制できる。
【0066】
なお、ブラケット70は、上記の構成に限定されない。ブラケット70の環状フランジ72の一部が不連続な形状であってもよい。環状フランジ72が不連続な形状である場合、環状フランジ72の周方向の一部分が欠けていることで、環状フランジ72が存在している部分と環状フランジ72が存在してない箇所が交互に存在する形状を例示できる。また、環状フランジ72の横フランジ75は、鉛直方向縦向きの姿勢に配置されてフロアクロスメンバー30の前縦壁33および後縦壁35に接合されていてもよい。
【0067】
上記の構成を有するブラケット70の後方に、ブラケット90が配置されている。
【0068】
本実施形態では、ブラケット70とブラケット90は、同じ形状および材料で形成されており、車長方向Xに並んでいる。本実施形態では、ブラケット70,90の高さ位置は、一致している。よって、ブラケット90については、ブラケット70と異なる点について主に説明し、ブラケット70と同様の構成については、ブラケット70の部材の参照符号に対応する参照符号を付して詳細な説明を一部省略する。なお、ブラケット70,90は、車長方向X、車幅方向Y、および、車高方向Zにおける長さの少なくとも一つが互いに異なっていてもよい。また、ブラケット70,90の高さ位置が互いに異なっていてもよい。
【0069】
本実施形態では、ブラケット90は、フロアクロスメンバー50の上方に配置されており、フロアクロスメンバー50の天壁54に固定されている。なお、ブラケット90は、フロアクロスメンバー50とともにフロアパネル4の下方に配置されてもよい。この場合、フロアパネル4の下方にフロアクロスメンバー50およびブラケット90が配置される。例えば、本実施形態におけるフロアクロスメンバー50およびブラケット90を上下対称な位置に移動することで、ブラケット90は、フロアクロスメンバー50とともにフロアパネル4の下方に配置される。車長方向Xにおいて、ブラケット90は、フロアクロスメンバー50の天壁54における前端と後端との間に配置されている。ブラケット90は、ブラケット70と同様、環状フランジ92の全体が連続化されている。これにより、サイドシル10に対する継手としての環状フランジ92の剛性を高くできるので、サイドシル10からブラケット90およびフロアクロスメンバー50への荷重伝達効率をより高くできる。よって、ブラケット90がブラケット70と同様のコンパクトなレイアウトであっても、斜めポール側面衝突に対して十分な性能を発揮できる。
【0070】
ブラケット90は、ブラケット本体91と、ブラケット本体91の周囲に配置された環状フランジ92と、を有している。
【0071】
ブラケット本体91は、天板93と、天板93の縁部に連続する側板94と、を有している。
【0072】
側板94の下端面は、フロアクロスメンバー50の天壁54の上端面の真上に配置されている。環状フランジ92は、ブラケット本体91の外周縁部を全周に亘って取り囲む無端環状のフランジである。
【0073】
環状フランジ92は、ブラケット90の側板94に連続しフロアクロスメンバー50の天壁54に沿わされる横フランジ95と、車幅方向Yにおけるブラケット本体71の外側端部に連続しサイドシルインナー21の縦壁24に沿わされる縦フランジ96と、を有している。
【0074】
横フランジ95は、側板94の下端部と、全域に亘って接続された帯状部分であり、平面視で天板93の外周縁部に沿って配置されたU字状の部分である。横フランジ95と天壁54とは、横フランジ95の長手方向に沿ってスポット溶接等によって間欠的に固定されていてもよいし、レーザー溶接または接着剤等によって上記長手方向に沿って連続的に固定されていてもよい。
【0075】
横フランジ95は、車幅方向Yにおける横フランジ95の内側端部の前端部および後端部に形成された内側前R部95aおよび内側後R部95bを有している。
【0076】
縦フランジ96と縦壁24とは、縦フランジ76の長手方向に沿ってスポット溶接等によって間欠的に固定されていてもよいし、レーザー溶接または接着剤等によって上記長手方向に沿って連続的に固定されていてもよい。
【0077】
縦フランジ96の上端部の前端部および後端部は、上側前R部96aおよび上側後R部96bを有している。上側前R部96aの外周縁部の曲率半径は、フロアクロスメンバー50における天壁54と前縦壁53との接続部の曲率半径r70aよりも大きい。同様に、上側後R部96bの外周縁部の曲率半径は、フロアクロスメンバー50における天壁54と後縦壁55との接続部の曲率半径r70bよりも大きい。このように、上側前R部96aと上側後R部96bのそれぞれの曲率半径が大きくされていることで、これら上側前R部96aと上側後R部96bにおける応力集中が生じにくくされている。これにより、ブラケット90がサイドシルインナー21とフロアクロスメンバー50との結合部60を補強する効果、特に、斜めポール側面衝突に対する補強効果を高くできる。
【0078】
なお、上側前R部96aの外周縁部の曲率半径は、上述した曲率半径r70aと同じでもよいし、曲率半径r70aより小さくてもよい。同様に、上側後R部96bの外周縁部の曲率半径は、上述した曲率半径r70bと同じでもよいし、曲率半径r70bより小さくてもよい。このような場合でも、これら上側前R部96aと上側後R部96bにおける応力集中を生じにくくできる。
【0079】
さらに、縦フランジ96と横フランジ95とは、前接続部97および後接続部98において互いに連続している。
【0080】
前接続部97は、滑らかな円弧形状で略90度曲がった形状を有しており、サイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー50と、環状フランジ92とは、環状フランジ92の略全域で面接触している。
【0081】
後接続部98は、滑らかな円弧形状で略90度曲がった形状を有しており、サイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー50と、環状フランジ92とは、環状フランジ92の略全域で面接触している。
【0082】
上述したように、環状フランジ92が無端環状に形成されていることにより、環状フランジ92の全体が連続化されている。これにより、サイドシル10に対する継手としての環状フランジ92の剛性を高くできるので、サイドシル10からブラケット90およびフロアクロスメンバー50への荷重伝達効率をより高くできる。また、袋状ブラケット90は、サイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー50と協働して強固な高剛性構造を構成している。よって、斜めポール側面衝突時において、ポールがサイドシル10に衝突した後、エネルギー吸収部材100が十分な塑性変形をするまで、サイドシルインナー21およびフロアクロスメンバー70の互いの結合部60の変形を十分に抑制できる。
【0083】
なお、ブラケット90は、上記の構成に限定されない。ブラケット90の環状フランジ92の一部が不連続な形状であってもよい。環状フランジ92が不連続な形状である場合、環状フランジ92の周方向の一部分が欠けていることで、環状フランジ92が存在している部分と環状フランジ92が存在してない箇所が交互に存在する形状を例示できる。また、環状フランジ92の横フランジ95は、鉛直方向縦向きの姿勢に配置されてフロアクロスメンバー50の前縦壁53および後縦壁55に接合されていてもよい。
【0084】
ブラケット90は、ブラケット70と同様に、閉断面形状を形成している。具体的には、ブラケット90を車幅方向Yから見て、ブラケット本体91の天板93と側板94とが、フロアクロスメンバー50の天壁54と協働して閉断面形状を形成している。この閉断面形状は、天板93,側板94の前端部分と後端部分、および、天壁54で囲まれた矩形の閉断面形状である。
【0085】
上述したブラケット70,90によって補強された領域に、エネルギー吸収部材100が配置されている。
【0086】
エネルギー吸収部材100は、サイドシル10内に配置されており、側面衝突時において圧縮されるように塑性変形することで、衝突エネルギーを吸収する。より具体的には、エネルギー吸収部材100は、例えば、多角柱形状を1または複数含む構造とし、圧潰により短波長(短い周期)で蛇腹状に塑性変形することで衝突エネルギーを吸収する。
【0087】
エネルギー吸収部材100は、多角柱形状の軸状部104(多角形状の断面を有する軸状部104)を含んでいる。軸状部104は、側面衝突時に軸圧潰することで衝突エネルギーを吸収するために設けられた、中空構造を構成する部位である。本実施の形態では、エネルギー吸収部材100の軸状部104の断面形状は多角形形状の一例としての六角形状である。エネルギー吸収部材100は、サイドシルインナー21の縦壁24の内側面24aに立てて配置される。立てて配置とは、エネルギー吸収部材100の軸状部104が上記内側面24aと交差する配置を意味する。本実施形態では、軸状部104の軸線と内側面24aとのなす角は平面視で概ね90°であるが、例えば45°~90°の範囲であってもよい。また、エネルギー吸収部材100は、車長方向Xに長く車高方向Zに短い扁平状に形成されている。そして、複数の軸状部104が、車長方向Xに沿って配置されている。
【0088】
エネルギー吸収部材100は、本実施形態では、上下に対称な形状に形成されている。エネルギー吸収部材100は、サイドシルインナー21の縦壁24からサイドシルアウター11の縦壁14に向かうように配置されている。エネルギー吸収部材100は、サイドシルアウター11側からサイドシルインナー21側に進むに従い太くなる形状に形成されている。エネルギー吸収部材100は、サイドシルインナー21に溶接または接着によって固定されている。なお、エネルギー吸収部材100は、サイドシルアウター11の縦壁14に接触して当該縦壁14に溶接または接着等によって結合されていてもよいし、本実施形態のように縦壁14から離隔していてもよい。
【0089】
エネルギー吸収部材100は、所定の板厚を有する第1部材101と、所定の板厚を有する第2部材102と、第1部材101および第2部材102に結合された連結部材103と、を有している。
【0090】
エネルギー吸収部材100は、本実施形態では、車長方向Xに進むに従い車高方向Zに起伏する波状部分を有する第1部材101と、車長方向Xに進むに従い車高方向Zに起伏する波状部分を有する第2部材102と、を車高方向Zに重ねて互いに結合することで形成された部材である。エネルギー吸収部材100(軸状部104)は、サイドシルアウター11側からサイドシルインナー21側に進むに従い太くなる形状に形成されている。
【0091】
第1部材101は、車長方向Xに並ぶ複数の第1凸部111と、車長方向Xに隣接する第1凸部111,111間に配置された第1底部112と、を有している。
【0092】
第1凸部111は、車幅方向Yから見て上向きに凸となる台形状に形成されている。本実施形態では、第1凸部111は、車長方向Xに離隔して複数(6つ)設けられている。車長方向Xにおける最も前側の第1凸部111の前端部には第1フランジ113が設けられ、且つ、最も後側の第1凸部111の後端部にも第1フランジ113が設けられている。これらの第1フランジ113,113は、対応する第1凸部111の下端部から前後方向Xに延びている。なお、第1凸部111は、車長方向Xに連続して複数設けられていてもよい。
【0093】
第1底部112は、車長方向Xに隣接する2つの第1凸部111,111の下端部同士を接続している。本実施形態では、車幅方向Yと直交する断面における第1底部112の形状は、車長方向Xに略真っ直ぐに延びた形状である。本実施形態では、第1底部112は、車長方向Xに離隔して複数(5つ)設けられている。
【0094】
第2部材102は、第1部材101と車高方向Zに対称な形状に形成されている。以下、具体的に説明する。
【0095】
第2部材102は、車長方向Xに並ぶ複数の第2凸部121と、車長方向Xに隣接する第2凸部121,121間に配置された第2底部122と、を有している。
【0096】
第2凸部121は、車幅方向Yから見て下向きに凸となる台形状に形成されている。本実施形態では、第2凸部121は、車長方向Xに離隔して複数(6つ)設けられている。なお、第2凸部121は、車長方向Xに連続して複数設けられていてもよい。
【0097】
車長方向Xにおいて対をなす第1凸部111と対応する第2凸部121とが設けられており、これらの第1凸部111および第2凸部121によって、中空の軸状部104が形成されている。
【0098】
本実施形態では、軸状部104は、車長方向Xに複数(6つ)並んで配置されている。各軸状部104は、サイドシルアウター11側からサイドシルインナー21側に進むに従い太くなる形状に形成されている。この場合の「太くなる」とは、軸状部104の軸線方向Aと直交する断面において、軸状部104の中心軸線からの軸状部104の距離が遠くなることをいう。各軸状部104は、車幅方向Y(軸状部104の軸線方向A)に見たときに一部が途切れた六角形の環状に形成されている。各軸状部104の軸線方向Aは、車長方向Xと交差しており、本実施形態では、車長方向Xおよび車高方向Zとは直交している。
【0099】
なお、軸状部104は、車幅方向Yと直交する断面形状が、矩形等の六角形以外の多角形に形成されていてもよい。後述の変形例で改めて説明するように、軸状部104の断面形状が矩形である場合、第1凸部111および第2凸部121の断面形状は、それぞれ、角が尖ったU字の溝形形状に形成される。また、後述の変形例で改めて説明するように、軸状部104の断面形状が円形でもよい。軸状部104の断面形状が円形である場合、第1凸部111および第2凸部121の断面形状は、半円状に形成される。また、軸線方向Aが平面視で車長方向Xに対して斜めを向いていてもよい。また、隣接する第1凸部111,111間の第1底部112を省略することで、隣接する第1凸部111,111を直接繋ぎ、且つ、隣接する第2凸部121,121間の第2底部122を省略することで、隣接する第2凸部121,121を直接繋いでもよい。
【0100】
車長方向Xにおける最も前側の第2凸部121の前端部には第2フランジ123が設けられ、且つ、最も後側の第2凸部121の後端部にも第2フランジ123が設けられている。これらの第2フランジ123,123は、対応する第2凸部121の上端部から前後方向Xに延びている。そして、前側の第1フランジ113と第2フランジ123とが溶接または接着等によって互いに結合されており、且つ、後側の第1フランジ113と第2フランジ123とが溶接または接着等によって互いに結合されている。これにより、第1部材101と第2部材102とが一体化されている。
【0101】
第2底部122は、車長方向Xに隣接する2つの第2凸部121,121の上端部同士を接続している。本実施形態では、車幅方向Yと直交する断面における第2底部122の形状は、車長方向Xに略真っ直ぐに延びた形状である。本実施形態では、第2底部122は、車長方向Xに離隔して複数(5つ)設けられている。
【0102】
エネルギー吸収部材100においては、車幅方向Yにおける第1部材101の内側端部、および、第2部材102の内側端部が、サイドシルインナー21の縦壁24の内側面24aに、溶接または接着等によって結合されている。すなわち、エネルギー吸収部材100の端部100aが縦壁24の内側面24aに結合されている。端部100aは、エネルギー吸収部材100のうち上記内側面24aと直接向かい合っている面を含んでいる。端部100aは、エネルギー吸収部材100のうち上記内側面24aと直接向かい合っている面であるともいえる。なお、エネルギー吸収部材100各部材101,102の車幅方向内側端部に、軸線方向Aと直交する平板状フランジを設け、このフランジを介してエネルギー吸収部材00を縦壁24へ接合してもよい。この場合のフランジは、サイドシル10の一要素である。また、車幅方向Yにおける第1部材101の外側端部、および、第2部材102の外側端部に、連結部材103が取り付けられている。
【0103】
連結部材103は、複数の軸状部104同士を連結する部材として設けられている。連結部材103は、軸状部104におけるサイドシルアウター11側の端部に配置されている。連結部材103は、エネルギー吸収部材100の軸方向と直交するように配置された平板状部材であり、車長方向Xに細長く車高方向Zに短い。連結部材103は、複数の軸状部104のそれぞれのサイドシルアウター11側端部に溶接または接着等によって結合されている。
【0104】
次に、エネルギー吸収部材100のレイアウトについて、より具体的に説明する。
【0105】
図5を参照して、本実施形態では、サイドシル10の高さ位置で且つ車長方向Xに関してフロアクロスメンバー30,50が配置されている領域において車幅方向Yのうちフロアクロスメンバー30,50の内側から見て、第1領域130と、前側第2領域140および後側第2領域150と、が規定されている。なお、本明細書で「車幅方向Yから見て」とは、サイドシル10の高さ位置から車幅方向Yに見ることをいう。また、第1領域130および第2領域140,150について説明するとき(側面図を参照しつつ説明するとき)は、特に説明しない場合は、車幅方向Yから見た構成をいう。
【0106】
第1領域130は、エネルギー吸収部材100のうちサイドシルインナー21側の端部100aの領域であり、端部100aが存在している領域ともいえる。第1領域130は、エネルギー吸収部材100の端部100aのうち第1部材101および第2部材102の外周面と内周面とで囲まれた領域であり、すなわち端部100aのうちサイドシルインナー21と車幅方向Yに直接向かい合っている部分である。第1領域130は、複数の軸状部104と、複数対の第1底部112および第2底部122と、車長方向Xの両端部に設置された第1フランジ113および第2フランジ123と、を有している。第1領域130の前端130aは、前側の第1フランジ113および第2フランジ123の前端である。第1領域130の後端130bは、後側の第1フランジ113および第2フランジ123の後端である。第1領域130の上端130cは、第1部材101の上端である。第1領域130の下端130dは、第2部材102の下端である。
【0107】
フロアクロスメンバー30,50およびブラケット70,90が何れも車長方向Xに複数配置されることで、複数の第2領域140,150が設けられている。
【0108】
車幅方向Yから見て、前側第2領域140は、フロアクロスメンバー30のうちフロアパネル4と協働して閉断面形状を形成する部分で囲まれた領域を含むフロアクロスメンバー30側の領域141と、ブラケット70のうちフロアクロスメンバー30およびサイドシルインナー21への結合部41で囲まれた領域としてのブラケット70側の領域142と、を含んでいる。
【0109】
フロアクロスメンバー側の領域141は、フロアクロスメンバー30のうちフロアパネル4との協働によって閉断面形状を形成する部分で囲まれた領域と、縦フランジ31で囲まれた領域と、を含んでいる。より具体的には、フロアクロスメンバー側の領域141は、フロアクロスメンバー30における車幅方向Yの外側端部38を含んでおり、縦フランジ31(31a~31c)と、前フランジ32と、前縦壁33と、天壁34と、後縦壁35と、後フランジ36と、フロアクロスメンバー30およびフロアパネル4で囲まれた領域と、を有している。フロアクロスメンバー側の領域141のうち、縦フランジ31を除いた領域が、フロアクロスメンバー30のうち閉断面形状を形成する部分で囲まれた領域である。フロアクロスメンバー側の領域141の前端および後端は、フロアクロスメンバー30の前端および後端である。フロアクロスメンバー側の領域141の下端は、フロアクロスメンバー30の前フランジ32の下面と後フランジ36の下面とを含む平面である。換言すれば、フロアクロスメンバー側の領域141の下端は、フロアパネル4の上面4cを含む平面である。フロアクロスメンバー側の領域141の上端は、フロアクロスメンバー31の中間縦フランジ31bの上端である。すなわち、フロアクロスメンバー側の領域141は、車幅方向Yから見てフロアクロスメンバー30のうち縦フランジ31以外の部分の外郭およびフロアパネル4の上面4cで囲まれた領域と、フロアクロスメンバー30のうち縦フランジ31以外の部分の外郭と、縦フランジ31の外郭で囲まれた領域と、縦フランジ31の外郭と、を含んでいる。
【0110】
例えば、車長方向Xにおける縦フランジ31の前側縦フランジ31aの前端位置と、前フランジ32の前端位置と、が同じである場合、フロアクロスメンバー側の領域141の前端は、前側縦フランジ31aの前端、および、前フランジ32の前端である。一方、車長方向Xにおいて、縦フランジ31の前側縦フランジ31aの前端位置と比べて前フランジ32の前端位置が前方に存在する場合、フロアクロスメンバー側の領域141の前端は、前フランジ32の前端である。また、車長方向Xにおいて、縦フランジ31の前側縦フランジ31aの前端位置と比べて前フランジ32の前端位置が後方に存在する場合、フロアクロスメンバー側の領域141の前端は、前側縦フランジ31aの前端である。
【0111】
例えば、車長方向Xにおける縦フランジ31の後側縦フランジ31cの後端位置と、後フランジ36の後端位置と、が同じである場合、フロアクロスメンバー側の領域141の後端は、後側縦フランジ31cの後端、および、後フランジ36の後端である。一方、車長方向Xにおいて、縦フランジ31の後側縦フランジ31cの後端位置と比べて後フランジ36の後端位置が後方に存在する場合、フロアクロスメンバー側の領域141の後端は、後フランジ36の後端である。また、車長方向Xにおいて、縦フランジ31の後側縦フランジ31cの後端位置と比べて後フランジ36の後端位置が前方に存在する場合、フロアクロスメンバー側の領域141の後端は、後側縦フランジ31cの後端である。
【0112】
なお、縦フランジ31が設けられない場合、フロアクロスメンバー側の領域141の上端はフロアクロスメンバー31の天壁34の上端面であり、フロアクロスメンバー側の領域141の前端は前フランジ32の前端であり、フロアクロスメンバー側の領域141の後端は後フランジ36の後端であり、フロアクロスメンバー側の領域141の下端は縦フランジ31が設けられている場合と同じである。なお、フロアクロスメンバー側の領域141は、縦フランジ31(31a~31c)を含まない領域で構成されていることが、より好ましい。
【0113】
また、縦フランジ31とフロアクロスメンバー30の前フランジ32とが設けられない場合、フロアクロスメンバー30の前縦壁33の前端面が、フロアクロスメンバー側の領域141の前端となり、前縦壁33の下端面が、フロアパネル4の上面4cと接してフロアクロスメンバー側の領域141の下端となる。また、縦フランジ31とフロアクロスメンバー30の後フランジ36とが設けられない場合、フロアクロスメンバー30の後縦壁35の後端面が、フロアクロスメンバー側の領域141の後端となり、後縦壁35の下端面が、フロアパネル4の上面4cと接してフロアクロスメンバー側の領域141の下端となる。
【0114】
ブラケット側の領域142は、ブラケット70のうちフロアクロスメンバー30と協働して閉断面形状を形成する部分で囲まれた領域を含んでいる。ブラケット側の領域142は、ブラケット70における車幅方向Yの外側端部(サイドシルインナー21と直接向かい合っている部分)を有しており、ブラケット本体71と、環状フランジ72と、を有している。ブラケット側の領域142の前端および後端は、ブラケット70の前端および後端であり、より具体的には、車長方向Xにおける環状フランジ72の前端および後端である。ブラケット側の領域142の下端および上端は、ブラケット70の下端および上端であり、より具体的には、車高方向Zにおける環状フランジ72の下端および上端である。すなわち、ブラケット側の領域142は、車幅方向Yから見て環状フランジ72の外郭およびこの外郭の内側領域である。ブラケット70のうちフロアクロスメンバー30およびサイドシルインナー21への結合部41は、環状フランジ72の下面および車幅方向Yの外側端面を含んでいる。
【0115】
ブラケット側の領域142の環状フランジ72について、側板74に対して車長方向Xの前側に位置している部分の前端は、本実施形態では、車幅方向Yから見て車高方向Zに一直線である。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、環状フランジ72において、側板74に対して車長方向Xの前側に位置している部分の前端位置が、車幅方向Yから見て車高方向Zに一直線ではない構成の場合、ブラケット側の領域142の前端は、環状フランジ72における最も前端に位置している部分である。また、ブラケット側の領域142の環状フランジ72について、側板74に対して車長方向Xの後側に位置している部分の後端は、本実施形態では、車幅方向Yから見て車高方向Zに一直線である。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、環状フランジ72において、側板74に対して車長方向Xの後側に位置している部分の後端位置が、車幅方向Yから見て車高方向Zに一直線ではない構成の場合、ブラケット側の領域142の後端は、環状フランジ72における最も後端に位置している部分である。また、ブラケット側の領域142の環状フランジ72について、側板74の上方に位置している部分の上端は、本実施形態では、車幅方向Yから見て車長方向Xに一直線である。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、環状フランジ72において、側板74の上方に位置している部分の上端位置が、車長方向Xに一直線ではない構成の場合、ブラケット側の領域142の上端は、環状フランジ72における最も上端に位置している部分である。
【0116】
なお、環状フランジ72が設けられない場合、ブラケット側の領域142の上端は、ブラケット本体71の天板73の上端面である。環状フランジ72が設けられない場合、ブラケット側の領域142の前端は、フランジ本体71の側板74の前端面であり、ブラケット側の領域142の後端は、フランジ本体71の側板74の後端面であり、ブラケット側の領域142の下端は、ブラケット本体71の側板74の下端面であって、フロアクロスメンバー30の天壁34の上端面と接している下端面である。このとき、側板74の下端面が、天壁34の上端面と接する。また、環状フランジ72が設けられない場合、側板74の下端面がフロアクロスメンバー30の天壁34の上端面に接合され、車幅方向Yにおける側壁74の外側端面がサイドシルインナー21の縦壁24に接合される。このように、環状フランジ72が設けられない場合、結合部41は、側壁74の下端面および上記外側端面を含む。なお、ブラケット側の領域142は、環状フランジ72を含まない領域で構成されていることが、より好ましい。
【0117】
上記の構成により、前側第2領域140について、前端140aは、フロアクロスメンバー30およびブラケット70のうち車長方向Xにおける最も前端に位置している部分であり、後端140bは、フロアクロスメンバー30およびブラケット70のうち車長方向Xにおける最も後端に位置している部分であり、上端140cは、フロアクロスメンバー30およびブラケット70のうち車長方向Xにおける最も上端に位置している部分であり、下端140dは、フロアクロスメンバー30およびブラケット70のうち車長方向Xにおける最も下端に位置している部分である。
【0118】
本実施形態では、前側第2領域140の前端140aは、フロアクロスアメンバー30の前フランジ32の前端である。また、前側第2領域140の後端140bは、フロアクロスアメンバー30の後フランジ36の後端である。また、前側第2領域140の上端140cは、ブラケット70の縦フランジ76の上端である。また、前側第2領域140の下端140dは、フロアクロスメンバー30のフランジ32,36の下面である。
【0119】
ブラケット側の領域142が、環状フランジ72を含まない領域で構成されている場合、前側第2領域140の上端140cは、ブラケット70の天板73の上面である。また、フロアクロスメンバー側の領域141が、縦フランジ31とフロアクロスメンバー30の前フランジ32とを含まない領域で構成されている場合、前側第2領域140の前端140aは、前縦壁33の前端面であり、前側第2領域140の下端140dは、前縦壁33の下端面である。また、フロアクロスメンバー側の領域141が、縦フランジ31とフロアクロスメンバー30の後フランジ36とを含まない領域で構成されている場合、前側第2領域140の後端140bは、後縦壁36の後端面であり、前側第2領域140の下端140dは、後縦壁36の下端面である。
【0120】
また、ブラケット70の前端位置がフロアクロスメンバー30の前端位置と比べて車長方向Xの前方に位置している場合、第2領域140の前端140aは、ブラケット70の前端である。また、ブラケット70の後端位置がフロアクロスメンバー30の後端位置と比べて車長方向Xの後方に位置している場合、第2領域140の後端140bは、ブラケット70の後端である。
【0121】
車幅方向Yから見て、後側第2領域150は、フロアクロスメンバー50のうちフロアパネル4と協働して閉断面形状を形成する部分で囲まれた領域を含むフロアクロスメンバー50側の領域151と、ブラケット90のうちフロアクロスメンバー50およびサイドシルインナー21への結合部61で囲まれた領域としてのブラケット90側の領域152と、を含んでいる。
【0122】
フロアクロスメンバー側の領域151は、フロアクロスメンバー50のうちフロアパネル4との協働によって閉断面形状を形成する部分で囲まれた領域と、縦フランジ51で囲まれた領域と、を含んでいる。より具体的には、フロアクロスメンバー側の領域151は、フロアクロスメンバー50における車幅方向Yの外側端部58を含んでおり、縦フランジ51(51a~51c)と、前フランジ52と、前縦壁53と、天壁54と、後縦壁55と、後フランジ56と、フロアクロスメンバー50およびフロアパネル4で囲まれた領域と、を有している。フロアクロスメンバー側の領域151のうち、縦フランジ51を除いた領域が、フロアクロスメンバー50のうち閉断面形状を形成する部分で囲まれた領域である。フロアクロスメンバー側の領域151の前端および後端は、フロアクロスメンバー50の前端および後端である。フロアクロスメンバー側の領域151の下端は、フロアクロスメンバー50の前フランジ52の下面と後フランジ56の下面とを含む平面である。換言すれば、フロアクロスメンバー側の領域151の下端は、フロアパネル4の上面4cを含む平面である。フロアクロスメンバー側の領域151の上端は、フロアクロスメンバー51の中間縦フランジ51bの上端である。すなわち、フロアクロスメンバー側の領域151は、車幅方向Yから見てフロアクロスメンバー50のうち縦フランジ51以外の部分の外郭およびフロアパネル4の上面4cで囲まれた領域と、フロアクロスメンバー50のうち縦フランジ51以外の部分の外郭と、縦フランジ51の外郭で囲まれた領域と、縦フランジ51の外郭と、を含んでいる。
【0123】
例えば、車長方向Xにおける縦フランジ51の前側縦フランジ51aの前端位置と、前フランジ52の前端位置と、が同じである場合、フロアクロスメンバー側の領域151の前端は、前側縦フランジ51aの前端、および、前フランジ52の前端である。一方、車長方向Xにおいて、縦フランジ51の前側縦フランジ51aの前端位置と比べて前フランジ52の前端位置が前方に存在する場合、フロアクロスメンバー側の領域151の前端は、前フランジ52の前端である。また、車長方向Xにおいて、縦フランジ51の前側縦フランジ51aの前端位置と比べて前フランジ52の前端位置が後方に存在する場合、フロアクロスメンバー側の領域151の前端は、前側縦フランジ51aの前端である。
【0124】
例えば、車長方向Xにおける縦フランジ51の後側縦フランジ51cの後端位置と、後フランジ56の後端位置と、が同じである場合、フロアクロスメンバー側の領域151の後端は、後側縦フランジ51cの後端、および、後フランジ56の後端である。一方、車長方向Xにおいて、縦フランジ51の後側縦フランジ51cの後端位置と比べて後フランジ56の後端位置が後方に存在する場合、フロアクロスメンバー側の領域151の後端は、後フランジ56の後端である。また、車長方向Xにおいて、縦フランジ51の後側縦フランジ51cの後端位置と比べて後フランジ56の後端位置が前方に存在する場合、フロアクロスメンバー側の領域151の後端は、後側縦フランジ51cの後端である。
【0125】
なお、縦フランジ51が設けられない場合、フロアクロスメンバー側の領域151の上端はフロアクロスメンバー51の天壁54の上端面であり、フロアクロスメンバー側の領域151の前端は前フランジ52の前端であり、フロアクロスメンバー側の領域151の後端は後フランジ56の後端であり、フロアクロスメンバー側の領域151の下端は縦フランジ51が設けられている場合と同じである。なお、フロアクロスメンバー側の領域151は、縦フランジ51(51a~51c)を含まない領域で構成されていることが、より好ましい。
【0126】
また、縦フランジ51とフロアクロスメンバー50の前フランジ52とが設けられない場合、フロアクロスメンバー50の前縦壁53の前端面が、フロアクロスメンバー側の領域151の前端となり、前縦壁53の下端面が、フロアパネル4の上面4cと接してフロアクロスメンバー側の領域151の下端となる。また、縦フランジ51とフロアクロスメンバー50の後フランジ56とが設けられない場合、フロアクロスメンバー50の後縦壁55の後端面が、フロアクロスメンバー側の領域151の後端となり、後縦壁55の下端面が、フロアパネル4の上面4cと接してフロアクロスメンバー側の領域151の下端となる。
【0127】
ブラケット側の領域152は、ブラケット90のうちフロアクロスメンバー50と協働して閉断面形状を形成する部分で囲まれた領域を含んでいる。ブラケット側の領域152は、ブラケット90における車幅方向Yの外側端部(サイドシルインナー21と直接向かい合っている部分)を有しており、ブラケット本体91と、環状フランジ92と、を有している。ブラケット側の領域152の前端および後端は、ブラケット90の前端および後端であり、より具体的には、車長方向Xにおける環状フランジ92の前端および後端である。ブラケット側の領域152の下端および上端は、ブラケット90の下端および上端であり、より具体的には、車高方向Zにおける環状フランジ92の下端および上端である。すなわち、ブラケット側の領域152は、車幅方向Yから見て環状フランジ92の外郭およびこの外郭の内側領域である。ブラケット90のうちフロアクロスメンバー50およびサイドシルインナー21への結合部61は、環状フランジ92の下面および車幅方向Yの外側端面を含んでいる。
【0128】
ブラケット側の領域152の環状フランジ92について、側板94に対して車長方向Xの前側に位置している部分の前端は、本実施形態では、車幅方向Yから見て車高方向Zに一直線である。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、環状フランジ92において、側板94に対して車長方向Xの前側に位置している部分の前端位置が、車幅方向Yから見て車高方向Zに一直線ではない構成の場合、ブラケット側の領域152の前端は、環状フランジ92における最も前端に位置している部分である。また、ブラケット側の領域152の環状フランジ92について、側板94に対して車長方向Xの後側に位置している部分の後端は、本実施形態では、車幅方向Yから見て車高方向Zに一直線である。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、環状フランジ92において、側板94に対して車長方向Xの後側に位置している部分の後端位置が、車幅方向Yから見て車高方向Zに一直線ではない構成の場合、ブラケット側の領域152の後端は、環状フランジ92における最も後端に位置している部分である。また、ブラケット側の領域152の環状フランジ92について、側板94の上方に位置している部分の上端は、本実施形態では、車幅方向Yから見て車長方向Xに一直線である。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、環状フランジ92において、側板94の上方に位置している部分の上端位置が、車長方向Xに一直線ではない構成の場合、ブラケット側の領域152の上端は、環状フランジ92における最も上端に位置している部分である。
【0129】
なお、環状フランジ92が設けられない場合、ブラケット側の領域152の上端は、ブラケット本体91の天板93の上端面である。環状フランジ92が設けられない場合、ブラケット側の領域152の前端は、フランジ本体91の側板94の前端面であり、ブラケット側の領域152の後端は、フランジ本体91の側板94の後端面であり、ブラケット側の領域152の下端は、ブラケット本体91の側板94の下端面であって、フロアクロスメンバー50の天壁54の上端面と接している下端面である。このとき、側板94の下端面が、天壁54の上端面と接する。また、環状フランジ92が設けられない場合、側板94の下端面がフロアクロスメンバー50の天壁54の上端面に接合され、車幅方向Yにおける側壁94の外側端面がサイドシルインナー21の縦壁24に接合される。このように、環状フランジ92が設けられない場合、結合部61は、側壁94の下端面および上記外側端面を含む。なお、ブラケット側の領域152は、環状フランジ92を含まない領域で構成されていることが、より好ましい。
【0130】
上記の構成により、後側第2領域150について、前端150aは、フロアクロスメンバー50およびブラケット90のうち車長方向Xにおける最も前端に位置している部分であり、後端150bは、フロアクロスメンバー50およびブラケット90のうち車長方向Xにおける最も後端に位置している部分であり、上端150cは、フロアクロスメンバー50およびブラケット90のうち車長方向Xにおける最も上端に位置している部分であり、下端150dは、フロアクロスメンバー50およびブラケット90のうち車長方向Xにおける最も下端に位置している部分である。
【0131】
本実施形態では、後側第2領域150の前端150aは、フロアクロスアメンバー50の前フランジ52の前端である。また、後側第2領域150の後端150bは、フロアクロスアメンバー50の後フランジ56の後端である。また、後側第2領域150の上端150cは、ブラケット90の縦フランジ96の上端である。また、後側第2領域150の下端150dは、フロアクロスメンバー50のフランジ52,56の下面である。
【0132】
ブラケット側の領域152が、環状フランジ92を含まない領域で構成されている場合、後側第2領域150の上端150cは、ブラケット90の天板93の上面である。また、フロアクロスメンバー側の領域151が、縦フランジ51とフロアクロスメンバー50の前フランジ52とを含まない領域で構成されている場合、前側第2領域150の前端150aは、前縦壁53の前端面であり、後側第2領域150の下端150dは、前縦壁53の下端面である。また、フロアクロスメンバー側の領域151が、縦フランジ51とフロアクロスメンバー35の後フランジ56とを含まない領域で構成されている場合、前側第2領域150の後端150bは、後縦壁56の後端面であり、後側第2領域150の下端150dは、後縦壁56の下端面である。
【0133】
また、ブラケット90の前端位置がフロアクロスメンバー50の前端位置と比べて車長方向Xの前方に位置している場合、第2領域150の前端150aは、ブラケット90の前端である。また、ブラケット90の後端位置がフロアクロスメンバー50の後端位置と比べて車長方向Xの後方に位置している場合、第2領域150の後端150bは、ブラケット90の後端である。
【0134】
車幅方向Yから見て、第1領域130の少なくとも一部は、前側第2領域140に配置されている。本実施形態では、第1領域130は、前側第2領域140のうち、主にフロアクロスメンバー側の領域141に配置されている。なお、第1領域130と第2領域140,150との相対位置関係を説明するときは、特に言及無き場合、車幅方向Yから見た状態を基準とする。
【0135】
本実施形態では、第1領域130の一部が、車長方向Xにおけるフロアクロスメンバー側の領域141の前方に配置されている。すなわち、第1領域130の前端130aは、前側第2領域140の前方に配置されている。第1領域130の前端130aが前側第2領域140の前方に配置される場合、前端130aは、フロアクロスメンバー側の領域141の前方に配置されていてもよいし、ブラケット側の領域142の前方に配置されてもよい。
【0136】
さらに、第1領域130の一部が、車長方向Xにおけるフロアクロスメンバー側の領域141の後方に配置されている。すなわち、第1領域130の後端130bは、前側第2領域140の後方に配置されている。第1領域130の後端130bが前側第2領域140の後方に配置される場合、後端130bは、フロアクロスメンバー側の領域141の後方に配置されていてもよいし、ブラケット側の領域142の後方に配置されてもよい。
【0137】
本実施形態では、第1領域130の上端130cの高さ位置(車高方向Zの位置)は、前側第2領域140の上端140cの高さ位置よりも低く、概ね横フランジ75の高さ位置と一致している。なお、第1領域130の上端130cの高さ位置は、前側第2領域140の上端140cの高さ位置より高くてもよいし、同じでもよいし、低くてもよい。
【0138】
本実施形態では、第1領域130の下端130dの高さ位置は、前側第2領域140の下端140dの高さ位置と略同じである。本実施形態では、第1領域130の上端130cおよび下端130dの高さ位置が、第2領域140,150の上端140c,150cおよび下端140d,150dの高さ位置の間に配置されている。なお、第1領域130の下端130dの高さ位置は、前側第2領域140の下端140dの高さ位置より低くてもよいし、同じでもよいし、高くてもよい。本実施形態では、第1領域130の上部側の一部が、前側第2領域140のブラケット側の領域142に配置されている。
【0139】
本実施形態では、第1領域130の後端130bは、後側第2領域150に配置されている。すなわち、本実施形態では、第1領域130は、複数の第2領域140,150に跨がって配置されている。より具体的には、本実施形態では、第1領域130は、複数のフロアクロスメンバー側の領域141,151に跨がって配置されている。また、本実施形態では、第1領域130は、複数のブラケット側の領域142,152に跨がって配置されている。第1領域130の後端寄りの上側部分が、僅かではあるがブラケット90と重なっている。
【0140】
本実施形態では、少なくとも一つ(本実施形態では、2つ)の軸状部104が前側第2領域140と重なるように配置されている。これにより、側面衝突時にエネルギー吸収部材100を結合部40,41で高い支持剛性で支持でき、エネルギー吸収部材100の圧潰によるエネルギー吸収量をより高くできる。特に本実施形態では、前側第2領域140のうち、衝撃吸収への寄与度が比較的低い領域としての縦フランジ31の領域および環状フランジ72の領域以外の領域で、軸状部104が重なるように配置されている。よって、側面衝突時にエネルギー吸収部材100を結合部40,41で高い支持剛性で支持でき、エネルギー吸収部材100の圧潰によるエネルギー吸収量をより高くできる。
【0141】
なお、第1領域130と、第2領域140,150とは、前述したように少なくともフランジ以外の箇所で重なっていることが、より好ましい。例えば、第2領域140における少なくともフランジ31,72以外の領域が第1領域130と重なっているのが好ましい。同様に、第2領域150における少なくともフランジ51,92以外の領域が第1領域130と重なっているのが好ましい。
【0142】
本実施形態では、車幅方向Yと直交する断面としての、エネルギー吸収部材100の断面と、フロアクロスメンバー30,50およびブラケット70,80の断面と、の重なり具合の好ましい範囲が存在する。
【0143】
具体的には、車幅方向Yに直交する断面としてのフロアクロスメンバー30,50の断面Ea(第2領域140,150におけるフロアクロスメンバー側の領域141,151に相当)が規定されている。また、車幅方向Yに直交する断面としてのブラケット70,90の断面Eb(第2領域140,150におけるブラケット側の領域142,152に相当)が規定されている。また、車幅方向Yに直交する断面としてのエネルギー吸収部材100の断面Ec(第1領域130が存在する箇所および第1領域130で囲まれた箇所に相当)が規定されている。さらに、断面(Ea+Eb)と断面Ecの重なり部分が、Edとして規定されている。
【0144】
エネルギー吸収部材100の断面Ecの面積は、重なり部分Edの面積の1倍以上3倍以下が好ましい。また、車高方向Zにおいて、重なり部分の断面Edの高さは、断面(Ea+Eb)の高さの0.5倍以上1.0倍以下が好ましい。このような構成とすることで、エネルギー吸収部材100の荷重が、ブラケット50,70およびフロアクロスメンバー50,70に効率よく伝えられる。より具体的には、
図3に示すように、車体1が側面衝突したときの荷重を、エネルギー吸収部材100から直接フロアクロスメンバー30,50に流す荷重伝達経路F1と、ブラケット70,90を介してフロアクロスメンバー30,50に流す荷重伝達経路F2と、で伝達できる。よって、効率良いエネルギー吸収を実現できる。
【0145】
以上説明したように、本実施形態によると、ブラケット70,90が設けられていることで、サイドシルインナー21とフロアクロスメンバー30,50との結合強度が高い。そして、第1領域130の少なくとも一部は、第2領域140,150の少なくとも一部に配置される。よって、側面衝突時にこの結合強度が高い箇所でエネルギー吸収部材100からの荷重を受けることができるので、エネルギー吸収部材100の倒れ等を抑制して衝突エネルギーをエネルギー吸収部材100でより確実に受けることができる。その結果、エネルギー吸収部材100の圧潰をより確実に発生させて、エネルギー吸収部材100の塑性変形による衝突エネルギー吸収量を高くできる。特にEVでは、床下にバッテリーボックスを配置する構成が主流であり、車幅方向Yにおけるサイドシル10の内側付近に、バッテリーボックスを収容したバッテリサイドフレームが設けられることが多い。このため、斜めポール側面衝突によってサイドシル10に衝突エネルギーが入力されたときに、バッテリーボックスが変形しないように、また、仮に変形しても変形量を少なくできるよう、車体下部2で衝突エネルギーをより多く吸収できる。
【0146】
より具体的には、上述したように、EVでは床下にバッテリーボックスを配置する構成が主流である。そして、本実施形態の構造であれば、側面衝突時にサイドシル3に衝突エネルギーが入力されたときに、バッテリーボックスが変形しないように、また、仮に変形しても変形量を少なくできるよう、車体下部2(フロアクロスメンバー30,50とブラケット70,90)で衝突エネルギーをより多く吸収できる。また、バッテリーボックスへの負荷が軽減されるため、バッテリーボックス側面のバッテリーフレームやバッテリーボックス内のクロスメンバー等の衝突対応部材について薄肉化や小断面化が可能となる。このため、バッテリーボックスの軽量化や積載バッテリー容量の増大(すなわち航続距離の延長)に寄与できる。
【0147】
また、本実施形態では、第1領域130の少なくとも一部が、ブラケット側の領域142に配置されている。この構成によると、結合部40の結合強度を極めて高くしているブラケット70でエネルギー吸収部材100からの荷重を高い支持剛性で受けることができる。よって、側面衝突時におけるエネルギー吸収部材100の圧潰をより確実に発生させることができる。そして、前述したように、車体1が側面衝突したときの荷重を、ブラケット70,90を介してフロアクロスメンバー30,50に流す荷重伝達経路F2に沿って伝達できる。よって、荷重伝達効率が上がり衝突エネルギー吸収能力を高くできる。
【0148】
また、本実施形態では、第1領域130の少なくとも一部が、フロアクロスメンバー側の領域141に配置されている。この構成によると、車体下部2における車幅方向Yに延びる骨格部材であるフロアクロスメンバー30によって、エネルギー吸収部材100からの荷重を高い支持剛性で受けることができる。よって、側面衝突時におけるエネルギー吸収部材100の圧潰をより確実に発生させることができる。そして、前述したように、車体1が側面衝突したときの荷重を、ブラケット70によって補強されたフロアクロスメンバー30に荷重伝達経路F1に沿って伝達できる。よって、荷重伝達効率が上がり衝突エネルギー吸収能力を高くできる。特に、フロアクロスメンバー30は、フロアパネル4に多数箇所で強固に結合されており、さらに、車幅方向Yにおける車体1の中央に配置されるセンタートンネルまたは車幅方向Yの反対側のサイドシル(図示せず)に結合される。このように、ブラケット70と比べて荷重を受け入れる容量の大きいフロアクロスメンバー30へ、エネルギー吸収部材100からの衝突エネルギーを、直接(ブラケット70を介することなく)伝達できる。よって、エネルギー吸収部材100からブラケット70を介してフロアクロスメンバー30へ衝突エネルギーを伝達する場合と比べて、荷重伝達効率をより高くできるので、衝突エネルギー吸収能力をより高くできる。
【0149】
特に、本実施形態では、第1領域130が、フロアクロスメンバー側の領域141とブラケット側の領域142の双方に(領域151,152の双方に)配置されている。この構成であれば、上記の荷重伝達経路F1,F2の双方を通して衝突エネルギーを車体1に伝達できる。このように、衝突エネルギーを強固な構造へ分散して伝達することで、荷重伝達効率が極めて上がり衝突エネルギー吸収能力を極めて高くできる。そして、分散された衝突エネルギーは、最終的に剛性の高いフロアクロスメンバー30に伝達される。このような荷重伝達経路を実現することで、エネルギー吸収部材100をフロアクロスメンバー側の領域141およびブラケット側の領域142の何れか一方に配置した場合と比べて、荷重分散による荷重伝達効率および荷重伝達容量の向上と、強固な構造のフロアクロスメンバー30による衝突エネルギーの受け止めによる大きな衝突エネルギー受け止めの効果と、を相乗して発揮できる。
【0150】
また、本実施形態によると、第1領域130の前端130aは、前側第2領域140の前方に配置され、第1領域130の後端130bは、前側第2領域140の後方に配置されている。この構成によると、前側第2領域140のより広い範囲でエネルギー吸収部材100からの荷重を高い支持剛性で受けることができる。また、平面視において車長方向Xに対して斜めの方向からポールが衝突する斜めポール側面衝突に対しても、エネルギー吸収部材100をより安定して圧潰させることができる。
【0151】
また、本実施形態によると、第1領域130の上端130cおよび下端130dは、第2領域140,150内に配置されている。この構成によると、側面衝突時において、車高方向Zに薄いエネルギー吸収部材100が上下方向(車高方向Z)へ倒れ込むことを、より安定して抑え込むことができる。よって、側面衝突時におけるエネルギー吸収部材100の圧潰をより確実に発生させることができる。
【0152】
また、本実施形態によると、ブラケット70,90は、対応するフロアクロスメンバー30,50と車高方向Zに並んでいる。この構成によると、側面衝突時において、サイドシル10に対するポール等の物体の衝突角度(水平面に対する角度)が異なっていても側面衝突時における耐衝突性能を同様に確保できる。よって、側面衝突時の耐衝突性能をより安定して発揮できる。そして、この耐衝突性能が高くされた構造にエネルギー吸収部材100を採用することで、側面衝突時におけるエネルギー吸収部材100によるエネルギー吸収量を高くできる。
【0153】
また、本実施形態によると、エネルギー吸収部材100の軸状部104の軸線方向Aは、車長方向Xと交差している。この構成によると、側面衝突時において、エネルギー吸収部材100の座屈を誘起させやすくできる結果、軸状部104が蛇腹状となるように当該軸状部104をより確実に塑性変形できる。これにより、エネルギー吸収部材100の軸圧潰による衝突エネルギー吸収効果をより高くできる。
【0154】
また、本実施形態によると、エネルギー吸収部材100の複数の軸状部104が車長方向Xに並んで配置されている。この構成によると、軸状部104が一つの場合と比べて、エネルギー吸収部材100において蛇腹状に圧潰される領域(車幅方向Yからみた面積)を多くできる。よって、エネルギー吸収部材100の軸圧潰による衝突エネルギー吸収効果をより高くできる。しかも、一つ一つの軸状部104を小さくしても、エネルギー吸収部材100の軸圧潰による衝突エネルギー吸収効果を十分に確保できる。よって、例えばAセグメントに分類される、サイドシルの高さが比較的短い小型車においても、エネルギー吸収部材100の軸圧潰による衝突エネルギー吸収効果をより高くできる。
【0155】
また、本実施形態によると、エネルギー吸収部材100の連結部材103は、軸状部104におけるサイドシルアウター11側の端部に配置されており、複数の軸状部104同士を連結している。この構成によると、2つの部材101,102で形成された軸状部104が側面衝突時に互いに開くように変形することを抑制する効果をより高くできる。これにより、側面衝突時に軸状部104の圧潰をより確実に発揮できる。また、側面衝突時において連結部材103によって複数の軸状部104に、より均等に荷重を伝達できる。よって、エネルギー吸収部材100の全体としての圧潰量をより多く確保でき、エネルギー吸収部材100によるエネルギー吸収量をより多くできる。
【0156】
また、本実施形態によると、軸状部104を、サイドシルアウター11側からサイドシルインナー21側に進むに従い太くなる形状に形成している。これにより、側面衝突時において軸状部104がより安定して軸圧潰されるという効果を発揮できる。
【0157】
また、本実施形態によると、車幅方向Yから見て、第1領域130は、複数の第2領域140,150に跨がって配置されている。この構成によると、車長方向Xの前後2箇所において、車体1が側面衝突したときの荷重を、エネルギー吸収部材100から前後のフロアクロスメンバー30,50に伝達できる。このように、側面衝突時、車長方向Xに細長いエネルギー吸収部材100を車長方向Xにおいて多点支持できる結果、エネルギー吸収部材100がサイドシル10に対して変形しないまま動くことをより確実に抑制できる。よって、エネルギー吸収部材100の軸状部104をより確実に蛇腹状に圧潰できる。これにより、側面衝突時に、エネルギー吸収部材100による衝突エネルギー吸収効果を高くできるので、側面衝突に起因する車体1の局所的な変形をより確実に抑制できる。その結果、車体1に物体が側面衝突したときにおける乗員保護性能に優れた車体1を実現できる。
【0158】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載の範囲において、種々の変更が可能である。なお、以下では、上述の実施形態と異なる構成について主に説明し、同様の構成には図に同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0159】
[エネルギー吸収部材の配置の変形例1,2]
図6(A)は、エネルギー吸収部材100の配置の変形例1を示す側面図である。車幅方向Yから見た図である
図6(A)に示すように、第1領域130の前端130aが、前側第2領域140の前端140a(フロアクロスメンバー側の領域141の前端)に配置されてもよい。この場合、好ましくは、第1領域130の後端130bが、後側第2領域150の後端150b(フロアクロスメンバー151の後端)に配置される。
【0160】
この変形例では、第1領域130の前端130aの位置が、車長方向Xにおいて、複数の第2領域140,150の最も前端である前端140aの位置と一致している。なお、前端130aは、車長方向Xにおいて前端140aの前方に配置されてもよい。また、第1領域130の後端130bの位置は、車長方向Xにおいて、複数の第2領域140,150の最も後端である後端150bと一致している。なお、後端130bは、車長方向Xにおいて後端150bの後方に配置されていてもよい。本変形例では、第1領域130の前端130aが、車長方向Xにおいて前側第2領域140のうち縦フランジ31および環状フランジ72を除く前側第2領域140の前端140aとも位置が一致している。また、第1領域130の後端130bが、車長方向Xにおいて後側第2領域150のうち縦フランジ51および環状フランジ92を除く後側第2領域150の後端150bとも位置が一致している。
【0161】
また、第1領域130の上端130cの位置が、車高方向Zにおいて第2領域140,150の上端140c,150cの下方に配置されている。なお、上端130cは、第2領域140,150の上端140c,150cと高さ位置が一致していてもよい。また、第1領域130の下端130dが、車高方向Zにおいて第2領域140,150の下端140d,150dの上方に配置されている。なお、下端130dは、車高方向Zにおいて第2領域140,150の下端140d,150dの位置と一致していてもよい。
【0162】
また、第1領域130は、2つのブラケット側の領域141,151と、クロスメンバー側の領域142,152に跨っている。
【0163】
より具体的には、第1領域130Bの上端130cは、環状フランジ72,92を除くブラケット側の領域142,152にも配置されており、この上端130cは、環状フランジ72,92を除くブラケット側の領域142,152の上端142c,152cと下端142d,152dとの間に配置されている。また、第1領域130Bの下端130dは、縦フランジ31,51を除くフロアクロスメンバー側の領域141,151にも配置されており、この下端130dは、縦フランジ31,51を除くフロアクロスメンバー側の領域141,151の上端141c,151cと下端140d,150dとの間に配置されている。このように、
図6(A)に示す変形例において、第1領域130は、第2領域140,150のうち縦フランジ31,51および環状フランジ72,92を除くフロアクロスメンバー側の領域141,151とブラケット側の領域142,152の双方にも跨がって配置されている。
【0164】
図6(B)は、エネルギー吸収部材100の配置の変形例2を示す側面図である。車幅方向Yから見た図である
図6(B)に示すように、第1領域130の前端130aが、前側第2領域140のうち、ブラケット側の領域142の前端142aに配置されてもよい。この構成では、第1領域130のより多くの部分が前後のフロアクロスメンバー側の領域141,151に配置され、さらには、第1領域130のより多くの部分が前後のブラケット側の領域142,152に配置されている。この構成であれば、衝突エネルギーを強固な構造へより分散して伝達することで、荷重伝達効率と衝突エネルギー吸収能力の双方を極めて高くできる。
【0165】
[エネルギー吸収部材の配置の変形例3,4]
図7(A)は、エネルギー吸収部材100の配置の変形例3を示す側面図である。
図7(A)に示すように、第1領域130の後端130bが、前側第2領域140の後端140b(フロアクロスメンバー側の領域141の後端)に配置されてもよい。
【0166】
図7(B)は、エネルギー吸収部材100の配置の変形例4を示す側面図である。
図7(B)に示すように、第1領域130の後端130bが、前側第2領域140のうち、ブラケット側の領域142の後端142bに配置されてもよい。
【0167】
[エネルギー吸収部材の変形例1,2]
図8(A)は、エネルギー吸収部材100の変形例1を示す模式図であり、車長方向Xから見た状態を示している。
図8(A)に示すエネルギー吸収部材100の各軸状部104は、サイドシルアウター11側からサイドシルインナー21側にかけて太さが一定であり、車幅方向Yと直交する断面が一定の形状に形成されている。
【0168】
図8(B)は、エネルギー吸収部材100の変形例2を示す模式図であり、車長方向Xから見た状態を示している。
図8(B)に示すエネルギー吸収部材100の各軸状部104は、サイドシルアウター11側からサイドシルインナー21側に進むに従い細くなる形状に形成されている。この場合の「細くなる」とは、軸状部104の軸線方向Aと直交する断面において、軸状部104の中心軸線からの距離が短くなることをいう。
【0169】
軸状部104を、サイドシルアウター11側からサイドシルインナー21側に進むに従い細くなる形状に形成することで、側面衝突時の軸状部104の圧潰を促進する効果を発揮できる。なお、側面衝突時における軸状部104の圧潰を促進する効果が大きい順番は、次の(i)が最も大きく、次いで、(ii),(iii)である。すなわち、軸状部104をサイドシルアウター11側からサイドシルインナー21側に進むに従い(i)太くなる形状にした場合、(ii)細くなる形状にした場合、(iii)一定の形状にした場合の順である。
【0170】
[エネルギー吸収部材の変形例3]
図9(A)は、エネルギー吸収部材の変形例3に係るエネルギー吸収部材100Aを示す主要部の模式的な断面図である。
図9(B)は、エネルギー吸収部材の変形例3に係るエネルギー吸収部材100Aを含む車体下部2を車幅方向Yに見た側面図である。
図9(A)および
図9(B)を参照して、エネルギー吸収部材100Aは、エネルギー吸収部材100に代えて用いられる。エネルギー吸収部材100Aは、車長方向Xに真っ直ぐに延びる軸状部104Aが車幅方向Yに複数並んだ構成を有している。複数の軸状部104Aは、押出成形等によって一体成形されていることが好ましい。エネルギー吸収部材100Aは、サイドシルインナー21の縦壁24に溶接または接着等によって結合されている。各軸状部104Aは、例えば中空の四角柱状(多角柱状)に形成されている。車幅方向Yに見て、エネルギー吸収部材100Aの第1領域130Aは、車長方向Xに細長いことにより車高方向Zには短い矩形である。第1領域130Aの少なくとも一部は第2領域140,150の少なくとも一部に配置される。
【0171】
[エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例1~4]
図10(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例1を示す主要部の模式的な側面図である。
図10(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例2を示す主要部の模式的な側面図である。
図10(C)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例3を示す主要部の模式的な側面図である。
図10(D)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例4を示す主要部の模式的な側面図である。
【0172】
図10(A)を参照して、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例1では、エネルギー吸収部材100に代えてエネルギー吸収部材100Bが用いられる。エネルギー吸収部材100Bは、軸状部104が2つ設けられている。すなわち、エネルギー吸収部材100では軸状部104が6つ設けられていたのに対して、エネルギー吸収部材100Bは、軸状部104が2つであり、2つの軸状部104が1つの第1底部112および第2底部122で繋がっている。
図10(A)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bは、全域が前側第2領域140のブラケット側の領域142の内側に配置されている。この変形例では、第1領域130Bの前端は、ブラケット側の領域142の前端142aと略同じ位置に配置されている。第1領域130Bの後端は、ブラケット側の領域142の後端142bと略同じ位置に配置されている。第1領域130Bの上端は、前側第2領域140の上端140cと略同じ位置に配置されている。第1領域130Bの下端は、ブラケット側の領域142の下端と略同じ位置に配置されている。
【0173】
図10(B)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bは、車長方向Xにおいてはブラケット側の領域142の前端142aと後端142bとの間に配置されているけれども、車高方向Zにおいて一部がブラケット側の領域142の上端(前側第2領域140の上端140c)の上方に配置されている。
【0174】
図10(C)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bは、車長方向Xにおいて一部がブラケット側の領域142の前端142aから前方に突出しており、車高方向Zにおいてブラケット側の領域142の上端(前側第2領域140の上端140c)とブラケット側の領域142の下端142dとの間に配置されている。
【0175】
図10(D)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bは、車長方向Xにおいて一部がブラケット側の領域142の前端142aの前方に突出しており、且つ、車高方向Zにおいて一部がブラケット側の領域142の上端(前側第2領域140の上端140c)の上方に配置されている。
【0176】
[エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例5~8]
図11(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例5を示す主要部の模式的な側面図である。
図11(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例6を示す主要部の模式的な側面図である。
図11(C)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例7を示す主要部の模式的な側面図である。
図11(D)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例8を示す主要部の模式的な側面図である。
【0177】
図11(A)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bは、全域が前側第2領域140のフロアクロスメンバー側の領域141に配置されている。
【0178】
図11(B)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bは、車長方向Xにおいてはフロアクロスメンバー側の領域141の前端と後端との間(前側第2領域140の前端140aと後端140bとの間)に配置されているけれども、車高方向Zにおいて、一部がフロアクロスメンバー側の領域141の下端(前側第2領域140の下端140d)の下方に配置されている。
【0179】
図11(C)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bは、車長方向Xにおいて一部がフロアクロスメンバー側の領域141の前端(前側第2領域140の前端140a)の前方に突出している。
【0180】
図11(D)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bは、車長方向Xにおいて一部がフロアクロスメンバー側の領域141の前端141a(前端140a)から前方に突出しており、且つ、車高方向Zにおいて一部がフロアクロスメンバー側の領域141の下端(前側第2領域140の下端140d)の下方に配置されている。
【0181】
[エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例9,10]
図12(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例9を示す主要部の模式的な側面図である。
図12(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例10を示す主要部の模式的な側面図である。
【0182】
図12(A)および
図12(B)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bは、前側第2領域140のうち、フロアクロスメンバー側の領域141とブラケット側の領域142の双方に跨がって配置されている。
図12(A)に示す変形例では、車長方向Xにおいて、第1領域130Bの前端130aが、前側第2領域140の前端140aの前方に配置されている。第1領域130Bの上端130cが、前側第2領域140の上端140cの上方に配置されている一方、第1領域130Bの下端130dは、前側第2領域140内に位置している。
図12(B)に示す変形例では、車長方向Xにおいて、第1領域130Bの前端130aが、前側第2領域140の前端140aの前方に配置されている。第1領域130Bの上端130cが、前側第2領域140の上端140cの上方に配置され、且つ、第1領域130Bの下端130dが、前側第2領域140の下端140dの下方に位置している。
【0183】
[エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例11~14]
図13(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例11を示す主要部の模式的な側面図である。
図13(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例12を示す主要部の模式的な側面図である。
図13(C)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例13を示す主要部の模式的な側面図である。
図13(D)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例14を示す主要部の模式的な側面図である。
【0184】
図13(A)~
図13(D)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bの前端130aおよび後端130bは、前側第2領域140の外側に配置されている。
図13(A)に示す変形例では、第1領域130Bの前端130aおよび後端130bがそれぞれ前側第2領域140の前方および後方に配置されている。また、第1領域130Bの上端130cおよび下端130dがそれぞれ前側第2領域140の上方および下方に配置されている。
図13(B)に示す変形例では、車長方向Xにおいて、第1領域130Bの前端130aおよび後端130bがそれぞれ前側第2領域140の前端140aおよび後端140bと位置を揃えられている。また、第1領域130Bの上端130cおよび下端130dがそれぞれ前側第2領域140の上方および下方に配置されている。
図13(C)に示す変形例では、第1領域130Bの前端130aおよび後端130bがそれぞれ前側第2領域140の前端140aおよび後端140bと車長方向Xの位置が一致している。また、第1領域130Bの上端130cは、前側第2領域140の上端140cの上方に配置されており、下端130dは、前側第2領域140のフロアクロスメンバー側の領域141内に配置されている。
図13(D)に示す変形例では、第1領域130Bの前端130a、後端130bおよび上端130cは、それぞれ、前側第2領域140の前方、後方、および、上方に配置されている。一方、下端130dの一部は、前側第2領域140のフロアクロスメンバー側の領域141内に配置されている。
【0185】
[エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例15~18]
図14(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例15を示す主要部の模式的な側面図である。
図14(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例16を示す主要部の模式的な側面図である。
図14(C)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例17を示す主要部の模式的な側面図である。
図14(D)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例18を示す主要部の模式的な側面図である。
【0186】
図14(A)~
図14(D)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bの上端130cおよび下端130dの高さ位置は、車高方向Zにおいて前側第2領域140の上端140cと下端140dとの間の位置(上端140cの高さ位置および下端140dの高さ位置を含む)に配置されている。また、第1領域130Bは、フロアクロスメンバー側の領域141とブラケット側の領域142の双方に跨がって配置されている。また、第1領域130Bは、前側第2領域140のうち縦フランジ31および環状フランジ72を除く領域にも配置されている。
図14(A)に示す変形例では、第1領域130Bの前端130aおよび後端130bがそれぞれ車長方向Xにおいて前側第2領域140の前端140aおよび後端140bと位置が一致しているとともに、上端130cおよび下端130dがそれぞれ前側第2領域140の上端140cおよび下端140dに配置されている。
図14(B)に示す変形例では、第1領域130Bの前端130aおよび後端130bがそれぞれ車長方向Xにおいて前側第2領域140の前端140aおよび後端140bと位置が一致しているとともに、上端130cがブラケット側の領域142に配置され、下端130dがフロアクロスメンバー側の領域141に配置されている。より詳細には、第1領域130Bの前端130aおよび後端130bがそれぞれ車長方向Xにおいて前側第2領域140のうち縦フランジ31および環状フランジ72を除く前側第2領域140の前端140aおよび後端140bとも位置が一致している。また、第1領域130Bの上端130cは、環状フランジ72を除くブラケット側の領域142にも配置されており、この上端130cは、環状フランジ72を除くブラケット側の領域142の上端142cと下端142dとの間に配置されている。また、第1領域130Bの下端130dは、縦フランジ31を除くフロアクロスメンバー側の領域141にも配置されており、この下端130cは、縦フランジ31を除くフロアクロスメンバー側の領域141の上端141cと下端140dとの間に配置されている。このように、
図14(B)に示す変形例において、第1領域130Bは、前側第2領域140のうち縦フランジ31および環状フランジ72を除くフロアクロスメンバー側の領域141とブラケット側の領域142の双方にも跨がって配置されている。
図14(C)に示す変形例では、第1領域130Bの前端130aおよび後端130bがそれぞれ前側第2領域140の前方および後方に配置されている。また、第1領域130Bの上端130cの高さ位置は、前側第2領域140の上端140cの高さ位置と一致しており、下端130dの高さ位置は、前側第2領域140の下端140dの高さ位置と一致している。
図14(D)に示す変形例では、第1領域130Bの前端130aおよび後端130bは、それぞれ、前側第2領域140の前端140aの前方および後端140bの後方に配置されている。一方、第1領域130Bの上端130cおよび下端130dは、それぞれ、前側第2領域140の上端140cおよび下端140dの間に配置されている。また、第1領域130Bの前端130aおよび後端130bは、それぞれ、前側第2領域140のうち縦フランジ31および環状フランジ72を除く、前側第2領域140の前端の前方および後端の後方に配置されている。一方、第1領域130Bの上端130cおよび下端130dは、それぞれ、前側第2領域140のうち縦フランジ31および環状フランジ72を除く、前側第2領域140の上端142cおよび下端140dの間に配置されている。より具体的には、第1領域130Bの上端130cは、環状フランジ72を除くブラケット側の領域142にも配置されており、この上端130cは、環状フランジ72を除くブラケット側の領域142の上端142cと下端142dとの間に配置されている。また、第1領域130Bの下端130dは、縦フランジ31を除くフロアクロスメンバー側の領域141にも配置されており、この下端130cは、縦フランジ31を除くフロアクロスメンバー側の領域141の上端141cと下端140dとの間に配置されている。このように、
図14(D)に示す変形例において、第1領域130Bは、前側第2領域140のうち縦フランジ31および環状フランジ72を除くフロアクロスメンバー側の領域141とブラケット側の領域142の双方にも跨がって配置されている。
【0187】
[エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例19,20]
図15(A)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例19を示す主要部の模式的な側面図である。
図15(B)は、エネルギー吸収部材の形状と配置双方の変形例20を示す主要部の模式的な側面図である。
【0188】
図15(A)~
図15(B)に示す変形例では、エネルギー吸収部材100Bの第1領域130Bは、ブラケット側の領域142とフロアクロスメンバー側の領域141の双方に跨がって配置されている。
図15(A)に示す変形例では、第1領域130Bの前端130aおよび後端130bは、それぞれ、車長方向Xにおいてブラケット側の領域142の前端142aおよび後端142bと位置が一致している。第1領域130Bの上端130cは、ブラケット側の領域142内に配置され、下端130dは、フロアクロスメンバー側の領域141内に配置されている。
図15(B)に示す変形例では、第1領域130Bの前端130aは、前側第2領域140の前方に配置され、後端130bは、前側第2領域140に配置されている。第1領域130Bの上端130cの高さ位置は、ブラケット側の領域142の高さ位置と一致しており、下端130dの高さ位置は、フロアクロスメンバー側の領域141の高さ位置と一致している。
【0189】
[エネルギー吸収部材の変形例4]
次に、エネルギー吸収部材の変形例4について説明する。
図16(A)は、エネルギー吸収部材の変形例4について説明するための主要部の断面図である。
図16(A)を参照して、エネルギー吸収部材の変形例4では、第1フランジ113および第2フランジ123は、車高方向Zに沿った形状に形成されており、互いに溶接または接着により結合されている。この変形例では、車長方向Xにおけるエネルギー吸収部材100の両端部において、このような第1フランジ113および第2フランジ123の結合構造が採用される。
【0190】
[エネルギー吸収部材の変形例5]
図16(B)は、エネルギー吸収部材の変形例5について説明するための主要部の断面図である。
図16(B)に示すように、エネルギー吸収部材100の変形例5では、エネルギー吸収部材100は、1つの第1凸部111および1つの第2凸部121を有している。この場合、車長方向Xにおける第1凸部111の両端部に第1フランジ113,113が連続し、車長方向Xにおける第2凸部121の両端部に第2フランジ123,123が連続する。
【0191】
[エネルギー吸収部材の変形例6]
図17(A)は、エネルギー吸収部材の変形例6について説明するための主要部の断面図である。実施形態におけるエネルギー吸収部材100では、車幅方向Yに見て、第1凸部111および第2凸部121がそれぞれ台形状に形成される構成を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、
図17(A)に示すように、第1凸部111および第2凸部121は、それぞれ、車幅方向Yに見て円弧形状(半円形状)に形成されていてもよい。
【0192】
[エネルギー吸収部材の変形例7]
図17(B)は、エネルギー吸収部材の変形例7について説明するための主要部の断面図である。実施形態におけるエネルギー吸収部材100では、車幅方向Yに見て、第1部材101と第2部材102の2つの部材で構成されていた。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、
図17(B)に示すように、第1部材101と第2部材102との間に第3部材105が設けられていてもよい。この場合、第1部材101は、1つの第1凸部111を有している。この第1凸部111は、車幅方向Yから見て上下逆向きの角張ったU字状に形成されている。また、第1部材102は、1つの第2凸部121を有している。この第2凸部121は、車幅方向Yから見て角張ったU字状に形成されている。第3部材105は、第1部材101と第2部材102との間に配置されている。本変形例では、第3部材105は、複数設けられている。第3部材105は、車長方向Xに等ピッチで配置されている。各第3部材105は、車幅方向Yから見てクランク形状(Z字形状)に形成されている。各第3部材105の上端および下端は、それぞれ、第1凸部101および第2凸部102に溶接または接着によって結合されている。
【0193】
[フロアクロスメンバーおよびブラケットの形状の変形例]
図18は、フロアクロスメンバー30,50およびブラケット70,90の形状の変形例を説明するための図であり、車体下部を車幅方向の車内側から見た模式的な側面図である。
図19は、
図18に示すフロアクロスメンバー30,50およびブラケット70,90の形状の変形例を説明するための図であり、車体下部2の主要部の断面図であって車長方向Xと直交する断面を示している。
【0194】
実施形態では、フロアクロスメンバー30,50の縦フランジ31,51がそれぞれ縦フランジ31a~31cおよび51a~51cによって間欠的に設けられた形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。フロアクロスメンバー30,50の縦フランジ31,51は、
図18および
図19に示すように、一体成形された連続部分であってもよい。この場合、縦フランジ31の各フランジ31a~31cは、車幅方向Yから見て下向きのU字形状となる一体の形状に形成される。この場合、中間縦フランジ31bと、対応する前側縦フランジ31aおよび後側縦フランジ31cとの接続部は、滑らかなR形状(湾曲形状)を有している。同様に、縦フランジ51の各フランジ51a~51cは、車幅方向Yから見てU字形状となる一体の形状に形成される。この場合、中間縦フランジ51bと、対応する前側縦フランジ51aおよび後側縦フランジ51cとの接続部は、滑らかなR形状(湾曲形状)を有していることが好ましい。
【0195】
また、ブラケット70,90は、縦フランジ31,51が通過する箇所から外れた箇所に配置された構成を有している。具体的には、本変形例では、ブラケット70の縦フランジ76と横フランジ75を接続する前接続部77および後接続部78が、車長方向Xから見てスロープ形状に形成されている。前接続部77および後接続部78は、車幅方向Yに沿ってサイドシルインナー21から遠ざかるに従い、下方に進む形状に形成されている。上記の構成により、縦フランジ31は、前接続部77および後接続部78の下方に配置されている。ブラケット70の構成と同様に、ブラケット90においても、縦フランジ96と横フランジ95を接続する前接続部97および後接続部98が、車長方向Xから見てスロープ形状に形成されている。前接続部97および後接続部98は、車幅方向Yに沿ってサイドシルインナー21から遠ざかるに従い、下方に進む形状に形成されている。上記の構成により、縦フランジ51は、前接続部97および後接続部98の下方に配置されている。なお、ブラケット70の前接続部77および後接続部78と、ブラケット90の前接続部97および後接続部98は、それぞれ、結合部41,61の一部である。
【0196】
この変形例によると、ブラケット70,90とサイドシルインナー21との結合力を十分に確保しつつ、フロアクロスメンバー30,50とサイドシルインナー21との結合強度をより高くできる。
【0197】
[他の変形例]
上述の実施形態および各変形例では、主に、前側第2領域140と第1領域130,130A,130Bとの関係を説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、説明した前側第2領域140と第1領域130,130A,130Bとの関係と同様の関係が、後側第2領域150と第1領域130,130A,130Bとの間に成立してもよい。
【0198】
また、上述の実施形態および各変形例において、ブラケット70,90の縦フランジ76,96に不連続部分が形成されてもよい。具体的には、上側前R部76a,96aおよび上側後R部76b,96bが省略されてもよい。また、内側前R部75a,95aおよび内側後R部75b,95bが省略されてもよい。さらに、前接続部77,97および後接続部78,98が省略されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明は、車体下部構造として広く適用することができる。
【符号の説明】
【0200】
1 車体
2 車体下部構造
4 フロアパネル
10 サイドシル
11 サイドシルアウター
21 サイドシルインナー
40,41 結合部
50 フロアクロスメンバー
60,61 結合部
70 ブラケット
90 ブラケット
100,100A,100B エネルギー吸収部材
100a サイドシルインナー側の端部
103 連結部材
104,104A 軸状部
130,130A,130B 第1領域
130a 第1領域の前端
130b 第1領域の後端
130c 第1領域の上端
130d 第1領域の下端
140 第2領域
140a 第2領域の前端
140b 第2領域の後端
141 フロアクロスメンバー側の領域
142 ブラケット側の領域
150 第2領域
150a 第2領域の前端
150b 第2領域の後端
151 フロアクロスメンバー側の領域
152 ブラケット側の領域
A 軸状部の軸線方向
X 車長方向
Y 車幅方向
Z 車高方向