(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】コネクタユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 11/01 20060101AFI20241002BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01R11/01 501G
H01R11/01 501C
H01R43/00 H
(21)【出願番号】P 2022205255
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2017222924の分割
【原出願日】2017-11-20
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2016233397
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】弁理士法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 恭志
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0178221(US,A1)
【文献】特開2001-351702(JP,A)
【文献】特開平08-148213(JP,A)
【文献】特開2015-201435(JP,A)
【文献】特開2016-131152(JP,A)
【文献】特開2013-037944(JP,A)
【文献】特開昭61-188818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 11/01
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性フレキシブルシートに貫通電極が設けられた柔軟性コネクタシートと、それを挟持する一対の導電粒子配置フィルムとを有する積層型のコネクタユニットであって、
導電粒子配置フィルムは、導電粒子が硬化後の樹脂からなるエラストマーフィルムの面方向に配置されている導電粒子配置フィルムであって、導電粒子の平均粒子径dとエラストマーフィルムの厚さtとが、次式
0.70d≦t≦1.10d
を満たし、
導電粒子が、エラストマーフィルムの厚み方向に連結すること無く単独で配置され、
各導電粒子配置フィルムには貫通電極に対応して複数個の導電粒子が局所的に且つ互いに連結することなく独立的に離隔して配置されて
おり、
一対の導電粒子配置フィルムの一方に局所的に配置された導電粒子の粒子間距離と、他方に局所的に配置された導電粒子の粒子間距離とが、平面視で導電粒子が重複しないように互いに相違するコネクタユニット。
【請求項2】
導電粒子が、エラストマーフィルムの一方の表面から厚みの30%以内に当該導電粒子の端部が位置するように露出している請求項1記載のコネクタユニット。
【請求項3】
一対の導電粒子配置フィルムの一方に局所的に配置された導電粒子の個数と、他方に局所的に配置された導電粒子の個数とが、平面視で導電粒子が重複しないように、互いに相違する請求項1記載のコネクタユニット。
【請求項4】
一対の導電粒子配置フィルムの一方に局所的に配置された導電粒子の配置パターンと、他方に局所的に配置された導電粒子の配置パターンとが、平面視で導電粒子が重複しないように、互いに相違する請求項1記載のコネクタユニット。
【請求項5】
導電粒子の粒子径が均一である請求項1~
4のいずれかに記載のコネクタユニット。
【請求項6】
導電粒子の平均粒子径のCV値が20%以下である請求項1~
5のいずれかに記載のコネクタユニット。
【請求項7】
上記導電粒子配置フィルムの少なくとも片面に粘着層が形成されている請求項1~6のいずれかに記載のコネクタユニット。
【請求項8】
導電粒子が硬化後の樹脂からなるエラストマーフィルムの面方向に配置され、導電粒子の平均粒子径dとエラストマーフィルムの厚さtとが、式“0.70d≦t≦1.10d”を満たし、導電粒子が、エラストマーフィルムの一方の表面から厚みの30%以内に当該導電粒子の端部が位置するように露出している導電粒子配置フィルムの製造方法であって、
導電粒子配置フィルムが、複数の導電粒子配置フィルムが積層している導電粒子配置積層フィルムであり、
平面方向に複数の凹部が形成された転写型の当該凹部に導電粒子を配置し、転写型の凹部形成面にエラストマーフィルムを押圧して導電粒子を転写させ、導電粒子が転写されたエラストマーフィルムを一対の定盤に挟み、加熱加圧することにより導電粒子をエラストマーフィルム中に押し込む製造方法。
【請求項9】
上記導電粒子配置フィルムの少なくとも片面に粘着層を形成する請求項
8記載の
製造方法。
【請求項10】
導電粒子が
硬化後の樹脂からなるエラストマーフィルムの面方向に配置されている導電粒子配置フィルム
が複数積層されている導電粒子配置積層フィルムであって、
導電粒子配置フィルムにおけるエラストマーフィルムの厚さが、導電粒子の平均粒子径と略一致しており、エラストマーフィルムの両面のそれぞれの最外面の近傍に、導電粒子の端部が位置している導電粒子配置
積層フィルム。
【請求項11】
上記導電粒子配置フィルムの少なくとも片面に粘着層が形成されている請求項
10記載の導電粒子配置
積層フィルム。
【請求項12】
請求項
10または11記載の導電粒子配置
積層フィルムが、導通検査用電子回路基板に対して検査プローブ材として設置されている検査プローブユニット。
【請求項13】
導通検査用電子回路基板と、それと導通している電極構造体を備えるプローブ材とを有する検査プローブユニットであって、
導通検査用電子回路基板とプローブ材との間に、請求項
10または11記載の導電粒子配置
積層フィルムが、異方導電性コネクタとして配置されている検査プローブユニット。
【請求項14】
導通検査用電子回路基板と、それと導通している電極構造体を備えるプローブ材とを有する検査プローブユニットであって、
プローブ材の導通検査用電子回路基板と反対側の先端に、請求項
10または11記載の導電粒子配置
積層フィルムが異方導電性アダプタとして配置されている検査プローブユニット。
【請求項15】
導通検査用電子回路基板と、それと導通している電極構造体を有するプローブ材とを有する検査プローブユニットであって、
プローブ材の導通検査用電子回路基板と反対側の先端と、プローブ材の導通検査用電子回路基板と反対側の先端とに、それぞれ請求項
10または11記載の導電粒子配置
積層フィルムが異方導電性アダプタとして配置されている検査プローブユニット。
【請求項16】
請求項
12~15のいずれかに記載の検査プローブユニットを、導通検査対象に適用する導通検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置等の導通検査に使用する検査プローブユニットの検査プローブ材、異方導電性コネクタあるいは異方導電性アダプタとして有用な導電粒子配置フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の導通検査を行う場合、一般に、複数の微細なロッド状の電極を面方向に配列したプローブ材を検査用回路基板に接続した検査プローブユニットが用いられているが、検査対象領域は必ずしも平滑ではなく凹凸があるため、従来の単純な検査プローブユニットでは検査対象領域の凹凸に追随できず、高精度の導通試験結果が得られないことが懸念されている。また、プローブ材を半導体装置の端子に直接圧接させるため検査領域の外観不良が発生することも懸念されている。このため、導通検査時に検査対象領域の凹凸による検査精度の低下を防止すると共に半導体装置の外観不良の発生を防止するため、平行磁場により厚み方向に連続させた導電粒子群を面方向に離隔配置した異方導電性エラストマーシート(特許文献1)を、検査プローブユニットにおけるプローブ材と検査用回路基板との間に、異方導電性コネクタとして配置することが考えられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-188672号公報
【文献】特開2009-98065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の異方導電性エラストマーシートでは、磁場の影響で厚み方向に連続した導電粒子群が湾曲する可能性があり、面方向に離隔した導電粒子群同士の絶縁性を安定的に確保するために、異方導電性エラストマーシートの面方向のファインピッチ化が犠牲にならざるを得ないという問題がある。また、このようなシートで検査を行う上では、多様な仕様が存在することから、より取り扱い性に優れたものが求められている。
【0005】
本発明の課題は、半導体装置等のファインピッチの導通検査対象の導通検査を検査プローブユニットを用いて行う際に、検査対象領域が平滑ではなく凹凸であっても、高精度の導通試験結果が得られるようにすると共に、外観不良の発生を回避することである。また検査対象領域が平滑であっても、また導通検査対象が非ファインピッチであっても、容易に使用可能な取り扱い性に優れた導通検査部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、特許文献1の異方導電性エラストマーシートに代えて、導電粒子をその平均粒子径と略同一の厚さのエラストマーフィルムの深さ方向の中程に埋め込み且つ面方向に配置させた導電粒子配置フィルムを、検査プローブ材として、異方導電性コネクタとして、あるいは異方導電性アダプタとして使用することにより上述の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、導電粒子がエラストマーフィルムの面方向に配置されている粒子配置フィルムであって、
エラストマーフィルムの厚さが、導電粒子の平均粒子径と略一致しており、
エラストマーフィルムの両面のそれぞれの最外面の近傍に、導電粒子の端部が位置している導電粒子配置フィルムを提供する。
【0008】
また、本発明は、上述の導電粒子配置フィルムの製造方法であって、
平面方向に複数の凹部が形成された転写型の当該凹部に導電粒子を配置し、転写型の凹部形成面にエラストマーフィルムを押圧して導電粒子を転写させ、導電粒子が転写されたエラストマーフィルムを一対の定盤に挟み、加熱加圧することにより導電粒子をエラストマーフィルム中に押し込む製造方法を提供する。
【0009】
更に、本発明は、上述の導電粒子配置フィルムが、導通検査用電子回路基板に対して検査プローブ材として設置されている検査プローブユニットを提供する。
【0010】
加えて、本発明は、導通検査用電子回路基板と、それと導通している電極構造体を備えるプローブ材とを有する検査プローブユニットであって、
導通検査用電子回路基板とプローブ材との間に、上述の導電粒子配置フィルムが、異方導電性コネクタとして配置されている検査プローブユニットを提供する。
【0011】
更にまた、本発明は、導通検査用電子回路基板と、それと導通している電極構造体を備えるプローブ材とを有する検査プローブユニットであって、
プローブ材の導通検査用電子回路基板と反対側の先端に、上述の導電粒子配置フィルムが異方導電性アダプタとして配置されている検査プローブユニットを提供する。
【0012】
また、本発明は、導通検査用電子回路基板と、それと導通している電極構造体を有するプローブ材とを有する検査プローブユニットであって、
プローブ材の導通検査用電子回路基板と反対側の先端と、プローブ材の導通検査用電子回路基板と反対側の先端とに、上述の導電粒子配置フィルムが異方導電性アダプタとして配置されている検査プローブユニットを提供する。
【0013】
なお、本発明は、上述の検査プローブユニットを、導通検査対象に適用する導通検査方法も提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の導電粒子配置フィルムは、導電粒子がその平均粒子径と略同一の厚さのエラストマーフィルムの深さ方向の中程に埋め込まれ且つ面方向に配置されているものである。このため、導電粒子をフィルム厚み方向に連結させることが必須とはならないので、半導体装置等のファインピッチの導通検査対象(例えば、2~15μm幅の矩形端子や、3~25μm端子間距離の端子など)の導通検査が可能となる。また、導通検査精度を向上させるために、例えば1000mΩ未満の低い抵抗値で導通検査を行う場合、複数の導電粒子を端子に接触させることができるので、導通検査対象の端子間距離が上述の範囲より広くなったとしても低抵抗且つ高精度で導通検査が可能となる。しかも、導通検査対象に対して略平面で圧接されるため、導通検査対象の外観不良の発生の回避が可能となる。なお、検査対象領域が平滑な導通検査対象や非ファインピッチの導通検査対象の高精度の導通検査も可能となる。換言すれば、導通検査対象について、簡易的に導通の適否を非破壊的に判定できる。
【0015】
また、本発明の導電粒子配置フィルムを備えた検査プローブユニットは、本発明の導電粒子配置フィルムに由来する発明の効果を奏することができる。しかも導電粒子配置フィルムがファインピッチ対応しているものであれば、導電粒子配置フィルムの設計を変更せずにピッチが広い導通検査対象にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の導電粒子配置フィルムの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の導電粒子配置フィルムの断面図である。
【
図3A】
図3Aは、エラストマーフィルムの最表面と導電粒子との位置関係説明図ある。
【
図3B】
図3Bは、エラストマーフィルムの最表面と導電粒子との位置関係説明図である。
【
図3C】
図3Cは、エラストマーフィルムの最表面と導電粒子との位置関係説明図である。
【
図4A】
図4Aは、積層タイプの本発明の導電粒子配置フィルムの断面図である。
【
図4B】
図4Bは、積層タイプの本発明の導電粒子配置フィルムの断面図である。
【
図5A】
図5Aは、柔軟性コネクタシートを使用した積層タイプの本発明の導電粒子配置フィルムの断面図である。
【
図5B】
図5Bは、柔軟性コネクタシートを使用した積層タイプの本発明の導電粒子配置フィルムの断面図である。
【
図5D】
図5Dは、柔軟性コネクタシートを使用した積層タイプの本発明の導電粒子配置フィルムの断面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の導電粒子配置フィルムを検査プローブとして利用した検査プローブユニットの概略断面図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の導電粒子配置フィルムを異方導電性コネクタとして利用した検査プローブユニットの概略断面図である。
【
図6C】
図6Cは、本発明の導電粒子配置フィルムを異方導電性アダプタとして利用した検査プローブユニットの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の導電粒子配置フィルムの一例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
【0018】
<導電粒子配置フィルムの全体構成>
図1は、本発明の導電粒子配置フィルム10の断面図である。この導電粒子配置フィルム10は、導電粒子1がエラストマーフィルム2の面方向に配置されているものである。ここで、“面方向に配置”とは、導電粒子配置フィルム10を平面視したときに、導電粒子1が互いに離隔して配置している状態(好ましくは規則的(例えば、正方格子状、矩形格子状、斜方格子状、六方格子状)に配列している状態)を意味する。この場合、
図2に示すように、複数の導電粒子1が、平面的に集合若しくは連結して1つの単位として、互いに離隔してもよい。離隔の最小距離(導電粒子と導電粒子の最短の距離)は、一例として、不要な導電粒子の接触を回避するためには導電粒子径の0.5倍以上が好ましく、0.7倍以上がより好ましい。上限は特に制限はなく、対象物によって適宜設定できるが、ファインピッチ用の一例としては、導電粒子径の10倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましく、2倍以下が更により好ましい。なお、導電粒子1が互いに離隔して配置されているとは、例えば導電粒子数が1000以上好ましくは2000以上になる矩形もしくは正方形の面積内の全導電粒子数の好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、更により好ましくは99.5%以上が独立していることを指す。意図的に連結させている場合は、連結させているものを1つの導電粒子数としてカウントする(導電粒子径は、個々の導電粒子の大きさを指す)。
【0019】
また、導電粒子間距離と導通検査対象の端子間距離は必ずしも一致しなくともよく、導電粒子間距離は導通検査対象の端子間距離よりも小さいことが好ましい。これは、導通検査対象の端子に複数の導電粒子が接触することで、導通抵抗値を低くすることができるからである。従って、端子に接触する導電粒子は、1個であってもよいが、3個以上が好ましく、11個以上がより好ましい。
【0020】
本発明の導電粒子配置フィルム10においては、
図1に示すように、エラストマーフィルム2の厚さtが、導電粒子1の平均粒子径dと略一致している。“略一致”させる理由は、導電粒子配置フィルムの両面での導通を可能とすると共に、略平面で導通検査対象に圧接できるようにするためである。通常、0.70d≦t≦1.10dという関係がある。
【0021】
なお、エラストマーフィルム2と導電粒子1との位置関係に関し、本発明では、エラストマーフィルム2の両面のそれぞれの最外面の近傍に、導電粒子1の端部が位置していることが必要である。この“近傍”の状態を、エラストマーフィルム2の片表面の部分図である
図3A~
図3Cに示す。即ち、
図3Aは、エラストマーフィルム2の表面に導電粒子1の端部が接している状態を示している。
図3Bは、導電粒子1の端部が、エラストマーフィルム2の表面からフィルム内に埋まっている状態を示している。埋まっている深さ(エラストマー被覆厚)aは、通常、エラストマーフィルム2の表面の一方から厚みの10%以内、好ましくは5%以内である。
図3Cは、導電粒子1の端部が、エラストマーフィルム2の表面から露出している状態を示している。露出している高さbは、好ましくはエラストマーフィルム2の表面の一方からの厚みの30%以内である。従って、エラストマーフィルム2の両面における“近傍”のパターンは、両面が
図3A、
図3B又は
図3Cの態様、片面が
図3Aで他面が
図3Bの態様、片面が
図3Aで他面が
図3Cの態様、片面が
図3Bで他面が
図3Cの態様の6種が想定される。また、導電粒子のエラストマーフィルムからの露出の程度、エラストマーによる被覆の程度は、導電粒子配置フィルムの片面と他面とで同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0022】
(エラストマーフィルム2)
エラストマーフィルム2の厚さtは、主に導通検査対象の表面凹凸や導電粒子配置フィルムのハンドリング性などに応じて定められるが、後述するように、導電粒子配置フィルムの積層の態様に応じて適宜調整することができる。半導体装置に適用する場合、バンプ高さとそのバラツキとを考慮すると、好ましくは3μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは30μm以上である。厚さの上限は、特に限定はされないが、導電粒子配置フィルムのハンドリング性やファインピッチ対応等を考慮して、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。なお、エラストマーフィルム2の厚さtは、公知の膜厚計(例えば、株式会社フジワーク、フィルムテスター厚み測定器、HKTハンディシリーズ)を用いて測定することができる。
【0023】
以上説明したエラストマーフィルム2としては、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、SBR,NBRなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレンブタジエンジエンブロック共重合体、スチレンイソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体およびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレン共重合体、エチレンプロピレンジエン共重合体、シリコンゴムなどのエラストマーフィルムが挙げられる。エラストマーフィルム2に耐候性が必要な場合には、共役ジエン系ゴム以外のエラストマーフィルムが好ましく、特に成形加工性および電気特性の観点からはシリコンゴムフィルムが好ましい。また、熱硬化型の異方導電性フィルムなどの異方導電性接続材料、導電粒子を含まない熱硬化型の電子部品用接続材料、電子部品用の粘着剤組成物や接着剤組成物、アンダーフィル用途の樹脂組成物に使用される樹脂を含んでいてもよい。また、同一もしくは異なる複数のフィルムを積層して積層タイプのエラストマーフィルム2としてもよい。このエラストマーフィルム2は、利便性の観点から、検査の際に導通検査対象から脱着可能な特性を有することが望ましい。この点において、公知の硬化型の電子部品用接着フィルム(例えば熱硬化型の異方導電性フィルム)との大きな相違点の一つとなり得る。
【0024】
なお、エラストマーフィルム2として熱硬化したものを採用する場合、積層タイプのものにおいて、製造条件の選択肢が広がるという効果が得られる。更に、検査工程の前に種々のフィルムを積層して検査条件を微調整することや、検査工程そのものをブラックボックス化させることもできる。また、エラストマーフィルム2として熱硬化したものを含まない、微粘着性の接着フィルムとほぼ同様の組成からなる場合、導通検査対象毎に貼りかえるなど、検査工程のハンドリング性の選択肢が広がる。積層タイプの場合、このように組み合わせることで、必要な特性に調整すればよい。
【0025】
(導電粒子1)
一方、導電粒子1の平均粒子径は、エラストマーフィルムと略一致するサイズであり、通常200μm以下であればよく、好ましくは2μm以上50μm以下、より好ましくは2.5μm以上30μm以下、特に好ましくは2.8μm以上20μm以下である。また、導通検査精度の向上のために、導電粒子径は均一であることが望ましい。具体的には、CV値(導電粒子径標準偏差/導電粒子の平均粒子径)が好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更により好ましくは5%以下である。なお、CV値の下限は小さいほど粒子径が均一になり好ましいため、特に制限はない。
【0026】
また、導電粒子1としては、ニッケル、鉄、コバルトなどの磁性を示す金属粒子またはこれらの合金の粒子や、非磁性のハンダ粒子等が挙げられる。これらの粒子には、金、銀、パラジウム、ロジウムなどの貴金属、好ましくは金または銀を含有させてもよい。また、これらの金属粒子もしくは合金粒子をコアとし、そのコアの表面を、電解メッキ法、無電解メッキ法、スパッタ法、真空蒸着法などにより貴金属で被覆してもよい。あるいは、非磁性金属粒子もしくはガラスビーズなどの無機粒子または有機ポリマー粒子をコアとし、これらをニッケル、コバルトなどの導電性磁性体で被覆し、更に貴金属で被覆した粒子を導電粒子1として採用することもできる。有機ポリマー粒子をコアとして金属等で被覆した金属被覆樹脂粒子を採用する場合、加圧時の導電粒子の変形や、有機ポリマー粒子の反発から導通状態を調整し易くなる点で好ましい。また、有機ポリマー粒子に導電性微粒子を含有させ、更に金属等で被覆した導電性微粒子含有金属被覆樹脂粒子を採用してもよい。導通抵抗値をより低くする効果が期待できる。本発明においては、以上のような導電粒子1を2種類以上併用してもよい。
【0027】
(導電粒子配置フィルムの積層)
本発明の導電粒子配置フィルム10は、その全体厚を増すことを目的に、複数の同じ導電粒子配置フィルム10を積層することができる(
図4A)。また、積層する際に、複数の異なる導電粒子配置フィルム10、11を積層することもできる(
図4B)。後者の場合、導電粒子配置フィルム10と導電粒子配置フィルム11とでは、相対的に粒子径の異なる導電粒子を使用しているので、導電粒子配置フィルムの厚み方向の導電粒子の連結状態を保維し易くなり、好ましい。
【0028】
また、導電粒子配置フィルム10を積層する場合、導電粒子配置フィルム10と絶縁性フレキシブルシートに貫通電極が設けられた柔軟性コネクタシートを積層しユニット化してもよく、
図5Aに示すように、2つの導電粒子配置フィルム10の間に、絶縁性フレキシブルシート30に貫通電極31が設けられた柔軟性コネクタシート32を挟持させてもよい(特許第3951333号参照)。この場合、
図5Bに示すように、導電粒子配置フィルム10において、貫通電極31に対応して導電粒子は1個もしくは2個でもよいが、それ以上の複数個(好ましくは3個以上、より好ましくは10個以上)の導電粒子1を配置させることが好ましい。1つの貫通電極31に対応して配置された複数の導電粒子1同士は連結していてもよいが、
図5Cに示すように、平面視したときに、1つの貫通電極31に対応する複数の導電粒子1(上)が互いに連結することなく独立的に離隔して配置されていてもよい。このとき、柔軟性コネクタシートの下に配置されている導電粒子配置フィルムの導電粒子1(下)が、柔軟性コネクタシートの上に配置されている導電粒子配置フィルムの導電粒子1(上)と重複しないようにすることが好ましい。
図5Cのような導電粒子の配置状態は、例えば、導電粒子間の距離や個数を変化させることにより、あるいは配置パターン自体を相違させることにより、また、同一配置パターンであっても基準線に対する角度を変化させることにより作り出すことができる。基準線としては、例えば導電粒子配置フィルムの一辺や端子の一辺などを採用することができる。これにより導通検査時の押圧力の偏りを防止することができる。更に、
図5Dに示すように、導電粒子配置フィルム10の貫通電極31に対向していない領域Sに導電粒子1が存在していてもよい。
【0029】
絶縁性フレキシブルシートは、例えば公知のポリイミドを用いたFPCであってもよく、シリコーンゴムシートなどの緩衝材として用いられるような材料に貫通孔を設けて、電極を設けたものであってもよい。また、これらの厚みは検査の目的に応じて、導電粒子配置フィルム10と同様に適宜設定できるものとする。積層させる枚数については、特に限定はなく、積層の目的に合わせて適宜設定すればよい。絶縁性フレキシブルシートも含めた全体厚みは、後述する積層タイプの導電粒子配置フィルム10の全体厚と同じである。
【0030】
なお、積層タイプの導電粒子配置フィルムの内側に配置される導電粒子配置フィルムにおけるフィルム厚tと導電粒子の平均粒子径dとは、0.70d≦t≦1.10dという関係を満たさなくともよい。上で述べているように、絶縁性フレキシブルシートに貫通電極が設けられている場合に、この貫通電極が絶縁性フレキシブルシート表面から突出していると、積層の内側にある導電粒子配置フィルム中に存在する導電粒子は突出した貫通電極により押圧されているためである。また、導電粒子配置フィルムの少なくとも片面にエラストマーフィルム2(導電粒子配置フィルムから導電粒子を除いたもの)を積層する場合も想定される。貫通電極が絶縁性フレキシブルシート表面から突出していると、突出した貫通電極の周囲の空間を充填するための樹脂が必要になるからである。また積層は、比較的小粒子径の導電粒子を密に敷き詰めた導電粒子配置フィルムと、比較的大粒子径(一例として10~50μm、好ましくは10~30μm)の導電粒子からなる導電粒子配置フィルムを積層したものであってもよい。比較的小粒子径(一例として2~9μm)の導電粒子を密に敷き詰めた導電粒子配置フィルムは、2~9μmの導電粒子を六方格子やこれに準じた配置(六方格子から若干歪ませたり引き伸ばしたりした格子や、正方格子、正方格子の中心点に導電粒子がある格子など)とすることができる。比較的大粒子径の導電粒子は、求められる導通経路になるように小粒子径の導電粒子を介するようにすればよい。大粒子径だけでは、粒子間の接触が不足する虞があるため、小粒子径が補助的な役割を果たすと考えればよい。大粒子径は小粒子径の2倍以上、好ましくは2.5倍以上、より好ましくは3倍以上大きいことが好ましい。小粒子径と大粒子径の配列は、導通路の設計を容易にするためには相似性を持つようにするため、同じであることが好ましい。また配列が異なっていることは、フィルム面方向におけるイレギュラーな導通路の形成を回避する上で好ましい。
【0031】
また、貫通電極31に対応して複数の導電粒子を配置させる場合、一つの導電粒子を配置させる場合に比べ、相対的に導電粒子径が小さくなり、相応して積層する一つの導電粒子配置フィルム10の厚みが薄くなる。そのため、導電粒子配置フィルム10と柔軟性コネクタシート32とからなるユニットを2組以上、好ましくは4組以上積層させることで、全体厚を例えば30μm以上の厚みに容易に増大させることができ、半導体装置をはじめとする種々の導通検査対象の検査に適応させ易くなる。一般的な半導体パッケージにおいては、ハンダ電極の高さが100μm程度であるため、これを考慮して400μm程度の厚みとすることが望まれている(この場合は、厚みと導電粒子の大きさの関係から積層タイプが好ましい)。また、近年は半導体装置の端子がAuを含む場合には、材料コストの削減から低背化の要請が高くなっている。例えば、8μm以下、好ましくは6μm以下、より好ましくは3μm以下である。このような場合や、端子が設けられる前(導通検査対象が略平滑な状態の一例)に検査する場合には、導電粒子配置フィルム10は30μm以下であってもよい。
【0032】
なお、導通検査に実際に適用することを考慮した場合、積層タイプの導電粒子配置フィルム10の全体厚(前述したように絶縁性フレキシブルシートがある場合は、これを含めた合計の厚みになる)は、半導体装置や半導体パッケージ、電極が設けられた配線基板等の導通検査対象のバンプ高さに応じて設定され、下限方向については、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上であり、上限方向については、好ましくは400μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下である。なお、導通検査対象の基板に回路形成された電極が数μm厚程度のパッシベーション膜で保護されている場合には、上述の全体厚の範囲より薄くても適用できる場合もある。
【0033】
なお、積層タイプの導電粒子配置フィルムの場合、最も外側にあるエラストマーフィルムにおける導電粒子については、六方格子パターンもしくはこれに歪を持たせた格子パターンで一面に配置してもよい。導電粒子の個数密度を高めることができるためである。パターン形状を認識し易くさせるために、正方格子や長方格子もしくはこれに歪を持たせた格子パターンで一面に配置してもよい。また、端子配列に対応させて、規則的な配置が設けられたものにしてもよい。例えば端子は矩形状もしくは円形状になるのが一般的であるため、これらの端子の外形に相似性を持たせた配置とすることで、検査における導通の適否を判定することができる。
【0034】
なお、積層タイプであるかどうかに関わらず、導通検査対象の端子に対して異なる導通経路を持った導電粒子配置フィルムを2種以上準備し、それぞれを同一の半導体装置等の導通検査対象の導通検査に適用することで、導通検査対象の端子の導通不良の判定を精密に行うことができる。ここで、異なる導通経路とは、導通検査対象となる端子と接触する導電粒子から、導通を検知する受信部(後述する検査プローブユニットの導通部など)までの経路において、導電粒子や貫通電極などの導通部材が、フィルム断面視において相違することを意味する。導通経路が異なる2種以上の導電粒子配置フィルムは、半導体装置等の導通検査対象の端子形状や端子配列の状態に応じて、導電粒子配置フィルム毎に導電粒子の配置を設計することで取得することができる。あるいは、1種類の導電粒子配置フィルムを、半導体装置等の導通検査対象に平面方向の角度を変更して接触させることで(例えば、導電粒子配置フィルムを、角度を変更して貼り替えることで)、実質的に2種類の異なる導通経路を持った導電粒子配置フィルムで導通検査を実現することができる。このようにして得られた検査結果を照合することで、ファインピッチに対応することができると共に、一つもしくは最小限の枚数で、検査できる範囲が広がるからである。
【0035】
なお、本発明の導電粒子配置フィルム10は、その少なくとも片面に粘着層が更に形成されていてもよい。粘着層を設けることにより、導電粒子配置フィルム10の導通検査対象等に対する脱着が可能になる。また、このような粘着層はエラストマーフィルムとは別の構成部材であるから、粘着層が導電粒子の端部を覆うことになり、導電粒子の保護材として機能する。従って、このような粘着層を設けることにより、導電粒子配置フィルム10を用いる導通検査を、複数回に亘って安定して行うことが可能となる。なお、粘着層を設ける場合、導電粒子配置フィルム10の一方の面だけでもよく、両方の面に設けてもよい。例えば導電粒子が後述する金属被覆樹脂粒子であるならば、検査の条件によっては複数回の使用に耐えられない場合もある。そのためにも、着脱可能であることが望ましく、微粘着層を設けることが好ましい場合もある。この厚みは、導電粒子を保護する目的で微粘着層を設けてもよいため、導電粒子がエラストマーフィルムから露出している高さより厚くすることができ、具体的には導電粒子径200μmの10%にマージンを加味して25μm以下とすることができ、十分な粘着性を得るためには1μm以上の厚みであることが好ましく、2μm以上の厚みであることがより好ましい。
【0036】
また、導電粒子配置フィルム10の面積は、検査の用途に応じて定めることができ、以下の組み合わせから選択できる。一例として、1辺の下限は0.5mm以上が好ましく0.8mm以上がより好ましく、2mm以上が更に好ましい。これは、一般的な異方導電性フィルムの接続体におけるフィルム幅(即ち、ドライバICの短辺の長さや、FPCの電極における実際に押圧されるツール幅)を想定したものである。1辺の上限は大きいほど好ましいが、実用上の取り扱い性を加味すると、一例として、600mm以下が好ましく、450mm以下がより好ましく、300mm以下が更に好ましい。なお、導電粒子配置フィルム10の製品形態として、特に運搬性を考慮すれば巻装体であることが好ましい。また、特に作業性を考慮すれば、枚葉体であることが好ましい。
【0037】
<導電粒子配置フィルムの製造方法>
以上説明した本発明の導電粒子配置フィルムは、従来の導電粒子が規則配列されている異方導電性フィルムの製造方法と同様に製造することができる。例えば、平面方向に複数の凹部が形成された転写型の当該凹部に導電粒子を配置し、転写型の凹部形成面にエラストマーフィルムを押圧して導電粒子を転写させ、導電粒子が転写されたエラストマーフィルムを一対の定盤に挟み、加熱加圧することにより導電粒子をエラストマーフィルム中に押し込むことにより製造することができる(例えば、特許第6187665号参照)。
【0038】
<検査プローブユニット>
本発明の導電粒子配置フィルムは、検査プローブユニットの検査プローブ材として、異方導電性コネクタとして、あるいは異方導電性アダプタとして好ましく適用することができる。
【0039】
本発明の検査プローブユニットの一例として、
図6Aに示すように、本発明の導電粒子配置フィルム10(
図1参照)が、導通検査用電子回路基板50に対して検査プローブ材として設置されている検査プローブユニット100が挙げられる。この場合、導電粒子配置フィルム10に代えて、
図2、
図4A、
図4B、
図5A~5Dの導電粒子配置フィルムを転用することができる。なお、導通検査用電子回路基板50として、従来公知の導通検査用電子回路基板を使用することができる。
【0040】
本発明の検査プローブユニットの別の例として、
図6Bに示すように、導通検査用電子回路基板50と、それと導通している電極構造体61を備えるプローブ材60とを有する検査プローブユニット200において、導通検査用電子回路基板50とプローブ材60との間に、本発明の導電粒子配置フィルム10が、異方導電性コネクタとして配置されている検査プローブユニットが挙げられる。この場合、電極構造体61やプローブ材60としては、従来公知のものを採用することができる。
【0041】
また、本発明の検査プローブユニットの更に別の例として、
図6Cに示すように、導通検査用電子回路基板50と、それと導通している電極構造体61を備えるプローブ材60とを有する検査プローブユニット300において、プローブ材60の導通検査用電子回路基板50と反対側の先端に、本発明の導電粒子配置フィルム10が異方導電性アダプタとして配置されている検査プローブユニットが挙げられる。この場合、導通検査用電子回路基板50とプローブ材60との間に、本発明の導電粒子配置フィルム10を追加的に配置させてもよい。
【0042】
また、上述したような検査プローブユニットは、バンプレイアウトによってその都度仕様を変更する必要が生じることがあるが、プローブ材として使用する導電粒子配置フィルムがファインピッチ対応しているものであれば、導電粒子配置フィルムの設計を変更せずにピッチが広いものにも適用できるため、経済性にも優れたものとなる。
【0043】
<導通検査方法>
本発明の検査プローブユニットは、半導体装置等の各種電子部品の導通検査に好ましく適用することができる。具体的には、導通検査対象である電子部品の電極に対し、検査プローブユニットのプローブ材を圧接させ、電子部品の電極と、検査プローブユニットを構成する導通検査用電子回路基板との間の電気抵抗値を、導電粒子配置フィルムを介して公知の方法で測定することにより導通検査を実現することができる。
【0044】
なお、このような導通検査において、高精度の検査を実現するために、測定されるべき個々の端子抵抗値は低いほど好ましい。一例としては、1000mΩ未満であれば実用上問題なく、200mΩ以下であれば好ましく、100mΩ以下であればより好ましく、50mΩ以下であれば更により好ましい。これは、検査する対象や検査する条件によって適宜選択することができる。この場合の導通抵抗値とは、導通検査対象に十分な押圧がかかり安定した抵抗値を示す状態を指すことが望ましい。
【0045】
また、導通検査の温度条件として、室温条件(20℃±15℃)、低温条件(例えば、-40℃)、あるいは高温条件(例えば100℃)が挙げられる。更に、ヒートサイクル温度条件(-40℃/100℃/1000サイクル)が挙げられる。
【0046】
半導体装置などの導通検査対象の端子ピッチ(最小端子長+端子間スペース)は、一般的に200μm程度であるが、本発明の検査プローブユニットは、より狭い端子ピッチに対応することができる。これは、検査プローブユニットの最外面に例えば粒子径が2.5μm~30μm程度の導電粒子を配置可能だからである。具体的には、プローブとして作用するのに必要な導電粒子が1個でよいとした場合、粒子径が3μmの導電粒子を粒子間中心距離が6μmとして六方格子状に配置すれば、10×10μm程度の検査用端子にすることが可能となる。従って、導通検査対象の端子ピッチとしては、導電粒子と接する電極のサイズに依存するが、電極の長さを最小で10μm程度とし、電極間距離を最小で10μm程度とすれば、端子ピッチを20μm程度とすることが可能となる。
【0047】
なお、導通検査で測定する導通抵抗値は、導電粒子の材質や大きさ、更に電極と接する導電粒子個数に依存すると考えられるため、測定すべき導通抵抗値によっては、端子ピッチをより大きくすることが求められる場合もある。このため、導通検査に適用可能な端子ピッチは、下限方向については、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上であり、上限方向については、好ましくは400μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の導電粒子配置フィルムにおいて、導電粒子がその平均粒子径と略同一の厚さのエラストマーフィルムの深さ方向の中程に埋め込まれ且つ面方向に配置されている。このため、本発明の導電粒子配置フィルムは、半導体装置等のファインピッチの導通検査対象の高精度の導通検査に有用である。なお、検査対象領域が平滑な導通検査対象や、非ファインピッチの導通検査対象の高精度の導通検査にも有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 導電粒子
2 エラストマーフィルム
10、11 導電粒子配置フィルム
30 絶縁性フレキシブルシート
31 貫通電極
32 柔軟性コネクタシート
50 導通検査用電子回路基板
60 プローブ材
61 電極構造体
100、200、300 検査プローブユニット
t エラストマーフィルム厚
d 導電粒子の平均粒子径